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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】物干し器具
(51)【国際特許分類】
   D06F 53/04 20060101AFI20230915BHJP
   D06F 57/00 20060101ALI20230915BHJP
   D06F 57/06 20060101ALI20230915BHJP
【FI】
D06F53/04
D06F57/00 360
D06F57/00 370
D06F57/00 380
D06F57/06
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019216185
(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公開番号】P2021083834
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】519427011
【氏名又は名称】伊奈垣 由美
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【弁理士】
【氏名又は名称】黒住 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100215393
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 祐資
(74)【代理人】
【識別番号】100205589
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 和将
(74)【代理人】
【識別番号】100194478
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 文彦
(72)【発明者】
【氏名】伊奈垣 由美
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-095228(JP,U)
【文献】実開昭61-103094(JP,U)
【文献】登録実用新案第3170336(JP,U)
【文献】実公昭51-052520(JP,Y1)
【文献】実開昭64-004392(JP,U)
【文献】実開昭61-184590(JP,U)
【文献】中国実用新案第2658202(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 53/04
D06F 57/00~57/12
A47G 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に設置される脚台部と、
脚台部の上側に多段で支持される複数の物干しユニットと
を備え、
それぞれの物干しユニットが、
上下方向に延びる支柱部と、
当該支柱部の外方に張り出した物干し部と、
当該物干しユニットを他の部材から吊り下げた状態とするために当該他の部材に掛止するためのフック部と
で構成され、
一の物干しユニットの支柱部を脚台部に立て、当該一の物干しユニットの支柱部の上側に他の物干しユニットの支柱部を連結していくことによって、物干し部が多段に設けられたスタンド式の物干しとして使用することができる一方、
それぞれの物干しユニットを互いに分離することによって、それぞれの物干しユニットを独立した吊り下げ式の物干しとして使用することができるようにするとともに、
それぞれの物干しユニットにおけるフック部が、当該物干しユニットにおける支柱部の上端部に取り外し可能な状態で取り付けられ、
スタンド式の物干しとして使用する際には、フック部を支柱部の上端部から取り外し、
吊り下げ式の物干しとして使用する際には、フック部を支柱部の上端部に取り付けることができる
ようにしたことを特徴とする物干し器具。
【請求項2】
それぞれの物干しユニットが、当該物干しユニットにおけるフック部を当該物干しユニットにおける支柱部又は物干し部に連結するための連結用線材を備えた請求項記載の物干し器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯物等を干すための物干し器具に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外に洗濯物を干しているときに雨が降ってくると、洗濯物を屋内に取り込まなければならない。このときに洗濯物がまだ乾いていなければ、洗濯物を屋内で干し直す必要がある。しかし、屋内には、洗濯物を干すのに適した場所がないことも多い。このような場合には、特許文献1の図1に示されるような物干しスタンドを屋内に設置して、それに洗濯物を干すことが行われている。しかし、屋外に干していた洗濯物を屋内用の物干しスタンドに干し直すのは手間である。
【0003】
このような実状に鑑みてか、これまでには、床面に設置される脚台部と、脚台部の上側に着脱可能な状態で支持される物干しユニットとを備え、その物干しユニットに、物干し竿等に掛止するためのフック部を設けた物干し器具が提案されている。例えば、特許文献2の図1に記載された物干し用具A(物干し器具)は、三脚5(脚台部)とハンガー2(物干しユニット)とに分離可能な構造を有しており、そのハンガー2には、フック1(フック部)が設けられている。また、特許文献3の図1に記載された物干しハンガー(物干し器具)は、スタンド1(脚台部)とハンガー8(物干しユニット)とに分離可能な構造を有しており、そのハンガー8には、吊かけ金具9(フック部)が設けられている。
【0004】
この種の物干し器具は、物干しユニットを脚台部の上側に支持させると、スタンド式の物干し(いわゆる「物干しスタンド」)として使用することができる一方、物干しユニットを脚台部から取り外してフック部を物干し竿等に引っ掛けると、その物干しユニットを吊り下げ式の物干し(いわゆる「物干しハンガー」)として使用することができるものとなっている。このため、上述したように洗濯物の干し直しを行う場合でも、吊り下げ式の物干しとして使用していた物干しユニットを、物干し竿等から取り外し、その状態のまま屋内に運んで脚台部に支持させれば済むようになる。したがって、洗濯物の干し直しに要する手間を大幅に軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-369999号公報
【文献】特開平11-019396号公報
【文献】特開2004-344644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2や特許文献3の物干し器具は、1つの脚台部に1つの物干しユニットしか支持させることができない構造となっている。このため、これらの物干し器具では、洗濯物が大量にあり、複数の物干しユニットを使用する場合には、物干しユニットと同数の脚台部を用意しておく必要があった。したがって、スタンド式の物干しとして使用するときに、場所を取りやすいという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、洗濯物の干し直しの手間を軽減するだけでなく、スタンド式の物干しとして使用するときに場所を取りにくい構造の物干し器具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、
床面に設置される脚台部と、
脚台部の上側に多段で支持される複数の物干しユニットと
を備え、
それぞれの物干しユニットが、
上下方向に延びる支柱部と、
当該支柱部の外方に張り出した物干し部と、
当該物干しユニットを他の部材(物干し竿等)から吊り下げた状態とするために当該他の部材に掛止するためのフック部と
で構成され、
一の物干しユニットの支柱部を脚台部に立て、当該一の物干しユニットの支柱部の上側に他の物干しユニットの支柱部を連結していくことによって、物干し部が多段に設けられたスタンド式の物干しとして使用することができる一方、
それぞれの物干しユニットを互いに分離することによって、それぞれの物干しユニットを独立した吊り下げ式の物干しとして使用することができる
ようにしたことを特徴とする物干し器具
を提供することによって解決される。
【0009】
本発明の物干し器具は、上記のように、複数の物干しユニットを備えていることに加えて、スタンド式の物干しとして使用する場合に、それらの物干しユニットを脚台部の上側に多段で支持させることができるものとなっている。このため、スタンド式の物干しとして使用するときに、少ないスペースに大量の洗濯物を干すことが可能になる。
【0010】
本発明の物干し器具においては、
それぞれの物干しユニットにおけるフック部を、当該物干しユニットにおける支柱部の上端部に取り外し可能な状態で取り付け、
スタンド式の物干しとして使用する際には、フック部を支柱部の上端部から取り外し、
吊り下げ式の物干しとして使用する際には、フック部を支柱部の上端部に取り付ける
ことができるようにする
ことが好ましい。
【0011】
というのも、支柱部や物干し部に対してフック部を完全に固定した状態で設けると、スタンド式の物干しとして使用するとき(一の物干しユニットの支柱部の上側に他の物干しユニットの支柱部を連結するとき)に、フック部が邪魔になるおそれがあるところ、上記の構造を採用することによって、支柱部を連結する際にフック部が邪魔にならないようにすることができるからである。この構造を採用する場合には、それぞれの物干しユニットに、当該物干しユニットにおけるフック部を当該物干しユニットにおける支柱部又は物干し部に連結するための連結用線材を設けることが好ましい。これにより、フック部を紛失しないようにすることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によって、洗濯物の干し直しの手間を軽減するだけでなく、スタンド式の物干しとして使用するときに場所を取りにくい構造の物干し器具を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の物干し器具をスタンド式の物干しとして使用している状態を示した斜視図である。
図2】本発明の物干し器具を分解した状態を示した斜視図である。
図3】本発明の物干し器具における各段の物干しユニットを吊り下げ式の物干しとして使用している状態を示した斜視図である。
図4】本発明の物干し器具における脚台部の支柱部の上端部周辺を拡大して示した図であって、(a)脚台部の支柱部に物干しユニットの支柱部を連結する前の状態と、(b)脚台部の支柱部に物干しユニットの支柱部を連結した後の状態とを、それぞれ示した図である。
図5】本発明の物干し器具における物干しユニットの支柱部の上端部周辺を拡大して示した図であって、(a)下段の物干しユニットの支柱部に上段の物干しユニットの支柱部を連結する前の状態と、(b)下段の物干しユニットの支柱部に上段の物干しユニットの支柱部を連結した後の状態とを、それぞれ示した図である。
図6】本発明の物干し器具における物干しユニットのフック部周辺を拡大して示した図であって、(a)物干しユニットの支柱部にフック部を取り付ける前の状態と、(b)物干しユニットの支柱部にフック部を取り付けた後の状態とを、それぞれ示した図である。
図7】他の実施態様の物干し器具におけるフック部周辺を拡大して示した図であって、(a)物干しユニットの支柱部にフック部を取り付ける前の状態と、(b)物干しユニットの支柱部にフック部を取り付けた後の状態とを、それぞれ示した図である。
図8】さらに別の実施態様の物干し器具におけるフック部周辺を拡大して示した図であって、(a)物干しユニットの支柱部にフック部を取り付ける前の状態と、(b)物干しユニットの支柱部にフック部を取り付けた後の状態とを、それぞれ示した図である。
図9】本発明の物干し器具を構成する物干しユニットのフック部のバリエーションを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の物干し器具の好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。以下で述べる構造は、飽くまで一例であり、本発明の物干し器具の技術的範囲は、以下の構造に限定されない。本発明の物干し器具には、発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更を施すことができる。
【0015】
図1は、本発明の物干し器具1をスタンド式の物干しとして使用している状態を示した斜視図である。本発明の物干し器具1は、図1に示すように、床面に設置される脚台部10と、脚台部10の上側に多段(同図の例では3段)で支持された複数の物干しユニット20(物干しユニット21,22,23)とを備えている。それぞれの物干しユニット20には、洗濯物を干すための物干し部20aが設けられている。物干し部20aは、上下方向に延びる支柱部20bから外方に張り出した状態となっている。物干し部20aを有する物干しユニット20を多段に配することで、少ないスペースに大量の洗濯物を干すことが可能になる。図1に示す状態の物干し器具1(スタンド式の物干し)は、洗濯物を屋内に干す場合に好適に使用することができる。
【0016】
1台の物干し器具1に備える物干しユニット20の数は、2以上であれば、特に限定されない。しかし、物干しユニット20の数を多くしすぎると、スタンド式の物干しとして使用するときの物干し器具1が高くなり過ぎてしまう。このため、スタンド式の物干しの上部が部屋の天井に当たるおそれや、スタンド式物干しの安定性が低下するおそれがある。したがって、物干しユニット20の数は、通常、5以下に抑えられる。物干しユニット20の数は、3又は4とすることが好ましい。
【0017】
各段の物干しユニット20の形態は、同じに揃えてもよいし、異ならせてもよい。図1の例では、1段目の物干しユニット21と、3段目の物干しユニット23とを、同一の形態としているが、2段目の物干しユニット22は、1段目及び3段目の物干しユニット21,23と異なる形態としている。具体的には、1段目及び3段目の物干しユニット21,23では、支柱部20bを中心として放射状に延びる複数本の棒材で物干し部20aを構成しているのに対し、2段目の物干しユニット22では、枠状に組み合わせた複数本の棒材で物干し部20aを構成している。物干し部20aは、それ以外(放射状又は枠状以外)の形態とすることもできる。このように、各段の物干しユニット20の形態に変化を持たせることで、様々な種類の洗濯物を1台の物干し器具1に干しやすくなる。
【0018】
図2は、本発明の物干し器具1を分解した状態を示した斜視図である。本発明の物干し器具1は、図1に示したスタンド式の物干しの状態から、図2に示すように、脚台部10と各段の物干しユニット20とに分解することができる。すなわち、支柱部20bを、各段の物干しユニット20の上側又は下側に位置する部分で分離することにより、複数の物干しユニット20を段ごとに取り外すことができるようになっている。物干し器具1を分解すると、支柱部20bは、各段の物干しユニット20に分かれて存在するようになる。
【0019】
それぞれの物干しユニット20には、上記の物干し部20aと支柱部20bに加えて、フック部20cも設けられている。このため、分離した物干しユニット20は、図3に示すように、そのフック部20cを物干し竿2等に掛止することで、その物干し竿2等から吊り下げた状態とすることができる。すなわち、それぞれの物干しユニット1を、独立した吊り下げ式の物干しとして使用することができる。図3は、本発明の物干し器具1における各段の物干しユニット20を吊り下げ式の物干しとして使用している状態を示した斜視図である。図3に示す状態の物干し器具1(吊り下げ式の物干し)は、洗濯物を屋外に干す場合に好適に使用することができる。
【0020】
本発明の物干し器具1は、例えば、以下のような場面で威力を発揮する。すなわち、図3に示すように、各段の物干しユニット20を吊り下げ式の物干し(物干しハンガー)として物干し竿2から吊り下げ、洗濯物を屋外に干している場面を想定する。このとき、雨が降り始めると、洗濯物を屋内に取り込む必要がある。しかし、このような場合でも、物干しユニット20(物干しハンガー)に洗濯物を干した状態のまま、それぞれの物干しユニット20(物干しハンガー)を物干し竿2から取り外し、屋内に取り込むことができる。屋内に取り込んだ物干しユニット20(物干しハンガー)は、図1に示すように、脚台部10の上側に多段に支持させることで、スタンド式の物干し(物干しスタンド)の形態にすることができる。このため、物干しユニット20(物干しハンガー)から洗濯物を取り外す手間や、洗濯物を別の物干しに干す手間を要することなく、洗濯物を屋外から屋内へ干し直すことができる。すなわち、洗濯物の干し直しの手間を大幅に軽減することが可能になる。
【0021】
また、洗濯物を屋外へ干す際の手間やストレスを軽減することもできる。というのも、洗濯を終えたばかりの洗濯物を屋外に干す際には、通常、[1]洗濯物を洗濯機から洗濯カゴに移し替える、[2]洗濯カゴと物干しハンガーを屋外(物干し竿の近く)に運ぶ、[3]物干し竿に物干しハンガーを吊るす、[4]物干しハンガーに洗濯物を干す、という流れで作業を行う。これに対し、本発明の物干し器具1を用いると、[1]図1に示すようにスタンド式の物干し(物干しスタンド)の状態にした物干し器具1を洗濯機のそばに設置する、[2]洗濯機から取り出した洗濯物を各段の物干しユニット20に干していく、[3]物干しユニット20(物干しハンガー)を分離して屋外の物干し竿の近くに運ぶ、[4]図3に示すように物干しユニット20(物干しハンガー)を物干し竿2に吊り下げる、という流れで作業を行うことができるようになるからである。すなわち、本発明の物干し器具1を用いると、洗濯物を洗濯機から洗濯カゴに移し替える手間や、洗濯カゴを運ぶ手間を無くすことができる。加えて、屋外での作業時間が短くて済むため、暑い日や寒い日に屋外で洗濯物を干す際のストレスを軽減することも可能になる。
【0022】
ところで、脚台部10は、その上側に物干しスタンド20を支持できるものであれば、その具体的な構造を限定されない。脚台部10は、カメラの三脚のように、複数本の脚部を有するものとしてもよいが、図1の例では、円盤状乃至錐台状の設置部10aと、設置部10aの中心から上向きに立設された支柱部10bとで脚台部10を構成している。本発明の物干し器具1をスタンド式の物干しとして使用する場合には、支柱部10bの上端部に、1段目の物干しユニット21における支柱部20bの下端部が連結される。本例においては、図4に示すように、支柱部10bの上端部を、支柱部10bにおける他の部分よりも外径の小さな縮径部としており、この縮径部に対して、パイプ状に形成された支柱部20bの下端部を挿入することで、支柱部10bに支柱部20bを連結するようにしている。図4は、本発明の物干し器具1における脚台部10の支柱部10bの上端部周辺を拡大して示した図である。図4(a)は、脚台部10の支柱部10bに物干しユニット20の支柱部20bを連結する前の状態を、図4(b)は、脚台部10の支柱部10bに物干しユニット20の支柱部20bを連結した後の状態をそれぞれ示している。
【0023】
また、既に述べたように、本発明の物干し器具1は、脚台部10の上側に、物干しユニット20を多段に支持させることで、スタンド式の物干し(物干しスタンド)として使用することができる。このときには、図1に示すように、各段の物干しユニット20における支柱部20bを上下方向に連結する。物干しユニット20の支柱部20b同士の連結は、脚台部10の支柱部10bと物干しユニット20の支柱部20bとを連結するときと同様の構造を採用することができる。すなわち、図5に示すように、支柱部20bの上端部を、支柱部20bにおける他の部分よりも外径の小さな縮径部として、この縮径部(下段の物干しユニット20の支柱部20bにおける拡径部)に対して、パイプ状に形成された支柱部20b(上段の物干しユニット20の支柱部20b)の下端部を挿入することで、支柱部20b同士を連結することができる。図5は、本発明の物干し器具1における物干しユニット20の支柱部20bの上端部周辺を拡大して示した図である。図5(a)は、下段の物干しユニット20の支柱部20bに上段の物干しユニット20の支柱部20bを連結する前の状態を、図5(b)は、下段の物干しユニット20の支柱部20bに上段の物干しユニット20の支柱部20bを連結した後の状態をそれぞれ示している。
【0024】
ただし、図5の構造を採用すると、物干しユニット20における支柱部20bの上端部に、フック部20c(図3)を設けにくくなる。物干し器具1をスタンド式の物干しとして使用するとき(下段の物干しユニット20の支柱部20bの上側に上段の物干しユニット20の支柱部20bを連結するとき)に、フック部20cが邪魔になるおそれがあるからである。このため、本実施態様においては、図6に示すように、フック部20cを、物干しユニット20における支柱部20bの上端部に取り外し可能な状態で取り付けている。図6は、本発明の物干し器具1における物干しユニット20のフック部20c周辺を拡大して示した図である。図6(a)は、支柱部20bにフック部20cを取り付ける前の状態を、図6(b)は、支柱部20bにフック部20cを取り付けた後の状態をそれぞれ示している。これにより、図3に示すように、本発明の物干し器具1を吊り下げ式の物干しとして使用する際には、フック部20cを支柱部20bの上端部に取り付けることで、物干しユニット20(物干しハンガー)を物干し竿2等から吊り下げることができる一方、図1に示すように、本発明の物干し器具1をスタンド式の物干し(物干しスタンド)として使用する際には、フック部20cを支柱部20bの上端部から取り外し、フック部20cが支柱部20b同士の連結の邪魔にならないようにすることができる。フック部20cは、連結用線材20d(ワイヤーやチェーン等)で支柱部20bに対して連結しており、フック部20cを紛失しないようにしている。
【0025】
ここで、支柱部20bにフック部20cを挿し込んだだけであると、図3に示すように、物干しユニット20を物干し竿2等に吊り下げるときに、フック部20cが支柱部20bから抜けてしまう。このため、本実施態様においては、図6(a)に示すように、支柱部20bの上端部に、貫通孔20bを設けるとともに、フック部20cの下端部における、貫通孔20bに重なる箇所(支柱部20bにフック部20cを挿し込んだ際に重なる箇所)に、貫通孔20cを設けており、図6(b)に示すように、これらの貫通孔20bと貫通孔20cとに、共通の抜け止めピン20eを挿入することで、フック部20cが支柱部20bから抜けないようにしている。抜け止めピン20eは、連結用線材20f(ワイヤーやチェーン等)でフック部20cに対して連結しており、抜け止めピン20eを紛失しないようにしている。
【0026】
このほか、図7に示すように、付勢部材20g(コイルバネ等)で外方に付勢された係止部材20hを、支柱部20bにおける貫通孔20bに配置することでも、フック部20cが支柱部20bから抜けないようにすることができる。図7は、他の実施態様の物干し器具1におけるフック部20c周辺を拡大して示した図である。図7(a)は、支柱部20bにフック部20cを取り付ける前の状態を、図7(b)は、支柱部20bにフック部20cを取り付けた後の状態をそれぞれ示している。図7(a)に示した状態から、係止部材20hを貫通孔20bの内側(奥側)に指等で押し込むことで、図7(b)に示す状態まで、支柱部20bにフック部20cを挿し込むことができる。図7(b)の位置までフック部20cが挿し込まれると、付勢部材20gの付勢力によって、係止部材20hが初期位置に復帰し、貫通孔20cに係止部材20hが係止した状態となる。一方、図7(b)に示す状態から、貫通孔20c等を通じて、係止部材20hを貫通孔20bの内側(奥側)に指等で押し込むと、支柱部20bからフック部20cを引き抜くことができるようになる。
【0027】
また、図8に示すように、支柱部20bの上端部にフック部20cを螺合するようにしても、フック部20cが支柱部20bから抜けないようにすることができる。図8は、さらに別の実施態様の物干し器具1におけるフック部20c周辺を拡大して示した図である。図8(a)は、支柱部20bにフック部20cを取り付ける前の状態を、図8(b)は、支柱部20bにフック部20cを取り付けた後の状態をそれぞれ示している。すなわち、支柱部20bの上端部付近の外周面に、ネジ山20bを形成するとともに、ナット部材20jを、フック部20cの下端部に対して回転可能な状態で取り付ける。ナット部材20jの内周面には、ネジ溝20jを形成している。これにより、図8(a)に示す状態から、ナット部材20jを一方に回転させながら、支柱部20bの上端部にフック部20cの下端部を挿し込むと、図8(b)に示すように、ナット部材20jのネジ溝20jが、支柱部20bのネジ山20bに螺合された状態となる。また、ナット部材20jを他方に回転させながら、フック部20cを上側に引っ張ると、支柱部20bからフック部20cを引き抜くことができる。
【0028】
ところで、上述した物干しユニット20では、そのフック部20cが鉤状となっていた。このため、図3に示すように、物干しユニット20を物干し竿2から吊り下げているときに強風が吹くと、物干しユニット20が風に煽られて、物干し竿2から落ちることがある。物干し竿2から物干しユニット20が落ちると、洗濯物が汚れて、もう一度洗濯しなければならなくなるおそれがある。このため、物干しユニット20のフック部20cには、以下の工夫を施すことが好ましい。
【0029】
図9は、本発明の物干し器具1を構成する物干しユニット20のフック部20cのバリエーションを示した図である。図9(a),(b),(c)に示したフック部20cは、いずれも、鉤状を為すフック部本体20cに対して、フック部開閉体20cが開閉可能な状態で取り付けられたものとなっている。図9(a)のフック部20cにおけるフック部開閉体20cは、「V」字状乃至は「L」字状を為しており、図9(b)のフック部20cにおけるフック部開閉体20cは、「I」字状を為しており、図9(c)のフック部20cにおけるフック部開閉体20cは、逆「U」字状乃至は逆「J」字状を為している。いずれのフック部開閉体20cも、図示省略の付勢部材(バネ等)で閉じる向きに付勢されている。このため、フック部本体20cの開放部分(物干し竿挿入口)をフック部開閉体20cが塞ぎ、フック部20cを物干し竿2に掛けると、フック部開閉体20cを開かない限りは、物干し竿2からフック部20cが脱落しないようにすることが可能となっている。
【0030】
ただし、上記の工夫だけでは、物干し竿2に対して物干しユニット20が動くことを防止できない。すなわち、図3に示すように、物干しユニット20を物干し竿2から吊り下げているときに強風が吹くと、物干し竿2から物干しユニット20が落ちないまでも、複数の物干しユニット20が物干し竿2の一端側に集まってしまうことがある。この場合には、複数の物干しユニット20に干された洗濯物が重なって乾きにくくなる。このため、フック部20cには、物干し竿2に対して動きにくくするための工夫を施すことが好ましい。例えば、フック部20cの表面(特に、物干し竿2に接触する部分の表面)に、シリコーンコーティング等、摩擦が大きくなるような処理を施すと、物干し竿2に対してフック部20cが動きにくくすることができる。
【符号の説明】
【0031】
1 物干し器具
2 物干し竿
10 脚台部
10a 設置部
10b 支柱部
20 物干しユニット
20a 物干し部
20b 支柱部
20b 貫通孔
20b ネジ山
20c フック部
20c 貫通孔
20c フック部本体
20c フック部開閉体
20d 連結用線材
20e 抜け止めピン
20f 連結用線材
20g 付勢部材
20h 係止部材
20j ナット部材
20j ネジ溝
21 1段目の物干しユニット
22 2段目の物干しユニット
23 3段目の物干しユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9