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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】コンクリートの冷却構造
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/02 20060101AFI20230914BHJP
   F28D 15/02 20060101ALI20230914BHJP
   F28F 1/12 20060101ALI20230914BHJP
   F28F 1/16 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
E04G21/02 104
F28D15/02 101L
F28F1/12 Z
F28F1/16 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020048150
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021147858
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】502444733
【氏名又は名称】日軽金アクト株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】597128716
【氏名又は名称】日軽産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100096644
【弁理士】
【氏名又は名称】中本 菊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 丈夫
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 栄徳
(72)【発明者】
【氏名】田川 義孝
(72)【発明者】
【氏名】川端 宏治
(72)【発明者】
【氏名】小島 秋
(72)【発明者】
【氏名】平野 勝識
(72)【発明者】
【氏名】井手 一雄
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 直希
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-4186(JP,A)
【文献】特公昭56-2180(JP,B2)
【文献】特開2004-239600(JP,A)
【文献】特開2005-164155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/02
F28D 15/02
F28F 1/12
F28F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
打設されたコンクリートに、前記コンクリートの外表面に開口するようにシースが埋め込まれ、内部に封入した作動流体が潜熱として熱輸送する伝熱管の一方の端部が前記シースの内部に伝熱液と共に挿入されるとともに、前記伝熱管の他方の端部が前記コンクリートの外部に延び出て放熱部となっているコンクリートの冷却構造において、
前記伝熱管を囲繞した状態で前記伝熱管に取り付けられた伝熱用外装体を有し、
前記伝熱用外装体は、前記伝熱管の周方向に互いに分離している複数の分割片からなり、
前記各分割片は、前記伝熱管の外表面に密着させられる保持片部と、前記保持片部から前記伝熱管の半径方向で外側に延びているブリッジ部と、前記ブリッジ部の先端部に一体化されかつ前記伝熱管の外側を囲繞する方向に延びている熱交換プレート部とを備え、かつ
前記各分割片におけるそれぞれの保持片部で前記伝熱管を包み込んで前記伝熱用外装体が前記伝熱管に一体となるように取り付けられている
ことを特徴とするコンクリートの冷却構造。
【請求項2】
請求項1に記載のコンクリートの冷却構造において、
前記分割片は、前記伝熱管を挟んで対向する第一分割片と第二分割片とを含み、
前記第一分割片の前記第二分割片に対向する端部に、前記伝熱管の半径方向で外側に延びた第一フランジ部が設けられ、
前記第二分割片の前記第一分割片に対向する端部に、前記第一フランジ部に対向する第二フランジ部が設けられ、
前記第一フランジ部と前記第二フランジ部とを互いに接近する方向に締結する締結具が設けられ、
前記第一フランジ部と前記第二フランジ部とが前記締結具によって締結されることにより前記第一分割片における前記保持片部と前記第二分割片における前記保持片部とで前記伝熱管を挟み付けて前記第一分割片と前記第二分割片とが前記伝熱管に取り付けられている
ことを特徴とするコンクリートの冷却構造。
【請求項3】
請求項2に記載のコンクリートの冷却構造において、
前記第一フランジ部と前記第二フランジ部とは互いに対向して接触する対向面を有し、
前記対向面のそれぞれに、互いに噛み合う凹凸部が形成されている
ことを特徴とするコンクリートの冷却構造。
【請求項4】
請求項2または3に記載のコンクリートの冷却構造において、
前記第一フランジ部は前記第一分割片における前記ブリッジ部の一部であり、
前記第二フランジ部は前記第二分割片における前記ブリッジ部の一部である
ことを特徴とするコンクリートの冷却構造。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれか一項に記載のコンクリートの冷却構造において、
前記締結具は、前記第一フランジ部と前記第二フランジ部とを貫通して設けられたボルトおよび前記ボルトにネジ嵌合しているナットと、前記第一フランジ部と前記第二フランジ部のいずれか一方を貫通しかつ他方にねじ込まれたビスとのいずれかからなることを特徴とするコンクリートの冷却構造。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載のコンクリートの冷却構造において、
前記伝熱用外装体は、前記伝熱管のうち前記シースの内部に挿入されている部分に取り付けられる集熱用外装体と、前記伝熱管のうち前記シースから外部に延び出ている前記放熱部に取り付けられる放熱用外装体とを含むことを特徴とするコンクリートの冷却構造。
【請求項7】
請求項6に記載のコンクリートの冷却構造において、
前記放熱用外装体における前記熱交換プレート部には、前記伝熱管の半径方向で外側に延びている複数の放熱フィンが設けられていることを特徴とするコンクリートの冷却構造。
【請求項8】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載のコンクリートの冷却構造において、
前記伝熱用外装体は、前記伝熱管にその全長に亘って取り付けられる第一外装体と、前記第一外装体のうち前記シースから外部に延び出ている前記放熱部に対応する部分の外面側に取り付けられる放熱用外装体とを有し、
前記放熱用外装体は、前記第一外装体の周方向に互いに分離している複数の放熱用の分割片からなり、
前記各放熱用の分割片は、前記第一外装体の外表面に密着させられる放熱用の保持片部と、前記放熱用の保持片部から前記第一外装体の半径方向で外側に延びている放熱用のブリッジ部と、前記放熱用のブリッジ部の先端部に一体化されかつ前記第一外装体の外側を囲繞する方向に延びている放熱用のプレート部とを備えている
ことを特徴とするコンクリートの冷却構造。
【請求項9】
請求項8に記載のコンクリートの冷却構造において、
前記放熱用外装体における前記熱交換プレート部には、前記伝熱管の半径方向で外側に延びている複数の放熱フィンが設けられていることを特徴とするコンクリートの冷却構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、打設されたコンクリートの水和熱を気中放熱して冷却するための構造に関し、特にヒートパイプなどの作動流体の潜熱を利用して熱を輸送する熱伝導部材を使用したコンクリートの空冷技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マスコンクリートと称される大型のコンクリート構造物は、打設したコンクリートを養生する間の水和熱が内部にたまりやすく、そのためにマスコンクリートの中心側の部分の温度が高く、これに対して外表面に近い部分の温度が低くなり、このような温度差に基づく熱応力によってマスコンクリートに熱収縮亀裂あるいはひび割れが生じることがある。
【0003】
このような不都合を解消するために、特許文献1に記載された発明では、熱輸送管の一端部(蒸発部)をコンクリート構造物に埋設し、他方の端部をコンクリート構造物から外部に突出させて放熱部とし、その放熱部に放熱板を設けることにより、コンクリートの水和熱を熱輸送管を介して大気中に放出させてコンクリート構造物を冷却するように構成している。その熱輸送管は、ヒートパイプの原理を応用したもの、とされている。すなわち、ヒートパイプは、真空脱気したパイプの内部に、水やフロンなどの作動流体を封入するとともに、浸透させた作動流体を毛管圧で蒸発部に還流させる多孔構造のウイックを設けて構成されている。したがって、ヒートパイプの一部と他の部分との間に温度差が生じると、外部からの入熱によって作動流体が蒸発し、その蒸気が温度および圧力の低い他の部分に向けて流動し、その後、作動流体が外部に放熱して凝縮し、液化した作動流体はウイックに浸透するとともに、蒸発の生じる部分でのメニスカスの低下による毛管圧(吸引圧力)によって蒸発の生じる部分に還流する。すなわち、作動流体が蒸発と凝縮とを行ってパイプの内部を循環流動することにより、作動流体の蒸発潜熱の形で熱を輸送する。したがって、ヒートパイプによれば、銅などの熱伝導率の大きい金属による熱輸送量(伝熱量)に比較して数十倍ないし百数十倍の量の熱を輸送できる。
【0004】
打設したコンクリートを、この種のヒートパイプを利用して冷却する方法が特許文献2に記載されている。特許文献2に記載された方法では、打設コンクリートにシースによって形成したボイドを設け、そのボイドの内部にヒートパイプの下側の部分を挿入するとともにボイドとヒートパイプとの間に水などの間隙水を充填して、両者の間の伝熱をその間隙水で行っている。そのヒートパイプは、コルゲート管の内部に作動流体を封入した構成になっている。また、ヒートパイプの上端側の部分は、打設コンクリートから上方に突き出させて外気に露出させている。この外気に露出させた部分は放熱フィンを設けてもよい、とされている。したがって、打設コンクリートの水和熱は、ヒートパイプによって外部に気中放熱されるので、打設コンクリート内の温度の偏差やそれに伴う熱応力を緩和して熱収縮亀裂あるいはひび割れを防止もしくは抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特公昭56-2180号公報
【文献】特許第6181436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ヒートパイプは、上述したように高真空のパイプの内部に凝縮性の作動流体を封入したいわゆる機能部品であって高価であるから、特許文献1に記載されているようにコンクリート内に直接埋め込んでしまうと、養生後に埋め殺しするなど、再利用(再使用)することができない。そのためにコンクリートの養生に要する費用が嵩んでしまい、ひいてはコンクリート構造物のコストが高くなってしまう。
【0007】
また、ヒートパイプを構成しているパイプはそれ自体、熱伝導性に優れていることが好ましいので、薄肉のパイプを使用することになる。そのため、ヒートパイプは曲げ強度あるいは圧縮強度などの機械的強度が必ずしも高くなく、特許文献1に記載されているようにコンクリートに直接埋め込んだ場合には、コンクリートとヒートパイプとの間の熱抵抗が小さくなるものの、ヒートパイプに外力が掛かって破損してしまい、その部分では放熱あるいは冷却を行えなくなる可能性がある。
【0008】
これに対して特許文献2に記載されているように、シースをコンクリート構造物に埋め込んでボイドを設け、その内部にヒートパイプを挿入すれば、ヒートパイプには特には荷重あるいは外力が掛からないのでヒートパイプを破損から保護することができる。そのヒートパイプとボイドあるいはコンクリートとの間の熱の伝達は、間隙水によって行われるが、その間隙水とヒートパイプとの間の伝熱は、ヒートパイプの表面積の制約を受け、ヒートパイプとの外径が小さいことにより外表面積が小さければ、ヒートパイプに伝達される熱量すなわち冷却熱量が小さくなる。特許文献2に記載されているようなコルゲート管からなるヒートパイプであれば、ヒートパイプの外表面が波打っていることにより表面積(伝熱面積)を大きくできるが、このような特殊構造のヒートパイプは高価であり、コンクリートの養生コストあるいはコンクリート構造物のコストが高くなる要因になる。
【0009】
コルゲート管に替えて大径のパイプからなるヒートパイプを使用すれば、伝熱のための外表面積を大きくできる。しかしながら、パイプの外径が大きければウイックが大型化するだけでなく、作動流体の封入やパイプの封止(ピンチオフ)に難しい作業を余儀なくされるなど、ヒートパイプが更に高コスト化する課題が生じる。
【0010】
さらに、特許文献2に記載された装置では、結局は、コンクリートとヒートパイプとの間の伝熱を間隙水のみが担うことになり、その間隙水の熱伝導率が必ずしも高くないので、この点においても、コンクリートの冷却性能の向上に制約がある。
【0011】
上述したように、従来では、ヒートパイプあるいはこれに相当する熱輸送管を使用してコンクリートを冷却できるとしても、冷却効率あるいは冷却能力を低下させずに低コスト化を図ることができておらず、この点に新たな技術を開発する余地があった。
【0012】
この発明は、上記の事情を背景としてなされたものであって、コンクリート(特にマスコンクリート)の水和熱による熱収縮亀裂あるいはひび割れの防止を容易にかつ低コストで行うことのできるコンクリートの冷却構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、打設されたコンクリートに、前記コンクリートの外表面に開口するようにシースが埋め込まれ、内部に封入した作動流体が潜熱として熱輸送する伝熱管の一方の端部が前記シースの内部に伝熱液と共に挿入されるとともに、前記伝熱管の他方の端部が前記コンクリートの外部に延び出て放熱部となっているコンクリートの冷却構造において、前記伝熱管を囲繞した状態で前記伝熱管に取り付けられた伝熱用外装体を有し、前記伝熱用外装体は、前記伝熱管の周方向に互いに分離している複数の分割片からなり、前記各分割片は、前記伝熱管の外表面に密着させられる保持片部と、前記保持片部から前記伝熱管の半径方向で外側に延びているブリッジ部と、前記ブリッジ部の先端部に一体化されかつ前記伝熱管の外側を囲繞する方向に延びている熱交換プレート部とを備え、かつ前記各分割片におけるそれぞれの保持片部で前記伝熱管を包み込んで前記伝熱用外装体が前記伝熱管に一体となるように取り付けられていることを特徴としている。
【0014】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載のコンクリートの冷却構造において、前記分割片は、前記伝熱管を挟んで対向する第一分割片と第二分割片とを含み、前記第一分割片の前記第二分割片に対向する端部に、前記伝熱管の半径方向で外側に延びた第一フランジ部が設けられ、前記第二分割片の前記第一分割片に対向する端部に、前記第一フランジ部に対向する第二フランジ部が設けられ、前記第一フランジ部と前記第二フランジ部とを互いに接近する方向に締結する締結具が設けられ、前記第一フランジ部と前記第二フランジ部とが前記締結具によって締結されることにより前記第一分割片における前記保持片部と前記第二分割片における前記保持片部とで前記伝熱管を挟み付けて前記第一分割片と前記第二分割片とが前記伝熱管に取り付けられていることを特徴としている。
【0015】
さらに、請求項3に係る発明は、請求項2に記載のコンクリートの冷却構造において、前記第一フランジ部と前記第二フランジ部とは互いに対向して接触する対向面を有し、前記対向面のそれぞれに、互いに噛み合う凹凸部が形成されていることを特徴としている。
【0016】
請求項4に係る発明は、請求項2または3に記載のコンクリートの冷却構造において、前記第一フランジ部は前記第一分割片における前記ブリッジ部の一部であり、前記第二フランジ部は前記第二分割片における前記ブリッジ部の一部であることを特徴としている。
【0017】
請求項5に係る発明は、請求項2ないし4のいずれか一項に記載のコンクリートの冷却構造において、前記締結具は、前記第一フランジ部と前記第二フランジ部とを貫通して設けられたボルトおよび前記ボルトにネジ嵌合しているナットと、前記第一フランジ部と前記第二フランジ部のいずれか一方を貫通しかつ他方にねじ込まれたビスとのいずれかからなることを特徴としている。
【0018】
請求項6に係る発明は、請求項1ないし5のいずれか一項に記載のコンクリートの冷却構造において、前記伝熱用外装体は、前記伝熱管のうち前記シースの内部に挿入されている部分に取り付けられる集熱用外装体と、前記伝熱管のうち前記シースから外部に延び出ている前記放熱部に取り付けられる放熱用外装体とを含むことを特徴としている。
【0019】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載のコンクリートの冷却構造において、前記放熱用外装体における前記熱交換プレート部には、前記伝熱管の半径方向で外側に延びている複数の放熱フィンが設けられていることを特徴としている。
【0020】
請求項8に係る発明は、請求項1ないし5のいずれか一項に記載のコンクリートの冷却構造において、前記伝熱用外装体は、前記伝熱管にその全長に亘って取り付けられる第一外装体と、前記第一外装体のうち前記シースから外部に延び出ている前記放熱部に対応する部分の外面側に取り付けられる放熱用外装体とを有し、前記放熱用外装体は、前記第一外装体の周方向に互いに分離している複数の放熱用の分割片からなり、前記各放熱用の分割片は、前記第一外装体の外表面に密着させられる放熱用の保持片部と、前記放熱用の保持片部から前記第一外装体の半径方向で外側に延びている放熱用のブリッジ部と、前記放熱用のブリッジ部の先端部に一体化されかつ前記第一外装体の外側を囲繞する方向に延びている放熱用のプレート部とを備えていることを特徴としている。
【0021】
請求項9に係る発明は、請求項8に記載のコンクリートの冷却構造において、前記放熱用外装体における前記熱交換プレート部には、前記伝熱管の半径方向で外側に延びている複数の放熱フィンが設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に係る発明によれば、打設されたコンクリートの養生中に発生する水和熱は、コンクリートの外表面から外気に放散されるだけでなく、シースの内部に一端部が挿入されている伝熱管を介して外気に放熱される。そのため、コンクリートの外表面に近い箇所と中央部もしくは中心部とでの放熱量の差が小さくなることにより、コンクリートの内部の温度差およびそれに伴う熱応力が小さくなって、コンクリートの熱収縮亀裂あるいはひび割れが有効に防止される。その伝熱管は、伝熱用外装体によって囲繞されており、その伝熱用外装体は、伝熱管に密着する保持片部と、その保持片部から半径方向で外側に延びているブリッジ部と、そのブリッジ部によって保持片部に一体化されている熱交換プレート部とを備えている。したがって、伝熱管とシース内の伝熱液との間の熱交換や、伝熱管の放熱部における外気との熱交換は、熱交換プレート部を介して行われるので、伝熱管の実質的な熱交換面積が伝熱用外装体によって拡大されている。そのため、ヒートパイプなどの伝熱管自体は外径の小さいものであっても、必要充分な熱量をコンクリートから外気中に放散させることができる。言い換えれば、作動流体の潜熱の形で熱輸送する伝熱管を特には大型化する必要がないので、低コスト化を図ることができる。
【0023】
伝熱管を外径の小さいものとした場合、伝熱管自体の曲げ強度などの機械的強度が小さくなるが、伝熱管は伝熱用外装体を構成している保持片部によって囲繞されて補強された状態になっている。すなわち、請求項1に係る発明では、伝熱用外装体は伝熱管とコンクリートおよび外気との間の熱交換を促進するだけでなく、伝熱管の補強作用も生じ、この点でも伝熱管を大型あるいは高強度のものとする必要がないので、低コスト化を図ることができる。なお、伝熱用外装体を取り付けてある伝熱管は、コンクリートに直接埋設するのではなく、シースの中に挿入するだけであるから、コンクリートの養生が完了した後は、伝熱管を伝熱用外装体と共にシースから抜き出して再使用することができ、したがってコンクリートの養生に要するコストの低廉化を図ることができる。
【0024】
また、伝熱用外装体は、アルミニウム(その合金を含む)などの金属製の押出形材とすることができ、その場合には、熱伝導率の大きい伝熱用外装体が、コンクリートから伝熱管への熱の伝達を媒介することになる。そのため、コンクリートと伝熱管との間の熱抵抗を従来よりも低下させることができ、その結果、コンクリートの冷却性能を向上させることができる。
【0025】
請求項2に係る発明では、保持片部をそれぞれのフランジ部で締結具を介して締結することにより、保持片部によって伝熱管を締め付けた状態で伝熱用外装体を伝熱管に取り付ける。したがって、伝熱管は保持片部によって強固に包み込まれて保持され、伝熱管がより確実に補強される。
【0026】
請求項3に係る発明では、締結具によって締結したフランジ部同士は、それぞれの対向面に形成されている凹凸部を噛み合わせた状態で一体化されるので、外力を受けた場合の保持片部同士のずれに対する強度が高くなり、ひいては外力が伝熱管に作用しにくく、伝熱管の補強強度を更に向上させることができる。
【0027】
請求項4に係る発明では、ブリッジ部を、保持片部同士を連結するためのフランジ部として機能させることができるので、保持片部の構成を簡素化することができる。
【0028】
請求項5に係る発明では、ボルトおよびナット、もしくはビスによって各分割片部を締結して一体化できるので、伝熱用外装体の構成や組み付けを容易化することができる。
【0029】
請求項6に係る発明では、伝熱用外装体を、コンクリートから熱が伝達される部分と外気に放熱する部分とで異なる構造としたので、熱交換にそれぞれ適した構造としてコンクリートの中央部もしくは中心部からの放熱を最適化することができる。
【0030】
請求項7に係る発明では、放熱用外装体には放熱フィンを設けて放熱面積を拡大してあるので、効率よく放熱してコンクリートを冷却することができる。
【0031】
請求項8に係る発明では、伝熱管をその全長に亘って第一外装体が囲繞しているので、伝熱管の補強強度の段差をなくして、伝熱管の補強性能を向上させることができる。
【0032】
請求項9に係る発明では、請求項7に係る発明と同様に、放熱用外装体には放熱フィンを設けて放熱面積を拡大してあるので、効率よく放熱してコンクリートを冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】この発明に係るコンクリートの冷却構造の一例を説明するための模式的な縦断面図である。
図2】伝熱用外装体を取り付けた伝熱管である放熱具の一例を示す正面図である。
図3】ヒートパイプの構造を説明するための一部省略した縦断面図である。
図4図2のIV-IV線に沿って切断し、矢印方向に見た場合の部分斜視図である。
図5図4に示す集熱用外装体の分割片を示す図であって、図4と同様の部分斜視図である。
図6】スリットなどの開口部を設けた集熱用外装体の分割片の例を示す図であって、図5と同様の部分斜視図である。
図7図2のVII-VII線に沿って切断し、矢印方向に見た場合の部分斜視図である。
図8図7に示す放熱用外装体の分割片を示す図であって、図7と同様の部分斜視図である。
図9】集熱用外装体と放熱用外装体とを連結金具で一体化させた例を示す部分断面図である。
図10】ストッパの一例を示す斜視図である。
図11】この発明の他の実施形態を説明するための図であって、図4と同様の部分斜視図である。
図12図11に示す放熱用外装体の分割片を示す図であって、(a)は図7と同様の部分斜視図、(b)は切欠部を下面側から見た図である。
図13】放熱用外装体の先端部にファンを設けた例を示す図であって、(a)は正面図であり、(b)は放熱用外装体の端部側から見た端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、この発明を実施するための形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、この発明を実施した場合の一例に過ぎず、この発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0035】
図1は、この発明によってコンクリート1を空冷している状態を模式的に示す縦断面図であり、コンクリート1は、大きい塊であることにより水和熱が抜け難いマスコンクリートと称される構造体である。その素材は、中庸熱ポルトランドセメントや低熱ポルトランドセメントなど適宜のセメントであってよい。このコンクリート1の中央部などの水和熱が外部に逃げ難い箇所にシース2が埋め込まれている。シース2は、後に説明する放熱具3を差し込む穴を確保するためのものであり、スチールやアルミニウムもしくはその合金などの所定の剛性のある金属材料からなるパイプであって、コンクリート1を打設する際にその内部に同時に埋め込まれる。なお、アルミニウム製もしくはその合金製とする場合には、シース2の外表面にステンシェル塗装などのコンクリートに影響しない処理を施すことが好ましい。シース2は、その内部にアルミニウム(アルミニウム合金を含む)製の押出形材を主体として構成された放熱具3を挿入してコンクリート1の中心部(あるいは芯部)から熱を排出するためのものであるから、シース2はコンクリート1の中心部に達する程度の長さあるいはそれ以上の長さを有し、一方の端部(底部)はテープや端板(それぞれ図示せず)によって密閉され、他方の端部はコンクリート1の外表面に開口している。
【0036】
シース2の内部に水などの伝熱液4が伝熱介在物として充填され、その状態でシース2の内部に放熱具3の一方の端部である集熱部5が抜き差し可能に挿入されている。すなわち、シース2の内面と放熱具3とはその全体が直接には接触していずに両者の間に伝熱液4が充填され、その伝熱液4によってシース2あるいはコンクリート1と放熱具3(集熱部5)との間の熱の伝達を行うようになっている。なお、伝熱液4は、水などの安価で容易に入手できる流体が好ましく、したがってシース2は、鉛直方向に向け、かつ上方に開口するように設けられていることが好ましい。また、前述した伝熱液4の量を少なくし、あるいは伝熱液4を用いずに、シース2との間の熱抵抗を小さくするために、集熱部5の外径とシース2の内径とはほぼ同一として、両者を伝熱可能に接触させてもよい。
【0037】
放熱具3について説明すると、その一例を図2に示してある。なお、図2は放熱具3の一例の正面図である。放熱具3は、熱輸送特性に優れた伝熱管6に外装体7を取り付けて構成されている。その伝熱管6の一例はヒートパイプであり、その構造の一例を模式的に示すと図3のとおりである。図3において符号8は密閉パイプ(コンテナ)を示し、密閉パイプ8は銅などの熱伝導率が高く、また作動流体と反応してガスを生じることのない銅などの金属製のパイプである。密閉パイプ8の内面には、ウイック9が設けられている。ウイック9は液相の作動流体が浸透することにより毛管圧を生じさせるためのものであり、作動流体の濡れ性に優れた微細構造のものであればよい。例えば密閉パイプ8の内面に形成した細い溝(グルーブウイック)やメッシュ材(金網)もしくは多孔質体(多孔質焼結金属)などがウイック9として用いられる。密閉パイプ8の内部には、空気などの非凝縮性ガスを排気した状態(脱気した状態)で作動流体10が適当量封入されている。作動流体10は蒸発と凝縮とを伴って循環流動することにより、その潜熱の形で熱を輸送する流体であり、水やフロン、アンモニアなどの凝縮性の流体が使用される。
【0038】
なお、ウイック9は、凝縮した作動流体10を、蒸発の生じる箇所(入熱部)に還流させるためのものであるが、伝熱管6を図1に示すように鉛直方向に立てて使用する場合には、凝縮した作動流体10は重力によって流れ落ちて蒸発の生じる箇所に戻る。したがってこのような態様で使用する場合には、ウイックのないヒートパイプを使用することができる。この種のヒートパイプはサーモサイホンと称されることがあり、この発明における伝熱管はサーモサイホンを含む。
【0039】
伝熱管6を囲繞するように伝熱管6に取り付けられている外装体7は、コンクリート1から熱が伝達される集熱用外装体11と、外気に向けて放熱する放熱用外装体12とを含んでいる。これら集熱用外装体11および放熱用外装体12のいずれも、伝熱管6の実質的な伝熱面積を増大させ、併せて伝熱管6を補強するように構成されている。
【0040】
図4は、集熱用外装体11を説明するための部分的な斜視図であり、伝熱管6を図2のIV-IV線で切断して矢印方向に見た図である。この集熱用外装体11は、全体として円筒状に構成されており、その外径は前述したシース2に挿入できるように、シース2の内径より小さく設定されている。なお、前述した伝熱液4の量を少なくし、あるいは伝熱液4を用いずに、またシース2との間の熱抵抗を小さくするために、集熱用外装体11の外径とシース2の内径とはほぼ同一であってもよい。また、集熱用外装体11は、伝熱管6のうちシース2に挿入される下端側の部分の全体を覆う長さであってもよいが、シース2の下側の部分の長さより短く構成されていてもよい。そのような短い集熱用外装体11は、軸線方向に所定の間隔を空けて、伝熱管6に取り付けられる。これは、伝熱液4が各集熱用外装体11の内側と外側との間で流動することを可能にして伝熱液4を介した熱の伝達を効率化するためである。
【0041】
さらに、集熱用外装体11は、伝熱管6を挟み付けて伝熱管6に取り付けることができるように、複数(図4に示す例では2つ)の分割片13によって構成されている。これらの分割片13は、図5に示すように、集熱用外装体11をその中心軸線に沿って半割した形状をなしており、各分割片13は同一の形状・構成になっている。これら二つの分割片13のいずれか一方がこの発明における第一分割片に相当し、他方が第二分割片に相当している。
【0042】
集熱用外装体11を構成する分割片13について具体的に説明すると、各分割片13は、伝熱管6に取り付けるための保持片部14と、主として熱の伝達のための熱交換プレート部15と、その熱交換プレート部15を保持片部14に連結しているブリッジ部16とを有している。その保持片部14は図5に示すように、内面が伝熱管6の外周面に密着するように当該外周面と同一形状に形成され、断面形状が半円状となるように構成されている。言い換えれば、保持片部14は、内径が伝熱管6の外径と等しいパイプをその中心軸線に沿って縦割りした形状をなしている。これに対して熱交換プレート部15は、断面形状が保持片部14より大径でかつ前記シース2の内径より小さい半円状をなす長尺材であり、保持片部14より大径のパイプをその中心軸線に沿って縦割りした形状をなしている。
【0043】
同心円上に配置された上記の保持片部14と熱交換プレート部15とがブリッジ部16によって連結されている。このブリッジ部16は、保持片部14の外面と熱交換プレート部15の内面との間の空間部分に、その周方向に一定の間隔を空けて設けられた、軸線方向に長い板状の部分である。図4および図5に示す例では、四つのブリッジ部16が設けられている。
【0044】
それらのブリッジ部16のうち二つのブリッジ部16a,16aは、半円形状をなす保持片部14の開口端(周方向での端部)と半円形状をなす熱交換プレート部15の開口端(周方向での端部)とを連結した状態に設けられている。言い換えれば、保持片部14の外面と熱交換プレート部15の内面との間の空間部分が、周方向において、これらのブリッジ部16a,16aによって閉じられている。これら二つのブリッジ部16a,16aはこの発明における第一フランジ部および第二フランジ部に相当しており、保持片部14の中心から所定の同一半径の位置に、一方は貫通孔17が、他方はネジ孔18がそれぞれ形成されている。
【0045】
これらの貫通孔17およびネジ孔18は、分割片13同士を締結するためのものであり、保持片部14の中心軸線が一致するように一対の分割片13を伝熱管6を挟んで対向させて組み付けると、それぞれの分割片13における上記のブリッジ部16a,16aが互いに対向するとともに、互いに対向している一方のブリッジ部16aにおける貫通孔17が他方のブリッジ部16aにおけるネジ孔18に同一軸線上に一致する。その状態で貫通孔17に締結具としてのビス19を差し込むとともに相手側のネジ孔18にねじ込むことにより、互いに対向している各ブリッジ部16a,16aがビス19によって強固に締結され、一対の各分割片13が一体化され、伝熱管6に取り付けられる。なお、その場合、各分割片13と伝熱管6との間の熱の伝達を確実にするために、サーマルグリース(シリコングリース)や適宜のオイルコンパウンドなどの伝熱特性に優れた介在物を両者の間に配置してもよい。それらの伝熱特性に優れた介在物は、伝熱液4に浸されるから、非水溶性などの伝熱液4に溶解しない特性のものであることが好ましい。
【0046】
なお、保持片部14と熱交換プレート部15との間で各ブリッジ部16,16aによって区画された空間部分は、軸線方向に長くかつ開口しているものの、半径方向および周方向には閉じている。そこで、上述したビス19の挿入や締め付けの作業を可能にするために、熱交換プレート部15のうち、上記の貫通孔17の中心軸線を延長した箇所に操作孔20が穿孔されている。
【0047】
また、上記のように組み付けた一対の分割片13同士が半径方向にずれることを抑制するために、上記の第一フランジ部および第二フランジ部に相当する各ブリッジ部16a,16aの対向面に、互いに噛み合う凹凸部21が形成されている。この凹凸部21は一例として、小さいピッチの鋸歯状のものであってよく、各ブリッジ部16a,16aの対向面に軸線方向に長い凹部および凸部を分割片13の半径方向に並べて成形した部分である。
【0048】
さらに、互いに組み付けられる各分割片13における保持片部14の周長の合計は、伝熱管6の外周長と同じか、僅か短く設定されている。各保持片部14が伝熱管6を囲繞するように各分割片13同士を組み付けた場合に、各保持片部14が伝熱管6をある程度強固に締め付けて、集熱用外装体11を伝熱管6に確実に取り付けるためである。こうすることにより伝熱管6は保持片部14あるいは集熱用外装体11によって包み込んで保持された状態になり、伝熱管6が集熱用外装体11あるいはその保持片部14によって補強される。
【0049】
なお、各ブリッジ部16,16aと熱交換プレート部15とによって囲まれた空間部分は、図4図5に示す構成では、前述した操作孔20の部分を除いて、周方向に閉じている。これに対して伝熱液4が乱流もしくは撹拌状態であれば、シース2や集熱用外装体11との間の熱伝達率が大きくなる。したがって、図6に示すように、熱交換プレート部15のうち各ブリッジ部16,16a同士の間の部分に軸線方向に沿うスリットなどの開口部15aを形成することが好ましい。伝熱液4は温度差が生じることにより流動するので、開口部15aを介して集熱用外装体11の内外に亘って流動する。その結果、シース2や集熱用外装体11と伝熱液4との間の熱伝達率が向上し、それに伴ってコンクリート1から伝熱管6に対する伝熱量が多くなる。なお、開口部15aは、軸線方向に連続した形状であれば、集熱用外装体11を押出成形により作製する場合に開口部15aを同時に形成することができる。また、開口部15aは軸線方向に連続した形状に限らず、所定間隔毎に穿ったものであってもよく、その場合には、集熱用外装体11を押出成形した後に適宜の切削加工を施して形成すればよい。
【0050】
放熱用外装体12は伝熱管6のうちコンクリート1あるいはシース2から延び出ている部分(放熱部)22に取り付けられるものであって、基本的には、上述した集熱用外装体11と同様に構成されている。その一例を図7および図8に示してある。図7は、放熱用外装体12を説明するための部分的な斜視図であって伝熱管6を図2のVII-VII線で切断して矢印方向に見た図であり、図8は、放熱用外装体12の分割片23の一部を示す斜視図である。放熱用外装体12は、伝熱管6における放熱部22の全体もしくはその先端側の所定の長さの部分を覆う長さになっている。また、放熱用外装体12は、伝熱管6を挟み付けて伝熱管6に取り付けることができるように、複数(図7に示す例では2つ)の分割片23によって構成されている。これらの分割片23は、図8に示すように、放熱用外装体12をその中心軸線に沿って半割した形状をなしており、各分割片23は同一の形状・構成になっている。これら二つの分割片23のいずれか一方がこの発明における第一分割片に相当し、他方が第二分割片に相当している。
【0051】
つぎに、放熱用外装体12を構成する分割片23について具体的に説明すると、各分割片23は、伝熱管6に取り付けるための保持片部24と、主として放熱のための放熱プレート部25と、その放熱プレート部25を保持片部24に連結しているブリッジ部26とを有している。その保持片部24は前述した集熱用外装体11における保持片部14と同様の形状・構成であって、図8に示すように、内面が伝熱管6の外周面に密着するように当該外周面と同一形状に形成され、断面形状が半円状となるように構成されている。言い換えれば、保持片部24は、内径が伝熱管6の外径と等しいパイプをその中心軸線に沿って縦割りした形状をなしている。これに対して放熱プレート部25は、断面形状が保持片部24より大径の半円状をなす長尺材であり、保持片部24より大径のパイプをその中心軸線に沿って縦割りした形状をなしている。
【0052】
同心円上に配置された上記の保持片部24と放熱プレート部25とがブリッジ部26によって連結されている。このブリッジ部26は、保持片部24の外面と放熱プレート部25の内面との間の空間部分に、その周方向に一定の間隔を空けて設けられた、軸線方向に長い板状の部分である。図7および図8に示す例では、五つのブリッジ部26が設けられている。
【0053】
それらのブリッジ部26のうち二つのブリッジ部26a,26aは、半円形状をなす保持片部24の開口端(周方向での端部)と半円形状をなす放熱プレート部25の開口端(周方向での端部)とを連結した状態に設けられている。言い換えれば、保持片部24の外面と放熱プレート部25の内面との間の空間部分が、周方向において、これらのブリッジ部26a,26aによって閉じられている。これら二つのブリッジ部26a,26aはこの発明における第一フランジ部および第二フランジ部に相当しており、保持片部24の中心から所定の同一半径の位置に、一方は貫通孔27が、他方はネジ孔28がそれぞれ形成されている。
【0054】
これらの貫通孔27およびネジ孔28は、分割片23同士を締結するためのものであり、保持片部24の中心軸線が一致するように一対の分割片23を対向させて組み付けると、それぞれの分割片23における上記のブリッジ部26a,26aが互いに対向するとともに、互いに対向している一方のブリッジ部26aにおける貫通孔27が他方のブリッジ部26aにおけるネジ孔28に同一軸線上に一致する。その状態で貫通孔27に締結具としてのビス29を差し込むとともに相手側のネジ孔28にねじ込むことにより、互いに対向している各ブリッジ部26a,26aがビス29によって強固に締結され、一対の各分割片23が一体化され、伝熱管6に取り付けられる。なお、その場合、各分割片23と伝熱管6との間の伝熱を確実にするために、サーマルグリース(シリコングリース)や適宜のオイルコンパウンドなどの伝熱特性に優れた介在物を両者の間に配置してもよい。
【0055】
なお、保持片部24と放熱プレート部25との間で各ブリッジ部26a,26aによって区画された空間部分は、軸線方向に長くかつ開口しているものの、半径方向および周方向には閉じている。そこで、上述したビス29の挿入や締め付けの作業を可能にするために、放熱プレート部25やブリッジ部26のうち、上記の貫通孔27の中心軸線を延長した箇所に操作孔30が穿孔されている。
【0056】
また、上記のように組み付けた一対の分割片23同士が半径方向にずれることを抑制するために、上記の第一フランジ部および第二フランジ部に相当する各ブリッジ部26a,26aの対向面に、互いに噛み合う凹凸部31が形成されている。この凹凸部31は一例として、前述した集熱用外装体11における凹凸部21と同様であってよく、小さいピッチの鋸歯状のものであり、各ブリッジ部26a,26aの対向面に軸線方向に長い凹部および凸部を分割片23の半径方向に並べて成形した部分である。
【0057】
さらに、互いに組み付けられる各分割片23における保持片部24の周長の合計は、伝熱管6の外周長と同じか、僅か短く設定されている。各保持片部24が伝熱管6を囲繞するように各分割片23同士を組み付けた場合に、各保持片部24が伝熱管6をある程度強固に締め付けて、放熱用外装体12を伝熱管6に確実に取り付けるためである。こうすることにより伝熱管6は保持片部24あるいは放熱用外装体12によって包み込んで保持された状態になり、伝熱管6が放熱用外装体12あるいはその保持片部24によって補強される。
【0058】
さらに、放熱用外装体12は、放熱面積を大きくするために、周方向に等間隔(等ピッチ)に配置した多数の放熱フィン32を備えている。放熱フィン32は放熱プレート部25の外面に半径方向で外側に向けて放射状に設けた薄い板状の部分であり、放熱プレート部25と一体に形成されている。なお、前述した操作孔30は、放熱フィン32の間隔(ピッチ)が狭い場合には、その根元部分の一部を貫通して形成することがある。
【0059】
上述した集熱用外装体11における分割片13や放熱用外装体12における分割片23は、前述した貫通孔17,27やネジ孔18,28ならびに操作孔20,30などのいわゆる後加工の可能な箇所を除いて、その長手方向(軸線方向)のいずれの箇所でも断面形状が同一になっている。また、これらの分割片13,23は伝熱管6とコンクリート1や外気との間での伝熱を媒介するためのものであり、アルミニウムあるいはその合金を素材とした押出形材としたことにより、熱伝導率に優れ、併せて製造が容易でかつある程度の強度を有するものとすることができる。
【0060】
上述した集熱用外装体11における保持片部14および放熱用外装体12における保持片部24は、伝熱管6の外周面に密着して伝熱管6を補強しているが、それらの保持片部14,24同士すなわち集熱用外装体11と放熱用外装体12とは互いに離隔している。そこで、集熱用外装体11と放熱用外装体12とのいずれか一方に作用した荷重を他方にも伝達して、伝熱管6に掛かる荷重を低下させ、もって全体としての強度を高くするために、集熱用外装体11と放熱用外装体12とを一体化するように連結することが好ましい。そのための構造を図9を参照して説明すると、図9は集熱用外装体11と放熱用外装体12とを突き合わせてある箇所を示す部分的な断面図であり、集熱用外装体11と放熱用外装体12とは伝熱管6の外周に取り付けられた状態でそれぞれの軸線方向での端面が突き合わされている。その状態で、集熱用外装体11において位相が180度異なる(直径線上に位置する)一対のブリッジ部16と、放熱用外装体12において位相が180度異なる(直径線上に位置する)一対のブリッジ部26とは、周方向での位置(すなわち位相)が一致させられている。すなわち、それらのブリッジ部16,26は軸線方向に連続している一枚板のようになっている。これらの各ブリッジ部16,26に掛け渡して連結金具33,33が配置されており、ビス33aなどの締結具や接着剤などによって各ブリッジ部16,26に固着されている。
【0061】
また、放熱具3のうち集熱用外装体11を取り付けてある下側の部分をシース2に挿入する場合、その挿入深さを決める必要がある場合がある。すなわち、集熱用外装体11の全体を挿入せずに下側の限られた長さの部分をシース2に挿入して、それ以上の部分はシース2から上側に突き出させておく場合がある。このように挿入長さを調整するためには、例えば図10に示すストッパ34を用いればよい。
【0062】
図10に示すストッパ34は、集熱用外装体11の外周側に嵌合するボス部35に、シース2の内径より大きい外径のフランジ部36を設けたものであって、ボス部35に形成したネジ孔37にビス38を挿入し、その先端を集熱用外装体11の外周面に突き当てることにより、集熱用外装体11に固定するように構成されている。このストッパ34のフランジ部36がシース2の上端に引っ掛かり、それ以上には集熱用外装体11がシース2に挿入されないので、ストッパ34の集熱用外装体11に対する取り付け位置を適宜に調整することにより、シース2に対する集熱用外装体11の挿入長さを適宜に調整することができる。
【0063】
なお、ストッパ34は、それぞれ半円状をなすように二分割するとともにそれらの分割された部分で集熱用外装体11を挟み付けた状態でそれらの分割された部分同士をボルトとナット、あるいはビス、さらには適宜のクランプなどによって締結して集熱用外装体11に取り付けるように構成し、さらにはそれらの分割された部分をヒンジで連結した構成としてもよい。このような構成であれば、ストッパ34を集熱用外装体11の端部側から送り込む必要がないので、集熱用外装体11への取り付けが容易になる。また、上記のフランジ部36を設けた構成であれば、そのフランジ部36がシース2の上端開口部を閉じるので、コンクリート1の養生中に、砂利や砂などの異物がシース2の内部に侵入することを防止もしくは抑制することができる。
【0064】
なおまた、ストッパは、シース2より外径の大きいパイプであってもよく、集熱用外装体11の外周側にはめ込んで上端部を放熱用外装体12の下端部に突き当てて、いわゆるスペーサとしても機能するように構成したものであってもよい。さらに、ストッパは、要は、集熱用外装体11をシース2につなぎ止める機能があればよいので、上述した構成以外に、例えば集熱用外装体11の外周面とシース2の内周面との間に詰め込む楔構造のものであってもよい。その場合、楔構造のストッパは、集熱用外装体11およびシース2の全周に亘って設ければ、シース2の上端開口部を閉じることができるので、図10に示すストッパ34と同様に、シース2内への異物の侵入を防止もしくは抑制することができる。
【0065】
つぎにこの発明によるコンクリート1の冷却作用について説明する。コンクリート1を養生している間に水和反応に伴う熱(水和熱)が生じ、その熱の一部はコンクリート1を伝わってその表面から外部に放出される。また、コンクリート1の中心部の熱は表面から外部に放出されにくいが、コンクリート1に埋め込まれているシース2の内部の伝熱液4に伝達される。シース2の内部には伝熱管6の下端側の部分が挿入されているから、コンクリート1から伝熱液4に伝達された熱は更に伝熱管6に伝達される。
【0066】
その場合、伝熱管6には上述した集熱用外装体11が取り付けられて一体化されており、その集熱用外装体11は外径の大きい熱交換プレート部15を有しているから、伝熱管6にはその外周に密着している保持片部14だけでなく熱交換プレート部15を介して伝熱液4から熱が伝達される。すなわち、伝熱管6を構成しているヒートパイプが外径が小さいことにより熱の伝達に供される表面積が小さいとしても、伝熱液4から伝熱管6に対する実質的な伝熱面は、保持片部14の表面および熱交換プレート部15の表面の全体ならびにこれらを連結しているブリッジ部16の表面の全体であるから、実質的な熱伝達面積は、伝熱管6の表面積より遙かに拡大されている。したがって、伝熱管6を単体で伝熱液4の中に挿入した場合に比較して、多量の熱が伝熱液4から伝熱管6に対して伝達される。また、集熱用外装体11はアルミニウムなどの熱伝導率の高い金属製であるから、伝熱液4のみによる伝熱よりも多量の熱を伝熱管6に伝達し、コンクリート1の冷却を促進することができる。
【0067】
伝熱管6は前述したようにヒートパイプによって構成されているから、シース2側の部分に熱が伝達されるとともに外気中に延び出ている放熱部22で熱が放散されることによる温度差によって作動流体10の蒸発が生じる。液相の作動流体10はウイック9に浸透して伝熱管6の内面に接触しており、伝熱液4から伝達された熱によって蒸発する。その蒸気は、温度が低くて圧力が低くなっている放熱部22側に流動し、伝熱管6の放熱部22の内面に接触して熱が奪われて凝縮する。すなわち、作動流体10は液相から気相に変化することによる潜熱の形で熱を輸送するので、銅などの熱伝導率の高い金属よりも数十倍もしくは百数十倍の熱伝導率を示す。
【0068】
こうして放熱部22に運ばれた熱は、放熱部22に一体化するように取り付けてある放熱用外装体12に伝達され、その表面から外気中に放散させられる。なおその場合、図1に模式的に示してあるように、冷却ファン39によって放熱用外装体12に対して送風することにより、放熱用外装体12からの放熱を促進してもよい。
【0069】
放熱用外装体12は、前述したように、伝熱管6に密着して伝熱管6を包み込んでいる保持片部24とそれより外径の大きい放熱プレート部25とをブリッジ部26で連結して一体化した構成であって、その表面積すなわち放熱面積は、伝熱管6(放熱部22)の表面積より遙かに大きくなっている。すなわち、伝熱管6から放熱するための面積が、放熱用外装体12によって拡大されている。したがって、上述したこの発明に係る冷却構造によれば、コンクリート1の中央部もしくは中心部を、放熱が生じ易い外面に近い部分とほぼ同様に冷却することができる。そのため、養生中におけるコンクリート1の内部の温度差およびそれに伴う熱応力を小さくすることができ、その結果、コンクリート1の熱収縮亀裂あるいはひび割れを効果的に防止もしくは抑制することができる。
【0070】
このようにして養生中に、コンクリート1の表面からの自然放熱および中央部もしくは中心部からの伝熱管6を介した放熱を行い、養生の完了の後、伝熱管6をシース2から引き抜き、また伝熱液4をシース2から排出する。したがって、伝熱管6はシース2に対して抜き差しし、またコンクリート1の養生中はシース2に差し込んだ状態に放置されるが、その過程で伝熱管6に曲げや打撃力などの外力が掛かる場合があるが、伝熱管6は外装体7によって囲繞されて補強されているので、折損や破断などが生じることがない。言い換えれば、そのハンドリングに繊細な注意が特には要求されることがないので、ハンドリングが容易になる。また、伝熱管6は再使用することができるので、コンクリート1の養生に要するコストを低減でき、ひいてはマスコンクリートのコストの低廉化を図ることができる。
【0071】
なお、シース2からの伝熱液4の排出は、従来知られている適宜の方法で行えばよく、例えばポンプによって汲み出したり、伝熱液4より比重の大きい物質をシース2に投入して伝熱液4を押し出したりすればよい。
【0072】
上述した実施形態では、伝熱管6の下側の部分に集熱用外装体11を取り付け、それよりも上側の部分(放熱部22)に放熱用外装体12を取り付けてあるから、そのままでは、集熱用外装体11と放熱用外装体12との間に強度上の段差が生じる。したがって、これらの外装体11,12における各保持片部14,24を一体化させる連結金具33を設けた。このような連結金具33を必要とせずに強度の不足箇所を解消するためには、伝熱管6をその全長に亘って集熱用外装体11によって覆い、放熱部22においてその集熱用外装体11の外周に放熱用外装体を取り付ければよい。その一例を図11および図12を参照して説明する。
【0073】
図11は放熱部22で切断した場合のその切断面側から見た部分的な斜視図であり、また図12(a)はその放熱用外装体122を構成する分割片123の構造を説明するための部分的な斜視図、図12(b)はそのフランジ部の一部に形成した切欠部を示す図である。この実施形態における放熱用外装体122は、上述した実施形態における放熱用外装体12と同様に、互いに同一形状の一対の分割片123からなり、各分割片123は、保持片部124と、放熱プレート部125と、これら保持片部124と放熱プレート部125とを繋いでいるブリッジ部126とを備え、さらに一対の分割片123を一体に連結するフランジ部127を備えている。
【0074】
保持片部124は、伝熱管6に取り付けられている集熱用外装体11の外周面に密着するように当該外周面と同一形状に形成され、断面形状が半円状となるように構成されている。すなわち、この保持片部124は、伝熱管6に直接取り付ける前述した放熱用外装体12における保持片部14より半径が大きい断面半円形状になっている。その保持片部124の周方向での両端部(一対の保持片部124が互いに対向する開口端部)に半径方向で外側に延びかつ軸線方向に連続しているフランジ部127が形成されている。したがって、この実施形態では集熱用外装体11がこの発明の第一外装体に相当している。
【0075】
保持片部124の左右両側の開口端部に形成されているフランジ部127のうち一方のフランジ部127aは、当該開口端部から半径方向で外側に延びている幅の狭い平板状をなしており、このフランジ部127aには長手方向(保持片部124の軸線方向)に一定の間隔ごとに貫通孔128が形成されている。この貫通孔128はこの発明における締結具に相当するボルトBを差し通すためのものである。これに対して他方のフランジ部127bには狭隘開口溝129が形成されており、保持片部124の他方の開口端部から半径方向で外側に延び出た形状に形成されている。その狭隘開口溝129は、ボルトの頭部を回転不能に保持させるための部分であり、したがってその狭隘開口溝129の幅は、ボルトBの頭部の二面幅より大きくかつ直径方向で対向する角部の間隔(幅)より小さい寸法に設定されている。
【0076】
上記の狭隘開口溝129は長手方向(保持片部124の軸線方向)に連続したものとなる。このような構造では、複数のボルトBを狭隘開口溝129に保持させる場合、複数のボルトBを狭隘開口溝129の一方の端部から順に送り込まなければならないことが考えられる。そこで、ボルトBの挿入を容易にするためには、例えば図12(b)に示すように、狭隘開口溝129の下面側(組み付けられる相手側のフランジ部127aに対向する面側)に、ボルトBの軸部を挿入できる程度の幅の切欠部130を形成すればよい。
【0077】
なお、一対の分割片123を組み付ける場合、一方の分割片123における平板状のフランジ部127aと他方の分割片123におけるフランジ部127bとを対向させ、これらを締結具で一体に締結する。これらのフランジ部127a,127bのうちの一方の他方への対向面に所定の形状の凹部を形成し、相手方である他方の前記凹部に対向する面に当該凹部に嵌合する凸部を形成することが好ましい。このような構成によれば、一対の分割片123同士の相互の位置を容易に決めることができ、また各分割片123をその半径方向にずらす外力をそれらの凹部および凸部で受けることができるので、各分割片123の組み付け強度および放熱用外装体122の強度を向上させることができる。
【0078】
上記の保持片部124にブリッジ部126によって連結されて一体化されている放熱プレート部125は、図12(a)に示すように、周方向の長さが半円に満たない長さの円弧状になっている。すなわち、放熱プレート部125における一方の端部(上記のフランジ部127b側の端部)が、上記のフランジ部127bを半径方向で外側に延長した線に交わる箇所に位置しているのに対して、他方の端部は、平板状のフランジ部127aを半径方向で外側に延長した箇所から周方向(図12(a)の上側)に後退した箇所にとどまっている。したがって、平板状のフランジ部127aは、放熱プレート部125によって覆われておらずに外部から見える状態になる。すなわち、放熱プレート部125の端部がこのように周方向に後退していることにより、前述した実施形態における操作孔20,30と同様に作用する開口部131が形成されている。この開口部131からナットNを挿入して、フランジ部127aから突き出ているボルトBの軸部にはめ込んで締め付けることができる。
【0079】
なお、図11および図12に示す例では、放熱フィン132の高さは一律ではなく、高いフィンと低いフィンとが周方向に交互に並んで配列されている。これは、放熱フィン132同士の間における空気(外気)の流動を促進して放熱効率を高くするためである。
【0080】
ところで、上述した実施形態では、伝熱管6との間の熱の伝達量を多くし、また補強強度を高くするために、外装体7を保持片部14,24,124と熱交換プレ-ト部15,25,125との二重管構造もしくはこれに近い構造とした。その結果、伝熱管6をこれを補強している保持片部14,24,124が、その外周側に空間部をあけて熱交換プレート部15,25,125によって囲繞された構造になっている。集熱用外装体11においては、熱交換プレート部15に前述したスリットなどの開口部15aを形成して、伝熱液4が熱交換プレート部15の内側に積極的に入り込み、また外側との間で流動するようにしてある。これに対して放熱用外装体12,122においては、放熱フィン32,132を設けてあるなどのことにより、放熱プレート部25,125は円筒状であってその内側の空間部分の大半は、放熱用外装体12,122の半径方向で外側には閉じた形状になっている。このような半径方向で外側には閉じている空間部分の表面も外気に接触して放熱面として機能する。しかし、そのままでは、空気の流通が必ずしも積極的には生じないので、強制換気を行うことが好ましい。
【0081】
図13はその一例を示しており、放熱用外装体122の先端部(設置状態では上端部)に軸流ファン40が、ブラケット41を介して取り付けられている。その軸流ファン40は、モータによってブレードを回転させることにより回転軸線方向に送風するファンであり、屋外で使用することを考慮して防水タイプのファンであることが好ましい。また、その回転中心軸線と放熱用外装体122の中心軸線とはほぼ一致させ、かつブレードの回転円の外径は放熱用外装体122における放熱プレート部125の直径とほぼ等しいことが好ましい。したがって、軸流ファン40を回転させると、放熱用外装体122の中心軸線に沿った方向の空気流が生じ、その空気流は放熱用外装体122における保持片部124と放熱プレート部125とブリッジ部126とによって囲まれた空間部分の内部を軸線方向に流れ、当該空間部分を換気することになる。その結果、放熱プレート部125の内側の空間部分での放熱を促進して、コンクリート1の冷却効率を更に向上させることができる。なお、軸流ファン40は、図7図8に示す放熱用外装体12を用いた場合にも、その先端部に図13に示すのと同様に取り付けて強制換気を行うことができる。
【0082】
なお、この発明は上述した各実施形態に限定されないのであって、各外装体はいわゆる二分割した構成に限らず、要は、複数に分割されていて、各分割片を組み合わせる構成であってよい。また、保持片部は、伝熱管(ヒートパイプ)に密着させて伝熱管に取り付ける部分であるから、その形状は伝熱管の外形形状に倣ったものであればよい。これに対して放熱プレート部の形状は,放熱効率や製造の容易性さらにはハンドリングの容易性などを考慮して適宜の形状としてよい。さらに、この発明における各外装体は、実施形態で説明したように、アルミニウムやその合金からなる押出形材であることが好ましいが、この発明はこれに限るものではない。
【符号の説明】
【0083】
1 コンクリート
2 シース
3 放熱具
4 伝熱液
5 集熱部
6 伝熱管
7 伝熱用外装体
8 密閉パイプ(コンテナ)
9 ウイック
10 作動流体
11 集熱用外装体
12 放熱用外装体
13 分割片
14 保持片部
15 熱交換プレート部
16 ブリッジ部
16a ブリッジ部
17 貫通孔
18 ネジ孔
19 ビス
22 放熱部
23 分割片
24 保持片部
25 放熱プレート部
26 ブリッジ部
26a ブリッジ部
27 貫通孔
28 ネジ孔
29 ビス
32 放熱フィン
33 連結金具
34 ストッパ
39 冷却ファン
40 軸流ファン
122 放熱用外装体
123 分割片
124 保持片部
125 放熱プレート部
126 ブリッジ部
127 フランジ部
127a フランジ部
127b フランジ部
128 貫通孔
129 狭隘開口溝
132 放熱フィン
B ボルト
N ナット
図1
図2
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図11
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図13