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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】燃料タンク及び支柱部材
(51)【国際特許分類】
   F02M 37/00 20060101AFI20230915BHJP
   B60K 15/03 20060101ALI20230915BHJP
   B29C 49/20 20060101ALI20230915BHJP
   B29C 51/12 20060101ALI20230915BHJP
【FI】
F02M37/00 301J
B60K15/03 B
B29C49/20
B29C51/12
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019119310
(22)【出願日】2019-06-27
(65)【公開番号】P2021004583
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小原 悠
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2016/167018(JP,A1)
【文献】特開2017-095022(JP,A)
【文献】特表2016-506331(JP,A)
【文献】国際公開第2018/225413(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 37/00 ~ 37/54
B60K 15/03
B29C 49/20
B29C 51/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製のタンク本体と、
前記タンク本体内に収容された合成樹脂製の支柱部材と、
前記支柱部材に形成され、前記タンク本体の壁部に溶着された環状のフランジ部と、
前記フランジ部における前記壁部との対向面に形成された周方向の溝部と、
前記溝部内と前記支柱部材の外部とを連通させる通気部とを備え、
前記フランジ部は、前記支柱部材を構成する筒形の柱状部の端部の外周縁から径方向外方へ張り出した形状であり、
前記溝部は、前記対向面の径方向中央部のみに1本だけ形成され、且つ前記フランジ部の全周に亘って連続した形態であり、
前記対向面のうち前記溝部よりも外周側の環状領域は、前記壁部に対して全領域が熱溶着された外周側溶着面であり、
前記対向面のうち前記溝部よりも内周側の環状領域は、前記壁部に対して全領域が熱溶着された内周側溶着面であることを特徴とする燃料タンク。
【請求項2】
前記通気部が、前記フランジ部を厚さ方向に貫通した形態であることを特徴とする請求項1記載の燃料タンク。
【請求項3】
合成樹脂製のタンク本体内に収容され、燃料タンクを構成する合成樹脂製の支柱部材であって、
前記タンク本体の壁部に溶着される環状のフランジ部と、
前記フランジ部における前記壁部との対向面に形成された周方向の溝部と、
前記溝部内を外部に連通させる通気部とを備え、
前記フランジ部は、前記支柱部材を構成する筒形の柱状部の端部の外周縁から径方向外方へ張り出した形状であり、
前記溝部は、前記対向面の径方向中央部のみに1本だけ形成され、且つ前記フランジ部の全周に亘って連続した形態であり、
前記対向面のうち前記溝部よりも外周側の環状領域は、前記壁部に対して全領域が熱溶着可能な外周側溶着面であり、
前記対向面のうち前記溝部よりも内周側の環状領域は、前記壁部に対して全領域が熱溶着可能な内周側溶着面であることを特徴とする支柱部材
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンク及び支柱部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内圧の変動に起因する変形を防止することが可能な合成樹脂製の燃料タンクが開示されている。この燃料タンクは、タンクを構成する上下両壁部の間に、合成樹脂材料からなるコラム状の支持エレメントを介在させたものである。支持エレメントの上下両端面は、タンクの上下両壁部に溶接により固着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2016-506331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
支持エレメントの上下両端面はフランジ状の板部となっている。溶接の際には、フランジ状の板部を、加熱して軟化させた状態でタンクの上下両壁部に押し付け、板部と壁部を面接触状態で密着させる。板部を加熱してからタンクの壁部に押し付けるまでの間に、板部の温度が低下するのに伴って、板部が湾曲するように変形する。そのため、板部と壁部との間に、空気が閉じ込められ、空気溜まりが発生する。板部と壁部との間に空気溜まりが生じると、その分、板部と壁部の密着面積が減少するのである。ところが、軟化して湾曲したときの板部の形状は、雰囲気温度等の諸条件によってバラツキがあるため、板部と壁部の密着面積が一定にならない。このように、上記従来の燃料タンクは、板部と壁部の密着面積を管理することができないので、品質が安定しないという問題がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、燃料タンクの品質の安定を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明の燃料タンクは、
合成樹脂製のタンク本体と、
前記タンク本体内に収容された合成樹脂製の支柱部材と、
前記支柱部材に形成され、前記タンク本体の壁部に溶着された環状のフランジ部と、
前記フランジ部における前記壁部との対向面に形成された周方向の溝部と、
前記溝部内と前記支柱部材の外部とを連通させる通気部とを備え、
前記フランジ部は、前記支柱部材を構成する筒形の柱状部の端部の外周縁から径方向外方へ張り出した形状であり、
前記溝部は、前記対向面の径方向中央部のみに1本だけ形成され、且つ前記フランジ部の全周に亘って連続した形態であり、
前記対向面のうち前記溝部よりも外周側の環状領域は、前記壁部に対して全領域が熱溶着された外周側溶着面であり、
前記対向面のうち前記溝部よりも内周側の環状領域は、前記壁部に対して全領域が熱溶着された内周側溶着面である。
【0007】
第2の発明の支柱部材は、
合成樹脂製のタンク本体内に収容され、燃料タンクを構成する合成樹脂製の支柱部材であって、
前記タンク本体の壁部に溶着される環状のフランジ部と、
前記フランジ部における前記壁部との対向面に形成された周方向の溝部と、
前記溝部内を外部に連通させる通気部とを備え、
前記フランジ部は、前記支柱部材を構成する筒形の柱状部の端部の外周縁から径方向外方へ張り出した形状であり、
前記溝部は、前記対向面の径方向中央部のみに1本だけ形成され、且つ前記フランジ部の全周に亘って連続した形態であり、
前記対向面のうち前記溝部よりも外周側の環状領域は、前記壁部に対して全領域が熱溶着可能な外周側溶着面であり、
前記対向面のうち前記溝部よりも内周側の環状領域は、前記壁部に対して全領域が熱溶着可能な内周側溶着面である。
【発明の効果】
【0008】
支柱部材をタンク本体の壁部に溶着する際には、フランジ部を、加熱して軟化させた状態で壁部に押し付ける。溶着の過程では、フランジ部と壁部との間に空気溜まりが生じても、溶着が進むのに伴って、空気溜まりの空気が溝部と通気部を通って支柱部材の外部へ排出される。これにより、溶着完了時には、フランジ部と壁部との間において溝部だけに空気を残留させる形態にすることが可能である。溝部の大きさは、支柱部材の成形時に管理され、フランジ部が湾曲しても大きく変動することはない。これにより、フランジ部と壁部の溶着面積を管理することができるので、溶着品質を安定させることができる。また、溝部をフランジ部の全周にわたって連続した形態としたことにより、フランジ部と壁部との溶着面積を、フランジ部の全周にわたって管理できるので、溶着品質を高いレベルで安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1の燃料タンクの断面図である。
図2】支柱部材とタンク本体の下壁部との溶着部分をあらわした部分拡大断面図である。
図3図2のX-X線断面図である。
図4】フランジ部を熱板により加熱している状態をあらわす部分拡大断面図である。
図5】フランジ部が加熱により軟化して湾曲変形した状態をあらわす部分拡大断面図である。
図6】実施例2の支柱部材の底面図である。
図7】実施例3の支柱部材の底面図である。
図8】実施例4の支柱部材の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1及び第2の発明は、前記通気部が、前記フランジ部を厚さ方向に貫通した形態であることが好ましい。この構成によれば、通気部を形成しても、フランジ部における壁部との溶着面積が減少することがないので、溶着強度の低下を回避できる。
【0012】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を図1図5を参照して説明する。本実施例1の燃料タンク10は、図1に示すように、合成樹脂製のタンク本体11と、タンク本体11内に収容された合成樹脂製の支柱部材20とを備えている。即ち、本実施例1の支柱部材20は、タンク本体11内に収容されることで燃料タンク10を構成するものである。
【0013】
タンク本体11の内部空間は、燃料を貯留するための貯留室12となっている。タンク本体11は、下壁部13(請求項に記載の壁部)と、貯留室12を構成する上壁部14(請求項に記載の壁部)とを有している。上壁部14と下壁部13は、上下方向に対向するように配されている。貯留室12(タンク本体11)の内圧が大気圧よりも上昇すると、上壁部14と下壁部13は、タンク本体11内から互いに上下方向に離間する方向の押圧力を受ける。貯留室12の内圧が大気圧よりも低下すると、上壁部14と下壁部13は、タンク本体11外から互いに上下方向に接近する方向の押圧力を受ける。
【0014】
支柱部材20の材料は、タンク本体11と同じものである。支柱部材20は、貯留室12の圧力が変動したときに上壁部14と下壁部13の上下方向の相対変位を規制し、タンク本体11の不正な変形を防止するものである。支柱部材20は、軸線を上下方向(上壁部14と下壁部13が対向する方向)に向けた円筒状の柱状部21と、柱状部21の上下両端部に連なる上下対称な一対のフランジ部22とを有する単一部品である。
【0015】
一対のフランジ部22は上下対称であるので、以下、下側のフランジ部22の形態について説明し、上側のフランジ部22については説明を省略する。フランジ部22は、柱状部21の下端部の外周から径方向(水平方向)へ張り出している。図3に示すように、支柱部材20を柱状部21の軸線と平行に上から視た平面視において、フランジ部22は、外径寸法が柱状部21よりも大きく、柱状部21と同心の円環形をなしている。フランジ部22は、柱状部21と同心円環状のテーパ部23と、同じく柱状部21と同心円環状の板状溶着部24とから構成されている。テーパ部23は、柱状部21の下端部から、柱状部21の軸線に対して斜め方向(斜め下外方)へ延出した形態である。
【0016】
板状溶着部24は、テーパ部23よりも大径であり、テーパ部23の外周縁(下端縁部)から径方向外方へ水平に張り出した形態である。板状溶着部24は、板厚方向を柱状部21の軸線と平行に向けている。板状溶着部24の下面は、下壁部13の内面と対向する対向面25となっている。支柱部材20は、対向面25において下壁部13と溶着する。
【0017】
板状溶着部24には、対向面25を凹ませた形態の溝部26が形成されている。支柱部材20を軸線と平行に切断した断面において、溝部26の断面形状は方形である。溝部26は、フランジ部22(板状溶着部24)と同心の円環形をなす。溝部26は、板状溶着部24の外周縁よりも径方向内側で、且つ板状溶着部24の内周縁より径方向外側に配されている。対向面25のうち溝部26よりも外周側の円環状領域は、外周側溶着面27となっている。対向面25のうち溝部26よりも内周側の円環状領域は、内周側溶着面28となっている。
【0018】
板状溶着部24には、4つ(複数)の通気部29(通気孔)が形成されている。4つの通気部29は、円形の貫通孔からなり、平面視において周方向に等角度ピッチで配されている。径方向において、4つの通気部29は、溝部26の形成領域の範囲内に配されている。各通気部29は、溝部26の内部空間を、板状溶着部24の上面、即ち板状溶着部24における対向面25とは反対側の外面へ開放させた形態である。換言すると、通気部29は、板状溶着部24を支柱部材20(柱状部21)の軸線方向と平行に貫通した形態であり、板状溶着部24(フランジ部22)の板厚方向に貫通した形態である。
【0019】
次に、支柱部材20を下壁部13に溶着する工程を説明する。まず、図4に示すように、水平に設置した熱板Hの上面に、下側のフランジ部22における下壁部13との対向面25(外周側溶着面27と内周側溶着面28)を面接触状態で密着させながら押し付ける。すると、フランジ部22のうち外周側溶着面27と内周側溶着面28を含む板状溶着部24の下面部分が、加熱されて軟化する。このとき、板状溶着部24のうち対向面25(外周側溶着面27と内周側溶着面28)から離間した上面側部分は、温度上昇が小さいので軟化しない。したがって、溝部26のうち上端側部分も軟化しない。タンク本体11の下壁部13のうちフランジ部22を溶着する部位も、フランジ部22と同様に、加熱して軟化させておく。
【0020】
板状溶着部24の下面側部分と下壁部13が軟化したら、支柱部材20を、熱板Hから持ち上げて、下壁部13の上方へ移動させる。移動させる間に、板状溶着部24は雰囲気温度によって自然冷却されるため、板状溶着部24(フランジ部22)の対向面25は湾曲変形する。図5に示すように、湾曲変形した対向面25は、溝部26の形成されている径方向中央部分が、外周側部分及び内周側部分に比べて凹んだ形態となる。このような凹み形状になるのは、以下の理由によるものと推察される。
【0021】
板状溶着部24のうち外周側溶着面27が形成されている領域は、板状溶着部24の外周面が露出しているので冷却速度が比較的速く、冷却に伴う収縮量が比較的小さい。板状溶着部24のうち内周側溶着面28が形成されている領域も、板状溶着部24の内周面が露出しているので冷却速度が比較的速く、冷却に伴う収縮量が比較的小さい。これに対し、板状溶着部24のうち溝部26が形成されている領域は、そもそも加熱の度合いが小さく、しかも、周面が露出していないので冷却速度が比較的遅く、冷却に伴う収縮量が比較的大きい。この冷却に伴う各部位における変形形態の相違により、対向面25のうち溝部26が形成されている径方向中央部が、外周側及び内周側に比べて凹むような形態で湾曲すると考えられる。
【0022】
上記のように湾曲変形した対向面25を下壁部13に押し付ける過程では、まず、板状溶着部24ののうち外周縁部と内周縁部が下壁部13に接触するので、下壁部13と板状溶着部24との間には空気が閉じこめられ、周方向に沿った環状の空気溜まり(図示省略)が発生する。この空気溜まりは溝部26に連通している。この状態から板状溶着部24を下壁部13に更に押し付けると、対向面25が全体的に下壁部13に接近していき、これに伴って、空気溜まり内の空気が、溝部26と通気部29を介して板状溶着部24(支柱部材20)の外部へ押し出される。
【0023】
この間、板状溶着部24の対向面25のうち外周縁部と内周縁部は下壁部13に密着した状態を保つ。そして、対向面25における下壁部13との接触領域が、外周縁側から溝部26に向かって径方向中央部側(径方向内側)へ拡大するとともに、内周縁側から溝部26に向かって径方向中央部側(径方向外側)へ拡大していく。つまり、板状溶着部24と下壁部13との密着面積は、フランジ部22を下壁部13に押し付けていくのに伴って確実に増大していく。
【0024】
そして、外周側溶着面27の全領域と内周側溶着面28の全領域が下壁部13に密着した状態になると、下側のフランジ部22(板状溶着部24)と下壁部13との溶着が完了する。この状態では、板状溶着部24のうち下壁部13に溶着すべき所期の領域(外周側溶着面27と内周側溶着面28)の全領域が、確実に下壁部13に溶着されているので、必要最少の溶着面積が確保されている。また、板状溶着部24のうち溝部26を構成する部位の大部分は、熱板Hから遠い位置にあるので、溝部26は殆ど変形せず、溝部26の径方向の溝幅寸法も溶着によって大きく変動していない。したがって、フランジ部22と下壁部13との溶着面積は、所期の面積が確保されている。下側のフランジ部22と同様の手順で、上側のフランジ部22と上壁部14との溶着も行われる。
【0025】
上述のように本実施例1の燃料タンク10は、合成樹脂製のタンク本体11と、タンク本体11内に収容された合成樹脂製の支柱部材20とを有している。支柱部材20には、タンク本体11の下壁部13及び上に溶着された環状のフランジ部22が形成されている。フランジ部22における下壁部13及び上壁部14との対向面25には、周方向の溝部26が形成されている。支柱部材20(フランジ部22)には、溝部26内と支柱部材20の外部とを連通させる通気部29が形成されている。
【0026】
支柱部材20をタンク本体11の下壁部13及び上壁部14に溶着する際には、フランジ部22(板状溶着部24)を、加熱して軟化させた状態で下壁部13又は上壁部14に押し付ける。溶着の過程では、フランジ部22と下壁部13又は上壁部14との間に空気溜まりが生じても、溶着が進むのに伴って、空気溜まりの空気は溝部26と通気部29を通って支柱部材20の外部へ排出される。
【0027】
これにより、溶着完了時には、フランジ部22と壁部との間において溝部26だけに空気を残留させる形態にすることが可能である。溝部26の大きさは、支柱部材20の成形時に管理され、フランジ部22が湾曲変形しても大きく変動することはない。このように本実施例1の燃料タンク10及び支柱部材20によれば、フランジ部22と壁部との溶着面積を管理することができるので、溶着品質を安定させることができる。
【0028】
また、溝部26はフランジ部22の全周にわたって連続した形態であるから、板状溶着部24と下壁部13との間には、管理できない形態の空気溜まりが生じることがない。したがって、フランジ部22と壁部との溶着面積を、フランジ部22の全周にわたって管理することができるので、溶着品質を高いレベルで安定させることができる。
【0029】
また、通気部29は、板状溶着部24の外周面や板状溶着部24の内周面を凹ませた形態ではなく、フランジ部22(板状溶着部24)を厚さ方向に貫通した形態である。したがって、フランジ部22に通気部29を形成しても、フランジ部22における壁部との溶着面積が減少することはない。これにより、通気部29を形成することに起因する溶着強度の低下を、回避できる。
【0030】
<実施例2>
次に、本発明を具体化した実施例2を図6を参照して説明する。本実施例2の支柱部材30は、フランジ部22(板状溶着部24)に形成されている通気部31を上記実施例1とは異なる構成としたものである。その他の構成については上記実施例1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0031】
実施例1の通気部29が、板状溶着部24を板厚方向(支柱部材20の軸線方向)に貫通した孔形状であるのに対し、本実施例2の通気部31は、板状溶着部24の外周面を凹ませて、溝部26内を板状溶着部24の外周面へ開放させた形態である。通気部31は、板状溶着部24の上面と下面(外周側溶着面27)にも開口している。
【0032】
<実施例3>
次に、本発明を具体化した実施例3を図7を参照して説明する。本実施例3の支柱部材32は、フランジ部22(板状溶着部24)に形成されている通気部33を上記実施例1とは異なる構成としたものである。その他の構成については上記実施例1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0033】
本実施例3の通気部33は、板状溶着部24における下壁部13及び上壁部14との対向面25を凹ませた形態である。通気部33は、対向面25を構成する外周側溶着面27と内周側溶着面28のうち外周側溶着面27のみに形成されている。通気部33は、溝部26内を板状溶着部24の外周面へ開放させた形態である。
【0034】
<実施例4>
次に、本発明を具体化した実施例4を図8を参照して説明する。本実施例4の支柱部材34は、フランジ部22(板状溶着部24)に形成されている溝部35を上記実施例1とは異なる構成としたものである。その他の構成については上記実施例1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0035】
上記実施例1のフランジ部22には、全周にわたって連続した円形をなす1つの溝部26が形成されていたのに対し、本実施例4のフランジ部22には、フランジ部22と同心円の円弧状をなす4つの溝部35が形成されている。4つの溝部35は、周方向に間隔を空けて配されている。通気部29は、各溝部35に1つずつ形成されている。
【0036】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例1~4では、4つの通気部を設けたが、通気部の数は3つ以下でもよく、5つ以上でもよい。
(2)上記実施例1~4では、複数の通気部を周方向に等角度ピッチで配したが、複数の通気部を、周方向において不等角度のピッチで配してもよい。
(3)上記実施例1~4では、径方向における溝部の幅寸法が、周方向の全長に亘って一定の寸法であるが、径方向における溝部の幅寸法は、周方向において異なっていてもよい。
(4)上記実施例1~4では、支柱部材がタンク本体の上壁部と下壁部の両方に溶着されるが、支柱部材は、上壁部と下壁部のうちいずれか一方の壁部のみに溶着されるようにしてもよい。
(5)上記実施例1~4では、溶着が完了した状態で溝部内に空気が残留するようにしたが、溶着が完了した状態で、溝部が溶着時の変形部位で埋められ、溝部内に空気が残留しないようにしてもよい。この場合、フランジ部における上壁部及び下壁部との対向面のうち、少なくとも溝部以外の領域は溶着されるので、必要最少の溶着面積を確保することができる。
(6)上記実施例1~4では、フランジ部の外周形状が円形又は円弧形であるが、フランジ部の外周形状は楕円形、長円形、多角形等であってもよい。
(7)上記実施例1~4では、溝部の形状が円形又は円弧形であるが、溝部の形状は楕円形、長円形、多角形等であってもよい。
(8)上記実施例1~4では、溝部の断面形状が方形であるが、溝部の断面形状は、台形、三角形、半円形等であってもよい。
(9)上記実施例4において、通気部を、実施例2,3のようにフランジ部の外周面に開口する形態としてもよい。
【符号の説明】
【0037】
10…燃料タンク
11…タンク本体
13…下壁部(壁部)
14…上壁部(壁部)
20,30,32,34…支柱部材
22…フランジ部
25…対向面
26,35…溝部
29,31,33…通気部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8