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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】液晶装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1333 20060101AFI20230915BHJP
【FI】
G02F1/1333
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020044925
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021148809
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000166948
【氏名又は名称】シチズンファインデバイス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中村 学
(72)【発明者】
【氏名】井出 利則
【審査官】植田 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106990586(CN,A)
【文献】特開2009-047969(JP,A)
【文献】特開2014-178549(JP,A)
【文献】特開平06-250165(JP,A)
【文献】特開2008-122491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1333
G02F 1/13
G03B 21/00,21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光素子と、
1つの液晶パネル又は互いに一体化された複数の液晶パネルで構成された液晶素子と、前記液晶素子の表示面の法線の方向において前記液晶素子を挟んで互いに対向する第一のヒータ及び第二のヒータと、
前記第一のヒータが発生した熱を前記液晶素子に伝搬させる、前記第一のヒータと前記液晶素子との間に設けられた、第一の熱伝搬経路と、
前記第二のヒータが発生した熱を前記液晶素子に伝搬させる、前記第二のヒータと前記液晶素子との間に設けられた、第二の熱伝搬経路と、
を有する液晶装置であって、
前記第一の熱伝搬経路と前記第二の熱伝搬経路は、前記液晶素子の前記表示面に平行な面内の直線を挟んで互いに線対称であり、
前記第二のヒータは、加熱作用のある加熱面と、吸熱作用のある吸熱面とを有する電熱素子を含み、
前記吸熱面に前記偏光素子が配置されており、
前記加熱面に前記液晶素子が配置されている、
ことを特徴とする液晶装置。
【請求項2】
前記液晶素子の前記表示面の法線の方向において前記第二のヒータと対向する第三のヒータを有し、前記第三のヒータは、加熱作用のある加熱面と、吸熱作用のある吸熱面とを有する電熱素子を含み、前記偏光素子は、前記第二のヒータが含む前記電熱素子の前記吸熱面と、前記第三のヒータが含む前記電熱素子の前記吸熱面とで挟持されている、ことを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルを備えた液晶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液晶装置には、光学素子である液晶セル(パネル)の調光特性を雰囲気温度によらず一定に保つことを目的として液晶セルを加熱するヒータを設けたものがある。このような液晶装置では、例えば、複数の液晶パネルと、所定の振動方向以外の直線偏光を遮断する偏光素子とを重ねて配置して光学素子ASSYが構成され、その前後に光学素子ASSYを一定温度に保つように制御されるペルチェ素子などのヒータが配置される。そして、光学素子ASSYにサーミスタや熱電対等の測温素子を設けて光学素子ASSYの温度を測定し、ペルチェ素子に通電して光学素子ASSYの温度が雰囲気温度にかかわらず一定の温度になるように制御することで、液晶装置における光の変調率を安定した値に保つことを可能としている。
【0003】
図7は、光学素子の動作温度を所定の温度に適切に維持する機構を備えた従来技術による液晶装置の断面図である。図7に示す従来の液晶装置は、以下の構成を有する。液晶装置を通過する光線16を変調する液晶パネル11a、11b及び11cと、所定の振動方向以外の偏光を遮断する偏光素子11dとを積層し一体化した光学素子ASSY11の片側が筐体1の隔壁14で保持され、隔壁14のペルチェ素子6側に伝熱性透明部材9が配置されている。隔壁14が設けられていない側に位置する光学素子ASSY11の片側はスペーサ10を介して伝熱性透明部材8に当接されている。伝熱性透明部材8の液晶装置外側の面には、ペルチェ素子4と放熱器5とからなるヒータ2が配置されている。伝熱性透明部材9の液晶装置外側の面には、ペルチェ素子6と放熱器7とからなるヒータ3が配置されている。光学素子ASSY11の上面には、光学素子ASSY11の温度を測定する測温素子として、サーミスタ13が設けられている。サーミスタ13はサーミスタ押さえねじ12によって光学素子ASSY11に当接、固定され、光学素子ASSY11の温度を測定し信号を発生する。温度制御回路(不図示)はサーミスタ13から出力される信号を受けてヒータ2及び3の動作を制御し、光学素子ASSY11を所定の温度に加熱、保持する。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-178549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図7に示す従来の液晶装置では、光学素子ASSY11を挟持するヒータ2及び3の内、一方のヒータ3が発生した熱は伝熱性透明部材9及び隔壁14を介して光学素子ASSY11に伝搬する構造となっているが、もう一方のヒータ2が発生した熱は伝熱性透明部材8を介して伝搬するところまではヒータ3側と同様だが、それ以降はスペーサ10を介して光学素子ASSY11に伝搬する構造であるため、光線16の入射側と出射側とでヒータ2及び3から光学素子ASSY11に至る熱の伝搬経路が光学素子ASSY11を挟んで非線対称となっている。
【0006】
筐体1は熱伝導性の高いアルミニウムの切削材などで作られていることから、隔壁14を介して熱伝搬する側のヒータ3においては、ヒータ3の発する熱は隔壁14を通して筐体1に伝わり易く、相対的に光学素子ASSY11に伝わり難い傾向を有する。一方で、隔壁14を介さない熱伝搬経路側に配置されたヒータ2では筐体1に熱が伝搬する経路を有さず、伝熱性透明部材8及びスペーサ10を介するのみであるので、相対的にヒータ2の熱が光学素子ASSY11に伝わり易い傾向を有する。よって、光線16の入射側と出射側とで光学素子ASSY11が所定の温度に達するまでに掛かる時間が異なる、光線16の入射側と出射側とで光学素子ASSY11の温度が異なる、といった問題が生じる。この問題は最終的に光学素子ASSY11の液晶パネルにおける変調率のズレ、応答速度の遅れ、という形で現れ、液晶パネルの動作を不安定にする要因となる。
【0007】
本発明の目的は、液晶パネルを適切に加熱し、液晶パネルの動作を安定させることが可能な液晶装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
液晶パネルと、前記液晶パネルを挟んで互いに対向する第一のヒータ及び第二のヒータと、前記第一のヒータが発生した熱を前記液晶パネルに伝搬させる、前記第一のヒータと前記液晶パネルとの間に設けられた、第一の熱伝搬経路と、前記第二のヒータが発生した熱を前記液晶パネルに伝搬させる、前記第二のヒータと前記液晶パネルとの間に設けられた、第二の熱伝搬経路と、を有する液晶装置であって、前記第一の熱伝搬経路と前記第二の熱伝搬経路は、前記液晶パネルを挟んで互いに線対称である、液晶装置である。
【0009】
前記第二のヒータは、加熱作用のある加熱面と、吸熱作用のある吸熱面とを有する電熱素子を含み、前記吸熱面に偏光素子が配置されている、液晶装置であってもよい。
【0010】
前記第二のヒータと対向する第三のヒータを有し、前記第三のヒータは、加熱作用のある加熱面と、吸熱作用のある吸熱面とを有する電熱素子を含み、前記偏光素子は、前記第二のヒータが含む前記電熱素子の前記吸熱面と、前記第三のヒータが含む前記電熱素子の前記吸熱面とで挟持されている、液晶装置であってもよい。
【0011】
前記偏光素子と前記液晶パネルとの間には、前記液晶パネルから前記偏光素子への熱伝導を阻害する部材が設けられている、液晶装置であってもよい。
【0012】
前記偏光素子と前記液晶パネルとの間には、前記液晶パネルから前記偏光素子への熱伝導を阻害する隙間が設けられている、液晶装置であってもよい。
【0013】
前記第一の熱伝搬経路は、前記液晶パネルの光透過領域と対向する第一の透明部材を含み、前記第二の熱伝搬経路は、前記液晶パネルの光透過領域と対向する第二の透明部材を含み、前記第一の透明部材により形成される熱伝搬経路と前記第二の透明部材により形成される熱伝搬経路は、前記液晶パネルを挟んで互いに線対称である、液晶装置であってもよい。
【0014】
前記第一の熱伝搬経路は、前記液晶パネルの光透過領域と対向する開口を有する第一のスペーサを含み、前記第二の熱伝搬経路は、前記液晶パネルの光透過領域と対向する開口を有する第二のスペーサを含み、前記第一のスペーサにより形成される熱伝搬経路と前記第二のスペーサにより形成される熱伝搬経路は、前記液晶パネルを挟んで互いに線対称である、液晶装置であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の液晶装置によれば、二つのヒータから液晶パネルに至る熱伝搬経路が液晶パネルを挟んで互いに線対称になることで、液晶装置内の不要な温度勾配を抑制し、液晶パネルを適切に加熱することができるので、液晶パネルの動作を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1(a)】本発明の実施例1による液晶装置の斜視図
図1(b)】本発明の実施例1による液晶装置の上面図
図2】本発明の実施例1による液晶装置の分解斜視図
図3(a)】本発明の実施例1による液晶装置のA-A断面図
図3(b)】本発明の実施例1による液晶装置が有する光学素子ASSYのA-A断面図
図4】本発明の実施例2による液晶装置のA-A断面図
図5】本発明の実施例3による液晶装置のA-A断面図
図6】本発明の実施例4による液晶装置のA-A断面図
図7】従来技術による液晶装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0018】
以下、本発明の実施例1による液晶装置について説明する。図1(a)は、本発明の実施例1による液晶装置の外観を示す斜視図であり、図1(b)は、本発明の実施例1による液晶装置の外観を示す上面図であり、図2は、本発明の実施例1による液晶装置を光軸方向に分解した状態を示す分解斜視図であり、図3(a)は、図1(a)の液晶装置のA-A断面を示す断面図であり、図3(b)は、図1(a)の液晶装置の内部に配置された光学素子ASSYのA-A断面を示す断面図である。
【0019】
図に示すように、実施例1による液晶装置では、筐体1の内部に、ペルチェ素子4と放熱器5とからなるヒータ2と、ペルチェ素子6と放熱器7とからなるヒータ3と、光学素子ASSY11と、測温素子であるサーミスタ13とが組み込まれている。筐体1は、金属を切削加工或いは樹脂を成型する事で形成されている。ペルチェ素子4及び6は、電熱素子の一種であり、一定方向の電流を流すことで一方の面が発熱し、もう一方の面に吸熱作用が得られるという特性をもつ。放熱器5及び7は、ヒータ2及び3の外面と周辺空気との間で熱交換する為、熱伝導性の高い材質、例えば、アルミニウムなどの熱伝導に優れた金属を切削する事で形成されている。ヒータ2及び3には光線16を通す為の開口15が設けられている。なお、放熱器5及び7は、必須ではなく、例えば、ペルチェ素子4及び6のみでヒータ2及び3が構成されていてもよい。
【0020】
ヒータ2は、伝熱性透明部材8とスペーサ10を介して光学素子ASSY11の光出射側に当接し、ヒータ3は、伝熱性透明部材9とスペーサ17を介して光学素子ASSY11の光入射側に当接しており、光学素子ASSY11は、ヒータ2及び3により挟持されている。伝熱性透明部材8及び9は、光線16を高効率で透過し且つヒータ2及び3からの熱を効率よく伝える部材、例えば、ガラス基板或いはサファイヤ基板等で形成されており、その表面には反射防止膜が形成されている。伝熱性透明部材8及び9の構造は、光学素子ASSY11を挟んで互いに線対称である。また、ヒータ2及び3の構造も、光学素子ASSY11を挟んで互いに線対称である。
【0021】
スペーサ10及び17は、伝熱性透明部材8及び9を保持する役割を持ち、ヒータ2及び3から伝わる熱を光学素子ASSY11に伝搬する為に高い熱伝導性が求められることからアルミニウムなどの金属を切削加工するなどして形成されている。スペーサ10及び17の中央には座ぐり(凹部)が設けられ、そこに伝熱性透明部材8及び9が収められるよう積層され、熱伝導性接着剤或いは熱伝導性粘着テープによって固定されている。スペーサ10及び17の中央にはヒータ2及び3と同様に光線16を通過させる開口が設けられている。スペーサ10及び17の構造は、光学素子ASSY11を挟んで互いに線対称である。
【0022】
放熱器5及び7、ペルチェ素子4及び6、伝熱性透明部材8及び9、スペーサ10及び17、光学素子ASSY11は、各々、熱伝導性接着剤或いは熱伝導性粘着テープで互いに接着され固定されている。
【0023】
筐体1の内部の中央付近には光学素子ASSY11が搭載され、その上面に測温素子としてサーミスタ13が当接され、サーミスタ押さえねじ12により固定されている。
【0024】
図3(b)に示すように、光学素子ASSY11は、液晶パネル11a、11b及び11cからなる3枚の液晶パネルと、偏光板などの偏光素子11dとによって構成されている。
【0025】
液晶パネル11a及び偏光素子11dの組み合わせは、入射する光線16を透過或いは遮断するシャッタ素子として機能し、液晶パネル11b及び液晶パネル11cの組み合わせは、偏光素子11dを透過した光線16の偏光面の向きを調節する偏光面回転素子として機能する。
【0026】
液晶パネル11a、11b及び11cは、各々、一対の基板間に液晶層が挟持された構成を有するものである。液晶パネル11a、11b及び11cと偏光素子11dのそれぞれは、熱伝導性接着剤或いは熱伝導性粘着テープによって互いに積層、固定されている。熱伝導性粘着テープは、ある程度の厚みを持ち、ガラス基板や液晶パネルを不要に近接化させた際に生じる干渉縞の影響を回避できる。
【0027】
実施例1による液晶装置の温度調節機能について説明する。ヒータ2及び3に温度制御回路より所定の電流が流れ始めると、伝熱性透明部材8及び9と接触する面が加熱されると同時に、放熱器5及び7と接触する面は吸熱作用により温度が低下する。加熱面から発生した熱は伝熱性透明部材8及び9からスペーサ10及び17に伝搬して光学素子ASSY11に到達する。一方で放熱器5及び7は液晶装置周辺の空気と熱交換する事でヒータ全体の温度低下を軽減する。光学素子ASSY11の温度が所定の温度に近づくに従って、サーミスタ13による温度測定と温度制御回路の動作によってヒータ2及び3に流れる電流は減少し始める。最終的に所定の温度に到達すると、周辺環境への放熱による温度低下を補う形で加熱が継続され、光学素子ASSY11の温度が安定し所定の値に維持される。これにより、安定した変調特性と良好な応答性が得られる。
【0028】
実施例1による液晶装置では、伝熱性透明部材8及び9により形成される熱伝搬経路は、光学素子ASSY11を挟んで互いに線対称であり、スペーサ10及び17により形成される熱伝搬経路も、光学素子ASSY11を挟んで互いに線対称であることから、ヒータ2から光学素子ASSY11に至る熱伝搬経路と、ヒータ3から光学素子ASSY11に至る熱伝搬経路は、光学素子ASSY11を挟んで互いに線対称である。よって、ヒータ2及び3が発生した熱は、互いに同様の熱伝搬経路を通って光学素子ASSY11に伝搬し、光学素子ASSY11は、光線16の出射側と入射側とで同様に加熱される。
【実施例2】
【0029】
以下、本発明の実施例2による液晶装置について説明する。図4は、本発明の実施例2による液晶装置のA-A断面図であり、図1(b)に示すA-A断面に相当する断面を示したものである。実施例2による液晶装置と実施例1による液晶装置の違いは、光学素子ASSY11の液晶パネル11bと偏光素子11dとの間にスペーサ18と電熱性透明部材22とペルチェ素子20とが配置され、光学素子ASSY11の液晶パネル11aと偏光素子11dとの間にスペーサ19と電熱性透明部材23とペルチェ素子21とが配置され、ペルチェ素子20の吸熱側の面とペルチェ素子21の吸熱側の面とで偏光素子11dが挟持されていることにある。また、液晶パネル11b及び11cの上面にサーミスタ13がサーミスタ押さえねじ12により固定され、液晶パネル11aの上面にサーミスタ25がサーミスタ押さえねじ24により固定されている。スペーサ18及び19とペルチェ素子20及び21には、光線16を通過させる為の開口が設けられている。
【0030】
偏光素子11dをペルチェ素子20の吸熱側の面とペルチェ素子21の吸熱側の面とで挟持することで、偏光素子11dの熱をペルチェ素子20及び21の発熱側の面に移動させる。偏光素子は、一般的にヨウ素系色素、染料系色素をプラスチックフィルムに分散させ、延伸するなどで作成されている為、ヒータの熱に晒される事で劣化が促進される恐れがあるが、実施例2では偏光素子11dにはヒータの発熱部からの熱が直接伝わらない上、ペルチェ素子20及び21の吸熱作用によって、高温に晒される時間が減少し長寿命化につながる。なお、偏光素子11dは液晶装置の中心部付近に配置される為、液晶装置の中心部付近が所定の温度に達して温度制御が定常化すると偏光素子11dの温度もその温度と概ね同じ温度になってしまう可能性があるが、加熱過程での熱勾配によって設定値以上の高温に晒されるという問題は確実に防ぐことができる。
【0031】
実施例1では光学素子ASSY11に対して単一のサーミスタ13によって測温していたが、実施例2では偏光素子11dを境に一方側に配置された液晶パネル11aの温度をサーミスタ25によって測温し、他方側に配置された液晶パネル11b及び11cの温度をサーミスタ13によって測温している為、それぞれの測温結果を温度制御回路へフィードバックする事で所定の温度に正確に維持することが容易になる。
【0032】
実施例2においても、伝熱性透明部材8及び9により形成される熱伝搬経路は、光学素子ASSY11(液晶パネル11a、11b、11c及び偏光素子11d)を挟んで互いに線対称であり、スペーサ10及び17により形成される熱伝搬経路も、光学素子ASSY11を挟んで互いに線対称であることから、実施例1と同様の効果が得られる。
【0033】
また、実施例2では、液晶パネル11b及び11cを挟持する伝熱性透明部材8及び22により形成される熱伝搬経路は、液晶パネル11b及び11cを挟んで互いに線対称であり、スペーサ10及び18により形成される熱伝搬経路も、液晶パネル11b及び11cを挟んで互いに線対称であることから、ペルチェ素子4から液晶パネル11b及び11cに至る熱伝搬経路と、ペルチェ素子20から液晶パネル11b及び11cに至る熱伝搬経路は、液晶パネル11b及び11cを挟んで互いに線対称である。よって、ペルチェ素子4及び20が発生した熱は、互いに同様の熱伝搬経路を通って液晶パネル11b及び11cに伝搬し、液晶パネル11b及び11cは、光線16の出射側と入射側とで同様に加熱される。
【0034】
また、実施例2では、液晶パネル11aを挟持する伝熱性透明部材9及び23により形成される熱伝搬経路は、液晶パネル11aを挟んで互いに線対称であり、スペーサ17及び19により形成される熱伝搬経路も、液晶パネル11aを挟んで互いに線対称であることから、ペルチェ素子6から液晶パネル11aに至る熱伝搬経路と、ペルチェ素子21から液晶パネル11aに至る熱伝搬経路は、液晶パネル11aを挟んで互いに線対称である。よって、ペルチェ素子6及び21が発生した熱は、互いに同様の熱伝搬経路を通って液晶パネル11aに伝搬し、液晶パネル11aは、光線16の出射側と入射側とで同様に加熱される。
【実施例3】
【0035】
以下、本発明の実施例3による液晶装置について説明する。図5は、本発明の実施例3による液晶装置のA-A断面図であり、図1(b)に示すA-A断面に相当する断面を示したものである。実施例3による液晶装置の特徴は、実施例2による液晶装置が有するペルチェ素子20及び21が熱伝導性の低い部材、例えば、樹脂で形成された熱伝導阻害フレーム26及び27にそれぞれ置き換えられ、偏光素子11dが熱伝導阻害フレーム26及び27で挟持、保持されていることにある。熱伝導阻害フレーム26及び27には、光線16を通過させる為の開口が設けられている。その他の構成は、実施例2と同じである。
【0036】
偏光素子11dを熱伝導阻害フレーム26及び27で挟持することにより、偏光素子11dにはペルチェ素子4及び6からの熱の伝わりが遅くなるため、高温に晒される時間が減少し、長寿命化につながる。
【実施例4】
【0037】
以下、本発明の実施例4による液晶装置について説明する。図6は、本発明の実施例4による液晶装置のA-A断面図であり、図1(b)のA-A断面に相当する断面を示したものである。実施例4による液晶装置の特徴は、実施例3による液晶装置が有するスペーサ18及び19、ペルチェ素子20及び21が省略されていることにある。その他の構成は、実施例3と同じである。
【0038】
スペーサ18及び19とペルチェ素子20及び21が省略されていても、熱伝導阻害フレーム26及び27により、偏光素子11dにはペルチェ素子4及び6からの熱が伝わり難いため、偏光素子11dの長寿命化につながる。
【0039】
実施例3及び4による液晶装置において、熱伝導阻害フレーム26及び27は、空気層や真空層などからなる隙間に置き換えられてもよく、或いは、その隙間と併用されてもよい。
【0040】
本発明の液晶装置は、以上の実施形態に限定されず、その他種々の実施形態を取り得る。
【符号の説明】
【0041】
1 筐体
2、3 ヒータ
4、6 ペルチェ素子
5、7 放熱器
8、9、22、23 伝熱性透明部材
10、17、18、19 スペーサ
11 光学素子ASSY
11a、11b、11c 液晶パネル
11d 偏光素子
12、24 サーミスタ押さえねじ
13、25 サーミスタ
14 隔壁
15 開口
16 光線
26、27 熱伝導阻害フレーム

図1(a)】
図1(b)】
図2
図3(a)】
図3(b)】
図4
図5
図6
図7