(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】電力供給システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20230915BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20230915BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20230915BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20230915BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20230915BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20230915BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H01M10/44 P
H01M10/48 P
H02J3/00 180
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J7/34 F
(21)【出願番号】P 2019139366
(22)【出願日】2019-07-30
【審査請求日】2022-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】藤本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】原田 真宏
(72)【発明者】
【氏名】西田 竜太
(72)【発明者】
【氏名】門脇 昌作
(72)【発明者】
【氏名】村上 伸太郎
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-055078(JP,A)
【文献】特開2013-090436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00 - 5/00
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01M 10/42 - 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然エネルギーを利用して発電可能な発電部と、
電力を充放電可能な蓄電池と、
電力を消費して熱を発生させ蓄える熱発生装置と、
前記蓄電池及び前記熱発生装置の動作を制御する制御部と、
を具備し、
前記制御部は、
前記発電部で発電された電力のうち負荷による電力需要に対して余剰する余剰電力を算出し、当該余剰電力に基づいて前記蓄電池及び前記熱発生装置の運転方法を決定する運転方法決定制御を行
い、
前記制御部は、
前記運転方法決定制御において、
前記余剰電力の合計である合計余剰電力量が所定電力量より多い場合、当該余剰電力が発生する時間帯の前の深夜電力時間帯において、系統電源からの電力を前記蓄電池の蓄電残量が前記蓄電池の最大容量より少ない第一の蓄電残量となるように当該蓄電池に充電する、
電力供給システム。
【請求項2】
前記蓄電池は、放電閾値が設定されており、蓄電残量が当該放電閾値まで低下すると放電を不可とするように構成され、
前記制御部は、
前記運転方法決定制御において、
前記放電閾値を所定閾値まで下げても前記合計余剰電力量によって前記蓄電池を最大容量まで充電可能であると判断した場合、前記放電閾値を前記所定閾値まで下げる、
請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記運転方法決定制御において、
前記余剰電力に基づいて前記熱発生装置の運転を行う時間を決定する、
請求項1又は請求項2に記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記運転方法決定制御において、
前記余剰電力によって前記熱発生装置の消費電力を賄える第一の時間帯がある場合、当該第一の時間帯に前記熱発生装置の運転を行う、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電力供給システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記運転方法決定制御において、
前記第一の時間帯のうち、所定期間の前記余剰電力の合計である合計余剰電力量が最も大きい第二の時間帯に前記熱発生装置の運転を行う、
請求項4に記載の電力供給システム。
【請求項6】
前記熱発生装置は給湯器であり、
前記制御部は、
前記運転方法決定制御において、
前記第二の時間帯が複数存在する場合、前記第二の時間帯のうち前記給湯器によって発生される熱の需要が多い時間帯に最も近い第三の時間帯に前記給湯器の運転を行う、
請求項5に記載の電力供給システム。
【請求項7】
前記制御部は、
深夜電力の買電単価と前記発電部で発電された電力の売電単価との比較に基づいて、前記運転方法決定制御を実行するかしないかを決定する、
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然エネルギーを利用して発電可能な発電部を具備する電力供給システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自然エネルギーを利用して発電可能な発電部を具備する電力供給システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、太陽光発電部及び蓄電池を具備する電力供給システムが記載されている。当該電力供給システムにおいては、太陽光発電部で発電された電力を、家庭内負荷に供給することができる。また、太陽光発電部で発電された電力を蓄電池に充電したり、当該蓄電池に充電された電力を家庭内負荷に供給したりすることができる。また、適宜の場合に太陽光発電部で発電された電力の余剰分(余剰電力)を売電する(商用電源へと逆潮流させる)ことができる。
【0004】
しかしながら、昨今、太陽光発電部で発電された電力の売電単価は低下する傾向にあり、深夜電力単価よりも低い場合もある。このため、太陽光発電部で発電された電力を家庭内で消費することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、発電部で発電された電力の消費の拡大を図ることができる電力供給システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、自然エネルギーを利用して発電可能な発電部と、電力を充放電可能な蓄電池と、電力を消費して熱を発生させ蓄える熱発生装置と、前記蓄電池及び前記熱発生装置の動作を制御する制御部と、を具備し、前記制御部は、前記発電部で発電された電力のうち負荷による電力需要に対して余剰する余剰電力を算出し、当該余剰電力に基づいて前記蓄電池及び前記熱発生装置の運転方法を決定する運転方法決定制御を行い、前記制御部は、前記運転方法決定制御において、前記余剰電力の合計である合計余剰電力量が所定電力量より多い場合、当該余剰電力が発生する時間帯の前の深夜電力時間帯において、系統電源からの電力を前記蓄電池の蓄電残量が前記蓄電池の最大容量より少ない第一の蓄電残量となるように当該蓄電池に充電するものである。
また、請求項2においては、前記蓄電池は、放電閾値が設定されており、蓄電残量が当該放電閾値まで低下すると放電を不可とするように構成され、前記制御部は、前記運転方法決定制御において、前記放電閾値を所定閾値まで下げても前記合計余剰電力量によって前記蓄電池を最大容量まで充電可能であると判断した場合、前記放電閾値を前記所定閾値まで下げるものである。
【0009】
請求項3においては、前記制御部は、前記運転方法決定制御において、前記余剰電力に基づいて前記熱発生装置の運転を行う時間を決定するものである。
【0010】
請求項4においては、前記制御部は、前記運転方法決定制御において、前記余剰電力によって前記熱発生装置の消費電力を賄える第一の時間帯がある場合、当該第一の時間帯に前記熱発生装置の運転を行うものである。
【0011】
請求項5においては、前記制御部は、前記運転方法決定制御において、前記第一の時間帯のうち、所定期間の前記余剰電力の合計である合計余剰電力量が最も大きい第二の時間帯に前記熱発生装置の運転を行うものである。
【0012】
請求項6においては、前記熱発生装置は給湯器であり、前記制御部は、前記運転方法決定制御において、前記第二の時間帯が複数存在する場合、前記第二の時間帯のうち前記給湯器によって発生される熱の需要が多い時間帯に最も近い第三の時間帯に前記給湯器の運転を行うものである。
【0015】
請求項7においては、前記制御部は、深夜電力の買電単価と前記発電部で発電された電力の売電単価との比較に基づいて、前記運転方法決定制御を実行するかしないかを決定するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0017】
請求項1においては、発電部で発電された電力の消費の拡大を図ることができる。また、余剰電力が比較的多い場合、余剰電力が比較的少ない場合よりも蓄電池への深夜電力の充電量を少なくすることで、余剰電力を蓄電池の充電に用いることができる。
請求項2においては、余剰電力が比較的多い場合に蓄電池の充放電量を拡大することで、系統電源からの買電量を減らすことができる。
【0018】
請求項3においては、熱発生装置の運転のために発電部で発電された電力を消費することができる。
【0019】
請求項4においては、発電部で発電された電力だけで熱発生装置の運転を行うことができる。
【0020】
請求項5においては、熱発生装置の運転のために系統電源からの電力を購入してしまうという状況が生じるのを抑制することができる。
【0021】
請求項6においては、給湯器の放熱損失を抑制することができる。
【0024】
請求項7においては、光熱費の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電力供給システムの構成を示したブロック図。
【
図3】給湯器の稼動時間を設定する方法を説明するための図。
【
図5】電力単価の比較に基づく運転パターンを示した図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、
図1を用いて、本発明の一実施形態に係る電力供給システム1について説明する。
【0027】
電力供給システム1は、住宅に設けられ、当該住宅の負荷Hに電力を供給するものである。負荷Hは、電力経路Lによって系統電源Sと接続される。負荷Hには、電力経路Lを介して系統電源Sからの電力が供給される。負荷Hには、後述する給湯器50が含まれる。以下では、負荷Hから給湯器50を除いたもの(給湯器50以外の負荷)を負荷H1と称することとする。電力供給システム1は、太陽光発電部10、蓄電池20、ハイブリッドパワコン30、センサ40、給湯器50及び制御部60を具備する。
【0028】
太陽光発電部10は、太陽光を利用して発電する装置である。太陽光発電部10は、太陽電池パネル等により構成される。太陽光発電部10は、例えば、住宅の屋根の上等の日当たりの良い場所に設置される。
【0029】
蓄電池20は、電力を充放電可能に構成されるものである。蓄電池20は、例えば、リチウムイオン電池により構成される。蓄電池20は、後述するハイブリッドパワコン30を介して太陽光発電部10と接続される。
【0030】
蓄電池20には、放電閾値が設定されている。ここで、「放電閾値」とは、停電等の非常時における電力を確保するために設定されるものであり、常に確保される最低限の蓄電量を示すものである。本明細書において、「放電閾値」は、蓄電池20の蓄電容量(最大容量)に対する割合(例えば30%)で表される。本実施形態において、蓄電池20の放電閾値は30%に設定されているものとする。本実施形態において、放電閾値は、蓄電池20の蓄電容量(最大容量)の0~50%の間で10%刻みで設定可能とする。また、蓄電池20の蓄電容量(最大容量)は、5.4[kWh]であるものとする。
【0031】
ハイブリッドパワコン30は、電力を適宜変換するもの(ハイブリッドパワーコンディショナ)である。ハイブリッドパワコン30は、太陽光発電部10で発電された電力及び蓄電池20から放電された電力を負荷Hに出力可能であると共に、太陽光発電部10で発電された電力及び系統電源Sからの電力を蓄電池20に出力可能に構成される。ハイブリッドパワコン30は、電力経路Lの接続点Pと接続される。
【0032】
また、ハイブリッドパワコン30は、蓄電池20の蓄電残量が、放電閾値未満とならないように、蓄電池20の蓄電残量が放電閾値となると当該蓄電池20の放電を禁止する。
【0033】
センサ40は、電力経路Lにおいて、接続点Pと系統電源Sとの間に設けられる。センサ40は、設けられた箇所を流通する電力(例えば、負荷H及び蓄電池20へと供給される電力)の電圧(供給電圧)及び電流(供給電流)を検出する。センサ40は、ハイブリッドパワコン30と接続され、検出結果に関する信号をハイブリッドパワコン30へ出力可能に構成される。
【0034】
給湯器50は、電力を消費して熱を発生させ(すなわち、熱を製造し)、湯を沸かすものである。給湯器50は、ヒートポンプを用いて空気の熱を取り出し、湯を沸かすことができる。給湯器50では、冷媒として例えば、二酸化炭素等が用いられる。給湯器50は貯湯タンクを有する。給湯器50で沸かされた湯は、前記貯湯タンクに蓄えられる。給湯器50は、前記貯湯タンクに湯を蓄えることによって、熱(熱エネルギー)を蓄えることができる。給湯器50は、前記貯湯タンクに蓄えられた湯(熱)を外部の湯を使用する機器等(熱負荷)へと供給することができる。
【0035】
制御部60は、蓄電池20及び給湯器50の動作を制御するものである。制御部60は、蓄電池20及び給湯器50の運転方法を決定する。制御部60は、主としてCPU等の演算処理装置、RAMやROM等の記憶装置、並びにタッチパネル等の入出力装置等により構成される。制御部60は、太陽光発電部10で発電された電力の出力や、蓄電池20の充放電を制御することができる。また、制御部60は、プログラムや種々の情報を前記記憶装置に格納しており、当該プログラムや種々の情報を演算処理装置で読み込んで処理することで、電力供給システム1の動作等を実行することができる。このような制御部60は、例えば、EMS(Energy Management System)によって構成される。
【0036】
また、制御部60は、ハイブリッドパワコン30と接続される。制御部60は、ハイブリッドパワコン30から出力された信号により、センサ40の検出結果や太陽光発電部10及び蓄電池20の運転状態に関する情報を取得することができる。
【0037】
以下では、上述の如く構成された電力供給システム1において、蓄電池20及び負荷Hへ電力を供給する流れについて、簡単に説明する。
【0038】
系統電源Sや太陽光発電部10からの電力は、電力経路Lを介して負荷Hへ供給される。こうして、住宅の居住者は、系統電源Sや、太陽光発電部10からの電力を用いて照明を点灯させたり、調理器具やエアコンを使用したりすることができる。
【0039】
この場合において、負荷Hの消費電力が太陽光発電部10からの電力で賄える場合には、系統電源Sからの電力を用いないことも可能である。このようにして系統電源Sからの買電量を減少させ、電力料金を節約することができる。
【0040】
また、系統電源Sや太陽光発電部10からの電力は、適宜の時間帯に蓄電池20に供給することができる。蓄電池20に供給された電力は、当該蓄電池20に充電することができる。蓄電池20が充電される時間帯は、居住者の任意に設定することができる。例えば、前記時間帯を深夜に設定すれば、料金の安い深夜電力を蓄電池20に充電することができる。また、前記時間帯を昼間の時間帯に設定すれば、太陽光発電部10からの電力を蓄電池20に充電することができる。
【0041】
また、蓄電池20に充電された電力は、電力経路Lを介して負荷Hへ供給することができる。具体的には、蓄電池20を放電させると、当該放電された電力が電力経路Lを介して負荷Hに供給される。蓄電池20が放電される時間帯は、居住者の任意に設定することができる。例えば、前記時間帯を昼間の時間帯に設定すれば、蓄電池20に充電した料金の安い深夜電力を当該昼間の時間帯に用いることができる。こうして、昼間の時間帯に系統電源Sからの電力量(買電量)を減少させ、電力料金を節約することができる。
【0042】
次に、電力供給システム1における電力の供給態様(モード)について説明する。
【0043】
電力供給システム1は、電力の供給態様として第一モード及び第二モードを有する。
【0044】
第一モードが設定されたハイブリッドパワコン30は、太陽光発電部10で発電が行われている場合に、当該太陽光発電部10からの電力を負荷Hに供給する。また、ハイブリッドパワコン30は、太陽光発電部10からの電力が負荷H(負荷H1及び給湯器50)の消費電力に対して余剰すると、当該余剰電力を蓄電池20に充電する。ハイブリッドパワコン30は、蓄電池20を最大充電電力(蓄電池20が単位時間当たりに充電可能な最大の電力量)で充電しても太陽光発電部10からの電力が依然として余剰する場合に、当該余剰電力を系統電源Sへと逆潮流させる。
【0045】
上記負荷Hへの電力の供給において、ハイブリッドパワコン30は、センサ40の検出結果に基づいて蓄電池20の放電量を決定する負荷追従運転を行う。
【0046】
一方、第二モードが設定されたハイブリッドパワコン30は、系統電源Sからの電力(深夜電力)を蓄電池20に充電させる。
【0047】
以下、
図2及び
図3を用いて、制御部60による計画制御について説明する。
図2に示す計画制御は、蓄電池20及び給湯器50の運転計画を行うものである。
図2に示す計画制御は、深夜電力時間帯の開始前(例えば前日の23時)に行われる。また、給湯器50の稼働時間は深夜電力時間帯に設定されているものとする。ここで、「深夜電力時間帯」とは、1日の中で比較的安い電力単価が設定された深夜の時間帯のことをいう。本実施形態においては、深夜電力時間帯は、23~6時であるものとする。
【0048】
図2に示すステップS10において、制御部60は、翌日の消費電力量の予測を行う。ここでいう消費電力量は、負荷H1(給湯器50以外の負荷)の消費電力量(電力需要)のことをいい、すなわち、負荷Hの消費電力量から、給湯器50の消費電力量を除いた消費電力量を示すものである。制御部60は、負荷Hの過去の消費電力量のデータ等に基づいて、翌日の消費電力量を予測する。翌日の消費電力量は、1時間当たりの消費電力量として算出される。制御部60は、当該ステップS10の処理を行った後、ステップS11に移行する。
【0049】
図2に示すステップS11において、制御部60は、翌日のPV発電量の予測を行う。ここで、「PV発電量」とは、太陽光発電部10によって発電される電力量を示すものである。制御部60は、太陽光発電部10の過去の発電量のデータ、及び翌日の天気予報等に基づいて、翌日のPV発電量を予測する。翌日のPV発電量は、1時間当たりのPV発電量として算出される。制御部60は、当該ステップS11の処理を行った後、ステップS12に移行する。
【0050】
図2に示すステップS12において、制御部60は、翌日の余剰電力量の予測を行う。この処理において、制御部60は、各時刻のPV発電量(1時間当りの電力量)が、各時刻の消費電力量(1時間当りの電力量)を上回っている時刻を確認する。ここでいうPV発電量及び消費電力量はステップS10及びS11で得られた予測値である。そして、当該時刻において、PV発電量から消費電力量を差し引くことにより、各時刻ごと(1時間ごと)に余剰電力量を算出する。すなわち、余剰電力量は、太陽光発電部10の発電電力量のうち負荷Hの消費電力量に対して余剰する電力量を示すものである。翌日の余剰電力量は、1時間当たりの余剰電力量として算出される。本実施形態においては、翌日の9時から17時の間に余剰電力が発生するものとする。制御部60は、当該ステップS12の処理を行った後、ステップS13に移行する。
【0051】
図2に示すステップS13において、制御部60は、優先ポイント及びゼロフラグを算出する。以下、
図3を参照して、優先ポイント及びゼロフラグについて説明する。ここで、給湯器50の必要稼動時間(湯を沸き上げるのに必要な時間)は3時間とし、給湯器50の定格消費電力は1kWであるものとする。
【0052】
まず、優先ポイントの算出方法について説明する。
【0053】
制御部60は、余剰電力が発生する時間帯(9~17時)において、給湯器50の運転開始時刻を設定する。以下、余剰電力が発生する時間帯(9~17時)を、「余剰発生時間帯」ということとする。給湯器50の運転開始時刻は、給湯器50の稼動時間(運転開始時刻から運転終了時刻までの間の時間)が、余剰発生時間帯に収まるように設定される。本実施形態においては、給湯器50の稼動時間は連続する3時間に設定される。このため、給湯器50の運転開始時刻は、9~15時の各時刻から選択(決定)される。
【0054】
制御部60は、給湯器50の運転開始時刻における稼動時間の余剰電力量の合計を「優先ポイント」として算出する。ここで、「運転開始時刻における稼動時間」とは、ある運転開始時刻から運転した場合の稼働時間を示すものである。例えば、運転開始時刻9時においては、稼動時間9~11時の各時刻の余剰電力量(1kWh、5kWh、5kWh)の合計である11kWhを優先ポイントとする。運転開始時刻10時においては、稼動時間10~12時の各時刻の余剰電力量(5kWh、5kWh、3kWh)の合計である13kWhを優先ポイントとする。このようにして、運転開始時刻の候補(9~15時)の各時刻における優先ポイントを算出する。
【0055】
次に、ゼロフラグの設定方法について説明する。
【0056】
まず、制御部60は、給湯器50の運転開始時刻における稼動時間に、余剰電力量が給湯器50の定格消費電力量(1kWh)未満である時刻を含むか否かを判断する。そして、制御部60は、前記稼動時間に余剰電力量1kWh未満の時刻を含む運転開始時刻が存在する場合、当該運転開始時刻に対してゼロフラグを設定する。
図3においては、14時の余剰電力量は0.5kWhであって、給湯器50の定格消費電力量(1kWh)未満である。このため、稼動時間に14時を含む運転開始時刻12、13及び14時にゼロフラグを設定する。このように、ゼロフラグとは、当該ゼロフラグが設定された運転開始時刻から給湯器50を稼動した場合、稼動時間のうちのいずれかの時刻において給湯器50の消費電力量が余剰電力量を超過することを示唆するものである。
【0057】
制御部60は、当該ステップS13の処理を行った後、ステップS14に移行する。
【0058】
図2に示すステップS14において、制御部60は、ゼロフラグを含まない時間帯があるか否かを判定する。この処理において、制御部60は、各運転開始時刻における稼動時間に、ゼロフラグが設定されていない運転開始時刻が含まれていないか否かを判定する。
図3に示す例においては、運転開始時刻9時、10時、11時及び15時における稼動時間には、ゼロフラグは含まれていない。制御部60は、ゼロフラグを含まない時間帯があると判定した場合(ステップS14で「YES」)、ステップS15に移行する。
【0059】
図2に示すステップS15において、制御部60は、給湯器稼動時間の決定・指示を行う。この処理においては、ステップS13で算出した優先ポイント及びゼロフラグに基づいて、給湯器50の稼動時間を決定する。制御部60は、以下の(1)~(3)の条件を満たす時間を給湯器50の稼動時間とする。以下の条件は上位の条件(数字が小さい条件)ほど優先される。
(1)運転開始時刻にゼロフラグが設定されていない。
(2)運転開始時刻の優先ポイントが最も大きい。
(3)運転開始時刻が遅い。
【0060】
なお、前記稼動時間に余剰電力量1kWh(給湯器50の定格消費電力量)未満の時刻を含む場合、給湯器50を稼動させるために余剰電力だけでは不足し、系統電源Sから電力を購入する必要がある。このため、ゼロフラグが設定されていない運転開始時刻における稼動時間が優先される(上記条件(1))。
【0061】
また、優先ポイントが大きい運転開始時刻に給湯器50の運転を開始することにより、その時間帯においては給湯器50を運転させてもなお余剰する電力が多く存在することとなる。
図2に示すステップS12で得られる余剰電力量はあくまで予測値であるので、実際の余剰電力量が当該予測値よりも少ない場合も想定される。このような場合であっても、余剰電力量が最も多い時間帯に給湯器50を運転させることで、給湯器50の運転に用いる余剰電力が足りなくなるという状況が生じるのを抑制することができる。ひいては、給湯器50の運転のために系統電源Sからの電力を購入してしまうという状況が生じるのを抑制することができる。このため、優先ポイントが大きい運転開始時刻における稼動時間が優先される(上記条件(2))。
【0062】
また、給湯器50によって製造される熱量(湯)は、浴槽への給湯等のために、夕方(17時以降)に多く使われるのが一般的である。このため、運転開始時刻が遅いほど、熱需要(給湯器50によって発生される熱の需要)が高い時間帯(夕方の時間帯)までの時間が短いので、給湯器50の放熱損失を抑制することができる。このため、優先ポイントが同じ運転開始時刻が存在する場合には、運転開始時刻が遅い稼動時間(すなわち、熱需要が多い時間帯よりも前で、かつ当該時間帯に最も近い稼動時間)が優先される(上記条件(3))。
【0063】
図3に示す例においては、運転開始時刻9時、10時、11時及び15時における稼動時間には、ゼロフラグは含まれない。よって、運転開始時刻9時、10時、11時及び15時は、条件(1)を満たす。次に、条件(1)を満たす運転開始時刻9時、10時、11時及び15時の優先ポイントのうち、運転開始時刻11時の優先ポイントが最も大きい。よって、条件(2)を満たすのは、開始時刻11時である。したがって、制御部60は、運転開始時刻11時における稼動時間11~13時を、給湯器50の稼動時間に決定する。
【0064】
このようにして、給湯器50の稼動時間を、深夜電力時間帯から余剰電力が発生する時間帯(9~17時)にシフトさせる。
【0065】
制御部60は、当該ステップS15の処理を行った後、ステップS16に移行する。
【0066】
図2に示すステップS16において、制御部60は、余剰電力量の更新を行う。この処理において、制御部60は、ステップS15で決定した給湯器50の稼動時間を考慮して、ステップS12で予測した余剰電力量を更新する。より詳細には、ステップS15において給湯器50の稼働時間は余剰電力が発生する時間帯(9~17時)にシフトされているため、制御部60は、ステップS12で予測した余剰電力量から給湯器50の消費電力量を除く処理を行う。制御部60は、当該ステップS16の処理を行った後、ステップS17に移行する。
【0067】
一方、制御部60は、ステップS14において、ゼロフラグを含まない時間帯がないと判定した場合(ステップS14で「NO」)、ステップS17に移行する。すなわち、制御部60は、全ての時間帯にゼロフラグが設定されている場合、給湯器50の稼動時間のシフトを行わない。すなわち、給湯器50の稼動時間は深夜電力時間帯に設定される。
【0068】
図2に示すステップS17において、制御部60は、「合計余剰電力量>蓄電可能量」であるか否かを判定する。ここで、「合計余剰電力量」とは、ステップS16で更新した翌日の余剰電力量の合計(9時から17時までの余剰電力量の合計)を示すものである。「蓄電可能量」とは、放電閾値を考慮して蓄電池20が蓄電できる最大値を示すものであり、「蓄電容量×(1-放電閾値)」で算出される。例えば、放電閾値が30%である場合、蓄電可能量は「蓄電容量×(1-0.3)」で算出される。
【0069】
制御部60は、「合計余剰電力量>蓄電可能量」であると判定した場合(ステップS17で「YES」)、ステップS18に移行する。一方、制御部60は、「合計余剰電力量>蓄電可能量」でないと判定した場合(ステップS17で「NO」)、ステップS19に移行する。
【0070】
なお、ステップS17で「YES」の場合とは、翌日の合計余剰電力量によって蓄電池20を満充電にしても(最大容量まで充電しても)なお太陽光発電部10で発電された電力が余剰することを示している。一方、ステップS17で「NO」の場合とは、翌日の合計余剰電力量では蓄電池20を満充電にすることができない、又は翌日の合計余剰電力量によって蓄電池20を満充電にすると太陽光発電部10で発電された電力が余剰しないことを示している。
【0071】
図2に示すステップS18において、制御部60は、目標蓄電残量を、早朝時間帯(充電終了時刻から余剰発生時刻(余剰発生時間帯の開始時刻)まで)の合計消費電力量とする。ここで、「目標蓄電残量」とは、充電終了時刻において目標とする(確保すべき)放電可能な蓄電量を示すものである。また、「充電終了時刻」とは、電力単価の安い深夜電力の充電を終了する時刻であり、すなわち深夜電力時間帯(1日の中で比較的安い電力単価が設定された深夜の時間帯)の終了時刻を示すものである。制御部60は、当該ステップS18の処理を行った後、
図2に示す制御フローを終了する。
【0072】
一方、
図2に示すステップS19において、制御部60は、目標蓄電残量を蓄電可能量(=蓄電容量×(1-放電閾値))とする。
【0073】
このように、翌日の合計余剰電力量によって蓄電池20を満充電にしてもなお太陽光発電部10で発電された電力が余剰すると予測される場合(ステップS17で「YES」)、早朝時間帯に必要な電力量のみを系統電源Sから購入(買電)する(ステップS18)。一方、翌日の合計余剰電力量では蓄電池20を満充電にすることができない、又は翌日の合計余剰電力量によって蓄電池20を満充電にすると太陽光発電部10で発電された電力が余剰しないと予測される場合(ステップS17で「NO」)、蓄電池20を満充電にできる電力量を系統電源Sから購入する(ステップS19)。制御部60は、当該ステップS19の処理を行った後、
図2に示す計画制御フローを終了する。
【0074】
このようにして、制御部60は、給湯器50の稼動時間、及び蓄電池20の目標蓄電残量を決定する。
【0075】
次に、
図4を用いて、制御部60による実行制御について説明する。
図4に示すフローは、
図2に示すフローが実行された後に常時実行される。
【0076】
図4に示すステップS20において、制御部60は、現在時刻tが深夜電力時間帯であるか否かを判定する。制御部60は、現在時刻tが深夜電力時間帯であると判定した場合(ステップS20で「YES」)、ステップS21に移行する。一方、制御部60は、現在時刻tが深夜電力時間帯でないと判定した場合(ステップS20で「NO」)、ステップS24に移行する。
【0077】
図4に示すステップS21において、制御部60は、「現在の蓄電残量-(蓄電容量×放電閾値)≧目標蓄電残量」であるか否かを判定する。ここで、「目標蓄電残量」は、
図2に示す計画制御フローにおいて決定されたものである。制御部60は、「現在の蓄電残量-(蓄電容量×放電閾値)≧目標蓄電残量」であると判定した場合(ステップS21で「YES」)、ステップS22に移行する。一方、制御部60は、「現在の蓄電残量-(蓄電容量×放電閾値)≧目標蓄電残量」でないと判定した場合(ステップS21で「NO」)、ステップS23に移行する。
【0078】
なお、ステップS21で「YES」の場合とは、蓄電池20に蓄電されている電力のうち放電可能な電力量(以下、「放電可能残量」という)が、目標蓄電残量以上であることを示している。一方、ステップS21で「NO」の場合とは、蓄電池20に蓄電されている電力のうち放電可能な電力量が、目標蓄電残量未満であることを示している。
【0079】
図4に示すステップS22において、制御部60は、蓄電池20のモードを第二モードに設定する。これにより、蓄電池20は、放電可能残量が目標蓄電残量となるように、系統電源Sからの電力(深夜電力)を充電する。制御部60は、当該ステップS22の処理を行った後、
図4に示す実行制御フローを終了する。
【0080】
このようにして、ステップS22においては、「合計余剰電力量>蓄電可能量」でない場合(翌日の余剰電力によって蓄電池20を満充電にできないと見込まれる場合、ステップS17で「NO」)、目標蓄電残量は蓄電可能量とされているので(ステップS19)、系統電源Sからの電力(深夜電力)が蓄電池20に満充電となるまで充電される。一方、「合計余剰電力量>蓄電可能量」である場合(翌日の余剰電力によって蓄電池20を満充電にできると見込まれる場合、ステップS17で「YES」)、目標蓄電残量は早朝時間帯の合計消費電力量とされているので(ステップS18)、系統電源Sからの電力(深夜電力)が蓄電池20に満充電となるまで充電されるわけではなく、早朝時間帯の合計消費電力量のみ充電される。
【0081】
一方、
図4に示すステップS23において、制御部60は、蓄電池20のモードを待機モードに設定する。これにより、蓄電池20は、充放電を行わない。制御部60は、当該ステップS22の処理を行った後、
図4に示す実行制御フローを終了する。
【0082】
このようにして、蓄電池20の放電可能残量(蓄電池20に蓄電されている電力のうち放電可能な電力量)は、深夜電力時間において目標蓄電残量が常に確保される。
【0083】
図4に示すステップS24において、制御部60は、蓄電池20のモードを第一モードに設定する。これにより、蓄電池20は、余剰電力があれば当該余剰電力を充電し、電力需要に対して電力が不足している場合は放電を行う。制御部60は、当該ステップS24の処理を行った後、ステップS25に移行する。
【0084】
図4に示すステップS25において、制御部60は、現在時刻tが早朝時間帯(充電終了時刻から余剰発生時刻(余剰発生時間帯の開始時刻)まで)であるか否かを判定する。制御部60は、現在時刻tが早朝時間帯であると判定した場合(ステップS25で「YES」)、ステップS26に移行する。一方、制御部60は、現在時刻tが早朝時間帯でないと判定した場合(ステップS25で「NO」)、ステップS28に移行する。
【0085】
図4に示すステップS26において、制御部60は、「合計余剰電力量>蓄電可能量+(蓄電容量×10%)」であるか否かを判定する。制御部60は、「合計余剰電力量>蓄電可能量+(蓄電容量×10%)」であると判定した場合(ステップS26で「YES」)、ステップS27に移行する。一方、制御部60は、「合計余剰電力量>蓄電可能量+(蓄電容量×10%)」でないと判定した場合(ステップS26で「NO」)、
図4に示す実行制御フローを終了する。
【0086】
なお、ステップS26で「YES」の場合とは、放電閾値を1段階下げても蓄電池20を満充電にできるだけの余剰電力が存在することを示している。一方、ステップS26で「NO」の場合とは、放電閾値を1段階下げると余剰電力では蓄電池20を満充電にできないことを示している。
【0087】
図4に示すステップS27において、制御部60は、放電閾値を1段階下げる処理を行う。この処理において、制御部60は、例えば現在の放電閾値が30%である場合、放電閾値を20%に変更する(下げる)。制御部60は、当該ステップS27の処理を行った後、
図4に示す実行制御フローを終了する。
【0088】
このように、余剰電力の充電が見込める場合に放電閾値を下げることにより、蓄電池20の充放電量を拡大することができるため、負荷Hの早朝時間帯における消費電力を、蓄電池20からの電力で賄い易くすることができ、ひいては系統電源Sからの買電量を減らすことができる。
【0089】
一方、
図4に示すステップS28において、制御部60は、「放電閾値<設定値(30%)」であるか否かを判定する。ここでいう「設定値」は、住宅の住人によって予め(
図4に示す実行制御の前に)設定される放電閾値であって、本実施形態では30%とする。制御部60は、「放電閾値<設定値(30%)」であると判定した場合(ステップS28で「YES」)、ステップS29に移行する。一方、制御部60は、「放電閾値<設定値(30%)」でないと判定した場合(ステップS28で「NO」)、
図4に示す実行制御フローを終了する。
【0090】
図4に示すステップS29において、制御部60は、放電閾値を設定値(30%)に戻す処理を行う。これにより、非常時に備えて十分な電力を蓄電池20に確保することができる。制御部60は、当該ステップS29の処理を行った後、
図4に示す実行制御フローを終了する。
【0091】
このように、本実施形態に係る電力供給システム1においては、
図2に示す計画制御フローを実行することによって、給湯器50の稼動時間を余剰電力が十分に存在する時間帯にシフトさせることができる(
図2に示すステップS15)。そうすることで、太陽光発電部10の発電電力の自家消費率を向上させることができる。これにより、深夜電力の買電単価より太陽光発電部10で発電された電力の売電単価が低い場合、光熱費の低減を図ることができる。
【0092】
また、本実施形態に係る電力供給システム1においては、翌日に比較的多くの余剰電力が見込める場合(ステップS17で「YES」)、深夜電力時間帯において、早朝時間帯の電力需要分のみ深夜電力が蓄電池20に充電される(ステップS18)。これにより、深夜電力の買電量を減らすとともに余剰電力の蓄電池20への充電量を増やすことができる。そうすることで、太陽光発電部10の発電電力の自家消費率を向上させることができる。また、深夜電力の買電単価より太陽光発電部10で発電された電力の売電単価が低い場合、光熱費の低減を図ることができる。
【0093】
一方、翌日に比較的多くの余剰電力が見込めない場合(ステップS17で「NO」)、深夜電力時間帯において、満充電となるように系統電源Sからの電力(深夜電力)が蓄電池20に充電される(ステップS18)。これにより、昼間に系統電源Sからの電力を充電するのに比べて、光熱費を低減することができる。
【0094】
また、本実施形態に係る電力供給システム1においては、蓄電池20の放電閾値を1段階下げても蓄電池20を満充電にできるだけの余剰電力が見込める場合(ステップS26で「YES」)、蓄電池20の放電閾値は1段階下げられる。これにより、蓄電池20の充放電量を拡大することができるため、負荷Hの早朝時間帯における消費電力を、蓄電池20からの電力で賄い易くすることができ、ひいては系統電源Sからの買電量を減らすことができる。また、急激に負荷Hの消費電力が上昇した場合であっても、蓄電池20の充電電力で対応可能である。
【0095】
以上の如く、本実施形態に係る電力供給システム1は、自然エネルギーを利用して発電可能な太陽光発電部10(発電部)と、電力を充放電可能な蓄電池20と、電力を消費して熱を発生させ蓄える給湯器50(熱発生装置)と、前記蓄電池20及び前記給湯器50の動作を制御する制御部(ハイブリッドパワコン30及び制御部60)と、を具備し、前記制御部は、前記太陽光発電部10で発電された電力のうち負荷Hによる電力需要に対して余剰する余剰電力を算出し、当該余剰電力に基づいて前記蓄電池20及び前記給湯器50の運転方法を決定する運転方法決定制御(
図2に示す計画制御及び
図4に示す実行制御)を行うものである。
このように構成されることにより、太陽光発電部10で発電された電力の消費の拡大を図ることができる。
【0096】
また、前記制御部は、前記運転方法決定制御において、前記余剰電力に基づいて前記給湯器50の運転を行う時間を決定するものである。
このように構成されることにより、給湯器50の運転のために太陽光発電部10で発電された電力を消費ことができる。
【0097】
また、前記制御部は、前記運転方法決定制御において、前記余剰電力によって前記給湯器50の消費電力を賄える第一の時間帯(ゼロフラグが設定されていない運転開始時刻における稼動時間)がある場合、当該第一の時間帯に前記給湯器50の運転を行うものである。
このように構成されることにより、太陽光発電部10で発電された電力だけで給湯器50の運転を行うことができる。
【0098】
また、前記制御部は、前記運転方法決定制御において、前記第一の時間帯のうち、所定期間(余剰電力が発生する時間帯)の前記余剰電力の合計である合計余剰電力量が最も大きい第二の時間帯(優先ポイントが大きい運転開始時刻における稼動時間)に前記給湯器50の運転を行うものである。
このように構成されることにより、給湯器50の運転のために系統電源Sからの電力を購入してしまうという状況が生じるのを抑制することができる。
【0099】
また、前記熱発生装置は給湯器50であり、前記制御部は、前記運転方法決定制御において、前記第二の時間帯が複数存在する場合、前記第二の時間帯のうち前記給湯器50によって発生される熱の需要が多い時間帯(夕方の時間帯)に最も近い第三の時間帯に前記給湯器50の運転を行うものである。
このように構成されることにより、給湯器50の放熱損失を抑制することができる。
【0100】
また、前記制御部は、前記運転方法決定制御において、前記余剰電力の合計である合計余剰電力量が蓄電可能量(所定電力量)より多い場合(
図2に示すステップS17で「YES」)、当該余剰電力が発生する時間帯の前の深夜電力時間帯において、系統電源Sからの電力を前記蓄電池20の蓄電残量が早朝時間帯の合計消費電力量(蓄電池20の最大容量よりも少ない第一の蓄電残量)となるように当該蓄電池20に充電する(
図2に示すステップS18及び
図4に示すステップS22)ものである。
このように構成されることにより、余剰電力が比較的多い場合、余剰電力が比較的少ない場合よりも蓄電池20への深夜電力の充電量を少なくすることで、余剰電力を蓄電池20の充電に用いることができる。
【0101】
また、前記蓄電池20は、放電閾値が設定されており、蓄電残量が当該放電閾値まで低下すると放電を不可とするように構成され、前記制御部は、前記運転方法決定制御において、前記放電閾値を所定閾値まで(1段階)下げても前記合計余剰電力量によって前記蓄電池20を最大容量まで充電可能であると判断した場合(
図4に示すステップS26で「YES」)、前記放電閾値を前記所定閾値まで(1段階)下げるものである。
このように構成されることにより、余剰電力が比較的多い場合に蓄電池20の充放電量を拡大することで、系統電源Sからの買電量を減らすことができる。また、急激に負荷Hの消費電力が上昇した場合であっても、蓄電池20の充電電力で対応可能である。
【0102】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0103】
例えば、本実施形態においては、電力供給システム1は住宅に設けられるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、オフィス等に設けられるものであってもよい。
【0104】
また、本実施形態において発電部は、太陽光を利用して発電する太陽光発電部10であるものとしたが、他の自然エネルギー(例えば、水力や風力)を利用して発電するものであってもよい。
【0105】
また、本実施形態においては、残容量レベルを10%刻みで下げるものとしたが(
図4に示すステップS27)、残容量レベルの下げ幅は、蓄電池20の仕様に応じて任意の値とすることができる。
【0106】
また、本実施形態においては、
図4に示す実行制御の前日に
図2に示す計画制御を行うものとしたが、
図2に示す計画制御を行う時期は、これに限定されるものではなく、
図4に示す実行制御の前の任意の時期とすることができる。
【0107】
また、本実施形態においては、
図4に示す実行制御の前に
図2に示す計画制御を行うものとしたが、当日にオンタイムで計画制御及び実行制御を同時に行うものとしてもよい。
【0108】
また、本実施形態においては、実行制御実行時(現在)の蓄電残量に応じてその都度蓄電池20の充電指示を行うものとしたが(
図4に示すステップS21、ステップS22及びステップS23)、
図2に示す計画制御において予め蓄電池20の運転スケジュールを決定してもよい。
【0109】
また、本実施形態においては、
図2に示す計画制御において、給湯器50の運転方法を決定した後に蓄電池20の運転方法を決定するものとしたが、蓄電池20の運転方法を決定した後に給湯器50の運転方法を決定するものとしてもよい。この場合、まず、ステップS12で得られた余剰電力量の予測値に基づいて蓄電池20の目標蓄電残量を決定する。これにより、太陽光発電部10で発電された電力の蓄電池20への充電量が算出されるので、これを考慮して余剰電力量を更新し(ステップS12で予測した余剰電力量から、算出された前記充電量を除く処理を行い)、更新された余剰電力量に基づいて給湯器50の稼動時間を決定する。
【0110】
なお、深夜電力の買電単価と太陽光発電部10で発電された電力の売電単価との比較及び料金プランに基づいて、運転方法決定制御(
図2に示す計画制御及び
図4に示す実行制御)を実行するかしないかを決定するものとしてもよい。
【0111】
具体的には、
図5に示すように、深夜電力買電単価(深夜買電単価)>太陽光発電部10で発電された電力の売電単価(PV売電単価)である場合に、運転方法決定制御(
図2に示す計画制御及び
図4に示す実行制御)を実行するようにしてもよい。この場合に運転方法決定制御(
図2に示す計画制御及び
図4に示す実行制御)を実行することにより、太陽光発電部10で発電された電力の消費を拡大して深夜電力の買電量を減らすことができるので、光熱費を低減することができる。また、深夜電力買電単価(深夜買電単価)<太陽光発電部10で発電された電力の売電単価(PV売電単価)である場合には、深夜電力を優先して蓄電池20の充電を行う(すなわち、一日中余剰電力が発生しない想定で運転方法決定制御を実行する)ものとしてもよい。
【0112】
また、日によって時間帯別料金と従量料金とが混在する時間帯別従量混在プランの場合、蓄電池20のモードを電力料金体系に応じて第一モード又は待機モードとしてもよい。また、従量電灯の場合、蓄電池20のモードを電力単価に応じて第一モード又はバックアップモード(放電を行わないモード)としてもよい。また、電気式給湯器とハイブリッド式給湯器とでは稼働時間と消費電力が異なるため、給湯器50が電気式給湯器であるかハイブリッド式給湯器であるかによって、運転方法決定制御(
図2に示す計画制御及び
図4に示す実行制御)を実行するか否かを変更するようにしてもよい。
【0113】
以上の如く、前記制御部は、深夜電力の買電単価と前記太陽光発電部10で発電された電力の売電単価との比較に基づいて、前記運転方法決定制御を実行するかしないかを決定するものである。
このように構成されることにより、光熱費の低減を図ることができる。
【符号の説明】
【0114】
1 電力供給システム
10 太陽光発電部
20 蓄電池
50 給湯器
60 制御部