IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日本触媒の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】油面用粘着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/04 20060101AFI20230915BHJP
   C09J 139/04 20060101ALI20230915BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20230915BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20230915BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20230915BHJP
【FI】
C09J133/04
C09J139/04
C09J11/08
C09J11/06
C09J7/38
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019232386
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021100988
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】100141472
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 善弘
(72)【発明者】
【氏名】野田 信久
【審査官】藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特許第6525098(JP,B2)
【文献】特開平11-315270(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0273362(US,A1)
【文献】国際公開第2019/151194(WO,A1)
【文献】特開2015-78278(JP,A)
【文献】特開2015-40215(JP,A)
【文献】特開平10-60388(JP,A)
【文献】特開平7-26218(JP,A)
【文献】特開2018-168387(JP,A)
【文献】特開2014-105249(JP,A)
【文献】特開2020-125386(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00- 5/10
C09J 7/00- 7/50
C09J 9/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アルキル基の炭素数が9~18であるアルキル(メタ)アクリレート30~95質量%と、(B)窒素系複素環含有モノマー0.3~20質量%と、(C)水酸基含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基含有モノマー0.1~5質量%とを含有するモノマー成分を重合させてなる(メタ)アクリル系ポリマーを含有する油面用粘着剤用樹脂組成物。
【請求項2】
前記モノマー成分が(D)脂肪族環骨格を有する脂環式(メタ)アクリレートを含有する請求項1に記載の油面用粘着剤用樹脂組成物。
【請求項3】
さらに水素化石油樹脂を含有してなる請求項1または2に記載の油面用粘着剤用樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の油面用粘着剤用樹脂組成物および硬化剤として架橋剤を含有してなり、前記(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)100質量部あたりの架橋剤の量が0.01~10質量部である油面用粘着剤。
【請求項5】
基材の少なくとも一方の表面に請求項4に記載の油面用粘着剤で形成されてなる粘着剤層を有する油面用感圧性粘着シート。
【請求項6】
油面用感圧性粘着シートが使用される被着体が、表面に油脂が付着している金属板である請求項5に記載の油面用感圧性粘着シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油面用粘着剤に関する。さらに詳しくは、本発明は、金属表面に塗布された防錆油、金属表面に付着している機械油などを除去することなく、貼付可能であり、油面に対する接着性に優れている油面用感圧性粘着シート、当該油面用感圧性粘着シートに好適に使用することができる油面用粘着剤、および当該油面用粘着剤に好適に使用することができる油面用粘着剤用樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
金属表面に塗布された防錆油や付着している機械油などを除去することなく貼付可能であり、油面接着性に優れている油面用感圧性粘着シートとして、(a)アルキル基の炭素数10~18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位50~99.99重量%、(b)これと共重合しうる単量体単位0~45重量%および(c)少なくとも2個の重合性不飽和二重結合を有する架橋性単量体単位0.01~5重量%からなる共重合体を粘着層とする油面用感圧性粘着シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。前記油面用感圧性粘着シートは、油面接着性に優れ、金属表面に塗布された防錆油、金属表面に付着している機械油などを除去することなく貼付することができるという効果を奏するとしている。
【0003】
しかし、近年、ステンレス鋼板などの金属板に対する粘着性、防錆油、機械油などの油分が付着しているステンレス鋼板などの金属板に対する粘着性、被着体に貼付した後に剥離したときに粘着剤層が当該被着体に残りがたい性質および防錆油、機械油などの油分が付着している曲面に対する粘着性に総合的に優れている粘着剤層を有する油面用感圧性粘着シートの開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-26218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、ステンレス鋼板などの金属板などの被着体に対する粘着性、防錆油、機械油などの油分が付着しているステンレス鋼板などの金属板などの被着体に対する粘着性、被着体に貼付した後に剥離したときに粘着剤層が当該被着体に残りがたい性質および防錆油、機械油などの油分が付着している被着体の曲面に対する粘着性に総合的に優れている粘着剤層を有する油面用感圧性粘着シート、当該油面用感圧性粘着シートに好適に使用することができる油面用粘着剤、および当該油面用粘着剤に好適に使用することができる油面用粘着剤用樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
(1) (A)アルキル基の炭素数が9~18であるアルキル(メタ)アクリレートと、(B)窒素系複素環含有モノマーと、(C)水酸基含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基含有モノマーとを含有するモノマー成分を重合させてなる(メタ)アクリル系ポリマーを含有する油面用粘着剤用樹脂組成物、
(2) 前記モノマー成分が(D)脂肪族環骨格を有する脂環式(メタ)アクリレートを含有する前記(1)に記載の油面用粘着剤用樹脂組成物、
(3) さらに水素化石油樹脂を含有してなる前記(1)または(2)に記載の油面用粘着剤用樹脂組成物、
(4) 前記(1)~(3)のいずれかに記載の油面用粘着剤用樹脂組成物および硬化剤を含有してなる油面用粘着剤、および
(5) 基材の少なくとも一方の表面に前記(4)に記載の油面用粘着剤で形成されてなる粘着剤層を有する油面用感圧性粘着シート
に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ステンレス鋼板などの金属板などの被着体に対する粘着性、防錆油、機械油などの油分が付着しているステンレス鋼板などの金属板などの被着体に対する粘着性(以下、油面粘着性という)、被着体に貼付した後に剥離したときに粘着剤層が当該被着体に残りがたい性質(以下、再剥離性という)および防錆油、機械油などの油分が付着している被着体の曲面に対する粘着性(以下、曲面粘着性という)に総合的に優れている粘着剤層を有する油面用感圧性粘着シート、当該油面用感圧性粘着シートに好適に使用することができる油面用粘着剤、および当該油面用粘着剤に好適に使用することができる油面用粘着剤用樹脂組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の油面用粘着剤用樹脂組成物は、前記したように、(A)アルキル基の炭素数が9~18であるアルキル(メタ)アクリレートと、(B)窒素系複素環含有モノマーと、(C)水酸基含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基含有モノマーとを含有するモノマー成分を重合させてなる(メタ)アクリル系ポリマーを含有する。本発明の油面用粘着剤は、前記構成要件を有することから、ステンレス鋼板などの金属板などの被着体に対する粘着性、油面粘着性、再剥離性および曲面粘着性に総合的に優れている粘着剤層を有する。
【0009】
なお、本発明において、「(メタ)アクリレ-ト」は、「アクリレ-ト」または「メタクリレ-ト」を意味し、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」または「メタクリル」を意味する。
【0010】
本発明に用いられるモノマー成分は、前記したように、(A)アルキル基の炭素数が9~18であるアルキル(メタ)アクリレートと、(B)窒素系複素環含有モノマーと、(C)水酸基含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基含有モノマーとを含有する。
【0011】
アルキル基の炭素数が9~18であるアルキル(メタ)アクリレートは、当該アルキル(メタ)アクリレートのエステル部のアルキル基の炭素数が9~18であるアルキル(メタ)アクリレートである。アルキル基の炭素数が9~18であるアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、へプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアルキル(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらのアルキル(メタ)アクリレートのなかでは、金属板などの被着体に対する粘着性、油面粘着性、再剥離性および曲面粘着性に総合的に優れる粘着剤層を形成する観点から、アルキル基の炭素数が9~15であるアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、アルキル基の炭素数が9~12であるアルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0012】
モノマー成分におけるアルキル基の炭素数が9~18であるアルキル(メタ)アクリレートの含有率は、再剥離性および曲面粘着性を向上させる観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、さらに一層好ましくは60質量%以上であり、金属板などの被着体に対する粘着性、油面粘着性および曲面粘着性を向上させる観点から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは85質量%以下である。
【0013】
窒素系複素環含有モノマーは、エチレン性不飽和二重結合および窒素原子を有する複素環を含有するモノマーである。本発明の油面用粘着剤は、モノマー成分に窒素系複素環含有モノマーが含有されているので、粘着剤と被着体との粘着性を向上させる性質に優れている。
【0014】
窒素系複素環含有モノマーとしては、例えば、N-メチルビニルピロリドン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドン、N-( メタ)アクリロイルピロリドン、カプロラクタムなどのビニルラクタム系モノマー、ピリジン、モルフォリン、ピリミジン、ピペラジン、マレイミド、フタルイミド、カルバゾール、オキサゾリンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの窒素系複素環含有モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの窒素系複素環含有モノマーのなかでは、金属板などの被着体に対する粘着性、油面粘着性、再剥離性および曲面粘着性に総合的に優れる粘着剤層を形成する観点から、ビニルラクタム系モノマーが好ましく、N-ビニル-2-ピロリドンがより好ましい。
【0015】
モノマー成分における窒素系複素環含有モノマーの含有率は、金属板などの被着体に対する粘着性を向上させる観点から、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、油面粘着性を向上させる観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
【0016】
また、アルキル基の炭素数が9~18であるアルキル(メタ)アクリレート100質量部あたりの窒素系複素環含有モノマーの量は、金属板などの被着体に対する粘着性、油面粘着性、再剥離性および曲面粘着性に総合的に優れる粘着剤層を形成する観点から、好ましくは0.5~25、より好ましくは1~20である。
【0017】
官能基含有モノマーは、水酸基含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種を含有する。したがって、水酸基含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの官能基含有モノマーのなかでは、金属板などの被着体に対する粘着性、油面粘着性、再剥離性および曲面粘着性に総合的に優れる粘着剤層を形成する観点から、官能基含有モノマーとして水酸基含有モノマーを用いることが好ましい。
【0018】
水酸基含有モノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのエステル部の炭素数が2~4であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの水酸基含有モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの水酸基含有モノマーのなかでは、金属板などの被着体に対する粘着性、油面粘着性、再剥離性および曲面粘着性に総合的に優れる粘着剤層を形成する観点から、ヒドロキシアルキル基の炭素数が2~4であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートおよびカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0019】
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの水カルボキシル基含有モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。カルボキシル基含有モノマーのなかでは、金属板などの被着体に対する粘着性、油面粘着性、再剥離性および曲面粘着性に総合的に優れる粘着剤層を形成する観点から、(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0020】
モノマー成分における官能基含有モノマーの含有率は、金属板などの被着体に対する粘着性、油面粘着性、再剥離性および曲面粘着性に総合的に優れる粘着剤層を形成する観点から、好ましくは0.1~5質量%、より好ましくは0.3~3質量%、さらに好ましくは0.5~1.5質量%である。
【0021】
なお、モノマー成分には、金属板などの被着体に対する粘着性、再剥離性および曲面粘着性を向上させる観点から、脂肪族環骨格を有する脂環式(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。
【0022】
脂肪族環骨格を有する脂環式(メタ)アクリレートの代表例として、脂環構造を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。脂環構造を有する(メタ)アクリレートの脂環構造は、好ましくは炭素数が4~20のシクロアルキル基、より好ましくは炭素数が4~10のシクロアルキル基である。脂環構造を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、シクロアルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキルアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。また、これらの単量体は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、メチル基、tert-ブチル基などのアルキル基、ニトロ基、ニトリル基、アルコキシル基、アシル基、スルホン基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0023】
シクロアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル基の炭素数が好ましくは4~20、より好ましくは4~10のシクロアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのシクロアルキル(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0024】
シクロアルキルアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、4-メチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル基の炭素数が好ましくは4~20、より好ましくは4~10であり、アルキル基の炭素数が1~4であるシクロアルキルアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらのシクロアルキルアルキル(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0025】
脂肪族環骨格を有する脂環式(メタ)アクリレートのなかでは、炭素数が4~20のシクロアルキル基を有するシクロアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数が4~10のシクロアルキル基を有するシクロアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく、イソボルニル(メタ)アクリレートおよびシクロヘキシル(メタ)アクリレートがさらに好ましく、シクロヘキシル(メタ)アクリレートがさらに一層好ましい。
【0026】
モノマー成分における脂肪族環骨格を有する脂環式(メタ)アクリレートの含有率の下限値は、0質量%であるが、金属板などの被着体に対する粘着性、油面粘着性および曲面粘着性を向上させる観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%、さらに一層好ましくは20質量%以上であり、当該含有率の上限値は、金属板などの被着体に対する再剥離性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、さらに一層好ましくは35質量%以下である。
【0027】
なお、モノマー成分には、本発明の目的を阻害しない範囲内で、前記したモノマー以外の他のモノマー(以下、単に「他のモノマー」という)が含まれていてもよい。
【0028】
他のモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどのアルキル基の炭素数が1~8であるアルキル(メタ)アクリレート;2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、酢酸イソプロペニルなどのビニル系単量体;マレイン酸、フマル酸などの不飽和二塩基酸およびその誘導体;スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o-エチルスチレン、m-エチルスチレン、p-エチルスチレン、ジメチルスチレン、tert-メチルスチレン、α-クロロスチレン、β-クロロスチレンなどのスチレン系モノマー;マレイミド、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-プロピルマレイミド、N-イソプロピルマレイミド、N-ブチルマレイミド、N-sec-ブチルマレイミド、N-tert-ブチルマレイミド、N-アミルマレイミド、N-ヘキシルマレイミド、N-ヘプチルマレイミド、N-オクチルマレイミド、N-ノニルマレイミド、N-デシルマレイミド、N-デシルマレイミド、N-ウンデシルマレイミド、N-ドデシルマレイミド(N-ラウリルマレイミド)、N-トリデシルマレイミド、N-テトラデシルマレイミド、N-ペンタデシルマレイミド、N-ヘキサデシルマレイミド、N-ヘプタデシルマレイミド、N-オクタデシルマレイミド(N-ステアリルマレイミド)、N-ノナデシルマレイミド、N-アリルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-ヒドロキシフェニルマレイミド、N-メチルフェニルマレイミド、N-ジメチルフェニルマレイミド、N-エチルフェニルマレイミド、N-ジエチルフェニルマレイミド、N-フェニルメチルマレイミド、N-メトキシフェニルマレイミド、N-クロロフェニルマレイミド、N-ジクロロフェニルマレイミド、N-トリクロロフェニルマレイミド、N-トリブロモフェニルマレイミドなどのマレイミド基含有モノマーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの他のモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0029】
また、モノマー成分には、本発明の目的を阻害しない範囲内で架橋性モノマーが含まれていてもよい。架橋性モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート〔(メタ)アクリル酸3,4-エポキシシクロヘキシルメチル〕、モノグリシジルイタコネート〔イタコン酸モノグリシジルエステル〕、モノグリシジルブテントリカルボネート〔ブテントリカルボン酸モノグリシジルエステル〕などの不飽和カルボン酸グリシジルエステル;ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジルオキシエチルビニルエーテルなどのビニル基含有グリシジルエーテル;1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどのアルキル基の炭素数が3~8のアルキルジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノヒドロキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(モノヒドロキシ)ペンタ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、ジビニルベンゼン、フタル酸ジアリル、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、プロピレンオキシド変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0030】
モノマー成分を重合させる際には、重合開始剤を用いることが好ましい。重合開始剤の量を適宜調整することにより、得られる(メタ)アクリル系ポリマーの分子量を容易に調整することができる。一般に、重合開始剤の量を少なくすると重合反応時間が長くなる傾向があるが、得られる(メタ)アクリル系ポリマーの分子量を高くすることができ、重合開始剤の量を多くすると重合反応時間が短くなる傾向にあるが、得られる(メタ)アクリル系ポリマーの分子量が低くなる。
【0031】
重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)などのアゾ化合物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩;過酸化水素、ベンゾイルパ-オキサイド〔例えば、日油(株)製、商品名:ナイパー(登録商標)BMT-K40など〕、パラクロロベンゾイルパ-オキサイド、ラウロイルパ-オキサイド、過酸化アンモニウムなどの過酸化物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0032】
モノマー成分100質量部あたりの重合開始剤の量は、重合速度を高め、未反応のモノマー成分の残存量を低減させるとともに、得られる(メタ)アクリル系ポリマーの分子量を制御する観点から、好ましくは0.1質量部以上であり、得られる(メタ)アクリル系ポリマーの分子量を高める観点から、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。
【0033】
重合開始剤をモノマー成分に含有させる方法は、特に限定されない。その含有方法としては、例えば、一括仕込み、分割仕込み、連続滴下などが挙げられる。
【0034】
なお、重合開始剤の分解を促進するために、例えば、亜硫酸水素ナトリウムなどの還元剤、硫酸第一鉄などの遷移金属塩などの重合開始剤の分解剤を反応系内に適量で添加してもよい。
【0035】
また、生成する(メタ)アクリル系ポリマーの分子量を調整するために、連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤としては、例えば、チオグリコ-ル酸2-エチルヘキシル、tert-ドデシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2-メルカプトエタノ-ル、α-メチルスチレン、α-メチルスチレンダイマ-などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの連鎖移動剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0036】
モノマー成分を重合させる方法としては、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合法のなかでは、(メタ)アクリル系ポリマーを容易に調製することができることから、溶液重合法が好ましい。
【0037】
モノマー成分を溶液重合法によって重合させる場合に使用される溶媒としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコールなどのアルコール系溶媒;プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブなどのエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコールなどのケトン系溶媒;ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒などの有機溶媒が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。溶媒の量は、モノマー成分および重合開始剤を十分に溶解させるとともに、モノマー成分を効率よく反応させることができる量であればよく、特に限定されないが、通常、モノマー成分100質量部あたり、30~300質量部程度である。
【0038】
モノマー成分を重合させる際の雰囲気は、特に限定されないが、空気中に含まれる酸素などによる影響を回避する観点から、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスであることが好ましい。また、モノマー成分を重合させる際の雰囲気は、通常、大気圧であるが、必要により減圧また加圧されていてもよい。
【0039】
モノマー成分を重合させる際の重合反応温度は、特に限定がないが、通常、好ましくは50~150℃、より好ましくは60~100℃である。重合温度は、一定であってもよく、重合反応の途中で変化させてもよい。
【0040】
モノマー成分の重合反応時間は、特に限定がなく、重合反応の進行状況に応じて適宜設定すればよいが、通常、2~20時間程度である。
【0041】
以上のようにしてモノマー成分を重合させることにより、(メタ)アクリル系ポリマーを含有する油面用粘着剤用樹脂組成物が得られる。
【0042】
前記油面用粘着剤用樹脂組成物に含まれている(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、金属板などの被着体に対する粘着性、油面粘着性、再剥離性および曲面粘着性に総合的に優れる粘着剤層を形成する観点から、30万~100万であることが好ましく、40万~80万であることがより好ましい。
【0043】
なお、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー〔東ソー(株)製、品番:HLC-8220GPC、カラム:TSKgel Super HZM-Hの2本を直列に使用〕を用い、抽出溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、試料濃度を0.2質量%の試料の流量を0.35mL/minに調整し、試料の注入量を10μL/回に調整して測定された重量平均分子量(ポリスチレン換算)を意味する。
【0044】
前記(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度は、金属板などの被着体に対する粘着性、油面粘着性、再剥離性および曲面粘着性に総合的に優れる粘着剤層を形成する観点から、好ましくは-80~-10℃、より好ましくは-70~-15℃、さらに好ましくは-60~-20℃である。
【0045】
前記(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)のガラス転移温度は、当該(メタ)アクリル系ポリマーの原料として用いられるモノマー成分に含まれる単量体を重合させてなる単独重合体のガラス転移温度(Tg)(絶対温度:K)と単量体の質量分率から、式(I):
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+W3/Tg3+・・・+Wn/Tgn (I)
〔式中、Tgは、求めようとしている(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(K)、W1、W2、W3・・・・Wnは、それぞれ各単量体の質量分率、Tg1、Tg2、Tg3・・・・Tgnは、それぞれ各単量体の質量分率に対応する単量体を重合させてなる単独重合体のガラス転移温度(K)を示す〕
で表されるフォックス(Fox)の式に基づいて求めることができる。なお、(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)のガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量測定装置)、DTA(示差熱分析装置)、TMA(熱機械測定装置)によって測定することもできる。
【0046】
本発明においては、前記(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)のガラス転移温度は、式(I)に基づいて求められたガラス転移温度である。したがって、以下の実施例においては、前記(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)のガラス転移温度は、重合させる際に用いられるモノマー成分における各単量体の質量分率とこれに対応する単量体の単独重合体のガラス転移温度から求められたガラス転移温度を意味する。
【0047】
なお、特殊単量体、多官能単量体などのようにガラス転移温度が不明の単量体については、モノマー成分における当該ガラス転移温度が不明の単量体の合計含有率が10質量%以下である場合には、ガラス転移温度が判明している単量体のみを用いてガラス転移温度が求められる。また、モノマー成分におけるガラス転移温度が不明の単量体の合計含有率が10質量%を超える場合には、モノマー成分を重合させることによって得られた重合体のガラス転移温度を示差走査熱量分析(DSC)、示差熱量分析(DTA)、熱機械分析(TMA)などで測定することによって求められる。
【0048】
単独重合体のガラス転移温度は、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレートの単独重合体では-15℃、シクロヘキシルアクリレートの単独重合体では15℃、イソノニルアクリレートの単独重合体では-58℃、ラウリルメタクリレートの単独重合体では-65℃、N-ビニル-2-ピロリドンの単独重合体では180℃、2-エチルヘキシルアクリレートの単独重合体では-70℃である。
【0049】
前記(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)のガラス転移温度は、モノマー成分に用いられる単量体の種類およびその量を適宜調整することにより、容易に調節することができる。
【0050】
前記で得られた(メタ)アクリル系ポリマーを含有する油面用粘着剤用樹脂組成物は、油面用粘着剤に好適に使用することができる。本発明の油面用粘着剤は、油面用粘着剤用樹脂組成物および当該油面用粘着剤用樹脂組成物の硬化剤を含有するものであり、例えば、油面用粘着剤用樹脂組成物および硬化剤を混合することにより、容易に調製することができる。
【0051】
硬化剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、三フッ化ホウ素アミン錯塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの硬化剤のなかでは、金属板などの被着体に対する粘着性、油面粘着性、再剥離性および曲面粘着性に総合的に優れる粘着剤層を形成する観点から、イソシアネート系架橋剤が好ましい。
【0052】
イソシアネート系架橋剤の代表例として、多官能イソシアネートなどが挙げられる。多官能イソシアネートは、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物である。多官能イソシアネートは、金属板などの被着体に対する粘着性、油面粘着性、再剥離性および曲面粘着性に総合的に優れる粘着剤層を形成する観点から、好適に使用することができる。
【0053】
多官能イソシアネートとしては、例えば、ジイソシアネート化合物、アダクトポリイソシアネート化合物、ビュレットポリイソシアネート化合物、イソシアヌレート環を有するポリイソシアネート化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのイソシアネート系架橋剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0054】
ジイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネート、2,4-トリジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、1,2-エチレンジイソシアネート、1,4-ブチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、水素化キシリレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのイソシアネート系架橋剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0055】
アダクトポリイソシアネート化合物としては、例えば、住友バイエルウレタン(株)製、商品名:スミジュールL;東ソー(株)製、商品名:コロネートL-55E、コロネートL、コロネートHLなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのイソシアネート系架橋剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0056】
ビュレットポリイソシアネート化合物としては、例えば、住友バイエルウレタン(株)製、商品名:スミジュールNなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのイソシアネート系架橋剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0057】
イソシアヌレート環を有するポリイソシアネート化合物としては、例えば、バイエルA.G.社製、商品名:デスモジュールIL、デスモジュールHL;東ソー(株)製、商品名:コロネートEH、コロネートHX;三井化学(株)製、商品名:タケネートD110N、タケネートD120Nなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのイソシアネート系架橋剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0058】
また、架橋剤として、前記イソシアネート系架橋剤のイソシアネート基と活性水素を有するマスク剤とを反応させることによって不活性化させたブロックイソシアネートを用いてもよい。
【0059】
硬化剤の量は、硬化剤の種類などによって異なるので一概には決定することができないが、(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)100質量部あたりの架橋剤の量は、金属板などの被着体に対する粘着性、油面粘着性、再剥離性および曲面粘着性に総合的に優れる粘着剤層を形成する観点から、好ましくは0.01~10質量部、より好ましくは0.1~5質量部である。
【0060】
油面用粘着剤は、当該油面用粘着剤の用途、硬化剤の種類などに応じて種々の硬化条件で硬化させることができる。油面用粘着剤は、常温硬化型、加熱硬化型、紫外線硬化型または電子線硬化型として用いることができる。
【0061】
油面用粘着剤には、油面用粘着剤における不揮発分量を調整するために有機溶媒を適量で含有させてもよい。有機溶媒としては、前記モノマー成分を溶液重合法によって重合させる際に用いられる有機溶媒を例示することができる。
【0062】
油面用粘着剤における不揮発分含量は、生産性を向上させる観点から、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、取り扱い性を向上させる観点から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。
【0063】
なお、本明細書において、油面用粘着剤における不揮発分含量は、油面用粘着剤1gを秤量し、熱風乾燥機で150℃の温度で15分間乾燥させ、得られた残渣を不揮発分とし、式:
〔油面用粘着剤における不揮発分含量(質量%)〕
=(〔残渣の質量〕÷〔油面用粘着剤1g〕)×100
に基づいて求められた値を意味する。
【0064】
油面用粘着剤は、前記した成分以外の成分(以下、「他の成分」という)を含有していてもよい。前記他の成分としては、例えば、前記した樹脂以外の他の樹脂(以下、「他の樹脂」という)、添加剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの成分は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0065】
前記他の樹脂としては、例えば、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5/C9系石油樹脂などの水素化石油樹脂;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、ポリスチレン、スチレン-ブタジエンブロック共重合体、スチレン-エチレン-プロピレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体、これらの樹脂を不飽和カルボン酸で変性した変性体などのポリスチレン系樹脂;ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系樹脂;ポリアミドイミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリフェニレンオキシド系樹脂;ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドケトン、ポリフェニレンスルフィドスルホンなどのポリフェニレンスルフィド系樹脂;ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどのポリスルホン系樹脂;ポリN-ホルミルエチレンイミンなどのポリエーテルイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン系樹脂;ポリオキシメチレンなどのポリアセタール系樹脂;脂肪族ポリケトン、アセトン-ホルムアルデヒド樹脂、アセトン-フルフラール樹脂、環状ケトン樹脂などのケトンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの樹脂は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0066】
前記他の樹脂のなかでは、金属板などの被着体に対する粘着性、油面粘着性、再剥離性および曲面粘着性に総合的に優れる粘着剤層を形成する観点から、水素化石油樹脂が好ましい。水素化石油樹脂は、商業的に容易に入手することができるものであり、その例としては、荒川化学工業(株)製のアルコン(登録商標)Pシリーズ(例えば、アルコンP-100、アルコンP-115、アルコンP-125、アルコンP-140など)、アルコンMシリーズなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。(メタ)アクリル系ポリマー(不揮発分)100質量部あたりの水素化石油樹脂の量は、金属板などの被着体に対する粘着性、油面粘着性、再剥離性および曲面粘着性に総合的に優れる粘着剤層を形成する観点から、好ましくは5~50量部、より好ましくは10~40質量部である。
【0067】
添加剤としては、例えば、顔料などの着色剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、抗酸化剤、重合禁止剤、充填剤、カップリング剤、防錆剤、抗菌剤、金属不活性化剤、湿潤剤、消泡剤、界面活性剤、補強剤、可塑剤、潤滑剤、防曇剤、防食剤、顔料分散剤、流動調整剤、過酸化物分解剤、鋳型脱色剤、蛍光性増白剤、有機防炎剤、無機防炎剤、滴下防止剤、溶融流改質剤、静電防止剤、防藻剤、防カビ剤、難燃剤、スリップ剤、金属キレート剤、アンチブロッキング剤、耐熱安定剤、加工安定剤、分散剤、増粘剤、レオロジーコントロール剤、発泡剤、老化防止剤、防腐剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、成膜助剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの添加剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの添加剤の量は、当該添加剤の種類によって異なるので一概には決定することができないことから、当該添加剤の種類に応じて適宜決定することが好ましい。
【0068】
本発明の油面用粘着剤を基材の少なくとも一方の表面に塗布することにより、粘着剤層を有する油面用感圧性粘着シートを得ることができる。また、用途によっては被着体に直接的に本発明の油面用粘着剤を塗布することにより、被着体の表面上で粘着層を形成させてもよい。
【0069】
基材としては、例えば、紙類、繊維製品、樹脂シート、金属シートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0070】
紙類としては、例えば、上質紙、クラフト紙、クレープ紙、グラシン紙などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0071】
繊維製品としては、例えば、織布、不織布、布帛などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0072】
樹脂シートは、樹脂フィルムを包含する概念のものである。樹脂シートの原料として使用される樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、エチレン-プロピレン共重合体などのポリオレフィン;ポリビニルアルコール;ポリ塩化ビニリデン;塩化ビニル樹脂;塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体;酢酸ビニル樹脂;ポリアミド;ポリイミド系樹脂;セルロース;フッ素樹脂;ポリエーテル;ポリエーテルアミド;ポリエーテルニトリル;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリフェニレンサルファイド;ポリスチレンなどのポリスチレン系樹脂;ポリカーボネート;ポリエーテルスルホン;セロハンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの樹脂のなかでは、ポリエステルが好ましい。
【0073】
金属シートは、金属箔を包含する概念のものである。金属シートとしては、例えば、アルミニウムシート、銅シートなどが挙げられる。これらの金属シートのなかでは、銅シートが好ましい。
【0074】
油面用粘着剤で形成された粘着剤層は、例えば、基材の少なくとも一方表面に、油面用粘着剤を塗布することによって形成することができるほか、離型紙の表面に油面用粘着剤を塗布することによって形成させることができる。離型紙の表面に粘着層を有する油面用感圧性粘着シートを用いた場合、当該油面用感圧性粘着シートを被着体に貼り付けた後、粘着剤層から離型紙を剥離することにより、粘着層のみを被着体上に存在させることができる。
【0075】
本発明の油面用粘着剤を基材または離型紙に塗布する方法としては、例えば、ロールコーティング法、スプレーコーティング法、ディッピング法、リバース方式、ダイレクト方式、メタリングロール方式などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。また、本発明の油面用粘着剤を基材または離型紙に直接的に塗布してもよく、ローラなどの転写体に本発明の油面用粘着剤を塗布した後、転写体に付着している油面用粘着剤を基材または離型紙に転写してもよい。
【0076】
本発明の油面用粘着剤を基材または離型紙に塗布した後、必要に応じて油面用粘着剤を乾燥させることにより、粘着剤層を形成することができる。油面用粘着剤を乾燥させる場合、その乾燥温度および乾燥時間は、油面用粘着剤に含まれている硬化剤および溶媒の量などによって異なるので一概には決定することができないことから、当該硬化剤のおよび溶媒の量などに応じて適宜決定することが好ましい。
【0077】
粘着剤層の乾燥後の厚さは、特に限定されないが、通常、好ましくは5~50μm、より好ましくは20~40μmである。
【0078】
本発明の油面用感圧性粘着シートの粘着剤層の表面には剥離紙が貼付されていてもよい。剥離紙としては、例えば、シリコーン系剥離剤、長鎖アルキル系剥離剤、フッ素系剥離剤、硫化モリブデン系剥離剤などの剥離剤で表面処理されている紙、樹脂シートなどのシート、剥離性樹脂シートなどが挙げられる。剥離性樹脂シートに使用される樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン-フッ化ビニリデン共重合体などのフッ素系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。なお、剥離紙は、油面用感圧性粘着シートを使用する際に粘着層から剥離される。
【0079】
以上のようにして得られる油面用感圧性粘着シートは、本発明の油面用粘着剤で形成されている粘着剤層を有することから、金属板などの被着体に対する粘着性、油面粘着性、再剥離性および曲面粘着性に総合的に優れている。
【0080】
本発明の油面用感圧性粘着シートに適用することができる油成分としては、例えば、防錆油、機械油、潤滑油などの油脂が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの油脂のなかでも特に防錆油に対する粘着性、油面粘着性、再剥離性および曲面粘着性に総合的に優れていることから、防錆油を好適に使用することができる。
【0081】
また、本発明の油面用粘着剤に有機溶媒が使用されている場合、換言すれば、当該油面用粘着剤が有機溶媒系油面用粘着剤である場合、当該油面用粘着剤によって形成される粘着剤層が油脂との親和性に優れているので、金属板などの被着体に対する粘着性、油面粘着性、再剥離性および曲面粘着性を向上させることができることから、当該油面用粘着剤は、有機溶媒系油面用粘着剤であることが好ましい。
【0082】
本発明の油面用感圧性粘着シートは、表面に油脂が付着している金属板などの被着体に好適に使用することができるほか、例えば、コンデンサー素子の固定用、電気・電子部品の結束用、リチウムイオン電池の組み立て用、ディスプレイパネルの固定用、ディスプレイパネルの中間膜用などの用途に好適に使用することができる。また、本発明の油面用感圧性粘着シートは、リチウムイオン電池の電解液が接触するまたは接触する可能性がある部分などにも好適に使用することができる。
【実施例
【0083】
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0084】
実施例1
撹拌機、還流冷却器、滴下装置および温度計を備えた300mL容の反応器内に酢酸エチル50gを入れ、窒素ガス雰囲気下で2-ヒドロキシエチルメタクリレート0.9g、イソノニルアクリレート94.1g、N-ビニル-2-ピロリドン5gおよび過酸化ベンゾイル系重合開始剤〔日油(株)製、商品名:ナイパー(登録商標)BMT-K40〕0.14gの混合物を用意し、当該混合物の25質量%を当該フラスコ内に仕込んだ。約85℃の還流温度まで昇温した後、前記混合物の残りを1時間かけて前記反応器内に滴下させた。前記混合部の滴下の開始から8時間経過した時点で反応器の内容物に含まれている不揮発分濃度が50質量%となるようにトルエンを当該反応容器内に添加することにより、(メタ)アクリル系ポリマー溶液を得た。得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液に含まれている(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、55万であり、ガラス転移温度は-51℃であった。
【0085】
次に、前記で得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液100質量部に対してイソシアネート系架橋剤〔東ソー(株)製、商品名:コロネートL-55E〕0.1質量部を配合し、得られた混合物にトルエンを添加することにより、不揮発分含量が20質量%である油面用粘着剤を得た。
【0086】
前記で得られた油面用粘着剤をポリエチレンテレフタレートシート(縦:100mm、横:100mm、厚さ:50μm)の一方表面に乾燥後の厚さが30μmとなるように塗布し、形成された粘着剤層を80℃の空気中で3分間乾燥させた後、当該粘着剤層を剥離ライナー〔(株)化研工業製、品番:K-80HS〕で覆い、40℃の空気中にて3日間養生させることにより、油面用感圧性粘着シートを得た。
【0087】
実施例2
撹拌機、還流冷却器、滴下装置および温度計を備えた300mL容の反応器内に酢酸エチル50gを入れ、窒素ガス雰囲気下で2-ヒドロキシエチルメタクリレート0.9g、シクロヘキシルアクリレート20g、イソノニルアクリレート74.1g、N-ビニル-2-ピロリドン5gおよび過酸化ベンゾイル系重合開始剤〔日油(株)製、商品名:ナイパー(登録商標)BMT-K40〕0.14gの混合物を用意し、当該混合物の25質量%を当該フラスコ内に仕込んだ。約85℃の還流温度まで昇温した後、前記混合物の残りを1時間かけて前記反応器内に滴下させた。前記混合部の滴下の開始から8時間経過した時点で反応器の内容物に含まれている不揮発分濃度が50質量%となるようにトルエンを当該反応容器内に添加することにより、(メタ)アクリル系ポリマー溶液を得た。得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液に含まれている(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、60万であり、ガラス転移温度は-40℃であった。
【0088】
次に、前記で得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液100質量部に対してイソシアネート系架橋剤〔東ソー(株)製、商品名:コロネートL-55E〕0.1質量部を配合し、得られた混合物にトルエンを添加することにより、不揮発分含量が20質量%である油面用粘着剤を得た。
【0089】
前記で得られた油面用粘着剤を実施例1で用いられた油面用粘着剤の代わりに用い、実施例1と同様の操作を行なうことにより、油面用感圧性粘着シートを得た。
【0090】
実施例3
撹拌機、還流冷却器、滴下装置および温度計を備えた300mL容の反応器内に酢酸エチル50gを入れ、窒素ガス雰囲気下で2-ヒドロキシエチルメタクリレート0.9g、シクロヘキシルアクリレート35g、イソノニルアクリレート59.1g、N-ビニル-2-ピロリドン5gおよび過酸化ベンゾイル系重合開始剤〔日油(株)製、商品名:ナイパー(登録商標)BMT-K40〕0.14gの混合物を用意し、当該混合物の25質量%を当該フラスコ内に仕込んだ。約85℃の還流温度まで昇温した後、前記混合物の残りを1時間かけて前記反応器内に滴下させた。前記混合部の滴下の開始から8時間経過した時点で反応器の内容物に含まれている不揮発分濃度が50質量%となるようにトルエンを当該反応容器内に添加することにより、(メタ)アクリル系ポリマー溶液を得た。得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液に含まれている(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、62万であり、ガラス転移温度は-30℃であった。
【0091】
次に、前記で得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液100質量部に対してイソシアネート系架橋剤〔東ソー(株)製、商品名:コロネートL-55E〕0.1質量部を配合し、得られた混合物にトルエンを添加することにより、不揮発分含量が20質量%である油面用粘着剤を得た。
【0092】
前記で得られた油面用粘着剤を実施例1で用いられた油面用粘着剤の代わりに用い、実施例1と同様の操作を行なうことにより、油面用感圧性粘着シートを得た。
【0093】
実施例4
撹拌機、還流冷却器、滴下装置および温度計を備えた300mL容の反応器内に酢酸エチル50gを入れ、窒素ガス雰囲気下で2-ヒドロキシエチルメタクリレート0.9g、シクロヘキシルアクリレート20g、イソノニルアクリレート78.1g、N-ビニル-2-ピロリドン1gおよび過酸化ベンゾイル系重合開始剤〔日油(株)製、商品名:ナイパー(登録商標)BMT-K40〕0.14gの混合物を用意し、当該混合物の25質量%を当該フラスコ内に仕込んだ。約85℃の還流温度まで昇温した後、前記混合物の残りを1時間かけて前記反応器内に滴下させた。前記混合部の滴下の開始から8時間経過した時点で反応器の内容物に含まれている不揮発分濃度が50質量%となるようにトルエンを当該反応容器内に添加することにより、(メタ)アクリル系ポリマー溶液を得た。得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液に含まれている(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、62万であり、ガラス転移温度は-45℃であった。
【0094】
次に、前記で得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液100質量部に対してイソシアネート系架橋剤〔東ソー(株)製、商品名:コロネートL-55E〕0.1質量部を配合し、得られた混合物にトルエンを添加することにより、不揮発分含量が20質量%である油面用粘着剤を得た。
【0095】
前記で得られた油面用粘着剤を実施例1で用いられた油面用粘着剤の代わりに用い、実施例1と同様の操作を行なうことにより、油面用感圧性粘着シートを得た。
【0096】
実施例5
撹拌機、還流冷却器、滴下装置および温度計を備えた300mL容の反応器内に酢酸エチル50gを入れ、窒素ガス雰囲気下で2-ヒドロキシエチルメタクリレート0.9g、シクロヘキシルアクリレート20g、イソノニルアクリレート69.1g、N-ビニル-2-ピロリドン10gおよび過酸化ベンゾイル系重合開始剤〔日油(株)製、商品名:ナイパー(登録商標)BMT-K40〕0.14gの混合物を用意し、当該混合物の25質量%を当該フラスコ内に仕込んだ。約85℃の還流温度まで昇温した後、前記混合物の残りを1時間かけて前記反応器内に滴下させた。前記混合部の滴下の開始から8時間経過した時点で反応器の内容物に含まれている不揮発分濃度が50質量%となるようにトルエンを当該反応容器内に添加することにより、(メタ)アクリル系ポリマー溶液を得た。得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液に含まれている(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、57万であり、ガラス転移温度は-33℃であった。
【0097】
次に、前記で得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液100質量部に対してイソシアネート系架橋剤〔東ソー(株)製、商品名:コロネートL-55E〕0.1質量部を配合し、得られた混合物にトルエンを添加することにより、不揮発分含量が20質量%である油面用粘着剤を得た。
【0098】
前記で得られた油面用粘着剤を実施例1で用いられた油面用粘着剤の代わりに用い、実施例1と同様の操作を行なうことにより、油面用感圧性粘着シートを得た。
【0099】
実施例6
撹拌機、還流冷却器、滴下装置および温度計を備えた300mL容の反応器内に酢酸エチル50gを入れ、窒素ガス雰囲気下で2-ヒドロキシエチルメタクリレート0.9g、シクロヘキシルアクリレート40g、イソノニルアクリレート54.1g、N-ビニル-2-ピロリドン5gおよび過酸化ベンゾイル系重合開始剤〔日油(株)製、商品名:ナイパー(登録商標)BMT-K40〕0.14gの混合物を用意し、当該混合物の25質量%を当該フラスコ内に仕込んだ。約85℃の還流温度まで昇温した後、前記混合物の残りを1時間かけて前記反応器内に滴下させた。前記混合部の滴下の開始から8時間経過した時点で反応器の内容物に含まれている不揮発分濃度が50質量%となるようにトルエンを当該反応容器内に添加することにより、(メタ)アクリル系ポリマー溶液を得た。得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液に含まれている(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、63万であり、ガラス転移温度は-26℃であった。
【0100】
次に、前記で得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液100質量部に対してイソシアネート系架橋剤〔東ソー(株)製、商品名:コロネートL-55E〕0.1質量部を配合し、得られた混合物にトルエンを添加することにより、不揮発分含量が20質量%である油面用粘着剤を得た。
【0101】
前記で得られた油面用粘着剤を実施例1で用いられた油面用粘着剤の代わりに用い、実施例1と同様の操作を行なうことにより、油面用感圧性粘着シートを得た。
【0102】
実施例7
撹拌機、還流冷却器、滴下装置および温度計を備えた300mL容の反応器内に酢酸エチル50gを入れ、窒素ガス雰囲気下で2-ヒドロキシエチルメタクリレート0.9g、シクロヘキシルアクリレート20g、イソノニルアクリレート78.6g、N-ビニル-2-ピロリドン0.5gおよび過酸化ベンゾイル系重合開始剤〔日油(株)製、商品名:ナイパー(登録商標)BMT-K40〕0.14gの混合物を用意し、当該混合物の25質量%を当該フラスコ内に仕込んだ。約85℃の還流温度まで昇温した後、前記混合物の残りを1時間かけて前記反応器内に滴下させた。前記混合部の滴下の開始から8時間経過した時点で反応器の内容物に含まれている不揮発分濃度が50質量%となるようにトルエンを当該反応容器内に添加することにより、(メタ)アクリル系ポリマー溶液を得た。得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液に含まれている(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、56万であり、ガラス転移温度は-46℃であった。
【0103】
次に、前記で得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液100質量部に対してイソシアネート系架橋剤〔東ソー(株)製、商品名:コロネートL-55E〕0.1質量部を配合し、得られた混合物にトルエンを添加することにより、不揮発分含量が20質量%である油面用粘着剤を得た。
【0104】
前記で得られた油面用粘着剤を実施例1で用いられた油面用粘着剤の代わりに用い、実施例1と同様の操作を行なうことにより、油面用感圧性粘着シートを得た。
【0105】
実施例8
撹拌機、還流冷却器、滴下装置および温度計を備えた300mL容の反応器内に酢酸エチル50gを入れ、窒素ガス雰囲気下で2-ヒドロキシエチルメタクリレート0.9g、シクロヘキシルアクリレート20g、イソノニルアクリレート64.1g、N-ビニル-2-ピロリドン15gおよび過酸化ベンゾイル系重合開始剤〔日油(株)製、商品名:ナイパー(登録商標)BMT-K40〕0.14gの混合物を用意し、当該混合物の25質量%を当該フラスコ内に仕込んだ。約85℃の還流温度まで昇温した後、前記混合物の残りを1時間かけて前記反応器内に滴下させた。前記混合部の滴下の開始から8時間経過した時点で反応器の内容物に含まれている不揮発分濃度が50質量%となるようにトルエンを当該反応容器内に添加することにより、(メタ)アクリル系ポリマー溶液を得た。得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液に含まれている(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、60万であり、ガラス転移温度は-26℃であった。
【0106】
次に、前記で得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液100質量部に対してイソシアネート系架橋剤〔東ソー(株)製、商品名:コロネートL-55E〕0.1質量部を配合し、得られた混合物にトルエンを添加することにより、不揮発分含量が20質量%である油面用粘着剤を得た。
【0107】
前記で得られた油面用粘着剤を実施例1で用いられた油面用粘着剤の代わりに用い、実施例1と同様の操作を行なうことにより、油面用感圧性粘着シートを得た。
【0108】
実施例9
撹拌機、還流冷却器、滴下装置および温度計を備えた300mL容の反応器内に酢酸エチル50gを入れ、窒素ガス雰囲気下で2-ヒドロキシエチルメタクリレート0.9g、イソノニルアクリレート94.1g、N-ビニル-2-ピロリドン5gおよび過酸化ベンゾイル系重合開始剤〔日油(株)製、商品名:ナイパー(登録商標)BMT-K40〕0.14gの混合物を用意し、当該混合物の25質量%を当該フラスコ内に仕込んだ。約85℃の還流温度まで昇温した後、前記混合物の残りを1時間かけて前記反応器内に滴下させた。前記混合部の滴下の開始から8時間経過した時点で反応器の内容物に含まれている不揮発分濃度が50質量%となるようにトルエンを当該反応容器内に添加することにより、(メタ)アクリル系ポリマー溶液を得た。得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液に含まれている(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、55万であり、ガラス転移温度は-51℃であった。
【0109】
次に、前記で得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液100質量部に対してイソシアネート系架橋剤〔東ソー(株)製、商品名:コロネートL-55E〕0.1質量部および水素化石油樹脂〔荒川化学工業(株)製、商品名:アルコンP-140〕5質量部を配合し、得られた混合物にトルエンを添加することにより、不揮発分含量が20質量%である油面用粘着剤を得た。
【0110】
前記で得られた油面用粘着剤を実施例1で用いられた油面用粘着剤の代わりに用い、実施例1と同様の操作を行なうことにより、油面用感圧性粘着シートを得た。
【0111】
実施例10
撹拌機、還流冷却器、滴下装置および温度計を備えた300mL容の反応器内に酢酸エチル50gを入れ、窒素ガス雰囲気下で2-ヒドロキシエチルメタクリレート0.9g、シクロヘキシルアクリレート20g、イソノニルアクリレート59.1g、N-ビニル-2-ピロリドン5g、ラウリルメタクリレート15gおよび過酸化ベンゾイル系重合開始剤〔日油(株)製、商品名:ナイパー(登録商標)BMT-K40〕0.14gの混合物を用意し、当該混合物の25質量%を当該フラスコ内に仕込んだ。約85℃の還流温度まで昇温した後、前記混合物の残りを1時間かけて前記反応器内に滴下させた。前記混合部の滴下の開始から8時間経過した時点で反応器の内容物に含まれている不揮発分濃度が50質量%となるようにトルエンを当該反応容器内に添加することにより、(メタ)アクリル系ポリマー溶液を得た。得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液に含まれている(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、58万であり、ガラス転移温度は-41℃であった。
【0112】
次に、前記で得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液100質量部に対してイソシアネート系架橋剤〔東ソー(株)製、商品名:コロネートL-55E〕0.1質量部を配合し、得られた混合物にトルエンを添加することにより、不揮発分含量が20質量%である油面用粘着剤を得た。
【0113】
前記で得られた油面用粘着剤を実施例1で用いられた油面用粘着剤の代わりに用い、実施例1と同様の操作を行なうことにより、油面用感圧性粘着シートを得た。
【0114】
実施例11
撹拌機、還流冷却器、滴下装置および温度計を備えた300mL容の反応器内に酢酸エチル50gを入れ、窒素ガス雰囲気下で2-ヒドロキシエチルメタクリレート0.9g、イソノニルアクリレート94.1g、N-ビニル-2-ピロリドン5gおよび過酸化ベンゾイル系重合開始剤〔日油(株)製、商品名:ナイパー(登録商標)BMT-K40〕0.14gの混合物を用意し、当該混合物の25質量%を当該フラスコ内に仕込んだ。約85℃の還流温度まで昇温した後、前記混合物の残りを1時間かけて前記反応器内に滴下させた。前記混合部の滴下の開始から8時間経過した時点で反応器の内容物に含まれている不揮発分濃度が50質量%となるようにトルエンを当該反応容器内に添加することにより、(メタ)アクリル系ポリマー溶液を得た。得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液に含まれている(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、55万であり、ガラス転移温度は-51℃であった。
【0115】
次に、前記で得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液100質量部に対してイソシアネート系架橋剤〔東ソー(株)製、商品名:コロネートL-55E〕0.1質量部および水素化石油樹脂〔荒川化学工業(株)製、商品名:アルコンP-140〕2.5質量部を配合し、得られた混合物にトルエンを添加することにより、不揮発分含量が20質量%である油面用粘着剤を得た。
【0116】
前記で得られた油面用粘着剤を実施例1で用いられた油面用粘着剤の代わりに用い、実施例1と同様の操作を行なうことにより、油面用感圧性粘着シートを得た。
【0117】
実施例12
撹拌機、還流冷却器、滴下装置および温度計を備えた300mL容の反応器内に酢酸エチル50gを入れ、窒素ガス雰囲気下で2-ヒドロキシエチルメタクリレート0.9g、イソノニルアクリレート94.1g、N-ビニル-2-ピロリドン5gおよび過酸化ベンゾイル系重合開始剤〔日油(株)製、商品名:ナイパー(登録商標)BMT-K40〕0.14gの混合物を用意し、当該混合物の25質量%を当該フラスコ内に仕込んだ。約85℃の還流温度まで昇温した後、前記混合物の残りを1時間かけて前記反応器内に滴下させた。前記混合部の滴下の開始から8時間経過した時点で反応器の内容物に含まれている不揮発分濃度が50質量%となるようにトルエンを当該反応容器内に添加することにより、(メタ)アクリル系ポリマー溶液を得た。得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液に含まれている(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、55万であり、ガラス転移温度は-51℃であった。
【0118】
次に、前記で得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液100質量部に対してイソシアネート系架橋剤〔東ソー(株)製、商品名:コロネートL-55E〕0.1質量部および水素化石油樹脂〔荒川化学工業(株)製、商品名:アルコンP-140〕20質量部を配合し、得られた混合物にトルエンを添加することにより、不揮発分含量が20質量%である油面用粘着剤を得た。
【0119】
前記で得られた油面用粘着剤を実施例1で用いられた油面用粘着剤の代わりに用い、実施例1と同様の操作を行なうことにより、油面用感圧性粘着シートを得た。
【0120】
実施例13
撹拌機、還流冷却器、滴下装置および温度計を備えた300mL容の反応器内に酢酸エチル50gを入れ、窒素ガス雰囲気下で2-ヒドロキシエチルメタクリレート0.9g、イソノニルアクリレート94.1g、N-ビニル-2-ピロリドン5gおよび過酸化ベンゾイル系重合開始剤〔日油(株)製、商品名:ナイパー(登録商標)BMT-K40〕0.14gの混合物を用意し、当該混合物の25質量%を当該フラスコ内に仕込んだ。約85℃の還流温度まで昇温した後、前記混合物の残りを1時間かけて前記反応器内に滴下させた。前記混合部の滴下の開始から8時間経過した時点で反応器の内容物に含まれている不揮発分濃度が50質量%となるようにトルエンを当該反応容器内に添加することにより、(メタ)アクリル系ポリマー溶液を得た。得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液に含まれている(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、55万であり、ガラス転移温度は-51℃であった。
【0121】
次に、前記で得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液100質量部に対してイソシアネート系架橋剤〔東ソー(株)製、商品名:コロネートL-55E〕0.1質量部および水素化石油樹脂〔荒川化学工業(株)製、商品名:アルコンP-140〕25質量部を配合し、得られた混合物にトルエンを添加することにより、不揮発分含量が20質量%である油面用粘着剤を得た。
【0122】
前記で得られた油面用粘着剤を実施例1で用いられた油面用粘着剤の代わりに用い、実施例1と同様の操作を行なうことにより、油面用感圧性粘着シートを得た。
【0123】
比較例1
撹拌機、還流冷却器、滴下装置および温度計を備えた300mL容の反応器内に酢酸エチル50gを入れ、窒素ガス雰囲気下で2-ヒドロキシエチルメタクリレート0.9g、N-ビニル-2-ピロリドン5g、2-エチルヘキシルアクリレート94.1gおよび過酸化ベンゾイル系重合開始剤〔日油(株)製、商品名:ナイパー(登録商標)BMT-K40〕0.14gの混合物を用意し、当該混合物の25質量%を当該フラスコ内に仕込んだ。約85℃の還流温度まで昇温した後、前記混合物の残りを1時間かけて前記反応器内に滴下させた。前記混合部の滴下の開始から8時間経過した時点で反応器の内容物に含まれている不揮発分濃度が50質量%となるようにトルエンを当該反応容器内に添加することにより、(メタ)アクリル系ポリマー溶液を得た。得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液に含まれている(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、60万であり、ガラス転移温度は-52℃であった。
【0124】
次に、前記で得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液100質量部に対してイソシアネート系架橋剤〔東ソー(株)製、商品名:コロネートL-55E〕0.1質量部を配合し、得られた混合物にトルエンを添加することにより、不揮発分含量が20質量%である油面用粘着剤を得た。
【0125】
前記で得られた油面用粘着剤を実施例1で用いられた油面用粘着剤の代わりに用い、実施例1と同様の操作を行なうことにより、油面用感圧性粘着シートを得た。
【0126】
次に、前記で得られた油面用感圧性粘着シートを用いて以下の物性を調べた。その結果を表1に示す。
【0127】
(1)金属板に対する粘着性
前記で得られた油面用感圧性粘着シートを幅25mm、長さ50mmとなるように裁断することにより、試験片を得た。前記で得られた試験片から剥離ライナーを剥がし、その粘着剤層の面を研磨されたステンレス鋼板(SUS304)に重ね合わせ、貼着圧2kGのハンドローラーを試験片上で3回往復させることによって試験片をステンレス鋼板に貼り付け、気温23℃、相対湿度65%の空気中で剥離速度300mm/minにて180°剥離試験を行ない、試験片を剥離したときの最大剥離応力(粘着力)を調べ、以下の評価基準に基づいて金属板に対する粘着性を評価した。
【0128】
〔評価基準〕
◎:粘着力が20N/mmを超える。
○:粘着力が10N/mm以上20N/mm未満である。
△:粘着力が5N/mm以上10N/mm未満である。
×:粘着力が5N/mm未満である。
【0129】
(2)油面粘着性
前記で得られた油面用感圧性粘着シートを幅25mm、長さ50mmとなるように裁断することにより、試験片を得た。試験プレートとして、研磨されたステンレス鋼板(SUS304)の一方表面に潤滑油〔(株)スタンダード石油大阪販売製、商品名:YUBASE4〕を3g/m2の量で塗布したものを用いた。
【0130】
前記で得られた試験片から剥離ライナーを剥がし、その粘着剤層の面を試験プレートの潤滑油の付着面に重ね合わせ、貼着圧2kGのハンドローラーを試験片上で3回往復させることによって試験片を試験プレートに貼り付け、気温23℃、相対湿度65%の空気中で剥離速度300mm/minにて180°剥離試験を行ない、試験片を剥離したときの最大剥離応力(粘着力)を調べ、以下の評価基準に基づいて油面粘着性を評価した。
【0131】
〔評価基準〕
◎:粘着力が20N/mmを超える。
○:粘着力が10N/mm以上20N/mm未満である。
△:粘着力が5N/mm以上10N/mm未満である。
×:粘着力が5N/mm未満である。
【0132】
(3)再剥離性
前記で得られた油面用感圧性粘着シートを幅25mm、長さ50mmとなるように裁断することにより、試験片を得た。試験プレートとして、研磨されたステンレス鋼板(SUS304)の一方表面に潤滑油〔(株)スタンダード石油大阪販売製、商品名:YUBASE4〕を3g/m2の量で塗布したものを用いた。
【0133】
前記で得られた試験片から剥離ライナーを剥がし、その粘着剤層の面を試験プレートの潤滑油の付着面に重ね合わせ、貼着圧2kGのハンドローラーを試験片上で3回往復させることによって試験片を試験プレートに貼り付けた後、相対湿度が約65%である室温を有する空気中で14日間放置した後、気温23℃、相対湿度65%の空気中で剥離速度300mm/minにて180°剥離試験を行ない、試験片を剥離した後の試験プレートを目視で観察し、以下の評価基準に基づいて再剥離性を評価した。
【0134】
〔評価基準〕
◎:粘着剤層の付着が認められない。
○:貼付面積に対する粘着剤層の付着面積が5%未満である。
△:貼付面積に対する粘着剤層の付着面積が5%以上10%未満である。
×:貼付面積に対する粘着剤層の付着面積が10%以上である。
【0135】
(4)曲面粘着性
前記で得られた油面用感圧性粘着シートを幅25mm、長さ100mmとなるように裁断することにより、試験片を得た。試験体として、研磨された表面を有する曲率半径が50mmであり、長さが100mmであるステンレス鋼(SUS304)製の円筒の表面に潤滑油〔(株)スタンダード石油大阪販売製、商品名:YUBASE4〕を3g/m2の量で塗布したものを用いた。
【0136】
前記で得られた試験片から剥離ライナーを剥がし、その粘着剤層の面を試験体の潤滑油の付着面に重ね合わせ、貼着圧2kGのハンドローラーを試験片上で3回往復させることによって試験片を試験体に貼り付けた後、気温約23℃、相対湿度50%±10%の空気中で24時間放置した。その後、試験片の末端と試験体との境界部分を目視で観察し、以下の評価基準に基づいて曲面粘着性を評価した。
【0137】
〔評価基準〕
◎:試験片の末端部の剥がれが認められない。
○:試験片の末端部から3mm未満の範囲で剥がれが認められる。
△:試験片の末端部から3mm以上6mm未満の範囲で剥がれが認められる。
×:試験片の末端部から6mm以上の範囲で剥がれが認められる。
【0138】
(5)総合評価
各試験項目において、◎の評価を100点、○の評価を80点、△の評価を60点、×の評価を0点とし、各評価の得点を合計することにより、総合得点を求めた。なお、評価項目に×が1つでも存在する感圧性粘着シートは不合格であるため、表1の総合評価の欄に×を記載した。
【0139】
【表1】
【0140】
表1に示された結果から、各実施例で得られた油面用感圧性粘着シートは、いずれも、金属板に対する粘着性、油面粘着性、再剥離性および曲面粘着性に総合的に優れていることがわかる。
【0141】
したがって、本発明の油面用感圧性粘着シートは、表面に油脂が付着している金属板などの被着体に好適に使用することができるほか、例えば、コンデンサー素子の固定用、電気・電子部品の結束用、リチウムイオン電池の組み立て用、ディスプレイパネルの固定用、ディスプレイパネルの中間膜用などの用途に好適に使用することができる。また、本発明の油面用感圧性粘着シートは、リチウムイオン電池の電解液が接触するまたは接触する可能性がある部分などにも好適に使用することができる。