(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】巻線支持具、線材回収装置、および、線材回収方法
(51)【国際特許分類】
B65H 75/24 20060101AFI20230915BHJP
B65H 75/14 20060101ALI20230915BHJP
B65H 75/42 20060101ALI20230915BHJP
B65H 75/38 20060101ALI20230915BHJP
【FI】
B65H75/24 Z
B65H75/14
B65H75/42 E
B65H75/38 Z
(21)【出願番号】P 2019139644
(22)【出願日】2019-07-30
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591083772
【氏名又は名称】株式会社永木精機
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】堀畑 隆一
(72)【発明者】
【氏名】田原 義朗
(72)【発明者】
【氏名】野川 保次
(72)【発明者】
【氏名】長尾 亮典
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-184297(JP,A)
【文献】特開2009-107723(JP,A)
【文献】実開昭56-036674(JP,U)
【文献】特開2011-093636(JP,A)
【文献】特開2012-240803(JP,A)
【文献】特開平07-330225(JP,A)
【文献】実開昭49-139484(JP,U)
【文献】登録実用新案第3106721(JP,U)
【文献】特開2011-131984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 65/00
B65H 67/00
B65H 75/00-75/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻線の内縁部に当接可能な第1の内縁支持部材と、前記巻線の内縁部に当接可能な第2の内縁支持部材とを含む複数の内縁支持部材と、
前記巻線の第1側部に当接可能な第1側部支持部材と、
前記巻線を構成する線材の外周面に当接可能な固定部材と、
前記第1の内縁支持部材の位置を変更する操作部材と
を具備し、
前記第1の内縁支持部材は、前記第1側部支持部材に対して相対移動可能であり、
前記第2の内縁支持部材は、前記第1側部支持部材に対して相対移動可能であり、
前記固定部材と前記第1の内縁支持部材とによって、前記線材を挟持可能であ
り、
前記第1側部支持部材に対する前記固定部材の相対位置を調整可能である
巻線支持具。
【請求項2】
前記第1側部支持部材は、
前記固定部材を取り付け可能な複数の取付部を有するか、あるいは、
前記固定部材を、スライド移動可能に支持する
請求項
1に記載の巻線支持具。
【請求項3】
前記巻線の第2側部に当接可能な第2側部支持部材を更に具備し、
前記第2側部支持部材は、前記巻線の第2側部に当接可能な進出位置と、前記巻線の取り外しを許容する退避位置との間で位置変更可能であるか、あるいは、
前記第2側部支持部材は、前記第1の内縁支持部材から取り外し可能である
請求項1
または2に記載の巻線支持具。
【請求項4】
前記第2側部支持部材は、前記内縁支持部材によって支持されている
請求項
3に記載の巻線支持具。
【請求項5】
請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の巻線支持具と、
支持台と
を具備し、
前記支持台は、
前記巻線支持具を支持する巻線支持具支持部と、
高所作業車のバケットの壁に取り付けられる取付部と、
脚部と
を備える
線材回収装置。
【請求項6】
巻線支持具を用いて線材を回収する線材回収方法であって、
前記巻線支持具は、
第1の内縁支持部材と、第2の内縁支持部材とを含む複数の内縁支持部材と、
第1側部支持部材と、
固定部材と
を具備し、
前記第1側部支持部材に対する前記固定部材の相対位置を調整可能であり、
線材回収方法は、
前記第1の内縁支持部材を前記固定部材に向けて移動させることにより、前記第1の内縁支持部材と前記固定部材とによって前記線材を挟持する線材挟持工程と、
前記巻線支持具を回転軸まわりに回転させることにより、前記巻線支持具に前記線材を巻き付ける線材巻付工程と、
前記第1の内縁支持部材を前記固定部材から離れる方向に移動させることにより、前記第1の内縁支持部材と、前記線材によって形成された巻線の内縁部との間の密着を解除する密着解除工程と、
前記巻線を、前記巻線支持具から取り外す巻線取外工程と
を具備する
線材回収方法。
【請求項7】
支持台を高所作業車のバケットの壁に取り付ける支持台取付工程と、
前記支持台に、前記巻線支持具を取り付ける巻線支持具取付工程と
を更に具備する
請求項
6に記載の線材回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻線支持具、線材回収装置、および、線材回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
巻電線を支持する巻線支持具が知られている。
【0003】
関連する技術として、特許文献1には、巻線支持具が開示されている。特許文献1に記載の巻線支持具は、巻線の内縁部に当接可能な第1内縁支持部材と、巻線の内縁部に当接可能な第2内縁支持部材と、巻線の第1側部に当接可能な第1側部支持部材と、操作部とを具備する。また、第1内縁支持部材および第2内縁支持部材は、操作部を操作することにより、同時に、径外方向に移動可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、電線等の線材を巻線支持具に円滑に巻き付けることが可能な巻線支持具、線材回収装置、および、線材回収方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下に示す、巻線支持具、線材回収装置、および、線材回収方法に関する。
【0007】
(1)巻線の内縁部に当接可能な第1の内縁支持部材と、前記巻線の内縁部に当接可能な第2の内縁支持部材とを含む複数の内縁支持部材と、
前記巻線の第1側部に当接可能な第1側部支持部材と、
前記巻線を構成する線材の外周面に当接可能な固定部材と、
前記第1の内縁支持部材の位置を変更する操作部材と
を具備し、
前記第1の内縁支持部材は、前記第1側部支持部材に対して相対移動可能であり、
前記第2の内縁支持部材は、前記第1側部支持部材に対して相対移動可能であり、
前記固定部材と前記第1の内縁支持部材とによって、前記線材を挟持可能である
巻線支持具。
(2)前記第1側部支持部材に対する前記固定部材の相対位置を調整可能である
上記(1)に記載の巻線支持具。
(3)前記第1側部支持部材は、
前記固定部材を取り付け可能な複数の取付部を有するか、あるいは、
前記固定部材を、スライド移動可能に支持する
上記(2)に記載の巻線支持具。
(4)前記巻線の第2側部に当接可能な第2側部支持部材を更に具備し、
前記第2側部支持部材は、前記巻線の第2側部に当接可能な進出位置と、前記巻線の取り外しを許容する退避位置との間で位置変更可能であるか、あるいは、
前記第2側部支持部材は、前記第1の内縁支持部材から取り外し可能である
上記(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の巻線支持具。
(5)前記第2側部支持部材は、前記内縁支持部材によって支持されている
上記(4)に記載の巻線支持具。
(6)上記(1)乃至(5)のいずれか一つに記載の巻線支持具と、
支持台と
を具備し、
前記支持台は、
前記巻線支持具を支持する巻線支持具支持部と、
高所作業車のバケットの壁に取り付けられる取付部と、
脚部と
を備える
線材回収装置。
(7)巻線支持具を用いて線材を回収する線材回収方法であって、
前記巻線支持具は、
第1の内縁支持部材と、第2の内縁支持部材とを含む複数の内縁支持部材と、
固定部材と
を具備し、
線材回収方法は、
前記第1の内縁支持部材を前記固定部材に向けて移動させることにより、前記第1の内縁支持部材と前記固定部材とによって前記線材を挟持する線材挟持工程と、
前記巻線支持具を回転軸まわりに回転させることにより、前記巻線支持具に前記線材を巻き付ける線材巻付工程と、
前記第1の内縁支持部材を前記固定部材から離れる方向に移動させることにより、前記第1の内縁支持部材と、前記線材によって形成された巻線の内縁部との間の密着を解除する密着解除工程と、
前記巻線を、前記巻線支持具から取り外す巻線取外工程と
を具備する
線材回収方法。
(8)支持台を高所作業車のバケットの壁に取り付ける支持台取付工程と、
前記支持台に、前記巻線支持具を取り付ける巻線支持具取付工程と
を更に具備する
上記(7)に記載の線材回収方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、電線等の線材を巻線支持具に円滑に巻き付けることが可能な巻線支持具、線材回収装置、および、線材回収方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、巻線支持具によって支持される巻線の一例を模式的に示す概略斜視図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態における巻線支持具を模式的に示す概略斜視図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態における巻線支持具を模式的に示す概略斜視図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態における巻線支持具を模式的に示す概略斜視図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態の変形例における巻線支持具を模式的に示す概略斜視図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態の変形例における巻線支持具を模式的に示す概略斜視図である。
【
図7】
図7は、巻線支持具の一部分を模式的に示す概略側面図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態における巻線支持具を模式的に示す概略斜視図である。
【
図9】
図9は、第2の実施形態における線材回収装置を模式的に示す概略2面図である。
【
図11】
図11は、実施形態における線材回収方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施形態における巻線支持具1、線材回収装置100、および、線材回収方法について、詳しく説明する。なお、本明細書において、同種の機能を有する部材には、同一または類似の符号が付されている。そして、同一または類似の符号の付された部材について、繰り返しとなる説明が省略される場合がある。
【0011】
(用語の定義)
本明細書において、「径外方向」とは、巻線支持具1の回転軸AXから離れる方向を意味し、径内方向とは、巻線支持具1の回転軸AXに向かって近づく方向を意味する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1乃至
図8を参照して、第1の実施形態における巻線支持具1Aについて説明する。
図1は、実施形態における巻線支持具1によって支持される巻線Aの一例を模式的に示す概略斜視図である。
図2乃至
図4、
図8は、第1の実施形態における巻線支持具1Aを模式的に示す概略斜視図である。なお、
図2、
図3には、巻線支持具1Aに巻線Aが支持されている状態が示され、
図4、
図8には、巻線支持具1Aに巻線Aが支持される前の状態が示されている。
図5および
図6は、第1の実施形態の変形例における巻線支持具1Aを模式的に示す概略斜視図である。
図7は、巻線支持具1Aの一部分を模式的に示す概略側面図である。
【0013】
図1に例示されるように、巻線Aは、電線等の線材Bが巻かれることにより形成される。巻線Aは、中空部a1と、中空部a1に面する内縁部a2と、外縁部a3と、第1側部a4と、第2側部a5とを有する。
【0014】
図2に示されるように、第1の実施形態における巻線支持具1Aは、巻線Aの内縁部a2に当接可能な内縁支持部材10と、巻線Aの第1側部a4に当接可能な第1側部支持部材20と、固定部材30と、操作部材40とを具備する。
図2に記載の例では、巻線支持具1Aは、4個の内縁支持部材10を備えるが、巻線支持具1Aが備える内縁支持部材10の数は、2個以上であればよい。巻線支持具1Aは、例えば、2個、3個、5個、あるいは、6個の内縁支持部材10を備えていてもよい。なお、巻線支持具1Aが、K個の内縁支持部材10を備える場合には、内縁支持部材10は、巻線支持具1Aの回転軸AXのまわりに、(360/K)度毎に、等間隔で配置されることが好ましい。例えば、K=3の場合には、内縁支持部材10は、回転軸AXのまわりに、120度毎に配置され、K=4の場合には、内縁支持部材10は、回転軸AXのまわりに、90度毎に配置されることが好ましい。
【0015】
第1内縁支持部材10-1は、巻線Aの内縁部a2に当接可能である。第1内縁支持部材10-1は、径外方向、すなわち、回転軸AXから離れる方向(
図2における矢印F1によって示される方向)に、第1側部支持部材20に対して相対移動可能である。また、第1内縁支持部材10-1は、径内方向、すなわち、回転軸AXに向かう方向(
図2における矢印F2によって示される方向)に、第1側部支持部材20に対して相対移動可能である。第1内縁支持部材10-1は、最内位置と最外位置との間で、第1側部支持部材20に対して移動可能である。第1内縁支持部材10-1の最内位置は、第1内縁支持部材10-1の可動範囲内において、第1内縁支持部材10-1が回転軸AXに最も近づく位置を意味し、第1内縁支持部材10-1の最外位置は、第1内縁支持部材10-1の可動範囲内において、第1内縁支持部材10-1が回転軸AXから最も遠くなる位置を意味する。
【0016】
第2内縁支持部材10-2は、巻線Aの内縁部a2に当接可能である。第2内縁支持部材10-2は、径外方向、すなわち、回転軸AXから離れる方向(
図2における矢印F3によって示される方向)に、第1側部支持部材20に対して相対移動可能である。また、第2内縁支持部材10-2は、径内方向、すなわち、回転軸AXに向かう方向(
図2における矢印F4によって示される方向)に、第1側部支持部材20に対して相対移動可能である。第2内縁支持部材10-2は、最内位置と最外位置との間で、第1側部支持部材20に対して移動可能である。第2内縁支持部材10-2の最内位置は、第2内縁支持部材10-2の可動範囲内において、第2内縁支持部材10-2が回転軸AXに最も近づく位置を意味し、第2内縁支持部材10-2の最外位置は、第2内縁支持部材10-2の可動範囲内において、第2内縁支持部材10-2が回転軸AXから最も遠くなる位置を意味する。
【0017】
内縁支持部材10の数が3個以上である場合には、Kを3以上の任意の自然数と定義すると、第K内縁支持部材10-Kは、巻線Aの内縁部a2に当接可能である。第K内縁支持部材10-Kは、径外方向、および、径内方向に、第1側部支持部材20に対して相対移動可能である。
【0018】
図2に記載の例では、内縁支持部材10(例えば、第1内縁支持部材10-1、第2内縁支持部材10-2)が、径外方向(矢印F1、矢印F3によって示される方向、すなわち、回転軸AXから離れる方向)に移動する。当該移動は、操作部材40を操作することによって行われる。
図2に記載の例では、操作部材40を操作することにより、内縁支持部材10(例えば、第1内縁支持部材10-1、第2内縁支持部材10-2)の位置を変更することが可能である。
【0019】
内縁支持部材10(例えば、第1内縁支持部材10-1、第2内縁支持部材10-2)の位置が変更された後、より具体的には、内縁支持部材10の位置が変更されて内縁支持部材10と固定部材30とによって線材Bが挟持された後、巻線支持具1Aに、線材Bが巻き付けられる。この場合、各内縁支持部材10には、径内方向(例えば、
図2における矢印F2、矢印F4によって示される方向)に力が作用する。その結果、各内縁支持部材10と巻線Aの内縁部a2とは強固に密着する。この状態(各内縁支持部材10と巻線Aの内縁部a2とが強固に密着している状態)で、巻線支持具1Aに巻き付けられた巻線A、すなわち、回収された線材Bを、巻線支持具1Aから取り外すことは困難である。
【0020】
そこで、第1の実施形態における巻線支持具1Aでは、内縁支持部材10(例えば、第1内縁支持部材10-1、第2内縁支持部材10-2)が、径内方向(例えば、矢印F2、矢印F4によって示される方向、すなわち、回転軸AXに近づく方向)に移動可能なように構成されている。当該移動は、操作部材40を操作することによって行われる。内縁支持部材10(例えば、第1内縁支持部材10-1、第2内縁支持部材10-2)が、径内方向に移動することにより、各内縁支持部材10と巻線Aの内縁部a2との間の密着が解除され、巻線Aを、巻線支持具1Aから容易に取り外すことができる。
【0021】
第1の実施形態における巻線支持具1Aは、巻線Aを構成する線材Bの外周面に当接可能な固定部材30を備える。
図2に記載の例における巻線支持具1Aでは、固定部材30と第1内縁支持部材10-1とによって、線材B(例えば、線材Bの第1端部b1)を挟持可能である。より具体的には、第1内縁支持部材10-1を径外方向(すなわち、矢印F1によって示される方向)に移動させることにより、換言すれば、第1内縁支持部材10-1を固定部材30に近づく方向に移動させることにより、固定部材30と第1内縁支持部材10-1とによって、線材B(例えば、線材Bの第1端部b1)が挟持される。なお、固定部材30は、固定部材30と内縁支持部材10とによって線材Bを挟持することにより線材Bを固定する部材であるから、「固定部材」のことを「線材固定部材」と呼んでもよい。
【0022】
第1の実施形態では、線材Bが、固定部材30と第1内縁支持部材10-1とによって挟持された後に、線材Bが巻線支持具1Aに巻き付けられる。このため、線材Bを巻線支持具1Aに巻き始めるときに、線材Bの第1端部b1が巻線支持具1Aから脱落したり、線材Bの第1端部b1が意図せぬ方向に移動したりすることがない。
【0023】
また、第1の実施形態では、固定部材30と第1内縁支持部材10-1とによって線材Bを挟持するために、第1内縁支持部材10-1を径外方向(矢印F1によって示される方向)に移動させる必要がある。このため、第1の実施形態では、線材Bを巻線支持具1Aに巻き付ける際に、第1内縁支持部材10-1が、径外方向に移動されずに最内位置に放置されることが抑制される。第1内縁支持部材10-1が最内位置に放置されると、線材Bが巻線支持具1Aに巻き付けられた後に、第1内縁支持部材10-1を径内方向に移動させることができない、換言すれば、第1内縁支持部材10-1と巻線Aの内縁部a2との間の密着を解除することができない。第1の実施形態では、第1内縁支持部材10-1が最内位置に放置されることが抑制されるため、第1内縁支持部材10-1と巻線Aの内縁部a2との間の密着を解除することができないとの事態が発生しない。
【0024】
以上のとおり、第1の実施形態における固定部材30は、線材Bを挟持して固定するという機能と、第1内縁支持部材10-1が最内位置に放置されることを防ぐ機能という、2つの全く異なる機能を発揮する。換言すれば、第1の実施形態における巻線支持具1Aは、線材固定効果と、第1内縁支持部材10-1の放置防止効果とを相乗的に奏する。線材固定効果は、固定部材30、および、第1内縁支持部材10-1が、線材Bを挟持することにより実現される効果である。また、第1内縁支持部材10-1の放置防止効果は、固定部材30、および、第1内縁支持部材10-1が、線材Bを挟持ことによって副次的に実現される効果である。なお、
図2に記載の例では、固定部材30がピン部材であるが、固定部材30はピン部材以外の部材であってもよい。固定部材30の形状は、円柱形状に限定されず、任意である。また、
図2に記載の例では、固定部材30は、第1内縁支持部材10-1に対向配置される2個の第1固定部材30aを含む。しかし、第1内縁支持部材10-1に対向配置される第1固定部材30aの数は、1個であってもよいし、3個以上であってもよい。
【0025】
(任意付加的な構成例)
図2乃至
図7を参照して、第1の実施形態において採用可能な任意付加的な構成例について説明する。
【0026】
(構成例1)
図2に記載の例(構成例1)では、操作部材40は、第1内縁支持部材10-1、および、第2内縁支持部材10-2を含む複数の内縁支持部材10を、同時に径内方向に移動させることが可能な部材である。また、操作部材40は、第1内縁支持部材10-1、および、第2内縁支持部材10-2を含む複数の内縁支持部材10を、同時に径外方向に移動させることが可能な部材である。
【0027】
第1内縁支持部材10-1、および、第2内縁支持部材10-2を含む複数の内縁支持部材10を、同時に、径内方向(または、径外方向)に移動させるために、巻線支持具1Aは、操作部材40と、第1内縁支持部材10-1に連結された第1伸縮棒部材70-1と、第2内縁支持部材10-2に連結された第2伸縮棒部材70-2と、操作部材40に加えられた操作力を、第1伸縮棒部材70-1の伸縮、および、第2伸縮棒部材70-2の伸縮に変換する操作力変換部材75を含む。操作力変換部材75は、例えば、操作部材40に加えられた操作力を、第1伸縮棒部材70-1の伸縮、および、第2伸縮棒部材70-2の伸縮に変換する複数の歯車751(例えば、
図7を参照。)を含む。なお、操作部材に加えられた操作力を、第1伸縮棒部材70-1の伸縮、および、第2伸縮棒部材70-2の伸縮に変換する機構は、特開2018-184297号公報に記載されているため、当該機構についての詳細な説明は省略する。なお、特開2018-184297号に記載の事項は、参照により、本明細書に組み込まれる。操作力変換部材75は、操作部材40に加えられた人力を、機械的に、第1伸縮棒部材70-1の伸縮、および、第2伸縮棒部材70-2の伸縮に変換する部材であることが好ましい。この場合、人力以外の動力を用いることなく、第1伸縮棒部材70-1、および、第2伸縮棒部材70-2を同時に伸縮させることが可能である。動力が不要とされることにより、巻線支持具1Aが軽量化される。
【0028】
構成例1では、操作部材40を第1操作すると、第1内縁支持部材10-1および第2内縁支持部材10-2は、同時に、径外方向(例えば、矢印F1、矢印F3によって示される方向、すなわち、回転軸AXから離れる方向)に移動する。なお、内縁支持部材10の数がK個(「K」は、3以上の任意の自然数。)である場合には、操作部材40を第1操作すると、K個の内縁支持部材10が、同時に、径外方向に移動する。
【0029】
また、操作部材40を第2操作すると、第1内縁支持部材10-1および第2内縁支持部材10-2は、同時に、径内方向(例えば、矢印F2、矢印F4によって示される方向、すなわち、回転軸AXに近づく方向)に移動する。なお、内縁支持部材10の数がK個(「K」は、3以上の任意の自然数。)である場合には、操作部材40を第2操作すると、K個の内縁支持部材10が、同時に、径内方向に移動する。
【0030】
(構成例2)
図2乃至
図6に記載の例(構成例2)では、第1側部支持部材20に対する固定部材30の相対位置を調整可能である。固定部材30の位置を調整可能である場合、巻線支持具1Aに巻き取る線材(例えば、電線)の径に応じて、固定部材30の位置を変更することができる。より具体的には、
図2に示されるように、細線(第1の直径を有する電線)を巻き取る場合には、固定部材30の位置を第1位置P1に設定する。他方、
図3に示されるように、太線(第1の直径よりも大きな第2の直径を有する電線)を巻き取る場合には、固定部材30の位置を、第1位置P1よりも径外方向の第2位置P2(換言すれば、回転軸AXからの距離が第1位置P1よりも遠い第2位置P2)に設定する。
【0031】
図4に記載の例では、第1側部支持部材20に対する固定部材30の相対位置を調整可能とするために、第1側部支持部材20は、固定部材30を取り付け可能な複数の取付部36(例えば、第1取付部36a、および、第2取付部36b)を有する。
図2に記載の例では、第1取付部36aは、最も内側の取付部(回転軸AXに最も近い取付部)であり、第2取付部36bは、2番目に内側の取付部(回転軸AXから2番目に近い取付部である。なお、第1側部支持部材20は、3番目に内側の第3取付部36cを有していてもよい。
【0032】
図4に記載の例では、第1取付部36aは、2個の取付孔360aを含む。代替的に、第1取付部36aは、1個のみの取付孔360aを含んでいてもよく、3個以上の取付孔360aを含んでいてもよい。同様に、第2取付部36bは、1個のみの取付孔360bを含んでいてもよく、2個以上、あるいは、3個以上の取付孔360bを含んでいてもよい。
【0033】
図4に記載の例では、固定部材30(例えば、ピン部材)は、複数の取付部36のいずれかに選択的に取付可能である。また、固定部材30は、複数の取付部36のいずれかに取り外し可能なように取り付けられる。
【0034】
代替的に、あるいは、付加的に、第1側部支持部材20が、固定部材30を、スライド移動可能に支持していてもよい。
図5に記載の例では、固定部材30が、第1側部支持部材20に対してスライド移動可能なように、第1側部支持部材20に取り付けられている。より具体的には、固定部材30は、回転軸AXからの距離が第1距離である第1位置P1(
図5を参照。)と、回転軸AXからの距離が第1距離よりも大きな第2距離である第2位置P2(
図6を参照。)との間でスライド移動可能である。
図5に記載の例において、固定部材30を第1位置P1に固定可能であることが好ましい。また、固定部材30の位置を第1位置P1から第2位置P2に変更後に、固定部材30を第2位置P2に固定可能であることが好ましい。なお、固定部材30を、第1位置P1または第2位置P2で、第1側部支持部材20に固定する方法は、ねじ止めによる固定であってもよいし、ナットによる固定であってもよいし、係合による固定であってもよいし、嵌合による固定であってもよい。
【0035】
図5に記載の例では、第1側部支持部材20に対して、固定部材30は、第1方向DR1(換言すれば、径外方向であって、第1内縁支持部材10-1から離れる方向)に移動可能な2個の第1固定部材30aを含む。代替的に、固定部材30は、第1方向DR1に移動可能な1個、または、3個以上の第1固定部材30aを含んでいてもよい。また、
図5に記載の例では、第1側部支持部材20は、固定部材30(第1固定部材30a)を案内する長孔370aを有し、固定部材30(第1固定部材30a)が当該長孔370aに沿ってスライド移動可能である。
【0036】
図2乃至
図6に記載の例では、第1側部支持部材20に対する固定部材30の相対位置を調整可能である。この場合、巻線支持具1Aに巻き取る線材(例えば、電線)の径に応じて、固定部材30の位置を変更することができる。代替的に、あるいは、付加的に、第1側部支持部材20に対する固定部材30の相対位置を調整することにより、巻線支持具1Aに線材Bを巻き付けることにより形成される巻線Aの内径を調整することができる。
【0037】
(構成例3)
図2および
図7に記載の例(構成例3)では、巻線支持具1Aは、巻線Aの第2側部a5に当接可能な第2側部支持部材50を具備する。巻線支持具1Aが、第1側部支持部材20および第2側部支持部材50を備える場合、巻線Aが、第1側部支持部材20と第2側部支持部材50との間に位置決めされる。この場合、巻線A(あるいは、巻線Aの一部)が、意図せずして、巻線支持具1Aから脱落することがない。
【0038】
図2および
図7に記載の例では、第2側部支持部材50は、巻線Aの第2側部a5に当接可能な進出位置(
図2、および、
図7の上側の図を参照。)と、巻線Aの取り外しを許容する退避位置(
図7の下側の図を参照。)との間で位置変更可能である。第2側部支持部材50を、巻線Aの取り外しを許容する退避位置に位置変更可能である場合、巻線支持具1Aから巻線Aを取り外す作業が容易となる。
【0039】
第2側部支持部材50が進出位置にある状態(換言すれば、
図2、および、
図7の上側の図に示される状態)において、線材Bを巻線支持具1Aに巻き付ける作業が実行される。続いて、第2側部支持部材50の位置が進出位置(
図7の上側の図に示される位置)から退避位置(
図7の下側の図に示される位置)に変更される。その後、巻線支持具1Aに支持されている巻線Aが、第1側部支持部材20から離れる方向DR3(より具体的には、回転軸AXに平行な方向、かつ、第1側部支持部材20から離れる方向)に移動されて、巻線Aが、巻線支持具1Aから取り外される。
【0040】
図2に記載の例では、第2側部支持部材50は、進出位置から、径内方向(換言すれば、回転軸AXに向かう方向)に退避可能である。
図2に記載の例では、第2側部支持部材50は棒部材51を含む。また、内縁支持部材10(例えば、第1内縁支持部材10-1)は、第2側部支持部材50(例えば、棒部材51)が進出位置から退避位置に移動するのを案内する貫通孔11を含む。
【0041】
第2側部支持部材50(例えば、棒部材51)が進出位置にあるとき、第2側部支持部材50は、内縁支持部材10(例えば、第1内縁支持部材10-1)に位置決め固定されることが好ましい。
図7に記載の例では、内縁支持部材10(例えば、第1内縁支持部材10-1)に、第1係合部12が設けられ、第2側部支持部材50(例えば、棒部材51)に、第1係合部12に係合可能な第2係合部52が形成されている。そして、第2係合部52が第1係合部12に係合することにより、第2側部支持部材50が、進出位置に位置決め固定される。
【0042】
代替的に、あるいは、付加的に、第2側部支持部材50(例えば、棒部材51)は、内縁支持部材10(例えば、第1内縁支持部材10-1)から取り外し可能であってもよい。第2側部支持部材50が、内縁支持部材10(例えば、第1内縁支持部材10-1)から取り外し可能である場合も、巻線支持具1Aから巻線Aを取り外す作業が容易となる。
【0043】
(第1の実施形態のより詳細な説明)
図7および
図8を参照して、第1の実施形態における巻線支持具1Aの各構成についてより詳細に説明する。
【0044】
(第1側部支持部材20)
図8に記載の例では、第1側部支持部材20は、リングフレーム21と、巻線Aの第1側部a4に当接可能な支持板23とを備える。支持板23は、支持パイプ22を介して、リングフレーム21に取り付けられている。なお、支持板23の数は、内縁支持部材10の数と一致していてもよいし、異なっていてもよい。
図8に記載の例では、第1側部支持部材20は、4個の支持板23を備えている。
【0045】
図8に記載の例では、第1側部支持部材20(より具体的には、第1支持板23-1)は、第1内縁支持部材10-1の移動をガイドするガイド部24-1を備える。
図8に記載の例では、ガイド部24-1は、第1内縁支持部材10-1の第1端部が挿通される長孔(例えば、巻線支持具1Aの径方向に沿って延在する長孔)を含み、当該長孔の長手方向に沿って、第1内縁支持部材10-1の第1端部がガイドされる。
【0046】
また、第1側部支持部材20(より具体的には、第1支持板23-1)は、上述の第1固定部材30aを支持する。第1固定部材30aは、第1固定部材30aと第1内縁支持部材10-1とによって線材Bを挟持することにより線材Bを固定する部材である。
図8に記載の例では、2個の第1固定部材30aが、ガイド部24-1(より具体的には、長孔)を挟むように配置されている。第1固定部材30aは、第1内縁支持部材10-1の可動方向に沿う方向に位置調整可能である。
【0047】
図8に記載の例では、第1側部支持部材20(より具体的には、第2支持板23-2)は、第2内縁支持部材10-2の移動をガイドするガイド部24-2を備える。
図8に記載の例では、ガイド部24-2は、第2内縁支持部材10-2の第1端部が挿通される長孔(例えば、巻線支持具1Aの径方向に沿って延在する長孔)を含み、当該長孔の長手方向に沿って、第2内縁支持部材10-2の第1端部がガイドされる。
【0048】
また、第1側部支持部材20(より具体的には、第2支持板23-2)は、第2固定部材30bを支持する。第2固定部材30bは、第2固定部材30bと第2内縁支持部材10-2とによって線材Bを挟持することにより線材Bを固定する部材である。
図8に記載の例では、2個の第2固定部材30bが、ガイド部24-2(より具体的には、長孔)を挟むように配置されている。第2固定部材30bは、第2内縁支持部材10-2の可動方向に沿う方向に位置調整可能である。
【0049】
同様に、Kを3以上の自然数とするとき、第1側部支持部材20(より具体的には、第K支持板23-K)は、第K内縁支持部材10-Kの移動をガイドするガイド部24-Kを備える。ガイド部24-Kは、第K内縁支持部材10-Kの第1端部が挿通される長孔(例えば、巻線支持具1Aの径方向に沿って延在する長孔)を含み、当該長孔の長手方向に沿って、第K内縁支持部材10-Kの第1端部がガイドされる。
【0050】
また、第1側部支持部材20(より具体的には、第K支持板23-K)は、第K固定部材を支持する。第K固定部材は、第K固定部材と第K内縁支持部材10-Kとによって線材Bを挟持することにより線材Bを固定する部材である。2個の第K固定部材が、ガイド部24-K(より具体的には、長孔)を挟むように配置されてもよい。第K固定部材は、第K内縁支持部材10-Kの可動方向に沿う方向に位置調整可能である。
【0051】
図8に記載の例では、第1側部支持部材20が、リングフレーム21を備えているが、当該リングフレームは省略されてもよい。また、
図8に記載の例では、第2内縁支持部材10-2に対向配置される第2固定部材30bを備えているが、第2固定部材30bは省略されてもよい。同様に、第K固定部材(「K」は、3以上の自然数)は省略されてもよい。また、
図8に記載の例では、第1固定部材30a、第2固定部材30b等の固定部材30が、複数の取付部36のいずれかに選択的に取り付けられることにより、固定部材30の位置調整が可能である。代替的に、第1固定部材30a、第2固定部材30b等の固定部材30を第1側部支持部材20に対してスライド移動可能に取り付けることにより、固定部材30の位置調整が行われるようにしてもよい。
【0052】
(第2側部支持部材50)
図8に記載の例では、第2側部支持部材50は、第1支持片50-1、および、第2支持片50-2を含む複数の支持片を含む。
【0053】
第1支持片50-1は、第1内縁支持部材10-1によって支持されている(換言すれば、第1支持片50-1に作用する重力は、第1内縁支持部材10-1によって支持される)。第1支持片50-1は、例えば、棒部材である。第1支持片50-1は、巻線Aの第2側部a5に当接可能な進出位置と、巻線Aの取り外しを許容する退避位置との間で位置変更可能であるか、あるいは、第1支持片50-1は、第1内縁支持部材10-1から取り外し可能である。
【0054】
同様に、Nを2以上の自然数とするとき、第N支持片50-Nは、第N内縁支持部材10-Nによって支持されている(換言すれば、第N支持片50-Nに作用する重力は、第N内縁支持部材10-Nによって支持される)。第N支持片50-Nは、例えば、棒部材である。第N支持片50-Nは、巻線Aの第2側部a5に当接可能な進出位置と、巻線Aの取り外しを許容する退避位置との間で位置変更可能であるか、あるいは、第N支持片50-Nは、第N内縁支持部材10-Nから取り外し可能である。
【0055】
図8に記載の例では、第2側部支持部材50が、内縁支持部材10によって支持されている(例えば、第1支持片50-1が第1内縁支持部材10-1によって支持され、第2支持片50-2が第2内縁支持部材10-2によって支持されている。)。この場合、特開2018-184297号における第2側部支持部材のような大きな部材が必要とされず、第2側部支持部材50を内縁支持部材10から突き出るだけの小さな部材で構成することができる。このため、第2側部支持部材50を軽量化することができ、巻線支持具1Aの全体の重量を低減することができる。
【0056】
(伸縮棒部材70)
伸縮棒部材70は、操作部材40が操作されることにより伸縮する部材である。伸縮棒部材70の先端には、内縁支持部材10が取り付けられている。このため、伸縮棒部材70の伸縮により内縁支持部材10の位置が位置調整される。
【0057】
図8に記載の例では、巻線支持具1Aは、複数の伸縮棒部材70を含む。第1伸縮棒部材70-1の先端には、第1内縁支持部材10-1が取り付けられている。第1伸縮棒部材70-1は、基部71-1と移動部72-1とを含む。基部71-1には、操作部材40に加えられた操作力を第1伸縮棒部材70-1の伸縮に変換する操作力変換部材75(例えば、
図7に記載の歯車751)が連結される。移動部72-1は、基部71-1に螺合等により連結されている。
図7に記載の例では、移動部72-1が基部71-1に対して相対回転することにより、移動部72-1が基部71-1の長手軸方向に沿って進退する。
【0058】
同様に、Nを2以上の自然数とするとき、第N伸縮棒部材70-Nの先端には、第N内縁支持部材10-Nが取り付けられている。第N伸縮棒部材70-Nは、基部71-Nと移動部72-Nとを含む。基部71-Nには、操作部材40に加えられた操作力を第N伸縮棒部材70-Nの伸縮に変換する操作力変換部材75(例えば、歯車)が連結される。移動部72-Nは、基部71-Nに螺合等により連結されている。この場合、移動部72-Nが基部71-Nに対して相対回転することにより、移動部72-Nが基部71-Nの長手軸方向に沿って進退する。
【0059】
(内縁支持部材10)
巻線支持具1Aは、第1内縁支持部材10-1、および、第2内縁支持部材10-2を含む複数の内縁支持部材10を備える。
【0060】
第1内縁支持部材10-1は、第1伸縮棒部材70-1の移動部72-1の先端部に連結される部材であり、巻線Aの内縁部a2と接触する部材である。
図8に記載の例では、第1内縁支持部材10-1の中央部分に第1伸縮棒部材70-1が連結されている。第1内縁支持部材10-1の外側面10d-1は、例えば、湾曲面(例えば、円弧面)である。外側面10d-1が湾曲面であることにより、当該湾曲面と巻線Aの内縁部a2との接触により、巻線Aが傷つくことがない。
【0061】
同様に、Nを2以上の自然数とするとき、第N内縁支持部材10-Nは、第N伸縮棒部材70-Nの移動部72-Nの先端部に連結される部材であり、巻線Aの内縁部a2と接触する部材である。
図8に記載の例では、第N内縁支持部材10-Nの中央部分に第N伸縮棒部材70-Nが連結されている。第N内縁支持部材10-Nの外側面10d-Nは、例えば、湾曲面(例えば、円弧面)である。外側面10d-Nが湾曲面であることにより、当該湾曲面と巻線Aの内縁部a2との接触により、巻線Aが傷つくことがない。
【0062】
(第2の実施形態)
図9および
図10を参照して、第2の実施形態における線材回収装置100について説明する。
図9は、第2の実施形態における線材回収装置100を模式的に示す概略2面図である。
図9の左側には、線材回収装置100の概略正面図が記載され、
図9の右側には、線材回収装置100の概略側面図が記載されている。
図10は、支持台8を模式的に示す概略斜視図である。
【0063】
第2の実施形態における線材回収装置100は、第1の実施形態における巻線支持具1Aを含む。また、第2の実施形態における線材回収装置100は、巻線支持具1Aを支持する支持台8を備える。
【0064】
第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。よって、第2の実施形態において明示的に説明されなかったとしても、第2の実施形態において、第1の実施形態で説明済みの事項を採用可能であることは言うまでもない。
【0065】
支持台8は、巻線支持具1Aを支持する巻線支持具支持部81と、高所作業車のバケットの壁に取り付けられる取付部83と、脚部85とを備える。
【0066】
支持台8が、取付部83および脚部85の両方を備えることにより、巻線支持具1Aが、支持台8を介して、高所作業車のバケットに安定的に支持される。
【0067】
図10を参照して、支持台8について、より詳細に説明する。
【0068】
支持台8の巻線支持具支持部81は、支持台8の構造部材80に固定されている。巻線支持具支持部81は、巻線支持具1Aを回転可能なように支持する軸部材811を備える。軸部材811は、巻線支持具1Aの回転軸AXに沿って形成された中空部OP(
図2を参照。)に挿入される。
【0069】
巻線支持具支持部81は、巻線支持具1Aが軸部材811から脱落するのを防止する脱落防止部材813を備えていてもよい。脱落防止部材813は、軸部材811の端部(例えば、自由端部)に取り付けられることにより、巻線支持具1Aが軸部材811から脱落するのを防止する。
図10に記載の例では、脱落防止部材813は、鍔部813aを備える。鍔部813aの外径は、中空部OPの内径よりも大きいことが好ましい。鍔部813aの外径が中空部OPの内径よりも大きいことにより、巻線支持具1Aの脱落がより確実に防止される。なお、本明細書において、鍔部の外径とは、鍔部の中心から鍔部の最外縁(すなわち、鍔部の外縁のうち、鍔部の中心からの距離が最も遠い部分)までの距離の2倍の長さを意味する。
【0070】
支持台8の取付部83は、支持台8の構造部材80に固定されている。取付部83は、高所作業車のバケットの壁を押圧する押圧部831と、当該押圧部831を操作する操作部833とを備える。
図10に記載の例では、押圧部831と操作部833とがねじ棒832を介して連結されている。そして、操作部833を操作してねじ棒832を回転させることにより、押圧部831がバケットの壁に向かって移動する。
図9に記載の例では、押圧部831が、バケットの壁を挟持する第1挟持部として機能し、構造部材80が、バケットの壁を挟持する第2挟持部として機能する。そして、バケットの壁が、第1挟持部である押圧部831と、第2挟持部である構造部材80とによって挟持されることにより、取付部83が、バケットの壁に固定される。
【0071】
図10に記載の例では、押圧部831は、棒部材である。また、操作部833は、押圧部831(棒部材)の一端部をバケットの壁に向けて移動させる第1操作部833-1と、押圧部831(棒部材)の他端部をバケットの壁に向けて移動させる第2操作部833-2とを含む。取付部83が、押圧部831(棒部材)の一端部をバケットの壁に向けて移動させる第1操作部833-1と、押圧部831(棒部材)の他端部をバケットの壁に向けて移動させる第2操作部833-2とを含むことにより、支持台8がより強固かつ安定的にバケットの壁に取り付けられる。
【0072】
支持台8の脚部85は、支持台8の構造部材80の一部として機能する。
図10に記載の例では、脚部85は、左側の脚部である第1脚部85aと、右側の脚部である第2脚部85bと、第1脚部85aと第2脚部85bとを連結する連結部材85cとを備える。
図10に記載の例では、連結部材85cは、作業者によって踏み付け可能な踏付部材として機能する。連結部材85cが踏付部材である場合、作業者が連結部材85cを踏み付けることにより、支持台8がより安定的に支持される。なお、連結部材85cは、平面視で、巻線支持具支持部81よりも、取付部83から遠い位置(換言すれば、バケットの壁から遠い位置)に配置されていることが好ましい。この場合、作業者は、連結部材85cを踏み付け易い。
【0073】
(線材回収方法)
続いて、
図1乃至
図11を参照して、実施形態における線材回収方法の一例について説明する。
図11は、実施形態における線材回収方法の一例を示すフローチャートである。
【0074】
実施形態における線材回収方法は、巻線支持具1を用いて線材Bを回収する線材回収方法である。実施形態における線材回収方法において使用される巻線支持具1は、第1の実施形態における巻線支持具1Aであってもよいし、その他の巻線支持具であってもよい。また、実施形態における線材回収方法において使用される巻線支持具1は、第2の実施形態における線材回収装置100に含まれる巻線支持具1Aであってもよい。
【0075】
実施形態における線材回収方法において使用される巻線支持具1は、第1内縁支持部材10-1と、第2内縁支持部材10-2とを含む複数の内縁支持部材10と、固定部材30とを備える。巻線支持具1は、第1側部支持部材20、第2側部支持部材50、操作部材40のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0076】
実施形態における線材回収方法において、回収される線材Bは、例えば、架空電線である。また、実施形態における線材回収方法は、例えば、高所作業車のバケットに巻線支持具1を配置した状態で実行される。ただし、実施形態における線材回収方法において回収される線材Bは、架空電線以外の線材であってもよい。また、実施形態における線材回収方法は、高所作業車のバケットとは異なる場所で実行されてもよい。
【0077】
第1ステップST1において、第1内縁支持部材10-1と固定部材30とによって線材Bが挟持される。第1ステップST1は、線材挟持工程である。第1ステップST1(線材挟持工程)は、第1内縁支持部材10-1を固定部材30(より具体的には、第1固定部材30a)に向けて移動させることにより実行される。第1内縁支持部材10-1の移動は、例えば、操作部材40を第1操作方向に操作することにより実行される。
【0078】
線材を挟む挟持力をより強くする必要がある場合、第1ステップST1(線材挟持工程)は、1内縁支持部材10-1と固定部材30とによって線材Bを挟持することに加え、第2内縁支持部材10-2と第2固定部材30bとによって線材Bを挟持することを含んでいてもよい。この場合、線材Bが少なくとも2箇所で挟持されることとなるので、線材Bが意図せずして巻線支持具1から外れることがより確実に防止される。また、第1ステップST1(線材挟持工程)は、第1内縁支持部材10-1および第2内縁支持部材10-2を含む複数の内縁支持部材10を、同時に、径外方向(換言すれば、巻線支持具1の回転軸AXから離れる方向)に移動させることを含んでいてもよい。複数の内縁支持部材10を、同時に、径外方向に移動させることは、例えば、1つの操作部材40を第1操作方向に操作することにより実行される。
【0079】
第1ステップST1(線材挟持工程)の実行により、線材B(より具体的には、線材Bの第1端部)が巻線支持具1によって挟持される。また、第1ステップST1(線材挟持工程)が実行されることにより、第1内縁支持部材10-1が、最内位置に放置されることが無くなる。
【0080】
第1ステップST1の実行前に、支持台8(
図10を参照。)を高所作業車のバケットの壁に取り付ける支持台取付工程と、支持台8に巻線支持具1を取り付ける巻線支持具取付工程とが実行されてもよい。支持台取付工程は、巻線支持具取付工程の実行前に実行されることが好ましいが、支持台取付工程は、巻線支持具取付工程の実行後に実行されても構わない。
【0081】
支持台取付工程は、例えば、取付部83(
図10を参照。)を高所作業車のバケットの壁に取り付けることを含む。当該取り付けは、例えば、取付部83の押圧部831と支持台8の構造部材80とによってバケットの壁を挟持することを含む。なお、支持台取付工程の実行後、支持台8の軸部材811は、平面視で、バケットの中心部に向かって突出していることが好ましい。支持台8の軸部材811が、バケットの中心部に向かって突出している場合、当該軸部材811に、巻線支持具1を取り付け易い。
【0082】
巻線支持具取付工程は、例えば、巻線支持具1に、支持台8の巻線支持具支持部81(より具体的には、軸部材811)が挿入されることにより実行される。巻線支持具取付工程は、巻線支持具1が支持台8に支持された後に、軸部材811に脱落防止部材813を取り付けることを含んでいてもよい。
【0083】
第2ステップST2において、巻線支持具1に線材Bが巻き付けられる。第2ステップST2は、線材巻付工程である。第2ステップST2(線材巻付工程)は、例えば、巻線支持具1を回転軸AXまわり(より具体的には、軸部材811まわり)に回転させることにより実行される。第2ステップST2(線材巻付工程)の実行中、連結部材85cが、作業者によって踏み付けられていてもよい。第2ステップST2(線材巻付工程)の実行により、線材Bから巻線Aが形成される。
【0084】
第3ステップST3において、第1内縁支持部材10-1と巻線Aの内縁部a2との間の密着が解除される。第3ステップST3は、密着解除工程である。第3ステップST3(密着解除工程)は、第1内縁支持部材10-1を固定部材30(より具体的には、第1固定部材30a)から離れる方向に移動させることにより実行される。第1内縁支持部材10-1の移動は、例えば、操作部材40を第2操作方向(すなわち、第1操作方向とは異なる方向)に操作することにより実行される。
【0085】
第3ステップST3(密着解除工程)は、第2内縁支持部材10-2と巻線Aの内縁部a2との間の密着を解除させることを含んでいてもよい。例えば、第3ステップST3(密着解除工程)は、第1内縁支持部材10-1および第2内縁支持部材10-2を含む複数の内縁支持部材10を、同時に、径内方向(換言すれば、巻線支持具1の回転軸AXに近づく方向)に移動させることを含んでいてもよい。複数の内縁支持部材10を、同時に、径内方向に移動させることは、例えば、1つの操作部材40を第2操作方向に操作することにより実行される。
【0086】
第3ステップST3の実行により、第1内縁支持部材10-1と第1固定部材30aとによる線材Bの挟持が解除され、同時に、第1内縁支持部材10-1と巻線Aの内縁部a2との間の密着が解除される。
【0087】
なお、第2ステップST2(線材巻付工程)と、第3ステップST3(密着解除工程)との間において、巻線Aが、任意の結束具(例えば、紐、結束バンド等)を用いて結束されてもよい。第3ステップST3(密着解除工程)の実行前に巻線Aが結束具によって結束されることにより、第3ステップST3(密着解除工程)の実行後に巻線Aが弛緩することが抑制される。
【0088】
第4ステップST4において、巻線Aが巻線支持具1から取り外される。第4ステップST4は、巻線取外工程である。第4ステップST4(巻線取外工程)は、例えば、第2側部支持部材50を進出位置から退避位置に移動させること、あるいは、第2側部支持部材50を、巻線支持具1から取り外すことを含む。第2側部支持部材50が退避位置に移動されることにより(または、第2側部支持部材50が取り外されることにより)、巻線Aを巻線支持具1から取り外す作業が容易となる。
【0089】
第2側部支持部材50が退避位置に移動された後(または、第2側部支持部材50が取り外された後)、巻線Aは、回転軸AXに平行な方向、かつ、第1側部支持部材20から離れる方向に移動される。こうして、巻線Aが、巻線支持具1から取り外される。
【0090】
本発明は上記各実施形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態は適宜変形または変更され得ることが明らかである。また、各実施形態で用いられる任意の構成要素を、他の実施形態に組み合わせることが可能であり、また、各実施形態において任意の構成要素を省略することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の巻線支持具、線材回収装置、および、線材回収方法を用いると、電線等の線材を巻線支持具に円滑に巻き付けることが可能となる。その結果、巻線支持具を用いて線材の回収作業等の作業を行う作業者の負担が軽減される。したがって、本発明は、巻線支持具を用いて作業を行う業者、および、巻線支持具を製造する製造業者にとって有用である。
【符号の説明】
【0092】
1,1A…巻線支持具、8…支持台、10…内縁支持部材、10-1…第1内縁支持部材、10-K…第K内縁支持部材、10d-1、10d-N…外側面、11…貫通孔、12…第1係合部、20…第1側部支持部材、21…リングフレーム、22…支持パイプ、23…支持板、23-1…第1支持板、23-K…第K支持板、24-1、24-K…ガイド部、30…固定部材、30a…第1固定部材、30b…第2固定部材、36…取付部、36a…第1取付部、36b…第2取付部、36c…第3取付部、40…操作部材、50…第2側部支持部材、50-1…第1支持片、50-N…第N支持片、51…棒部材、52…第2係合部、70…伸縮棒部材、70-1…第1伸縮棒部材、70-N…第N伸縮棒部材、71-1、71-N…基部、72-1、72-N…移動部、75…操作力変換部材、80…構造部材、81…巻線支持具支持部、83…取付部、85…脚部、85a…第1脚部、85b…第2脚部、85c…連結部材、100…線材回収装置、360a、360b…取付孔、370a…長孔、751…歯車、811…軸部材、813…脱落防止部材、813a…鍔部、831…押圧部、832…ねじ棒、833…操作部、833-1…第1操作部、833-2…第2操作部、A…巻線、AX…回転軸、B…線材、OP…中空部、a1…中空部、a2…内縁部、a3…外縁部、a4…第1側部、a5…第2側部、b1…第1端部