(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】歯周病関連菌及びう蝕関連菌に対する抗菌剤、歯周病予防治療用組成物、虫歯予防治療用組成物、歯肉改善用組成物、歯茎改善用組成物、プラーク(歯垢)蓄積抑制用組成物、口腔乾燥改善用組成物、唾液改善用組成物、口臭抑制用組成物、並びに、便秘改善用組成物。
(51)【国際特許分類】
A61K 36/54 20060101AFI20230915BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230915BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20230915BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20230915BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20230915BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20230915BHJP
A61K 127/00 20060101ALN20230915BHJP
【FI】
A61K36/54
A61P31/04
A61P1/02
A61K8/9789
A61Q11/00
A23L33/105
A61K127:00
(21)【出願番号】P 2021137231
(22)【出願日】2021-08-25
【審査請求日】2022-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】595132360
【氏名又は名称】株式会社常磐植物化学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【氏名又は名称】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】楊 金緯
(72)【発明者】
【氏名】國吉 智子
(72)【発明者】
【氏名】小林 夕希子
【審査官】柴原 直司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-179947(JP,A)
【文献】特開2012-067065(JP,A)
【文献】特開2003-206225(JP,A)
【文献】特開平04-027389(JP,A)
【文献】臨床環境医学, (2013), 22, [1], p.47-58
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/54
A61P 31/04
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
月桂樹(Laurus nobilis L.)抽出物を有効成分とする歯周病関連菌Tannerella forsythensisに対する抗菌剤。
【請求項2】
月桂樹(Laurus nobilis L.)抽出物を有効成分として含有する歯周病関連菌Tannerella forsythensisに対する抗菌組成物。
【請求項3】
食品組成物、医薬品組成物、医薬部外品組成物又は化粧品組成物である請求項2に記載の歯周病関連菌Tannerella forsythensisに対する抗菌組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯周病関連菌及びう蝕関連菌に対する抗菌剤、歯周病予防治療用組成物、虫歯予防治療用組成物、歯肉改善用組成物、歯茎改善用組成物、プラーク(歯垢)蓄積抑制用組成物、口腔乾燥改善用組成物、唾液改善用組成物、口臭抑制用組成物、並びに、便秘改善用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
月桂樹(Laurus nobilis L.)は地中海沿岸原産のクスノキ科植物で、葉を乾燥させたものはローリエやローレルなどと呼ばれ、古くから香辛料として食用されている。月桂樹葉はアメリカでは、FDA(アメリカ食品医薬品局)より食品添加物に与えられる安全基準であるGRAS(Generally Recognized As Safe)として認定され、日本では食品添加物として認可されている。ヨーロッパでは民間療法として、月桂樹の葉を煎じたものを下痢、リウマチ、喘息などに使用する。
【0003】
ところで、近年の研究によると、月桂樹葉の抽出物に、歯周病関連菌の一つであるPorphyromonas gingivalisに対する抗菌作用が報告されているほか(非特許文献1)、神経保護作用、抗アレルギー作用、抗けいれん作用などが示されている(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】猪野千恵子,福山則明,小林憲忠,鈴木由美子,楊金緯,折原裕.ゲッケイジュ葉の口腔内細菌に対する作用-口腔の健康から全身の健康へ-,臨床環境医学, 第22巻,第1号,47-58.(2013)
【文献】Patrakar, R., Mansuriya, M., & Patil, P. (2012). Phytochemical and pharmacological review on Laurus nobilis. International journal of pharmaceutical and chemical sciences, 1(2), 595-602.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
月桂樹には上記の効果が報告されているが、口腔状態に対して未だ報告の無い新たな改善効果も期待される。
【0006】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、月桂樹(Laurus nobilis L.)の新規効果を発揮することのできる組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題について月桂樹(Laurus nobilis L.)に基づき研究を進めた結果、ヒト試験において月桂樹(Laurus nobilis L.)の歯周病関連菌Tannerella forsythensis、及び、う蝕関連菌Streptococcus mutansに対する抗菌作用、歯肉改善作用、歯茎改善作用、プラーク(歯垢)蓄積抑制作用、口腔乾燥改善作用、唾液改善作用、口臭抑制作用、及び、便秘改善作用を実証することにより、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち本発明の一観点に係るTannerella forsythensisに対する抗菌剤は、月桂樹(Laurus nobilis L.)抽出物を有効成分とするものである。
【0009】
すなわち本発明の一観点に係るStreptococcus mutansに対する抗菌剤は、月桂樹(Laurus nobilis L.)抽出物を有効成分とするものである。
【0010】
また、本発明の他の一観点に係る歯周病予防治療用組成物は、月桂樹(Laurus nobilis L.)抽出物を有効成分とする歯周病予防治療用組成物である。
【0011】
また、本発明の他の一観点に係る虫歯予防治療用組成物は、月桂樹(Laurus nobilis L.)抽出物を有効成分とする虫歯予防治療用組成物である。
【0012】
すなわち本発明の一観点に係る歯肉炎症を抑制する効果を有する歯肉改善用組成物は月桂樹(Laurus nobilis L.)抽出物を有効成分とする。
【0013】
すなわち本発明の一観点に係る歯茎の自然出血を抑制する効果を有する歯茎改善用組成物は月桂樹(Laurus nobilis L.)抽出物を有効成分とする。
【0014】
すなわち本発明の一観点に係るプラーク蓄積抑制用組成物は月桂樹(Laurus nobilis L.)抽出物を有効成分とする。
【0015】
すなわち本発明の一観点に係る口腔乾燥改善用組成物は月桂樹(Laurus nobilis L.)抽出物を有効成分とする。
【0016】
すなわち本発明の一観点に係る唾液改善用組成物は月桂樹(Laurus nobilis L.)抽出物を有効成分とする。
【0017】
すなわち本発明の一観点に係る口臭抑制用組成物は、月桂樹(Laurus nobilis L.)抽出物を有効成分とする。
【0018】
すなわち本発明の一観点に係る便秘改善用組成物は、月桂樹(Laurus nobilis L.)抽出物を有効成分とする。
【発明の効果】
【0019】
以上、本発明によって、歯周病関連菌及びう蝕関連菌に対する抗菌剤、歯周病予防治療用組成物、虫歯予防治療用組成物、歯肉改善用組成物、歯茎改善用組成物、プラーク(歯垢)蓄積抑制用組成物、口腔乾燥改善用組成物、唾液改善用組成物、口臭抑制用組成物、並びに、便秘改善用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態、実施例において記載された例示にのみ限定されるわけではない。
【0021】
本実施形態は、Tannerella forsythensis及びStreptococcus mutansに対し抗菌作用を有し、歯肉や歯茎の健康状態、口腔内の乾燥状態ならびに唾液pHを改善させ、プラーク(歯垢)の蓄積および口臭を抑制し、便秘を改善する効果を有する組成物であって、具体的には、月桂樹(Laurus nobilis L.)抽出物を有効成分とする歯周病関連菌若しくはう蝕関連菌に対する抗菌剤、歯周病予防治療用組成物、虫歯予防治療用組成物、歯肉改善用組成物、歯茎改善用組成物、プラーク(歯垢)蓄積抑制用組成物、口腔乾燥改善用組成物、唾液改善用組成物、口臭抑制用組成物、又は、便秘改善用組成物となりうる。
【0022】
本実施形態において、原材料となる月桂樹(Laurus nobilis L.)の部位は、上記効果を得ることができる限りにおいて限定されるものではないが、葉を用いることが好ましい。また上記月桂樹の部位は、生であっても乾燥であってもよい。また葉を加工したものであってもよい。
【0023】
月桂樹抽出物の抽出方法は特に制限されず、当業者に周知の方法にしたがって行うことができ、具体的には溶媒抽出により行うことが好ましい。抽出溶媒としては、水または温水、アルコール系溶媒、およびアセトン等その他の有機溶媒を用いることができる。アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等及びこれらの混合物を例示することができる。アセトン以外のその他の有機溶媒としては、酢酸エチルなどのエステル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールなどの多価アルコール類;ジエチルエーテルなどのエーテル類などを例示することができる。これらの溶媒は単独で使用してもよいし、組み合わせて使用してもよい。抽出溶媒は、水と親水性有機溶媒を組み合わせて含水親水性溶剤の形態で使用してもよい。溶媒を組み合わせて使用する場合、溶媒の混合比率は任意に設定することができる。これらの中でもエタノールを用いることが好ましく、エタノール含量が30%以上95%以下(v/v)の含水エタノールを用いることがより好ましい。
【0024】
抽出溶媒の量は、上記効果を発揮する本組成物を得ることができる限りにおいて限定されるものではないが、例えば月桂樹の乾燥葉1重量部に対して、2重量部以上100重量部以下の範囲とすることが好ましい。また、抽出温度は4℃以上90℃であることが好ましい。また抽出時間は30分以上1週間以下であることが好ましい。抽出方法は攪拌抽出、浸漬抽出、向流抽出、超音波抽出、超臨界抽出などの任意の方法で行うことができる。
【0025】
月桂樹抽出物は、得られた抽出液をろ過し得られたろ液そのもの、ろ液を濃縮した濃縮液、濃縮液を乾燥して得られる乾燥物、これらの粗精製物又は精製物のいずれであってもよく、またこれらの混合物であってもよい。濃縮方法は、蒸発式濃縮、膜濃縮などの任意の方法で行うことができる。乾燥方法は、減圧乾燥、凍結乾燥、スプレー乾燥などの任意の方法で行うことができる。必要な場合にはデキストリンなどの賦形剤を入れてもよい。精製を行う場合は、当業者に既知の手段に従って行うことができる。例えば、合成吸着樹脂、活性炭、イオン交換樹脂、セファデックス、バイオゲルなどのゲルろ過剤、カラムクロマトグラフィー、再結晶などを単独で、または組み合わせて使用してもよい。
【0026】
また、本組成物は食品組成物、医薬品組成物、医薬部外品組成物、又は化粧品組成物としての形態をとり、特に食品組成物の場合、機能性表示食品、健康食品としての形態をとりうる。
【0027】
また本組成物が食品組成物であるときの形態は、固形物だけではなく流動物(例えば飲料等の液体)としての形態もとりうる。食品組成物の形態としては、例えばドリンク、キャンデー、ゼリー、グミ、ガムなどを挙げることができ、健康食品、機能性表示食品であるときの形態は、例えば錠剤、チュアブル錠、ハードカプセル、ソフトカプセル、顆粒、ドリンクなどの形態を挙げることができる。
【0028】
また本組成物が医薬品組成物である場合も、固形物だけではなく流動物(例えば液体)としての形態もとりうる。その形態は、例えばゼリー、チュアブル、錠剤、カプセル剤、丸剤、液剤、乳剤を挙げることができる。投与方法は特に限定されるものではないが、口腔内に滞在する時間の長い形態であることが望ましい。また製剤的に許容できる範囲で様々の担体を加えることができる。担体としては例えば賦形剤、着色剤、甘味剤、懸濁化剤等を挙げることができる。
【0029】
また本組成物が医薬部外品組成物である場合も、上記と同様固形物だけではなく流動物(例えば液体)としての形態もとりうる。その形態は、例えば歯磨き粉、マウスウォッシュ、洗口液、ペースト、ジェル、スプレー、シートなど口腔内に適用可能な形態を挙げることができる。
【0030】
また本組成物が化粧品組成物である場合も、上記と同様固形物だけでなく流動物としての形態もとりうる。その形態は、例えばローション、クリーム、パック、ゲル、乳剤、バルサム、軟膏、液剤、粉剤、または歯磨き粉、マウスウォッシュ、洗口液、ペースト、ジェル、スプレー、シートなど口腔内に適用可能な形態を挙げることができる。
【0031】
また本組成物における月桂樹(Laurus nobilis L.)抽出物の含有量としては、想定される摂取量に合わせて適宜調整可能である。
【0032】
また本組成物によるTannerella forsythensis及びStreptococcus mutansに対する抗菌効果、歯肉炎症、歯茎の自然出血やプラーク蓄積の抑制効果、口腔乾燥および唾液pHの改善効果、口臭抑制効果、ならびに、便秘改善効果を得るために必要な月桂樹(Laurus nobilis L.)抽出物の量としては、本組成物の効果を得ることができる限りにおいて限定されるわけではないが、1日あたり10mg以上500mg以下であることが好ましく、より好ましくは20mg以上300mg以下、更に好ましくは50mg以上150mg以下である。
【0033】
また、本組成物における月桂樹抽出物は、その月桂樹抽出物中に、deacetyl laurenobiolideを含むものであり、限定されるわけではないが、このdeacetyl laurenobiolideが0.01重量%以上含まれていることが好ましく、より好ましくは0.1重量%以上10重量%以下の範囲である。この範囲で含有されることにより、本組成物の効果を好ましく発揮することができる。
【0034】
上記の通り、本組成物には、Tannerella forsythensis及びStreptococcus mutansに対する抗菌効果、歯肉炎症や歯茎の自然出血、プラーク蓄積の抑制効果、口腔乾燥および唾液pHの改善効果、口臭抑制効果、ならびに、便秘改善効果がある。なお、この効果を得ることができる範囲も、後述の実施例の記載から明らかとなるが、上記と同様である。
【0035】
以上、本発明によって、Tannerella forsythensis及びStreptococcus mutansに対する抗菌効果、歯肉炎症や歯茎の自然出血、プラーク蓄積の抑制効果、口腔乾燥および唾液pHの改善効果、口臭抑制効果、ならびに、便秘改善効果を有する組成物を提供することができる。
【実施例】
【0036】
ここで実際に、上記実施形態に係る組成物を製造し、その効果を確認した。以下具体的に説明する。
【0037】
(1)月桂樹抽出物の製造
月桂樹(Laurus nobilis L.)葉100gに1.4Lの85%(v/v)エタノールを加え、2時間加熱還流後、ろ過を行った。抽出液を50℃にて減圧濃縮した後、凍結乾燥を行い、月桂樹抽出物を得た。
【0038】
なお、上記で得た固形物について、液体クロマトグラフィーによる測定を行ったところ、月桂樹抽出物中、deacetyl larurenobiolideが1.1重量%含まれていることを確認した。
【0039】
(2)臨床試験
試験食品は一粒当たり月桂樹抽出物18mgを含むチュアブル剤を用いた。なお、プラセボは月桂樹抽出物の代わりにデキストリンを添加した。
【0040】
健常な日本人成人男女を被験者とし、ランダム化プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験を行った。被験者は試験食品を1日3錠、任意のタイミングで噛まずに舐めて摂取した。介入群の月桂樹抽出物の一日あたりの摂取量は108mgである。各検査は摂取開始前および摂取4週間後に実施した。さらに、その中の唾液pH、口腔内水分量、唾液量、口臭、およびアンケートについては、単回摂取による効果を評価するため、摂取開始前の検査終了後、被検食品を3錠摂取し、単回摂取後に検査を実施した。
【0041】
(3)口腔内Tannerella forsythensisの測定
被験者の唾液を採取し、口腔内のTannerella forsythensisの割合を評価した。対照群と比較し、介入群において摂取4週間後のTannerella forsythensisの対総菌数比率の有意な改善が確認された(表1)。この結果から、月桂樹抽出物が歯周病原因菌Tannerella forsythensisに対する抗菌作用を有することが示された。
【表1】
【0042】
(4)口腔内Streptococcus mutansの測定
被験者の唾液を採取し、口腔内のStreptococcus mutansの菌数を評価した。対照群と比較し、介入群において摂取4週間後のStreptococcus mutansの菌数の有意な改善が確認された(表2)。この結果から、月桂樹抽出物がう蝕原因菌Streptococcus mutansに対する抗菌作用を有することが示された。
【表2】
【0043】
(5)ジンジバルインデックス(GI)の評価
歯肉炎の指標としてジンジバルインデックス(GI)を評価した。GIは各歯の辺縁歯肉を4面(頬側、舌側、近心側、遠心側)に区分し、0(正常)、1(軽度の発赤:軽度の炎症)、2(発赤、腫脹: 中等度の炎症)、3(強い炎症: 強度の炎症) の4段階で評価し、「GI=各歯面のスコアの合計/被験歯数」の式により算出した。対照群と比較し、介入群において摂取4週間後のGIが有意に減少することを確認した(表3)。
【表3】
【0044】
(6)歯茎の自然出血の評価
歯茎の炎症状態の評価指標として、歯茎の自然出血を評価した。各歯を4歯面に分け、歯茎の出血の有無を確認し、出血が見られる場合、その箇所数を計測し、合計値を算出した。対照群と比較し、介入群において摂取4週間後の歯茎の自然出血箇所数が減少することを確認した(表4)。
【表4】
【0045】
(7)プラークインデックス(PlI)の評価
プラーク蓄積の評価指標として、プラークインデックス(PlI)を評価した。PlIは、各歯を4歯面に区分し、付着したプラークを0 (プラークなし)、1(薄い被膜状のプラークが、歯面の遊離歯肉辺縁と歯間部に付着している。プラークは染色液やプローブを使用すると分かる)、2(肉眼で見分けられる柔らかい付着物が中程度蓄積している)、3(歯肉溝の中や歯面、歯肉辺縁部に多量の柔らかい付着物がある)の4段階でスコア化し、4歯面のスコアを合計して4で割ることで算出した。対照群と比較し、介入群において摂取4週間後のPlIが有意に減少することを確認した(表5)。
【表5】
【0046】
(8)口腔内水分量の測定
口腔水分計を用い、被験者の口腔内水分量を測定した。対照群と比較し、介入群において単回摂取により口腔内水分量が有意に増加することを確認した(表6)。
【表6】
【0047】
(9)唾液量の測定
唾液量の評価として、安静な状態で口腔内に分泌された唾液を15分間採集し、唾液の重量を測定した。対照群では単回摂取前後で唾液量に有意差が見られなかった一方、介入群では単回摂取により唾液量が有意に増加することを確認した(表7)。
【表7】
【0048】
(10)唾液量に関するアンケート
唾液量に関する評価として、リッカートスケール法を用いたアンケートで「唾液の出る量が少ない」の項目を調査した。質問項目に対し、1~6の6段階 (1.「まったくあてはまらない」、2.「ほとんどあてはまらない」、3.「あまりあてはまらない」、4.「少しあてはまる」、5.「かなりあてはまる」、6.「非常にあてはまる」) で評価し、スコア化した。対照群では単回摂取前後で「唾液の出る量が少ない」のスコアに有意差が認められなかった一方、介入群では単回摂取によりスコアが有意に改善することを確認した(表8)。
【表8】
【0049】
表6、表7、表8の結果から、月桂樹抽出物が口腔内水分量を増加させ、口腔内の乾燥状態を改善することが示された。
【0050】
(11)唾液pHの測定
被験者から採取した唾液について、唾液pHをリトマス試験紙を用いて測定した。対照群と比較し、介入群において単回摂取後の唾液pHの有意な改善が確認された(表9)。この結果から、月桂樹抽出物が唾液pHを上昇させる効果を有することが示された。
【表9】
【0051】
(12)口臭の測定
口臭の評価として、口臭測定器を用い、口臭の主な原因である口腔内の揮発性硫黄化合物量を測定した。対照群では単回摂取前後で口臭に有意な変化は認められなかったが、介入群では単回摂取によって口臭の有意な低下が認められた(表10)。この結果から、月桂樹抽出物が口臭を抑制する効果があることが示された。
【表10】
【0052】
(13)便秘に関するアンケート
便秘に関する評価として、リッカートスケール法を用いたアンケートで「便秘をしている」の項目を調査した。質問項目に対し、1~6の6段階 (1.「まったくあてはまらない」、2.「ほとんどあてはまらない」、3.「あまりあてはまらない」、4.「少しあてはまる」、5.「かなりあてはまる」、6.「非常にあてはまる」)で評価し、スコア化した。対照群と比較し、介入群において摂取4週間後のアンケートで「便秘をしている」のスコアが有意に改善することを確認した(表11)。
【表11】
【0053】
以上、上記ヒト試験によって、本組成物がTannerella forsythensis及びStreptococcus mutansに対し抗菌作用を有し、歯肉炎症や歯茎の自然出血、プラーク蓄積を抑制し、口腔内の乾燥状態ならびに唾液pHを改善させ、口臭を抑制し、便秘を改善する効果を持つことが示された。