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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】ロボット制御装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/06 20060101AFI20230915BHJP
   B25J 19/00 20060101ALI20230915BHJP
   H05K 7/18 20060101ALI20230915BHJP
【FI】
B25J13/06
B25J19/00 F
H05K7/18 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023539166
(86)(22)【出願日】2023-03-22
(86)【国際出願番号】 JP2023011228
【審査請求日】2023-06-26
(31)【優先権主張番号】P 2022071180
(32)【優先日】2022-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】芝田 峻
【審査官】國武 史帆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/246613(WO,A1)
【文献】実開平4-88095(JP,U)
【文献】特開平9-74287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
H05K 7/00 - 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットを制御するロボット制御装置であって、
側板および天板を有する筐体と、
前記筐体の内部において前記側板および前記天板の間に設けられる補強部材と、
前記筐体の内部に設けられた制御ユニットと、
前記筐体の内部に設けられ、外部電源から前記制御ユニットに電力を供給する配線部と、
前記筐体の内部に設けられ、前記外部電源から前記制御ユニットに供給される電力を遮断するブレーカと、
前記筐体の前面を開閉可能に設けられた扉と、
前記筐体に設けられ、前記扉を閉じた状態で外側から前記ブレーカを操作可能な操作部と、を備え、
前記補強部材は、前記配線部のうち前記ブレーカより上流側の部分を覆うように構成される、
ロボット制御装置。
【請求項2】
前記補強部材は、前記筐体の前後方向に沿って延伸する角筒部である、
請求項1に記載のロボット制御装置。
【請求項3】
前記補強部材は、前記筐体の前後方向に沿って延伸する曲げ部を有し、
前記配線部の前記上流側の前記部分は、前記曲げ部と前記筐体との間に設けられる、
請求項1に記載のロボット制御装置。
【請求項4】
前記補強部材は、前記曲げ部に接合されるL字曲げ材を有する、
請求項3に記載のロボット制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボット制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、産業用ロボットと溶接電源装置とを備え、溶接用のワイヤを送給し溶接対象物を溶接するアーク溶接装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-233563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、筐体側面からの一次側配線の引き込みを行うことなく、他の筐体の横並びによる近接設置を可能にできるロボット制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、ロボットを制御する制御装置であって、側板および天板を有する筐体と、前記筐体の内部において前記側板および前記天板の間に設けられる補強部材と、前記筐体の内部に設けられた制御ユニットと、前記筐体の内部に設けられ、外部電源から前記制御ユニットに電力を供給する配線部と、前記筐体の前記内部に設けられ、前記外部電源から前記制御ユニットに供給される電力を遮断するブレーカと、前記筐体の前面を開閉可能に設けられた扉と、前記筐体に設けられ、前記扉を閉じた状態で外側から前記ブレーカを操作可能な操作部と、を備え、前記補強部材は、前記配線部のうち前記ブレーカより上流側の部分を覆うように構成されている、ロボット制御装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、筐体側面からの一次側配線の引き込みを行うことなく、他の筐体の横並びによる近接設置を可能にできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1に係るロボット制御装置の外観を表す斜視図
図2図1に示した扉を開き、天板を外したロボット制御装置の分解斜視図
図3】天板と一方の側板を省略した筐体の斜視図
図4】筐体の内部を透視して左方の補強部材を破線で示した平面図
図5】扉の省略された筐体の前面を、ブレーカ近傍の要部拡大図とともに表した正面図
図6】変形例に係る補強部材の正面図
図7】側板に固定された曲げ部の要部拡大斜視図
図8】曲げ部が別体で構成される補強部材の要部拡大斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施の形態に至る経緯)
特許文献1は、一般的にアーク溶接等を行う溶接ロボット等のロボット制御装置を開示している。ロボット制御装置は、左右の側面を有する筐体と、筐体の前面に取り付けられた扉と、筐体内に設けられたブレーカと、外部電源とブレーカとの間に接続された一次側配線とを備える。作業者は、扉を開けて筐体内のメンテナンスを行う。多くのロボット制御装置では、扉にブレーカのハンドルが取り付けられている。一次側電源をブレーカによって遮断しなければ扉が開けられないようにして、作業者の安全が確保されている。一次側配線は、ブレーカを落しても充電状態である。ブレーカによって一次側電源を遮断すると筐体内に充電部がない安全な状態になることが理想であるから、一次側配線はブレーカに最も近い左右の側面のいずれかから筐体内に引き込まれるのが一般的である。しかし、一次側配線を筐体側面から引き込むと、複数のロボット制御装置を横並びで設置する際には全体の設置面積が過大になるという課題がある。一次側配線を引き込む作業のための十分な間隔をあける必要があるからである。
【0009】
以下の実施の形態1では、筐体側面からの一次側配線の引き込みを行うことなく、他の筐体の横並びによる近接設置を可能にできるロボット制御装置の例を説明する。
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係るロボット制御装置を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0011】
図1は、実施の形態1に係るロボット制御装置11の外観を表す斜視図である。実施の形態1に係るロボット制御装置11は、ロボット(図示略)を制御するための制御装置である。ロボットは、6軸関節型の溶接ロボット(マニピュレータ)を一例として挙げることができるが、ロボットの種別や用途は限定されない。溶接ロボットは、例えば自動車あるいは工業製品等を生産するための生産工場内に配置された溶接作業ライン等に設置される。溶接ロボットは、ティーチングペンダントを用いたティーチング等によって予め設定された所定の溶接線に沿って、ロボット先端側の溶接トーチを移動させる。ロボット制御装置11は、溶接トーチが所定の溶接線に沿って移動するように溶接ロボットの動作を制御する。ロボット制御装置11は、この動作を制御するための各種の電子部品が実装された回路基板(以下、単に「基板」と称する場合がある)を有する制御ユニット13(図4参照)を含む、複数のユニットを筐体内に収容している。
【0012】
実施の形態1に係るロボット制御装置11は、装置全体の外殻を構成する金属製の筐体15を有する。筐体15は、例えば各面が四角形の六面体で形成される。筐体15は、6つの外面のうち前面に開口部17(図2参照)を有する。ロボット制御装置11は、この開口部17を開閉自在とする扉19を筐体15の前面に備える。開口部17には、開口枠(図2参照)が設けられてもよい。扉19は、例えば図1における矢印A方向の正面視で、右側を釣元として蝶番21等のヒンジにより開閉自在となって開口枠等に支持される。
【0013】
図2は、図1に示した扉19を開き、天板23を外したロボット制御装置11の分解斜視図である。作業者は、扉19を開くことで筐体15の内部に収容される各ユニットにアクセスできる。筐体15は、メンテナンス時に、作業者が開口部17から内部に手を入れることにより各ユニットに対する作業を可能とする。筐体15は、筐体15の内部に、各ユニットに対するアクセスを可能とするためのメンテナンス空間Sm(図3参照)を有する。
【0014】
ロボット制御装置11は、筐体15内の各ユニットに給電されている一次側電源を遮断するための主幹ブレーカ(つまり、ブレーカ25)を備える。ブレーカ25は、外部操作ハンドル27の操作部29を有する。外部操作ハンドル27の操作部29は、扉19の表面に表出される。扉19には、外部操作ハンドル27を表出させる透孔31が穿設される。これにより、ブレーカ25の操作部29は、扉19を閉じた状態で、外側から操作可能となっている。また、操作部29が操作されて一次側電源が遮断されなければ、扉19は施錠状態にロックされて、開かないようになっている。つまり、外部操作ハンドル27は、一次側電源の遮断部と、扉19のロック解除部とを兼ねている。
【0015】
筐体15においては、底板33が四角形となる。底板33の左右(つまり、例えば図1における矢印A方向の正面視の左右)の辺部からは、一対の平行な側板35が起立する。一対の平行な側板35は、上辺部同士が天板23により接続される。開口部17は、底板33の前縁と、一対の側板35のそれぞれの前縁と、天板23の前縁とで包囲される。また、筐体15は、開口部17の反対側(奥側)を塞ぐ背板37を有する。
【0016】
筐体15は、一対の側板35および天板23の間に設けられる一対の補強部材39を内部に有する。なお、補強部材39は、筐体15の内部において、一対の側板35の両方ではなく、一方にのみに設けられてもよい。ロボット制御装置11において、補強部材39は、筐体15の前後方向に沿って延伸する角筒部41である。角筒部41は、その内側に中空部43(図5参照)を有する。
【0017】
図3は、天板23と一方の側板35を省略した筐体15の斜視図である。補強部材39は、前端(つまり、例えば図1における矢印A方向の正面視の手前側)と、後端(つまり、例えば図1における矢印A方向の正面視の奥側)とを有する。補強部材39の前端は、開口部17の近傍に配置される。補強部材39の後端は、背板37の近傍に配置される。補強部材39は、開口部17と背板37とのそれぞれから、所定の間隙Kを有して離間配置されている。この間隙Kは、角筒部41の中空部43に電線を通すためのものとなる。なお、開口部17と補強部材39の前端との間隙の長さと、背板37と補強部材39の後端との間隙の長さとは一致しなくてもよい。
【0018】
筐体15は、平面視で側板35と平行な側面板45と、背板37と平行な前面板47と、からなるL字ブラケット49を有する。側面板45は、筐体15の側板35に溶接またはねじ留め等により固定される。ブレーカ25は、前面板47に固定される。一次側配線53は、背板37側の間隙Kを通り、角筒部41の後部導入部51へ差し入れられる。一次側配線53は、背板37に固定された中継端子55に接続されている。一次側配線53は、角筒部41の前部導出部57から導出される。一次側配線53は、開口部側の間隙Kを通り、L字ブラケット49に固定されたブレーカ25に接続される。
【0019】
図4は、筐体15の内部を透視して左方の補強部材39を破線で示した平面図である。補強部材39は、開口部17と背板37とのそれぞれから、所定の間隙Kが設けられない場合には、前端および後端に切欠等による電線貫通部59を有してもよい。筐体15は、制御ユニット13を含む複数のユニットを収容する。筐体15は、外部電源から制御ユニット13に電力を供給する配線部を収容する。配線部は、一次側配線53と二次側配線61とを含む。
【0020】
図5は、扉19の省略された筐体15の前面を、ブレーカ近傍の要部拡大図とともに表した正面図である。ブレーカ25は、一次側配線53が接続された入力側端子部63を有する。一次側配線53は、いわゆる電線である。3相の場合、3本の一次側配線53が入力側端子部63に接続される。なお、1本の一次側配線53が細径の複数本に分けられて配索が容易に図られてもよい。ブレーカ25は、二次側配線61に接続された負荷側端子部65を有する。つまり、二次側配線61は、ブレーカ25を介在させて一次側配線53に接続される。ブレーカ25は、これら一次側配線53と、二次側配線61との間の電気的接続を遮断することができる。
【0021】
一次側配線53は、外部電源から給電されているため、外部電源が遮断されない限り常時、充電部となる。一次側配線53は、背板37に形成された引き込み穴等(図示略)に挿通されて、筐体15の内部に引き込まれる。なお、一次側配線53は、必ずしも背板37に形成された引き込み穴等に挿通されて、筐体15の内部に引き込まれなくてもよい。
【0022】
例えば、図3に示すように、一次側配線53は、背板37を貫通する中継端子55を介して筐体15の内部に引き込まれてもよい。中継端子55は、筐体15内に配された導体の内側端子と筐体15外に配された導体の外側端子(図示略)とを有する。筐体15外の一次側配線53は、外部電源と外側端子との間に接続される。筐体15内の一次側配線53は、ブレーカ25と内側端子との間に接続される。この筐体15内の一次側配線53は、補強部材39の背板近傍で開口する後部導入部51から中空部43に通される。中空部43に通された一次側配線53は、開口部17の近傍で開口する補強部材39の前部導出部57(図3参照)から引き出されてブレーカ25の入力側端子部63に接続される。なお、一次側配線53は、前部導出部57から挿通されて、後部導入部51から引き出されてもよい。つまり、補強部材39は、配線部である一次側配線53を覆うように構成されている。
【0023】
図6は、変形例に係る補強部材67の正面図である。図6に示すように、ロボット制御装置11においては、補強部材が、角筒部41(図3参照)でなくてもよい。この場合、補強部材67は、筐体15の前後方向(つまり、例えば図1における矢印A方向の正面視の前後方向)に沿って延伸する曲げ部69を有する。配線部である一次側配線53は、曲げ部69と筐体15との間に設けられる。補強部材67は、例えば断面が底板33の方向に開いたC字またはU字形状に形成される。曲げ部69は、側板35および天板23に固定される。
【0024】
ロボット制御装置11は、図4に示すようにロボット制御装置11を吊り持ちするための一対のアイボルト71を備える。一対のアイボルト71は、筐体15の上面左右(つまり、例えば図1における矢印A方向の正面視の左右)に固定される。アイボルト71は、アイボルト71の雄ねじ部が曲げ部69を貫通し、板ナット73に螺合されることにより、補強部材67に螺着される。なお、アイボルト71は、本変形例ではなく上述した実施の形態1に係るロボット制御装置11においても、同様に適用可能である。具体的には、アイボルト71は、アイボルト71の雄ねじ部が角筒部41を貫通し、板ナット73に中空部43内で螺合されることにより、補強部材39に螺着される。一対の補強部材39、あるいは左右一対の補強部材67は、ロボット制御装置11を吊り持ちできる耐荷重を有している。
【0025】
図7は、側板35に固定された曲げ部69の要部拡大斜視図である。C字またはU字形の補強部材67は、クランク形に曲げられた上曲げ片75を有する。なお、C字またはU字形の補強部材67において、クランク形に曲がられた上曲げ片75の代わりに平板状の上片が設けられても構わない。つまり、補強部材67の上片はクランク形に曲げられずに平板状に形成されてもよい。補強部材67は、上曲げ片75の両側に左側片77と、右側片79とを有する。左側片77および右側片79は、上曲げ片75から折り曲げられて垂下している。補強部材67においては、左側片77が筐体15の側板35に固定される。図6に示すように、補強部材67は、右側片79の下端に設けられた、底板33と平行な下片81を有する。補強部材67は、これら上曲げ片75、左側片77、右側片79および下片81により中空部43を囲む。補強部材67においては、下片81と側板35の間に隙間83が存在していてもよい。一次側配線53は、中空部43に配索される。一次側配線53の一部が、隙間83から脱落しないように、脱落防止の簡易な手段である例えば結束バント等によって上曲げ片75や下片81等に固定されてもよい。
【0026】
図8は、曲げ部69が別体で構成される補強部材67の要部拡大斜視図である。補強部材67は、上曲げ片75、左側片77および右側片79からなる曲げ部69を有する。曲げ部69が、下片81と一体であっても別体であってもよい。すなわち、補強部材67は、曲げ部69に接合されるL字曲げ材85を有してもよい、この補強部材67によれば、L字曲げ材85をねじ等により、曲げ部69に後付けすることで、補強部材67への一次側配線53の挿通を容易に行うことができる。
【0027】
次に、上述した実施の形態1に係るロボット制御装置の作用を説明する。
【0028】
実施の形態1に係るロボット制御装置11は、ロボットを制御し、側板35および天板23を有する筐体15と、筐体15の内部において側板35および天板23の間に設けられる補強部材39と、筐体15の内部に設けられた制御ユニット13と、筐体15の内部に設けられ、外部電源から制御ユニット13に電力を供給する配線部と、筐体15の内部に設けられ、外部電源から制御ユニット13に供給される電力を遮断するブレーカ25と、筐体15の前面を開閉可能に設けられた扉19と、筐体15に設けられ、扉19を閉じた状態で外側からブレーカ25を操作可能な操作部29と、を備える。補強部材39は、配線部のうちブレーカ25より上流側の部分を覆うように構成される。ここでいう上流側とは、外部電源から制御ユニット13に電力を供給する給電経路上での上流をいう。本実施形態では、補強部材39は、外部電源とブレーカ25との間に接続された配線部のうち、筐体15内部に配される部分を覆う。これに加えて、補強部材39は、ブレーカ25と制御ユニット13との間に接続された配線部を覆ってもよい。筐体15の手前側にブレーカ25が配置されているので(図2参照)、補強部材39は、配線部のうちブレーカ25よりも奥側に向かう部分を覆っている。
【0029】
ロボット制御装置11では、筐体15が、装置全体の外殻を構成する。筐体15は、内部に、制御ユニット13を収容する。筐体15には、前面の開口部17を開閉可能な扉19が設けられる。筐体15は、一対の側板35と天板23を有する。一対の側板35と天板23は、開口部17と反対側となる奥側で背板37により塞がれる。
【0030】
筐体15の側板35と天板23が交わる入隅部に、補強部材39が設けられる。補強部材39は、側板35と天板23の双方に固定されることにより、筐体15の強度を高めている。補強部材39は、開口部17の近傍から背板37の近傍まで延伸する長尺の鋼材で形成される。補強部材39は、長手方向に直交する断面形状が、内側を包囲する形状で形成される。補強部材39は、例えばこの断面が閉じた角筒(角パイプ)、断面が開いたC字またはU字形状に形成される。
【0031】
筐体15の内部には、外部電源から制御ユニット13に電力を供給するための配線部が配索される。また、筐体15の内部には、外部電源から制御ユニット13に供給される電力を遮断するためのブレーカ25が配置される。ブレーカ25は、筐体15の開口部17に近接する。筐体15には、扉19を閉じた状態で、外側からブレーカ25を操作可能な操作部29が設けられる。操作部29は、ブレーカ25とともに、筐体15の開口部17に近接する位置に配置される。
【0032】
ところで、筐体15の内部に配索される配線部は、外部電源からブレーカ25に給電するための一次側配線53を含む。上述したように、ブレーカ25は開口部17に近接して配置されるため、従来構造のロボット制御装置においては、一般的に開口部17に近い側板35を貫通して一次側配線53の引き込みが行われていた。しかし、一次側配線53を側板35を介して引き込めば、側板35の外部に電線である一次側配線53を大きな曲率半径を有して引き回す作業スペースが必要となる。そのため、複数のロボット制御装置11を横並びで設置する場合では、設置面積が過大に必要となる課題があった。
【0033】
実施の形態1に係るロボット制御装置11では、一次側配線53は、補強部材39の中空部43内に通される。補強部材39は、側板35と天板23との入隅部において、開口部17の近傍から背板37の近傍まで延伸している。すなわち、一次側配線53は、筐体15の背板37から引き込まれ、背板37の近傍で開口する補強部材39の後部導入部51から中空部43に通される。補強部材39の中空部43に通された一次側配線53は、開口部17の近傍で開口する補強部材39の前部導出部57から引き出されてブレーカ25に接続される。
【0034】
したがって、ロボット制御装置11では、背板37から引き込まれた一次側配線53が、補強部材39の内側であるデッドスペースを有効利用して、筐体15の内部で安全に配索されることになる。これにより、筐体15の内部における制御ユニット13の交換作業時等に、板金材からなるユニットケースの接触等で一次側配線53の絶縁被覆が傷つくことを防止できる。
【0035】
このように、ロボット制御装置11は、充電部となる配線部を筐体15の補強部材39内に収めることにより、配線部(一次側配線53)を扉19と反対側の背部から引き込めるようになる。その結果、ロボット制御装置11では、一次側配線53の側面からの引き込みを廃止して、横並びによる複数台の近接設置を、少ない設置スペースで実現させることができる。
【0036】
また、ロボット制御装置11において、補強部材39は、筐体15の前後方向に沿って延伸する角筒部41である。
【0037】
このロボット制御装置11では、補強部材39が、筐体15の前後方向に沿って延伸する角筒部41となる。角筒部41は、筐体15と別体に形成されてもよく、筐体15の例えば側板35の上端縁をプレス加工により略角筒に折り曲げた筐体15の一部分として形成されてもよい。
【0038】
ここで「略角筒」とは、一次側配線53が脱落しない中空部43を有していれば、長手方向に直交する断面が開いていてもよい意である。この場合の角筒部41は、例えばL字曲げと、U字曲げまたはV字曲げとを組み合わせて得ることができる。この角筒部41は、筐体15の一部分として形成できるので、筐体15への後付けが不要となる。
【0039】
一方、別体の角筒部41は、溶接またはリベット等により側板35に固定される。側板35に固定された角筒部41には、天板23がリベット等により固定される。これにより、筐体15は、角筒部41が側板35と天板23を強固に連結する構造材となって、高い強度での組み立てが可能となる。
【0040】
また、ロボット制御装置11において、補強部材67は、筐体15の前後方向に沿って延伸する曲げ部69を有し、配線部の上流側の部分は、曲げ部69と筐体15との間に設けられる。
【0041】
このロボット制御装置11では、筐体15が、前後方向に沿って延伸する曲げ部69を有する。配線部の上流側の部分は、曲げ部69と筐体15との間に設けられる。曲げ部69は、例えば側板35の上端縁に、筐体15の内部側へ向かって、山折りを2~3回行うことにより、側板35と曲げ部69とに囲まれる中空部43を有した補強部を得ることができる。
【0042】
この場合の補強部材67は、上記した「略角筒」の補強部材39よりも、断面が大きく開いたC字またはU字形のものも含まれる。すなわち、上述した「略角筒」の補強部材39では、挿通した一次側配線53の脱落は生じないが、曲げ部69を側板35に対向させた補強部材67では一次側配線53が脱落し得る。換言すれば、一次側配線53の中空部43に対する端部からの挿通作業を不要として、一次側配線53の容易な配索が可能となる。この補強部材67は、一次側配線53を中空部43に配索した後、脱落防止の簡易な手段(例えば結束バント等による一次側配線53の中空部43への固定)が施される。なお、曲げ部69は、側板35と別体で形成したものが、側板35に溶接またはねじ留めにより接合されても勿論よい。
【0043】
また、ロボット制御装置11において、補強部材67は、曲げ部69に接合されるL字曲げ材85を有する。
【0044】
このロボット制御装置11では、筐体15が、前後方向に沿って延伸する曲げ部69を有し、この曲げ部69に接合されるL字曲げ材85をさらに有する。L字曲げ材85は、リベット等により曲げ部69に接合される。曲げ部69は、側板35の上端縁に、筐体15の内部側へ向かって、例えば山折りを2回行うことにより、側板35と曲げ部69とに囲まれる中空部43を有した補強部を得ることができる。
【0045】
この補強部は、L字曲げ材85が接合されることにより、断面がほぼ閉じた中空部43を有することになる。したがって、この補強部材67では、L字曲げ材85を接合する前は、中空部43への一次側配線53の容易な配索が行え、配索後には、L字曲げ材85をねじ等により接合することで一次側配線53の容易な配索を可能にしながら、一次側配線53の脱落を防止できる。なお、このロボット制御装置11は、L字曲げ材85を予め曲げ部69に接合しておき、この補強部材67の一端から一次側配線53を他端へ挿通しても勿論よい。
【0046】
このロボット制御装置11では、一次側配線53を中空部43に配索した後、L字曲げ材85を接合することにより、一次側配線53の配索作業を容易にしながら、一次側配線53をしっかりと覆うことができる。また、側板35、曲げ部69およびL字曲げ材85を、それぞれ別体とした場合には、容易にプレス加工で補強部材67を製作できる。
【0047】
したがって、実施の形態1に係るロボット制御装置11によれば、充電部となる配線部(一次側配線53)を筐体15の補強部材39または補強部材67内に収めることにより、一次側配線53を扉19と反対側の背部から引き込めるようになり、複数を横並びで近接配置可能にできる。
【0048】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本開示は、安価かつ単純な構成でメンテナンス性を向上するロボット制御装置として有用である。
【符号の説明】
【0050】
11 ロボット制御装置
13 制御ユニット
15 筐体
19 扉
23 天板
25 ブレーカ
29 操作部
35 側板
39 補強部材
41 角筒部
53 一次側配線(配線部)
61 二次側配線(配線部)
67 補強部材
69 曲げ部
85 L字曲げ材
【要約】
ロボット制御装置は、側板および天板を有する筐体と、筐体の内部において側板および天板の間に設けられる補強部材と、筐体の内部に設けられた制御ユニットと、筐体の内部に設けられ、外部電源から制御ユニットに電力を供給する配線部と、筐体の内部に設けられ、外部電源から制御ユニットに供給される電力を遮断するブレーカと、筐体の前面を開閉可能に設けられた扉と、筐体に設けられ、扉を閉じた状態で外側からブレーカを操作可能な操作部と、を備える。補強部材は、配線部のうちブレーカより上流側の部分を覆うように構成される。
図1
図2
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図8