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特許7349516人工曝露のための装置における放射線源としてのプラズマランプ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】人工曝露のための装置における放射線源としてのプラズマランプ
(51)【国際特許分類】
   G01N 17/00 20060101AFI20230914BHJP
   H01J 61/12 20060101ALI20230914BHJP
   H01J 61/30 20060101ALI20230914BHJP
   H01J 65/04 20060101ALI20230914BHJP
   H05H 1/24 20060101ALN20230914BHJP
【FI】
G01N17/00
H01J61/12 J
H01J61/30 N
H01J65/04 B
H01J65/04 A
H05H1/24
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022003683
(22)【出願日】2022-01-13
(65)【公開番号】P2022111087
(43)【公開日】2022-07-29
【審査請求日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】21152377
(32)【優先日】2021-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500055197
【氏名又は名称】アトラス マテリアル テスティング テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーチ ピーター
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06586756(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0125225(US,A1)
【文献】特開2010-019841(JP,A)
【文献】中国実用新案第201084702(CN,Y)
【文献】韓国登録特許第10-1936946(KR,B1)
【文献】特開2011-154931(JP,A)
【文献】特開平11-317205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 17/00
H01J 61/12
H01J 61/30
H01J 65/04
H05H 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルの人工曝露または耐光性試験のための、または太陽放射をシミュレートするための装置であって、
曝露チャンバと、
無電極ランプであって、前記曝露チャンバ内に設けられ、
対向する2つの端部を有する細長い形状であり、プラズマ状態にあるときに光を放出する組成物で満たされたバルブと、
自然太陽放射に類似または等しいスペクトル放出特性を含む放射を放出するための発光プラズマを発生させるために、バルブ内に無線周波数フィールドを放射するように配置された、無線周波数源であって、無線周波数波を案内するように構成された導波管を含み、前記導波管は、中心導体と、前記中心導体を囲む外側スリーブ状導体と、前記中心導体を覆い、上面に中心開口部を有する金属カップと、を含み、前記中心導体と前記外側スリーブ状導体の両方は、前記無線周波数源の主面から前記バルブの方向に延在する、無線周波数源と、
前記バルブを囲み、前記バルブと共通の円筒軸を有する導電性エンクロージャと、
前記中心導体の表面と前記バルブの対向する2つの端部の内の1つの外壁との間に接続された誘電体ロッドと、を備える無電極ランプと、を備え、
前記導電性エンクロージャは、前記外側スリーブ状導体に接続されており、したがって、前記導電性エンクロージャの横方向の直径は、前記外側スリーブ状導体の横方向の直径と等しく、
前記金属カップの前記中心開口部は、前記誘電体ロッドを受け入れる、装置。
【請求項2】
前記バルブは、水銀、硫黄、セレン、テルル、金属ハロゲン化物、および1つまたは複数の他の元素または化合物のうちの1つまたは複数を含むガスによって充填される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ガスは、
水銀と、
硫黄、セレン、テルル、金属ハロゲン化物、および1つまたは複数の他の元素または化合物のうちの1つまたは複数と、を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ガスは、不活性雰囲気中で供給される、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記無電極ランプが配置される集光器をさらに備える、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記集光器は、前記バルブで生成された光を所望のアパーチャのビームに集中させるために、反射壁を備える、請求項に記載の装置。
【請求項7】
前記装置は、前記無電極ランプの周りで前記サンプルを回転させるように構成される、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、前記サンプルを静止して配置するように構成される、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記無電極ランプは、前記無電極ランプによって放射される光放射の少なくとも一部が前記サンプル上に直接降り注ぐように、前記装置内に配置される、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は人工曝露のための装置、耐光性試験のための装置、または太陽光シミュレータ装置に関し、そのような装置は、光源として、可視および/または赤外および/またはUV放射を提供するために、無線周波数(radio frequency)またはマイクロ波エネルギーによって発光プラズマが生成される無電極放電ランプを備える。
【背景技術】
【0002】
人工曝露または太陽光シミュレータ装置は、その使用中、常に自然の気象条件に曝され、したがって、太陽光、太陽熱、水分などの気候的影響を受ける材料の寿命を推定することを目的としている。自然の曝露状況の良いシミュレーションを得るために、装置で発生する光のスペクトルエネルギー分布は、できるだけ自然の太陽放射のスペクトルエネルギー分布に対応するべきであり、その理由から、このような装置ではキセノン放射器が放射線源として使用される。材料の加速エージング試験は本質的に、サンプルのエージングを速める自然条件と比較して、サンプルのはるかに強い照射によって達成される。このようにして、材料サンプルの長期エージングの予測は、比較的短時間の後に行うことができる。
【0003】
人工曝露装置において研究された多数のサンプルは、ポリマー材料からなる。それらの曝露による劣化は、本質的に太陽放射のUV成分によって引き起こされる。この間に起こる主な光化学プロセス、すなわち光子の吸収および励起状態またはフリーラジカルの発生は、温度に依存しない。しかしながら、ポリマーまたは添加剤とのその後の反応工程は、材料の観察されるエージングも温度依存性であるように、温度依存性であってもよい。
【0004】
従来技術の曝露テスタでは、通常、放射線源としてキセノンランプが使用される。このようなランプは太陽スペクトルを非常によくシミュレートできることが知られているが、それにもかかわらず、放射される放射線は赤外スペクトル範囲において比較的高いスペクトル成分を有し、それはサンプルの過剰な加熱を防止するために、フィルタによって抑制される必要がある。さらに、市販のキセノン放射線源は、約1500時間の寿命しか有していない。
【0005】
ハロゲンランプを放射線源として使用することもできるが、これは調節不能であるか、またはわずかな程度しか調節できないという欠点を有する。曝露テスタにおける放射源として既に使用されており、比較的短い寿命という欠点も有する蛍光ランプにも、同様のことが、当てはまる。
【0006】
これらの理由および他の理由のために、本開示の必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、サンプルの人工曝露または耐光性試験のための、または太陽放射をシミュレートするための装置であって、分析されるサンプルを保持するように構成されたホルダと、プラズマ状態にあるときに光を放出する組成物で満たされたバルブと、自然太陽放射に類似または等しいスペクトル放出特性を含む放射を放出するための発光プラズマを発生させるために、バルブ内に無線周波数フィールドを放射するように配置された、無線周波数源と、を備える無電極ランプと、を備える装置に関する。
【0008】
高輝度放電ランプ(HIDランプ)は、優れた発光効率と演色性により照明に広く採用されている。それらは、多くの場合、2つの電極を横切って流れる電気放電によって発光状態にされるガスを含む透明な外被から成る。無電極ランプは、適切な組成物で満たされた透明なバルブが無線周波数またはマイクロ波エネルギーによって加熱されるランプの形態である。
【0009】
無電極ランプは、電極放電ランプよりも長い寿命を示し、その寿命に沿ってより良好なスペクトル特性を維持する傾向がある。無電極ランプは、無線周波数電源を必要とする一方で、コストのかかるガラス金属界面のない非常に単純な構造のバルブを使用する。さらに、電極がないことにより、従来の放電ランプよりもはるかに多様な光発生物質を使用することが可能になる。とりわけ、硫黄、セレン、テルルは、金属電極と化学的に適合しないので、その使用が無電極ランプに限定される一般的な充填物である。
【0010】
無電極ランプは、一般的な照明用途において従来のHIDランプに代わる興味深い代替品であり、中でも写真、映画の記録、農業、太陽光発電装置の試験、人工曝露などに高効率で優れたスペクトル特性が求められているあらゆる分野で利用されている。
【0011】
以下に示され、説明される実施形態では、バルブが球形を含み、ここで、無線周波数源は無線周波数フィールドがバルブ内の空間を最適に満たすように、無線周波数フィールドをバルブ内に放射するように配置される。特に、無線周波数源は、開放2,45GHz帯のマイクロ波放射を放射するマグネトロンから構成することができる。
【0012】
無電極ランプの一例によれば、ランプは、バルブを取り囲む導電性のエンクロージャを更に含む。エンクロージャは、導電性シート、層、またはメッシュによって実現することができる。シートまたは層の場合、それは、薄い導電層が堆積される適切に透明な、半透明な、または光透過性の基板によって支持される。さらなる例によれば、エンクロージャは、無線周波数源に接続される。より具体的には、無線周波数源が導波管の形態の出力端子を備え、エンクロージャは導波管に接続される。以下でさらに実施形態を見て説明するように、導波管は、中心導体と、中心導体を取り囲む外側スリーブ状導体とを含んでもよく、中心導体と外側スリーブ状導体の両方は、バルブの方向に無線周波数源の主面から延びる。エンクロージャは、外側スリーブ状導体と接続されてもよい。一例では、中心導体とバルブの外壁との間に誘電体ロッドを接続することができ、別の例では、中心導体とバルブの外壁との間に空の空間が設けられ、特に、それらの間に誘電体ロッドのような素子は設けられていない。
【0013】
ランプの一例によれば、ランプの構造は、ランプの通常動作において、放射電界の定在波の形成が何ら起こらないようなものである。
【0014】
ランプの一例によれば、ランプは導電性エンクロージャの外側にはいかなる反射壁も含まず、特に、ランプの通常動作において、反射壁の間に定在波の蓄積を引き起こすキャビティを形成し得る反射壁も含まない。
【0015】
装置の一例によれば、装置は、ランプを配置することができる追加の集光器を含む。集光器は、バルブ内で生成された光を所望のアパーチャのビームに集中させるために反射壁を有することができ、このビームは、次いで、検査される特定のサンプル上に所望の方法で導かれることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
添付の図面は、態様のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は態様を例示し、説明と共に、態様の原理を説明するのに役立つ。他の態様および態様の意図される利点の多くは、以下の詳細な説明を参照することによってより良く理解されるように、容易に理解されるのであろう。図面の要素は、必ずしも互いに相対的な縮尺であるとは限らない。同様の参照符号は、対応する同様の部品を示すことができる。
【0017】
本開示は、図面に関連した例示的な実施形態を参照して以下により詳細に説明される。
図1A】回転するサンプルを有する動的タイプの人工曝露のための装置の垂直断面図である。
図1B】回転するサンプルを有する動的タイプの人工曝露のための装置の、図1AのラインB-Bにおける水平断面下方図である。
図2】バルブを取り囲む導電性エンクロージャをさらに備える、ランプアセンブリの一例の部分を示す図である。
図3】中心導体とバルブの外壁との間に誘電体ロッドが接続されたランプアセンブリのさらなる例を示す。
図4A】本開示による、固定されたサンプルを有する静的タイプの人工曝露のための装置の垂直断面図である。
図4B】本開示による、固定されたサンプルを有する静的タイプの人工曝露のための装置の、図4AのラインB-Bにおける水平断面下方図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付の図面は、態様のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は態様を例示し、説明と共に、態様の原理を説明するのに役立つ。他の態様および態様の意図される利点の多くは、以下の詳細な説明を参照することによってより良く理解されるように、容易に理解されるのであろう。図面の要素は、必ずしも互いに相対的な縮尺であるとは限らない。同様の参照符号は、対応する同様の部品を示すことができる。
【0019】
以下の詳細な説明では、本開示を実施することができる特定の態様を例示として示す添付の図面を参照する。この点に関して、「上面(top)」、「底部(bottom)」、「正面(front)」、「後部(back)」などの方向用語は、説明されている図面の向きを参照して使用されてもよい。記載された装置の構成要素は多くの異なる向きに配置されてもよいので、方向用語は例示の目的で使用されてもよく、決して限定するものではない。本開示の概念から逸脱することなく、他の態様を利用することができ、構造的または論理的な変更を行うことができる。したがって、以下の詳細な説明は限定的な意味で解釈されるべきではなく、本開示の概念は添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0020】
さらに、例示の特定の特徴または態様はいくつかの実装形態のうちの1つのみに関して開示されてもよいが、そのような特徴または態様は任意の所与のまたは特定の適用のために所望され、有利であり得るように、他の実装形態の1つまたは複数の他の特徴または態様と組み合わせてもよい。さらに、用語「含む(include)」、「有する(have)」、「有する(with)」またはそれらの他の変形が詳細な記載または特許請求の範囲のいずれかにおいて使用される範囲において、そのような用語は用語「含む(comprise)」と同様の様式で包括的であることが意図される。用語「結合される(coupled)」および「接続される(connected)」が派生語と共に使用されてもよい。これらの用語は、2つの素子または層が直接物理的または電気的に接触しているかどうかにかかわらず、互いに協働または相互作用すること、またはそれらが互いに直接接触していないことを示すために使用されてもよく、それらは、間に配置される1つまたは複数の中間素子が存在し得ることを意味する。また、用語「例示的」は最良または最適ではなく、単に例として意味される。したがって、以下の詳細な説明は限定的な意味で解釈されるべきではなく、本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0021】
図1図1Aおよび1Bを含み、本開示による、サンプルの人工曝露のための装置を示す。
【0022】
図1の装置100は、曝露チャンバ1と、曝露チャンバ1内で回転できるように取り付けられた保持フレーム2とを備えている。保持フレーム2は、閉じたリング形状を有し、サンプル3またはワークピースは、保持フレーム2に設けられた適切な保持プラットフォームまたはソケット上に保持することができる。保持フレーム2は、特に、図1Bに見られるように、円筒形の形態および円形の横断面を有することができる。
【0023】
図1の装置100は、さらに、曝露チャンバ1内に設けられ、プラズマ状態にあるときに光を放出する組成物が充填されたバルブ11を備える無電極ランプ10と、バルブ11内に無線周波数フィールド13を放射して、自然の太陽放射と等しいかまたは類似のスペクトル放出特性を含む光放射15を放出するための発光プラズマを生成するように配置された無線周波数源12とを備える。
【0024】
無電極ランプ10は、その中心軸が保持フレーム2のシリンダ軸と一緒に収まるように取り付けることができる。さらに保持フレーム2を回転させて、回転軸がその円筒軸および無電極ランプ10のこの中心軸と一致するようにすることができる。その結果、保持フレーム2を回転させると、サンプル3は無電極ランプ10の周囲を円形の経路上を移動し、したがって、サンプル3とランプ10との間の距離は、時間的に一定であると同時に、常に等しい。
【0025】
それ自体知られている方法で、曝露チャンバ1は他の人工曝露器具、例えば湿気発生器などを有することもできるが、これらは、本開示において本質的な役割を果たさず、したがって詳細には説明しない。例えば、空気流を曝露チャンバ1内に吹き込み、サンプル3を垂直方向に掃引することもできる。
【0026】
図1の例に示すように、バルブ11は球形を備える。しかしながら、バルブは対向する2つの端部を含む細長い形態を有することもでき、ここで、無線周波数源は、対向する端部のうちの1つに配置される。
【0027】
バルブ11は、電離され、プラズマ状態に加熱されたときに光を生成するのに適した化学組成物で充填されてもよい。例えば、水銀、硫黄、セレン、テルル、金属ハロゲン化物およびそれらの混合物を含む、いくつかの組成物を、不活性雰囲気中で、本開示の枠内の充填物として使用することができる。組成物は、例えば、上述の他の構成要素の1つまたは複数と一緒に水銀を含有してもよい。組成物は、水銀のみを含有しないようなものであってもよい。さらに、組成物は、ランプが発する放射線が太陽放射のスペクトル特性に近似するようなものであるべきである。さもなければ、本開示は、特定の化学組成に限定されない。
【0028】
バルブ11は、ランプの機能中に到達する高温および内圧に耐えることができ、充填組成物と化学的に適合する任意の種類の透明材料によって実現することができる。典型的な実現例では、バルブ11の動作温度は600℃~900℃の範囲にあり、動作時の内圧は0.1MPa~2MPaの範囲にある。バルブ11の材質としては、例えば、石英ガラス(石英ガラス、SiO)を用いることができる。
【0029】
放出された放射の所望の電力にしたがって、バルブ11の大きさは、0.5cm~100cmの間、特に10cm~30cmの間で変化し得る。
【0030】
図1は、曝露チャンバ内の無電極ランプを1個だけ示している。しかしながら、曝露チャンバ内に2つ以上のランプを配置することも可能である。
【0031】
図2は、曝露装置に使用される無電極ランプアセンブリの別の例の部分縦断面図を示す。
【0032】
図2に見られるように、無電極ランプ20は、バルブ21を取り囲む導電性エンクロージャ24をさらに備えることができる。導電性エンクロージャ24は、図2に示されているように、導電性メッシュの形成で構成することができる。エンクロージャ24は、エンクロージャ24が円筒対称を含み、バルブ21の中心縦軸がエンクロージャ24の中心円筒対称軸と一緒に収まるように、バルブ21を包囲してもよい。
【0033】
また、エンクロージャ24は、薄くかつ透明な導電層が配置された、適切な透明、半透明、または光透過性の基板のシートの形態で実現することができる。
【0034】
エンクロージャ24の横方向直径は5cm~30cmの範囲とすることができ、特に、その全長にわたって一定とすることができる。
【0035】
より具体的には、図2に示すような放電ランプ20は、プラズマ状態にあるときに発光する組成物が充填されたバルブ21を備える。放電ランプ20は、無線周波数源23をさらに備え、その下端部でバルブ21内に無線周波数フィールド23.1を放射するように配置される。無線周波数源23は、開放2.45GHz帯で放射するマグネトロンから構成されてもよい。放電ランプ20は、バルブ21とメッシュ24の両方が共通の円筒軸を有する円筒対称となるように、バルブ21を囲む金属メッシュ24をさらに備える。無線周波数源23は、無線周波数源23の上面でマイクロ波放射を出力するための出力端子を形成する導波管26を備えるか、またはそれに接続されている。導波管26は、同軸伝送線のように構成され、中心導体26.1と、中心導体26.1をスリーブ状に取り囲む外側導体26.2とを備える。導波管26の横方向の直径は5cm~30cmの範囲とすることができ、エンクロージャ24の横方向の直径は、導波管26の横方向の直径と同じとすることができる。中心導体26.1の横方向の直径は1cm~10cmの範囲とすることができ、バルブ21の横方向の直径と実質的に同じとすることができる。導波管26の長さは、2cm~10cmの範囲とすることができる。
【0036】
図2に示すように、エンクロージャ、特にメッシュ24は導波管26の外側スリーブ状導体26.2に接続することができ、したがって、実質的に同じ横方向の直径を備える。メッシュ24は、無線周波数フィールドを閉じ込める機能を有する。中心導体26.1の上面とバルブ21の下面との間には素子は配置されていない。
【0037】
図3は、放電ランプ30の下部を縦断面図で示す。
【0038】
図3に示す放電ランプ30は、バルブ31と、無線周波数源32と、金属メッシュ34と、導波管36とを含み、これらの素子の全ては、図2の放電ランプ20と同様に構成される。しかしながら、付加的な素子として、誘電体ロッド37は、導波管36の中心導体36.1とバルブ31との間に配置される。導波管36は、中心導体36.1を覆い、誘電体ロッド37が挿入されるその上面の中心開口部を備える金属カップ36.3を備えることができる。誘電体ロッド37は、開口部から、または中心導体36.1の上面から開口部を通ってバルブ36.1の外壁の下面まで延びる。このようにして、電界は誘電体ロッド37を通ってほぼ完全に導かれ、誘電体ロッド37は誘電体導波管として作用し、マイクロ波エネルギーをバルブ31の内容積内に直接流入させる。したがって、電界の磁力線33.1によって示されるように、バルブ31への電界のチャネリングは、図2の放電ランプ20と比較して改善され得る。
【0039】
図2および図3の無電極ランプの両方の例において、無線周波数源は、バルブの外側に完全に配置され、バルブ内に外部から無線周波数フィールドを放射することが示される。しかしながら、例えば、バルブの壁の開口部を通して中心導体をバルブ内に挿入することによって、バルブ内に無線周波数源の少なくとも一部を一体化することも可能である。
【0040】
図1図3のいずれかに関連して示され説明されるような無電極ランプの始動は、2つのステップで行われてもよい。最初は、ランプを始動するとき、パッシェンの法則のために、UV光を発生するバルブ内部の低い圧力で放電がある。この放電には、主にバルブ内に存在する希ガスが含まれる。活性物質の残りは、依然として固体または液体状態である。次いで、この放電は、これらの他の活性物質を加熱する。放電は低いイオン化分子から構成され、温度はイオン化分子を得るには依然として低すぎる。バルブの内側であるレベルの温度に達すると、残りの活性物質が蒸発する。このとき、これらの材料は放電内部で混合される。放電はその挙動を変え、熱プラズマに切り替わる。この瞬間に、放電のインピーダンスは、システムの残りの部分と整合するように変化する。マイクロ波放射の反射はかなり減少し、電力を放電に伝達して多くの光を生成することができる。放電の組成物は、最初の放電(最初の10から15秒の間)と比較して完全に異なり、蒸発した分子は今や大部分であり、放電を開始するために使用される希ガスの分子は、少数(1%未満)である。
【0041】
図4図4Aおよび図4Bを備え、サンプルを固定したスタティック型の人工曝露装置の一例を示す。
【0042】
図4に示す人工曝露のための装置200は、曝露チャンバ201の底面に複数のサンプル3またはワークピースを配置できるように構成された曝露チャンバ201を備えている。図4の装置200はさらに、曝露チャンバ201に設けられ、プラズマ状態にあるときに光を放出する組成物が充填されたバルブ211を備える無電極ランプ210と、バルブ211に無線周波数フィールド213を放射して、自然の太陽放射と同様のスペクトル放出特性を含む光放射215を放出するための発光プラズマを生成するように配置される無線周波数源212とを備える。
【0043】
無電極ランプ210は、バルブ211内で生成された光を所望のアパーチャのビームに集中させる集光器214をさらに備え、このビームは次いで、所望の様式で、検査される特定のサンプル上に向けられ得る。図4の例では、集光器214はコーン形状の光反射器214から形成されており、このコーン形状の光反射器は反射性の内壁を含み、バルブ211によって放射された光の大部分を集め、矢印で示すようにサンプル203上に向ける。
【0044】
他の点では、装置200および無電極ランプ210は、図1の装置100または図2および図3の無電極ランプに関連して上述した任意の特徴を備えることができる。
【0045】
本開示は1つまたは複数の実装に関して示され、説明されてきたが、本明細書および添付の図面を読み、理解することに少なくとも部分的に基づいて、同等の変更および修正が当業者に想起される。本開示はすべてのそのような修正および変更を含み、以下の特許請求の範囲の概念によってのみ限定される。特に、上述の構成要素(例えば、要素、リソースなど)によって実行される様々な機能に関して、そのような構成要素を説明するために使用される用語は、別段の指示がない限り、本明細書に示された本開示の例示的な実装形態で機能を実行する開示された構造と構造的に同等ではないにもかかわらず、説明された構成要素の指定された機能(例えば、機能的に同等)を実行する任意の構成要素に対応することが意図される。加えて、本開示の特定の特徴はいくつかの実装形態のうちの1つのみに関して開示されているが、そのような特徴は任意の所与のまたは特定のアプリケーションに対して所望され、有利であり得るように、他の実装形態の1つまたは複数の他の特徴と組み合わせることができる。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B