(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】自動車投光器用の照射装置
(51)【国際特許分類】
F21S 41/24 20180101AFI20230914BHJP
F21S 41/43 20180101ALI20230914BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20230914BHJP
F21W 102/13 20180101ALN20230914BHJP
F21Y 103/33 20160101ALN20230914BHJP
【FI】
F21S41/24
F21S41/43
F21V8/00 310
F21V8/00 330
F21V8/00 340
F21V8/00 350
F21W102:13
F21Y103:33
(21)【出願番号】P 2022508804
(86)(22)【出願日】2020-07-08
(86)【国際出願番号】 EP2020069248
(87)【国際公開番号】W WO2021028124
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-03-02
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー、クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】シュラーグル、マルティン
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03396238(EP,A1)
【文献】特開2016-194983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/00
F21S 43/00
F21V 8/00
F21W 102/13
F21Y 103/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車投光器用の照射装置であって、前記照射装置は、
- 光を生成して放射するように構成されている発光手段(2)を含み、
- 前記発光手段(2)に割り当てられている第一光学系要素(3)を含み、但し前記第一光学系要素(3)は、前記発光手段(2)により放射された光を受け入れるための第一光入射面(3a)を有し、前記第一光学系要素(3)は、光を前記第一光学系要素(3)の第一光出射面(3b)に導き且つ前記第一光出射面(3b)を通って主放射方向(4)に放射するように構成されており、
- 光伝播方向で前記第一光学系要素(3)の後に配設され且つ前記第一光学系要素(3)から離間されている第二光学系要素(5)を含み、但し前記第二光学系要素(5)は、第二光入射面(5a)を有し、前記第二光入射面(5a)と前記第一光出射面(3b)は、前記発光手段(2)の光が前記第一光出射面(3b)から前記第二光入射面(5a)を介して前記第二光学系要素(5)内に入射されるように互いに配設されており、光は前記第二光学系要素(5)内で前記第二光学系要素(5)の第二光出射面(5b)に導かれ、少なくとも前記第二光入射面(5a)及び/又は前記第二光出射面(5b)は、平らではなく、又は湾曲しており、前記第二光入射面(5a)と前記第二光出射面(5b)の間において、前記第二光学系要素(5)は、光伝播方向で少なくとも2mmの空間的な大きさ、又は15mmよりも大きい空間的な大きさを有する構成であり、
前記第二光入射面(5a)は、面状に相並んで配設された多数の光学要素(6)により構成されており、これらの光学要素(6)は、前記第二光出射面(5b)からの出射時に行われる光線の屈折の後に光線が前記主放射方向(4)の方向に配向されるように、光線を前記第二光学系要素(5)内への入射時に屈折させる構成を有すること、
前記第一光学系要素(3)は、唯一の第一光入射面(3a)を有し、前記発光手段(2)は、光源支持体(8)及びその上に配設された個々に制御可能な所定数の光源(9)を含み、前記光源支持体(8)は、前記光源(9)の光が前記第一光入射面(3a)を介してのみ前記第一光学系要素(3)内にもたらされるように、前記第一光入射面(3a)に沿って配設されていること、
前記光源(9)は、前記光源支持体(8)上に、リング状の光源配置経路に沿って配設されており、前記光源配置経路は、2つの隣接する前記光源(9)の間の最短間隔の並びから構成されていること、
前記第二光学系要素(5)は、凹部(11)を有し、前記凹部(11)は、前記第二光出射面(5b)が、閉じた軌道曲線部(12)の形状を有するように構成されていること、
前記光源配置経路は、前記閉じた軌道曲線部(12)の幾何学形状を結像すること、
前記発光手段(2)は、前記発光手段(2)からの光が、前記第一光学系要素(3)内に、前記主放射方向(4)から外れた方向に、又は前記主放射方向(4)に対して直角に入射されるように、前記第一光入射面(3a)に対して配設されており、前記第一光学系要素(3)内には、偏向手段(3c)が、光を前記第一光学系要素(3)内への入射後に前記第一光学系要素(3)内で該偏向手段(3c)により前記主放射方向(4)の方向に偏向するように配設されて構成されていること、
を特徴とする照射装置。
【請求項2】
前記第二光入射面(5a)上の各光学要素(6)は、ファセットとして構成されており、これらのファセットは、前記第二光入射面(5a)上の均等なグリッドとして一緒に配設されていること、
を特徴とする、請求項1に記載の照射装置。
【請求項3】
前記ファセットは、それぞれ、前記第二光入射面(5a)に対してγ≠0°の角度で配向されていること、
を特徴とする、請求項2に記載の照射装置。
【請求項4】
前記第一光学系要素(3)と前記第二光学系要素(5)の間の間隔は、1mm又は2mmの値を有すること、
を特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項5】
前記第一光出射面(3b)は、前記発光手段(2)により入射された光を前記第一光出射面(3b)からの出射時に前記主放射方向(4)の周りに散乱させるために、光散乱手段(7)を有すること、
を特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項6】
前記第二光学系要素(5)は、透明な中実体として構成されていること、
を特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項7】
前記第一光学系要素(3)は、透明な中実体として構成されていること、
を特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項8】
前記第二光入射面(5a)と前記第二光出射面(5b)は、湾曲しており、前記第二光入射面(5a)と前記第二光出射面(5b)の間には、前記第二光出射面(5b)から出発して
一定の法線間隔があること、
を特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項9】
前記光源支持体(8)は、プリント回路基板を含むこと、
を特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項10】
前記光源
(9)は、前記光源配置経路全体にわたり均等な間隔で分配されていること、
を特徴とする、請求項
1~9
のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項11】
前記第一光学系要素(3)と前記第二光学系要素(5)の間には、絞り部材(13)が配設されていること、
を特徴とする、請求項1~
10のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項12】
請求項1~
11のいずれか一項に記載の照射装置(1)を有する自動車投光器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車投光器(例えば自動車前照灯)用の照射装置に関し、該照射装置は、
- 光を生成して放射するように構成されている発光手段を含み、
- 発光手段に割り当てられている第一光学系要素を含み、但し第一光学系要素は、発光手段により放射された光を受け入れるための第一光入射面を有し、この際、第一光学系要素は、光を第一光学系要素の第一光出射面に導き且つ第一光出射面を通って主放射方向に放射するように構成されており、
- 光伝播方向で第一光学系要素の後に配設され且つ第一光学系要素から離間されている第二光学系要素を含み、但し第二光学系要素は、第二光入射面を有し、この際、第二光入射面と第一光出射面は、発光手段の光が第一光出射面から第二光入射面を介して第二光学系要素内に入射されるように互いに配設されており、この際、光は第二光学系要素内で第二光学系要素の第二光出射面に導かれ、この際、少なくとも第二光入射面及び/又は第二光出射面は、平らではなく、特に湾曲しており、この際、第二光入射面と第二光出射面の間において、第二光学系要素は、光伝播方向で少なくとも2mmの空間的な大きさ(広がり)、好ましくは15mmよりも大きい空間的な大きさを有する。
【0002】
更に本発明は、照射装置を備えた自動車投光器に関する。
【背景技術】
【0003】
導光体を介して光が出射する自動車投光器用の照射装置では、導光体の境界面において、望まれない光屈折がしばしば発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】欧州特許出願公開第3396238号
【文献】欧州特許出願公開第2530372号
【文献】特開2016-194983号
【文献】米国特許出願公開第2013/021815号
【文献】独国実用新案第202015008368号
【文献】独国特許出願公開第102015204747号
【文献】中国特許出願公開第107037524号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
導光体の境界面における望まれない光屈折の発生は、導光体が光伝播方向で大きい空間的な大きさを有する場合には、特に問題である。
【0006】
本発明の課題は、従来技術の欠点を軽減ないし排除することである。従って本発明は、特に光放射が改善される照射装置を創作することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、請求項1に記載の特徴を有する照射装置により解決される。好ましい実施形態は、従属請求項に記載されている。
即ち本発明の第1の視点により、
自動車投光器用の照射装置であって、前記照射装置は、
- 光を生成して放射するように構成されている発光手段を含み、
- 前記発光手段に割り当てられている第一光学系要素を含み、但し前記第一光学系要素は、前記発光手段により放射された光を受け入れるための第一光入射面を有し、前記第一光学系要素は、光を前記第一光学系要素の第一光出射面に導き且つ前記第一光出射面を通って主放射方向に放射するように構成されており、
- 光伝播方向で前記第一光学系要素の後に配設され且つ前記第一光学系要素から離間されている第二光学系要素を含み、但し前記第二光学系要素は、第二光入射面を有し、前記第二光入射面と前記第一光出射面は、前記発光手段の光が前記第一光出射面から前記第二光入射面を介して前記第二光学系要素内に入射されるように互いに配設されており、光は前記第二光学系要素内で前記第二光学系要素の第二光出射面に導かれ、少なくとも前記第二光入射面及び/又は前記第二光出射面は、平らではなく、又は湾曲しており、前記第二光入射面と前記第二光出射面の間において、前記第二光学系要素は、光伝播方向で少なくとも2mmの空間的な大きさ、又は15mmよりも大きい空間的な大きさを有する構成であり、
前記第二光入射面は、面状に相並んで配設された多数の光学要素により構成されており、これらの光学要素は、前記第二光出射面からの出射時に行われる光線の屈折の後に光線が前記主放射方向の方向に配向されるように、光線を前記第二光学系要素内への入射時に屈折させる構成を有すること、
を特徴とする照射装置が提供される。
より詳しくは、前記第1の視点において、
自動車投光器用の照射装置であって、前記照射装置は、
- 光を生成して放射するように構成されている発光手段を含み、
- 前記発光手段に割り当てられている第一光学系要素を含み、但し前記第一光学系要素は、前記発光手段により放射された光を受け入れるための第一光入射面を有し、前記第一光学系要素は、光を前記第一光学系要素の第一光出射面に導き且つ前記第一光出射面を通って主放射方向に放射するように構成されており、
- 光伝播方向で前記第一光学系要素の後に配設され且つ前記第一光学系要素から離間されている第二光学系要素を含み、但し前記第二光学系要素は、第二光入射面を有し、前記第二光入射面と前記第一光出射面は、前記発光手段の光が前記第一光出射面から前記第二光入射面を介して前記第二光学系要素内に入射されるように互いに配設されており、光は前記第二光学系要素内で前記第二光学系要素の第二光出射面に導かれ、少なくとも前記第二光入射面及び/又は前記第二光出射面は、平らではなく、又は湾曲しており、前記第二光入射面と前記第二光出射面の間において、前記第二光学系要素は、光伝播方向で少なくとも2mmの空間的な大きさ、又は15mmよりも大きい空間的な大きさを有する構成であり、
前記第二光入射面は、面状に相並んで配設された多数の光学要素により構成されており、これらの光学要素は、前記第二光出射面からの出射時に行われる光線の屈折の後に光線が前記主放射方向の方向に配向されるように、光線を前記第二光学系要素内への入射時に屈折させる構成を有すること、
前記第一光学系要素は、唯一の第一光入射面を有し、前記発光手段は、光源支持体及びその上に配設された個々に制御可能な所定数の光源を含み、前記光源支持体は、前記光源の光が前記第一光入射面を介してのみ前記第一光学系要素内にもたらされるように、前記第一光入射面に沿って配設されていること、
前記光源は、前記光源支持体上に、リング状の光源配置経路に沿って配設されており、前記光源配置経路は、2つの隣接する前記光源の間の最短間隔の並びから構成されていること、
前記第二光学系要素は、凹部を有し、前記凹部は、前記第二光出射面が、閉じた軌道曲線部の形状を有するように構成されていること、
前記光源配置経路は、前記閉じた軌道曲線部の幾何学形状を結像すること、
前記発光手段は、前記発光手段からの光が、前記第一光学系要素内に、前記主放射方向から外れた方向に、又は前記主放射方向に対して直角に入射されるように、前記第一光入射面に対して配設されており、前記第一光学系要素内には、偏向手段が、光を前記第一光学系要素内への入射後に前記第一光学系要素内で該偏向手段により前記主放射方向の方向に偏向するように配設されて構成されていること、
を特徴とする。
更に本発明の第2の視点により、
前記照射装置を有する自動車投光器が提供される。
尚、本願の特許請求の範囲に付記された図面参照符号は、専ら本発明の理解の容易化のためのものであり、図示の形態への限定を意図するものではないことを付言する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明において、以下の形態が可能である。
(形態1)
自動車投光器用の照射装置であって、前記照射装置は、
- 光を生成して放射するように構成されている発光手段を含み、
- 前記発光手段に割り当てられている第一光学系要素を含み、但し前記第一光学系要素は、前記発光手段により放射された光を受け入れるための第一光入射面を有し、前記第一光学系要素は、光を前記第一光学系要素の第一光出射面に導き且つ前記第一光出射面を通って主放射方向に放射するように構成されており、
- 光伝播方向で前記第一光学系要素の後に配設され且つ前記第一光学系要素から離間されている第二光学系要素を含み、但し前記第二光学系要素は、第二光入射面を有し、前記第二光入射面と前記第一光出射面は、前記発光手段の光が前記第一光出射面から前記第二光入射面を介して前記第二光学系要素内に入射されるように互いに配設されており、光は前記第二光学系要素内で前記第二光学系要素の第二光出射面に導かれ、少なくとも前記第二光入射面及び/又は前記第二光出射面は、平らではなく、特に湾曲しており、前記第二光入射面と前記第二光出射面の間において、前記第二光学系要素は、光伝播方向で少なくとも2mmの空間的な大きさ、好ましくは15mmよりも大きい空間的な大きさを有する構成であり、
前記第二光入射面は、面状に相並んで配設された多数の光学要素により構成されており、これらの光学要素は、前記第二光出射面からの出射時に行われる光線の屈折の後に光線が前記主放射方向の方向に配向されるように、光線を前記第二光学系要素内への入射時に屈折させる構成を有すること。
(形態2)
前記第二光入射面上の各光学要素は、ファセットとして構成されており、これらのファセットは、好ましくは前記第二光入射面上の均等なグリッドとして一緒に配設されていること、が好ましい。
(形態3)
前記ファセットは、それぞれ、前記第二光入射面に対してγ≠0°の角度で配向されていること、が好ましい。
(形態4)
前記第一光学系要素と前記第二光学系要素の間の間隔は、1mmの値、好ましくは2mmの値を有すること、が好ましい。
(形態5)
前記第一光出射面は、前記発光手段により入射された光を前記第一光出射面からの出射時に前記主放射方向の周りに散乱させるために、光散乱手段を有すること、が好ましい。
(形態6)
前記第二光学系要素は、透明な中実体として構成されていること、が好ましい。
(形態7)
前記第一光学系要素は、透明な中実体として構成されていること、が好ましい。
(形態8)
前記第二光入射面と前記第二光出射面は、湾曲しており、好ましくは、前記第二光入射面と前記第二光出射面の間には、前記第二光出射面から出発して実質的に一定の法線間隔があること、が好ましい。
(形態9)
前記第一光学系要素は、唯一の第一光入射面を有し、前記発光手段は、光源支持体、好ましくはプリント回路基板、及びその上に配設された特に個々に制御可能な所定数の光源を含み、前記光源支持体は、前記光源の光が前記第一光入射面を介してのみ前記第一光学系要素内にもたらされるように、前記第一光入射面に沿って配設されていること、が好ましい。
(形態10)
前記光源は、前記光源支持体上に、実質的にリング状の光源配置経路に沿って配設されており、前記光源配置経路は、2つの隣接する前記光源の間の最短間隔の並びから構成され、前記光源は、特に前記光源配置経路全体にわたり均等な間隔で分配されていること、が好ましい。
(形態11)
前記第二光学系要素は、凹部を有し、前記凹部は、前記第二光出射面が、閉じた軌道曲線部の形状を有するように構成されていること、が好ましい。
(形態12)
前記光源配置経路は、前記閉じた軌道曲線部の幾何学形状を結像すること、が好ましい。
(形態13)
前記発光手段は、前記発光手段からの光が、前記第一光学系要素内に、前記主放射方向から外れた方向に、好ましくは前記主放射方向に対して直角に入射されるように、前記第一光入射面に対して配設されており、前記第一光学系要素内には、偏向手段が、光を前記第一光学系要素内への入射後に前記第一光学系要素内で該偏向手段により前記主放射方向の方向に偏向するように配設されて構成されていること、が好ましい。
(形態14)
前記第一光学系要素と前記第二光学系要素の間には、絞り部材が配設されていること、が好ましい。
(形態15)
前記照射装置を有する自動車投光器。
【0009】
本発明により、第二光入射面は、面状に相並んで配設された多数の光学要素により構成されており、これらの光学要素は、第二光出射面からの出射時に行われる光線の屈折の後に光線が主放射方向の方向に配向されるように、光線を第二光学系要素内への入射時に屈折させる構成を有する。つまり有利には、それらの光線は、第二光学系要素の前後で光伝播方向に又は光伝播方向と平行に配向されている。従って光学要素を通り第二光入射面を介して第二光学系要素内に入射するときの光線の屈折は、第二光出射面における屈折を補償することができる。
【0010】
第二光入射面上の各光学要素は、ファセット(小平面)として構成されていることが可能であり、これらのファセットは、好ましくは第二光入射面上の均等なグリッド(格子)として一緒に配設されている。ファセットは、この関連において、例えば第二光入射面に対して傾けられた面要素のような、第二光入射面と比較してより小さく構成された第二光入射面の幾何学構成部と理解することができる。個々のファセットは、好ましくは同様(形状)のものである。ファセットにおける光屈折は、第二光出射面における光屈折を補償するので、ファセットにおける光屈折は、実質的に第二光出射面の曲率(湾曲構成)によりないしそれにより引き起こされる第二光出射面における光屈折により予め設定(規定)される。
【0011】
ファセットは、それぞれ、第二光入射面に対してγ≠0°の角度で配向されていることが可能である。角度γは、第二光出射面における曲率ないし屈折角により決定される。また角度γは、ゼロと等しくてもよい。
【0012】
第一光学系要素と第二光学系要素の間の間隔は、1mmの値、好ましくは2mmの値を有することができる。それにより第二光入射面上の光学要素が、第一光出射面との可能な接触により損傷されることはないという利点が得られる。代替的な一実施形態において、第一光学系要素と第二光学系要素は、一体的にないし一部材式で構成されていることが可能である。
【0013】
第一光出射面は、発光手段により入射された光を第一光出射面からの出射時に主放射方向の周りに散乱させるために、光散乱手段を有することができる。それにより第二光入射面が単位面積あたり実質的に一定の照射強度で照射されるという利点が得られる。
【0014】
好ましくは、第二光学系要素は、透明な中実体として構成されている。第二光学系要素は、例えばプラスチックから製造されていることが可能である。また第二光学系要素は、透明な中空体として構成されていることも可能である。
【0015】
好ましくは、第一光学系要素は、透明な中実体として構成されている。第一光学系要素は、例えばプラスチックから製造されていることが可能である。また第一光学系要素は、透明な中空体として構成されていることも可能である。
【0016】
第二光入射面と第二光出射面は、湾曲していることが可能であり、この際、好ましくは、第二光入射面と第二光出射面の間には、第二光出射面から出発して実質的に一定の法線間隔(上下間隔 Normalabstand)がある。それによりこの湾曲は、第二光学系要素が後退角(スイープ)を有することを実現可能とし、この際、湾曲した構成により第二光出射面において望まれない光屈折が発生し得るが、この望まれない光屈折は、特に第二光入射面における光学要素により補償される。また第二光入射面と第二光出射面の間の法線間隔は、一定でなくてもよく、この場合には、第二光入射面と第二光出射面は、異なる曲率を有することができる。
【0017】
第一光学系要素は、唯一の第一光入射面を有することができ、この際、発光手段は、光源支持体、好ましくはプリント回路基板、及びその上に配設された特に個々に制御可能な所定数の光源を含むことができ、この際、光源支持体は、好ましくは、光源の光が第一光入射面を介してのみ第一光学系要素内にもたらされるように、第一光入射面に沿って配設されている。有利には、それにより第一光学系要素内への光の入射時の損失は、最小限にされる。個々に制御可能な光源により、所定の照明パターン(Leuchtmuster)を第二光出射面において生成することができる。
【0018】
それらの光源は、光源支持体上に、実質的にリング状の光源配置経路に沿って配設されていることが可能であり、この際、その光源配置経路は、2つの隣接する光源の間の最短間隔の並びから構成され、この際、それらの光源は、特に光源配置経路全体にわたり均等な間隔で分配されている。
【0019】
第二光学系要素は、凹部を有し、該凹部は、第二光出射面が、閉じた軌道曲線部(周回する軌道曲線部)の形状を有するように構成されている。
【0020】
前記の光源配置経路は、閉じた軌道曲線部の幾何学形状を結像することができる。それにより、光源配置経路に沿って配設されている個々に制御可能な光源が、光源配置経路に対応する第二光出射面の閉じた軌道曲線部を介して結像され得る照明像(Leuchtbilder)ないし照射機能を作成できるという利点が得られる。
【0021】
発光手段は、発光手段からの光が、第一光学系要素内に、主放射方向から外れた方向に、好ましくは主放射方向に対して直角に入射されるように、第一光入射面に対して配設されていることが可能であり、この際、好ましくは、第一光学系要素内には、偏向手段が、光を第一光学系要素内への入射後に第一光学系要素内で該偏向手段により主放射方向の方向に偏向するように配設されて構成されている。それにより照射装置のサイズ、特に照射装置の縦方向の大きさを減少させることができ、このことは、例えば自動車投光器内において必要とされる取付空間を減少させる。
【0022】
第一光学系要素と第二光学系要素の間には、絞り部材(シェード部材)が配設されていることが可能である。それにより第二光入射面の側方に放射され得る散乱光が遮断されるという利点が得られる。それにより第二光出射面を介して放射される光の強度の均一性を改善することができる。
【0023】
また本発明による照射装置を備えた自動車投光器を提供することができる。
【0024】
本明細書の枠内で「上方」、「下方」、「水平」、「垂直」との概念は、照射装置が例えば自動車投光器内に取り付けられて、通常の使用位置に配設されている場合において、配向状態を表す記載として理解されるべきである。
【0025】
以下、好ましい実施例に基づき本発明を更に説明するが、本発明は、その実施例に限定されるべきものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明による一照射装置の側面図を示す図である。
【
図2】一例の第一光学系要素の斜視図を示す図である。
【
図3】一例の第二光学系要素の背面図を示す図である。
【
図4】第一光学系要素の他の外観図を示す図である。
【実施例】
【0027】
図1は、自動車投光器用の照射装置(照明装置)1を示している。照射装置1は、光を生成して放射するように構成されている発光手段2を有する。第一光学系要素3は、発光手段2により放射された光を受け入れるための第一光入射面3aを有し、この際、第一光学系要素3は、光を第一光学系要素3の第一光出射面3bに導き且つ第一光出射面3bを通って主放射方向4に放射するように構成されている。
【0028】
照射装置1は、更に第二光学系要素5を有し、第二光学系要素5は、光伝播方向で第一光学系要素3の後に配設され且つ第一光学系要素3から離間されている。第一光学系要素3と第二光学系要素5の間の間隔は、1mmの値、好ましくは2mmの値である。
【0029】
第二光学系要素5は、第二光入射面5aを有し、この際、第二光入射面5aと第一光出射面3bは、発光手段2の光が第一光出射面3bから第二光入射面5aを介して第二光学系要素5内に入射されるように互いに配設されている。それに基づき、光は第二光学系要素5内で第二光学系要素5の第二光出射面5bに導かれる。第二光入射面5a及び/又は第二光出射面5bは、平らではなく、特に湾曲して形成されている。第二光入射面5aと第二光出射面5bの間において、第二光学系要素5は、光伝播方向で少なくとも2mmの空間的な大きさ(広がり)、好ましくは15mmよりも大きい空間的な大きさを有する。このことは、特に
図6で見てとれる。第一光学系要素3と第二光学系要素5は、透明な中実体として構成されている。
【0030】
図2と
図4は、第一光学系要素3を示し、特に光散乱手段7を有する第一光出射面3bを示している。光散乱手段7により、発光手段2から入射された光は、第一光入射面3bからの出射時に主放射方向4の周りに散乱される。第一光学系要素3は、唯一の第一光入射面3aを有する。発光手段2は、光源支持体8、好ましくはプリント回路基板、及びその上に配設された特に個々に制御可能な所定数の光源9を含んでいる。光源支持体8は、光源9の光が第一光入射面3aを介してのみ第一光学系要素3内にもたらされるように、第一光入射面3aに沿って配設されている。それらの光源9は、光源支持体8上に、実質的にリング状の光源配置経路に沿って配設されており、この際、その光源配置経路は、2つの隣接する光源9の間の最短間隔の並びから構成され、この際、それらの光源9は、特に光源配置経路全体にわたり均等な間隔で分配されている。
【0031】
図3で分かるように、第二光入射面5aは、面状に相並んで配設された多数の光学要素6により構成されており、これらの光学要素6は、第二光出射面5bからの出射時に行われる光線の屈折の後に光線が主放射方向4の方向に配向されるように、光線を第二光学系要素5内への入射時に屈折させる構成を有する(
図6を参照)。第二光入射面5a上の各光学要素6は、ファセット(小平面)として構成されており、これらのファセットは、好ましくは第二光入射面5a上の均等なグリッド(格子)として一緒に配設されている。これらのファセットは、それぞれ、第二光入射面5aに対してγ≠0°の角度で配向されている。
【0032】
図5で見てとれるように、第二光学系要素5は、凹部11を有し、凹部11は、第二光出射面5bが、閉じた軌道曲線部(周回する軌道曲線部)12の形状を有するように構成されている。前記の光源配置経路は、閉じた軌道曲線部12の幾何学形状を結像している。第一光学系要素3と第二光学系要素5の間には、特に絞り部材(シェード部材)13が配設されている。
【0033】
図6(
図1も参照)から見てとれるように、第二光入射面5aと第二光出射面5bは、湾曲しており、この際、第二光入射面5aと第二光出射面5bの間には、第二光出射面5bから出発して実質的に一定の法線間隔(上下間隔 Normalabstand)がある。
【0034】
図1による実施形態において、発光手段2は、発光手段2からの光が、第一光学系要素3内に、主放射方向4から外れた方向に、この場合では主放射方向4に対して直角に入射されるように、第一光入射面3aに対して配設されている。第一光学系要素3内には、偏向手段3cが、光を第一光学系要素3内への入射後に第一光学系要素3内で該偏向手段3cにより主放射方向4の方向に偏向するように配設されて構成されている(
図2を参照)。
【0035】
更なる一実施形態では、第一光学系要素3と第二光学要素5が一部材式で構成されていることが可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 照射装置
2 発光手段
3 第一光学系要素
3a 第一光入射面
3b 第一光出射面
3c 偏向手段
4 主放射方向
5 第二光学系要素
5a 第二光入射面
5b 第二光出射面
6 光学要素
7 光散乱手段
8 光源支持体
9 光源
11 凹部
12 軌道曲線部
13 絞り部材