(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】太陽電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 31/18 20060101AFI20230914BHJP
H01L 31/068 20120101ALI20230914BHJP
【FI】
H01L31/04 460
H01L31/06 300
(21)【出願番号】P 2021560967
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(86)【国際出願番号】 KR2020004758
(87)【国際公開番号】W WO2020218757
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】10-2019-0048780
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522401774
【氏名又は名称】シャンラオ ジンコ ソーラー テクノロジー デベロップメント シーオー.,エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イ テヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム チンソン
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-163988(JP,A)
【文献】特開2011-146678(JP,A)
【文献】特開2008-060205(JP,A)
【文献】特開2017-126748(JP,A)
【文献】特表2017-517146(JP,A)
【文献】特開2012-195453(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1460915(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/078
H01L 31/18-31/20
H10K 30/00-30/57
H10K 30/80-39/18
H02S 10/00-10/40
H02S 30/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の少なくともいずれかの一面に形成され、照射されるレーザーの波長において、前記半導体基板より高い吸収係数を有する半導体層
と、を含む太陽電池において、
前記半導体層が、
前記レーザーに向くように位置する段階と、
前記半導体層に向かって
前記レーザーを照射し、前記太陽電池にグルーブ(groove:溝)を形成する段階と、
前記溝に沿って前記太陽電池を複数に分割する段階と、を含み、
前記半導体層は
、前記半導体基板の極性と反対の第1導電型ドーパントが含まれた第1導電型領域と前記半導体基板と同じ極性の第2導電型ドーパントが含まれた第2導電型領域を1つの層で構成する層であ
り、
前記レーザーの波長が1024(nm)であるとき、前記半導体層の厚さは、600(nm)以上である、太陽電池の製造方法。
【請求項2】
半導体基板と、
前記半導体基板の少なくともいずれかの一面に形成され、照射されるレーザーの波長において、前記半導体基板より高い吸収係数を有する半導体層
と、を含む太陽電池において、
前記半導体層が、
前記レーザーに向くように位置する段階と、
前記半導体層に向かって
前記レーザーを照射し、前記太陽電池にグルーブ(groove:溝)を形成する段階と、
前記溝に沿って前記太陽電池を複数に分割する段階と、を含み、
前記半導体層は
、前記半導体基板の極性と反対の第1導電型ドーパントが含まれた第1導電型領域と前記半導体基板と同じ極性の第2導電型ドーパントが含まれた第2導電型領域を1つの層で構成する層であ
り、
前記レーザーの波長が532(nm)であるとき、前記半導体層の厚さは、180(nm)以上である、太陽電池の製造方法。
【請求項3】
前記溝は、前記半導体層を通過して前記半導体基板の一部にまで形成される、請求項1
または2に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項4】
前記溝の深さは、前記半導体基板の厚さに比べ30~70(%)である、請求項1
または2に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項5】
前記溝は、前記太陽電池を2分割するように、前記太陽電池の中心線に対応して形成された、請求項1
または2に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項6】
前記溝は、前記太陽電池を3分割以上にするように前記太陽電池に複数本形成された、請求項1
または2に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項7】
前記半導体層は、多結晶シリコンであり、前記半導体基板は、単結晶シリコンである、請求項1
または2に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項8】
前記半導体層は、前記半導体基板の後面に形成された、請求項
7に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項9】
前記溝は、前記第2導電型領域に形成された、請求項
1または2に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項10】
前記半導体層と前記半導体基板の間に制御パッシベーション層が形成された、請求項
1又は
2に記載の太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池を複数に分割する場合の熱的損傷(thermal damage)を減らした太陽電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、石油や石炭などの既存エネルギー資源の枯渇が予測されながら、これらを代替する代替エネルギーへの関心が高まり、これにより太陽エネルギーから電気エネルギーを生産する太陽電池が注目されている。
【0003】
一般的な太陽電池は、p型とn型のように、互いに異なる導電性タイプ(conductive type)によってp-n接合を形成する半導体部と、互いに異なる導電性タイプの半導体部にそれぞれ接続された電極を備えて作られる。このような構成の太陽電池は、複数枚を接続させて作った太陽電池モジュールを利用して発電して電力を得る。
【0004】
太陽電池の発電効率を良くするための一つの方法として、すべての構成要素が形成された完成品の太陽電池を数個に分割し、この分割されたセルを接続して太陽電池モジュールを製造する方法が提案された。
【0005】
太陽電池を数個に分割する場合、太陽電池自体が半導体であるので、半導体のスクライビング(scribing)工程が採用される。このスクライビング工程は、ウェハを多数のチップに切り出すために、ダイヤモンドカッター、レーザーなどでウェハの表面に溝を作る過程を称する。
【0006】
これまで知られているスクライビング工程の一つは、スクライビングラインに沿ってレーザーを太陽電池のいずれかの一面に照射して溝(groove)を形成し、この溝に沿って物理的に太陽電池に複数に分割するプロセスを含む。
【0007】
ところで、レーザーは高エネルギーを有しているので、レーザーが照射された太陽電池では、レーザー照射による熱的損傷が発生しながら、太陽電池の効率が落ちる問題が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような技術的背景から創案されたもので、本発明の一実施例においては、太陽電池にレーザーを照射する過程で発生する熱的損傷を減らすことに、その目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る一実施例の製造方法は、半導体基板と、前記半導体基板より高い吸収係数を有する半導体層が前記半導体基板の少なくともいずれかの一面に形成された太陽電池において、前記半導体層がレーザーの方向に位置する段階と、前記半導体層に向かってレーザーを照射し、前記太陽電池に溝(groove)を形成する段階と、前記溝に沿って前記太陽電池を複数に分割する段階を含むことができる。
【0010】
前記溝は前記半導体層を通過して前記半導体基板の一部にまで形成されることができ、前記溝の深さは、前記半導体基板の厚さに比べ30~70(%)で有り得る。
【0011】
前記溝は、前記太陽電池を2分割するように、前記太陽電池の中心線に沿って形成されるか、前記溝は、前記太陽電池を3分割以上するように前記太陽電池に複数形成されることができる。
【0012】
前記レーザーの波長が1024(nm)であるとき、前記半導体層の厚さは、600(nm)以上であり、前記レーザーの波長が532(nm)であるとき、前記半導体層の厚さは、180(nm)以上で有り得る。
【0013】
前記半導体層は、多結晶シリコンであり、前記半導体基板は、単結晶シリコンで有り得る。
【0014】
前記半導体層は、前記半導体基板の後面に形成されることができる。
【0015】
前記半導体層は、前記半導体基板の極性と反対の第1導電型ドーパントが含まれた第1導電型領域と前記半導体基板と同じ極性の第2導電型ドーパントが含まれた第2導電型領域を含むことができ、前記溝は、前記第2導電型領域に形成されることができる。
【0016】
前記半導体層は、前記半導体基板の極性と反対の第1導電型ドーパントを含むことができ、また、前記半導体層と前記半導体基板の間に制御パッシベーション層がさらに形成されることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一実施例に係ると、レーザーが、太陽電池に照射されるときレーザーのエネルギーの一部を吸収する層で機能する半導体層が配置されているので、半導体基板の熱的損傷を減らすことができる。
【0018】
前記半導体層は、半導体基板より吸収係数が高い半導体層の内、いずれか1つで構成されることがあり、特に本発明においては、半導体層が多結晶シリコン層で構成して、新しい層を太陽電池に追加することなく、従来の構成の一部を吸収層として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】は、太陽電池を複数に分割するために溝(groove)を形成する過程を模式的に説明する図である。
【
図2】は、本発明の一実施例に係る製造方法を説明するフローチャートである。
【
図3】は、シリコンの結晶性による吸収係数の関係を示すグラフである。
【
図4】は、多結晶シリコンで構成された半導体層の有無による溝の加工深さを実験した結果を示すグラフである。
【
図5】は、累積パルスエネルギーによる太陽電池の出力低下を示すグラフである。
【
図6】は、シリコンの結晶性による吸収の深さ(absorption depth)を示すグラフである。
【
図7】は、太陽電池の溝を形成するレーザーを説明するための図である。
【
図8】は、太陽電池の溝を形成するレーザーを説明するための図である。
【
図9】は、本発明に係る製造方法が適用される一実施例の太陽電池の構成を示す図である。
【
図10】は、
図9に示した太陽電池の断面姿を示す図である。
【
図11】は、本発明に係る製造方法が適用される他の実施例の太陽電池の構成を示して図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下においては、添付した図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。しかし、本発明は、このような実施例に限定されるものではなく、様々な形態に変形され得ることはもちろんである。
【0021】
図においては、本発明を明確かつ簡潔に説明するために説明と関係ない部分の図示を省略し、明細書全体を通じて同一または極めて類似の部分には、同一の図面参照符号を使用する。そして、図においては、説明をさらに明確にするために厚さ、広さなどを拡大または縮小して図示したところ、本発明の厚さ、広さなどは図面に図示されたところに限定されない。
【0022】
そして明細書全体でどのような部分が他の部分を「含む」とするとき、特に反対される記載がない限り、他の部分を排除するものではなく、他の部分をさらに含むことができる。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分「上に」あるとする時、これは他の部分「真上に」ある場合だけでなく、その中間に他の部分が位置する場合も含む。層、膜、領域、板などの部分が他の部分「真上に」あるとするときは、中間に他の部分が位置していないことを意味する。
【0023】
さらに、ある特定の構成要素の厚さ、幅または長さが他の特定の構成要素の厚さ、幅または長さと同じであることの意味は、他の特定の構成要素の厚さ、幅または長さがある構成要素の厚さ、幅または長さの工程誤差範囲で同じであることを意味する。
【0024】
したがって、工程誤差の範囲が10%である場合、厚さが同じであることの意味は、10%の範囲内で同じであることを意味する。以下においては、工程誤差の範囲が10%である場合を前提として説明する。
【0025】
また、半導体基板の一面または反対面とは、半導体基板の平面の内、互いに
反対される面を意味する。したがって、一例として、半導体基板の一面が光が入射される半導体基板の前面である場合、半導体基板の反対面とは半導体基板の後面を意味する。または逆に、半導体基板の一面が半導体基板の後面である場合、半導体基板の反対面とは半導体基板の前面を意味され得る。
【0026】
以下においては、説明の便宜上、半導体基板の一面が半導体基板の前面、半導体基板の反対面が半導体基板の後面である場合を前提として説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施例に基づいて、太陽電池に太陽電池を複数に分割するために溝(groove)を形成することを模式的に説明する図であり、
図2は、本発明の一実施例に係る製造方法を説明するフローチャートである。
【0028】
ここで、太陽電池ジラとは以下で説明する太陽電池(100、1000)のように、半導体基板上に発展のために、多数の構成要素、一例として、半導体基板、制御パッシベーション層、不純物を含む第1及び第2導電型領域、真性半導体部、絶縁層、後面パッシベーション層、第1及び第2電極を含む完成製品をいう。また、溝は、太陽電池を複数に分割するために、太陽電池にレーザーを照射し作成した溝をいう。
【0029】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施例に係る太陽電池100は、半導体基板10とこの半導体基板10の少なくともいずれか一面に形成された半導体層20を含むように構成されることができる。
【0030】
半導体基板10は、第1導電型または第2導電型のドーパントがドーピングされる単結晶シリコン、多結晶シリコンの内、少なくともいずれか1つで形成され得る。一例として、半導体基板は、単結晶シリコンウエハに第1導電型または第2導電型のドーパントが低濃度にドーピングされて形成されることができる。
【0031】
ここで、第1導電型ドーパントは、p型またはn型ドーパントの内、いずれか1つであることができるが、第2導電型ドーパントは、p型またはn型ドーパントの内、残りの一つで有り得る。具体的に、第1導電型ドーパントがボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などの3族元素の内、いずれか1つであるp型である場合、第2導電型ドーパントは、リン(P)、ヒ素(As)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)などの5族元素の内、いずれか1つであるn型で有り得る。したがって、一例として、第1及び第2導電型ドーパントの内、いずれかが1つがボロン(B)であり、他の一つが、リン(P)で有り得る。
【0032】
この半導体基板10は、太陽電池の全体の厚さの内、90%以上を占める厚さを有することができ、好ましい一形態において、半導体基板10の厚さは、実質的に160(μm)で有り得る。ここで、実質的には、プロセス誤差範囲を勘案し±10%の範囲内の厚さは、同じ厚さであることを意味する。
【0033】
また、半導体層20は、前記半導体基板10のいずれか一面全体に形成され、また、前記半導体基板10より吸収係数(absorption coefficient)が高い半導体物質で構成されることができる。一例として、前記半導体基板10が単結晶シリコンである場合、半導体層20は、単結晶シリコンより吸収係数が高い多結晶シリコンで有り得る。
【0034】
この半導体層20は、レーザーが半導体基板10に照射されたときに、レーザー光を部分的に吸収してレーザーの高エネルギーにより半導体基板10の熱的損傷を防止する機能層で作用され得る。この半導体層20は、効果的な吸収層に機能するために吸収深さ(Absorption depth)を考慮して、その厚さが設定されることができるが、これについては詳細に後述する。
【0035】
また、この半導体層20は、太陽電池を構成する1つの層(layer)で機能され得るように、所定の厚さを有することが好ましいが、一例で、この半導体層20は、導電型領域が形成される層で構成されことができ、この場合、この半導体層20の厚さは、250~300(μm)の厚さを有することができる。半導体層20の太陽電池を構成する1つの層で構成されれば、太陽電池を分割する過程で吸収層として機能して、太陽電池が劣化することを防止するだけでなく、不必要に新しい構成要素を太陽電池に追加する必要がないので、生産性の向上に寄与され得る。
【0036】
一方、
図1は、半導体層20が半導体基板10のいずれか一面に直接形成されることを例示するが、本発明はこれに限定されることではなく、この二つの層の間に他の層が介入されることも可能である。ここで、“直接に”が意味するところは、半導体層20と、半導体基板10との間に、他の層が介入していない状態で、半導体層20の一面が半導体基板10の一面に形成されることと言う。
【0037】
図1において(A)は、半導体基板10にレーザー30が照射されることを例示するが、本発明の製造方法によれば、レーザー30は、時間的に、半導体基板10に直接照射されず半導体層20に、まず照射された後に、半導体基板10に照射がされることが望ましい。一例として、半導体層20が、レーザー30の方向に位置した状態で配置され(S10)、レーザー30は、半導体層20の垂直上方から半導体基板10の方向に照射することができる(S20)。
【0038】
レーザー30は、汎用的に市場で多く使用されるさまざまな種類のレーザーが用いられる。一例として、レーザー30は、レーザ光の波長に応じた分類で532(nm)レーザー、1024(nm)のレーザーが使用されることができ、レーザーによって半導体層20の厚さは、調節されることができる。
【0039】
図1に(B)は、レーザー30の照射によって形成された溝40を示す。
レーザーが半導体基板10に照射されると、レーザーが照射された局部領域が加熱されながら、レーザー融剤(ablation)が発生して溝40が形成されることができる。ところで、本発明の一実施例において、レーザー30が半導体基板10より吸収係数が高い半導体層20を、先に透過した後、半導体基板10に照射がされるので、レーザー光の一部が半導体層20で吸収が起き、半導体基板10に加わる熱的損傷を減らすことができる。これについては、図面を異なりにして、その効果について詳細に説明する。
【0040】
溝40が、太陽電池100のいずれか一面に形成された後には、太陽電池100に物理的な衝撃を加え、太陽電池100を複数に分割され得る(S30)。
【0041】
太陽電池100に形成された溝40の深さ(dt)は、太陽電池100の厚さ(ds)比30(%)~70(%)であることが望ましい。ここで、太陽電池100の厚さ(ds)は、半導体基板上に形成された層の厚さが半導体基板の厚さに備えて非常に小さいため、実質的に半導体基板の厚さと実質的に同一され得る。もし溝40の深さ(dt)が厚さ(ds)の30(%)より小さい場合、太陽電池を溝40に沿って複数に分割するとき、太陽電池が溝40に沿って分割されず割れることができ、70(%)より大きくなると溝40を形成する過程で、太陽電池100に加わる熱的損傷が大きすぎて、太陽電池の効率が格段に落ちることができる。
【0042】
図3は、シリコンの結晶性による吸収係数の関係を示すグラフである。
図2において、siliconは単結晶シリコンの波長に応じた光の吸収係数を示し、poly siliconは多結晶シリコンの波長に応じた吸収係数を示す。
【0043】
グラフは、波長が約400(nm)であるまで単結晶シリコンや多結晶シリコンの全てが吸収係数に差がないことを示す。このような事実を介して波長が400(nm)以下のレーザーを使用する場合には、半導体層20が吸収層で機能をしないため、半導体基板10に加わる熱的損傷を低減するのが難しいということがわかる。
【0044】
また、グラフは、波長が400(nm)以上の場合に、波長が大きくなるほど宛然として多結晶シリコンの吸収係数が単結晶シリコンよりも大きくなることを示し、400(nm)以上の波長を有するレーザーを使用する場合に多結晶シリコンからレーザー光の吸収が単結晶シリコンよりよく起こり、その結果、半導体基板10に加わる熱的損傷を減らすことができる。
【0045】
一方、
図4は、多結晶シリコンで構成された半導体層の有無による溝の加工深さを実験した結果を示すグラフである。ここで、x軸の累積パルスエネルギーは、太陽電池に照射されたレーザーの総エネルギーをいう。
【0046】
図4の グラフを介して分かるように、累積パルスエネルギーが増加するにつれて加工深さもまた線形的に増加することが分かる。そして同じ累積パルスエネルギーに対して、半導体層を含む太陽電池にレーザーを照射したときの半導体層がない太陽電池にレーザーを照射したときより溝がさらに深く形成されることが分かる。
【0047】
この実験結果は、太陽電池の溝を形成するとき、半導体層を含む太陽電池に半導体層がない太陽電池よりエネルギーが少ないレーザーを照射して同じ深さの溝を形成することができ、その結果、半導体層を含む太陽電池に加わる熱的損傷が少ないことを示す。
【0048】
このような事実は、
図5を通って、さらに明確になることができる。
図4は、累積パルスエネルギーによる太陽電池の出力減少を示すグラフである。
【0049】
図示されたように、累積パルスエネルギーが増加するほど、太陽電池の出力が直線的に減少することを知ることができ、この結果を
図3に反映すると半導体層を含む太陽電池が、半導体層がない太陽電池より熱的損傷が少ないことを知ることができる。
【0050】
下記の表1は、前述した
図4~
図5の実験に使用されたレーザーの条件を示し、レーザーのスキャン回数は10回である。
【0051】
【0052】
図6は、シリコンの結晶性による吸収深さ(absorption depth)を示すグラフである。吸収深さは“1/吸収係数”で定義される値で、照射された光エネルギーの約36%を吸収され得る入射面からの透過深さを意味する。グラフを介して分かるように、波長が大きくなるほど吸収係数は、線形的に大きくなり、また、同じ波長の単結晶シリコンより多結晶シリコンの吸収係数がよいことが分かる。
【0053】
一方、
図3は、波長400(nm)以上において、多結晶シリコンの吸収係数が単結晶シリコンよりも相対的に高いことを示している。この点を考慮して、本願発明の一実施例においては、波長が400(nm)以上のレーザーを使用することが好ましく、さらに好ましく波長が532(nm)であるレーザー(以下、532レーザー)と1024(nm)であるレーザー(以下、1024レーザー)を使用され得る。
【0054】
ところで、
図6に示すような波長が532(nm)である光は、多結晶シリコンである場合に、厚さが180(nm)での光の36%が吸収される。したがって、
図1のような構成を有する太陽電池において、半導体層20の厚さが180(nm)以上になると、レーザーの約36%が半導体層20で吸収されて、残りが半導体基板10に照射されるので、半導体基板10の熱的損傷を減らすことができる。
【0055】
比較して、もし532レーザーが直接単結晶シリコンに照射であれば、厚さが1280(nm)がなるこそ同じ効果を得ることができる。
【0056】
すなわち、本願発明の一実施例のように、半導体層20を半導体基板10上に形成することにより、レーザーによる熱的損傷を効果的に減らすことができる。
【0057】
そして、1024レーザーを使用すると、多結晶シリコンである場合に、厚さが600(nm)で光の36%が吸収される。したがって、
図1のような構成を有する太陽電池において、半導体層20の厚さが600(nm)以上でなければ効果的に半導体基板10の熱的損傷を減らすことができない。
【0058】
図7は、太陽電池の溝を形成するレーザーを説明するための図である。
【0059】
レーザーは発振形態に応じて線形レーザーとパルス型レーザーに分けることができる。まず、線形レーザーは時間軸に基づいて切れなく発振する形で、この線形レーザーを溝を形成するために使用すると、太陽電池は、休止期(冷却期間)なしで加熱されるので、時間軸に比例して、太陽電池は、熱的損傷が蓄積するしかなくて好ましくない。
【0060】
これと比較し、パルス型レーザーは、パルスを有する発振周波数に同期(sync)されて、レーザーが断続的に照射される方式なので、太陽電池は、加熱区間と冷却区間を交差的に有することができ、熱的損傷を線形レーザーより効果的に減らすことができる。
【0061】
パルスタイプのレーザーでレーザーの1ショット(shot)をスポット(spot)(60)とし、スキャンタイムの間にレーザーが照射される。ここで、スキャンタイムは、レーザーがスキャンライン50に沿って照射される時間区間を意味する。
【0062】
溝を形成するとき、太陽電池に加わる熱的損傷を減らすためには、一回のスキャンを介して溝を形成するよりも、複数回のスキャンにより溝を形成することが熱的損傷を減らすことが効果的である。
【0063】
スキャン回数は、パルスエネルギーによって調節され得る。パルスエネルギーは、レーザーの1ショット当りエネルギーを意味する。パルスエネルギー(uJ)に総ショット数を乗算すると溝を形成する際に使用した総累積パルスエネルギーを求めることができ、この総累積パルスエネルギーに基づいて溝の深さ、レーザーの最大パワー(Pmax)が決定される。
【0064】
レーザーはスキャンライン(またはスクライビングライン)50に合わせて太陽電池をスキャンするのに、約10回のスキャンを介して1ラインの形の溝が、太陽電池の表面に形成されることができ、スキャン回数は、スキャンスピード、パルスエネルギーなどを変数として調整され得る。
【0065】
図8においては、スキャンライン50が、太陽電池100を2分割され得るよう、太陽電池の中心線に沿って形成されることを例示している。ここで、2分割とは、太陽電池を2枚に分割したとき、分割された2枚の太陽電池の幅(図面に基づいて縦の長さ)が同じになるよう、太陽電池を分割することをいう。
【0066】
本発明の一実施例において、また、太陽電池100は、
図8に例示するように、n個に分割されることも可能である。ここで、n個は整数をいい、
図8においては、nが3である場合を例示する。
図8を参照すると、第1スキャンライン501は、太陽電池100を3分割され得るよう、太陽電池の上方に配置され、第2スキャンライン502は、太陽電池の下方に配置されることができる。ここで、分割後の太陽電池は、すべて同じ幅を有することができるように、太陽電池の端から第1スキャンライン501との間の第1幅(d1)、第1スキャンライン501と第2スキャンライン502との間の第2幅(d2)、第2スキャンライン502と、太陽電池の端との間の第3幅(d3)は、全て同じであることができる。
【0067】
第1スキャンライン501と第2スキャンライン502に沿って、前述したように、レーザーは、照射され、その結果、太陽電池の表面に2ラインの溝が形成され、太陽電池の物理的な衝撃を加えることで、太陽電池は、第1~第3の太陽電池100nに分割されることができる。以下、前述した本発明の製造方法が適用されることができる太陽電池について説明する。
図9は、本発明が適用される一実施例の太陽電池の構成を示して図であり、
図10は、これの断面姿を見せる図である。
【0068】
この図面を参照すれば、太陽電池の一例は、半導体基板110、制御パッシベーション層132、160、第1導電型領域170、第2導電型領域120、真性半導体部190、絶縁層130、後面パッシベーション層180、複数の第1電極140及び複数の第2電極150を備えることができる。
【0069】
半導体基板110は、第1導電型または第2導電型のドーパントがドーピングされる単結晶シリコン、多結晶シリコンの内、少なくともいずれか1つで形成され得る。一例として、半導体基板110は、単結晶シリコンウエハに第1導電型または第2導電型のドーパントが低濃度にドーピングされて形成されることができる。
【0070】
ここで、第1導電型ドーパントは、p型またはn型ドーパントの内、いずれか1つで有り得、第2導電型ドーパントは、p型またはn型ドーパントの内、残りの一つで有り得る。
【0071】
具体的に、第1導電型ドーパントがボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などの3族元素の内、いずれか1つであるp型である場合、第2導電型ドーパントは、リン(P)、ヒ素(As)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)などの5族元素の内、いずれかで1つであるn型で有り得る。
【0072】
したがって、一例として、第1及び第2導電型ドーパントの内、いずれか1つがボロン(B)であり、他の一つは、リン(P)で有り得る。
【0073】
制御パッシベーション層132、160は、半導体基板110の後面全面に直接接触して配置され、誘電体材質を含むことができる。
【0074】
このような制御パッシベーション層132、160は、半導体基板110で生成されたキャ後面を通過させ、半導体基板110の後面のパッシベーション機能を実行され得る。このため、制御パッシベーション層132、160の厚さは、0.5nm~2nmの間に形成されることができる。
【0075】
このように、制御パッシベーション層132、160は、SiCxまたはSiOxで形成される誘電体材質で形成され得る。
【0076】
第1導電型領域170は、半導体基板110の前面(front surface)または後面に備えられてあり、半導体基板110と同じ導電型の領域を含有され得る。
【0077】
一例として、半導体基板110の導電型ドーパントと同じドーパントが半導体基板110のドーパント濃度よりも高濃度でドープされた領域を意味する。
【0078】
例えば、第1導電型領域170は、前面電界部171と後面電界部172を備えることができる。
【0079】
前面電界部171は、半導体基板110の前面に全体的に備え、半導体基板110と同じ導電型ドーパントが高濃度にドーピングされることができる。
【0080】
一例として、前面電界部171は、半導体基板110の前面内に導電型ドーパントが熱拡散方法で拡散されて形成されることができる。したがって、前面電界部171は、半導体基板110と同じシリコン材質で形成され得る。
【0081】
一例として、半導体基板110が単結晶シリコン材質で形成された場合、前面電界部171も単結晶シリコン材質で形成され得る。
【0082】
後面電界部172は、半導体基板110の後面に第2導電型領域120と平行方向に長く伸びて配置され、半導体基板110と同じ導電型ドーパントが高濃度でドーピングされる多結晶シリコン材質で形成され、後面電界部172としての役割を実行され得る。
【0083】
一例として、後面電界部172は、制御パッシベーション層132、160の後面上に直接接触して形成されるが、第2導電型領域120と離隔され得る。
【0084】
第2導電型領域120は、半導体基板110の後面に後面電界部172と平行方向に長く伸びて配置され、半導体基板110と反対になる導電型ドーパントがドーピングされて、制御パッシベーション層132を間に置いて、半導体基板110とp-n接合を形成し、エミッタ部としての役割を実行され得る。
【0085】
真性半導体部190は、制御パッシベーション層132の後面上の領域の中で第1導電型領域170の後面電界部172と第2導電型領域120との間の空間に形成されることができ、このような真性半導体部190は、第1導電型領域170及び第2導電型領域120とは異なるように第1導電型のドーパント又は第2導電型のドーパントがドーピングされない真性多結晶シリコン層で形成されることができる。
【0086】
このように、制御パッシベーション層132上に位置する第1導電型領域170の後面電界部172、第2導電型領域120と真性半導体部190は、半導体基板110のシリコン材質と他の結晶質を有するシリコン材質で形成されることができ、これら前述したように、レーザー加工時吸収層として機能する半導体層となることができる。このような場合に、太陽電池に個別の層を構成していなくても、構成の内いずれか1つを吸収層に機能するようにすることができ、製造コストや製造プロセスを増やさずにも、効果的に太陽電池の熱的損傷を簡単に減らすことができる。
【0087】
この半導体層は、一例として、半導体基板110のシリコン材質が単結晶シリコンで形成される場合、第1導電型領域170の後面電界部172、第2導電型領域120及び真性半導体部190は、半導体基板110より吸収係数が高い物質、一例として多結晶シリコンで形成されるか、または多結晶シリコンと非晶質シリコンが混合された材質で形成され得る。この第1導電型領域170の後面電界部172、第2導電型領域120が多結晶シリコンで構成される場合に、それらの厚さは、前述したように、いずれの波長のレーザーを使用するかによって決定され得る。レーザーの波長が532(nm)であれば、半導体層の厚さは、180(nm)以上であることが好ましく、レーザーの波長が(1024(nm)であれば、半導体層は、厚さが600(nm)以上であることが望ましい。
【0088】
絶縁層130は、半導体基板110の一面または反対面の内、少なくとも一つの上に位置され得る。一例として、
図1に示されたように、半導体基板110の前面の一面上に位置され得る。しかし、
図1に必ず限定されるものではなく、場合によっては、半導体基板110の一面だけではなく、反対面に光の入射を受ける両面型太陽電池の場合、半導体基板110の反対面である後面の上に位置することも可能である。
【0089】
さらに、絶縁層130は、半導体基板110に
図1のように、前面電界部171のような導電型の領域が備えている場合、前面電界部171上に位置され得る。しかし、もし
図1の別の方法で、前面電界部171が備えられてない場合、絶縁層130は、半導体基板110の前面に直接接触して位置することもいくらでも可能である。
【0090】
ここで、半導体基板110の一面は、半導体基板110からの光が直接的に入射する太陽電池の前面(front surface)で有り得、半導体基板110の反対面は、一面の反対側に位置する面に、光が反射して入射される太陽電池の後面で有り得る。
【0091】
このような絶縁層130は、外部から半導体基板110に入射される光の反射度を最小化し、外部からの紫外線(UV)を遮断するとともに、太陽電池モジュールの構成要素の内、一つであるエヴァ(EVA)のようなシールで水分の浸透のために生成される酢酸(Acetic acid)による絶縁層130のエッチングを防止し、基板から生成されたキャ後面が、紫外線(UV)によって消失される現象を防止して、太陽電池モジュールの開放電圧(Voc)及び短絡電流(Isc)をさらに向上させ、太陽電池モジュールの効率を全般的に向上させることができる。
【0092】
複数の第1電極140は、第2導電型領域120に接続して、長く伸びて形成され得る。このような、第1電極140は、第2導電型領域120の方向に移動したキャ後面を収集され得る。
【0093】
複数の第2電極150は、第1導電型領域170の後面電界部172に接続し、第1電極140と平行な方向に長く伸びて形成されることができる。このような、第2電極150は、第1導電型領域170の方向に移動したキャ後面を収集され得る。
【0094】
後面パッシベーション層180は、第1導電型領域170の後面電界部172、第2導電型領域120及び真性半導体部190の後面全体領域の内、第1、第2電極(140,150)が形成された領域を除外した残りの領域に形成されることができる。
【0095】
後面パッシベーション層180は、第2導電型領域120、第1導電型領域170及び真性半導体部190に形成される多結晶シリコン材質の層の後面に形成されたダングリングボンド(dangling bond)による欠陥を除去して、半導体基板110から生成されたキャ後面がダングリングボンド(dangling bond)によって再結合されて消滅することを防止する役割をされ得る。
【0096】
本発明に係る太陽電池モジュールに適用された太陽電池は、必ず、
図1にのみに限定せず、太陽電池に備えられる第1、第2の電極(140、150)が半導体基板110の後面にのみ形成される点を除外して、他の構成要素は、いくらでも変更可能である。
【0097】
例えば、第1導電型領域170の前面電界部171は、省略され得る。このような場合、絶縁層130が、半導体基板110の前面に直接接触して配置され得る。
【0098】
一方、このような構成の太陽電池にレーザーは光を受ける受光面の反対面(例えば、後面)にレーザーが照射されることが望ましい。レーザーを半導体基板110に照射する場合、レーザーによって半導体基板110の表面が溶融され、冷えながら溝40を形成する。さて、この時のレーザーの高い熱により溝40の形成の周りが共に熱エネルギーを受けることになり、この過程で安定化され結合を成していた決定の間の結合が壊れながら再結合サイト(recombination site)が増えることになるので、レーザーが、太陽電池に照射されるとき、半導体基板110の受光面よりは反対面に照射されることが望ましい。
【0099】
このとき、この太陽電池の後面は、第1導電型領域170と第2導電型領域120を含むように構成され、第1導電型領域170は、半導体基板110とpn接合を形成するので、レーザーは、好ましくpn接合をなす領域を脱し照射されることが望ましい。周知するところのように、太陽電池は、半導体基板とエミッタとの間のpn接合によって電気を生産する。ところで、エミッタが形成された領域にレーザーが照射されると、レーザーによってpn接合領域が損傷されるので、太陽電池の発電効率が低下することしかない。
【0100】
本発明においては、このような点を考慮して、レーザーはエミッタが形成された領域を脱し照射されることが望ましい。一例として、第1導電型領域170がエミッタをなし、第2導電型領域120が後面電界部を形成すると、レーザーは、受光面の反対面である後面に照射されるが、エミッタが形成された領域を脱しよう第2導電型領域120に形成された領域に照射され得る。このとき、レーザーは、電極140の長さ方向に沿って照射されることができるが、このように第2導電型領域120に照射される場合に、電極140の長さ方向が、レーザーのスキャン方向に該当し、レーザーは金属の電極を横切るように形成されず、電極の干渉なしに、太陽電池に溝を形成する利点がある。
【0101】
図11は、本発明の製造方法が適用されることができる他の形態の太陽電池を示す。この実施例の太陽電池は、前述した太陽電池が、太陽電池の後面を介して入射されるバックコンタクト(back contact)構造であれば、この実施例の太陽電池は、前面と後面に入射される光をすべて受光され得る両面受光型太陽電池で構成されることができる。
【0102】
太陽電池1000は、半導体基板1200と、半導体基板1200に、または上に形成される導電型領域(2000、3000)と、導電型領域(2000、3000)に接続される電極(4200、4400)を含めて構成されることができる。
【0103】
一例として、導電型領域(2000、3000)は、互いに異なる導電型を有する第1導電型領域2000と第2導電型領域3000を含むことができ、電極(4200、4400)は、第1導電型領域2000に接続される第1電極4200と第2導電型領域3000に接続される第2電極4400を含むことができる。
【0104】
半導体基板1200は、第1または第2導電型ドーパントを相対的に低いドーピング濃度で含み、結晶型、一例として、単結晶シリコンまたは多結晶シリコン基板の内、いずれか1つで有り得る。このとき、半導体基板1200の前面と後面の内、少なくとも一つには、反射を最小化することができるようにピラミッドなどの形状の凹凸を有するテクスチャリング(texturing)構造又は反射防止構造が備えられる。図においては、両面受光型太陽電池に合わせて前面と後面のすべてに凹凸が形成された場合を例示する。
【0105】
導電型領域(2000、3000)は、半導体基板1200の一面(一例として、前面または後面)側に位置し、第1導電型を有する第1導電型領域2000と、半導体基板1200の他の一面(一例として、乗る)側に位置し、第2導電型を有する第2導電型領域3000を含むことができる。導電型領域(2000、3000)は、半導体基板と、他の導電型を有するか、半導体基板1200よりも高いドーピング濃度を有され得る。
【0106】
好ましい一形態では、エミッタに機能する第1導電型領域2000は、半導体基板(12)の一部として構成されているドーピング領域で構成されて、半導体基板1200との接合特性を向上され得る。
【0107】
また、後面電界部に機能する第2導電型領域3000は、半導体基板1200の上に半導体基板1200とは別に形成される半導体層で構成されていることが望ましい。ここで、この半導体層3000は、前述したように、レーザーが照射されたとき吸収層に機能するためには、半導体基板1200より吸収係数が高い物質、例えば、半導体基板1200が単結晶シリコンで構成されたとき、第2導電型領域3000は、多結晶シリコンで構成されことができる。
【0108】
また、この第2導電型領域3000の厚さは、照射されるレーザーに基づいて、532のレーザーであれば、半導体層3000の厚さは、180(nm)以上であり、1024レーザーなら半導体層3000の厚さは600(nm)以上で有り得る。
【0109】
そして、半導体基板12の前面上(さらに正確には、半導体基板12の前面に形成された第1導電型領域20の上)に第1絶縁膜である第1パッシベーション層22及び/または反射防止層24が位置(一例として、接触)され得る。そして、半導体基板12の後面上(さらに正確には、半導体基板12の後面に形成された第2導電型領域30の上)に第2絶縁膜である第2のパッシベーション層32が位置(一例として、接触)され得る。第1パッシベーション層22、反射防止層24及び第2パッシベーション層32は、様々な絶縁物質で形成され得る。一例として、第1パッシベーション層22、反射防止層24または第2パッシベーション層32は、シリコン窒化膜、水素を含むシリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸化窒化膜、アルミニウム酸化膜、シリコン炭化膜、MgF2、 ZnS、TiO2とCeO2からなる群から選択されたいずれかの1つの単一膜または2つ以上の膜が組み合わせた多層膜構造を有され得る。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0110】
また、半導体基板1200と半導体層3000の間には、トンネル効果のために制御パッシベーション層3100が形成されることができる。制御パッシベーション層3100は、半導体基板1200で生成されたキャ後面を通過させ、半導体基板1200の後面のパッシベーション機能を実行され得る。このため、制御パッシベーション層3100の厚さは、0.5nm~2nmの間に形成されることができる。
【0111】
このように、制御パッシベーション層1300は、SiCxまたはSiOxで形成される誘電体材料で形成され得る。
【0112】
第1電極42は、第1絶縁膜を貫通する開口部を介して第1導電型領域20に電気的に接続され、第2電極44は、第2絶縁膜を貫通する開口部を介して第2導電型領域30に電気的に接続される。第1および第2の電極(42、44)は、様々な導電性材料(一例として、金属)で構成され、様々な形状を有され得る。
【0113】
以上、本発明の好適な実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、次の請求の範囲で定義している本発明の基本的な概念を利用した当業者の様々な変形及び改良形態また、本発明の権利範囲に属するものである。