(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】通信システムおよび通信システムのコントローラ
(51)【国際特許分類】
H05B 47/175 20200101AFI20230915BHJP
H04B 3/54 20060101ALI20230915BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20230915BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20230915BHJP
【FI】
H05B47/175
H04B3/54
H04Q9/00 311S
H02J13/00 311T
H02J13/00 311R
H02J13/00 C
(21)【出願番号】P 2019192090
(22)【出願日】2019-10-21
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平内 靖人
(72)【発明者】
【氏名】松田 真二
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-139895(JP,A)
【文献】特開2010-171579(JP,A)
【文献】特開2007-149344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
H04B 3/54
H04Q 9/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信機器と、
電力線通信により、前記複数の通信機器を制御するコントローラとを備えた通信システムであって、
前記コントローラは、電力を供給する電源との間にブレーカがそれぞれ設けられた複数の電力線と接続されており、
前記通信機器は、前記複数の電力線のうちいずれか1つと接続されており、
前記コントローラは、前記各ブレーカのオン状態およびオフ状態を切り替えるブレーカ切替部を備え
、
前記コントローラは、電力線通信により、前記通信機器に対して所定情報を要求する制御信号を送信する場合、前記ブレーカ切替部により、複数の前記ブレーカのうち1つの第1ブレーカをオン状態とし、他のブレーカをオフ状態とすることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
請求項
1記載の通信システムにおいて、
前記通信機器は、前記制御信号を受信した場合、電力線通信により、前記所定情報を含むデータ信号を送信し、
前記コントローラは、前記制御信号を送信してから前記データ信号を受信するまで、前記ブレーカ切替部により、前記第1ブレーカをオン状態とし、他のブレーカをオフ状態とすることを特徴とする通信システム。
【請求項3】
請求項
1記載の通信システムにおいて、
前記通信機器は、前記制御信号を受信した場合、他の通信機器に前記制御信号を転送することを特徴とする通信システム。
【請求項4】
請求項
1または2記載の通信システムにおいて、
前記通信機器は、照明器具であり、
前記照明器具は、前記制御信号を受信した場合、前記制御信号の信号強度を測定し、測定した信号強度に応じて自己の光源の調光を制御することを特徴とする通信システム。
【請求項5】
電力線通信により、複数の通信機器に対して信号を送信することによって、当該複数の通信機器を制御する通信機器のコントローラであって、
当該コントローラは、電力を供給する電源との間にブレーカがそれぞれ設けられた複数の電力線と接続されており、
前記通信機器は、前記複数の電力線のうちいずれか1つと接続されており、
当該コントローラは、前記各ブレーカのオン状態およびオフ状態を切り替えるブレーカ切替部を備え
、
前記コントローラは、電力線通信により、前記通信機器に対して所定情報を要求する制御信号を送信する場合、前記ブレーカ切替部により、複数の前記ブレーカのうち1つの第1ブレーカをオン状態とし、他のブレーカをオフ状態とすることを特徴とする通信システムのコントローラ。
【請求項6】
複数の通信機器と、
電力線通信により、前記複数の通信機器を制御するコントローラとを備えた通信システムであって、
前記コントローラは、複数の電力線と接続されており、
前記通信機器は、前記複数の電力線のうちいずれか1つと接続されており、
前記コントローラは、前記通信機器に対して所定情報を要求する制御信号を送信する場合、電力線通信により、前記複数の電力線のうちいずれか1つの電力線を示す電力線データを含む前記制御信号を送信し、
前記通信機器は、受信した前記制御信号に含まれる前記電力線データが自己と接続されている電力線と対応する場合には、電力線通信により、前記所定情報を含むデータ信号を送信する一方、受信した前記制御信号に含まれる前記電力線データが自己と接続されている電力線と対応しない場合には、電力線通信により、前記所定情報を含むデータ信号を送信しないことを特徴とする通信システム。
【請求項7】
請求項
6記載の通信システムにおいて、
前記通信機器は、受信した前記制御信号に含まれる前記電力線データが自己と接続されている電力線と対応する場合、電力線通信により、他の通信機器に受信した制御信号を転送することを特徴とする通信システム。
【請求項8】
請求項
6または
7記載の通信システムにおいて、
前記通信機器は、照明器具であり、
前記照明器具は、前記制御信号を受信した場合、前記制御信号の信号強度を測定し、測定した信号強度に応じて自己の光源の調光を制御することを特徴とする通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力線通信(PLC通信:Power Line Communication)により、コントローラから通信機器に信号を送信することによって、通信機器を制御する通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
通信システムでは、通信機器と通信機器を制御するコントローラとの間の通信に電力線通信が用いられることがある。特許文献1では、電力線に印加される商用周波に、商用周波よりも高い周波数の通信信号を重畳することにより、親局装置と子局装置との間で通信が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電力線通信により通信が行われる通信システムにおいて、通信システムに多くの通信機器が設置される場合、ブレーカ容量の制限のため、通信機器が複数の電力線に分散して設置されることとなる。例えば、コントローラと複数の照明器具との間の通信に電力線通信を用いた照明システムでは、照明システムが駅のプラットホーム等に設置される場合、非常事態発生時のリスク回避のために、照明器具が複数の電力線に分けて設置される。
【0005】
1つのコントローラによって複数の電力線に接続された通信機器を制御する通信システムでは、複数の電力線が隣接して設置されることがある。この場合、1つの電力線において伝達されている信号が、隣接する他の電力線に伝搬してしまうことがある。このため、コントローラから通信機器に応答を求める信号を送信した場合、複数の通信機器が同じタイミングで信号を送信することによって、隣接する電力線に信号が伝搬してしまい、電力線内で信号が衝突を起こす可能性がある。これにより、コントローラと通信機器との間の通信が失敗するおそれがある。特に、受信した信号を増幅して他の通信機器に転送するリピータ機能を有する通信機器が電力線に接続されている場合、電力線内で信号衝突を起こす可能性が高まる。
【0006】
そこで、本発明は、電力線通信により通信機器を制御する通信システムにおいて、電力線内における信号衝突を抑制することができる通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の一実施形態に係る通信システムにおいて、複数の通信機器と、電力線通信により、複数の通信機器を制御するコントローラとを備えた通信システムであって、コントローラは、電力を供給する電源との間にブレーカがそれぞれ設けられた複数の電力線と接続されており、通信機器は、複数の電力線のうちいずれか1つと接続されており、コントローラは、各ブレーカのオン状態およびオフ状態を切り替えるブレーカ切替部を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、電力線通信により通信機器を制御する通信システムにおいて、電力線内における信号衝突を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る照明システムの構成例を示すブロック図。
【
図2】第1実施形態に係る照明システムの動作の流れ示すフローチャート。
【
図3】第2実施形態に係る照明システムの構成例を示すブロック図。
【
図4】第2実施形態に係る照明システムの動作の流れ示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0011】
(第1実施形態)
-照明システムの全体構成-
図1は本発明の第1実施形態に係る照明システムの構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、本照明システムは、コントローラ1と照明器具2a,2b,2cとを備える。なお、
図1では、照明器具2b,2cは、それぞれ、照明器具2aと同じ構成であるため、内部構成を省略して図示している。
【0012】
コントローラ1は、電力線3a,3b,3cと接続されている。照明器具2a,2b,2cは、電力線3a,3b,3cとそれぞれ接続されている。電力線3a,3b,3cは、交流電源4a,4b,4cとそれぞれ接続されている。交流電源4a,4b,4cは、交流電力を電力線3a,3b,3cにそれぞれ供給している。なお、電力線3a,3b,3cには、同一の交流電源が接続されていてもよい。例えば、電力線3a,3b,3cは、交流電源4aに接続されていてもよい。
【0013】
コントローラ1と照明器具2a,2b,2cとは、電力線3a,3b,3cをそれぞれ介して、交流電源4a,4b,4cからそれぞれ交流電力の供給を受けている。また、コントローラ1と照明器具2a,2b,2cとは、電力線3a,3b,3cをそれぞれ介して、通信可能に構成されている。すなわち、コントローラ1と照明器具2a,2b,2cとは、それぞれ、電力線通信により通信可能である。
【0014】
また、電力線3aには、複数の照明器具2aが接続されている。各照明器具2aは、電力線3aを介して信号を受信した場合、受信した信号を増幅して、同一の電力線3aに接続された他の装置(コントローラ1および他の照明器具2a)に転送するリピータ機能を備えている。各照明器具2aは、リピータ機能を機能させるか否かの設定が可能に構成されている。例えば、照明器具2aは、リピータ機能の設定がONとなっている場合には、受信した信号を他の装置に転送する一方、リピータ機能の設定がOFFとなっている場合には、受信した信号を他の装置に転送しない。同様に、電力線3bには、リピータ機能を備え、リピータ機能が設定可能に構成された複数の照明器具2bが接続されており、電力線3cには、リピータ機能を備え、リピータ機能が設定可能に構成された複数の照明器具2cが接続されている。
【0015】
また、電力線3a,3b,3cと交流電源4a,4b,4cとの間には、ブレーカ5a,5b,5cがそれぞれ設けられている。コントローラ1は、ブレーカ5a,5b,5cに対して、無線または有線通信により、ブレーカ切替信号CS1,CS2,CS3を送信する。ブレーカ5a,5b,5cは、ブレーカ切替信号CS1,CS2,CS3をそれぞれに従って、自らをオン状態またはオフ状態に切り替える。すなわち、コントローラ1は、ブレーカ5a,5b,5cをそれぞれ制御することによって、電力線3a,3b,3cと交流電源4a,4b,4cとの間の接続および遮断をそれぞれ制御する。
【0016】
-コントローラの構成-
コントローラ1は、電源部11と、操作部12と、記憶部13と、制御部14と、通信部15とを備える。
【0017】
電源部11は、例えば、電気回路等で構成され、電力線3a,3b,3cと接続されている。電源部11は、電力線3a,3b,3cを介して交流電源4a,4b,4cからそれぞれ交流電力の供給を受ける。電源部11は、供給された交流電力を、図略の電力供給手段(例えば、電力線等)により、コントローラ1の各部に供給して、コントローラ1を動作させる。
【0018】
操作部12は、コントローラ1を操作する第1ユーザからの操作入力を受け付ける。操作部12は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、フェーダ等の入力装置であり、第1ユーザからの操作入力を検出し、検出結果に応じた信号を制御部14に出力する。操作部12が第1ユーザから受け付ける操作入力として、例えば、各照明器具2a,2b,2cに設定されているID情報を要求するために行われる第1操作、各照明器具2a,2b,2cの光源26の調光を制御するために行われる第2操作等が挙げられる。
【0019】
記憶部13は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)およびSSD(Solid State Drive)等によって構成された記憶媒体である。記憶部13には、各照明器具2a,2b,2cの調光を制御するために、制御部14により実行される各種プログラムが記憶されている。
【0020】
制御部14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)および半導体メモリ等を含むマイクロコンピュータで構成される。制御部14は、記憶部13に記憶された各種プログラムを実行することにより、照明器具2a,2b,2cとの間で電力線通信を実行する。
【0021】
具体的に、制御部14は、制御信号生成部141と、調光信号生成部142と、ブレーカ切替部143とを備える。
【0022】
制御信号生成部141は、操作部12に対して第1操作(各照明器具2a,2b,2cに対して設定されているID情報を要求するために行われる操作)が行われた場合、制御信号を生成する。制御信号は、各照明器具2a,2b,2cに対してID情報を要求するために送信される信号である。ID情報には、照明器具2a,2b,2cに予め設定されたユニークアドレスやMACアドレス等が含まれている。制御部14は、ID情報に基づいて、各照明器具2a,2b,2cの識別を行う。
【0023】
調光信号生成部142は、各照明器具2a,2b,2cが自己の光源26の調光を行うために用いる制御値を含む調光信号を生成する。具体的に、調光信号生成部142は、操作部12に対して第2操作(各照明器具2a,2b,2cの光源26の調光を制御するために行われた操作)が行われた場合、第1ユーザの操作入力に応じた制御値を含む調光信号を生成する。
【0024】
ブレーカ切替部143は、操作部12に対して第1操作が行われた場合、ブレーカ5a,5b,5cのオン状態およびオフ状態をそれぞれ切り替えるために用いられるブレーカ切替信号CS1,CS2,CS3を生成する。
【0025】
通信部15は、例えば、電気回路等で構成され、電力線3a,3b,3cと接続されている。通信部15は、電力線3a,3b,3cを介して、各照明器具2a,2b,2cと通信を行う。
【0026】
具体的に、通信部15は、制御部14(制御信号生成部141および調光信号生成部142)により生成された制御信号および調光信号を、交流電源4a,4b,4cから供給される交流電力の周波数よりも高い周波数にそれぞれ変調して、電力線3a,3b,3cにそれぞれ出力する。例えば、通信部15は、制御部14が生成した制御信号および調光信号を2MHz~28MHzの直交周波数分割多重方式(OFDM)にそれぞれ変調して、変調した制御信号および調光信号を電力線3a,3b,3cに出力する。
【0027】
また、通信部15は、電力線3a,3b,3cを介して、各照明器具2a,2b,2cから送信されるデータ信号(詳しくは後述する)をそれぞれ受信する。具体的に、通信部15は、電力線3a,3b,3cを介して交流電源4a,4b,4cからそれぞれ供給された交流電力に重畳されたデータ信号を分離することにより、データ信号を復号する。通信部15は、復号したデータ信号を制御部14に出力する。
【0028】
さらに、通信部15は、ブレーカ5a,5b,5cと接続されており、ブレーカ切替部143により生成されたブレーカ切替信号CS1,CS2,CS3をブレーカ5a,5b,5cにそれぞれ送信する。ブレーカ5a,5b,5cは、受信したブレーカ切替信号CS1,CS2,CS3に従って、電力線3a,3b,3cと交流電源4a,4b,4cとの間をそれぞれ接続または遮断する。例えば、ブレーカ切替信号CS1がハイレベルである場合、ブレーカ5aがオン状態となり、電力線3aと交流電源4aとが接続される一方、ブレーカ切替信号CS1がローレベルである場合、ブレーカ5aがオフ状態となり、電力線3aと交流電源4aとの間の接続が遮断される。
【0029】
-照明器具の構成-
照明器具2aは、電源部21と、通信部22と、操作部23と、記憶部24と、制御部25と、光源26とを備える。
【0030】
電源部21は、例えば、電気回路等で構成され、電力線3aと接続されている。電源部21は、電力線3aを介して、交流電源4aから交流電力の供給を受ける。電源部21は、供給された交流電力を、図略の電力供給手段(例えば、電力線等)により照明器具2aの各部に供給して、照明器具2aを動作させる。
【0031】
通信部22は、例えば、電気回路等で構成され、電力線3aと接続されている。通信部22は、電力線3aを介して、コントローラ1および他の照明器具2aと通信を行う。
【0032】
具体的に、通信部22は、電力線3aを介して、交流電源4aから供給された交流電力に重畳された制御信号および調光信号をそれぞれ分離することにより、制御信号および調光信号をそれぞれ復号する。通信部22は、復号した制御信号および調光信号を制御部25にそれぞれ出力する。
【0033】
また、通信部22は、制御部25から出力されるデータ信号を交流電源4aから供給される交流電力に重畳させることにより、電力線3aに出力する。
【0034】
操作部23は、照明器具2aの第2ユーザからの操作入力を受け付ける。操作部23は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、フェーダ等の入力装置であり、第2ユーザからの操作入力を検出し、検出結果に応じた信号を制御部25に出力する。操作部23が第2ユーザから受け付ける操作入力として、例えば、自己のリピータ機能のON,OFFを設定するために行われる第3操作等が挙げられる。
【0035】
記憶部24は、ROM、RAM、HDDおよびSSD等によって構成された記憶媒体である。記憶部24には、自己の光源26の調光を制御するために、制御部25により実行される各種プログラムが記憶されている。また、記憶部24には、自己に設定されたID情報が記憶されている。
【0036】
制御部25は、例えば、CPUおよび半導体メモリ等を含むマイクロコンピュータで構成される。制御部25は、記憶部24に記憶された各種プログラムを実行することにより、コントローラ1および他の照明器具2aとの間で電力線通信を実行する。
【0037】
また、制御部25は、データ信号生成部251と、リピータ機能設定部252とを備える。
【0038】
データ信号生成部251は、通信部22が制御信号を受信した場合、データ信号を生成する。データ信号には、記憶部24に記憶された自己のID情報が含まれる。
【0039】
リピータ機能設定部252は、操作部23に対して第3操作(自己のリピータ機能のON,OFFを設定するために行われる操作)が行われた場合、第3操作に応じて自己のリピータ機能をONまたはOFFに設定する。制御部25は、リピータ機能がONに設定されている場合には、受信した調光信号を他の照明器具2aに転送するように通信部22を制御する。一方、制御部25は、リピータ機能がOFFに設定されている場合には、受信した調光信号を他の照明器具2aに転送しないように通信部22を制御する。
【0040】
また、制御部25は、自己の光源26の調光を制御する。具体的に、制御部25は、通信部22が調光信号を受信した場合、調光信号に含まれる制御値に従って、自己の光源26の調光を行う。例えば、制御部25は、制御値が光源26の発光強度を示すものである場合には、制御値に対応する発光強度となるように光源26の調光を制御する(例えば、制御値が256段階で定められている場合、制御値が255のとき、発光強度が100%となる等)。また、制御部25は、制御値が光源26の調色を示すものである場合には、制御値に対応する調色となるように光源26の調光を制御する。
【0041】
光源26は、例えば、ハロゲンランプ、蛍光灯およびLED等で構成される。光源26は、例えば、赤色(Red)、緑色(Green)および青色(Blue)の発光素子を有するものや、赤色、緑色、青色および白色(White)の発光素子を有するもので構成される。
【0042】
照明器具2b,2cは、それぞれ、照明器具2aと同様に構成されている。すなわち、照明器具2b,2cは、電力線3b,3cとそれぞれ接続されている。照明器具2b,2cは、電力線3b,3cを介して、交流電源4b,4cからそれぞれ交流電力の供給を受けている。また、照明器具2b,2cは、電力線3b,3cをそれぞれ介して、コントローラ1と通信可能である。照明器具2b,2cは、コントローラ1から制御信号を受信した場合、電力線3b,3cをそれぞれ介して、自己のID情報を含むデータ信号を送信する。
【0043】
-ブレーカ切替部について-
コントローラ1は、操作部12が第1ユーザから第1操作(各照明器具2a,2b,2cに対して設定されているID情報を要求するために行われる操作)を受け付けた場合、ブレーカ切替部143により、ブレーカ5a,5b,5cのオン状態およびオフ状態をそれぞれ切り替える。
【0044】
具体的に、コントローラ1のブレーカ切替部143は、操作部12が第1ユーザから第1操作を受け付けた場合、ブレーカ切替信号CS1をハイレベルにし、ブレーカ切替信号CS2,CS3をローレベルにする。これにより、ブレーカ5aがオン状態となり、ブレーカ5b,5cがオフ状態となるため、電力線3aと交流電源4aとが接続され、電力線3b,3cと交流電源4b,4cとの間の接続がそれぞれ遮断される。
【0045】
その後、コントローラ1の通信部15は、電力線通信により、制御信号を送信する。このとき、交流電源4aから電力線3aに交流電力が供給されるため、照明器具2aが動作するとともに、コントローラ1と照明器具2aとの間において、電力線通信が可能となっている。一方、交流電源4b,4cから電力線3b,3cにそれぞれ交流電力が供給されないため、照明器具2b,2cの動作が停止するとともに、コントローラ1と照明器具2b,2cとの間において、電力線通信が不可能となっている。これにより、コントローラ1(通信部15)から送信された制御信号は、照明器具2aには受信され、照明器具2b,2cには受信されない。
【0046】
その後、照明器具2aは、データ信号生成部251によって自己のID情報を含むデータ信号を生成して、コントローラ1に送信する。このとき、コントローラ1と照明器具2b,2cとの間において、電力線通信が不可能となっているため、コントローラ1は、照明器具2aのみからデータ信号を受信する。これにより、コントローラ1(制御部14)は、照明器具2aのみからデータ信号を受信することができる。
【0047】
その後、コントローラ1は、照明器具2b,2cに対してそれぞれ同様の操作を行うことによって、照明器具2b,2cからそれぞれデータ信号を受信する。
【0048】
すなわち、コントローラ1は、操作部12に対して第1操作が行われた場合、照明器具2a,2b,2cと制御信号およびデータ信号の送受信を行うとき、ブレーカ切替部143によって、ブレーカ5a,5b,5cのうちいずれか1つをオン状態とし、その他をオフ状態とする。これにより、コントローラ1は、電力線3a,3b,3cにそれぞれ接続された照明器具2a,2b,2cのうちいずれか1つとのみ電力線通信が可能となり、他の電力線からの信号の影響を排除することができる。
【0049】
-照明システムの動作-
図1および
図2を参照しつつ、第1実施形態に係る照明システムの動作を説明する。
図2は照明システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【0050】
ステップS1の前では、照明システムにコントローラ1および照明器具2a,2b,2cが設置されており、コントローラ1が照明器具2a,2b,2cを識別できていない状態であるとする。
【0051】
ステップS1において、コントローラ1の操作部23は、コントローラ1の第1ユーザから受け付けた第1操作(各照明器具2a,2b,2cに対して設定されているID情報を要求するために行われる操作)を検出する。
【0052】
ステップS2において、コントローラ1のブレーカ切替部143は、ブレーカ切替信号CS1,CS2,CS3によりブレーカ5a,5b,5cのオン状態およびオフ状態をそれぞれ切り替える。具体的に、ブレーカ切替部143は、ハイレベルのブレーカ切替信号CS1を生成し、ローレベルのブレーカ切替信号CS2,CS3を生成する。コントローラ1の通信部15は、ブレーカ切替部143により生成されたブレーカ切替信号CS1,CS2,CS3をブレーカ5a,5b,5cに送信する。これにより、ブレーカ5aがオン状態となり、電力線3aと交流電源4aとが接続される一方、ブレーカ5b,5cがオフ状態となり、電力線3b,3cと交流電源4b,4cとの間の接続が遮断される。このため、交流電源4aから電力線3aに交流電力が供給されるため、照明器具2aが動作する(ステップS3a)。一方、交流電源4b,4bから電力線3a,3bにそれぞれ交流電力が供給されないため、照明器具2b,2cがそれぞれ動作を停止する(ステップS3b,S3c)。
【0053】
ステップS4において、コントローラ1の制御信号生成部141は、各照明器具2a,2b,2cに対してID情報を要求するために送信される制御信号を生成する。
【0054】
ステップS5において、コントローラ1の通信部15は、制御信号生成部141により生成された制御信号を、電力線通信により送信する。
【0055】
ここで、ブレーカ5aがオン状態であり、ブレーカ5b,5cがオフ状態であるため、電力線3aには、交流電源4aから交流電力が供給されているが、電力線3b,3cには、交流電源4b,4cからそれぞれ交流電力が供給されていない。このため、コントローラ1と照明器具2aとの間において、電力線通信が可能であるが、コントローラ1と照明器具2b,2cとの間において、電力線通信が不可能となる。これにより、照明器具2aは、コントローラ1から送信された制御信号を受信できる(ステップS6a)が、照明器具2b,2cは、制御信号を受信できない(ステップS6b,S6c)。すなわち、照明器具2aは、ブレーカ5aがオン状態であるため、交流電源4aから交流電力が供給されている電力線3aを介して、コントローラ1からの制御信号を受信できる。一方、照明器具2b,2cは、ブレーカ5b,5cがそれぞれオフ状態であるため、交流電源4b,4cからそれぞれ交流電力が供給されていない他の電力線3b,3cを介して、コントローラ1からの制御信号を受信できない。
【0056】
ステップS7において、制御信号を受信した照明器具2aのデータ信号生成部251は、記憶部24に記憶された自己のID情報を取得する。
【0057】
ステップS8において、照明器具2aのデータ信号生成部251は、取得したID情報を含むデータ信号を生成する。
【0058】
ステップS9において、照明器具2aの通信部22は、データ信号生成部251により生成されたデータ信号を送信する。
【0059】
ステップS10において、コントローラ1の通信部15は、照明器具2aから送信されたデータ信号を受信する。ここで、ステップS10において、電力線3b,3cには交流電源4b,4cからそれぞれ交流電力が供給されていないため、コントローラ1と照明器具2b,2cとの間において、電力線通信が不可能となっている。すなわち、照明器具2aは、ブレーカ5aがオン状態であるため、交流電源4aから交流電力が供給されている電力線3aを介して、コントローラ1にデータ信号を送信できる。一方、照明器具2b,2cは、ブレーカ5b,5cがオフ状態であるため、交流電源4b,4cからそれぞれ交流電力が供給されていない他の電力線3b,3cを介して、コントローラ1にデータ信号を送信できない。
【0060】
ステップS10の後、照明器具2b,2cに対して、ステップS2~S10と同様の操作が実行される。
【0061】
以上の構成により、第1実施形態に係る照明システムは、コントローラ1と照明器具(通信機器)2a,2b,2cとを備える。交流電力をそれぞれ供給する交流電源4a,4b,4cと電力線3a,3b,3cとの間には、ブレーカ5a,5b,5cがそれぞれ設けられている。コントローラ1は、電力線3a,3b,3cと接続されている。照明器具2a,2b,2cは、電力線3a,3b,3cとそれぞれ接続されている。さらに、コントローラ1は、ブレーカ5a,5b,5cのオン状態およびオフ状態をそれぞれ切り替えるブレーカ切替信号CS1,CS2,CS3を生成するブレーカ切替部143を備える。すなわち、コントローラ1は、ブレーカ切替部143によって、交流電源4a,4b,4cと電力線3a,3b,3cとの間の接続または遮断をそれぞれ切り替えることができる。このため、コントローラ1は、ブレーカ切替部143によって、電力線3a,3b,3cに対して、交流電力を供給または交流電力の供給を遮断することができる。例えば、ブレーカ5a,5b,5cのうちいずれか1つのブレーカをオン状態とし、他のブレーカをオフ状態とすることにより、コントローラ1と交流電力が供給されている電力線に接続された照明器具との間において電力線通信を実行可能である一方、コントローラ1と交流電力が供給されていない電力線に接続された照明器具との間では電力線通信を実行できない。このため、コントローラは、1つの電力線に接続された照明器具とのみ電力線通信が可能となる。これにより、電力線が隣接して設置された場合であっても、隣接した他の電力線から信号が伝達することがなくなる。したがって、電力線通信により通信機器を制御する通信システムにおいて、電力線内における信号衝突を抑制することができる。
【0062】
また、コントローラ1は、照明器具2aに対してID情報(所定情報)を要求するための制御信号を送信する場合、ブレーカ切替部143により、ブレーカ5aをオン状態とし、他のブレーカをオフ状態とする。すなわち、コントローラ1と照明器具2aとの間では、電力線3aを介して電力線通信が可能である一方、コントローラ1と照明器具2b,2cとの間では、電力線3b,3cをそれぞれ介して電力線通信ができないため、照明器具のうち電力線3aと接続された照明器具2aのみに制御信号が送信される。これにより、照明器具が制御信号を受信した場合、データ信号を送信すればよいため、データ信号を送信する際の条件設定が不要となり、照明器具コントローラと照明器具との間の通信を簡易なものにすることができる。
【0063】
また、照明器具2aは、コントローラ1から制御信号を受信した場合、電力線通信により、ID情報(所定情報)を含むデータ信号を送信する。コントローラ1は、制御信号を送信してからデータ信号を受信するまで、ブレーカ切替部143により、ブレーカ5aをオン状態とし、他のブレーカ5b,5cをオフ状態とする。これにより、コントローラ1が制御信号を送信してからデータ信号を受信するまで、コントローラ1と照明器具2b,2cとの間の電力線通信ができないため、電力線3a内での信号衝突をさらに抑制することができる。
【0064】
(第2実施形態)
図3は第2実施形態に係る照明システムの構成例を示すブロック図であり、
図4は第2
実施形態に係る照明システムの動作の流れを示すフローチャートである。
図3に示すように、第2実施形態に係る照明システムは、コントローラ1aと複数の照明器具2dとを備える。電力線3a,3b,3cには、それぞれ、複数の照明器具2dが接続されている。
【0065】
図3では、
図1と比較すると、コントローラ1aは、ブレーカ切替部143を備えておらず、通信部15がブレーカ5a,5b,5cと接続されていない。また、照明器具2dは、制御部25に電力線データ判定部253を備えており、記憶部24に自己と接続されている電力線を示す接続データが記憶されている。
【0066】
具体的に、コントローラ1aの制御信号生成部141は、操作部12に対して第1操作が行われた場合、制御信号を生成する。このとき、制御信号生成部141は、電力線3a,3b、3cのいずれか1つを示す電力線データを含む制御信号を生成する。
【0067】
コントローラ1aの通信部15は、電力線通信により、生成された制御信号を送信する。通信部15が電力線3a,3b,3cと接続されているため、制御信号は、それぞれ、電力線3a,3b,3cを介して、各照明器具2dに送信される。
【0068】
照明器具2dの電力線データ判定部253は、通信部22が制御信号を受信した場合、制御信号に含まれる電力線データが自己と接続されている電力線を示す接続データと対応するか否かを判定する。例えば、照明器具2dが電力線3aと接続されている場合、記憶部24に接続データとして、電力線3aを示すデータが記憶される。この場合、電力線データ判定部253は、制御信号に電力線3aを示す電力線データが含まれているとき、自己の接続データと制御信号に含まれる電力線データとが対応すると判定する。
【0069】
電力線データ判定部253により、受信した制御信号の電力線データと自己の接続データとが対応すると判定された場合、照明器具2dのデータ信号生成部251は、自己のID情報を含むデータ信号を生成する。一方、電力線データ判定部253により、受信した制御信号の電力線データと自己の接続データとが対応しないと判定された場合、照明器具2dのデータ信号生成部251は、自己のID情報を含むデータ信号を生成しない。照明器具2dの通信部22は、データ信号生成部251によりデータ信号が生成された場合、電力線通信により、生成されたデータ信号を送信する。
【0070】
図4に示すように、
図2と比較すると、コントローラ1aは、ステップS1を実行した後、ステップS2,S4に代えて、ステップS4aを実行する。なお、ステップS1の前では、ブレーカ5a,5b,5cは、それぞれオン状態であるとする。すなわち、コントローラ1は、電力線3a,3b,3cをそれぞれ介して、各照明器具2dと電力線通信が可能である。
【0071】
ステップS4aにおいて、コントローラ1aの制御信号生成部141は、電力線3a,3b,3cのいずれか1つを示す電力線データを含む制御信号を生成する。
【0072】
ステップS5aにおいて、コントローラ1aの通信部15は、電力線3a,3b,3cを介して、生成した制御信号を送信する。
【0073】
ステップS6aにおいて、照明器具2dの通信部22は、電力線通信により、制御信号を受信する。
【0074】
ステップS61において、照明器具2dの電力線データ判定部253は、通信部22が受信した制御信号の電力線データが、自己に設定された(記憶部24に記憶された)接続データに対応するか否かを判定する。電力線データ判定部253により、受信した制御信号の電力線データと自己の接続データとが対応しないと判定された場合(ステップS61のNo)、照明器具2dは次の制御信号を受信するまで待機する。一方、電力線データ判定部253により、受信した制御信号の電力線データと自己の接続データとが対応すると判定された場合(ステップS61のYes)、照明器具2dはステップS7~S9を実行し、コントローラ1はステップS10を実行する。
【0075】
以上の構成により、コントローラ1は、照明器具2d(通信機器)に対してID情報(所定情報)を要求する制御信号を送信する場合、電力線通信により、電力線3a,3b,3cのうちいずれか1つの電力線を示す電力線データを含む制御信号を送信する。照明器具2dは、受信した制御信号に含まれる電力線データが自己と接続されている電力線と対応する場合、電力線通信により、自己のID情報を含むデータ信号を送信する。すなわち、複数の電力線のうち、制御信号に含まれる電力線データに対応する1つの電力線に接続された照明器具のみがデータ信号を送信し、他の電力線に接続された照明器具はデータ信号を送信しない。これにより、1つの電力線に接続された照明器具がデータ信号を送信しているときに、他の電力線に接続された照明器具からデータ信号が送信されないため、隣接する他の電力線において信号が伝送されることによる信号衝突を抑制することができる。したがって、電力線通信により通信機器を制御する通信システムにおいて、電力線内における信号衝突を抑制することができる。
【0076】
なお、照明器具2dは、リピータ機能設定部252によりリピータ機能がONに設定されている場合、受信した制御信号に含まれる電力線データが自己に接続された電力線と対応する(自己の接続データと対応する)とき、電力線通信により、他の照明器具2dに受信した制御信号を転送してもよい。
【0077】
(その他の実施形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態について説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用可能である。
【0078】
なお、上記実施形態において、照明器具2a~2dは、それぞれ、電力線通信により制御信号を受信した場合、受信した制御信号の信号強度を測定してもよい。この場合、照明器具2a~2dは、測定した信号強度に応じて自己の調光を制御してもよい。
【0079】
例えば、照明器具2a~2dは、測定した制御信号の信号強度が高い場合、光源26の発光強度が高くなり、測定した制御信号の信号強度が低い場合、光源26の発光強度が低くなるように、光源26の調光を制御してもよい。
【0080】
また、照明器具2a~2dは、測定した信号強度に応じて、光源26の調色を変化させてもよい。例えば、照明器具2a~2dは、測定した制御信号の信号強度が高い場合、光源26を赤く点灯させ、測定した制御信号の信号強度が低い場合、光源26を青く点灯させるように、光源26の調色を制御してもよい。
【0081】
また、照明器具2a~2dは、測定した信号強度を示す強度データを含むデータ信号をコントローラ1,1aに送信してもよい。この場合、コントローラ1,1aは、強度データに応じた光源26の制御値を含む調光信号を生成して、照明器具2a~2dに送信してもよい。
【0082】
また、上記実施形態において、コントローラ1,1aは、制御信号を、照明器具2a~2dに対してID情報以外の情報を要求するために用いてもよい。例えば、コントローラ1,1aは、制御信号を、照明器具2a~2dに設定されている各種設定情報(調光レベル等)を要求するために用いてもよい。この場合、照明器具2a~2dは、コントローラ1,1aからの要求に応じた情報を含むデータ信号を送信する。
【0083】
また、照明器具2,2aは、通信機器の一例である。このため、上記実施形態は、コントローラを用いて、複数の電力線にそれぞれ接続された通信機器を制御する通信システムに適用することが可能である。
【符号の説明】
【0084】
1,1a コントローラ
13 記憶部
14 制御部
141 制御信号生成部
143 ブレーカ切替部
15 通信部
2a~2d 照明器具(通信機器)
22 通信部
24 記憶部
25 制御部
251 データ信号生成部
252 リピータ機能設定部
253 電力線データ判定部
26 光源