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特許7349401方法および蓄電ユニットパラメータ決定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】方法および蓄電ユニットパラメータ決定装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 58/18 20190101AFI20230914BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20230914BHJP
   B60L 15/36 20060101ALI20230914BHJP
   B60L 9/18 20060101ALI20230914BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230914BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20230914BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
B60L58/18
B60L50/60
B60L15/36
B60L9/18 A
H02J7/00 302C
H01M10/48 P
H01M10/44 P
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020069338
(22)【出願日】2020-04-07
(65)【公開番号】P2021166445
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】316008134
【氏名又は名称】京阪電気鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003115
【氏名又は名称】東洋電機製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(72)【発明者】
【氏名】田口 義晃
(72)【発明者】
【氏名】門脇 悟志
(72)【発明者】
【氏名】小笠 正道
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 博文
(72)【発明者】
【氏名】吉原 博
(72)【発明者】
【氏名】大久保 孔靖
(72)【発明者】
【氏名】松浦 優也
(72)【発明者】
【氏名】長崎 悠平
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/229863(WO,A1)
【文献】特開2013-102657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 58/18
B60L 50/60
B60L 15/36
B60L 9/18
H02J 7/00
H01M 10/48
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数車両で編成される列車において引き通し線に接続されて分散配置された負荷および蓄電ユニットのうちの前記蓄電ユニットそれぞれの放電特性を定める制御パラメータを決定する方法であって、
前記負荷および前記蓄電ユニットの配置車両と、前記引き通し線の車両間の配線抵抗と、異なる負荷条件毎の前記負荷それぞれの負荷電流とを設定することと、
前記配置車両に基づく等価回路と、前記配線抵抗と、前記負荷電流とに基づいて、前記異なる負荷条件において前記蓄電ユニットそれぞれの放電電流を均衡させる前記制御パラメータを決定することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記決定することは、
前記負荷条件毎に、当該負荷条件での前記負荷電流に基づいて、前記蓄電ユニット1台当たりの目標放電電流を算出することと、
前記負荷条件毎に、当該負荷条件での前記負荷電流および前記配線抵抗に基づいて前記引き通し線の車両間の電圧降下を算出することと、
所与の対象蓄電ユニット群に係る部分等価回路と、前記負荷条件毎の前記目標放電電流および前記電圧降下と、に基づいて、当該対象蓄電ユニット群に含まれる各蓄電ユニットの前記制御パラメータの関係を算出することと、
を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記関係を算出することは、前記対象蓄電ユニット群を変えることで、全ての前記蓄電ユニット間の前記制御パラメータの関係を算出すること、を含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記対象蓄電ユニット群は、分散配置された前記蓄電ユニットのうち、隣り合う2つの前記蓄電ユニットである、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記制御パラメータは、前記蓄電ユニットの無負荷送り出し電圧、および、等価内部抵抗、である、
請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
複数車両で編成される列車において引き通し線に接続されて分散配置された負荷および蓄電ユニットのうちの前記蓄電ユニットそれぞれの放電特性を定める制御パラメータを決定する蓄電ユニットパラメータ決定装置であって、
前記負荷および前記蓄電ユニットの配置車両と、前記引き通し線の車両間の配線抵抗と、異なる負荷条件毎の前記負荷それぞれの負荷電流とを設定する設定部と、
前記配置車両に基づく等価回路と、前記配線抵抗と、前記負荷電流とに基づいて、前記異なる負荷条件において前記蓄電ユニットそれぞれの放電電流を均衡させる前記制御パラメータを決定する決定部と、
を備えた蓄電ユニットパラメータ決定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車に配置される蓄電ユニットの放電特性を定める制御パラメータを決定する方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電ユニットを電気車に搭載した蓄電池電気車の開発が進められている。蓄電池電気車は、電化区間では、架線電力をもとに主電動機を駆動して走行しつつ架線電力および回生電力で蓄電ユニットを充電し、非電化区間では、蓄電ユニットの蓄電電力をもとに走行することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-163365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開発当初は、1~2車両程度の短い編成の列車を対象とし、1つの蓄電ユニットを搭載して列車全体に給電する構成の蓄電池電気車の開発が行われていた。現在では、比較的長い編成の列車を対象とし、複数の蓄電ユニットを搭載した蓄電池電気車の開発が進められている。しかしながら、列車に分散配置した複数の蓄電ユニットを引き通し線で接続する場合、車両間の引き通し線の配線抵抗を主要因として各蓄電ユニットの出力電流に不均衡が生じ得る。蓄電ユニットの出力電流に不均衡が生じると、一部の蓄電ユニットが過電流となって劣化がすすみ、各蓄電ユニットの劣化の程度や寿命に違いが生じ得る。保守の観点からすると、列車単位で一斉交換できるように、全ての蓄電ユニットの劣化の程度や寿命がほぼ等しくなることが望ましい。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の蓄電ユニットが搭載された列車において、各蓄電ユニットの出力電流の不均衡を解消すること、である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の発明は、
複数車両で編成される列車において引き通し線に接続されて分散配置された負荷および蓄電ユニットのうちの前記蓄電ユニットそれぞれの放電特性を定める制御パラメータを決定する方法であって、
前記負荷および前記蓄電ユニットの配置車両と、前記引き通し線の車両間の配線抵抗と、異なる負荷条件毎の前記負荷それぞれの負荷電流とを設定することと、
前記配置車両に基づく等価回路と、前記配線抵抗と、前記負荷電流とに基づいて、前記異なる負荷条件において前記蓄電ユニットそれぞれの放電電流を均衡させる前記制御パラメータを決定することと、
を含む方法である。
【0007】
他の発明として、
複数車両で編成される列車において引き通し線に接続されて分散配置された負荷および蓄電ユニットのうちの前記蓄電ユニットそれぞれの放電特性を定める制御パラメータを決定する蓄電ユニットパラメータ決定装置であって、
前記負荷および前記蓄電ユニットの配置車両と、前記引き通し線の車両間の配線抵抗と、異なる負荷条件毎の前記負荷それぞれの負荷電流とを設定する設定部と、
前記配置車両に基づく等価回路と、前記配線抵抗と、前記負荷電流とに基づいて、前記異なる負荷条件において前記蓄電ユニットそれぞれの放電電流を均衡させる前記制御パラメータを決定する決定部と、
を備えた蓄電ユニットパラメータ決定装置を構成してもよい。
【0008】
第1の発明によれば、複数の蓄電ユニットが搭載された列車において、各蓄電ユニットの出力電流の不均衡を解消することができる。つまり、負荷および蓄電ユニットの配置車両と、車両間の引き通し線の配線抵抗と、異なる負荷条件毎の負荷電流とから、異なる負荷条件において蓄電ユニットそれぞれの放電電流を均衡させるような制御パラメータが決定される。そして、このように決定された制御パラメータにより蓄電ユニットを制御することで、列車に分散配置された各蓄電ユニットの放電電流の不均衡を解消することができる。蓄電ユニットの放電特性は、放電電流の増加に伴い放電電圧が直線的に減少する、垂下特性を有するように定められる。列車の走行に応じて負荷は変動するが、異なる負荷条件において各蓄電ユニットの出力電流が均衡するように制御パラメータを決定することで、負荷条件以外の負荷であっても、蓄電ユニットそれぞれの放電電流をほぼ均衡させることが可能である。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、
前記決定することは、
前記負荷条件毎に、当該負荷条件での前記負荷電流に基づいて、前記蓄電ユニット1台当たりの目標放電電流を算出することと、
前記負荷条件毎に、当該負荷条件での前記負荷電流および前記配線抵抗に基づいて前記引き通し線の車両間の電圧降下を算出することと、
所与の対象蓄電ユニット群に係る部分等価回路と、前記負荷条件毎の前記目標放電電流および前記電圧降下と、に基づいて、当該対象蓄電ユニット群に含まれる各蓄電ユニットの前記制御パラメータの関係を算出することと、
を含む、
方法である。
【0010】
第2の発明によれば、負荷条件毎に蓄電ユニット1台当たりの目標放電電流を算出し、その負荷条件毎の目標放電電流に基づいて対象蓄電ユニット群の各蓄電ユニットの制御パラメータの関係を算出することで、列車に分散配置される複数の蓄電ユニットそれぞれの制御パラメータが決定される。つまり、列車の走行に応じて負荷が変動するため、負荷条件毎に、蓄電ユニットそれぞれの放電電流が均衡するように蓄電ユニット1台当たりの目標放電電流を算出することができる。そして、負荷条件毎に、蓄電ユニット1台当たりの目標放電電流に応じて等価回路の電流分布が決まるので、その等価回路の電流分布を満たすように、蓄電ユニットの制御パラメータの関係を算出することができる。
【0011】
第3の発明は、第2の発明において、
前記関係を算出することは、前記対象蓄電ユニット群を変えることで、全ての前記蓄電ユニット間の前記制御パラメータの関係を算出すること、を含む、
方法である。
【0012】
第3の発明によれば、算出される制御パラメータの関係は、対象蓄電ユニット群の各蓄電ユニット間での相対的な関係であるので、対象蓄電ユニット群を変えることで、全ての蓄電ユニット間の制御パラメータの関係を算出し、算出した全ての蓄電ユニット間の制御パラメータの関係に従って、各蓄電ユニットの制御パラメータを決定することができる。
【0013】
第4の発明は、第3の発明において、
前記対象蓄電ユニット群は、分散配置された前記蓄電ユニットのうち、隣り合う2つの前記蓄電ユニットである、
方法である。
【0014】
第4の発明によれば、対象蓄電ユニット群として隣り合う2つの蓄電ユニットそれぞれの、制御パラメータの関係を算出することができる。
【0015】
第5の発明は、第1~第4の何れかの発明において、
前記制御パラメータは、前記蓄電ユニットの無負荷送り出し電圧、および、等価内部抵抗、である、
方法である。
【0016】
第5の発明によれば、蓄電ユニットの放電特性を定める制御パラメータとして、蓄電ユニットの等価回路を表す無負荷送り出し電圧および等価内部抵抗が決定される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】蓄電ユニットの制御パラメータの決定対象とする列車の構成例。
図2】蓄電ユニットの構成図。
図3】蓄電ユニットの電力変換動作の説明図。
図4】列車の等価回路の一例。
図5】2つの蓄電ユニット間の制御パラメータの関係式の導出の説明図。
図6】蓄電ユニットの制御パラメータの初期値の説明図。
図7】蓄電ユニットパラメータ決定装置の機能構成図。
図8】蓄電ユニットの制御パラメータの決定の具体例。
図9】蓄電ユニットの制御パラメータの決定の具体例。
図10】蓄電ユニットの制御パラメータの決定の具体例。
図11】蓄電ユニットの制御パラメータの決定の具体例。
図12】蓄電ユニットの制御パラメータの決定の具体例。
図13】蓄電ユニットの制御パラメータの決定の具体例。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態によって本発明が限定されるものではなく、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限定されるものでもない。また、図面の記載において、同一要素には同一符号を付す。
【0019】
[対象となる列車]
図1は、本実施形態の蓄電ユニットパラメータ決定装置によって制御パラメータが決定される対象となる列車の一例である。図1に示すように、列車10は複数の車両12で編成され、複数の蓄電ユニット20が分散配置された蓄電池電気車である。各車両12には、主電動機を制御するインバータ装置や補機用のSIV(静止形インバータ:Static InVerter)などの負荷16が搭載されている。なお、列車10は、パンタグラフ等の集電装置を備えるいわゆるハイブリッド電気車としてもよいが、本実施形態では、集電装置による集電電力は用いず、蓄電ユニット20の出力電力(放電電力)のみが負荷16に供給されるものとする。図1は、4両編成の列車10の例であり、1両目の車両(先頭車両)および3両目の車両に蓄電ユニット20が配置されている。つまり、列車10には2台の蓄電ユニット20が分散配置されている。また、列車10には、列車全体を引き通す電力の引き通し線14が設けられており、この引き通し線14に、蓄電ユニット20および負荷16が並列接続されている。
【0020】
図2は、蓄電ユニット20の構成図である。蓄電ユニット20は、蓄電媒体22および電力変換装置24を有する。蓄電媒体22は、例えば、リチウムイオンバッテリや鉛蓄電池、電気二重層キャパシタ(EDLC)、リチウムイオンキャパシタ、スーパーキャパシタなどで構成することができる。電力変換装置24は、例えば、双方向(蓄電媒体22を充電する充電方向および放電する放電方向)の電力変換動作が可能な昇降圧チョッパなどであり、その電力変換動作を制御する制御部26や、出力電流ISおよび出力電圧VSを検出するセンサー等を有する。
【0021】
図3は、制御部26による電力変換動作の制御の概要図である。図3は、横軸を蓄電ユニット20の出力電流IS(放電時を正値とする)、縦軸を蓄電ユニット20の出力電圧VSとして、出力電流ISと出力電圧VSとの関係である充放電特性を示している。制御部26は、出力電流ISの増加とともに、出力電圧VSが直線的に低下する垂下特性を有するように、電力変換装置24の電力変換動作を制御する。この充放電特性における出力電流ISがゼロのときの出力電圧VSに相当する無負荷送り出し電圧ES、および、充放電特性を表す直線の傾きに相当する等価内部抵抗RSが、蓄電ユニット20の充放電特性を定める制御パラメータである。換言すると、制御部26は、無負荷送り出し電圧ESおよび等価内部抵抗RSを制御用の設定値(制御パラメータ)として用いて、電力変換装置24の動作を制御する。蓄電ユニットパラメータ決定装置は、同じ列車10に搭載されている蓄電ユニット20それぞれの出力電流ISを均衡させるように、各蓄電ユニット20の制御パラメータを決定する。
【0022】
[制御パラメータの決定方法]
蓄電ユニットパラメータ決定装置による蓄電ユニット20の制御パラメータの決定方法を説明する。前提として、対象とする列車10の編成が決まり、蓄電ユニット20および負荷16がどの車両に配置されているかといった蓄電ユニット20および負荷16の配置車両が決まっているとする。
【0023】
図4は、蓄電ユニット20および負荷16の配置車両に基づく列車10の電気的な等価回路の一例であり、図1に例示した列車10についての等価回路である。図4に示すように、列車10の車両配置に基づく等価回路は、各車両12の蓄電ユニット20および負荷16が、車両間の引き通し線14の配線抵抗Rを介して並列接続された回路となる。蓄電ユニット20は、制御パラメータである無負荷送り出し電圧ES、および、等価内部抵抗RSの直列回路で表される。j両目(j=1,・・,N:Nは編成両数)の車両に配置されている蓄電ユニット20の制御パラメータを、添え字jを用いて、無負荷送り出し電圧ES、および、等価内部抵抗RS、と表記する。負荷16は、負荷電流ILの定電流源で表される。j両目の車両に配置されている負荷16の負荷電流ILを、添え字jを用いて、負荷電流IL、と表記する。
【0024】
蓄電ユニット20の制御パラメータの決定にあたり、初期条件として、車両間の引き通し線14の配線抵抗R、および、異なる負荷条件それぞれでの各負荷16の負荷電流IL、が与えられる。配線抵抗Rは、引き通し線14の種類や配線長、車両間連結を伴う場合には連結回路の設計値、等に応じて定まる値である。隣り合うj両目の車両と(j+1)両目の車両との間の配線抵抗Rを、添え字jを用いて、配線抵抗Rj(j+1)、と表記する。
【0025】
負荷16は列車10の走行に応じて変動し、負荷16の変動によって負荷電流ILも変動する。本実施形態では、負荷条件を、軽負荷条件および重負荷条件の2つとする。軽負荷条件は、列車全体として負荷が最も軽いときの負荷条件であり、例えば、列車10が停止して主電動機が停止しているときである。重負荷条件は、列車全体としての負荷が最も重いときの負荷条件であり、例えば、列車10の最大力行時である。軽負荷条件での各負荷16の負荷電流ILを、添え字αを用いて、負荷電流ILjα、と表記し、重負荷条件での各負荷16の負荷電流ILを、添え字βを用いて、負荷電流ILjβ、と表記する。蓄電ユニットパラメータ決定装置は、負荷電流ILが異なる負荷条件の何れにおいても各蓄電ユニット20の出力電流ISが均衡するように、各蓄電ユニット20の制御パラメータを決定する。
【0026】
具体的な決定方法としては、先ず、負荷条件毎に、当該負荷条件での負荷電流ILに基づいて、蓄電ユニット1台当たりの目標放電電流を算出する。具体的には、各蓄電ユニット20の出力電流ISを均衡させるために、目標放電電流として、式(1)に示すように、負荷電流ILの総和を蓄電ユニット20の台数Nで平均した目標出力電流ISaveを算出する。この式(1)は、列車10の等価回路において、共通のグランド線GNDを1つの接続点とみなしてキルヒホッフの電流則を適用することで導くことができる。すなわち、負荷条件毎に各負荷16の負荷電流ILが異なるから、軽負荷条件での負荷電流ILjαを平均した目標出力電流ISaveαと、重負荷条件での負荷電流ILjβを平均した目標出力電流ISaveβとを算出する。
【数1】
【0027】
このように、負荷条件それぞれについて、蓄電ユニット20の目標出力電流ISaveα,ISsaveβが決まると、等価回路全体での電流分布が決まることから、車両間の引き通し線14の配線抵抗Rによる電圧降下が求められることになる。
【0028】
次いで、列車10の等価回路において、隣り合う2つの蓄電ユニット20に係る部分等価回路にキルヒホッフの電圧則を適用することで、次式(2)が導ける。具体的には、図5に示すように、隣り合う2つの蓄電ユニット20として、j両目の車両12jに配置されている蓄電ユニット20jと、k両目の車両12kに配置されている蓄電ユニット20kとを含む部分等価回路である閉ループLPを定め、この閉ループLPにキルヒホッフの電圧則を適用することで、次式(2)が導かれる。すなわち、負荷条件毎に等価回路の電流分布が異なるから、軽負荷条件での式(2a)と、重負荷条件での式(2b)とが導かれる。
【数2】
【0029】
式(2)において、左辺は、蓄電ユニット20j,20kそれぞれの出力電流IS,ISが当該負荷条件での目標出力電流ISaveα,ISaveβであるときの蓄電ユニット20j,20kの出力電圧VS,VSの差分を表し、右辺は、j両目の車両12jとk両目の車両12kとの間の引き通し線14の配線抵抗Rにおける電圧降下の総和を表している。
【0030】
蓄電ユニット20j,20kの制御パラメータである無負荷送り出し電圧ES,ESの差、および、等価内部抵抗RS,RSの差を、式(3)のように置き換え、また、負荷条件それぞれでの車両12j,12k間の引き通し線14の配線抵抗Rの電圧降下の総和(式(2)の右辺に相当)を車両間電圧降下djk、と表記することで、式(2)は、式(4)のように表記することができる。
【数3】
【数4】
【0031】
そして、式(4)を連立方程式とすることで、軽負荷条件および重負荷条件の両方の負荷条件を満たす蓄電ユニット20j,20kそれぞれの制御パラメータの関係を表す次式(5)が求められる。
【数5】
【0032】
つまり、隣り合う2つの蓄電ユニット20j,20kそれぞれの制御パラメータの関係として、無負荷送り出し電圧ES,ESの差ejk、および、等価内部抵抗RS,RSの差rjkが、異なる負荷条件(軽負荷条件および重負荷条件)それぞれでの、目標出力電流ISaveα,ISaveβ、および、車両12j,12k間の配線抵抗Rによる車両間電圧降下djkα,djkβ、によって表されることを示している。従って、式(5)を用いることで、何れか1台の蓄電ユニット20の制御パラメータES,RSが与えられると、それに隣り合う蓄電ユニット20の制御パラメータES,RSが決まる。これを順次繰り返すことで、全ての蓄電ユニット20の制御パラメータES,RSを決定することができる。
【0033】
なお、隣り合う蓄電ユニット20の制御パラメータES,RSは、相対的な関係が求まるに留まる。任意の蓄電ユニット20について制御パラメータES,RSの値(初期値)を与えることで、他の蓄電ユニットの制御パラメータES,RSが確定する。制御パラメータES,ERの初期値を与える1台目の蓄電ユニット20は、何れでもよい。また、1台目の蓄電ユニット20の制御パラメータES,RSは任意である。ただし、蓄電ユニット20の出力電圧Vの変動範囲が、負荷16の許容電圧範囲となるように与えるものとする。具体的には、例えば、図6に示すように、蓄電ユニット20の充放電特性において、重負荷のときの出力電流(放電電流となる)ISに対応する最大出力電圧と、回生最大時の出力電流(充電電流となる)ISに対応する最小出力電圧との範囲である出力電圧Vの変動範囲が、負荷16の許容電圧範囲に収まるように、充放電特性を表す直線の傾きである等価内部抵抗RSを定める。また、無負荷送り出し電圧ESについては、負荷16の定格入力電圧付近となるように定める。
【0034】
制御パラメータES,ERの初期値を与える1台目の蓄電ユニット20の選択方法としては、次の方法が考えられる。すなわち、列車の最も末端寄り(先頭車両寄り、或いは、最後尾車両寄り)の蓄電ユニット20を、初期値を与える蓄電ユニット20とする方法が1つである。この場合、予め初期値を与えておき、先頭車両寄りから順番に隣り合う蓄電ユニット20の制御パラメータES,RSを決定していくのであれば、制御パラメータES,RSの相対値を算出する課程で、順番に各蓄電ユニット20の制御パラメータES,RSの値を算定することができる。
【0035】
他の方法として、全ての蓄電ユニット20の制御パラメータES,RSの相対値を算出した後に、制御パラメータES,RSの中央値或いは中央値近傍を取る蓄電ユニット20を、制御パラメータES,ERの初期値を与える1台目の蓄電ユニット20として選択する方法が考えられる。この場合、制御パラメータES,RSの初期値よりも低い値が設定される蓄電ユニット20もあれば、高い値が設定される蓄電ユニット20もあるが、制御パラメータES,RSのバラツキの中央値が初期値となる。
【0036】
また、上述した初期値は、予め設定しておくことができる。その場合、上述した2つの選択方法の何れの場合であっても、全ての蓄電ユニット20の制御パラメータES,RSの相対値を算出することをもって、全ての蓄電ユニット20の制御パラメータES,RSの値を算定することとなる。
【0037】
[機能構成]
図7は、蓄電ユニットパラメータ決定装置1の機能構成例である。図7に示すように、蓄電ユニットパラメータ決定装置1は、操作部102と、表示部104と、音出力部106と、通信部108と、処理部200と、記憶部300とを備えて構成され、一種のコンピュータシステムとして実現される。なお、蓄電ユニットパラメータ決定装置1は、1台のコンピュータで実現してもよいし、複数台のコンピュータを接続して構成することとしてもよい。
【0038】
操作部102は、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、各種スイッチ等の入力装置で実現され、なされた操作に応じた操作信号を処理部200に出力する。表示部104は、例えばフラットパネルディスプレイやタッチパネル等の表示装置で実現され、処理部200からの表示信号に基づく各種表示を行う。音出力部106は、例えばスピーカ等の音出力装置で実現され、処理部200からの音信号に基づく各種音出力を行う。通信部108は、例えば無線通信モジュールやルータ、モデム、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等で実現される通信装置であり、所与の通信ネットワークに接続して外部装置とのデータ通信を行う。
【0039】
処理部200は、CPU(Central Processing Unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の演算装置や演算回路で実現されるプロセッサーであり、記憶部300に記憶されたプログラムやデータ、操作部102や通信部108からの入力データ等に基づいて、蓄電ユニットパラメータ決定装置1の全体制御を行う。また、処理部200は、機能的な処理ブロックとして、設定部202と、決定部204とを有する。処理部200が有するこれらの各機能部は、処理部200がプログラムを実行することでソフトウェア的に実現することも、専用の演算回路で実現することも可能である。本実施形態では、前者のソフトウェア的に実現することとして説明する。
【0040】
設定部202は、負荷16および蓄電ユニット20の配置車両と、引き通し線14の車両間の配線抵抗Rと、異なる負荷条件毎の負荷16それぞれの負荷電流ILとを設定する。この設定は、例えば、操作部102を介した操作入力や、通信部108を介した外部入力によって行うことができる。設定部202による設定内容は、初期設定情報310として記憶される。
【0041】
決定部204は、設定部202により設定された、配置車両に基づく等価回路と、配線抵抗Rと、負荷条件毎の負荷電流ILとに基づいて、異なる負荷条件において蓄電ユニット20それぞれの放電電流を均衡させる制御パラメータを決定する。制御パラメータは、蓄電ユニット20の無負荷送り出し電圧ES、および、等価内部抵抗RS、である(図2図3参照)。
【0042】
具体的には、負荷条件毎に、当該負荷条件での負荷電流ILに基づいて、蓄電ユニット1台当たりの目標放電電流として、負荷電流IL(ILα,ILβ)の総和を蓄電ユニット20の台数Nsで平均した目標出力電流ISave(ISaveα,ISaveβ)を算出する。目標出力電流ISaveは、式(1)で与えられる。蓄電ユニットの目標出力電流ISave(ISaveα,ISaveβ)が決まることで、引き通し線14の配線抵抗Rを含む等価回路全体の電流分布が決まり、負荷条件毎に、当該負荷条件での負荷電流ILおよび配線抵抗Rに基づいて引き通し線14の車両間の電圧降下を算出することができる。
【0043】
次いで、所与の対象蓄電ユニット群に係る部分等価回路と、負荷条件毎の目標放電電流および電圧降下とに基づいて、当該対象蓄電ユニット群に含まれる各蓄電ユニットの制御パラメータの関係を算出することで、蓄電ユニットそれぞれの制御パラメータを決定する。すなわち、隣り合う2つの蓄電ユニット20j,20kを対象蓄電ユニット群とし、2つの蓄電ユニット20j,20kそれぞれの制御パラメータの関係を表す式(5)から、2つの蓄電ユニット20j,20kそれぞれの制御パラメータである無負荷送り出し電圧ES,ES、および、等価内部抵抗RS,RSを算出する。また、対象蓄電ユニット群とする隣り合う2つの蓄電ユニット20の組み合わせを変えることで、全ての蓄電ユニット20間の制御パラメータの相対的な関係を算出し、これにより、全ての蓄電ユニット20の制御パラメータES,RSを算出することができる。決定部204が決定した各蓄電ユニット20の制御パラメータは、制御パラメータ情報320として記憶される。
【0044】
記憶部300は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のIC(Integrated Circuit)メモリやハードディスク等の記憶装置で実現され、処理部200が蓄電ユニットパラメータ決定装置1を統合的に制御するためのプログラムやデータ等を記憶しているとともに、処理部200の作業領域として用いられ、処理部200が実行した演算結果や、操作部102や通信部108からの入力データ等が一時的に格納される。本実施形態では、記憶部300には、蓄電ユニットパラメータ決定プログラム302と、初期設定情報310と、制御パラメータ情報320とが記憶される。
【0045】
蓄電ユニットパラメータ決定プログラム302は、処理部200が読み出して実行することで、上述の決定方法により、複数車両で編成される列車において引き通し線に接続されて分散配置された負荷および蓄電ユニットのうちの蓄電ユニットそれぞれの放電特性を定める制御パラメータを決定する処理を実現するためのプログラムである。
【0046】
[決定結果]
次に、本実施形態の蓄電ユニット20の制御パラメータの決定方法による3つの具体例を示す。何れの具体例も、図1に例示した構成の列車を対象としている。つまり、4両編成の列車において、2つの蓄電ユニット20が、1両目の車両と3両目の車両とに分散配置されている。なお、簡単のため、2両目の車両と4両目の車両とに負荷16が配置され、1両目の車両と3両目の車両には負荷16は配置されていないとした。また、蓄電ユニット20の出力電流ISに不均衡が生じる比較例を示し、この比較例に対して、本実施形態の決定方法により蓄電ユニット20の制御パラメータを決定している。
【0047】
図8図9は、1つ目の具体例である。図8は、比較例である。この比較例では、蓄電ユニット20それぞれの制御パラメータ(無負荷送り出し電圧ES,ES、等価内部抵抗RS、RS)が同じであり、車両間の配線抵抗R(R12,R23,R34)、および、負荷電流IL(IL,IL)が均等に分布している。しかし、蓄電ユニット20の出力電流IS,ISが異なっており、出力電流ISに不均衡が生じている。
【0048】
図9は、図8の比較例に対して、本実施形態の決定方法により蓄電ユニットの制御パラメータを決定した結果である。制御パラメータの決定にあたり、負荷条件は、負荷16が設置された2両目および4両目の車両の負荷電流IL,ILをともに450Aとした重負荷条件、および、負荷16が設置された2両目および4両目車両の負荷電流IL,ILをともに30Aとした軽負荷条件、とした。
【0049】
図9(1)は、重負荷条件での各部の電圧電流分布を示し、図9(2)は、軽負荷条件での各部の電圧電流分布を示している。図9の決定結果を図8の比較例と比較すると、2つの蓄電ユニット20それぞれの制御パラメータ(無負荷送り出し電圧ES,ES、等価内部抵抗RS、RS)のうち、3両目の蓄電ユニット20の等価内部抵抗RSが比較例とは異なる値に決定されており、それ以外の値は同じである。これにより、重負荷条件(図9(1))、および、軽負荷条件(図9(2))の何れの負荷条件においても、蓄電ユニット20それぞれの出力電流IS,ISが等しくなり、出力電流ISが均衡している。
【0050】
図10図11は、2つ目の具体例である。図10は、上述の1つ目の比較例(図9参照)において、車両間の配線抵抗が異なるようにした比較例である。すなわち、蓄電ユニット20それぞれの制御パラメータ(無負荷送り出し電圧ES,ES、等価内部抵抗RS、RS)が同じであり、負荷電流IL(IL,IL)は均等に分布しているが、車両間の配線抵抗R(R12,R23,R34)が異なっている。その結果、蓄電ユニット20の出力電流IS,ISが異なっており、出力電流ISに不均衡が生じている。また、この出力電流IS,ISの不均衡は、上述の1つ目の比較例(図9参照)よりも増大している。
【0051】
図11は、図10の比較例に対して、本実施形態の決定方法により蓄電ユニットの制御パラメータを決定した結果である。制御パラメータの決定にあたり、負荷条件は、上述の1つ目の具体例と同様に、負荷16が設置された2両目および4両目の車両の負荷電流IL,ILをともに450Aとした重負荷条件、および、負荷16が設置された2両目および4両目車両の負荷電流IL,ILをともに30Aとした軽負荷条件、とした。
【0052】
図11(1)は、重負荷条件での各部の電圧電流分布を示し、図11(2)は、軽負荷条件での各部の電圧電流分布を示している。図11の決定結果を図10の比較例と比較すると、2つの蓄電ユニット20それぞれの制御パラメータ(無負荷送り出し電圧ES,ES、等価内部抵抗RS、RS)のうち、3両目の蓄電ユニット20の等価内部抵抗RSが比較例とは異なる値に決定されており、それ以外の値は同じである。これにより、重負荷条件(図11(1))、および、軽負荷条件(図11(2))の何れの負荷条件においても、蓄電ユニット20それぞれの出力電流IS,ISが等しくなり、出力電流ISが均衡している。
【0053】
図12図13は、3つ目の具体例である。図12(a)は、上述の1つ目の比較例(図9参照)において、負荷が異なるようにした比較例である。すなわち、蓄電ユニット20それぞれの制御パラメータ(無負荷送り出し電圧ES,ES、等価内部抵抗RS、RS)が同じであり、車両間の配線抵抗R(R12,R23,R34)は均等に分布しているが、負荷電流IL(IL,IL)が異なっている。その結果、蓄電ユニット20の出力電流IS,ISが異なっており、出力電流ISに不均衡が生じている。また、この出力電流IS,ISの不均衡は、上述の1つ目の比較例(図9参照)よりも増大している、
【0054】
図13は、図12の比較例に対して、本実施形態の決定方法により蓄電ユニットの制御パラメータを決定した結果である。制御パラメータの決定にあたり、負荷条件は、上述の1つ目および2つ目の具体例とは異なり、負荷16が設置された2両目および4両目の車両の負荷電流IL,ILをそれぞれ300A,600Aとした重負荷条件、および、負荷16が設置された2両目および4両目車両の負荷電流IL,ILをともに30Aとした軽負荷条件、とした。
【0055】
図13(1)は、重負荷条件での各部の電圧電流分布を示し、図13(2)は、軽負荷条件での各部の電圧電流分布を示している。図13の決定結果を図12の比較例と比較すると、2つの蓄電ユニット20それぞれの制御パラメータ(無負荷送り出し電圧ES,ES、等価内部抵抗RS、RS)のうち、3両目の蓄電ユニット20の等価内部抵抗RSが比較例とは異なる値に決定されており、それ以外の値は同じである。これにより、重負荷条件(図13(1))、および、軽負荷条件(図13(2))の何れの負荷条件においても、蓄電ユニット20それぞれの出力電流IS,ISが等しくなり、出力電流ISが均衡している。
【0056】
[作用効果]
このように、本実施形態によれば、複数の蓄電ユニット20が搭載された列車10において、各蓄電ユニット20の出力電流(放電電流)ISの不均衡を解消することができる。つまり、負荷16および蓄電ユニット20が何れの車両12に配置されているかといった配置車両と、車両間の引き通し線14の配線抵抗Rと、異なる負荷条件毎の負荷電流ILとから、異なる負荷条件において蓄電ユニット20それぞれの放電電流を均衡させるような制御パラメータが決定される。そして、このように決定された制御パラメータにより蓄電ユニット20を制御することで、列車10に分散配置された各蓄電ユニット20の出力電流ISの不均衡を解消することができる。蓄電ユニット20の充放電特性は、出力電流(放電電流)ISと出力電圧(放電電圧)VSとが直線関係となるように定められる。列車10の走行に応じて負荷16は変動するが、異なる負荷条件において各蓄電ユニット20の出力電流ISが均衡するように制御パラメータを決定することで、負荷条件以外の負荷であっても、蓄電ユニット20それぞれの出力電流ISをほぼ均衡させることが可能である。
【0057】
なお、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
【符号の説明】
【0058】
10…列車
12…車両
14…引き通し線
16…負荷
20…蓄電ユニット
22…蓄電媒体、24…電力変換装置、26…制御部
1…蓄電ユニットパラメータ決定装置
200…処理部
202…設定部、204…決定部
300…記憶部
302…蓄電ユニットパラメータ決定プログラム
310…初期設定情報、320…制御パラメータ情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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