(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】サクサクした食感のキャラメル
(51)【国際特許分類】
A23G 3/34 20060101AFI20230914BHJP
A23G 3/42 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
A23G3/34 101
A23G3/42
(21)【出願番号】P 2022068153
(22)【出願日】2022-04-18
(62)【分割の表示】P 2019501497の分割
【原出願日】2017-07-11
【審査請求日】2022-04-18
(32)【優先日】2016-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591169401
【氏名又は名称】ロケット フレール
【氏名又は名称原語表記】ROQUETTE FRERES
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ リウミン
(72)【発明者】
【氏名】トム パラディ
(72)【発明者】
【氏名】レズリー クレイナー
【審査官】安孫子 由美
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-113059(JP,A)
【文献】特表平04-503159(JP,A)
【文献】国際公開第2017/029246(WO,A1)
【文献】特表2019-505237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21
A23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合度2以上の糖を含む高分子量多糖類と、D-プシコースと、を組み合わせた二峰性の炭水化物成分を含
み、
前記高分子量多糖類は、DP2(二糖類)が総炭水化物組成物の25重量%未満(乾燥重量で表される)であることを特徴とする、サクサクした食感のキャラメル。
【請求項2】
脂肪含有量が、キャラメルの総重量に対し1~15重量%であることを特徴とする、請求項1に記載のサクサクした食感のキャラメル。
【請求項3】
前記高分子量多糖類は、DP2とDP3(二糖類+三糖類)が総炭水化物組成物の20重量%未満(乾燥重量で表される)であり、分子量(MW)が2500~6000Daの範囲であることを特徴とする、請求項1
または請求項
2に記載のサクサクした食感のキャラメル。
【請求項4】
前記D-プシコースは、総炭水化物組成物の30重量%~70重量%(乾燥重量で表される)の範囲内であることを特徴とする、請求項1ないし請求項
3のいずれか一項に記載のサクサクした食感のキャラメル。
【請求項5】
前記D-プシコースは、総炭水化物組成物の30重量%~55重量%(乾燥重量で表される)の範囲内であることを特徴とする、請求項1ないし請求項
4のいずれか一項に記載のサクサクした食感のキャラメル。
【請求項6】
前記高分子量多糖類は、マルトデキストリン、分枝マルトデキストリン、難消化性デキストリン、マルトオリゴ糖および耐性デキストリンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1ないし請求項
5のいずれか一項に記載のサクサクした食感のキャラメル。
【請求項7】
前記高分子量多糖類は、分枝マルトデキストリンであることを特徴とする、請求項1ないし請求項
6のいずれか一項に記載のサクサクした食感のキャラメル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サクサクした食感のキャラメル(short texture carame)と、そのようなサクサクした食感のキャラメルキャンディの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歯ごたえのある菓子類は、人気のある食品である。最もなじみ深い種類は、キャラメル、一口キャンディ、ゼリーキャンディ、タフィーおよびトフィーならびにファッジである。
【0003】
キャラメルは、定義上、砂糖(スクロースまたはグルコースシロップ)、バター、クリームまたは牛乳からできた滑らかで歯ごたえのあるキャンディである。
【0004】
キャラメルは、セロファンに包まれた小さな茶色の甘いバター風味の塊として食すことが多いが、キャンディバーや新鮮なポップコーンの上にも組み込まれる。
【0005】
最良のキャラメルは、甘くて少しばかり歯ごたえがある。キャラメル/タフィーは、絹のように滑らかであるが、ファッジはとてもサクサクしていて、ザラザラしている。
【0006】
キャラメルは、実際には様々な食感を持つことができる。キャラメル製造業者は、柔らかくて糸引きが少ないキャラメルを特徴付けるために「サクサクした(short)」という用語を使用し、かなり歯ごたえのある、ねっとりとしたキャラメルを特徴付けるために「ねっとりとした(long)」という用語を使用する。
【0007】
技術的には、これらの特徴は、残留水分含有量と食感に従って分類される。
【0008】
ハードキャラメルは、残留水分が2%(Werthersなど)~7%(Carambarなど)で、とても硬くて滑らかな食感であるのに対し、ソフトキャラメルは、相対湿度が7%~12%であり、柔らかい食感で咀嚼性がある。
【0009】
「キャラメル(サクサクしたまたはハードの)」という名称は、修飾語句を伴っても伴わなくても、砂糖、グルコース(または転化糖)、食用脂肪(酪酸グリース、植物性脂肪および/または動物性グリース)ならびに乳タンパク質の調理によって製造される菓子類の名称であり、脂肪含有量と乳タンパク質は、例えば、最終製品が乾物基準で脂肪が少なくとも6%であり、乾物基準で牛乳由来成分が6%であるような比率である必要がある。
【0010】
ハードキャンディは、高温で可塑性または展性があるが、冷却するとガラス状である(透明で割れやすい)のに対し、キャラメルは高温と室温の両方で可塑性である。
【0011】
キャラメルは、ハードキャンディよりも低い温度(約118℃、すなわち硬いボールにする工程)で調理され、水分を多く含むため、より柔らかい。
【0012】
この柔らかい食感のために、キャラメルは、より低い温度または非常に低い圧力で押出し、金型に挿入し、様々な他のキャンディまたはキャンディバーに入れて、風味を加え、結合し、食感を与える。
【0013】
製造に使用する原材料は、製造業者や製造中のキャラメルの種類によって異なる。
【0014】
成分には、牛乳、場合により加藤練乳、コーンシロップ、砂糖、油、ホエー、炭酸カルシウム、塩、香味料、バターまたは植物油などの他の種類の脂肪、糖蜜およびコーンスターチが挙げられる。
【0015】
牛乳はキャラメルとハードキャンディとを区別するのに不可欠であり、科学的に変化してキャラメルとするのは乳固形分である。
【0016】
コーンシロップはキャンディのバッチに更に甘味を与えるが、バッチ内の混合物がザラザラになるのを防ぐ。このざらつきは、砂糖が多すぎることを示す(ざらつきは、キャラメルのバッチを台無しにする)。コーンシロップはまた、スラリーに粘りを加える。少なくとも1種の脂肪も混合物に添加する。
【0017】
バターは優れた味を提供するので、多くの場合、高級キャラメルメーカーが添加する唯一の脂肪であり、これは大量生産にとって非常に高価であることがわかっている。
【0018】
そのため、他の脂肪がごく少量のバターと共に添加される。メープルキャラメルや他の風味のキャラメルが製造される場合、成分は適宜変わる。
【0019】
キャラメルの組成はまた、色や味の強さ、さらには必要な食感によって全体的に変化する。
【0020】
キャラメルのような歯ごたえのある菓子類を製造することに関連する問題の1つは、適切な比較的サクサクした食感を達成する必要性である。
【0021】
従来技術の方法は、次のようにして行う:
- 砂糖の結晶化を抑制する。実際、消費者が望む高品質の口当たりと味を維持する必要性と共に、ざらつくキャラメルは不利である。さらに、不溶性結晶の存在によるざらつきは、冷却後にのみ生じる。したがって、これは、容易な型抜きのための利点がない。
- 脂肪を添加する。しかし、太りすぎや肥満これに関連する健康問題への懸念が高まっているため、食品に添加する脂肪量を制限することは有利である。したがって、キャラメルに更に脂肪を添加する場合、欠点は、高脂肪で高カロリーなことである。
【0022】
したがって、さらに脂肪を含めることなく高品質の口当たりと味を維持しながら、標準的なサクサクした食感のキャラメルの改良が可能な新たな解決策を提案する必要が依然としてある。
【0023】
それらの味と機能的特性のために、スクロース、転化糖、グルコースシロップなどの糖がキャラメルの製造に主に用いられた。
【0024】
しかし、これらの栄養甘味料の過剰な摂取は、肥満、心臓病、代謝障害および歯科疾患などの食事に関連した健康問題と長い間関連付けられている。
【0025】
したがって、消費者は、食事中の栄養甘味料の量を減らす方法を一層求めている。
【0026】
したがって、栄養甘味料の望ましい味および機能的特性をより良く模倣できるが、低カロリーまたはノーカロリーである栄養甘味料の代替品の開発を模索する必要がある。
【0027】
スクロースやグルコースなどの糖類と比較して、ポリオール(糖アルコールとも呼ぶ)のグリセミックインデックスは低く、糖尿病の管理や体重管理に適している。
【0028】
さらに、スクロースのような従来の甘味料の代わりにマルチトール、キシリトールなどのポリオールを使用することによる確立された歯科的利点(例えば、新たなムシ歯の劇的な減少、停止、場合により既存のムシ歯の逆転)は、ポリオールを代替甘味料としての使用に望ましいものにする。
【0029】
この理由から、菓子製造業者は、スクロースと比較した場合の歯に対する無害性と低カロリーのため、ポリオールが適切に使用される無糖の配合物を開発するようになっている。
【0030】
無糖の菓子製品の考案者が逃れられない大きな課題の1つは、産業界で実施されているプラントや手順を実質的に変更したり複雑にすることなく、区別することが困難なほど従来の製品に似た製品を問題なく製造することである。
【0031】
これは、本発明の主題である菓子製品、すなわちキャラメルにも当てはまる。
【0032】
別の困難は、ポリオールに関する文献が、多くの利点にもかかわらず、それらが下腹部痛、腹部膨満または急性で非感染性の非炎症性下痢をはじめとする不快な副作用をもたらすことを示すことである。この理由から、一部の人々、特に腸が敏感な人は、ポリオールを含むキャンディを避ける。
【0033】
これは、製造の容易さに関連する技術的性質だけでなく、経済的および代謝的性質、すなわち特に消化耐性の理由からも正当化された。
【0034】
さらに、実際には糖よりもカロリーが少ないが、このような菓子製品の配合に入り得る他の増量剤よりもカロリーが多いポリオールの配合を可能な限り制限し、それが望まれるのであれば、このように実質的にさらにカロリーの低減が得られようにすることが特に有利である。
【0035】
このように、本譲受人は、菓子製品に存在する甘味物質量に対して相対的に表される使用率において、分枝マルトデキストリンなどの多糖と特定のポリオールとの組み合わせは、非常に良好に耐容され、任意選択的にカロリーが低く、優れた安定性と調整可能な食感を有する無糖の菓子製品の製造を可能にした。
【0036】
上記に鑑みて、他の成分を必要とせずに栄養甘味料を直接置換できる低カロリーまたはゼロカロリー甘味料を提供することが望ましい。
【0037】
概念は、「歯に良い」についてであり、ポリオールではない、サクサクした食感のチュー(chew)に関するものである。
【0038】
このような甘味料は、置換される栄養甘味料の嵩高さ、甘味および機能的特性を提供するために大量に使用可能であるべきである。
【0039】
ここで、D-プシコース(D-アルロースとも呼ぶ)は、必要な嵩高さ、甘味および機能的特性を提供するために、食品および飲料製品に高レベルで使用され得ることが見出されている。
【0040】
D-プシコースとも呼ぶD-アルロースは、スクロースに対して相対的に甘味が70%であるが、カロリーはたったの0.2Kcal/gである。
【0041】
これは、D-フルクトースのC-3エピマーであり、「希少糖」に属する。D-アルロ
ースは、様々な微生物において見出されているD-タガトース3-エピメラーゼ(DTEase)ファミリー酵素によってD-フルクトースから製造することができる。
【0042】
さらに、D-アルロースは、マルトースおよびスクロースの摂取により誘発される血糖応答の低下に対して好ましい効果を有することが見出されている(Matsuo T.et al.,J.Jpn.Soc.Nutr.Food Sci.2006;59:119-121)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0043】
本発明は、DP2およびDP3(二糖類+三糖類)が20%未満であり、分子量(MW)が2500~6000Daの範囲の高分子量多糖類と、総炭水化物組成物の30%~70%(乾燥重量で表される)の範囲の少なくとも1種の単糖類と、を組み合わせた二峰性の炭水化物成分を有するサクサクした食感のキャラメルに関する。
【0044】
単糖類は、D-プシコース、フルクトース、グルコース、タガトース、キシロース、マンノース、アラビノース、ソルボースおよびリボースからなる群から選択され、より具体的にはD-プシコースまたはフルクトースである。
【0045】
高分子量多糖類は、マルトデキストリン、分枝マルトデキストリン、難消化性デキストリン(indigestible dextrin)、マルトオリゴ糖および耐性デキストリン(resistant dextrin)からなる群から選択され、より具体的には分枝マルトデキストリンである。
【0046】
本発明はまた、そのようなサクサクした食感のキャラメルキャンディを製造する方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0047】
「サクサクした食感のキャラメル」は、柔らかく、糸引きが少ないキャラメルを指すことを意図している。
【0048】
「キャラメル」は、砂糖、グルコース(または転化糖)、食用脂肪(酪酸グリース、植物性脂肪および/または動物性グリース)ならびに乳タンパク質の調理によって製造される菓子類を指すことを意図している。
【0049】
現在、機械加工と型抜きが容易なサクサクした食感のキャラメルの製造には、追加の脂肪または不溶性結晶(すなわち結晶化キャラメル)の存在が必要である。
【0050】
太りすぎや肥満ならびに関連する健康問題に対する懸念の高まっているため、食品に添加する脂肪の量を制限することは有利である。
【0051】
したがって、追加の脂肪を含むキャラメルの場合、欠点は、脂肪とカロリーが高いことである。
【0052】
消費者が望む高品質の口当たりと味を維持する必要があるため、ざらつくキャラメルは不利である。
【0053】
さらに、不溶性結晶の存在に起因するざらつき(=制御されない自発的な結晶化または制御されない結晶化の継続)は、冷却後にのみ起こる。したがって、これは、容易な型抜きのための利点を提供しない。
【0054】
本発明は、追加の脂肪の含有を必要とせず、高品質の口当たりと味が維持される、標準的なサクサクした食感のキャラメルの改良である。
【0055】
したがって、本発明によって提案される解決策は、特定のDP1糖または特定のDP1糖混合物と、比較的高分子量MW(すなわち2500~6000Daの範囲)の炭水化物とを組み合わせて、追加の脂肪または不溶性結晶を含めずにサクサクした食感を作り出すことである。
【0056】
本発明は、少なくとも1種の単糖類と高分子量多糖類とを含むサクサクした食感のキャラメルに関する。
【0057】
少なくとも1種の単糖類は、好ましくは、D-プシコース、フルクトース、グルコース、タガトース、キシロース、マンノース、アラビノース、ソルボース、リボースおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。好ましくは、少なくとも1種の単糖類は、より具体的にはD-プシコースまたはフルクトースである。
【0058】
好ましくは、単糖類は、総炭水化物組成物の30重量%~70重量%、好ましくは40重量%~60重量%、なおもより好ましくは45重量%~55重量%の範囲である(乾燥重量で表される)。
【0059】
好ましくは、サクサクした食感のキャラメルは、DP2およびDP3二糖類が総炭水化物組成物の乾燥重量の30%未満であり、より好ましくはDP2が25、20、15、10、5、4、3、2または1%未満である。
【0060】
好ましくは、高分子量多糖類は、分子量(MW)が2500~6000Daの範囲である。
【0061】
好ましくは、DP2およびDP3(二糖類+三糖類)は、20重量%、15重量%、10重量%または5重量%未満である。
【0062】
高分子量多糖類は、マルトデキストリン、分枝マルトデキストリン、難消化性デキストリン、マルトオリゴ糖、耐性デキストリンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され、より具体的には分枝マルトデキストリンである。
【0063】
例えば、高分子量多糖類は、DEが12~19の範囲であるマルトデキストリンであってもよい。
【0064】
代替的に、高分子量多糖類は、分枝マルトデキストリンであってもよい。
【0065】
一実施形態では、サクサクした食感のキャラメルは、以下の特性の1つ、いくつかまたは全てを含む:
- 残留水分が7~12%;
- 脂肪含有量が1~15重量%;
- 乳糖含有量が1~6重量%;
- 乳タンパク質含有量が0.75~15重量%;
- 炭水化物含有量が30~60重量%。
【0066】
キャラメルの食感に及ぼす影響を調べるために、
- DP1甘味料としてD-プシコースまたはフルクトースが選択され、および
- 高分子量多糖類として可溶性繊維(分枝マルトデキストリン)が選択された。
【0067】
「分枝マルトデキストリン」という表現は、本発明の目的で、本譲受人が所有者である欧州特許出願公開第1,006,128号明細書と、その米国対応出願(米国特許出願公開第09/455,009号明細書)に記載されるマルトデキストリンを意味すると理解される。
【0068】
米国特許出願公開第09/455,009号明細書の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0069】
これらの分枝マルトデキストリンは不消化特性を有し、これは、小腸における同化を防止することにより、そのカロリーを減少させるという結果をもたらす。
【0070】
重合度(「DP」)が低い分子の含有量が低いことも、低カロリーに寄与する。
【0071】
1→6グルコシド結合の含有量が高いことにより、また、口腔の微生物による同化を減少させることにより、齲蝕原性力を低下させるという結果をもたらす。
【0072】
この高レベルの1→6結合はまた、それらに非常に特別なプレバイオティクス特性を与える。実際、酪酸菌、乳酸菌またはプロピオン酸菌などのヒトや動物の盲腸や結腸の細菌は、高度に分枝した化合物を代謝するようである。
【0073】
さらに、これらの分枝マルトデキストリンは、望ましくない細菌を犠牲にしてビフィズス菌の成長を促進する。これは、消費者の健康に非常に有益な特性をもたらす。
【0074】
対照として、キャラメルの食感を分析するために以下が選択された:
- D-プシコースまたはフルクトースと標準のマルトデキストリンとを組み合わせるもの。
- スクロース(DP2)と標準のマルトデキストリンとを組み合わせるもの。
【0075】
マルトデキストリンとして、ROQUETTE FRERES社によってGLUCIDEX(登録商標)12およびGLUCIDEX(登録商標)19の名称で市販されている2つの製品が選択された。
【0076】
フルクトースとしては、以下のようなフルクトースシロップが選択された:
- High Fructose Corn Syrup 42(HFCS-DP1とDP2の混合物:約94%(フルクトース42.5%およびデキストロース51.5%)+3%DP2)、または
- High Fructose Corn Syrup 55(HFCS)。HFCS-55の組成は、DP1フルクトースおよびデキストロースが約95%であった。
【0077】
本発明は、説明の目的のみで提供され、かつ添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定することを意図しない以下の実施例に照らしてより良く理解されるであろう。
【実施例】
【0078】
方法:
糸引き性は、5mLのスプーンでキャラメルをすくい、破断点の前に形成された糸の長さを測定することによって測定される。
【0079】
測定値は、0~9の範囲にわたるスケールの数値で与えられた。
【0080】
サクサクもせず、ねっとりもしない対照には、数字6が与えられた。
【0081】
ねっとりとした食感のキャラメルは、6よりも高い(7~9)に分類され、サクサクした食感のキャラメルは、6よりもはるかに低く(好ましくは1~3)分類された。
【0082】
粘着性は、ガラス棒で試料を穿孔し、0~9のスケールを用いて粘着性の値を割り当てることによって決定した。
【0083】
水分活性は、Aqua LAB 4TE Decagon Servicesメーターで測定した。
【0084】
実施例1.DP1および/またはDP2糖ならびに高分子量増量剤から構成されるキャラメルの食感
実験で使用された一般的な配合を表1に示す。
【0085】
高分子量多糖類としては、ROQUETTE FRERES社によってNUTRIOSE(登録商標)FM 06の商品名で市販されている分枝状マルトデキストリンが選択された。
【0086】
【0087】
得られた結果を表2に示す。
【0088】
【0089】
結論:
HFCS 42およびNUTRIOSE(登録商標)FM 06(C2)、デキストロースおよびNUTRIOSE(登録商標)FM 06(C4)によって構成されるものなど、DP1甘味料およびNUTRIOSE(登録商標)FM 06を含むキャラメルは、キャラメルの対照(C1)ならびにスクロース(DP2)およびNUTRIOSE FM
06(C3)を含む類似組成物と比較した場合に糸引き性と粘着性が低い。
【0090】
DP1甘味料(HFCS42)およびGLUCIDEX(登録商標)12(C5)またはGLUCIDEX(登録商標)19(C6)を含むキャラメルは、対照よりも糸引き性が低く、NUTRIOSE FM 06(C4)を有するDP1甘味料と同様に糸引き性を示した。しかしながら、GLUCIDEX(登録商標)とDP1を含む配合物の粘着性は、対照と同等以上であった。
【0091】
したがって、DP1とGLUCIDEX(登録商標)配合物よりも、DP1とNUTRIOSE(登録商標)FM 06が粘着性と糸引き性が好ましい。
【0092】
実施例2.アルロースまたはフルクトースキャラメル、およびより高分子量の増量剤の食感
DP1糖と、可溶性トウモロコシ繊維NUTRIOSE(登録商標)FM(登録商標)06とを含む様々なキャラメル組成物を調べた。繊維以外に使用された主な成分は、アルロース(DP1)とHigh Fructose Corn Syrup 55(HFCS)であった。HFCS-55の組成は、約95%のDP1フルクトースとデキストロースであった。
【0093】
表3は、4つの異なるキャラメル配合物の組成を示す。ある配合は、HFCS-55をベースとし、繊維を含まない。
【0094】
この配合はまた、HFCS-55をアルロースシロップ5で置き換えて行った。
【0095】
これらの配合の両方は、ねっとりとした食感(糸引き性スケールで糸引き性7~9)のキャラメルをもたらした。
【0096】
残りの配合物は、NUTRIOSE(登録商標)FM 06と組み合わせたHFCS55またはアルロースのいずれかを有した。これらのキャラメルは、サクサクした食感(糸引き性1~3)を有した。
【0097】
【0098】
結論:
脂肪含有量が一定の場合、DP1甘味料(アルロースまたはHFCS-55)は、NUTRIOSE(登録商標)FM 06の存在下でサクサクした食感のキャラメルをもたら
す。
【0099】
NUTRIOSE(登録商標)FM 06を配合物から除去すると、その逆(ねっとりとした食感)が達成される。