(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】溶接機、溶接作業支援方法および溶接作業支援システム
(51)【国際特許分類】
B23K 9/095 20060101AFI20230915BHJP
【FI】
B23K9/095 515Z
(21)【出願番号】P 2023538964
(86)(22)【出願日】2022-12-20
(86)【国際出願番号】 JP2022046764
【審査請求日】2023-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2022008779
(32)【優先日】2022-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】井原 英樹
(72)【発明者】
【氏名】堀江 宏太
(72)【発明者】
【氏名】于 博
(72)【発明者】
【氏名】森川 徹也
【審査官】石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-209895(JP,A)
【文献】特開2020-144420(JP,A)
【文献】特開2006-190251(JP,A)
【文献】特開平09-253841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/095
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接対象物と、前記溶接対象物を溶接する溶接条件とを対応付けたワークを含むワークリストを取得する取得部と、
前記ワークリストに含まれる前記溶接条件に対応する溶接出力を制御する制御部と、
前記ワークリストを含むワークリスト画面を表示する表示部と、を備え、
前記制御部は、前記溶接出力の出力回数をカウントし、カウントされた出力回数と前記溶接条件に含まれる溶接出力回数とが等しいか否かを判定し、前記カウントされた出力回数と前記溶接出力回数とが等しいと判定した場合、前記溶接条件に対応するワークを強調表示したワークリスト画面を生成して、前記表示部に出力する、
溶接機。
【請求項2】
前記制御部は、前記溶接出力の前記出力回数を、前記ワークを含む複数のワークのそれぞれについてカウントし、前記複数のワークのそれぞれの前記溶接出力の前記出力回数を含むワークリスト画面を生成して、前記表示部に出力する、
請求項1に記載の溶接機。
【請求項3】
前記溶接のワークの選択操作を受け付け可能な入力部、をさらに備え、
前記制御部は、選択されたワークの溶接条件における溶接出力の出力回数をカウントする、
請求項1に記載の溶接機。
【請求項4】
前記制御部は、
前記ワークリスト画面のうち選択された前記ワークを第1の色で強調表示したワークリスト画面を生成して、前記表示部に出力し、
前記カウントされた出力回数と前記溶接出力回数とが等しいと判定した場合、前記ワークを前記第1の色と異なる第2の色で強調表示したワークリスト画面を生成して、前記表示部に出力する、
請求項3に記載の溶接機。
【請求項5】
前記取得部は、
前記溶接対象物と、前記溶接条件と、前記溶接条件に対応するワークが行われる溶接順番とを対応付けたワークリストを取得し、
前記制御部は、
前記溶接順番に基づいて、前記ワークリストに含まれるk(k:1以上の整数)番目のワークの溶接条件における溶接出力の出力回数をカウントし、
カウントされた前記k番目のワークの溶接条件における溶接出力の出力回数と前記k番目のワークの溶接条件に含まれる溶接出力回数とが等しいと判定した場合、前記k番目のワークを強調表示したワークリスト画面を生成して、前記表示部に出力する、
請求項1に記載の溶接機。
【請求項6】
前記制御部は、
前記カウントされた前記k番目のワークの溶接条件における溶接出力の前記出力回数と前記k番目のワークの溶接条件に含まれる前記溶接出力回数とが等しいと判定した場合、前記溶接順番に基づいて、前記ワークリストに含まれる(k+1)番目のワークの溶接条件における溶接出力の出力回数をカウントし、
カウントされた前記(k+1)番目のワークの溶接条件における溶接出力の出力回数と前記(k+1)番目のワークの溶接条件に含まれる溶接出力回数とが等しいか否かを判定する、
請求項5に記載の溶接機。
【請求項7】
前記制御部は、
前記k番目のワークを第1の色で強調表示したワークリスト画面を生成して、前記表示部に出力し、
前記カウントされた前記k番目のワークの溶接条件における溶接出力の出力回数と前記k番目のワークの溶接条件に含まれる溶接出力回数とが等しいと判定した場合、前記k番目のワークを前記第1の色と異なる第2の色で強調表示したワークリスト画面を生成して、前記表示部に出力する、
請求項6に記載の溶接機。
【請求項8】
1以上のコンピュータにより構成される溶接出力装置が行う溶接作業支援方法であって、
溶接対象物と、前記溶接対象物を溶接する溶接条件とを対応付けたワークを含むワークリストを取得し、
前記ワークリストを含むワークリスト画面を生成して表示し、
前記ワークリストに含まれる前記溶接条件に対応する溶接出力を出力した出力回数をカウントし、
カウントされた出力回数と前記溶接条件に含まれる溶接出力回数とが等しいか否かを判定し、
前記カウントされた出力回数と前記溶接出力回数とが等しいと判定した場合、前記溶接条件に対応するワークを強調表示したワークリスト画面を生成して出力する、
溶接作業支援方法。
【請求項9】
溶接対象物を溶接する溶接条件に対応する溶接出力を制御する溶接機と、
前記溶接機と通信可能であって、前記溶接対象物と、前記溶接対象物を溶接する溶接条件とを対応付けたワークを含むワークリストを記憶する記憶装置と、を備え、
前記記憶装置は、
前記ワークリストを前記溶接機に送信し、
前記溶接機は、
送信された前記ワークリストを含むワークリスト画面を表示し、
前記ワークリストに含まれる前記溶接条件に対応する溶接出力を出力した出力回数をカウントし、
カウントされた出力回数と前記溶接条件に含まれる溶接出力回数とが等しいか否かを判定し、
前記カウントされた出力回数と前記溶接出力回数とが等しいと判定した場合、前記溶接条件に対応するワークを強調表示したワークリスト画面を生成して出力する、
溶接作業支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、溶接機、溶接作業支援方法および溶接作業支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の加工条件の名称の一覧を含むとともに、加工に使用される加工条件を選択可能な一覧表示画面を表示する加工装置が開示されている。この加工装置は、被加工物を加工する加工手段と、加工手段を動作させる制御手段と、加工手段による被加工物の加工に関する加工条件を表示する表示手段と、を備える。加工手段は、複数の加工条件を記憶しており、一覧表示画面において、複数の加工条件の名称を互いに異なる色で表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、作業者による溶接作業を支援する溶接機、溶接作業支援方法および溶接作業支援システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、溶接対象物と、前記溶接対象物を溶接する溶接条件とを対応付けたワークを含むワークリストを取得する取得部と、前記ワークリストに含まれる前記溶接条件に対応する溶接出力を制御する制御部と、前記ワークリストを含むワークリスト画面を表示する表示部と、を備え、前記制御部は、前記溶接出力の出力回数をカウントし、カウントされた出力回数と前記溶接条件に含まれる溶接出力回数とが等しいか否かを判定し、前記カウントされた出力回数と前記溶接出力回数とが等しいと判定した場合、前記溶接条件に対応するワークを強調表示したワークリスト画面を生成して、前記表示部に出力する、溶接機を提供する。
【0006】
また、本開示は、1以上のコンピュータにより構成される溶接出力装置が行う溶接作業支援方法であって、溶接対象物と、前記溶接対象物を溶接する溶接条件とを対応付けたワークを含むワークリストを取得し、前記ワークリストを含むワークリスト画面を生成して表示し、前記ワークリストに含まれる前記溶接条件に対応する溶接出力を出力した出力回数をカウントし、カウントされた出力回数と前記溶接条件に含まれる溶接出力回数とが等しいか否かを判定し、前記カウントされた出力回数と前記溶接出力回数とが等しいと判定した場合、前記溶接条件に対応するワークを強調表示したワークリスト画面を生成して出力する、溶接作業支援方法を提供する。
【0007】
また、本開示は、溶接対象物を溶接する溶接条件に対応する溶接出力を制御する溶接機と、前記溶接機と通信可能であって、前記溶接対象物と、前記溶接対象物を溶接する溶接条件とを対応付けたワークを含むワークリストを記憶する記憶装置と、を備え、前記記憶装置は、前記ワークリストを前記溶接機に送信し、前記溶接機は、送信された前記ワークリストを含むワークリスト画面を表示し、前記ワークリストに含まれる前記溶接条件に対応する溶接出力を出力した出力回数をカウントし、カウントされた出力回数と前記溶接条件に含まれる溶接出力回数とが等しいか否かを判定し、前記カウントされた出力回数と前記溶接出力回数とが等しいと判定した場合、前記溶接条件に対応するワークを強調表示したワークリスト画面を生成して出力する、溶接作業支援システムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、作業者が要望する溶接条件の設定を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る溶接作業支援システムのシステム構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る溶接作業支援システムの内部構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る溶接作業支援システムの動作手順例を示すシーケンス図である。
【
図4】
図4は、ワークリスト編集画面の一例を説明する図である。
【
図5】
図5は、ワークリスト画面の一例を説明する図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1の変形例に係る溶接出力装置の内部構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示に至る経緯)
従来、特許文献1に示すように、新たに入力された新規溶接条件の適切さを判定する設定支援装置が開示されている。しかし、この設定支援装置は、溶接条件の編集、表示を行なうのみで、各溶接条件で行われる溶接作業において溶接回数をカウントしないため、溶接回数の過不足により溶接の品質が低下する可能性があった。
【0011】
そこで、以下の各実施の形態では、作業者が要望する溶接条件の設定を支援する溶接機、溶接作業支援方法および溶接作業支援システムの例を説明する。
【0012】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る溶接機、溶接作業支援方法および溶接作業支援システムを具体的に開示した各実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る溶接作業支援システム200のシステム構成例を示すブロック図である。なお、
図1に示す実施の形態1に係る溶接作業支援システム200のシステム構成例および内部構成例は一例であって、これに限定されないことは言うまでもない。溶接作業支援システム200は、端末装置P1と、メモリ装置MM1と、溶接出力装置PS1と、送給装置T1とを含んで構成される。なお、端末装置P1およびメモリ装置MM1は、別体でなく一体的に構成されてもよい。
【0014】
溶接作業支援システム200は、端末装置P1により指定された作業者により行われる1日の溶接作業リストであって、溶接作業(以降、「ワーク」と表記)を含む溶接作業リスト(以降、「ワークリスト」と表記)をメモリ装置MM1から取得する。溶接作業支援システム200は、取得されたワークリストと、ワークリストに含まれるワークの溶接条件およびワークの進捗状況とを含むワークリスト画面SC2(
図5参照)を生成する。
図5は、ワークリスト画面の一例を説明する図である。溶接作業支援システム200は、生成されたワークリスト画面SC2を溶接出力装置PS1に表示することで、作業者が行うべきワークリストと、ワークリストの進捗状況とを作業者に可視化する。
【0015】
また、溶接作業支援システム200は、作業者による溶接トーチの溶接出力に基づいて、作業者により行われているワークの進捗状況、あるいはワークリストの進捗状況を示すワークリスト画面SC2(
図5参照)を生成する。溶接作業支援システム200は、進捗状況を更新したワークリスト画面SC2を溶接出力装置PS1に表示することにより、作業者が行うべきワークリストの進捗状況を作業者に提示して、作業者の溶接作業を支援する。
【0016】
端末装置P1は、例えば、PC(Personal Computer)、ノートPC、タブレット端末、スマートフォン等により実現され、メモリ装置MM1との間でデータ送受信可能に接続される。端末装置P1は、作業者操作を受け付け可能であって、受け付けられた作業者操作を電気信号(制御指令)に変換して、メモリ装置MM1に送信する。
【0017】
メモリ装置MM1は、端末装置P1と溶接出力装置PS1との間でデータ送受信可能に接続される。メモリ装置MM1は、ワークと、ワークの溶接条件とを対応付けた溶接条件テーブルTBを記憶し、端末装置P1から送信された制御指令に基づいて、ワークと、ワークの溶接条件とを含むワークリストを生成して、溶接出力装置PS1に送信する。また、メモリ装置MM1は、端末装置P1から送信された制御指令に基づいて、ワークに対応する溶接条件の編集を実行し、編集後の溶接条件を溶接条件テーブルTBに記憶する。なお、ワークリストは、ワークが行われる順番情報を含んで生成されてもよい。
【0018】
溶接機の一例としての溶接出力装置PS1は、メモリ装置MM1と、送給装置T1との間でデータ送受信可能に接続される。溶接出力装置PS1は、メモリ装置MM1から送信されたワークリストに基づいて、溶接トーチを用いてワーク(溶接作業)を行う作業者の1日のワークリストと、ワークの進捗状況とを含むワークリスト画面SC2(
図5参照)を生成して表示する。また、溶接出力装置PS1は、現在作業者により行われているワークの溶接条件に基づいて、送給装置T1の制御を実行するとともに、溶接トーチへの溶接出力結果に基づいて、現在のワークの進捗状況を更新したワークリスト画面SC2(
図5参照)を生成して表示する。
【0019】
送給装置T1は、溶接出力装置PS1から送信された制御指令に基づいて、溶接ワイヤの送給を行う。
【0020】
次に、
図2を参照して、実施の形態1に係る溶接作業支援システム200の内部構成について説明する。
図2は、実施の形態1に係る溶接作業支援システム200の内部構成例を示すブロック図である。なお、
図2に示す溶接作業支援システム200の内部構成例は、一例であって、これに限定されないことは言うまでもない。
【0021】
端末装置P1は、通信部10と、プロセッサ11と、メモリ12と、表示部13と、入力部14とを含んで構成される。
【0022】
通信部10は、メモリ装置MM1の通信部20との間で無線あるいは有線通信可能に接続され、データの送受信を実行する。なお、ここでいう無線通信は、例えばWi-Fi(登録商標)などの無線LAN(Local Area Network)を介した通信である。通信部10は、プロセッサ11から出力された制御指令をメモリ装置MM1に送信する。
【0023】
プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成され、メモリ12と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、プロセッサ11は、メモリ12に保持されたプログラムを参照し、そのプログラムを実行することにより機能を実現する。
【0024】
プロセッサ11は、入力部14から出力された制御指令に基づいて、ワークを行う作業者を識別可能な作業者情報(例えば、作業者の氏名,社員番号等)と、この作業者が行うワークの選択(指定)操作あるいは検索条件の入力操作とを受け付ける。プロセッサ11は、作業者情報と、選択されたワーク情報とを対応付けてメモリ装置MM1に送信する。また、プロセッサ11は、作業者情報と、入力されたワークの検索条件の情報とを対応付けてメモリ装置MM1に送信する。
【0025】
また、プロセッサ11は、入力部14からワーク情報の編集を要求する制御指令が出力された場合、溶接条件の編集対象であるワークの選択(指定)操作あるいは検索条件の入力操作を受け付ける。プロセッサ11は、作業者操作により選択されたワーク情報、または入力されたワークの検索条件の情報と、このワーク情報の編集を要求する制御指令とを対応付けて、メモリ装置MM1に送信する。プロセッサ11は、メモリ装置MM1から送信されたワーク情報を編集可能なワークリスト編集画面SC1(
図4参照)を生成して、表示部13に出力し、作業者操作に基づく編集操作を受け付ける。
図4は、ワークリスト編集画面の一例を説明する図である。なお、ワーク情報の編集処理については、後述する。
【0026】
メモリ12は、例えばプロセッサ11の処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAM(Random Access Memory)と、プロセッサ11の処理を規定したプログラムを格納するROM(Read Only Memory)とを有する。RAMには、プロセッサ11により生成あるいは取得されたデータが一時的に保存される。ROMには、プロセッサ11の処理を規定するプログラムが書き込まれている。
【0027】
表示部13は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)または有機EL(Electroluminescence)等の表示用デバイスを用いて構成されてよい。表示部13は、プロセッサ11から出力されたワークリスト編集画面SC1(
図4参照)を出力(表示)する。
【0028】
入力部14は、作業者の入力操作を検出してプロセッサ11に出力するインターフェースであり、例えば、マウス、キーボード等を用いて構成されてよい。なお、入力部14は、表示部13と一体的に構成されたタッチパネルとして実現されてもよい。
【0029】
メモリ装置MM1は、通信部20と、プロセッサ21と、メモリ22と、を含んで構成される。
【0030】
通信部20は、端末装置P1の通信部10と、溶接出力装置PS1の通信部30との間でそれぞれ無線あるいは有線通信可能に接続され、データの送受信を実行する。通信部20は、端末装置P1から出力された制御指令をプロセッサ21に出力する。また、通信部20は、プロセッサ21から出力された制御指令を端末装置P1あるいは溶接出力装置PS1に送信する。
【0031】
プロセッサ21は、例えばCPUまたはFPGAを用いて構成され、メモリ22と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、プロセッサ21は、メモリ22に保持されたプログラムを参照し、そのプログラムを実行することにより機能を実現する。
【0032】
プロセッサ21は、端末装置P1から送信されたワーク情報を取得した場合、溶接条件テーブルTBに記録された複数のワーク情報のそれぞれのうち取得されたワーク情報と同一であるワーク情報を抽出して端末装置P1または溶接出力装置PS1に送信する。なお、プロセッサ21は、溶接条件テーブルTBのワーク情報に作業者情報が対応付けられている場合、あるいは、溶接条件テーブルTBが作業者情報と、この作業者情報に対応するワークリスト(つまり、1つ以上のワーク情報のそれぞれ)とを対応付けて記憶している場合等には、端末装置P1から送信された作業者情報に基づいて、この作業者情報が対応付けられたワーク情報あるいはワークリストを抽出して、端末装置P1または溶接出力装置PS1に送信してよい。
【0033】
プロセッサ21は、端末装置P1から送信されたワークの検索条件の情報を取得した場合、溶接条件テーブルTBに記録された複数のワーク情報のそれぞれのうち取得されたワークの検索条件に該当するワーク情報を抽出して端末装置P1に送信する。
【0034】
また、プロセッサ21は、端末装置P1から溶接条件が編集(変更)されたワーク情報を取得した場合には、溶接条件テーブルTBに記憶済みのワーク情報を、取得されたワーク情報に更新(上書き)する。
【0035】
溶接条件テーブルTBは、ワーク情報、ワークの溶接条件(つまり、ワークの溶接条件のパラメータ)、ワークの順番情報、ワーク情報を識別可能な識別番号、ワークにおける溶接トーチの溶接出力回数、作業者情報、ワーク情報が割り当てられたワークリストの識別番号等を対応付けて記憶する。
【0036】
ここで、溶接条件のパラメータは、溶接トーチにおける溶接電力(溶接電流,溶接電圧)に関する制御情報を少なくとも含むデータである。なお、溶接条件のパラメータは、上述した溶接トーチの溶接電力に関する制御情報以外の情報を含んでもよく、例えば、溶接方法、プリフローガス時間、ワイヤ送給速度、アフターフロー時間、パルス有無選択、パルス電流、パルス周波数、パルス幅、クレータ有無選択、初期電流、クレータ電流、アップスロープ時間、ダウンスロープ時間、交流波形、交流周波数、EN比率、交流直流比率および交流直流周波数、溶接電流に対応して一元的に決定される電圧データ(一元化電圧データ)、溶接速度に対応する板厚と溶接電流との関係を表す係数、溶接継手形状および溶接速度等の制御情報を含んでよい。
【0037】
メモリ22は、例えばプロセッサ21の処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAMと、プロセッサ21の処理を規定したプログラムを格納するROMとを有する。RAMには、プロセッサ21により生成あるいは取得されたデータが一時的に保存される。ROMには、プロセッサ21の処理を規定するプログラムが書き込まれている。また、メモリ22は、溶接条件テーブルTBを記憶する。
【0038】
溶接出力装置PS1は、通信部30と、プロセッサ31と、メモリ32と、表示部33と、入力部34と、モータ回路35と、溶接出力回路36と、を含んで構成される。
【0039】
取得部の一例としての通信部30は、メモリ装置MM1との間で無線あるいは有線通信可能に接続され、データの送受信を実行する。通信部30は、メモリ装置MM1から送信された各種データあるいは制御指令を取得し、プロセッサ31に出力する。
【0040】
制御部の一例としてのプロセッサ31は、例えばCPUまたはFPGAを用いて構成され、メモリ32と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、プロセッサ31は、メモリ32に保持されたプログラムを参照し、そのプログラムを実行することにより機能を実現する。
【0041】
プロセッサ31は、メモリ装置MM1から取得されたワークリストに含まれる複数のワークの溶接条件のうち、現在作業者により行われているワークの溶接条件に基づいて、溶接ワイヤの送給に関する制御指令を生成する。プロセッサ31は、生成された制御指令をモータ回路35に出力する。
【0042】
また、プロセッサ31は、メモリ装置MM1から取得されたワークリストに含まれる複数のワークの溶接条件のうち、現在作業者により行われているワークの溶接条件に対応する溶接条件のパラメータに基づいて、この溶接条件のパラメータに含まれる溶接電力(溶接電流,溶接電圧)に関する制御情報を溶接出力回路36に出力する。
【0043】
プロセッサ31は、入力部34を介した制御指令に基づいて、表示部33に表示されたワークリスト画面SC2(
図5参照)に含まれ、作業者が行うワークの選択操作等を受け付ける。プロセッサ31は、ワークリスト画面SC2に含まれるワークのうち選択されたワークに対応する表示領域(例えば、
図5に示す溶接条件表示領域WC12,溶接出力回数表示領域CT12)の色を第1の色に変更したワークリスト画面SC2を生成し、表示部33に表示する。
【0044】
また、プロセッサ31は、溶接出力回路36から出力された溶接出力結果に基づいて、作業中のワークの溶接出力回数をカウント(インクリメント)する。
【0045】
プロセッサ31は、作業中のワークのワーク情報に含まれる溶接出力回数と、インクリメント(カウント)後の溶接出力回数とに基づいて、作業中のワークの進捗状況を更新する。具体的に、プロセッサ31は、作業中のワークの溶接出力回数と、このワークのワーク情報に含まれる溶接出力回数とが等しい(つまり、進捗状況が100%である)か否かを判定する。プロセッサ31は、作業中のワークの溶接出力回数と、ワークのワーク情報に含まれる溶接出力回数とが等しいと判定した場合、ワークリスト画面SC2に含まれるワークのうち作業中のワークに対応する表示領域(例えば、
図5に示す溶接条件表示領域WC11,溶接出力回数表示領域CT11)の色を第1の色から第2の色に変更したワークリスト画面SC2を生成し、表示部33に表示する。これにより、作業者は、作業者自身が行うべきワークのうち、現在作業中のワークと、作業が完了したワークとを一目で確認することができる。なお、第2の色は、第1の色と異なる色であればよい。
【0046】
なお、プロセッサ31は、ワークリストの複数のワーク情報のそれぞれに複数のワークのそれぞれが行われる順番情報(手順情報)が割り当てられている場合には、作業者操作による作業中のワークの選択操作を省略し、ワークの順番情報に基づいて、進捗状況を判定するワークを決定してよい。
【0047】
例えば、プロセッサ31は、ワークリストにN(N:2以上の整数)個のワーク情報が含まれる場合、複数のワークのそれぞれのワーク情報に割り当てられた順番情報が1番目であるワーク情報を選定し、この1番目のワーク情報が示すワークを、現在、作業者が作業中のワークであると判定する。プロセッサ31は、ワークリスト画面SC2に含まれるワークのうち1番目のワークに対応する表示領域(例えば、
図5に示す溶接条件表示領域WC12,溶接出力回数表示領域CT12)の色を第1の色に変更したワークリスト画面SC2を生成し、表示部33に表示する。プロセッサ31は、作業中のワークの溶接出力回数と1番目のワーク情報に含まれる溶接出力回数とが等しいと判定した場合、ワークリスト画面SC2に含まれるワークのうち1番目のワークに対応する表示領域(例えば、
図5に示す溶接条件表示領域WC11,溶接出力回数表示領域CT11)の色を第1の色から第2の色に変更したワークリスト画面SC2を生成して表示部33に表示させる。
【0048】
プロセッサ31は、ワークリストに含まれる複数のワークのワーク情報のそれぞれに割り当てられた順番情報のうち順番情報が2番目であるワーク情報を選定し、この2番目のワーク情報が示すワークを、現在、作業者が作業中のワークであると判定する。プロセッサ31は、選定された2番目のワークに対応する表示領域(例えば、
図5に示す溶接条件表示領域WC12,溶接出力回数表示領域CT12)の色を第1の色に変更したワークリスト画面SC2を生成して表示部33に表示させる。
【0049】
プロセッサ31は、上述した処理を繰り返し実行し、作業中のワークの溶接出力回数とN番目のワーク情報に含まれる溶接出力回数とが等しいと判定した場合、ワークリスト画面SC2に含まれるワークのうちN番目のワークに対応する表示領域(例えば、
図5に示す溶接条件表示領域WC11,溶接出力回数表示領域CT11)の色を第1の色から第2の色に変更したワークリスト画面SC2を生成して表示部33に表示させることで、ワークリストに含まれるすべてのワークが完了した旨を作業者に通知する。
【0050】
メモリ32は、例えばプロセッサ31の処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAMと、プロセッサ31の処理を規定したプログラムを格納するROMとを有する。RAMには、プロセッサ31により生成あるいは取得されたデータが一時的に保存される。ROMには、プロセッサ31の処理を規定するプログラムが書き込まれている。
【0051】
表示部33は、例えばLCDまたは有機EL等の表示用デバイスを用いて構成されてよい。表示部33は、プロセッサ31から出力されたワークリスト画面SC2(
図5参照)を出力する。
【0052】
入力部34は、作業者の入力操作を検出してプロセッサ31に出力するインターフェースであり、例えば、ボタン、マウス、キーボード等を用いて構成されてよい。なお、入力部34は、表示部33と一体的に構成されたタッチパネルとして実現されてもよい。
【0053】
モータ回路35は、プロセッサ31から出力された溶接ワイヤの送給に関する制御指令を取得する。モータ回路35は、取得された制御指令に基づいて、モータを駆動させて、送給装置T1による溶接ワイヤの送給を実行させる。
【0054】
溶接出力回路36は、プロセッサ31により制御されて、溶接トーチへの溶接出力を実行する。溶接出力回路36は、プロセッサ31から出力された溶接条件のパラメータに含まれる溶接電力(溶接電流,溶接電圧)に関する制御情報に基づいて、溶接出力を調整する。溶接出力回路36は、作業者による溶接トーチのトーチスイッチの操作に基づいて、溶接トーチへの溶接出力を実行する。また、溶接出力回路36は、溶接トーチへの溶接出力結果をプロセッサ31に出力する。なお、ここでいうトーチスイッチは、溶接トーチに備えられ、溶接出力回路36との間で接続される。トーチスイッチは、作業者により操作されて、アーク溶接の開始操作または停止操作を受け付ける。
【0055】
なお、
図1および
図2に示す例において、端末装置P1とメモリ装置MM1とは、それぞれ別体として構成される例について説明したが、例えば、1つのコンピュータにより一体的に構成された端末装置100Aであってもよい。このような場合、端末装置100Aは、端末装置P1およびメモリ装置MM1のそれぞれにより実行される各種機能を実行可能であってよい。また、端末装置100Aは、所謂クラウドサーバであってもよい。
【0056】
また、
図1および
図2に示す例において、メモリ装置MM1と溶接出力装置PS1とは、それぞれ別体として構成される例について説明したが、例えば、1つのコンピュータにより一体的に構成された溶接出力装置100Bであってもよい。このような場合、溶接出力装置100Bは、メモリ装置MM1および溶接出力装置PS1のそれぞれにより実行される各種機能を実行可能であってよい。
【0057】
次に、
図3を参照して、実施の形態1に係る溶接作業支援システム200の動作手順について説明する。
図3は、実施の形態1に係る溶接作業支援システム200の動作手順例を示すシーケンス図である。なお、端末装置P1とメモリ装置MM1とが一体的に構成された端末装置100Aである場合、端末装置100Aは、
図3に示す端末装置P1とメモリ装置MM1とにより実行される各処理を実行可能であってよい。同様に、メモリ装置MM1と溶接出力装置PS1とが一体的に構成された溶接出力装置100Bである場合、溶接出力装置100Bは、
図3に示すメモリ装置MM1と溶接出力装置PS1とにより実行される各処理を実行可能であってよい。
【0058】
端末装置P1は、所定の作業者により行われるワークリストの入力操作を受け付ける(St1)。なお、ここでいうワークリストは、所定の作業者による行われるワーク情報を含む情報である。端末装置P1は、入力されたワークリストの情報をメモリ装置MM1に送信する(St2)。
【0059】
メモリ装置MM1は、端末装置P1から送信されたワークリストの情報を取得する。メモリ装置MM1は、取得されたワークリストの情報と、溶接条件テーブルTBに記憶された複数のワーク情報のそれぞれとを照合する。メモリ装置MM1は、溶接条件テーブルTBに記憶された複数のワーク情報のうち、取得されたワークリストに含まれるワーク情報をそれぞれ抽出する(St3)。溶接出力装置PS1は、入力部34を介して作業者により所定のワークリストの情報を含むワークリスト画面SC2(
図5参照)の表示を要求する操作を受け付けた場合、このワークリストの情報を要求する制御指令を生成して、メモリ装置MM1に送信する。メモリ装置MM1は、溶接出力装置PS1から送信されたワークリストの情報を要求する制御指令に基づいて、抽出済みのワークリストに含まれるワーク情報のそれぞれを含むワークリストの情報を溶接出力装置PS1に送信する(St4)。
【0060】
溶接出力装置PS1は、メモリ装置MM1から送信されたワークリストの情報に基づいて、作業者が行うべきワークと、ワークの溶接条件とを一覧表示するワークリスト画面SC2(
図5参照)を生成して、表示部33に表示する(St5)。
【0061】
溶接出力装置PS1は、作業者による溶接トーチの操作結果(つまり、溶接出力回路36による溶接トーチへの溶接出力結果)に基づいて、現在、作業者が作業中のワークの溶接出力回数をカウント(インクリメント)し(St6)、現在のワークの溶接出力回数に基づいて、ワークリスト画面SC2を更新して表示部33に表示する(St7)。溶接出力装置PS1は、作業者によるワーク結果として、ワークリストに含まれるワークのワーク情報と、作業者により行われたワークの溶接出力回数情報とを対応付けて、メモリ装置MM1に送信する(St8)。
【0062】
具体的に、ステップSt7の処理において、溶接出力装置PS1は、作業者が作業中のワークの溶接出力回数とワーク情報に含まれる溶接出力回数とが等しいか否かを判定する。溶接出力装置PS1は、作業者が作業中のワークの溶接出力回数と、ワークのワーク情報に含まれる溶接出力回数とが等しいと判定した場合には、ワークリスト画面SC2のうち作業中のワークに対応する表示領域(例えば、
図5に示す溶接条件表示領域WC11,溶接出力回数表示領域CT11)を第1の色から第2の色に変更するとともに、溶接出力回数表示領域に表示された溶接出力回数をインクリメントしたワークリスト画面SC2を生成して、表示部33に表示する。一方、溶接出力装置PS1は、作業者が作業中のワークの溶接出力回数と、ワークのワーク情報に含まれる溶接出力回数とが等しくないと判定した場合には、ワークリスト画面SC2のうち作業中のワークに対応する表示領域を第1の色のままにするとともに、溶接出力回数表示領域に表示された溶接出力回数をインクリメントしたワークリスト画面SC2を生成して、表示部33に表示する。
【0063】
メモリ装置MM1は、溶接出力装置PS1から送信されたワークリストに含まれるワーク情報に、作業者により行われた溶接出力回数情報を対応付けて、作業者によるワーク実績として溶接条件テーブルTBあるいはメモリ22に記憶する(St9)。これにより、メモリ装置MM1は、作業者により行われたワーク実績を管理できる。
【0064】
次に、
図4を参照して、ワークリスト編集画面SC1について説明する。
図4は、ワークリスト編集画面SC1の一例を説明する図である。なお、
図4に示すワークリスト編集画面SC1は一例であってこれに限定されないことは言うまでもない。
【0065】
ワークリスト編集画面SC1は、プロセッサ11により生成され、表示部13に表示される。
図4に示すワークリスト編集画面SC1は、例えば、このワークリスト編集画面SC1に対応するワーク情報に割り当てられたリスト番号「1」と、作業(ワーク)名称「アーム付け根」、作業者がこのワークで行うべき溶接出力回数「25」、溶接トーチの制御情報(溶接条件)である溶接指令値「280A,24.0V」、母材の材質「軟鋼」、板厚「20mm」、ワイヤ情報「1.2」、継手「隅肉」、溶接法(溶接方法)「CO2」、波形「1」等のワーク情報を含み、作業者によるこれらのワーク情報に関する編集操作を受け付ける。
【0066】
プロセッサ11は、作業者操作に基づいて、送信ボタンBT1が押下(選択)された場合、溶接条件テーブルTBに記憶されたワークのワーク情報を、ワークリスト編集画面SC1に表示された編集後のワーク情報に更新させる制御指令を生成する。プロセッサ11は、生成された制御指令と、編集後のワーク情報とを対応付けて、メモリ装置MM1に送信する。メモリ装置MM1は、端末装置P1から送信された制御指令に基づいて、溶接条件テーブルTBに記憶されたワークのワーク情報を、編集後のワーク情報に更新する。
【0067】
次に、
図5を参照して、ワークリスト画面SC2について説明する。
図5は、ワークリスト画面SC2の一例を説明する図である。なお、
図5に示すワークリスト画面SC2は一例であってこれに限定されないことは言うまでもない。
【0068】
ワークリスト画面SC2は、プロセッサ31により生成され、表示部33に表示される。
図5に示すワークリスト画面SC2は、作業者により行われるワークのそれぞれを含む。ワークリスト画面SC2は、作業中のワークを指定(選択)するためのワーク選択ボタンBT31,BT32,BT33,BT34,BT35のそれぞれと、ワークごとの溶接条件を表示する溶接条件表示領域WC11,WC12,WC13,WC14,WC15のそれぞれと、作業者により行われたワークごとの溶接出力回数を表示する溶接出力回数表示領域CT11,CT12,CT13,CT14,CT15のそれぞれと、を含んで表示される。
【0069】
プロセッサ31は、作業者操作に基づいて、いずれか1つのワーク選択ボタンが押下(選択)された場合、押下されたワーク選択ボタンに対応するワークの溶接条件に基づいて、溶接電力(溶接電流,溶接電圧)に関する制御情報を生成して、溶接出力回路36に出力する。プロセッサ31は、作業者により溶接トーチのトーチスイッチの操作に基づいて、溶接出力回路36を駆動させて、溶接トーチへの溶接出力を開始させるとともに、現在選択されているワークの溶接出力回数のカウントを開始する。また、プロセッサ31は、押下(選択)されたワーク選択ボタンに対応するワークの溶接条件表示領域と溶接出力回数表示領域とを第1の色(例えば、黄色等)に変更したワークリスト画面SC2を生成して、表示部33に表示させる。
【0070】
プロセッサ31は、溶接出力回路36から出力された溶接出力結果に基づいて、ワークの溶接出力回数をカウント(インクリメント)し、カウントされた現在の溶接出力回数を溶接出力回数表示領域に表示する。
【0071】
プロセッサ31は、カウントされた現在の溶接出力回数と、ワークのワーク情報に含まれる溶接出力回数情報とが等しいか否かを判定する。例えば、プロセッサ31は、作業者によりワーク選択ボタンBT31が押下(選択)されており、カウントされた現在の溶接出力回数が25回である場合、溶接条件表示領域WC11と溶接出力回数表示領域CT11とを第1の色(例えば、黄色等)から第2の色(例えば、オレンジ色等)に変更したワークリスト画面SC2を生成して、表示部33に表示させる。
【0072】
一方、プロセッサ31は、カウントされた現在の溶接出力回数とワーク情報に含まれる溶接出力回数情報とが等しいか否かを判定する。例えば、プロセッサ31は、作業者によりワーク選択ボタンBT32が押下(選択)されており、カウントされた現在の溶接出力回数が6回である場合、溶接条件表示領域WC12と溶接出力回数表示領域CT12とを第1の色(例えば、黄色等)のままにする。
【0073】
なお、本実施の形態1では、カウントされた現在の溶接出力回数とワーク情報に含まれる溶接出力回数情報とが等しい(言い換えると、ワークの進捗状況が100%)場合のみ、溶接条件表示領域と溶接出力回数表示領域とを第1の色から第2の色に変更する溶接作業支援システム200の例について説明したが、これに限定されなくてもよい。溶接作業支援システム200は、カウントされた現在の溶接出力回数に基づいて、段階的に3以上の色に変更してもよい。例えば、溶接作業支援システム200は、ワークの進捗状況が所定の閾値(例えば、50%,60%等)を超えたと判定した場合に、第1の色から第3の色に変更し、ワークの進捗状況が100%になったと判定した場合に、第3の色から第2の色に変更してもよい。
【0074】
以上説明したように、実施の形態1に係る溶接作業支援システム200は、溶接対象物を溶接する溶接条件に対応する溶接出力を制御する溶接出力装置PS1と、溶接出力装置PS1と通信可能であって、溶接対象物を溶接する溶接条件とを対応付けたワークを含むワークリストを記憶するメモリ装置MM1(記憶装置の一例)と、を備える。メモリ装置MM1は、ワークリストを溶接出力装置PS1に送信する。溶接出力装置PS1は、送信されたワークリストを含むワークリスト画面SC2を表示し、ワークリストに含まれる溶接条件に対応する溶接出力を出力した出力回数をカウントし、カウントされた出力回数と溶接条件に含まれる溶接出力回数とが等しいか否かを判定し、カウントされた出力回数と溶接出力回数とが等しいと判定した場合、溶接条件に対応するワークを強調表示したワークリスト画面SC2を生成して出力する。
【0075】
これにより、実施の形態1に係る溶接作業支援システム200は、作業者により行われたワークに対応する溶接出力回数と、このワーク情報に含まれる溶接出力回数とが等しい場合、このワークが完了したと判定し、完了したワークを強調表示したワークリスト画面SC2を生成して、表示部33に出力できる。作業者は、ワークリスト画面SC2によって、作業者自身が行うべきワークのうち、現在作業中のワークに対応する溶接回数および溶接済みの溶接回数と、作業が完了したワークとを作業者が一目で確認することができる。したがって、溶接作業支援システム200は、溶接回数の過不足に基づく溶接の品質の低下を抑制できる。
【0076】
(実施の形態1の変形例)
実施の形態1では、端末装置P1、メモリ装置MM1および溶接出力装置PS1のそれぞれにより実行される作業者の溶接作業を支援する支援方法について説明した。実施の形態1の変形例では、端末装置P1、メモリ装置MM1および溶接出力装置PS1のそれぞれが一体的に構成された溶接出力装置PS2より実行される作業者の溶接作業を支援する支援方法の例について説明する。なお、以下の説明において、実施の形態1と同一の構成要素については同一の符号を用いることで、その説明を省略する。
【0077】
図6を参照して、実施の形態1の変形例に係る溶接出力装置PS2について説明する。
図6は、実施の形態1の変形例に係る溶接出力装置PS2の内部構成例を示すブロック図である。
【0078】
実施の形態1の変形例に係る溶接出力装置PS2は、実施の形態1における端末装置P1、メモリ装置MM1および溶接出力装置PS1のそれぞれにより実行される各種機能、および
図3に示す動作手順を実現可能な装置である。溶接出力装置PS2は、所定の作業者のワークリストの入力処理、ワーク情報の編集処理、ワークリスト画面SC2の生成、更新および表示処理、送給装置T1の制御、溶接トーチへの溶接出力制御等を実行する。
【0079】
溶接機の一例としての溶接出力装置PS2は、モータ回路40と、プロセッサ41と、メモリ42と、表示部43と、入力部44と、溶接出力回路45と、を含んで構成される。
【0080】
モータ回路40は、プロセッサ41から出力された溶接ワイヤの送給に関する制御指令を取得する。モータ回路40は、取得された制御指令に基づいて、モータを駆動させて、送給装置T1による溶接ワイヤの送給を実行させる。
【0081】
取得部および制御部の一例としてのプロセッサ41は、例えばCPUまたはFPGAを用いて構成され、メモリ42と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、プロセッサ41は、メモリ42に保持されたプログラムを参照し、そのプログラムを実行することにより機能を実現する。プロセッサ41は、上述した端末装置P1のプロセッサ11、メモリ装置MM1のプロセッサ21、および溶接出力装置PS1のプロセッサ31のそれぞれにより実現される機能を実現する。
【0082】
プロセッサ41は、メモリ42の溶接条件テーブルTBを参照して、ワークリストに含まれる複数のワークの溶接条件のうち、現在作業者により行われているワークの溶接条件を取得する。プロセッサ41は、取得されたワークの溶接条件に基づいて、溶接ワイヤの送給に関する制御指令を生成する。プロセッサ41は、生成された制御指令をモータ回路40に出力する。
【0083】
また、プロセッサ41は、現在作業者により行われているワークの溶接条件に対応する溶接条件のパラメータに基づいて、溶接電力(溶接電流,溶接電圧)に関する制御情報を溶接出力回路45に出力する。プロセッサ41は、溶接出力回路45から出力された溶接出力結果に基づいて、作業中のワークの溶接出力回数をカウント(インクリメント)し、作業中のワークの進捗状況を更新し、更新後のワークリスト画面SC2を表示部43に表示させる。
【0084】
メモリ42は、例えばプロセッサ41の処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAMと、プロセッサ41の処理を規定したプログラムを格納するROMとを有する。RAMには、プロセッサ41により生成あるいは取得されたデータが一時的に保存される。ROMには、プロセッサ41の処理を規定するプログラムが書き込まれている。また、メモリ42は、溶接条件テーブルTBを記憶する。
【0085】
表示部43は、例えばLCDまたは有機EL等の表示用デバイスを用いて構成されてよい。表示部43は、プロセッサ41から出力されたワークリスト編集画面(
図4参照)、あるいはワークリスト画面SC2(
図5参照)等を出力する。
【0086】
入力部44は、作業者の入力操作を検出してプロセッサ41に出力するインターフェースであり、例えば、ボタン、マウス、キーボード等を用いて構成されてよい。なお、入力部44は、表示部43と一体的に構成されたタッチパネルとして実現されてもよい。
【0087】
溶接出力回路45は、プロセッサ41により制御されて、溶接トーチへの溶接出力を実行する。溶接出力回路45は、プロセッサ41から出力された溶接条件のパラメータに含まれる溶接電力(溶接電流,溶接電圧)に関する制御情報に基づいて、溶接出力を調整する。溶接出力回路45は、作業者による溶接トーチのトーチスイッチの操作に基づいて、溶接トーチへの溶接出力を実行する。溶接出力回路45は、溶接出力結果をプロセッサ41に出力する。
【0088】
以上説明したように、実施の形態1および実施の形態1の変形例に係る溶接出力装置PS1,PS2(溶接機の一例)は、溶接対象物と、溶接対象物を溶接する溶接条件とを対応付けたワークを含むワークリストを取得する通信部30あるいはプロセッサ41(取得部の一例)と、ワークリストに含まれる溶接条件に対応する溶接出力を制御するプロセッサ31,41(制御部の一例)と、ワークリストを含むワークリスト画面SC2(
図5参照)を表示する表示部33,43と、を備える。プロセッサ31,41は、溶接出力の出力回数をカウントし、カウントされた出力回数と溶接条件に含まれる溶接出力回数とが等しいか否かを判定し、カウントされた出力回数と溶接出力回数とが等しいと判定した場合、溶接条件に対応するワークを強調表示したワークリスト画面SC2を生成して、表示部33,43に出力する。
【0089】
これにより、実施の形態1および実施の形態1の変形例に係る溶接出力装置PS1,PS2は、作業者により行われたワークに対応する溶接出力回数と、このワーク情報に含まれる溶接出力回数とが等しい場合、このワークが完了したと判定し、完了したワークを強調表示したワークリスト画面SC2を生成して、表示部33,43に出力できる。作業者は、ワークリスト画面SC2によって作業者自身が行うべきワークのうち、現在作業中のワークに対応する溶接回数および溶接済みの溶接回数と、作業が完了したワークとを作業者が一目で確認することができる。したがって、溶接作業支援システム200は、溶接回数の過不足に基づく溶接の品質の低下を抑制できる。
【0090】
また、以上説明したように、実施の形態1および実施の形態1の変形例に係る溶接出力装置PS1,PS2におけるプロセッサ31,41は、溶接出力の出力回数を複数のワークのそれぞれについてカウントし、複数のワークのそれぞれの溶接出力の出力回数を含むワークリスト画面SC2を生成して、表示部33,43に出力する。これにより、実施の形態1および実施の形態1の変形例に係る溶接出力装置PS1,PS2は、作業者により行われているワークに対応する溶接出力回数を含むワークリスト画面SC2を生成して、表示部33,43に出力できる。したがって、作業者は、現在、作業中のワークの進捗状況(現在の溶接出力回数)を一目で確認することができる。
【0091】
また、以上説明したように、実施の形態1および実施の形態1の変形例に係る溶接出力装置PS1,PS2は、作業者により行われる溶接のワークの選択操作を受け付け可能な入力部14、をさらに備える。プロセッサ31,41は、作業者により選択されたワークの溶接条件における溶接出力の出力回数をカウントする。これにより、実施の形態1および実施の形態1の変形例に係る溶接出力装置PS1,PS2は、作業者により選択され、作業が行われているワークに対応する溶接出力回数を含むワークリスト画面SC2を生成して、表示部33,43に出力できる。したがって、作業者は、現在、作業中のワークの進捗状況(現在の溶接出力回数)を一目で確認することができる。
【0092】
また、以上説明したように、実施の形態1および実施の形態1の変形例に係る溶接出力装置PS1,PS2におけるプロセッサ31,41は、ワークリスト画面SC2のうち選択されたワークを第1の色で強調表示したワークリスト画面SC2を生成して、表示部33,43に出力し、カウントされた出力回数と溶接出力回数とが等しいと判定した場合、ワークを第1の色と異なる第2の色で強調表示したワークリスト画面SC2を生成して、表示部33,43に出力する。これにより、実施の形態1および実施の形態1の変形例に係る溶接出力装置PS1,PS2は、作業者により行われているワークに対応する溶接出力回数を含むワークリスト画面SC2を生成して、表示部33,43に出力できる。したがって、作業者は、現在、作業中のワークの進捗状況(現在の溶接出力回数)と、ワークリストに含まれるワークのそれぞれの進捗状況とを一目で確認することができる。
【0093】
また、以上説明したように、実施の形態1および実施の形態1の変形例に係る溶接出力装置PS1,PS2における通信部30あるいはプロセッサ41は、溶接対象物と、溶接条件と、溶接条件に対応するワークが行われる溶接順番とを対応付けたワークリストを取得する。プロセッサ31,41は、溶接順番に基づいて、ワークリストに含まれるk(k:1以上の整数)番目のワークの溶接条件における溶接出力の出力回数をカウントし、カウントされたk番目のワークの溶接条件における溶接出力の出力回数とk番目のワークの溶接条件に含まれる溶接出力回数とが等しいと判定した場合、k番目のワークを強調表示したワークリスト画面SC2を生成して、表示部33,43に出力する。これにより、実施の形態1および実施の形態1の変形例に係る溶接出力装置PS1,PS2は、事前に決められた溶接順番に基づくワークの進捗状況を可視化して提示できる。
【0094】
また、以上説明したように、実施の形態1および実施の形態1の変形例に係る溶接出力装置PS1,PS2におけるプロセッサ31,41は、カウントされたk番目のワークの溶接条件における溶接出力の出力回数とk番目のワークの溶接条件に含まれる溶接出力回数とが等しいと判定した場合、溶接順番に基づいて、ワークリストに含まれる(k+1)番目のワークの溶接条件における溶接出力の出力回数をカウントし、カウントされた(k+1)番目のワークの溶接条件における溶接出力の出力回数と(k+1)番目のワークの溶接条件に含まれる溶接出力回数とが等しいか否かを判定する。これにより、実施の形態1および実施の形態1の変形例に係る溶接出力装置PS1,PS2は、事前に決められた溶接順番に基づくワークの進捗状況を可視化して提示できる。
【0095】
また、以上説明したように、実施の形態1および実施の形態1の変形例に係る溶接出力装置PS1,PS2におけるプロセッサ31,41は、k番目のワークを第1の色で強調表示したワークリスト画面SC2を生成して、表示部33,43に出力し、カウントされたk番目のワークの溶接条件における溶接出力の出力回数とk番目のワークの溶接条件における溶接出力の溶接出力回数とが等しいと判定した場合、k番目のワークを第1の色と異なる第2の色で強調表示したワークリスト画面SC2を生成して、表示部33,43に出力する。これにより、実施の形態1および実施の形態1の変形例に係る溶接出力装置PS1,PS2は、作業者により行われているワークに対応する溶接出力回数を含むワークリスト画面SC2を生成して、表示部33,43に出力できる。したがって、作業者は、現在、作業中のワークの進捗状況(現在の溶接出力回数)と、ワークリストに含まれるワークのそれぞれの進捗状況とを一目で確認することができる。
【0096】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本開示は、作業者が要望する溶接条件の設定を支援する溶接機、溶接作業支援方法および溶接作業支援システムとして有用である。
【符号の説明】
【0098】
10,20,30 通信部
11,21,31,41 プロセッサ
12,22,32,42 メモリ
13,33,43 表示部
14,34,44 入力部
36,45 溶接出力回路
100A,P1 端末装置
100B,PS1,PS2 溶接出力装置
200 溶接作業支援システム
MM1 メモリ装置
SC1 ワークリスト編集画面
SC2 ワークリスト画面
T1 送給装置
TB 溶接条件テーブル
【要約】
溶接機は、溶接対象物と、溶接対象物を溶接する溶接条件とを対応付けたワークを含むワークリストを取得する取得部と、ワークリストに含まれる溶接条件に対応する溶接出力を制御する制御部と、ワークリストを含むワークリスト画面を表示する表示部と、を備え、制御部は、溶接出力の出力回数をカウントし、カウントされた出力回数と溶接条件に含まれる溶接出力回数とが等しいか否かを判定し、カウントされた出力回数と溶接出力回数とが等しいと判定した場合、溶接条件に対応するワークを強調表示したワークリスト画面を生成して、表示部に出力する。