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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】被処理液浄化システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/24 20230101AFI20230915BHJP
   C02F 1/72 20230101ALI20230915BHJP
   C02F 1/78 20230101ALI20230915BHJP
   B01D 53/26 20060101ALI20230915BHJP
   B01D 19/02 20060101ALI20230915BHJP
【FI】
C02F1/24 C
C02F1/72 Z
C02F1/78
B01D53/26
B01D19/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022069106
(22)【出願日】2022-04-19
【審査請求日】2022-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】391061646
【氏名又は名称】株式会社流機エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 章
(72)【発明者】
【氏名】堀 博之
(72)【発明者】
【氏名】西村 和
【審査官】石岡 隆
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-025789(JP,U)
【文献】特開2011-072939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/20-1/26
C02F1/30-1/38
C02F1/70-1/78
B01D53/26
B01D19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理液の供給口、処理液の排出口およびバブル排出口と、を有し、内部に前記被処理液が貯められる浄化容器と、
前記浄化容器の内部の前記被処理液に対してマイクロバブルを供給するマイクロバブル供給口と、を有し、
前記被処理液に供給された前記マイクロバブルは、被処理液内を移動する過程で前記被処理液に含まれる懸濁物質を捕捉し、前記バブル排出口から排出される構成とされた浄化装置と、
前記浄化装置から排出されたバブルを供給するバブル供給口と、前記バブルに含まれていた気体を排出する気体排出口と、前記バブルに含まれていた懸濁物質を排出する懸濁物質排出口と、を有する消泡容器と、
前記消泡容器の内部のバブルを消す消泡手段と、を有する消泡装置と、を有し、
前記マイクロバブルはオゾンマイクロバブルを含み、
前記マイクロバブルは酸素マイクロバブルをさらに含み、
前記消泡装置の前記気体排出口から前記酸素マイクロバブルに由来する酸素を含む気体が排出され、
前記消泡装置の前記気体排出口から排出された酸素を含む気体からオゾンを生成するオゾン発生器と、
前記オゾン発生器で生成したオゾンからオゾンマイクロバブルを生成するオゾンマイクロバブル生成装置と、
前記オゾンマイクロバブル生成装置で生成したオゾンマイクロバブルを前記浄化装置へ返送する返送経路と、
を有することを特徴とする被処理液浄化システム。
【請求項2】
前記消泡装置の前記気体排出口から排出される酸素を含む気体には、前記オゾンマイクロバブルに由来するオゾンが含まれ、
前記消泡装置から前記オゾン発生器へ至る間の経路に、前記消泡装置の前記気体排出口から排出された気体に含まれるオゾンを除去するオゾン除去フィルタが設けられている、請求項記載の被処理液浄化システム。
【請求項3】
前記消泡装置から前記オゾン発生器へ至る間の経路に、
前記消泡装置から排出された酸素を含む気体に含まれる水分を除去する除湿器が設けられている、請求項記載の被処理液浄化システム。
【請求項4】
前記オゾン発生器に対して外部から圧縮気体を供給する圧縮気体供給経路が設けられ、
前記消泡装置の後段に、前記消泡装置から排出された前記酸素を含む気体を圧縮する気体圧縮機が設けられ、
前記気体圧縮機で圧縮された気体を前記圧縮気体供給経路に合流させ、合流後の圧縮気体を前記オゾン発生器へ供給する構成とした請求項記載の被処理液浄化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被処理液中の懸濁物質を高い確率で除去し、被処理液を浄化する被処理液浄化システムに関する。特に、消泡装置を設けたことを特徴とする被処理液浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の工場等では、洗浄対象物を洗浄することによって大量の廃液が生じるため、この廃液を有効利用することが望まれる。例えば、廃プラスチックのリサイクル工場で廃プラスチックを洗浄したり、弁当を製造する食品工場で米を炊く前に米を研いだり、クリーニング工場で衣類を洗ったりすることによって大量に廃液が生じるため、この廃液の有効利用が課題になっている。
【0003】
近年、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals。略してSDGsという。)に注目が集まっていることと関連して、廃プラスチックをリサイクルする試みに脚光が集まっている。そして、廃プラスチックのリサイクル工場では洗浄時に大量の排液が生じるため、その有効活用の重要性が増している。
【0004】
一般社団法人プラスチック循環利用協会が発行した「2019年プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況 マテリアルフロー図」(2020年12月発行)の報告書によると、日本国内で発生する廃プラスチックは850万t/年といわれており、そのうちの186万t/年がマテリアルリサイクルされており、そのほかは焼却してサーマルリサイクルされたり、埋め立て処分されたりしている。SDGsの理念が社会により浸透し、海へのマイクロプラスチックの流出防止の機運が高まることで、廃プラスチックがマテリアルリサイクルされる量は今後より増加していくものと予想される。
【0005】
ところで、前述のマテリアルリサイクルでは廃プラスチックを同質のプラスチック原料に戻す必要がある。この廃プラスチックをマテリアルリサイクルする一般的な過程は、回収された廃プラスチックをリサイクル工場で(A)解砕し、(B)選別し、(C)粉砕し、(D)乾式洗浄し、(E)湿式洗浄(例えば水で洗浄)し、(F)脱水し、(G)乾燥フレークにし、(H)加熱押し出し機で加工し、(I)ペレット(射出成型機の原料となる)を生成する、というものであり、これらの工程を経て高品質なプラスチック原料に再生される。前述の工程(E)では水を用いて廃プラスチックを洗浄し、廃プラスチックに付着した汚物が取り除かれるが、この洗浄工程で大量の廃液が生じる。
【0006】
被処理液を浄化する装置としては、例えば下記特許文献1に開示された発明がある。
【0007】
特許文献1は、藻類を含む被処理水に1~120g-O3/m3のオゾンを添加するオゾン添加装置と、オゾンが添加された被処理水に含まれる藻類を凝集沈殿させる沈殿槽と、を備えた藻類分離システムに係る発明である。この特許文献1によれば、藻類を沈降分離する際の沈降性を向上させることができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2018-158315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記特許文献1は、藻類を含む被処理水にオゾンを添加するオゾン添加装置と、オゾンが添加された被処理水に含まれる藻類を凝集沈殿させる沈殿槽が開示されている。この藻類分類システムは「藻類」を沈降分離させることに特化したシステムであり、前述のマテリアルリサイクル工程で発生する被処理液(排液)において、その被処理液をどのように処理するかなどについては何ら明らかにしていない。
【0010】
例えば、前述の廃プラスチックのリサイクル工場では、被処理液中に藻類とは異なる有機物が含まれていることが多い。例えば食品の包装に用いられるプラスチックには食品残渣(有機物)が付着していることが多い。そのため、このような食品包装プラスチックをリサイクルする工場の排液(被処理液)中には食品残渣が含まれている可能性が高い。またクリーニング工場の排液(被処理液)中には、衣服に付着していた着用者の皮脂(有機物)等が含まれていることが多い。また、前記各工場の排液中には洗浄に用いた洗剤等の無機化合物も含まれることが多い。
【0011】
以上のように、被処理液中には様々な懸濁物質が含まれており、これらの懸濁物質を高い確率で除去し、被処理液を清浄にするシステムが求められている。
【0012】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、被処理液中の懸濁物質を高い確率で除去し、被処理液を浄化するシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
【0014】
(第1の態様)
被処理液の供給口、処理液の排出口およびバブル排出口と、を有し、内部に前記被処理液が貯められる浄化容器と、
前記浄化容器の内部の前記被処理液に対してマイクロバブルを供給するマイクロバブル供給口と、を有し、
前記被処理液に供給された前記マイクロバブルは、被処理液内を移動する過程で前記被処理液に含まれる懸濁物質を捕捉し、前記バブル排出口から排出される構成とされた浄化装置と、
前記浄化装置から排出されたバブルの供給口と、前記バブルに含まれていた気体の排出口と、前記バブルに含まれていた懸濁物質の排出口と、を有する消泡容器と、
前記消泡容器の内部のバブルを消す消泡手段と、を有する消泡装置と、
を有することを特徴とする被処理液浄化システム。
【0015】
(作用効果)
第1の態様の被処理液浄化システムは、浄化容器内に貯められた被処理液にマイクロバブルを供給し、供給したマイクロバブルが被処理液内を移動する過程で、被処理液に含まれる懸濁物質と接触して懸濁物質を捕捉する。このようにしてマイクロバブルは被処理液中の懸濁物質を捕捉しながら移動する。浄化容器内の被処理液の液面には大量のマイクロバブルが集まるため、このマイクロバブルに由来するバブルが被処理液の液面上に多く発生する。発生したバブルは浄化容器に設けられたバブル排出口から排出されて後段に設けられた消泡装置へ導かれ、この消泡装置の内部で消泡される。
【0016】
このような被処理液浄化システムによれば、被処理液に含まれる懸濁物質をマイクロバブルによって効率良く捕捉し、除去することができる。またマイクロバブルによって生じるバブルを後段の消泡装置で消泡することができる。そのため、大量のバブルが発生することによって被処理液の浄化処理を一時的に中断しなければならないような事態の発生を抑えることができる。
【0017】
なお本明細書において、「気体」と記載されている箇所を「ガス」と読み替えることも可能である。
【0018】
(第2の態様)
前記マイクロバブルはオゾンマイクロバブルを含む前記第1の態様の被処理液浄化システム。
【0019】
(作用効果)
第2の態様に係る被処理液浄化システムは、浄化装置の内部にオゾンマイクロバブルを供給することを特徴とする。オゾンをマイクロバブルにして供給することで、被処理液中の懸濁物質(例えば微生物、臭気物質など)とオゾンの接触機会が増えるため、微生物の除菌(溶菌)や臭気物質の分解が進み、より清浄な処理液を得ることができる。
【0020】
(第3の態様)
前記マイクロバブルは酸素マイクロバブルをさらに含み、
前記消泡装置の前記気体排出口から前記酸素マイクロバブルに由来する酸素を含む気体が排出され、
前記消泡装置の前記気体排出口から排出された酸素を含む気体からオゾンを生成するオゾン発生器と、
前記オゾン発生器で生成したオゾンからオゾンマイクロバブルを生成するオゾンマイクロバブル生成装置と、
前記オゾンマイクロバブル生成装置で生成したオゾンマイクロバブルを前記浄化装置へ返送する返送経路と、
を有する前記第2の態様の被処理液浄化システム。
【0021】
(作用効果)
浄化装置に供給されるマイクロバブルには、オゾンマイクロバブルのほかに酸素マイクロバブルが混入していることが多い。その原因はオゾンマイクロバブルの生成工程にある。
【0022】
オゾンマイクロバブルを生成する場合、まず酸素をオゾン発生器に供給し、供給した酸素からオゾンを生成し、次に生成したオゾンをオゾンマイクロバブル生成装置に供給し、供給したオゾンからオゾンマイクロバブルを生成するという手順が考えられる。
【0023】
しかし、オゾン発生器では供給した酸素のすべてをオゾンにすることが難しく、供給した酸素の一部が酸素のままの状態でオゾン発生器から排出されることが多い。本発明者らが行った実験によると、オゾン発生器の種類にもよるが、オゾン発生器に供給した酸素量を100%とした場合、その約15%がオゾンとなり、残り85%が酸素のまま排出されるという結果であった。すなわち、オゾン発生器に供給した酸素の大部分が、酸素としてそのまま排出される状態となっていた。その結果、浄化装置に供給されるマイクロバブルの量も、供給されるマイクロバブルの全量を100%とした場合に、オゾンマイクロバブルが約15%、酸素マイクロバブルが約85%となっていた。
【0024】
このように浄化装置に供給されるマイクロバブルがオゾンマイクロバブルのほかに酸素マイクロバブルを大量に含む場合、浄化装置の内部に貯められた被処理液の液面上に大量のバブルが発生してしまう問題がある。オゾンマイクロバブルは被処理液中の懸濁物質に接触すると消化されて消泡する傾向があるが、酸素マイクロバブルは被処理液中の懸濁物質に接触しても消泡せず、被処理液の液面へと移動し、その液面付近に滞留し、液面上に大量のバブルが存在する状態になる。特に浄化装置に供給される酸素マイクロバブルの量が多い場合は、浄化装置内の被処理液の液面上に大量のバブルが生じるため、そのバブルを積極的に消さなければならない。この消泡は、浄化装置の後段に前記消泡装置を設けることによって行っている。
【0025】
他方、消泡装置で前述のバブルを消泡すると酸素を含む気体が生じる。その酸素濃度は、浄化装置に供給される酸素マイクロバブルの量にもよるが、通常の大気中に含まれる酸素濃度よりも遥かに高いものとなる傾向がある。
【0026】
そこで本発明者らは消泡装置で発生した酸素を含む気体を大気中に排出する(捨てる)のではなく、リサイクルするシステムを考案した。すなわち、消泡装置で発生した酸素を含む気体をオゾン発生器に供給してオゾンを生成し、生成したオゾンをオゾンマイクロバブル生成装置に供給してオゾンマイクロバブルを生成し、そのオゾンマイクロバブルを浄化装置へ戻すシステムとした。このシステムを用いることで、大気中の酸素からオゾンを生成することが少なくなるため、このシステムを用いない場合と比べて、ランニングコストやイニシャルコストを低減させることができる。
【0027】
(第4の態様)
前記消泡装置の前記気体排出口から排出される酸素を含む気体には、前記オゾンマイクロバブルに由来するオゾンが含まれ、
前記消泡装置から前記オゾン発生器へ至る間の経路に、前記消泡装置の前記気体排出口から排出された気体に含まれるオゾンを除去するオゾン除去フィルタが設けられている、前記第3の態様の被処理液浄化システム。
【0028】
(作用効果)
前記消泡装置から排出される気体には、酸素マイクロバブルに由来する酸素のほかに、オゾンマイクロバブルに由来するオゾンが含まれている可能性がある。一般的なオゾン発生器では、オゾン発生器に供給される気体として酸素気体が想定されており、酸素とオゾンの両方を含む気体は想定されていない。そのため、酸素とオゾンの両方を含む気体をオゾン発生器に供給すると、運転が上手くいかない等のトラブルの発生が懸念される。そこで、第4の態様では、消泡装置からオゾン発生器へ至る間の経路にオゾン除去フィルタが設け、消泡装置から排出された気体に含まれるオゾンを除去するシステムとした。このようなシステムにすることで、オゾン発生器の運転トラブル等を未然に防止することができる。
【0029】
(第5の態様)
前記消泡装置から前記オゾン発生器へ至る間の経路に、
前記消泡装置から排出された酸素を含む気体に含まれる水分を除去する除湿器が設けられている、前記第3の態様の被処理液浄化システム。
【0030】
(作用効果)
一般的に、オゾン発生器に供給される気体は、低湿度であることが望まれる。具体的には絶対湿度が2g/m3以下の気体をオゾン発生器に供給することが好ましい。オゾン発生器に供給される気体の絶対湿度が2g/m3よりも高いと、オゾン発生効率が低下するおそれがある。
【0031】
他方、消泡装置から排出される気体の絶対湿度は20~50g/m3程度であることが多く、絶対湿度が高い傾向がある。特に、消泡装置で消泡するときに液体を用いる場合、その液体の水分が前記気体中移行し、消泡装置から排出される気体の絶対湿度が高くなる傾向がある。
【0032】
そこで第5の態様においては、消泡装置からオゾン発生器へ至る間の経路に除湿器を設け、消泡装置から排出された酸素を含む気体の絶対湿度を低下させるシステムとした。具体的には絶対湿度が2g/m3以下の気体にすることが好ましく、絶対湿度が1.5g/m3以下の気体にすることがより好ましい。
【0033】
(第6の態様)
前記オゾン発生器に対して外部から圧縮気体を供給する圧縮気体供給経路が設けられ、
前記消泡装置の後段に、前記消泡装置から排出された前記酸素を含む気体を圧縮する気体圧縮機が設けられ、
前記気体圧縮機で圧縮された気体を前記圧縮気体供給経路に合流させ、合流後の圧縮気体を前記オゾン発生器へ供給する構成とした前記第3の態様の被処理液浄化システム。
【0034】
(作用効果)
オゾン発生器の種類にもよるが、オゾン発生器に供給される気体はある程度の圧力を有していることが好ましい。オゾン生成反応を効率化するためである。
【0035】
具体的には、オゾン発生器に供給される気体は100~400kPa程度の圧力を有していることが好ましく、250~350kPa程度の圧力を有していることがより好ましい。そのため、外部から気体(例えば大気)をオゾン発生器に供給する場合、その気体を圧縮して気体の圧力を上げた上でオゾン発生器に供給することが好ましい。
【0036】
このように、オゾン発生器に対して外部から圧縮気体を供給する圧縮気体供給経路が設けられている場合、消泡装置から排出された酸素を含む気体(0~5kPa程度の圧力の場合が多い)をその圧縮気体供給経路に合流させると、圧縮気体供給経路を流れる圧縮気体の圧力を低下させてしまうおそれがある。
【0037】
そこで第6の態様においては、消泡装置の後段に、消泡装置から排出された酸素を含む気体を圧縮する気体圧縮機を設け、この気体圧縮機で圧縮された気体を圧縮気体供給経路に合流させることとした。このようなシステムにしたことで、圧縮気体供給経路を流れる圧縮気体の圧力の低下を防ぐことができ、オゾン発生器が求める圧力を有する気体をオゾン発生器に供給することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、被処理液中の懸濁物質を高い確率で除去し、被処理液を浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明に係る被処理液浄化システムが用いられる例を示したものであり、前記被処理液浄化システムを有する冷却液生成システムの全体図である。
図2】本発明に係る被処理液浄化システムの一例を示した全体図である。
図3】本発明に係る被処理液浄化システムに用いられる浄化装置の一例を示した正面図である。
図4図3のX-X′線の断面図である。
図5図1の冷却液生成システムの濾過装置の概略図である。(A)は正面図、(B)は平面図であり、プリーツフィルタの表示を省略している。
図6図5の濾過装置のプリーツフィルタの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下で図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下の説明及び図面は本発明の一実施形態を示したものにすぎず、本発明の内容をこの実施形態に限定して解釈すべきものではない。
【0041】
(冷却液生成システム100)
以下の説明では、まず本発明に係る被処理液浄化システム200をどのようなシステムに用いることができるかについて述べる。本発明に係る被処理液浄化システム200は、例えば図1に示す冷却液生成システム100の一部分のシステムとして用いることができる。そこで、まずは図1を参照しながら冷却液生成システム100の全体像について説明する。なお本発明に係る被処理液浄化システム200は、被処理液の浄化が求められるシステムであれば用いることができ、図1に示す冷却液生成システム100以外の様々なシステムにも用いることができる。
【0042】
(洗浄装置1)
洗浄装置1は洗浄対象物を洗浄する装置である。この洗浄対象物は特に限定されず、例えばプラスチックリサイクル工場における廃プラスチック、食品工場における米、クリーニング工場における衣服、作業服、整備工場における電車、ジェットエンジン、建設機械などを挙げることができる。
【0043】
洗浄装置1としては、例えば廃プラスチックをマテリアルリサイクルする工場において前記湿式洗浄工程で用いる洗浄脱液装置を挙げることができる。この洗浄脱液装置ではアルカリ水やアルカリイオン水を用いて洗浄することが多く、洗浄脱液装置から排出される排液中には廃プラスチックに付着した付着物(食品トレーの場合は食品残渣、油等)や、廃プラスチックが細かく砕けたマイクロプラスチック、洗浄に用いた洗剤等が含まれる。また前記食品工場では米を研ぐ際に水を用いるため、米を研ぐ装置(洗浄装置1に相当する)から米の研ぎ汁(排液)が排出される。またクリーニング工場では衣服を洗う際に水や洗剤を用いるため、洗濯機(洗浄装置1に相当する)から排出される排液には、衣服に付着していた様々な異物、衣服の繊維(衣服が化学繊維からなる場合はマイクロプラスチックを含む。)、洗剤(洗剤の種類によってはマイクロプラスチックを含む)等が含まれている。
【0044】
(最初沈殿槽2)
図1に示した実施形態では、洗浄装置1から排出された排液(「被処理液TL」ともいう。以下同じ。)と、工場内の排液桝21からの排液(この排液も「被処理液TL」ともいう。以下同じ。)が最初沈殿槽2に供給される。そして、洗浄装置1から排出された排液と工場内の排液桝21からの排液は、最初沈殿槽2内で混合される。なお、工場内の排液桝21からの排液を最初沈殿槽2内に供給せずに、洗浄装置1から排出された排液のみを最初沈殿槽2内に供給するようにしてもよい。
【0045】
最初沈殿槽2では排液中の有機物や無機粒子等の懸濁物質(「浮遊物質」または「汚濁物質」ともいう。以下同じ。)を沈殿させて除去する。また最初沈殿槽2に貯められた排液の上面に油分が浮上するので、その浮上油も回収して除去する。この最初沈殿槽2を必ず設ける必要はないが、浮遊物質の除去効果が高くランニングコストもほとんどかからないため、できるだけ設けることが好ましい。
【0046】
図1に示した実施形態では薬注タンク8に貯留した凝集剤(例えばPAC。PACは、Polyelectrolyte Aluminum Chlorideの略称であり、ポリ塩化アルミニウムを意味する。以下同じ。)を、凝集剤添加経路54を介して、最初沈殿槽2と浄化装置3の間の経路56へ導き、この経路56を通過する被処理液TLにPAC凝集剤を添加している。被処理液TLに添加する凝集剤はPACに限定されず、例えば他のアルミニウム塩、塩化鉄、ポリ鉄などの無機凝集剤を添加しても良い。
【0047】
以上のように被処理液TLに凝集剤を添加することで、被処理液TLに含まれている懸濁物質が凝集しやすくなる。その結果、被処理液TL中の懸濁物質が凝集して比重が重くなるため、後述の浄化装置3の下部に沈殿しやすくなり、浄化装置3の下部に設けた排出口から沈殿物質PSとして排出されやすくなる。また、比重がそこまで重くならなかった懸濁物質(凝集した懸濁物質)であっても、マイクロバブルMBによって捕捉されやすくなるため、浄化装置3の外筒41と内筒42の間の間隙GPをマイクロバブルMBとともに浮上し、浄化装置3の上部に設けた排出口47からバブルBBとして排出されやすくなる。
【0048】
さらに、浄化装置3で沈殿物質PSやバブルBBとして除去されなかった懸濁物質であっても、凝集剤によってある程度凝集しているため、後段に設けた濾過装置4の濾過フィルタ12で捕捉されやすくなる。また、凝集剤を添加することで、懸濁物質が濾過装置4の濾過フィルタ12の深層部へ到達することを防ぐことができ、濾過フィルタ12を洗浄する際の洗浄が容易になるという利点がある。以上の結果、凝集剤を添加しない場合と比べて、被処理液TL中の懸濁物質をより多く除去することができ、結果として、懸濁物質が非常に少ないより清浄な処理液TSや濾液Bを得ることができる。
【0049】
なお、図1に示す冷却液生成システム100では、最初沈殿槽2と浄化装置3の間の経路56に凝集剤を添加しているが、それ以外の箇所の被処理液TLに凝集剤を添加してもよい。たとえば、最初沈殿槽2内に貯留された被処理液TLに凝集剤を添加したり、洗浄装置1と最初沈殿槽2の間の経路55を通過する被処理液TLに凝集剤を添加したりしてもよい。浄化装置3内で被処理液TLから懸濁物質を除去しやすくするという観点からは、以上のように、浄化装置3に供給される前の被処理液TLに凝集剤を添加することが最も好ましい。
【0050】
しかし、前述の形態に限られるものではなく、例えば、浄化装置3内にある被処理液TLに対して凝集剤を添加したり、浄化装置3と濾過装置4の間の経路57を通過する被処理液TLに対して凝集剤を添加したりしてもよい。浄化装置3の内部の被処理液TLや、浄化装置3と濾過装置4の間の経路57を通過する被処理液TLに凝集剤を添加した場合であっても、後段の濾過装置4の濾過フィルタ12で懸濁物質を除去しやすいという利点があるからである。なお、浄化装置3に供給される前に被処理液TLに凝集剤を添加すると、濾過装置4の濾過フィルタ12で懸濁物質を除去しやすいという利点も当然に得られるため、浄化装置3に供給される前に被処理液TLに凝集剤を添加することが最も好ましい。
【0051】
(浄化装置3)
被処理液TLは経路56を通って浄化装置3に供給される。この浄化装置3で被処理液TL中の懸濁物質が除去され、懸濁物質が除去された被処理液TLは処理液TSとして後段の濾過装置4へ送られる。また、浄化装置3にはマイクロバブルMBが供給され、浄化装置3から沈殿物質PSも排出される。この浄化装置3の詳細については、後の被処理液浄化システム200の説明の欄で詳述する。
【0052】
(濾過装置4)
図5および図6に濾過装置4の一実施形態を示した。この濾過装置4は冷却液生成システム100を構成する一装置である。浄化装置3で浄化処理された処理液TSは濾過装置4に供給される。この濾過装置4で処理液TS中の微小な懸濁物質が除去され、浄化された液体は濾液Bとして外部へ排出される。
【0053】
図5に示した濾過装置4は、密閉された濾過容器11内で、処理液TSを濾過フィルタ12で濾過し、濾液Bを排出する全量濾過(デッドエンド濾過)型の装置である。
【0054】
詳しくは、濾過装置4は濾過フィルタ12を格納する濾過容器11を備えている。この濾過容器11の下部にはケーキ排出シュート11Sが設けられ、ケーキ排出シュート11Sの上方に筒状の濾過フィルタ内蔵部11Uが連続する形状になっている。この濾過容器11の形状は、前記の形状に限られるものではなく、ケーキ排出シュート11Sがない形状など、任意の形状に変更しても良い。
【0055】
濾過容器11内には、壁面に濾液Bの透過孔が形成され、内部に濾液通路12rが形成された筒状体12sが設けられる。図5図6に示したものは円筒形であって、その中心軸が濾過容器11の上下方向に沿う姿勢で、濾過容器11内に配されている。筒状体12sの形状や姿勢は特に限定されず、筒状体12sの形状を角筒形等の任意の公知形状に変更しても良いし、筒状体12sの姿勢を筒状体12sの中心軸が水平方向になるように濾過容器11内に設置しても良い。なお、図示した筒状体12sは、パンチングメタルなどの透過孔を有する平板を円筒状に成形したものであり、筒状体12s内の空間は濾液通路12rとなる。
【0056】
前記筒状体12sの壁面の外側には、濾過膜12mが設けられている。この濾過膜12mとしては、表面積(濾過面積)が大きいことから、平坦な濾材をジグザグに(蛇腹状に)折り曲げつつ、筒状体12sの外周面に巻き付けて、円筒状に形成したプリーツフィルタを用いることが好ましい。濾材を折り曲げていない単なる平坦な濾過フィルタと比べて、プリーツフィルタを用いることで、フィルタの表面積が大きくなるため、処理液TSの単位時間当たりの処理能力を格段に高くすることができる。処理液TS中の懸濁物質をできるだけ多く除去するためには、処理液TSが濾過フィルタ12を通る速度をできる限り遅くする必要があるため、一般的に単位時間当たりの濾過処理量が少なくなる傾向がある。しかし、そのような場合であっても、平坦なフィルタではなく、プリーツフィルタを用いることで、処理液TSの濾過処理量が少なくなる不都合を防ぐことができる。
【0057】
なお、前記のように濾材をジグザグに折り曲げることで複数の襞を形成することができる。このプリーツフィルタは、隣り合う襞と襞の壁面間の間隔が内側から外側へ向かって次第に広くなるため、ケーキKを剥離・排出しやすいという利点がある。なお、隣り合う襞と襞の先端部間の長さL1は、例えば6mmにすることができ、襞の先端から基端までの長さL2は、例えば100mmにすることができる。
【0058】
濾過膜12mは、単層または多層にすることができる。この濾過膜12mの素材(濾材)としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(別名「テフロン」(登録商標))、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ナイロン、ステンレス等を用いることができる。特に、濾過膜12mの表面をポリテトラフルオロエチレンでラミネートしたものを用いることが好ましい。ポリテトラフルオロエチレンでラミネートすることで、濾過膜12mの表面に付着した付着物の付着性が悪くなるため、付着物を容易に剥離することができる。ただし、ポリテトラフルオロエチレンは疎水性のため、ポリテトラフルオロエチレンをそのまま用いてしまうと、処理液TSが水を含む場合にその処理液TSを濾過しにくい。そこで、ポリテトラフルオロエチレンに化学的処理を施し、濾過膜12mの表面を親水性にすることが好ましい。ポリテトラフルオロエチレンに化学的処理を施し、濾過膜12mの表面を親水性にすることで、濾過膜12m表面に付着した付着物を除去しやすく、かつ処理液TSの水を通過させやすいフィルタにすることができる。このようにして濾過膜12m表面に付着した付着物が除去しやすくなるため、濾過膜12mを洗浄する際に、濾膜膜12mに原液(被処理液TLや処理液TS)を吹きつけるだけで付着物を除去することができるという利点がある。
【0059】
濾過膜12mの膜厚は、好ましくは0.3mm~0.7mm、より好ましくは0.6mmである。また、濾材の繊維径(投影面積円相当径、Heywood径をいう。以下、同じ。)は、好ましくは0.1μm~3μmであり、より好ましくは0.1μmである。繊維径が0.1μmより細い繊維を用いると、濾過時の抵抗が大きくなるとともに、見かけの表面積が狭くなってしまう。また、繊維径が3μmよりも太い繊維を用いると、懸濁粒子が濾過膜12mの繊維間の隙間を透過してしまう。したがって、繊維径が0.1μm~3μmの濾材を用いて、ある程度の目の粗さを持つ濾過膜12mを形成することが好ましい。このような濾過膜12mによって、濾過時に濾過膜12mの表面12fに付着した処理液TS中の懸濁粒子が濾過層として作用する。なお、この濾過膜12mの長手方向の長さは、例えば300mm~2000mmにすることができる。
【0060】
本形態において、濾過膜12mの表面12fとは、濾過容器11と向かい合う面をいい、処理液TSと接する面をいう。一方、濾過膜12mの裏面12bとは、筒状体12sと向かい合う面をいい、濾液Bと接する面をいう。
【0061】
また、濾過膜12mの表面12fに洗浄用の液体C(以下「濾過フィルタ洗浄液C」といい、単に「洗浄液C」ともいう。)が噴き付けられるため、濾過膜12mが噴き付けられた洗浄液Cの衝撃波で破損しないように、所定の強度以上の濾過膜12mを用いることが好ましい。例えば、JIS L‐1906の測定方法において、引張強度(N/5cm)タテ:1200、ヨコ:700、破裂強力(kgf/cm2)タテ:25のものを用いると良い。
【0062】
襞の内面に(濾過膜12mの裏面12bと接するように)、その襞形状に沿うように、ハニカムメッシュや金網等をジグザグに折り曲げた支持板(フィルタ支持体29)を配することが好ましい。濾過膜12mの表面12fにケーキKが積層するにつれて、プリーツフィルタの襞が押し潰され、襞内の空間が無くなる「閉塞」の生じる可能性があるが、フィルタ支持板29を設けることでこの閉塞の発生を防ぐことができる。
【0063】
以上のような濾過装置4を用いることで、処理液TSに含まれる微小な懸濁物質を除去することができる。特に、処理液TSにマイクロプラスチックが含まれている場合であっても、そのマイクロプラスチックを除去することが可能である。
【0064】
なお、濾過装置4から排出された濾液Bの品質を定期的にチェックすることが好ましい。そして、濾液BからVOCs、重金属イオン、高い濃度のノルマルヘキサン抽出物質が検出された場合は、濾過装置4による濾過を一旦停止して濾過膜12mを洗浄した後、吸着剤供給装置22から濾過装置4に吸着剤を供給することが好ましい。
【0065】
前記吸着剤は特に限定されるものではないが、例えば活性炭、ゼオライト、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化チタン、イモゴライトなどを使用できる。活性炭の原料として、ヤシガラ、石炭(瀝青炭、無煙炭)、オイルピッチ、木材チップ、おが屑、コーヒー滓、レーヨン、アクリルニトリル、フェノール樹脂を例示できる。形状は、粒状、破砕状、粉末状、繊維状、成型(ハニカム状)などがあり、限定されるものではない。
【0066】
吸着剤の孔はその大きさから、直径2nm以下をマイクロ孔(ミクロ孔)、2~50nmをメソ孔、それ以上をマクロ孔と呼んでいる。吸着剤の比表面積を大きくし、微小粒子状物質を素早く吸着するのはマイクロ孔である。例えば、活性炭はマイクロ孔からマクロ孔まで様々な径の孔を持っている。また、ゼオライトは相対的にサイズの揃ったマイクロ孔を持っている。前記例示の吸着剤群は、そのマイクロ孔(ミクロ孔)の存在故に、いずれの吸着剤も使用可能である。
【0067】
吸着剤の平均粒子径は、下限が5μm以上、好ましくは10μm以上とするとよく、上限が30μm以下、好ましくは20μm以下とするとよい。5μm未満だと、吸着剤が濾過フィルタ12の内部に入り込んだり、透過してしまったりする。30μm超だと、所定の流入風量又は所定の流出風量で吸着剤が気流にのって流れ難い。平均粒子径はJIS Z 8825:2013に準拠して測定することができる。
【0068】
吸着剤の嵩比重は、下限が0.4g/cm3以上とするとよく、上限が1.5g/cm3以下とするとよい。0.4g/cm3未満だと僅かな風で吸着剤が舞い上がり、取り扱い難い。1.5g/cm3超だと気流に沿って流れ難くなる。
【0069】
濾過フィルタ12の外側から内側へ吸着剤を含むガスを流すと、濾過フィルタ12の外面に吸着剤が付着されて、濾過フィルタ12の外面に吸着剤層が形成される。このときの吸着剤層の厚みは、例えば、下限が0.5mm以上とするとよく、上限が4mm以下とするとよい。0.5mm未満だと微小な濁物質が濾過フィルタ12を透過してしまうおそれがあり、4mm超だと通液抵抗が大きくなり、単位時間当たりの処理量が低下するおそれがある。
【0070】
このような吸着剤層を設けることで、濾液BからVOCs、重金属イオン、高い濃度のノルマルヘキサン抽出物質が検出されづらくなる。
【0071】
(オゾン処理と濾過)
以上のように、最初沈殿槽2から排出された排液は被処理液TLとして浄化装置3に供給される。浄化装置3では懸濁物質の除去等が行われた後に処理液TSが排出される。次に処理液TSは濾過装置4に供給されて濾過フィルタ12で濾過された後、濾液Bが排出される。濾過装置4から排出された濾液Bは後段の液体冷却装置5へ送られる。なお、濾過装置4から排出された濾液Bのすべてを液体冷却装置5へ送る必要はなく、濾液Bの一部を洗浄装置1へ向かう返送経路10に送り、洗浄装置1へ返送してもよい。
【0072】
また浄化装置3の下部に滞留した沈殿物質PSは、定期的に浄化装置3から濃縮スラリー貯留槽17を経て脱液装置18に運ばれた後、脱液装置18内に貯留される。
【0073】
また濾過装置4では、オゾン処理液TSの濾過を行うと濾過膜12mの表面に懸濁物質が凝集・堆積してケーキKとなり、このケーキKの厚さが厚くなるにつれて通液量が低下して、濾過効率が悪化する。そのため、濾過膜12mの通液量をモニタリングしておき、通液量が所定値以下となった段階で、自動的に濾過膜12mの表面に堆積した懸濁物質(ケーキK)を剥離する(濾過膜12mを洗浄する)ことが好ましい。
【0074】
濾過膜12mを洗浄する際は、濾過容器11の内面と濾過膜12mの外面の間の間隙50を空気で満たした状態にした後で、洗浄液Cを濾過膜12mの外面に吹き付けて濾過膜12mを洗浄する。この洗浄液Cとして濾液Bを用いる必要はなく、処理液TSや被処理液TLなどを用いることができる。この洗浄液Cは一時的に洗浄液タンク36に貯留され、濾過膜12mを洗浄する際にポンプ(図示しない)によって加圧され、吹き出し口37(スリット)から縦方向に長く延びたビーム状になって吐出される。洗浄時に濾過フィルタ12はモータMによって周方向に回転するため、回転する濾過フィルタ12とビーム状に吐出された洗浄液Cが衝突し、濾過膜12mの表面に形成されたケーキKを剥離する。
【0075】
なお、洗浄液Cに粉粒体を混合しておくことが好ましい。吹き出し口37から吐出された洗浄液Cに含まれる粉粒体が濾過膜12mの膜面を擦ることによって、ファウリング(fouling)が防止され、濾過膜12mを濾過開始前の状態と同等のレベルに再生することができる。前記粉粒体は粉体及び粒体を意味し、例えば球状塩ビスポンジ等の球状スポンジ、球状プラスチックビーズ、球状パーライトビーズ等のビーズ、珪砂等の砂などを用いることができる。ただし、濾過膜12mの劣化を防止するという観点からは、粉粒体が砂等の角を有する粒子であるのは好ましくなく、球体状の粒子、楕円体状の粒子等の丸みを帯びた粒子であるのが好ましい。また、同様に観点から、粉粒体は,硬度が高くない方がよい。具体的には、粉粒体の硬度は、好ましくはR20~R110である。さらに、粉粒体は、洗浄用の液体C中に均一に分散させることが好ましい。粉粒体の比重は、例えば、0.8~1.2g/cm3であるのが好ましい。加えて、粉粒体Fは、回収再利用、つまり分級に適する粒径であるのが好ましい。具体的には、粒径が0.2mm~1mmであるのが好ましく、0.4mm~0.7mmであるのがより好ましい。なお、前記粉粒体Fの粒径は、JIS Z8800に準拠して測定することができる。
【0076】
以上のようにして濾過フィルタ12の全周に形成されたケーキKが剥離される。洗浄時間は2分程度と非常に短いものになるため、濾過装置4による濾過の停止時間を最小限にすることができる。使用された洗浄液Cと剥離されたケーキKは混ざりあって濃縮スラリーとなり、濾過装置4の排出シュート11Sに貯められた後、定期的に出口11Vから排出され、濃縮スラリー貯留槽17へ運ばれる。濃縮スラリー貯留槽17では使用済みの洗浄液CやケーキKなどが貯留され、重い懸濁物質が下部に沈殿する。濃縮スラリー貯留槽17で沈殿する懸濁物質の量を多くするために、凝集剤タンク24から濃縮スラリー槽17に凝集剤を添加することが好ましい。この凝集剤として、前述のPACや、その他のアルミニウム塩、塩化鉄、ポリ鉄等の無機凝集剤など、任意の凝集剤を用いることができる。濃縮スラリー槽17の下部に沈殿した沈殿物質は、定期的に脱液装置18へ運ばれる。
【0077】
脱液装置18では、例えば円筒形フィルタを用いて、脱水汚泥と絞り液に分離することができる。この脱水汚泥(脱水ケーキ)は廃プラ汚泥として産業廃棄物処分し、絞り液はポンプPによって浄化装置3に返送することができる。
【0078】
なお、前記脱液装置18の種類は特に限定されるものではないが、例えば多数のバグフィルタを連装したものを用いることができる。このようなバグフィルタを用いた脱液装置18では、濃縮スラリーを前記バグフィルタに加圧注入して濾過脱水させ、さらに間欠的に空気圧によって絞りを加えて含水率を低下させる構造にするとよい。またこの脱水装置18を完全に密閉した構造にすることで、悪臭の漏洩を防ぐことができる。
【0079】
(液体冷却装置5)
図1に示す冷却液生成システム100では、濾過装置4から排出した濾液Bを濾液貯留槽23に供給した後、濾液貯留槽23から必要に応じて濾液Bを液体冷却装置5に供給し、この液体冷却装置5で濾液Bを冷却する構成にしている。具体的には、例えば37~50度の濾液Bを液体冷却装置5で32度以下に冷却することが好ましい。冷却後の濾液B(液体冷却装置5で冷却された液体を「冷却液」という。以下同じ。)の温度が32度よりも高いと、後段の冷却装置7(例えば押し出し機)で冷却対象物を十分に冷却できないおそれがある。
【0080】
なお、図1の冷却液生成システム100では濾過装置4から排出された濾液Bを冷却する構成としているが、液体冷却装置5を設ける位置は図1の箇所に限られるものではない。例えば、洗浄装置1と最初沈殿槽2の間や、最初沈殿槽2と浄化装置3の間に液体冷却装置5を設け、浄化処理を行う前の排液(被処理液TL)を冷却するようにしても良い。また、浄化装置3と濾過装置4の間に液体冷却装置5を設け、濾過を行う前の処理液TSを冷却するようにしても良い。また、前述のいずれかの場所に限定して液体冷却装置5を設ける必要はなく、任意の複数の箇所に液体冷却装置5を設けて、前記被処理液TL、前記処理液TSおよび前記濾液Bの群から選ばれる二つ以上の液体を冷却するようにしても良い。
【0081】
(貯留槽6)
液体冷却装置5から排出された冷却液は貯留槽6に貯留される。この貯留槽6は冷却液を貯留する設備であり、この貯留槽6から後段の冷却装置7へ必要に応じて冷却液が供給される。
【0082】
冷却液を消毒するため、消毒液貯留タンク9からこの貯留槽6に消毒液を供給することが好ましい。この消毒液として例えば次亜塩素酸ナトリウムを主とする液体を用いることができるが、これに限られるものではなく、過酸化水素水などの他の消毒液を用いてもよい。貯留槽6に供給する消毒液の濃度や量は任意に定めることができるが、例えば残留性が高いという特徴がある次亜塩素酸ナトリウムを濃度12%程度で供給することができる。このとき、貯留槽6内の冷却液が水道水と同レベルの残留塩素濃度(0.1ppm以上)になるように次亜塩素酸ナトリウムの供給量を調整することが好ましい。なお、浄化装置3にオゾンマイクロバブルを供給した場合、冷却液にはオゾンOZが残存している可能性が高いため、冷却液中に藻やバクテリアが繁殖する可能性はほとんどない。
【0083】
また、冷却液生成システム100を起動する際や、冷却装置7の運転中に蒸発などによって冷却液が少なくなった際などには、地下水などの液体(以下「補給液W」という。)を貯留槽6に供給することが好ましい。図1に示す冷却液生成システム100は、洗浄装置1から排出された排液を冷却装置7と洗浄装置1の間で循環させながら長期間使用することを想定したものであるが、長期間使用すると排液の劣化が生じるため、循環している排液の一部をシステム外へ放出(廃棄)して、新たな液体をこのシステム100内に取り入れることが必要となる。この場合において、補給液W(例えば地下水)はこの貯留槽6に供給するとよい。
【0084】
(排液調整槽19、排液槽20)
貯留槽6がオーバーフローした場合などには、貯留槽6内の冷却液の一部を排液貯留槽19に供給することができる。この排液貯留槽19では、冷却液生成システム100の外に液体を排出するために、排出予定の液体の状態(例えば、液体のpH、液温、液体に含有される浮遊物質(Suspended Solids。略してSSという。)の量、液体の生物化学的酸素要求量(Biochemical Oxygen Demand。略してBODという。)、液体に含まれるn‐ヘキサン抽出物質の量など)を計測・監視する。液体の状態が悪い場合(例えば浮遊物質の量が法定基準値よりも高い場合)は、浄化処理を再度行うために、浄化装置3に返送することが好ましい。反対に液体の状態が良好な場合(例えば浮遊物質の量が法定基準値以下の場合)は、排液槽20へ送った後、所望のタイミングで排液槽20からシステム100外へ放出することができる。また、浄化装置3や濾過装置4では塩分や糖質を除去しにくいため、濾液B中の塩分や糖質の濃度が高くなった場合は、貯留槽6から排液調整槽19へ冷却液を移動させた後、システム100外へ排出するようにしてもよい。
【0085】
(冷却装置7)
貯留槽6に貯留された冷却液は、必要に応じて冷却装置7へ送られて冷却対象物を冷却するために用いられる。
【0086】
例えば、廃プラスチックリサイクル工場においては、冷却装置7に相当するものとして押出成形機を挙げることができる。具体的には、廃プラスチックを洗浄装置1で洗浄し、乾燥させてフレーク状にしてもの(押出成形機の材料)をこの押出成形機に供給する。押出成形機に供給された材料は、押出成形機内で加熱されて溶かされた後に金型から押し出される。そして、金型から押し出された材料は、押出成形機内の冷却水槽内で冷却された後、押出成形機内の切断機によって所望の大きさに切断されてペレットとなる。このように、押出成形機内で冷却が行われるが、この冷却を行う際に貯留槽6に貯留された冷却液を用いることが好ましい。なお、浄化装置3にオゾンマイクロバブルを供給した場合、冷却液中にオゾン(浄化装置3に供給したオゾン)が残留している可能性が高いため、この残留オゾンの作用によってペレット表面を清浄にすることができ、ペレットの保存性を高めることができる。
【0087】
また前記食品工場では、炊飯に用いた釜を洗浄する工程が必要になるが、この釜を洗浄するために貯留槽6に貯留された冷却液を用いてもよい。さらに前記クリーニング工場では、衣類の乾燥に用いる乾燥機の温度が上がりすぎないにように冷却する必要があるが、この乾燥機の冷却をするために貯留槽6に貯留された冷却液を用いてもよい。
【0088】
なお、冷却装置7では冷却液の一部が蒸発して失われる。そのため、この失われた冷却液と同量の補給液W(井戸水など)を貯留槽6に補給することが好ましい。
【0089】
(返送経路10)
冷却装置7で冷却に用いた冷却液を廃棄するのは、液体資源(例えば水資源)の有効活用という観点や、ランニングコスト削減という観点などから好ましくない。そこで図1に示す冷却液生成システム100のように、冷却装置7と洗浄装置1の間に返送経路10を設け、この返送経路10を介して冷却装置7で用いた冷却液を洗浄装置1へ返送し、冷却液を洗浄対象物の洗浄に用いることが好ましい。なお、使用済みの冷却液の温度は50度前後に上昇していることが多い。このように50度前後の温度の液体を洗浄装置1の洗浄液として活用することで、洗浄対象物(例えば、廃プラスチックのフレーク)の洗浄効果を高めることができ、洗浄した対象物の品質を高めることができる。また、洗浄対象物は洗浄された後にすすぎや脱水乾燥されるが、50度前後の高温の液体ですすぎや脱水乾燥をすると、洗浄に用いる液体(例えば水)の分子が活性化しており、粘性が小さいことから、洗浄対象物(例えば廃プラ)の表面の付着物や汚れの粒子等を剥離しやすい。また、以上のようにして廃プラスチックのフレークを脱水した場合、脱水後のフレークの品温が高く、フレークに残る水分量が少なくなるため、廃プラスチックのフレークから作られるペレットの品質を高くすることができる。また、洗浄装置1による洗浄工程で、洗浄液の温度がある程度低くなるため、後段の液体冷却装置5による冷却負荷を減らすことができる。さらに、50度前後の温度の液体を洗浄装置1の洗浄液として用いると、洗浄後のフレークがある程度予熱された状態になるため、冷却装置7が押し出し機である場合、押し出し機7の熱効率が高くなり、押し出し機7で用いられる電力を削減することができる。
【0090】
以上のように、洗浄後の排液を循環させながら再利用し続けることによって、限りある液体資源を有効活用することができ、またランニングコストを大幅に削減することができる。本発明者の試算によれば、ランニングコストを従来の装置の1/10~1/20程度に削減することができる。
【0091】
なお、洗浄装置1で使用する液体の量が少ない場合がある。この場合は、冷却装置7から排出された使用済みの冷却液のすべてを洗浄装置1に返送するのではなく、使用済みの冷却液の一部を洗浄装置1へ返送し、使用済みの冷却液の残部を液体冷却装置5へ返送するようにしても良い。
【0092】
(被処理液浄化システム200)
次に、図1に示した冷却液生成システム100等に用いられる被処理液浄化システム200の詳細について、図2を参照しながら説明する。なお、図1の四角で囲んだ点線部分EVおよびその周辺機器を示したものが、図2に示す被処理液浄化システム200に相当する。
【0093】
(空気圧縮機61)
まず、被処理液浄化システム200の外部から空気ARを供給し、その空気ARを空気圧縮機61(「コンプレッサー」ともいう。以下同じ。)で圧縮する。空気ARの圧縮度合いは適宜定めることができるが、空気圧縮機61から排出される圧縮空気の圧力が500~990kPa程度になるようにすることが好ましく、600~800kPa程度になるようにすることがより好ましい。圧縮空気の圧力が500kPaよりも低いと、後段に設けたPSA式の酸素ガス発生装置63で発生させる酸素濃度が低下するおそれがある。他方、圧縮空気の圧力が990kPaよりも高いと、特殊仕様の空気圧縮機61となり、価格が高価になる。
【0094】
(空気除湿器62)
次に空気圧縮機61で圧縮した空気を空気除湿器62へ送り、この空気除湿器62で圧縮気体中の水分を除去する。この空気除湿器62としては、例えば乾燥剤(ゼオライトなど)に圧縮空気中の水分を吸着させるデカント式の除湿器を用いることができる。そのほか、エアコンと同様の機構のコンプレッサー式の除湿器を用いるなど、任意の除湿器を用いても良い。後段に設けるオゾン発生器65として無声放電式のオゾン発生器65(後で詳述する)を用いる場合、オゾン発生器65に供給される酸素ガスは乾いていることが求められる。そのため、空気除湿器62で圧縮空気から水分を除去することにより、後段に設けたオゾン発生器65で所望の濃度および所望の量のオゾンを得やすくなる。
【0095】
なお空気除湿器62による除湿の程度は適宜定めることができる。具体的には、空気除湿器62から排出される圧縮空気の絶対湿度が2g/m3以下になるようにすることが好ましく、1.5g/m3以下になるようにすることがより好ましい。圧縮空気の絶対湿度が2g/m3よりも高いと、オゾン発生効率が低下するおそれがある。
【0096】
(酸素ガス発生装置63)
除湿器62から排出された圧縮空気は酸素ガス発生装置63へ送られる。この酸素ガス発生装置63では、圧縮気体をもとにして酸素ガスを発生させる。図2の被処理液浄化システム200では、酸素ガス発生装置63として真空ポンプを使用しないPSA(「Pressure Swing Adsorption」の略である)式のものを想定している。このPSA式の酸素ガス発生装置63は、ゼオライト等を用いた吸着剤層に圧縮気体を流し、圧縮気体中から窒素(N2)、二酸化炭素(CO2)、水(H2O)を除去し、酸素(O2)ガスを発生させる。このPSA式の酸素ガス発生装置63はPVSA式の酸素ガス発生装置63と比べてイニシャルコストが安いという利点がある。また、高圧の酸素ガスを得ることができる利点もある。
【0097】
なお、酸素ガス発生装置63として、PVSA式(「Pressure Vacuum Swing Adsorption」の略である)のものを用いてもよい。このPVSA式の酸素ガス発生装置63を用いる場合は、前述の空気圧縮機61に代えて空気ブロワを用いることができる。PVSA式の酸素ガス発生装置63の場合、酸素ガス発生装置63に供給する空気の圧力はそれほど高くなくて良い(80~150kPa程度)からである。そのため、PVSA式の酸素ガス発生装置63を用いるとランニングコストを低減することができる利点があるが、PSA式の酸素ガス発生装置63で用いていなかった真空ポンプを用いる必要があるため、イニシャルコストが高くなるという不都合がある。なお、PVSA式の酸素ガス発生装置63の場合も、酸素ガスを得る仕組みの基本構造はPSA式の酸素ガス発生装置63と同様である。すなわち、ゼオライト等を用いた吸着剤層に空気を流し、空気中から窒素(N2)、二酸化炭素(CO2)、水(H2O)を除去し、酸素(O2)ガスを発生させるというものである。なお、PVSA式の酸素ガス発生装置63を用いた場合、PSA式の酸素ガス発生装置63を用いた場合よりも、酸素ガス発生装置63から排出される酸素ガスの圧力が低圧になるという特徴がある。
【0098】
なお、酸素ガス発生装置63から排出される酸素ガスの圧力は、150~400kPa程度になるようにすることが好ましく、250~350kPa程度になるようにすることがより好ましい。酸素ガスの圧力が150kPaよりも低いと、オゾン発生効率が低下するおそれがある。他方、酸素ガスの圧力が400kPaよりも高いと、オゾン発生器65が破損するおそれがある。
【0099】
また酸素ガス発生装置63から排出される酸素ガスの酸素濃度が90%以上になるようにすることが好ましく、95%以上になるようにすることがより好ましい。酸素濃度が90%よりも低いと、後段に設けたオゾン発生器65で生成されるオゾン(O3)の濃度が低くなるおそれがある。
【0100】
(精密フィルタ64)
酸素ガス発生装置63から排出された酸素ガスは精密フィルタ64に供給され、酸素ガスに含まれる異物(微粒子など)が除去される。この精密フィルタ64は特に限定されないが、例えば化学繊維、ガラス繊維、セラミックなどの精密フィルタ64を用いることができる。異物を除去する観点からは精密フィルタの濾過精度が高い方が好ましいが、濾過精度が高すぎると酸素ガスを濾過するのに時間がかかるため、濾過精度が高すぎるのも好ましくない。以上の観点から、濾過精度が0.1~1μm程度のフィルタを用いることが好ましく、0.1~0.3μm程度のフィルタを用いることがより好ましい。
【0101】
(オゾン発生器65)
精密フィルタ64を通過した酸素ガスはオゾン発生器65に供給される。このオゾン発生器65として、無声放電法などを用いてオゾンを発生させる装置を用いることができる。特に、工業的に多く用いられている無声放電式のオゾン発生器(「オゾナイザー」「Ozonizer」ともいう。以下同じ。)を用いることが好ましい。この無声放電式のオゾン発生器65は、例えば、二重のガラス管の内外にスズ箔を張ったものを用いて、一方から酸素ガスを送り、二重管を通して無声放電を行うことでオゾンを得るというものである。このスズ箔を用いて装置ではなく、内管の内側と外管の外側に希硫酸を設けた装置を用いてもよい。その他、空気に紫外線を照射する紫外線照射法や、白金等を用いて硫酸溶液を電気分解する電気分解法などを用いてオゾンを発生させても良いが、前記オゾナイザーとはオゾンを発生させる機構が異なるため、オゾン発生器65の前段の構成、すなわち図2のコンプレッサー61~精密フィルタ64までの構成とは異なる構成にする必要がある。
【0102】
なお、現在様々なメーカーから販売されているオゾン発生器65を用いた場合、オゾン発生器65に供給された酸素の大部分はオゾンにならずにそのまま(酸素のまま)オゾン発生器65から排出されてしまう。具体的には、オゾン発生器65に供給した酸素の量を100%としたとき、その10~20%がオゾンになり、残りの80~90%が酸素の状態のままオゾン発生器65から排出される。
【0103】
(ガス昇圧装置66)
以上のようにしてオゾン発生器65から排出された気体(オゾンと酸素を含む気体。以下、「オゾン・酸素ガス」という。)の圧力は50~120kPa程度まで低下してしまう。この程度の圧力のオゾン・酸素ガスを後段に設けた加圧溶解タンク68へ送った場合、加圧溶解タンク68の内部の液体にオゾンや酸素が溶解しづらい。そのため、オゾン発生器65と加圧溶解タンク68の間にガス昇圧装置66(「ガスブースター」ともいう。以下同じ。)を用いてオゾン・酸素ガスの圧力を高める。具体的には、ガス昇圧装置66によってオゾン・酸素ガスの圧力を200~400kPa程度にすることが好ましく、250~350kPa程度にすることがより好ましい。オゾン・酸素ガスの圧力が200kPaよりも低いと、加圧溶解タンク68の内部の液体にオゾンや酸素が溶解しづらい。他方、オゾン・酸素ガスの圧力が400kPaよりも高いと、高い圧力に耐えられる特別な構造のガス昇圧装置66を用いなければならず、ガス昇圧装置66を入手しづらい。なお、ガス昇圧装置66の種類は特に限定されず、オゾン・酸素ガスの圧力を200~400kPa程度まで上げることができれば、市販されているガス昇圧装置66のいずれを用いてもよい。
【0104】
(加圧溶解タンク68)
ガス昇圧装置66で昇圧されたオゾン・酸素ガスはガス昇圧装置66に供給される。また、被処理液浄化システム200の外部から液体(図2の形態では水WTをいう。以下の説明では、液体として水を用いた例を説明する。)が供給され、ポンプ67によって、この水WTもガス昇圧装置66へ供給する。
【0105】
加圧溶解タンク68の内部は、オゾン・酸素ガスがある空間(気層)と水WTがある空間(液相)に分かれており、ガス昇圧装置66から加圧状態で供給されたオゾン・酸素ガスのオゾンおよび酸素は、その圧力によって水WTに溶解する。
【0106】
(マイクロバブルノズル69)
加圧溶解タンク68によって、オゾンおよび酸素が溶解した水WT(オゾンおよび酸素が溶解した水のことを以下の説明では「オゾン・酸素溶解水」という。)はマイクロバブルノズル69へ送られる。そして、オゾン・酸素溶解水がこのマイクロバブルノズル69を通過することによって、オゾン・酸素溶解水からオゾンマイクロバブルおよび酸素マイクロバブルが生成される。このマイクロバブルノズル69の種類は特に限定されないが、例えば減圧ノズルを用いることができる。オゾン・酸素溶解水が減圧ノズルに流入すると、急激な圧力の低下によってオゾンや酸素のマイクロバブルが生成されるというものである。そのほかのマイクロバブルノズル69としてオリフィス、ベンチュリー、金属メッシュなどを用いることができる。
【0107】
なお、以上の説明ではマイクロバブルを生成する方法として、いわゆる加圧溶解方式を採用した例を示した。しかし、マイクロバブルを生成する方法として、その他の方法を用いても良い。例えば、高速旋回流方式、高速剪断方式、超音波方式、混合破砕式、散気管式などを用いることができる。他の方法を用いる場合は、前記ガス昇圧装置66~マイクロバブルノズル69までの構造を他の構造に変更する必要が生じる。
【0108】
また、オゾン発生器65で生成したオゾンからオゾンマイクロバブルを生成する装置をオゾンマイクロバブル生成装置といい、図2の実施形態では、ガス昇圧装置66、ポンプ67、加圧溶解タンク68およびマイクロバブルノズル69を合わせたものをオゾンマイクロバブル生成装置(広義のオゾンマイクロバブル生成装置)という。図2の実施形態において、特に加圧溶解タンク68とマイクロバブルノズル69を合わせてオゾンマイクロバブル生成装置(狭義のオゾンマイクロバブル生成装置)といってもよい。
【0109】
(浄化装置3)
マイクロバブルノズル69によって生成されたオゾンマイクロバブルおよび酸素マイクロバブルは(正確にはオゾンマイクロバブルおよび酸素マイクロバブルを含む水は)、浄化装置3へ送られ、マイクロバブル供給口44から浄化装置3の内部へ供給される。
【0110】
浄化装置3の概略を図3および図4に示した。この浄化装置3は外筒41と内筒42を有し、内筒42は外筒41の内部に設けられている。図3および図4では、外筒41と内筒42の上部および中間部が円筒形になっているが、外筒41と内筒42の形状は円筒形に限られるものではなく、角筒(例えば断面が三角形や四角形や五角形などになった筒)や、断面が楕円形になった筒などの任意の形状に変更してもよい。また、図3および図4では外筒41と内筒42を同じ形状(円筒)にしているが、外筒41を円筒にし、内筒42を角筒にするなど、外筒41と内筒42を異なる形状にしてもよい。
【0111】
また図3および図4に示すように、外筒41と内筒42の下部は漏斗のような逆円錐形にしたり、逆角錐形にしたりすることが好ましい。外筒41を逆円錐形や逆角錐形にすることによって、沈殿物資PSが外筒41の下端部に集まりやすくなり、外筒41の下端部に設けた沈殿物質排出口45から沈殿物質PSを排出しやすくなる。また、内筒42を逆円錐形や逆角錐形にすることによって、処理液TSに含まれる微量の懸濁物質が内筒42の下端部に集まりやすくなり、内筒42の下端部に設けた処理液排出口46からこの懸濁物質を排出しやすくなる。
【0112】
被処理液TLは供給口43を通って外筒41と内筒42の間の間隙GPに供給され、この間隙GPを上昇した後、内筒42の上端部を乗り越えて、内筒42の内部INへ移動する。したがって、内筒42の上端部を蓋部3Cの上端部よりも低くすることが好ましい。具体的には蓋部3Cの上端と内筒42の上端の間の距離Zを250mm以上確保することが好ましく、400mm以上確保することがより好ましい。
【0113】
外筒41と内筒42の間の間隙GPの空間を用いて、被処理液TLに含まれる懸濁物質のうちの重い懸濁物質を沈殿させ、沈殿した懸濁物質を沈殿物質PSとして排出する。それとともに、被処理液TLに含まれる懸濁物質のうちの軽い懸濁物質を浮上させ、浮上させた懸濁物質をバブルBBとともに排出する。このように被処理液TL中に含まれる懸濁物質を重さによって分級し、できるだけ多くの懸濁物質を除去するために、ある程度の大きさの間隙GPを確保することが好ましい。具体的には、外筒41と内筒42の間の間隙GPの体積と内筒42の内部INの体積の比を1:1程度にすることが好ましい。なおこの体積比は、内筒42の上端を基準としてそれよりも下の部分の各空間の比を指す。
【0114】
また図3に示すように、外筒41に蓋をする蓋部3Cを浄化装置3の上部に設け、この蓋部3CにバブルBBを排出するバブル排出口47を設けることが好ましい。マイクロバブル供給口44から供給されたマイクロバブルMBは、間隙GPを上方へ向かって移動し、被処理液TLの液面まで浮上する。このようにして大量に浮上したマイクロバブルMBは、被処理液TLの液面上に滞留するため、被処理液TLの液面上に大量のバブルBBが発生し、そのバブルBBは時間の経過とともに次第に膨張して蓋部3C内の空隙を埋め尽くす。なお、マイクロバブル供給口44から供給されたマイクロバブルMBの粒径と被処理液TLの液面上に滞留したバブルBBの粒径はほぼ同じである。以上のようにして蓋部3C内に滞留する大量のバブルBBは、新たに発生するバブルBBに押し出される形でバブル排出口47から排出される。
【0115】
ところで、被処理液TLに含まれる懸濁物質の分級を十分に行うため、それとともに被処理液TLに含まれる懸濁物質とマイクロバブルMBの接触時間を増やすため、被処理液TLの供給口43を外筒41の下部に設けることが好ましい。図3の実施形態では、外筒41の円筒状部分と逆円錐状部分の境界部分の近傍に被処理液供給口43を設けている。被処理液供給口43を設ける位置は図示した形態に限定されるものではなく、図3よりも上方USに設けたり、反対に下方DSに設けたりしてもよい。
【0116】
また、被処理液TLの供給口43は外筒41の周方向に向けることが好ましい。図4の実施形態では、供給口43を外筒41の内周壁に沿う方向へ向けている。このように供給口43を外筒41の周方向に向けることで、供給口43から供給された被処理液TLが、外筒41と内筒42の間の間隙GPを周方向に旋回するように移動する。被処理液TLを旋回させることによって、供給された被処理液TLが間隙GP内に滞留する時間を増やすことができるため、被処理液TLに含まれる懸濁物質の分級を十分に行うことができるとともに、被処理液TLに含まれる懸濁物質とオゾンの接触時間を増やすことができる。
【0117】
なお被処理液TLは外筒41と内筒42の間の間隙GPを周方向に旋回しながら螺旋状に上昇するように流れることが好ましい。そのため、供給口43を外筒41の周方向に向けるとともに、少し上方USへ向けることが好ましい。
【0118】
以上のようにして、被処理液TLに含まれる懸濁物質とマイクロバブルMBの接触時間が増えると、懸濁物質がマイクロバブルMBによって捕捉されて浮上しやすくなり、浮上した懸濁物質はバブルBBとともに外部へ排出されるため、結果として処理液TL中の懸濁物質を減らすことができる。特に懸濁物質が有機物であり、マイクロバブルMBがオゾンマイクロバブルである場合は、オゾンによって破壊されて小さくなる有機物が増えるため、浮上する有機物量が増え、結果として処理液TL中の有機物を減らすことができる。また、懸濁物質が細菌などの微生物であり、マイクロバブルMBがオゾンマイクロバブルである場合は、オゾンと微生物の接触機会が増えるため、多くの微生物を除菌(溶菌)することができる。微生物が除菌(溶菌)されると、微生物を原因とする悪臭の発生を抑えることができる。なおオゾンによって被処理液TL中の微生物の除菌(溶菌)を行うことができるほか、冷却液生成システム100を構成する各装置や各配管の内部を浄化することもできる。さらに、懸濁物質が臭気物質(例えば、揮発性有機化合物(Volatile OrganicCompounds:略称VOCs)など)であり、マイクロバブルMBがオゾンマイクロバブルである場合は、オゾンと臭気物質の接触機会が増えるため、臭気物質の破壊をより進めることができるため、処理液TLからの悪臭の発生を防ぐことができる。
【0119】
前述のように被処理液TL中に有機物、微生物、臭気物質などが含まれていたとしても、浄化装置3の内部(外筒41と内筒42の間の間隙GPや内筒42の内部空間IN)を移動する過程でオゾン処理されるため、浄化装置3から排出される処理液TS中の有機物の量を少なく、処理液TS中の生きた微生物を少なく、処理液TS中の破壊されていない状態の臭気物質を少なくすることができる。
【0120】
また、図3に示す浄化装置3は外筒41と内筒42を有するため、外筒41のみからなる浄化装置3と比べて、浄化装置3の内部を移動する被処理液TLの移動距離を長くすることができる。その結果、被処理液TLとオゾンの接触時間を長くすることができ、オゾン処理(例えば、有機物の分解、微生物の除菌、臭気物質の破壊)を十分に行うことができる。なお、外筒41のみからなる浄化装置3であっても、浄化装置3自体を大型化することで浄化装置3の内部を移動する被処理液TLの移動距離を長くすることもできるかもしれないが、図3に示す態様によれば、浄化装置3を大型化することなく被処理液TLの移動距離を長くすることができる点が有利である。なお、浄化装置3が大型になると、イニシャルコストの増加、設置場所の確保の困難性、メンテナンスの労力の増大など、様々なデメリットが生じる。
【0121】
また、浄化装置3の内部でオゾン処理と懸濁物質の除去を同時に行うことができるため、オゾン処理装置と懸濁物質除去装置をそれぞれ設ける場合と比べて、イニシャルコストの低下、設置場所の確保の容易性、メンテナンスの労力の低下などの様々な利点がある。
【0122】
なお、マイクロバブルMBを供給するマイクロバブル供給口44も、被処理液供給口43と同様の理由により、外筒41の下部に設けることが好ましい。図3の実施形態では、外筒41の円筒状部分と逆円錐状部分の境界部分の近傍に供給口43を設けているが、この図示形態に限定されるものではなく、図3よりも上方USに設けたり、反対に下方DSに設けたりしてもよい。また図3の実施形態ではオゾン供給口44を外筒41に取り付けているが、この形態に限られるものではなく、例えば内筒42に取り付けたり、外筒41や内筒42に取り付けずに上方から吊るしたりするなど、任意の形態に変更してもよい。
【0123】
また、マイクロバブル供給口44からオゾンマイクロバブルを供給する場合、その供給されるオゾンマイクロバブルの平均粒径は150μm以下にすることが好ましく、80μm以下にすることがより好ましい。平均粒径が150μmよりも大きいとオゾンマイクロバブルの浮上する速度が速いため、被処理液TLに含まれる懸濁物質とオゾンの接触時間が十分にとれず、オゾン処理が不十分になるおそれがある。なお、オゾン処理効果を高めるためには、オゾンマイクロバブルの平均粒径は小さければ小さいほど好ましい。現在の市場にあるバルブの性能によれば平均粒径を10~20μm程度に小さくすることができる。なお、オゾンマイクロバブルの平均粒径は上記のとおりであるが、このオゾンマイクロバブルには50~100μm程度の粒径のものも多く含まれていることが好ましい。このような50~100μm程度の粒径のオゾンマイクロバブルは被処理液TLに含まれる懸濁物質を浮上させる効果が高いという利点を有するからである。
【0124】
なお、オゾンマイクロバブルの粒径および平均粒子径は、画像解析法、レーザ回折法などの公知の方法によって測定することができる。具体的には、市販のマイクロバブルの粒径の測定装置のカタログに掲載された算出方法に基づき、実測することができる。
【0125】
また、前述のようにオゾン発生器65から大量の酸素が排出されるため、マイクロバブル供給口44からはオゾンマイクロバブルと共に酸素マイクロバブルも供給される場合が多い。マイクロバブル供給口44から供給される酸素マイクロバブルの平均粒径も前記オゾンマイクロバブルとほぼ同じである。
【0126】
オゾンマイクロバブルは被処理液TL中の有機物等の懸濁物質と接触すると懸濁物質を分解させる傾向があり、その懸濁物質の分解に伴ってオゾンマイクロバブルも消滅することが少なくない。そのため、浄化装置3内に貯留された被処理液TL、すなわち前記間隙GPに存在する被処理液TLの内部を上昇移動する(浮上する)過程で、供給されたオゾンマイクロバブルの量が次第に減少する。
【0127】
しかし、酸素マイクロバブルは被処理液TL中の有機物等の懸濁物質と接触しても、その懸濁物質を分解させる傾向はなく、その懸濁物質と一緒に前記間隙GPに存在する被処理液TLの内部を上昇移動する(浮上する)。そのため、浄化装置3内に貯留された被処理液TLの液面LI上には大量のバブルBBが発生するが、このバブルBBの大量発生の原因は、この酸素マイクロバブルが浮上することによる。特に、マイクロバブル供給口44から供給されるマイクロバブルMBの構成は、オゾンマイクロバブルの量が少なく(例えば10~20%程度)、酸素マイクロバブルの量が多い(例えば80~90%程度)という傾向がある。そのため、マイクロバブル供給口44から供給されたマイクロバブルMBのほとんどは、そのまま間隙GP中の被処理液TL中を移動して(浮上して)、液面LIの上に大量のバブルBBを発生させる。
【0128】
また、浄化装置3の内部には、浄化装置3内に存在する被処理液TLの液面の位置を検出する液位センサー49を設けることが好ましい。そしてこの液位センサー49の検出結果に基づいて、浄化装置3内に供給する被処理液TLの量を調整することが好ましい。具体的には、浄化装置3内に存在する被処理液TLの液面LIが、内筒42の上端よりも高い位置であって、かつ、外筒41の上端(天板3Tがある部分)よりも低い位置になるようにすることが好ましい。なお、図3に示す天板3Tは、中心部に大きな貫通孔を設けた円盤形状をしており、この貫通孔を通じてバブルBBが蓋部3Cの内部へ移動する構造になっている。
【0129】
以上のようにして、外筒41と内筒42の間の間隙GPを流れる間に懸濁物質が除去された被処理液TLは、間隙GPの上部から内筒42の上端部を越えて内筒42の内部INへ流れ込み、内筒42の内部INを上方から下方へ移動した後、処理液排出口46から処理液TSとして排出される。なお、処理液TSには浄化装置3で除去しきれなかった懸濁物質(例えばマイクロプラスチックなど)が含まれている可能性があるため、浄化装置3の後段に前記濾過装置4を設け、その懸濁物質を除去することが好ましい。具体的には、前記浄化装置3は主に被処理液TLに含まれる比較的軽い油分等を除去に適しており、後段の濾過装置4はそれ以外の懸濁物質や有機物粒子の除去に適している。この浄化装置3を設けることで、後段の濾過装置4の濾過フィルタ12の目詰まりを防止することができる。また、浄化装置3内でコロイド粒子を凝集させることができるため、後段の濾過装置4で懸濁物質(例えば凝集したコロイド粒子)を除去しやすくなるという利点もある。また、浄化装置3内で凝集の阻害要因となる有機物がオゾンによって分解されるため、浄化装置3内でコロイド粒子を凝集させやすくなるという利点もある。
【0130】
なお、図3の浄化装置3の例では、外筒41と内筒42を合わせて「浄化容器」51という。また「浄化容器51の内部に被処理液TLが貯留されている」状態とは例えば図3に示すような状態をいう。すなわち、被処理液供給口43から供給された被処理液TLが浄化され、処理液TSとして処理液排出口46排出されるまでには時間がかかるため、被処理液TLは一時的に浄化容器51の内部に留まることになる。このようにして浄化容器51の内部に被処理液TLが留まっている状態をいう。
【0131】
(消泡装置70)
浄化装置3のバブル排出口47から排出されたバブルBBは、バブル供給口80を介して消泡装置70に供給され、消泡装置70の内部で消泡手段83によって消泡される。この消泡装置70の種類は特に限定されるものではなく、任意の装置を用いることができる。消泡装置70の内部では各種薬剤を用いることができる。具体的には、破泡剤(泡を消す物質)を用いてバブルBB(「泡」のことをいう。本明細書において他の記載においても同様。)を消すことができる。この破泡剤としては例えば長鎖アルコール類、脂肪酸エステル類、金属セッケンなどを用いることができる。前記破泡剤とともに、抑泡剤(泡立ちを抑える物質)を用いてバブルBBの泡立ちを抑えることも効果的である。前記消泡手段83としては、例えば前記破泡剤や抑泡剤を挙げることができるが、これらに限られるものではなく、バブルBBを消すことができるものであれば別の物質や機構を用いても良い。
【0132】
(オゾン除去フィルタ71)
消泡装置70でバブルBBが消泡された後に気体が生じる。この気体は消泡装置70の気体排出口81から排出された後にオゾン除去フィルタ71に供給される。図2に示す実施形態においては、オゾン除去フィルタ71に供給される気体は、オゾンマイクロバブルに由来するオゾンと酸素マイクロバブルに由来する酸素を含んでいる。オゾン除去フィルタ71に供給される気体の総量を100%としたとき、その気体中のオゾンの量は10~20%程度、酸素の量は80~90%程度である。
【0133】
以上のようにオゾン除去フィルタ71に供給された気体は、オゾン除去フィルタ71の内部に設けたフィルタを用いて、その気体中からオゾンが除去される。このオゾン除去フィルタ71の種類は特に限定されるものではなく、市販の任意のものを用いることができる。例えば活性炭フィルタ、活性化二酸化マンガンなどのフィルタを用いることができる。
【0134】
なお、消泡装置70から排出される気体には、消泡装置70で用いた薬剤が含まれている可能性があるため、オゾン除去フィルタ71でこの薬剤も除去できるようにすることが好ましい。例えば、消泡装置70で破泡剤としてメチルアルコールを用いた場合は、気体の内部にこのメチルアルコールが混入している可能性があるため、活性炭フィルタを用いてオゾンとともにメチルアルコールも除去するようにすることが好ましい。
【0135】
(酸素圧縮機72)
オゾン除去フィルタ71によってオゾンが除去された気体(図2の実施形態では酸素が主である)は酸素圧縮機72に供給される。そして酸素圧縮機72で気体を500~990kPa程度まで昇圧する。酸素圧縮機72から排出される圧縮気体(「圧縮酸素」ともいう。以下同じ。)の圧力は、酸素ガス発生装置63から精密フィルタ64へ移動する気体の圧力と同等程度にすることが好ましい。このように同等程度の圧力の圧縮酸素を生成することで、酸素ガス発生装置63から精密装置64へ至る経路78にこの圧縮酸素を返送したときに、酸素ガス発生装置63から精密フィルタ64へ移動する気体の圧力を低下させることを防ぐことができる。この酸素圧縮機72の種類は特に限定されず、例えば前記空気圧縮機61と同様のものを用いることができる。
【0136】
(酸素除湿器73)
酸素圧縮機72から排出された圧縮酸素は酸素除湿器73に供給され、圧縮酸素中の水分(消泡装置70に由来する水分)が除去される(除湿される)。この酸素除湿器73の種類は特に限定されず、例えば前記空気除湿器62と同様のものを用いることができる。また、後で経路78に返送することを考慮すると、酸素除湿器7で除湿する程度も前記空気除湿器62と同程度とすることが好ましい。
【0137】
(酸素を主とする気体の返送)
消泡装置70から排出された酸素を主とする気体は、以上のようにして異物(オゾン等)の除去、昇圧、および除湿が行われた後、酸素ガス発生装置63から精密装置64へ至る経路78に返送される。このように、消泡装置70から排出された酸素を大気中に放出する(捨てる)のではなく、オゾン発生装置65に返送することで、前記空気圧縮機61、空気除湿器62および酸素ガス発生装置63の負荷が減り、結果としてランニングコストを低減することができる。また、空気圧縮機61および空気除湿器62として小型の装置を用いることができるようになるため、イニシャルコストを低減することもできる。
【0138】
また、図2の実施形態では、消泡装置70の後段にオゾン除去フィルタ71、酸素圧縮機72および酸素除湿器73を設けたが、これらの機器をすべて設ける必要はなく、一部の機器を省略してもよい。例えば、酸素除湿器73を省いたシステム200にする場合は、酸素圧縮機72から排出された圧縮酸素を空気圧縮機61と空気除湿器62の間の経路77に返送し、空気除湿器62を用いて圧縮酸素を除湿するようにしてもよい。同様に、酸素圧縮機72と酸素除湿器73を省いたシステム200にする場合は、オゾン除去フィルタ71から排出された気体を空気圧縮機61に至る経路78に返送し、空気圧縮機61および空気除湿器62を用いて気体の昇圧および除湿をするようにしてもよい。
【0139】
また、図2の実施形態では、前述の精密フィルタ64~マイクロバブルノズル69を利用するために、経路78に酸素を主とする気体を返送する構成とした。しかし、このような形態に限られるものではなく、精密フィルタ64~マイクロバブルノズル69と同様のシステム(図2のように、精密フィルタ、オゾン発生器、ガス昇圧装置、ポンプ、加圧溶解タンク、マイクロバブルノズルを順に配置した別システムをいう。この別システムは図示しない。)をもう1つ設け、消泡装置70から排出された酸素を主とする気体をこの別システムへ供給し、この別システムを用いて再度マイクロバブルMBを生成した後、浄化装置3へ供給する構成にしてもよい。
【0140】
(圧縮気体供給経路)
オゾン発生器65に対して外部から圧縮気体を供給する経路を圧縮気体供給経路という。図の実施例によれば、広義には、圧縮気体を生成する空気圧縮機61からオゾンを発生させるオゾン発生器65までの間の経路が圧縮気体供給経路に該当する。狭義には、酸素ガスを発生させる酸素ガス発生装置63から前記オゾン発生器65までの間の経路が圧縮気体供給経路に該当する。
【0141】
(ポンプ74、固液分離フィルタ75)
ところで、消泡装置70からは前述の気体だけではなく、排液も排出される。この排液には、水、破泡剤や抑泡剤(「破泡剤」と「抑泡剤」を合わせて「消泡剤」ともいう。)、バブルBBに付着していた懸濁物質等のゴミが含まれている。そこで、ポンプ74の吸引によって、排液排出口82(「懸濁物質排出口82」ともいう。)を介して消泡装置70から定期的にこの排液を排出し、固液分離フィルタ75へ供給する。
【0142】
固液分離フィルタ75に供給された排液は、液体と固体(ゴミ)に分離される。分離された固体は、産業廃棄物WSとしてバグフィルタ等に入れられ、産廃処理することができる。他方、液体(水)は原水槽OWTへ送られて貯留される。原水槽OWTに貯留された水は、必要に応じて、前述のポンプ67によって加圧溶解タンク68へ送られる。
【0143】
以上のような固液分離フィルタ75の種類は特に限定されるものではなく、市販の装置を適宜用いることができる。特に、固液分離フィルタ75としてバグフィルタ、水切りフレコンを用いることが好ましいが、その他にスクリュープレス、遠心分離機などを用いても良い。
【符号の説明】
【0144】
1…洗浄装置、2…最初沈殿槽、3…浄化装置、3C…蓋部、3T…天板、4…濾過装置、5…液体冷却装置、6…貯留槽、7…冷却装置、8…凝集剤貯留タンク、9…消毒液貯留タンク、10…返送経路、11…濾過容器、11S…排出シュート、11U…フィルタ内蔵部、11V…(洗浄液やケーキの)排出口、12…濾過フィルタ(プリーツフィルタともいう)、12b…濾過膜の裏面(濾過フィルタの内面)、12f…濾過膜の表面(濾過フィルタの外面)、12m…濾過膜、12r…濾液通路、12s…筒状体、13…(オゾン処理液の)供給口、14…スカムタンク、15…(濾液の)排出口、16…オゾン発生装置、17…濃縮スラリー貯留槽、18…脱液装置、19…排液調整槽、20…排液槽、21…(工場内の)排液桝、22…吸着剤供給装置、23…濾液貯留槽、24…凝集剤タンク、29…フィルタ支持体、35…洗浄装置、36…洗浄液タンク、37…吹き出し口(スリット)、41…外筒、42…内筒、43…被処理液供給口、44…マイクロバブル供給口、45…沈殿物質排出口、46…処理液排出口、47…バブル排出口、48…(濾過フィルタを洗浄する液体の)供給口、49…液位センサー、50…間隙、51…浄化容器、61…空気圧縮機、62…空気除湿器、63…酸素ガス発生装置、64…精密フィルタ、65…オゾン発生器、66…ガス昇圧装置、67…ポンプ、68…加圧溶解タンク、69…マイクロバブルノズル、70…消泡装置、71…オゾン除去フィルタ、72…酸素圧縮機、73…酸素除湿機、74…ポンプ、75…固液分離フィルタ、76…(酸素ガス発生装置から精密フィルタへ至る)経路、77…(空気圧縮機から空気除湿器へ至る)経路、78…(空気圧縮機へ至る)経路、80…バブル供給口、81…気体排出口、82…懸濁物質排出口(「排液排出口」ともいう。)、83…消泡手段、100…冷却液生成システム、200…被処理液浄化システム、B…濾液、C…濾過フィルタ洗浄液(濾過フィルタを洗浄する液体)K…ケーキ、M…モータ、P…ポンプ、W…補給液(例えば地下水)、AR…空気、DS…(高さ方向の)下側、GP…間隙、IN…(内筒の)内部、LD…高さ方向、LI…液面、MB…マイクロバブル、OZ…オゾン、PS…沈殿物質、SC…スカム、TL…被処理液、TS…処理液、US…(高さ方向の)上側、WS…産業廃棄物、WT…水、OWT…原水槽
【要約】
【課題】被処理液中の懸濁物質を高い確率で除去し、被処理液を清浄にする装置を提供すること。
【解決手段】前記課題を解決する被処理液浄化システム200は、被処理液TLの供給口43、処理液TSの排出口46およびバブル排出口47と、を有し、内部に前記被処理液TLが貯められる浄化容器51と、前記浄化容器51の内部の前記被処理液TLに対してマイクロバブルMBを供給するマイクロバブル供給口44と、を有し、前記被処理液TLに供給された前記マイクロバブルMBは、被処理液の内部GPを移動する過程で前記被処理液TLに含まれる懸濁物質を捕捉し、前記バブル排出口47から排出される構成とされた浄化装置3と、前記浄化装置3から排出されたバブルBBを供給するバブル供給口80と、前記バブルBBに含まれていた気体を排出する気体排出口81と、前記バブルに含まれていた懸濁物質を排出する懸濁物質排出口82と、を有する消泡容器と、前記消泡容器の内部のバブルを消す消泡手段83と、を有する消泡装置とを有する。
【選択図】図1
図1
図2
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図5
図6