(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】改善された異常振動防止を伴う航空機着陸装置操縦システム及び方法
(51)【国際特許分類】
B64C 25/50 20060101AFI20230915BHJP
【FI】
B64C25/50
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019124169
(22)【出願日】2019-07-03
【審査請求日】2022-06-24
(32)【優先日】2018-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リンダール, ゲリー エム.
(72)【発明者】
【氏名】メラー, ミッチェル エル.アール.
(72)【発明者】
【氏名】サルスベリー, ブライアン ピー.
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0239120(US,A1)
【文献】米国特許第02732151(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 25/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着陸装置(102)であって、(i)シャーシ(202)、(ii)ジョイント(210)で前記シャーシ(202)に回転可能に連結された少なくとも1つの車軸(208)、及び(iii)前記少なくとも1つの車軸(208)のそれぞれの端部に取り付けられたそれぞれの車輪(216A、216B)を有することによって、前記ジョイント(210)の周りの前記少なくとも1つの車軸(208)の回転が
、航空機(100)の操縦をもたらす、着陸装置(102)、
液圧アクチュエータ(218)であって、(i)シリンダー(500)、(ii)前記シリンダー(500)内に配置され且つ前記シリンダー(500)を第1の区画(504)と第2の区画(506)に分割するように構成された仕切り(502)、(iii)前記第1の区画(504)内に摺動可能に受け入れられ、且つピストンヘッド(510)及び前記ピストンヘッド(510)から前記シリンダー(500)の長手軸(514)に沿って延在するロッド(512)を有する、第1のピストン(508)であって、前記ロッド(512)が前記シャーシ(202)と連結するように構成され、前記ピストンヘッド(510)が前記第1の区画(504)を第1のチャンバ(518)と第2のチャンバ(520)に分割する、第1のピストン(508)、並びに(iv)前記第2の区画(506)内に摺動可能に受け入れられ、且つ対応するピストンヘッド(524)及び前記対応するピストンヘッド(524)から前記シリンダー(500)の前記長手軸(514)に沿って延在する対応するロッド(526)を有する、第2のピストン(522)であって、前記対応するロッド(526)が前記少なくとも1つの車軸(208)と連結するように構成され、前記対応するピストンヘッド(524)が前記第2の区画(506)を第3のチャンバ(530)と第4のチャンバ(532)に分割する、第2のピストン(522)を備える、液圧アクチュエータ(218)、並びに
方向制御弁(630)であって、(i)加圧流体源(602)と流体連結するように構成された第1のインレットポート(P1)、(ii)前記加圧流体源(602)と流体連結するように構成された第2のインレットポート(P2)、(iii)タンク(606)と流体連結するように構成された第1のタンクポート(T1)、(iv)前記タンク(606)と流体連結するように構成された第2のタンクポート(T2)、(v)前記第1のチャンバ(518)と流体連結するように構成された第1のワークポート(A)、(vi)前記第2のチャンバ(520)と流体連結するように構成された第2のワークポート(B)、(vii)前記第3のチャンバ(530)と流体連結するように構成された第3のワークポート(C)、及び(viii)前記第4のチャンバ(532)と流体連結するように構成された第4のワークポート(D)を備える、方向制御弁(630)を備える、航空機(100)。
【請求項2】
前記方向制御弁(630)が、第1のパイロットポート(652)及び第2のパイロットポート(664)を更に備え、前記航空機(100)が、
前記第1のパイロットポート(652)に流体連結され且つ前記加圧流体源(602)から加圧流体を受け取るように構成された第1のパイロット弁(636)であって、作動時に、前記第1のパイロットポート(652)に加圧流体を供給して、前記方向制御弁(630)を作動させ、前記第1のピストン(508)と前記第2のピストン(522)のうちの少なくとも一方を移動させて、前記少なくとも1つの車軸(208)を第1の回転方向に回転させ、前記航空機(100)を対応する方向に操縦する、第1のパイロット弁(636)、及び
前記第2のパイロットポート(664)に流体連結され且つ前記加圧流体源(602)から加圧流体を受け取るように構成された第2のパイロット弁(638)であって、作動時に、前記第2のパイロットポート(664)に加圧流体を供給して、前記方向制御弁(630)を作動させ、前記第1のピストン(508)と前記第2のピストン(522)のうちの少なくとも一方を移動させて、前記少なくとも1つの車軸(208)を第2の回転方向に回転させ、前記航空機(100)をその対応する方向に操縦する、第2のパイロット弁(638)を更に備える、請求項1に記載の航空機(100)。
【請求項3】
前記加圧流体源(602)と流体連結するように構成されたパイロットイネーブル弁(634)であって、
作動時に、前記加圧流体源(602)から前記第1のパイロット弁(636)及び前記第2のパイロット弁(638)に加圧流体を供給し、
非作動時に、前記第1のパイロット弁(636)及び前記第2のパイロット弁(638)に対して加圧流体をブロックして、前記航空機(100)の操縦をディスエーブルするように構成された、パイロットイネーブル弁(634)を更に備える、請求項2に記載の航空機(100)。
【請求項4】
前記方向制御弁(630)の前記第1のインレットポート(P1)及び前記第2のインレットポート(P2)に流体連結され且つ前記加圧流体源(602)と流体連結するように構成された遮断弁(612)を更に備え、
前記遮断弁(612)が、通常開であり、非作動時に前記航空機(100)の操縦を可能とすべく前記第1のインレットポート(P1)及び前記第2のインレットポート(P2)に加圧流体を供給するように構成されており、
前記遮断弁(612)が作動しているときに、前記遮断弁(612)が、前記航空機(100)の操縦をディスエーブルするために、加圧流体が前記第1のインレットポート(P1)及び前記第2のインレットポート(P2)に流れることをブロックするように構成されている、請求項1に記載の航空機(100)。
【請求項5】
前記タンク(606)を前記液圧アクチュエータ(218)の前記第3のチャンバ(530)と流体連結するように構成された第1の再循環逆止め弁(690)、及び
前記タンク(606)を前記液圧アクチュエータ(218)の前記第2のチャンバ(520)と流体連結するように構成された第2の再循環逆止め弁(692)を更に備える、請求項1に記載の航空機(100)。
【請求項6】
(i)前記第1のワークポート(A)と前記第1のチャンバ(518)との間に配置された第1のオリフィス(676)、(ii)前記第2のワークポート(B)と前記第2のチャンバ(520)との間に配置された第2のオリフィス(677)、(iii)前記第3のワークポート(C)と前記第3のチャンバ(530)との間に配置された第3のオリフィス(678)、及び(iv)前記第4のワークポート(D)と前記第4のチャンバ(532)との間に配置された第4のオリフィス(679)のうちの少なくとも1つを更に備え、前記第1のオリフィス(676)、前記第2のオリフィス(677)、前記第3のオリフィス(678)、及び前記第4のオリフィス(679)が、それらを通る流体の流量を制限して、前記第1のピストン(508)及び前記第2のピストン(522)の動きを減衰させるように構成されている、請求項1に記載の航空機(100)。
【請求項7】
前記加圧流体源(602)と前記方向制御弁(630)との間に配置された少なくとも1つの逆止め弁(610)を更に備え、前記少なくとも1つの逆止め弁(610)が、前記加圧流体源(602)から前記方向制御弁(630)への流体の流れを可能にし、前記液圧アクチュエータ(218)から前記方向制御弁(630)を通って前記加圧流体源(602)に流体が逆流することをブロックするように構成されている、請求項1に記載の航空機(100)。
【請求項8】
航空機を操縦する方法(1100)であって、
コントローラ(620)で、前記航空機(100)を特定の方向に操縦するための要求を受け取ること(1102)を含み、
前記航空機(100)が、
(i)着陸装置(102)であって、シャーシ(202)、ジョイント(210)で前記シャーシ(202)に回転可能に連結された少なくとも1つの車軸(208)、及び前記少なくとも1つの車軸(208)のそれぞれの端部に取り付けられたそれぞれの車輪(216A、216B)を有することによって、前記ジョイント(210)の周りの前記少なくとも1つの車軸(208)の回転が、前記航空機(100)の操縦をもたらす、着陸装置(102)、(ii)シリンダー(500)、前記シリンダー(500)内に摺動可能に受け入れられ且つ前記シャーシ(202)に連結された第1のピストン(508)、及び前記シリンダー(500)内に摺動可能に受け入れられ且つ前記少なくとも1つの車軸(208)に連結された第2のピストン(522)を備えた、液圧アクチュエータ(218)、並びに、(iii)前記シリンダー(500)内の前記第1のピストン(508)及び前記第2のピストン(522)の動きを制御するように、加圧流体源(602)から前記液圧アクチュエータ(218)への流体の流れ及び前記液圧アクチュエータ(218)からタンク(606)への流体の流れを制御するように構成された方向制御弁(630)を備え、
前記方法(1100)が、
前記要求を受け取ったことに応答して、前記方向制御弁(630)を作動させ、前記液圧アクチュエータ(218)に加圧流体を供給し、それによって、前記第1のピストン(508)と前記第2のピストン(522)のうちの少なくとも一方を動かして、前記ジョイント(210)の周りで前記少なくとも1つの車軸(208)を回転させ、前記航空機(100)を前記特定の方向へ操縦するように、前記方向制御弁(630)の第1のパイロットポート(652)又は前記方向制御弁(630)の第2のパイロットポート(664)に加圧流体を供給するために、第1のパイロット弁(636)又は第2のパイロット弁(638)の何れかを作動させる信号を、前記コントローラ(620)によって送信すること(1104)を更に含む、方法(1100)。
【請求項9】
前記信号が第1の信号であり、前記方法(1100)が、
前記加圧流体源(602)から前記第1のパイロット弁(636)及び前記第2のパイロット弁(638)へ加圧流体を供給することを可能にし、前記方向制御弁(630)の作動を可能にするための第2の信号を、パイロットイネーブル弁(634)に送信すること(1106)を更に含む、請求項8に記載の方法(1100)。
【請求項10】
前記航空機(100)が、前記方向制御弁(630)に流体連結され且つ前記加圧流体源(602)と流体連結するように構成された遮断弁(612)を更に備え、前記遮断弁(612)が、通常開であり、非作動時に前記航空機(100)の操縦を可能とすべく前記方向制御弁(630)に加圧流体を供給するように構成されており、前記遮断弁(612)が作動しているときに、前記遮断弁(612)が、前記航空機(100)の操縦をディスエーブルするために、加圧流体が前記方向制御弁(630)に流れることをブロックするように構成されており、前記遮断弁(612)が、前記遮断弁(612)が作動しているかどうかを示すセンサ情報を提供するように構成された位置センサ(618)を備え、
前記方法(1100)が、
前記遮断弁(612)の前記位置センサ(618)から、前記遮断弁(612)が作動していないことを示すセンサ情報を受け取ること(1108)を更に含み、前記第1のパイロット弁(636)又は前記第2のパイロット弁(638)の何れかを作動させる信号を送信すること(1104)が、前記遮断弁(612)が作動していないことを示す前記センサ情報を受け取ったことに応答して行われる、請求項8に記載の方法(1100)。
【請求項11】
液圧アクチュエータ(218)であって、(i)シリンダー(500)、(ii)前記シリンダー(500)内に配置され且つ前記シリンダー(500)を第1の区画(504)と第2の区画(506)に分割するように構成された仕切り(502)、(iii)前記第1の区画(504)内に摺動可能に受け入れられ、且つピストンヘッド(510)及び前記ピストンヘッド(510)から前記シリンダー(500)の長手軸(514)に沿って延在するロッド(512)を有する、第1のピストン(508)であって、前記ロッド(512)が航空機(
100)の着陸装置(102)のシャーシ(202)と連結するように構成され、前記ピストンヘッド(510)が前記第1の区画(504)を第1のチャンバ(518)と第2のチャンバ(520)に分割する、第1のピストン(508)、並びに(iv)前記第2の区画(506)内に摺動可能に受け入れられ、且つ対応するピストンヘッド(524)及び前記対応するピストンヘッド(524)から前記シリンダー(500)の前記長手軸(514)に沿って延在する対応するロッド(526)を有する、第2のピストン(522)であって、前記対応するロッド(526)が前記航空機(100)の前記着陸装置(102)の車軸(208)と連結するように構成され、前記対応するピストンヘッド(524)が前記第2の区画(506)を第3のチャンバ(530)と第4のチャンバ(532)に分割する、第2のピストン(522)を備える、液圧アクチュエータ(218)、並びに
方向制御弁(630)であって、(i)加圧流体源(602)と流体連結するように構成された第1のインレットポート(P1)、(ii)前記加圧流体源(602)と流体連結するように構成された第2のインレットポート(P2)、(iii)タンク(606)と流体連結するように構成された第1のタンクポート(T1)、(iv)前記タンク(606)と流体連結するように構成された第2のタンクポート(T2)、(v)前記第1のチャンバ(518)と流体連結するように構成された第1のワークポート(A)、(vi)前記第2のチャンバ(520)と流体連結するように構成された第2のワークポート(B)、(vii)前記第3のチャンバ(530)と流体連結するように構成された第3のワークポート(C)、及び(viii)前記第4のチャンバ(532)と流体連結するように構成された第4のワークポート(D)を備える、方向制御弁(630)を備える、液圧システム(600)。
【請求項12】
前記方向制御弁(630)が、第1のパイロットポート(652)及び第2のパイロットポート(664)を更に備え、前記液圧システム(600)が、
前記第1のパイロットポート(652)に流体連結され且つ前記加圧流体源(602)から加圧流体を受け取るように構成された第1のパイロット弁(636)であって、作動時に、加圧流体を前記第1のパイロットポート(652)に供給して、前記方向制御弁(630)を第1の状態で動作するように作動させる、第1のパイロット弁(636)、及び
前記第2のパイロットポート(664)に流体連結され且つ前記加圧流体源(602)から加圧流体を受け取るように構成された第2のパイロット弁(638)であって、作動時に、加圧流体を前記第2のパイロットポート(664)に供給して、前記方向制御弁(630)を第2の状態で動作するように作動させる、第2のパイロット弁(638)を更に備える、請求項11に記載の液圧システム(600)。
【請求項13】
前記加圧流体源(602)と流体連結するように構成されたパイロットイネーブル弁(634)であって、
作動時に、前記加圧流体源(602)から前記第1のパイロット弁(636)及び前記第2のパイロット弁(638)に加圧流体を供給し、
非作動時に、前記第1のパイロット弁(636)及び前記第2のパイロット弁(638)に対して加圧流体をブロックするように構成された、パイロットイネーブル弁(634)を更に備える、請求項12に記載の液圧システム(600)。
【請求項14】
前記方向制御弁(630)の前記第1のインレットポート(P1)及び前記第2のインレットポート(P2)に流体連結され且つ前記加圧流体源(602)と流体連結するように構成された遮断弁(612)を更に備え、
前記遮断弁(612)が、通常開であり、非作動時に前記第1のインレットポート(P1)及び前記第2のインレットポート(P2)に加圧流体を供給するように構成されており、
前記遮断弁(612)が作動しているときに、前記遮断弁(612)が、加圧流体が前記第1のインレットポート(P1)及び前記第2のインレットポート(P2)に流れることをブロックするように構成されている、請求項11に記載の液圧システム(600)。
【請求項15】
前記遮断弁(612)が、前記遮断弁(612)に連結されたレバー(616)を介して手動で作動される、請求項14に記載の液圧システム(600)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広くは、航空機用の操縦システムに関する。更なる実施例では、改善された異常振動(shimmy)防止を伴う航空機着陸装置操縦システム用の方法及びシステムが提供される。
【背景技術】
【0002】
航空機着陸装置は、通常、航空機の主たる構造部材に取り付けられており、着陸及び地上動作中に航空機の重量を支持する。着陸装置の種類は、航空機の設計及び航空機の意図された用途に応じる。多くの着陸装置は、航空機の滑走路などの硬い表面との間の相対的な動作を容易にするために車輪を有する。利用される着陸装置の種類に関わらず、衝撃吸収装備、ブレーキ、後退機構、操縦機構及びアクチュエータ、制御部、警報デバイス、カウリング、フェアリング、並びに着陸装置を航空機に取り付けるように構成された構造部材は、着陸装置システムの部分であると考えられる。
【0003】
着陸装置の3つの基本的な構成が使用されている。すなわち、(従来の装置としても知られる)テール車輪タイプ着陸装置、タンデム着陸装置、及び三輪車タイプ着陸装置である。通常、主たる着陸装置及びノーズ着陸装置を含む三輪車タイプ着陸装置が使用される。
【0004】
三輪車タイプ着陸装置を有する一部の少数の航空機では、ノーズ着陸装置は制御不能である。タクシング中に操縦は差動ブレーキを用いて実現されるので、ノーズ着陸装置はむしろキャスターである。しかし、操縦可能なノーズ着陸装置を有する航空機もある。更に、一部の重い航空機では、操縦可能な主たる着陸装置を有することも望ましいだろう。既存の操縦システムは、高価であり、複雑な機械的構成を含み得る。更に、着陸装置は、数百回を超える飛行で離陸及び着陸中に動作し得ることが期待されるが、そのとき、特定の条件下で突然の異常振動を示す場合がある。航空機の着陸装置の異常振動は、着陸装置の設計において今も続いている課題である。
【0005】
航空機を操縦することが、ノーズ着陸装置、主たる着陸装置、又はそれらの両方の何れを使用して実現されるとしても、既存の操縦システムより単純で安価な且つ着陸装置内の振動を取り除くことができる、操縦システムを有することが望ましいだろう。これらの観点および他の考慮事項から、本明細書の開示が提示される。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、改善された異常振動防止を伴う航空機着陸装置操縦システムに関する実施例を説明する。
【0007】
一態様では、本開示が液圧システムを説明する。液圧システムは、以下のものを含む液圧アクチュエータを含む。すなわち、(i)シリンダー、(ii)シリンダー内に配置され且つシリンダーを第1の区画と第2の区画に分割するように構成された仕切り、(iii)第1の区画内に摺動可能に受け入れられ、且つピストンヘッド及びピストンヘッドからシリンダーの長手軸に沿って延在するロッドを有する、第1のピストンであって、ロッドが航空機の着陸装置のシャーシと連結するように構成され、ピストンヘッドが第1の区画を第1のチャンバと第2のチャンバに分割する、第1のピストン、並びに(iv)第2の区画内に摺動可能に受け入れられ、且つ対応するピストンヘッド及び対応するピストンヘッドからシリンダーの長手軸に沿って延在する対応するロッドを有する、第2のピストンであって、対応するロッドが航空機の着陸装置の車軸と連結するように構成され、対応するピストンヘッドが第2の区画を第3のチャンバと第4のチャンバに分割する、第2のピストンである。液圧システムは、以下のものを含む方向制御弁も含む。すなわち、(i)加圧流体源と流体連結するように構成された第1のインレットポート、(ii)加圧流体源と流体連結するように構成された第2のインレットポート、(iii)タンクと流体連結するように構成された第1のタンクポート、(iv)タンクと流体連結するように構成された第2のタンクポート、(v)第1のチャンバと流体連結するように構成された第1のワークポート、(vi)第2のチャンバと流体連結するように構成された第2のワークポート、(vii)第3のチャンバと流体連結するように構成された第3のワークポート、及び(viii)第4のチャンバと流体連結するように構成された第4のワークポートである。
【0008】
別の一態様では、本開示が航空機を説明する。航空機は、着陸装置であって、(i)シャーシ、(ii)ジョイントでシャーシに回転可能に連結された少なくとも1つの車軸、及び(iii)少なくとも1つの車軸のそれぞれの端部に取り付けられたそれぞれの車輪を有することによって、ジョイントの周りでの少なくとも1つの車軸の回転が航空機の操縦をもたらす、着陸装置を含む。航空機は、以下のものを含む液圧アクチュエータも含む。すなわち、(i)シリンダー、(ii)シリンダー内に配置され且つシリンダーを第1の区画と第2の区画に分割するように構成された仕切り、(iii)第1の区画内に摺動可能に受け入れられ、且つピストンヘッド及びピストンヘッドからシリンダーの長手軸に沿って延在するロッドを有する、第1のピストンであって、ロッドがシャーシと連結するように構成され、ピストンヘッドが第1の区画を第1のチャンバと第2のチャンバに分割する、第1のピストン、並びに(iv)第2の区画内に摺動可能に受け入れられ、且つ対応するピストンヘッド及び対応するピストンヘッドからシリンダーの長手軸に沿って延在する対応するロッドを有する、第2のピストンであって、対応するロッドが少なくとも1つの車軸と連結するように構成され、対応するピストンヘッドが第2の区画を第3のチャンバと第4のチャンバに分割する、第2のピストンである。航空機は、以下のものを含む方向制御弁を更に含む。すなわち、(i)加圧流体源と流体連結するように構成された第1のインレットポート、(ii)加圧流体源と流体連結するように構成された第2のインレットポート、(iii)タンクと流体連結するように構成された第1のタンクポート、(iv)タンクと流体連結するように構成された第2のタンクポート、(v)第1のチャンバと流体連結するように構成された第1のワークポート、(vi)第2のチャンバと流体連結するように構成された第2のワークポート、(vii)第3のチャンバと流体連結するように構成された第3のワークポート、及び(viii)第4のチャンバと流体連結するように構成された第4のワークポートである。
【0009】
別の一態様では、本開示が航空機を操縦する方法を説明する。該方法は、コントローラで、航空機を特定の方向に操縦するための要求を受け取る。航空機は、以下のものを含む。すなわち、着陸装置であって、(i)シャーシ、ジョイントでシャーシに回転可能に連結された少なくとも1つの車軸、及び少なくとも1つの車軸のそれぞれの端部に取り付けられたそれぞれの車輪を有することによって、ジョイントの周りでの少なくとも1つの車軸の回転が航空機の操縦をもたらす、着陸装置、(ii)シリンダー、シリンダー内に摺動可能に受け入れられ且つシャーシに連結された第1のピストン、及びシリンダー内に摺動可能に受け入れられ且つ少なくとも1つの車軸に連結された第2のピストン、並びに(iii)シリンダー内の第1のピストンと第2のピストンの動きを制御するように、加圧流体源から液圧アクチュエータへの流体の流れ及び液圧アクチュエータからタンクへの流体の流れを制御するように構成された、方向制御弁である。該方法は、要求を受け取ったことに応答して、方向制御弁を作動させ、液圧アクチュエータに加圧流体を供給し、それによって、第1のピストンと第2のピストンのうちの少なくとも一方を動かして、ジョイントの周りで少なくとも1つの車軸を回転させ、航空機を特定の方向に操縦するように、方向制御弁の第1のパイロットポート又は方向制御弁の第2のパイロットポートに加圧流体を供給するために、第1のパイロット弁又は第2のパイロット弁の何れかを作動させる信号を、コントローラによって送信することも含む。
【0010】
これまでの概要は、例示目的のみであって、任意のやり方での限定を意図していない。上記された例示の態様、実施例、及び特徴に加えて、更なる態様、実施例、及び特徴が、図面及び後続の詳細な説明を参照することによって明らかになるであろう。
【0011】
例示的な実施例の特徴と考えられる新規の特性は、添付の特許請求の範囲に明記される。しかし、例示的な実施例、並びに好ましい使用モード、更なる目的、及びそれらの説明は、添付図面を参照して、本開示の例示的な実施例についての以下の詳細な説明を読むことにより、最もよく理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】例示的な一実施態様による、第1の着陸装置と第2の着陸装置を有する航空機を示す。
【
図2】例示的な一実施態様による、着陸装置の上面図を示す。
【
図3】例示的な一実施態様による、着陸装置の左折構成を示す。
【
図4】例示的な一実施態様による、着陸装置の右折構成を示す。
【
図5】例示的な一実施態様による、液圧アクチュエータを示す。
【
図6】例示的な一実施態様による、液圧アクチュエータを制御するための液圧システムを示す。
【
図7】例示的な一実施態様による、方向制御弁の概略的な表現を示す。
【
図8】例示的な一実施態様による、右折用に構成された液圧システムを示す。
【
図9】例示的な一実施態様による、左折用に構成された液圧システムを示す。
【
図10】例示的な一実施態様による、取り付けられた液圧アクチュエータ及び弁用マニホールドのアセンブリを示す。
【
図11】例示的な一実施態様による、航空機を操縦するための方法のフローチャートである。
【
図12】例示的な一実施態様による、
図11の方法と共に実行及び実施され得る更なる動作のフローチャートである。
【
図13】例示的な一実施態様による、
図11の方法と共に実行及び実施され得る更なる動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下で提供される説明は、(例示のみを目的として)三輪車タイプ着陸装置構成及び主たる着陸装置用の操縦システムを有する航空機を使用する。しかし、その説明は、他の着陸装置構成及び操縦システムに適用可能であり、任意の種類の航空機(発射輸送体、宇宙探査機の着陸船など)の任意の他の着陸装置に適用可能である。
【0014】
三輪車タイプ着陸装置構成の主たる着陸装置は、補強された翼構造又は胴体構造に取り付けることができる。主たる着陸装置の車輪の数及び位置は、航空機の種類及び主たる着陸装置が搬送することを期待される荷重に基づいて変動し得る。主たる着陸装置は、2つ以上の車輪を有し得る。複数の車輪は、航空機の重量をより大きい面積にわたり広げる。それらは、1つのタイヤが故障した場合の安全マージンも提供する。
【0015】
重い航空機は、主たる着陸装置ごとに4つ以上の車輪アセンブリを使用する場合がある。実施例では、そのような航空機が、航空機の下に配置され且つ翼又は胴体構造に連結された着陸装置(例えば、車輪付き構造体)を有することができる。着陸装置は、1以上の車輪セットを搬送するシャーシ又はフレームに取り付けられた車輪を含むことができる。シャーシは、ボギーとも称されることがあり、車輪と車軸のモジュール式サブアセンブリとして構成され得る。ボギー内に含まれる車輪の数は、航空機の総設計重量及びその上に荷物を積んだ航空機が着陸すると予期される表面の種類に基づき得る。
【0016】
図1は、例示的な一実施態様による、第1の着陸装置102と第2の着陸装置104を有する航空機100を示している。航空機100は、図示されていないノーズ着陸装置も有することができる。
【0017】
第1の着陸装置102は、航空機100の右翼106に取り付けられ、第2の着陸装置104は、航空機100の左翼108に取り付けられている。各着陸装置102、104は、6つの車輪を有するように示されている。
図1で描かれている構成は、例示のためだけの一実施例である。航空機は、種々の構成において配置されるより多くの着陸装置を有することができる。例えば、更なる着陸装置構造体を、航空機100の胴体110に取り付けることができる。また、着陸装置は、
図1で示されているより多い又は少ない車輪を有することができる。
【0018】
図2は、例示的な一実施態様による、着陸装置102の上面図を示している。航空機100及び着陸装置102の前向き方向は、
図2において矢印200によって示され、「FWD」という符号が付けられている。
【0019】
着陸装置102は、3つの車軸を有するように構成されたシャーシ202を含む。すなわち、前方車軸204、中間車軸206、及び後方又は後部車軸208である。前方車軸204及び中間車軸206は、シャーシ202に堅く連結されているが、一方、後部車軸208は、スイベル又はジョイント210を介してシャーシ202に回転可能に連結されている。特に、後部車軸208は、以下で説明されるように、航空機100を操縦するためにジョイント210の周りで旋回するように構成されている。
【0020】
2つのそれぞれの車輪が、車軸204、206、208のそれぞれの端部に取り付けられている。例えば、車輪212A、212Bは、前方車軸204に取り付けられており、車輪214A、214Bは、中間車軸206に取り付けられており、車輪216A、216Bは、後部車軸208に取り付けられている。車軸204、206、208に取り付けられた車輪212A‐216Bは、空港の滑走路などの硬い表面上での航空機100の動作を容易にする。
【0021】
図2で描かれているように、着陸装置102は、後部車軸208をシャーシ202に連結する液圧アクチュエータ218を含む。以下で説明されるように、液圧アクチュエータ218は、シリンダー内に摺動可能に受け入れられる2つのピストンを有するように構成されている。ピストンのうちの一方は、後部車軸208に沿ってジョイント210に対してずれている即ちジョイント210からオフセットされたピボット222で後部車軸208に連結されている。
図2で示されている位置では、液圧アクチュエータ218のピストンが、後部車軸208を
図2で示されている回転しない位置にロックし即ち中央に置き、航空機100が曲がることなしに直線的に移動することを可能にする。ピストンの動き(例えば、シリンダー内でのピストンの後退及び延伸)は、後部車軸208がジョイント210の周りで回転すること、それによって、航空機100を操縦することをもたらすことができる。
【0022】
特に、着陸装置102は、ピボット223でシャーシ202と連結するように構成されたリンク221を含む。別の1つのリンク220(例えば、固定されたリンク)も、後部車軸208をリンク221に連結している。液圧アクチュエータ218のピストンが移動する際に、リンク221がピボット223の周りで旋回し、したがって、リンク220上に力を加え、次いでその力が後部車軸208上に力を加える。この構成では、液圧アクチュエータ218、リンク221、及びリンク220が協働して、後部車軸208上にモーメントを加えて、後部車軸208をジョイント210の周りで旋回させ、それによって、航空機100を操縦する。
【0023】
図3は、例示的な一実施態様による、着陸装置102の左折構成を示している。
図3で示されているように、後部車軸208に連結された液圧アクチュエータ218のピストンが延伸したときに、後部車軸208がジョイント210の周りで第1の回転方向(例えば、時計回り)に回転し、車輪216A、216Bを右向きに回転させる。結果として、航空機100は、対応する方向に操縦され、例えば、航空機100は前方へ移動する際に左折する。
【0024】
図4は、例示的な一実施態様による、着陸装置102の右折構成を示している。
図4で示されているように、シャーシ202に連結された液圧アクチュエータ218のピストンと後部車軸208に連結されたピストンとが後退したときに、後部車軸208がジョイント210の周りで第2の回転方向(例えば、反時計回り)に回転し、車輪216A、216Bを左向きに回転させる。結果として、航空機100は、対応する方向に操縦され、例えば、航空機100は前方へ移動する際に右折する。
【0025】
着陸装置104は、着陸装置102と同様に構成されてよく、同様に動作するように構成され得る。
【0026】
図5は、例示的な一実施態様による、液圧アクチュエータ218を示している。液圧アクチュエータ218は、シリンダー500を含み、シリンダー500の内側は、仕切り502を介して第1の区画504と第2の区画506に分割されている。シリンダー500は、液圧アクチュエータ218のバレル、本体、又はハウジングとも称され得る。
【0027】
液圧アクチュエータ218は、シリンダー500の第1の区画504内に摺動可能に受け入れられる第1のピストン508を含む。第1のピストン508は、ピストンヘッド510及びピストンヘッド510からシリンダー500の中央長手軸514に沿って延在するロッド512を含む。
図2‐
図4で示されているように、ロッド512は、ロッド512の先端に配置され且つ着陸装置102のシャーシ202と連結するように構成されたクレビス(clevis)516を有する。ピストンヘッド510は、シリンダー500の第1の区画504を、第1のチャンバ518と第2のチャンバ520に分割する。
【0028】
液圧アクチュエータ218は、シリンダー500の第2の区画506内に摺動可能に受け入れられる第2のピストン522も含む。シリンダー500は、第1のピストン508と第2のピストン522との間で浮いており、したがって、中央長手軸514に沿って長手方向に自由に移動することができる。
【0029】
第2のピストン522は、対応するピストンヘッド524及びピストンヘッド524からシリンダー500の中央長手軸514に沿って延在する対応するロッド526を含む。ロッド526は、ロッド526の先端528に配置され且つ(
図2‐
図4で示されているように)ピボット222で着陸装置102の後部車軸208と連結するように構成されたクレビス(図示せず)又は同様な種類の連結具を有することができる。ピストンヘッド524は、シリンダー500の第2の区画506を、第3のチャンバ530と第4のチャンバ532に分割する。
【0030】
仕切り502は、ピストン508及び522用の止め具として構成されている。更に、仕切り502は、第2の区画506から第1の区画504を密封し、第1の区画504から第2の区画を密封するように構成されている。特に、仕切り502は、第2のチャンバ520と第4のチャンバ532との間の加圧流体の連通を制限する。
【0031】
液圧アクチュエータ218は、第1の位置センサ534と第1のインジケータ535を更に含むことができる。一実施例では、第1の位置センサ534が固定される一方で、第1のインジケータ535は、第1のピストン508に連結されそれと共に移動することができる。第1の位置センサ534と第1のインジケータ535は協働して、第1のピストン508の位置をコントローラに示すために、センサ情報をコントローラに提供する。特に、第1のインジケータ535は、第1の位置センサ534から閾値距離内に位置決めされたときに、第1の位置センサ534が、第1のインジケータ535の存在を検出し、したがって、第1のピストン508が完全に延伸したことを検出する、目標(例えば、磁石)として動作する。言い換えると、第1のピストン508が延伸し、第1のインジケータ535が、第1の位置センサ534に接近し、第1の位置センサ534から閾値距離内に入った際に、第1の位置センサ534は、第1のピストン508が完全に延伸したことを検出する。
【0032】
同様に、液圧アクチュエータ218は、第2の位置センサ536と第2のインジケータ537を含むことができる。一実施例では、第2の位置センサ536が固定される一方で、第2のインジケータ537は、第2のピストン522に連結されそれと共に移動することができる。第2のピストンセンサ536と第2のインジケータ537は協働して、第2のピストン522の位置をコントローラに示すために、センサ情報をコントローラに提供する。特に、第2のインジケータ537は、第2の位置センサ536から閾値距離内に位置決めされたときに、第2の位置センサ536が、第2のインジケータ537の存在を検出し、したがって、第2のピストン522が完全に後退したことを検出する、目標(例えば、磁石)として動作する。言い換えると、第2のピストン522が延伸し、第2のインジケータ537が、第2の位置センサ536に接近し、第2の位置センサ536から閾値距離内に入った際に、第2のセンサ536は、第2のピストン522が完全に後退したことを検出する。
【0033】
一実施例では、位置センサ534、536が、それぞれのピストン508、522の位置を測定し、シリンダー500内のそれぞれのピストン508、522の位置に比例した信号をコントローラに提供するように構成され得る。別の一実施例では、位置センサ534、536が、位置スイッチとして構成され得る。この実施例では、第1のピストン508が、そのストロークの終わりまで完全に(例えば、
図5における右まで)延伸したときに、第1の位置センサ534は、第1のインジケータ535を検出し、そのような検出を示す情報をコントローラに提供する。次いで、コントローラは、第1のピストン508がそのストロークの終わりに到達したと判断する。同様に、第2のピストン522が、完全に(例えば、
図5における右まで)後退したときに、第2の位置センサ536は、第2のインジケータ537を検出し、そのような検出を示す情報をコントローラに提供する。次いで、コントローラは、第2のピストン522が完全に後退したと判断する。
【0034】
図6は、例示的な一実施態様による、液圧アクチュエータ218を制御するための液圧システム600を示す。例えば、液圧システム600は、航空機100の他のアクチュエータ及び操縦翼面を制御するように構成された航空機100の液圧システム内に含まれ、又はそのような液圧システムに流体連結することができる。
【0035】
液圧システム600は、加圧流体を供給ライン604に供給するように構成された加圧流体源602を含む。例えば、加圧流体源602は、タンク606から流体を受け取り、流体を加圧し、次いで加圧流体を供給ライン604に供給するように構成されたポンプであってよい。例として、そのようなポンプは、固定容積型ポンプ、可変容積型ポンプ、又は負荷検出可変容積型ポンプであってよい。安全弁(例えば、図示されていない電気液圧式圧力安全弁)が加圧流体源602に連結されて、加圧流体源602によって液圧システム600の残りの部分に供給される流体の特定の圧力レベルを設定することができる。更に又は代替的に、加圧流体源602は、蓄圧タンクであってよい。更に、加圧流体源602は、航空機100の他のアクチュエータ及び構成要素に加圧流体を供給するようにも構成され得る。加圧流体源602は、航空機100の液圧システム内の別の構成要素であってもよく、そのような構成要素を出て行く流体が、液圧システム600に供給される。源602は、高圧レベル、例えば、平方インチ当たり5000‐6000ポンド(psi)まで加圧された流体を供給するように構成されている。
【0036】
液圧システム600は、特定のサイズより大きい流体汚染物が、フィルタ608の下流の構成要素に流れることを制限するように構成されたフィルタ608を含む。このやり方で、フィルタ608は、汚染物が小さいオリフィス又は開口部内に堆積することを防止することができる。そのようなことが生じると、液圧システム600の性能に影響を与える可能性がある(例えば、汚染物は逆止め弁の台座に堆積する場合があり、それによって、逆止め弁の可動要素が着座時に流体を密封することを妨げる)。
【0037】
液圧システム600は、フィルタ608の下流に配置された逆止め弁610を含む。逆止め弁610は、フィルタ608を出て行く流体が下流の液圧システム600の他の構成要素に流れることを可能にし、流体が逆流することをブロック(例えば、流体が源602に逆流することをブロック)するように構成されている。「ブロックする」という用語は、本開示において、実質的な流体の流れを制限することを示すために使用されるが、幾らかの流体の漏れは許容され得ることが理解されるべきである。
【0038】
液圧システム600は、逆止め弁610の下流に配置された遮断弁612も含む。遮断弁612は、2方向2位置の機械式又は手動の作動弁として構成され得る。例えば、遮断弁612は、弁本体のボア内で可動なポペット又はスプールを有することができ、スプールは、バネ614を介して開位置にバネ付勢され得る。したがって、遮断弁612は、通常開いている。開位置は、流体が逆止め弁610から遮断弁612を通って遮断弁612の下流の構成要素に流れることを可能にする。
【0039】
レバー616(又はノブなどの同様な手動の作動要素)が、スプールに連結され得る。それによって、レバー616は、オペレータによって作動された(例えば、押された又は引かれた)ときに、スプールを、流体が遮断弁612を通って流れることをブロックし又は遮断する閉位置へ移動させる。この構成では、遮断弁612が、液圧システム600を手動でディスエーブルするために使用され得る。例えば、整備員が液圧システム600に対して整備手順を実行している場合、オペレータは、源602からの流体の流れを遮断し、それによって、液圧システム600をディスエーブルするために、レバー616を手動で作動させることができる。
【0040】
位置スイッチ又は位置センサ618が、遮断弁612のスプール又はレバー616に連結され得る。位置センサ618は、レバー616が作動しているか否かを示すセンサ情報を、液圧システム600のコントローラ620に提供することができる。センサ情報が、レバー616が作動しているとコントローラ620に示す場合、コントローラ620は、整備が実行されており、操縦動作が利用可能でなく、液圧システム600がディスエーブルされていることを乗務員に知らせる表示(例えば、操縦室のディスプレイ上のメッセージ)を、航空機100の乗務員に提供することができる。レバー616が作動していない位置に戻された場合、遮断弁612は、その開位置に戻され、コントローラ620は、液圧システム600がイネーブルされたと判断することができ、整備が完了し、操縦動作が利用可能であることを乗務員に知らせるメッセージを乗務員に提供することができる。
【0041】
コントローラ620は、1以上のプロセッサ又はマイクロプロセッサを含むことができ、データ記憶域(例えば、メモリ、一過性のコンピュータ可読媒体、非一過性のコンピュータ可読媒体など)を含むことができる。データ記憶域は、コントローラ620の1以上のプロセッサによって実行されたときに、コントローラ620に本明細書で説明される動作を実行させる、指示命令を記憶することができる。コントローラ620への及びコントローラ620からの信号ラインは、
図6において破線で描かれている。以下で説明されるように、コントローラ620は、液圧システム600内の様々なセンサから信号を介してセンサ情報を受信し、液圧システム600内の電気的に作動される弁を作動させるために、様々なソレノイドに電気信号を提供することができる。
【0042】
遮断弁612がその開位置ある(例えば、レバー616が作動していない)場合、遮断弁612を通って流れる流体は、流体が液圧ライン624と液圧ライン626を通って流れるように枝分かれすることができる接合ポイント622に到達する。液圧ライン624を通って流れる流体は、液圧ライン624を通って流れる流体が、方向制御弁630へ下流に流れることを可能にするように構成された逆止め弁628を通って流れる一方で、逆止め弁628は、流体の逆流をブロックし、例えば、流体が方向制御弁630から液圧ライン624に逆流することをブロックする。
図7に関連して以下で説明されるように、方向制御弁630は、液圧アクチュエータ218への及び液圧アクチュエータ218からの流体の流れを制御するように構成されている。
【0043】
液圧ライン626を通って流れる流体は、パイロットイネーブル弁634のインレットポート632に供給される。パイロットイネーブル弁634は、第1のパイロット弁636及び第2のパイロット弁638に流体連結したアウトレットポート640も有し、タンク606と流体連結するように構成された排出又はタンクポート642も有する。この構成では、パイロットイネーブル弁634が、第1のパイロット弁636と第2のパイロット弁638への流体の流れを制御するように構成されている。
【0044】
図6で描かれているように、パイロットイネーブル弁634は、バネ付勢された3方向2位置弁として構成され得る。例えば、パイロットイネーブル弁634は、パイロットイネーブル弁634の可動要素(例えば、スプール又はポペット)を、アウトレットポート640がタンクポート642に流体連結する第1の位置に付勢するバネ644を有することができる。第1の位置では、加圧流体が、インレットポート632からアウトレットポート640に供給されない。
【0045】
パイロットイネーブル弁634は、ソレノイド646を介して電気的に操作され得る。コントローラ620が、ソレノイド646に作動信号を送信したときに、ソレノイド646は、バネ644に対抗してパイロットイネーブル弁634の可動要素上に力を加え、それによって、可動要素を第2の位置に移動させることができる。第2の位置では、アウトレットポート640が、インレットポート632に流体連結しており、したがって、加圧流体が、インレットポート632からアウトレットポート640に供給され、次いで、第1のパイロット弁636及び第2のパイロット弁638に供給される。
【0046】
第1のパイロット弁636と第2のパイロット弁638は、パイロットイネーブル弁634と同様に、3方向2位置弁として構成され得る。第1のパイロット弁636は、(i)パイロットイネーブル弁634のアウトレットポート640に流体連結したインレットポート648、(ii)方向制御弁630の第1のパイロットポート652に流体連結したアウトレットポート650、及び(iii)タンク606に流体連結したタンクポート654を有することができる。第1のパイロット弁636は、第1のパイロット弁636の可動要素(例えば、スプール又はポペット)を、第1の位置であって、アウトレットポート650がタンクポート654に流体連結し、加圧流体がインレットポート648からアウトレットポート650に供給されない第1の位置に付勢するバネ656も有することができる。
【0047】
第1のパイロット弁636は、ソレノイド658を介して電気的に操作され得る。コントローラ620が、ソレノイド658に作動信号を送信したときに、ソレノイド658は、バネ656に対抗して第1のパイロット弁636の可動要素上に力を加え、それによって、可動要素を第2の位置に移動させることができる。第2の位置では、アウトレットポート650が、インレットポート648に流体連結しており、したがって、加圧流体が、インレットポート648からアウトレットポート650に供給され、次いで、方向制御弁630の第1のパイロットポート652に供給される。
【0048】
同様に、第2のパイロット弁638は、(i)パイロットイネーブル弁634のアウトレットポート640に流体連結したインレットポート660、(ii)方向制御弁630の第2のパイロットポート664に流体連結したアウトレットポート662、及び(iii)タンク606に流体連結したタンクポート666を有することができる。第2のパイロット弁638は、第2のパイロット弁638の可動要素(例えば、スプール又はポペット)を、第1の位置であって、アウトレットポート662がタンクポート666に流体連結し、加圧流体がインレットポート660からアウトレットポート662に供給されない第1の位置に付勢するバネ668も有することができる。
【0049】
第2のパイロット弁638は、ソレノイド670を介して電気的に操作され得る。コントローラ620が、ソレノイド670に作動信号を送信したときに、ソレノイド670は、バネ668に対抗して第2のパイロット弁638の可動要素上に力を加え、それによって、可動要素を第2の位置に移動させることができる。第2の位置では、アウトレットポート662が、インレットポート660に流体連結しており、したがって、加圧流体が、インレットポート660からアウトレットポート662に供給され、次いで、方向制御弁630の第2のパイロットポート664に供給される。
【0050】
この構成では、パイロットイネーブル弁634が、「アーミング(arming)」弁として動作する。この弁は、ソレノイド646を介して作動するときに、加圧流体をパイロット636、638に供給して、方向制御弁630の動作を可能にし、したがって、液圧アクチュエータ218を介した着陸装置102の操縦を可能にする。パイロットイネーブル弁634が作動していないときに、加圧流体はパイロット弁636、638に供給されず、したがって、方向制御弁630及び液圧アクチュエータ218を介した着陸装置102の操縦をディスエーブルする。
【0051】
パイロットイネーブル弁634が作動しており、パイロット弁636、638のうちの一方が作動しているときに、加圧流体は第1のパイロットポート652又は第2のパイロットポート664に供給されて、方向制御弁630の作動を特定の状態にイネーブルする。
図6で概略的に描かれているように、方向制御弁630は、方向制御弁内のスプール又は可動要素の位置に基づいて、第1の状態、第2の状態、及び第3の状態のうちの1つで動作することができる。
【0052】
図7は、例示的な一実施態様による、方向制御弁630の概略的な表現を示している。方向制御弁630は、弁本体(例えば、スリーブ又はハウジング)及び弁本体内のボア内で長手方向に可動なスプールを有するように構成され得る。方向制御弁630は、第1のインレットポート「P1」及び第2のインレットポート「P2」を有することができる。インレットポートP1及びP2の両方は、逆止め弁628のアウトレットポートに流体連結し、そこから加圧流体を受け取るように構成されている。方向制御弁630は、第1のタンクポート「T1」及び第2のタンクポート「T2」も有することができる。タンクポートT1及びT2の両方は、タンク606に流体連結している。
【0053】
方向制御弁630は、4つのワークポートも有する。すなわち、液圧アクチュエータ218の第1のチャンバ518と流体連結するように構成された第1のワークポート「A」、液圧アクチュエータ218の第2のチャンバ520と流体連結するように構成された第2のワークポート「B」、液圧アクチュエータ218の第3のチャンバ530と流体連結するように構成された第3のワークポート「C」、及び液圧アクチュエータ218の第4のチャンバ532と流体連結するように構成された第4のワークポート「D」である。
【0054】
方向制御弁630のスプールは、方向制御弁630の3つの状態に対応した弁本体のボア内の3つの位置の間でシフトするように構成され得る。特に、スプールは、第1の即ち「中央」位置、第2の即ち「後退」位置、及び第3の即ち「延伸」位置の間でシフトすることができる。方向制御弁630は、スプールを中央位置内に位置決めするように、スプールに対して逆方向にそれぞれの付勢力を加えるように構成された、第1のセンタリングバネ672と第2のセンタリングバネ674を含む。パイロット流体信号が、第1のパイロット弁636から方向制御弁630の第1のパイロットポート652に提供される場合、スプールは後退位置にシフトする。一方、パイロット流体信号が、第2のパイロット弁638から方向制御弁630の第2のパイロットポート664に提供される場合、スプールは延伸位置にシフトする。
【0055】
図6に戻って参照すると、方向制御弁630は、スプールが中央位置にある状態で示されている。中央位置では、第1のインレットポートP1が、ワークポートCに流体連結している。ワークポートCは、第3のチャンバ530に流体連結している。また、中央位置では、第4のチャンバ532に流体連結しているワークポートDが、第1のタンクポートT1に流体連結している。結果として、
図6で描かれているように、第2のピストン522は後退し、第2のピストン522に対する止め具として動作する仕切り502で止まっている。第2のピストン522の後退位置では、第4のチャンバ532の容積が低減されている(例えば、第4のチャンバ532の容積は、大幅に低減され、第2のピストン522が完全に後退したときのピストンヘッド524と仕切り502との間の容積に等しい)。
【0056】
更に、中央位置では、第2のインレットポートP2が、ワークポートBに流体連結している。ワークポートBは、第2のチャンバ520に流体連結している。また、中央位置では、第1のチャンバ518に流体連結しているワークポートAが、第2のタンクポートT2に流体連結している。結果として、
図6で描かれているように、第1のピストン508は延伸し、第1のピストン508に対する止め具として動作するシリンダー500の端部で止まっている。第1のピストン508の後退位置では、第1のチャンバ518の容積が低減されている(例えば、第1のチャンバ518の容積は、大幅に低減され、第1のピストン508が完全に延伸したときのピストンヘッド510とシリンダー500の端部との間の容積に等しい)。
【0057】
第1のピストン508が完全に延伸したときに、第1の位置センサ534は、第1のインジケータ535を検出し、したがって、第1のピストン508がその完全に延伸した位置に到達したことを、コントローラ620に示すことができる。また、第2のピストン522が完全に後退したときに、第2の位置センサ536は、第2のインジケータ537を検出し、したがって、第2のピストン522がその完全に後退した位置に到達したことを、コントローラ620に示すことができる。
【0058】
液圧システムは、4つのワークポートA、B、C、及びDのうちの1つと、4つのチャンバ518、520、530、及び532のうちのそれぞれのチャンバとを連結する、液圧ラインごとに配置された4つのオリフィス676、677、678、及び679を含む。特に、第1のオリフィス676は、第1のワークポートAと第1のチャンバ518との間に配置され、第2のオリフィス677は、第2のワークポートBと第2のチャンバ520に配置され、第3のオリフィス678は、第3のワークポートCと第3のチャンバ530との間に配置され、且つ、第4のオリフィス679は、第4のワークポートDと第4のチャンバ532との間に配置されている。実施例では、液圧システム600が、4つのオリフィス676‐679のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0059】
オリフィス676‐679は、流れ制限器又はダンパーとして動作して、液圧アクチュエータ218への及び液圧アクチュエータ218からの流体の流量を制御し、ピストン508及び522の動きを減衰させることができる。このやり方で、液圧システム600は、ピストン508、522の任意のぎくしゃくした動き、及びそれに対応する着陸装置102の後部車軸208のぎくしゃくした動きを制限し又は生じないようにし、それによって、航空機100の滑らかな操縦を可能にすることができる。
【0060】
更に、液圧システム600は、第1の再循環逆止め弁690及び第2の再循環逆止め弁692を含む。第1の再循環逆止め弁690は、タンク606を第3のチャンバ530と流体連結するように構成され、第2の再循環逆止め弁692は、タンク606を第2のチャンバ520と流体連結するように構成されている。タンク606内の流体は、大気圧からわずかに高いレベルの圧力レベルに維持され得る。例えば、タンク606内の流体は、70‐100psiの圧力レベルに維持され得る。したがって、ピストン508、522の動作中に、故障が生じ、加圧流体が第2のチャンバ520及び第3のチャンバ530に供給されない場合、再循環逆止め弁690及び692は、タンク606からの流体が、第2のチャンバ520及び第3のチャンバ530を満たすことを可能にする。このやり方で、第2のチャンバ520及び第3のチャンバ530のキャビテーションを防止することができる(すなわち、第2のチャンバ520及び第3のチャンバ530内の圧力レベルは、0psi未満に減少しない)。
【0061】
図6で概略的に描かれているように、液圧システム600では、様々な液圧ラインが、様々な構成要素を連結するパイプ又はホースであり、又は液圧システム600の様々な構成要素を受け入れるように構成されたマニホールド内に穿孔された流路であってよい。更に、タンク606は、液圧システム600内の複数の場所で示されており、図面における視覚的混乱を低減させている。特に、液圧システム600は、1つの貯蔵容器又はタンクを含むことができ、タンク606に導かれている
図6で描かれている液圧ラインの全ては、そのような1つの貯蔵容器又はタンクに流体連結され得る。様々な状態における液圧システム600の動作については、次に説明される。
【0062】
図6で示されている状態は、
図2で示されている後部車軸208の位置に対応する。特に、方向制御弁630のスプールが中央位置にあるときに、第1のピストン508は完全に延伸し、一方で、第2のピストン522は完全に後退し、したがって、液圧アクチュエータ218は、後部車軸208を
図2で示されている位置にロックし即ち中央に置く。後部車軸208が中央に置かれている(すなわち、ジョイント210の周りで回転していない)ときに、航空機100は、(例えば、曲がることなしに)直線的に移動することができる。更に、コントローラ620は、例えば、離陸しても安全であることを示す表示(例えば、メッセージ)をパイロットに提供することができる。
【0063】
図8は、例示的な一実施態様による、右折用に構成された液圧システム600を示している。右折するように航空機100を操縦しようとするパイロットは、(例えば、操縦室内のペダル、ジョイスティック、又は他の操縦デバイスを介して)右折を要求する命令をコントローラ620に送ることができる。次いで、コントローラ620は、ソレノイド646及びソレノイド658に信号を送信して、それぞれ、パイロットイネーブル弁634と第1のパイロット弁636を作動させ、それによって、第1のパイロットポート652に流体を供給する。第2のパイロット弁638は作動されず、したがって、第2のパイロットポート664には加圧流体が供給されず、むしろ第2のパイロットポート664は、タンク606に通気される。結果として、方向制御弁630のスプールは、第1のパイロットポート652において、
図8で描かれている後退位置に圧力下でシフトする。
【0064】
後退位置では、スプールが中央位置内にあるときと同様に、第1のインレットポートP1が、ワークポートCに流体連結している。ワークポートCは、第3のチャンバ530に流体連結している。第4のチャンバ532に流体連結しているワークポートDは、第1のタンクポートT1に流体連結している。結果として、
図8で描かれているように、第2のピストン522は後退し、仕切り502で止まっている。
【0065】
また、後退位置では、第2のインレットポートP2が、ワークポートAに流体連結している。ワークポートAは、第1のチャンバ518に流体連結している。第2のチャンバ520に流体連結しているワークポートBは、第2のタンクポートT2に流体連結している。上述したように、シリンダー500は、第1のピストン508と第2のピストン522との間で浮いており、したがって、中央長手軸514に沿って長手方向に自由に移動することができる。結果として、
図8で描かれているように、ピストンヘッド510が仕切り502で止まるまで、第1のピストン508は後退し(又はシリンダー500が第1のピストン508に対して移動し)、仕切り502は、第1のピストン508用の止め具として動作する。したがって、第2のチャンバ520は、容積が減少し、例えば、第2のチャンバ520の容積は、大幅に低減され、第1のピストン508が完全に後退したときのピストンヘッド510と仕切り502との間の容積に等しい。
【0066】
したがって、加圧流体は、シャーシ202に連結された第1のピストン508と、後部車軸208に連結された第2のピストン522との両方を後退させる。結果として、
図4に戻って参照すると、後部車軸208は、ジョイント210の周りで反時計回りに回転し、車輪216A、216Bを左向きに回転させ、航空機100を(航空機が前方に移動する際に)右折させる。第1の位置センサ534は、第1のインジケータ535を検出しないので、第1のピストン508が完全に延伸しておらず、しかし、むしろ後退していることをコントローラ620に示すことができる。第2の位置センサ536は、第2のインジケータ537を検出するので、第2のピストン522が完全に後退した位置にあることをコントローラ620に示すことができる。
【0067】
図9は、例示的な一実施態様による、左折用に構成された液圧システム600を示している。左折するように航空機100を操縦しようとするパイロットは、(例えば、操縦室内のペダル、ジョイスティック、又は他の操縦デバイスを介して)左折を要求する命令をコントローラ620に送ることができる。それに応じて、コントローラ620は、ソレノイド646及びソレノイド670に信号を送信して、それぞれ、パイロットイネーブル弁634と第2のパイロット弁638を作動させ、それによって、第2のパイロットポート664に流体を供給する。第1のパイロット弁636は作動されず、したがって、第1のパイロットポート652には加圧流体が供給されず、むしろ第1のパイロットポート652は、タンク606に通気される。結果として、方向制御弁630のスプールは、第2のパイロットポート664において、
図9で描かれている延伸位置に圧力下でシフトする。
【0068】
延伸位置では、第1のインレットポートP1が、ワークポートDに流体連結している。ワークポートDは、第4のチャンバ532に流体連結している。第3のチャンバ530に流体連結しているワークポートCは、第1のタンクポートT1に流体連結している。結果として、
図9で描かれているように、ピストンヘッド524がシリンダー500の端部で止まるまで、第2のピストン522は延伸する。
【0069】
また、延伸位置では、スプールが中央位置にある場合と同様に、第2のインレットポートP2がワークポートBに流体連結し、ワークポートBは第2のチャンバ520に流体連結し、第1のチャンバ518に流体連結しているワークポートAは、第2のタンクポートT2に流体連結している。結果として、
図9で描かれているように、ピストンヘッド510がシリンダー500の端部で止まるまで、第1のピストン508は延伸する。
【0070】
第1の位置センサ534は、第1のインジケータ535を検出するので、第1のピストン508がそのストロークの終わりに到達したことを、コントローラ620に示すことができる。一方で、第2の位置センサ536は、第2のインジケータ537を検出しないので、第2のピストン522がその完全に後退した位置になく、しかし、むしろ延伸した位置にあることをコントローラ620に示すことができる。
【0071】
位置センサ534、536からのセンサ情報信号は、液圧システム600が期待されるように動作しているかどうかを示す。例えば、位置センサ534、536の両方が、信号を第2のパイロット弁638に提供した後で、第1のピストン508及び第2のピストン522が完全に延伸している(すなわち、第1の位置センサ534が第1のインジケータ535を検出するが、第2の位置センサ536は第2のインジケータ537を検出しない)ことを示す場合、液圧システム600が期待されるように動作している。位置センサ534、536が、コントローラ620が第2のパイロット弁638に信号を提供することなしに、第1のピストン508及び第2のピストン522が完全に延伸していることを示す場合、液圧システム600は期待されるように動作していないかもしれず、整備のための警報が生成され得る。
【0072】
したがって、加圧流体は、シャーシ202に連結された第1のピストン508と、後部車軸208に連結された第2のピストン522との両方を延伸させる。結果として、
図3に戻って参照すると、後部車軸208は、ジョイント210の周りで時計回りに回転し、車輪216A、216Bを右向きに回転させ、航空機100を(航空機が前方に移動する際に)左折させる。
【0073】
着陸装置102及び液圧システム600の構成は、異常振動に対して着陸装置102を保護することができる。異常振動は、着陸装置の構造体に望ましくない振動及び荷重をもたらし得る、着陸装置内の振動である。例えば、後部車軸208が、中立ポイント(例えば、ゼロ操縦角度又はジョイント210の周りのゼロ回転ポイント)を通って前後に移動することが許容される場合、異常振動が生じ得る。システムが、低剛性を有し、又は後部車軸208若しくは後部車軸208の動きを制御する液圧アクチュエータ218に加えられる荷重の経路における自由な動きをもたらす何らかの隙間若しくは「遊動(free play)」を含む場合、後部車軸208は前後に移動し得る。
【0074】
既存の操縦システムは、正確に動作するように、車軸に加えられる荷重の経路内に隙間を含むことができる。そのような隙間は、異常振動を制限するために細かい許容誤差に制御され、システムの製造及び組立てを高価にする。更に、既存のシステムは、異常振動を制限しながら動作するために、線形可変差動変圧器(LVDT)位置センサに依存する、高価なサーボ弁及び閉ループ制御システムを使用することを含み得る。
【0075】
上述された液圧システム600は、後部車軸208に加えられる荷重の経路内の隙間を軽減することができ、したがって、異常振動を取り除くことができる。特に、方向制御弁630のスプールが中央位置にあるときに、第1のピストン508及び第2のピストン522は、ピストン508、522上の第2のチャンバ520及び第3のチャンバ530に供給される加圧流体によって加えられる高圧力レベル(例えば、5000‐6000psi)から生じる高い力の下で、それらのそれぞれの止め具に対して固定又は押圧される。高い力の下で、それらのそれぞれの止め具に対してピストン508、522を押圧することによって、隙間又は「遊動」は取り除かれ、それによって、潜在的な異常振動を排除することができる。
【0076】
液圧システム600内で不具合が生じ、液圧アクチュエータ218に加圧流体が供給されない場合、逆止め弁610及び628は、加圧流体を液圧アクチュエータ218内に閉じ込め、逆流を防止し、それによって、ピストン508、522を、それらのそれぞれの止め具に対して固定された位置に保持する。更に、ターン中に不具合が生じ、液圧アクチュエータ218に加圧流体が供給されない場合、第4のチャンバ532内の流体は、第2のピストン522がその後退位置に戻る際に押し出され、第3のチャンバ530は、再循環逆止め弁690を手段として満たされる。同様に、第1のピストン508は、その延伸位置に戻り、第2のチャンバ520は、再循環逆止め弁692を手段として満たされる。第2のピストン522が、その完全に後退した位置に戻るので、後部車軸208は、
図2で示されている、その回転していない位置に戻る。更に、後部車軸208は、ジョイント210において、その中立ポイントを通って移動又は回転せず、したがって振動状態に晒されないだろう。
【0077】
図10は、例示的な一実施態様による、取り付けられた液圧アクチュエータ218及び弁用マニホールド1002のアセンブリ1000を示している。
図10で示されている実施態様では、液圧システム600の構成要素(例えば、逆止め弁610、遮断弁612、逆止め弁628、パイロットイネーブル弁634、第1のパイロット弁636、第2のパイロット弁638、方向制御弁630、オリフィス676‐679、及び再循環逆止め弁690、692)は、弁用マニホールド1002内に統合され、その弁用マニホールド1002が、液圧アクチュエータ218のシリンダー500に取り付けられ得る。供給ライン604に連結されたポンプインレットポート及びタンク606に連結されたタンクポートは、弁用マニホールド1002の端部1003に位置付けられ得る。
【0078】
一実施例では、弁用マニホールド1002が、タイロッド(tie rod)又は他の締結機構を介してシリンダー500に連結され、別の一実施例では、シリンダー500及び弁用マニホールド1002が、液圧システム600の構成要素を受け入れるように構成された単一の統合されたハウジングとして作成され得る。互いから遠隔に配置するのではなく、弁用マニホールド1002を液圧アクチュエータ218上に又はその近くに取り付けることは、弁用マニホールド1002と液圧アクチュエータ218との間の液圧ラインの使用を軽減する。結果として、液圧ラインに関連付けられたライン容量が軽減され、それによって、液圧システムの剛性を改善し、ピストン508、522の動き制御を改善する。
【0079】
図10で描かれているように、アセンブリ1000は、ヒンジ又はピボット1008で互いに回転可能に連結された、第1の捩じれリンク1004と第2の捩じれリンク1006を含む。ピボット1008は、第1の捩じれリンク1004が、第2の捩じれリンク1006に対して回転することを可能にする。第1の捩じれリンク1004は、ピボット1009で第1のピストン508の遠位端に連結され、例えば、クレビス516に連結され、上述のように、クレビス516は、ピボット222でシャーシ202と連結するように構成されている。
【0080】
したがって、第1のピストン508が移動(例えば、後退)する際に、第1の捩じれリンク1004は、ピボット1009の周りで回転することができ、第2の捩じれリンク1006に対してピボット1008の周りで回転することもできる。更に、この構成では、第1の捩じれリンク1004及び第2の捩じれリンク1006が、液圧アクチュエータ218のシリンダー500と弁用マニホールド1002とが、第1のピストン508及び第2のピストン522の動作中に中央長手軸514の周りで回転することを防止する。
【0081】
第2の捩じれリンク1006は、第1のインジケータ535に連結された延長部1010を有することができる。第1の捩じれリンク1004及び第2の捩じれリンク1006の位置(例えば、回転位置)は、第1のピストン508の直線的な位置に幾何学的に関連している。したがって、第1のピストン508が、そのストロークの終わりに到達したときに(例えば、第1のピストン508が完全に延伸したときに)、第2の捩じれリンク1006の対応する位置、及びその延長部1010は、第1のインジケータ535が、第1の位置センサ534に接近し、したがって、第1の位置センサ534が、第1のインジケータ535を検出することをもたらす。次いで、第1の位置センサ534は、第1のピストン508が、そのストロークの終わりに到達したこと(すなわち、完全に延伸したこと)を示す信号を、コントローラ620に送信する。
【0082】
一方では、示されているように、第2の位置センサ536が、端部1003において弁用マニホールド1002に取り付けられ得る。第2のインジケータ537は、第2のピストン522に連結することができる。第2のピストン522が完全に後退したときに、第2の位置センサ536は、第2のインジケータ537を検出し、第2のピストン522が完全に後退したことを示す信号をコントローラ620に送信する。
【0083】
弁用マニホールド1002は、電気コネクタ1012を更に含むことができる。電気ワイヤー又はそのような電気ワイヤーに接続された電気プラグは、弁634、636、及び638のそれぞれのソレノイドに電力を供給し、更に、コントローラ620からそれぞれのソレノイドに命令を提供するように、電気コネクタ1012の中に挿入することができる。位置センサ534、536からのセンサ信号ワイヤーも、電気コネクタ1012に接続され得る。次いで、電気ワイヤーは、電気コネクタ1012をコントローラ620に接続して、位置センサ534、536をコントローラ620と電気的に接続し、コントローラ620にセンサ信号を提供することができる。
【0084】
図11は、例示的な一実施態様による、航空機を操縦する方法1100のフローチャートである。例えば、方法1100は、コントローラ620によって実施され得る方法の一実施例を提示する。更に、
図12‐
図13は、方法1100と共に使用される方法のフローチャートである。
【0085】
方法1100は、ブロック1102‐1108のうちの1以上によって示される1以上の動作又は作業を含み得る。ブロックは連続的順序で示されているが、幾つかの例では、これらのブロックは、並行して、及び/又は明細書に記載された順序とは異なる順序で実行されてもよい。また、種々のブロックがより少ないブロックに組み合わされても、追加的なブロックに分割されても、及び/又は所望の実施態様に基づき除去されてもよい。
【0086】
加えて、方法1100、並びに、本明細書で開示される他のプロセス及び動作に関して、フローチャートは、本実施例の可能な一実施形態の動作を示している。この点に関して、各ブロックは、モジュール、セグメント、又はプログラムコードの一部分を表していてよい。プログラムコードは、プロセスの中で特定の論理的機能又は手順を実行するプロセッサ又はコントローラ(例えば、コントローラ620)によって実行可能な1以上の指示命令を含んでいてよい。プログラムコードは、例えば、ディスク又はハードドライブを含む記憶装置といった任意の種類のコンピュータ可読媒体、またはメモリ上に記憶されていてよい。このコンピュータ可読媒体は、例えば、レジスタメモリ、プロセッサキャッシュ、及びランダムアクセスメモリ(RAM)のようなデータを短期間記憶するコンピュータ可読媒体などの非一時的なコンピュータ可読媒体か、またはメモリを含んでいてよい。コンピュータ可読媒体は、例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、光学ディスクまたは磁気ディスク、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD‐ROM)のような二次的または永続的な長期的ストレージといった、非一過性の媒体も、また含んでいてよい。コンピュータ可読媒体はまた、任意の他の揮発性または非揮発性のストレージシステムであってもよい。コンピュータ可読媒体は、例えば、コンピュータ可読記憶媒体、有形的記憶デバイス、又は他の製品であってもよい。加えて、本明細書で開示される方法1100並びに他のプロセス及び動作に関しては、
図11‐
図13内の1以上のブロックが、プロセス中で特定の論理演算を実行するように構成された、回路又はデジタルの論理を表し得る。
【0087】
ブロック1102において、方法1100は、コントローラ620で航空機100を特定の方向に操縦する要求を受け取ることを含む。その要求は、例えば、ジョイスティック、ペダル、若しくは同様な入力手段、又はパイロットによって制御される操縦制御デバイスから来ることができる。上述されたように、航空機100は、シャーシ202、ジョイント210でシャーシ202に回転可能に連結された少なくとも1つの車軸(例えば、後部車軸208)、及び少なくとも1つの車軸(例えば、後部車軸208)のそれぞれの端部に取り付けられたそれぞれの車輪216A、216Bを有する、着陸装置102を含むことができる。それによって、ジョイント210の周りの後部車軸208の回転により、航空機100を操縦することができる。航空機100は、シリンダー500、シリンダー500内に摺動可能に収容され且つシャーシ202に連結された第1のピストン208、及びシリンダー500内に摺動可能に収容され且つ後部車軸208に連結された第2のピストン522を備えた、液圧アクチュエータ218も含む。航空機100は、シリンダー500内の第1のピストン508と第2のピストン522の動きを制御するように、加圧流体源602から液圧アクチュエータ218への流体の流れ及び液圧アクチュエータ218からタンク606への流体の流れを制御するように構成された、方向制御弁630を更に含む。
【0088】
ブロック1104で、方法1100は、要求を受け取ったことに応答して、方向制御弁630を作動させ、液圧アクチュエータ218に加圧流体を供給し、それによって、第1のピストン508と第2のピストン522のうちの少なくとも一方を動かして、ジョイント210の周りで後部車軸208を回転させ、航空機100を特定の方向に操縦するように、方向制御弁630の第1のパイロットポート652又は方向制御弁630の第2のパイロットポート664に加圧流体を供給するために、第1のパイロット弁636又は第2のパイロット弁638の何れかを作動させる信号を、コントローラ620によって送信することを含む。
【0089】
図12は、例示的な一実施態様による、方法1100と共に実行及び実施され得る更なる動作のフローチャートである。第1のパイロット弁636又は第2のパイロット弁638の何れかに送信される第1の信号に加えて、ブロック1106で、動作は、第2の信号であって、加圧流体源602から第1のパイロット弁636及び第2のパイロット弁638へ加圧流体を供給することを可能にし、方向制御弁630の作動を可能にするための第2の信号を、パイロットイネーブル弁634に送信することを含む。
【0090】
図13は、例示的な一実施態様による、方法1100と共に実行及び実施され得る更なる動作のフローチャートである。航空機100は、方向制御弁630に流体連結され且つ加圧流体源602に流体連結するように構成された遮断弁612を更に含むことができる。遮断弁612は、通常開(ノーマルオープン)であり、非作動時に航空機100の操縦を可能とすべく方向制御弁630へ加圧流体を供給するように構成されている。遮断弁612が作動しているときに、遮断弁612は、航空機100の操縦をディスエーブルするために、方向制御弁630に加圧流体が流れることをブロックするように構成されている。遮断弁612は、遮断弁612が作動しているかどうかを示すセンサ情報を提供するように構成された位置センサ618を含むことができる。ブロック1108で、動作は、遮断弁612の位置センサ618から、遮断弁612が作動していないことを示すセンサ情報を受け取ることを含む。その場合、第1のパイロット弁636又は第2のパイロット弁638の何れかを作動させる信号を送信することが、遮断弁612が作動していないことを示すセンサ情報を受け取ったことに応答して行われる。
【0091】
上述の詳細な説明は、添付の図面を参照しながら本開示のシステムの様々な特徴と動作を説明してきた。本明細書で説明される例示的な実施態様は、限定的であることを意図しない。本開示のシステムの特定の態様は、それらのうちの全てが本明細書で熟慮されたところの、幅広い様々な異なる構成内に配置され、それらと組み合わせることができる。
【0092】
更に、文脈が逆のことを示唆しないならば、図面の各々内で示された特徴は、互いに組み合わせて使用され得る。したがって、図面は、1以上の全体の実施態様のうちの構成要素の態様として広く見られるべきであり、各実施態様には、必ずしも全ての示された特徴が必要とされるわけではないことが理解される。
【0093】
更に、本明細書又は特許請求の範囲における要素、ブロック、又はステップの列挙は、明瞭さを目的とするものである。したがって、そのような列挙は、これらの要素、ブロック、又はステップが、特定の配置に固執し特定の順序で実行されることを要求し又は意図するように解釈されるべきではない。
【0094】
更に、図面で提示された機能を実行するために、デバイス又はシステムが使用され又は構成され得る。ある場合では、装置及び/又はシステムの構成要素が、機能を実行するように構成されてよい。このような実行を可能にするために、構成要素は、(ハードウェア及び/又はソフトウェア付きで)実際に構成及び構築されてよい。他の実施例では、デバイス及び/又はシステムの構成要素が、特定のやり方で操作されたときなどに、この機能の実行に適合するように構成されてもよく、この機能の実行が可能であるように構成されてもよく、この機能の実行に適切であるように構成されてもよい。
【0095】
「実質的に」という語は、言及される特徴、パラメータ、又は値が正確に実現される必要はないが、例えば、許容範囲、測定誤差、測定精度限界、及び当業者にとって既知の要因などを含む偏差又は変動が、特徴によってもたらされることを意図された効果を排除しない大きさで起こり得ることを意味する。
【0096】
本明細書で説明された配置は、例示のみを目的とするものである。そのようにして、当業者は、他の配置及び他の要素(例えば、機械、インターフェース、動作、順序、及び動作の群など)が、代わりに使用され、一部の要素は所望の結果に従って完全に省略され得ることを理解するだろう。更に、説明された要素の多くが、任意の適切な組み合わせ及び場所において、別個の若しくは分配された構成要素として又は他の構成要素と併せて実施され得る、機能的エンティティーである。
【0097】
更に、本発明は、以下の条項による実施形態を含む。
条項1.
液圧アクチュエータ(218)であって、(i)シリンダー(500)、(ii)前記シリンダー(500)内に配置され且つ前記シリンダー(500)を第1の区画(504)と第2の区画(506)に分割するように構成された仕切り(502)、(iii)前記第1の区画(504)内に摺動可能に受け入れられ、且つピストンヘッド(510)及び前記ピストンヘッド(510)から前記シリンダー(500)の長手軸(514)に沿って延在するロッド(512)を有する、第1のピストン(508)であって、前記ロッド(512)が航空機(500)の着陸装置(102)のシャーシ(202)と連結するように構成され、前記ピストンヘッド(510)が前記第1の区画(504)を第1のチャンバ(518)と第2のチャンバ(520)に分割する、第1のピストン(508)、並びに(iv)前記第2の区画(506)内に摺動可能に受け入れられ、且つ対応するピストンヘッド(524)及び前記対応するピストンヘッド(524)から前記シリンダー(500)の前記長手軸(514)に沿って延在する対応するロッド(526)を有する、第2のピストン(522)であって、前記対応するロッド(526)が前記航空機(100)の前記着陸装置(102)の車軸(208)と連結するように構成され、前記対応するピストンヘッド(524)が前記第2の区画(506)を第3のチャンバ(530)と第4のチャンバ(532)に分割する、第2のピストン(522)を備える、液圧アクチュエータ(218)、並びに
方向制御弁(630)であって、(i)加圧流体源(602)と流体連結するように構成された第1のインレットポート(P1)、(ii)前記加圧流体源(602)と流体連結するように構成された第2のインレットポート(P2)、(iii)タンク(606)と流体連結するように構成された第1のタンクポート(T1)、(iv)前記タンク(606)と流体連結するように構成された第2のタンクポート(T2)、(v)前記第1のチャンバ(518)と流体連結するように構成された第1のワークポート(A)、(vi)前記第2のチャンバ(520)と流体連結するように構成された第2のワークポート(B)、(vii)前記第3のチャンバ(530)と流体連結するように構成された第3のワークポート(C)、及び(viii)前記第4のチャンバ(532)と流体連結するように構成された第4のワークポート(D)を備える、方向制御弁(630)を備える、液圧システム(600)。
条項2.
前記方向制御弁(630)が、第1のパイロットポート(652)及び第2のパイロットポート(664)を更に備え、前記液圧システム(600)が、
前記第1のパイロットポート(652)に流体連結され且つ前記加圧流体源(602)から加圧流体を受け取るように構成された第1のパイロット弁(636)であって、作動時に、加圧流体を前記第1のパイロットポート(652)に供給して、前記方向制御弁(630)を第1の状態で動作するように作動させる、第1のパイロット弁(636)、及び
前記第2のパイロットポート(664)に流体連結され且つ前記加圧流体源(602)から加圧流体を受け取るように構成された第2のパイロット弁(638)であって、作動時に、加圧流体を前記第2のパイロットポート(664)に供給して、前記方向制御弁(630)を第2の状態で動作するように作動させる、第2のパイロット弁(638)を更に備える、条項1に記載の液圧システム(600)。
条項3.
前記加圧流体源(602)と流体連結するように構成されたパイロットイネーブル弁(634)であって、
作動時に、前記加圧流体源(602)から前記第1のパイロット弁(636)及び前記第2のパイロット弁(638)に加圧流体を供給し、
非作動時に、前記第1のパイロット弁(636)及び前記第2のパイロット弁(638)に対して加圧流体をブロックするように構成された、パイロットイネーブル弁(634)を更に備える、条項2に記載の液圧システム(600)。
条項4.
前記方向制御弁(630)の前記第1のインレットポート(P1)及び前記第2のインレットポート(P2)に流体連結され且つ前記加圧流体源(602)と流体連結するように構成された遮断弁(612)を更に備え、
前記遮断弁(612)が、通常開であり、非作動時に前記第1のインレットポート(P1)及び前記第2のインレットポート(P2)に加圧流体を供給するように構成されており、
前記遮断弁(612)が作動しているときに、前記遮断弁(612)が、加圧流体が前記第1のインレットポート(P1)及び第2のインレットポート(P2)に流れることをブロックするように構成されている、条項1に記載の液圧システム(600)。
条項5.
前記遮断弁(612)が、前記遮断弁(612)に連結されたレバー(616)を介して手動で作動される、条項4に記載の液圧システム(600)。
条項6.
前記遮断弁(612)が、
前記レバー(616)及び前記遮断弁(612)が作動しているかどうかを示すセンサ情報を提供するように構成された位置センサ(618)を更に備える、条項5に記載の液圧システム(600)。
条項7.
前記タンク(606)を前記液圧アクチュエータ(218)の前記第3のチャンバ(530)と流体連結するように構成された第1の再循環逆止め弁(690)、及び
前記タンク(606)を前記液圧アクチュエータ(218)の前記第2のチャンバ(520)と流体連結するように構成された第2の再循環逆止め弁(692)を更に備える、条項1に記載の液圧システム(600)。
条項8.
(i)前記第1のワークポート(A)と前記第1のチャンバ(652)との間に配置された第1のオリフィス(676)、(ii)前記第2のワークポート(B)と前記第2のチャンバ(520)との間に配置された第2のオリフィス(677)、(iii)前記第3のワークポート(C)と前記第3のチャンバ(530)との間に配置された第3のオリフィス(678)、及び(iv)前記第4のワークポート(D)と前記第4のチャンバ(532)との間に配置された第4のオリフィス(679)のうちの少なくとも1つを更に備える、条項1に記載の液圧システム(600)。
条項9.
前記加圧流体源(602)と前記方向制御弁(630)との間に配置された少なくとも1つの逆止め弁(610)を更に備え、前記少なくとも1つの逆止め弁(610)が、前記加圧流体源(602)から前記方向制御弁(630)への流体の流れを可能にし、前記液圧アクチュエータ(218)から前記方向制御弁(630)を通って前記加圧流体源(602)に流体が逆流することをブロックするように構成されている、条項1に記載の液圧システム(600)。
条項10.
前記液圧アクチュエータ(218)に連結され且つ前記第1のピストン(508)が完全に延伸しているかどうかを示すセンサ情報を提供するように構成された第1の位置センサ(534)、及び
前記液圧アクチュエータ(218)に連結され且つ前記第2のピストン(522)が完全に後退しているかどうかを示すセンサ情報を提供するように構成された第2の位置センサ(536)を更に備える、条項1に記載の液圧システム(600)。
条項11.
着陸装置(102)であって、(i)シャーシ(202)、(ii)ジョイント(210)で前記シャーシ(202)に回転可能に連結された少なくとも1つの車軸(208)、及び(iii)前記少なくとも1つの車軸(208)のそれぞれの端部に取り付けられたそれぞれの車輪(216A、216B)を有することによって、前記ジョイント(210)の周りの前記少なくとも1つの車軸(208)の回転が、前記航空機(100)の操縦をもたらす、着陸装置(102)、
液圧アクチュエータ(218)であって、(i)シリンダー(500)、(ii)前記シリンダー(500)内に配置され且つ前記シリンダー(500)を第1の区画(504)と第2の区画(506)に分割するように構成された仕切り(502)、(iii)前記第1の区画(504)内に摺動可能に受け入れられ、且つピストンヘッド(510)及び前記ピストンヘッド(510)から前記シリンダー(500)の長手軸(514)に沿って延在するロッド(512)を有する、第1のピストン(508)であって、前記ロッド(512)が前記シャーシ(202)と連結するように構成され、前記ピストンヘッド(510)が前記第1の区画(504)を第1のチャンバ(518)と第2のチャンバ(520)に分割する、第1のピストン(508)、並びに(iv)前記第2の区画(506)内に摺動可能に受け入れられ、且つ対応するピストンヘッド(524)及び前記対応するピストンヘッド(524)から前記シリンダー(500)の前記長手軸(514)に沿って延在する対応するロッド(526)を有する、第2のピストン(522)であって、前記対応するロッド(526)が前記少なくとも1つの車軸(208)と連結するように構成され、前記対応するピストンヘッド(524)が前記第2の区画(506)を第3のチャンバ(530)と第4のチャンバ(532)に分割する、第2のピストン(522)を備える、液圧アクチュエータ(218)、並びに
方向制御弁(630)であって、(i)加圧流体源(602)と流体連結するように構成された第1のインレットポート(P1)、(ii)前記加圧流体源(602)と流体連結するように構成された第2のインレットポート(P2)、(iii)タンク(606)と流体連結するように構成された第1のタンクポート(T1)、(iv)前記タンク(606)と流体連結するように構成された第2のタンクポート(T2)、(v)前記第1のチャンバ(518)と流体連結するように構成された第1のワークポート(A)、(vi)前記第2のチャンバ(520)と流体連結するように構成された第2のワークポート(B)、(vii)前記第3のチャンバ(530)と流体連結するように構成された第3のワークポート(C)、及び(viii)前記第4のチャンバ(532)と流体連結するように構成された第4のワークポート(D)を備える、方向制御弁(630)を備える、航空機(100)。
条項12.
前記方向制御弁(630)が、第1のパイロットポート(652)及び第2のパイロットポート(664)を更に備え、前記航空機(100)が、
前記第1のパイロットポート(652)に流体連結され且つ前記加圧流体源(602)から加圧流体を受け取るように構成された第1のパイロット弁(636)であって、作動時に、前記第1のパイロットポート(652)に加圧流体を供給して、前記方向制御弁(630)を作動させ、前記第1のピストン(508)と前記第2のピストン(522)のうちの少なくとも一方を移動させて、前記少なくとも1つの車軸(208)を第1の回転方向に回転させ、前記航空機(100)を対応する方向に操縦する、第1のパイロット弁(636)、及び
前記第2のパイロットポート(664)に流体連結され且つ前記加圧流体源(602)から加圧流体を受け取るように構成された第2のパイロット弁(638)であって、作動時に、前記第2のパイロットポート(664)に加圧流体を供給して、前記方向制御弁(630)を作動させ、前記第1のピストン(508)と前記第2のピストン(522)のうちの少なくとも一方を移動させて、前記少なくとも1つの車軸(208)を第2の回転方向に回転させ、前記航空機(100)をその対応する方向に操縦する、第2のパイロット弁(638)を更に備える、条項11に記載の航空機(100)。
条項13.
前記加圧流体源(602)と流体連結するように構成されたパイロットイネーブル弁(634)であって、
作動時に、前記加圧流体源(602)から前記第1のパイロット弁(636)及び前記第2のパイロット弁(638)に加圧流体を供給し、
非作動時に、前記第1のパイロット弁(636)及び前記第2のパイロット弁(638)に対して加圧流体をブロックして、前記航空機(100)の操縦をディスエーブルするように構成された、パイロットイネーブル弁(634)を更に備える、条項12に記載の航空機(100)。
条項14.
前記方向制御弁(630)の前記第1のインレットポート(P1)及び前記第2のインレットポート(P2)に流体連結され且つ前記加圧流体源(602)と流体連結するように構成された遮断弁(612)を更に備え、
前記遮断弁(612)が、通常開であり、非作動時に前記航空機(100)の操縦を可能とすべく前記第1のインレットポート(P1)及び前記第2のインレットポート(P2)に加圧流体を供給するように構成されており、
前記遮断弁(612)が作動しているときに、前記遮断弁(612)が、前記航空機(100)の操縦をディスエーブルするために、加圧流体が前記第1のインレットポート(P1)及び前記第2のインレットポート(P2)に流れることをブロックするように構成されている、条項11に記載の航空機(100)。
条項15.
前記タンク(606)を前記液圧アクチュエータ(218)の前記第3のチャンバ(530)と流体連結するように構成された第1の再循環逆止め弁(690)、及び
前記タンク(606)を前記液圧アクチュエータ(218)の前記第2のチャンバ(520)と流体連結するように構成された第2の再循環逆止め弁(692)を更に備える、条項11に記載の航空機(100)。
条項16.
(i)前記第1のワークポート(A)と前記第1のチャンバ(518)との間に配置された第1のオリフィス(676)、(ii)前記第2のワークポート(B)と前記第2のチャンバ(520)との間に配置された第2のオリフィス(677)、(iii)前記第3のワークポート(C)と前記第3のチャンバ(530)との間に配置された第3のオリフィス(678)、及び(iv)前記第4のワークポート(D)と前記第4のチャンバ(532)との間に配置された第4のオリフィス(679)のうちの少なくとも1つを更に備え、前記第1のオリフィス(676)、前記第2のオリフィス(677)、前記第3のオリフィス(678)、及び前記第4のオリフィス(679)が、それらを通る流体の流量を制限して、前記第1のピストン(508)及び前記第2のピストン(522)の動きを減衰させるように構成されている、条項11に記載の航空機(100)。
条項17.
前記加圧流体源(602)と前記方向制御弁(630)との間に配置された少なくとも1つの逆止め弁(610)を更に備え、前記少なくとも1つの逆止め弁(610)が、前記加圧流体源(602)から前記方向制御弁(630)への流体の流れを可能にし、前記液圧アクチュエータ(218)から前記方向制御弁(630)を通って前記加圧流体源(602)に流体が逆流することをブロックするように構成されている、条項11に記載の航空機(100)。
条項18.
航空機を操縦する方法(1100)であって、
コントローラ(620)で、前記航空機(100)を特定の方向に操縦するための要求を受け取ること(1102)を含み、
前記航空機(100)が、
(i)着陸装置(102)であって、シャーシ(202)、ジョイント(210)で前記シャーシ(202)に回転可能に連結された少なくとも1つの車軸(208)、及び前記少なくとも1つの車軸(208)のそれぞれの端部に取り付けられたそれぞれの車輪(216A、216B)を有することによって、前記ジョイント(210)の周りの前記少なくとも1つの車軸(208)の回転が、前記航空機(100)の操縦をもたらす、着陸装置(102)、(ii)シリンダー(500)、前記シリンダー(500)内に摺動可能に受け入れられ且つ前記シャーシ(202)に連結された第1のピストン(508)、及び前記シリンダー(500)内に摺動可能に受け入れられ且つ前記少なくとも1つの車軸(208)に連結された第2のピストン(522)を備えた、液圧アクチュエータ(218)、並びに、(iii)前記シリンダー(500)内の前記第1のピストン(508)及び前記第2のピストン(522)の動きを制御するように、加圧流体源(602)から前記液圧アクチュエータ(218)への流体の流れ及び前記液圧アクチュエータ(218)からタンク(606)への流体の流れを制御するように構成された方向制御弁(630)を備え、
前記方法(1100)が、
前記要求を受け取ったことに応答して、前記方向制御弁(630)を作動させ、前記液圧アクチュエータ(218)に加圧流体を供給し、それによって、前記第1のピストン(508)と前記第2のピストン(522)のうちの少なくとも一方を動かして、前記ジョイント(210)の周りで前記少なくとも1つの車軸(208)を回転させ、前記航空機(100)を前記特定の方向へ操縦するように、前記方向制御弁(630)の第1のパイロットポート(652)又は前記方向制御弁(630)の第2のパイロットポート(664)に加圧流体を供給するために、第1のパイロット弁(636)又は第2のパイロット弁(638)の何れかを作動させる信号を、前記コントローラ(620)によって送信すること(1104)を更に含む、方法(1100)。
条項19.
前記信号が第1の信号であり、前記方法(1100)が、
前記加圧流体源(602)から前記第1のパイロット弁(636)及び前記第2のパイロット弁(638)へ加圧流体を供給することを可能にし、前記方向制御弁(630)の作動を可能にするための第2の信号を、パイロットイネーブル弁(634)に送信すること(1106)を更に含む、条項18に記載の方法(1100)。
条項20.
前記航空機(100)が、前記方向制御弁(630)に流体連結され且つ前記加圧流体源(602)と流体連結するように構成された遮断弁(612)を更に備え、前記遮断弁(612)が、通常開であり、非作動時に前記航空機(100)の操縦を可能とすべく前記方向制御弁(630)に加圧流体を供給するように構成されており、前記遮断弁(612)が作動しているときに、前記遮断弁(612)が、前記航空機(100)の操縦をディスエーブルするために、加圧流体が前記方向制御弁(630)に流れることをブロックするように構成されており、前記遮断弁(612)が、前記遮断弁(612)が作動しているかどうかを示すセンサ情報を提供するように構成された位置センサ(618)を備え、
前記方法(1100)が、
前記遮断弁(612)の前記位置センサ(618)から、前記遮断弁(612)が作動していないことを示すセンサ情報を受け取ること(1108)を更に含み、前記第1のパイロット弁(636)又は前記第2のパイロット弁(638)の何れかを作動させる信号を送信すること(1104)が、前記遮断弁(612)が作動していないことを示す前記センサ情報を受け取ったことに応答して行われる、条項18に記載の方法(1100)。
【0098】
本明細書では様々な態様及び実施態様が開示されてきたが、他の態様及び実施態様も、当業者には自明となろう。本明細書で開示された様々な態様及び実施態様は、例示を目的とするものであり、限定的であることを意図しない。真の範囲は以下の特許請求の範囲で示され、その範囲には、特許請求の範囲に認められるべき均等物が含まれる。更に、本明細書で使用される用語は、特定の実施態様を説明することのみが目的であり、限定することを意図しない。