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  • 特許-家禽部位用の除骨機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】家禽部位用の除骨機
(51)【国際特許分類】
   A22C 21/00 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
A22C21/00 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022067261
(22)【出願日】2022-04-15
(65)【公開番号】P2022164625
(43)【公開日】2022-10-27
【審査請求日】2022-04-15
(31)【優先権主張番号】2027999
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】514175841
【氏名又は名称】メイン フード プロセシング テクノロジー ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンデヴェヘ、ペーテル マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル ヴァール、ディルク ヒルメン
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-211323(JP,A)
【文献】米国特許第09615591(US,B1)
【文献】特開平02-177849(JP,A)
【文献】特開2013-144326(JP,A)
【文献】特開平05-184281(JP,A)
【文献】特開平06-284855(JP,A)
【文献】特開2019-136003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家禽部位(2)用の除骨機(1)であって、
前記除骨機(1)に沿って前記家禽部位(2)を移動させるコンベヤに、処理される前記家禽部位(2)が吊り下げられて、前記除骨機(1)によって前記家禽部位(2)を処理することを可能とし、
前記除骨機(1)は、第1の顎部(4)および第2の顎部(5)を備えており、前記第1の顎部および前記第2の顎部は、前記家禽部位(2)に係合するように配置されると共に、第1のフレーム部(8)、第2のフレーム部(12)、および第3のフレーム部(16)を支持する上下可動スライドブロック(6)に取り付けられ、
前記第1のフレーム部(8)は、前記第3のフレーム部(16)に回転自在に取り付けられ、
前記第2のフレーム部(12)は、前記第3のフレーム部(16)に回転自在に取り付けられ、
前記第1の顎部(4)および前記第2の顎部は、お互いに向けて移動可能かつお互いから離れるように移動可能であり、
前記第1の顎部(4)は、前記第1のフレーム部(8)に対する前記第1の顎部(4)の回転運動を可能とするように第1のヒンジ(7)を介して前記第1のフレーム部(8)に接続されており、
前記第1のフレーム部(8)を前記第3のフレーム部(16)へ旋回自在に接続する第2のヒンジ(15)と、前記第2のフレーム部(12)と前記第3のフレーム部(16)とを旋回自在に接続する第3のヒンジ(19)とが、共通回転軸を共有すること
を特徴とする除骨機。
【請求項2】
前記コンベヤが、前記家禽を吊り下げる一連のキャリア(3)を備えており、
前記共通回転軸と、前記家禽部位が吊り下げられるキャリア(3)とが、正確にお互いに対して垂直に配列されること
を特徴とする請求項1に記載の除骨機。
【請求項3】
前記第2のフレーム部(12)に対する前記第2の顎部(5)の回転運動が可能となるよう、前記第2の顎部(5)が、第4のヒンジ(11)を介して前記第2のフレーム部(12)に接続されて、前記第1の顎部(4)と前記第2の顎部(5)との両方が前記家禽部位の寸法に対して調節できるようになっていること
を特徴とする請求項1に記載の除骨機。
【請求項4】
前記第1の顎部(4)と前記第2の顎部(5)との少なくとも一方が、その顎部が使用中において前記家禽部位に対して付勢を行い、その顎部が、吊り下げられた前記家禽部位に膝部が存在すればそこを通過できるように、ばね留めされていること
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の除骨機。
【請求項5】
前記第1の顎部(4)と前記第2の顎部(5)の両方が使用中において個別に前記家禽部位に対して付勢を行い、これらの顎部が、吊り下げられた前記家禽部位に膝部が存在すればそこを通過できるように、前記第1の顎部(4)と前記第2の顎部(5)との両方が個別にばね留めされていること
を特徴とする請求項1に記載の除骨機。
【請求項6】
前記第3のフレーム部(16)に対する前記第1のフレーム部(8)の回転運動を実行する第1のアクチュエータ(17)に、前記第1のフレーム部(8)が接続されること
を特徴とする請求項1に記載の除骨機。
【請求項7】
前記第3のフレーム部(16)に対する前記第2のフレーム部(12)の回転運動を実行する第2のアクチュエータ(18)に、前記第2のフレーム部(12)が接続されること
を特徴とする請求項1に記載の除骨機。
【請求項8】
前記第1のフレーム部(8)に接続されて、前記第3のフレーム部(16)に対する前記第1のフレーム部(8)の回転運動を実行する第1のアクチュエータ(17)と、
前記第2のフレーム部(12)に接続されて、前記第3のフレーム部(16)に対する前記第2のフレーム部(12)の回転運動を実行する第2のアクチュエータ(18)と、の少なくとも1つを備えており、
前記スライドブロック(6)が第1のガイドホイール(21)を備え、
前記第1のアクチュエータ(17)および/または前記第2のアクチュエータ(18)が、第2のガイドホイール(22)を備える別のスライドブロック(20)に接続されており、
両方のガイドホイール(21,22)が、カルーセル・ドラムの周縁部に備えられたガイドトラックと協働するように設けられて、前記スライドブロック(6,20)の高度が前記カルーセル・ドラムの前記ガイドトラックによって決められるようになっていること
を特徴とする請求項1に記載の除骨機。
【請求項9】
家禽部位(2)を吊り下げるキャリア(3)と、請求項1に記載の除骨機とを備える処理ライン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家禽部位用の除骨機に関するものであって、この除骨機に沿って家禽部位を移動させるコンベヤに、処理される家禽が吊り下げられて、除骨機によって家禽部位を処理することを可能とするものであり、前述の除骨機は、第1の顎部および第2の顎部を備えており、これらは家禽部位に係合するように配置されると共に、お互いに向けて移動可能かつお互いから離れるように、非作動位置と作動位置との間で移動可能であり、これらの顎部は、初期高度につくために、そしてそれぞれが前述の初期高度から家禽部位を処理するために、共同で上下に移動可能である。
【背景技術】
【0002】
このような特徴を有する装置は、特許文献1で知られている。他の除骨機は、特許文献2、特許文献3および特許文献4に開示されている。
【0003】
請求項1の前文による除骨機は特許文献5に開示されている。この除骨機は第1の顎部および第2の顎部を備えており、これらの顎部は上下に可動のフレームに取り付けられており、このフレームは第1のフレーム部と、第2のフレーム部と、第3のフレーム部と、を含み、第1のフレーム部は第3のフレーム部に回転自在に取り付けられており、第2のフレーム部は第3のフレーム部に回転自在に取り付けられており、第1の顎部と第2の顎部は、非作動位置と作動位置との間でお互いに向けて移動可能かつお互いから離れるように移動可能であり、第1のフレーム部に対する第1の顎部の回転運動を可能とするように、第1の顎部が第1のヒンジを介して第1のフレーム部に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2011/093698号
【文献】米国特許出願公開5203736号明細書
【文献】国際公開第2017/131513号
【文献】国際公開第93/09675号
【文献】米国特許出願公開9615591号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、家禽の骨から剥がされる肉の収穫量を確実な方法で増加させることであり、すなわち、家禽部位から収穫できる肉の量に対する、家禽部位のサイズのばらつきの悪影響をより低減させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲の1つ以上の特徴を備えた除骨機が提案される。この除骨機は、家禽のドラム肉、腿、あるいは脚部全体の肉を剥がすために好適に利用可能である。
【0007】
本発明の除骨機において、第1のフレーム部を第3のフレーム部へ旋回自在に接続する第2のヒンジと、第2のフレーム部と前記第3のフレーム部とを旋回自在に接続する第3のヒンジとが、共通回転軸を共有する。第1のフレーム部と第2のフレーム部の回転軸が共通であることにより、第1の顎部と第2の顎部のお互いに対する位置決めがより正確となり、より高い肉の収穫量が得られる、より良い剥離結果がもたらされる。
【0008】
共通回転軸は、家禽部位が吊り下げられるキャリアも含まれる垂直面内にあることがより好ましい。これにより、共通回転軸と、家禽部位が吊り下げられるキャリアとが、正確にお互い垂直に整列し、家禽部位が処理中にその搬送ラインから不必要に離れることが回避される。また、家禽部位に作用する剥離力によるヒンジ周りのトルクはわずかであるため、剥離力による顎部の開放は第2のヒンジと第3ヒンジにかけてのみ発生し、より良い剥離結果が得られる。
【0009】
第1の顎部が第1のヒンジを介して第1のフレーム部に接続されることとは別に、第2の顎部が第4のヒンジを介して第2のフレーム部に接続され、第1の顎部と第2の顎部の両方がそれぞれ第1のフレーム部と第2のフレーム部に対する回転移動が可能となるようにして、第1の顎部と第2の顎部の両方が家禽部位の寸法に対して調節ができるようにすることが好ましい。
【0010】
第1の顎部と第2の顎部との少なくとも一方が、ばね留めされていることが好適であり、このばね留めは、ばね留めされた顎部が使用中において家禽部位に対して付勢を行い、吊り下げられた家禽部位に膝部が存在すれば、その膝部をばね留めされた顎部が通過できるようにする。
【0011】
なお、使用中の第1の顎部と第2の顎部の両方を、処理される家禽部位に対して付勢するように、第1の顎部と第2の顎部の両方がばね留めされていることが好ましい。もう1つの効果として、顎部が家禽部位の寸法に合わせて調節を行うので、顎部が肉を剥ぎ取るときに、家禽部位の骨の端部に存在する膝部を、顎部が通過できるようになる。
【0012】
第1のフレーム部が、第3のフレーム部に対する第1のフレーム部の回転運動を実行するための第1のアクチュエータに接続されることが好適である。これにより、第1の顎部が、剥ぎ取り動作のための動作位置に運ばれる。同様に、第2のフレーム部は、好ましくは、第3のフレーム部に対する第2のフレーム部の回転運動を実行するための第2のアクチュエータに接続されることが好ましい。
取るときに、家禽部位の骨の端部に存在する膝部を、顎部が通過できるようになる。
【0013】
本発明はさらに、家禽部位を吊り下げるための一連のキャリアを有するコンベヤと、本発明に係る除骨機を少なくとも1つ備える処理ラインとして実施される。好ましくは、処理ラインは、複数の除骨機を有するカルーセル型装置を備える。
【0014】
複数の除骨機を有するカルーセル型装置を使用するためには、、第1のガイドホイールを備えるスライドブロックが設けられており、第1のアクチュエータおよび/または第2のアクチュエータが、第2のガイドホイールを備える別のスライドブロックに接続されており、両方のガイドホイールが、カルーセル・ドラムの周縁部に備えられたガイドトラックと協働するように設けられて、スライドブロックの高度がカルーセル・ドラムのガイドトラックによって決められるようになっている、という特徴を、除骨機のそれぞれが有していることが好ましい。
【0015】
以下において本発明は、添付の特許請求の範囲について限定を行うものではない本発明に係る除骨機の例示的実施形態の図面を参照して更に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
これらの図面において同じ参照符号が付されるときは、その符号は同じ部分を示す。
図1】本発明に係る単独の除骨機を示す側面図。
図2図1に続く段階における除骨機を示す側面図。
図3図2に続く段階における除骨機を示す側面図。
図4】第1の顎部の詳細を示す図。
図5】第2の顎部の詳細を示す図。
図6】除骨機の等角図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1ないし図3には、家禽部位2用の除骨機1が示されており、家禽部位2は一連のキャリアを有するコンベヤに吊り下げられている。図1ないし図3は、分かりやすくするために、単独のキャリア3と、そこから吊り下げられた単独の家禽部位2のみを示している。キャリア3を有するコンベヤは、除骨機1による家禽部位2の処理が可能となるように、除骨機1に沿って家禽部位2を移動させる。
【0018】
除骨機1は、第1の顎部4および第2の顎部5を備えており、これらは(結果的に)スライドブロック6に取り付けられている。詳しくは後述する通り、スライドブロックは、第1のフレーム部8、第2のフレーム部12、第3のフレーム部16を支持している。顎部4,5は、非動作位置(図1)と、顎部4,5が前処理済みの家禽部位2に係合する動作位置(図3)との間で、お互いに向けて移動可能かつお互いから離れるように移動可能である。図2は、図1の非動作位置と図3の動作位置との間の中間位置を表している。
【0019】
図1ないし図3は、第1フレーム部8が、第2ヒンジ15を介して第3フレーム部16に回転自在に取り付けられていることを示す。第1フレーム部8および第2フレーム部12と同様に、第3フレーム部16は、上下可動のスライドブロック6によって支持されている。このように、顎部4,5は、図3に示される初期高度につくために、共同で上下に移動可能に配置されている。顎部4,5は、図3に示されるような初期高度についた後、前述の初期高度で始まる家禽部位からの肉の剥離という処理のために、下方へと移動させられることが可能である。これについては当業者とってすべて明白であり、これ以上の説明は不要である。
【0020】
図4ないし図6では、本発明の除骨機1の有用性および高収穫量に寄与する独自の特徴が示されている。
【0021】
図4では、第1のフレーム部8に対する第1の顎部4の回転運動が可能となるように、第1の顎部4が、第1のヒンジ7を介して結果的に第1のフレーム部8によって支持されることが示されている。したがって第1の顎部4は、処理される家禽部位の寸法に対して調節できる。これには、家禽部位に膝部が存在する場合にはそれに対する調節も含まれる。第1の顎部4は、ばね9を用いてばね留めされていることが好ましく、このばねは使用中の第1の顎部4を家禽部位に向けて付勢するように、第1の顎部4レバーアーム10と接触している。
【0022】
図5は、第1の顎部4だけでなく第2の顎部5も、後者の第2のフレーム部12に対する回転運動が可能となるように、第2の顎部5もまた、第4のヒンジ11を介して第2のフレーム部12に接続されていることを示している。このようにして、第1の顎部4と第2の顎部5の両方が、家禽部位の寸法またはそこに存在する膝部に対して調節することができる。図5はさらに、使用中の第2の顎部5を家禽部位に向けて付勢するように第2の顎部5のレバーアーム14に接触するばね13を用いてばね留めされているという、好ましい特徴も示している。
【0023】
図6はさらに、第3のフレーム部16に対する第1のフレーム部8の回転運動を実行するための第1のアクチュエータ17に、第1のフレーム部8が接続されていることを示している。同様に、第2フレーム部12は、第3のヒンジ19を介して第3フレーム部16に回転自在に取り付けられており、さらに第2フレーム部12は、第3フレーム部16に対する第2フレーム部12の回転運動を実行するための第2アクチュエータ18に接続されている。
【0024】
カルーセル型装置と組み合わされる本発明の複数の除骨機の動作を支援するために、除骨機のそれぞれにおいて、スライドブロック6が第1のガイドホイール21を備え、第2のガイドホイール22を備えた別のスライドブロック20に、第1のアクチュエータ17および第2のアクチュエータ18が接続されていることがさらに示されており、両方のガイドホイール21,22は、カルーセル・ドラムの周縁部に設けられたガイドトラック(図示しないが、当業者には広く知られている)と協働するように設けられて、スライドブロック6,20の高度がドラムのガイドトラックによって決められるようになっている。
【0025】
最後に、第1フレーム部8の第2のヒンジ15と第2フレーム部12の第3のヒンジ19とが、共通回転軸を共有していることが示されている。
【0026】
以上、本発明の除骨機の例示的実施形態を参照しながら本発明について述べてきたが、本発明はこの具体的な実施形態に限定されるものではなく、本発明から外れることなく様々に変形することが可能である。よって説明した例示的実施形態は、厳密にこの形態で以って添付の特許請求の範囲を解釈することに用いられるべきではない。この実施形態はむしろ、添付の特許請求の範囲の記載をこうした例示的実施形態に限定する意図なく説明することを目的としたものに過ぎない。よって本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲のみに従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載に生じ得る曖昧性が、こうした例示的実施形態を用いて解消されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6