IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大王製紙株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-連結式使い捨て着用物品 図1
  • 特許-連結式使い捨て着用物品 図2
  • 特許-連結式使い捨て着用物品 図3
  • 特許-連結式使い捨て着用物品 図4
  • 特許-連結式使い捨て着用物品 図5
  • 特許-連結式使い捨て着用物品 図6
  • 特許-連結式使い捨て着用物品 図7
  • 特許-連結式使い捨て着用物品 図8
  • 特許-連結式使い捨て着用物品 図9
  • 特許-連結式使い捨て着用物品 図10
  • 特許-連結式使い捨て着用物品 図11
  • 特許-連結式使い捨て着用物品 図12
  • 特許-連結式使い捨て着用物品 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】連結式使い捨て着用物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/56 20060101AFI20230915BHJP
【FI】
A61F13/56 210
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019060527
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020156839
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-02-09
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長野 亜希子
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-519425(JP,A)
【文献】特表2011-502025(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向中央より前側に延びる腹側部分と、
前後方向中央より後側に延びる背側部分と、
前記腹側部分の前後方向の中間から前記背側部分の前後方向の中間まで延びた、股間部を含む中間部分と、
前記中間部分よりも前側で、左右両側に突出する前ウイングと、
前記中間部分よりも後側で、左右両側に突出する後ウイングと、
前記前ウイングと、前記後ウイングとを連結する連結部と、
を有する連結式使い捨て着用物品において、
前記連結部は、前記前ウイングの内面に設けられており、
前記後ウイングは、側方に延びる第1部分と、第1部分の側縁で内面側に折り返された第2部分とを有しており、
前記第2部分の幅方向の寸法は、前記連結部の幅方向の寸法より大きく、
装着の際、前記前ウイングの内面の連結部の全体、前記後ウイングにおける前記第1部分の側縁で内面側に折り返された状態の前記第2部分の外面に連結した後、前記第2部分を展開するものである、
ことを特徴とする連結式使い捨て着用物品。
【請求項2】
連結部は、前記前ウイングの幅方向中間に設けられており、
前記前ウイングは、前記連結部よりも幅方向の外側から前記連結部よりも幅方向の中央側まで延びるカバー部と、このカバー部から幅方向の外側に折り返された摘み部とを有する、
請求項1記載の連結式使い捨て着用物品。
【請求項3】
前記前ウイングの幅方向の寸法は30~60mmであり、前記連結部の幅方向寸法は7~15mmであり、幅方向に5~15mmの間隔を空けて複数設けられている、
請求項1又は2記載の連結式使い捨て着用物品。
【請求項4】
前後方向中央より前側に延びる腹側部分と、
前後方向中央より後側に延びる背側部分と、
前記腹側部分の前後方向の中間から前記背側部分の前後方向の中間まで延びた、股間部を含む中間部分と、
前記中間部分よりも前側で、左右両側に突出する前ウイングと、
前記中間部分よりも後側で、左右両側に突出する後ウイングと、
前記前ウイングと、前記後ウイングとを連結する連結部と、
を有する連結式使い捨て着用物品において、
前記連結部は、前記前ウイングの内面に設けられており、
前記後ウイングは、側方に延びる第1部分と、第1部分の側縁で内面側に折り返された第2部分とを有しており、
装着の際、前記前ウイングの内面の連結部、前記後ウイングの少なくとも第2部分の外面に連結した後、前記第2部分を展開するものであり、
前記股間部を含む範囲に内蔵された吸収体を有し、
前記吸収体を有する部分から前記吸収体の両方の側縁よりも側方にそれぞれ延びる本体シートを含む、前記吸収体を有しない一対のサイドフラップを有し、
前記前ウイングは、前記サイドフラップのうち前記中間部分よりも前側に位置する前基部と、この前基部から突出する前延長シートとを有し、
前記前基部の内面に前記連結部を有し、
前記前延長シートは、前記連結部よりも幅方向の中央側まで延びるカバー部を有している、
ことを特徴とする連結式使い捨て着用物品。
【請求項5】
前後方向中央より前側に延びる腹側部分と、
前後方向中央より後側に延びる背側部分と、
前記腹側部分の前後方向の中間から前記背側部分の前後方向の中間まで延びた、股間部を含む中間部分と、
前記中間部分よりも前側で、左右両側に突出する前ウイングと、
前記中間部分よりも後側で、左右両側に突出する後ウイングと、
前記前ウイングと、前記後ウイングとを連結する連結部と、
を有する連結式使い捨て着用物品において、
前記連結部は、前記前ウイングの内面に設けられており、
前記後ウイングは、側方に延びる第1部分と、第1部分の側縁で内面側に折り返された第2部分とを有しており、
装着の際、前記前ウイングの内面の連結部、前記後ウイングの少なくとも第2部分の外面に連結した後、前記第2部分を展開するものであり、
前記股間部を含む範囲に内蔵された吸収体を有し、
前記吸収体を有する部分から前記吸収体の両方の側縁よりも側方にそれぞれ延びる本体シートを含む、前記吸収体を有しない一対のサイドフラップを有し、
前記後ウイングは、前記サイドフラップのうち前記中間部分よりも後側に位置する後基部と、この後基部から突出する後延長シートとを有し、
前記連結部はメカニカルファスナーのフック材であり、
前記後延長シートは、繊維の連続方向が幅方向の長繊維不織布に、少なくとも幅方向に間欠的に繊維相互を溶着した溶着部を設けてなるものであり、
前記第2部分は、前記後延長シートがその幅方向中間で折り返された部分である、
ことを特徴とする連結式使い捨て着用物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープタイプ使い捨ておむつ等の連結式使い捨て着用物品に関し、特に低出生体重児用に適した連結式使い捨て着用物品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な連結式使い捨て着用物品は、前後方向中央を含む股間部と、前後方向中央より前側に延びる腹側部分と、前後方向中央より後側に延びる背側部分を有し、少なくとも背側部分は、股間部よりも幅方向左右両側に延び出た前ウイング及び後ウイングを有し、腹側部分及び背側部分は前ウイング及び後ウイングの間に位置する本体部を有し、後ウイングは腹側部分の外面に着脱可能に連結される連結部を有している。使用時には、後ウイングを腰の両側から腹側部分の外面に回して、後ウイングの連結部を腹側部分の外面に連結する(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような連結式使い捨て着用物品は、例えば、新生児集中治療室(NICU)において保育器内で保育される低出生体重児においても使用されている。
【0004】
しかしながら、低出生体重児に連結式使い捨て着用物品を用いる場合、狭い保育器内で、保育器の一方側から保育器内に手を入れて装着、交換を行う必要があるため、一般的な連結式使い捨て着用物品では連結部の着脱作業が煩雑であった。
【0005】
また、低出生体重児でなくても、車内等の狭小空間で連結式使い捨て着用物品の装着、交換を行う場合には、同様の問題があることはいうまでもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-110119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の主たる課題は、連結テープの着脱作業を容易にすること等にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決した連結式使い捨て着用物品は以下のとおりである。
<第1の態様>
前後方向中央より前側に延びる腹側部分と、
前後方向中央より後側に延びる背側部分と、
前記腹側部分の前後方向の中間から前記背側部分の前後方向の中間まで延びた、股間部を含む中間部分と、
前記中間部分よりも前側で、左右両側に突出する前ウイングと、
前記中間部分よりも後側で、左右両側に突出する後ウイングと、
前記前ウイングと、前記後ウイングとを連結する連結部と、
を有する連結式使い捨て着用物品において、
前記連結部は、前記前ウイングの内面に設けられており、
前記後ウイングは、側方に延びる第1部分と、第1部分の側縁で内面側に折り返された第2部分とを有しており、
前記前ウイングの内面の連結部は、前記後ウイングの少なくとも第2部分の外面に連結可能である、
ことを特徴とする連結式使い捨て着用物品。
【0009】
(作用効果)
本連結式使い捨て着用物品は、仰臥位の着用者に対して装着する場合、先ず、背側部分を着用者の身体の下に敷き、腹側部分を両脚の間を通して着用者の下腹部上に持ち込む。これにより、後ウイングの第2部分は着用者の両脇に露出している状態となる。この後、前ウイングを摘まんで後ウイングに向かって下降させ、連結部を第2部分に押し付けて連結し、第2部分を展開する。このようにすることで、片手で前ウイングを摘まんで操作するだけで前ウイング及び後ウイングを適切に連結することができる。さらに、連結状態では、前ウイング及び後ウイングの連結部分が着用者の側面に露出するため、仰臥位で装着後、腹臥位へ体位交換した場合でも連結部を取り外すのも容易である。
【0010】
なお、前ウイング及び後ウイングの「内面」及び「外面」は、装着状態、つまり前ウイング及び後ウイングを展開した状態での内面及び外面を意味する。
【0011】
<第2の態様>
連結部は、前記前ウイングの幅方向中間に設けられており、
前記前ウイングは、前記連結部よりも幅方向の外側から前記連結部よりも幅方向の中央側まで延びるカバー部と、このカバー部から幅方向の外側に折り返された摘み部とを有する、
第1の態様の連結式使い捨て着用物品。
【0012】
(作用効果)
前ウイングがこのような折り畳み構造を有していると、使用前にはカバー部により連結部がカバーされるため、連結部により肌が傷つくのを防止することができる。また、使用時には摘み部を摘まんで側方に引っ張ることにより、カバー部を開いて、そのまま前ウイングを後ウイングに押し付けて連結することができる。さらに、摘み部は、装着状態で、後ウイングから起き上がる(浮き上がる)ため、使用後に、前ウイングを片手で簡単に摘まんで連結部を取り外すことができる。
【0013】
<第3の態様>
前記前ウイングの幅方向の寸法は30~60mmであり、前記連結部の幅方向寸法は7~15mmであり、幅方向に5~15mmの間隔を空けて複数設けられている、
第1又は2の態様の連結式使い捨て着用物品。
【0014】
(作用効果)
連結部を有する部分は柔軟性が低下し、比較的に硬い部分となるため、装着感に影響する。特に低出生体重児の場合は肌への影響が問題となるおそれがある。よって、連結部を細く複数設けることにより、連結の強度の低下を抑制しつつ、柔軟性の低下を抑制することが望ましい。
【0015】
<第4の態様>
前記股間部を含む範囲に内蔵された吸収体を有し、
前記吸収体を有する部分から前記吸収体の両方の側縁よりも側方にそれぞれ延びる本体シートを含む、前記吸収体を有しない一対のサイドフラップを有し、
前記前ウイングは、前記サイドフラップのうち前記中間部分よりも前側に位置する前基部と、この前基部から突出する前延長シートとを有し、
前記前基部の内面に前記連結部を有し、
前記前延長シートは、前記連結部よりも幅方向の中央側まで延びるカバー部を有している、
第1~3のいずれか1つの態様の連結式使い捨て着用物品。
【0016】
(作用効果)
装着形状の安定性、及び連結部の取り外しやすさを考慮すると、連結部はサイドフラップに設けられていることが望ましい。前ウイングにより連結部をカバーすること、及び前ウイングの操作性を考慮すると、前ウイングの幅はある程度広い方が望ましい。しかし、前ウイングの大部分を、サイドフラップにおける前後方向の中間を凹状に切除することにより形成すると、廃材(切除分)が大きくなる。したがって、本態様のように構成するのは望ましい。
【0017】
<第5の態様>
前記股間部を含む範囲に内蔵された吸収体を有し、
前記吸収体を有する部分から前記吸収体の両方の側縁よりも側方にそれぞれ延びる本体シートを含む、前記吸収体を有しない一対のサイドフラップを有し、
前記後ウイングは、前記サイドフラップのうち前記中間部分よりも後側に位置する後基部と、この後基部から突出する後延長シートとを有し、
前記連結部はメカニカルファスナーのフック材であり、
前記後延長シートは、繊維の連続方向が幅方向の長繊維不織布に、少なくとも幅方向に間欠的に繊維相互を溶着した溶着部を設けてなるものであり、
前記第2部分は、前記後延長シートがその幅方向中間で折り返された部分である、
第1~4のいずれか1つの態様の連結式使い捨て着用物品。
【0018】
(作用効果)
このように、後ウイングの連結領域を、別体の後延長シートで形成すると、後ウイングの連結領域を、フック材が連結しやすい柔軟な専用素材で形成することができるため、前ウイング及び後ウイングの連結の容易性及び確実性を向上することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、連結テープの着脱作業が容易になる、等の利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】テープタイプ使い捨ておむつの内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
図2】テープタイプ使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
図3図1の6-6線断面図である。
図4】(a)図1の5-5線断面図、及び(b)図1の7-7線断面図である。
図5】(a)図1の8-8線断面図、及び(b)図1の9-9線断面図である。
図6】前ウイング及び後ウイングを展開した状態の要部を示す平面図である。
図7】装着時の変化を概略的に示す断面図である。
図8】他の例の、(a)図1の5-5線断面に相当する図、及び(b)図1の7-7線断面に相当する図である。
図9】前ウイング及び後ウイングを展開した状態の要部を示す平面図である。
図10】装着時の変化を概略的に示す断面図である。
図11】他の例の、(a)図1の5-5線断面に相当する図、及び(b)図1の7-7線断面に相当する図である。
図12】前ウイング及び後ウイングを展開した状態の要部を示す平面図である。
図13】装着時の変化を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1図6はテープタイプ使い捨ておむつの一例を示しており、図中の符号Xは連結テープを除いたおむつの全幅を示しており、符号Lはおむつの全長を示しており、断面図における点模様部分はその表側及び裏側に位置する各構成部材を接合する接合手段としてのホットメルト接着剤を示している。ホットメルト接着剤は、スロット塗布、連続線状又は点線状のビード塗布、スパイラル状、Z状等のスプレー塗布、又はパターンコート(凸版方式でのホットメルト接着剤の転写)等、公知の手法により塗布することができる。これに代えて又はこれとともに、弾性部材の固定部分では、ホットメルト接着剤を弾性部材の外周面に塗布し、弾性部材を隣接部材に固定することができる。ホットメルト接着剤としては、例えばEVA系、粘着ゴム系(エラストマー系)、オレフィン系、ポリエステル・ポリアミド系などの種類のものが存在するが、特に限定無く使用できる。各構成部材を接合する接合手段としてはヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段を用いることもできる。
【0022】
このテープタイプ使い捨ておむつは、前後方向LDの中央より前側に延びる腹側部分Fと、前後方向LDの中央より後側に延びる背側部分Bとを有している。また、このテープタイプ使い捨ておむつは、股間部を含む範囲に内蔵された吸収体56と、吸収体56の表側を覆う液透過性のトップシート30と、吸収体56の裏側を覆う液不透過性シート11と、液不透過性シートの裏側を覆い、製品外面を構成する外装不織布12とを有するものである。
【0023】
以下、各部の素材及び特徴部分について順に説明する。
(吸収体)
吸収体56は、排泄液を吸収し、保持する部分であり、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100~300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30~120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1~16dtex、好ましくは1~10dtex、さらに好ましくは1~5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、2.54cm当たり5~75個、好ましくは10~50個、さらに好ましくは15~50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いることができる。
【0024】
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子としては、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用できる。高吸収性ポリマー粒子の粒径は特に限定されないが、例えば500μmの標準ふるい(JIS Z8801-1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)、及びこのふるい分けでふるい下に落下する粒子について180μmの標準ふるい(JIS Z8801-1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)を行ったときに、500μmの標準ふるい上に残る粒子の割合が30重量%以下で、180μmの標準ふるい上に残る粒子の割合が60重量%以上のものが望ましい。
【0025】
高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん-アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん-アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
【0026】
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が70秒以下、特に40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が遅すぎると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
【0027】
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
【0028】
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、通常の場合、50~350g/m2とすることができる。
【0029】
(包装シート)
高吸収性ポリマー粒子の抜け出しを防止するため、あるいは吸収体56の形状維持性を高めるために、吸収体56は包装シート58で包んでなる吸収要素50として内蔵させることができる。包装シート58としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMMS(スパンボンド/メルトブローン/メルトブローン/スパンボンド)不織布が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。繊維目付けは、5~40g/m2、特に10~30g/m2のものが望ましい。
【0030】
この包装シート58は、図3に示すように、一枚で吸収体56の全体を包む構造とするほか、上下2枚等の複数枚のシートで吸収体56の全体を包むようにしてもよい包装シート58は省略することもできる。
【0031】
(トップシート)
トップシート30は液透過性を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを用いることができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
【0032】
トップシート30は、前後方向では製品前端から後端まで延び、幅方向WDでは吸収体56よりも側方に延びているが、例えば後述する起き上がりギャザー60の起点が吸収体56の側縁よりも幅方向中央側に位置する場合等、必要に応じて、トップシート30の幅を吸収体56の全幅より短くする等、適宜の変形が可能である。
【0033】
(中間シート)
トップシート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、トップシート30より液の透過速度が速い、中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高め、吸収した液の吸収体からの「逆戻り」現象を防止するためのものである。中間シート40は省略することもできる。
【0034】
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材や、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、SMS不織布、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド不織布又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは17~80g/m2が好ましく、25~60g/m2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.0~10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
【0035】
図示例の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。また、中間シート40は、おむつの全長にわたり設けてもよいが、図示例のように排泄位置を含む中間部分にのみ設けてもよい。
【0036】
(液不透過性シート)
液不透過性シート11は、特に限定されるものではないが、透湿性を有するもが好ましい。液不透過性シート11としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを好適に用いることができる。また、液不透過性シート11としては、不織布を基材として防水性を高めたものも用いることができる。
【0037】
液不透過性シート11は、前後方向LD及び幅方向WDにおいて吸収体56と同じか又はより広範囲にわたり延びていることが望ましいが、他の遮水手段が存在する場合等、必要に応じて、前後方向LD及び幅方向WDにおいて吸収体56の端部を覆わない構造とすることもできる。
【0038】
(外装不織布)
外装不織布12は液不透過性シート11の裏側全体を覆い、製品外面を布のような外観とするものである。外装不織布12としては特に限定されず、素材繊維としては、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができ、加工法としてはスパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、エアスルー法、ニードルパンチ法等を用いることができる。ただし、肌触り及び強度を両立できる点でスパンボンド不織布やSMS不織布、SMMS不織布等の長繊維不織布が好適である。不織布は一枚で使用する他、複数枚重ねて使用することもできる。後者の場合、不織布相互をホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。不織布を用いる場合、その繊維目付けは10~50g/m2、特に15~30g/m2のものが望ましい。
【0039】
(起き上がりギャザー)
トップシート30上を伝わって横方向に移動する排泄物を阻止し、いわゆる横漏れを防止するために、表面の幅方向WDの両側には、装着者の肌側に立ち上がる起き上がりギャザー60が設けられていると好ましい。もちろん、起き上がりギャザー60は省略することもできる。
【0040】
起き上がりギャザー60を採用する場合、その構造は特に限定されず、公知のあらゆる構造を採用できる。図示例の起き上がりギャザー60は、実質的に幅方向WDに連続するギャザーシート62と、このギャザーシート62に前後方向LDに沿って伸長状態で固定された細長状のギャザー弾性部材63とにより構成されている。このギャザーシート62としては撥水性不織布を用いることができ、またギャザー弾性部材63としては糸ゴム等を用いることができる。弾性部材は、図1及び図2に示すように各複数本設ける他、各1本設けることができる。
【0041】
ギャザーシート62の内面は、トップシート30の側部上に幅方向WDの接合始端を有し、この接合始端から幅方向の外側の部分は各サイドフラップSFの内面、つまり図示例では液不透過性シート11の側部及びその幅方向の外側に位置する外装不織布12の側部にホットメルト接着剤などにより接合されている。
【0042】
脚周りにおいては、起き上がりギャザー60の接合始端より幅方向の中央側は、製品前後方向両端部ではトップシート30上に固定されているものの、その間の部分は非固定の自由部分であり、この自由部分が弾性部材63の収縮力により立ち上がり、身体表面に密着するようになる。
【0043】
(エンドフラップ、サイドフラップ)
図示例のテープタイプ使い捨ておむつは、吸収体56の前側及び後側にそれぞれ延出する、吸収体56を有しない一対のエンドフラップEFと、吸収体56の両方の側縁よりも側方にそれぞれ延出する、吸収体56を有しない一対のサイドフラップSFとを有している。サイドフラップSFは、図示例のように、吸収体56を有する部分から連続する本体シート(外装不織布12等)からなるものであっても、他の素材を取り付けて形成してもよい。
【0044】
(平面ギャザー)
各サイドフラップSFには、糸ゴム等の細長状弾性部材からなるサイド弾性部材64が前後方向LDに沿って伸長された状態で固定されており、これにより各サイドフラップSFの脚周り部分が平面ギャザーとして構成されている。サイド弾性部材64は、図示例のように、ギャザーシート62の接合部分のうち接合始端近傍の幅方向の外側において、ギャザーシート62と液不透過性シート11との間に設けるほか、サイドフラップSFにおける液不透過性シート11と外装不織布12との間に設けることもできる。サイド弾性部材64は、図示例のように各側で複数本設ける他、各側に1本のみ設けることもできる。
【0045】
平面ギャザーは、サイド弾性部材64の収縮力が作用する部分(図中ではサイド弾性部材64が図示された部分)である。よって、平面ギャザーの部位にのみサイド弾性部材64が存在する形態の他、平面ギャザーよりも前側、後側又はその両側にわたりサイド弾性部材64が存在しているが、平面ギャザーの部位以外ではサイド弾性部材が一か所又は多数個所で細かく切断されていたり、サイド弾性部材64を挟むシートに固定されていなかったり、あるいはその両方であったりすることにより、平面ギャザー以外の部位に収縮力が作用せず(実質的には、弾性部材を設けないことに等しい)に、平面ギャザーの部位にのみサイド弾性部材64の収縮力が作用する構造も含まれる。
【0046】
(前ウイング)
本テープタイプ使い捨ておむつは、股間部を含む中間部分Mよりも前側で、左右両側に突出する前ウイング80を有している。前ウイング80は、それ以外の部分と別の部材により形成することもできる。例えば、図1図7に示す例及び図8図10に示す例のように、サイドフラップSFの側部における前後方向LDの中間を凹状に切除することにより、前ウイング80の前基部81(サイドフラップSFの中間部分Mよりも前側に位置する突出部)の下縁から、股間部を含む中間部分Mの側縁を経て、後ウイング90の後基部91(サイドフラップSFの中間部分Mよりも後側に位置する突出部)の下縁までの凹状縁70を形成するとともに、前基部81から突出する前延長シート83により前ウイング80の幅を確保することができる。また、図11図13に示す例のように、サイドフラップSFの側部を切除せずに前後方向LDに沿う直線状に形成し、前ウイング80の全体を、サイドフラップSFから突出する前延長シート83により形成することもできる。
【0047】
前延長シート83としては、不織布、プラスチックフィルム、ポリラミ不織布、紙やこれらの複合素材を用いることができるが、繊度1.0~3.5dtex、目付け60~100g/m2、厚み1mm以下のスパンボンド不織布、エアスルー不織布、又はスパンレース不織布が好ましい。
【0048】
前延長シート83は、図4及び図8に示す例のようにサイドフラップSFの内面に固定されていてもよいし、図示しないがサイドフラップSFの外面に固定されていてもよい。また、図11に示すように、前延長シート83は、サイドフラップSFを形成する複数のシート(図示例ではギャザーシート62と外装不織布12)の間に挟まれて、固定されていてもよい。
【0049】
前ウイング80の形状は適宜定めることができ、例えば図6に展開状態を示すようにほぼ矩形状とするほか、展開状態で側方に向かうにつれて、前後方向LDの寸法が短くなる台形又は山形とすることができる。前ウイング80の上縁、下縁、側縁は直線状とするほか、曲線状としたり、波線状としたりすることができる。
【0050】
前ウイング80の幅方向WDの寸法80W(図6に示される展開状態)は適宜定めることができるが、例えば30~60mm程度とすることができる。
【0051】
前ウイング80の前後方向LDの寸法80Lは適宜定めることができるが、例えば製品全長Lの25~35%程度とすることができる。
【0052】
図1図2図4(b)及び図6に示すように、前ウイング80の内面には、前ウイング80と後ウイング90とを連結する連結部82が設けられている。連結部82としては、メカニカルファスナー(面ファスナー)のフック材(雄材)を設ける他、粘着剤層を設けてもよい。フック材は、その連結面に多数の係合突起を有するものであり、係合突起の形状としては、レ字状、J字状、マッシュルーム状、T字状、ダブルJ字状(J字状のものを背合わせに結合した形状のもの)等が存在するが、いずれの形状であっても良い。
【0053】
前ウイング80部における連結部82の位置は適宜定めることができる。例えば、連結部82は前ウイング80の幅方向WDの中間に設けられており、前ウイング80は、連結部82よりも幅方向WDの外側から連結部82よりも幅方向WDの中央側まで延びるカバー部83aと、このカバー部83aから幅方向WDの外側に折り返された摘み部83bとを有するのは好ましい。前ウイング80がこのような折り畳み構造を有していると、使用前には図2及び図4(b)に示すように、カバー部83aにより連結部82がカバーされるため、連結部82により肌が傷つくのを防止することができる。また、使用時には図6及び図7(a)に示すように、摘み部83bを摘まんで側方に引っ張ることにより、連結部82を露出させて使用することができる。なお、製品状態では、前ウイング80は吸収体56の側縁等の適所でさらに内面側に折り畳まれていてもよい。つまり、すべての部分の展開状態の一段階前で前ウイング80が上述の折り畳み構造を有していればよい。
【0054】
前ウイング80がサイドフラップSF及び前延長シート83からなる場合、装着形状の安定性、及び連結部82の取り外しやすさを考慮すると、図1図7に示す例、並びに図8図10に示す例のように、連結部82はサイドフラップSFに設けられていることが望ましい。前ウイング80部により連結部82をカバーすること、及び前ウイング80部の操作性を考慮すると、前ウイング80部の幅はある程度広い方が望ましい。しかし、前ウイング80の大部分を、サイドフラップSFにおける前後方向LDの中間を凹状に切除することにより形成すると、廃材(切除分)が大きくなる。したがって、前基部81の内面に連結部82を設け、前延長シート83は、連結部82よりも幅方向WDの中央側まで延びるカバー部83aを有しているのは好ましい。これらの例とは異なり、図11図13に示す例のように、連結部82は前延長シート83にのみ設けることもできる。
【0055】
連結部82は、図8図10に示す例のように、前ウイング80部の幅方向WDに間隔を空けて(又は空けないでもよい)複数設けることができる。前ウイング80がサイドフラップSF及び前延長シート83からなる場合、サイドフラップSF及び前延長シート83にそれぞれ連結部82を設けてもよいし、いずれか一方にのみ複数の連結部82を設けてもよい。
【0056】
連結部82を有する部分は柔軟性が低下し、比較的に硬い部分となるため、装着感に影響する。特に低出生体重児の場合は肌への影響が問題となるおそれがある。よって、連結部82を細く複数設けることにより、連結の強度の低下を抑制しつつ、柔軟性の低下を抑制することが望ましい。例えば、前ウイング80の幅方向WDの寸法80Wが30~60mmであり、連結部82の幅方向WD寸法が7~15mmであり、幅方向WDに5~15mmの間隔を空けて複数設けられていると好ましい。
【0057】
(後ウイング)
本テープタイプ使い捨ておむつは、中間部分Mよりも後側で、左右両側に突出する後ウイング90を有している。後ウイング90は、それ以外の部分と別の部材により形成することもできる。例えば図1図7に示す例及び図8図10に示す例のように、サイドフラップSFの側部における前後方向LDの中間を凹状に切除することにより、中間部分Mの側縁から前ウイング80の前基部81(サイドフラップSFの中間部分Mよりも前側に位置する突出部)の下縁から後ウイング90の後基部91(サイドフラップSFの中間部分Mよりも後側に位置する突出部)の下縁までの凹状縁70を形成するとともに、後基部91から突出する後延長シート93により後ウイング90の幅を確保することができる。また、図11図13に示す例のように、サイドフラップSFの側部を切除せずに前後方向LDに沿う直線状に形成し、後ウイング90のそれぞれ全体を、サイドフラップSFから突出する後延長シート93により形成することもできる。
【0058】
後延長シート93としては、不織布、プラスチックフィルム、ポリラミ不織布、紙やこれらの複合素材を用いることができるが、繊度1.0~3.5dtex、目付け60~100g/m2、厚み1mm以下のスパンボンド不織布、エアスルー不織布、又はスパンレース不織布が好ましい。
【0059】
後延長シート93は、図4に示すようにサイドフラップSFの外面に固定されていてもよいし、図示しないがサイドフラップSFの内面に固定されていてもよい。また、図8及び図11に示すように、後延長シート93は、サイドフラップSFを形成する複数のシートの間に挟まれて、固定されていてもよい。
【0060】
後ウイング90の形状は適宜定めることができ、例えば図6に展開状態を示すようにほぼ矩形状とするほか、展開状態で側方に向かうにつれて、前後方向LDの寸法が短くなる台形又は山形とすることができる。後ウイング90の上縁、下縁、側縁は直線状とするほか、曲線状としたり、波線状としたりすることができる。
【0061】
後ウイング90の幅方向WDの寸法90Wは適宜定めることができるが、例えば40~60mm程度とすることができる。後ウイング90の幅方向WDの寸法90Wは、前ウイング80の幅方向WDの寸法80Wより長いことが好ましい。
【0062】
後ウイング90の前後方向LDの寸法90Lは適宜定めることができるが、例えば製品全長Lの25~35%程度とすることができる。
【0063】
後ウイング90は、側方に延びる第1部分93aと、第1部分93aの側縁で内面側に折り返された第2部分93bとを有している。折り返し位置は特に限定されず、展開状態における後ウイング90の幅方向WD中央に位置していてもよいし、展開状態における後ウイング90の幅方向WD中央よりも外側又は内側に位置してもよい。後ウイング90がサイドフラップSFと後延長シート93からなる場合、図示例のように折り返し位置は後延長シート93に位置していることが好ましいが、これに限定されるものではない。また、製品状態では、後ウイング90は吸収体56の側縁等の適所でさらに内面側に折り畳まれていてもよい。つまり、すべての部分の展開状態の一段階前で、後ウイング90が側方に延びる第1部分93a及び幅方向WDの中間で内面側に折り返された第2部分93bを有していればよい。
【0064】
後ウイング90の第2部分93bの外面は、前ウイング80の内面の連結部82が連結可能な部分を有している。この限りでは、後ウイング90の構造は特に限定されるものではない。例えば、連結部82がメカニカルファスナー(面ファスナー)のフック材(雄材)である場合、第2部分93bの外面の少なくとも一部を含む範囲を、メカニカルファスナーのループ材(雌材)又は不織布で形成すればよい。例えば、前述の後延長シート93をメカニカルファスナーのループ材(雌材)又は不織布とすることができる。ループ材としては、プラスチックフィルムにループ糸を縫い付けたものも知られているが、繊維の連続方向が幅方向WDの長繊維不織布(繊度2.0~4.0dtex、目付け20~50g/m2、厚み0.3~0.5mm程度のスパンボンド不織布等)に、少なくとも幅方向WDに間欠的に繊維相互を溶着した溶着部を設けたものが通気性、柔軟性の観点から好ましい。もちろん、第2部分93bの外面の少なくとも一部を含む範囲に、メカニカルファスナーのループ材(雌材)又は不織布を貼り付けてもよい。また、連結部82が粘着材層の場合には、粘着性に富むような表面が平滑なプラスチックフィルムを、第2部分93bの外面の少なくとも一部を含む範囲に貼り付けることもできる。
【0065】
(装着等)
本テープタイプ使い捨ておむつは、仰臥位の着用者に対して装着する場合、先ず、背側部分Bを着用者の身体300の下に敷き、腹側部分Fを両脚の間を通して着用者の下腹部上に持ち込む。これにより、図7(a)、図10(a)及び図13(a)にそれぞれ示すように、後ウイング90の第2部分93bは着用者の身体300の両脇に露出している状態となる。この後、前ウイング80を摘まんで後ウイング90に向かって矢印で示すように下降させ、連結部82を第2部分93bに押し付けて連結し、図7(b)、図10(b)及び図13(b)にそれぞれ示すように、第2部分93bを展開する。このようにすることで、片手で前ウイング80を摘まんで操作するだけで前ウイング80及び後ウイング90を適切に連結することができる。さらに、連結状態では、前ウイング80及び後ウイング90の連結部82分が着用者の身体300の側面に露出するため、連結部82を取り外すのも容易である。この説明からも分かるように、本テープタイプ使い捨ておむつは、きつく装着するよりも、低出生体重児向け又は簡易装着向けに、ある程度肌表面との間に隙間が形成されるような緩い装着に適している。
【0066】
特に、前ウイング80が前述のような折り畳み構造を有していると、使用時には摘み部83bを摘まんで側方に引っ張ることにより、カバー部83aを開いて、そのまま前ウイング80部を後ウイング90部に押し付けて連結することができる。さらに、摘み部83bは、装着状態で、図7(b)及び図10(b)にそれぞれ示すように後ウイング90から起き上がる(浮き上がる)ため、使用後に、前ウイング80を片手で簡単に摘まんで連結部82を取り外すことができる。図11に示すように、前ウイング80に摘み部83bを設けずに、装着状態で、図13(b)に示すように前ウイング80が後ウイング90の外面に沿うようにしてもよい。
【0067】
<明細書中の用語の説明>
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「前後方向」とは図中に符号LDで示す方向(縦方向)を意味し、「幅方向」とは図中にWDで示す方向(左右方向)を意味し、前後方向と幅方向とは直交するものである。
【0068】
・「曲線」とは、直線を含まない意味である。
【0069】
・「展開状態」とは、収縮や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
【0070】
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。例えば、伸長率が200%とは、伸長倍率が2倍であることと同義である。例えば、伸長率が200%とは、伸長倍率が2倍であることと同義である。
【0071】
・「ゲル強度」は次のようにして測定されるものである。人工尿(尿素:2wt%、塩化ナトリウム:0.8wt%、塩化カルシウム二水和物:0.03wt%、硫酸マグネシウム七水和物:0.08wt%、及びイオン交換水:97.09wt%)49.0gに、高吸収性ポリマーを1.0g加え、スターラーで攪拌させる。生成したゲルを40℃×60%RHの恒温恒湿槽内に3時間放置したあと常温にもどし、カードメーター(I.techno Engineering社製:Curdmeter-MAX ME-500)でゲル強度を測定する。
【0072】
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を温度100℃の環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から、試料採取用の型板(100mm×100mm)を使用し、100mm×100mmの寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、100倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
【0073】
・「厚み」は、自動厚み測定器(KES-G5 ハンディー圧縮試験機)を用い、荷重:0.098N/cm2、及び加圧面積:2cm2の条件下で自動測定する。
【0074】
・「吸水量」は、JIS K7223-1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」によって測定する。
【0075】
・「吸水速度」は、2gの高吸収性ポリマー及び50gの生理食塩水を使用して、JIS K7224‐1996「高吸水性樹脂の吸水速度試験法」を行ったときの「終点までの時間」とする。
【0076】
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内で行うものとする。
【0077】
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、上記例のテープタイプ使い捨ておむつ等の連結式使い捨て着用物品に適用できるものである。
【符号の説明】
【0079】
B…背側部分、EF…エンドフラップ、F…腹側部分、LD…前後方向、M…中間部分、SF…サイドフラップ、WD…幅方向、11…液不透過性シート、12…外装不織布、30…トップシート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…起き上がりギャザー、62…ギャザーシート、64…サイド弾性部材、70…凹状縁、71…ウイングの下縁、80…前ウイング、81…前基部、82…連結部、83…前延長シート、83a…カバー部、83b…摘み部、90…後ウイング、91…後基部、93…後延長シート、93a…第1部分、93b…第2部分、300…着用者の身体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13