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7349669電磁弁、バルブ、流体制御装置、および電磁弁交換方法
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  • -電磁弁、バルブ、流体制御装置、および電磁弁交換方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】電磁弁、バルブ、流体制御装置、および電磁弁交換方法
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20230915BHJP
【FI】
F16K31/06 305K
F16K31/06 305A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020559889
(86)(22)【出願日】2019-11-19
(86)【国際出願番号】 JP2019045336
(87)【国際公開番号】W WO2020116152
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】P 2018229994
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(73)【特許権者】
【識別番号】000145611
【氏名又は名称】株式会社コガネイ
(74)【代理人】
【識別番号】100183380
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 裕司
(72)【発明者】
【氏名】丹野 竜太郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕也
(72)【発明者】
【氏名】篠原 努
(72)【発明者】
【氏名】中田 知宏
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 陽
(72)【発明者】
【氏名】川野 貴宏
【審査官】篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第6386221(US,B1)
【文献】米国特許第8172197(US,B2)
【文献】特許第3452695(JP,B2)
【文献】特開2005-90737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動流体が流入する流入ポートと、駆動流体が流出する流出ポートと、駆動流体を排出する排出ポートを有し、前記流入ポートと前記流出ポートを連通する流出状態と、前記流出ポートと前記排出ポートを連通する排出状態となる電磁弁であって、
ハウジングと、
前記ハウジングに収容され、コイルが巻き付けられるボビンを備えたソレノイドと、
前記ボビンの軸上に設けられ、前記ハウジング内に固定された固定鉄心と、
前記固定鉄心と、前記ボビンの内周面と、前記ハウジングの内周面によって形成され、前記流入ポートに連通する可動鉄心収容室と、
前記可動鉄心収容室に設けられ、軸方向に沿って移動可能に配置された可動鉄心と、
前記流入ポートと前記流出ポートの間を連通する駆動流体通路と、
前記可動鉄心収容室と前記排出ポートの間を連通する排出通路と、
前記可動鉄心と共に移動可能に設けられ、前記駆動流体通路を開くとともに前記排出通路を閉じる流出状態と、前記駆動流体通路を閉じるとともに前記排出通路を開く排出状態とに切り換える弁体と、を備え
前記流入ポートは、前記ボビンの軸方向における前記ハウジングの一方の面側に開口し、前記流出ポートおよび前記排出ポートは、前記ボビンの軸方向における前記ハウジングの他方の面側に開口する、電磁弁。
【請求項2】
請求項に記載の電磁弁と、
バルブ本体と、を備え、
前記バルブ本体は、流体通路が形成されたボディと、前記流体通路を開閉するバルブ弁体と、前記ボディに接続されるケーシングおよび前記電磁弁からの駆動流体により前記バルブ弁体を作動させる駆動部を有するアクチュエータと、を備え、
前記電磁弁は、前記ケーシングに対して前記ボディとは反対側に位置し、
前記ケーシングに設けられた雌ねじ部に、前記ハウジングに設けられた雄ねじ部が螺合されている、バルブ。
【請求項3】
前記ハウジングの他方の面側に、前記ハウジングと同軸に配置されるシール部材と、
前記駆動部に駆動流体を給排する給排ポートとを備え、
前記流出ポートは前記シール部材の内側に開口し、
前記排出ポートは前記シール部材の外側に開口し、
前記給排ポートは、前記シール部材の内側に開口する、請求項に記載のバルブ。
【請求項4】
請求項に記載の電磁弁と、
バルブ本体と、を備え、
前記バルブ本体は、流体通路が形成されたボディと、前記流体通路を開閉するバルブ弁体と、前記ボディに接続されるケーシングおよび前記電磁弁からの駆動流体により前記バルブ弁体を作動させる駆動部を有するアクチュエータと、を備え、
前記電磁弁は、前記ケーシングに対して前記ボディとは反対側に位置して、前記ハウジングは前記ケーシングに接続され、
前記ハウジングの外径と、前記ケーシングの外径が略等しく構成されている、バルブ。
【請求項5】
複数の流体制御機器により構成される流体制御装置であって、
前記複数の流体制御機器の少なくとも一つは、請求項から請求項のいずれか一項に記載のバルブである流体制御装置。
【請求項6】
請求項または請求項に記載のバルブにおいて、
前記電磁弁を回転させて、前記電磁弁を前記アクチュエータの前記ケーシングから外し、
別の電磁弁のハウジングの雄ねじ部を、前記ケーシングの雌ねじ部に螺合させる、電磁弁交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁弁、バルブ、流体制御装置、および電磁弁交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流体駆動のバルブに、駆動流体のオンオフを行うための電磁弁が設けられたバルブが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3452695号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記バルブでは、駆動流体の流入ポートが電磁弁の側面に設けられているため、バルブが集積して設けられる装置に使用した場合、当該装置が大型化してしまう。
【0005】
そこで本発明は、バルブが集積して設けられる装置に使用しても、当該装置の大型化を抑制可能な電磁弁、バルブ、流体制御装置、および電磁弁交換方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決するために、本発明の一態様である電磁弁は、駆動流体が流入する流入ポートと、駆動流体が流出する流出ポートとを有し、前記流入ポートと前記流出ポートとを連通する駆動流体通路を開閉する電磁弁であって、ハウジングと、前記ハウジングに収容され、コイルが巻き付けられるボビンを備えたソレノイドと、前記ボビンの軸上に設けられ、軸方向に沿って移動可能に配置された可動鉄心と、前記ボビンの軸上に設けられ、前記ハウジング内に固定された固定鉄心と、前記可動鉄心と共に移動可能に設けられ、前記駆動流体通路を開閉する弁体と、を備え、前記流入ポートは、前記ボビンの軸方向における前記ハウジングの一方の面側に開口し、前記流出ポートは、前記ボビンの軸方向における前記ハウジングの他方の面側に開口する。
【0007】
本発明の一態様である電磁弁は、駆動流体が流入する流入ポートと、駆動流体が流出する流出ポートと、駆動流体を排出する排出ポートを有し、前記流入ポートと前記流出ポートを連通する流出状態と、前記流出ポートと前記排出ポートを連通する排出状態となる電磁弁であって、ハウジングと、前記ハウジングに収容され、コイルが巻き付けられるボビンを備えたソレノイドと、前記ボビンの軸上に設けられ、前記ハウジング内に固定された固定鉄心と、前記固定鉄心と、前記ボビンの内周面と、前記ハウジングの内周面によって形成され、前記流入ポートに連通する可動鉄心収容室と、前記可動鉄心収容室に設けられ、軸方向に沿って移動可能に配置された可動鉄心と、前記流入ポートと前記流出ポートの間を連通する駆動流体通路と、前記可動鉄心収容室と前記排出ポートの間を連通する排出通路と、前記可動鉄心と共に移動可能に設けられ、前記駆動流体通路を開くとともに前記排出通路を閉じる流出状態と、前記駆動流体通路を閉じるとともに前記排出通路を開く排出状態とに切り換える 弁体と、を備え、前記流入ポートは、前記ボビンの軸方向における前記ハウジングの一方の面側に開口し、前記流出ポートおよび前記排出ポートは、前記ボビンの軸方向における前記ハウジングの他方の面側に開口する。
【0008】
本発明の一態様であるバルブは、上記の電磁弁と、バルブ本体と、を備え、前記バルブ本体は、流体通路が形成されたボディと、前記流体通路を開閉するバルブ弁体と、前記ボディに接続されるケーシングおよび前記電磁弁からの駆動流体により前記バルブ弁体を作動させる駆動部を有するアクチュエータと、を備え、前記電磁弁は、前記ケーシングに対して前記ボディとは反対側に位置し、前記ケーシングに設けられた雌ねじ部に、前記ハウジングに設けられた雄ねじ部が螺合されている。
【0009】
前記ハウジングの他 方の面側に、前記ハウジングと同軸に配置されるシール部材と、前記駆動部に駆動流体を給排する給排ポートとを備え、前記流出ポートは前記シール部材の内側に開口し、前記排出ポートは前記シール部材の外側に開口し、前記給排ポートは、前記シール部材の内側に開口する。
【0010】
本発明の一態様であるバルブは、上記の電磁弁と、バルブ本体と、を備え、前記バルブ本体は、流体通路が形成されたボディと、前記流体通路を開閉するバルブ弁体と、前記ボディに接続されるケーシングおよび前記電磁弁からの駆動流体により前記バルブ弁体を作動させる駆動部を有するアクチュエータと、を備え、前記電磁弁は、前記ケーシングに対して前記ボディとは反対側に位置して、前記ハウジングは前記ケーシングに接続され、前記ハウジングの外径と、前記ケーシングの外径が略等しく構成されている。
【0011】
また、本発明の一態様である流体制御装置は、複数の流体制御機器により構成される流体制御装置であって、前記複数の流体制御機器の少なくとも一つは、上記のバルブである。
【0012】
また、本発明の一態様である電磁弁交換方法は、上記のバルブにおいて、前記電磁弁を回転させて、前記電磁弁を前記アクチュエータの前記ケーシングから外し、別の電磁弁のハウジングの雄ねじ部を、前記ケーシングの雌ねじ部に螺合させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、バルブが集積して設けられる装置に使用しても、当該装置の大型化を抑制可能な電磁弁、バルブ、流体制御装置、および電磁弁交換方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係るバルブの断面図である。
図2】バルブを閉状態から開状態にするときの駆動流体の導入の説明図である。
図3】バルブを開状態から閉状態にするときの駆動流体の排出の説明図である。
図4】半導体製造装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係る電磁弁、バルブ、流体制御装置、および電磁弁交換方法について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、実施形態に係る閉状態のバルブ1の断面図を示している。なお、本実施形態に係るバルブ1はダイヤフラムバルブである。
【0017】
図1に示すように、バルブ1は、ボディ10と、アクチュエータ20と、電磁弁30とを備える。ボディ10およびアクチュエータ20がバルブ本体に相当する。なお、以下の説明において、バルブ1の、電磁弁30側を上側、ボディ10側を下側として説明する。
【0018】
[ボディ10]
ボディ10は、ボディ本体11と、シート12と、ボンネット13と、ダイヤフラム14と、押えアダプタ15と、ダイヤフラム押え16と、ホルダ17と、第1圧縮コイルばね18とを備える。
【0019】
ボディ本体11には、弁室11aと、弁室11aに連通する流入路11bおよび流出路11cとが形成されている。シート12は、環状をなし、弁室11aと流入路11bとが連通する箇所の周縁に設けられている。
【0020】
ボンネット13は、略円筒状をなし、その上端部および下端部の外周に雄ねじ部13A、13Bが設けられている。ボンネット13は、その下端部の雄ねじ部13Bをボディ本体11に設けられた雌ネジ部に螺合させることにより、弁室11aを覆うようにボディ本体11に固定されている。ボンネット13の雄ねじ部13Aの下側部には、内方に突出し、第1貫通孔13cを有する第1突出部13Dが設けられている。第1突出部13Dは略円環状をなしている。
【0021】
第1突出部13Dの第1貫通孔13cの周囲には凹部13eが形成され、凹部13eに断面円形の第1Oリング13Fが設けられている。第1Oリング13Fは、後述のステム23Bの上下方向の移動(ダイヤフラム14に対する近接および離間移動)をガイドし、後述の第1圧力室S1から駆動流体が外部に漏れるのを防止する。ボンネット13の第1突出部13Dの下側には、第1貫通孔13cよりも内径が大きい第1収容孔13gが形成されている。
【0022】
バルブ弁体であるダイヤフラム14は、ボンネット13の下端に配置された押えアダプタ15とボディ本体11の弁室11aの周縁部とにより、その外周縁部が挟圧され保持されている。ダイヤフラム14は、球殻状をなし、上に凸の円弧状が自然状態となっている。ダイヤフラム14がシート12に対し離間および当接することによって、流体通路の開閉が行われる。ダイヤフラム14は、例えば、複数枚の金属の薄板により構成され、円形に切り抜き、中央部を上方へ膨出させた球殻状に形成される。
【0023】
ダイヤフラム押え16は、ダイヤフラム14の上側に設けられ、ダイヤフラム14の中央部を押圧可能に構成されている。ダイヤフラム押さえ16はホルダ17に嵌合されている。ホルダ17は、第1収容孔13g内に設けられ、ボンネット13により上下方向に移動可能に支持されている。後述のステム23Bは、ホルダ17の上部に対し螺合されて連結されている。圧縮コイルばね18は、第1収容孔13g内に設けられ、ホルダ17を常に下側に付勢している。
【0024】
[アクチュエータ20]
アクチュエータ20は、全体で略円柱形状をなし、ケーシング21と、仕切ディスク22と、第1ピストン部23と、第2ピストン部24と、第2~6Oリング25A~25Eとを備える。
【0025】
ケーシング21は、略円筒状をなし、その上端部および下端部の内周に雌ねじ部21A、21Bが設けられている。ケーシング21は、その下端部の雌ねじ部21Bをボンネット13の上端部の雄ねじ部13Aに螺合させることにより、ボンネット13に固定されている。ケーシング21の雌ねじ部21Aの下側部には、内方に突出し、第2貫通孔21cを有する第2突出部21Dが設けられている。第2突出部21Dは略円環状をなしている。第2突出部21Dの内周縁には、第2Oリング25Aが設けられている。
【0026】
第2突出部21Dの上面21Eの中央部には、円形状の凹部21fが形成されている。また、第2突出部21Dの上面21Eにおける凹部21fの外周側には、環状溝21gが形成されている。ケーシング21には、その外側と環状溝21gと連通する第1連通孔21hが形成されている。ケーシング21の第2突出部21Dの下側には、第2貫通孔21cよりも内径が大きい第2収容孔21iが形成されている。
【0027】
仕切ディスク22は、第3貫通孔22aが形成された略円盤状をなし、ケーシング21の第2収容孔21i内に設けられている。仕切ディスク22は、その外周縁の一部が、ボンネット13およびケーシング21に挟持され、ケーシング21に対し移動不能に設けられている。仕切ディスク22の内周縁および外周縁には、第3、4Oリング25B、25Cが設けられている。
【0028】
第1ピストン部23は、第1ピストン23Aと、ステム23Bと、第1上延出部23Cとを有する。第1ピストン23Aは、仕切ディスク22と第1突出部13Dとの間に設けられ、略円盤状をなし、その外周縁には第5Oリング25Dが設けられている。第1突出部13Dと第1ピストン23Aとにより、第1圧力室S1が形成され、当該第1圧力室S1は、第1Oリング13Fおよび第5Oリング25Dにより密閉されている。
【0029】
ステム23Bは、第1ピストン23Aの中央部から下側に向かって延びている。ステム23Bは、第1貫通孔13cを貫通しており、その下端部はホルダ17の上部に対し螺合されて連結されている。ステム23Bは、第1Oリング13Fにより、その上下方向の移動が支持される。
【0030】
第1上延出部23Cは、第1ピストン23Aの中央部から上側に向かって延び、第3貫通孔22aを貫通している。第1上延出部23Cは、第3Oリング25Bにより、その上下方向の移動が支持される。
【0031】
第1ピストン23A、ステム23B、および第1上延出部23Cには、上下方向に延びる第1流体流入路23dが形成されている。第1流体流入路23dは、第1上延出部23Cの上端で開口し、第1上延出部23Cからステム23Bの上側部まで延びている。ステム23Bおよび第1上延出部23Cには、第1流体流入路23dと、第1圧力室S1および第2圧力室S2とを連通する第1、第2流体流出孔23e、23fが形成されている。
【0032】
第2ピストン部24は、第2ピストン24Aと、第2上延出部24Bとを有する。第2ピストン24Aは、仕切ディスク22と第2突出部21Dとの間に設けられ、略円盤状をなし、その外周縁には第6Oリング25Eが設けられている。仕切ディスク22と第2ピストン24Aとにより、第2圧力室S2が形成され、当該第2圧力室S2は、第3、4Oリング25B、25Cおよび第6Oリング25Eにより密閉されている。第2ピストン24Aには、下方に開口する凹部24cが形成されている。第1上延出部23Cの上端部の外周に設けられた雄ねじ部が、当該凹部24cの内周に設けられた雌ねじ部に螺合されることにより、第1ピストン部23と第2ピストン部24とが連結され、それらは一体的に動作可能である。
【0033】
第2上延出部24Bは、第2ピストン24Aの中央部から上側に向かって延び、第2貫通孔21cに挿入されている。第2上延出部24Bは、第2Oリング25Aにより、その上下方向の移動が支持される。第2上延出部24Bには、上下方向に延び、それを貫通する第2流体流入路24dが形成されている。第2流体流入路24dは、第1流体流入路23dに連通している。第2流体流入路24dの上端は、後述の固定部35に向かって、後述の第11Oリング38Eの内側に開口している。第2流体流入流路24dは、駆動部に駆動流体を給排する給排ポートに相当する。
【0034】
[電磁弁30]
電磁弁30は、全体で略円柱形状をなし、アクチュエータ20の外径と略同じ外径を有する。電磁弁30は、ハウジング31と、複数本のボルト32と、ボビン部33と、コイル34と、固定部35と、可動部36と、電源ケーブル37と、第7~11Oリング38A~38Eとを備える。ボビン部33とコイル34とによりソレノイドが構成される。
【0035】
ハウジング31は、略円筒状をなし、その外径は、アクチュエータ20のケーシング21の外径とほぼ等しく構成されている。ハウジング31は、下ハウジング31Aと、中ハウジング31Bと、上ハウジング31Cとを有する。下ハウジング31Aの中心軸と、中ハウジング31Bの中心軸と、上ハウジング31Cの中心軸とは一致する。
【0036】
下ハウジング31Aは、略円筒状をなし、その下側部の外周には、雄ねじ部31Dが設けられている。当該雄ねじ部31Dが、ケーシング21の雌ねじ部21Aに螺合されることにより、ハウジング31がケーシング21に固定される。下ハウジング31Aは、その下面31Eが、第2突出部21Dの上面21Eに当接し、環状溝21gを覆っている。下ハウジング31Aには、第2連通孔31fが形成されている。第2連通孔31fは、下ハウジング31Aの内周と後述の固定突出部35Aの外周との間の環状空間31mと、環状溝21gとを連通している。第2連通孔31fは、排出ポートに相当し、当該排出ポートは、下ハウジング31Aの下面31E側であって第11Oリング38Eよりも外側に開口している。
【0037】
中ハウジング31Bは、略円筒状をなし、下ハウジング31Aの上側に設けられている。
【0038】
上ハウジング31Cは、略円柱状をなし、中央部の上側に上凹部31gが形成され、中央部の下側に下凹部31hが形成されている。上ハウジング31Cには、上凹部31gと下凹部31hとを連通する第3連通孔31iが形成されている。上ハウジング31Cの第3連通孔31iを形成する周囲部には、下方に向かって突出する環状の上弁座31Jが設けられている(図2も参照)。上凹部31gおよび第3連通孔31iが流入ポートに相当し、当該流入ポートは上ハウジング31Cの上面31K側に上ハウジング31Cの中心軸と同軸となって開口している。上凹部31gには、駆動圧供給源から延びるチューブの先端に設けられた管継手が接続される。
【0039】
各ボルト32は、上ハウジング31Cおよび中ハウジング31Bのボルト挿入孔に挿入され、下ハウジング31Aのボルト螺合孔に螺合されている。これにより、下ハウジング31A、中ハウジング31B、および下ハウジング31Aが一体化されている。
【0040】
ボビン部33は、ボビン33Aと、下スペーサ33Bと、上スペーサ33Cとを有する。
【0041】
ボビン33Aは、例えば樹脂材料により構成され、筒状部33Dと、筒状部33Dの両端に設けられた一対のフランジ部33Eとを有する。筒状部33Dの内周面33fの下側部分には、円周方向における複数の箇所に、上下方向に沿って延び外方に窪む凹部33gが形成されている。
【0042】
下スペーサ33Bは、鉄等の磁性材料により構成され略円環状をなし、ボビン33Aの下側のフランジ部33Eと後述の固定突出部35Aとの間に設けられている。下スペーサ33Bと後述の固定突出部35Aとの間、下スペーサ33Bとボビン33Aの下側のフランジ部33Eとの間には、それぞれ第7、8Oリング38A、38Bが設けられている。
【0043】
上スペーサ33Cは、鉄等の磁性材料により構成され略円環状をなし、ボビン33Aの上側のフランジ部33Eと、上ハウジング31Cとの間に設けられている。ボビン33Aの上側のフランジ部33Eと上スペーサ33Cとの間、上スペーサ33Cと上ハウジング31Cとの間には、それぞれ第9、10Oリング38C、38Dが設けられている。
【0044】
コイル34は、マグネットワイヤをボビン33Aの筒状部33Dに巻き付けることにより構成されている。コイル34の外周と、中ハウジング31Bの内周との間に、コイル34の放熱性を向上させるために、例えばエポキシ系の樹脂を充填させてもよい。
【0045】
固定部35は、略円筒状をなし、上下方向に沿って延び、鉄等の磁性材料により構成されている。下スペーサ33B、上スペーサ33Cおよび固定部35は、固定鉄心を構成し、ボビン33Aの軸上に位置している。固定部35の下端には、外方に突出する円環状の固定突出部35Aが設けられている。固定突出部35Aは、下ハウジング31Aの内方に位置し、凹部21f内に下スペーサ33Bの中心軸の同軸上に設けられた第11Oリング38Eを上側から押圧している。固定突出部35A上には、下スペーサ33B、ボビン33A、および上スペーサ33Cが設けられており、これらが下ハウジング31Aと上ハウジング31Cとに挟持されることにより、固定部35は、ハウジング31に対し移動不能に固定されている。
【0046】
固定部35の第4貫通孔35bは、上端側が最も狭く構成されている。すなわち、第4貫通孔35bは、軸方向に直交する面の断面積が、軸方向おいて一部が他の部分よりも小さくなるように構成されている。第4貫通孔35bの下端はボールにより閉塞されている。固定部35は、下スペーサ33Bを貫通し、ボビン33Aの筒状部33D内に挿入されている。固定部35の外周と筒状部33Dの内周面33fの複数の凹部33gとにより、駆動流体通路35cが形成されている。
【0047】
固定部35の固定突出部35Aには、円周方向に沿って第11Oリング38Eよりも内側に複数の第5貫通孔35dが形成されている。第11Oリング38Eは、シール部材に相当し排出ポートと流出ポートの間の連通を遮断する。各第5貫通孔35dは、駆動流体通路35cと凹部21fとを連通している。複数の第5貫通孔35dは、流出ポートに相当し、当該流出ポートは下ハウジング31Aの下面31E側に開口している。固定部35の下端付近には、第4連通孔35eが形成されている。第4連通孔35eは、第4貫通孔35bと、環状空間31mとを連通する。固定部35の上端の第4貫通孔35bが開口する周囲部は、上方に向かって突出する環状の下弁座35Fを構成している(図2も参照)。
【0048】
可動部36は、可動体36Aと、下弁体36Bと、ばね受け36Cと、上弁体36Dと、圧入部材36Eと、第2~4圧縮コイルばね36F~Hとを有する。
【0049】
可動体36Aは、略円筒状をなし、上下方向に沿って延び、鉄等の磁性材料により構成されている。可動体36Aは、可動鉄心に相当する。可動体36Aは、ボビン33Aの軸上に設けられ、一部が筒状部33D内に位置し、上下方向に移動可能に配置されている。可動体36Aは、固定部35と、ボビン33Aの内周面と、ハウジング31の内周面によって形成され、流入ポート(上凹部31gおよび第3連通孔31i)に連通する可動鉄心収容室に収容されている。
【0050】
可動体36Aの外径は、ボビン33Aの筒状部33Dの内径よりも小さく構成され、可動体36Aの外周と、ボビン33Aの内周とにより、駆動流体通路36iが形成されてる。また、可動体36Aの外周の一部には、軸方向に沿って延びる切欠き36jが形成されている。当該切欠き36jは、駆動流体通路36iの一部を構成し、多くの駆動流体が流れる。可動体36Aの上端には、フランジ部36Kが設けられている。円錐状の第2圧縮コイルばね36Fは、フランジ部36Kと上スペーサ33Cとの間に設けられ、可動体36Aは、第2圧縮コイルばね36Fにより常に上側に付勢されている。
【0051】
下弁体36Bは、ゴム等の樹脂材料により構成され、略円柱状をなし、可動体36Aの下部に下方に抜けないように挿入されている。下弁体36Bの下端面は、下弁座35Fに当接、離間可能である。駆動流体が導入されない状態では、第2圧縮コイルばね36Fの付勢力により、下弁体36Bの下端面は、下弁座35Fから離間している。ばね受け36Cは、略円筒状をなし、第3圧縮コイルばね36Gを介して、下弁体36Bの上側に設けられている。
【0052】
上弁体36Dは、ゴム等の樹脂材料により構成され、略円柱状をなし、第4圧縮コイルばね36Hを介して、ばね受け36Cの上側に設けられている。可動体36Aの上端において、可動体36Aと上弁体36Dとの間に、圧入部材36Eが圧入されることにより、上弁体36Dは、可動体36Aの上端から上方へ抜けないように構成されている。上弁体36Dの上端面は、上弁座31Jに当接、離間可能である。コイル34に通電されない状態では、第2圧縮コイルばね36Fの付勢力により、上弁体36Dの上端面は、上弁座31Jに当接している。本実施形態では、下凹部31h、駆動流体通路36i、35cにより、流入ポートと流出ポートとを連通する駆動流体通路が構成される。第7~11Oリング38A~38Eにより、当該駆動流体通路とハウジング31の外側との連通が遮断されている。また、上弁体36Dと下弁体36Bとは、同軸上に位置している。
【0053】
電源ケーブル37は、コイル34に駆動電流を供給するために設けられている。
【0054】
[バルブ1の開閉動作]
次に、本実施形態に係るバルブ1における開閉動作について図2、3を参照して説明する。
【0055】
図2は、バルブ1を閉状態から開状態にするときの駆動流体の導入の説明図である。図3は、バルブ1を開状態から閉状態にするときの駆動流体の排出の説明図である。
【0056】
バルブ1を閉状態から開状態にするときには、電源ケーブル37を介してコイル34に通電することにより、コイル34の中心に磁界が発生し、固定部35が磁化されて、可動体36Aを吸着する力が生じる。これにより、可動体36Aは、第2圧縮コイルばね36Fの付勢力に抗して、固定部35側へ移動し、上弁体36Dが上弁座31Jから離間し、下弁体36Bが下弁座35Fに当接する。これにより、図2の矢印で示すように流入ポート(第3連通孔31i)から駆動流体が導入される。このように、電磁弁30は、弁体(上弁体36Dおよび下弁体36B)により、駆動流体通路を開くとともに排出通路(第4貫通孔35b、第3連通孔35eおよび環状空間31m)を閉じて、駆動流体がバルブ1へ流出する流出状態となる。
【0057】
導入された駆動流体は、駆動流体通路(下凹部31h、駆動流体通路36i、35c)を通過して、流出ポート(複数の第5貫通孔35d)から流出し、第2流体流入路24dおよび第1流体流入路23dへ流入する。当該流入した駆動流体は、第1、第2流体流出孔23e、23fを介して、第1、第2圧力室S1、S2へ導入される。
【0058】
図1に示すように、駆動流体が第1、第2圧力室S1、S2へ導入されていない状態では、ホルダ17、ステム23Bを備える第1ピストン部23、および第2ピストン部24は、第1圧縮コイルばね18の付勢力により、下死点にあり、ダイヤフラム押え16によりダイヤフラム14が押圧されてバルブ1は閉状態となっている。それに対し駆動流体が第1、第2圧力室S1、S2に導入されると、ホルダ17、ステム23Bを備える第1ピストン部23、および第2ピストン部24は、第1圧縮コイルばね18の付勢力に抗して上死点に移動し、ダイヤフラム14の弾性力および流体の圧力によりダイヤフラム押え16が上側に移動し、バルブ1は開状態となる。
【0059】
一方、バルブ1を開状態から閉状態にするときには、電源ケーブル37への通電を停止する。これにより、固定部35の吸着力が消滅し、図3に示すように、可動体36Aは、第2圧縮コイルばね36Fの付勢力により、上弁座31J側へ移動し、上弁体36Dが上弁座31Jに当接し、下弁体36Bが下弁座35Fから離間する。これにより、図3の矢印で示すように、第1、第2圧力室S1、S2内の駆動流体は、導入時とは逆方向に流れ、固定部35と可動体36Aとの間を通って、第4貫通孔35bへ流入する。当該流入した駆動流体は、第4連通孔35e、環状空間31m、第2連通孔31f、および環状溝21gを介して、第1連通孔21hから外部へ排出される。第4貫通孔35b、第3連通孔35eおよび環状空間31mは、排出通路を構成し、排出通路により可動鉄心収容室と排出ポート(第2連通孔31f)とが連通する。また、電磁弁30は、弁体(上弁体36Dおよび下弁体36B)により、駆動流体通路を閉じるとともに排出通路を開いて、駆動流体を外部へ排出する排出状態となる。
【0060】
そして、第1圧縮コイルばね18の付勢力により、ホルダ17、ステム23Bを備える第1ピストン部23、および第2ピストン部24は、上死点から下死点に移動し、ダイヤフラム押え16によりダイヤフラム14が押圧されてバルブ1は閉状態となる。なお、第1ピストン部23、第2ピストン部24、第1、第2圧力室S1、S2、および第1圧縮コイルばね18は、アクチュエータの駆動部に相当する。
【0061】
以上のような本実施形態の電磁弁30によれば、流入ポート(上凹部31gおよび第3連通孔31i)は、上ハウジング31Cの上面31K側に開口し、流出ポート(複数の第5貫通孔35d)は、下ハウジング31Aの下面31E側に開口している。これにより、電磁弁30をバルブ本体の上部に直接設けることができ、電磁弁30を備えるバルブ1が集積して設けられる装置(例えば流体制御装置45(図4))に使用しても、当該装置の大型化を抑制可能である。電磁弁30をバルブ本体の上部に直接設けることができるので、バルブ1の開閉速度を速めることができる。また、電磁弁30をバルブ本体の上部に直接設けることで、駆動流体の供給に起因して変化してしまうバルブの開閉速度が安定し、集積化された装置に設けられた複数のバルブの開閉速度のバラツキを抑制することができる。
【0062】
また、下ハウジング31Aの雄ねじ部31Dが、ケーシング21の雌ねじ部21Aに螺合されることにより、電磁弁30のハウジング31がバルブ本体のケーシング21に固定される。このため、電磁弁30のバルブ本体に対する取付を容易に行うことができる。なお、電磁弁30に代えて、雄ねじ部を有するワンタッチ継手をバルブ本体のケーシング21に接続することも可能である。
【0063】
また、第11Oリング38Eにより、下ハウジング31Aの雄ねじ部31Dを、ケーシング21の雌ねじ部21Aにねじ結合させたときに、下ハウジング31Aとケーシング21との回転位置の関係によることなく流出ポートからアクチュエータ20に駆動流体を供給することができる。
【0064】
電磁弁30のハウジング31の外径は、アクチュエータ20のケーシング21の外径とほぼ等しく構成されている。これにより、バルブ1の径方向のサイズが大きくなるのを防止することができ、電磁弁30を備えるバルブ1が集積して設けられる装置(例えば流体制御装置45(図4))に使用しても、当該装置の大型化を抑制可能である。
【0065】
[半導体製造装置50]
次に、上記で説明したバルブ1が使用される流体制御装置45および流体制御装置45を備える半導体製造装置50について説明する。
【0066】
図4は、半導体製造装置50の概略図である。半導体製造装置50は、例えば、CVD装置であり、流体制御装置45を有するガス供給手段40と、真空チャンバ60と、排気手段70とを有し、ウェハ上に不動態膜(酸化膜)を形成する装置である。
【0067】
ガス供給手段40は、ガス供給源41と、圧力計42と、流体制御装置45と、駆動圧供給源46と、圧力計47とを備える。流体制御装置45は、複数の流体制御機器により構成される複数のガスラインを有し、流体制御機器として、開閉弁43、44と、MFC1~4(マスフローコントローラ)とを備える。ガス供給手段40と真空チャンバ60との間には、開閉弁51が設けられている。真空チャンバ60は、ウェハ62を載置するための載置台61と、ウェハ62上に薄膜を形成するための電極63とを備える。真空チャンバ60には、商用電源52が接続されている。排気手段70は、排気配管71と、開閉弁72と、集塵機73とを備える。
【0068】
ウェハ62上に薄膜を形成する時には、開閉弁43、44の開閉、MFC1~4、および開閉弁51の開閉により、真空チャンバ60へのガスの供給が制御される。また、ウェハ62上に薄膜を形成した際に発生する副生成物たる粉粒体を除去する時には、開閉弁72が開状態とされ、排気配管71を介して集塵機73により粉粒体が除去される。
【0069】
そして、開閉弁43、44に対して、本実施形態におけるバルブ1を適用することができる。すなわち、各開閉弁43、44は、電磁弁43A、44Aを備えている。これより、電磁弁30を備えるバルブ1が集積して設けられる流体制御装置45の大型化を抑制可能であり、ひいては半導体製造装置50の大型化を抑制可能である。
【0070】
[電磁弁交換方法]
次に、電磁弁30を所定の回数駆動した場合等における電磁弁30の交換方法について説明する。
まず、電磁弁30を回転させて、電磁弁30をアクチュエータ20のケーシング21から外し、別の電磁弁30のハウジング31の雄ねじ部31Dを、ケーシング21の雌ねじ部21Aに螺合させる。このようにして、電磁弁30を容易に交換することができ、バルブ1および流体制御装置45のメンテナンス性を向上させることができる。
【0071】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。
【0072】
例えば、上記の実施形態において、バルブ1は、通常状態(駆動流体が供給されていない状態)では閉状態に構成されていたが、通常状態で開状態に構成されていてもよい。
【0073】
また、半導体製造装置50がCVD装置の場合について説明したが、スパッタリング装置またはエッチング装置であっても良い。エッチング装置(ドライエッチング装置)は、処理室、ガス供給手段(流体制御装置)、排気手段から構成され、反応性の気体による腐食作用によって、材料表面等を加工する装置である。スパッタリング装置は、ターゲット、真空チャンバ、ガス供給手段(流体制御装置)、排気手段から構成され、材料表面を成膜する装置である。このように、エッチング装置およびスパッタリング装置も、ガス供給手段(流体制御装置)を備えており、流体制御装置に電磁弁30を備えるバルブ1を使用しても、流体制御装置は大型化することなく、半導体製造装置の大型化を抑制可能である。
【符号の説明】
【0074】
1:バルブ、 10:ボディ、 14:ダイヤフラム、 18:第1圧縮コイルばね、 20:アクチュエータ、 21A:雌ねじ部、 23:第1ピストン部、 24:第2ピストン部、 30:電磁弁、 31:ハウジング、 31A:下ハウジング、 31B:中ハウジング、 31C:上ハウジング、 31D:雄ねじ部、 31g:上凹部、 31i:第3連通孔、 33:ボビン部、 33A:ボビン、 34:コイル、 35:固定部、 35d:第5貫通孔、 36A:可動体、 36B:下弁体、 36D:上弁体、 38E:第11Oリング、 S1:第1圧力室、 S2:第2圧力室

図1
図2
図3
図4