(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】横取り装置の自動転換装置及び横取り装置
(51)【国際特許分類】
E01B 5/14 20060101AFI20230915BHJP
E01B 7/00 20060101ALI20230915BHJP
E01B 31/00 20060101ALI20230915BHJP
【FI】
E01B5/14
E01B7/00
E01B31/00
(21)【出願番号】P 2019206170
(22)【出願日】2019-11-14
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】591036893
【氏名又は名称】鉄道機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104064
【氏名又は名称】大熊 岳人
(72)【発明者】
【氏名】篠原 利昭
(72)【発明者】
【氏名】山室 謙一郎
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-088206(JP,A)
【文献】特開2001-303501(JP,A)
【文献】特開2005-213986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 5/14
E01B 7/00
E01B 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポイント部及びクロッシング部によって本線と分岐線との間で車両の車輪を通過させる分岐器を使用せずに、
この本線とこの分岐線との間で車両
の車輪を通過させる横取り装置を、自動的に転換する横取り装置の自動転換装置であって、
前記横取り装置は、
前記本線の第1レールと前記分岐線の第1レールとの間の隙間を跨ぐようにこの隙間に着脱自在に装着される第1の横取り材と、
前記本線の第2レールと前記分岐線の第2レールとの間の隙間を跨ぐようにこの隙間に着脱自在に装着される第2の横取り材と、
前記本線の第1レールと前記分岐線の第2レールとの間の隙間を跨ぐようにこの隙間に着脱自在に装着される第3の横取り材とを備えており、
前記本線のレールと前記分岐線のレールとの間の隙間に前記第1~第3の横取り材が装着される使用位置と
、前記本線のレールと前記分岐線のレールとの間の隙間から前記第1~第3の横取り材が離間する非使用位置との間で
、これらの第1~第3の横取り材をそれぞれ回転駆動
して転換するための駆動力を発生する
第1~第3の原動機を備え、
前記第1~第3の原動機は、モータ又は流体圧モータであること、
を特徴とする横取り装置の自動転換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の横取り装置の自動転換装置において、
前記横取り装置は、前記
第1~第3の横取り材を
それぞれ支持した状態で回転する回転アーム部を備え、
前記回転アーム部は、前記本線の軌間外側で固定されている支持部に回転自在に支持される回転軸を備え、
前記回転アーム部の回転軸から所定距離だけ離れたこの回転アーム部の作用点に回転力を作用させるために、この回転アーム部に着脱自在に装着される装着部を備え、
前記装着部は、前記回転アーム部の回転軸を中心としてこの回転アーム部が回転するように、前記第1~第3の原動機からの回転力によって回転駆動する回転軸を備えること、
を特徴とする横取り装置の自動転換装置。
【請求項3】
請求項1に記載の横取り装置の自動転換装置において、
前記横取り装置は、前記
第1~第3の横取り材を
それぞれ支持した状態で回転する回転アーム部を備え、
前記回転アーム部は、前記本線の軌間外側で固定されている支持部に回転自在に支持される回転軸を備え、
前記
第1~第3の原動機は、前記回転アーム部の回転軸を回転駆動すること、
を特徴とする横取り装置の自動転換装置。
【請求項4】
請求項2に記載の横取り装置の自動転換装置において、
前記
第1~第3の原動機の原動軸と前記
装着部の回転軸とを連結する自在継手部を備えること、
を特徴とする横取り装置の自動転換装置。
【請求項5】
請求項3に記載の横取り装置の自動転換装置において、
前記
第1~第3の原動機の原動軸と前記
回転アーム部の回転軸とを連結する自在継手部を備えること、
を特徴とする横取り装置の自動転換装置。
【請求項6】
ポイント部及びクロッシング部によって本線と分岐線との間で車両の車輪を通過させる分岐器を使用せずに、
この本線とこの分岐線との間で車両
の車輪を通過させる横取り装置であって、
請求項1から請求項
5までのいずれか1項に記載の横取り装置の自動転換装置を備えること、
を特徴とする横取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基準線と分岐線との間で分岐器を使用せずに車両を通過させる横取り装置を、自動的に転換する横取り装置の自動転換装置、及び基準線と分岐線との間で分岐器を使用せずに車両を通過させる横取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道では、保守用両(工事用車両)などを他の軌道上に移動する場合に、分岐器を用いずに可動式横取り装置が用いられている。従来の可動式横取り装置は、本線レールと間隔をあけて配置されて横取り材を受ける横取り材受けレールと、本線レールと横取り材受けレールとに跨るように装着される横取り材とを備えている(例えば、特許文献1参照)。この従来の可動式横取り装置は、回転軸を中心として横取り材がまくらぎに回転自在に支持されており、使用時にはまくらぎ側から横取り材をレール側に回転し、非使用時にはレール側からまくらぎ側に横取り材を逆方向に回転している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の可動式横取り装置では、使用時には横取り材を作業者がまくらぎ側から持ち上げて、横取り材を作業者が手動で回転させて、本線レールと横取り材受けレールとに跨るように横取り材を作業者が装着している。従来の横取り装置は、作業員一人で回転操作が可能なように、回転力の軽減が図られており、約15kgf程度の回転力によって回転操作が可能である。近年、作業員に女性が増えており、横取り材をより短時間で自動的に回転操作可能なことが望まれている。
【0005】
この発明の課題は、簡単な構造によって横取り材を自動的に転換することができる横取り装置の自動転換装置及び横取り装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、
図1~
図6、
図8及び
図9に示すように、
ポイント部及びクロッシング部によって本線(L
1
)と分岐線(L
2
)との間で車両の車輪(1R,1L)を通過させる分岐器を使用せずに、
この本線とこの分岐線との間で車両
の車輪を通過させる横取り装置(4)を、自動的に転換する横取り装置の自動転換装置であって、
前記横取り装置は、前記本線の第1レール(2L)と前記分岐線の第1レール(2L)との間の隙間(Δ
A
)を跨ぐようにこの隙間に着脱自在に装着される第1の横取り材(5A)と、前記本線の第2レール(2R)と前記分岐線の第2レール(2R)との間の隙間(Δ
B
)を跨ぐようにこの隙間に着脱自在に装着される第2の横取り材(5B)と、前記本線の第1レール(2L)と前記分岐線の第2レール(2R)との間の隙間(Δ
C
)を跨ぐようにこの隙間に着脱自在に装着される第3の横取り材(5C)とを備えており、前記本線のレールと前記分岐線のレールとの間の隙間(Δ
A
~Δ
C
)に前記第1~第3の横取り材(5A~5C)が装着される使用位置(P
1)と
、前記本線のレールと前記分岐線のレールとの間の隙間から前記第1~第3の横取り材が離間する非使用位置(P
2)との間で
、これらの第1~第3の横取り材をそれぞれ回転駆動
して転換するための駆動力を発生する
第1~第3の原動機(12A~12C)を備え、
前記第1~第3の原動機は、モータ又は流体圧モータであることを特徴とする横取り装置の自動転換装置(11)である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の横取り装置の自動転換装置において、図
1~
図7に示すように、前記横取り装置は、前記
第1~第3の横取り材を
それぞれ支持した状態で回転する回転アーム部(7)を備え、
前記回転アーム部は、前記本線(L
1
)の軌間外側で固定されている支持部(8)に回転自在に支持される回転軸(7a)を備え、前記回転アーム部の回転軸から所定距離だけ離れたこの回転アーム部の作用点(P
3
)に回転力を作用させるために、この回転アーム部に着脱自在に装着される装着部(14)を備え、前記装着部は、前記回転アーム部の回転軸を中心としてこの回転アーム部が回転するように、前記第1~第3の原動機からの回転力によって回転駆動する回転軸(14c)を備えることを特徴とする横取り装置の自動転換装置である。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1に記載の横取り装置の自動転換装置において、
図8及び
図9に示すように、前記横取り装置は、前記
第1~第3の横取り材を
それぞれ支持した状態で回転する回転アーム部(7)を備え、
前記回転アーム部は、前記本線(L
1
)の軌間外側で固定されている支持部(8)に回転自在に支持される回転軸(7a)を備え、前記
第1~第3の原動機は、前記回転アーム部の回転軸を回転駆動することを特徴とする横取り装置の自動転換装置である。
【0009】
請求項4の発明は、請求項2に記載の横取り装置の自動転換装置において、
図7に示すように、前記
第1~第3の原動機の原動軸(12a)と前記
装着部の回転軸(14c)とを連結する自在継手部(15)を備えることを特徴とする横取り装置の自動転換装置である。
【0010】
請求項5の発明は、請求項3に記載の横取り装置の自動転換装置において、
図10に示すように、前記
第1~第3の原動機の原動軸(12a)と前記
回転アーム部の回転軸(7a)とを連結する自在継手部(15)を備えることを特徴とする横取り装置の自動転換装置である。
請求項6の発明は、
図1~
図9に示すように、
ポイント部及びクロッシング部によって本線(L
1
)と分岐線(L
2
)との間で車両の車輪(1R,1L)を通過させる分岐器を使用せずに、
この本線とこの分岐線との間で車両
の車輪を通過させる横取り装置であって、請求項1から請求項
5までのいずれか1項に記載の横取り装置の自動転換装置(11)を備えることを特徴とする横取り装置(4)である。
【発明の効果】
【0011】
この発明によると、簡単な構造によって横取り材を自動的に転換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明の第1実施形態に係る横取り装置が非使用位置に転換した状態を概略的に示す平面図である。
【
図2】この発明の第1実施形態に係る横取り装置が使用位置に転換した状態を概略的に示す平面図である。
【
図3】
図2のIII部分を拡大して示す平面図である。
【
図4】
図2のIV部分を拡大して示す平面図である。
【
図5】この発明の第1実施形態に係る横取り装置の自動転換装置が横取り材を非使用位置に転換した状態を概略的に示す平面図である。
【
図6】この発明の第1実施形態に係る横取り装置の自動転換装置が横取り材を使用位置に転換した状態を概略的に示す平面図である。
【
図7】この発明の第1実施形態に係る横取り装置の自動転換装置の一部を破断して示す外観図であり、(A)は平面図であり、(B)は側面図である。
【
図8】この発明の第2実施形態に係る横取り装置の自動転換装置が横取り材を非使用位置に転換した状態を概略的に示す平面図である。
【
図9】この発明の第2実施形態に係る横取り装置の自動転換装置が横取り材を使用位置に転換した状態を概略的に示す平面図である。
【
図10】この発明の第2実施形態に係る横取り装置の自動転換装置の一部を破断して示す外観図であり、(A)は平面図であり、(B)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1及び
図2に示す車輪1R,1Lは、レール2R,2Lと回転接触する部材である。車輪1R,1Lは、レール頭部2aの頭頂面2bと接触して摩擦抵抗を受ける踏面1aと、脱輪を防止するために車輪1R,1Lの外周部に連続して形成されたフランジ面1bなどを備えている。
【0014】
図1~
図6に示すレール2R,2Lは、車輪1R,1Lを案内する部材である。レール2R,2Lは、車輪1R,1Lを支持し案内して、営業車両及び保守用車両などの鉄道車両を走行させる。レール2R,2Lは、
図1及び
図2に示すように、車輪1R,1Lと接触するレール頭部2aと、車輪1R,1Lを直接支持する頭頂面(頭部上面)2bなどを備えている。レール2R,2Lは、このレール2R,2Lとまくらぎ3との間に挿入されたタイプレート又は床板に締結されており、このタイプレート又は床板をまくらぎ3に締結することによってまくらぎ3に支持される。
【0015】
図3~
図6に示すまくらぎ3は、レール2R,2L及び台レール6A~6Cを支持する支持体(支承体)である。まくらぎ3は、
図3及び
図4に示すように、レール2R,2L及び台レール6A~6Cを固定して軌間を正確に保持するとともに、レール2R,2L及び台レール6A~6Cから伝達される列車荷重を広く道床に分散させるために、レール2R,2L及び台レール6A~6Cと道床との間に設置される。
図3~
図6に示すまくらぎ3は、例えば、ガラス長繊維によって強化された発泡ウレタン樹脂を成形した合成まくらぎ、又は天然の樹木から製造され防腐処理が施された木まくらぎなどである。まくらぎ3は、
図3及び
図4に示すように、レール2R,2L及び台レール6A~6Cの長さ方向に所定の間隔をあけて配置されており、レール2R,2L及び台レール6A~6Cを離散的に支持している。
【0016】
図1~
図4に示す横取り装置4は、本線L
1と分岐線L
2との間で分岐器を使用せずに車両を通過させる装置である。横取り装置4は、一つの軌道を二つ以上の軌道に分ける分岐器とは異なる構造である。横取り装置4は、分岐器のような左右のトングレールを転換して左右の基本レールに密着及び離間するポイント部と、基本レールが交差するクロッシング部とを備えておらず、分岐器のような本線L
1側のレール2R,2Lが中断している軌間線欠線が存在しない。横取り装置4は、営業車両及び保守用車両が走行する本線(基準線)L
1と、保守用車両のみが走行する分岐線L
2との間に敷設されている。ここで、保守用車両とは、例えば、線路又は架線の点検、保守及び修理などを行うために運転される車両などである。横取り装置4は、分岐線L
2から本線L
1に保守用車両を進入させるときと、本線L
1から分岐線L
2に保守用車両を進出させるときとに使用される。横取り装置4は、本線L
1の左右のレール2R,2Lの外側の領域である軌間外側であって、構造物の構築が制限される軌道上の限界である建築限界の外側に設置されている。横取り装置4は、
図1~
図6に示す横取り材5A~5Cと、
図1及び
図2に示す台レール6A~6Cと、
図1~
図6に示す回転アーム部7と、
図1、
図2及び
図5~
図7に示す支持部8と、
図3~
図6に示す手動操作部9と、
図4~
図6に示す鎖錠機構部10A,10Bなどを備えている。
図1~
図4に示す横取り装置4は、横取り材5A~5Cを使用位置P
1と非使用位置P
2との間で転換する可動式横取り装置である。
【0017】
図1~
図4に示す横取り材5A~5Cは、本線L
1と分岐線L
2との間の隙間Δ
A~Δ
Cに着脱自在に装着されて車両の車輪1R,1Lを通過させる部材である。ここで、隙間Δ
A,Δ
Bは、
図1及び
図2に示すように、本線L
1側のレール2R,2Lと分岐線L
2側のレール2R,2Lとの間に形成される間隙部である。隙間Δ
Cは、本線L
1側のレール2Lと分岐線L
2側のレール2Rとの間に形成される間隙部である。横取り材5A,5Bは、
図2及び
図3に示すように、本線L
1側のレール2R,2Lと分岐線L
2側のレール2R,2Lとの間の隙間Δ
A,Δ
Bを跨ぐように装着されることによって、本線L
1側のレール2R,2Lと分岐線L
2側のレール2R,2Lとに架け渡される。横取り材5Cは、
図2及び
図4に示すように、本線L
1側のレール2Lと分岐線L
2側のレール2Rとの間の隙間Δ
Cを跨ぐように装着されることによって、本線L
1側のレール2Lと分岐線L
2側のレール2Rとに架け渡される。横取り材5A~5Cは、
図1~
図6に示すように、平面形状が細長で湾曲した金属製の板状部材である。横取り材5A~5Cは、本線L
1と分岐線L
2との間で車輪1R,1Lをガイドするように、レール頭部2aと同様に凸状に形成されている。横取り材5A~5Cは、
図1~
図3に示すように、分岐器のポイント部に相当する2箇所と、
図1、
図2及び
図4に示すように分岐器のクロッシング部に相当する1箇所の合計3箇所に配置されている。横取り材5A~5Cは、
図2~
図5に示すように、使用時には非使用位置P
2から使用位置P
1まで回転してレール2R,2L及び台レール6A~6Cと接合する。一方、横取り材5A~5Cは、
図1及び
図6に示すように、非使用時には使用位置P
1から非使用位置P
2まで回転してレール2R,2L及び台レール6A~6Cから離間する。
【0018】
図1及び
図2に示す台レール6A~6Cは、横取り材5A~5Cを受ける受けレールである。台レール6A~6Cは、分岐線L
2側のレール2R,2Lの一部を構成している。台レール6A~6Cは、本線L
1側のレール2R,2Lと交差しないように平行に敷設されており、本線L
1側のレール2R,2Lとの間に隙間Δ
A~Δ
Cを形成している。台レール6A~6Cは、
図2に示すように、横取り材5A~5Cが使用位置P
1に回転したときに、この台レール6A~6Cの上面によって横取り材5Aを支持する。台レール6A~6Cは、この台レール6A~6C及びレール2R,2Lとまくらぎ3との間に挿入された床板に締結されており、この床板をまくらぎ3に締結することによってまくらぎ3に支持される。
【0019】
図1~
図6に示す回転アーム部7は、横取り材5A~5Cを支持した状態で支点Oを中心として回転する手段である。回転アーム部7は、一方の端部が横取り材5A~5Cの縁部に接続されており、他方の端部が支点Oで回転自在に支持されている。回転アーム部7は、横取り材5A~5Cの縁部に沿って間隔をあけて横取り材5A~5Cを複数本で支持する金属製の板状部材であり、横取り材5A~5Cと一体に形成されている。回転アーム部7は、
図1~
図4に示すように、支点Oを回転中心として使用位置P
1と非使用位置P
2との間で回転する。回転アーム部7は、
図7(A)に示すように、支点Oを通過する中心線L
10を回転中心として、この回転アーム部7と一体となって回転する回転軸7aを備えている。
【0020】
図1、
図2及び
図5~
図7に示す支持部8は、回転アーム部7の回転軸7aを回転自在に支持する手段である。支持部8は、
図7(A)に示すように、回転アーム部7の端部を挟み込むように、回転アーム部7の両側にそれぞれ配置されており、回転アーム部7の回転軸7aが回転自在に貫通する貫通孔を備えている。支持部8は、レール2R,2L及び台レール6A~6Cとまくらぎ3との間に挿入される床板、又はまくらぎ3に取り付けられる台座などに固定されている。
【0021】
図3~
図6に示す手動操作部9は、横取り材5A~5Cを作業者が手動で転換させるときに作業者によって操作される手段である。手動操作部9は、例えば、自動転換装置11が停電などによって転換不能であるときに、横取り材5A~5Cを作業員が手動で操作するときに使用されるハンドル部である。手動操作部9は、横取り材5A~5Cに取り付けられている。
【0022】
図4~
図6に示す鎖錠機構部10Aは、横取り材5A~5Cを使用位置P
1で固定する手段であり、鎖錠機構部10Bは横取り材5A~5Cを非使用位置P
2で固定する手段である。鎖錠機構部10A,10Bは、いずれも同一構造であり、横取り材5A~5Cが使用位置P
1及び非使用位置P
2から転換しないように、横取り材5A~5Cを固定(鎖錠)する。鎖錠機構部10Aは、レール2R,2L及び台レール6A~6Cから横取り材5A~5Cが浮き上がるのを防止する。鎖錠機構部10A,10Bは、
図5及び
図6に示すように、作業員が手動で進退動作させる固定軸部10aと、固定軸部10aを進退自在に支持する支持部10bとを備えている。鎖錠機構部10A,10Bは、固定軸部10aを作業員が前進させることによって、固定軸部10aを横取り材5A~5Cに掛け止めして横取り材5A~5Cを固定する。一方、鎖錠機構部10A,10Bは、固定軸部10aを作業員が後退させることによって、固定軸部10aを横取り材5A~5Cから抜き出して横取り材5A~5Cを固定解除する。
【0023】
図1~
図6に示す自動転換装置11は、横取り装置4を自動的に転換する装置である。自動転換装置11は、横取り装置4の横取り材5A~5Cを作業員の手動操作ではなく、動力源が発生する動力によって横取り材5A~5Cを自動的に転換して、横取り材5A~5Cの転換に必要な作業員の労力を軽減する。自動転換装置11は、例えば、既設の横取り装置4を自動化するような場合に、この既設の横取り装置4に付近に後付けで追加施工され敷設される。自動転換装置11は、横取り装置4と同様に建築限界の外側に設置されている。自動転換装置11は、
図1~
図7に示す原動機12A~12Cと、
図3~
図6に示す支持部13と、
図1~
図7に示す装着部14と、自在継手部15と、
図1~
図4に示す動作指令部18などを備えている。
【0024】
図1~
図7に示す原動機12A~12Cは、横取り材5A~5Cを使用位置P
1と非使用位置P
2との間で駆動する装置である。原動機12A~12Cは、横取り材5A~5Cを転換するための駆動力を発生する駆動力発生部として機能する。原動機12A~12Cは、例えば、電気エネルギーを力学的エネルギーに変換して動力を発生する電動機であり、電力によって電磁力を発生しこの電磁力によって回転力を発生するモータである。原動機12A~12Cは、いずれも同一構造であり、以下では原動機12Aを中心に説明し、原動機12A側の部分と対応する原動機12B,12C側の部分については詳細な説明を省略する。原動機12A~12Cは、
図7に示すように、装着部14の回転軸14cを回転駆動する原動軸12aを備えており、装着部14の回転軸14cを回転することによって回転アーム部7を回転させる。
【0025】
図3~
図6に示す支持部13は、原動機12A~12Cを支持する手段である。支持部13は、原動機12A~12Cを支持した状態で、止めくぎなどの締結部材によってまくらぎ3に取り付けられる。支持部13は、原動機12A~12Cの底部をこの支持部13の上部で支持する板状部材である。支持部13は、例えば、既設の横取り装置4に後付けで自動転換装置11を敷設するような場合には、この既設の横取り装置4を構成する構成部材の一部を移設した後の空間に設置、又はこの構成部材を避けて設置される。
【0026】
図1~
図7に示す装着部14は、回転アーム部7に装着される手段である。装着部14は、原動機12A~12Cが発生する回転力によって回転駆動し、回転アーム部7を使用位置P
1と非使用位置P
2との間で回転させる。装着部14は、例えば、既設の横取り装置4に後付けで自動転換装置11を設置するような場合には、この既設の横取り装置4の回転アーム部7に着脱自在に装着される。装着部14は、
図7(B)に示すように、断面形状が略L字状の板状部材であり、回転軸7aを中心として回転アーム部7を回転させる。装着部14は、
図5~
図7に示すように、支点Oから所定距離だけ離れた回転アーム部7の作用点P
3に回転力を作用させるてことして機能し、回転アーム部7の作用点P
3に装着されている。装着部14は、
図7(B)に示すように、回転アーム部7を挟み込むように回転アーム部7と接合する接合部14aと、
図7(A)(B)に示すように接合部14aを回転アーム部7に着脱自在に締結するボルト及びナットなどの締結部14bと、原動機12A~12Cの原動軸12aからの回転力によって回転駆動する回転軸14cなどを備えている。
【0027】
図1~
図7に示す自在継手部15は、原動機12A~12Cの原動軸12aと回転軸14cとを連結する手段である。自在継手部15は、例えば、原動機12A~12Cの原動軸12aから装着部14の回転軸14cに回転力を伝達するユニバーサルジョイントなどの軸継手である。自在継手部15は、
図7に示すように、原動機12A~12Cの原動軸12aと装着部14の回転軸(従動軸)14cとを連結する。自在継手部15は、継手部16A,16Bと連結部17などを備えている。
【0028】
図7に示す継手部16Aは、原動機12A~12Cの原動軸12aと連結部17とを回転自在に連結する手段であり、継手部16Bは装着部14の回転軸14cと連結部17とを回転自在に連結する手段である。継手部16A,16Bは、原動機12A~12Cの原動軸12aの中心線L
12と装着部14の回転軸14cの中心線L
11とがずれている場合であっても、原動機12A~12Cから装着部14に回転力を伝達する。継手部16A,16Bは、クロス軸(十字軸)16aと、ヨーク16b,16cと、嵌合部16d,16eなどを備えている。
【0029】
クロス軸16aは、ヨーク16bとヨーク16cとを連結する部材である。クロス軸16aは、ヨーク16bに回転自在に連結される回転軸16fと、この回転軸16fに対して直交しヨーク16cに回転自在に連結される回転軸16gなどを備えている。ヨーク16bは、クロス軸16aの回転軸16fを回転自在に支持する部材であり、ヨーク16cはクロス軸16aの回転軸16gを回転自在に支持する部材である。ヨーク16b,16cは、断面形状が略U字状の部材であり、クロス軸16aの回転軸16f,16gを回転自在に支持する軸受として機能する。嵌合部16dは、原動機12A~12Cの原動軸12aが嵌合する部分であり、嵌合部16eは装着部14の回転軸14cが嵌合する部分である。嵌合部16dは、継手部16A側のヨーク16bに形成されており、嵌合部16eは継手部16B側のヨーク16bに形成されている。
【0030】
連結部17は、継手部16Aと継手部16Bとを連結する手段である。連結部17は、原動機12A~12Cの原動軸12aと装着部14の回転軸14cとの間の距離が一定ではない場合であっても、原動機12A~12Cから装着部14に回転力を伝達する。連結部17は、連結軸17a,17bを備えている。連結軸17a,17bは、互いに嵌合した状態で長さ方向にスライド自在の部材である。連結軸17aは、この連結軸17aの長さ方向に沿って、この連結軸17aの周方向に等間隔に凹凸部(歯)が形成されているスプライン軸である。連結軸17bは、連結軸17bが嵌合する嵌合穴17cを備えている。連結軸17bは、連結軸17aの外周面の凹凸部と嵌合する凹凸部が、この連結軸17bの長さ方向に沿ってこの連結軸17bの嵌合穴の内周面に形成されている。連結軸17aは、一方の端部にヨーク16bが形成されており、他方の端部が連結軸17bの嵌合穴17cに挿入されている。連結軸17bは、一方の端部にヨーク16cが形成されており、他方の端部に連結軸17aが嵌合している。連結軸17a,17bは、連結軸17a側の凹凸部と連結軸17b側の凹凸部とを噛み合わせることによって一体となって回転し、継手部16Aから継手部16Bに回転力を伝達する。
【0031】
図1~
図4に示す動作指令部18は、原動機12A~12Cに動作を指令する手段である。動作指令部18は、横取り装置4を自動的に転換動作させるときに作業者によって操作される。動作指令部18は、原動機12A~12Cの動作を切り替える切替スイッチである。動作指令部18は、例えば、原動機12A~12Cを一括して動作させる一括動作モードと、原動機12A~12Cを個別に動作させる個別動作モードと、横取り材5A~5Cが非使用位置P
2から使用位置P
1まで回転するように原動機12A~12Cを動作させる使用開始動作モードと、横取り材5A~5Cが使用位置P
1から非使用位置P
2まで回転するように原動機12A~12Cを動作させる使用終了動作モードとを作業者の選択によって指令する。
【0032】
次に、この発明の第1実施形態に係る横取り装置の自動転換装置の動作を説明する。
図2に示すように、分岐線L
2から本線L
1に保守用車両を進入させるときや、本線L
1から分岐線L
2に保守用車両を進出させるときには、
図6に示す鎖錠機構部10Bの固定軸部10aを作業者が後退させると、横取り材5A~5Cが非使用位置P
2で固定解除される。次に、
図1~
図4に示す動作指令部18を作業者が操作して使用開始動作モードを使用者が選択すると、原動機12A~12Cが動作を開始する。このとき、一括動作モードを使用者が選択したときには、原動機12A~12Cが同時に動作を開始し、個別動作モードを使用者が選択したときには、原動機12A~12Cが任意の順番で動作を開始する。
【0033】
原動機12A~12Cが駆動すると、
図7に示す原動軸12aが回転して自在継手部15を介して装着部14の回転軸14cが回転する。装着部14が回転軸14cを回転中心として回転すると、
図1及び
図6に示す横取り材5A~5Cの回転アーム部7が回転軸7aを回転中心として回転する。このため、
図2~
図5に示すように、横取り材5A~5Cが非使用位置P
2から使用位置P
1まで回転し、原動機12A~12Cが動作を停止する。横取り材5A~5Cが使用位置P
1まで回転した状態で、
図5に示す鎖錠機構部10Aの固定軸部10aを作業者が前進させると、固定軸部10aが横取り材5A~5Cを掛け止めして、横取り材5A~5Cが使用位置P
1で固定される。このため、
図2に示すように、本線L
1側のレール2R,2Lと分岐線L
2側のレール2R,2Lとの間の隙間Δ
A,Δ
Bを跨ぐように、横取り材5A,5Bがこれらのレール2R,2Lに装着される。また、本線L
1側のレール2Lを乗り越えて、本線L
1側のレール2Rと分岐線L
2側のレール2Lとの間の隙間Δ
Cを跨ぐように、横取り材5Cが分岐線L
2側のレール2Lに装着される。その結果、
図2に二点鎖線で示すように、保守用車両の車輪1R,1Lが分岐線L
2側のレール2R,2Lから横取り材5A~5Cを通過して本線L
1側のレール2R,2Lに転動する。
【0034】
図2に示すように、分岐線L
2から本線L
1に保守用車両を進入させた後や、本線L
1から分岐線L
2に保守用車両を進出させた後には、
図5に示す鎖錠機構部10Aの固定軸部10aを作業者が後退させると、横取り材5A~5Cが使用位置P
1で固定解除される。次に、
図1~
図4に示す動作指令部18を作業者が操作して使用終了動作モードを使用者が選択すると、原動機12A~12Cが動作を開始する。このとき、一括動作モードを使用者が選択したときには、原動機12A~12Cが同時に動作を開始し、個別動作モードを使用者が選択したときには、原動機12A~12Cが任意の順番で動作を開始する。
【0035】
原動機12A~12Cが駆動すると、
図7に示す原動軸12aが逆方向に回転し、自在継手部15を介して装着部14の回転軸14cが逆方向に回転する。装着部14が回転軸14cを回転中心として回転すると、
図2及び
図5に示す横取り材5A~5Cの回転アーム部7が回転軸7aを回転中心として回転する。このため、
図1及び
図6に示すように、横取り材5A~5Cが使用位置P
1から非使用位置P
2まで回転して、原動機12A~12Cが動作を停止する。横取り材5A~5Cが非使用位置P
2まで回転した状態で、
図6に示す鎖錠機構部10Bの固定軸部10aを作業者が前進させると、固定軸部10aが横取り材5A~5Cを掛け止めして、横取り材5A~5Cが非使用位置P
2で固定される。このため、
図1に示すように、本線L
1側のレール2R,2Lと分岐線L
2側のレール2R,2Lとの間に隙間Δ
A,Δ
Bが形成されるとともに、本線L
1側のレール2Rと分岐線L
2側のレール2Lとの間に隙間Δ
Cが形成される。その結果、
図1に二点鎖線で示すように、保守作業中には保守用車両の車輪1R,1Lが本線L
1側のレール2R,2Lを転動し、保守作業終了後には営業車両の車輪1R,1Lが本線L
1側のレール2R,2Lを転動する。
【0036】
この発明の第1実施形態に係る横取り装置の自動転換装置には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、本線L1と分岐線L2との間の隙間ΔA~ΔCに着脱自在に装着されて車両の車輪1R,1Lを通過させる横取り材5A~5Bを、使用位置P1と非使用位置P2との間で原動機12A~12Cが駆動する。このため、簡単な構造によって横取り材5A~5Cを自動的に転換することができる。
【0037】
(2) この第1実施形態では、横取り材5A~5Cを支持した状態で支点Oを中心として回転する回転アーム部7を横取り装置4が備えており、回転アーム部7に装着される装着部14の回転軸14cを原動機12A~12Cが回転駆動する。このため、例えば、既設の横取り装置4の回転アーム部7に後付けで自動転換装置11を敷設するだけで、横取り装置4の転換作業を軽減することができる。また、回転アーム部7の支点Oから離れた回転アーム部7の作用点P3に装着部14を装着するだけで、比較的小さな回転力によって回転アーム部7を回転させることができる。このため、小型の原動機12A~12Cによって回転アーム部7を回転させることができる。その結果、横取り装置4の基本構造を改変する必要がなく、低コストで自動転換装置11を敷設することができる。
【0038】
(3) この第1実施形態では、原動機12A~12Cの原動軸12aと回転軸14cとを自在継手部15が連結する。このため、原動機12A~12Cの原動軸12a側の中心線L12と、装着部14の回転軸14c側の中心線L11とがずれていても、原動機12A~12Cから装着部14に回転力を確実に伝達することができる。また、装着部14が取り付けられるまくらぎ3の高さと、原動機12A~12Cが取り付けられるまくらぎ3の高さとが異なっていても、原動機12A~12Cから装着部14に回転力を確実に伝達することができる。同様に、装着部14が取り付けられるまくらぎ3と、原動機12A~12Cが取り付けられるまくらぎ3との間隔が異なっていても、原動機12A~12Cから装着部14に回転力を確実に伝達することができる。さらに、横取り装置4の構成部材や軌道の構成部材を避けて原動機12A~12Cを任意の位置に設置することができる。
【0039】
(第2実施形態)
以下では、
図1~
図7に示す部分と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図8~
図10に示す横取り装置4は、例えば、
図5~
図7に示す横取り装置4とは異なり、新設の横取り装置4であり自動転換装置11を備えている。
図8~
図10に示す回転アーム部7は、
図5~
図7に示す回転アーム部7よりも回転軸7aが長い。
図8~
図10に示す回転軸7aは、例えば、既設の横取り装置4の回転アーム部7の回転軸7aよりも長さが長い回転軸7aである。
【0040】
図8~
図10に示す自動転換装置11は、
図5~
図7に示す自動転換装置11とは異なり、装着部14が省略されている。原動機12A~12Cは、
図8~
図10に示すように、回転アーム部7の回転軸7aを回転駆動する原動軸12aを備えており、回転アーム部7の回転軸7aを回転することによって回転アーム部7を直接回転させる。
図10に示す自在継手部15は、原動機12A~12Cの原動軸12aと回転軸7aとを連結する手段である。自在継手部15は、原動機12A~12Cの原動軸12aから回転アーム部7の回転軸7aに回転力を伝達するユニバーサルジョイントなどの軸継手である。自在継手部15は、原動機12A~12Cの原動軸12aと回転アーム部7の回転軸(従動軸)7aとを連結する。継手部16Bは、回転アーム部7の回転軸7aと連結部17とを回転自在に連結する手段である。継手部16A,16Bは、原動機12A~12Cの原動軸12aの中心線L
12と回転アーム部7の回転軸14cの中心線L
10とがずれている場合であっても、原動機12A~12Cから回転アーム部7に回転力を伝達する。嵌合部16eは回転アーム部7の回転軸7aが嵌合する部分である。連結部17は、原動機12A~12Cの原動軸12aと回転アーム部7の回転軸7aとの間の距離が一定ではない場合であっても、原動機12A~12Cから回転アーム部7に回転力を伝達する。
【0041】
次に、この発明の第2実施形態に係る横取り装置の自動転換装置の動作を説明する。
図2に示すように、分岐線L
2から本線L
1に保守用車両を進入させるときや、本線L
1から分岐線L
2に保守用車両を進出させるときには、
図1~
図4に示す動作指令部18を作業者が操作して使用開始動作モードを使用者が選択する。その結果、原動機12A~12Cが駆動すると、
図10に示す原動軸12aが回転し、自在継手部15を介して回転アーム部7の回転軸7aが回転する。回転アーム部7が回転軸7aを回転中心として回転すると、
図8に示すように横取り材5A~5Cが非使用位置P
2から使用位置P
1まで回転し、原動機12A~12Cが動作を停止する。
【0042】
図1に示すように、分岐線L
2から本線L
1に保守用車両を進入させた後や、本線L
1から分岐線L
2に保守用車両を進出させた後には、
図1~
図4に示す動作指令部18を作業者が操作して使用終了動作モードを使用者が選択する。その結果、原動機12A~12Cが駆動すると、
図10に示す原動軸12aが逆方向に回転し、自在継手部15を介して回転アーム部7の回転軸7aが逆方向に回転する。回転アーム部7が回転軸7aを回転中心として回転すると、
図9に示すように横取り材5A~5Cが使用位置P
1から非使用位置P
2まで回転し、原動機12A~12Cが動作を停止する。
【0043】
この発明の第2実施形態に係る横取り装置の自動転換装置及び横取り装置には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第2実施形態では、横取り材5A~5Cを支持した状態で支点Oを中心として回転する回転アーム部7を横取り装置4が備えており、回転アーム部7の回転軸7aを原動機12A~12Cが回転駆動する。このため、例えば、横取り装置4を新設するときに回転アーム部7の回転軸7aを利用して原動機12A~12Cによって回転軸7aを回転駆動することができる。その結果、自動転換装置11の構造を簡単にすることができ、自動転換装置11の低コスト化を図ることができる。
【0044】
(2) この第2実施形態では、横取り装置4が自動転換装置11を備えている。このため、例えば、回転アーム部7の回転軸7aを原動機12A~12Cによって回転駆動が可能な構造で横取り装置4を製造しておき、横取り装置4を現場に搬入して新設することができる。
【0045】
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、横取り装置4によって本線L1と分岐線L2との間で保守用車両を走行させる場合を例に挙げて説明したが、この発明を保守用車両に限定するものではない。例えば、軌道及び道路の双方を走行可能な軌陸車、工具及び材料を運搬する台車(トロ)、軌道上で作業者を移動させるモータカー、道床バラストを作業現場まで搬送するバラスト運搬車、レールを搭載して運搬するレール運搬車、軌道の道床バラストを連続して突き固めるマルチプルタイタンパーなどの工事用車両についても、この発明を適用することができる。また、この実施形態では、原動機12A~12Cが電動機である場合を例に挙げて説明したが、空気又は油などの作動流体によって横取り材5A~5Cを駆動する流体圧シリンダ又は流体圧モータなどの原動機である場合についても、この発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、自在継手部15がユニバーサルジョイントである場合を例に挙げて説明したが、僅かにずれた軸同士の間で回転力を伝達するオルダム継手などの他の軸継手についても、この発明を適用することができる。
【0046】
(2) この実施形態では、原動機12A~12Cの原動軸12aから自在継手部15を介して回転軸7a,24cに回転力を伝達する場合を例に挙げて説明したが、原動機12A~12Cの原動軸12aから回転軸7a,24cにたわみ軸継手などの軸継手を介して直接回転力を伝達する場合についても、この発明を適用することができる。また、この第1実施形態では、既設の横取り装置4の回転アーム部7に装着部14を装着する場合を例に挙げて説明したが、新設の横取り装置4の回転アーム部7に装着部14を装着する場合についても、この発明を適用することができる。さらに、この第2実施形態では、新設の横取り装置4に適用する場合を例に挙げて説明したが既設の横取り装置4についても、この発明を適用することができる。この場合には、既設の横取り装置4の回転アーム部7の回転軸7aを長さが長い回転軸7aに交換することによって、自動転換装置11を後付けで設置することができる。
【符号の説明】
【0047】
1R,1L 車輪
2R,2L レール
3 まくらぎ
4 横取り装置
5A~5C 横取り材
6A~6C 台レール
7 回転アーム部
7a 回転軸
8 支持部
10A,10B 鎖錠機構部
11 自動転換装置
12A~12C 原動機
12a 原動軸
13 支持部
14 装着部
14c 回転軸
15 自在継手部
16A,16B 継手部
16a クロス軸
16b,16c ヨーク
16d,16e 嵌合部
16f,16g 回転軸
17 連結部
17a,17b 連結軸
17c 嵌合穴
18 動作指令部
L1 本線
L2 分岐線
P1 使用位置
P2 非使用位置
P3 作用点
O 支点
L10~L12 中心線
ΔA~ΔC 隙間