(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】連結式使い捨て着用物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/49 20060101AFI20230914BHJP
A61F 13/494 20060101ALI20230914BHJP
A61F 13/56 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
A61F13/49 311Z
A61F13/494 111
A61F13/494 200
A61F13/56 210
(21)【出願番号】P 2020108214
(22)【出願日】2020-06-23
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大島 彩
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0055698(US,A1)
【文献】特開2016-32591(JP,A)
【文献】特開2016-67501(JP,A)
【文献】特開2020-89674(JP,A)
【文献】特開2016-30031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向中央を含む股間部分と、前後方向中央より前側に延びる腹側部分と、前後方向中央より後側に延びる背側部分とを有し、
前記背側部分の両側部に、前記腹側部分の外面に着脱可能に連結される連結部が設けられ、
前記股間部分を含む範囲に、吸収体が設けられ、
前記背側部分における前記吸収体の後側には、前記吸収体を有しないエンドフラップが設けられ、
前記エンドフラップに取り付けられた変形伸縮部材を有し、
前記変形伸縮部材は、前記エンドフラップにおける幅方向の両側にそれぞれ固定された一対の固定部と、これら固定部の間に位置し、幅方向に弾性伸縮する非固定部とを有し、
自然長の状態では、前記エンドフラップ
は、前記非固定部よりも側方に位置する一対のサイド部分が、前記非固定部の収縮により、後側に位置するほど互いに近づくように斜めに引き寄せられ、
かつ前記非固定部と前記固定部との境界を通り前後方向に直線状に延びる第1の折り位置で折り返されるとともに、展開状態における前記第1の折り位置と、前記自然長の状態における前記第1の折り位置とがなす内角の二等分線に沿う第2の折り位置で、前記第1の折り位置と反対向きに折り返され、それによって、前記一対のサイド部分の間に位置する中間部分の後縁に幅方向に延びる横向き部分を有しつつ、前記サイド部分の後縁に、側方に向かうにつれて後方に位置するように延びる斜め後ろ向き部分が形成され、
展開状態では、エンドフラップの後縁は、一方の斜め後ろ向き部分から他方の斜め後ろ向き部分までを含む範囲にわたり、幅方向に沿って延びるように構成された、
ことを特徴とする連結式使い捨て着用物品。
【請求項2】
前記一対の固定部は、前記吸収体の全幅と対応する幅方向の範囲内に位置している、
請求項1記載の連結式使い捨て着用物品。
【請求項3】
前後方向中央を含む股間部分と、前後方向中央より前側に延びる腹側部分と、前後方向中央より後側に延びる背側部分とを有し、
前記背側部分の両側部に、前記腹側部分の外面に着脱可能に連結される連結部が設けられ、
前記股間部分を含む範囲に、吸収体が設けられ、
前記背側部分における前記吸収体の後側には、前記吸収体を有しないエンドフラップが設けられ、
前記エンドフラップに取り付けられた変形伸縮部材を有し、
前記変形伸縮部材は、前記エンドフラップにおける幅方向の両側にそれぞれ固定された一対の固定部と、これら固定部の間に位置し、幅方向に弾性伸縮する非固定部とを有し、
自然長の状態では、前記エンドフラップは、前記非固定部よりも側方に位置する一対のサイド部分が、前記非固定部の収縮により、後側に位置するほど互いに近づくように斜めに引き寄せられ、かつ前記非固定部と前記固定部との境界を通り前後方向に直線状に延びる第1の折り位置
で折り返されるとともに、展開状態における前記第1の折り位置と、前記自然長の状態における前記第1の折り位置とがなす内角の二等分線に沿
う第2の折り位置で、
前記第1の折り位置と反対向きに折り返され、
それによって、前記一対のサイド部分の間に位置する中間部分の後縁に幅方向に延びる横向き部分を有しつつ、前記サイド部分の後縁に、側方に向かうにつれて後方に位置するように延びる斜め後ろ向き部分が形成され、
展開状態では、エンドフラップの後縁は、一方の斜め後ろ向き部分から他方の斜め後ろ向き部分までを含む範囲にわたり、幅方向に沿って延びるように構成され、
前記第2の折り位置に沿って、易折り曲げ部が形成されている、
ことを特徴とする、連結式使い捨て着用物品。
【請求項4】
前後方向中央を含む股間部分と、前後方向中央より前側に延びる腹側部分と、前後方向中央より後側に延びる背側部分とを有し、
前記背側部分の両側部に、前記腹側部分の外面に着脱可能に連結される連結部が設けられ、
前記股間部分を含む範囲に、吸収体が設けられ、
前記背側部分における前記吸収体の後側には、前記吸収体を有しないエンドフラップが設けられ、
前記エンドフラップに取り付けられた変形伸縮部材を有し、
前記変形伸縮部材は、前記エンドフラップにおける幅方向の両側にそれぞれ固定された一対の固定部と、これら固定部の間に位置し、幅方向に弾性伸縮する非固定部とを有し、
自然長の状態では、前記エンドフラップは、前記非固定部よりも側方に位置する一対のサイド部分が、前記非固定部の収縮により、後側に位置するほど互いに近づくように斜めに引き寄せられ、かつ前記非固定部と前記固定部との境界を通り前後方向に直線状に延びる第1の折り位置
で折り返されるとともに、展開状態における前記第1の折り位置と、前記自然長の状態における前記第1の折り位置とがなす内角の二等分線に沿
う第2の折り位置で、
前記第1の折り位置と反対向きに折り返され、
それによって、前記一対のサイド部分の間に位置する中間部分の後縁に幅方向に延びる横向き部分を有しつつ、前記サイド部分の後縁に、側方に向かうにつれて後方に位置するように延びる斜め後ろ向き部分が形成され、
展開状態では、エンドフラップの後縁は、一方の斜め後ろ向き部分から他方の斜め後ろ向き部分までを含む範囲にわたり、幅方向に沿って延びるように構成され、
前記第1の折り位置及び前記第2の折り位置との交点が、前記吸収体の後縁よりも前側に位置しており、
前記吸収体は、前記展開状態で前記第1の折り位置と前記第2の折り位置との間に位置する部分を有しない、
ことを特徴とする、連結式使い捨て着用物品。
【請求項5】
前記非固定部における弾性伸縮する部分の幅方向の長さは、物品全長の10~25%であり、
前記非固定部の伸長率は、120~300%であり、
前記吸収体の後縁と前記非固定部に含まれる弾性素材の前縁との距離が、物品全長の0~10%である、
請求項1~4のいずれか1項に記載の連結式使い捨て着用物品。
【請求項6】
幅方向両側における第1の遮断位置に沿って表面から起き上がる、サイド立体ギャザーを有し、
前記サイド立体ギャザーは、前記第1の遮断位置の幅方向の外側に取り付けられたサイド付根部と、前記サイド付根部から延び出た第1部分と、前記第1部分における前端部及び後端部がそれぞれ倒伏状態で固定されて形成された第1前倒伏部及び第1後倒伏部と、前記第1部分における第1前倒伏部及び第1後倒伏部間の部分が非固定とされて形成された第1起き上がり部と、前記第1起き上がり部の少なくとも先端部に取り付けられた第1立体弾性部材とを有し、
前記第1起き上がり部の少なくとも先端部は、前記第1立体弾性部材とともに前後方向に収縮しているとともに、前後方向に伸長可能であり、
前記第1後倒伏部の間における第2の遮断位置に沿って表面から起き上がる、ウエスト立体ギャザーを有し、
前記ウエスト立体ギャザーは、前記第2の遮断位置に沿って取り付けられたウエスト付根部と、前記ウエスト付根部から後縁側に延び出た第2部分と、前記第2部分における幅方向の両端部がそれぞれ倒伏状態で固定されて形成された第2倒伏部と、前記第2部分における第2倒伏部間の部分が非固定とされて形成された第2起き上がり部と、前記第2起き上がり部の少なくとも先端部に取り付けられた第2立体弾性部材とを有し、
前記第2起き上がり部の少なくとも先端部は、前記第2立体弾性部材とともに幅方向に収縮しているとともに、幅方向に伸長可能であり、
前記変形伸縮部材は、前記ウエスト立体ギャザーであり、
前記固定部は、前記第2倒伏部であり、
前記非固定部は、前記第2起き上がり部である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の連結式使い捨て着用物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結式使い捨て着用物品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な連結式使い捨て着用物品は、前後方向中央を含む股間部分と、前後方向中央より前側に延びる腹側部分と、前後方向中央より後側に延びる背側部分と、背側部分の両側部に設けられた、腹側部分の外面に着脱可能に連結される連結部とを有している。使用時には、背側部分の両側部を腰の両側から腹側部分の外面に回して、連結部を腹側部分の外面に連結する。このような連結式使い捨て着用物品は、乳幼児向けとして用いられる他、介護用途(成人用途)でも使用されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
一般に、連結式使い捨て着用物品は、パンツタイプ使い捨て着用物品と比べて胴周り方向のフィット性に劣り、ずり落ちやすい(脚側にずれやすい)。そのため、使用中に背中と物品との間に隙間が発生し、漏れが発生しやすいことが知られている。
【0004】
これを解決する一つの方法は、背側部分の幅方向の両側に位置する部分を腰の斜め上を通して腹側部分の外面に回し、背側部分を腸骨稜に引っ掛けることである。
【0005】
しかしながら、従来の多くの連結式使い捨て着用物品(例えば特許文献1記載のもの)は、通常の装着手法に従って、幅方向の中央における背側部分の後縁を装着者のウエストに合わせたとき、背側部分の後縁が装着者の腸骨の横に位置するため、そのままでは背側部分を腸骨稜に引っ掛け難い、という問題点があった。
【0006】
この問題点を解決するために、吸収体を有する本体部の側方から、斜め後ろ向きにベルト部を突出させ、このベルト部の先端側が展開状態で背側部分の後縁の位置よりも後側に位置するように構成すること(特許文献2参照)も考えられる。しかし、この構造は、複雑であるだけでなく、ウイング部分と本体部分との接続部分がねじれて装着感が悪化しやすいことも問題である。また、本体部の後縁の位置が、ウエスト位置よりも低くなり(装着者の股間側に位置し)やすく、ずり落ち防止効果があるとしても、漏れ防止効果が乏しくなるおそれがある。さらに、斜め後ろ向きのベルトの始端が、本体部の側方で、かつある程度股間側に離れるため、腸骨稜の後部に引っ掛けにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2010-125132号公報
【文献】特開2020-606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明の主たる課題は、より簡素な構造で、ずり落ち防止性に優れる連結式使い捨て着用物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決した連結式使い捨て着用物品は以下のとおりである。
<第1の態様>
前後方向中央を含む股間部分と、前後方向中央より前側に延びる腹側部分と、前後方向中央より後側に延びる背側部分とを有し、
前記背側部分の両側部に、前記腹側部分の外面に着脱可能に連結される連結部が設けられ、
前記股間部分を含む範囲に、吸収体が設けられ、
前記背側部分における前記吸収体の後側には、前記吸収体を有しないエンドフラップが設けられ、
前記エンドフラップに取り付けられた変形伸縮部材を有し、
前記変形伸縮部材は、前記エンドフラップにおける幅方向の両側にそれぞれ固定された一対の固定部と、これら固定部の間に位置し、幅方向に弾性伸縮する非固定部とを有し、
自然長の状態では、前記エンドフラップにおける前記非固定部よりも側方に位置する一対のサイド部分が、前記非固定部の収縮により、後側に位置するほど互いに近づくように斜めに引き寄せられ、それによって、前記一対のサイド部分の間に位置する中間部分の後縁に幅方向に延びる横向き部分を有しつつ、前記サイド部分の後縁に、側方に向かうにつれて後方に位置するように延びる斜め後ろ向き部分が形成され、
展開状態では、エンドフラップの後縁は、一方の斜め後ろ向き部分から他方の斜め後ろ向き部分までを含む範囲にわたり、幅方向に沿って延びるように構成された、
ことを特徴とする連結式使い捨て着用物品。
【0010】
(作用効果)
本連結式使い捨て着用物品は、特定構造の変形伸縮部材を特定位置に設け、その収縮力を利用して、自然長の状態(装着作業の開始時はこの状態)で、背側部分のサイド部分の後縁に、腸骨稜に引っ掛けやすい斜め後ろ向き部分を形成したところに特徴を有する。したがって、本連結式使い捨て着用物品は、変形伸縮部材を設けるだけの極めて簡素な構造で、ずり落ち防止性に優れたものとなる。また、変形伸縮部材が非固定部を有することにより、自然長の状態で斜め後ろ向き部分の間に横向き部分を有するため、装着者のウエスト及び腸骨稜に対する位置決めが容易になるという利点も有する。
【0011】
<第2の態様>
前記一対の固定部は、前記吸収体の全幅と対応する幅方向の範囲内に位置している、
第1の態様の連結式使い捨て着用物品。
【0012】
(作用効果)
本態様によれば、より幅方向の中央側から斜め後ろ向き部分が形成されるため、斜め後ろ向き部分を腸骨稜に対してより引っ掛けやすいものとなる。
【0013】
<第3の態様>
前記非固定部と前記固定部との境界を通り前後方向に直線状に延びる第1の折り位置を有するとともに、
前記展開状態における前記第1の折り位置と、前記自然長の状態における前記第1の折り位置とがなす内角の二等分線に沿って、第1の折り位置と反対向きに折り返される第2の折り位置を有し、
前記第2の折り位置に沿って、易折り曲げ部が形成されている、
第1又は2の態様の連結式使い捨て着用物品。
【0014】
(作用効果)
本連結式使い捨て着用物品では、自然長の状態で、一対のサイド部分が、非固定部の収縮により、後側に位置するほど互いに近づくように斜めに引き寄せられたとき、中間部分が余分なく綺麗に折り畳まれやすくなり、横向き部分及び斜め後ろ向き部分がしっかりと形成されるようになる。またその結果、装着作業が容易になる。
【0015】
<第4の態様>
前記非固定部と前記固定部との境界を通り前後方向に直線状に延びる第1の折り位置を有するとともに、
前記展開状態における前記第1の折り位置と、前記自然長の状態における前記第1の折り位置とがなす内角の二等分線に沿って、第1の折り位置と反対向きに折り返される第2の折り位置を有し、
前記第1の折り位置及び前記第2の折り位置との交点が、前記吸収体の後縁よりも前側に位置しており、
前記吸収体は、前記展開状態で前記第1の折り位置と前記第2の折り位置との間に位置する部分を有しない、
第1~3のいずれか1つの態様の連結式使い捨て着用物品。
【0016】
(作用効果)
斜め後ろ向き部分を腸骨稜に対してより引っ掛けやすいものとするには、斜め後ろ向き部分がより幅方向の中央側から、より斜めに形成されることが好ましい。しかし、その場合、第1の折り位置及び第2の折り位置との交点が、吸収体の後縁よりも前側に位置することとなり、吸収体の剛性が第1の折り位置及び第2の折り位置における折り畳みを阻害することとなる。よって、本連結式使い捨て着用物品のように吸収体に欠落部分を設け、吸収体の剛性が第1の折り位置及び第2の折り位置における折り畳みを阻害しないように構成するのは好ましい。
【0017】
<第5の態様>
前記非固定部における弾性伸縮する部分の幅方向の長さは、物品全長の10~25%であり、
前記非固定部の伸長率は、120~300%であり、
前記吸収体の後縁と前記非固定部に含まれる弾性素材の前縁との距離が、物品全長の0~10%である、
第1~4のいずれか1つの態様の連結式使い捨て着用物品。
【0018】
(作用効果)
各部の寸法や位置関係は適宜定めることができるが、通常の場合、上記範囲内であると好ましい。
【0019】
<第6の態様>
幅方向両側における第1の遮断位置に沿って表面から起き上がる、サイド立体ギャザーを有し、
前記サイド立体ギャザーは、前記第1の遮断位置の幅方向の外側に取り付けられたサイド付根部と、前記サイド付根部から延び出た第1部分と、前記第1部分における前端部及び後端部がそれぞれ倒伏状態で固定されて形成された第1前倒伏部及び第1後倒伏部と、前記第1部分における第1前倒伏部及び第1後倒伏部間の部分が非固定とされて形成された第1起き上がり部と、前記第1起き上がり部の少なくとも先端部に取り付けられた第1立体弾性部材とを有し、
前記第1起き上がり部の少なくとも先端部は、前記第1立体弾性部材とともに前後方向に収縮しているとともに、前後方向に伸長可能であり、
前記第1後倒伏部の間における第2の遮断位置に沿って表面から起き上がる、ウエスト立体ギャザーを有し、
前記ウエスト立体ギャザーは、前記第2の遮断位置に沿って取り付けられたウエスト付根部と、前記ウエスト付根部から後縁側に延び出た第2部分と、前記第2部分における幅方向の両端部がそれぞれ倒伏状態で固定されて形成された第2倒伏部と、前記第2部分における第2倒伏部間の部分が非固定とされて形成された第2起き上がり部と、前記第2起き上がり部の少なくとも先端部に取り付けられた第2立体弾性部材とを有し、
前記第2起き上がり部の少なくとも先端部は、前記第2立体弾性部材とともに幅方向に収縮しているとともに、幅方向に伸長可能であり、
前記変形伸縮部材は、前記ウエスト立体ギャザーであり、
前記固定部は、前記第2倒伏部であり、
前記非固定部は、前記第2起き上がり部である、
第1~5のいずれか1つの態様の連結式使い捨て着用物品。
【0020】
(作用効果)
変形伸縮部材は、専用の部材を設けてもよいが、本連結式使い捨て着用物品のように、ウエスト立体ギャザーを兼ねるものとして設けるのは好ましい。
すなわち、本物品のウエスト立体ギャザーは、第2起き上がり部がウエスト付根部に対してウエスト縁側に延び出ていることと、その取付位置が第1前倒伏部の間及び第1後倒伏部の間の少なくとも一方であることとを組み合わせたところに特徴を有する。
すなわち、本ウエスト立体ギャザーは、第2起き上がり部の収縮に伴い第2倒伏部が互いに引き寄せられつつ第2起き上がり部のウエスト縁側が股間側に対して起き上がる。一方、サイド立体ギャザーは、第1起き上がり部の収縮に伴い第1前倒伏部及び第1後倒伏部が互いに引き寄せられつつ第1起き上がり部が起き上がる。ここで、ウエスト立体ギャザーを有する領域は、第1前倒伏部の間及び第1後倒伏部の間の少なくとも一方である。したがって、サイド立体ギャザーによる第1前倒伏部及び第1後倒伏部を互いに引き寄せる作用は、ウエスト立体ギャザーの第2部分をウエスト付根部側に引き寄せる作用も有する。また、第1起き上がり部の収縮及び第2起き上がり部の収縮の方向が交差する部位、つまり第1前倒伏部又は第1後倒伏部のうちウエスト立体ギャザーを有する方は、両方の収縮の影響を受けて装着者の肌側に持ち上がる。
その結果、ウエスト立体ギャザーの第2起き上がり部は、装着者の肌に対する隙間が発生しやすい部位で、隙間の大きさに応じて起き上がり状態が特徴的に変化する。すなわち、当該隙間が小さいうちは、ウエスト立体ギャザーの第2起き上がり部は先端がウエスト縁側に向いており、起き上がり角度も小さく、面で接触する。つまり、漏れのリスクが小さい状態では装着感に優れたフィット性が確保される。一方、当該隙間が大きくなると、ウエスト立体ギャザーの第2起き上がり部は先端側が高く起き上がり、胴周りの締め付けが特に緩くなると、幅方向の中間部が股間側に反り返るか、又は反り返らないものの反り返りに近い状態まで高く起き上がる。つまり、漏れのリスクが大きい状態ではより漏れ防止性に優れた状態に変化する。このようなウエスト立体ギャザーの変化は従来ないものであり、特に経時的な(例えば食事タイミング等による)装着状態の緩みに起因する、後漏れや前漏れに効果的である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、より簡素な構造で、ずり落ち防止性に優れるようになる、等の利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】テープタイプ使い捨ておむつの展開状態の内面側を示す平面図である。
【
図2】テープタイプ使い捨ておむつの展開状態の外面側を示す平面図である。
【
図5】(a)
図1の要部拡大図、(b)ウエスト立体ギャザーの要部拡大図である。
【
図6】(a)
図1のv-v断面図、(b)
図1のvi-vi断面図である。
【
図9】使用前のほぼ自然長の状態を示す、テープタイプ使い捨ておむつの平面図である。
【
図10】他の例の展開状態の要部を示す断面図である。
【
図11】(a)(b)ともに、テープタイプ使い捨ておむつの装着状態を概略的に示す斜視図である。
【
図12】テープタイプ使い捨ておむつの装着状態を概略的に示す背面図である。
【
図13】自然長で、かつ平坦に潰れた状態のエンドフラップの要部を示す平面図である。
【
図14】他の例の要部を拡大して示す平面図である。
【
図15】他の例の要部を拡大して示す平面図である。
【
図16】他の例の要部を拡大して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1~
図6には、連結式使い捨て着用物品の一例として、テープタイプ使い捨ておむつが示されている。なお、ホットメルト接着剤による接着箇所のうち説明上必要な箇所については、平面図中には斜線模様及び点模様を、また断面図中には点模様をそれぞれ付している。ホットメルト接着剤は、スロット塗布、連続線状又は点線状のビード塗布、スパイラル状、Z状等のスプレー塗布、又はパターンコート(凸版方式でのホットメルト接着剤の転写)等、公知の手法により塗布することができる。これに代えて又はこれとともに、弾性部材の固定部分では、ホットメルト接着剤を弾性部材の外周面に塗布し、弾性部材を隣接部材に固定することができる。ホットメルト接着剤としては、例えばEVA系、粘着ゴム系(エラストマー系)、オレフィン系、ポリエステル・ポリアミド系などの種類のものが存在するが、特に限定無く使用できる。各構成部材を接合する接合手段としてはヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段を用いることもできる。
【0024】
このテープタイプ使い捨ておむつは、前後方向LDの中央LCを含む股間部分と、前後方向LDの中央LCより前側に延びる腹側部分Fと、前後方向LDの中央LCより後側に延びる背側部分Bとを有し、背側部分Bの両側部に、腹側部分Fの外面に着脱可能に連結される連結部9が設けられている。また、このテープタイプ使い捨ておむつは、股間部分を含む範囲に内蔵された吸収体3と、吸収体3の表側を覆う液透過性のトップシート2と、吸収体3の裏側を覆う液不透過性シート1と、液不透過性シート1の裏側を覆い、製品外面を構成する外装不織布12とを有するものである。
【0025】
以下、各部の素材及び特徴部分について順に説明する。
(吸収体)
吸収体3は、パルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布からなる繊維集合層を単層又は複数層有する基本構造を有するものである。吸収体3は、必要に応じて粒子状などの高吸収性ポリマーを繊維集合層中に混合したり、繊維集合層中又は繊維集合層の表面に固着したり、繊維集合層間に層状に介在させたりすることができる。吸収体3は、必要に応じてクレープ紙等の包装シート(図示省略)により包むことができる。また、吸収体3の形状は適宜定めることができるが、図示のように股間部分を含む前後方向LDの中間部分の幅がその前後両側よりも狭い砂時計形状(括れ形状)の他、長方形等のように、股間部分の前側から後側まで延在する形状が好適である。吸収体3における繊維目付けは100~500g/m2程度、厚みは1~15mm程度とすることができる。また、吸収体3における高吸収性ポリマーの目付けは0~300g/m2程度とすることができる。
【0026】
(液不透過性シート)
液不透過性シート1は、排泄物の裏面への浸み出しを遮断するものである。液不透過性シート1としては、ポリエチレンフィルム等のプラスチックフィルムの他、ムレ防止の点から遮水性を損なわずに透湿性を備えたシートも用いることができる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸又は二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。
【0027】
液不透過性シート1は、前後方向LD及び幅方向WDにおいて吸収体3と同じか又はより広範囲にわたり延びていることが望ましいが、他の遮水手段が存在する場合等、必要に応じて、前後方向LD及び幅方向WDにおいて吸収体3の端部を覆わない構造とすることもできる。
【0028】
おむつ外面を布のような外観及び肌触りとするために、液不透過性シート1の裏面全体を外装不織布12で覆うことができる。外装不織布12は省略することもでき、その場合には、液不透過性シート1が製品外面を形成することになる。
【0029】
(トップシート)
トップシート2は液透過性を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを用いることができる。
【0030】
トップシート2は、前後方向LDでは製品前端から後端まで延び、幅方向WDでは吸収体3よりも側方に延びているが、例えば後述するサイド立体ギャザー4の起点が吸収体3の側縁よりも幅方向WDの中央側に位置する場合等、必要に応じて、トップシート2の幅を吸収体3の全幅より短くする等、適宜の変形が可能である。
【0031】
(サイドフラップ)
図示例のテープタイプ使い捨ておむつは、吸収体3の側方にそれぞれ延出する、吸収体3を有しない一対のサイドフラップSFを有している。サイドフラップSFは、図示例のように、吸収体3を有する部分から連続する素材(外装不織布12等)からなるものであっても、他の素材を取り付けて形成してもよい。
【0032】
(平面ギャザー)
サイドフラップSFの前後方向LDの中間部には、液不透過性シート1と外装不織布12との間に細長状の脚周り弾性部材7が前後方向LDに沿って伸長状態でホットメルト接着剤等により固定されており、この脚周り弾性部材7の収縮によりサイドフラップSFにはいわゆる平面ギャザーが形成されている。この平面ギャザーにより、おむつの側部が弾性伸縮して脚周りにフィットするようになる。脚周り弾性部材7は脚周りに沿うようにカーブしていてもよい。
【0033】
左右各側における脚周り弾性部材7の本数は適宜定めることができるが、1~10本程度、より好ましくは3~8本程度が適当であり、複数本とする場合には、その間隔は2~15mm程度、特に6~10mm程度とするのが好ましい。また、各脚周り弾性部材7としては、糸状、紐状、帯状等に形成された、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコーン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができ、太さとしては500~1500dtex程度、天然ゴムの場合0.1~3mm程度、特に0.5~3mm程度が好ましい。また、各脚周り弾性部材7の固定時の伸長率は150~250%程度であるのが好ましい。
【0034】
(ウイング部分)
本テープタイプ使い捨ておむつでは、背側部分Bは股間部分よりも幅方向WDの外側に延び出たウイング部分を有している。同様に、腹側部分Fも股間部分よりも幅方向のWD外側に延び出たウイング部分を有している。これらウイング部分は、それ以外の部分と別の部材により形成することもできる。しかし、図示例のようにサイドフラップSFを有する構造において、サイドフラップSFの側部における前後方向LD中間を切断することにより、股間部分の側縁からウイング部分の下縁まで続く凹状の脚周り縁Leが形成され、その結果としてウイング部分が形成されていると、製造が容易であるため好ましい。
【0035】
(連結テープ)
背側部分Bの両側部(図示例ではサイドフラップSFのウイング部分)には、その側縁からそれぞれ突出する連結テープ5が取り付けられるとともに、腹側部分Fの胴周り部表面に幅方向WDに沿ってターゲットシート6が貼着されており、身体への装着に際しては、おむつ100を身体にあてがった状態で、両側の連結テープ5を腰の各側から腹側外面に回してターゲットシート6に止着する。ターゲットシート6は省略することもでき、その場合には連結テープ5はおむつ外面(図示例の場合外装不織布12)に直に止着される。
【0036】
図3に示されるように、連結テープ5は、背側部分Bのウエスト側サイドフラップSFにおけるシート間にホットメルト接着剤等の手段により固定された固定部5fと、サイドフラップSFの側縁のシート間から幅方向WDの外側に突出する突出部5eとを有しており、この突出部5eは先端部5pと、この先端部5pよりも基端側の本体部5bとを有している。連結テープ5の先端部5pの内面には、ターゲットシート6との連結のための連結部9として、表面にフック状突起を多数有するメカニカルファスナーのフック材(面ファスナーの雄材)がそれぞれ取り付けられている。また、ターゲットシート6として、腹側部分Fの外面に、フック状突起が着脱可能に掛止される表面を有するもの(メカニカルファスナー(面ファスナー)の雌材)が取り付けられている。おむつ外面の素材自体をターゲットシート6の代わりに用いたり、フック材に代えて粘着剤層を連結部9として用いるとともに、ターゲットシート6として粘着性に富むような表面が平滑な樹脂テープを用いたりすることができる。
【0037】
また、
図1に示されるように、連結テープ5には、前後方向LDの中間部における幅方向WDの外側縁から本体部5b内まで幅方向WDに沿うミシン目10が設けられており、このミシン目10を切り離すことにより、
図9に示すように各々が固定部、本体部、先端部及び連結部9を備えた上段部及び下段部に分離することができるものである。ミシン目10に代えて、予め切断等により上段部及び下段部に分離されていても良い。このような連結テープ5は、
図11(a)に示すように上段部を斜め下向きに、下段部を斜め上向きにして両者を交差させない状態で、又は
図11(b)に示すように上段部と下段部とを交差させた状態で、腹側部分Fのターゲットシート6に着脱自在に連結することができる。
【0038】
もちろん、本連結式使い捨て着用物品では、このような上下2段分割タイプに限られず、2段分割しないタイプや、1段しかないタイプ等、他の公知の連結テープを採用したり、サイドフラップに連結部を直接固定したりすることもできる。
【0039】
(サイド立体ギャザー)
図1、
図4及び
図6にも示されるように、トップシート2上を伝わって横方向に移動する排泄物を阻止し、いわゆる横漏れを防止するために、表面の幅方向WDの両側には、前後方向に延びる第1の遮断位置に沿って表面から起き上がるサイド立体ギャザー4が設けられている。
【0040】
より詳細には、このサイド立体ギャザー4は、サイドフラップSFを含む領域に固定されたサイド付根部4xと、サイド付根部4xから延び出た第1部分4cと、第1部分4cにおける前端部及び後端部がそれぞれ倒伏状態で固定されて形成された第1前倒伏部4b及び第1後倒伏部4eと、第1部分4cにおける第1前倒伏部4b及び第1後倒伏部4e間の部分が非固定とされて形成された第1起き上がり部4fとを有している。また、第1起き上がり部4fの少なくとも先端部には、第1立体弾性部材4Gが取り付けられている。
【0041】
図示例のサイド立体ギャザー4の各部は、サイド立体シート4sにより形成されており、このサイド立体シート4sが、第1部分4cの先端(付根部65側と反対側の端)で二つ折りされることにより、自由部分を含む範囲が二層構造となっている。第1立体弾性部材4Gは、この二層構造の部分の層間に挟まれている。第1立体弾性部材4Gは第1起き上がり部4fにのみ設けることもできるが、図示例のように、第1前倒伏部4bにおける後端部から第1後倒伏部4eにおける前端部まで固定されていると、第1立体弾性部材4Gの収縮力が第1起き上がり部4fの全体にわたり作用するだけでなく、第1前倒伏部4b及び第1後倒伏部4eの端部まで作用するため好ましい。
【0042】
サイド立体シート4sの内面は、トップシート2の側部上に幅方向WDの接合始端を有し、この接合始端から幅方向WDの外側の部分は各サイドフラップSFの内面、つまり図示例では液不透過性シート11の側部及びその幅方向WDの外側に位置する外装不織布12の側部にホットメルト接着剤などにより接合されている。なお、平面図中の点模様部分はサイド立体ギャザー4の固着部分を示している。
【0043】
サイド立体ギャザー4の接合始端より幅方向WDの内側は、前後方向の両端部ではトップシート2上に固定されているものの、その間の第1起き上がり部4fは非固定の自由部分である。このため、第1起き上がり部4fが第1立体弾性部材4Gの収縮力により前後方向に収縮しつつ起き上がるとともに、前後方向に伸長可能となり、身体表面に密着するようになる。また、第1起き上がり部4fが第1立体弾性部材4Gの収縮力により前後方向に収縮するのにともない、第1前倒伏部4b及び第1後倒伏部4eを有する部分が互いに近づくように変形する。
【0044】
図示しないが、よく知られているように、サイド立体ギャザー4の第1部分4cを、幅方向WDの外側の部分から幅方向WDの内側に延在する基端側部分とこの基端側部分の幅方向WDの中央側の端縁から身体側に折り返され幅方向WDの外側に延在する先端側部分とを有する二つ折りした状態で、第1部分4cの前後方向LDの両端部を固定して倒伏部を形成することもできる。
【0045】
サイド立体シート4sの種類は特に限定されないが、通常の場合、液遮断性を確保するために撥水性のものが用いられる。特に、肌触り及び液遮断性を両立できる点で、スパンボンド層間にメルトブローン層を有する不織布(SMS不織布、SMMS不織布、SSMS不織布、SSMMS不織布)が好適である。不織布は一枚で使用する他、複数枚重ねて使用することもできる。後者の場合、不織布相互をホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。
【0046】
第1立体弾性部材4Gとしては、糸状、紐状、帯状等に形成された天然ゴム又は合成ゴム、具体的にはスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコーン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。第1立体弾性部材4Gは、
図1及び
図2に示すように各複数本間隔を空けて設ける他、各1本設けることができる。展開状態における第1立体弾性部材4Gの伸長率は適宜定めることができるが、例えば太さ420~1120dtex程度のスパンデックス糸ゴムの場合、230~270%程度とすることができる。
【0047】
(エンドフラップ)
本テープタイプ使い捨ておむつは、吸収体3の前側及び後側にそれぞれ延出する、吸収体3を有しない一対のエンドフラップEFを有している。エンドフラップEFの構成材はおむつの構造によって変化する。図示例では、エンドフラップEFは、液不透過性シート1、外装不織布12、トップシート2及びサイド立体シート4sのうち、吸収体3の前側及び後側に延びて積層され、かつ互いに接合された部分により形成されているが、これに限定されるものではない。エンドフラップEFを形成するための専用のシートを、吸収体3の前側又は後側に継ぎ足して、エンドフラップEFを形成してもよい。
【0048】
通常の場合、エンドフラップEFの前後方向LDの寸法は、おむつ全体の前後方向LDの寸法の1~10%程度とすることができる。
【0049】
(変形伸縮部材・ウエスト立体ギャザー)
他方、
図1、
図5及び
図6に示すように、図示例の使い捨ておむつの後端部(図示例の場合はエンドフラップEF)には、変形伸縮部材50を兼ねるウエスト立体ギャザー20が設けられている。すなわち、エンドフラップEFには、第1後倒伏部4eの間における第2の遮断位置に沿って表面から起き上がる、ウエスト立体ギャザー20が設けられている。より詳細には、
図5及び
図6にも示すように、ウエスト立体ギャザー20は、エンドフラップEFにおける第2の遮断位置に沿って取り付けられたウエスト付根部22と、ウエスト付根部22からウエスト縁側に延び出た第2部分23と、第2部分23における幅方向WDの両端部がそれぞれ倒伏状態で固定されて形成された第2倒伏部24(固定部51)と、第2部分23における第2倒伏部24間の部分が非固定とされて形成された第2起き上がり部25(非固定部52)とを有している。また、第2起き上がり部25の少なくとも先端部(ウエスト縁側の端部)には、第2立体弾性部材21が取り付けられており、幅方向WDに弾性伸縮するようになっている。
【0050】
そして、自然長の状態では、
図9に示すように、エンドフラップEFにおける第2起き上がり部25よりも側方に位置する一対のサイド部分60が、吸収体3を有する高剛性領域の収縮阻害を受けつつ第2起き上がり部25が収縮することにより、後側に位置するほど互いに近づくように斜めに引き寄せられ、それによって、一対のサイド部分60の間に位置する中間部分61の後縁に幅方向WDに延びる横向き部分62を有しつつ、サイド部分60の後縁に、側方に向かうにつれて後方に位置するように延びる斜め後ろ向き部分63が形成される。つまり、斜め後ろ向き部分63は横向き部分62よりも後方に張り出すことになる。また、展開状態では、
図1及び
図5に示すように、エンドフラップEFの後縁は、一方の斜め後ろ向き部分63から他方の斜め後ろ向き部分63までを含む範囲にわたり、幅方向WDに沿って直線状等の適宜の形状で延びるようになっている。
【0051】
したがって、本使い捨ておむつは、自然長の状態(装着作業の開始時はこの状態)で、
図9に示すように、背側部分Bのサイド部分60の後縁に斜め後ろ向き部分63が形成されるため、
図12に示すように、この斜め後ろ向き部分63を腸骨稜iに引っ掛けやすいものとなる。また、変形伸縮部材50が非固定部52を有することにより、自然長の状態で斜め後ろ向き部分63の間に横向き部分62を有するため、装着者のウエスト及び腸骨稜iに対する位置決めが容易になる。
【0052】
斜め後ろ向き部分63の幅方向WDに対する角度や幅方向WDの寸法は適宜定めることができるが、平坦な透明板を載せて押し潰した状態(
図13参照)で、斜め後ろ向き部分63の幅方向WDに対する角度θは5~20度程度であることが好ましく、斜め後ろ向き部分63の幅方向WDの寸法62w(
図5参照)は物品全長Lの10~15%程度であることが好ましい。
【0053】
このような角度及び寸法を達成するために、各部の寸法や位置関係は適宜定めることができるが、通常の場合、第2起き上がり部25における弾性伸縮する部分(図示例の場合、第2起き上がり部25における第2立体弾性部材21を有する部分)の幅方向WDの長さは、物品全長Lの10~25%であると好ましい。また、第2起き上がり部25の伸長率は、120~300%であると好ましい。さらに、吸収体3の後縁と第2立体弾性部材21(弾性素材)の前縁との距離53(第2立体弾性部材21を複数本有する場合には最も前側の弾性部材の前縁との距離)が、物品全長の0~10%であると好ましい。
【0054】
変形伸縮部材50の一対の固定部51の位置は、吸収体3の全幅と対応する幅方向WDの範囲より外側であってもよい。しかし、図示例の第2倒伏部24のように、吸収体3の全幅と対応する幅方向WDの範囲内に位置していると、より幅方向WDの中央側から斜め後ろ向き部分63が形成され、斜め後ろ向き部分63を腸骨稜iに対してより引っ掛けやすいものとなるため好ましい。
【0055】
本使い捨ておむつでは、自然長の状態で、一対のサイド部分60が、非固定部52の収縮により、後側に位置するほど互いに近づくように斜めに引き寄せられたとき、中間部分61が
図9及び
図13に示すように、断面Z字状に折り畳まれると好ましいが、余分なく綺麗に折り畳まれないと、不要な折り皺により装着感や見栄えが悪化するおそれがある。そこで、
図14に示すように、非固定部52と固定部51との境界を通り前後方向LDに直線状に延びる第1の折り位置71を有するとともに、展開状態における第1の折り位置71と、自然長でかつ平坦に潰した状態における第1の折り位置(図中二点鎖線)とがなす内角γの二等分線に沿って、第1の折り位置71と反対向きに折り返される第2の折り位置72を有し、第2の折り位置72に沿って易折り曲げ部80が形成されているのは好ましい。易折り曲げ部80は、他の部位よりもその部位で折り曲げやすくなっていれば特に限定されず、エンボス加工やミシン目10加工、罫線加工により形成する他、ヒートシールや超音波シール等の素材を溶融固化させる加工により形成することもできる。これにより、中間部分61は余分なく綺麗に折り畳まれやすくなり、横向き部分62及び斜め後ろ向き部分63がしっかりと形成されるようになる。またその結果、装着作業も容易になる。
【0056】
また、本使い捨ておむつにおいて、斜め後ろ向き部分63を腸骨稜iに対してより引っ掛けやすいものとするには、斜め後ろ向き部分63がより幅方向WDの中央側から、より斜めに形成されることが好ましい。しかし、その場合、第1の折り位置71及び第2の折り位置72との交点が、吸収体3の後縁よりも前側に位置することとなり、吸収体3の剛性が第1の折り位置71及び第2の折り位置72における折り畳みを阻害することとなる。そこで、
図15に示すように、第1の折り位置71及び第2の折り位置72との交点を、吸収体3の後縁よりも前側に位置させるだけでなく、吸収体3は、展開状態で第1の折り位置71と第2の折り位置72との間に位置する部分3xを有しないのも好ましい。このように吸収体3に欠落部分3xを設けると、吸収体3の剛性が第1の折り位置71及び第2の折り位置72における折り畳みを阻害しにくくなる。この場合、前述の易折り曲げ部80を設けることが好ましいが、設けなくてもよい。
【0057】
また、
図16に示すように、ウエスト付根部22を、幅方向WDの中央側ほど後側に位置するように全体的に又は部分的に突出又は張り出させる(図中二点鎖線で囲まれた部分22x)と、斜め後ろ向き部分63の角度が付きやすくなるため好ましい。
【0058】
他方、以下では図示例のウエスト立体ギャザー20の構造等について更に詳細に説明する。図示例のウエスト立体ギャザー20はウエスト立体シート26により形成されており、このウエスト立体シート26が折り返されて形成された二層構造を有している。第2立体弾性部材21は、この二層構造の部分の層間に挟まれ、ホットメルト接着剤等により固定されている。第2立体弾性部材21は第2起き上がり部25にのみ設けることもできるが、図示例のように、一方の第2倒伏部24から他方の第2倒伏部24まで固定されていると、第2立体弾性部材21の収縮力が第2起き上がり部25の全体にわたり作用するだけでなく、第2倒伏部24まで作用するため好ましい。
【0059】
図示例のウエスト立体シート26の内面は、エンドフラップEF上に前後方向LDの接合始端を有し、この接合始端から後方の部分はエンドフラップEFの内面、つまり図示例ではトップシート2の表面にホットメルト接着剤などにより接合されている。なお、このトップシート2に対するウエスト立体シート26の固着部分は、
図1及び
図5(a)に右斜め下向きの斜線で示されている。
【0060】
ウエスト立体ギャザー20の接合始端よりウエスト縁側は、幅方向WDの両端部ではトップシート2上に固定された第2倒伏部24となっているものの、その間の第2起き上がり部25は非固定の自由部分である。このため、第2起き上がり部25が第2立体弾性部材21の収縮力により幅方向WDに収縮しつつ起き上がるとともに、幅方向WDに伸長可能となり、身体表面に密着するようになる。また、第2起き上がり部25が第2立体弾性部材21の収縮力により幅方向WDに収縮するのにともない、一方の第2倒伏部24を有する部分及び他方の第2倒伏部24を有する部分が互いに近づくように変形する。
【0061】
一方、サイド立体ギャザー4は、第1起き上がり部4fの収縮に伴い第1前倒伏部4b及び第1後倒伏部4eが互いに引き寄せられつつ第1起き上がり部4fが起き上がる。ここで、ウエスト立体ギャザー20を有する領域は、第1後倒伏部4eの間に位置する。したがって、サイド立体ギャザー4による第1前倒伏部及び第1後倒伏部4eを互いに引き寄せる作用(
図9中の矢印参照)は、ウエスト立体ギャザー20の第2部分23をウエスト付根部22側に引き寄せる作用(
図9中の矢印参照)も有する。また、第1起き上がり部4fの収縮及び第2起き上がり部25の収縮の方向が交差する部位、つまり第1前倒伏部又は第1後倒伏部4eのうちウエスト立体ギャザー20を有する方は、両方の収縮の影響を受けて装着者の肌側に持ち上がる。
【0062】
その結果、ウエスト立体ギャザー20の第2起き上がり部25は、装着者の肌に対する隙間が発生しやすい部位で、
図7~
図8(a)に示すように、製品内面と装着者の肌面BSとの隙間の大きさ応じて起き上がり状態が特徴的に変化する。すなわち、当該隙間が小さいうちは、
図7(a)に示すように、ウエスト立体ギャザー20の第2起き上がり部25は先端がウエスト縁側に向いており、起き上がり角度も小さく、面で接触する。つまり、漏れのリスクが小さい状態では装着感に優れたフィット性が確保される。一方、当該隙間が大きくなると、
図7(b)に示すように、ウエスト立体ギャザー20の第2起き上がり部25は先端側が高く起き上がり、胴周りの締め付けが特に緩くなると、
図8(a)及び
図9に示すように、幅方向WDの中間部の先端側が股間側に反り返る(又は反り返らないものの反り返りに近い状態まで高く起き上がる)。つまり、漏れのリスクが大きい状態ではより漏れ防止性に優れた状態に変化する。このようなウエスト立体ギャザー20の変化は従来ないものであり、特に経時的な(例えば食事タイミング等による)装着状態の緩みに起因する、後漏れや前漏れに効果的である。
【0063】
図示例の第2倒伏部24は、第1後倒伏部4eにおけるトップシート2とサイド立体シート4sとの間に挟まれて両シートに対してホットメルト接着剤等の接合手段により接合された部分であるが、第1後倒伏部4eにおけるサイド立体シート4s上に設けられていてもよい。つまり、図示しないが、サイド立体ギャザー4の上にウエスト立体ギャザー20が設けられていてもよい。
【0064】
ウエスト立体シート26の種類は特に限定されないが、通常の場合、液遮断性を確保するために撥水性のものが用いられる。特に、肌触り及び液遮断性を両立できる点で、スパンボンド層間にメルトブローン層を有する不織布(SMS不織布、SMMS不織布、SSMS不織布、SSMMS不織布)が好適である。不織布は一枚で使用する他、複数枚重ねて使用することもできる。後者の場合、不織布相互をホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。
【0065】
第2立体弾性部材21としては、糸状、紐状、帯状等に形成された天然ゴム又は合成ゴム、具体的にはスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコーン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。第2立体弾性部材21は、図示例のように複数本間隔を空けて設ける他、1本設けるだけでもよい。展開状態における第2立体弾性部材21の伸長率は適宜定めることができるが、例えば太さ600~1300dtex程度のスパンデックス糸ゴムの場合、130~250%程度、特に160~200%程度とすることができる。
【0066】
第2立体弾性部材21を前後方向LDに間隔を空けて複数本設ける場合、すべての伸長率を同一にしてもよいが、一部又は全部の伸長率を異なるものとすることができる。例えば、ウエスト縁側のものほど展開状態の伸長率が低くなっていると、第2起き上がり部25の先端側がより反り返りやすくなるため好ましい。
【0067】
第2立体弾性部材21の位置は適宜定めることができるが、先端部(最もウエスト縁側)に位置する第2立体弾性部材21は、ウエスト付根部22の後縁から2~40mm程度離れていると、第2起き上がり部25の先端側がより反り返りやすくなるため好ましい。同様の理由により、先端部(最もウエスト縁側)に位置する第2立体弾性部材21は、エンドフラップEFの前縁から離れていると好ましい。
【0068】
テープタイプ使い捨ておむつでは、連結部9(前後方向LDに複数有する場合は最もウエスト縁側のものを意味する)よりウエスト縁側に位置する領域と、肌との間に隙間が生じやすい。したがって、展開状態で、ウエスト立体ギャザー20は、連結部9よりもウエスト縁側に位置する第2立体弾性部材21を有すると、前述のウエスト立体ギャザー20の変形が効果的に発現するため好ましい。
【0069】
図6~
図8に示す例のように、ウエスト立体ギャザー20は、ウエスト付根部22から股間側に延び出た第3部分33と、第3部分33における幅方向WDの両端部がそれぞれ倒伏状態で固定されて形成された第3倒伏部34と、第3部分33における第3倒伏部34間の部分が非固定とされて形成された第3起き上がり部35と、第3起き上がり部35の少なくとも先端部に取り付けられた第3立体弾性部材31とを有するのも好ましい。これにより、第3部分33が排泄物の移動を基本的に阻止し、何らかの原因でそれを乗り越えてしまった排泄物について第2部分23が漏れを防止するという、二段階の漏れ防止機能が発揮される。ここで、第2部分23が前述のように第3部分33と基本的に異なる遮断機能を有するため、単に同一の起き上がり部を二重に設けた場合よりも、漏れ防止性に優れたものとなることはいうまでもない。
【0070】
もちろん、
図10に示す例のように、第3部分33は省略することもできる。また、
図8(b)に示す例のように、第2部分23を前後方向LDに間隔を空けて複数設けることもできる。
【0071】
図示例では、ウエスト立体ギャザーの第3部分33が、サイド立体ギャザー4の第1起き上がり部4fを有する前後方向LDの範囲に位置しているが、第3部分33の一部又は全部が第1倒伏部を有する前後方向LDの範囲に位置していてもよい。前者の場合、第3倒伏部34は、サイド付根部4xを有する領域内に位置することとなるが、後者の場合第1後倒伏部4eを有する領域内に位置していてもよい。
【0072】
また、ウエスト立体ギャザーの第3部分33が、サイド立体ギャザー4の第1起き上がり部4fを有する前後方向LDの範囲に位置している場合、第3起き上がり部35と第1起き上がり部4fとはそれらが重なる部分で接合されていないことが好ましいが、接合されていてもよい。
【0073】
また、上記例は、背側部分Bにのみウエスト立体ギャザー20を設けているが、これとともに、腹側部分Fにもウエスト立体ギャザー20を設けることができる。すなわち、第1前倒伏部4bの間及び第1後倒伏部4eの間の少なくとも一方に、ウエスト立体ギャザー20を設けることができる。
【0074】
上記例では、変形伸縮部材50を兼ねるウエスト立体ギャザー20が設けられているが、遮断性能が無い専用の変形伸縮部材50を設けることもできる。例えば、図示例においてウエスト付根部22を省略して第2部分23のみを残した場合、遮断機能は無くなるが、自然長の状態で横向き部分62及び斜め後ろ向き部分63は形成できるものとなる。また、上記例のように、表面に変形伸縮部材50を設けることが好ましいが、裏面に変形伸縮部材50を設けてもよい。これらの変更箇所以外の詳細構造は、ウエスト立体ギャザー20の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0075】
(不織布)
上記説明における不織布としては、部位や目的に応じて公知の不織布を適宜使用することができる。不織布の構成繊維としては、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維(単成分繊維の他、芯鞘等の複合繊維も含む)の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維等、特に限定なく選択することができ、これらを混合して用いることもできる。不織布の柔軟性を高めるために、構成繊維を捲縮繊維とするのは好ましい。また、不織布の構成繊維は、親水性繊維(親水化剤により親水性となったものを含む)であっても、疎水性繊維若しくは撥水性繊維(撥水剤により撥水性となった撥水性繊維を含む)であってもよい。また、不織布は一般に繊維の長さや、シート形成方法、繊維結合方法、積層構造により、短繊維不織布、長繊維不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド(エアスルー)不織布、ニードルパンチ不織布、ポイントボンド不織布、積層不織布(スパンボンド層間にメルトブローン層を挟んだSMS不織布、SMMS不織布等)等に分類されるが、これらのどの不織布も用いることができる。
【0076】
<明細書中の用語の説明>
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
【0077】
・「前後方向」とは図中に符号LDで示す方向(縦方向)を意味し、「幅方向」とは図中にWDで示す方向(左右方向)を意味し、前後方向と幅方向とは直交するものである。
【0078】
・「MD方向」及び「CD方向」とは、製造設備における流れ方向(MD方向)及びこれと直交する横方向(CD方向)を意味し、製品の部分によっていずれか一方が前後方向となるものであり、他方が幅方向となるものである。不織布のMD方向は、不織布の繊維配向の方向である。繊維配向とは、不織布の繊維が沿う方向であり、例えば、TAPPI標準法T481の零距離引張強さによる繊維配向性試験法に準じた測定方法や、前後方向及び幅方向の引張強度比から繊維配向方向を決定する簡易的測定方法により判別することができる。
【0079】
・「表側」とは、着用した際に着用者の肌に近い方を意味し、「裏側」とは、着用した際に着用者の肌から遠い方を意味する。
【0080】
・「表面」とは部材の、着用した際に着用者の肌に近い方の面を意味し、「裏面」とは部材の、着用した際に着用者の肌から遠い方の面を意味する。
【0081】
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。例えば、伸長率が200%とは、伸長倍率が2倍であることと同義である。
【0082】
・「ゲル強度」は次のようにして測定されるものである。人工尿(尿素:2wt%、塩化ナトリウム:0.8wt%、塩化カルシウム二水和物:0.03wt%、硫酸マグネシウム七水和物:0.08wt%、及びイオン交換水:97.09wt%を混合したもの)49.0gに、高吸収性ポリマーを1.0g加え、スターラーで攪拌させる。生成したゲルを40℃×60%RHの恒温恒湿槽内に3時間放置したあと常温にもどし、カードメーター(I.techno Engineering社製:Curdmeter-MAX ME-500)でゲル強度を測定する。
【0083】
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を温度100℃の環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から、試料採取用の型板(100mm×100mm)を使用し、100mm×100mmの寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、100倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
【0084】
・「厚み」は、自動厚み測定器(KES-G5 ハンディ圧縮計測プログラム)を用い、荷重:0.098N/cm2、及び加圧面積:2cm2の条件下で自動測定する。有孔不織布の厚みは、孔及びその周囲の突出部以外の部分で測定する。
【0085】
・吸水量は、JIS K7223-1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」によって測定する。
【0086】
・吸水速度は、2gの高吸収性ポリマー及び50gの生理食塩水を使用して、JIS K7224‐1996「高吸水性樹脂の吸水速度試験法」を行ったときの「終点までの時間」とする。
【0087】
・不織布の繊維配向の方向とは、不織布の繊維が沿う方向であり、例えば、TAPPI標準法T481の零距離引張強さによる繊維配向性試験法に準じた測定方法や、前後方向及び幅方向の引張強度比から繊維配向方向を決定する簡易的測定方法により判別することができる。
【0088】
・「展開状態」とは、収縮(弾性部材による収縮等、あらゆる収縮を含む)や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
【0089】
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
【0090】
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内で行うものとする。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、上記例のテープタイプ使い捨ておむつのような連結式使い捨て着用物品に適用できるものである。
【符号の説明】
【0092】
1…液不透過性シート、10…ミシン目、2…トップシート、3…吸収体、4…サイド立体ギャザー、4G…第1立体弾性部材、4c…第1部分、4e…第1後倒伏部、4f…第1起き上がり部、4x…サイド付根部、5…連結テープ、6…ターゲットシート、9…連結部、20…ウエスト立体ギャザー、21…第2立体弾性部材、22…ウエスト付根部、23…第2部分、24…第2倒伏部、25…第2起き上がり部、26…ウエスト立体シート、31…第3立体弾性部材、33…第3部分、34…第3倒伏部、35…第3起き上がり部、B…背側部分、EF…エンドフラップ、F…腹側部分、LD…前後方向、SF…サイドフラップ、WD…幅方向、50…変形伸縮部材、51…固定部、52…非固定部、60…サイド部分、61…中間部分、62…横向き部分、63…斜め後ろ向き部分、i…腸骨稜、71…第1の折り位置、72…第2の折り位置、80…易折り曲げ部。