(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 36/815 20060101AFI20230914BHJP
A61K 36/8962 20060101ALI20230914BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20230914BHJP
A61K 31/51 20060101ALI20230914BHJP
A61K 31/525 20060101ALI20230914BHJP
A61K 31/4415 20060101ALI20230914BHJP
A61K 31/714 20060101ALI20230914BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20230914BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230914BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230914BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20230914BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20230914BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20230914BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20230914BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20230914BHJP
A23L 33/15 20160101ALI20230914BHJP
A23L 33/175 20160101ALI20230914BHJP
【FI】
A61K36/815
A61K36/8962
A61K31/198
A61K31/51
A61K31/525
A61K31/4415
A61K31/714
A61P3/02
A61P43/00 121
A61K9/08
A61K47/22
A61K47/24
A61K47/18
A61K47/46
A23L33/105
A23L33/15
A23L33/175
(21)【出願番号】P 2020511061
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(86)【国際出願番号】 JP2019013913
(87)【国際公開番号】W WO2019189714
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-01-28
(31)【優先権主張番号】P 2018067463
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018067476
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018067487
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池上 祐樹
【審査官】金子 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-133950(JP,A)
【文献】特開2003-169632(JP,A)
【文献】特開2017-057147(JP,A)
【文献】特開平09-110708(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104911087(CN,A)
【文献】News Release,ニューフードインダストリー,2011年,53(9)
【文献】OMAR Ishurd et al.,Protein and amino acids contents of Libyan dates at three stages of development,Journal of the Science of Food and Agriculture,2004年,84(5),481-484,https://doi.org/10.1002/jsfa.1600,URL:https://doi.org/10.1002/jsfa.1600
【文献】MAN-SHAN Yu et al.,Characterization of the effects of anti-aging medicine Fructus lycii on s-amyloid peptide neurotoxic,INTERNATIONAL JOURNAL OF MOLECULAR MEDICINE,2007年,20,261-268,https://www.spandidos-publications.com/ijmm/20/2/261/download,URL:https://www.spandidos-publications.com/ijmm/20/2/261/download
【文献】力源 スッポンの力,金陽製薬株式会社,2019年06月20日,商品説明,https://www.amazon.co.jp/%E5%8A%9B%E6%BA%90-%E3%81%99%E3%81%A3%E3%81%BD%E3%82%93%E3%81%AE%E5%8A%9B-50mlx5%EF%BC%88%E9%87%91%E9%99%BD%E8%A3%BD%E8%96%AC%EF%BC%89-%EF%BC%95%E7%AE%B1%E3%82%BB%E3%83%83%E3%83%88/dp/B008M5AJGU/ref=pd_day0_c_121_1/357-891996,URL:https://www.amazon.co.jp/%E5%8A%9B%E6%BA%90-%E3%81%99%E3%81%A3%E3%81%BD%E3%82%93%E3%81%AE%E5%8A%
【文献】金龍まむしドリンク,金陽製薬株式会社,2019年06月20日,商品詳細,http://kinyo-seiyaku.co.jp/product36.html,URL:http://kinyo-seiyaku.co.jp/product36.html
【文献】アットコスメ 金陽製薬 金龍まむしドリンク,2019年06月20日,https://www.cosme.net/product/product_id/10140130/top,URL:https://www.cosme.net/product/product_id/10140130/top
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/815
A61K 31/198
A61K 36/8962
A61K 31/51
A61P 3/02
A61P 43/00
A61K 9/08
A61K 47/18
A61K 47/22
A61K 47/46
A61K 47/24
A23L 33/105
A23L 33/175
A23L 33/15
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)クコシ
(B)アスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上
組成物全容量に対して0.2~10w/v%
(C)次の成分(C-1)及び(C-2)よりなる群から選ばれる1種以上
(C-1)ビタミンB群
(C-2)ニンニク加工物
を含有する、液
状組成物。
【請求項2】
成分(A)が、クコシの抽出物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分(C-1)が、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB9及びビタミンB12よりなる群から選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
成分(C-1)が、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6及びビタミンB12よりなる群から選ばれる1種以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
含水組成物である、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
経口液剤である、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
次の成分(A):
(A)クコシ
を含有する液
状組成物に、次の成分(B)及び(C):
(B)アスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上
組成物全容量に対して0.2~10w/v%
(C)次の成分(C-1)及び(C-2)よりなる群から選ばれる1種以上
(C-1)ビタミンB群
(C-2)ニンニク加工物
を含有せしめる工程を含む、組成物中のクコシの安定化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
クコシ(枸杞子)は滋養強壮等の作用を有する生薬である。そのためクコシは、滋養強壮や虚弱体質等の改善及び肉体疲労の場合における栄養補給等に用いられる、経口液剤やゼリー状ドロップ剤等の液状又は半固形状の組成物に配合されている。しかしながら、生薬の中には溶解性が低い成分も多く含まれることから、液状又は半固形状組成物において沈殿や不溶物の生成が生じる等の問題がある。
【0003】
斯かる問題に対しては従来から可溶化剤を配合する技術が種々検討されている。例えば、特許文献1には、生薬エキスに、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とポリオキシエチレンポリオキシプロピレン縮合物を配合することが記載されている。また、特許文献2には、生薬抽出物及び油成分に加えて、ポリグリセリン脂肪酸エステルとポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤とを特定比率で配合した可溶化液体組成物が記載されている。さらに、クコシの可溶化技術に関しては、例えば特許文献3に、クコシエキス、ビタミンB1類、特定量のポリビニルピロリドン及び特定量のプロピレングリコールを配合し、かつ、特定のpH値とした内服液剤が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特公平5-9408号公報
【文献】特開2002-128703号公報
【文献】特開2015-20982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、クコシを含有する液状又は半固形状の組成物において、沈殿や不溶物の生成を抑制する新たな技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、クコシを含有する液状又は半固形状の組成物に、さらにアスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンB群及びニンニク加工物よりなる群から選ばれる1種以上とを組み合わせて含有せしめることによって、沈殿や不溶物の生成が抑制された、保存安定性に優れる組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)クコシ
(B)アスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上
(C)次の成分(C-1)及び(C-2)よりなる群から選ばれる1種以上
(C-1)ビタミンB群
(C-2)ニンニク加工物
を含有する、液状又は半固形状の組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、沈殿や不溶物の生成が抑制された、保存安定性の良好なクコシ含有組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本明細書において、「w/v%」は質量対容積百分率を意味し、具体的には、100mLの組成物当りに含まれる各成分の質量(g)を意味する。
まず、「組成物」の態様の発明について、以下に詳述する。
<成分(A)>
「クコシ」(枸杞子)とは、第十七改正日本薬局方に記載のとおり、クコ(Lycium chinense Miller又はLycium barbarum Linne(Solanaceae))の果実を意味する。クコシは必要に応じてその形態を調節することができ、小片、小塊に切断若しくは破砕、又は粉末に粉砕することができ、例えば、クコシを粉末とした「クコシ末」も本発明に用いることができる。また、組成物の製造時の取扱の便宜等を考慮して、クコシに何らかの抽出処理を施したもの(以下、「クコシの抽出物」と称する。)を用いてもよい。
なお、上記「クコシの抽出物」には、抽出処理に加えて、加熱、乾燥、粉砕等の加工処理を施したものも包含される。具体的には、クコシを必要に応じて適当な大きさとした後に、適当な浸出液(抽出溶媒)を加えて浸出した液や当該浸出液を濃縮した液(軟エキス、流エキス、チンキ等)、さらにこれらを乾燥させたもの(乾燥エキス等)等も本発明の「クコシの抽出物」に包含される。
本発明において、クコシとしては、クコシの抽出物が好ましく、クコシチンキ、クコシ軟エキス、クコシ流エキス及びクコシ乾燥エキスよりなる群から選ばれる1種以上のクコシの抽出物がより好ましく、クコシチンキ、クコシ軟エキス及びクコシ流エキスよりなる群から選ばれる1種以上のクコシの抽出物がさらに好ましく、クコシ流エキスが特に好ましい。
【0010】
クコシの抽出物の製造方法は特に限定されず、例えば第十七改正日本薬局方 製剤総則の「エキス剤」、「浸剤・煎剤」、「チンキ剤」、「流エキス剤」の項の記載等、公知の植物抽出物の製造方法を参考にして製造できる。具体的には例えば、クコシを必要に応じて切断、加熱、乾燥、粉砕等したうえ、適当な抽出溶媒を加え抽出を行うことで、製造することができる。得られた抽出物は、必要に応じさらに濃縮、乾燥等させてもよい。
【0011】
上記抽出溶媒としては例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン等のアルコール類;ジエチルエーテル等のエーテル類;アセトン、エチルメチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;アセトニトリル等のニトリル類;ペンタン、ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン等のアルカン類;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲノアルカン類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド;水(熱水を含む)等が挙げられる。これらは各々単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。アルコール類としては、低級1価アルコール(好ましくは炭素数1~6の1価アルコール)、低級多価アルコール(好ましくは炭素数2~6の多価アルコール)が好ましい。
抽出溶媒としては、水、エタノール等の低級1価アルコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等の低級多価アルコール又はこれらの2種以上の混液が好ましく、水、低級1価アルコール又はこれらの混液がより好ましく、水、エタノール又はこれらの混液が特に好ましい。
抽出操作は特に限定されず、植物からの抽出操作に利用される公知の方法を適宜採用することができ、具体的には例えば、抽出溶媒への浸漬(冷浸、温浸、パーコレーション等)、超臨界流体や亜臨界流体を用いた抽出等が挙げられる。なお、抽出効率を上げるため、攪拌や抽出溶媒中でホモジナイズしてもよい。
抽出温度は特に限定されず、使用する抽出溶媒、抽出操作等により異なるが、5℃程度から抽出溶媒の沸点以下の温度とするのが好ましい。
抽出時間は特に限定されず、使用する抽出溶媒、抽出操作等により異なるが、1時間~14日程度とするのが好ましい。
【0012】
本発明において、クコシとしては、市販品を用いることができ、具体的な市販品としては例えば、クコシ流エキス、クコシ軟エキス(以上、小城製薬(株)製)、クコシ末、クコシエキス、クコシ流エキス、クコシ流エキス-A、クコシ流エキス-L(以上、日本粉末薬品(株)製)等が挙げられる。
【0013】
本発明の組成物におけるクコシの含有量は特に限定されず、適宜検討して決定すればよい。本発明においては、クコシを組成物全容量に対して0.005~30w/v%含有するものが好ましく、0.01~15w/v%含有するものがより好ましく、0.1~3w/v%含有するものが特に好ましい。また、クコシの含有量を原生薬量に換算した場合には、組成物全容量に対して原生薬換算量で0.01~20w/v%含有するものが好ましく、0.1~10w/v%含有するものがより好ましく、0.2~2w/v%含有するものが特に好ましい。
【0014】
<成分(B)>
本発明において、「アスパラギン酸」としては、L-アスパラギン酸、D-アスパラギン酸のいずれを用いてもよく、さらに、これらの任意の割合の混合物を用いてもよい。本発明においては、L-アスパラギン酸が好ましい。
本発明において、「アスパラギン酸の塩」としては、上記「アスパラギン酸」の、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等の第2族元素との塩等が挙げられ、これらを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明においては、カリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩が好ましい。
本発明において、アスパラギン酸又はその塩の「溶媒和物」としては、水和物、アルコール和物等が挙げられる。
【0015】
本発明において、「アスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上」としては、アスパラギン酸のフリー体、アスパラギン酸のカリウム塩、アスパラギン酸のナトリウム塩及びアスパラギン酸のマグネシウム塩よりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、L-アスパラギン酸、L-アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸カリウム・マグネシウム等量混合物、L-アスパラギン酸ナトリウム及びL-アスパラギン酸マグネシウムよりなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、アスパラギン酸カリウム・マグネシウム等量混合物が特に好ましい。
これらのアスパラギン酸、その塩やそれらの溶媒和物は公知であり、市販のものを用いてもよく、また、公知の方法により製造することも可能である。
【0016】
本発明の組成物におけるアスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上の含有量は特に限定されず、適宜検討して決定すればよい。本発明においては、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、組成物全容量に対して0.01~10w/v%含有するものが好ましく、0.1~4w/v%含有するものがより好ましく、0.2~0.4w/v%含有するものが特に好ましい。
また、本発明の組成物における、クコシとアスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上との含有質量比率は特に限定されないが、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、クコシ1質量部に対し、アスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上を0.02~7質量部が好ましく、0.2~5質量部がより好ましく、0.5~3質量部が特に好ましい。また、クコシの含有量を原生薬量に換算した場合には、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、原生薬換算したクコシ1質量部に対し、アスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上を0.01~10質量部が好ましく、0.1~7質量部がより好ましく、0.5~4質量部が特に好ましい。
【0017】
<成分(C-1)>
本発明において、「ビタミンB群」としては、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB9及びビタミンB12が挙げられ、これらを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明においてビタミンB群としては、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6及びビタミンB12よりなる群から選ばれる1種以上であるのが好ましく、ビタミンB1及びビタミンB2よりなる群から選ばれる1種以上であるのが特に好ましい。
これらのビタミンB群は公知であり、市販のものを用いてもよく、また、公知の方法により製造することも可能である。
【0018】
本発明の組成物におけるビタミンB群の含有量は特に限定されず、適宜検討して決定すればよい。本発明においては、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、組成物全容量に対して0.0000001~6w/v%含有するものが好ましく、0.0000005~1w/v%含有するものがより好ましく、0.000001~0.6w/v%含有するものが特に好ましい。
また、本発明の組成物における、クコシとビタミンB群との含有質量比率は特に限定されないが、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、クコシ1質量部に対し、ビタミンB群を0.00000005~10質量部が好ましく、0.0000002~2質量部がより好ましく、0.0000005~0.5質量部が特に好ましい。また、クコシの含有量を原生薬量に換算した場合には、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、原生薬換算したクコシ1質量部に対し、ビタミンB群を0.00000001~5質量部が好ましく、0.0000001~1質量部がより好ましく、0.0000005~0.3質量部が特に好ましい。
さらに、本発明の組成物における、アスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上とビタミンB群の含有質量比率は特に限定されないが、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、アスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上を1質量部に対し、ビタミンB群を0.0000001~5質量部が好ましく、0.0000005~2質量部がより好ましく、0.000002~0.2質量部が特に好ましい。
【0019】
本発明において、「ビタミンB1」には、チアミンそのもののほか、その誘導体(ビスチアミン、チアミンジスルフィド、ジセチアミン、フルスルチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、セトチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、フルスルチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、チアミン二リン酸等)及びそれらの塩(硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩等の無機酸塩等)も包含され、本発明においては、これらを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においてビタミンB1としては、硝酸ビスチアミン、チアミン塩化物塩酸塩、チアミンジスルフィド、チアミンジセチル硫酸エステル塩、チアミン硝化物、オクトチアミン、シコチアミン、セトチアミン塩酸塩水和物、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、フルスルチアミン、フルスルチアミン塩酸塩、プロスルチアミン及びベンフォチアミンよりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、ベンフォチアミンが特に好ましい。
これらのビタミンB1は公知であり、市販のものを用いてもよく、また、公知の方法により製造することも可能である。
【0020】
本発明の組成物におけるビタミンB1の含有量は特に限定されず、適宜検討して決定すればよい。本発明においては、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、組成物全容量に対して0.0001~0.5w/v%含有するものが好ましく、0.0005~0.2w/v%含有するものがより好ましく、0.001~0.1w/v%含有するものが特に好ましい。
また、本発明の組成物における、クコシとビタミンB1の含有質量比率は特に限定されないが、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、クコシ1質量部に対し、ビタミンB1を0.00001~0.5質量部が好ましく、0.00003~0.1質量部がより好ましく、0.0003~0.05質量部が特に好ましい。また、クコシの含有量を原生薬量に換算した場合には、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、原生薬換算したクコシ1質量部に対し、ビタミンB1を0.00001~1質量部が好ましく、0.00005~0.5質量部がより好ましく、0.0005~0.1質量部が特に好ましい。
さらに、本発明の組成物における、アスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上とビタミンB1の含有質量比率は特に限定されないが、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、アスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上を1質量部に対し、ビタミンB1を0.001~0.1質量部が好ましく、0.002~0.05質量部がより好ましく、0.01~0.03質量部が特に好ましい。
【0021】
本発明において、「ビタミンB2」には、リボフラビンそのもののほか、その誘導体(フラビンアデニンジヌクレオチド、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンリン酸エステル等)及びそれらの塩(ナトリウム塩等のアルカリ金属塩等)も包含され、本発明においては、これらを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においてビタミンB2としては、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、リボフラビン、リボフラビン酪酸エステル及びリボフラビンリン酸エステルナトリウムよりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、リボフラビンリン酸エステルナトリウムが特に好ましい。
これらのビタミンB2は公知であり、市販のものを用いてもよく、また、公知の方法により製造することも可能である。
【0022】
本発明の組成物におけるビタミンB2の含有量は特に限定されず、適宜検討して決定すればよい。本発明においては、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、組成物全容量に対して0.0001~1w/v%含有するものが好ましく、0.001~0.1w/v%含有するものがより好ましく、0.002~0.02w/v%含有するものが特に好ましい。
また、本発明の組成物における、クコシとビタミンB2の含有質量比率は特に限定されないが、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、クコシ1質量部に対し、ビタミンB2を0.0002~10質量部が好ましく、0.002~2質量部がより好ましく、0.02~0.2質量部が特に好ましい。また、クコシの含有量を原生薬量に換算した場合には、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、原生薬換算したクコシ1質量部に対し、ビタミンB2を0.0001~5質量部が好ましく、0.001~1質量部がより好ましく、0.01~0.1質量部が特に好ましい。
さらに、本発明の組成物における、アスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上とビタミンB2の含有質量比率は特に限定されないが、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、アスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上を1質量部に対し、ビタミンB2を0.0005~5質量部が好ましく、0.001~1質量部がより好ましく、0.01~0.1質量部が特に好ましい。
【0023】
本発明において、「ビタミンB3」には、ニコチン酸、ニコチン酸アミドそのもののほか、それらの誘導体(イノシトールヘキサニコチネート、ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチド、ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチドリン酸、へプロニカート等)及びそれらの塩も包含され、本発明においては、これらを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においてビタミンB3としては、ニコチン酸アミドが好ましい。
これらのビタミンB3は公知であり、市販のものを用いてもよく、また、公知の方法により製造することも可能である。
【0024】
本発明の組成物におけるビタミンB3の含有量は特に限定されず、適宜検討して決定すればよい。本発明においては、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、組成物全容量に対して0.0001~5w/v%含有するものが好ましく、0.001~0.3w/v%含有するものがより好ましく、0.01~0.06w/v%含有するものが特に好ましい。
また、本発明の組成物における、クコシとビタミンB3の含有質量比率は特に限定されないが、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、クコシ1質量部に対し、ビタミンB3を0.0001~10質量部が好ましく、0.005~1質量部がより好ましく、0.01~0.5質量部が特に好ましい。また、クコシの含有量を原生薬量に換算した場合には、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、原生薬換算したクコシ1質量部に対し、ビタミンB3を0.0005~5質量部が好ましく、0.001~1質量部がより好ましく、0.01~0.3質量部が特に好ましい。
さらに、本発明の組成物における、アスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上とビタミンB3の含有質量比率は特に限定されないが、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、アスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上を1質量部に対し、ビタミンB3を0.0005~5質量部が好ましく、0.001~2質量部がより好ましく、0.01~0.5質量部が特に好ましい。
【0025】
本発明において、「ビタミンB5」には、パントテン酸そのもののほか、その誘導体(パンテノール、パンテチン、パンテテイン、補酵素A等)及びそれらの塩(ナトリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩等の第2族元素との塩等)も包含され、本発明においては、これらを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においてビタミンB5としては、パンテノール、パントテン酸カルシウム及びパントテン酸ナトリウムよりなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
これらのビタミンB5は公知であり、市販のものを用いてもよく、また、公知の方法により製造することも可能である。
【0026】
本発明の組成物におけるビタミンB5の含有量は特に限定されず、適宜検討して決定すればよい。本発明においては、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、組成物全容量に対して0.0005~5w/v%含有するものが好ましく、0.001~1w/v%含有するものがより好ましく、0.005~0.05w/v%含有するものが特に好ましい。
また、本発明の組成物における、クコシとビタミンB5の含有質量比率は特に限定されないが、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、クコシ1質量部に対し、ビタミンB5を0.0001~5質量部が好ましく、0.0005~1質量部がより好ましく、0.001~0.5質量部が特に好ましい。また、クコシの含有量を原生薬量に換算した場合には、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、原生薬換算したクコシ1質量部に対し、ビタミンB5を0.0005~1質量部が好ましく、0.001~0.5質量部がより好ましく、0.002~0.2質量部が特に好ましい。
さらに、本発明の組成物における、アスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上とビタミンB5の含有質量比率は特に限定されないが、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、アスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上を1質量部に対し、ビタミンB5を0.001~5質量部が好ましく、0.005~1質量部がより好ましく、0.01~0.2質量部が特に好ましい。
【0027】
本発明において、「ビタミンB6」には、ピリドキシン、ピリドキサミン、ピリドキサールそのもののほか、それらの誘導体(リン酸ピリドキサール等)及びそれらの誘導体(カルシウム塩等の第2族元素との塩;塩酸塩等の無機酸塩等)も包含され、本発明においては、これらを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においてビタミンB6としては、ピリドキサールリン酸エステル水和物及びピリドキシン塩酸塩よりなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
これらのビタミンB6は公知であり、市販のものを用いてもよく、また、公知の方法により製造することも可能である。
【0028】
本発明の組成物におけるビタミンB6の含有量は特に限定されず、適宜検討して決定すればよい。本発明においては、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、組成物全容量に対して0.0001~1w/v%含有するものが好ましく、0.001~0.1w/v%含有するものがより好ましく、0.002~0.02w/v%含有するものが特に好ましい。
また、本発明の組成物における、クコシとビタミンB6の含有質量比率は特に限定されないが、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、クコシ1質量部に対し、ビタミンB6を0.0002~10質量部が好ましく、0.002~2質量部がより好ましく、0.02~0.2質量部が特に好ましい。また、クコシの含有量を原生薬量に換算した場合には、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、原生薬換算したクコシ1質量部に対し、ビタミンB6を0.0001~5質量部が好ましく、0.001~1質量部がより好ましく、0.01~0.1質量部が特に好ましい。
さらに、本発明の組成物における、アスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上とビタミンB6の含有質量比率は特に限定されないが、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、アスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上を1質量部に対し、ビタミンB6を0.0005~5質量部が好ましく、0.001~1質量部がより好ましく、0.01~0.1質量部が特に好ましい。
【0029】
本発明において、「ビタミンB7」には、ビオチンそのもののほか、その塩(ナトリウム塩等のアルカリ金属塩等)も包含され、本発明においては、これらを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においてビタミンB7としては、ビオチンが好ましい。
これらのビタミンB7は公知であり、市販のものを用いてもよく、また、公知の方法により製造することも可能である。
【0030】
本発明の組成物におけるビタミンB7の含有量は特に限定されず、適宜検討して決定すればよい。本発明においては、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、組成物全容量に対して0.000001~0.05w/v%含有するものが好ましく、0.000005~0.005w/v%含有するものがより好ましく、0.00001~0.0005w/v%含有するものが特に好ましい。
また、本発明の組成物における、クコシとビタミンB7の含有質量比率は特に限定されないが、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、クコシ1質量部に対し、ビタミンB7を0.0000005~0.2質量部が好ましく、0.000001~0.02質量部がより好ましく、0.000005~0.005質量部が特に好ましい。また、クコシの含有量を原生薬量に換算した場合には、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、原生薬換算したクコシ1質量部に対し、ビタミンB7を0.0000005~0.1質量部が好ましく、0.000001~0.01質量部がより好ましく、0.000005~0.003質量部が特に好ましい。
さらに、本発明の組成物における、アスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上とビタミンB7の含有質量比率は特に限定されないが、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、アスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上を1質量部に対し、ビタミンB7を0.000005~0.1質量部が好ましく、0.00001~0.01質量部がより好ましく、0.00002~0.003質量部が特に好ましい。
【0031】
本発明において、「ビタミンB9」には、葉酸そのもののほか、その誘導体(ジヒドロ葉酸、テトラヒドロ葉酸等)及びそれらの塩も包含され、本発明においては、これらを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においてビタミンB9としては、葉酸が好ましい。
これらのビタミンB9は公知であり、市販のものを用いてもよく、また、公知の方法により製造することも可能である。
【0032】
本発明の組成物におけるビタミンB9の含有量は特に限定されず、適宜検討して決定すればよい。本発明においては、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、組成物全容量に対して0.00001~0.01w/v%含有するものが好ましく、0.00005~0.001w/v%含有するものがより好ましく、0.0001~0.0002w/v%含有するものが特に好ましい。
また、本発明の組成物における、クコシとビタミンB9の含有質量比率は特に限定されないが、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、クコシ1質量部に対し、ビタミンB9を0.000001~0.1質量部が好ましく、0.000005~0.01質量部がより好ましく、0.00005~0.002質量部が特に好ましい。また、クコシの含有量を原生薬量に換算した場合には、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、原生薬換算したクコシ1質量部に対し、ビタミンB9を0.000001~0.05質量部が好ましく、0.00001~0.005質量部がより好ましく、0.00005~0.001質量部が特に好ましい。
さらに、本発明の組成物における、アスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上とビタミンB9の含有質量比率は特に限定されないが、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、アスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上を1質量部に対し、ビタミンB9を0.00001~0.1質量部が好ましく、0.00005~0.01質量部がより好ましく、0.0002~0.001質量部が特に好ましい。
【0033】
本発明において、「ビタミンB12」には、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミンそのもののほか、それらの誘導体(メコバラミン、デオキシアデノシルコバラミン等)及びそれらの塩(塩酸塩等の無機酸塩;酢酸塩等の有機酸塩等)も包含され、本発明においては、これらを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においてビタミンB12としては、塩酸ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン及びヒドロキソコバラミン酢酸塩よりなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
これらのビタミンB12は公知であり、市販のものを用いてもよく、また、公知の方法により製造することも可能である。
【0034】
本発明の組成物におけるビタミンB12の含有量は特に限定されず、適宜検討して決定すればよい。本発明においては、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、組成物全容量に対して0.0000001~0.01w/v%含有するものが好ましく、0.0000005~0.0005w/v%含有するものがより好ましく、0.000001~0.00006w/v%含有するものが特に好ましい。
また、本発明の組成物における、クコシとビタミンB12の含有質量比率は特に限定されないが、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、クコシ1質量部に対し、ビタミンB12を0.00000005~0.05質量部が好ましく、0.0000002~0.005質量部がより好ましく、0.0000005~0.0005質量部が特に好ましい。また、クコシの含有量を原生薬量に換算した場合には、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、原生薬換算したクコシ1質量部に対し、ビタミンB12を0.00000001~0.01質量部が好ましく、0.0000001~0.001質量部がより好ましく、0.0000005~0.0003質量部が特に好ましい。
さらに、本発明の組成物における、アスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上とビタミンB12の含有質量比率は特に限定されないが、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、アスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上を1質量部に対し、ビタミンB12を0.0000001~0.01質量部が好ましく、0.0000005~0.001質量部がより好ましく、0.000002~0.0003質量部が特に好ましい。
【0035】
<成分(C-2)>
本発明において、「ニンニク加工物」としては、ニンニク(Allium sativum)を加工して得られるものであればいかなるものを用いてもよい。ニンニクの使用部位は特に限定されず、その全草もしくはその一部(地上部、地下部、鱗茎、葉、茎、花等)又はそれらの2種以上の組み合わせを使用できるが、鱗茎を使用するのが好ましい。
また、「加工」としては、切断、加熱、乾燥、粉砕、抽出等が挙げられ、当該加工の種類は特に限定されず、具体的には例えば、加熱処理をすること;生ニンニクを乾燥後粉末化すること;溶媒で抽出処理をすること等が挙げられる。抽出溶媒としては、上記「クコシの抽出物」の製造方法について挙げたもののほか、菜種油、オリーブ油、大豆油等の食用植物油が挙げられる。
本発明において、「ニンニク加工物」としては、加工大蒜、ニンニク抽出液、ニンニクエキス、乾燥ニンニク等が挙げられ、加工大蒜が好ましい。加工大蒜としては、例えば、オキソアミヂン(登録商標)、オキソアミヂン(登録商標)末、オキソレジヂン(登録商標)末(以上、理研化学工業(株))等が市販されている。
【0036】
本発明の組成物におけるニンニク加工物の含有量は特に限定されず、適宜検討して決定すればよい。本発明においては、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、組成物全容量に対して0.0002~10w/v%含有するものが好ましく、0.002~1w/v%含有するものがより好ましく、0.02~0.2w/v%含有するものが特に好ましい。
また、本発明の組成物における、クコシとニンニク加工物の含有質量比率は特に限定されないが、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、クコシ1質量部に対し、ニンニク加工物を0.0005~10質量部が好ましく、0.003~6質量部がより好ましく、0.01~3質量部が特に好ましい。また、クコシの含有量を原生薬量に換算した場合には、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、原生薬換算したクコシ1質量部に対し、ニンニク加工物を0.001~5質量部が好ましく、0.005~2質量部がより好ましく、0.01~1質量部が特に好ましい。
さらに、本発明の組成物における、アスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上とニンニク加工物の含有質量比率は特に限定されないが、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、アスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上を1質量部に対し、ニンニク加工物を0.001~10質量部が好ましく、0.005~5質量部がより好ましく、0.05~1質量部が特に好ましい。
【0037】
本発明において、「液状又は半固形状の組成物」の性状は特に限定されず、溶液、コロイド溶液(ゾル(懸濁液や乳濁液))、ゲル等のいずれであってもよい。また、溶媒あるいは基剤の種類・性質等は特に限定されず、親水性であっても油性等の疎水性であってもよく、さらには異なる複数種の溶媒・基剤を適宜混合・乳化等して用いても良い。こうした溶媒・基剤としては、具体的には例えば、下記の添加剤として例示された成分等が挙げられる。
本発明においては、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、液状又は半固形状の組成物が水を含有するのが好ましい(なお、本明細書において、水を含有する組成物を「含水組成物」と称する。)。本発明は、クコシの沈殿・不溶物が特に問題となり得る含水組成物においても、有効に沈殿や不溶物の生成を抑制できるという優れた効果を有する。
ここで、組成物中の水の含有量は特に限定されないが、クコシの沈殿・不溶物生成を抑制する観点から、組成物全質量に対し1質量%以上であるのが好ましく、60~99.99質量%であるのが好ましく、80~99.9質量%であるのがより好ましく、90~99.5質量%であるのが特に好ましい。
なお、本発明の液状又は半固形状の組成物が含水組成物である場合、組成物のpH(25℃)としては、2~6が好ましく、2~5がより好ましく、3~4が特に好ましい。
【0038】
また、本発明においては、組成物の使用感・服用感の観点から、液状又は半固形状の組成物に、エタノールを含有せしめても良い。エタノールを用いる場合は、組成物中のエタノールの含有量は、組成物全容量に対し1w/v%以下であるのが好ましく、0.01~0.5w/v%であるのが特に好ましい。
【0039】
本発明において、液状又は半固形状の組成物が適用される剤形は特に限定されるものではなく、その利用目的等に応じて、例えば第十七改正日本薬局方 製剤総則等に記載の剤形から適宜選択できる。こうした剤形としては、具体的には例えば、経口投与する製剤(経口液剤、シロップ剤、経口ゼリー剤)等の、第十七改正日本薬局方 製剤総則に記載の剤形が挙げられる。
本発明において、液状又は半固形状の組成物の剤形としては、経口液剤、シロップ剤及び経口ゼリー剤(ゼリー状ドロップ剤)よりなる群から選ばれる剤形であるのが好ましく、経口液剤であるのが特に好ましい。
【0040】
なお、液状又は半固形状の組成物を具体的な剤形として製剤化する場合においては、剤形に応じて適宜、液状又は半固形状の組成物を容器(例えば、瓶、かん、プラスチック容器等)に収容する等、各剤形について公知の手段を適用すれば良い(なお、液状又は半固形状の組成物が容器に収容されてなるものを、本明細書において「製品」と称する。)。なお、本発明において、容器の材質としては特に限定されないが、ガラス製であるのが好ましい。下記試験例4に記載の通り、容器の材質としてガラスを採用することにより、沈殿や不溶物の生成がより抑制されることが明らかとなった。なお、ガラスを材質とする容器としては、具体的には例えば、ガラス瓶等が挙げられる。
【0041】
本発明の液状又は半固形状の組成物には、医薬成分として、上記成分以外の薬物を配合してもよい。こうした薬物としては、例えば、ビタミンA類、ビタミンC類、ビタミンD類、ビタミンE類、アミノカルボン酸類、ステロール類、カルシウム塩・マグネシウム塩・鉄塩類、グルクロン酸類、コンドロイチン類、糖アルコール類、配糖体類、チオクト酸類、生薬類等からなる群より選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0042】
ビタミンA類としては、例えば、ビタミンA油、レチノール酢酸エステル、レチノールパルミチン酸エステル、肝油、強肝油等が挙げられる。
ビタミンC類としては、例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸ナトリウム等が挙げられる。
ビタミンD類としては、例えば、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等が挙げられる。
ビタミンE類としては、例えば、コハク酸d-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール、酢酸d-α-トコフェロール、トコフェロール、d-α-トコフェロール、トコフェロールコハク酸エステルカルシウム、トコフェロール酢酸エステル等が挙げられる。
アミノカルボン酸類としては、例えば、L-アルギニン塩酸塩、L-イソロイシン、カルニチン塩化物、グリシン、L-グルタミン酸、ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン、重酒石酸コリン、タウリン、L-トレオニン、L-バリン、L-ヒスチジン塩酸塩水和物、DL-メチオニン、ヨークレシチン、L-リシン塩酸塩、L-ロイシン、L-システイン、L-システイン塩酸塩水和物、オロチン酸、オロチン酸コリン等が挙げられる。
ステロール類としては、例えば、ウルソデオキシコール酸、ガンマオリザノール、デヒドロコール酸等が挙げられる。
カルシウム塩・マグネシウム塩・鉄塩類としては、例えば、クエン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム水和物、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、乳酸カルシウム水和物、無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム水和物、クエン酸鉄アンモニウム、フマル酸第一鉄、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
グルクロン酸類としては、例えば、グルクロノラクトン、グルクロン酸、グルクロン酸アミド等が挙げられる。
コンドロイチン類としては、例えば、コンドロイチン硫酸エステルナトリウム等が挙げられる。
糖アルコール類としては、例えば、イノシトール、グルコン酸ナトリウム等が挙げられる。
配糖体類としては、例えば、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ナトリウム、ルチン水和物等が挙げられる。
チオクト酸類としては、例えば、チオクト酸、チオクト酸アミド等が挙げられる。
生薬類としては、例えば、アセンヤク、ウイキョウ、オウセイ、ガラナ、カンゾウ、ケイヒ、コウジン、サフラン、サンザシ、サンヤク、シゴカ、シャクヤク、シュクシャ、ショウキョウ、ジョテイシ、セイヨウサンザシ、タイソウ、チョウジ、チンピ、トウキ、トシシ、トチュウ、ニクジュヨウ、ニンジン、ブクリョウ、ムイラプアマ、モッコウ、ヤクチ、ヨクイニン、リュウガンニク、ローヤルゼリー等が挙げられる。
【0043】
本発明の液状又は半固形状の組成物には、その剤形、投与方法等に応じて医薬品分野、医薬部外品分野、化粧品分野等において用いられる添加物を配合してもよい。こうした添加物としては、例えば、甘味剤、pH調整剤、抗酸化剤、着色剤、矯味剤、保存剤等が挙げられる。
【0044】
甘味剤としては、例えば、白糖、ブドウ糖、果糖、転化糖、乳糖、ハチミツ、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、キシリトール、トレハロース、スクラロース、サッカリン及びその塩、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ステビア抽出物等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸等の有機酸;塩酸等の無機酸;水酸化ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。
抗酸化剤としては、例えば、アスコルビン酸及びその塩、エリソルビン酸及びその塩、エデト酸及びその塩、亜硫酸水素ナトリウム、没食子酸プロピル等が挙げられる。
着色剤としては、例えば、タール色素、三二酸化鉄、カラメル等が挙げられる。
香料としては、例えば、アップルフレーバー等が挙げられる。
矯味剤としては、例えば、クエン酸及びその塩、L-グルタミン酸及びその塩、ポビドン、l-メントール等が挙げられる。
保存剤としては、例えば、安息香酸及びその塩、パラベン等が挙げられる。
【0045】
本発明において、液状又は半固形状の組成物の製造方法は特に限定されず、配合する成分の種類や量、組成物の性状、剤形、投与経路や用途等に応じて、例えば第十七改正日本薬局方 製剤総則等に記載の公知の方法により製造することができる。
【0046】
本発明の液状又は半固形状の組成物の投与経路(服用経路)は特に限定されず、経口及び経皮、経膣等の非経口が挙げられ、本発明においては、経口が好ましい。
【0047】
本発明の液状又は半固形状の組成物は、滋養強壮等の作用を有するクコシを含有することから、医療用医薬品、OTC医薬品、医薬部外品、食品等として用いることができる。具体的には例えば、以下の(ア)~(カ):
(ア)体力、身体抵抗力又は集中力の維持・改善;
(イ)疲労の回復・予防;
(ウ)虚弱体質(加齢による身体虚弱を含む。)に伴う身体不調の改善・予防;
(エ)日常生活における栄養不良に伴う身体不調の改善・予防;
(オ)病中病後の体力低下時、発熱を伴う消耗性疾患時、食欲不振時、妊娠授乳期又は産前産後の栄養補給;
(カ)目の疲れ;
のいずれか1以上を効能又は効果とする医薬品や医薬部外品とすることができる。本発明においては、(カ)を効能又は効果として含む医薬部外品とするのが特に好ましい。
【0048】
次に、「方法」の態様の発明について、以下に詳述する。
本発明は、次の成分(A):
(A)クコシ
を含有する液状又は半固形状の組成物に、次の成分(B)及び(C):
(B)アスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上
(C)次の成分(C-1)及び(C-2)よりなる群から選ばれる1種以上
(C-1)ビタミンB群
(C-2)ニンニク加工物
を含有せしめる工程を含む、組成物中のクコシの安定化方法(好適には、沈殿及び/又は不溶物の生成の抑制方法)にも関する。
斯かる態様の発明において、成分(A)を含有せしめる工程、成分(B)を含有せしめる工程及び成分(C)を含有せしめる工程の順序は特に限定されず、成分(A)、(B)及び(C)を含有する液状又は半固形状の組成物が直接的又は間接的に作出されればよい。
なお、斯かる態様の発明において、各種文言の意義、各成分の含有量等は全て上記した本発明の「組成物」について説明したのと同様である。
【0049】
本明細書は、以上の実施形態に関連して、例えば以下に例示される発明を開示するが、これらに何ら限定されるものではない。
[1A] 次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)クコシ
(B)アスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上
(C)次の成分(C-1)及び(C-2)よりなる群から選ばれる1種以上
(C-1)ビタミンB群
(C-2)ニンニク加工物
を含有する、液状又は半固形状の組成物。
[2A] 成分(A)が、クコシの抽出物である、[1A]記載の組成物。
[3A] 成分(A)が、クコシチンキ、クコシ軟エキス、クコシ流エキス及びクコシ乾燥エキスよりなる群から選ばれる1種以上である、[1A]又は[2A]記載の組成物。
[4A] 成分(B)が、L-アスパラギン酸、L-アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸カリウム・マグネシウム等量混合物、L-アスパラギン酸ナトリウム及びL-アスパラギン酸マグネシウムよりなる群から選ばれる1種以上である、[1A]~[3A]のいずれか記載の組成物。
[5A] 成分(C-1)が、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB9及びビタミンB12よりなる群から選ばれる1種以上である、[1A]~[4A]のいずれか記載の組成物。
[6A] ビタミンB1が、硝酸ビスチアミン、チアミン塩化物塩酸塩、チアミンジスルフィド、チアミンジセチル硫酸エステル塩、チアミン硝化物、オクトチアミン、シコチアミン、セトチアミン塩酸塩水和物、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、フルスルチアミン、フルスルチアミン塩酸塩、プロスルチアミン及びベンフォチアミンよりなる群から選ばれる1種以上である、[5A]記載の組成物。
[7A] ビタミンB2が、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、リボフラビン、リボフラビン酪酸エステル及びリボフラビンリン酸エステルナトリウムよりなる群から選ばれる1種以上である、[5A]又は[6A]記載の組成物。
[8A] ビタミンB3が、ニコチン酸アミドである、[5A]~[7A]のいずれか記載の組成物。
[9A] ビタミンB5が、パンテノール、パントテン酸カルシウム及びパントテン酸ナトリウムよりなる群から選ばれる1種以上である、[5A]~[8A]のいずれか記載の組成物。
[10A] ビタミンB6が、ピリドキサールリン酸エステル水和物及びピリドキシン塩酸塩よりなる群から選ばれる1種以上である、[5A]~[9A]のいずれか記載の組成物。
[11A] ビタミンB7が、ビオチンである、[5A]~[10A]のいずれか記載の組成物。
[12A] ビタミンB9が、葉酸である、[5A]~[11A]のいずれか記載の組成物。
[13A] ビタミンB12が、塩酸ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン及びヒドロキソコバラミン酢酸塩よりなる群から選ばれる1種以上である、[5A]~[12A]のいずれか記載の組成物。
[14A] 成分(C-2)が、加工大蒜、ニンニク抽出液、ニンニクエキス及び乾燥ニンニクよりなる群から選ばれる1種以上である、[5A]~[13A]のいずれか記載の組成物。
[15A] 含水組成物である、[1A]~[14A]のいずれか記載の組成物。
[16A] 経口液剤、シロップ剤及び経口ゼリー剤よりなる群から選ばれる剤形である、[1A]~[15A]のいずれか記載の組成物。
[17A] [1A]~[16A]のいずれか記載の組成物が、ガラス製の容器に収容されてなる、製品。
[18A] 以下の(ア)~(カ):
(ア)体力、身体抵抗力又は集中力の維持・改善;
(イ)疲労の回復・予防;
(ウ)虚弱体質(加齢による身体虚弱を含む。)に伴う身体不調の改善・予防;
(エ)日常生活における栄養不良に伴う身体不調の改善・予防;
(オ)病中病後の体力低下時、発熱を伴う消耗性疾患時、食欲不振時、妊娠授乳期又は産前産後の栄養補給;
(カ)目の疲れ;
のいずれか1以上を効能又は効果とするものである、[17A]記載の製品。
【0050】
[1B] 次の成分(A):
(A)クコシ
を含有する液状又は半固形状の組成物に、次の成分(B)及び(C):
(B)アスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上
(C)次の成分(C-1)及び(C-2)よりなる群から選ばれる1種以上
(C-1)ビタミンB群
(C-2)ニンニク加工物
を含有せしめる工程を含む、組成物中のクコシの安定化方法(好適には、沈殿及び/又は不溶物の生成の抑制方法)。
[2B] 成分(A)が、クコシの抽出物である、[1B]記載の方法。
[3B] 成分(A)が、クコシチンキ、クコシ軟エキス、クコシ流エキス及びクコシ乾燥エキスよりなる群から選ばれる1種以上である、[1B]又は[2B]記載の方法。
[4B] 成分(B)が、L-アスパラギン酸、L-アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸カリウム・マグネシウム等量混合物、L-アスパラギン酸ナトリウム及びL-アスパラギン酸マグネシウムよりなる群から選ばれる1種以上である、[1B]~[3B]のいずれか記載の方法。
[5B] 成分(C-1)が、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB9及びビタミンB12よりなる群から選ばれる1種以上である、[1B]~[4B]のいずれか記載の方法。
[6B] ビタミンB1が、硝酸ビスチアミン、チアミン塩化物塩酸塩、チアミンジスルフィド、チアミンジセチル硫酸エステル塩、チアミン硝化物、オクトチアミン、シコチアミン、セトチアミン塩酸塩水和物、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、フルスルチアミン、フルスルチアミン塩酸塩、プロスルチアミン及びベンフォチアミンよりなる群から選ばれる1種以上である、[5B]記載の方法。
[7B] ビタミンB2が、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、リボフラビン、リボフラビン酪酸エステル及びリボフラビンリン酸エステルナトリウムよりなる群から選ばれる1種以上である、[5B]又は[6B]記載の方法。
[8B] ビタミンB3が、ニコチン酸アミドである、[5B]~[7B]のいずれか記載の方法。
[9B] ビタミンB5が、パンテノール、パントテン酸カルシウム及びパントテン酸ナトリウムよりなる群から選ばれる1種以上である、[5B]~[8B]のいずれか記載の方法。
[10B] ビタミンB6が、ピリドキサールリン酸エステル水和物及びピリドキシン塩酸塩よりなる群から選ばれる1種以上である、[5B]~[9B]のいずれか記載の方法。
[11B] ビタミンB7が、ビオチンである、[5B]~[10B]のいずれか記載の方法。
[12B] ビタミンB9が、葉酸である、[5B]~[11B]のいずれか記載の方法。
[13B] ビタミンB12が、塩酸ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン及びヒドロキソコバラミン酢酸塩よりなる群から選ばれる1種以上である、[5B]~[12B]のいずれか記載の方法。
[14B] 成分(C-2)が、加工大蒜、ニンニク抽出液、ニンニクエキス及び乾燥ニンニクよりなる群から選ばれる1種以上である、[5B]~[13B]のいずれか記載の方法。
[15B] 組成物が、含水組成物である、[1B]~[14B]のいずれか記載の方法。
[16B] 組成物の剤形が、経口液剤、シロップ剤及び経口ゼリー剤よりなる群から選ばれる剤形である、[1B]~[15B]のいずれか記載の方法。
[17B] 組成物を、さらにガラス製の容器に収容する工程を含む、[1B]~[16B]のいずれか記載の方法(なお、斯かる態様の発明において、組成物に成分(A)を含有せしめる工程、組成物に成分(B)を含有せしめる工程、組成物に成分(C)を含有せしめる工程及び組成物をガラス製の容器に収容する工程の順序は特に限定されない。)。
【実施例】
【0051】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0052】
[試験例1]保存試験 その1
以下のサンプル1-A、1-B及び1-Cを調製し、保存開始直前及び-5℃で1日間保存した後の外観(沈殿・不溶物の生成の有無)を目視により評価した。なお、沈殿及び不溶物が生じなかったものを○、沈殿あるいは不溶物が生じたものを×と評価した。
結果を表1に示す。
【0053】
<サンプル1-A>
クコシ流エキス(日本粉末薬品(株)製:クコシ流エキス-A)50g(原生薬換算量 50g)、アスパラギン酸カリウム・マグネシウム等量混合物(アルプス薬品工業(株)製:L-アスパラギン酸マグネシウム・カリウム)25g及びベンフォチアミン(米沢浜理薬品工業(株)製:ベンフォチアミン)100mgを精製水に溶解・懸濁して全量250mLの液状の組成物を得た。組成物のpH値(25℃)は5.8であった。
得られた組成物をポリプロピレン製のチューブ(Falcon社製:コニカルチューブ(遠心分離用)PP 15mL 型番:352096)に収容してサンプル1-Aとした。
<サンプル1-B>
クコシ流エキス(日本粉末薬品(株)製:クコシ流エキス-A)50g(原生薬換算量 50g)及びアスパラギン酸カリウム・マグネシウム等量混合物(アルプス薬品工業(株)製:L-アスパラギン酸マグネシウム・カリウム)25gを精製水に溶解・懸濁して全量250mLの液状の組成物を得た。組成物のpH値(25℃)は5.9であった。
得られた組成物をポリプロピレン製のチューブ(Falcon社製:コニカルチューブ(遠心分離用)PP 15mL 型番:352096)に収容してサンプル1-Bとした。
<サンプル1-C>
クコシ流エキス(日本粉末薬品(株)製:クコシ流エキス-A)50g(原生薬換算量 50g)及びベンフォチアミン(米沢浜理薬品工業(株)製:ベンフォチアミン)100mgを精製水に溶解・懸濁して全量250mLの液状の組成物を得た。組成物のpH値(25℃)は5.0であった。
得られた組成物をポリプロピレン製のチューブ(Falcon社製:コニカルチューブ(遠心分離用)PP 15mL 型番:352096)に収容してサンプル1-Cとした。
【0054】
【0055】
表1記載の結果の通り、クコシ流エキスを含有する液状の組成物において、さらにアスパラギン酸カリウム・マグネシウム等量混合物のみを含有するサンプル1-B及びベンフォチアミンのみを含有するサンプル1-Cでは-5℃1日間保存後に沈殿や不溶物が生成したのに対し、アスパラギン酸カリウム・マグネシウム等量混合物とベンフォチアミンを共に含有するサンプル1-Aは-5℃1日間保存後も沈殿及び不溶物が生成していなかった。
【0056】
以上の試験結果より、クコシを含有する液状又は半固形状の組成物に、さらにアスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上とビタミンB群(ビタミンB1)とを組み合わせて含有せしめることによって、沈殿や不溶物の生成が抑制されることが明らかとなった。
【0057】
[試験例2]保存試験 その2
以下のサンプル2-A、2-B及び2-Cを用いたほかは試験例1と同様の方法により試験を実施した。
結果を表2に示す。
【0058】
<サンプル2-A>
クコシ流エキス(日本粉末薬品(株)製:クコシ流エキス-A)50g(原生薬換算量 50g)、アスパラギン酸カリウム・マグネシウム等量混合物(アルプス薬品工業(株)製:L-アスパラギン酸マグネシウム・カリウム)25g及びリボフラビンリン酸エステルナトリウム(協和ファーマケミカル(株)製:リボフラビンリン酸エステルナトリウム)40mgを精製水に溶解・懸濁して全量250mLの液状の組成物を得た。組成物のpH値(25℃)は5.9であった。
得られた組成物をポリプロピレン製のチューブ(Falcon社製:コニカルチューブ(遠心分離用)PP 15mL 型番:352096)に収容してサンプル2-Aとした。
<サンプル2-B>
クコシ流エキス(日本粉末薬品(株)製:クコシ流エキス-A)50g(原生薬換算量 50g)及びアスパラギン酸カリウム・マグネシウム等量混合物(アルプス薬品工業(株)製:L-アスパラギン酸マグネシウム・カリウム)25gを精製水に溶解・懸濁して全量250mLの液状の組成物を得た。組成物のpH値(25℃)は5.9であった。
得られた組成物をポリプロピレン製のチューブ(Falcon社製:コニカルチューブ(遠心分離用)PP 15mL 型番:352096)に収容してサンプル2-Bとした。
<サンプル2-C>
クコシ流エキス(日本粉末薬品(株)製:クコシ流エキス-A)50g(原生薬換算量 50g)及びリボフラビンリン酸エステルナトリウム(協和ファーマケミカル(株)製:リボフラビンリン酸エステルナトリウム)40mgを精製水に溶解・懸濁して全量250mLの液状の組成物を得た。組成物のpH値(25℃)は4.9であった。
得られた組成物をポリプロピレン製のチューブ(Falcon社製:コニカルチューブ(遠心分離用)PP 15mL 型番:352096)に収容してサンプル2-Cとした。
【0059】
【0060】
表2記載の結果の通り、クコシ流エキスを含有する液状の組成物において、さらにアスパラギン酸カリウム・マグネシウム等量混合物のみを含有するサンプル2-B及びリボフラビンリン酸エステルナトリウムのみを含有するサンプル2-Cでは-5℃1日間保存後に沈殿や不溶物が生成したのに対し、アスパラギン酸カリウム・マグネシウム等量混合物とリボフラビンリン酸エステルナトリウムを共に含有するサンプル2-Aは-5℃1日間保存後も沈殿及び不溶物が生成していなかった。
【0061】
以上の試験結果より、クコシを含有する液状又は半固形状の組成物に、さらにアスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上とビタミンB群(ビタミンB2)とを組み合わせて含有せしめることによって、沈殿や不溶物の生成が抑制されることが明らかとなった。
【0062】
なお、ビタミンB群としてビタミンB6(好適にはピリドキサールリン酸エステル水和物、ピリドキシン塩酸塩)及びビタミンB12(好適には塩酸ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、ヒドロキソコバラミン酢酸塩)を用いて同様の試験を実施できる。
【0063】
[試験例3]保存試験 その3
以下のサンプル3-A、3-B及び3-Cを用いたほかは試験例1と同様の方法により試験を実施した。
結果を表3に示す。
【0064】
<サンプル3-A>
クコシ流エキス(日本粉末薬品(株)製:クコシ流エキス-A)50g(原生薬換算量 50g)、アスパラギン酸カリウム・マグネシウム等量混合物(アルプス薬品工業(株)製:L-アスパラギン酸マグネシウム・カリウム)25g及び加工大蒜(理研化学工業(株)製:オキソアミヂン)25gを精製水に溶解・懸濁して全量250mLの液状の組成物を得た。組成物のpH値(25℃)は5.2であった。
得られた組成物をポリプロピレン製のチューブ(Falcon社製:コニカルチューブ(遠心分離用)PP 15mL 型番:352096)に収容してサンプル3-Aとした。
<サンプル3-B>
クコシ流エキス(日本粉末薬品(株)製:クコシ流エキス-A)50g(原生薬換算量 50g)及びアスパラギン酸カリウム・マグネシウム等量混合物(アルプス薬品工業(株)製:L-アスパラギン酸マグネシウム・カリウム)25gを精製水に溶解・懸濁して全量250mLの液状の組成物を得た。組成物のpH値(25℃)は5.9であった。
得られた組成物をポリプロピレン製のチューブ(Falcon社製:コニカルチューブ(遠心分離用)PP 15mL 型番:352096)に収容してサンプル3-Bとした。
<サンプル3-C>
クコシ流エキス(日本粉末薬品(株)製:クコシ流エキス-A)50g(原生薬換算量 50g)及び加工大蒜(理研化学工業(株)製:オキソアミヂン)25gを精製水に溶解・懸濁して全量250mLの液状の組成物を得た。組成物のpH値(25℃)は4.7であった。
得られた組成物をポリプロピレン製のチューブ(Falcon社製:コニカルチューブ(遠心分離用)PP 15mL 型番:352096)に収容してサンプル3-Cとした。
【0065】
【0066】
表3記載の結果の通り、クコシ流エキスを含有する液状の組成物において、さらにアスパラギン酸カリウム・マグネシウム等量混合物のみを含有するサンプル3-B及び加工大蒜のみを含有するサンプル3-Cでは-5℃1日間保存後に沈殿や不溶物が生成したのに対し、アスパラギン酸カリウム・マグネシウム等量混合物と加工大蒜を共に含有するサンプル3-Aは-5℃1日間保存後も沈殿及び不溶物が生成していなかった。
【0067】
以上の試験結果より、クコシを含有する液状又は半固形状の組成物に、さらにアスパラギン酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上とニンニク加工物とを組み合わせて含有せしめることによって、沈殿や不溶物の生成が抑制されることが明らかとなった。
【0068】
[試験例4]保存試験 その4
以下のサンプル4-Aを用い、保存条件を60℃、2週間としたほかは試験例1と同様の方法により試験を実施した。
結果を表4に示す。
【0069】
<サンプル4-A>
クコシ流エキス(日本粉末薬品(株)製:クコシ流エキス-A)50g(原生薬換算量 50g)、アスパラギン酸カリウム・マグネシウム等量混合物(アルプス薬品工業(株)製:L-アスパラギン酸マグネシウム・カリウム)25g及び加工大蒜(理研化学工業(株)製:オキソアミヂン)25gを精製水に溶解・懸濁して全量250mLの液状の組成物を得た。組成物のpH値(25℃)は5.2であった。
得られた組成物をガラス瓶(磯矢硝子工業(株)製:A-102K。なお、金属キャップは共立金属工業(株)製のE-103Nを使用した。)に収容してサンプル4-Aとした。
【0070】
【0071】
表4記載の結果の通り、容器の材質をガラス製としたサンプル4-Aは、60℃2週間保存後も沈殿や不溶物が確認されなかった。
【0072】
[製造例]
常法により、下記表5、表6に記載の成分及び分量を100mL中に含有する液状の組成物(経口液剤)を製造し、これをガラス瓶に収容して、それぞれ製造例1~10の製品を得た。
なお、表5、6において、クコシの量は原生薬換算量である。
【0073】
【0074】
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明によれば、クコシを含有し、かつ、保存安定性が優れた液状又は半固形状の組成物を提供でき、医薬品産業、食品産業等において利用できる。