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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】釣竿
(51)【国際特許分類】
   A01K 87/00 20060101AFI20230914BHJP
   A01K 87/04 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
A01K87/00 620A
A01K87/04 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022121013
(22)【出願日】2022-07-28
【審査請求日】2022-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】522303065
【氏名又は名称】岩崎 弘行
(74)【代理人】
【識別番号】100225462
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 研太
(74)【代理人】
【識別番号】100188776
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 吉男
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 弘行
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-211051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 87/00 - 87/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状の穂先部と、
前記穂先部に略平行に接続された全体が直線状の弾性線材と、
を備え、
前記穂先部から釣糸が投下され、
前記弾性線材が、前記穂先部に対して略平行であり、
前記弾性線材の先端が、前記穂先部の釣糸の投下位置よりも突出する、
釣竿。
【請求項2】
直線状の穂先部と、
前記穂先部に接続された弾性線材と、
備え、
前記穂先部の側面にスリーブが設けられ、
前記スリーブに前記弾性線材が着脱可能に挿通される、
とともに、
前記穂先部から釣糸が投下され、
前記弾性線材が、前記穂先部に対して略平行であり、
前記弾性線材の先端が、前記穂先部の釣糸の投下位置よりも突出する、
釣竿。
【請求項3】
前記穂先部がトップガイドである、
請求項1又は2に記載の釣竿。
【請求項4】
前記弾性線材が合成樹脂である、
請求項1又は2に記載の釣竿。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣竿に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、釣り場の条件や使用者の好みに合わせて、様々な構造の釣竿が考案されている。普及しているものとしては、例えば、穂先に設けられたリリアンに道糸を結び付けて使用する延べ竿や、竿体の外部に複数の釣糸ガイドを設置した外ガイド式の釣竿、中空の竿体内部に釣糸を挿通させることが可能な中通し式の釣竿が挙げられる。
【0003】
釣りを行う際、通常は水流やリールの巻き取りなどの影響により仕掛けが回転し、仕掛けの回転により釣糸に捻じれが生じる。そして、釣糸の張力が緩んだときに釣糸の復元力が解放され、釣竿に釣糸が絡まるといった問題が多発している。特に、外ガイド式の釣竿は釣糸がガイドに絡まりやすく、釣糸を解きほぐす作業が頻繁に発生し、非常に面倒であった。
【0004】
上記の問題を解決するために、特開平01-269442号公報(以下、「特許文献1」という。)に「釣竿の先端部に固定することが可能な様に成したキャップに、弾性を有し、且つ復元力を有している線材が連結され、更に、前記線材の先端部に釣糸締結機構を有する釣糸の絡み防止装置」が記載されている。
また、特開2013-027331号公報(以下、「特許文献2」という。)に「釣竿の外周に釣糸案内用のガイドを複数設けた外通しの釣竿において、釣糸案内のための直線状のパイプの一端を釣竿先端に設けられるトップガイドと、トップガイドに隣接するガイド内を挿通し、他端をトップガイドより突出させたパイプとトップガイドより突出したパイプに嵌めこんだチューブと、パイプの脱落防止のための位置保持部材とを設けたことを特徴とする釣り糸案内装置」が記載されている。
特許文献1及び特許文献2に記載の釣竿は、いずれも釣竿の先端に弾性部材を取り付け、さらに弾性部材の外部又は内部に釣糸を通す機構を設けている。これにより、釣糸の投下位置と竿体とを隔離している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平01-269442号公報
【文献】特開2013-027331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1及び特許文献2に記載の釣竿は、釣竿の先端に取り付けられた弾性部材によって釣糸を案内する。すなわち、これらの釣竿は、実質的に弾性部材がトップガイドとしての役割を果たしており、弾性部材の先端が釣糸の投下位置となる。そのため、弾性部材には釣糸が絡まりやすく、連鎖的に竿体にまで釣糸が絡んでしまうことがあった。また、魚を釣り上げる際には、弾性部材が釣糸を直接支えることとなるため、弾性部材に強い力が掛かって壊れやすいという問題もあった。
【0007】
本発明の課題は、十分な強度を有しながらも、釣糸の絡まりが軽減された釣竿を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態に係る釣竿は、
直線状の穂先部と、
前記穂先部に略平行に接続された全体が直線状の弾性線材と、
を備え、
前記穂先部から釣糸が投下され、
前記弾性線材が、前記穂先部に対して略平行であり、
前記弾性線材の先端が、前記穂先部の釣糸の投下位置よりも突出する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の釣竿によれば、十分な強度を有しながらも、釣糸の絡まりを軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、釣竿10の構造を示す正面図である。
図2図2は、釣竿10の構造を示す斜視図である。
図3図3は、釣竿12に釣糸92が巻き付く一連の過程を示す説明図である。
図4図4は、釣竿12に釣糸92が巻き付く一連の過程を示す説明図である。
図5図5は、釣竿12に釣糸92が巻き付く一連の過程を示す説明図である。
図6図6は、釣竿12に釣糸92が巻き付く一連の過程を示す説明図である。
図7図7は、釣竿12に釣糸92が巻き付く一連の過程を示す説明図である。
図8図8は、釣竿12に釣糸92が巻き付く一連の過程を示す説明図である。
図9図9は、釣竿10の使用状態を示す説明図である。
図10図10は、釣竿10の使用状態を示す説明図である。
図11図11は、釣竿10aの構造を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
[釣竿10の構造]
以下に、本発明の第1実施形態に係る釣竿10の構造について図面を参照しながら説明する。図1は、釣竿10の構造を示す正面図である。図2は、釣竿10の構造を示す斜視図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、釣竿10は、竿体20と、トップガイド30と、弾性線材40と、スリーブ50とを備えている。釣竿10は、外ガイド式の釣竿である。竿体20の先端には、トップガイド30が設けられている。トップガイド30は直線状の形状を有する。より詳細には、トップガイド30は、リング部60と、フレーム部70を有する。リング部60は、フレーム部70によって支持されている。リング部60は、円筒状の形状を有する。フレーム部70は、直線状の形状を有する。フレーム部70は、先端に開口部80を有する。本実施形態において、トップガイド30は、釣竿10の穂先部に相当する。
【0013】
トップガイド30には、弾性線材40が接続されている。より詳細には、トップガイド30のフレーム部70の側面に、スリーブ50が設けられている。スリーブ50には、弾性線材40が着脱可能に挿通されている。弾性線材40はV字状に折り曲げられ、弾性線材40の折り返し部分がスリーブ50に挿通されている。スリーブ50の内径は、弾性線材40の外径の2倍程度である。弾性線材40は、自身の弾性により、スリーブ50に固定されている。使用者が力を込めて引っ張ることで、スリーブ50から弾性線材40を引き抜くことができる。
【0014】
弾性線材40は、直線状のトップガイド30に対して略平行である。弾性線材40の先端αは、トップガイド30の釣糸の投下位置βよりも突出している。本実施形態において、釣糸の投下位置βは、トップガイド30のX方向の先端である。弾性線材40の先端αは、釣糸の投下位置βよりもX方向に突出している。X方向は、直線状のフレーム部70と略平行である。弾性線材40は、フレーム部70に沿うように設けられている。釣竿10は、リング部60の内部に釣糸を通し、釣糸の投下位置βから釣糸を投下することによって使用される。
【0015】
弾性線材40は、開口部80に着脱可能に挿通されている。弾性線材40の材料は、例えば合成樹脂である。合成樹脂製の弾性線材40は、長さの調節が容易であり、また、釣糸との滑りが良く軽量であるため、使用の際に釣竿10が破損する危険性が低い。弾性線材40の全長は50mm~100mm程度であるが、使用者の好みによって適宜調整可能である。
【0016】
釣竿10のその他の構造については、従来の釣竿と同じであるため説明を省略する。
【0017】
[効果]
トップガイド30に接続された弾性線材40の先端αは、トップガイド30の釣糸の投下位置βよりも突出している。これにより、弾性線材40が、釣竿10に対する釣糸の巻き付きを阻害する。また、釣糸が、弾性線材40の先端を迂回する程に大きく捻じれ、弾性線材40に巻き付いた際にも、仕掛けの重みにより弾性線材40が自然にしなり、釣竿10に複雑に絡まる前に、釣糸の巻き付きが解除される。また、弾性線材40は、トップガイド30の先端に設けられた開口部80に挿通されている。これにより、スリーブ50への釣糸の干渉が阻害され、釣竿10に対する釣糸の巻き付きが一層軽減される。
【0018】
弾性線材40は、直線状のフレーム部70に対して略平行であり、トップガイド30の釣糸の投下位置βから釣糸が投下される。これにより、魚を釣り上げる際に、弾性線材40に過度の力が掛かることがない。
【0019】
トップガイド30の側面にはスリーブ50が設けられており、スリーブ50には、弾性線材40が着脱可能に挿通されている。これにより、弾性線材40が摩耗・破損した際の弾性線材40の取り換えが容易となると同時に、釣竿10に保護カバーなどを取り付ける際に邪魔にならない。また、使用者は、釣りの状況に応じて、弾性線材40を使用するかどうかを適宜選択することができる。
【0020】
以下に、本発明が奏する作用効果、特に、釣糸の巻き付きを阻害する効果、及び、釣糸の巻き付きを解除する効果について、さらに詳しく述べる。
【0021】
図3図8は、従来の釣竿12に釣糸92が巻き付く一連の過程を示す説明図である。図3に示すように、釣竿12は外ガイド式の釣竿であり、釣竿12の先端にはトップガイド32が設けられている。トップガイド32は、リング部62とフレーム部72を有する。トップガイド32のリング部62には、釣糸92が通されている。水流の影響やリールの巻き取り等により、釣糸92には捻じれが生じている。そして、捻じれによって釣糸92に生じた復元力が、釣糸92の張力を緩めることによって解放されている。釣糸92は、釣竿12の先端(釣糸の投下位置)よりもX方向に突出し、輪状の軌跡を描きながら、X方向とは反対方向に延びている。そして、図3図7に示すように、釣糸92に生じた復元力によって、釣糸92の端部92aは、リング部62の回りを囲むように移動する。同時に、釣糸92の端部92bは、フレーム部72の回りを囲むように移動する。その結果、図8に示すように、釣竿12に釣糸92が巻き付き、糸絡みが生じる。
【0022】
図3図8に示す過程は、比較例として用いた一例にすぎない。しかしながら、従来の釣竿に発生する糸絡みは、釣竿の種類に関係なく、穂先部の周りを囲むように釣糸が移動することによって生じる。そして、釣糸が二重、三重と釣竿に巻き付くことによって、複雑な糸絡みが発生する。
【0023】
図9及び図10は、本発明の第1実施形態に係る釣竿10の使用状態を示す説明図である。図9に示すように、釣竿10は、釣糸90の巻き付きを弾性線材40によって阻害することができる。すなわち、弾性線材40の先端を大きく迂回するように移動しなければ、釣糸90は、フレーム部70の周りを囲むように移動することができない。その結果、釣糸90の絡まりが軽減される。
【0024】
また、図10に示すように、弾性線材40の先端に釣糸90が巻き付いた際には、水平に対して0°~45°程度となるように釣竿10を傾けることで、釣糸90の先端に取り付けられた仕掛けの重みにより、弾性線材40が自然にしなり、釣糸90の巻き付きが解除される。
【0025】
(第2実施形態)
[釣竿10aの構造]
以下に、第2実施形態に係る釣竿10aについて、図面を参照しながら説明する。図11は、釣竿10aの構造を示す正面図である。
【0026】
図11に示すように、釣竿10aは、竿体20aと、トップガイド30aと、弾性線材40aと、を備えている。釣竿10aは中通し式の釣竿である。竿体20aは円筒状の形状を有する。竿体20aの先端には、トップガイド30aが設けられている。トップガイド30aは直線状の形状を有する。より詳細には、トップガイド30aは円筒状の形状を有する。本実施形態において、トップガイド30aは、釣竿10aの穂先部に相当する。
【0027】
トップガイド30aには、弾性線材40aが接続されている。より詳細には、トップガイド30aの先端には開口部80aが設けられている。弾性線材40aは、開口部80aに挿通されている。弾性線材40aには、2つのストッパー100が取り付けられている。ストッパー100は輪状のゴム材である。ストッパー100の内径は、弾性線材40aの外径と同程度である。弾性線材40aは、ストッパー100を取付けることによってトップガイド30aに固定されている。使用者は、ストッパー100を取り外すことによって、開口部80aから弾性線材40aを引き抜くことができる。
【0028】
弾性線材40aは、トップガイド30aに対して略平行である。弾性線材40aの先端γは、トップガイド30aの釣糸の投下位置δよりも突出している。本実施形態において、釣糸の投下位置δは、トップガイド30aのY方向の先端である。弾性線材40aの先端γは、釣糸の投下位置δよりもY方向に突出している。Y方向は、直線状のトップガイド30aと略平行である。
【0029】
釣竿10aは、竿体20a及びトップガイド30aの内部に釣糸を通し、釣糸の投下位置δから釣糸を投下することによって使用される。
【0030】
釣竿10aのその他の構造については、釣竿10又は従来の釣竿と同じであるため、説明を省略する。
【0031】
[効果]
以上のような釣竿10aは、釣竿10と同じ作用効果を奏することができる。
【0032】
(その他の実施形態)
本発明に係る釣竿は、釣竿10、10aに限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。なお、釣竿10、10aの構造を任意に組み合わせてもよい。
【0033】
なお、本発明は、トップガイドを有さない釣竿にも適用可能である。すなわち、本発明における穂先部は、必ずしもトップガイドを意味しない。トップガイドを有しない釣竿の穂先部は、例えば竿体の先端部である。
【0034】
なお、ストッパー100は、必須の構成要素ではない。
【0035】
なお、スリーブ50は、トップガイド30の他の側面に設けられていてもよい。
【0036】
なお、弾性線材は、合成樹脂でなくてもよい。弾性線材は、例えば軽量の金属によっても実施可能である。弾性線材はV字状に折り曲げられていなくてもよく、折り返し部分がスリーブに挿通されていなくともよい。弾性線材は、着脱可能に挿通されていなくともよい。
【0037】
なお、弾性線材は、穂先部と厳密に平行でなくともよい。これらの成す角度は、例えば、0°以上15°以内であればよい。
【0038】
なお、弾性線材は、外力の働いていない状態において穂先部と略平行であれば十分である。したがって、弾性線材は、使用時において一時的に穂先部と略平行でなくなってもよい。
【符号の説明】
【0039】
10,10a,12 釣竿
20,20a 竿体
30,30a,32 トップガイド
40,40a 弾性線材
50 スリーブ
60,62 リング部
70,72 フレーム部
80,80a 開口部
90,92 釣糸
92a,92b 端部
100 ストッパー
X,Y 方向
α,γ 先端
β,δ 釣糸の投下位置
【要約】
【課題】十分な強度を有しながらも、釣糸の絡まりが軽減された釣竿を提供する。
【解決手段】釣竿(10)は、直線状の穂先部(30)と、穂先部(30)に接続された弾性線材(40)とを備える。釣竿(10)は、穂先部(30)から釣糸が投下される。弾性線材(40)は、穂先部(30)に対して略平行である。弾性線材(40)の先端(α)が、穂先部(30)の釣糸の投下位置(β)よりも突出する。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11