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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】演算装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/65 20180101AFI20230914BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20230914BHJP
   H04L 61/5038 20220101ALI20230914BHJP
   H04L 67/10 20220101ALI20230914BHJP
【FI】
G06F8/65
H04L12/28 100A
H04L61/5038
H04L67/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022057386
(22)【出願日】2022-03-30
【審査請求日】2023-02-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】見上 一憲
(72)【発明者】
【氏名】吉田 裕志
【審査官】北川 純次
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-252770(JP,A)
【文献】特開2003-216220(JP,A)
【文献】特開2003-114861(JP,A)
【文献】特開2012-093961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/65
H04L 12/28
H04L 61/5038
H04L 67/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の機器と通信する通信部と、
第1識別情報が設定される第1起動部と、
第2識別情報が設定され、前記第1起動部によりプログラムの更新が可能な第2起動部と、を備え、
前記第2起動部は、前記通信部で取得した情報に前記第1起動部により更新可能な更新の情報が含まれていると判定した場合、前記第1起動部に第2識別情報を送信し、
前記第1起動部は、前記第2起動部から前記第2識別情報を受信した場合、第1識別情報を第2識別情報に変更し、前記第2識別情報に基づいて、前記他の機器と通信を確立し、前記他の機器から送信された更新の情報に基づいて、前記第2起動部の更新を行う演算装置。
【請求項2】
前記第1起動部は、前記第1識別情報および前記第2識別情報を一時的に読み込む情報更新部を備え、
前記第1起動部は、前記第2起動部から前記第2識別情報の送信があると前記情報更新部に前記第1識別情報および前記第2識別情報を送信し、
前記情報更新部により前記第1識別情報を前記第2識別情報に変更する
請求項1に記載の演算装置。
【請求項3】
前記第2起動部は更新が完了した後、前記第1起動部および前記第2起動部の再起動を行い、
前記情報更新部は前記再起動が行われると前記情報更新部に読み込まれた前記第1識別情報および前記第2識別情報を消去する
請求項2に記載の演算装置。
【請求項4】
他の機器と通信する通信部と、第1識別情報が設定される第1起動部と、第2識別情報が設定され、前記第1起動部によりプログラムの更新が可能な第2起動部と、を有する演算装置を駆動するためのプログラムであって、
前記第2起動部、前記通信部で取得した情報に前記第1起動部により更新可能な更新の情報が含まれていると判定した場合、前記第1起動部に第2識別情報を送信するステップを実行させ、
前記第1起動部、前記第2起動部から前記第2識別情報を受信した場合、第1識別情報を第2識別情報に変更し、前記第2識別情報に基づいて、前記他の機器と通信を確立し、前記他の機器から送信された更新の情報に基づいて、前記第2起動部の更新を行うステップを実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演算装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等に搭載されるECU(Electronic Control Unit)からなる制御対象の動作を制御する演算装置は、複数の領域を備えたものがあり、通信を確立する際に、設定した規定に基づいて識別情報(識別番号)等の情報を交換して、他の機器を特定して通信を行う(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平09-160766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、自動車用部品等の量産品の制御対象機器を制御する演算装置は、複数種類の自動車に共通して使用される。また、演算装置は、出荷検査時、使用時等に種々の機器と通信を行う。演算装置は、複数の領域がそれぞれ他の機器と通信するために、固有の識別情報を設定できるようになっているが、通常は、いずれも同じ識別情報が設定される。
【0005】
しかし、制御対象機器は出荷時に出荷検査が行われる場合があり、この出荷検査では検査機と通信させるために製造者側が使用する識別情報での設定を行いたいが、使用者側から特定の識別情報の設定が要求されることがある。
【0006】
この要求に対して、検査前に使用者に応じた識別情報を設定する方法と、検査後に識別情報を変更する方法が考えられる。しかし、このため、検査前に使用者に応じた識別情報を設定する方法では、使用者毎に設定された識別情報で検査機と通信を行うため、使用者が多岐にわたる場合、識別情報の数に応じて検査機を設ける必要がある。また、検査後に識別情報を変更する方法では、識別情報の変更時に不具合が生じた場合にその不具合を発見できなくなるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、使用者に関わらず製造者側で使用できる識別情報を設定できるとともに使用者の要求に応じた識別情報も設定できる演算装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る演算装置は、他の機器と通信する通信部と、第1識別情報が設定される第1起動部と、第2識別情報が設定され、前記第1起動部によりプログラムの更新が可能な第2起動部と、を備え、前記第2起動部は、前記通信部で取得した情報に前記第1起動部により更新可能な更新の情報が含まれていると判定した場合、前記第1起動部に第2識別情報を送信し、前記第1起動部は、前記第2起動部から前記第2識別情報を受信した場合、第1識別情報を第2識別情報に変更し、前記第2識別情報に基づいて、前記他の機器と通信を確立し、前記他の機器から送信された更新の情報に基づいて、前記第2起動部の更新を行う。
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係るプログラムは、他の機器と通信する通信部と、第1識別情報が設定される第1起動部と、第2識別情報が設定され、前記第1起動部によりプログラムの更新が可能な第2起動部と、を有する演算装置を実行するプログラムであって、前記第2起動部は、前記通信部で取得した情報に前記第1起動部により更新可能な更新の情報が含まれていると判定した場合、前記第1起動部に第2識別情報を送信するステップを実行させ、前記第1起動部は、前記第2起動部から前記第2識別情報を受信した場合、第1識別情報を第2識別情報に変更し、前記第2識別情報に基づいて、前記他の機器と通信を確立し、前記他の機器から送信された更新の情報に基づいて、前記第2起動部の更新を行うステップを実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、使用者に関わらず製造者側で使用できる識別情報を設定できるとともに使用者の要求に応じた識別情報も設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施形態に係る演算装置を含む制御システムの模式的なブロック図である。
図2図2は、演算装置の処理の一例を説明するための説明図である。
図3図3は、演算装置の更新処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0013】
(制御システム)
図1は、本実施形態に係る制御システムの模式的なブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る制御システム10は、制御対象機器12と、演算装置14と、を含む。制御システム10は、制御対象機器12の動作を演算装置14で制御する。また、制御システム10は、演算装置14が他の機器としてのシステム管理装置16と通信を行い、演算装置14で取得したデータの受領、演算装置14に記憶されるプログラム、処理条件の更新を行う。
【0014】
制御対象機器12は、演算装置14で動作が制御される機器である。制御対象機器12は、特に限定されないが、自動車であれば、エンジン、変速機、懸架装置、モータ、カメラ、センサ、表示装置、運転支援装置等である。制御対象機器12は、演算装置14から入力される指示に基づいて、動作が制御される。また、制御対象機器12は、検出した情報を演算装置14に出力してもよい。
【0015】
演算装置14は、ECU(Electronic Control Unit)等であり、制御対象機器12の動作を制御する。演算装置14は、通信部20と、処理部22と、を備える。通信部20は、外部の装置と通信を行う通信モジュールであり、例えばアンテナ等である。通信部20は、制御対象機器12や後述するシステム管理装置16の通信部40と通信を行う。なお、通信はCAN(Control Area Network)等の有線により行われてもよいし、無線により行われてもよい。
【0016】
処理部22は、CPU(Central Processing Unit)であり、第1起動部30と、第2起動部32と、を含む。
【0017】
第1起動部30は、電源の起動、例えば、エンジンのイグニッションスイッチのオンを検出すると起動処理を実行する。第1起動部30は、第2起動部32を起動させるとともに、第2起動部32のプログラム(ソフトウェア)の更新(書き換え)を実行する。第1起動部30には、製造者側で設定可能な第1識別情報としての第1アドレスが設定される。第1アドレスは製造者側が主に出荷検査時に使用するものであり、検査機等との通信を行う際に用いるためのアドレスである。第1起動部30は第1アドレスでの通信要求があると第1アドレスに基づいて通信を確立させる。
【0018】
第2起動部32は、第1起動部30で起動され、制御対象機器12の動作を制御する。第2起動部32は、使用者側の要求に応じた第2識別情報としての第2アドレスが設定される。他の機器としてのシステム管理装置16は、本実施例では第2アドレスでの通信を要求する装置であり、第2起動部32はシステム管理装置16から第2アドレスでの通信要求があると、第2アドレスに基づいて通信を確立させる。
【0019】
このように、第1起動部30および第2起動部32はそれぞれ異なる識別情報の設定が可能である。
【0020】
演算装置14は、電源の起動に基づいて、第1起動部30で起動処理を行う。また、演算装置14は、システム管理装置16から、制御対象機器12の動作を制御するプログラム(ソフトウェア)の更新情報が第2起動部32に送信された場合、更新処理を実行する。
【0021】
システム管理装置16は、演算装置14と通信を行い、データの送受信を行う。システム管理装置16は、プログラムの更新等の情報の更新を行うことができる。
【0022】
システム管理装置16は、通信部40と、入力部42と、出力部44と、処理部46と、記憶部48と、を備える。通信部40は、外部の装置と通信を行う通信モジュールであり、例えばアンテナ等である。通信部40は、演算装置14と通信を行う。入力部42は、ユーザの操作(入力)を受け付けるユーザインターフェースであり、例えばマウスやキーボード等であってよい。出力部44は、情報を出力する装置であり、例えばディスプレイ等であってよい。
【0023】
処理部46は、CPU(Central Processing Unit)である。記憶部48は、処理部46の演算内容やプログラム、各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置と、フラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)等の不揮発性の記憶装置のうち、少なくとも1つ含む。
【0024】
次に、図2を用いて、プログラムの更新処理について説明する。図2は、演算装置の処理の一例を説明するための説明図である。図2は、演算装置14のプログラムの更新の要求があった場合に通信を確立させる時の処理である。
【0025】
図2に示すように、第1起動部30は、第1記憶部30aと、情報更新部30bと、管理部30cと、第1通信部30dと、リプロ部30eと、を含む。第1記憶部30aは、製造者側で設定された第1アドレスが記憶される。情報更新部30bは、第1アドレスを第2アドレスに書き換える。管理部30cは、第2起動部32からの情報が格納される。第1通信部30dは、第2アドレスを用いてシステム管理装置16との送受信を行う。リプロ部30eは、第2起動部32に記憶されている制御対象機器12の動作を制御するプログラムの更新を行う。
【0026】
第2起動部32は、第2記憶部32aと、制御部32bと、第2通信部32cと、情報管理部32dと、を含む。第2記憶部32aは、使用者側の要求に応じて設定された第2アドレスと、制御対象機器12の駆動を制御するためのプログラムが記憶される。制御部32bは、第2記憶部32aに記憶されているプログラムに基づき、制御対象機器12の動作を制御する。第2通信部32cは、第2アドレスを用いてシステム管理装置16との通信を行う。情報管理部32dは、第2起動部32の第2アドレスの情報等を第1起動部30に送信する。
【0027】
第1記憶部30aおよび第2記憶部32aは、通信に使用するアドレスの情報や対象制御機器12の動作を制御するプログラム、各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置と、フラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)等の不揮発性の記憶装置のうち、少なくとも1つ含む。
【0028】
演算装置14の第2通信部32cは、システム管理装置16の通信部40から送信されるプログラム更新情報を演算装置14の通信部20を介して受信する。ここで、システム管理装置16から送信されるプログラムの更新情報は、通信機器の識別情報を含む。つまり、演算装置14を特定する識別情報としてのアドレスの情報を含み、アドレスには、CCP ID、RX ID、TX ID等が含まれる。演算装置14を特定するアドレスが、第2識別情報に相当する。よって、演算装置14は、第2起動部32の第2通信部32cがプログラム更新情報を検出した場合、第2識別信号に基づきシステム管理装置16との通信を確立させ、プログラムの更新が可能である場合は、システム管理装置16に通信を可能とする信号を送信する。
【0029】
ここで、第2記憶部32aへのプログラムの更新(書き換え)は第1起動部30のリプロ部30eでしか実行することができない。しかし、第1起動部30は第1アドレスが設定されているため、第2アドレスで通信を要求しているシステム管理装置16と通信をすることができない。つまり、第1起動部30はシステム管理装置16からプログラム更新情報を受信することができない。
【0030】
そこで、第2通信部32cは第1起動部30により更新可能なプログラムの更新情報を受信すると、情報管理部32dにプログラムの更新要求があることを送信する。すると、情報管理部32dは第2記憶部32aから第2アドレスの情報を読み込む。そして、情報管理部32dは、第1起動部30の管理部30cへプログラムの更新要求があることと、第2アドレスの情報である更新要求情報を送信する。つまり、第2起動部32は通信部20を介して取得した情報に第1起動部30で更新可能なプログラムの更新情報が含まれていると判定した場合は、第1起動部32に第2アドレスの情報を送信する。
【0031】
第1起動部30は、管理部30cに更新要求情報が入力されている場合、情報更新部30bが第1記憶部30aから第1アドレスの情報を一時的に読み込むとともに、管理部30cから情報更新部30bに第2アドレスの情報を読み込ませる。第1起動部30は情報更新部30bに第2アドレスの情報が入力されると、一時的に読み込ませた第1アドレスの第2アドレスへの書き換え(変更)を行う。
【0032】
アドレスの書き換え完了後、情報更新部30bは、第1通信部30dに第2アドレスの情報を送信する。すると、第1通信部30dは第2アドレスに基づいてシステム管理装置16と通信を確立させ、システム管理装置16にプログラム更新データの要求を行う。システム管理装置16は演算装置14からプログラム更新データの要求があるとプログラム更新データを送信する。第1通信部30dはリプロ部30eにプログラム更新データを転送し、リプロ部30eはこのプログラム更新データに基づいて第2起動部32のプログラムの更新を行う。
【0033】
第2起動部32は、プログラムの更新が完了したら、処理部22の再起動を行う。これにより、第1起動部30の情報更新部30bに入力されたアドレスの情報は消去され、第1起動部30は第1記憶部30aに記憶されている第1アドレスに基づいて通信を確立できる状態となる。
【0034】
次に、図3を用いて、第2起動部32が第1起動部30により更新可能なプログラムの更新情報を受信した場合の処理について、説明する。図3は、演算装置の第2起動部の更新処理の一例を示すフローチャートである。演算装置14は、第2起動部32とシステム管理装置16とで通信が確立している状態で、システム管理装置16からの更新に関するデータの送信を検出した場合、図3の処理を実行する。
【0035】
演算装置14は、プログラム更新情報を受信する(ステップS42)。
【0036】
演算装置14は、第2起動部32にプログラム更新要求があったことと、第2アドレスの情報である更新要求情報を管理部30cに送信する(ステップS44)。第1起動部30は、管理部30cに更新要求情報があるかを確認し、第1起動部30は、更新要求情報があった場合、情報更新部30bに第1アドレスの情報と第2アドレスの情報を読み込ませ、第1アドレスを第2アドレスに変更する(ステップS46)。
【0037】
第1起動部30は、変更した第2アドレスに基づいて、システム管理装置16との通信を確立させ、プログラム更新データの要求を行う(ステップS48)。つまり、演算装置14は、第1起動部30からシステム管理装置16に第2アドレスの情報を送信し、第1起動部30とシステム管理装置16との間での通信を確立させ、プログラム更新データを要求する。演算装置14は、第1起動部30でシステム管理装置16から送信されるプログラム更新データを受信する(ステップS50)。
【0038】
演算装置14は、第1起動部30で受信したプログラム更新データに基づいて、第2起動部32のプログラムの更新を実行する(ステップS52)。演算装置14は、プログラムの更新が完了すると演算装置14の再起動を行い(ステップS54)、処理を完了する。
【0039】
(効果)
以上説明したように、本実施形態に係る演算装置14は、第1起動部30と第2起動部32とにそれぞれ異なるアドレス(識別情報)を設定しても、第2起動部32で通信確立後、プログラム(ソフトウェア)の更新の要求があった場合、第1起動部30との通信に用いる第1アドレスを、第2起動部32の第2アドレスに書き換えることで、第1起動部30と他の機器との通信を確立させることができる。つまり、第2起動部32にアクセス可能な他の機器から、第2起動部32のプログラム更新データを取得した場合でも、第2起動部32のプログラムを更新することができる。これにより、第1起動部30の第1アドレスは、製造者が使用者に関わらず、共通のアドレスで設定することができ、第2起動部32の第2アドレスは使用者側からの要求に応じたアドレスを設定することができる。また、第1起動部30の第1アドレスは変更する必要がないため、使用者から要求される第2アドレスに対応する検査機を用意する必要がない。また、出荷検査等を行った後の変更が不要となり、第1起動部30の書き換えに伴う不具合が生じることも防止できる。
【0040】
また、本実施形態では、第1起動部30が第1アドレスおよび第2アドレスを一時的に読み込む情報更新部30bを備え、第1起動部30は、第2起動部32から第2アドレスの送信があると情報更新部30bに第1アドレスおよび第2アドレスを送信し、情報更新部30bにより第1アドレスを第2アドレスに変更する。第1アドレスの第2アドレスを一時的に読み込む情報更新部30bで第2アドレスへの変更が行われるため、システム管理装置16との通信時にのみ第2アドレスに基づいて通信を確立させることができる。
【0041】
また、本実施形態では、第2起動部32は更新が完了した後、第1起動部30および第2起動部32の再起動を行い、情報更新部30bは再起動が行われると情報更新部30bに読み込まれた第1アドレスおよび第2アドレスを消去する。これにより、更新が完了すると第1起動部30は第1アドレスでの通信が可能となる。
【0042】
以上、本発明の実施形態及び実施例を説明したが、これら実施形態等の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態等の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0043】
10 制御システム
12 制御対象機器
14 演算装置
16 システム管理装置(他の機器)
20 通信部
22 処理部
30 第1起動部
30b 情報更新部
32 第2起動部
【要約】
【課題】使用者に関わらず製造者側で使用できる識別情報を設定できるとともに使用者の要求に応じた識別情報も設定できる。
【解決手段】他の機器と通信する通信部と、第1アドレスが設定される第1起動部と、第2アドレスが設定され、前記第1起動部によりプログラムの更新が可能な第2起動部と、を備え、第2起動部は、通信部で取得した情報に前記第1起動部により更新可能な更新の情報が含まれていると判定した場合、第1起動部に第2アドレスを送り、第1起動部は、第2起動部から第2アドレスを受信した場合、第1アドレスを第2アドレスに変更し、第2アドレスに基づいて、他の機器と通信を確立し、他の機器から送信された更新の情報に基づいて、第2起動部の更新を行う演算装置。
【選択図】図3
図1
図2
図3