(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】経路層を持つ複数領域ペデスタルヒーター
(51)【国際特許分類】
H05B 3/74 20060101AFI20230914BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
H05B3/74
H01L21/68 N
(21)【出願番号】P 2020545073
(86)(22)【出願日】2018-11-20
(86)【国際出願番号】 US2018062036
(87)【国際公開番号】W WO2019104048
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2021-11-12
(32)【優先日】2017-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502137880
【氏名又は名称】ワトロー エレクトリック マニュファクチュアリング カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】プタシエンスキ, ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ブレイトロウ, スタントン ホプキンス
(72)【発明者】
【氏名】ノスラチ, モハンマド
(72)【発明者】
【氏名】スミス, ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス, ブリタニー
(72)【発明者】
【氏名】エームズ, ケン
(72)【発明者】
【氏名】マルガヴィオ, パトリック
(72)【発明者】
【氏名】イングリッシュ, カート
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-296254(JP,A)
【文献】特表2014-529826(JP,A)
【文献】特開2017-157617(JP,A)
【文献】特開2005-303014(JP,A)
【文献】再公表特許第2017/029876(JP,A1)
【文献】特開2006-222008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/74
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の加熱領域
を画定する複数の抵抗加熱素子を有する抵抗層、経路層、複数の導電ビア、
および該経路層に接続された複数の電気端子を含む支持部材
であって、該複数の抵抗加熱素子が該複数の電気端子に直接的には接続されていない、支持部材を備え、
該支持部材は相互に反対側の表面を有するメイン基板を含み、該抵抗層および該経路層は、
該メイン基板の該相互に反対側の表面上に配置され、該メイン基板を貫通して延びる該複数の
導電ビアによって接続され、
該複数の抵抗加熱素子が、複数のワイヤーによって、該抵抗層の
加熱領域の数
が該経路層に接続された
該複数のワイヤーの数以上と
なるように接続されている、支持ペデスタル。
【請求項2】
該抵抗層および該経路層は該支持部材に対して垂直な平面上に配置され、該抵抗層および該経路層は、該抵抗層が該支持部材の中央領域を横断して延びるように、オーバーラップする、請求項1に記載の支持ペデスタル。
【請求項3】
該経路層は、中央部分と、該中央部分から延びる複数のアーム部分とを含み、該複数のアーム部分の数は該抵抗加熱素子の数と一致する、請求項1に記載の支持ペデスタル。
【請求項4】
該メイン基板の該相互に反対側の表面は、上面および底面
であり、該メイン基板は、その中に
該導電ビアを受け入れるための複数のビア開口と、該底面に開口する複数の盲凹部とを画定している、請求項1に記載の支持ペデスタル。
【請求項5】
該複数の導電ビアが、前記メイン基板の該上面から該底面まで延在し、該メイン基板の該上面および該底面と面一とされている、請求項
4に記載の支持ペデスタル。
【請求項6】
該複数の電気端子が該複数の盲凹部内に配置され
ている、請求項
4に記載の支持ペデスタル。
【請求項7】
該経路層は、複数のアーム部分を含み、各アーム部分は該複数の導電ビアの一対に接続される一端と、該複数の電気端子の一対に接続される他端とを有する、請求項
6に記載の支持ペデスタル。
【請求項8】
該複数の電気端子の少なくとも一部は、該メイン基板の該底面と面一である、請求項
6に記載の支持ペデスタル。
【請求項9】
該支持部材は、上
層および下層をさらに含み、該抵抗層は、該上層と該メイン基板との間に配置され、該経路層は該メイン基板と該下層との間に配置されている、請求項1に記載の支持ペデスタル。
【請求項10】
該経路層と同じ平面に沿って配置された第2の抵抗層をさらに含み、該経路層は、該第2の抵抗層よりも
低い抵抗を有し、該第2の抵抗層の一部とオーバーラップする、請求項1に記載の支持ペデスタル。
【請求項11】
該経路層は、該第2の抵抗層よりも
低い抵抗を有し、該第2の抵抗層に当接するようにされている、請求項
10に記載の支持ペデスタル。
【請求項12】
該第2の抵抗層および該経路層と同じ平面に沿って配置された遷移トレースをさらに含み、該遷移トレースの抵抗は、該第2の抵抗層の抵抗以下である、請求項
10に記載の支持ペデスタル。
【請求項13】
該抵抗層が2線式ヒーター構成、該抵抗層を外部電源に接続するためのマトリクス配線構成、および該抵抗層を外部電源に接続するための複数並列配線構成のうちの1つ以上を有する、請求項1に記載の支持ペデスタル。
【請求項14】
該抵抗層の該
複数の
加熱領域への電力を調整するための複数の電力変換器を含む制御システムをさらに備える、請求項1に記載の支持ペデスタル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年11月21日に出願された「複数領域セラミックペデスタル(Multi-Zone Ceramic Pedestal)」と題された米国仮出願第62/589,023号の優先権および利益を主張し、その内容は参照により全体として本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、一般に、半導体処理装置に関し、より詳細には、ウエハーなどの基板を載置し支持して加熱するための基板支持ペデスタルに関する。
【0003】
ここでの説明は、本開示に関連する背景情報を提供するだけであり、必ずしも公知技術を説明するものではない。
【0004】
半導体処理用のペデスタルなどのウエハー支持アセンブリは、半導体処理チャンバ内に配置され、通常、ウエハー支持部と、ウエハー支持部の中央領域に固定されたシャフトとを含む。ウエハー支持部は、熱を発生させるための抵抗加熱素子と、抵抗加熱素子を外部電源に接続するための電気端子とを含むことができる。電気端子は、ウエハー支持部の中央領域に隣接して配置されてシャフト内に延びる。抵抗加熱素子は、ウエハー支持部の中央領域の外側に配置され、通常、中央シャフトエリアの近くには電気端子があるため抵抗加熱素子はない。その結果、通常、中央領域にはコールドスポットが生じ、コールドスポットの面積を減らすために中央領域のサイズは比較的に小さくされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、中央領域のサイズの縮小により、中央領域に配置することができる電気端子の数が制限され、その結果、独立して制御することができる加熱領域の数が制限される。ペデスタルに温度検知デバイスを組み込むことの複雑さとシャフト領域の近くのコールド領域のため、従来のウエハー支持ペデスタルは、一般に、1つまたは2つの加熱領域のみを提供するように構成される。加熱領域が限られていると、半導体処理チャンバ内にあってウエハー支持部の局所的な温度に影響を与える可能性のある様々な要因により、ウエハー支持部にわたる所定の加熱プロファイルを提供することができない。
【0006】
さらに、中央領域のサイズの縮小は、ウエハー支持部の温度を監視するために使用できる温度センサの数も制限する。限られた数の温度センサでは、ウエハー支持部の温度の正確なモニタリングができない。したがって、ウエハー支持部の抵抗加熱素子は、典型的には、比率制御(すなわち、開ループ)を使用して操作される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、少なくとも2つの領域を有する抵抗層、経路層、および複数の導電ビアを含む支持部材を有する支持ペデスタルを提供する。抵抗層および経路層は、支持部材の異なる面に配置され、複数のビアによって接続される。抵抗層の領域の数は、経路層に結合されたワイヤーの数以上である。
【0008】
1つの形態では、抵抗層および経路層は支持部材に対して垂直な平面に配置され、抵抗層および経路層は、抵抗層が支持部材の中央領域を横断して延びるように、オーバーラップする。
【0009】
別の形態では、支持部材は、相互に反対側の表面を有するメイン基板を含む。抵抗層および経路層は、メイン基板の相互に反対側の表面上に配置され、複数の導電ビアがメイン基板を通って延在する。この形態では、複数の導電ビアは相互に反対側の表面に対して垂直に配置され得る。
【0010】
別の形態では、抵抗層は、複数の加熱領域を画定する複数の抵抗加熱素子を含み、経路層は、中央部分と、中央部分から延びる複数のアーム部分とを含む。複数のアーム部分は加熱領域に電気的に接続され、アーム部分の数は、抵抗加熱素子の数と一致する。支持部材は、経路層の中央部分に接続された複数の電気端子をさらに含むことができる。
【0011】
さらに別の形態では、支持部材は上面および底面を画定するメイン基板を含む。メイン基板はさらに、その中に導電ビアを受け入れるための複数のビア開口と、底面に開口した複数の盲凹部とを画定する。複数のビア開口は、メイン基板の上面から底面まで延在することができ、メイン基板の上面および底面と面一である。加えて、盲凹部に挿入される電気端子を提供するようにすることができる。経路層は、複数のアーム部分を含むことができ、各アーム部分は、一対の導電ビアに接続された一端と、一対の電気端子に接続された他端とを有する。電気端子は、メイン基板の底面と面一となるようにすることができる。
【0012】
さらに別の形態では、支持部材は、上層、メイン基板、および下層をさらに含み、抵抗層は、上層とメイン基板との間に配置され、経路層は下層との間に配置される。
【0013】
別の形態では、支持ペデスタルは、経路層と同じ平面に沿って配置された第2の抵抗層をさらに含む。この形態では、経路層は、第2の抵抗層の抵抗よりも高い抵抗を有し、第2の抵抗層の一部とオーバーラップするか、または第2の抵抗層に当接する。別の形態では、第2の抵抗層の抵抗以下の遷移トレースが、第2の抵抗層および経路層と同じ平面に沿って配置される。
【0014】
さらなる形態では、抵抗層は、2線式ヒーター構成、抵抗層を外部電源に接続するためのマトリクス配線構成、および抵抗層を外部電源に接続するための複数並列配線構成のうちの1つまたは複数を有する。
【0015】
本開示は、複数の加熱領域を画定する複数の抵抗加熱素子、中央部分と中央部分から延びる複数のアーム部分とを有する経路層、複数の抵抗加熱素子および経路層との間に配置されたメイン基板、およびメイン基板を通って延在し複数の抵抗加熱素子に接続された複数対の導電ビア、を含む支持ペデスタルをさらに提供する。各アーム部分は、導電ビアの対応するペアに接続され、加熱領域の数は、経路層に結合されたワイヤーの数以上である。
【0016】
様々な形態において、抵抗層の加熱素子への電力を調整するための複数の電力変換器を含む制御システムを設けるようにすることができる。
【0017】
本開示は、第1の表面および第2の表面を有する基板、少なくとも2つの領域を有し、基板の第1の表面上に配置された第1の抵抗層、基板の第2の表面上に配置され2つの領域を有する第2の抵抗層、および第2の抵抗層と同じ平面上に配置された経路層、を含む支持ペデスタルをさらに提供する。複数の導電ビアが、経路層を第1の抵抗層に電気的に接続する。第1の抵抗層および第2の抵抗層のうちの少なくとも一方における領域の数は、経路層に結合されたワイヤーの数以上である。
【0018】
応用範囲のさらなる領域は、本明細書の説明から明らかになるであろう。本明細書の説明および特定の例は、例示のみを目的としており、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0019】
本開示は、詳細な説明および添付の図面からより十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本開示の教示に従って構成された支持ペデスタルの上面図である。
【0021】
【0022】
【0023】
【
図4】
図4は、
図3の支持部材の導電ビアの分解斜視図である。
【0024】
【0025】
【
図6】
図6は、
図3の支持部材のメイン基板の上面斜視図である。
【0026】
【0027】
【
図8】
図8は、
図3の支持部材のメイン基板および複数の導電ビアの上面斜視図である。
【0028】
【
図9】
図9は、
図8のA部の拡大断面図であり、メイン基板のビアホールへの導電ビアの挿入を示す。
【0029】
【
図10】
図10は、
図3の支持部材のメイン基板上に形成された抵抗層の斜視図である。
【0030】
【0031】
【
図12】
図12は、互いに結合されて単一プレートを形成する最上層およびメイン基板の斜視図である。
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【
図16】
図16は、
図3の支持部材の部分断面図であり、メイン基板に挿入された導電ビアおよび2つの電気端子を示す。
【0036】
【0037】
【
図18】
図18は、
図3の支持部材の概略図であり、抵抗層、導電ビア、経路層、電気端子、および外部ケーブルへの電気ケーブルの間の接続を示す。
【0038】
【
図19】
図19は、支持部材の変形例の概略図であり、メイン基板、抵抗層、および上層の上面斜視図を示す。
【
図20】
図20は、支持部材の変形例の概略図であり、メイン基板、経路層、および下層の底面斜視図を示す。
【0039】
【
図21】
図21は、
図3の支持ペデスタルの抵抗層を制御するための配線構造の概略図である。
【0040】
【
図22】
図22は、本開示の教示による電力変換システムを有する制御システムのブロック図である。
【0041】
【
図23】
図23は、本開示の教示による電力変換システムの電力変換器のブロック図である。
【0042】
【
図24A】
図24Aは、本開示の教示による異なる入力条件に基づく電力変換器の異なる出力電圧の波形を示す。
【
図24B】
図24Bは、本開示の教示による異なる入力条件に基づく電力変換器の異なる出力電圧の波形を示す。
【
図24C】
図24Cは、本開示の教示による異なる入力条件に基づく電力変換器の異なる出力電圧の波形を示す。
【
図24D】
図24Dは、本開示の教示による異なる入力条件に基づく電力変換器の異なる出力電圧の波形を示す。
【0043】
【
図25】
図25は、本開示の教示による厚い経路層用の2層ペデスタルを示す。
【0044】
【
図26】
図26は、経路層によって引き起こされるペデスタルのホットスポットを示す。
【
図27】
図27は、経路層によって引き起こされるペデスタルのホットスポットを示す。
【0045】
【
図28】
図28は、本開示の教示による薄い加熱層および厚い経路層構成を示す。
【0046】
図面のいくつかの図を通して対応する参照番号は対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下の説明は本質的には単なる例示であり、本開示、用途、または使用を限定することを意図するものではない。
【0048】
図1及び
図2を参照すると、本開示の教示に従って構成された支持ペデスタル10は、ウエハーなどの加熱ターゲットをその上で支持および加熱するために半導体処理チャンバで使用することができる。支持ペデスタル10は、支持部材12と、支持部材12の中央領域15に取り付けられた管状シャフト14とを含む。支持部材12は、ウエハー(図示せず)などの基板を支持する上面16と、管状シャフト14が取り付けられる底面18とを有する。支持ペデスタル10はさらに、支持部材12に埋め込まれ、外部電源に接続される少なくとも1つの電子または電気素子/層24(
図3に示す)を接続するために管状シャフト14に受け入れられた複数の電気ケーブル20を有する。層24は、用途に応じて、抵抗加熱層、温度センサ、静電チャック(ESC)用の電極、または無線周波数(RF)アンテナなどとすることができる。図面には示されていないが、支持部材12は、随意に、パージガスを受けるためのガス導管と、ウエハーに真空クランプを提供するための真空導管とを画定するようにすることができる。
【0049】
図3を参照すると、一形態では、支持部材12は、積層されて一体構造を形成する複数の層を含む。複数の層は、上から下に順に配置された、上層22、熱を生成するための抵抗層24、メイン基板26、経路層28、および任意選択的に下層30を有する。抵抗層24および経路層28は、メイン基板26の相互に反対側の表面に配置され、異なる平面に配置される。抵抗層24は、独立して制御可能であり、複数の加熱領域を画定する複数の抵抗加熱素子78を含む。
図3においては、6つの抵抗加熱領域を画定するために6つの抵抗加熱素子78が示されている。本開示の範囲から逸脱することなく、任意の数の抵抗加熱素子78を使用することができる。また、本開示の範囲内に留まりながら、複数の基板26を使用することもできる。
【0050】
支持部材12は、この特定の多層構造によって限定されず、本開示の範囲内において、追加の機能層(例えば、結合層、誘電体層、検知層、保護層)をさらに含み得る。一例では、支持部材12はさらに、処理チャンバ―によって加えられるRFプラズマまたは磁場を補償するために接地端子に電気的に接続される集積無線周波数(RF)グリッド層を備える。あるいは、抵抗層24および/または経路層28が、RFグリッド層とされる。RFグリッド層は通常、処理チャンバによって与えられるRFプラズマまたは磁場を接地端子を通して導いてヒーターとセンサデバイスを保護するためのアンテナとして使用される。
【0051】
支持部材12はさらに、支持部材12に対して垂直な平面N上に配置された、複数の導電ビア32(1つのみが
図3に示されている)および複数の電気端子34(1つだけが
図3に示されている)を含む。複数の導電ビア32は、メイン基板26を通って延び、メイン基板26の両側/表面に配置された抵抗層24と経路層28を接続している。複数の電気端子34は、経路層28が配置されているメイン基板26の側面/表面に隣接して配置され、経路層28を電気ケーブル20に接続している。電気ケーブル20は、中央領域15に配置されて、(表示されていない)外部電源に接続される。
【0052】
経路層28は、中央部分80と、中央部分80から実質的に半径方向に延びて、対応する一対の導電ビア32および結果として対応する抵抗加熱素子78に係合する複数のアーム部分82とを含むように構成され得る。この形態では、経路層28の各アーム部分82は、対応する一対の電気端子34と対応する一対の導電ビア32とを接続して、抵抗層24の対応する加熱領域を制御するための経路回路を構成する。
【0053】
図3は、抵抗層24が6つの独立して制御される抵抗加熱素子78を含み、経路層28が6つのアーム部分82を含むことを示す。抵抗層24は、本開示の範囲から離れることなく、任意の数の抵抗加熱素子78および抵抗加熱領域を有することができる。経路層28のアーム部分82の数、ならびに導電ビア32の数および電気端子34の数は、抵抗加熱素子78および加熱領域の数により決まる。抵抗層24がn個の加熱領域を画定するn個の抵抗加熱素子78を含む場合、経路層28の経路回路を構成しているn個のアーム部分82を介して、このn個の抵抗加熱素子78を外部電源に接続するために、2n個の導電ビア32および2n個の電気端子34が設けられている。
【0054】
抵抗層24および経路層28は、メイン基板26の相互に反対の側(例えば、
図6および7に示されるようにメイン基板26の上面60および底面62)に配置され、その結果、抵抗層24および経路層28は、支持部材12に垂直な平面Nに対して垂直に配置される。この構成では、経路層28は、抵抗層24とオーバーラップし、電気端子34が中央領域15に配置されているにもかかわらず、抵抗層24が支持部材12の中央領域15を横断して延びることを可能にする。これにより、中央領域15のコールドスポットを大幅に低減または排除している。
【0055】
上層22、メイン基板26、および下層30は、窒化アルミニウム(AlN)などのセラミック材料で作られてもよく、焼結または機械加工されたセラミックプレートの形態であってもよい。複数の導電ビア32は、単一の導電ピンの形態であってもよく、または複数のピースを有するように形成されてもよい。
【0056】
図4に示すように、一形態では、複数の導電ビア32はそれぞれ、ビアヘッド36およびビアベース38を含む。ビアヘッド36は、拡大ヘッド部分40と、拡大ヘッド部分40に取り付けられた円筒部分42とを含む。ビアベース38は、その長さに沿って延在し、その中にビアヘッド36の円筒部分42を受け入れるための貫通孔50を画定する。ビアベース38の拡大底部46は、経路層28を導電ビア32に固定するのを助ける一対のカットアウト48を有する。導電ビア32はそれぞれ上面70と底面72を含む。
【0057】
図5に示すように、電気端子34は、上部52および下部拡大部54を含む。電気端子34は、対応する電気ケーブル20の(
図14に示す)端子端92を受け入れるための挿入穴56を画定するソケットの形態とすることができる。
【0058】
図6および
図7に示すように、メイン基板26は、上面60、底面62、複数の導電ビア32を受けるためにメイン基板26を通って延びる複数のビア開口64、複数の電気端子34を受け入れるための底面62に開いた複数の盲凹部66、および複数の位置合わせ穴68を含む。ビア開口64の数は、導電ビア32の数に対応する。盲凹部66の数は、電気端子34の数に一致する。
図3に明確に示されるように上層22および下層30はまた、メイン基板26の位置合わせ穴68に対して整列された対応する位置合わせ穴68を有し、上層22、メイン基板26、および下層30が結合または焼結されて1つの統合ユニットとされるときに、それらの整列を容易にする。
【0059】
図8および
図9に示すように、複数のビア開口64は、複数の導電ビア32を中に受け入れるように構成され、導電ビア32の上面70および底面72(より具体的には、ビアヘッド36の上面70およびビアベース38の底面72)が、メイン基板26の上面60および底面62とそれぞれ面一となっている。
図8には12個のビア開口64が示されており、12個の導電ビア32を受け入れるようにされている。ビアヘッド36はどのような従来の固定方法によってビアベース38に固定されてもよく、その従来の固定方法には、ねじ接続、摩擦嵌合、溶融ろう付け、および焼結が含まれるがこれらに限定されない。そのようなビアの焼結に関する追加の情報は、本開示とともに共有され、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、「セラミックペデスタルで使用するための二重目的のビア(DUAL-PURPOSE VIAS FOR USE IN CERAMIC PEDESTALS)」という同時出願係属中の出願に開示されている。盲凹部66、電気端子34、および経路層28の中央部分80は、支持部材12の中央領域15に配置されている。
【0060】
ビア開口64は、メイン基板26を貫通して(例えば、上面60から底面62まで)延在するように示されているが、本発明の開示の範囲内において、部分的にのみメイン基板26に延在して各ビア開口64がメイン基板26の上面60または底面62に対してのみ開口するようにすることができる。
【0061】
図10を参照するに、抵抗層24は、上層22とメイン基板26との間に配置されるものであり、メイン基板26の上面60上に、例えば、物理蒸着(PVD)、スパッタリング、薄いホイルなどの当該分野で知られている方法により形成するようにすることができる。
【0062】
図11および12では、抵抗層24がメイン基板26の上面60上に形成された後、上層22を、ホットプレス拡散接合によってメイン基板26の上面60に接合して、抵抗層24をそれらの間に封入し、窒化アルミニウム(AlN)の単一構造体とするようにすることができる。必要に応じて、下層30は、同じステップまたは異なるステップでメイン基板26の底面62に結合されるようにしてもよく、経路層28をメイン基板26と下層30との間に配置し、上層22、抵抗層24、メイン基板26、経路層28、および下層30を一緒に結合するようにすることができる。経路層28は、同様に、PVD、スパッタリング、薄いホイル、または他の任意の従来の方法によって、メイン基板26の底面62上に形成することができる。
【0063】
図13に示すように、管状シャフト14は、支持部材12に接続されて、複数の電気ケーブル20が配置される収容空間90を画定する。
【0064】
図14から
図17に示すように、複数の盲凹部66は、メイン基板26の底面62から凹んでおり、その中に複数の電気端子34を受け入れる。下層30は、複数の盲凹部66と整列した複数の貫通穴98を含む。電気ケーブル20はそれぞれ、下層30の貫通穴98を通り、メイン基板26の盲凹部66に受け入れられた電気端子34の挿入穴56に挿入された端子端92を有し、電気ケーブル20と電気端子34との間の電気的および物理的接続を確立する。電気ケーブル20の端子端92は、本明細書に開示される方法に限定されることなく、任意の従来の方法を使用して電気端子34に接続され得る。
【0065】
図18に示されるように、抵抗層24は、複数の抵抗加熱素子78を含み、経路層28の上方位置に配置される。抵抗層24と経路層28は、支持部材12の異なる平面に配置される。したがって、抵抗層24は、支持部材12の中央領域15を横断して延在して、中央領域15におけるコールドスポットを低減することができる。抵抗層24と経路層28が異なる平面にあるので、抵抗加熱素子78はそれぞれ、支持部材12に対して垂直な平面N上に配置された対応する一対の導電ビア32によって経路層28の対応するアーム部分82に接続されている。経路層28の各アーム部分82は、抵抗加熱素子78を支持部材12の中央領域15に配置された一対の電気端子34に接続するための経路回路である。電気端子34は、電気ケーブル20に接続され、電気ケーブル20は外部電源に接続される。
【0066】
さらに、抵抗層24と経路層28が異なる平面にあるので、抵抗層24は経路層28とオーバーラップするように構成することができ、その結果、抵抗層24が利用できるカバー領域が増える。したがって、支持部材12は、セラミック基板へのワット数が分散された複数の加熱領域を有するように構成することができる。さらに、複数の加熱領域を有する抵抗層24は、抵抗加熱素子78の抵抗変化を使用することによって温度センサとして使用することもできる。したがって、支持部材12の配線構造を簡略化することができるが、これについては後に詳述する。
【0067】
図19および20を参照するに、本開示の教示に従って構築された支持部材の変形は、メイン基板は抵抗層と経路層を受け入れるためのトレンチ(溝)が設けられている点を除いて、
図3の支持部材12と同様の構造を有する。一例として、支持部材は、ダマシン製造プロセスによって形成されてもよい。ダマシン製造プロセスでは、メイン基板は誘電体層を含み、誘電体層は金属層の形状を有するトレンチを形成するようにされ、トレンチ内に金属層を形成するようにされる。ダマシン製造プロセスは、フォトリソグラフィ法、すなわちまずフォトレジストパターンをマスクとして金属パターンをメイン基板上に形成し、その後金属パターンの周囲に誘電材料を印刷または堆積して平面を形成するフォトリソグラフィ法とは対照的である。
【0068】
より具体的には、支持部材120は、上から下に順に配置された、上層122、抵抗層124、メイン基板126、経路層128、および下層130を含む。メイン基板126は、相互に反対側の上面132および底面134を有する。上面132は、その中に抵抗層124を受け入れるための抵抗層124の形状に対応する形状を有する第1のトレンチ136を画定する。メイン基板126の底面134は、その中に経路層128を受け入れるための経路層128の形状に対応する形状を有する第2のトレンチ138を画定する。抵抗層124および経路層128は、第1および第2のトレンチ136、138のそれぞれに1つまたは複数の金属材料を堆積させることによって、それぞれ第1および第2のトレンチ136、138内に形成することができる。あるいは、抵抗層124および経路層128は、所望の形状/パターンを有する金属シートの形態であってもよく、第1のトレンチ136および第2のトレンチ138内に配置される。
【0069】
図3の支持部材12のように、支持部材120は複数の導電ビア140を含む。この複数の導電ビア140は、一形態において、支持部材120に平行な方向Nに沿って延在し、メイン基板126を貫通している対応するビアキャビティ(図示せず)に配置される。同様に、電気端子142は、メイン基板126の底面134に形成され、経路層128を電気ケーブル(
図19および20には図示せず)に接続する。
【0070】
上層122、メイン基板126、および下層130は、窒化アルミニウム(すなわち、アルミナ)などのセラミック材料でできている。上層122、メイン基板126、および下層130は、それぞれ未焼結セラミックプレートなどとされ、ホットプレスなどによって一緒に焼結されて、抵抗層124および経路層128を封入した単一体のセラミック基板を形成し得る。
【0071】
あるいは、上層122、メイン基板126、および下層130は、機械加工されたセラミックプレートであり、焼結プロセスなしに、熱結合および拡散結合などの任意の従来の結合方法によって一緒に結合される。あるいは、上層122、メイン基板126、および下層130のうちの1つまたは複数は未焼結状態であり、他は機械加工されたプレートとされる。機械加工されたプレートは、ホットプレス拡散接合によって焼結構造に接合されて、焼結プレートと焼結拡散接合の両方を含むハイブリッド構造を形成し得る。
【0072】
本開示の支持部材12、120においては、特に記載および図示はされていないが、上層、メイン基板および下層の表面に1つまたは複数の誘電体層を形成するようにすることができ、本開示の範囲から逸脱することなく、抵抗層および経路層を絶縁したり、抵抗層および経路層のメイン基板への結合を容易にしたりすることができる。複数の導電ビアおよび電気端子は、抵抗加熱層および経路層が異なる平面にあり、経路層を電気ケーブルに適切に接続できることができる限り、支持部材に垂直な平面N上に、または垂直な平面Nに対してある角度をもって延びるように配置するようにすることができる。
【0073】
図21を参照すると、複数の加熱領域を有する抵抗層24、124を制御するための制御システムが記載されている。支持部材12、120は、適応型熱システム(ATS)技術を使用することにより閉ループ制御を使用して制御システムに接続し、追加のセンサなしですべての加熱領域を制御することができる。適応型熱システムは、ヒーターの設計と制御システムを組み合わせて、システム統合を簡素化しながら差別化された閉ループ制御を実現する。抵抗層24、124の抵抗加熱素子78は、モリブデン、チタン、ニッケルなどの比較的高い抵抗温度係数(TCR)を有する材料を含み、したがって、抵抗層24、124自体も、抵抗加熱回路の抵抗変化に基づいて温度情報を提供するためのセンサとして使用することができる。
【0074】
換言すれば、抵抗加熱素子78の温度は、比較的高い抵抗温度係数を有する抵抗加熱素子の抵抗変化によって推定される。したがって、熱電対などの追加の温度センサは不要であり、それにより、支持ペデスタル10内の配線接続が単純化される。熱電対ではなく抵抗加熱素子78を使用すると、複数の加熱領域でより良い温度フィードバックと閉ループ制御を提供して、高温でのセラミック破損のリスクを軽減できる。この「2線式(two-wire)」構成のさまざまな形式について、以下で詳しく説明する。
【0075】
さらに、マトリックスおよび複数並列配線トポロジーが、カスタム制御アルゴリズムと統合される。
図21に示されるように、抵抗加熱素子78および抵抗加熱素子78を外部電源に接続するための配線は、ワイヤー150のすべての対がそれらの間に接続された抵抗加熱素子78を有するように構成される。そのような配線構成は、「サーマルアレイを制御するためのシステムおよび方法(System and Method for Controlling a Thermal Array)」と題された米国特許第9,123,755号、およびその関連特許/出願に記載されており、それらは共に本出願に割り当てられ、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。配線構成は、すべての抵抗加熱素子78の電力制御と温度検知とを同時に行うことを可能にし、支持部材12、120のセラミック材料を支持部材12、120の特定の領域の温度が高くなりすぎて閾値温度を超えたときの破損から保護する。さらに、この制御方式により、より少ない制御でより少ない配線を使用して、支持ペデスタル10の熱性能を向上させることができる。例えば、一形態では、本明細書に記載の配線トポロジーを使用して接続できるヒーターの数は、n(n-1)/2に等しく、ここでnはワイヤーの数である。従って、ヒーター/領域の数は、通常、ワイヤーの数以上である。
【0076】
本開示の一形態では、抵抗層24の抵抗加熱素子78は、熱を生成するため、および素子の温度を検出するために使用される。言い換えれば、抵抗加熱素子78は「2線式」加熱素子であり、ヒーター及び温度センサとして機能し、4本(例えば、加熱素子に対して2本、別の温度センサに対して2本)ではなく2本のリード線が加熱素子に機能的に接続されている。このような2線式機能は、例えば、本出願と共に割り当てられ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,196,295号に開示されている。
【0077】
一般に、第1および第2のリード線と通信する制御システムは、2つのリード線間の電圧の変化を測定するように構成される。より具体的には、制御システムは、リード線にわたるミリボルト(mV)の変化を測定し、これらの電圧の変化を使用して、抵抗加熱素子の平均温度を計算する。一形態では、制御システムは、抵抗加熱素子への電力供給を中断することなく、電圧の変化を測定することができる。これは、例えば、AC入力電力信号のゼロ交差で読み取りを行うことによって達成され得る。別の形態では、電力供給が遮断され、制御システムが加熱モードから測定モードに切り替わって電圧の変化を測定する。平均温度が求められると、制御システムは加熱モードに戻る。
【0078】
抵抗層の異なる加熱素子は、同じ電力が加熱素子に供給されている場合でも同じ速度で加熱されない場合がある。これは、ヒートシンクに対する加熱素子の位置や加熱領域での製造の不均一性など、さまざまな要因によって引き起こされる可能性がある。隣接する加熱領域間で大きな温度差が発生すると、隣接する加熱領域での熱膨張の大きな差によって引き起こされる熱機械的応力により、加熱プレートのセラミック基板に亀裂が生じる可能性がある。この懸念に対処するために、本開示の一形態では、制御システムは抵抗層に印加される電力を調整するための1つまたは複数の電力変換器を有する電力変換システムを含む。
【0079】
図22に示すように、制御システムは、制御器200と、複数の電力変換器204を含む電力変換システム202とを含む。1つ以上の電力変換器204は、支持ペデスタル206の抵抗層の加熱素子に接続される。各電力変換器204は、電源208からの入力電圧(V
IN)を、加熱素子に印加される出力電圧(V
OUT)に調整するように機能し、ここで出力電圧は入力電圧以下とされる。
【0080】
図23を参照すると、所与の電力変換器204は、ドライバー回路232と、電界効果トランジスタである制御スイッチ236を有する降圧変換器234とを含む。ドライバー回路232は、制御器200からの入力信号に基づいて、制御スイッチ236を操作する。
【0081】
降圧変換器234は、概括的にはステップダウン電圧変換器として、電源208からの電圧を減少させるように動作可能である。具体的には、電源208からのAC電圧(例えば、208VAC)はDC電圧に整流され、降圧変換器234によって受け取られる。制御スイッチ236の動作に基づいて、降圧変換器234は、電圧を減少させて電源208からの電流を増加させ、調整された電圧および電流をそれぞれの加熱素子に印加する。制御スイッチの伝達速度は出力電圧の振幅を制御するようになっており、制御スイッチの低い伝達速度は低振幅出力電圧を出力し、制御スイッチの高い伝達速度は高振幅出力電圧を出力する。電圧リップルを低減するために、コンデンサまたはコンデンサとインダクタの組み合わせからなるフィルタが、降圧変換器234の出力および/または入力に追加される。電力変換システムに関する追加情報は、2017年6月15日に出願され「熱システム用の電力変換器(POWER CONVERTOR FOR A THERMAL SYSTEM)」というタイトルの本出願人の同時係属出願、米国シリアル番号15/624,060に開示されており、この情報は本出願とともに共有され、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0082】
制御器200は、マイクロプロセッサおよびメモリを含む電子機器を含み、電力変換システム202によって抵抗加熱素子に供給される電力を制御するように構成される。制御器200は、ペデスタルの加熱素子からのフィードバックデータならびに予め記憶された制御アルゴリズムおよび/またはプロセスに基づいて、ヒーター素子に印加される電圧を調整するように電力変換システム202を操作する。フィードバック情報は、抵抗、負荷電流、および/または電圧の少なくとも1つを含む。負荷電流および/または電圧は、センサ回路238によって検出され得る。
【0083】
本開示の一形態では、電源208からの入力電圧は、例えば、米国特許第7,257,464号および第8,423,193号に開示されているようなスケーリング係数を使用してスケーリングされる。この米国出願は本出願に共に割り当てられるものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。入力電圧は、事前設定されたユーザー値に基づいてスケーリングできる。事前設定されたユーザー値は、最大電圧出力レベルと最大電力出力レベルのいずれかであり、通常、電流、電圧、またはワット数である。電流は、電圧のスケーリングとヒーターへの電力供給と同時に測定される。スケーリングはランプアップ中のヒーター特性を検出するための段階的なランプアップを含む。
【0084】
本開示のもう1つの形態では、制御器200は、センサ回路238からのデータに基づいて、また、ヒータータイプ、オープンヒーター、ショートヒーター、スタートアップ、ウォームアップ、定常状態、ヒーター温度などの加熱素子の動作状態に基づいて所与の電力変換器204の所望の出力電圧を求める。この例では、制御器は、所定の電力変換器からの電力がそれぞれの加熱素子の温度の変化に一致するように、ヒーターの加熱素子の温度に基づいて電圧を調整するように電力変換器を操作するように構成される。別の形態では、制御器は、加熱素子の動作モードに基づいて決定される選択されたデューティサイクルで制御スイッチを切り替える。たとえば、
図24Aから24Dは、それぞれ、スタートアップモード中、ウォームアップモード中、定常状態モード中、および外乱時に、ヒーターの1つ以上の加熱素子に電力を提供する電力変換器の出力電圧波形を示す。図示のように、加熱素子に印加される電圧波形は異なる。電圧は、加熱素子の抵抗、加熱素子に流れる電流、および加熱素子の温度に応じて変化する。温度が比較的低いスタートアップ時およびウォームアップ時には、電圧の振幅は比較的小さいため、ワット数は比較的低くなる。温度が比較的高い定常状態および外乱/サージの間は電圧の振幅が増加しワット数が高くなる。このような制御方式に関する追加情報は、2017年8月10日に出願された、ヒーターへの電力を制御するためのシステム及び方法(System and Method for Controlling Power to a Heater)」と題され、本出願人の同時係属中の米国仮出願番号62/543,457に開示されており、その出願および内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0085】
電力変換システム202を有することにより、制御システムは、加熱素子、したがってヒーターの正確かつより安全な制御のために、加熱素子への電力を変化させる。例えば、ピーク電流を最小化するために又は加熱の初期段階およびシャットダウン中に加熱プレートの基板の熱亀裂を防止するために、1つ以上の加熱素子に低電力を供給するようにすることができる。制御器200は、異なる電圧を出力するように電力変換システム202を制御し、個々の加熱領域の温度を制御する。したがって、制御システムは、異なる領域間の温度差を調整して、ペデスタルのヒーター全体に均一な温度を提供する。
【0086】
上述のように、経路層28、128は、抵抗加熱素子78を電気端子34、142に電気的に接続して抵抗加熱素子78に電力を供給するように構成される。理想的な実装では、経路層28、128は、支持部材12、120の熱プロファイルに影響を及ぼさないようにできるだけ少ない熱を発する。しかし、いくつかの実装形態では、経路層28、128は、経路層28、128の表面に沿って「ホットスポット」を引き起こす可能性のある熱を生成する可能性があり、これは、セラミックペデスタルに沿ったホットスポットになり得る。
【0087】
例えば、
図25は、第1の抵抗層252、経路層256、および第2の抵抗層258を有する2層ペデスタルを示す。この例では、第1の抵抗層252は、メイン基板254上に配置された上部加熱層であり、第2の抵抗層258は基板254の底面上に配置された底部加熱層である。上部加熱層252は、4つの外側の四分円形状の領域、中間のワッシャー形状の領域、および内側のディスク形状の領域を備えた6領域のヒーターである。底部加熱層258は、4つの外側四分円形状領域を備えた4領域のヒーターである。経路層256は、メイン基板254の中央領域と底部加熱層258との間に延在し、底部加熱層258と同じ平面上にある。経路層256は、ビアを介して上部加熱層252に接続され、回路トレースを介して底部加熱層258に電気的に接続される。一形態では、上記の配線トポロジーを使用して、上部加熱層252および/または底部加熱層258の領域の数は、経路層に接続されたワイヤーの数以上である。
【0088】
加熱層の回路トレースはだいたい非常に薄く(たとえば、1~2mm)、必要なワット数を生成するために必要な抵抗を形成する。しかしながら、経路層256の場合、薄いトレースは、経路層256によって運ばれる電流密度のために過度の熱を生成し、したがって、熱プロファイルにヒートスポットを引き起こす。例えば
図26および
図27を参照すると、薄い経路層トレースを有する支持部材のペデスタル表面の予想される熱プロファイルは、領域1および2の下の経路層によって引き起こされるホットスポット260を含む。
【0089】
図25および28を参照すると、経路層256に起因するペデスタル表面全体のホットスポット260および温度差に対処するために、底部加熱層258の厚さは薄いが経路層256の厚さは増加される。例えば、本開示の一形態では、経路層256は、2つの層のトレース(すなわち、フォイル)によって形成される。
図28の(A)において、第1のトレース282は、第1の厚さ(例えば、2mm)で底部加熱層258および経路層256を形成し、第2の厚さ(例えば、5mm)を有する第2のトレース284は、経路層256を形成する領域で第1のトレース282の上に積層される。したがって、底部加熱層258は、必要な熱を生成するために薄い厚さ(例えば、2mm)を有し、経路層256は、厚い厚さ(例えば、7mm)を有し、経路層256を通って電流が流れるときの発熱を大幅に低減または防止する。
【0090】
本開示の別の形態では、経路層256および底部加熱層258は、加熱層258と経路層256とを接続する遷移トレースを有する2つの異なるトレースによって形成される。具体的には、
図28の(B)に示すように、第1の厚さ(例えば2mm)を有する第1のトレース286が底部加熱層258を形成し、第1の厚さより大きい第2の厚さ(例えば5mm)を有する第2のトレース288が経路層256を形成する。第1の厚さ以上の厚さ(例えば、7mm)を有する遷移トレース281が、加熱層258と経路層256とを電気的に結合する遷移領域を形成する。(A)の構成と同様に、加熱層258は薄い厚さを有し、経路層256は厚い厚さを有する。
【0091】
本開示の支持ペデスタル10は、すべての機能層を未焼結状態にしておき、すべての機能層をホットプレスプロセスで組み合わせるという利点を有する。一部の層は焼結状態とされ、拡散接合によって接合されるようにすることができる。したがって、支持部材12、120は、未焼結状態と焼結結合のハイブリッドであってもよい。デュアルダマシン薄膜プロセスを使用して、抵抗層24、124、252および経路層28、128、256を形成することができる。抵抗層24、124、252および経路層28、128、256は、異なる平面上に提供され、導電ビア32、132および電気端子34、142が、抵抗層24、124、252と経路層28、128、256を電気ケーブル20に、そして外部電源に接続するようにし、それにより、管状シャフト14内の電気ケーブル20への抵抗層24、124、252の接続を単純化する。
【0092】
支持ペデスタル10は半導体処理に使用されるように説明されたが、一般的な加熱目的のヒーターを形成するために、管状シャフト14なしで支持部材12のみが使用されるように変更することができる。
【0093】
図面には示されていないが、静電チャック、冷却チャネル、RFアンテナ、および電子機器/固体デバイスなど、他の構造を支持ペデスタル10に組み入れるようにすることができる。
【0094】
本開示は、例として説明および図示された様々な形態に限定されるものではない。多種多様な変更が説明されており、さらに多くの変更は当業者の知識の一部である。これらおよびさらなる修正ならびに技術的同等物によるあらゆる置換は、本開示および本特許の保護の範囲を逸脱することなく、本明細書および図に追加され得る。