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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】管状体
(51)【国際特許分類】
   F16L 47/26 20060101AFI20230915BHJP
   B29C 45/16 20060101ALI20230915BHJP
   B29C 33/44 20060101ALI20230915BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20230915BHJP
   F16L 9/22 20060101ALI20230915BHJP
   B29C 33/42 20060101ALI20230915BHJP
【FI】
F16L47/26
B29C45/16
B29C33/44
B29C45/26
F16L9/22
B29C33/42
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019154209
(22)【出願日】2019-08-27
(65)【公開番号】P2021032362
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000225359
【氏名又は名称】内山工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】枝廣 和憲
(72)【発明者】
【氏名】陶山 勇一
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-008486(JP,A)
【文献】特開2008-163892(JP,A)
【文献】特開2018-053975(JP,A)
【文献】特開2019-074005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 47/26
B29C 45/16
B29C 33/44
B29C 45/26
F16L 9/22
B29C 33/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1半管状部と第2半管状部とが接合されて形成された主管部と、この主管部の半割仮想面上の周壁から該主管部の概ね径方向に延びるように、かつ前記第1半管状部の周方向一方側に一体的に設けられた枝管部と、を備えており、
前記枝管部は、前記主管部の軸方向に見て、当該枝管部の中心軸と前記半割仮想面とのなす角が前記第1半管状部側よりも前記第2半管状部側が小さくなるように、前記半割仮想面に対して軸方向が傾斜して設けられており、
前記第1半管状部及び前記第2半管状部の周方向一方側縁部において前記主管部の軸方向に延び互いを接合する接合部は、前記枝管部の軸方向主管部側の端部となる基端部において該枝管部の外周面に沿うように、かつ互いの接合面が前記枝管部の径方向に概ね向くように設けられ、該枝管部の基端部の接合部は、該枝管部の軸方向に垂直な断面の外周に沿うように設けられていることを特徴とする管状体。
【請求項2】
請求項1において、
前記枝管部の基端部の接合部は、枝管軸方向先端側に向く面が概ね全面に亘って該枝管部の軸方向に垂直となるように設けられていることを特徴とする管状体。
【請求項3】
請求項2において、
前記枝管部の基端部の接合部における枝管軸方向先端側には、該枝管部の径方向に突出する突出部が該枝管部の周方向に延びるように設けられていることを特徴とする管状体。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記枝管部の基端部の接合部は、互いの接合面が該枝管部の外周面に平行状となるように設けられていることを特徴とする管状体。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、
前記枝管部の先端部には、当該枝管部に外嵌状に接続される管状部材の抜止突条が周方向に延びるように設けられていることを特徴とする管状体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管状体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、樹脂製の管状体としては、半管状部同士を接合して形成されたものが知られている。
例えば、下記特許文献1には、互いに開口縁状に設けられた接合部において接合される第1ボディと第2ボディとからなる冷却水通路装置が開示されている。この冷却水通路装置の第2ボディには、第2ボディ内に連通される連通管が設けられている。また、第1ボディと第2ボディとの接合部は、連通管の部位において連通管の基端部外周面に沿うように、かつ互いに連通管の径方向に接合される構成とされている。
また、下記特許文献2には、第1ボディと第2ボディとを、これらの端部の縁に沿って延設された接合部において接合して形成された冷却水通路装置が開示されている。この冷却水通路装置の第1ボディには、枝管が設けられている。また、第1ボディと第2ボディとの接合部は、枝管の部位において枝管軸方向に屈曲されてから枝管の外周面に沿うように、かつ互いに枝管軸方向に接合される構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-196571号公報
【文献】特開2018-8486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された冷却水通路装置では、連通管の部位の接合部が連通管の部位において屈曲する第1ボディ及び第2ボディの集合路の屈曲に沿って屈曲状とされている。そのため、当該連通管にホース等の他の管状部材が外嵌状に接続される際には、管状部材の先端を安定的に当接させ難く、また、別途に当接部を設けることも考えられるが、この場合には、接続代を確保するために連通管を長くする必要が生じるなど更なる改善が望まれる。
一方、上記特許文献2に記載された冷却水通路装置では、枝管の基端部に、接合部によって枝管軸方向外側に向く面が形成されているため、この枝管に接続される他の管状部材の先端を安定的に当接させることが可能ではある。しかしながら、第1ボディと第2ボディとの接合部を、枝管の部位において枝管軸方向に屈曲させた構成としているので、互いの接合部に形成される樹脂通路が複雑化する懸念がある。このような問題は、枝管が主管に対して傾斜して設けられていれば、より顕著となることが考えられる。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、枝管部に接続される他の管状部材の先端が当接される部位を効率的に設け得る管状体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明に係る管状体は、第1半管状部と第2半管状部とが接合されて形成された主管部と、この主管部の半割仮想面上の周壁から該主管部の概ね径方向に延びるように、かつ前記第1半管状部の周方向一方側に一体的に設けられた枝管部と、を備えており、前記枝管部は、前記主管部の軸方向に見て、当該枝管部の中心軸と前記半割仮想面とのなす角が前記第1半管状部側よりも前記第2半管状部側が小さくなるように、前記半割仮想面に対して軸方向が傾斜して設けられており、前記第1半管状部及び前記第2半管状部の周方向一方側縁部において前記主管部の軸方向に延び互いを接合する接合部は、前記枝管部の軸方向主管部側の端部となる基端部において該枝管部の外周面に沿うように、かつ互いの接合面が前記枝管部の径方向に概ね向くように設けられ、該枝管部の基端部の接合部は、該枝管部の軸方向に垂直な断面の外周に沿うように設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る管状体は、上述のような構成としたことで、枝管部に接続される他の管状部材の先端が当接される部位を効率的に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る管状体の一例を模式的に示す概略斜視図である。
図2】同管状体の概略分解斜視図である。
図3】(a)は、図1におけるX1-X1線矢視に対応させた概略縦断面図、(b)は、図1におけるX2-X2線矢視に対応させた概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1図3は、本実施形態に係る管状体1の一例を模式的に示す図である。
管状体1は、図1図2及び図3(a)に示すように、第1半管状部10と第2半管状部20とが接合されて形成された主管部8と、この主管部8の半割仮想面V1上の周壁から主管部8の概ね径方向に延びるように、かつ第1半管状部10の周方向一方側に一体的に設けられた枝管部9と、を備えている。
半割仮想面V1は、図3(b)に示すように、主管部8の径方向に分割された第1半管状部10の第1半管本体部11と第2半管状部20の第2半管本体部21との分割面を構成する。図例では、半割仮想面V1を、主管部8の中心軸を通り主管部8を二等分する仮想面とせずに、第1半管本体部11の周方向に沿う寸法が第2半管本体部21よりも僅かに大となる位置に設けた例を示しているが、このような態様に限られない。
【0010】
主管部8は、略円筒状とされている。また、主管部8は、本実施形態では、軸方向の概ね全体に亘って直管状(ストレート管状)とされている。なお、主管部8は、このような態様に限られず、軸方向途中部位に湾曲部や屈曲部を有したものでもよい。
また、この主管部8の軸方向両端部には、図1に示すように、当該管状体1を取付対象に固定するボルトが挿通されるボルト孔19,19が設けられた取付部18,18が設けられている。これら取付部18,18は、主管部8の軸方向両端部において径方向外側に向けて突出するように、かつ全周に亘って設けられたフランジ状とされている。図例では、これら取付部18,18のそれぞれに、2つのボルト孔19,19,19,19を設けた例を示している。なお、これらボルト孔19,19,19,19は、各取付部18,18に埋込状に設けられた金属製の円筒状部材(カラー)によって構成されていてもよい。
【0011】
また、本実施形態では、これら取付部18,18は、第1半管状部10に一体的に設けられている。また、第1半管状部10の軸方向両端側の各取付部18,18の軸方向中央側に、略円筒状の筒状部17,17を設けた構成としている。つまり、本実施形態では、第1半管状部10を軸方向の全体に亘って半筒状(半円筒状)とせずに、第1半管状部10の軸方向両端部に筒状部17,17と取付部18,18とを一体的に設けた構成としている。これら筒状部17,17は、軸方向に沿う寸法が第1半管状部10の略半筒状(略半円筒状)とされた第1半管本体部11の軸方向に沿う寸法よりも小とされた短筒状とされている。
第2半管状部20の第2半管本体部21は、軸方向の全体に亘って略半筒状(略半円筒状)とされている。
【0012】
これら第1半管本体部11と第2半管本体部21とは、接合された状態では、第1半管状部10の筒状部17,17と略同径状の略円筒状となり、筒状部17,17とによって主管部8を構成する。図例では、主管部8を、略真円状の略円筒状とした例を示しているが、略楕円状の略円筒状等としてもよい。
また、第1半管状部10と第2半管状部20とは、図1及び図2に示すように、互いの縁部に設けられた接合部12,22,13,23,14,24において接合されている。本実施形態では、これら第1半管状部10と第2半管状部20とは、接合部12,22,13,23,14,24において二次樹脂(接合樹脂)7を介して接合されている(図3参照)。管状体1は、一次成形品としての第1半管状部10と第2半管状部20とが二次樹脂7を介して接合される、いわゆるDSI(ダイスライドインジェクション)成形等によって成形されたものでもよい。なお、このような態様に代えて、第1半管状部10と第2半管状部20とは、適宜の接着剤や、熱板溶着、振動溶着、超音波溶着、レーザー溶着等の種々の接合態様によって接合されたものでもよい。
【0013】
第1半管本体部11及び第2半管本体部21の周方向一方側(枝管部9が設けられた側)となる第1縁部には、主管部8の軸方向に延びる第1半管側第1接合部14及び第2半管側第1接合部24が設けられている。また、これら第1半管本体部11及び第2半管本体部21の周方向他方側となる第2縁部には、主管部8の軸方向に延びる第1半管側第2接合部12及び第2半管側第2接合部22が設けられている。また、これら第1半管本体部11及び第2半管本体部21の軸方向両端側には、周方向に延びる第1半管側第3接合部13,13及び第2半管側第3接合部23,23がそれぞれに設けられている。なお、これら軸方向両端側の第1半管側第3接合部13,13及び第2半管側第3接合部23,23は、互いに同様の構成であるので、以下では、軸方向一端側の第1半管側第3接合部13及び第2半管側第3接合部23を例にとって説明する。
【0014】
第1半管側第2接合部12は、図3(b)に示すように、第1半管本体部11の第2縁部から主管部8の径方向(主管径方向)外側に向けて突出するように設けられている。第2半管側第2接合部22は、第2半管本体部21の第2縁部から主管径方向外側に向けて突出するように設けられている。これら第1半管側第2接合部12及び第2半管側第2接合部22の互いの突き合わせ面となる接合面12a,22aは、半割仮想面V1に略一致するように設けられており、互いに主管部8の周方向に突き合わせられる。
また、これら接合面12a,22aには、互いに向き合う方向に向けて開口し、二次樹脂7が充填される樹脂通路を区画する二次樹脂充填溝12b,22bが軸方向に延びるように設けられている。これら二次樹脂充填溝12b,22bは、溝底が接合面12a,22aと略平行状とされた溝長手方向に見て略方形溝状とされている。
また、これら接合面12a,22aにおける二次樹脂充填溝12b,22bの主管部8内周側に、互いに係合して位置ずれや二次樹脂7の内周側への漏れを抑制する係止突条及び係止溝を設けた構成としている。図例では、第1半管側第2接合部12の接合面12aに係止突条を設け、第2半管側第2接合部22の接合面22aに係止溝を設けた例を示しているが、このような態様に限られない。
【0015】
また、第1半管側第2接合部12の接合面12aとは反対側となる反接合面側の面の主管径方向外側縁部には、接合面12a,22a同士の突き合わせ方向とは逆側に向けて突出する突出部12cが軸方向に延びるように設けられている。この突出部12cを除いた第1半管側第2接合部12の反接合面側の面は、接合面12aと略平行状に設けられている。
また、第2半管側第2接合部22の接合面22aとは反対側となる反接合面側の面の主管径方向外側縁部には、接合面12a,22a同士の突き合わせ方向とは逆側に向けて突出する突出部22cが軸方向に延びるように設けられている。この突出部22cを除いた第2半管側第2接合部22の反接合面側の面は、接合面22aと略平行状に設けられている。
これら第1半管側第2接合部12の接合面12aと第2半管側第2接合部22の接合面22aとが突き合わせられて接合されて主管部8の半割仮想面V1上に位置するように軸方向に延びる第2接合部2が形成されている。
【0016】
第1半管側第3接合部13は、図2に示すように、第1半管状部10の軸方向一端側の筒状部17の軸方向中央側の縁部に沿って周方向に延びるように、かつ該縁部から主管径方向外側に向けて突出するように設けられている。第2半管側第3接合部23は、第2半管本体部21の軸方向一端側の縁部に沿って周方向に延びるように、かつ該縁部から主管径方向外側に向けて突出するように設けられている。これら第1半管側第3接合部13及び第2半管側第3接合部23の互いの突き合わせ面となる接合面は、互いに主管部8の軸方向に突き合わせられる。なお、これら第1半管側第3接合部13と第2半管側第3接合部23とは、互いの接合面間に形成される隙間に二次樹脂7が充填されて接合されるものでもよく、上記同様、互いの接合面において開口し、樹脂通路を区画する二次樹脂充填溝に二次樹脂7が充填されて接合されるものでもよい。
図1に示すように、これら第1半管側第3接合部13と第2半管側第3接合部23とが接合されて主管部8の軸方向一端側に周方向に延びる第3接合部3が形成されている。
【0017】
第1半管側第1接合部14及び第2半管側第1接合部24は、図1図3に示すように、主管部8の軸方向に延びる第1半管側軸方向接合部15及び第2半管側軸方向接合部25と、枝管部9の外周に沿うように設けられた第1半管側枝管基端接合部16及び第2半管側枝管基端接合部26と、によって構成されている。第1半管側第1接合部14と第2半管側第1接合部24とが接合されて主管部8の軸方向に概ね延びるように第1接合部4が形成されている。
第1半管側軸方向接合部15は、第1半管側枝管基端接合部16の軸方向両側に連なるように設けられている。この第1半管側軸方向接合部15は、図3(b)に示すように、第1半管本体部11の第1縁部から主管径方向外側に向けて突出するように設けられている。
第2半管側軸方向接合部25は、第2半管側枝管基端接合部26の軸方向両側に連なるように設けられている。この第2半管側軸方向接合部25は、第2半管本体部21の第1縁部から主管径方向外側に向けて突出するように設けられている。
【0018】
これら第1半管側軸方向接合部15及び第2半管側軸方向接合部25の互いの突き合わせ面となる接合面15a,25aは、上記した第1半管側第2接合部12及び第2半管側第2接合部22と同様、半割仮想面V1に略一致するように設けられており、互いに主管部8の周方向に突き合わせられる。
また、これら接合面15a,25aには、上記同様、互いに向き合う方向に向けて開口し、二次樹脂7が充填される樹脂通路を区画する二次樹脂充填溝15b,25bが軸方向に延びるように設けられている。また、これら接合面15a,25aにおける二次樹脂充填溝15b,25bの主管部8内周側には、上記同様、係止突条及び係止溝が設けられている。
【0019】
また、第1半管側軸方向接合部15の接合面15aとは反対側となる反接合面側の面の主管径方向外側縁部には、上記同様な突出部15cが軸方向に延びるように設けられている。この突出部15cを除いた第1半管側軸方向接合部15の反接合面側の面は、接合面15aと略平行状に設けられている。
また、第2半管側軸方向接合部25の接合面25aとは反対側となる反接合面側の面の主管径方向外側縁部には、上記同様な突出部25cが軸方向に延びるように設けられている。この突出部25cを除いた第2半管側軸方向接合部25の反接合面側の面は、接合面25aと略平行状に設けられている。
これら第1半管側軸方向接合部15の接合面15aと第2半管側軸方向接合部25の接合面25aとが突き合わせられて接合され、第1接合部4を構成する軸方向接合部5が主管部8の半割仮想面V1上に位置するように形成されている。
【0020】
第1半管側枝管基端接合部16及び第2半管側枝管基端接合部26は、枝管部9の軸方向(枝管軸方向)主管部8側の端部となる基端部において枝管部9の外周面(枝管外周面)9aに沿うように、かつ互いの接合面16a,26aが枝管部9の径方向(枝管径方向)R1に概ね向くように設けられている。このような構成とすれば、半管状部同士の接合部が枝管部の部位において枝管部の軸方向に屈曲されて互いに枝管部の軸方向に接合される構成とされたようなものと比べて、互いの第1半管側第1接合部14及び第2半管側第1接合部24に形成される樹脂通路が複雑化することを抑制することができる。これら第1半管側枝管基端接合部16の接合面16aと第2半管側枝管基端接合部26の接合面26aとが突き合わせられて接合され、第1接合部4を構成する枝管部9の基端部の接合部としての枝管基端接合部6が形成されている。なお、これら第1半管側枝管基端接合部16及び第2半管側枝管基端接合部26並びに枝管基端接合部6の具合的構成については、後述し、枝管部9の具体的構成について説明する。
【0021】
本実施形態では、図3(a)に示すように、枝管部9は、主管部8の軸方向に見て、当該枝管部9の中心軸(枝管中心軸)C1と半割仮想面V1とのなす角が第1半管状部10側よりも第2半管状部20側が小さくなるように、半割仮想面V1に対して軸方向が傾斜して設けられている。つまり、主管部8の軸方向に見て、枝管中心軸C1と半割仮想面V1との第2半管状部20側のなす角θ2が、枝管中心軸C1と半割仮想面V1との第1半管状部10側のなす角θ1よりも小とされている。図例では、第2半管状部20側のなす角θ2を160度程度とした例を示している。つまり、半割仮想面V1に対する枝管部9の傾斜角度を20度程度とした例を示しているが、このような傾斜角度に限られない。
この枝管部9の内径は、主管部9の内径よりも小径状とされている。また、この枝管部9の基端部は、主管部8の軸方向に見て、枝管中心軸C1が半割仮想面V1上に略位置するように設けられている。つまり、この枝管部9の基端部は、周方向一方側略半部が第1半管本体部11に一体的に設けられ、周方向他方側略半部が第2半管本体部21に接合される構成とされている。
【0022】
また、本実施形態では、枝管軸方向で反主管部側の端部となる先端部には、当該枝管部9に外嵌状に接続される管状部材の抜止突条9bが周方向に延びるように、かつ枝管径方向R1に突出するように設けられている。このような構成とすれば、枝管部9に外嵌状に接続される管状部材の脱落を抑制することができる。図例では、抜止突条9bを、突出方向先側に向かうに従い先細状とした例を示している。つまり、抜止突条9bの枝管軸方向両側面を傾斜面状とした例を示しているが、このような態様に限られない。
また、この枝管部9の周壁の枝管径方向R1に沿う厚さ(抜止突条9bを除いた部位の厚さ)は、主管部8の周壁を構成する第1半管本体部11、第2半管本体部21及び筒状部17の主管径方向に沿う厚さと概ね同寸法とされている。なお、この枝管部9は、枝管軸方向と主管部8の軸方向とが略直交するように設けられたものでもよく、傾斜状に設けられたものでもよい。
【0023】
枝管基端接合部6を構成する第1半管状部10側となる第1半管側枝管基端接合部16は、枝管部9の基端部の周方向一方側略半部の枝管外周面9aに沿うように設けられている。ここに、第1半管側枝管基端接合部16が設けられた部位における枝管外周面9aとは、枝管部9の他の部位の枝管外周面9aと同一面状とされる仮想的な面である。
また、本実施形態では、この第1半管側枝管基端接合部16の少なくとも一部が枝管部9の周壁によって構成されている。つまり、第1半管側枝管基端接合部16は、枝管部9の周壁の厚さを利用して設けられている。このような構成とすれば、枝管基端接合部6の枝管径方向R1への突出量を小さくすることができ、枝管基端接合部6を効率的に設けることができる。
枝管基端接合部6を構成する第2半管状部20側となる第2半管側枝管基端接合部26は、第2半管本体部21の第1縁部の軸方向途中部位に、枝管部9の基端部の周方向他方側略半部を受け入れ可能なように形成された凹所の縁部から主管部8の概ね径方向外側に向けて突出するように設けられている。
【0024】
これら第1半管側枝管基端接合部16及び第2半管側枝管基端接合部26の接合面16a,26aは、上記のように半割仮想面V1に対して傾斜状に設けられた枝管部9の枝管径方向R1に概ね向くように設けられている。
本実施形態では、これら接合面16a,26aは、枝管外周面9aに略平行状となるように設けられている。このような構成とすれば、枝管基端接合部6を、枝管部9の周壁の厚さをより効率的に利用して設けることができる。
また、これら接合面16a,26aには、上記と概ね同様、互いに向き合う方向に向けて開口し、二次樹脂7が充填される樹脂通路を区画する二次樹脂充填溝16b,26bが枝管部9の周方向に延びるように設けられている。第1半管側枝管基端接合部16の二次樹脂充填溝16bは、第1半管側軸方向接合部15の二次樹脂充填溝15bに連なるように設けられている。また、第2半管側枝管基端接合部26の二次樹脂充填溝26bは、第2半管側軸方向接合部25の二次樹脂充填溝25bに連なるように設けられている。これら二次樹脂充填溝16b,26bの溝底は、枝管外周面9aに略平行状となるように設けられている。つまり、これら二次樹脂充填溝16b,26bの溝底は、接合面16a,26aに略平行状となるように設けられている。
【0025】
本実施形態では、上記樹脂通路を区画する枝管径方向R1外側に向く面を構成する第1半管側枝管基端接合部16の二次樹脂充填溝16bの溝底を、枝管外周面9aと略同一面状となるように設けた構成としている。このような構成とすれば、第1半管側枝管基端接合部16の枝管外周面9aからの枝管径方向R1に沿う突出寸法D3を効果的に小さくすることができ、枝管基端接合部6の枝管径方向R1への突出量を効果的に小さくすることができる。
また、これら接合面16a,26aにおける二次樹脂充填溝16b,26bの主管部8内周側には、第1半管側軸方向接合部15及び第2半管側軸方向接合部25の接合面15a,25aに設けられた係止突条及び係止溝にそれぞれ連なるように係止突条及び係止溝が設けられている。
【0026】
上記構成とされた第1半管側枝管基端接合部16と第2半管側枝管基端接合部26とが接合されて形成される枝管基端接合部6は、枝管軸方向に垂直な断面の外周に沿うように設けられている。このような構成とすれば、この枝管部9に外嵌状に接続される管状部材の先端を、枝管基端接合部6に安定的に当接させることができる。また、枝管基端接合部6から枝管軸方向に離間させて別途に当接部を設ける必要がないので、管状部材の接続代を確保するために枝管部9を長くする必要性を低減することができる。
この枝管基端接合部6は、枝管軸方向先端側に向く面としての受面6aが枝管部9の周方向の略全体に亘って枝管軸方向で一致した位置となるように設けられている。この受面6aは、枝管軸方向に対して傾斜状に設けられていてもよいが、本実施形態では、概ね全面に亘って枝管軸方向に垂直となるように設けられている。このような構成とすれば、枝管基端接合部6の受面6aが枝管軸方向に対して傾斜状とされたものと比べて、枝管部9に外嵌状に接続される管状部材の先端をより安定的に当接させることができる。
【0027】
また、本実施形態では、枝管基端接合部6における枝管軸方向先端側には、枝管部9の径方向に突出する突出部26cが枝管部9の周方向に延びるように設けられている。このような構成とすれば、枝管部9に外嵌状に接続される管状部材の先端の当接面積を効果的に大きくすることができ、管状部材の先端を、より安定的に当接させることができる。この突出部26cの枝管軸方向先端側に向く面は、上記した受面6aと一連状にかつ同一平面状に設けられている。この突出部26cは、第2半管側枝管基端接合部26の枝管軸方向先端側縁部に沿うように設けられている。また、この突出部26cの枝管部9周方向両端側は、上記した第2半管側軸方向接合部25の突出部25cに連なるように設けられている。また、第2半管側枝管基端接合部26の突出部26cを除いた部位の反接合面側の面は、枝管外周面9aと略平行状に設けられている。
【0028】
また、枝管基端接合部6の枝管外周面9aからの枝管径方向R1に沿う突出寸法D2は、主管部8の軸方向に延びるように半割仮想面V1上に設けられた軸方向接合部5の主管部8周方向に沿う寸法D1よりも小とされている。このような構成とすれば、枝管基端接合部6の枝管径方向R1への突出量を小さくすることができ、枝管基端接合部6を効率的に設けることができる。なお、枝管基端接合部6の突出寸法D2は、上記した突出部26cを除いた部位の寸法とされている。つまり、枝管基端接合部6の突出寸法D2は、枝管外周面9aから第2半管側枝管基端接合部26の突出部26cを除いた部位の反接合面側の面までの枝管径方向R1に沿う寸法とされている。また、軸方向接合部5の主管部8周方向に沿う寸法D1も同様、突出部15c,25cを除いた部位の寸法とされている。つまり、軸方向接合部5の主管部8周方向に沿う寸法D1は、第1半管側軸方向接合部15の突出部15cを除いた部位の反接合面側の面から第2半管側軸方向接合部25の突出部25cを除いた部位の反接合面側の面までの主管部8周方向に沿う寸法とされている。図例では、枝管基端接合部6の突出寸法D2を、軸方向接合部5の主管部8周方向に沿う寸法D1の7/10程度とした例を示しているが、このような態様に限られない。
【0029】
また、第1半管側枝管基端接合部16の枝管外周面9aからの枝管径方向R1に沿う突出寸法D3は、枝管基端接合部6の突出寸法D2の1/2よりも小とされている。このような構成とすれば、枝管基端接合部6の枝管径方向R1への突出量を小さくすることができ、枝管基端接合部6を効率的に設けることができる。なお、第1半管側枝管基端接合部16の突出寸法D3は、枝管外周面9aから接合面16aまでの枝管径方向R1に沿う寸法とされている。図例では、第1半管側枝管基端接合部16の突出寸法D3を、枝管基端接合部6の突出寸法D2の2/7程度とした例を示しているが、このような態様に限られない。なお、第1半管側枝管基端接合部16としては、上記したような構成に限られず、例えば、二次樹脂充填溝16bの溝底が枝管外周面9aよりも枝管径方向R1外側または内側(枝管中心軸C1側)に位置するように設けられたものでもよい。さらには、第1半管側枝管基端接合部16に二次樹脂充填溝を設けずに、第1半管側枝管基端接合部16の接合面16aを、枝管外周面9aと略同一面状としたような態様等としてもよい。
【0030】
なお、図2では、二次樹脂充填溝や係止突条、係止溝等の図示を省略している。
また、第1半管状部10及び第2半管状部20を構成する合成樹脂としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、ABS、アクリル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン等の熱可塑性樹脂でもよく、例えば、フェノール樹脂やエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂でもよい。また、合成樹脂としては、種々の添加剤が添加されたものでもよく、また、例えば、炭素繊維やガラス繊維等の強化繊維を含む繊維強化樹脂でもよい。また、二次樹脂7は、これら第1半管状部10及び第2半管状部20を構成する樹脂組成物と同一の樹脂組成物でもよく、異なる樹脂組成物でもよい。また、管状体1は、主として合成樹脂製であればよく、インサート成形等によって一部に金属製の部材を含んだ構成とされたものでもよい。
【0031】
また、上記した管状体1は、気体や液体等の種々の流体を流通させる管路として配設されるものでもよい。例えば、この管状体1は、エンジン冷却水管やインテークマニホールド等として自動車等の車両に用いられるものでもよい。また、管状体1は、このような車両用に限られず、例えば、ガス等の設備機器や、水回り設備機器の配管等として用いられるものでもよい。
また、本実施形態に係る管状体1を構成する各部の構成は、上記した例に限られず、その他、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 管状体
6 枝管基端接合部(枝管部の基端部の接合部)
6a 受面(枝管軸方向先端側に向く面)
8 主管部
9 枝管部
9a 枝管外周面(枝管部の外周面)
9b 抜止突条
10 第1半管状部
14 第1半管側第1接合部(周方向一方側縁部において主管部の軸方向に延びる接合部)
16 第1半管側枝管基端接合部(枝管部の基端部の接合部)
16a 接合面
20 第2半管状部
24 第2半管側第1接合部(周方向一方側縁部において主管部の軸方向に延びる接合部)
26 第2半管側枝管基端接合部(枝管部の基端部の接合部)
26a 接合面
26c 突出部
C1 枝管中心軸(枝管部の中心軸)
R1 枝管径方向(枝管部の径方向)
V1 主管部の半割仮想面
θ1 枝管中心軸と半割仮想面との第1半管状部側のなす角
θ2 枝管中心軸と半割仮想面との第2半管状部側のなす角
図1
図2
図3