(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】画像処理方法及びフィルタアレイ
(51)【国際特許分類】
H04N 25/10 20230101AFI20230915BHJP
H04N 23/10 20230101ALI20230915BHJP
【FI】
H04N25/10
H04N23/10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019050753
(22)【出願日】2019-03-19
【審査請求日】2022-03-10
(32)【優先日】2018-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】512262569
【氏名又は名称】ブラックマジック デザイン ピーティーワイ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Blackmagic Design Pty Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カーステン ビュイトナー
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-243334(JP,A)
【文献】特開2008-219598(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0206104(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0232692(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 9/01 - 9/11
23/10
23/12 -23/17
25/10 -25/17
25/611
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラの画像データを処理する方法であって、前記カメラは関連するフィルタアレイを有するイメージセンサを使って受光し画像データを生成するように構成され、前記イメージセンサはピクセルアレイを含み、各ピクセルは前記フィルタアレイのフィルタエレメントに対応しており、それにより該ピクセルは対応するフィルタエレメントによって少なくとも一部が定義されたスペクトル応答を有し、前記フィルタアレイは、広帯域フィルタエレメントと
3タイプの狭帯域フィルタエレメントのパターンとを含み、前記方法は、
前記イメージセンサの各ピクセルの広帯域フィルタエレメント値を有する広帯域画像を生成するステップであって、フィルタカーネルを前記イメージセンサのピクセルに適用することにより各広帯域フィルタエレメント値が算出されるステップと、
狭帯域フィルタエレメントに対応するピクセルのみを使って算出された、イメージセンサの各ピクセルの狭帯域フィルタエレメント値からなる狭帯域輝度画像を生成するステップと、
広帯域フィルタエレメントに対応するピクセルのみを使って算出された、イメージセンサの各ピクセルの広帯域フィルタエレメント値からなる広帯域輝度画像を生成するステップとを含み、
前記狭帯域輝度画像の前記狭帯域フィルタエレメント値および前記広帯域輝度画像の前記広帯域フィルタエレメント値は、同一のフィルタカーネルを使って算出され
、
前記広帯域画像を生成するために用いられる前記フィルタカーネルは、広帯域フィルタエレメントに対応する他のピクセルのみを利用してピクセルの広帯域フィルタエレメント値を算出することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記フィルタカーネルは、該ピクセルに対角線上に隣接する広帯域フィルタエレメントに対応するピクセルを組み合わせて、該ピクセルの広帯域フィルタエレメント値を算出することを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記ピクセルが広帯域フィルタエレメントに対応するか又は狭帯域フィルタエレメントに対応するかによって、該ピクセルに適用される
フィルタカーネルがフィルタカーネルのセットから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記フィルタカーネルは、2次元ガウシアンフィルタまたはそれに近似することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記広帯域画像を前記狭帯域輝度画像と組み合わせるステップを含むことを特徴とする、請求項1~
4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記ピクセルのアレイは3タイプの狭帯域フィルタエレメントのそれぞれに対応して等しい密度のピクセルを含むことを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
前記フィルタアレイは、前記広帯域画像のスペクトル応答が前記狭帯域輝度画像のスペクトル応答のプロファイル
と一致するプロファイルを有するように配置されることを特徴とする、請求項1~
6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記フィルタアレイ
は、1以上の繰り返し単位胞を含んだフィルタエレメントの2次元アレイを有するイメージセンサ用のフィルタアレイを含み、各繰り返し単位は、
T1wT2wT3w,wT1wT2wT3,T2wT3wT1w,wT2wT3wT1,T3wT1wT2w,wT3wT1wT2を含み、
‘T1’はタイプ1狭帯域フィルタエレメントに対応し、‘w’は広帯域フィルタに対応し、‘T2’はタイプ2狭帯域フィルタエレメントに対応し、‘T3’はタイプ3狭帯域フィルタエレメントに対応することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
さらなる画像処理のために前記広帯域画像又は狭帯域輝度画像
の一方を選択するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項10】
組み合わせ又は選択は、光量レベ
ルに基づいていることを特徴とする、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記広帯域輝度画像および狭帯域輝度画像は同一の空間周波数応答を有することを特徴とする、請求項1~
10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
受光し画像データを生成するように構成されたイメージセンサであって、関連するフィルタアレイおよびピクセルアレイを含み、各ピクセルは、前記関連するフィルタアレイのフィルタエレメントに対応しており、それにより前記ピクセルアレイの各ピクセルは対応するフィルタエレメントによって少なくとも一部が定義されたスペクトル応答を有し、前記関連するフィルタアレイは、広帯域フィルタエレメントと3タイプの狭帯域フィルタエレメントのパターンとを含むイメージセンサと、
1以上のデータプロセッサを含み、請求項1~11のいずれかに記載の方法を実施するように構成された画像処理サブシステムと、を含むことを特徴とするカメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理方法に関し、特にイメージセンサから取得したRAW画像データをフィルタアレイにより処理する方法に関する。本発明はフィルタアレイにも関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカラーカメラは、通常、電荷結合素子(CCD)や相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサであるイメージセンサを使って、現実シーンのカラー画像を電子的に捕捉する。イメージセンサは単色性であるので、デジタルカメラのメーカは現場の自然色を捕捉するために様々な解決方法を実行している。これらの解決方法はカラーチャネルごとに1つのセンサを用いる3つのセンサデバイスの使用、垂直色感知フォトサイトの使用、又は最も一般的にはカラーフィルタアレイを備えたシングルセンサデバイスの使用を含む。現在カラーイメージングに使われている最も費用対効果の高い方法の一つが、シングルセンサデバイスの利用であり、デジタルカメラに広く使用されている。
【0003】
シングルセンサカメラにおいて、本質的にはカラーフィルタの空間的配列であるカラーフィルタアレイ(CFA)は、通常はシングルイメージセンサの前方に配置されて、異なるスペクトル成分(色)を同時に捕捉する。CFAのフィルタはシングルイメージセンサのフォトサイトと空間的に相関し、各フォトサイトは対応するスペクトル選択フィルタを有する。シングルセンサカメラで捕捉されたRAW画像は、一般的に各フォトサイトにただ1つのカラーエレメントを有するモザイク状のグレースケール画像を構成する。RAW画像はその後一連の画像処理ステップを経て捕捉された現実の情景をリアルに表す画像を生成する。
【0004】
最も一般的に使用されるCFAは、
図1に示すようなレッド、グリーン、ブルーが交互に配置されたベイヤーCFAである。各フォトサイトで捕捉されるのはただ1つのカラータイプなので、捕捉されたRAW画像はそれぞれ異なるフォトサイトのレッド、グリーン、ブルー値の「モザイク」である。「デモザイシング」として知られているプロセスにより各フォトサイトのフルカラー情報を生成する。このプロセスにおいて、フォトサイトの不足するカラー情報は補間プロセスにより隣接のフォトサイトから判定される。ベイヤーCFAを備えたセンサでそのような3色画像を取得する場合、RAW画像データ量はこのデモザイシングプロセスにより3倍に増加する。さらにはホワイトバランス、カラー変換、ノイズリダクション、トーンマッピング等のプロセスも必要となる。このような処理工程は以下のように実行される。
【0005】
(1)上記画像処理工程はカメラが画像を記憶する前に実行され、記憶された画像はディスプレイ上でユーザがいつでも見られるようにする。捕捉した画像やビデオが直ちに見られることに対する要望が大きいため、ほとんどの民生用カメラのアプリケーションはRAW画像データをそれが記憶される前に処理するようにしている。
【0006】
(2)上記の画像処理工程のいくつかは後処理に回しても良い。後処理にRAW画像データを適切なフォーマットでカメラに記憶することを含んでも良い。そのようなアプローチは業務用カメラのアプリケーションではより一般的である。両方のオプションにはそれぞれの長所と短所がある。
【0007】
さらに、シングルカラーエレメント(例えばR,G,B)と広帯域(ホワイト)フィルタエレメントとの組み合わせを有するCFAでイメージセンサを構成することに対して様々な提案がある。そのようなイメージセンサは感度を向上するために広帯域スペクトル(広帯域/ホワイト)フォトサイトを使用するとともに狭帯域フィルタのRGBフォトサイトを介してカラー情報を提供する。これらの構成は狭帯域フォトサイトの一部を広帯域フォトサイトに置き換える等の技術に関連し、一般的にはRGBフォトサイトの相対的な数量を減少させ、多くの場合フォトサイトの合計数を大幅に増加させるので(それに応じたフォトサイトのサイズの削減が必要となる)。RGBとホワイトフォトサイトの実際のレイアウトについては、ベイヤー配列の中にRGBフィルタを維持して高分解能広帯域(ホワイト)イメージデータとともに低分解能カラー情報を捕捉する方法がある。
【0008】
カラーと広帯域フィルタエレメントの両方を使うCFAの一例を
図4に示している。
【0009】
カラー/広帯域組み合わせイメージセンサのフォトサイトで捕捉されたピクセル値をデモザイシングするために種々のアルゴリズムが知られている。例えば、特許文献1は、シンプルな係数のセットを用いて輝度及びカラーを導き出すシンプルな補間方法を記載している。しかしながらこの方法は、異なったフィルタカーネルサイズを伴うものであり、多くの場合、異なるピクセル位置(G対W対R/B)に対して異なるローパスフィルタ特性を有することになる。特許文献2~4に示される方法では、各セルに2色ピクセルを使用するためにほとんどスパースカラーサンプリングの場合に限り関連する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2004-304706号公報
【文献】米国特許第8274715号明細書
【文献】米国特許第8711452号明細書
【文献】米国特許出願公開第2011/0012011号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はフォトサイトで捕捉された画像データの処理方法及びカラー/広帯域が組み合わされた画像カラーフィルタアレイを使って画像データを捕捉する装置を提供することを目的とする。
【0012】
明細書に記載の従来技術の参照は、その従来技術が常識の一部であることを、裁判管轄を問わず承認又は示唆されるものではなく、あるいはその従来技術が当業者によって従来技術の別の部分に関連すると見なされ、及び/又はそれと組み合わされると見なされると合理的に予測できることが承認又は示唆されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様によれば、カメラの画像データを処理する方法が提供され、該カメラは関連するフィルタアレイを有するイメージセンサを使って受光し画像データを生成するように構成され、前記イメージセンサはピクセルアレイを含み、各ピクセルはフィルタアレイのフィルタエレメントに対応しており、それにより該ピクセルは対応するフィルタエレメントによって少なくとも一部が定義されたスペクトル応答を有し、フィルタアレイは広帯域フィルタエレメントと少なくとも2タイプの狭帯域フィルタエレメントのパターンを含み、該方法はイメージセンサの各ピクセルの広帯域フィルタエレメント値からなる輝度画像を生成することを含む。
【0014】
通常、フィルタカーネルをイメージセンサのピクセルに適用して広帯域フィルタエレメント値は算出される。フィルタカーネルは広帯域フィルタエレメントに対応するピクセルだけを使ってピクセルの広帯域フィルタエレメント値を算出することが望ましい。
【0015】
フィルタカーネルはピクセルに対角に隣接する広帯域フィルタエレメントに対応するピクセルを結合してピクセルの広帯域フィルタエレメント値を算出しても良い。
【0016】
ピクセルが広帯域フィルタエレメントに対応するかあるいは狭帯域フィルタエレメントに対応するかによって異なるフィルタカーネルが該ピクセルに適用されても良い。
【0017】
1つの実施例では、フィルタカーネルは、2次元ガウシアンフィルタであるかまたはそれに近似している。
【0018】
該方法は狭帯域フィルタエレメントに対応するピクセルだけを使って算出された、イメージセンサの各ピクセルの狭帯域フィルタエレメント値からなる第2輝度画像を生成するステップを含んでも良い。
【0019】
該方法は輝度画像を第2輝度画像と組み合わせるステップを含んでも良い。
【0020】
場合により、該方法は狭帯域フィルタエレメントに対応するピクセルだけを使って算出された、イメージセンサの各ピクセルの広帯域フィルタエレメント値からなる第3輝度画像を生成するステップを含んでも良い。
【0021】
好ましくは、フィルタアレイは3タイプの狭帯域フィルタエレメントを含む。
【0022】
一実施例によれば、ピクセルアレイは3タイプの狭帯域フィルタエレメントのそれぞれに対応して等しい密度のピクセルを含む。
【0023】
フィルタアレイは輝度画像のスペクトル応答が第2輝度画像のスペクトル応答のプロファイルと略一致するプロファイルを有するように配置される。
【0024】
本発明の他の態様によれば、カメラの画像データを処理する方法が提供され、前記カメラは関連するフィルタアレイを有するイメージセンサを使って受光し画像データを生成するように構成され、前記イメージセンサはピクセルアレイを含み、各ピクセルはフィルタアレイのフィルタエレメントに対応しており、それにより該ピクセルは対応するフィルタエレメントによって少なくとも一部が定義されたスペクトル応答を有し、フィルタアレイは広帯域フィルタエレメントと少なくとも2タイプの狭帯域フィルタエレメントのパターンを含み、該方法は広帯域フィルタエレメントに対応するピクセルの出力に基づいて広帯域輝度画像を生成することを含む。
【0025】
好ましくは、フィルタアレイは広帯域ピクセルのスペクトル応答が狭帯域フィルタエレメントのスペクトル応答と略同一となるように配置される。
【0026】
好ましくは、フィルタアレイは3タイプの狭帯域フィルタエレメント、例えば、タイプ1、タイプ2、タイプ3を含む。それぞれが異なる波長を中心とする通過帯域を有しても良い。狭帯域フィルタエレメントは厳密にはバンドパスフィルタではないが、他のフィルタが存在するために、アレイの中でそれらに対応するピクセルに対して通過帯域を形成する効果を有する、カットオフフィルタとなり得る。
【0027】
好ましくは、ピクセルアレイは3タイプの狭帯域フィルタエレメントのそれぞれに対応して等しい密度のピクセルを含む。
【0028】
該方法は狭帯域フィルタエレメントに対応するピクセルの出力に基づいて狭帯域輝度画像を生成することをさらに含む。
【0029】
該狭帯域輝度画像は好ましくは狭帯域フィルタエレメントに対応するピクセルの出力から直接算出される。好ましくは、狭帯域輝度画像はカラープレーンイメージのピクセル値から導出されない。
【0030】
狭帯域輝度画像を構成するピクセル値は狭帯域フィルタエレメント及び1以上のフィルタカーネルに対応するピクセルの出力から導出されることが望ましい。
【0031】
該方法は好ましくは広帯域フィルタエレメント及び1以上のフィルタカーネルに対応するピクセルの出力に基づいて広帯域輝度画像を生成することを含む。
【0032】
該広帯域輝度画像及び狭帯域輝度画像を算出するために同一のフィルタカーネルを使うことができる。
【0033】
本発明は、少なくとも好ましい実施例において、組み合わされた狭帯域/広帯域イメージセンサの広帯域ピクセル値から高スペクトル応答の輝度画像を算出することに関わる。それによって、イメージセンサの光応答範囲が拡張する。一方、光応答範囲が拡張されたイメージセンサは感度が高くなり、高速のイメージをより良く捕捉できるようになる。
【0034】
本発明を用いて生成した輝度画像は下流のデモザイシング、及び、EP3416128として公開された出願人の係属中のヨーロッパ特許出願に記載されている後処理動作に利用できる。このヨーロッパ特許出願は参照することによりその内容が本願に組み込まれる。
【0035】
本発明のいくつかの実施例はビニングモードで都合よく動作するCFAを含む。これらの実施例ではCFAの単位胞は同一タイプのペアの広帯域フィルタエレメント及びペアの狭帯域フィルタエレメントを含むマクロセルを有している。通常これはマクロセルの対角線に沿ってピクセルのペアを配置することである。このような実施例により高感度となり高速読出しを行うことができる。
【0036】
ビニングモードで動作する実施例において、3つの狭帯域フィルタピクセルタイプ間のピクセルタイプの相対的密度は1:1:1の比率を有し、狭帯域ピクセルと広帯域ピクセルペア間の感度の比率も同様である。
【0037】
ビニングモードでは、ピクセルの各ペアの読出しは同時読出しであり、ピクセル値は結合されている。従って、ビニングされたピクセルの各ペアの感度は同じタイプの各個別ピクセルの感度よりも高い。イメージセンサからピクセル応答の全体数の半数のみを読み出せばよいので、全ての個別のピクセルを読み出すフル読出しモードと較べて同一の視野を維持しながら2倍のフレームレートを達成できるメリットがある。しかしながら、ビニングモードにおける動作の欠点は空間分解能が低下することである。
【0038】
通常、輝度画像は各カラーピクセルのフォトサイトにおける広帯域コンテンツの推定を使って算出される。これらの推定は1以上の隣接する広帯域ピクセル値から補間することにより算出が可能である。
【0039】
場合により、本方法は輝度画像と並行してフル分解能カラー画像を算出するステップを含んでも良い。ピクセル値のサブセットからローパスフィルタ処理された広帯域画像を算出することもできる。
【0040】
本発明の他の態様によれば、狭帯域フィルタエレメントの各タイプの密度が等しい、3タイプの狭帯域フィルタエレメントと広帯域フィルタエレメントからなる1以上の繰り返し単位胞を含んだフィルタエレメントの2次元アレイからなるイメージセンサ用のフィルタアレイを提供する。
【0041】
フィルタアレイは同数の広帯域フィルタエレメントと狭帯域フィルタエレメントとを含んでも良い。好ましくはフィルタアレイの単位胞は以下のフィルタエレメントを含む:
T1wT2wT3w,wT1wT2wT3,T2wT3wT1w,wT2wT3wT1,T3wT1wT2w,wT3wT1wT2。但し、‘T1’はタイプ1狭帯域フィルタエレメントに対応し、‘w’は広帯域フィルタに対応し、‘T2’はタイプ2狭帯域フィルタエレメントに対応し、‘T3’はタイプ3狭帯域フィルタエレメントに対応する。
【0042】
望ましくは、タイプ1フィルタはレッドカラーフィルタである。望ましくは、タイプ2フィルタはグリーンカラーフィルタである。望ましくは、タイプ3フィルタはブルーカラーフィルタである。広帯域フィルタは、フィルタ処理がされていないピクセル、中性濃度フィルタ、あるいはタイプ1、タイプ2、タイプ3のフィルタに比べて広いパスバンドを有する他のフィルタを表しても良い。
【0043】
上記方法は本願で説明するフィルタアレイの実施例を使って実施されることが望ましい。ここで使用される用語の“comprise”及びその変化形の“comprising”、“comprises”、“comprised”等は、文脈上別の解釈を必要とする場合を除き、さらなる添加物、コンポーネント、整数又はステップを除外することを意図しない。
【0044】
本開示のさらなる形態及び先行するパラグラフに記載された形態のさらなる実施例は、例を挙げ添付図面を参照してなされる以下の説明によって明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本発明の実施例は以下に示す図面を参照することにより説明される。
【
図2】本願に記載する方法を実行可能なカメラの概略構成図である。
【
図3】CFA及び広帯域可変イメージセンサの代表的なスペクトル感度を表すグラフである。
【
図4】その関連する感度グラフと共に既知のRGBW CFAパターンを表す図である。この図において点線のボックスはイメージセンサ内に含まれる複数のフォトサイトをカバーするようにイメージセンサに適用される繰り返し「単位胞」を表現している。
【
図5】その関連する感度グラフと共に本発明の一実施例に係るフィルタアレイを表している。
【
図6】本発明の一実施例に係る第2フィルタアレイを表している。
【
図7】広帯域及び3色フィルタエレメントを組み合わせた
図4のCFAを表している。
図7はさらに3x3フィルタカーネルを使用して輝度画像として利用できるフル分解能の広帯域ピクセルアレイを導出し、5x5フィルタカーネルを使用してカラーフォトサイトから第2輝度画像を算出することを示しており、さらに広帯域ピクセルからローパスフィルタ処理された広帯域アレイを導出することを示している。
【
図8】
図5のCFA及びフル分解能の広帯域アレイを導出する3x3フィルタの代表的なセット及びカラーピクセルから輝度信号を算出する、及び広帯域フィルタ処理されたピクセルからローパスフィルタ処理された広帯域画像を算出する7x7フィルタの代表的なセットを示している。
【
図9】
図8のCFA、及びこのCFAからクロミナンス画像を生成するための関連するフィルタカーネルを表している。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明の実施形態を具体的な例を参照して説明するが、発明の範囲はそのような例に限定されることはない。例えば、実施態様としてレッド、グリーン、ブルーのフィルタ処理されたピクセル及びフィルタ処理されていない(ホワイト)ピクセルを有するカラーフィルタアレイを備えるシングルセンサを使ったカメラの場合について説明する。しかしながら、本発明の実施形態はアレイの中に中性濃度フィルタを含む他の狭帯域フィルタと広帯域フィルタとの組み合わせと共に使用されてもよい。
【0047】
図2は本発明に係る方法を実施することができるカメラ10の概略構成を示す。カメラ10は受光した光をRAW画像データに変換するように構成されたイメージ捕捉システム12を含む。この例では、イメージ捕捉システム12はイメージセンサ12A(例えばCCD又はCMOSイメージセンサチップやそれに類するもの)及び関連の光学フィルタ12B(例えば、赤外線カットフィルタ又は光学ローパスフィルタ)を含む。さらに光学システム14、例えばレンズがイメージセンサ上にイメージを形成するために設けられる。イメージセンサはフィルタの空間的な配列の形でカラーフィルタアレイ(CFA)を含み、CFAはイメージセンサチップの前方に置かれ異なる位置に配置され個別に選択されるピクセルによって構成された画像を捕捉してカラー画像を生成できる。CFAのフィルタは単一のイメージセンサであるフォトサイトと空間的に相関しているので、各フォトサイトは対応のスペクトル選択フィルタを有する。
【0048】
イメージ捕捉システム12によって生成されたセンサRAWビデオデータは画像処理サブシステム18へ送られる。画像処理サブシステム18はASICや、FPGAや、関連ソフトウェアを備えたマイクロプロセッサ等の1以上のデータプロセッサを含み、様々な画像処理タスクを実行するように構成される。これらのタスクはそれに限定はされないが以下のタスクを含む:糸巻き型歪みなどの望まない光学的効果の補正、デモザイシング、ノイズリダクション、例えばデッドピクセルを除去し変換効率の変動を補正することによる捕捉されたビデオデータのピクセル間変動の補正等。ワーキングメモリ20は画像処理及び/又は画像圧縮や他のタスクの間データやソフトウェアなどを一時的に記憶させるために設けられる。
【0049】
画像処理サブシステム18はさらにビデオエンコードシステム22を含む。一般的にビデオエンコードシステム22は1以上のビデオコーデックを実行可能にするソフトウェアをプロセッサに供給することにより動作する。このシステムはビデオデータをエンコードし任意のフォーマットに圧縮するために使うことができる。
【0050】
画像処理サブシステム18は、さらにフォーマット変換システム24を有し、それはビデオ出力データをビデオ送信システム26を介して送信することが可能なフォーマットに変換する。一般的に、ビデオ送信システム26は、1個もしくは数個の送信プロトコルでコンパイルするビデオデータのみを送信するように構成される。フォーマット変換システム24は、ビデオデータがビデオ送信システム26へ送られる前に送信を可能にする前記ビデオ送信フォーマットの1つにビデオデータをフォーマット化するために設けられる。これはその元のフォーマットからビデオ送信システム26の適切なビデオ送信フォーマット(の1つ)へビデオデータをコード変換することを含んでも良い。
【0051】
ビデオ送信システムは少なくともビデオ出力ポートを有するビデオインターフェイスを介してビデオ出力データを送信(及びオプションとして受信)することができる。ビデオインターフェイスは双方向であってもよく、従ってビデオ入力ポートを含むこともできる。一例として、ビデオインターフェィスはSDIインターフェイスであり、又は他の同様のインターフェイスであっても良い。
【0052】
カメラはローカル不揮発性メモリ30に記憶されるビデオデータ(及び他の任意のデータ)の非一時的記憶を制御するように構成された、メモリコントロールサブシステム28の形でデータ記憶システムを有する。ローカルメモリ30としてメモリカードまたは着脱式ハードドライブのような着脱式メモリを使用しても良い。しかし一般的には、メモリコントロールサブシステム28は制御信号をローカルメモリ30との間で送受信し、メモリ30へのビデオデータの記憶とその検索を制御し,さらに記憶のためにデータを符号化又はフォーマット化するために配置される。メモリ30はシリアルATAプロトコルに従って動作するソリッドステートドライブとすることができ、その場合、メモリコントロールサブシステムはSATAドライブの動作をコントロールしSATAドライブのデータの読出しと書き込みを管理する。
【0053】
図2のカメラへの使用に適したフィルタアレイ50、51、52の例が
図4~
図6に示されている。各フィルタアレイ50、51、52は3タイプ(タイプ1、タイプ2、タイプ3)の狭帯域フィルタの組み合わせを有する。各タイプのフィルタは特有のパスバンドを有する。これらの例では、各フィルタタイプは特定のカラーを中心とするパスバンドを有し、従ってそのカラーで呼称される。例えば、レッドカラー波長を中心とするパスバンドを具備するフィルタエレメントは「レッド」ピクセルと呼び、図では“R”と表記する。ブルー波長を中心とする「ブルー」ピクセルは図では“B”と表記し、グリーン波長を中心とする「グリーン」ピクセルは図では“G”と表記する。本願のCFAはさらに広帯域フィルタピクセルを含み、それは図で“W”と表記する。
【0054】
図3(及び
図4及び5のグラフ)は、本例の各フィルタエレメントタイプが適用される場合、異なる波長でのイメージセンサの感度を表している。該グラフは赤外カットオフフィルタも存在することを想定している。従って、グラフから分かるように、図示されるイメージセンサの応答は組み合わされたセンサピクセルの応答を表しており、CFAのフィルタエレメントのフィルタリング効果、さらには赤外カットオフフィルタなどの他のフィルタエレメントのフィルタリング効果も示している。グラフから分かるように広帯域フィルタに対応するピクセルの応答のピークはR,G,Bフィルタに対応するピクセルの組み合わされたスペクトル応答の中心付近にある。広帯域ピクセルの応答曲線は3つ全ての狭帯域フィルタの組み合わされた応答曲線よりも「広い」。
【0055】
以下に詳細に説明するように、
図5のフィルタアレイ51は2次元の配列であり、即ちフィルタアレイ全体に繰り返される6x6ピクセルパターン(単位胞)に配置されたカラーフィルタ及び広帯域フィルタである。
図4は4x4の単位胞に配置された3つの狭帯域フィルタと広帯域フィルタからなる他のカラーフィルタアレイの例を示している。前例と同様に狭帯域フィルタは“R”、“G”、“B”と表示されそれぞれレッド、グリーン、ブルーを中心とするパスバンドを具備するフィルタを表す。“W”ピクセルは
図3に示されるパスバンドを具備する広帯域ピクセルである。
【0056】
図6はさらにその「単位胞」が6x2ピクセルである点において前の実施例とは異なるカラーフィルタアレイ52を示している。
【0057】
図4、5、6のカラーフィルタアレイから分かるように、それぞれが異なるRGBWピクセルの配置を有する。
【0058】
図4に示された従来技術のカラーフィルタアレイ(CFA)は通常のベイヤータイプパターンであって低い分解能のカラーフィルタRGBを維持している。そのような配置はRGBピクセル間で1:2:1のサンプリング比率を実現し、「単位胞」毎にレッド1、グリーン2、ブルー1あるいは
図4に示すようにレッド2、グリーン4、ブルー2の代表的なRGBベイヤアレイを構成する。
【0059】
さらに
図4は
図4のCFAに従って配置されたレッド、グリーン、ブルーピクセルの感度をその広帯域ピクセルの感度と比較するグラフも示している。上側のグラフはRGBピクセルの個別の感度を点線で示す。広帯域ピクセルの感度は実線で示す。上側のグラフは比較を容易にするために全ての数値は広帯域ピクセルのピーク感度に対し正規化されている。
【0060】
図4の破線は
図4の単位胞50のRGBピクセルから算出された輝度値Yのスペクトル感度を表す。YはY=(R+2G+B)/4として算出される。この数値は
図4のイメージセンサの単一のフォトサイトにおける輝度感度を表している。この算出の詳細については
図7に関連して説明する。重要なことは、広帯域ピクセルが狭帯域から導出された数値より高い感度を示すことがこの正規化された数値から分かることである。
【0061】
図4の下側グラフにおいてR,G,BピクセルのY値は(3倍に)拡大されてそのスペクトル応答と広帯域ピクセルのスペクトル応答との比較を容易にしている。グラフから分かるようにY値の感度は長い波長(例えば620nm以上)でW値(広帯域ピクセルの感度)の軌跡と重なるが、グリーンフィルタの中心周波数の近辺でより顕著なピークを示す。この主な原因はグリーンピクセルが
図4のCFAにおいて2倍の密度を持つためである。
【0062】
以下に説明するように、この狭帯域ピクセルと広帯域ピクセル間の感度の不一致は
図4のCFAを使う場合に輝度画像の算出に影響を及ぼす。
【0063】
図5については、CFAの「単位胞」がRGBWピクセルの6x6のマトリクスであることが分かる。
【0064】
フィルタアレイ51は、
図4で示されたものに比べて、グリーンカラーフォトサイトの数が減少しレッドカラー及びブルーカラーフォトサイトの密度が増加している。
図4で示されたアレイ50が12.5%のレッドピクセルと12.5%のブルーピクセルで構成されているのに対して、
図5のフィルタアレイ51はこれらのカラーフォトサイトをそれぞれ16.7%のレッドピクセル及びブルーピクセルに増加している。フィルタアレイ51は16.7%のグリーンカラーフォトサイトも有している。これにより全てのカラー情報がCFAから導出される。しかし、精細な画像細部に対する分解能とともにその感度がこれら全てのRGBWアレイにある広帯域ピクセルによって達成されるため、大きな不利益を被ることなくグリーンピクセルを減らすことができる。
【0065】
図5のCFAにおける別の利点は、レッド、グリーン、ブルーカラーのフォトサイトの1:1:1サンプリングがその感度グラフに認められることである。
図5において上方のグラフはR、G、Bピクセルの個々の感度を点線で示す。広帯域ピクセルの感度は実線で示される。前述のように比較を容易にするために全ての数値は広帯域ピクセルのピーク感度に対し正規化されている。
【0066】
図5の破線は
図5の単位胞51のR、G、Bピクセルから算出された輝度値Yのスペクトル感度を表している。YはY=(R+G+B)/3として算出される。この数値は
図5のイメージセンサにおける単一のフォトサイトの輝度感度を表す。この算出の詳細については
図8に関連して説明する。重要なことは、広帯域ピクセルが狭帯域から導出された数値より高い感度を示すことがこの正規化された数値から分かることである。
【0067】
前述のように下側グラフは広帯域ピクセルとのスペクトル応答の比較を容易にするためにR,G,BピクセルのY値を(3倍に)拡大している。グラフから分かるようにY値の感度は広帯域フィルタパスバンド全体にわたってW値の軌跡とほぼ重なっている。このほとんどマッチングすることの利点については後述する。
【0068】
図5の実施例のさらなる利点は、それがビニングモードで動作しそれにより感度と読出し速度が向上することである。
図5から分かるように、
図5のCFAの単位胞51は一対の広帯域フィルタエレメント(W)と一対の同じタイプの狭帯域フィルタエレメントを含むマクロセルに分解できる。参照番号55で示すマクロピクセルはその対角線に沿って配置された一対のレッド狭帯域フィルタエレメントと一対の広帯域フィルタエレメントを含む。水平に隣り合うマクロピクセルはグリーンタイプのフィルタエレメントであり、その隣のマクロピクセルはブルータイプのフィルタエレメントである。ビニングモードにおいて各マクロピクセルの一対のピクセルの読出しは同時に行われそのピクセル値は結合される。従って各ビニングされたピクセルのペアの感度は同じタイプの各個のピクセルの感度よりも高い。
【0069】
メリットとしては、ピクセル応答の全体数のうち半分のみをイメージセンサから読み出せば済むので、全てのピクセルを個々に読み出すフル読出しモードに比べ同一の視野を維持しながらフレームレートを2倍にできる。しかし、ビニングモードの動作の欠点は、空間分解能が低下することである。
【0070】
図6はさらに代替のCFA52を示す。CFA52も単に6x2の単位胞を用いてレッド、グリーン、ブルーのピクセル間で1:1:1のサンプル比率を達成する。
図6のRGBピクセルから生成される輝度感度曲線は各タイプで同一のピクセル密度を有するので、
図5の輝度感度曲線と一致する。前述のように、
図5及び
図6のCFAのR,G,Bピクセルから算出されたY値の感度は広帯域フィルタパスバンドの全体にわたってW値の感度とほぼ重なっている。これにより
図5、及び6のCFAを使って生成された輝度画像のダイナミックレンジを拡張するように
図5、及び6のCFAを使用することができるメリットがある。広帯域フィルタと空間的に相関するフォトサイトのみを使用する場合に比べて、カラーフィルタから算出された輝度画像は関連動作するイメージセンサの光応答範囲を拡張するメリットがある。これは広帯域フィルタに対応するフォトサイトに比べて、狭帯域(カラー)フィルタに対応するフォトダイオードがより高い飽和露光量を必要とするからである。
【0071】
これに関連して、
図5、
図6のCFAは2つの輝度画像(狭帯域フィルタピクセルによる画像と広帯域フィルタピクセルによる画像)を生成するように使用できる。2つの輝度画像はスペクトルレンジにわたって異なる絶対感度を有するが、スペクトル感度のプロファイルは一致している。このことは、明るい環境では(飽和を避けるために)輝度画像は低感度の輝度画像に偏るように算出され、光量が少ない環境又はフレームレートが高い環境では輝度画像は高感度の輝度画像に偏るように算出され、その結果、生成される画像にそれと分かるカラー変化が生じないことを意味している。実施例によっては必要に応じて2つの輝度画像間での切り替えや、あるいはそれらを組み合わせることが可能である。
【0072】
しかし
図6の実施例はビニングモードで動作できないことに留意すべきである。それは
図6の実施例が
図5の実施例のようにマクロピクセルの狭帯域フィルタのペアを含んでいないからである。
【0073】
これらのメリットは
図4及び5のCFAを使用して輝度画像を生成するプロセスを説明することで理解することができる。
図7、8はそれぞれのCFAを使って撮像された画像から複数の輝度画像を生成するメカニズムを説明する。一方、
図9は
図5のCFAを使って撮像された画像からクロミナンス画像を生成する様子を説明する。
【0074】
図7は既知のCFAを使ってこのプロセスを説明する。図においてCFA50は上部左側に示される4x4の単位胞を含んで描かれている。図から分かるように、CFA50は
図4のCFAと同じである。このCFAから図示の3x3フィルタのペアを使ってフル分解能の広帯域画像を生成できる。図示のフィルタカーネルはフィルタでカバーされるピクセル値の加重和に適用される重み付けを表している。選択されたフィルタカーネルは単純化された係数を使って特定幅の2次元ガウシアンフィルタを近似する。しかし、より複雑なフィルタを使って同じ方法を実行することも可能であり、目標に向けて周波数応答を向上することができ、例えば、広帯域ピクセルの輝度画像の精細な細部を維持できる。
【0075】
広帯域ピクセル値を算出するためにR,G,Bピクセルに対応するピクセルに対し上部の3x3フィルタカーネルが使用される。これは、水平方向及び垂直方向に隣接する広帯域ピクセル値を結合することにより(提示されたフィルタカーネルに従って2が乗算されて)実行される。広帯域ピクセルに対応するピクセルに対しては、下部の3x3フィルタカーネルが使用される。“W”ピクセルの広帯域ピクセル値を算出するために(4倍に重み付けられた)ピクセル値が対角方向に隣接するWピクセル値と結合されて新しいピクセル値を生成する。このように生成されたフル分解能の広帯域画像は高感度の輝度画像を表す。高感度の広帯域ピクセル値から導かれるので画像は「高感度」となる。2番目に高い分解能の輝度画像が狭帯域(カラー)ピクセル値から生成される。これは、
図7の中央の列に表される5x5のフィルタカーネルを使用して実行される。R,G,B値に対応するピクセルに対し右端のフィルタカーネルが使用される。上記のように、フィルタカーネル内の(数値で)表される位置にある現在のピクセルの周囲に空間的に配置されたピクセル値が加重和で結合されてそのピクセル値を生成する。これによって1:2:1の比率でR,G,Bのピクセルの結合を実現し、すぐ隣のピクセルにはより重く重み付けがなされ該ピクセルから遠ざかるにつれて重み付けは次第に減少することが分かる。同様に、広帯域ピクセル位置に対応する値を生成するために、左側フィルタカーネルが使用される。フィルタカーネルは注目するピクセルの周囲のR,G,Bピクセルの加重和を実行する。このフィルタカーネルが比率1:2:1のR,G,Bピクセル値の結合を示すピクセル値を生成することは前述した通りである。結果として得られる画像は画像内カラーピクセル値から生成された輝度画像を示す。R,G,Bピクセルはフィルタにかけられるので、広帯域ピクセルのように容易に飽和することはなく、従ってこの第2の輝度画像は輝度の高い状況での使用において有用である。実施例によっては、広帯域ピクセルから生成された輝度画像の飽和レベルが飽和に近づけば2つの輝度画像をスイッチしても良い。しかし他の実施例では、例えば、中間の光レベルでは輝度画像値をブレンドする一方、高い又は低い光レベルでは一方又は他方の輝度画像の単独使用に移行させる望ましいアルゴリズムを使用することによって例えばこれらの輝度画像を組み合わせて2つの輝度画像を同時に使うことができる。同じ5x5フィルタカーネルはローパスフィルタ処理された広帯域画像をフル分解能で生成するために使用することもできる。
【0076】
広帯域ピクセルのローパスフィルタ処理された広帯域アレイは低ノイズを実現する一方でカラーフォトサイトにより算出された輝度画像と同様の空間周波数応答を維持する。これによって、広帯域ピクセルが飽和状態に近づく際に本発明のダイナミックレンジを拡張する方法をシンプルにすることができる。
【0077】
適切なデモザイシング方法を使用してR,G,B,Wのピクセル値に対するカラープレーンイメージを別々に生成することが理解されるであろう。クロミナンス画像も適切なフィルタを使うことで生成できる。
【0078】
上記のように、フィルタアレイ50と関連して動作するイメージセンサも、対角線上に隣接するフォトサイトの結合された電荷や電圧を読み取るピクセルのビニングモードにより動作させることができる。このように電荷や電圧を結合させて読み取ることにより、そのような「ダブルピクセル」の感度を高めるとともにフル分解能に基づいた読出しに関わる方法に比べて読出しを必要とするピクセルの全体数を低減できる。この動作方法によりピクセルアレイの光学的サイズを同じサイズに維持するとともに2倍のフレームレートを効果的に達成できる。ピクセルアレイの光学的サイズを保つことでカメラの視野が変わらない利点が生じる。
【0079】
さらに、結合されたダブルカラーピクセルとダブル広帯域ピクセル間の感度比はフル分解能モードのシングルカラーピクセルと広帯域ピクセル間の感度比と変わらない。結合されたダブルカラーピクセルと広帯域ピクセル間であってもシングルピクセルの場合と同様のダイナミックレンジの拡張が達成される。
【0080】
この点に関し、
図8は
図5の6x6CFAフィルタの使用を例示する。このCFAから図示の一対の3x3フィルタを使ってフル分解能の広帯域画像を生成することができる。図示のフィルタカーネルはフィルタによってカバーされるピクセル値の加重和に適用される重み付けを表している。先の実施例と同様に選択されたフィルタカーネルは単純化された係数を使って特定幅の2次元ガウシアンフィルタを近似している。しかし必要に応じて他のフィルタを使うこともできる。
【0081】
広帯域ピクセル値を算出するためにR,G,Bピクセルに対応するピクセルに対し上部の3x3フィルタカーネルが使用される。これは、水平方向及び垂直方向に隣接する広帯域ピクセル値を結合することにより(提示されたフィルタカーネルに従って2が乗算されて)実行される。広帯域ピクセルに対応するピクセルに対しては、下部の3x3フィルタカーネルが使用される。“W”ピクセルに対応するフォトサイトの広帯域ピクセル値を算出するために(4倍に重み付けられた)対応するピクセル値が対角方向に隣接するWピクセル値と結合されて新しいピクセル値を生成する。このように生成されたフル分解能の広帯域画像は高感度の輝度画像を表す。2番目に高い分解能の輝度画像がカラーピクセル値から生成される。これは、
図8の中央の列に表される7x7のフィルタカーネルを使用して実行される。R,G,B値に対応するピクセルに対し右端のフィルタカーネルが使用される。上記のように、フィルタカーネル内の(数値で)表される位置で現在のピクセルの周囲に空間的に配置されたピクセル値が結合されて該ピクセル値を生成する。これによって1:1:1の比率でR,G,Bのピクセルの結合を実現し、すぐ隣のピクセルにはより重く重み付けがされ該ピクセルから遠ざかるにつれて重み付けは次第に減少することが分かる。同様に、広帯域ピクセル位置に対応する値を生成するために、左側フィルタカーネルが使用される。フィルタカーネルは注目画素を囲むR,G,Bピクセルの加重和を実行する。このフィルタカーネルが比率1:1:1のR,G,Bピクセル値の結合を表すピクセル値を生成することは前述した通りである。結果として得られる画像は画像内カラーピクセル値から生成された輝度画像を表す。R,G,Bピクセルはフィルタにかけられるので、広帯域ピクセルのように容易に飽和することはなく、従ってこの第2の輝度画像は輝度高い状況での使用において有用である。さらに、
図5に関連して図示されるように、スペクトルレンジにまたがる両方の輝度画像の感度はうまくマッチするので、画像の色感度はどちらの輝度画像が使われたとしても比較的に一定となる。
【0082】
実施例によっては広帯域ピクセルから生成される輝度画像の飽和レベルで算出されるように2つの輝度画像間で切り替えを行うことが可能である。しかし他の実施例では、例えば、中間の光レベルでは輝度画像値をブレンドする一方、高い又は低い光レベルでは一方又は他方の輝度画像の単独使用に移行させる望ましいアルゴリズムを使用することによってこれらの輝度画像を組み合わせて2つの輝度画像を同時に使うことができる。
【0083】
(フル分解能の)ローパスフィルタ処理された広帯域画像がRBG輝度画像を算出するために使用する7x7フィルタを使って生成される。
【0084】
広帯域ピクセルのローパスフィルタ処理された広帯域アレイは低ノイズを実現する一方でカラーフォトサイトにより算出された輝度画像と同様の空間周波数応答を維持する。これによって、広帯域ピクセルが飽和状態に近づく際に本発明のダイナミックレンジを拡張する方法をシンプルにすることができる。
【0085】
フィルタアレイ51と関連して動作するイメージセンサも対角線上に隣接するフォトサイトの結合された電荷や電圧を読み取ることにより動作させることができる。このように電荷や電圧を結合させて読取ることにより、そのような「ダブルピクセル」の感度を高めるとともにフル分解能に基づいた読取に関わる方法に比べて読出しを必要とするピクセルの全体数を低減できる。この動作方法によりピクセルアレイの光学的サイズを同じサイズに維持するとともに2倍のフレームレートを効果的に達成できる。ピクセルアレイの光学的サイズを保つことでカメラの視野が変わらない利点が生じる。
【0086】
さらに、結合されたダブルカラーピクセルとダブル広帯域ピクセル間の感度比はフル分解能のモードでのシングルカラーピクセルと広帯域ピクセルの感度比と変わらない。結合されたダブルカラーピクセルと広帯域ピクセル間であってもシングルピクセルの場合と同様のダイナミックレンジの拡張が達成される。
図9は
図5の6x6CFAを使って捕捉された画像からクロミナンス画像を算出するために使用されるフィルタカーネル56、57のセットを示している。クロミナンス画像Cb及びCrはフル分解能の4分の1の分解能で指定のサイトに生成される。左端のクロミナンス画像はB-Gチャネルを表し、7x7フィルタカーネル56を使って生成されて所定のピクセルに適当なCb値を算出する。例えばCbクロミナンス画像において2x2RW、WRマクロピクセル(レッドマクロピクセル)にあるホワイトピクセルのCb値は左端のフィルタカーネルを使って生成される。グリーンマクロピクセルに位置するホワイトピクセルのCb画像は中央のフィルタカーネルに対応し、ブルーマクロピクセルに位置するホワイトピクセルのCb値は右端のフィルタカーネルを使う。
【0087】
右端のクロミナンス画像CrはR-Gチャネルを表し、7x7フィルタカーネル57を使って生成される。例えばCrクロミナンス画像において2x2RW、WRマクロピクセル(レッドマクロピクセル)にあるホワイトピクセルのCr値は右端のフィルタカーネルを使って生成される。グリーンマクロピクセルに位置するホワイトピクセルのCr画像は中央のフィルタカーネルに対応し、ブルーマクロピクセルに位置するホワイトピクセルのCr値は右端のフィルタカーネルを使う。
【0088】
クロミナンス画像は輝度画像とともに使用可能であり、画像データは通常4:2:0の(EP3416128に記載されている)サンプリングフォーマットで記憶する。上述したように、モニタリングやストリーミング(ライブプロダクション)用の代表的なRGBやYUV422フォーマットでビデオ出力を生成するために、ホワイトバランス、カラー変換、ノイズリダクション、トーンマッピング等の付加的プロセスを実行することが一般的に有利である。
【0089】
この明細書で開示され定義された発明は、テキストや図面によって示された又はそれにより明白な2つ以上の個別の特徴の全ての代替可能な組み合わせに拡張できることが理解されるであろう。これら異なる組み合わせの全てが本発明の多様でかつ代替可能な発明の態様を構成する。