(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】設計支援装置、設計支援方法、及びプログラム。
(51)【国際特許分類】
G06F 30/18 20200101AFI20230914BHJP
G06F 30/12 20200101ALI20230914BHJP
G06Q 50/06 20120101ALI20230914BHJP
G06F 113/04 20200101ALN20230914BHJP
G06F 113/16 20200101ALN20230914BHJP
【FI】
G06F30/18
G06F30/12
G06Q50/06
G06F113:04
G06F113:16
(21)【出願番号】P 2021082684
(22)【出願日】2021-05-14
【審査請求日】2022-03-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年10月29日-11月30日、つくばフォーラム2020 ONLINE 開催ウェブサイト(https://www.tsukuba-forum.jp/index.html)にて公開。
(73)【特許権者】
【識別番号】592039543
【氏名又は名称】北陸電話工事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137394
【氏名又は名称】横井 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】重山 安司
(72)【発明者】
【氏名】谷畑 陽一
(72)【発明者】
【氏名】谷口 成光
(72)【発明者】
【氏名】原田 智樹
【審査官】松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-048307(JP,A)
【文献】特開2004-054403(JP,A)
【文献】特開平10-011483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 -30/398
G06Q 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
図面において、電柱シンボルの選択を受け付ける選択受付部と、
前記選択受付部により複数の電柱シンボルの選択を受け付けた場合に、選択された複数の電柱間に設置される設備情報を収集する設備収集部と、
前記設備収集部により収集された設備情報を表示する設備表示部と、
前記設備表示部により表示された設備情報の中から、いずれかの設備情報を選択する操作を受け付ける注目設備選択部と、
前記注目設備選択部により選択された設備情報のシンボルが図面の中央に配置されるように、図面を移動させる図面表示部と
を有する設計支援装置。
【請求項2】
前記設備収集部は、選択された複数の電柱間に設置されている既設の設備情報と、これらの電柱間で新設される設備情報とを収集し、
前記設備収集部により収集された設備情報に基づいて、工事現場に必要な部材を決定する部材決定部
をさらに有する請求項1に記載の設計支援装置。
【請求項3】
前記設備収集部により収集された設備情報の中から、再利用可能な部材を特定する再利用特定部
をさらに有し、
前記部材決定部は、前記設備収集部により収集された設備情報と、前記再利用
特定部により特定された再利用可能な部材とに基づいて、工事現場にもっていくべき部材を決定する
請求項2に記載の設計支援装置。
【請求項4】
前記設備収集部に収集された設備情報と、前記部材決定部により決定された工事現場に必要な部材とに基づいて、工事現場に必要な部材に対応する作業工程を設定する作業工程設定部
をさらに有し、
前記作業工程設定部は、工事現場に必要な部材に対応する作業工程の候補が複数ある場合、複数ある作業工程の候補の中から、ユーザに選択された所定の作業工程を、部材に対応する作業工程として設定する
請求項3に記載の設計支援装置。
【請求項5】
前記作業工程設定部は、工事現場にもっていくべき部材として同じ種類の部材が複数ある場合、部材に対応する作業工程を一括で設定する
請求項4に記載の設計支援装置。
【請求項6】
同一の電柱に設置された複数の支持体シンボルが互いに平行に配置されている場合に、これらの支持体シンボルの平行状態を維持したままで、まとめて編集する支持体編集部
をさらに有する請求項1に記載の設計支援装置。
【請求項7】
ユーザにより指定された区間の両端を基端として、基端からそれぞれ引き出された2つの引出線が対称的に、基端を中心とする傾斜角度及び長さを編集するはたあげ設定部
をさらに有する請求項1に記載の設計支援装置。
【請求項8】
埋設物に関する調書のシンボルを図面上に配置した状態において、調書内にあるいずれかの選択肢をユーザが選択したタイミングで調書内容を変更する調書設定部
をさらに有する請求項1に記載の設計支援装置。
【請求項9】
コンピュータが、電柱シンボルの選択を受け付けるステップと、
コンピュータが、複数の電柱シンボルの選択を受け付けた場合に、選択された複数の電柱間に設置される設備情報を収集するステップと、
コンピュータが、収集された設備情報を表示するステップと、
コンピュータが、表示された設備情報の中から、いずれかの設備情報を選択する操作を受け付けるステップと、
コンピュータが、選択された設備情報のシンボルが図面の中央に配置されるように、図面を移動させるステップと
を有する設計支援方法。
【請求項10】
電柱シンボルの選択を受け付けるステップと、
複数の電柱シンボルの選択を受け付けた場合に、選択された複数の電柱間に設置される設備情報を収集するステップと、
収集された設備情報を表示するステップと、
表示された設備情報の中から、いずれかの設備情報を選択する操作を受け付けるステップと、
選択された設備情報のシンボルが図面の中央に配置されるように、図面を移動させるステップと
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設計支援装置、設計支援方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、配線工事会社の設計支援システムサーバから最新の設備管理データを取り込む設備管理データ取込手段と、設計支援システムサーバから工程データを取り込む工程データ取込手段と、前記設備管理データ取込手段によって、取り込まれた設備管理データの中から、配線施工現場の地図データに配線工事情報を配線施工現場状況に合わせて工事配線図を作成する設計図作成手段と、該設計図作成手段による工事配線図、及び、前記工程データ取込手段によって取り込まれた工程データに基づいて、配線工事の工程を算出する工程算出手段と、該工程算出手段で算出された配線工事工程に必要な物品算出する物品算出手段と、前記工事配線図や配線工事工程、物品算出等の設計図書を、前記設計支援システムサーバに送信する設計図書送信手段とを備えていることを特徴とするケーブル配線用設計支援システムが開示されている。
また、特許文献2には、電力設備又は水道管路設備の設備対象地域の図面をイメージデータとして読込む図面読込み手段と、前記イメージデータの画像に対して設計に不要な部分を取除くイメージデータ編集手段と、前記編集したイメージデータを長さと方向を持つベクトルデータの集りとして作成保存するベクトルデータ作成手段と、前記イメージデータを背景図として画面表示し、該画面に電力設備又は水道管路設備をポインティングデバイスで重ね書きして設計図データを得ること及び該データを編集する作図・編集手段とを有する設計支援システが開示されている。
また、特許文献3には、スキャナなどの図面入力手段により配管図面の図面データをパソコンに入力して図面データファイルを作成した後、パソコンのディスプレイ上で各配管部材の2点もしくは立ち上がり・立ち下がりを指定して、その長さ寸法の個別的な拾い出しを行なって、拾いデータ記載図面ファイルと拾いデータファイルとを作成し、ディスプレイに表示されている配管図画面および拾いデータ入力画面の内の一方の画面上で、所定の所定拾い個所(もしくは所定の拾い長さ)を指定すると、それに対応する他方の画面上の拾い長さ(もしくは拾い個所)の表示が特定表示状態に切り替えられるようにする配管設備の積算システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-200279号公報
【文献】特開平6-215055号公報
【文献】特開2002-92393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、設計製図作業の効率化を図ることができる設計支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る設計支援装置は、図面において、電柱シンボルの選択を受け付ける選択受付部と、前記選択受付部により複数の電柱シンボルの選択を受け付けた場合に、選択された複数の電柱間に設置される設備情報を収集する設備収集部と、前記設備収集部により収集された設備情報を表示する設備表示部と、前記設備表示部により表示された設備情報の中から、いずれかの設備情報を選択する操作を受け付ける注目設備選択部と、前記注目設備選択部により選択された設備情報のシンボルが図面の中央に配置されるように、図面を移動させる図面表示部とを有する。
【0006】
好適には、前記設備収集部は、選択された複数の電柱間に設置されている既設の設備情報と、これらの電柱間で新設される設備情報とを収集し、前記設備収集部により収集された設備情報に基づいて、工事現場に必要な部材を決定する部材決定部をさらに有する。
【0007】
好適には、前記設備収集部により収集された設備情報の中から、再利用可能な部材を特定する再利用特定部をさらに有し、前記部材決定部は、前記設備収集部により収集された設備情報と、前記再利用決定部により特定された再利用可能な部材とに基づいて、工事現場にもっていくべき部材を決定する。
【0008】
好適には、前記設備収集部に収集された設備情報と、前記部材決定部により決定された工事現場に必要な部材とに基づいて、工事現場に必要な部材に対応する作業工程を設定する作業工程設定部をさらに有し、前記作業工程設定部は、工事現場に必要な部材に対応する作業工程の候補が複数ある場合、複数ある作業工程の候補の中から、ユーザに選択された所定の作業工程を、部材に対応する作業工程として設定する。
【0009】
好適には、前記作業工程設定部は、工事現場にもっていくべき部材として同じ種類の部材が複数ある場合、部材に対応する作業工程を一括で設定する。
【0010】
好適には、同一の電柱に設置された複数の支持体シンボルが互いに平行に配置されている場合に、これらの支持体シンボルの平行状態を維持したままで、まとめて編集する支持体編集部をさらに有する。
【0011】
好適には、ユーザにより指定された区間の両端を基端として、基端からそれぞれ引き出された2つの引出線が対称的に、基端を中心とする傾斜角度及び長さを編集するはたあげ設定部をさらに有する。
【0012】
好適には、埋設物に関する調書のシンボルを図面上に配置した状態において、調書内にあるいずれかの選択肢をユーザが選択したタイミングで調書内容を変更する調書設定部をさらに有する。
【0013】
本発明に係る設計支援方法は、コンピュータが、電柱シンボルの選択を受け付けるステップと、コンピュータが、複数の電柱シンボルの選択を受け付けた場合に、選択された複数の電柱間に設置される設備情報を収集するステップと、コンピュータが、収集された設備情報を表示するステップと、コンピュータが、表示された設備情報の中から、いずれかの設備情報を選択する操作を受け付けるステップと、コンピュータが、選択された設備情報のシンボルが図面の中央に配置されるように、図面を移動させるステップとを有する。
【0014】
本発明に係るプログラムは、電柱シンボルの選択を受け付けるステップと、複数の電柱シンボルの選択を受け付けた場合に、選択された複数の電柱間に設置される設備情報を収集するステップと、収集された設備情報を表示するステップと、表示された設備情報の中から、いずれかの設備情報を選択する操作を受け付けるステップと、選択された設備情報のシンボルが図面の中央に配置されるように、図面を移動させるステップとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、設計製図作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態における電気通信設備設計支援システム1のハードウェア構成を例示する図である。
【
図2】電気通信設備設計支援装置2のハードウェア構成を例示する図である。
【
図3】電気通信設備設計支援装置2の機能構成を例示する図である。
【
図4】編集前後の支持体シンボルを例示する図である。
【
図5】編集前後のはたあげシンボルを例示する図である。
【
図6】編集前後の埋設物調書シンボルを例示する図である。
【
図7】電気通信設備設計支援処理:設備探索(S10)を説明するフローチャートである。
【
図8】電柱シンボルを選択した状態を例示する図である。
【
図9】収集した設備情報を表示した状態を例示する図である。
【
図10】ユーザにより選択された設備情報の電線シンボルが表示画面の中央に配置された状態を例示する図である。
【
図11】電気通信設備設計支援処理:工程材料集計(S20)を説明するフローチャートである。
【
図12】既設の電柱シンボルを選択した状態を例示する図である。
【
図13】新設する電線の設備設定、及び、描画された電線シンボルを例示する図である。
【
図14】既設電線シンボルを撤去設定する状態を例示する図である。
【
図15】新設設定の電線シンボル、及び、撤去設定の既設電線シンボルを例示する図である。
【
図16】作業工程の設定前における工程集計の一覧を例示する図である。
【
図17】作業工程の設定時における工程集計の一覧を例示する図である。
【
図18】変形例1のシンボル描画部238の機能構成を例示する図である。
【
図19】第1右支持体の関連性を解除した支持体シンボルを例示する図である。
【
図20】回転前の支持体シンボル及びテキストを例示する図である。
【
図21】回転後の支持体シンボル及びテキストを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず、本発明がなされた背景を説明する。
電柱や電線のいわゆる電気通信設備の新設及び既設撤去工事に関する設計において、例えば、配線工事依頼主である電話会社が管理するデータベースから、電気通信設備に関する最新の設備情報、具体的には、ユーザが設計に必要な範囲の地図情報と、この地図情報における既設の設備情報とを取得し、取得した情報に基づいて、工事区間の設計製図を行っていた。電気通信設備の設計には、機械設計や建築設計等でも使用可能な汎用CAD(computer-aided design)を使用しており、電気通信設備設計専用CADがないのが現状である。
そのため、電気通信設備を示すシンボルを必要に応じて描画する必要があった。また、地図情報のうち広範囲な工事区間を設計するとき、地図情報を表示する表示画面外に編集すべき工事区間が位置する場合において、編集すべき工事区間を表示画面内に表示させる表示操作(スライダー操作やスクロール操作等)を手動で行う必要があった。
そこで、上記事情を一着眼点にして本発明の実施形態を創作するに至った。本発明の実施形態によれば、ユーザが選択した電気通信設備を示すシンボルが表示画面中央となるよう自動的に表示させる。また、電気通信設備を示すシンボルを予め用意し、用意したシンボルを編集可能とする。これにより、設計製図作業を効率的に支援することが可能である。
以下、このような本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本実施形態における電気通信設備設計支援システム1のハードウェア構成を例示する図である。
図1に例示するように、電気通信設備設計支援システム1(以下、設計支援システム1)は、電気通信設備に関する工事を受注する工事会社の設計支援システムである。設計支援システム1は、例えば、外部記録装置を介して、配線工事依頼主である電話会社が管理する電気通信設備管理サーバ9(以下、管理サーバ9)から、電気通信設備に関する最新の設備情報を取得する。本例の設計支援システム1は、ユーザにより管理サーバ9からUSBメモリにダウンロードされた設備情報を取得する。
管理サーバ9は、立設した電柱や電柱間に架設された電線等の電気通信設備における最新の設備情報を管理するサーバ装置である。電気通信設備における設備情報とは、立設した電柱や電柱間に架設された電線等の電気通信設備の位置を示す地図情報9Aと、電気通信設備の物品詳細を示す設備情報9Bとを含む。ここで、地図情報9Aとは、住宅、商業施設、及び道路等で区切られた図に、例えば電柱又は電線等の電気通信設備を示す設備記号(以下、シンボル)を記載した地図を電子化した情報である。また、設備情報9Bとは、電柱又は電線等の電気通信設備部材に関する詳細情報であり、電柱である場合、地物名、線路名、電柱番号、電柱間距離、他企業電柱番号、及び材料名等を含む。また、電線である場合、地物名、接続先電柱名、接続先電柱番号、ケーブル長さ等を含む。
【0019】
電気通信設備設計支援システム1(以下、設計支援システム1)は、電気通信設備設計支援装置2(以下、設計支援装置2)と、プリンター4と、共有サーバ6とを有する。設計支援装置2は、ネットワーク7を介して、プリンター4、及び、共有サーバ6と通信可能に接続している。
設計支援装置2は、管理サーバ9から取得した地図情報9A及び設備情報9Bに基づいて、工事作業者用の設計図面や設計工程調書の作成を支援するコンピュータ端末である。設計支援装置2は、ユーザにより管理サーバ9から設計に必要な範囲の地図情報9A及び設備情報9Bを取得する。設計支援装置2は、取得した地図情報9A及び設備情報9Bに基づいて、工事作業者用の設計図面や設計工程調書の作成を行う。
【0020】
プリンター4は、設計支援装置2により作成された図面や設計工程調書等の印刷を行う印刷機である。また、プリンター4は、複写機、プリンター、イメージスキャナ、及びファクシミリなどの機能を含む複合機であってもよい。
【0021】
共有サーバ6は、設計支援装置2により作成された電気通信設備を示すシンボルを共有するシンボル共有情報と、工事現場にて行う新設及び既設設備撤去に関する作業工程のマスターデータと、電柱や電線等に関する設備情報のマスターデータとを管理する管理サーバである。
【0022】
図2は、電気通信設備設計支援装置2のハードウェア構成を例示する図である。
図2に例示するように、設計支援装置2は、CPU200、メモリ202、HDD204、ネットワークインタフェース206(ネットワークIF206)、表示装置208、及び入力装置210を有し、これらの構成はバス212を介して互いに接続している。
CPU200は、例えば、中央演算装置である。
メモリ202は、例えば、揮発性メモリであり、主記憶装置として機能する。
HDD204は、例えば、ハードディスクドライブ装置であり、不揮発性の記録装置としてコンピュータプログラムやその他のデータファイルを格納する。
ネットワークIF206は、有線又は無線で通信するためのインタフェースであり、例えば、共有サーバ6との通信を実現する。
表示装置208は、例えば、液晶ディスプレイである。
入力装置210は、例えば、キーボード及びマウスである。
なお、設計支援サーバ2は、クラウドサーバであってもよい。
【0023】
図3は、電気通信設備設計支援サーバ2の機能構成を例示する図である。
図3に例示するように、本例の設計支援装置2には、電気通信設備設計支援プログラム22(以下、設計支援プログラム22)がインストールされ、シンボル格納データベース900(シンボル格納DB900)及び在庫管理データベース910(在庫管理DB910)が構成されている。設計支援プログラム22は、例えば、CD-ROMなどの記録媒体を介して、設計支援装置2にインストールされたコンピュータプログラムである。なお、設計支援プログラム22は、設計支援サーバ2にアプリケーションとしてインストールされてもよい。また、設計支援プログラム22の一部又は全部は、ASICなどのハードウェアにより実現されてもよく、また、OS(Operating System)の機能を一部借用して実現されてもよい。また、これらのプログラム全てが一台のコンピュータ端末にインストールされてもよいし、クラウド上の仮想マシンにインストールされてもよい。
【0024】
設計支援プログラム22は、取得部220、更新出力部221、選択受付部222、設備収集部224、設備表示部226、注目設備選択部228、図面表示部230、作業工程設定部231、再利用特定部232、部材決定部234、シンボル登録部236、及び、シンボル描画部238を有する。
取得部220は、管理サーバ9から電柱又は電線等の電気通信設備の位置を示す地図情報9Aと、電柱又は電線等の電気通信設備部材の物品詳細を示す設備情報9Bとを関連付けて取得する。本例の取得部220は、ユーザが設計に必要な範囲を示す地図情報9Aに、地図情報9Aに関する設備情報9Bを関連付けて取得する。また、取得部220は、取得した地図情報9Aのうち、住宅、商業施設、電柱、及び電線等の少なくとも1つを位置移動または削除が行えるよう編集可能な地図情報として取得する。取得部220は、地図情報9AをDXFファイル形式で取得し、設備情報9BをCSVファイル形式で取得する。
【0025】
更新出力部221は、更新された地図情報9A及び設備情報9Bを所定の形式ファイルに出力する。更新出力部221は、地図情報9A及び設備情報9Bを、電柱や電線等の電気通信設備の施工管理に用いる施工管理システムに合わせたファイル形式に出力する。本例の更新出力部221は、CSVファイルやPDFファイルに出力する。また、更新出力部221は、後述する設備表示部226より表示された、新設設備及び既設設備の設備情報と、新設設備及び既設設備に関する作業工程とを含む設計工程調書を出力する。
【0026】
選択受付部222は、取得部220により取得した地図情報9Aにおいて、電柱シンボルの選択を受け付ける。選択受付部222は、ユーザにより選択された第1の電柱シンボルと、第1の電柱シンボルと電線が連続する区間のうち、ユーザにより選択された第2の電柱シンボルとの選択をそれぞれ受け付ける。即ち選択受付部222は、工事作業区間となる始点及び終点の電柱シンボルの選択を受け付ける。
【0027】
設備収集部224は、選択受付部222により複数の電柱シンボルの選択を受け付けた場合に、選択された複数の電柱間に設置される電気通信設備の設備情報を収集する。設備収集部224は、ユーザにより選択された第1の電柱シンボルと、第2の電柱シンボルとの選択をそれぞれ受け付けた場合に、選択された2つの電柱シンボルの区間における既設の電柱及び電線に関する設備情報と、これらの電柱間で電柱及び電線が新設された設備情報とを収集する。
また、設備収集部224は、既設の設備情報を収集する場合、撤去後に再利用する、又は、撤去後に破棄する旨の設備情報を収集し、収集した設備情報を後述する在庫管理DB910に記録する。
【0028】
設備表示部226は、設備収集部224により収集された新設及び既設の設備情報を表示する。設備表示部226は、収集された2つの電柱シンボルの区間内に設置される電柱や電線等の新設及び既設の設備情報を表示する。設備表示部226は、選択された2つの電柱区間内に位置する電柱及び電線を模式図で表示すると共に、模式的に図示された電柱及び電線の設備情報を表示する。表示される設備情報には、電柱に関する地物名、線路名、及び電柱番号等の設備情報、電線に関するケーブル種類、及びケーブル長等が含まれる。
また、設備表示部226は、設備収集部224により収集された、新設及び既設の設備情報と、新設工事作業又は撤去工事作業の作業工程とを関連付けて一覧表示する。
【0029】
注目設備選択部228は、設備表示部226により表示された設備情報の中から、いずれかの設備情報を選択する操作を受け付ける。注目設備選択部228は、設備表示部226により模式的に図示された設備情報の中から、ユーザが適宜選択した選択操作を受け付ける。
【0030】
図面表示部230は、注目設備選択部228により選択された設備情報のシンボルが図面の中央に配置されるように、図面を移動させる。図面表示部230は、既設の電気通信設備の模式図を示す設備情報の中からユーザが選択した電柱又は電線の設備情報に対応する、地図情報9Aにある電柱シンボル又は電線シンボルが図面の中央、すなわち操作画面中央となるよう自動的に図面を移動させて表示する。
【0031】
作業工程設定部231は、設備収集部224に収集された設備情報と、後述する部材決定部234により決定された工事現場に必要な部材とに基づいて、工事現場に必要な部材に対応する作業工程を設定する。例えば、作業工程設定部231は、新設設備及び既設撤去設備の設備情報に基づいて、共有サーバ6に記録される作業工程マスターデータを参照し、部材に対応する作業工程を設定する。作業工程には、作業工程に対する対価(工賃)が関連している。また、作業工程設定部231は、工事現場に必要な部材に対応する作業工程の候補が複数ある場合、複数ある作業工程の候補の中から、ユーザに選択された所定の作業工程を、部材に対応する作業工程として設定する。また、作業工程設定部231は、工事現場にもっていくべき部材として同じ種類の部材が複数あり、かつ、複数の部材それぞれに作業工程の候補が複数ある場合、部材に対応する作業工程を一括で設定する。
【0032】
再利用特定部232は、設備収集部224により収集された設備情報の中から、再利用可能な部材を特定する。再利用特定部232は、収集された既設の設備情報のうち、撤去後に再利用する旨の設備情報を含む電柱又は電線を特定する。本例の再利用特定部232は、設備収集部224により収集された設備情報を管理する、在庫管理DB910(詳細は後述)から、再利用可能な電柱又は電線を特定する。
【0033】
部材決定部234は、設備収集部224により収集された設備情報と、再利用決定部232により特定された再利用可能な部材とに基づいて、工事現場に必要な部材を決定する。部材決定部234は、電柱又は電線が新設される設備である場合、新規な電柱部材若しくは電線部材、又は、再利用可能な電柱部材若しくは電線部材を工事現場に持っていくべき部材と決定する。
【0034】
シンボル登録部236は、ユーザにより描画された電気通信設備を示すシンボルを共有サーバ6に登録する。シンボル登録部236は、シンボル名、シンボル図形、及びシンボル図形の既定サイズを関連づけてシンボル共有情報として共有サーバ6に登録する。
【0035】
シンボル描画部238は、シンボル格納DB900に格納されたシンボル情報、及び、共有サーバ6に登録されたシンボル共有情報の少なくとも一方に基づいて、ユーザに選択された電柱又は電線等の電気通信設備シンボルを地図情報9Aに描画する。シンボル描画部は、例えば、電柱、電線、支持体、はたあげ、埋設物調書、撤去、及び接続端子かん等を含む電気通信設備を示すシンボルを描画する。また、シンボル描画部238は、支持体編集部2380、はたあげ設定部2382、及び、埋設物調書設定部2384を含む。
支持体編集部2380は、同一の電柱に設置された複数の支持体のシンボルが互いに平行に配置されている場合に、これらの支持体シンボルの平行状態を維持したままで、まとめて編集する。支持体編集部2380は、支持体シンボルの平行状態を維持したままで角度変更、及び長さ変更が可能である。
【0036】
はたあげ設定部2382は、ユーザにより指定された区間の両端を基端として、基端からそれぞれ引き出された2つの引出線が対称的に、基端を中心とする傾斜角度及び長さを編集する。はたあげ設定部2382は、ユーザにより選択された区間の両端をそれぞれ基端とする引出線の傾斜角度及び長さを編集する。また、はたあげ設定部2382は、ユーザに入力された物品種類及び物品数量を含むテキストを表示する。
【0037】
埋設物調書設定部2384は、埋設物を示す調書のシンボル(埋設物調書シンボルと称呼することもある)を図面上に配置した状態において、調書内にあるいずれかの選択肢をユーザが選択したタイミングで調書内容を変更する。具体的には、埋設物調書設定部2384は、ユーザが選択したタイミングで、ユーザが選択した調書内容に選択する。
【0038】
シンボル格納部DB900は、シンボル名、シンボル図形、及び図形の既定サイズを関連づけて格納する。シンボル格納部DB900は、共有サーバ6に登録されたシンボル共有情報と定期的に同期することで、シンボル情報を更新してもよい。
在庫管理DB910は、設備収集部224により収集された、撤去後に再利用する、又は、撤去後に破棄する旨の設備情報を格納し管理する。例えば、在庫管理DB910は、再利用可能である電柱や電線等の設備情報を格納し一元管理する。
【0039】
次に、
図4~
図6を参照し、電気通信設備を示すシンボルの動作を説明する。
図4は、編集前後の支持体シンボルを例示する図である。
図4(A)は、角度変更前後の支持体シンボルを例示する図であり、
図4(B)は、長さ変更前後の支持体シンボルを例示する図である。
図4に例示するように、支持体シンボルは、基準点Bの右翼側に位置する右支持体SRと、基準点Bの左翼側に位置する左支持体SLとを有する。右支持体SRは、第1右支持体SR1及び第2右支持体SR2を含み、それぞれ平行に配置される。また、左支持体SLは、第1左支持体SL1及び第2左支持体SL2を含み、それぞれ平行に配置されている。なお、本例の支持体シンボルは、右支持体SR及び左支持体SLがそれぞれ複数ある場合を具体例とするが、右支持体SR及び左支持体SLの少なくとも一方が単一である場合や、右支持体SR及び左支持体SLがそれぞれ単一である場合もある。
図4(A)に例示するように、ユーザは、支持体シンボルのうち、左支持体SLに対する右支持体SRの角度を相対的に変更する。支持体編集部2380は、ユーザにより選択された右支持体SRの先端にある操作点に対するドラック操作を受け付けて、ドラック操作に基づいて、基準点Bを中心として回転させ右支持体SRの角度を変更する。具体的には、支持体編集部2380は、右支持体SRの第1右支持体SR1及び第2右支持体SR2の平行状態を維持したままでまとめて角度を変更する。なお、左支持体SLの角度を変更する場合も同様である。また、支持体編集部2380は、ドラック操作による任意の変更だけでなく、基準線として指定した電線シンボルの傾斜に合わせた角度変更も可能である。
また、
図4(B)に例示するように、ユーザは、支持体シンボルのうち、左支持体の長さを変更する。具体的には、支持体編集部2380は、ユーザにより選択された左支持体SLの先端にある操作点に対するドラック操作を受け付けて、ドラック操作に基づいて、基準点Bを中心として伸縮させ左支持体SLの長さを変更する。支持体編集部2380は、第1左支持体SL1及び第2左支持体SL2の平行状態を維持したままでまとめて長さを変更する。なお、右支持体SRの長さ変更を場合も同様である。これにより、支持体シンボルの操作性が向上する。
【0040】
図5は、編集前後のはたあげシンボルを例示する図である。
図5に例示するように、ユーザは、始点及び終点を指定した後に、始点及び終点から引き出された引出線の引出方向を指定することで、はたあげシンボルを描画する。
はたあげ設定部2382は、ユーザに指定された始点から第1引出線を引き出し、ユーザに指定された終点から第2引出線を引き出す。そして、はたあげ設定部2382は、これら引出線の引出方向を指定された向きにテキスト欄を配置することで、はたあげシンボルを描画する。
また、はたあげ設定部2382は、ユーザによる、第2引出線の先端にある操作点に対するドラック操作を受け付けて、受け付けたドラック操作に基づいて、第1引出線及び第2引出線の編集を同じタイミングで行う。具体的には、はたあげ設定部2382は、第2引出線の長さを変更すると共に、終点を中心とする回転方向に回転させ角度を変更する。はたあげ設定部2382は、第2引出線の傾斜角度及び長さの変更をする同じタイミングで対称的に、第1引出線の変更も同時に行う。これにより、はたあげシンボルの操作性が向上する。なお、第1引出線に対する変更操作であってもよい。
【0041】
図6は、編集前後の埋設物調書シンボルを例示する図である。
図6(A)は、選択変更前の埋設物調書シンボルを例示する図であり、
図6(B)は、選択変更後の埋設物調書シンボルを例示する図である。
図6に例示するように、埋設物調書シンボルは、電気線、ガス管、上下水道管、及び電話線に関する、埋設物の有無、工事立会の要否、及び図面添付の有無の選択項目を含むシンボルである。本例の埋設物調書シンボルは、電気線、ガス管、上下水道管、及び電話線の設備名を列方向、埋設物、工事立会、及び図面添付の確認事項を行方向に配置している。以下、ガス管の埋設物の有無、下水道管の工事立会の要否、及び下水道管の図面添付の有無に着目して説明する。
図6(A)に例示するように、埋設物調書シンボルは、変更前の状態において、ガス管の埋設物の「無」、下水道管の工事立会の「否」、及び下水道管の図面添付の「無」となっている。埋設物調書設定部2384は、埋設物調書シンボルを図面上に配置した状態において、調書内にある選択肢をユーザがクリック操作で選択したタイミングで調書内容を変更する。
図6(B)に例示するように、埋設物調書設定部2384は、ガス管の埋設物の「有」をユーザがクリック操作したタイミングで、ガス管の埋設物の「無」から「有」に変更する。また、埋設物調書設定部2384は、下水道管の工事立会の「要」をユーザがクリック操作したタイミングで、ガス管の埋設物の「否」から「要」に変更する。また、埋設物調書設定部2384は、下水道管の図面添付の「有」をユーザがクリック操作したタイミングで、ガス管の埋設物の「無」から「有」に変更する。
このように、埋設物調書設定部2384は、埋設物調書シンボルを図面上に配置した状態において、ユーザが選択したタイミングで、ユーザが選択した調書内容に選択することができる。
【0042】
次に、
図7~
図10を参照し、設備探索に関する電気通信設備設計支援方法を説明する。
図7は、電気通信設備設計支援処理:設備探索(S10)を説明するフローチャートである。
図8は、電柱シンボルを選択した状態を例示する図である。
図9は、収集した設備情報を表示した状態を例示する図である。
図10は、ユーザにより選択された設備情報の電線シンボルが表示画面の中央に配置された状態を例示する図である。
図8~
図10は、ユーザが操作する設計支援装置2の表示画面に表示される操作ウインドウWである。操作ウインドウWは、地図情報表示領域Tと、設備情報図示領域H1と、関連設備情報表示領域H2と、設備物品情報表示領域H3とを含む。
地図情報表示領域Tは、ユーザが設計に必要な範囲を示す地図情報9Aを表示する表示領域である。
設備情報図示領域H1は、ユーザにより選択された2つの電柱シンボルの区間における既設の電柱や電線を模式的に図示する表示領域である。
関連設備情報表示領域H2は、設備情報図示領域H1に表示された電気通信設備シンボルの中から、ユーザにより選択された電気通信設備シンボルに関連する関連設備の設備情報を表示する表示領域である。
設備物品情報表示領域H3は、関連設備情報表示領域H2に表示された電気通信設備の中から、ユーザにより選択された電気通信設備の設備情報を表示する表示領域である。
以下、一例として、
図8~
図10を参照し、
図7に例示するステップS100~S108における動作を説明する。なお、取得部220により、ユーザが設計に必要な範囲を示す地図情報9Aと、地図情報9Aに関連する設備情報9Bと関連付けて取得した後に本処理を実行する。
【0043】
ステップ100(S100)において、ユーザは、
図8に例示した設備情報図示領域H1に表示された地図情報9Aのうち、始点となる電柱シンボルS(本例では北話幹60)と、終点となる電柱シンボルE(本例では北話幹1)とを選択する。
選択受付部222は、ユーザに選択された電柱シンボルS及び電柱シンボルEの選択を受け付ける。
【0044】
ステップ104(S104)において、設備収集部224は、選択受付部222により受け付けた、ユーザにより選択された電柱シンボルS及び電柱シンボルEの間に設置された電気通信設備に関する設備情報を収集する。設備収集部224は、選択された2つの電柱シンボルの区間における既設の電柱及び電線に関する設備情報と、これらの電柱間で新設された電柱及び電線に関する設備情報とを収集する。
【0045】
ステップ106(S106)において、設備表示部226は、設備収集部224により収集された設備情報のうち、
図9に例示した設備情報図示領域H1に、電柱シンボルS及び電柱シンボルEの区間における既設の電柱及び電線を模式図で表示する。
【0046】
ステップ108(S108)において、ユーザは、
図10に例示した設備情報表示領域H1に表示された電柱シンボルSから電柱シンボルEの範囲にある電柱又は電線のうち、北話幹5及び北話幹6の間に位置するスパン・ケーブルSC56を選択する。
注目設備選択部228は、設備表示部226により設備情報表示領域H1に表示された電柱シンボルSから電柱シンボルEの範囲にある電柱又は電線の設備情報の中から、スパン・ケーブルSC56を選択した操作を受け付ける。そして、設備表示部226は、
図10に例示した関連設備情報表示領域H2に、注目設備選択部228により選択を受け付けたスパン・ケーブルSC56に関連する関連設備の情報を表示する。具体的には、設備表示部226は、ケーブル接続先とする電柱情報(北話幹5~北話幹6)、及びケーブル種類(メタルケーブル)を表示する。
さらに、ユーザは、
図10に例示した関連設備情報表示領域H2に表示されたメタルケーブルを選択する。
注目設備選択部228は、関連設備情報表示領域H2に表示されたメタルケーブルを選択した操作を受け付ける。
【0047】
ステップ110(S110)において、図面表示部230は、関連設備情報表示領域H2に表示された電柱又は電線の設備情報の中から、ユーザが選択したメタルケーブルに対応する電線シンボルが地図情報表示領域Tの中央に位置するよう自動的に図面を移動させて表示する。なお、図面表示部230は、ユーザが関連設備情報表示領域H2に表示された設備情報を選択しない場合、昇降順で一覧表示された設備情報のうち、最上位の設備情報をデフォルトで表示する。
このように、本処理によれば、ユーザが選択した電気通信設備を地図情報表示領域Tの中央に位置するよう自動的に図面を移動させて表示できるため、効率的に設計製図作業を行うことができる。
【0048】
次に、
図11~
図16を参照し、工程材料集計に関する電気通信設備設計支援方法を説明する。
図11は、電気通信設備設計支援処理:工程材料集計(S20)を説明するフローチャートである。
図12は、既設の電柱シンボルを選択する状態を例示する図である。
図13は、新設する電線の設備設定、及び、描画された電線シンボルを例示する図である。
図14は、既設電線シンボルを撤去設定する状態を例示する図である。
図15は、新設設定の電線シンボル、及び、撤去設定の既設電線シンボルを例示する図である。
図16は、作業工程の設定前における工程集計の一覧を例示する図である。
図17は、作業工程の設定時における工程集計の一覧を例示する図である。
図12~
図17は、ユーザが操作する設計支援装置2の表示画面に表示される操作ウインドウWである。
図12~
図15に例示する設計製図画面には、地図情報表示領域Tが配置され、
図16及び
図17に例示する工程集計画面には、設備情報及び作業工程を集計した一覧が表示される設備情報集計一覧表示領域Lが配置される。
以下、一例として、
図12~
図17を参照し、
図11に例示するステップS200~S210における動作を説明する。なお、取得部220により、ユーザが設計に必要な範囲を示す地図情報9Aと、地図情報9Aに関連する設備情報9Bと関連付けて取得した後に本処理を実行する。
【0049】
ステップ200(S200)において、ユーザは、
図12に例示した地図情報表示領域Tに表示された地図情報9Aのうち、始点となる電柱シンボルS(本例では北話幹60)と、終点となる電柱シンボルE(本例では北話幹1)とを選択する。なお、選択対象となる区間の始点及び終点の電柱の選択は、電柱シンボルの選択、又は設備情報編集画面Dに含まれるプルダウンによる選択のどちらも可能である。これにより、
図24に例示する広範囲の工事であっても始点及び終点の電柱を選択できる。選択受付部222は、ユーザにより選択された電柱シンボルS及び電柱シンボルEの選択を受け付ける。
【0050】
ステップ202(S202)において、設備収集部224は、選択受付部222により受け付けた、ユーザにより選択された電柱シンボルS及び電柱シンボルEの間に設置された電気通信設備に関する設備情報を収集する。
【0051】
ステップ204(S204)において、ユーザは、地図情報表示領域Tに表示された地図情報9A上に新設の電柱及び電線を描画する。ユーザは、
図13に例示した設備情報編集画面Dにおいて、新設する電線の設備情報として、ケーブルの架設位置、ケーブルの種類、ケーブル名、及びスパン長等を設定し、新設の電線シンボルを描画する。
シンボル描画部238は、ユーザに設定された、ケーブルの架設位置、ケーブルの種類、ケーブル名、及びスパン長等の設備情報に基づいて、新設の電線を示すシンボルを地図情報9A上に描画する。
また、地図情報9A上に描画後において、ユーザは、描画した新設の電線の位置を変更する場合、設備情報編集画面Dの位置変更ダイヤルを操作し、
図22及び
図23に例示するように新設の電線及びテキストの位置を変更することができる。これにより、工事作業者が読み取りやすい図面を作成することができる。
【0052】
ステップ206(S206)において、ユーザは、地図情報9A上に、既設の電線の撤去指示を描画する。ユーザは、
図14に例示した設備情報編集画面Dにおいて、撤去する既設の電線を選択し、選択された既設の電線の撤去を設定する。また、ユーザは、撤去後に既設の電線を再利用する、又は、撤去後に破棄する旨の設備情報を設定する。設備収集部224は、ユーザにより設定された、撤去後に既設の電線を再利用する、又は、撤去後に破棄する旨の部材の設備情報を在庫管理DB910に記録する。シンボル描画部238は、
図15に例示したように、ユーザにより撤去する旨を指定された既設の電線シンボル上に、撤去を示すシンボル(撤去シンボル)を描画する。なお、新設のみの場合は、S206を省略することができる。
【0053】
ステップ208(S208)において、部材決定部234は、設備収集部224により収集された設備情報と、再利用決定部232により特定された再利用可能な部材とに基づいて、工事現場に持っていくべき部材を決定する。部材決定部234は、新設される場合、新規な電線、又は、再利用可能な電線を工事現場に持っていくべき部材と決定する。
【0054】
ステップ210(S210)において、
図16に例示するように、設備表示部226は、設備収集部224により収集された、新設及び既設の設備情報と、作業工程設定部231により設定された作業工程とを関連付けて一覧表示する。ここで、表示された一覧表は、新設工事と、既設撤去工事とに大別表示される。また、表示項目として、径間の始点を示す「該当設備」、径間の終点を示す「接続先設備」、施工内容の概要を示す「施工内容」、部材の種類を示す「物品種類」、物品の識別を目的とする「識別コード」、部材の材料を示す「物品名」、新設又は既設撤去の各作業工程を示す「工程名」、作業工程の作業数を示す「工程数量」、及び、部材の数量を示す「物品数量」を含む。
そして、
図17に例示するように、作業工程設定部231は、例えば電線に対応する作業工程について、複数の選択肢がない場合(すなわち、1つの作業工程のみの場合)、作業工程を自動的に決定する。また、作業工程設定部231は、複数の選択肢がある場合、例えば、「架空ケーブル新設(光)(ハンガ内)」及び「架空ケーブル新設(光)」の選択肢を一覧表示し、ユーザに選択させる。作業工程設定部231は、一覧表示した選択肢のうち、ユーザに選択された「架空ケーブル新設(光)(ハンガ内)」を、電線に対応する作業工程として設定する。作業工程設定部231は、その他の部材においても、同様に作業工程に複数の選択肢がある場合、ユーザに選択させて作業工程を設定する。また、作業工程設定部231は、既設の移動工事等の場合、工事現場に持っていく部材が無く、持っていく部材に対応する作業工程が空欄となる。その場合、作業工程設定部231は、ユーザに作業工程を手入力で追加させる。
【0055】
ステップ212(S212)において、更新出力部221は、新設設備及び既設設備の設備情報と、新設設備及び既設設備に関する作業工程とを含む設計工程調書、及び、設計図面をプリンター4に出力させる。また、更新出力部221は、電気通信設備の施工管理に用いる施工管理システムに合わせたファイル形式に出力してもよい。また、更新出力部221は、新設及び既設撤去工事に必要な部材及び物品数量と、工事現場で行う作業工程及び工程数量とを集計できるため、設計段階で、部材の料金及び作業工程に対する工賃を算出し出力することができる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態における電気通信設備設計支援システム1によれば、
設計製図時において、ユーザが選択した電気通信設備シンボルが操作画面中央に位置するよう自動的に図面を移動させて表示することにより、操作画面の外に位置する電気通信設備シンボルであっても、操作画面中央に自動的に表示することができるため設計製図作業の効率化を図ることができる。
また、電気通信設備設計支援システム1によれば、製図図面、及び製図図面に関連付けた設備情報から、工事現場に持っていくべき部材と、工事現場で行う作業工程とを集計できるため、容易に設計工程調書を作成することができ、手作業で集計する場合より集計ミスを軽減させることができる。また、設計段階で、部材の料金及び作業工程に対する工賃を算出することができる。
【0057】
次に、上記実施例における変形例を説明する。
なお、変形例では、上記実施例と実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[変形例1]
図18は、変形例1のシンボル描画部238の機能構成を例示する図である。
本例のシンボル描画部238は、上記実施形態のシンボル描画部238に加えて、作図支援部2386をさらに含む。
作図支援部2386は、描画された所定のシンボルのうち、シンボルを構成するシンボル片と他のシンボル片との連動を解除する自立設定部23860と、基準となるケーブルに基づいて、描画する角度及び方向を補助する描画補助部23862とを含む。
【0058】
図19は、第1右支持体の関連性を解除した支持体シンボルを例示する図である。
自立設定部23860は、シンボルを構成するシンボル片と他のシンボル片との連動を解除する。
図19に例示するように、例えば、第1右支持体SR1、及び、第2右支持体SR2に着目すると、第1右支持体SR1、及び、第2右支持体SR2は、連動設定時において、平行状態を維持しながら長さ及び角度を同時に編集可能となっている。自立設定部23860は、第1右支持体SR1の基端に自立点を設定し、第2右支持体SR2との連動を解除する。これにより、連動設定時において平行状態を維持していたが、連動解除時において、第1右支持体SR1のみが角度や長さを変更可能となる。なお、自立設定部23860は、はたあげシンボルでも自立点の設定が可能である。このように、自立設定部23860は、支持体シンボル及びはたあげシンボルにおいて、シンボルを構成する複数のシンボル片のうち、一部のシンボル片のみを単独で長さ及び角度の編集を可能とする。
【0059】
図20は、回転前の支持体シンボル及びテキストを例示する図である。
図21は、回転後の支持体シンボル及びテキストを例示する図である。
描画補助部23862は、基準となるケーブルに合わせて、図面上に描画する角度及び方向を揃えるよう補助する。具体的には、描画補助部23862は、図面上に描画する、シンボル、テキスト、電線等の角度及び方向を基準となる電線に揃えるように描画するよう補助する。
図20及び
図21に例示するように、描画補助部23862は、ユーザが選択した基準となる電線を基準とした場合に、基準となる電線近傍に補助矢を表示する。例えば、支持体シンボルに着目すると、支持体シンボルの左支持体SLを基準電線に対して平行となるよう角度を揃える場合、ユーザは、第3左支持体SL3にコンパスCを表示させ、コンパス小C2に対する回転操作によって、支持体シンボルの左支持体SLのみを回転させる。なお、コンパス大C1に対する回転操作は、支持体シンボル全体を回転させる。このとき、描画補助部23862は、左支持体SLを回転させるときに、基準電線に揃えるよう回転角度を補助する。このように、ユーザは、基準電線に揃えるように、左支持体SLのみを回転させ角度を変えることができる。なお、描画補助部23862は、シンボルだけでなく、テキストも同様に、基準電線に対して平行移動するよう移動方向を補助する。
【符号の説明】
【0060】
1…電気通信設備設計支援システム
2…電気通信設備設計支援装置
4…プリンター
6…共有サーバ
7…ネットワーク
9…電気通信設備管理サーバ
22…電気通信設備設計支援プログラム
220…取得部
222…更新出力部
224…設備収集部
226…設備表示部
228…注目設備選択部
230…図面表示部
232…再利用特定部
234…部材決定部
236…シンボル登録部
238…シンボル描画部
2380…支持体編集部
2382…はたあげ設定部
2384…埋設物調書設定部
900…シンボル格納データベース
910…在庫管理データベース
2386…作図支援部
23860…自立設定部
23862…描画補助部