(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】交通管理システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20230915BHJP
G08G 1/07 20060101ALI20230915BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20230915BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20230915BHJP
G16Y 40/30 20200101ALI20230915BHJP
【FI】
G08G1/00 C
G08G1/07 P
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/30
(21)【出願番号】P 2020190136
(22)【出願日】2020-11-16
【審査請求日】2023-04-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518233501
【氏名又は名称】株式会社VOLLMONTホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100166589
【氏名又は名称】植村 貴昭
(72)【発明者】
【氏名】望月 武治
(72)【発明者】
【氏名】安納 一男
(72)【発明者】
【氏名】市川 純一
(72)【発明者】
【氏名】平川 剛
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-212490(JP,A)
【文献】特開2002-163765(JP,A)
【文献】特開2018-200526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
G08G 1/07
G16Y 10/40
G16Y 20/20
G16Y 40/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各工事現場に設置され、車両を感知した車両感知情報を含む交通管理情報を生成し、当該交通管理情報に基づいて交通誘導を実施する交通管理装置と、
前記各工事現場の外側から前記交通管理装置の制御を行うことが可能なエリア外制御手段と、
前記交通管理装置からの前記交通管理情報を収集し、前記交通管理装置を管理するサーバと、
仮想的に交通状況を模擬し、前記交通管理装置と同じアルゴリズムで誘導を行うことにより、発生しうる渋滞状況を推定するシミュレータと、
を備
え、
前記サーバは、
前記交通管理装置の保守運用に必要なパーツの管理する第1の管理機能と、
前記交通管理装置のバージョン情報を管理する第2の管理機能と、
前記交通管理装置の派遣先、可動予定及び実績を管理する第3の管理機能と、
前記交通管理装置の誘導動作に必要な設定情報を当該交通管理装置に配布する機能を管理する第4の管理機能と、
を備えることを特徴とする交通管理システム。
【請求項2】
前記設定情報は、前記交通管理装置の位置を示す位置情報、工事帯長、近隣信号の有無、枝道の有無、工事帯の勾配、及び工事帯の周辺情報の少なくとも一つを含むことを特徴とする
請求項1に記載の交通管理システム。
【請求項3】
前記シミュレータは、前記交通管理装置の設置位置と、当該設置位置及びその周辺を示す地図情報を用いて、交通誘導のシミュレーションを行い、交通誘導の影響を予測することを特徴とする
請求項1又は2に記載の交通管理システム。
【請求項4】
前記シミュレータは、シミュレーション結果を基に、交通誘導に必要な設定値を算出することで前記設定情報を生成し、前記サーバの前記第4の管理機能を用いて当該設定情報を前記交通管理装置に配布することで、当該交通管理装置を遠隔設定することを特徴とする
請求項1又は2に記載の交通管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は道路交通の管理を行う交通管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交通管理システム(交通管制システム)では、交通渋滞の緩和、交通事故の減少および交通公害の抑制などを目的として、交通流の配分および誘導を適切に行うための交通管理が行われており、具体的には、対象とする道路網の交通状況を把握して、その道路網の交通状況に基づいて、交差点に設置された信号制御機を制御する交通信号制御や、交通状況を表す交通情報、例えば渋滞や旅行時間などに関する情報を、道路に設置された交通情報板に表示して、車両の運転者に提供する交通情報提供が行われている。
【0003】
このような交通管理は、車両感知器で収集される情報に依存しており、交通管理を適切に行うには、道路網にある程度の密度で車両感知器を設置する必要がある。このため、これまでに整備された車両感知器が膨大な数に達し、車両感知器の運用維持に莫大な費用を要する状況となっており、国および都道府県における近年の厳しい財政状況のもとで深刻な問題となりつつある。そこで、車両感知器の設置数を削減して、車両感知器の設置数が少ない状態でも、実用上十分な精度で交通管理を行うことができる技術が望まれる。
【0004】
このような要望に対して、従来、対象エリア内に単位エリアを設定して、車両感知情報および信号制御実績情報に基づいて、単位エリアを対象として交通流モデルを用いた推計処理を行って、単位エリア内の交通状況を推計して、その単位エリアごとの交通状況に関する情報に基づいて、交通管理を行う技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されている従来の交通管理システムでは、固定設置の車両感知器による車両感知情報を入力情報として信号制御などの交通管理が行われているので、道路工事等の局地的な要因で交通管理を行う場合に、十分な入力情報を得ているとは言えず、十分適しているとはいえなかった。
【0007】
本発明は、上記状況に鑑みなされたものであり、局地的な要因で交通管理を行う場合に好適な交通管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明の交通管理システムは、各工事現場に設置され、車両を感知した車両感知情報を含む交通管理情報を生成し、当該交通管理情報に基づいて交通誘導を実施する交通管理装置と、前記交通管理装置からの前記交通管理情報を収集し、前記交通管理装置を管理するサーバと、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明の交通管理システムは、各工事現場に設置され、車両を感知した車両感知情報を含む交通管理情報を生成し、当該交通管理情報に基づいて交通誘導を実施する交通管理装置と、仮想的に交通状況を模擬し、前記交通管理装置と同じアルゴリズムで誘導を行うことにより、発生しうる渋滞状況を推定するシミュレータと、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明の交通管理システムは、各工事現場に設置され、車両を感知した車両感知情報を含む交通管理情報を生成し、当該交通管理情報に基づいて交通誘導を実施する交通管理装置と、前記各工事現場の外側から前記交通管理装置の制御を行うことが可能なエリア外制御手段と、前記交通管理装置からの前記交通管理情報を収集し、前記交通管理装置を管理するサーバと、仮想的に交通状況を模擬し、前記交通管理装置と同じアルゴリズムで誘導を行うことにより、発生しうる渋滞状況を推定するシミュレータと、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明の交通管理システムは、請求項3に記載の交通管理システムであって、前記サーバは、前記交通管理装置の保守運用に必要なパーツの管理する第1の管理機能と、前記交通管理装置のバージョン情報を管理する第2の管理機能と、前記交通管理装置の派遣先、可動予定及び実績を管理する第3の管理機能と、前記交通管理装置の誘導動作に必要な設定情報を当該交通管理装置に配布する機能を管理する第4の管理機能と、を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明の交通管理システムは、請求項4に記載の交通管理システムであって、前記設定情報は、前記交通管理装置の位置を示す位置情報、工事帯長、近隣信号の有無、枝道の有無、工事帯の勾配、及び工事帯の周辺情報の少なくとも一つを含むことを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明の交通管理システムは、請求項3乃至5のいずれか一項に記載の交通管理システムであって、前記シミュレータは、前記交通管理装置の設置位置と、当該設置位置及びその周辺を示す地図情報を用いて、交通誘導のシミュレーションを行い、交通誘導の影響を予測することを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明の交通管理システムは、請求項4または5に記載の交通管理システムであって、前記シミュレータは、シミュレーション結果を基に、交通誘導に必要な設定値を算出することで前記設定情報を生成し、前記サーバの前記第4の管理機能を用いて当該設定情報を前記交通管理装置に配布することで、当該交通管理装置を遠隔設定することを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明の交通管理システムは、移動可能な状態で対象エリアに設置される交通管理装置と、前記対象エリアの外側から前記交通管理装置の制御を行うことが可能なエリア外制御手段と、を備え、前記交通管理装置は、車両を感知して車両感知情報を出力する車両感知手段と、所定の情報を掲示することで、車両の誘導を行う掲示手段と、を備え、前記交通管理装置は、前記車両感知手段からの前記車両感知情報に基づいて、前記掲示手段に所定の情報を掲示させる制御を行うことを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明の交通管理システムは、請求項8に記載の交通管理システムであって、前記エリア外制御手段は、交通管理業務を行う業務者により操作される業務者情報端末と、前記業務者情報端末と前記交通管理装置の間に接続され、前記業務者情報端末からの操作入力に基づいて前記交通管理装置の制御を行う遠隔サーバと、を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載の発明の交通管理システムは、請求項9に記載の交通管理システムであって、前記交通管理装置は、当該交通管理システムにおける交通誘導の判断を行う判断手段を更に備え、前記車両感知手段は、少なくとも前記対象エリアに侵入する車両の撮像を行う撮像手段と、当該車両までの距離、及び当該車両の速度を測定する測定手段と、を備え、前記業務者情報端末は、前記撮像手段が撮像した画像と、前記測定手段が測定した車両までの距離、及び当該車両の速度と、前記判断手段の判断と、を表示可能であることを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載の発明の交通管理システムは、請求項10に記載の交通管理システムであって、前記交通管理装置は、前記撮像手段が撮像した画像に対する画像処理を行う画像処理手段を更に備え、前記遠隔サーバまたは前記業務者情報端末は、前記撮像手段が撮像した画像の画像ファイルと、前記画像処理手段による画像処理の結果と、前記測定手段が測定した車両までの距離、及び当該車両の速度と、前記判断手段の判断と、を受信して記録可能であることを特徴とする。
【0019】
請求項12に記載の発明の交通管理システムは、請求項10または11に記載の交通管理システムであって、前記交通管理装置は、地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、当該交通管理装置が設置された位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段を備え、前記位置情報及び前記地図情報から工事現場の状況を認識し、当該工事現場の状況のデータを他の交通管理装置にダウンロードすることで、他の交通管理装置の前記判断手段に判断を行うための情報を提供することを特徴とする。
【0020】
請求項13に記載の発明の交通管理システムは、請求項10乃至12のいずれか一項に記載の交通管理システムであって、前記交通管理装置のソフトウェア及びハードウェアのバージョン情報を記録して管理することを特徴とする。
【0021】
請求項14に記載の発明の交通管理システムは、請求項10乃至13のいずれか一項に記載の交通管理システムであって、前記交通管理装置からのイベント情報を加工して交通シミュレータのシミュレーション用データを作成することを特徴とする。
【0022】
請求項15に記載の発明の交通管理システムは、請求項10乃至14のいずれか一項に記載の交通管理システムであって、工事現場に置かれた前記交通管理装置を操作するオペレーターとの音声通話、または当該オペレーターとのビデオ通話を可能にする通信手段を備えることを特徴とする。
【0023】
請求項16に記載の発明の交通管理システムは、請求項3、8乃至15のいずれか一項に記載の交通管理システムの交通管理システムであって、前記エリア外制御手段は、前記交通管理装置の以前の制御結果をフィードバックして、人工知能(AI)の技術を利用して当該交通管理装置の制御を最適化することを特徴とする。
【0024】
請求項17に記載の発明の交通管理システムは、工事帯に近接または待機または通過する複数台の車両の通過状況から成る動的な交通情報と、前記工事帯の長さ、枝道を含む交差点の情報、交通信号機の情報、車線の情報、及び歩行者帯の情報の少なくとも一つから成る静的な交通情報とを用いて、車両の誘導判断を実施し、前記工事帯を通行する車両に対して交通誘導を実施することを特徴とする。
【0025】
請求項18に記載の発明の交通管理システムは、請求項17に記載の交通管理システムであって、前記動的な交通情報と前記静的な交通情報とを用いて工事帯の種別を分類し、前記誘導判断のパターンを動的に変更することを特徴とする。
【0026】
請求項19に記載の発明の交通管理システムは、請求項17または18に記載の交通管理システムであって、前記工事帯の位置情報を取得する位置情報システムを備え、前記位置情報システムが取得した前記位置情報と、地図情報とを参考にすることにより、前記動的な交通情報と前記静的な交通情報を取得し、前記誘導判断を行うことを特徴とする。
【0027】
請求項20に記載の発明の交通管理システムは、請求項17乃至19のいずれか一項に記載の交通管理システムであって、前記工事帯に設置されるメイン機及びサブ機が取得した前記動的な交通情報と前記静的な交通情報を用いて、仮想的に過去、現在、未来の交通状況を推測または予測し、得られた交通状況の情報を用いて前記誘導判断の機能試験を行うことを特徴とする。
【0028】
請求項21に記載の発明の交通管理システムは、請求項17乃至20のいずれか一項に記載の交通管理システムであって、前記交通状況の予測にあたって、前記誘導判断の結果と、その判断結果に基づく交通状況の遷移を反映することを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によって、局地的な要因で交通管理を行う場合に好適な交通管理システムを提供できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施形態に係る交通管理システムを示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る交通管理装置を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る交通管理装置を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る交通管理システムの動作を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態に係る交通管理システムの情報表示を示す説明図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る交通管理システムの情報のやり取りを示す説明図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る交通シミュレータの動作を示す第1の説明図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る交通シミュレータの動作を示す第2の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[本発明の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0032】
<実施形態の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る交通管理システムを示すブロック図である。
図2は、交通管理装置を示す斜視図である。
図3は、交通管理装置を示すブロック図である。
図4は、交通管理システムの動作を示すフローチャートである。
図5は、交通管理システムの情報表示を示す説明図である。
図6は、交通管理システムの情報のやり取りを示す説明図である。
図7は、交通管理システムの情報の判断の方法を示す第1の説明図である。
図8は、交通管理システムの情報の判断の方法を示す第2の説明図である。
【0033】
<交通管理システムの概要構成>
図1に示すように、本発明の実施形態に係る交通管理システム1は、交通管理業務を行う業務者(例えば派遣責任者、現場監督)が所定の場所や施設(例えば事業所)で使用するタブレット型パーソナルコンピュータ等の情報端末2と、インターネット3と、遠隔サーバ4と、工事現場Aに近接して設置されるメイン機の交通管理装置5mと、工事現場Aに近接して設置されるサブ機の交通管理装置5sと、工事現場Bに近接して設置されるメイン機の交通管理装置6mと、工事現場Bに近接して設置されるサブ機の交通管理装置6sと、工事現場Cに近接して設置されるメイン機の交通管理装置7mと、工事現場Cに近接して設置されるサブ機の交通管理装置7sとから構成される。
【0034】
情報端末2は、インターネット3を介して、遠隔サーバ4と通信を行う。 遠隔サーバ4は、工事現場管理情報処理部8と、工事現場管理DB(データベース)9を有している。
【0035】
また、遠隔サーバ(クラウド型、オンプレミス型を含む)4は、遠距離通信回線(本システム専用の通信回線や例えば4G(4rd Generation)/LTE回線などの遠距離無線通信)を介して交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sと接続する。
【0036】
複数の交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sは、各工事現場に設置して、センサ(
図2のビデオカメラ部36及びレーダー部26)及びAI(制御部41)を用いて、交通誘導を実施する交通管理装置群となっている。
【0037】
遠隔サーバ4は、複数の交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sを管理するサーバになっており、 交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sからの位置情報(例えば
図3の位置情報受信部38によるGPSの情報)、センサ情報(
図2のビデオカメラ部36及びレーダー部26からの情報)等を収集し、装置管理やその他の情報収集を行う。
【0038】
遠隔サーバ4は、
図7及び
図8に示す交通シミュレータ71を実行可能になっている。 交通シミュレータ71は、 仮想的に交通状況を模擬し、実物の交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sと同じアルゴリズムで誘導を行うことにより、発生しうる渋滞状況を推定する。
【0039】
<管理サーバ4及び交通シミュレータ71による交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sへの付加機能>
【0040】
交通管理システム1は、 交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sを管理する機能として、(a1)交通管理装置の構成管理及びバージョン情報管理する機能と、(b1)保守運用に必要な交通管理装置を構成するパーツの管理する機能と、(c1)交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sの稼働計画、派遣計画等を管理する機能(どの工事現場にどの交通管理装置を派遣するかの予定作成や実績を管理)と、(d1)交通管理装置の誘導動作に必要な設定情報を配布する機能と、(e1)位置情報(例えばGPS情報)及び地図情報から、交通誘導判断に必要な工事帯長、近隣信号の有無、枝道の有無、勾配、バス停等の周辺情報を交通管理装置に伝達する機能とを有する。
【0041】
また、交通管理システム1は、 交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sを用いた交通状況・誘導状況を収集・可視化する機能として、(a2)交通管理装置による交通状況、誘導状況のリアルタイム監視する機能と、(b2)全交通誘導装置の稼働状況を地図や一覧で表示する機能と、(c2)個別の交通誘導装置の稼働状況(現場写真、イベント一覧、渋滞状況グラフ、誘導状態チャート等、 インシデントの自動または手動による記録)を詳細画面(情報端末2の画面)で表示する機能と、(d2)交通状況・誘導状況の過去履歴(全交通誘導装置の過去の稼働状況を地図や一覧で時系列表示、 過去のインシデント履歴や発生渋滞等の検索、閲覧、交通誘導装置の派遣履歴による工事の進捗把握)を閲覧する機能と、(e2)交通管理装置を用いた現地とのテレコミュニケーション(図示しない360度カメラ等を用いた現地状況のリアルタイム監視、現地担当者との通話を実現、現地映像を過去履歴として管理サーバで記録)する機能を備えている。
【0042】
また、交通管理システム1は、交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sのシミュレーション機能として、(a3)シミュレーションにより誘導影響を予測する機能( 交通管理装置の設置位置と、地図情報を用いて交通誘導シミュレーションを行い、交通誘導の影響を予測する)と、(b3)前記シミュレーション結果を基に、交通誘導に必要な設定値を算出し、(d1)の機能を用いて交通管理装置に遠隔設定する機能とを有している。
【0043】
交通管理システム1は、シミュレーション機能により、誘導アルゴリズム開発の促進、 多数の交通状況下における誘導アルゴリズムの検証を実施、 誘導アルゴリズムの改善を行った際に、シミュレーションを用いて再現試験を行い、改善効果を確認することができる。
【0044】
<交通管理装置の構成>
本実施形態の交通管理装置について、工事現場Aに設置されるサブ機の交通管理装置5sを代表にして説明する。
【0045】
図2に示すように、交通管理装置5sは、下側のベース部11と上側の表示器部12を一体化した構造になっている。
【0046】
下側のベース部11の筐体21の下面には、複数のキャスタ22が設けられ、交通管理装置5sを現場作業者の手押しにより移動可能にしている。また、下側のベース部11の下面には、交通管理装置5sを定位置で停止させるための停止機構(図示せず)も設けられている。
【0047】
下側のベース部11の筐体21の前面中央には、スイッチ操作、ケーブル接続等の各種操作を行うためのアクセスドア23が設けられている。
【0048】
筐体21のアクセスドア23の左右両脇には、左右のスピーカ47L、47R(
図3参照)を内蔵した左右の放音部24L、24Rが設けられている。
【0049】
筐体21のアクセスドア23の上側には、後述の近距離通信部25が設けられている。 筐体21のアクセスドア23の近距離通信部25の上側には、ミリ波で歩行者や車両の探知を行うレーダー部26が設けられている。
【0050】
表示器部12の筐体31の前面には、下側の表示画面32と、上側の電光掲示板33が設けられている。
【0051】
筐体31の前面の表示画面32より下側には、マイク49(
図3参照)を内蔵する集音部34と、ボタン35が設けられている。
【0052】
筐体31の前面の表示画面32と電光掲示板33の間には、ビデオカメラ部36が設けられている。
【0053】
筐体31の上面には、後述の遠距離通信部42のアンテナ37と、位置情報受信部38とが設けられている。
【0054】
図3に示すように、交通管理装置5sの内部には制御部41が配置されており、交通管理装置5sは制御部41により全体の動作が制御される。
【0055】
交通管理装置5sには、遠距離通信部42、近距離通信部25及び位置情報受信部38の信号を受信又は送信するための3つの機器が備えられている。
【0056】
遠距離通信部42は、アンテナ37(
図2参照)を用いて遠距離通信回線に接続することで遠隔サーバ4(
図1参照)に接続し、遠隔サーバ4とデータの送受信を行う。
【0057】
近距離通信部25は、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、無線LAN等の近距離無線通信により携帯端末と通信を行うことができる機器である。また、近距離通信部25は、他の交通管理装置(メイン機の交通管理装置5m)の近距離通信部25又はこれに類する装置と通信が行われる。これら遠距離通信部42及び近距離通信部25は、交通管理装置5sの内部に配置される制御部41に接続され、制御部41により制御される。
【0058】
位置情報受信部38は、例えばGPS(Global Positioning System)信号を受信する機器であり、交通管理装置5sの設置場所を特定するための情報を得るための機器である。
【0059】
位置情報受信部38は、交通管理装置5sの内部に配置される制御部41に接続され、制御部41により制御される。
【0060】
交通管理装置5sは、外部電源20から電力の供給を受ける。外部電源20には例えば商用電力が用いられることができる。外部電源20から供給される電力は、交通管理装置5sの内部の電源部43で受電される。また、電源部43から制御部41及び必要に応じて他の機器に電力が供給される。
【0061】
また、交通管理装置5sには蓄電部44が配置されている。蓄電部44は例えばバッテリーであり、電源部43に接続されて電力を蓄え、制御部41に接続されて蓄電部44が電源部43から電力の供給を受けることができない場合等に、制御部41等に電力を供給する。蓄電部44は無停電電源装置であっても良い。
【0062】
また、交通管理装置5sには表示画面32(
図2参照)及び表示画面制御部45が配置される。表示画面制御部45は、制御部41による制御に基づいて、表示画面32に表示される画像・動画等を制御する。
【0063】
また、交通管理装置5sには電光表示板33(
図2参照)及び電光表示板制御部46が配置される。電光表示板制御部46は、制御部41による制御に基づいて、電光表示板33に表示される文字・画像等を制御する。
【0064】
また、交通管理装置5sには、左右の放音部24L、24R(
図2参照)の左右のスピーカ47L、47R及び音声出力制御部48が配置される。表音声出力制御部48は、制御部41により制御され、左右のスピーカ47L、47Rに音声を出力させる制御を行う。
【0065】
また、制御部41には記憶部51が接続される。記憶部51には、各種プログラム、各種コンテンツ、左右のスピーカ47L、47Rに出力するための音声、表示画面32に表示するための画像、動画、電光表示板33に表示される文字・画像等が保存される。
【0066】
また、交通管理装置5sには、走行する車両、歩行者等の情報を収集する手段として、レーダー部26、ビデオカメラ部36、及びマイク49が配置される。
【0067】
マイク49は、集音部34(
図2参照)の内部に設けられ、受音した音声を電気信号の音声入力信号に変換して、音声入力制御部50に送信する。
【0068】
音声入力制御部50は、マイク49から受信した音声入力信号に対して、レベル調整、ノイズ除去等の音声信号処理を行い、デジタル音声信号に変換して制御部41に送信する。
【0069】
レーダー部26は、ミリ波によるレーダー波の送受信を行うことで、車両や歩行者の位置(車両や歩行者までの距離、車両や歩行者の方向)や速度の探知(測定)を行い、探知結果の目標データを制御部41に送信する。
【0070】
ビデオカメラ部36は、工事現場A及びその周辺部の撮影を行い、ビデオデータを生成して制御部41に送信する。
【0071】
制御部41は、遠距離通信部42を用いて、音声入力制御部50、レーダー部26、ビデオカメラ部36からの信号及びデータを遠隔サーバ4に送信する。
【0072】
さらに、制御部41にはボタン35(
図2参照)が接続される。誰かがボタン35を押した場合には、制御部41はそのボタン35に従って制御される。また、制御部41は、遠距離通信部42を介して交通管理装置5sの外部(遠隔サーバ4)より命令を受けること、及び制御部41又は記憶部51内のプログラム等に従って制御される。
【0073】
交通管理装置5m、6m、6s、7m、7sは、交通管理装置5sと関係者(前記業務者、工事現場の作業者等)による設定が異なるだけで、同じハード構成を用いている。
【0074】
次に、
図1乃至
図4を用いて交通管理システム1の工事現場Aに対応する基本動作を説明する。
【0075】
<交通管理システムの基本動作>
まず、準備作業として、
図1に示すように、工事現場Aが設けられた自動車道の一方の脇の歩道にメイン機の交通管理装置5mを設置し、工事現場Aが設けられた自動車道の他方の脇の歩道にサブ機の交通管理装置5sを設置する。
【0076】
メイン機の交通管理装置5mは、車道を挟み、車両に進行方向に対して工事現場Aの手前側に配置する。
【0077】
サブン機の交通管理装置5sは、車両に進行方向に対して工事現場Aの手前側に配置する。
【0078】
この後、工事現場Aから離れた所定の場所または施設にいる業務者は、ステップS1において、情報端末2を操作して、交通管理システム1の起動指示を行う。これにより、遠隔サーバ4は、交通管理システム1のプログラムを起動し、ステップS2において、メイン機の交通管理装置5mにアクセスする。これにより、メイン機の交通管理装置5mは、ステップS3において、遠隔サーバ4との通信を開始する。
【0079】
次に、遠隔サーバ4は、ステップS4において、サブ機の交通管理装置5sにアクセスする。これにより、サブ機の交通管理装置5sは、ステップS5において、遠隔サーバ4との通信を開始する。
【0080】
メイン機の交通管理装置5mは、ステップS6において、レーダー部26、ビデオカメラ部36、及びマイク49を用いて、工事現場A及びその付近(工事帯)の車両、歩行者等の情報を収集し、位置情報受信部38を用いて工事現場Aの工事現場位置情報を収集し、これら収集した情報を判定する。これにより、メイン機の交通管理装置5mは、ステップS7において、前記判定に基づいて、表示デバイスの表示画面32、電光表示板33、左右の放音部24L、24Rを制御して、各種表示(
図1の場合、電光表示板33及び左右の放音部24L、24Rに“すすめ”の表示)を行う。
【0081】
この後、サブ機の交通管理装置5sは、ステップS8において、ステップS6で収集した情報を遠隔サーバ4に送信する。これにより、遠隔サーバ4は、ステップS9において、メイン機による工事現場A及びその付近の車両、歩行者等の情報、工事現場位置情報を受信する。
【0082】
サブ機の交通管理装置5sは、ステップS10において、レーダー部26、ビデオカメラ部36、及びマイク49を用いて、工事現場A及びその付近の車両、歩行者等の情報を収集し、位置情報受信部38を用いて工事現場Aの工事現場位置情報を収集し、これら収集した情報を判定する。これにより、サブ機の交通管理装置5sは、ステップS11において、前記判定に基づいて、表示デバイスの表示画面32、電光表示板33、左右の放音部24L、24Rを制御して、各種表示(
図1の場合、電光表示板33及び左右の放音部24L、24Rに“とまれ”の表示)を行う。
【0083】
この後、サブ機の交通管理装置5sは、ステップS12において、ステップS10で収集した情報を遠隔サーバ4に送信する。これにより、遠隔サーバ4は、ステップS13において、サブ機による工事現場A及びその付近の車両、歩行者等の情報、工事現場位置情報を受信する。これにより、情報端末2は、ステップS15において、判定情報を表示して、業務者の判断を仰ぐ。
【0084】
次に、業務者は、判定情報を確認して、情報端末2に対して、各種指示(各工事現場に置かれた交通管理装置を操作するオペレーターとの音声通話、あるいはビデオ通話、緊急指示等)の操作を行う。これにより、情報端末2は、ステップS16において、操作入力処理を行い、指示データを遠隔サーバ4に送信する。
【0085】
遠隔サーバ4は、ステップS17において、情報端末2からの指示データに基づいて、メイン機用のデータ(例えば交通シミュレータにより生成した設定情報)を工事現場管理DB9から読み出して、メイン機の交通管理装置5mのデータを送信する。これにより、メイン機の交通管理装置5mは、ステップS18において、受信したメイン機用のデータに基づいて各種設定を行い、表示デバイスの表示画面32、左右の放音部24L、24Rを制御して、各種表示(各工事現場に置かれた交通管理装置を操作するオペレーターとの音声通話、あるいはビデオ通話、緊急指示等)を行う。
【0086】
また、遠隔サーバ4は、ステップS19において、情報端末2からの指示データに基づいて、サブ機用のデータ(例えば交通シミュレータにより生成した設定情報)を工事現場管理DB9から読み出して、サブ機の交通管理装置5sのデータを送信する。これにより、サブ機の交通管理装置5sは、ステップS20において、受信したサブ機用のデータに基づいて各種設定を行い、表示デバイスの表示画面32、左右の放音部24L、24Rを制御して、各種表示(各工事現場に置かれた交通管理装置を操作するオペレーターとの音声通話、あるいはビデオ通話、緊急指示等)を行う。
【0087】
<交通管理システムの補足説明>
メイン機の交通管理装置(5m、6m、7m)及びサブ機の交通管理装置(5s、6s、7と)は、それぞれ独立した独立した交通誘導システムの機能を有しており、個々の撮像手段(
図2のビデオカメラ部36)からの画像ファイルそのもの、画像ファイルの認識結果、個々のレーダーシステム(
図2のレーダー部26)からの車両までの距離、車両の方向及び速度の測定値、個々の制御部(
図3の制御部41)の止まれ、進めの判断をイベント情報として遠隔サーバ4に転送する。
【0088】
ここで、遠隔サーバ4では、本実施形態において、交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sに遠隔設定するが、現実(シミュレーションではない)の交通誘導に関する判断は行わない。
【0089】
遠隔サーバ4は、クラウド型、オンプレミス型等、各種適用可能である。
このような交通管理システム1としての遠隔サーバ4は、各工事現場に設置された交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sからのイベント情報(画像ファイル、画像処理の結果、レーダーシステムの測定値、交通誘導システムの制御部の判断)を受信して工事現場管理DB9に記録する。
【0090】
また、交通管理システム1は、各工事現場に設置された交通管理装置から送られる位置情報(例えば位置情報受信部38によるGPSの情報)を使って、地図情報から工事現場の状況(工事帯の長さ、工事帯から信号機までの距離、道路の勾配、枝道や、バス停の有無など)を認識して、それらのデータを交通管理装置にダウンロードして、より正確な判断を行うための情報を提供する。
【0091】
また、交通管理システム1としての遠隔サーバ4は、交通管理装置に関するソフトウェア、ハードウェアのバージョン情報を工事現場管理DB9に記録し管理する。
【0092】
また、交通管理システム1としての遠隔サーバ4は、交通管理装置からのイベント情報を加工して交通シミュレータのシミュレーション用データを作成する。
【0093】
また、交通管理システム1は、各工事現場に置かれた交通管理装置を操作するオペレーターとの音声通話、あるいはビデオ通話を実現する。
【0094】
<交通管理システムの詳細動作>
以下、交通管理システム1の詳細動作の説明を行う。
【0095】
<交通管理システムの全体動作> 交通管理システム1は、工事帯(例えば工事現場A及びその周辺地域)に近接、待機、通過する複数台の車両からなる動的な通過状況、並びに工事帯長、枝道を含む交差点情報、信号情報、車線情報、歩行者帯から成る静的な交通状況を用いて誘導判断を実施し、工事帯を通行する車両に対して交通誘導を実施する交通誘導ロボットとなっている。
【0096】
また、交通管理システム1は、前記静的並びに動的な交通状況を用いて工事帯種別を分類し、誘導判断パターンを動的に変更する。
【0097】
交通管理システム1は、GPS及びそれに類する位置情報システム(位置情報受信部38)を備えるか、または事前に設定することにより得られる位置情報を用い、地図情報を参考にすることにより、前記静的並びに動的の情報を取得し、誘導判断を行う。
【0098】
<交通管理システムの機能> 交通管理システム1は、機能1として、交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sにより、工事現場位置情報、交通状況、交通状況画像(一部)を収集する。
【0099】
交通管理システム1は、機能2として、遠隔サーバ4が各工事現場の状況をリアルタイムで把握し、情報端末2を介して業務者(例えば派遣責任者、現場監督)に連絡、指示を行う。
【0100】
図5において、交通管理システム1は、機能3として、情報端末2を用いて、地
図61に示す様に、工事現場位置情報を表示可能である。
【0101】
また、交通管理システム1は、機能4として、情報端末2を用いて、現在の交通状況62、停滞推移グラフ63、工事現場の直近画像64等の交通状況リアルタイム表示を行える。
【0102】
さらに、交通管理システム1は、機能5として、情報端末2を用いて、時系列イベント表示65、イベント詳細66、当該時刻付近の画像67等の交通状況タイムライン表示を行える。 交通管理システム1は、機能6として、交通状況統計情報表示68を行える。
【0103】
<交通管理システムのデータのダウンロード>
図6に示すように、遠隔サーバ4は、工事帯の地図データから類推し、情報端末2、メイン機(例えば交通管理装置5m)及びサブ機(例えば交通管理装置5s)に対して、工事帯の位置、工事帯の長さ、信号機の有無、信号機までの距離、枝道の有無、枝道の位置、枝道の特徴(枝道、駐車場の入り口等)等のデータをダウンロードする。
【0104】
交通管理システム1のメイン機及びサブ機は、取得した静的及び動的な交通情報を用いて仮想的に過去、現在、未来の交通状況を推測または予測し、得られた交通状況を用いて誘導判断を行う。
【0105】
交通管理システム1のメイン機及びサブ機は、前記交通状況の予測にあたって、当該メイン機及びサブ機による誘導判断の結果と、その判断結果に基づく交通状況の遷移を反映する。
【0106】
<交通管理システムの交通シミュレータ>
以下、交通管理システム1の機能試験を補完するための交通シミュレータについて説明する。
【0107】
図7において、工事現場Aには、信号機10が有り、近辺にメイン機(交通管理装置5m)及びサブ機(交通管理装置5s)が設置されている。
【0108】
遠隔サーバ4により実行される交通シミュレータ71は、メイン機及びサブ機からの静的及び動的な交通情報から、局所的な交通シナリオを基づく交通状態を取得する。
【0109】
局所的な交通シナリオを基づく交通状態には、工事帯長72、工事帯類型73、時間帯当たり流入台数74、信号遷移時間75がある。
【0110】
交通シミュレータ71のイベント生成部81は、交通シミュレータ71の交通状態(工事帯長72、工事帯類型73、時間帯当たり流入台数74、信号遷移時間75)を用いて、車両台数及び車種82、車番認識83、車速・距離測定84を生成し、評価レイヤ91にイベント通知する。
【0111】
交通シミュレータ71の評価レイヤ91は、イベント生成部81からの車両台数及び車種82、車番認識83、車速・距離測定84を用いて、動的な交通状況として、滞留度計算92、停滞度計算93、近接車両情報94、車両通過判断95を算出し、交通状態遷移として判断レイヤ101に送信する。
【0112】
判断レイヤ101は、評価レイヤ91からの滞留度計算92、停滞度計算93、近接車両情報94、車両通過判断95を用いて、交通状況に基づく判断処理102を行う。
【0113】
交通シミュレータ71の判断処理102の結果は、イベント生成部81にフィードバックされ、イベント生成部81が車両台数及び車種82、車番認識83、車速・距離測定84を生成する際の補正が行われる。
【0114】
図8に示すように、イベント生成部81、評価レイヤ91、判断レイヤ101による判断結果(止まれ、進め)は、遠隔サーバ4の出力用コネクタ111から遠距離通信回線を介して交通管理システム1のメイン機(例えば交通管理装置5m)及びサブ機(例えば交通管理装置5s)の条件付与サブシステム112に送られ、条件付与サブシステム112により地形、車両、ナンバー、信号機、工事帯の長さ等の条件が付与され、メイン機及びサブ機の表示システム(表示画面32、電光表示板33、及び左右のスピーカ47L、47R)113により“すすめ”、“とまれ”の表示が行われる。
【0115】
このような表示と平行して、交通管理システム1のメイン機及びサブ機が生成した車速、距離、信号機、車両種別、ナンバープレート、車列等の情報は、遠距離通信回線を介して、遠隔サーバ4の入力用コネクタ114から交通シミュレータ71の検出レイヤ115に送られ。検出レイヤ115からの情報は、評価レイヤ91に送られる。
【0116】
このようにして、遠隔サーバ4の交通シミュレータ71は、メイン機及びサブ機の交通管理装置からのイベント情報を加工して交通シミュレータのシミュレーション用データを作成し、シミュレーション用データから設定情報(地形、車両、ナンバー、信号機、工事帯の長さ等の条件)を作成してメイン機及びサブ機に提供する。
【0117】
本発明の実施形態の構成及び効果を纏めて説明すると、交通管理システム1は、各工事現場に設置され、車両を感知した車両感知情報を含む交通管理情報を生成し、当該交通管理情報に基づいて交通誘導を実施する交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sと、前記交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sからの前記交通管理情報を収集し、前記交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sを管理するサーバ(遠隔サーバ4)とを備える。
【0118】
また、交通管理システム1は、各工事現場に設置され、車両を感知した車両感知情報を含む交通管理情報を生成し、当該交通管理情報に基づいて交通誘導を実施する交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sと、仮想的に交通状況を模擬し、前記交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sと同じアルゴリズムで誘導を行うことにより、発生しうる渋滞状況を推定するシミュレータ(交通シミュレータ71)とを備える。
【0119】
さらに、交通管理システム1は、各工事現場に設置され、車両を感知した車両感知情報を含む交通管理情報を生成し、当該交通管理情報に基づいて交通誘導を実施する交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sと、前記各工事現場の外側から前記交通管理装置の制御を行うことが可能なエリア外制御手段(情報端末2、遠隔サーバ4)と、前記交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sからの前記交通管理情報を収集し、前記交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sを管理するサーバと、仮想的に交通状況を模擬し、前記交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sと同じアルゴリズムで誘導を行うことにより、発生しうる渋滞状況を推定するシミュレータ(交通シミュレータ71)とを備える。
【0120】
前記サーバ(遠隔サーバ4)は、前記交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sの保守運用に必要なパーツの管理する第1の管理機能と、前記交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sのバージョン情報を管理する第2の管理機能と、前記交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sの派遣先、可動予定及び実績を管理する第3の管理機能と、前記交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sの誘導動作に必要な設定情報を当該交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sに配布する機能を管理する第4の管理機能とを備える。
【0121】
前記設定情報は、前記交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sの位置を示す位置情報、工事帯長、近隣信号の有無、枝道の有無、工事帯の勾配、及び工事帯の周辺情報の少なくとも一つを含む。
【0122】
前記シミュレータ(交通シミュレータ71)は、前記交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sの設置位置と、当該設置位置及びその周辺を示す地図情報を用いて、交通誘導のシミュレーションを行い、交通誘導の影響を予測する。
【0123】
前記シミュレータ(交通シミュレータ71)は、シミュレーション結果を基に、交通誘導に必要な設定値を算出することで前記設定情報を生成し、前記サーバの前記第4の管理機能を用いて当該設定情報を前記交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sに配布することで、当該交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sを遠隔設定する。
【0124】
さらに、交通管理システム1は、移動可能な状態で対象エリア(工事現場A、B、C及びその周辺)に設置される交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sと、前記対象エリアの外側から前記交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sの制御を行うことが可能なエリア外制御手段(情報端末2、遠隔サーバ4)と、を備え、前記交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sは、車両を感知して車両感知情報を出力する車両感知手段(レーダー部26、ビデオカメラ部36、及びマイク49)と、所定の情報を掲示することで、車両の誘導を行う掲示手段(表示画面32、電光表示板33、及び左右のスピーカ47L、47R、)と、を備え、前記交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sは、前記車両感知手段からの前記車両感知情報に基づいて、前記掲示手段に所定の情報を掲示させる制御を行う。
【0125】
さらに、交通管理システム1は、前記エリア外制御手段は、交通管理業務を行う業務者により操作される業務者情報端末2と、前記業務者情報端末2と前記交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sの間に接続され、前記業務者情報端末2からの操作入力に基づいて前記交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sの制御を行う遠隔サーバ4と、を備える。
【0126】
さらに、交通管理システム1は、前記交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sは、当該交通管理システム1における交通誘導の判断を行う判断手段を更に備え、前記車両感知手段は、少なくとも前記対象エリアに侵入する車両の撮像を行う撮像手段(ビデオカメラ部36)と、当該車両までの距離、及び当該車両の速度を測定する測定手段(レーダ部26)と、を備え、前記業務者情報端末2は、前記撮像手段が撮像した画像と、前記測定手段が測定した車両までの距離、及び当該車両の速度と、前記判断手段の判断と、を表示可能であることを特徴とする。
【0127】
さらに、交通管理システム1は、前記交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sは、前記撮像手段が撮像した画像に対する画像処理を行う画像処理手段(制御部41)を更に備え、前記遠隔サーバ4または前記業務者情報端末2は、前記撮像手段が撮像した画像の画像ファイルと、前記画像処理手段による画像処理の結果と、前記測定手段が測定した車両までの距離、及び当該車両の速度と、前記判断手段の判断と、を受信して記録可能である。
【0128】
さらに、交通管理システム1は、前記交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sは、地図情報を記憶する地図情報記憶手段(記憶部51)と、当該交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sが設置された位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段(位置情報受信部38)を備え、前記位置情報及び前記地図情報から工事現場の状況を認識し、当該工事現場の状況のデータを他の交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sにダウンロードすることで、他の交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sの前記判断手段に判断を行うための情報を提供する。
【0129】
さらに、交通管理システム1は、前記交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sのソフトウェア及びハードウェアのバージョン情報を記録して管理する。
【0130】
さらに、交通管理システム1は、前記交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sからのイベント情報を加工して交通シミュレータのシミュレーション用データを作成する。
【0131】
さらに、交通管理システム1は、工事現場に置かれた前記交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sを操作するオペレーターとの音声通話、または当該オペレーターとのビデオ通話を可能にする通信手段(業務者情報端末2、インターネット3、遠隔サーバ4、ビデオカメラ部36、表示画面32、制御部41、遠距離通信部42、表示画面制御部45、スピーカ47L、47R、音声出力制御部48、マイク49、音声入力制御部50)を備える。
【0132】
さらに、交通管理システム1は、前記エリア外制御手段は、前記交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sの以前の制御結果をフィードバックして、人工知能(AI)の技術を利用して当該交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sの制御を最適化する。
【0133】
交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sは、移動可能な状態で対象エリアに設置される交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sであって、車両を感知して車両感知情報を出力する車両感知手段(レーダ部26、ビデオカメラ部36)と、所定の情報を掲示することで、車両の誘導を行う掲示手段(表示画面32、電光表示板33、及び左右のスピーカ47L、47R、)と、制御手段(制御部41、表示画面制御部45、電光掲示板制御部46、音声出力制御部48)と、を備え、前記制御手段は、前記車両感知手段からの前記車両感知情報に基づいて、前記掲示手段の制御を行う。
【0134】
さらに、交通管理システム1は、工事帯に近接または待機または通過する複数台の車両の通過状況から成る動的な交通情報と、前記工事帯の長さ、枝道を含む交差点の情報、交通信号機の情報、車線の情報、及び歩行者帯の情報の少なくとも一つから成る静的な交通情報とを用いて、車両の誘導判断を実施し、前記工事帯を通行する車両に対して交通誘導を実施する。
【0135】
さらに、交通管理システム1は、前記動的な交通情報と前記静的な交通情報とを用いて工事帯の種別を分類し、前記誘導判断のパターンを動的に変更する。
【0136】
さらに、交通管理システム1は、前記工事帯の位置情報を取得する位置情報システム(遠隔サーバ4)を備え、前記位置情報システムが取得した前記位置情報と、地図情報とを参考にすることにより、前記動的な交通情報と前記静的な交通情報を取得し、前記誘導判断を行う。
【0137】
さらに、交通管理システム1は、前記工事帯に設置されるメイン機(交通管理装置5m、6m、7m)及びサブ機(交通管理装置5s、6s、7s)が取得した前記動的な交通情報と前記静的な交通情報を用いて、仮想的に過去、現在、未来の交通状況を推測または予測し、得られた交通状況の情報を用いて前記誘導判断の機能試験を行うことを特徴とする。
【0138】
さらに、交通管理システム1は、前記交通状況の予測にあたって、前記誘導判断の結果と、その判断結果に基づく交通状況の遷移を反映する。
【0139】
このような本発明の実施形態によれば、移動可能な状態で対象エリア(工事現場A、B、C及びその周辺)に設置される交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sが、
車両を感知して車両感知情報を出力する車両感知手段(レーダー部26、ビデオカメラ部36、及びマイク49)による車両感知情報に基づいて、掲示手段(表示画面32、電光表示板33、及び左右のスピーカ47L、47R、)に所定の情報を掲示させる制御を行うとともに、遠隔サーバ4が前記交通管理装置5m、5s、6m、6s、7m、7sを管理するので、局地的な要因で交通管理を行う場合に好適な交通管理システム1を提供できる。
【0140】
尚、本発明の交通管理システムを構成する装置や手段は上述したものに限定されず、管理システムの利用目的等に応じて、必要な装置や手段のみの構成としたり、適宜他の装置や手段を付加したりすることができる。
【0141】
例えば、複数の交通管理装置を6台以外で構成、例えば2台や10台で構成することも可能である。
【0142】
また、車両を感知して車両感知情報を出力する車両感知手段として、レーダー部26、ビデオカメラ部36、及びマイク49の組み合わせを用いたが、他の組み合わせ、例えばレーダー部とビデオカメラ部のみの組み合わせや、ビデオカメラ部として赤外線用及び可視光線用の両方を用いる等、各種適用可能である。
【0143】
また、車両の誘導を行う掲示手段として、表示画面32、電光表示板33、及び左右のスピーカ47L、47R、の組み合わせを用いたが、他の組み合わせ、例えば表示画面と電光表示板のみの組み合わせ等、各種適用可能である。
【0144】
また、交通管理を行う対象エリアとして、工事現場及びその周辺を用いたが、交通管理を行う対象エリアとしては、事故現場及びその周辺、事件現場及びその周辺等、別のエリアを用いてもよい。
【0145】
また、各手段をそれぞれ別個のものとして構成するのではなく、複数の機能を統合した手段として構成してもよい。
【0146】
また、上記実施形態は、あくまでも、現在のところの最良の形態またはそれに近い形態にすぎない。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明の管理システムは、交通管理を行う業務者や法人、組織等において効果的に利用できる。
【符号の説明】
【0148】
1…交通管理システム
2…情報端末 3…インターネット 4…遠隔サーバ 5m、5s、6m、6s、7m、7s…交通管理装置 8…工事現場管理情報処理部 9…工事現場管理DB 11…ベース部 12…表示器部
20…外部電源
21…筐体 22…キャスタ 23…アクセスドア 24L、24R…左右の放音部 25…近距離通信部 26…レーダー部 31…筐体 32…表示画面 33…電光掲示板 34…集音部 35…ボタン 36…ビデオカメラ部 37…アンテナ 38…位置情報受信部 41…制御部 42…遠距離通信部 43…電源部 44…蓄電部 45…表示画面制御部 46…電光表示板制御部 47L、47R…左右のスピーカ
48…音声出力制御部
49…マイク
50…音声入力制御部
51…記憶部
61…地図 62…現在の交通状況 63…停滞推移グラフ 64…工事現場の直近画像 65…時系列イベント表示 66…イベント詳細 67…当該時刻付近の画像 68…交通状況統計情報表示 71…交通シミュレータ 72…工事帯長 73…工事帯類型 74…時間帯当り流入台数 75…信号遷移時間 81…イベント生成部 82…車両台数及び車種 83…車番認識 84…車速・距離測定 91…評価レイヤ 92…滞留度計算 93…停滞度計算 94…近接車両情報 95…車両通過判断 101…判断レイヤ 102…判断処理 111…出力用コネクタ 112…条件付与サブシステム 113…表示システム 114…入力用コネクタ
115…検出レイヤ