(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】移動停止機構およびその移動停止機構を備えた移動装置
(51)【国際特許分類】
B65G 54/02 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
B65G54/02
(21)【出願番号】P 2020011760
(22)【出願日】2020-01-28
【審査請求日】2022-07-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年3月18日に北斗理研株式会社に販売
(73)【特許権者】
【識別番号】390000011
【氏名又は名称】JFEアドバンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】藤原 信悟
(72)【発明者】
【氏名】大野 順司
(72)【発明者】
【氏名】久野 順平
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-077524(JP,U)
【文献】特開平08-112733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 54/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
従動体と、
前記従動体を案内するガイドと、
前記従動体を目標停止位置で停止させるストッパーと、
前記ガイドに対して所定の間隔をあけて前記ガイドに沿って移動可能であって、かつ、前記従動体と磁力により互いに引き合う駆動体と、
前記駆動体を駆動する駆動源と
、
前記従動体及び前記駆動体を隔てており、前記従動体及び前記駆動体から離間している、隔壁と
を備え、
前記従動体は、前記駆動体よりも遅れて移動し、
前記従動体の移動方向における前記目標停止位置に対応する位置に前記駆動体が到達したときの
、前記目標停止位置に到達していない前記従動体と
、前記駆動体との移動方向における第1距離をL1とするとき、前記駆動体は、前記目標停止位置に対応する位置から第1距離L1よりも長い第2距離L2の位置で停止することを特徴とする移動停止機構。
【請求項2】
前記第2距離L2は、前記従動体が前記磁力により前記ストッパーに付勢可能な距離であることを特徴とする請求項1に記載の移動停止機構。
【請求項3】
請求項1または2に記載の移動停止機構と、
前記移動停止機構における前記従動体の負荷と
を備え、
前記従動体の負荷に抵抗源が含まれていることを特徴とする移動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動停止機構に関し、詳しくは、機械的に駆動部に直結されずに磁力を利用して移動する対象物を目標停止位置に停止させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物を移動させるための機構において磁力を利用することは、従来から試みられている。例えば特許文献1(特開2018-58660号公報)では、3組の磁石とガイドレールを設けることにより、チャンバー内の対象物を移動させる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1の構成では、隔壁を介して対象物がある従動側に停止位置センサを設けられない場合、駆動側に停止位置センサを設けることになる。
【0005】
このように駆動側に停止位置センサを設けた場合、対象物が重いか、あるいは摩擦が大きい等のように負荷が大きい場合、対象物の移動が駆動側に追従できず、停止位置センサが反応しているにも関わらず、対象物が停止すべきでない位置を移動中であることがある。
【0006】
このような場合、対象物が停止すべきでない位置を移動中に停止位置センサが反応すれば、装置が誤動作する。
【0007】
本発明は、対象物の移動が駆動側に追従しない場合であっても、対象物を正確に停止位置に停止させることができる移動停止機構およびその移動停止機構を備えた移動装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の一態様に係る移動停止機構は、
従動体と、
前記従動体を案内するガイドと、
前記従動体を目標停止位置で停止させるストッパーと、
前記ガイドに対して所定の間隔をあけて前記ガイドに沿って移動可能であって、かつ、前記従動体と磁力により互いに引き合う駆動体と、
前記駆動体を駆動する駆動源と、
前記従動体及び前記駆動体を隔てており、前記従動体及び前記駆動体から離間している、隔壁と
を備え、
前記従動体は、前記駆動体よりも遅れて移動し、
前記従動体の移動方向における前記目標停止位置に対応する位置に前記駆動体が到達したときの、前記目標停止位置に到達していない前記従動体と、前記駆動体との移動方向における第1距離をL1とするとき、前記駆動体は、前記目標停止位置に対応する位置から第1距離L1よりも長い第2距離L2の位置で停止することを特徴とする。
【0009】
本構成によれば、駆動源により駆動された駆動体がガイドに対して所定の間隔をあけてガイドに沿って移動することにより、駆動体と磁力により互いに引き合う従動体がガイドに案内される。ここで、従動体の負荷が大きいと、従動体の移動が駆動体よりも遅れて、従動体の移動方向における目標停止位置に対応する位置に駆動体が到達したとき、移動が遅れた従動体と駆動体との差が移動方向における第1距離L1となる。その後、駆動体が前記目標停止位置に対応する位置から第1距離L1よりも長い第2距離L2の位置で停止することによって、駆動体が停止したときは従動体がストッパーにより目標停止位置に確実に停止している。したがって、従動体の移動が駆動体に追従しない場合であっても、従動体である対象物を停止位置に正確に停止させることができる。
【0010】
また、好ましくは、前記第2距離L2は、前記従動体が前記磁力により前記ストッパーに付勢可能な距離である。
【0011】
本構成によれば、従動体がストッパーに当接して目標停止位置に停止したときの第2距離L2を、従動体が磁力によりストッパーに付勢可能な距離とすることによって、従動体を安定した状態で目標停止位置に停止させることができる。
【0012】
また、この発明の一態様に係る移動装置は、
前記の移動停止機構と、
前記移動停止機構における前記従動体の負荷と
を備え、
前記従動体の負荷に抵抗源が含まれていることを特徴とする。
【0013】
本構成によれば、従動体の負荷に摩擦抵抗などを含む抵抗源が含まれていることで、従動体の移動が駆動体よりも遅れが生じて従動体が駆動体に追従しないような場合であっても、従動体を停止位置に正確に停止させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、対象物の移動が駆動側に追従しない場合であっても、対象物を停止位置に正確に停止させることができる。これにより、対象物が移動中に停止位置を誤った状態で次工程に進むようなことがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係わる移動停止機構を備えた移動装置の概略模式図である。
【
図2】前記移動停止機構において従動体の移動の遅れを説明するための図である。
【
図3】前記移動停止機構において従動体が目標停止位置に停止した状態を説明するための図である。
【
図4】前記移動停止機構において駆動体が停止した状態を説明するための図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係わる移動停止機構を備えた移動装置の一例としての吸光度測定装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。また、
図1~
図4は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは相違している。
【0017】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係わる移動停止機構を備えた移動装置1の概略模式図で移動開始前の状態である。移動装置1は、
図1に示すように、隔壁10で隔たれた駆動部20と従動部30とを備える。
【0018】
駆動部20は、駆動部材21と、駆動部材21に固定された駆動側磁石22と、駆動源の一例としてモータ24と、停止位置センサ25とを有する。駆動部材21と駆動側磁石22で駆動体23を構成している。第1実施形態では、停止位置センサ25は、光学式の非接触センサ(透過型フォトセンサや反射型フォトセンサなど)を用いたが、接触式のセンサを用いてもよい。
【0019】
また、駆動部20は、駆動体23を移動させるネジ軸41と、ネジ軸41の一端を回転可能に支持する第1支持部42と、ネジ軸41の他端を回転可能に支持する第2支持部43とを有する。モータ24によりネジ軸41が回転駆動される。駆動体23は、モータ24の回転方向に応じて、ネジ軸41の一端側から他端側または他端側から一端側へ移動する。
【0020】
従動部30は、従動部材31と、従動部材31に固定された従動側磁石32と、ストッパー34とを有する。従動部材31と従動側磁石32で従動体33を構成している。
【0021】
また、従動部30は、従動体33を案内するガイドレール51と、ガイドレール51の一端を支持する第3支持部52と、ガイドレール51の他端を支持する第4支持部53とを有する。ガイドレール51は、従動体33を案内するガイドの一例である。
【0022】
従動体33とストッパー34と駆動体23とモータ24(駆動源)で移動停止機構を構成している。
【0023】
従動部30側の負荷が小さければ、駆動体23と従動体33は、それぞれの駆動側磁石22,従動側磁石32が互いに引き合う磁力により、移動方向において同位置を保ちながら移動する。
【0024】
一方、従動部30側の負荷が大きければ、
図2に示すように、駆動体23の位置に対して従動体33の位置に移動方向において差が生じる。
【0025】
図2において、従動体33の移動方向における目標停止位置P1に対応する位置に駆動体23が到達したときの従動体33と駆動体23との移動方向における第1距離はL1である。
【0026】
図3は、従動体33がストッパー34により停止した状態を示しており、従動体33の右側の端部がストッパー34に当接している位置を目標停止位置P1とする。
【0027】
ここで、停止位置センサ25は、ストッパー34から移動方向における第1距離L1より大きい第2距離L2に配置している。
図1~
図3の状態では、停止位置センサ25は反応していない。
【0028】
さらに、
図4は、従動体33がストッパー34により停止した状態のまま駆動体23が停止位置P2まで移動して停止した状態を示しており、駆動体23が停止位置センサ25により検出されたときの駆動体23の右側の端部の位置を停止位置P2とする。
【0029】
なお、目標停止位置P1は、従動体33の右側の端部の位置に限らず、従動体33の中心点の位置としてもよく。それに応じて、停止位置P2を従動体33の中心点の位置としてもよい。
【0030】
図4に示すように、駆動体23が移動して停止位置P2に駆動体23が到達して、停止位置センサ25により駆動体23が停止位置P2に到達したことを検出すると、モータ24(駆動源)を停止する。この実施形態では、モータ24を制御する制御部(図示せず)が、停止位置センサ25からの検出信号を受けてモータ24を停止する。
【0031】
停止位置センサ25からの検出信号は、従動体33が目標停止位置P1に確実に停止した後に発せられるので、従動体33が磁力によりストッパー34に付勢されて安定した状態で従動体33を目標停止位置P1に停止でき、従動体33の停止状態が不安定になって移動装置1が誤動作するということはない。
【0032】
なお、第1実施形態では、駆動体23と従動体33それぞれに駆動側磁石22,従動側磁石32を固定しているが、どちらか一方のみに磁石を固定し、他方は磁性体であってもよい。
【0033】
第1実施形態では、従動部30側にストッパー34を設けているが、駆動部20側にもストッパーを設けてもよい。この場合、停止位置センサを用いずに、駆動部がストッパーに当接したときに駆動源の過負荷検知により駆動部を停止するようにしてもよい。
【0034】
また、第1実施形態では、
図1~
図4の右側のみにストッパー34と停止位置センサ25を設けているが、
図1~
図4の左側にもストッパーと停止位置センサを設けてもよい。
【0035】
また、第1実施形態では、駆動体23と従動体33が直線運動をしているが、駆動体と従動体は、回転運動、螺旋運動、曲線運動でもよい。
【0036】
また、第1実施形態では、隔壁10を介して駆動部20と従動部30を設けているが、隔壁はなくてもよい。
【0037】
第1実施形態の移動停止機構によれば、モータ24(駆動源)により駆動された駆動体23(駆動部材21,駆動側磁石22)がネジ軸41に沿って移動することにより、駆動体23と磁力により互いに引き合う従動体33(従動部材31,従動側磁石32)がガイドレール51に案内される。このとき、駆動体23(駆動部材21,駆動側磁石22)は、ガイドレール51(ガイド)に対して所定の間隔をあけてガイドレール51に沿って移動する。
【0038】
ここで、従動体33の負荷が大きいと、従動体33の移動が駆動体23よりも遅れて、従動体33の移動方向における目標停止位置P1に対応する位置に駆動体23が到達したとき、移動が遅れた従動体33と駆動体23との差が移動方向における第1距離L1となる。その後、駆動体23が目標停止位置P1に対応する位置から第1距離L1よりも長い第2距離L2の停止位置P2で停止することによって、駆動体23が停止したときは従動体33がストッパー34に当接して目標停止位置P1に確実に停止している。したがって、従動体33の移動が駆動体23に追従しない場合であっても、従動体33である対象物を停止位置に正確に停止させることができる。
【0039】
また、前記移動停止機構では、目標停止位置P1から停止位置P2までの第2距離L2を、従動体33と駆動体23とが互いに引き合う磁力により従動体33がストッパー34に付勢可能な距離に設定しているので、従動体33がストッパー34に当接して目標停止位置P1に停止したとき、従動体33が磁力によりストッパー34に付勢された安定した状態で目標停止位置P1に停止させることができる。
【0040】
なお、前記移動停止機構では、マイクロコンピュータなどの制御装置による制御なしに機械的な構成で簡単に実現することができ、コストを低減できる。
【0041】
〔第2実施形態〕
図5は、本発明の第2実施形態に係わる移動停止機構を備えた移動装置の一例としての吸光度測定装置100の斜視図である。この吸光度測定装置100は、吸光光度法により試料中の含有物による吸光度を測定する装置であって、製品名はUV計である。
【0042】
第2実施形態の吸光度測定装置100は、
図5に示すように、下側円板部101と、上側円板部102と、下側円板部101と上側円板部102とを連結する円筒カバー103と、円筒カバー103内に配置され、下側円板部101と上側円板部102により支持されたフレーム部材104と、フレーム部材104に取り付けられたモータ支持部105と、フレーム部材104に取り付けられた制御基板106とを備えている。制御基板106は、マイクロコンピュータと入出力回路などからなる制御部(図示せず)を有する。
【0043】
また、吸光度測定装置100は、モータ支持部105の上側に取り付けられたモータ110と、モータ110の出力軸(図示せず)にカップリング111を介して連結されたネジ軸112と、ネジ軸112が螺合するナット受け部113と、ナット受け部113が上端に固定された円筒状の駆動部材114と、円筒状の駆動部材114の下端側かつ外周に固定された4つの駆動側磁石115とを備えている。4つの駆動側磁石115は、円筒状の駆動部材114の外周の対向する位置に2つずつ配置されている。
【0044】
モータ110は、駆動源の一例であり、この実施形態ではDCモータを用いている。また、円筒状の駆動部材114と駆動側磁石115で駆動体を構成している。
【0045】
また、吸光度測定装置100は、下側円板部101に挿通されたフィルタ支持軸121と、フィルタ支持軸121の上端側に設けられた従動側磁石122と、下側円板部101に取り付けられ、フィルタ支持軸121を上下方向に移動可能に内周面で支持するガイドパイプ123とを備えている。ガイドパイプ123の上端は、閉鎖されている。ガイドパイプ123は、吸光度測定装置100の内部と外部とを仕切る隔壁の一例である。
【0046】
フィルタ支持軸121と従動側磁石122で従動体を構成している。
【0047】
さらに、吸光度測定装置100は、フィルタ支持軸121の下端に取り付けられたフィルタ本体130と、下側円板部101の下面に所定の間隔をあけて立設された第1支持部131,第2支持部132とを備えている。フィルタ本体130は、下方に移動させられて第1支持部131と第2支持部132との間に挿入された挿入位置で、フィルタ本体130の校正フィルタ(図示せず)を用いて吸光度の測定の校正が行われる。
【0048】
制御部は、外部からの指令信号に基づいてモータ110などを制御する。まず、フィルタ本体130が上側の退避位置にあるときに、モータ110によりネジ軸112を回転駆動して、ナット受け部113と共に円筒状の駆動部材114を下方に移動させる。これにより、駆動部材114の駆動側磁石115とフィルタ支持軸121の従動側磁石122とが磁力により互いに引き合って、従動体(フィルタ支持軸121,従動側磁石122)がガイドパイプ123に案内されて、下方に移動する。
【0049】
これにより、フィルタ支持軸121の下端に取り付けられたフィルタ本体130が下方に移動して、第1支持部131と第2支持部132との間の所定の挿入位置に停止する。フィルタ本体130が挿入位置に停止したとき、従動体の従動側磁石122が目標停止位置に到達したものとする。
【0050】
ここで、フィルタ本体130には、第2支持部132側に向かって突出する第1ストッパー133が設けられている。また、第2支持部132には、第2ストッパー134が設けられており、フィルタ本体130に設けられた第1ストッパー133が第2支持部132に設けられた第2ストッパー134に当接して、フィルタ支持軸121が停止する。
【0051】
フィルタ本体130の第1ストッパー133が第2ストッパー134に当接するまで、従動体の従動側磁石122の位置は、移動方向において駆動体の駆動側磁石115の位置よりも上側にあり、従動体の従動側磁石122の位置と駆動体の駆動側磁石115の位置との間に差(第1距離)が生じる。
【0052】
従動体(フィルタ支持軸121,従動側磁石122)と第1ストッパー133,第2ストッパー134と駆動体(駆動部材114,駆動側磁石115)とモータ110(駆動源)で移動停止機構を構成している。
【0053】
第1支持部131と第2支持部132は、それぞれ対向する位置に検出用窓(図示せず)を有する。フィルタ本体130の下方への移動によって、フィルタ本体130に設けられたワイパー(図示せず)により第1支持部131と第2支持部132の検出用窓を清掃する。
【0054】
その後、さらに、円筒状の駆動部材114が下方に移動し、第1ストッパー133が第2ストッパー134に当接して、フィルタ本体130が停止する。この停止位置によって、第1支持部131と第2支持部132に設けられた検出用窓(図示せず)とフィルタ本体130の設けられた校正用透過部材(図示せず)の位置関係が適切なものとなる。
【0055】
その後、さらに、円筒状の駆動部材114が下方に移動し、位置検出用アーム部材116が第2センサ108により検出されて制御部によりモータ110を停止する。第2センサ108は、駆動体の駆動側磁石115の停止位置を検出する停止位置センサの一例である。
【0056】
駆動体の駆動側磁石115の停止位置において、従動体の従動側磁石122の位置は、移動方向において駆動体の駆動側磁石115の停止位置よりも上側にあり、従動体の従動側磁石122の目標停止位置と駆動体の駆動側磁石115の停止位置との間に差(第2距離)が生じる。
【0057】
次に、制御部によりモータ110を逆回転させることによって、フィルタ本体130が下側円板部101に設けられた第3ストッパー(図示せず)に当接するまで、挿入位置から上方に移動させて元の退避位置に戻す。
【0058】
その後、さらに、円筒状の駆動部材114が上方に移動し、位置検出用アーム部材116が第1センサ107により検出されて制御部によりモータ110を停止する。
【0059】
第1センサ107および第2センサ108は、フォトインタラプタである。
【0060】
このように、第2実施形態の吸光度測定装置100では、第1実施形態の移動停止機構と同様、従動体の従動側磁石122の目標停止位置に駆動体の駆動側磁石115が到達したときの従動体の従動側磁石122と駆動体の駆動側磁石115との差である上下方向における第1距離よりも、従動体の従動側磁石122が目標停止位置に到達した後の駆動体の駆動側磁石115の停止位置と目標停止位置との上下方向における第2距離を長くしている。
【0061】
第2実施形態の吸光度測定装置100では、従動体(フィルタ支持軸121,従動側磁石122)の移動が駆動体(フィルタ支持軸121,従動側磁石122)に追従していなくとも、移動停止機構によってフィルタ本体130を所定の挿入位置に正確に停止させることができる。
【0062】
第2実施形態の吸光度測定装置100の移動停止機構は、第1実施形態の移動停止機構と同様の効果を有する。
【0063】
また、従動体(フィルタ支持軸121,従動側磁石122)の負荷に、検出用窓を清掃するワイパーの摩擦抵抗を含む抵抗源が含まれていることで、従動体の移動が駆動体(駆動部材114,駆動側磁石115)よりも遅れが生じて、従動体が駆動体に追従しないが、従動体を停止位置に正確に停止させることができる。
【0064】
第2実施形態では、移動停止機構を備えた吸光度測定装置100について説明したが、移動停止機構はこれに限らず、機械的に駆動部に直結されずに磁力を利用して移動する対象物を目標停止位置に停止させる他の構成の装置に適用してもよい。
【0065】
第1,第2実施形態では、駆動源としてモータを用いた移動停止機構について説明したが、駆動源はこれに限らず、駆動体を移動させるための駆動手段であればよい。
【0066】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は第1,第2実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0067】
1…移動装置
10…隔壁
20…駆動部
21…駆動部材
22…駆動側磁石
23…駆動体
24…モータ(駆動源)
25…停止位置センサ
30…従動部
31…従動部材
32…従動側磁石
33…従動体
34…ストッパー
41…ネジ軸
42…第1支持部
43…第2支持部
51…ガイドレール(ガイド)
52…第3支持部
53…第4支持部
100…吸光度測定装置
101…下側円板部
102…上側円板部
103…円筒カバー
104…フレーム部材
105…モータ支持部
106…制御基板
107…第1センサ
108…第2センサ
110…モータ
111…カップリング
112…ネジ軸
113…ナット受け部
114…円筒状の駆動部材
115…駆動側磁石
116…位置検出用アーム部材
121…フィルタ支持軸
122…従動側磁石
123…ガイドパイプ
130…フィルタ本体
131…第1支持部
132…第2支持部
133…第1ストッパー
134…第2ストッパー