(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】土砂の最適含水比の推定方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/24 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
G01N33/24 E
(21)【出願番号】P 2020026845
(22)【出願日】2020-02-20
【審査請求日】2022-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000219406
【氏名又は名称】東亜建設工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】三枝 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】夏坂 亮太
(72)【発明者】
【氏名】浅田 英幸
【審査官】大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-289761(JP,A)
【文献】特開2009-036533(JP,A)
【文献】特公昭46-042152(JP,B1)
【文献】米国特許第05027660(US,A)
【文献】特開2006-226000(JP,A)
【文献】M. Fukuoka et al.,Testing of Gravelly Soils with Large-scale Apparatus,Proceedings of the fourth International Conference on Soils Mechanics and Foundation Engineering, London, 12-24 August 1957,1957年,pp.153-155
【文献】熊本 直樹,砂・粘土混合土のコンシステンシー特性,広島工業大学紀要研究編,2015年,第49巻,pp.35-42
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/24
JSTPlus/JSTChina/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土砂の粒度分布に対応する下記(1)式により示されるTalbot式における指数nを土砂に含まれる細粒分の液性限界または土砂の液性限界に基づいて補正した補正指数n
modと、土砂の最適含水比との相関関係を予め把握しておき、
対象土砂の粒度分布を把握して、その対象土砂の粒度分布に対応する前記(1)式における指数nを算出し、前記対象土砂に含まれる細粒分の液性限界または前記対象土砂の液性限界を把握し、
前記対象土砂の前記指数nを前記対象土砂に含まれる細粒分の液性限界または前記対象土砂の液性限界に基づいて補正した補正指数n
modを算出し、その算出した前記対象土砂の補正指数n
modと、予め把握しておいた前記相関関係とに基づいて前記対象土砂の最適含水比を推定することを特徴とする土砂の最適含水比の推定方法。
ここで、pは篩の目を通過する粒子の重量割合、dは前記篩の目の大きさ、Dは土砂における最大粒径である。
【請求項2】
前記指数nを下記(2)式に基づいて補正して前記補正指数n
modを算出する請求項1に記載の土砂の最適含水比の推定方法。
ここで、Aは前記液性限界を含むパラメータであり、Bは係数である。
【請求項3】
前記(2)式として、下記(3)式を使用する請求項2に記載の土砂の最適含水比の推定方法。
ここで、w
Lfは土砂に含まれる細粒分の液性限界であり、F
Cは土砂の細粒分含有率である。
【請求項4】
前記(2)式として、下記(4)式を使用する請求項2に記載の土砂の最適含水比の推定方法。
ここで、w
Lmは土砂の液性限界である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土砂の最適含水比の推定方法に関し、さらに詳しくは、様々な性状の土砂に対して最適含水比を簡便に精度よく推定できる方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
土砂の最適含水比はJIS A 1210に規定されている突固めによる土の締固め試験方法を行うことで求められるが、締固め試験には多くの作業工数と相応の時間を要する。
【0003】
ところで、コンクリートの粗・細骨材などの混合材料が最大密度となる粒度分布の理想型を表す曲線として下記(1)式により示されるTalbot式が知られている。このTalbot式は土砂(混合土)においても適用できる。
ここで、pは篩の目を通過する粒子の重量割合、dは篩の目の大きさ、Dは土砂(混合材料)における最大粒径である。
【0004】
Talbot式で粒度分布を調整した土砂において、Talbot式の指数nと最適含水比とに強い相関関係があることが示されている(非特許文献1参照)。しかしながら、Talbot式で粒度分布を調整していない土砂においては、Talbot式の指数nが同じ値であっても、土砂の性状が異なると最適含水比が異なる値を示す。そのため、指数nから単純に最適含水比を推定することはできない。それ故、様々な性状の土砂の最適含水比を簡便に精度よく推定するには、改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】M.Fukuoka,「Testing of Gravelly Soil with large-scale Apparatus」,Proc.4th.Int.Conf.Soil Mechanics and Foundation Engineering,London 1957
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、様々な性状の対象土砂に対して最適含水比を簡便に精度よく推定できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明の土砂の最適含水比の推定方法は、土砂の粒度分布に対応する下記(1)式により示されるTalbot式における指数nを土砂に含まれる細粒分の液性限界または土砂の液性限界に基づいて補正した補正指数n
modと、土砂の最適含水比との相関関係を予め把握しておき、対象土砂の粒度分布を把握して、その対象土砂の粒度分布に対応する前記(1)式における指数nを算出し、前記対象土砂に含まれる細粒分の液性限界または前記対象土砂の液性限界を把握し、前記対象土砂の前記指数nを前記対象土砂に含まれる細粒分の液性限界または前記対象土砂の液性限界に基づいて補正した補正指数n
modを算出し、その算出した前記対象土砂の補正指数n
modと、予め把握しておいた前記相関関係とに基づいて前記対象土砂の最適含水比を推定することを特徴とする。
ここで、pは篩の目を通過する粒子の重量割合、dは前記篩の目の大きさ、Dは土砂における最大粒径である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、前記(1)式における指数nを、土砂の性状を表す指標である液性限界に基づいて補正することで、様々な性状の土砂においても最適含水比との相関関係を有する補正指数nmodを得ることができる。補正指数nmodは、土砂の粒度分布と、土砂に含まれる細粒分の液性限界または土砂の液性限界を把握し、土砂の粒度分布に対応する指数nを把握した液性限界に基づいて補正することで簡易に算出できる。それ故、土砂の補正指数nmodと最適含水比との相関関係を予め把握しておき、対象土砂の補正指数nmodを算出することで、その算出した対象土砂の補正指数nmodと、予め把握しておいた補正指数nmodと最適含水比との相関関係とに基づいて、様々な性状の対象土砂に対して最適含水比を簡便に精度よく推定できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】Talbot式で粒度分布を調整した土砂における指数nと最適含水比との関係を示すグラフ図である。
【
図2】Talbot式で粒度分布を調整していない土砂における指数nと最適含水比との関係を示すグラフ図である。
【
図3】指数nを土砂に含まれる細粒分の液性限界w
Lfと土砂の細粒分含有率F
Cとに基づいて補正した補正指数n
modと、土砂の最適含水比との相関関係を示すグラフ図である。
【
図4】指数nを土砂の液性限界w
Lmに基づいて補正した補正指数n
modと、土砂の最適含水比との相関関係を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の土砂の最適含水比の推定方法を図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0011】
本発明は、土砂(混合土)の最適含水比woptを推定する。最適含水比woptは、土砂を締め固めた場合に土砂の乾燥密度が最大となる含水比である。本発明は、コンクリートの粗・細骨材などの混合材料が最大密度となる粒度分布の理想型を表す曲線として知られている上述した(1)式を利用する。
【0012】
図1は非特許文献1から引用したグラフであり、非特許文献1にはTalbot式((1)式)で粒度分布を調整した土砂において、Talbot式の指数nと最適含水比w
optとに強い相関関係があることが示されている。しかしながら、Talbot式で粒度分布を調整していない土砂に対しては、指数nと最適含水比w
optとに強い相関関係が存在している訳ではない。その理由は次に示すとおりである。
【0013】
Talbot式で粒度分布を調整していない様々な性状の土砂について、指数nと最適含水比woptとの相関性を調べる試験、分析を行った。具体的には、性状が異なる3種類の粘性土(X、Y、Z)を細粒分調整用粘土として用いて、それぞれの粘性土毎に、礫、砂、および細粒分の配合を異ならせた粒度分布の異なる8パターンの土砂の試料を作成した。そして、計24パターンのそれぞれの土砂に対して締固め試験および含水比試験を行った。
【0014】
図2は、前述した試験のそれぞれの土砂における指数nと最適含水比w
optとの関係をグラフ化したものである。
図2の横軸は土砂の指数nの対数をとったlog(n)の値を示し、縦軸は土砂の最適含水比w
optを示している。
図2の丸印は細粒分調整用粘土として液性限界w
Lfが57.4%の粘性土Xを用いた土砂を示し、四角印は細粒分調整用粘土として液性限界w
Lfが64.7%の粘性土Yを用いた土砂を示し、三角印は細粒分調整用粘土として液性限界w
Lfが147.7%の粘性土Zを用いた土砂を示している。
【0015】
図2では、細粒分含有率F
Cが同程度の土砂をそれぞれ楕円の枠で囲っている。細粒分含有率F
Cは、土砂に含まれる粒径0.075mm未満の細粒分(粘性土)の割合であり、例えば、F
C70は土砂における細粒分の割合が70%であることを示している。指数nは、篩の目の大きさdを0.075mm、0.25mm、0.425mm、0.85mm、2mmとした場合の値を平均した値としている。
【0016】
図2の試験結果から、土砂に含まれる粘性土(細粒分)の性状が異なると、指数nが同値であっても、最適含水比w
optが異なる値を示すことが分かる。このことから、Talbot式で粒度を調整していない様々な性状の土砂に対しては、指数nから単純に最適含水比w
optを推定することはできないことが分かる。それ故、様々な性状の土砂の最適含水比w
optを精度よく推定するには工夫が必要になる。
【0017】
一方で、
図2の試験結果から、同じ種類の粘性土を用いた土砂どうしにおいては、指数nの増加に伴って最適含水比w
optが一様に減少していることが分かる。さらに、指数nが概ね同じ値であっても、土砂の性状(コンシステンシー特性)を表す指標の一つである土砂に含まれる細粒分(粘性土)の液性限界w
Lfが高いほど最適含水比w
optが高くなる傾向にあり、その傾向は土砂の細粒分含有率F
Cが高いほど強いことが分かる。即ち、土砂の液性限界w
Lmが高いほど最適含水比w
optが高くなる傾向にある。
【0018】
このことから、指数nを土砂に含まれる細粒分の液性限界wLfまたは土砂の液性限界wLmに基づいて補正すれば、Talbot式で粒度分布を調整していない様々な性状の土砂においても、最適含水比woptと相関関係を有する補正指数nmodを得られることが分かる。そして、様々な性状の土砂に対しても、補正指数nmodと最適含水比woptとの相関関係を予め把握しておき、対象土砂の補正指数nmodを算出することで、対象土砂の補正指数nmodと、予め把握しておいた補正指数nmodと最適含水比との相関関係とから、対象土砂の最適含水比woptを簡便に精度よく推定することが可能になる。
【0019】
さらに、土砂に含まれる細粒分の液性限界w
Lfが高いほど最適含水比w
optが高くなる傾向にあり、その傾向は土砂の細粒分含有率F
Cが高いほど強いことから、指数nを下記(2)式に基づいて補正して補正指数n
modを算出することで、最適含水比w
optと相関関係を有する補正指数n
modを得られることを見出した。
ここで、Aは土砂に含まれる細粒分の液性限界w
Lfまたは土砂の液性限界w
Lmを含むパラメータであり、Bは係数である。
【0020】
さらに、試験結果を詳細に分析した結果、(2)式として、下記(3)式や下記(4)式を使用すると、最適含水比w
optと強い相関関係を有する補正指数n
modを得られることが分かった。
【0021】
図3は、試験で作成したそれぞれの土砂について、指数nを(3)式で補正した補正指数n
modと最適含水比w
optとの関係をグラフ化したものである。
図3のグラフ上の曲線で示すように、土砂の性状によらず、(3)式で補正した補正指数n
modと最適含水比w
optとが非常に強い相関関係を有することが分かる。
【0022】
図3のグラフ上の曲線が示す補正指数n
modと最適含水比w
optとの関係式は例えば、下記(5)式で表すことができる。
ここで、C、Dはそれぞれ係数である。(5)式の係数C、Dは、
図3のグラフにおける補正指数n
modと最適含水比w
optとの数値比較から把握できる。
【0023】
図4は、試験で作成したそれぞれの土砂について、指数nを(4)式で補正した補正指数n
modと最適含水比w
optとの関係をグラフ化したものである。液性限界試験(JIS A 1205)を行うことで土砂の液性限界w
Lmを直接求めることもできるが、この試験では、公知の下記(6)式に、土砂に含まれる細粒分の液性限界w
Lfと土砂の細粒分含有率F
Cとを代入して土砂の液性限界w
Lmを算出した。土砂の液性限界w
Lmと、土砂に含まれる細粒分の液性限界w
Lfと、土砂の細粒分含有率F
Cとの間に(6)式の関係が成り立つことは、「熊本直樹 砂・粘土混合土のコンシステンシー特性 2015年 広島工業大学紀要研究編第49巻」に示されている。
【0024】
図4のグラフ上の曲線で示すように、土砂の性状によらず、(4)式で補正した補正指数n
modと最適含水比w
optとが強い相関関係を有することが分かる。(2)式として(4)式を使用する場合にも、
図4のグラフ上の曲線が示す補正指数n
modと最適含水比w
optとの関係式は例えば、(5)式で表すことができる。(4)式を使用する場合の(5)式の係数C、Dは、
図4のグラフにおける補正指数n
modと最適含水比w
optとの数値比較から把握できる。
【0025】
以上の試験、分析を踏まえて、本発明によって対象土砂の最適含水比woptを推定する手順の一例を説明する。
【0026】
本発明では、土砂の粒度分布に対応する(1)式における指数nを土砂に含まれる細粒分の液性限界wLfまたは土砂の液性限界wLmに基づいて補正した補正指数nmodを用いる。指数nを補正指数nmodに補正するには例えば、(2)式を用いる。より具体的には、(2)式として例えば、(3)式や(4)式を使用することができる。予め把握されているデータ、式は演算装置に記憶しておき、取得した必要なデータをこの演算装置に入力して演算処理を行うことにより、所望の演算結果が算出される。
【0027】
図3や
図4に例示するように、土砂の補正指数n
modと最適含水比w
optとの相関関係を予め把握しておく。補正指数n
modと最適含水比w
optとの相関関係は、上述したように、様々な性状の土砂に対して、締固め試験および含水比試験を行なうことで把握できる。
【0028】
対象土砂の最適含水比w
optを推定する際には、
図5に例示するように、対象土砂の粒度分布を把握する。対象土砂の粒度分布は例えば、土の粒度試験方法(JIS A 1204)により把握できるが、その他の方法で把握することもできる。
【0029】
次いで、対象土砂の粒度分布に対応するTalbotの(1)式における指数nを算出する。(1)式における篩の目を通過する粒子の重量割合p、篩の目の大きさd、土砂における最大粒径Dはそれぞれ、対象土砂の粒度分布から求められるので、指数nは簡易に算出できる。指数nは、篩の目の大きさdを複数パターン(例えば、d=0.075mm、0.25mm、0.425mm、0.85mm、2mm)に設定した場合の値を平均した値にするとよい。
【0030】
そして、指数nを土砂に含まれる細粒分の液性限界wLfに基づいて補正する補正指数nmodを用いる場合には、対象土砂に含まれる細粒分の液性限界wLfを把握する。指数nを土砂の液性限界wLmに基づいて補正する補正指数nmodを用いる場合には、対象土砂の液性限界wLmを把握する。対象土砂の液性限界wLf、wLmは、液性限界試験(JIS A 1205)により把握できるが、その他の方法で把握することもできる。
【0031】
次いで、対象土砂の指数nを対象土砂に含まれる細粒分の液性限界wLfまたは対象土砂の液性限界wLmに基づいて補正した補正指数nmodを算出する。例えば、(3)式を使用する場合には、対象土砂の粒度分布から土砂の細粒分含有率FCを把握し、(3)式に対象土砂の指数nと、対象土砂に含まれる細粒分の液性限界wLfと、対象土砂の細粒分含有率FCとを代入して対象土砂の補正指数nmodを算出する。(4)式を使用する場合には、(4)式に対象土砂の指数nと、対象土砂の液性限界wLmとを代入して対象土砂の補正指数nmodを算出する。
【0032】
次いで、その算出した対象土砂の補正指数nmodと、予め把握しておいた補正指数nmodと最適含水比woptとの相関関係とに基づいて、対象土砂の最適含水比woptを推定する。補正指数nmodと最適含水比woptとの相関関係を表す関係式は例えば(5)式となり、(5)式の係数C、Dを予め把握しておけば、対象土砂の補正指数nmodを(5)式に代入することで、対象土砂の最適含水比woptを推定できる。
【0033】
このように、本発明によれば、Talbotの(1)式における指数nを、土砂の性状を表す指標である液性限界wLfまたは液性限界wLmに基づいて補正することで、様々な性状の土砂においても最適含水比woptとの相関関係を有する補正指数nmodを得ることができる。補正指数nmodは、土砂の粒度分布と土砂に含まれる細粒分の液性限界wLfまたは土砂の液性限界wLmを把握し、土砂の粒度分布に対応する指数nを把握した液性限界wLfまたは液性限界wLmに基づいて補正することで簡易に算出できる。
【0034】
それ故、土砂の補正指数nmodと最適含水比woptとの相関関係を予め把握しておき、対象土砂の補正指数nmodを算出することで、その算出した対象土砂の補正指数nmodと、予め把握しておいた補正指数nmodと最適含水比との相関関係とに基づいて、対象土砂の最適含水比woptを簡便に精度よく推定できる。本発明は、多くの作業工数と相応の時間を要する締固め試験を行なわずとも、様々な性状の対象土砂に対して最適含水比woptを簡便に精度よく推定できるので、当業者にとって非常に有益である。
【0035】
図2の試験結果から分かるように、土砂に含まれる細粒分の液性限界w
Lfが高いほど最適含水比w
optが高くなる傾向にあり、その傾向は土砂の細粒分含有率F
Cが高いほど強い。それ故、指数nを(2)式に基づいて補正して補正指数n
modを算出することで、最適含水比w
optとの相関関係が強い補正指数n
modを得ることができる。
【0036】
図3に示すように、指数nを(3)式により補正した補正指数n
modと最適含水比w
optは非常に強い相関関係を有している。それ故、(2)式として(3)式を使用すると、対象土砂の最適含水比w
optを非常に精度よく推定できる。
【0037】
対象土砂に含まれる細粒分の液性限界wLfを把握する場合には、対象土砂を篩にかけて細粒分を抽出した後に液性限界試験等を行うことになるが、対象土砂の液性限界wLmを把握する場合には、細粒分を抽出する必要がない。そのため、(2)式として(4)式を使用すると、より簡便に対象土砂の最適含水比woptを推定できる。
【0038】
なお、上記では指数nを補正指数nmodに補正する好適な補正式として、(2)~(4)式を例示したが、指数nを土砂に含まれる細粒分の液性限界wLfまたは土砂の液性限界wLmに基づいて補正する補正式であり、土砂の性状によらず最適含水比と強い相関関係を有する補正指数nmodを得られる補正式であれば、他の補正式を適用することもできる。