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特許7349982構造色を付与した物品および構造色を付与した物品の製造方法並びに使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】構造色を付与した物品および構造色を付与した物品の製造方法並びに使用方法
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/02 20220101AFI20230915BHJP
   A43B 13/20 20060101ALI20230915BHJP
   A43B 23/02 20060101ALI20230915BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20230915BHJP
【FI】
A43B13/02 Z
A43B13/20 A
A43B23/02 101Z
B32B7/023
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020518531
(86)(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 US2018053529
(87)【国際公開番号】W WO2019067969
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-07-31
【審判番号】
【審判請求日】2021-05-25
(31)【優先権主張番号】62/565,299
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/565,306
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/565,310
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/565,313
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/633,666
(32)【優先日】2018-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514144250
【氏名又は名称】ナイキ イノベイト シーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー ビー
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー ガンツ
(72)【発明者】
【氏名】キム コヴェル
【合議体】
【審判長】筑波 茂樹
【審判官】八木 誠
【審判官】一ノ瀬 覚
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-104931(JP,A)
【文献】特開2017-210605(JP,A)
【文献】再公表特許第2018/164216(JP,A1)
【文献】特表2016-502470(JP,A)
【文献】国際公開第2010/047322(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/037393(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0262675(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0171440(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B
B29C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の少なくとも一部を形成し、第1の表面を有する構成部分と、
第1の面、および、第1の面と反対の第2の面を有する光学素子とを含み、
光学素子の第1の面、光学素子の第2の面またはその両方が、構成部分に構造色を付与し、
光学素子の第1の面または光学素子の第2の面は、構成部分の第1の表面上に配置され、
付与される構造色は、単一色相の構造色であり、光学素子は少なくともつの光学層を含み、光学素子の少なくともつの前記光学層が、光学素子に反射されて単一色相の構造色を生成する可視光の波長の約1/4の厚みを有する、物品。
【請求項2】
光学素子の第1の面または光学素子の第2の面が配置される構成部分の第1の表面の少なくとも一部は、第1のポリマー材料によって画定され、光学素子は第1のポリマー材料上に配置され、任意にプライマー層、任意にテクスチャ表面または任意にその両方が、光学素子と第1のポリマー材料との間に配置される、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
任意のテクスチャ表面は複数の形状特徴部と平坦領域を含み、形状特徴部は、テクスチャ表面の平らな領域上に延在し、形状特徴部と平坦領域は、起伏のある形状を有する、少なくとも1つの光学素子の層をもたらし、該光学素子の層には隣接する凸領域または凹領域との間に、テクスチャ表面の平坦領域と平行である、平面領域があり、形状特徴部の寸法、形状特徴部の形状および複数の形状特徴部間の間隔は、光学素子と組み合わせて構造色を付与する、請求項2に記載の物品。
【請求項4】
少なくともつの光学層が、(i)各層が独立して、遷移金属、メタロイド、ランタノイドおよびアクチニドの窒化物、酸窒化物、硫化物、硫酸塩、セレン化物およびテルル化物から選択される材料を含む複数の層、(ii)液晶で作られる1つまたは複数の層、または(iii)二酸化ケイ素、二酸化チタン、硫化亜鉛、フッ化マグネシウム、五酸化タンタル、酸化アルミニウムまたはそれらの組合せから作られる1つまたは複数の層、
を含む請求項1~3のいずれか1項に記載の物品。
【請求項5】
構成部分の第1の表面が布を含み、布の少なくとも外層が第1のポリマー材料を含み、任意に布は不織布、織布、ニット布または合成皮革であり得る、請求項2~4のいずれか1項に記載の物品。
【請求項6】
布が第1の繊維または第1のヤーンを含み、第1の繊維または第1のヤーンは、第1のポリマー材料を含む、請求項5に記載の物品。
【請求項7】
光学素子が配置される布の領域は、非フィラメント構造の第1の繊維または第1のヤーンを含む、請求項6に記載の物品。
【請求項8】
構成部分の第1の表面がフィルムを含み、フィルムの少なくとも外層が第1のポリマー材料を含み、任意にフィルムは多層フィルムである、請求項1~5のいずれか1項に記載の物品。
【請求項9】
フィルムは20ミルの平均フィルム厚に対して、15cm/m・atm・day以下の窒素ガスに対するガス透過率を有する、請求項8に記載の物品。
【請求項10】
構成部分の第1の表面はブラダの表面を含み、ブラダの少なくとも外層は第1のポリマ
ー材料を含み、任意にブラダの表面はテクスチャ表面を含み、ブラダの表面はブラダの外
面またはブラダの内面である、請求項2~のいずれか1項に記載の物品。
【請求項11】
任意にプライマー層、テクスチャ表面またはその両方が光学素子の第2の面上に配置した状態で光学素子の第1の面がブラダの内面上に配置されるか、または、任意にプライマー層、テクスチャ表面またはその両方が、光学素子とブラダの外面との間に配置した状態で光学素子がブラダの外面上に配置される、請求項10に記載の物品。
【請求項12】
構成部分は発泡体を含み、発泡体の少なくとも外層は第1のポリマー材料を含む、請求項1~5に記載の物品。
【請求項13】
第1のポリマー材料は熱可塑性材料である、請求項2~12のいずれか1項に記載の物品。
【請求項14】
熱可塑性材料が、エラストマー熱可塑性材料を含み、任意に1つまたは複数の、熱可塑性ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンまたはその組合せを含む、請求項13に記載の物品。
【請求項15】
第1のポリマー材料が、熱硬化性材料である、請求項2~12のいずれか1項に記載の物品。
【請求項16】
物品はフットウェア用品であり、構成部分はフットウェア構成部分であり、任意にアッパーまたはソールまたはアッパーとソールの両方の組合せである、請求項1~15のいずれか1項に記載の物品。
【請求項17】
フットウェア構成部分が、ソールの緩衝素子であり、任意に発泡体またはブラダ素子である、請求項16に記載の物品。
【請求項18】
光学素子が多層反射材または多層フィルタを含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の物品。
【請求項19】
多層反射材が、屈折率が異なる少なくとも2つの隣接した層を含む、少なくとも2つの層を有する、請求項18に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2017年9月29日に出願された「STRUCTURALLY COLORED ARTICLES AND METHODS OF MAKING STRUCTURALLY COLORED ARTICLES」の名称の米国仮出願第62/565,299号および2018年2月22日に出願された「ARTICLES HAVING STRUCTURAL COLOR AND METHODS AND SYSTEMS FOR MAKING ARTICLES HAVING STRUCTURAL COLOR」の名称の米国仮出願第62/633,666号および2017年9月29日に出願された「STRUCTURALLY COLORED STRUCTURES AND ARTICLES,METHODS OF MAKING STRUCTURES AND ARTICLES」の名称の米国仮出願第62/565,313号および2017年9月29日に出願された「STRUCTURES HAVING STRUCTURAL COLOR AND METHODS AND SYSTEMS FOR MAKING STRUCTURES HAVING STRUCTURAL COLOR」の名称の米国仮出願第62/565,310号および2017年9月29日に出願された「STRUCTURES HAVING STRUCTURAL COLOR AND METHODS AND SYSTEMS FOR MAKING STRUCTURES HAVING STRUCTURAL COLOR」の名称の米国仮出願第62/565,310号、の利益および優先権を主張し、これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
その化学的特性に基づいて特定の波長の光を吸収または反射する染料または顔料の存在に由来する色とは対照的に、構造色は、光と表面のマイクロまたはナノフィーチャおよびバルク材料との物理的相互作用によって引き起こされる。染料および顔料による色は、多くの点で問題となり得る。例えば、染料および顔料、並びに、製造および完成品の導入のためのそれらに関連する化学的性質は、環境に優しくない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本発明のさらなる実施態様は、添付の図面と併せて、以下に記載される様々な実施形態の詳細な説明を検討することによりさらに容易に理解される。
図1図1A~1Mは、本発明の光学素子を含む、フットウェア、アパレル、スポーツ用品、入れ物、電子機器およびアイウェア(vision wear)を示す。
図2図2A~2Bは、本発明の例示的な光学素子の側面図を示す。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、光学素子を使用することにより構造色を示す物品を提供し、構造色は、少なくとも部分的には、光学効果(例えば、光の可視波長の散乱、屈折、反射、干渉および/または回折)を通して生成される可視色である。構造色は、インクまたは顔料の使用およびそれらの使用に関連する環境への影響を考慮することなく、物品に美的に魅力的な色を付与することができる。
【0005】
光学素子は、構造色を付与するために、単独で、またはテクスチャ表面、プライマー層、またはその両方と任意に組み合わせて使用することができる。テクスチャ表面および/またはプライマー層は光学素子の一部であってもよいし、光学素子から分離させることもできるが、光学素子と共に使用される場合には、構造色を付与する。言い換えれば、光学素子は単独で第1の構造色を付与することができるが、光学素子とテクスチャ表面またはプライマー層との組み合わせ、或いはその両方との組み合わせにより、第2の構造色を付与できるようになる。いくつかの例では、第2の構造色は第1の構造色と同じである。代わりに、第2の構造色は色相、明度または玉虫調(iridescence)のタイプといった色パラメータに基づいて、第1の構造色とは異なる。そのような場合、光学素子とテクスチャ表面および/またはプライマー層との組み合わせは、物品に構造色を付与する。
【0006】
物品上に光学素子を配置した後、物品は物品へ追加の顔料または染料を適用せずに、物品の下地表面とは異なる色を示すようになる。例えば、構造色は、色相、明度、玉虫調のタイプまたはそれらの組み合わせといった色パラメータに基づいて、物品の表面の下部の色とは異なりうる。特定の例では、構造色と物品の表面の下部の色は、色相および玉虫調の両方のタイプが異なり、構造色は玉虫調(例えば、15°離れた少なくとも2つの異なる角度から見た場合に2つ以上の異なる色相を示す)であり、表面の下部の色は玉虫調ではない。光学素子は、靴のアッパー部分および/またはソール部分といった、フットウェアの1つまたは複数の構成部分の表面上に配置(例えば、貼り付け、取り付け、接着、結合、接合)することができる。光学素子は、ブラダ(bladder)または発泡体などのクッション要素に組み込むことによってソールに組み込むことができる。ソールおよび/またはアッパーは、開口部や構造色を付与した構成部分を覆う透明な構成部分を設ける等によって、構造色を付与した構成部分の1つ以上の部分が、完成品において見えるように設計することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、物品のソールの少なくとも一部を形成し、第1の表面を有する構成部分と、第1の面、および、第1の面と反対の第2の面を有する光学素子とを含み、光学素子の第1の面、光学素子の第2の面またはその両方が構造色を付与し、構成部分の第1の表面上に配置され、構成部分に構造色を付与し、光学素子の第1の面または光学素子の第2の面は、構成部分の第1の表面上に配置して構成部分に構造色を付与する物品を提供する。特定の例では、物品はフットウェア用品であり、構成部分はフットウェア構成部分である。フットウェア構成部分は、フットウェアのアッパー、フットウェアのソール、フットウェアのアッパー/アウトソールの組み合わせといった、一体型または複合構成部分を指すと理解される。また、例えば、ヒールカウンター、ランド、トゥーキャップ、ブラダ、発泡体の一部、レーシングアイステイ補強材(lacing eyestay reinforcement)、タン、バンプなどのような、複合構成部分の副構成部分または素子を指すことができる。光学素子は、1つまたは複数の光学層を含むことができる。光学素子と組み合わせたテクスチャ表面および/またはプライマー層は、構造色を付与することができる。フットウェア構成部分は、アッパー、ソールまたはその両方とすることができる。フットウェア構成部分がソールである場合、ブラダまたは発泡体素子などの緩衝素子ソールであってもよい。
【0008】
本発明の多くの例では、非常に玉虫調の構造色(例えば、異なる角度から見たときに広範囲の色相にわたってシフトする色)を得ることができ、他の例では、異なる角度から見たときに広範囲の色相にわたってシフトしない構造色(例えば、色相がシフトしない、または視角に応じて限られた数の色相にわたってシフトする構造色)も得ることができる。
【0009】
一例では、本発明は、構成部分の表面上に配置された光学素子を提供し、物品が、‐15°~+60°の間の3つの測定角で所定の照明条件下でCIE1976色空間に従って測定された場合、第1の観察角度における第1の測色(color measurement)の座標がL 、a およびb であり、第2の観察角度における第2の測色の座標がL 、a およびb であり、第3の観察角度における第3の測色の座標がL 、a およびb であり、ここで、L 、L およびL の値は同じであっても異なっていてもよく、a 、a およびa の座標値は、同じであっても異なっていてもよく、b 1 、b およびb の座標値は、同じであっても異なっていてもよく、組み合わされたa 、a およびa の値の範囲は、a が取り得る値の全スケールの約40%未満であることを特徴とする。
【0010】
別の例では、本発明は、構成部分の表面上に配置された光学素子を提供し、物品が、‐15°~+60°の間の2つの測定角で所定の照明条件下でCIE1976色空間に従って測定された場合、第1の観察角度における第1の測色の座標がL 、a およびb であり、第2の観察角度における第2の測色の座標がL 、a およびb であり、ここで、L およびL の値は同じであっても異なっていてもよく、a およびa の座標値は、同じであっても異なっていてもよく、b 1 およびb の座標値は、同じであっても異なっていてもよく、第1の測色と第2の測色との間のΔE abは約100以下であり、ここでΔE ab =[(L 1 ‐L 2 2 +(a 1 ‐a 2 2 +(b 1 * ‐b 2 2 1/2 であることを特徴とする。
【0011】
さらに別の例では、構成部分の表面上に配置された光学素子を提供し、物品が、‐15°~+60°の間の3つの測定角で所定の照明条件下でCIELCH色空間に従って測定された場合、第1の観察角度における第1の測色の座標がL 、C およびh °であり、第2の観察角度における第2の測色の座標がL 2 、C 2 およびh 2 °であり、第3の観察角度における第3の測色の座標がL 3 、C 3 およびh 3 °であり、ここで、L 、L およびL の値は同じであっても異なっていてもよく、C 、C およびC の座標値は、同じであっても異なっていてもよく、h 1 °、h 2 °およびh 3 °の座標値は、同じであっても異なっていてもよく、組み合わされたh 1 °、h 2 °およびh 3 °の値の範囲は、約60°未満であることを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、本発明の実施形態を一般的に説明してきたが、実施形態に関するさらなる議論が、より詳細に説明される。
【0013】
本発明は、説明された特定の実施形態に限定されず、したがって、もちろん、変更することが可能である。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的で用いられ、それによって限定することを意図しない。
【0014】
値域が与えられる場合、各介在値は、文脈が特に明確に指示しない限り、下限の単位の1/10まで、その範囲の上限および下限と、その記載された範囲内の任意の他の記載または介在値との間は、本発明内に包含される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立して、より小さい範囲に含まれてもよく、また、記載された範囲における任意の特に除外された制限の制約のもとで、開示内に包含される。記載された範囲が限界の一方または両方を含む場合、これらの限界の一方または両方を除外する範囲もまた、開示に含まれる。
【0015】
本発明を読めば当業者には明らかであるように、本明細書に記載され図示された個々の実施形態の各々は、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離したり、またはそれらと組み合わせることができる、個別の構成部分および特徴を有する。任意の記載された方法は、記載されたイベントの順序または論理的に可能な任意の他の順序で実行することができる。
【0016】
本発明の実施形態は、特に断らない限り、材料科学、化学、繊維学、ポリマー化学などの技術を使用し、これらは当業者の技術の範囲内である。このような技術は特許文献で全て説明されている。
【0017】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、材料科学、化学、繊維学、ポリマー化学などの当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または同等の方法および材料を、本発明の実施または試験において使用することができるが、好適な方法および材料が本明細書に記載される。
【0018】
明細書および特許請求範囲において用いられているように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が他の点を明確に指示しない限り、複数の指示対象を含み得る。従って、例えば、「支持体」が指すものは、複数の支持体を含む。本明細書および以下の特許請求の範囲において、反対の意図が明らかでない限り、以下の意味を有するように定義されるいくつかの用語が参照される。
【0019】
本発明は、構造色を示す物品を提供する。構造色は光学素子を用いて生成することができ、光学素子は物品の1つまたは複数の構成部分の上、例えば物品がフットウェア用品の場合は、フットウェア用品のアッパーまたはソールの上に組み込まれる。光学素子は物品中、例えば物品の構成部分の外面上に組み込むことができる。物品がフットウェア用品である例においては、外面は靴のアッパーまたはソールであり得る。光学素子は緩衝素子(ブラダ、発泡体)に組み込むことができ、任意に他の構成部分とともに物品に貼り付けて物品を形成する構成部分に組み込むことができる。物品および/または構成部分は光学素子を含む1つまたは複数の部分が完成品において見えるように設計することができる。例えば、光学素子を含む部分は、開口部を通してまたは透明領域等を通して見ることができる。
【0020】
物品はフットウェア用品であってもよい。フットウェア用品は、スポーツ、運動、軍隊、仕事関連、レクリエーションまたはカジュアル用途などの様々な用途のために設計することができる。主に、フットウェア用品は、それが競技用の地面としてであろうと、一般的な屋外地面としてであろうと、芝生(grass)、芝生(turf)、砂利、砂、ダート(dirt)、土(clay)、泥(mad)、舗道などの1つ以上を含む地面などの未舗装面(部分的または全体的)での屋外使用を意図する。しかしながら、フットウェア用品は、例えば、ダートの地面を含む屋内スポーツ(例えば、内野部分がダートの屋内野球場)などの屋内用途にも望ましい場合がある。
【0021】
フットウェア用品は、屋内またはグローバルフットボール/サッカー、ゴルフ、アメリカンフットボール、ラグビー、野球、ランニング、陸上競技、サイクリング(例えば、ロードバイクおよびマウンテンバイク)等の屋外のスポーツ活動において使用されるように設計することができる。フットウェア用品は、柔らかく滑りやすい表面上に摩擦を提供するために、摩擦要素(例えば、滑り止めの突起、クリート、スタッドおよびスパイク並びにトレッドパターン)を任意に含むことができ、ここで、本発明の構成部分は、摩擦要素の間または隙間および任意に摩擦要素の面上であって、地面または表面に接触する摩擦要素の表面上に使用または適用することができる。クリート、スタッドおよびスパイクは、一般に、グローバルフットボール/サッカー、ゴルフ、アメリカンフットボール、ラグビー、野球などのスポーツに使用するように設計されたフットウェアに含まれ、これらは舗装されていない地面で頻繁にプレーされる。滑り止めの突起および/または誇張されたトレッドパターンは、一般に、トレイルランニング、ハイキングおよび軍事的使用などのでこぼこの屋外の条件下で使用するためのブーツの設計を含むフットウェアに含まれる。
【0022】
物品は、アパレル用品(すなわち衣服)であってもよい。アパレル用品は、運動またはレジャー活動のために設計されたアパレル用品であってもよい。アパレル用品は、特定の要素(例えば、風および/または雨)または衝撃から保護するように設計されたアパレル用品であってもよい。
【0023】
物品は、スポーツ用品であってもよい。スポーツ用品は、グローバルフットボール/サッカー、ゴルフ、アメリカンフットボール、ラグビー、野球、ランニング、陸上競技、サイクリング(例えば、ロードバイクおよびマウンテンバイク)等の室内または屋外のスポーツ活動において使用されるように設計することができる。
【0024】
図1Aから図1Mは、本発明の光学素子を含む物品について説明する。光学素子は、斜線領域12A´/12M´~12A´´/12M´´によって表される。光学素子の位置は、光学素子が配置されうる1つの可能な領域を示すためのみに提供される。2つの位置もまた提供されるが、これは、物品は1つ以上の多数の光学素子を含むことができるので、例示の目的だけのためにされるものであって、大きさおよび位置は物品に基づいて決定することができる。各物品上に位置する光学素子は、数字、文字、記号、デザイン、エンブレム、グラフィックマーク、アイコン、ロゴ等を表すことができる。
【0025】
本発明の物品は、構造色を含むの光学効果を付与する特徴を有する光学素子を含む。光学素子は、少なくとも1つの光学層(例えば、多層反射材または多層フィルタ)を、任意にテクスチャ表面(例えば、光学素子と組合せてまたは物品の表面の一部として)と組み合わせて、任意にプライマー層と組み合わせて、任意に保護層と組み合わせて、または任意にテクスチャ表面、プライマー層、および保護層の組合せと組み合わせて、含む。光学素子または、光学素子と任意のテクスチャ表面および/またはプライマー層との組み合わせは、構造色(例えば、単色、多色、玉虫調)を物品に付与する。物品に光学素子を配置した後、物品は、顔料または染料を物品に適用せずに着色されているように見える(すなわち、配置前に物品の表面が有していた色とは異なる、新しい色(例えば、色相または玉虫調または本明細書中で説明されるその他において異なる色)を有するように見える)。しかしながら、顔料および/または染料は、美的に好ましい効果を生じさせるために、光学素子と併せて使用することができる。
【0026】
ここで、本発明の実施形態を一般的に説明してきたが、さらなる詳細を説明する。本明細書で説明したように、構造色は、多数の色のうちの1つを含むことができる。観察者によって知覚される物品の「色」は、観察者によって知覚される色が、物品によって反射される光を吸収、屈折、干渉またはそうでなければ変更することができる光学素子の存在下での物品の実際の色によって、物品によって反射される光の波長を検出する観察者の能力によって、物品を照明するために使用される光の波長、並びに物品の環境の着色および入射光のタイプ(例えば、太陽光、蛍光灯の明かりなど)といった他の要因によって決定されるため、物品の実際の色とは異なることがある。その結果、観察者によって知覚される物体の色は、物品の実際の色とは異なることがある。
【0027】
従来、着色顔料または染料を物品に適用することによって、人工の物品に色が付与されてきた。より最近では、人工の物品に「構造色」を付与する方法が開発されている。構造色は、表面に接触する可視光を妨害する、微視的に構造化された表面によって少なくとも部分的に生成される色である。構造色とは、色材による可視光の吸収や放射による色とは異なり、光の散乱、屈折、反射、干渉、回折などの物理現象による色である。例えば、構造色を付与する光学現象は、多層干渉、薄膜干渉、屈折、分散液、光散乱、ミー散乱、回折および回折格子を含むことがある。本明細書に記載される様々な態様では、物品に付与される構造色は、物品から約1メートルの距離からの20/20の正常視力(visual acuity)および正常な色覚を有する観察者に視認できる。
【0028】
本明細書に記載されるように、構造色は、顔料および/または染料のみによって生成される色とは対照的に、光学素子によって少なくとも部分的に付与される。構造色を生成した物品の着色は、構造色のみで付与することができる(すなわち物品、物品の着色された部分または物品の着色された外層は、顔料および/または染料を実質的に含まなくてもよい)。構造色は、例えば、構造色の全部または一部を変えるために、顔料および/または染料と組合せて使用することもできる。
【0029】
「色相」は、一般に、可視光の主波長に基づいて識別可能な色の特性を記述するために使用され、しばしば、マゼンタ、赤、橙、黄、緑、シアン、青、インディゴ、バイオレットなどの用語を使用して記述されるか、またはこれらのうちの1つに関連して(例えば、類似または非類似として)記述することができる。色の色相は、一般に、色の強度または明度とは無関係であると考えられる。例えば、マンセルカラーシステムでは、色の特性は、色相、値(明度)および彩度(色純度)を含む。特定の色相は、一般に、可視スペクトルにおける波長の特定の範囲に関連し、約700~635ナノメートルの範囲の波長は、赤に関連し、約635~590ナノメートルの範囲は、橙に関連し、約590~560ナノメートルの範囲は、黄に関連し、約560~520ナノメートルの範囲は、緑に関連し、約520~490ナノメートルの範囲は、シアンに関連し、約490ナノメートル~450ナノメートルの範囲は、青に関連し、約450~400ナノメートルの範囲は、紫に関連する。
【0030】
観察者によって知覚される物品の色(色相を含む)は、物品の実際の色とは異なることがある。観察者によって知覚される色は、物品の物理学だけでなく、その環境、並びに知覚する眼および脳の特性にもよる。例えば、観察者によって知覚される色は、物品の実際の色(例えば、物品の表面を出る光の色)、物品によって反射または放出される光の波長を検出する観察者の能力、物品を照明するために使用される光の波長、並びに物品の環境の着色および入射光のタイプ(例えば、太陽光、蛍光灯の光など)などの他の要因によって決定される。その結果、観察者によって知覚される物体の色は、物品の実際の色とは異なることがある。
【0031】
構造色の文脈で使用される場合、物品の構造色を付与した部分が吸収および反射(例えば、線形または非線形に)する光の波長に基づいて、構造色を付与した物品、すなわち、物品に光学素子を組み込むことによって構造色を付与した物品の、色相を特徴付けることができる。光学素子は、第1の構造色を付与することができるが、任意のテクスチャ表面および/またはプライマー層の存在により、構造色を変えることができる。被膜または透明部品のような他の要因により、知覚される構造色をさらに変化させることができる。構造色を付与した物品の色相は、本明細書に記載される色相のいずれか、並びに他の色相または色相の組み合わせを含むことができる。構造色は、「単一色相」(すなわち色相は、観察および/または照明の角度にかかわらず実質的に同じままである)または「多色相」(すなわち色相は、観察および/または照明の角度に応じて変化する)と分類することができる。多色相の構造色は、玉虫調(すなわち、観察または照明の角度の変化に応じて、色相が2つ以上の色相にわたって徐々に変化する)をとることができる。玉虫調の多色構造色の色相は、観察または照明の角度の変化に応じて、可視スペクトル内の全ての色相にわたって徐々に変化することができる(例えば、「虹」のように)。玉虫調の多色相構造色の色相は、観察または照明の角度の変化に応じて、可視スペクトルの限られた数の色相にわたって徐々に変化することができ、言い換えれば、可視スペクトルの1つ以上の色相(例えば、赤、橙、黄など)は、観察または照明の角度が変化しても、構造色において観察されない。単一色相の構造色については、可視スペクトルにおける1つの色相または実質的に1つの色相のみが、存在することができる。多色相構造色の色相は、観察または照明の角度の変化に応じて、限られた数の色相の間(例えば、2~8色相の間または2~4色相の間または2色相の間)でより急激に変化することができる。
【0032】
構造色は、構造色によって2つ以上の色相が付与される多色相(multi‐hued)構造色とすることができる。
【0033】
構造色は、単一の視角で見た場合または互いに少なくとも15°離れている2つ以上の異なる視角から見た場合に、構造色の色相が広い数の色相(例えば、4、5、6、7、8またはそれ以上の色相)にわたって変化する玉虫調の多色相構造色とすることができる。
【0034】
構造色は、互いに少なくとも15°離れた2つ以上の異なる視角から見たときに、構造色の色相が限られた数の色相(例えば、2つの色相または3つの色相)にわたって変化するか、または実質的に(例えば、約90パーセント、約95パーセントまたは約99パーセント)変化する限られた玉虫調の多色相構造色であってもよい。いくつかの態様では、限られた玉虫調を有する構造色は、赤、黄および青のRYB原色、任意に赤、黄、青、緑、橙および紫のRYB原色および第二色または任意に赤、黄、青、緑、橙‐紫、緑‐黄、黄‐橙、橙‐赤、赤‐紫、紫‐青および青‐緑のRYB原色、第二色および第三色から選択される2つ、3つまたは4つの色相に限定される。
【0035】
構造色は、構造色の色相、色相と明度または色相と明度および彩度が、観察角度とは無関係であるか、または実質的に(例えば、約90パーセント、約95パーセントまたは約99パーセント)無関係である単一色相の角度非依存性の構造色であってもよい。例えば、単一色相角度非依存性構造色は、少なくとも3つの、互いに少なくとも15°離れた異なる角度から見たときに、同じ色相または実質的に同じ色相を表示することができる(例えば、単一色相構造色)。
【0036】
付与される構造色は、限定された玉虫調を有する構造色であってもよく、その結果、観察の各可能な角度で観察される各色が、赤黄青(RYB)カラーホイール上の原色、第二色および第三色からなる群から選択される単一色相に割り当てられる場合、単一の構造色相のすべてが、単一色相群に入り、ここで、単一色相群は、a)緑‐黄、黄および黄‐橙、b)黄、黄‐橙および橙、c)黄‐橙、橙および橙‐赤、d)橙‐赤および赤‐紫、e)赤、赤‐紫および紫、f)赤‐紫、紫および紫―青、g)紫、紫‐青および青、h)紫‐青、青および青‐緑、i)青、青‐緑および緑、j)青‐緑、緑および緑‐黄であり、言い換えれば、限定された玉虫調のこの例では、構造色によって与えられる色相(または色相および明度または色相、明度および彩度)は、構造色が観察される角度に応じて変化するが、観察の様々な角度で観察される異なる色のそれぞれの色相は、限られた数の取り得る色相にわたって変化する。各観察角度で見える色相は、赤黄青(RYB)カラーホイール上の単一の原色、第二色および第三色の色相(すなわち、赤、黄、青、緑、橙紫、緑‐黄、黄‐橙、橙‐赤、赤‐紫、紫‐青および青‐緑からなる色相のグループ)に割り当てることができる。例えば、観察角度がずれるにつれて、複数の異なる色が観察されるが、観察された各色相が、赤、黄、青、緑、橙紫、緑―黄、黄‐橙、橙‐赤、赤‐紫、紫‐青および青‐緑のうちの1つに分類される場合、割り当てられた色相のリストは、RYB原色、第二色および第三色のリストから選択された1つ、2つまたは3つ以下の色相を含む。限られた玉虫調のいくつかの例では、割り当てられた色相のすべてが、色相グループa)~j)から選択された単一色相グループに入り、色相グループのそれぞれが、RYB原色、第二色および第三色のカラーホイール上の3つの隣接する色相を含む。例えば、割り当てられた色相の全ては、色相グループh)内の単一色相(例えば、青)とすることができ、割り当てられた色相の幾つかは、色相グループh)内の2つの色相(例えば、紫‐青および青)または色相グループh)内の3つの色相(例えば、紫‐青、青および青‐緑)を表すことができる。
【0037】
同様に、色の明度、色の飽和度および色の純度など、構造色の他の特性は、観察または照明の角度にかかわらず実質的に同じであってもよく、または観察または照明の角度に応じて変化してもよい。構造色は、艶消し外観、光沢外観、金属外観またはそれらの組み合わせを有することができる。
【0038】
上述のように、構造色を付与した物品の色(色相を含む)は、構造色を付与した物品が観察または照明される角度に応じて変化することができる。物品の色相または複数の色相は、一定の照明条件を用いて様々な角度で物品を観察することまたは物品を照明することによって決定することができる。本明細書で使用されるように、照度または視野の「角度」とは、表面に直交する軸または面から測定される角度である。視野角または照明角は、約0~180°の間で設定することができる。観察角度または照明角度は、0°、15°、30°、45°、60°および‐15°に設定することができ、色は、物品の特定の領域に焦点を合わせて色を測定する測色計または分光光度計(例えば、コニカミノルタ)を使用して測定することができる。観察角度または照明角度は、0°、15°、30°、45°、60°、75°、90°、105°、120°、135°、150°、165°、180°、195°、210°、225°、240°、255°、270°、285°、300°、315°、330°および345°に設定することができ、色は、測色計または分光光度計を使用して測定することができる。構造色のみを使用して着色された多色物品の特定の例では、0°、15°、30°、45°、60°および‐15°で測定された場合、物品について測定された色相は、測定角度のうちの3つで「青」、測定角度のうちの2つで「青‐緑」および測定角度のうちの1つで「紫」からなっていた。
【0039】
他の実施形態では、構造色を付与した物品の色(色相、明度および/または彩度を含む)は、物品が観察または照明される角度に応じて、実質的には変化しない。このような場合、構造色は、観察される色相、色相と明度または色相と明度と彩度が実質的に独立であるか、または観察角度とは独立であるという点で、角度に依存しない構造色とすることができる。
【0040】
色座標系を定義するための様々な方法が存在する。1つの例は、L a b 色空間であり、ここで、所定の照明条件に対して、L は明度に対する値であり、a およびb は、CIE座標(CIE1976色空間またはCIELAB)に基づく反対色座標(color‐opponent dimension)に対する値である。一実施形態では、構造色を有する構造色を付与した物品は、物品について測定された色の変化が、0°、15°、30°、45°、60°および‐15°の観察角度または照明角度で測定されたものから選択された3つ以上の測定された観察角度または照明角度で、L a b スケール(CIE1976色空間)のa またはb 座標の合計スケールの約10%以内または約5%以内である場合、「単一」色を有すると考えることができる。特定の実施形態では、a 座標およびb 座標のスケールの少なくとも5パーセントだけ、またはa 座標およびb 座標のスケールの少なくとも10パーセントだけ異なるL a b システムにおいて測定され、値を割り当てられた場合、異なる色であると考えられる。構造色を付与した物品は、3つ以上の測定された観察角度または照明角度において、L a b スケール(CIE1976色空間)のa 座標またはb 座標の全スケールの約40%未満または約30%未満または約20%未満または約10%未満の変化することができる。
【0041】
CIELAB空間における2つの測定値の間の色の変化は、数学的に決定することができる。たとえば、最初の測定は座標L 1 、a 1 およびb 1 を持ち、2番目の測定は座標L 2 、a 2 およびb 2 をとる。CIELABスケールでのこれら2つの測定値の差の合計は、ΔE abで表すことができ、次のように計算される:ΔE ab=[(L 1 ‐L 2 2 +(a 1 ‐a 2 2 +(b 1 ‐b 2 2 1/2 。一般的に、2つの色のΔE abが1以下の場合、色の違いは人間の目には認識されず、2つの色のΔE abが100を超える場合、その色は逆の色と見なされ、2~3のΔE abが認識可能な色の違いの閾値と見なされる。特定の実施形態では、構造色を有する構造色を付与された物品は、0°、15°、30°、45°、60°および‐15°の観察角度または照明角度で測定されるものから選択される3つ以上の測定観察角度または照明角度の間で、ΔE abが60未満または50未満または40未満または30未満である場合、「単一」色を有するとみなすことができる。構造色を付与した物品は、2つ以上の測定された観察角度または照明角度の間で、約100未満または約80未満または約60未満であるΔE abをとることができる。
【0042】
カラースケールの別の例は、CIELCH色空間であり、ここで、所定の照明条件について、L は明度の値であり、C は彩度の値であり、h°は角度測定としての色相を示す。一実施形態では、構造色を有する構造色を付与された物品は、物品について測定された色が、0°、15°、30°、45°、60°および‐15°の観察角度または照明角度で測定されたものから選択された3つ以上の測定された観察角度または照明角度で、CIELCH色空間のh°角度座標で10°未満異なるか、または5°未満異なる場合、「単一」色を有すると考えることができる。特定の実施形態では、CIELCHシステムにおいて測定され割り当てられた値が、h°測定において少なくとも45°変化する場合は異なる色と考えられる。構造色を付与した物品は、3つ以上の測定された観察角度または照明角度におけるCIELCHシステムのh°測定において、約60°未満または約50°未満または約40°未満または約30°未満または約20°未満または約10°未満の変化を有することができる。
【0043】
色を特徴付けるための別のシステムは、「PANTONE」マッチングシステム(Pantone LLC、Carlstadt、New Jersey、USA)を含み、これは、任意の媒体を通して色を選択し、指定し、ブロードキャストし、マッチングするための正確な方法を提供する表示色標準システムを提供する。一例では、構造色を有する構造色を付与された物品は、物品について測定された色が、0°、15°、30°、45°、60°および‐15°から選択された3つ以上の測定された観察角度または照明角度で、例えば、20の隣接するPANTONE標準内の特定の数の隣接する標準内にある場合、「単一」色を有すると考えることができる。
【0044】
ここで色について説明したが、光学素子について更に詳細に説明する。本明細書に記載されるように、物品は光学素子を含む。光学素子は、少なくとも1つの光学層を含むことができる。光学素子は、単層または多層反射材または多層フィルタであるか、またはこれを含むことができる。光学素子は、物品に構造色が付与されるように、光学素子に入射する光を修正するように機能することができる。光学素子は、少なくとも1つの光学層と、任意に1つまたは複数の追加の層(例えば、保護層、テクスチャ層、プライマー層、ポリマー層など)とを含むことができる。
【0045】
構造色を付与した物品を製造する方法は、光学素子を、物品(例えば、フットウェア用品、アパレル用品、スポーツ用品など)の表面または物品の構成部分上に配置する(例えば、貼り付ける、取り付ける、結束する、留める、接合する、添える、連結する、巻き付ける、実施可能に配置することなどを含む)ことを含むことができる。物品は、構成部分を含み、構成部分は、その上に光学素子を配置することができる表面を有する。物品の表面は、本明細書に記載されるように、熱可塑性材料または熱硬化性材料などの材料から作製することができる。例えば、物品は、熱可塑性材料(すなわち第1の熱可塑性材料)、例えば、構成部分の外面または構成部分(例えば、ブラダの外面または内面)の内面を含む表面を有する。光学素子は、例えば、熱可塑性材料上に配置することができる。
【0046】
光学素子は、第1の面(外表面を含む)と、第1の面(反対の外面を含む)の反対の第2の面とを有し、第1の面または第2の面は物品に隣接する。例えば、光学素子が、フィルムまたはブラダのような、内面および外面を有する構成部分と併せて使用される場合、光学素子の第1の面は、:光学素子の第2の面/光学素子のコア/光学素子の第1の面/構成部分の内面/構成部分のコア/構成部分の外面、などの順序で、構成部分の内面上に配置され得る。また、光学素子の第2の面は、光学素子の第1の面/光学素子のコア/光学素子の第2の面/構成部分の内面/構成部分壁のコア/構成部分の外面、などの順序で、構成部分の内面上に配置され得る。別の例では、光学素子の第1の面は、構成部分の内面/構成部分のコア/構成部分の外面/光学素子の第1の面/光学素子のコア/光学素子の第2の面、などの順に、構成部分の外面上に配置され得る。同様に、光学素子の第2の面は、構成部分の内面/構成部分のコア/構成部分の外面/光学素子の第2の面/光学素子のコア/光学素子の第1の面、などの順序で、構成部分の外面上に配置され得る。任意のテクスチャ表面、任意のプライマー層またはその両方が存在する例では、テクスチャ表面および/またはプライマー層は、構成部分の表面と光学素子の面との間の界面に配置することができる。
【0047】
光学素子または層またはその一部(例えば、光学層)は、物理蒸着、電子ビーム蒸着、原子層堆積法、分子ビームエピタクシー法、陰極アーク蒸着法、パルスレーザ蒸着法、スパッタリング蒸着(例えば、高周波、直流、反応性、非反応性)法、気相成長法、プラズマ増強気相成長法、低圧気相成長法および層毎蒸着法、ゾル‐ゲル蒸着法、Langmuirブロッジェット法などの湿式化学技術などの周知技術を使用して形成され得る。第1の面の温度は、光学素子および/または別個のシステムを形成して温度を調節する技術を使用して調節することができる。さらなる詳細は、本明細書において提供される。
【0048】
光学素子の1つまたは複数の光学層は、多層反射材を含んでもよい。多層反射材は、多層反射材の層の材料選択、厚さおよび数に少なくとも部分的に依存して、光の所定の波長(または波長の範囲)で一定の反射率を有するように構成することができる。言い換えれば、多層反射材の層の材料、厚さおよび数、並びに任意に1つまたは複数の他の層とのその相互作用を注意深く選択することができ、その結果、ある波長の光(または波長範囲)を反射して、所望の構造色を生成することができる。光学層は、隣接する層が異なる屈折率を有する少なくとも2つの隣接する層を含むことができる。光学層の隣接する層の屈折率の差は、約0.0001~50パーセント、約0.1~40パーセント、約0.1~30パーセント、約0.1~20パーセント、約0.1~10パーセント(およびそれらの間の他の範囲(例えば、範囲は、0.0001~5パーセントの増分であり得る))であり得る。屈折率は、少なくとも部分的に光学層の材料に依存し、1.3~2.6の範囲とすることができる。
【0049】
光学層は、2~20層、2~10層、2~6層または2~4層を含むことができる。光学層の各層は、所望の構造色を生成するために、反射される光の波長の約1/4である厚さを有することができる。光学層の各層は、約10~500ナノメートルまたは約90~200ナノメートルの厚さを有することができる。光学層は、少なくとも2つの層を有することができ、隣接する層は、異なる厚さを有し、任意に、同じまたは異なる屈折率を有する。
【0050】
光学素子は、多層フィルタを含んでもよい。多層フィルタは、構造または物品に衝突する光と破壊的に干渉し、光の破壊的干渉および任意に1つまたは複数の他の層または構造(例えば、多層反射材、テクスチャ構造)との相互作用によって、構造色が付与される。この点に関して、多層フィルタの層は、単一の波長の光または特定の範囲の波長の光が構造色を構成するように設計することができる(例えば、材料の選択、厚さ、層の数など)。例えば、光の波長範囲は、プラスまたはマイナス30パーセントまたは単一の波長内または単一の波長のプラスまたはマイナス20パーセント内または単一の波長のプラスまたはマイナス10パーセント内またはプラスまたはマイナス5パーセントまたは単一の波長内に制限することができる。波長の範囲は、より玉虫調の構造色を生成するために、より広くすることができる。
【0051】
1つまたは複数の光学層は、複数の層を含むことができ、各層は、遷移金属、メタロイド、ランタノイドおよびアクチニド元素、並びにこれらの窒化物、酸窒化物、硫化物、硫酸塩、セレン化物およびテルル化物から選択される材料を独立して含む。材料は、光学素子の他の層と任意に組み合わされたときに所望の結果を達成する屈折率を提供するように選択することができる。光学層の1つ以上の層は、液晶で作ることができる。光学層の各層は、液晶で作ることができる。光学層の1つまたは複数の層は、二酸化ケイ素、二酸化チタン、硫化亜鉛、フッ化マグネシウム、五酸化タンタル、酸化アルミニウムまたはそれらの組合せなどの材料から作製することができる。光学層の各層は、二酸化ケイ素、二酸化チタン、硫化亜鉛、フッ化マグネシウム、五酸化タンタル、酸化アルミニウムまたはそれらの組み合わせなどの材料から作製することができる。
【0052】
光学素子は、無色(例えば、構造またはその層に顔料または染料を添加しない)、着色(例えば、顔料および/または染料を構造またはその層に添加する(例えば、暗い色または黒色))、反射性および/または透明(例えば、75パーセント以上の透過率)であってもよい。光学素子が配置される構成部分の表面は、無色(例えば、顔料または染料が材料に添加されていない)、着色(例えば、顔料および/または染料が材料に添加されている(例えば、暗い色または黒色))、反射性および/または透明(例えば、75パーセント以上の透過率)であってもよい。
【0053】
1つまたは複数の光学層は、各層が異なる屈折率を有する層ごとに形成することができる。光学層の各層は、気相成長法、パルスレーザ蒸着法、蒸発蒸着法、スパッタリング蒸着(例えば、高周波、直流、反応性、非反応性)法、プラズマ強化気相成長法、電子ビーム蒸着法、電子ビーム蒸着法、原子層堆積法、分子ビームエピタクシー法、陰極アーク蒸着法、低圧気相成長法および層毎蒸着法、ゾル‐ゲル蒸着法、Langmuirブロッジェット法などの湿式化学技術などの周知技術を用いて形成することができる。
【0054】
上述のように、光学素子は、1つまたは複数の光学層に加えて1つ以上の層を含むことができる。光学素子は、第1の面(例えば、表面を有する面)および第2の面(例えば、表面を有する面)を有し、第1の面または第2の面は、構成部分の表面に隣接する。光学素子の1つ以上の他の層は、光学素子の第1の側および/または第2の側にあってもよい。例えば、光学素子は、保護層および/または熱可塑性ポリマー層などのポリマー層を含むことができ、保護層および/またはポリマー層は、光学素子の第1の面および第2の面の一方または両方にあることができる。別の例では、光学素子は、本明細書に記載のプライマー層を含むことができる。1つ以上の任意の他の層は、テクスチャ表面を含むことができる。代替的にまたは追加的に、光学素子の1つ以上の光学層は、テクスチャ表面を含むことができる。
【0055】
保護層は、光学層を保護するために、光学層の第1および/または第2の面上に配置され得る。保護層は、光学層よりも耐久性または耐摩耗性がある。保護層は、可視光に対して光学的に透明である。保護層は、光学素子の第1の面上にあり、光学層を保護することができる。保護層の全部または一部は、構造色の外観を変えるために染料または顔料を含むことができる。保護層は、二酸化ケイ素、ガラス、金属酸化物の組み合わせまたはポリマーの混合物を含むことができる。保護層は、約3ナノメートル~1ミリメートルの厚さを有することができる。
【0056】
保護層は、物理蒸着法、気相成長法、パルスレーザ蒸着法、蒸発蒸着法、スパッタリング蒸着(例えば、高周波、直流、反応性、非反応性)法、プラズマ強化気相成長法、電子ビーム蒸着法、陰極アーク蒸着法、低圧気相成長法および層毎蒸着法、ゾル‐ゲル蒸着法、Langmuirブロッジェット法などの湿式化学技術を使用して形成することができる。またさらに、保護層は、スプレーコーティング、ディップコーティング、ブラッシング、スピンコーティング、ドクターブレードコーティングなどによって適用され得る。
【0057】
ポリマー層は、光学素子の第1および/または第2の面上に配置することができる。ポリマー層は、例えば、物品が光学素子を接着するための熱可塑性材料を含まない場合のように、物品上に光学素子を配置するために使用することができる。ポリマー層は、ホットメルト接着剤などのポリマー接着材料を含むことができる。ポリマー層は、熱可塑性材料とすることができ、1つ以上の層を含むことができる。熱可塑性材料は、本明細書に記載の熱可塑性材料のいずれか1つとすることができる。ポリマー層は、スピンコーティング、浸漬コーティング、ドクターブレードコーティングなどのような様々な方法を用いて適用することができる。ポリマー層は、約3ナノメートル~1ミリメートルの厚さを有することができる。
【0058】
上述のように、本発明の1つ以上の実施形態は、物品の構成部分の面に光学素子(例えば、単一または多層構造)を組み込んで構造色を付与する物品を提供する。光学素子は、物品の面の熱可塑性材料の上に配置することができ、物品の面は、熱可塑性材料から成る布を含むことができる。
【0059】
構造色構造を説明してきたが、任意のテクスチャ加工表面についてのさらなる詳細を以下に説明する。本明細書に記載されるように、構成部分は、光学素子を含み、光学素子は、少なくとも1つの光学層と、任意にテクスチャ表面とを含むことができる。テクスチャ表面は、テクスチャ構造またはテクスチャ層の表面であり得る。テクスチャ表面は、光学素子の一部として提供されてもよい。例えば、光学素子は、テクスチャ層またはテクスチャ表面を含むテクスチャ構造を含むことができる。テクスチャ表面は、光学素子の第1または第2の面上に形成されてもよい。例えば、光学層の面は、テクスチャ表面を提供するように形成または改良されてもよく、またはテクスチャ層またはテクスチャ構造は、光学素子の第1または第2の面上に貼り付けられてもよい。テクスチャ表面は、光学素子が配置される構成部分の一部として提供されてもよい。例えば、光学素子は、構成部分の表面がテクスチャ表面であるか、構成部分の表面がテクスチャ構造または貼り付けられたテクスチャ層を含む構成部分の表面上に配置されてもよく、
【0060】
テクスチャ表面(またはテクスチャ表面を含むテクスチャ構造またはテクスチャ層)は、転写媒体などの別の媒体上またはその一部のフィーチャとして提供され、光学素子の面または層に、あるいは構成部分の表面に付与されてもよい。例えば、テクスチャ表面の鏡像、すなわちレリーフ形状を転写媒体の側に設けることができ、転写媒体は、光学素子または物品にテクスチャ表面を付与するように光学素子の側または構成部分の表面に接触する。本明細書の様々な実施形態は、光学素子のテクスチャ表面に関して説明することができるが、テクスチャ表面またはテクスチャ構造もしくはテクスチャ層の特徴は、これらの方法のいずれかで付与することができることを理解されたい。
【0061】
テクスチャ表面は、光学素子から生じる構造色に寄与し得る。本明細書に記載されるように、構造色は、少なくとも部分的には、光学素子からの光線の散乱、回折、反射、干渉または不均等な屈折などの物理現象から生じる光学効果によって付与される。テクスチャ表面(またはその鏡像すなわちレリーフ)は、複数のプロファイルフィーチャおよび平坦または平面領域を含むことができる。テクスチャ表面に含まれる複数のプロファイルフィーチャは、それらのサイズ、形状、向き、空間配置などを含めて、光学素子から生じる光散乱、回折、反射、干渉および/または屈折に影響を及ぼすことができる。テクスチャ表面に含まれる、それらのサイズ、形状、向き、空間配置などを含む平坦または平面領域は、光学素子から生じる光散乱、回折、反射、干渉および/または屈折に影響を及ぼすことができる。所望の構造色は、少なくとも部分的に、プロファイルフィーチャの特性および/またはテクスチャ表面の平坦または平面領域の1つまたは複数を調整することによって設計することができる。
【0062】
プロファイルフィーチャは、平坦領域の面から延在して、その中に突起部および/または陥没部の外観を提供することができる。一態様では、平坦領域は、1つの平坦な平面領域とすることができる。プロファイルフィーチャは、突起部および陥没部の様々な組合せを含むことができる。例えば、プロファイルフィーチャは、1つ以上の窪みを有する突起部、1つ以上の突起部を有する窪み、1つ以上のさらなる突起部を有する突起部、1つ以上のさらなる窪みを有する窪みなどを含んでもよい。平坦領域は、完全に平坦である必要はなく、テクスチャ、粗さなどを含むことができる。平坦な領域のテクスチャは、あったとしても、付与された構造色には、あまり寄与しないかもしれない。平坦な領域のテクスチャは、典型的には、付与された構造色に寄与する。明瞭化のために、プロファイルフィーチャおよび平坦領域は、平坦領域の上方に延在するプロファイルフィーチャを参照して記載されるが、プロファイルフィーチャがテクスチャ表面の窪みである場合には、逆のもの(例えば、寸法、形状など)が適用され得る。
【0063】
テクスチャ表面は、熱可塑性材料を含むことができる。プロファイルフィーチャ部および平坦領域は、熱可塑性材料を使用して形成することができる。例えば、熱可塑性材料がその軟化温度を超えて加熱されると、テクスチャ表面は、成形、スタンピング、印刷、圧縮、切断、エッチング、真空成形などによって熱可塑性材料に形成されて、その中にプロファイルフィーチャおよび平坦領域を形成することができる。テクスチャ表面は、熱可塑性材料の面に付与することができる。テクスチャ表面は、熱可塑性材料の層で形成することができる。プロファイルフィーチャおよび平坦領域は、同じ熱可塑性材料または異なる熱可塑性材料で作ることができる。
【0064】
テクスチャ表面は、概して、x軸に沿って延在する長さ寸法と、z軸に沿って延在する幅寸法と、y軸に沿って延在する厚さ寸法とを有する。テクスチャ表面は、x軸およびz軸に沿って延在する第1の平面内に延在する略平面部分を有する。プロファイルフィーチャは、平面xの上または下に延在するように、第1の平面から外向きに延在することができる。プロファイルフィーチャは、第1の平面にほぼ直交して、または第1の平面に対して90°よりも大きいかまたは小さい角度で延在することができる。
【0065】
各プロファイルフィーチャの寸法(例えば、プロファイルフィーチャの形状に応じて、長さ、幅、高さ、直径)は、ナノメートル~マイクロメートルの範囲内であり得る。テクスチャ表面は、約10ナノメートル~約500マイクロメートルの寸法を有するプロファイルフィーチャおよび/または平坦領域を有することができる。プロファイルフィーチャは、ナノメートル範囲、例えば、約10ナノメートル~約1000ナノメートルの寸法を有することができる。プロファイルフィーチャの寸法(例えば、幾何学的形状に応じて、長さ、幅、高さ、直径)の全ては、ナノメートルの範囲、例えば、約10ナノメートル~約1000ナノメートルであり得る。テクスチャ表面は、1マイクロメートル以下の寸法を有する複数のプロファイルフィーチャを有することができる。この文脈において、「複数のプロファイルフィーチャ」という語句は、プロファイルフィーチャの約50パーセント以上、約60パーセント以上、約70パーセント以上、約80パーセント以上、約90パーセント以上または約99パーセント以上がこの範囲の寸法を有することを意味する。プロファイルフィーチャは、幅:高さ寸法および/または長さ:高さ寸法において、約1:2と1:100または1:5と1:50または1:5と1:10の比を有することができる。
【0066】
テクスチャ表面は、マイクロメーターの範囲内の寸法を有するプロファイルフィーチャおよび/または平坦領域を有することができる。テクスチャ表面は、約1マイクロメートル~約500マイクロメートルの寸法を有するプロファイルフィーチャおよび/または平坦領域を有することができる。プロファイルフィーチャの全ての寸法(例えば、幾何学的形状に応じて、長さ、幅、高さ、直径)は、マイクロメートルの範囲、例えば、約1マイクロメートル~約500マイクロメートルであり得る。テクスチャ表面は、約1マイクロメートルから約500マイクロメートルの寸法を有する複数のプロファイルフィーチャを有することができる。この文脈において、「複数のプロファイルフィーチャ」という語句は、プロファイルフィーチャの約50パーセント以上、約60パーセント以上、約70パーセント以上、約80パーセント以上、約90パーセント以上または約99パーセント以上がこの範囲の寸法を有することを意味する。プロファイルフィーチャの高さ(または陥没部の場合は深さ)は、約0.1~50マイクロメートル、約1~5マイクロメートルまたは2~3マイクロメートルとすることができる。プロファイルフィーチャは、約1:2および1:100または1:5および1:50または1:5および1:10の幅:高さおよび/または長さ:高さ寸法の比を有することができる。
【0067】
テクスチャ表面は、ナノメートル~マイクロメートル範囲内で大きさの次元が混在する複数のプロファイルフィーチャを有することができる(例えば、プロファイルフィーチャの一部はナノメートルスケールにあり、プロファイルフィーチャの一部はマイクロメートルスケールにある)。テクスチャ表面は、様々な寸法比の混ざった複数のプロファイルフィーチャを有することができる。テクスチャ表面は、1つまたは複数のナノメートルスケールの突出部またはマイクロメートルスケールの突出部または窪み部を有するプロファイルフィーチャを有することができる。
【0068】
プロファイルフィーチャは、互いの3倍(プロファイルフィーチャにおいて、wが幅であり、hが高さである場合、0.33w≦h≦3w)以内の高さおよび幅寸法および/または互いの3倍(プロファイルフィーチャにおいて、Iが長さであり、hが高さである場合、0.33I≦h≦3I)内の高さおよび長さ寸法を有することができる。プロファイルフィーチャは、約1:3~約3:1または約1:2~約2:1または約1:1.5~約1.5:1または約1:1.2~約1.2:1または約1:1である長さ:幅の比を有することができる。プロファイルフィーチャの幅および長さは、実質的に同じであっても異なっていてもよい。
【0069】
プロファイルフィーチャは、一定の空間配置を有することができる。プロファイルフィーチャの空間的配置は、均等に離間するか、またはパターンを形成するなど、均一であってもよい。空間配置は、ランダムであってもよい。隣接するプロファイルフィーチャは、約1~100マイクロメートル離れていてもよく、または約5~100マイクロメートル離れていてもよい。所望の間隔は、少なくとも部分的に、プロファイル構造のサイズおよび/または形状、並びに所望の構造色効果に依存し得る。
【0070】
プロファイルフィーチャは、(第1の平面と平行な平面に関して)一定の断面形状を有することができる。テクスチャ表面は、同一または類似の断面形状を有する複数のプロファイルフィーチャを有することができる。テクスチャ表面は、異なる様々な断面形状を有する複数のプロファイルフィーチャを有する。プロファイルフィーチャの断面形状は、多角形(例えば、正方形または三角形または長方形の断面)、円形、半円形、管状、卵形、ランダム、高いおよび低いアスペクト比、重複するプロファイルフィーチャなどを含み得る。
【0071】
プロファイルフィーチャ(例えば、約10ナノメートル~500マイクロメートル)は、上側の凸状に曲面を含むことができる。曲面は、最上点のいずれかの側に対称的に延在してもよい。
【0072】
プロファイルフィーチャは、テクスチャ表面からの突起を含むことができる。プロファイルフィーチャは、テクスチャ表面に形成されたインデント(中空領域)を含むことができる。プロファイルフィーチャは、滑らかで湾曲した形状(例えば、湾曲した角を有する多角形断面)を有することができる。
【0073】
プロファイルフィーチャ(突起または陥没部のいずれであっても)は、ほぼ円錐状または切頭円錐状(すなわち、突起または陥没部は、水平または斜めに平坦化された頂部を有してもよい)であってもよく、またはほぼ部分球面(part‐spherical surface)(例えば、それぞれ実質的に均一な曲率半径を有する凸面または凹面)を有してもよい。
【0074】
プロファイルフィーチャは、テクスチャ表面の第1の平面に対してある角度を形成する方向に延在する1つまたは複数の面または縁部を有することができる。第1の平面とプロファイルフィーチャの面部または縁部との間の角度は、約45°以下、約30°以下、約25°以下または約20°以下である。1つまたは複数の面部または縁部は、鎖状または平面配向で延在することができ、または角度が第1の平面からの距離の関数として変化するように湾曲することができる。プロファイルフィーチャは、段および/または平坦な面を含む1つまたは複数の面を有することができる。プロファイルフィーチャは、テクスチャ表面の第1の平面に直交または垂直であり得るか、または第1の平面に対して約10°~89°(第1の平面に垂直または直交する90°)の角度で延在し得る、1つ以上の面(またはその一部)を有し得る。プロファイルフィーチャは、階段状構成を有する面を有することができ、面の部分は、テクスチャ表面の第1の平面に平行であることができ、または約1°~179°(0°は第1の平面に平行である)の角度を有することができる。
【0075】
テクスチャ表面は、変化する形状を有するプロファイルフィーチャ(例えば、プロファイルフィーチャは、プロファイルフィーチャの間で形状、高さ、幅および長さを変化させることができる)または実質的に均一な形状および/または寸法を有するプロファイルフィーチャを有することができる。テクスチャ表面によって生成される構造色は、少なくとも部分的には、プロファイルフィーチャの形状、寸法、間隔などによって決定することができる。
【0076】
プロファイルフィーチャは、光がテクスチャ表面の第一の平面に垂直に入射するときに、表面の一部(例えば、約25~50パーセント以上)が入射光に対して垂直になるように成形することができる。プロファイルフィーチャは、光がテクスチャ表面の第1の平面に対して最大45°の角度で入射するときに、表面の一部(例えば、約25~50パーセント以上)が入射光に対して垂直になるように成形することができる。
【0077】
テクスチャ表面上のプロファイルフィーチャの空間的配向は、例えば、構造の構造色に関する1つのプロファイルフィーチャの別のプロファイルフィーチャとの干渉によって生じる歪み効果を低減するように設定される。プロファイルフィーチャの形状、寸法、相対姿勢は、テクスチャ表面を横切ってかなり変化することができるので、プロファイルフィーチャを有する特定の領域(例えば、マイクロメートル範囲または約1~10平方マイクロメートル)に対する所望の間隔および/または相対位置を適切に決定することができる。本明細書で論じられるように、プロファイルフィーチャの形状、寸法、相対姿勢は、光学層の外形に影響を及ぼすため、テクスチャ層のテクスチャ面を設計する際に、光学層内の寸法(例えば、厚さ)、屈折率、層の数が考慮される。
【0078】
プロファイルフィーチャは、テクスチャ表面の特定の領域にわたって相互にほぼランダムな位置(例えば、マイクロメートル範囲、すなわち、約1~10平方マイクロメートルまたはセンチメートル範囲、すなわち、約0.5~5平方センチメートルおよびその中のすべての範囲増分)に配置され、ランダム性は、構造色を生成する目的を損なわない。言い換えると、ランダム性は、構造色を達成することを目標として、プロファイルフィーチャの間隔、形状、寸法および相対姿勢、光学層内の寸法(例えば、厚さ)、屈折率および層数などと一致する。
【0079】
プロファイルフィーチャは、構造色を生成する目的を達成するために、テクスチャ表面の特定の領域にわたって相互に設定された様式で配置される。プロファイルフィーチャの相対位置は、必ずしもパターンに従う必要はないが、所望の構造色と一致するパターンに従うことができる。上述したように、また本明細書では、プロファイルフィーチャ、平坦領域および光学層に関連する様々なパラメータを使用して、プロファイルフィーチャを相互に設定された方法で位置決めすることができる。
【0080】
テクスチャ表面は、格子(例えば、回折格子)、フォトニック結晶構造、選択的ミラー構造、結晶ファイバ構造、変形マトリクス構造、螺旋コイル構造、表面格子構造およびそれらの組み合わせを形成し得るマイクロおよび/またはナノスケールプロファイルフィーチャを含むことができる。テクスチャ表面は、構造色を付与するために周期的または非周期的設計構造を有する格子を形成するマイクロおよび/またはナノスケールプロファイルフィーチャを含むことができる。マイクロおよび/またはナノスケールプロファイルフィーチャは、所望の構造色を生成するために、プロファイルフィーチャおよび/または平坦領域のピーク‐谷パターンを有することができる。グレーディングは、エシェレット格子とすることができる。
【0081】
光学素子内のテクスチャ表面のプロファイルフィーチャおよび平坦領域は、光学層の各層内のトポグラフィック起伏として現れ得る。例えば、図2Aおよび2Bを参照すると、光学素子200は、複数のプロファイルフィーチャ222および平坦領域224を有するテクスチャ構造220を含む。本明細書に記載されるように、プロファイルフィーチャ222のうちの1つ以上は、(図2Aに示されるように)テクスチャ構造220の表面からの突起であってもよくおよび/またはプロファイルフィーチャ222のうちの1つ以上は、(図2Bに示されるように)テクスチャ構造220の表面の陥没部であってもよい。1つまたは複数の光学層240が、プロファイルフィーチャ222および平坦領域224を有するテクスチャ構造220の面または表面上に配置される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の光学層240の得られる形態は、テクスチャ構造220の形態と同一ではなく、むしろ、1つまたは複数の光学層240は、平坦領域244の高さに対して隆起または陥没し、テクスチャ構造220のプロファイルフィーチャ222の位置におおよそ対応する隆起または陥没領域242を有することができる。また、1つ以上の光学層240は、テクスチャ構造220の平坦領域224の位置に大まかに対応する平面領域244を有する。高さ方向または低さ方向の領域242および平面領域244が存在するため、結果として生じる光学層240の全体的な形態は、起伏のある、すなわち、波打ちのような構造のものとすることができる。光学層の層の数、各層の厚さ、各層の屈折率および材料の種類とともに、プロファイルフィーチャの寸法、形状および間隔は、特定の構造色をもたらす光学素子を生成するために使用され得る。
【0082】
ここで、光学素子およびテクスチャ表面を一般的に説明してきたが、任意に存在するプライマー層について、更に詳細に説明する。光学素子は、構造色を生成するために使用され、ここで、構造色構造は、(例えば、光学素子の一部として)を含むことができ、または構造色を生成するためにプライマー層を使用することができる。本明細書に記載されるように、構造色構造は、テクスチャ層および/またはテクスチャ構造などの任意のテクスチャ表面を(例えば、光学素子の一部として)含むこともできる。光学素子と任意のテクスチャ層および任意のプライマー層との組み合わせは、以下の設計:テクスチャ層/プライマー層/光学素子またはプライマー層/テクスチャ層/光学素子のうちの1つを有する構造色構造を形成することができる。プライマー層は、約3ナノメートル~200マイクロメートルまたは約1マイクロメートル~約200マイクロメートルまたは約10マイクロメートル~約100マイクロメートルまたは約10マイクロメートル~約80マイクロメートルの厚さを有することができる。構造色構造は、プライマー層、光学素子および(任意に)テクスチャ表面の組み合わせを含むことができる。プライマー層、テクスチャ層および光学素子に関連する変数の選択は、所望の構造色を制御および選択するために使用され得る。
【0083】
構造色構造は、プライマー層、テクスチャ表面(任意に)および光学素子(例えば、光学層)を含むことができ、光学素子は、設計に応じて、テクスチャ表面またはプライマー層上に配置される。プライマー層、テクスチャ表面および光学素子の組み合わせは、構造色を物品に付与し、ここで、構造色は、任意に顔料または染料の物品への適用を伴うことも伴わないこともあり、プライマー色(primer color)とは異なる。光学素子は、プライマー層および/またはテクスチャ表面上に配置することができる。プライマー層は、本明細書に記載されるようなテクスチャ表面を含むことができる。例えば、プライマー層は、テクスチャ表面を有するように形成することができる。
【0084】
プライマー層は、塗料層(例えば、染料、顔料およびそれらの組み合わせ)、インク層、再粉砕(reground:再生リグラインド材料)層、少なくとも部分的に分解されたポリマー層、金属層、酸化物層またはそれらの組み合わせを含むことができる。プライマー層は、明るい色または暗い色を有することができる。プライマー層は、暗い色を有することができる。例えば暗い色は、黒、褐色のシェイド(shade)、褐色の暗いシェイド、赤の暗いシェイド、橙色の暗いシェイド、黄の暗いシェイド、緑の暗いシェイド、シアンの暗いシェイド、青の暗いシェイド、紫の暗いシェイド、灰色の暗いシェイド、灰色の暗いシェイド、マゼンタの暗いシェイド、インディゴの暗いシェイド、トーン(tone)、ティント(tints)、シェイドまたはこれらのいずれかの色相およびこれらの組み合わせから選択することができる。色は、L a b システムを用いて定義することができ、ここで、L の値は、約70以下、約60以下、約50以下、約40以下または約30以下とすることができ、a およびb 座標値は、正および負の値スケールにわたって変化することができる。
【0085】
プライマー層は、デジタル印刷、インクジェット印刷、オフセット印刷、パッド印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、熱転写印刷、物理的気相成長法を含む、気相成長法、パルスレーザ蒸着、蒸発蒸着、スパッタリング蒸着(高周波、直流、反応性、非反応性)、プラズマ増強気相成長法、電子ビーム蒸着、陰極アーク蒸着、低圧気相成長法および層毎蒸着、ゾル‐ゲル蒸着またはLangmuirブロッジェットなどの湿式化学技術を使用して形成することができる。代替的にまたはさらに、プライマー層は、スプレーコーティング、ディップコーティング、ブラッシング、スピンコーティング、ドクターブレードコーティングなどによって適用され得る。
【0086】
プライマー層は、約40%以下、約30%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下または約1%以下のパーセント透過率を有することができ、「未満」は、約0%(例えば、0~0.01または0~0.1)、約1%、約2.5%または約5%を含むことができる。
【0087】
プライマー層は、構造に適用すると薄層を形成する塗料組成物を含むことができる。薄層は、上記のような暗い色を有する固体フィルムであってもよい。塗料組成物は、1つ以上の塗料樹脂、1つ以上のポリマー、1つ以上の染料および1つ以上の顔料並びに水、フィルム形成溶媒、乾燥剤、厚化剤、界面活性剤、皮張防止剤、可塑剤、防カビ剤、耐擦傷剤、浸水防止剤およびそれらの組合せを含み得る既知の塗料組成物を含む。
【0088】
プライマー層は、再粉砕された、少なくとも部分的に分解されたポリマー層を含むことができる。再粉砕され、少なくとも部分的に分解されたポリマー層は、上記のような暗い色を有することができる。
【0089】
プライマー層は、金属層または酸化物層を含むことができる。金属層または酸化物層は、上記のような暗い色を有することができる。酸化物層は、金属酸化物、ドープされた金属酸化物またはそれらの組み合わせをとることができる。金属層、金属酸化物またはドープされた金属酸化物は、以下を含むことができる:遷移金属、メタロイド、ランタノイドおよびアクチニド元素、並びに窒化物、酸窒化物、硫化物、硫酸塩、セレン化物、テルル化物およびこれらの組み合わせ。金属酸化物は、酸化チタン、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化スズ、クロミア、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化銀、酸化コバルト、酸化亜鉛、酸化白金、酸化パラジウム、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化鉛およびこれらの組み合わせ、並びにそれぞれのドープしたものを含むことができる。いくつかの態様では、プライマー層は、実質的に金属酸化物からなることができる。いくつかの態様では、プライマー層は、実質的に二酸化チタンまたは二酸化ケイ素からなることができる。いくつかの態様では、プライマー層は、実質的に二酸化チタンからなることができる。金属酸化物は、水、不活性ガス(例えば、アルゴン)、反応性ガス(例えば、酸素または窒素)、金属、小さい分子およびそれらの組み合わせでドープすることができる。いくつかの態様では、プライマー層は、実質的に、ドープされた金属酸化物またはドープされた金属酸窒化物またはその両方からなることができる。
【0090】
プライマー層は、物品の表面上のコーティングであり得る。コーティングは、物品の表面に化学的に結合(例えば、共有結合、イオン結合、水素結合など)させることができる。コーティングは、ポリマー材料で作られた表面に良好に結合することが見出された。一例では、物品の表面は、本明細書に記載されるように、熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含むポリウレタンなどのポリマー材料から作製することができる。
【0091】
コーティングは、固体顔料粒子または染料などの1つまたは複数の着色剤を含む架橋コーティングとすることができる。架橋コーティングは、架橋ポリマー(例えば、架橋ポリエステルポリウレタンポリマーまたはコポリマー)のマトリックスであり得る。着色剤は、架橋ポリマーのマトリックス中に捕捉されることを含めて、コーティング中に捕捉することができる。固体顔料粒子または染料は、架橋ポリマーマトリックス中に物理的に捕捉することができ、化学的に結合(例えば、共有結合、イオン結合、水素結合などにより、ポリマーマトリックスを含むコーティングまたはコーティングが適用される物品の表面を形成する材料と結合する)することができ、またはコーティングまたは物品と物理的および化学的に結合する組合せとすることができる。架橋コーティングは、約0.01マイクロメートル~1000マイクロメートルの厚さを有することができる。
【0092】
コーティングは、ポリマーコーティング組成物を架橋してなる製品(または「架橋製品」とも呼ばれる)。ポリマーコーティング組成物は、ポリマーの分散体中に1つ以上の着色剤(例えば、固体顔料粒子または染料)を含むことができる。ポリマーの分散体は、ポリエステルポリウレタンコポリマーを含むポリウレタンポリマーの水性分散体などのポリマーの水性分散体を含むことができる。ポリマーの水性分散体は、着色剤を捕捉するために架橋することができる。着色剤は、架橋製品中に物理的に捕捉されてもよく、化学的に結合されてもよく(例えば、架橋コポリマーマトリックスと共有結合、イオン結合、水素結合など)、または、架橋製品と物理的および化学的に結合されてもよい。生成物は、ポリマーコーティング組成物を架橋することによって形成することができる。製品は、約0.01マイクロメートル~1000マイクロメートルの厚さを有することができる。
【0093】
コーティングは、顔料(例えば、固体顔料粒子)または染料などの着色剤を含むことができる。固体顔料粒子は、金属および金属酸化物、例えば、均質な無機顔料、コア‐シェル顔料などのような無機顔料、並びに炭素顔料(例えば、カーボンブラック)、粘土土類顔料およびウルトラマリン顔料を含むことができる。固体顔料粒子は、生物学的顔料または有機顔料であってよい。固体顔料粒子は、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、マイカ、クレー、シリカ、硫酸バリウムなどを含むが、これらに限定されない増量剤顔料として当技術分野で知られているタイプのものであってよい。所望の色強度、色合いおよび不透明度を達成するのに十分な固体顔料粒子の量は、コーティングの約5重量パーセント~25重量パーセントまたはそれ以上までの量とすることができる。顔料は、パール顔料、カラーシフト顔料(例えば、CALYPSO、JEDI、VERO、BLACKHOLE、LYNX、ROSE GOLDなど)、ハイパーシフト顔料、干渉顔料などのKP Pigmentによって販売されているものを含むことができる。着色剤は、アニオン性染料、カチオン性染料、直接染料、金属錯体染料、塩基性染料、分散染料、溶媒染料、ポリマー染料、ポリマー染料着色剤または非イオン性染料などの染料であってよく、コーティングは、1つ以上の染料および/または染料のタイプを含むことができる。染料は、水混和性染料であってもよい。染料は、可溶化染料であってもよい。アニオン性染料は、酸性染料であってもよい。染料は、コーティングとは別個に適用することができる(例えば、コーティングが適用および/または硬化される前または後のいずれか)。
【0094】
酸性染料は、水溶性アニオン性染料である。酸性染料は、鈍いトーンから鮮やかなシェイドまで、幅広く利用可能である。化学的には、酸性染料には、アゾ、アントラキノンおよびトリアリールメタン化合物が含まれる。「カラーインデックス」(C.I.)は、Society of Dyersand Colourists(UK)およびAmerican Association of Textile Chemists and Colorists(USA)によって共同出版され、2000C.I.一般名において12000製品を含む、大規模着色目的のための最も広範な染料および顔料である。C.I.において各化合物は、色および化学分類を参照する2つの番号が表示される。「一般名(generic name)」とは、応用分野や着色方法を指し、その他の番号は「構成番号」である。酸性染料の例としては、Acid Yellow 1、17、23、25、34、42、44、49、61、79、99、110、116、127、151、158:1、159、166、169、199、204、220、232、241、246および250;酸性赤色 1、14、17、18、88、97、118、119、151、183、184、186、195、198、211、225、226、249、251、260、278、283、315、336、337、359、361、374、405、418、419および447が挙げられる。バイオレット3、5、7、17、54、90および92;酸性褐色4、14、15、45、50、58、75、97、98、147、160:1、161、165、239、248、282、289、298、322、343、349、354、355、357、365、384、402、414、422、425、432および434;酸性橙色3、7、10、19、33、56、61、67、74、86、80、94、142、154および162;酸性青色1、7、9、15、92、133、158、195、277、277、1、314、324、335および342;酸性緑色1、12、68、114および119;60、64、65、71、82、84、107、164、172、187、194、207、210、234、235およびこれらの組み合わせ。酸性染料は、インク組成物中で単独で、または任意の組み合わせで使用することができる。
【0095】
酸性染料および非イオン性分散染料は、Dystar L.P.、Charlotte、NC、商品名TELON、Huntsman Corporation、Woodlands、TX、USA、商品名ERIONYLおよびTECTILON、BASF SE、Ludwigshafen、Germany、商品名BASACIDおよびBezema AG、Montlingen、Switzerland、商品名Bemacidを含む多くの販売元から市販されている。
【0096】
着色剤は、特に染料が酸性染料である場合、染料および第四級(テトラアルキルアンモニウム)アンモニウム塩を含むことができる。第四級(テトラアルキルアンモニウム)アンモニウム塩は、染料(例えば、酸性染料)と反応して、コーティングに使用することができる錯化染料を形成することができる。「アルキル」基は、C1~C10アルキル基を含むことができる。第四級(テトラアルキルアンモニウム)アンモニウム塩は、水溶性テトラブチルアンモニウムクロライド化合物およびテトラヘキシルアンモニウム化合物から選択することができる。第四級アンモニウム塩の対イオンは、第四級アンモニウム塩が染料(例えば、アニオン性染料)と安定な溶液を形成するように選択されるべきである。第四級アンモニウム化合物は、例えば、ハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物またはヨウ化物)、水酸化物、硫酸塩、亜硫酸塩、炭酸塩、過塩素酸塩、塩素酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、六蛍光亜リン酸塩、ホウ酸塩、テトラフルオロボレート、シアン化物、イソシアニド、アジド、チオ硫酸塩テトラアルキルアンモニウム化合物は、ハロゲン化物テトラブチルアンモニウムクロライドまたはハロゲン化物テトラヘキシルアンモニウム、特に臭化テトラブチルアンモニウムクロライドまたは塩化物または臭化テトラヘキシルアンモニウムまたは塩化物であるか、またはそれらを含むことができる。コーティング(例えば、コーティング、ポリマーコーティング組成物(硬化前))は、約1~15重量パーセントの第四級アンモニウム塩を含むことができる。酸性染料対第四級アンモニウム化合物のモル比は、約3:1~1:3または約1.5:1~1:1.5の範囲であり得る。
【0097】
コーティング(例えば、コーティング、ポリマーコーティング組成物(硬化前)、架橋ポリマーのマトリックスのモノマーおよび/またはポリマーまたはコーティングの前駆体)は、コーティングのポリマー構成部分を架橋するように機能する架橋剤を含むことができる。架橋剤は、水性架橋剤であり得る。架橋剤は、ポリカルボン酸架橋剤、アルデヒド架橋剤、ポリイソシアネート架橋剤またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含むことができる。ポリカルボン酸架橋剤は、2~9個の炭素原子を有するポリカルボン酸であり得る。例えば、架橋剤は、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、酸のコポリマー、マレイン酸、フマル酸または1、2、3、4‐ブタンテトラカルボン酸のコポリマーを含むことができる。架橋剤の濃度は、コーティングの約0.01~5重量パーセントまたは1~3重量パーセントであり得る。
【0098】
コーティング(例えば、コーティング、ポリマーコーティング組成物(硬化前)、架橋ポリマーのマトリックスのモノマーおよび/またはポリマーまたはコーティングの前駆体)は、溶媒を含むことができる。溶媒は、有機溶媒であり得る。有機溶媒は、水混和性有機溶媒であり得る。コーティングは、水を含まなくてもよく、または実質的に水を含まなくてもよい。例えば、溶媒は、アセトン、エタノール、2‐プロパノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メタノール、メチルエチルケトン、1‐ブタノール、t‐ブタノールまたはそれらの任意の混合物であり得るか、またはそれらを含む。
【0099】
本明細書で参照されるポリマー材料、例えば、物品、物品の構成部分、構造、層、フィルム、ブラダ、発泡体、下塗り層、コーティングなどに関して記載されるポリマーを更に詳細に説明する。ポリマーは、熱硬化性ポリマーまたは熱可塑性ポリマーであり得る。ポリマーは、エラストマー熱硬化性ポリマーまたはエラストマー熱可塑性ポリマーを含むエラストマーポリマーであり得る。ポリマーは、ポリウレタン(エラストマーポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)およびエラストマーTPUを含む)、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ビニルポリマー(例えば、ビニルアルコール、ビニルエステル、エチレン、アクリレート、メタクリレート、スチレンなどのコポリマー)、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリ尿素、ポリスチレン、それらのコポリマー(ポリエステル‐ポリウレタン、ポリエーテル‐ポリウレタン、ポリカーボネート‐ポリウレタン、ポリエーテルブロックポリアミド(PEBA)およびスチレンブロックコポリマーを含む)、並びに本明細書に記載されるようなそれらの任意の組み合わせから選択され得る。ポリマーは、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、それぞれのポリオレフィンコポリマーおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上のポリマーを含むことができる。
【0100】
「ポリマー」という用語は、モノマーと呼ばれる構造単位の複数の繰り返しから形成される化合物を指す。ポリマーは、しばしば、複数の構造単位が相互に共有結合していく重合反応によって形成される。ポリマーを形成する単量体単位が全て同じ化学構造を有する場合、ポリマーはホモポリマーである。ポリマーが異なる化学構造を有する2つ以上の単量体単位を含む場合、ポリマーはコポリマーである。コポリマーのタイプの一例は、三つの異なるタイプのモノマー単位を含む三元コポリマーである。コポリマーは、ポリマー中にランダムに分布した2つ以上の異なるモノマー(例えば、ランダムコポリマー)を含むことができる。また、複数の第1のタイプのモノマーを含有する1つ以上のブロックを、複数の第2のタイプのモノマーを含有する1つ以上のブロックに結合させて、ブロックコポリマーを形成することができる。単一のモノマー単位は、1つ以上の異なる化学官能基を含むことができる。
【0101】
2つ以上のタイプの化学官能基を含む繰り返し単位を有するポリマーは、2つ以上のセグメントを有すると言うことができる。例えば、同じ化学構造の繰り返し単位を有するポリマーは、繰り返しセグメントを有すると言うことができる。セグメントは、一般に、それらの化学構造に基づいて比較的ハードまたはソフトであると記載され、ポリマーは、単一のモノマー単位または異なるモノマー単位で互いに結合された比較的ハードなセグメントおよび比較的ソフトなセグメントを含むことが一般的である。ポリマーが反復セグメントを含む場合、物理的相互作用または化学的結合は、セグメント内またはセグメント間またはセグメント内およびセグメント間の両方に存在し得る。しばしばハードセグメントと呼ばれるセグメントの例には、イソシアネートをポリオールと反応させてポリウレタンを形成することから形成することができるウレタン結合を含むセグメントが含まれる。しばしばソフトセグメントと呼ばれるセグメントの例には、エーテルまたはエステル官能基を含むセグメントなどのアルコキシ官能基を含むセグメントおよびポリエステルセグメントが含まれる。セグメントは、セグメント(例えば、ポリエーテルセグメント、ポリエステルセグメント)中に存在する官能基の名称に基づいて、並びにセグメント(例えば、ポリオール誘導セグメント、イソシアネート誘導セグメント)を形成するために反応させた化学構造の名称に基づいて言及することができる。セグメントが誘導された特定の官能基または特定の化学構造のセグメントに言及する場合、ポリマーは、10モルパーセントまでの他の官能基のセグメントまたは他の化学構造に由来するセグメントを含有することができることが理解される。例えば、本明細書で使用されるように、ポリエーテルセグメントは、10モルパーセントまでの非ポリエーテルセグメントを含むと理解される。
【0102】
前述のように、ポリマーは熱可塑性ポリマーであってもよい。一般に、熱可塑性ポリマーは、加熱されると軟化または溶融し、冷却されると固体状態に戻る。熱可塑性ポリマーは、その温度がその軟化温度以上の温度に上昇すると、固体状態から軟化状態に遷移し、その温度がその溶融温度以上の温度に上昇すると、液体状態に遷移する。十分に冷却されると、熱可塑性ポリマーは、軟化状態または液体状態から固体状態に遷移する。そのようなものとして、熱可塑性ポリマーは、複数のサイクルを通して軟化または溶融され、成形され、冷却され、再軟化または再溶融され、再成形され、そして再び冷却され得る。非晶質熱可塑性ポリマーについては、固体状態は、ポリマーのガラス転移温度を超える「ゴム状」状態であると理解される。熱可塑性ポリマーは、本明細書中以下に記載されるASTM D3418‐97に従って測定される場合、約90℃~約190℃の溶融温度を有し得、そして1℃の増分でその中に全てのサブレンジを含む。熱可塑性ポリマーは、本明細書で説明されるASTM D3418‐97に従って決定される場合、約93℃~約99℃の溶融温度を有し得る。熱可塑性ポリマーは、本明細書で説明されるASTM D3418‐97に従って決定される場合、約112℃~約118℃の溶融温度を有し得る。
【0103】
ガラス転移温度は、アモルファスポリマーが比較的脆い「ガラス状」状態から比較的柔軟な「ゴム状」状態に転移する温度である。熱可塑性ポリマーは、本明細書で説明されるASTM D3418‐97に従って決定される場合、約‐20℃~約30℃のガラス転移温度を有し得る。熱可塑性ポリマーは、以下に記載するASTM D3418‐97に従って測定した場合、ガラス転移温度(約‐13℃~約‐7℃)を有することができる。熱可塑性ポリマーは、本明細書で説明されるASTM D3418‐97に従って決定される場合、約17℃~約23℃のガラス転移温度を有し得る。
【0104】
熱可塑性ポリマーは、2.16キログラム(kg)の重量を用いて160℃で以下に記載するASTM D1238‐13に従って試験した場合、約10~約30立方センチメートル/10分(cm 3 /10分)のメルトフローインデックスを有することができる。熱可塑性ポリマーは、2.16kgの重量を用いて160℃で以下に記載するASTM D1238‐13に従って試験した場合、約22cm 3 /10分~約28cm 3 /10分のメルトフローインデックスを有することができる。
【0105】
熱可塑性ポリマーは、本明細書において以下に記載されるように、冷間Ross屈曲(Ross flex)試験に従って熱可塑性ポリマーの熱成形プラーク上で試験された場合、亀裂または増白なしに、約120,000~約180,000サイクルの冷間Ross屈曲試験結果を有することができる。熱可塑性ポリマーは、以下に記載されるような冷間ロスフレックス試験に従って熱可塑性ポリマーの熱成形プラーク上で試験された場合、亀裂または白化なしに、約140,000~約160,000サイクルの冷間ロスフレックス試験結果を有することができる。
【0106】
熱可塑性ポリマーは、以下に説明する改良を加えて、加硫ゴムおよび熱可塑性のゴムおよび熱可塑性エラストマーの引張強度に関するASTM D412‐98標準試験方法に従い、熱形成プラーク上で決定されるとき、約5メガパスカル(MPa)から約100MPまでの値をとることができる。熱可塑性ポリマーは、加硫ゴムおよび熱可塑性ゴムおよび熱可塑性エラストマーの引張強度に関するASTM D412‐98標準試験方法に従い、熱形成プラーク上で決定したとき、約20MPaから約80MPaの弾性率を有することができる。
【0107】
ポリマーは、熱硬化性ポリマーであり得る。本明細書で使用される「熱硬化性ポリマー」は、その溶融温度がその分解温度以上であるので、加熱して溶融することができないポリマーを指すと理解される。「熱硬化性材料」は、少なくとも1つの熱硬化性ポリマーを含む材料を指す。熱硬化性ポリマーおよび/または熱硬化性材料は、熱エネルギーおよび/または化学線(例えば、紫外線、可視光線、高エネルギー放射線、赤外線)を使用して、前駆体(例えば、未硬化または部分硬化ポリマーまたは材料)から調製されて、もはや完全に熱可塑性のままではない部分硬化または完全硬化ポリマーまたは材料を形成することができる。場合によっては、硬化したまたは部分的に硬化したポリマーまたは材料は、高温および/または高圧下でポリマーまたは材料を部分的に軟化させ、成形することが可能であるため、熱弾性特性を保つことができるが、硬化したまたは部分的に硬化したポリマーまたは材料は、ポリマーまたは材料を溶融させることは不可能である。硬化は、例えば、高圧および/または触媒を使用して促進することができる。多くの例において、硬化プロセスは、前駆体の架橋および/または重合反応をもたらすので、不可逆的である。未硬化または部分的に硬化したポリマーまたは材料は、硬化前に可鍛性(malleable)または液体であってもよい。場合によっては、未硬化または部分的に硬化したポリマーまたは材料を、それらの最終形状に成形するか、または接着剤として使用することができる。一旦硬化すると、熱硬化性ポリマーまたは材料は、再成形するために再溶融することができない。テクスチャ表面は、テクスチャ表面に固定するために、未硬化の前駆体材料を部分的にまたは完全に硬化させることによって形成することができる。
【0108】
ポリウレタンポリマーは、熱可塑性ポリウレタン(「TPU」とも呼ばれる)などのポリウレタンとすることができる。また、ポリマーは熱硬化性ポリウレタンであってもよい。さらに、ポリウレタンは、エラストマーTPUまたはエラストマー熱硬化性ポリウレタンを含むエラストマーポリウレタンであり得る。エラストマーポリウレタンは、ハードおよびソフトセグメントを含むことができる。ハードセグメントは、ウレタンセグメント(例えば、イソシアネート誘導セグメント)を含むか、またはウレタンセグメントからなることができる。ソフトセグメントは、アルコキシ基セグメント(例えば、ポリエーテルセグメントを含むポリオール由来セグメント、またはポリエステルセグメント、またはポリエーテルセグメントとポリエステルセグメントの組み合わせ)を含むか、またはそれらからなることができる。ポリウレタンは、反復ハードセグメントおよび反復ソフトセグメントを有するエラストマーポリウレタンを含むか、または実質的にそれからなることができる。
【0109】
1つ以上のポリウレタンは、1つ以上のイソシアネートを1つ以上のポリオールと重合させて、以下の式1に例示されるようなカルバメート結合(‐N(CO)O‐)を有するポリマー鎖を生成することによって生成され得、ここで、イソシアネートは、各々、好ましくは、1分子あたり2、3、または4個のイソシアネート基など、1分子あたり2つ以上のイソシアネート(‐NCO)基を含む(ただし、単官能イソシアネートは、例えば、鎖末端単位として任意に含まれ得る)。
【0110】
【化1】
【0111】
各R1基およびR2基は、独立して、脂肪族または芳香族基である。任意に、各R2は、1つ以上の水酸基を有する基を含む、比較的親水性の基であり得る。
【0112】
さらに、イソシアネートはまた、2つ以上のイソシアネートを架橋するために、1つ以上の鎖延長剤で鎖延長され得、ハードセグメントの長さを増加させる。これにより、R3が鎖延長剤を含む、以下の式2に示すようなポリウレタンポリマー鎖を生成することができる。各R1およびR2と同様に、各R3は独立して脂肪族または芳香族官能基である。
【0113】
【化2】
【0114】
式1および2における各R1基は、独立して、使用される特定のイソシアネートに基づいて、3~30個の炭素原子を有する直鎖または分岐基を含むことができ、脂肪族、芳香族であることができ、または脂肪族部分および芳香族部分の組み合わせを含むことができる。用語「脂肪族」とは、非局在化π電子を有する環状共役環系を含まない飽和または不飽和の有機分子または分子の一部をいい、これに対して、用語「芳香族」とは、非局在化π電子を有する仮定の環系よりも大きな安定性を示す、非局在化π電子を有する環状共役環系を有する有機分子または分子の一部をいう。
【0115】
各R1基は、ポリマーを形成する反応化合物またはモノマーの総重量に基づいて、約5重量パーセント~約85重量パーセント、約5重量パーセント~約70重量パーセント、または約10重量パーセント~約50重量パーセントの量で存在することができる。
【0116】
脂肪族実施形態(脂肪族イソシアネートから)では、各R1基は、直鎖脂肪族基、分岐脂肪族基、脂環式基、またはそれらの組み合わせを含むことができる。例えば、各R1基は、3~20個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキレン基(例えば、4~15個の炭素原子を有するアルキレン、または6~10個の炭素原子を有するアルキレン)、3~8個の炭素原子を有する1つ以上のシクロアルキレン基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチル)およびそれらの組み合わせを含むことができる。用語「アルケン」または「アルキレン」は、本明細書で使用される場合、二価炭化水素を指し、用語「Cn」と関連して使用される場合、アルケンまたはアルキレン基が「n」個の炭素原子を有することを意味する。例えば、C1~6アルキレンは、例えば、1、2、3、4、5、または6個の炭素原子を有するアルキレン基を指す。
【0117】
ポリウレタンポリマー鎖を製造するための適切な脂肪族ジイソシアネートの例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ブチレンジイソシアネート(BDI)、ビスイソシアネートシクロヘキシルメタン(HMDI)、2,2,4‐トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、ビスイソシアネートメチルシクロヘキサン、ビスイソシアネートメチルトリシクロデカン、ノルボルナンジイソシアネート(NDI)、シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、4,4´‐ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、ジイソシアネートデカン、リジンジイソシアネートおよびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0118】
イソシアネート誘導セグメントは、脂肪族ジイソシアネートに由来するセグメントを含むことができる。イソシアネート誘導セグメントの大部分は、脂肪族ジイソシアネートに由来するセグメントを含むことができる。イソシアネート誘導セグメントの少なくとも90%は、脂肪族ジイソシアネートから誘導される。イソシアネート誘導セグメントは、脂肪族ジイソシアネートから誘導されるセグメントから実質的になることができる。脂肪族ジイソシアネート誘導セグメントは、直鎖状脂肪族ジイソシアネートから実質的に(例えば、約50パーセント以上、約60パーセント以上、約70パーセント以上、約80パーセント以上、約90パーセント以上)誘導することができる。脂肪族ジイソシアネート誘導セグメントの少なくとも80%は、側鎖を含まない脂肪族ジイソシアネートから誘導することができる。脂肪族ジイソシアネートから誘導されるセグメントは、2~10個の炭素原子を有する直鎖状脂肪族ジイソシアネートを含むことができる。
【0119】
イソシアネート誘導セグメントが芳香族イソシアネートから誘導される場合、各R1基は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、フェナントレニル、ビフェニレニル、インダニル、インデニル、アントラセニルおよびフルオレニルなどの1つまたは複数の芳香族基を含むことができる。特に断らない限り、芳香族基は、非置換芳香族基または置換芳香族基であってもよく、ヘテロ芳香族基を含むこともできる。「複素芳香族」は、単環式または多環式(例えば、縮合二環式および縮合三環式)芳香族環系を指し、ここで、1~4個の環原子は、酸素、窒素、または硫黄から選択され、残りの環原子は炭素であり、環系は、環原子のいずれかによって分子の残りの部分に結合される。適切なヘテロアリール基の例としては、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、フラニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリルおよびベンゾチアゾリル基が挙げられる。
【0120】
ポリウレタンポリマー鎖を製造するための適切な芳香族ジイソシアネートの例としては、トルエンジイソシアネート(TDI)、トリメチルオイルプロパン(TMP)とのTDI付加物、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、水素化キシレンジイソシアネート(HXDI)、ナフタレン1,5‐ジイソシアネート(NDI)、1,5‐テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、パラ‐フェニレンジイソシアネート(PPDI)、3,3´‐ジメチルジフェニル1‐4,4´‐ジイソシアネート(DDDI)、4,4´‐ジベンジルジイソシアネート(DBDI)、4‐クロロ‐1,3‐フェニレンジイソシアネートおよびそれらの組み合わせが挙げられる。ポリマー鎖は、芳香族基を実質的に含まなくてもよい。
【0121】
ポリウレタンポリマー鎖は、HMDI、TDI、MDI、H12脂肪族およびそれらの組み合わせを含むジイソシアネートから製造することができる。例えば、ポリウレタンは、HMDI、TDI、MDI、H12脂肪族およびそれらの組み合わせを含むジイソシアネートから製造される1つ以上のポリウレタンポリマー鎖を含むことができる。
【0122】
少なくとも部分的に架橋されるか、または架橋され得るポリウレタン鎖は、本発明に従って使用され得る。多官能性イソシアネートを反応させてポリウレタンを形成することによって、架橋または架橋可能なポリウレタン鎖を製造することが可能である。ポリウレタン鎖を製造するための適切なトリイソシアネートの例には、トリメチロイルプロパン(TMP)、ウレトジオン(すなわち、二量化イソシアネート)、ポリメリックMDIおよびそれらの組み合わせを有するTDI、HDIおよびIPDI付加体が含まれる。
【0123】
式2中のR3基は、使用される特定の鎖延長剤ポリオールに基づいて、2~10個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖基を含むことができ、例えば、脂肪族、芳香族、またはエーテルもしくはポリエーテルであり得る。ポリウレタンを製造するための適切な鎖延長剤ポリオールの例には、エチレングリコール、エチレングリコール(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびテトラエチレングリコール)、1,2‐プロピレングリコール、プロピレングリコールの低級オリゴマー(例えば、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールおよびテトラプロピレングリコール)、1,4‐ブチレングリコール、1,6‐ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4‐シクロヘキサンジメタノール、2‐エチル‐1,6‐ヘキサンジオール、1‐メチル‐1,3‐プロパンジオール、ジヒドロキシアルキル化芳香族化合物(例えば、ハイドロキノンのビス(2‐ヒドロキシエチル)エーテル、レゾルシノール、キシレン‐a、a‐ジオール、キシレン‐a,a‐ジオールのビス(2‐ヒドロキシエチル)エーテル)およびその組合せが含まれる。
【0124】
式1および2におけるR2基は、ポリエーテル基、ポリエステル基、ポリカーボネート基、脂肪族基、または芳香族基を含むことができる。各R2基は、反応モノマーの総重量を基準にして、約5重量パーセント~約85重量パーセント、約5重量パーセント~約70重量パーセントまたは約10重量パーセント~約50重量パーセントの量で存在することができる。
【0125】
ポリウレタンの少なくとも1つのR2基は、ポリエーテルセグメント(すなわち、1つ以上のエーテル基を有するセグメント)を含む。適切なポリエーテル基としては、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリテトラヒドロフラン(PTHF)、ポリテトラメチレンオキシド(PTMO)およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。「アルキル」とは、炭素数1~30、炭素数1~20、炭素数1~10の直鎖・分岐飽和炭化水素基をいい、「Cn」と併用する場合、「n」個の炭素数を有することを意味する。例えば、C4アルキルは、4個の炭素原子を有するアルキル基を指す。C1~7アルキルは、全範囲を包含する多数の炭素原子(すなわち、1~7個の炭素原子)、並びにすべてのサブグループ(例えば、1~6個、2~7個、1~5個、3~6個、1個、2個、3個、4個、5個、6個および7個の炭素原子)を有するアルキル基を指す。アルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、n‐ブチル、sec‐ブチル(2‐メチルプロピル)、t‐ブチル(1,1ジメチルエチル)、3,3‐ジメチルペンチルおよび2‐エチルヘキシルが挙げられる。特に断らない限り、アルキル基は、非置換アルキル基または置換アルキル基であり得る。
【0126】
ポリウレタンのいくつかの例では、少なくとも1つのR2基は、ポリエステル基を含む。ポリエステル基は、1つ以上の二価アルコール(例えば、エチレングリコール、1,3‐プロピレングリコール、1,2‐プロピレングリコール、1,4‐ブタンジオール、1,3‐ブタンジオール、2‐メチルペンタンジオール、1,5‐ジエチレングリコール、1,5‐ペンタンジオール、1,5‐ヘキサンジオール、1,2‐ドデカンジオール、シクロヘキサンジメタノールおよびこれらの組み合わせ)と1つ以上のジカルボン酸(例えば、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、スベリン酸、スベリン酸、メチルアジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸、チオジプロピオン酸およびこれらの組み合わせ)とのポリエステル化から誘導することができる。ポリエステル基は、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)グリコール、ポリ(プロピレンカーボネート)グリコール、ポリ(テトラメチレンカーボネート)グリコールおよびポリ(ノナンメチレンカーボネート)グリコールなどのポリカーボネートプレポリマーから誘導することもできる。適切なポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリ(1,4‐ブチレンアジペート)、ポリ(テトラメチレンアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリカプロラクトン、ポリヘキサメチレンカーボネート、ポリ(プロピレンカーボネート)、ポリ(テトラメチレンカーボネート)、ポリ(ノナンメチレンカーボネート)およびこれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0127】
少なくとも1つのR2基は、ポリカーボネート基を含むことができる。ポリカーボネート基は、1つ以上の二価アルコール(エチレングリコール、1,3‐プロピレングリコール、1,2‐プロピレングリコール、1,4‐ブタンジオール、1,3‐ブタンジオール、2‐メチルペンタンジオール1,5‐ジエチレングリコール、1,5‐ペンタンジオール、1,5‐ヘキサンジオール、1,2‐ドデカンジオール、シクロヘキサンジオール、それらの組み合わせなど)とエチレンカーボネートとの反応から誘導できる。
【0128】
脂肪族基は、直鎖であってもよく、例えば、1~20個の炭素原子を有するアルキレン鎖または1~20個の炭素原子を有するアルケニレン鎖(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、デクジレン、ドデシレン、トリデシレン、エチレン、プロペニレン、ブテニレン、ペンテニレン、ヘキセニレン、ヘプテニレン、オクテニレン、ノニレン、ノネニレン、デセニレン、ウンデセニレン、ドデセニレン、ドデセニレン、トリデセニレン)を含むことができる。「アルケン」または「アルキレン」という用語は、二価炭化水素を指し、「アルケニレン」という用語は、少なくとも1つの二重結合を有する二価炭化水素分子または分子の一部を指す。
【0129】
脂肪族および芳香族基は、1つ以上のペンダント型の比較的親水性かつ/または荷電した基で置換され得る。ペンダント親水基は、1個以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上)の水酸基を含むことができる。ペンダント親水基は、1個以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上)のアミノ基を含む。場合によっては、ペンダント親水基は、1個以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上)のカルボキシレート基を含む。例えば、脂肪族基は、1つ以上のポリアクリル酸基を含むことができる。場合によっては、ペンダント親水基は、1個以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上)のスルホン酸基を含む。場合によっては、ペンダント親水基は、1個以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上)のリン酸基を含む。いくつかの例では、ペンダント親水基は、1つ以上のアンモニウム基(例えば、第三級および/または第四級アンモニウム)を含む。他の例では、ペンダント親水基は、1つ以上の両性基(例えば、ポリ(カルボキシベタイン(pCB)などのベタインおよびホスファチジルコリン基などのアンモニウムホスホネート基)を含む。
【0130】
R2基は、対イオンに結合してポリマーをイオン架橋し、アイオノマーを形成することができる荷電基を含むことができる。例えば、R2は、ペンダントアミノ基、カルボキシレート基、スルホネート基、リン酸基、アンモニウム基、もしくは両性基またはそれらの組み合わせを有する脂肪族または芳香族基である。
【0131】
ペンダント親水基が存在する場合、ペンダント親水基は、少なくとも1つのポリエーテル基、例えば2つのポリエーテル基であり得る。他の場合において、ペンダント親水基は、少なくとも1つのポリエステルである。ペンダント親水基は、ポリラクトン基(例えば、ポリビニルピロリドン)であり得る。ペンダント親水基の各炭素原子は、例えば、1~6個の炭素原子を有するアルキル基で置換されていてもよい。脂肪族および芳香族基はグラフトポリマー基であってよく、ペンダント基はホモポリマー基(例えば、ポリエーテル基、ポリエステル基、ポリビニルピロリドン基)である。
【0132】
ペンダント親水基は、ポリエーテル基(例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)基、ポリエチレングリコール(PEG)基)、ポリビニルピロリドン基、ポリアクリル酸基またはそれらの組み合わせであり得る。
【0133】
ペンダント親水基は、リンカーを介して脂肪族基または芳香族基に結合することができる。リンカーは、ペンダント親水基を脂肪族または芳香族基に連結することができる任意の二官能性低分子(例えば、1~20個の炭素原子を有するもの)であり得る。例えば、リンカーは、ペンダント親水基および脂肪族または芳香族基に連結された場合にカルバメート結合を形成する、明細書されたようなジイソシアネート基を含み得る。リンカーは、以下に示すように、4,4´‐ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)であり得る。
【0134】
【化3】
【0135】
ペンダント親水基は、以下に示すように、ポリエチレンオキシド基であってもよく、結合基はMDIであってもよい。
【0136】
【化4】
【0137】
ペンダント親水基は、任意にリンカーを介して、脂肪族または芳香族基に結合することを可能にするために官能化され得る。例えば、ペンダント親水基がアルケン基を含む場合、これは、スルフヒドリル含有二官能性分子(すなわち、水酸基またはアミノ基などの第2の反応性基を有する分子)とのマイケル付加を受けることができ、その結果、第2の反応性基を使用して、任意にリンカーを介してポリマー主鎖と反応することができる親水基が得られる。例えば、ペンダント親水基がポリビニルピロリドン基である場合、下記に示すように、メルカプトエタノール上のスルフヒドリル基と反応して、水酸基官能基化ポリビニルピロリドンを生じることができる。
【0138】
【化5】
【0139】
ポリウレタン中の少なくとも1つのR2基は、ポリテトラメチレンオキシド基を含むことができる。ポリウレタンの少なくとも1つのR2基は、ポリエチレンオキシド基またはポリビニルピロリドン基で官能化された脂肪族ポリオール基(例えば、欧州特許第2462908号(これは、本明細書中に参照により援用される)に記載されるポリオール)を含み得る。例えば、R2基は、ポリオール(例えば、ペンタエリスリトールまたは2,2,3‐トリヒドロキシプロパノール)とMDI誘導体化メトキシポリエチレングリコール(式6または7に示す化合物を得るため)またはMDI誘導体化ポリビニルピロリドン(式8または9に示す化合物を得るため)との反応生成物から誘導することができ、これ(R2基)は、以下に示すように、メルカプトエタノールと予め反応させておいた。
【0140】
【化6】
【0141】
【化7】
【0142】
【化8】
【0143】
【化9】
【0144】
ポリウレタンの少なくとも1つのR2は、ポリシロキサンであり得、これらの場合、R2基は、例えば米国特許第5,969,076号に開示される、式10のシリコーンモノマーから誘導することができ、本明細書中に参照により援用される。
【0145】
【化10】
【0146】
式中、aは、1~10以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10)であり、各R4は、独立して、水素、1~18個の炭素原子を有するアルキル基、2~18個の炭素原子を有するアルケニル基、アリールまたはポリエーテルであり、各R5は、独立して、1~10個の炭素原子を有するアルキレン基、ポリエーテルまたはポリウレタンである。
【0147】
各R4基は、独立して、H、1~10個の炭素原子を有するアルキル基、2~10個の炭素原子を有するアルケニル基、1~6個の炭素原子を有するアリール基、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはテレフタレート基であり得る。各R4基は、独立して、メチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、n‐ブチル、イソブチル、s‐ブチル、t‐ブチル、ビニル(ethenyl)、プロペニル、フェニルおよびポリエチレン基からなる群から選択され得る。
【0148】
各R5基は、独立して、1~10個の炭素原子を有するアルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレンまたはデシレン基)を含むことができる。各R5基は、ポリエーテル基(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはテレフタレート基)であり得る。各R5基は、ポリウレタン基であり得る。
【0149】
任意に、ポリウレタンは、ポリウレタンの誘導体であるポリマー鎖を含む少なくとも部分的に架橋されたポリマーネットワークを含むことができる。架橋の特性は、ポリウレタンが熱可塑性を保持するような特性であり得る(すなわち、架橋された熱可塑性ポリウレタンは、本明細書に記載される処理条件下で溶融および再固化され得る)。架橋ポリウレタンは、熱硬化性ポリマーであり得る。この架橋ポリマーネットワークは、以下の式11および12に示すように、1つ以上のイソシアネートを1つ以上のポリアミノ化合物、ポリスルフヒドリル化合物またはそれらの組み合わせと重合させることによって製造することができる。
【0150】
【化11】
【0151】
【化12】
【0152】
ここで、変数は上記の通りである。さらに、イソシアネートはまた、式2のポリウレタンについて上述したように、2つ以上のイソシアネートを架橋するために、1つ以上のポリアミノまたはポリチオール鎖延長剤で鎖延長され得る。
【0153】
ポリウレタン鎖は、例えば、ポリマー(ハードセグメント)のウレタンまたはカルバメート基間の非極性または極性相互作用を介して、別のポリウレタン鎖に物理的に架橋され得る。式1のR1基、並びに式2のR1およびR3基は、しばしば「ハードセグメント」と呼ばれるポリマーの部分を形成し、R2基は、しばしば「ソフトセグメント」と呼ばれるポリマーの部分を形成する。ソフトセグメントはハードセグメントに共有結合している。物理的に架橋されたハードおよびソフトセグメントを有するポリウレタンは、親水性ポリウレタン(すなわち、本明細書に開示されるような親水基を含む熱可塑性ポリウレタンを含むポリウレタン)であり得る。
【0154】
ポリウレタンは、米国特許第4,523,005号に記載されているように、MDI、PTMOおよび1,4‐ブチレングリコールからなる熱可塑性ポリウレタンとすることができる。本発明の使用に適した市販のポリウレタンには、「SANCURE」(例えば、「SANCURE」20025Fなどのポリマーの「SANCURE」一連)または「TECOPHILIC」(例えば、TG‐500、TG‐2000、SP‐80A‐150、SP‐93A‐100、SP‐60D‐60)(Lubrizol、Countryside、IL、USA)、「PELLETHANE」2355‐85ATPおよび2355‐95AE(Dow Chemical Company of Midland、MI、USA)、「ESTANE」(例えば、ALR G 500または58213; Lubrizol、Countryside、IL、USA)の商品名でのポリウレタンが含まれるが、これらに限定されない。
【0155】
1つ以上のポリウレタン(例えば、コーティングとしてプライマーに使用されるもの(例えば、水分散性ポリウレタン))は、1つ以上のイソシアネートを1つ以上のポリオールと重合させて、カルバメート結合(‐N(C=O)O‐)および1つ以上の水分散性増強部分を有するコポリマー鎖を生成することによって生成され得、ここで、ポリマー鎖は、1つ以上の水分散性増強部分(例えば、ポリマー鎖中のモノマー)を含む。水分散型のポリウレタンは、「水性ポリウレタンポリマー分散体」とも呼ばれ、水分散性向上部分は、式1または式2の鎖(chain)(鎖内部および/または側鎖としての鎖上)に加えることができる。水分散性向上部分の含有は、水性ポリウレタン分散体の形成を可能にする。「水性」という用語は、本明細書では、約50重量パーセント~100重量パーセントの水、約60重量パーセント~100重量パーセントの水、約70重量パーセント~100重量パーセントの水または約100重量パーセントの水の分散液または製剤の連続相を意味し、「水性分散液」という用語は、共溶媒を含まない水中の成分(例えば、ポリマー、架橋剤など)の分散液を指す。共溶媒は、水性分散液中で使用することができ、共溶媒は、有機溶媒とすることができる。ポリマー、ポリウレタン、イソシアネートおよびポリオールに関するさらなる詳細を以下に提供する。
【0156】
ポリウレタン(例えば、水性ポリウレタンポリマー分散液)は、1つ以上の水分散性増強部分を含むことができる。水分散性増強部分は、ポリウレタンの分散を助けるために、少なくとも1つの親水性(例えば、ポリ(エチレンオキシド))、イオン性または潜在的にイオン性の基を有することができ、それによって分散液の安定性を増強する。水分散性ポリウレタンは、少なくとも1つの親水基または親水性にすることができる基(例えば、中和などの化学修飾によって)を有する部分をポリマー鎖に組み込むことによって形成することができる。例えば、これらの化合物は、非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性イオン性またはそれらの組み合わせであり得る。一例では、カルボン酸基などのアニオン性基を不活性形態で鎖に組み込み、続いて第三級アミンなどの塩形成化合物によって活性化することができる。他の水分散性増強部分もまた、ウレタン結合または尿素結合(側鎖または末端の親水性エチレンオキシドまたは尿素単位を含む)を介して骨格に反応させることができる。
【0157】
水分散性増強部分は、カルボキシル基を含むものであり得る。カルボキシル基を含む水分散性増強部分は、一般式(HO)xQ(COOH)yを有するヒドロキシカルボン酸から形成することができ、式中、Qは、1~12個の炭素原子を含有する直鎖または分岐二価炭化水素基であることができ、xおよびyは、それぞれ独立して1~3であることができる。例示的な例としては、ジメチロールプロパン酸(DMPA)、ジメチロールブタン酸(DMBA)、クエン酸、酒石酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、ジヒドロキシマル酸、ジヒドロキシタルタル酸などおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0158】
水分散性増強部分は、ポリウレタンに水分散性特性を付与するために主鎖に重合することができるペンダントアニオン性基を含有する反応性ポリマーポリオール構成部分を含むことができる。アニオン性官能性ポリマーポリオールとしては、アニオン性ポリエステルポリオール、アニオン性ポリエーテルポリオールおよびアニオン性ポリカーボネートポリオールが挙げられ得、さらなる詳細は、米国特許第5,334,690号において提供される。
【0159】
水分散性増強部分は、側鎖親水性モノマーを含むことができる。例えば、側鎖親水性モノマーを含む水分散性増強部分は、米国特許第6,897,281号に示されるように、アルキレンオキシド基が2~10個の炭素原子を有するアルキレンオキシドポリマーおよびコポリマーを含むことができる。さらなるタイプの水分散性増強部分には、チオグリコール酸、2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、スルホイソフタル酸、ポリエチレングリコールなどおよびそれらの混合物が含まれ得る。水分散性増強部分に関するさらなる詳細は、米国特許第7,476,705号に見出すことができる。
【0160】
ポリアミド
ポリマーは、熱可塑性ポリアミドなどのポリアミドまたは熱硬化性ポリアミドといったポリアミドを含むことができる。ポリアミドは、エラストマー熱可塑性ポリアミドまたはエラストマー熱硬化性ポリアミドを含むエラストマーポリアミドであり得る。ポリアミドは、同じ化学構造の繰り返しポリアミドセグメントを有するポリアミドホモポリマーであり得る。また、ポリアミドは、異なるポリアミド化学構造を有する多数のポリアミドセグメント(例えば、ポリアミド6セグメント、ポリアミド11セグメント、ポリアミド12セグメント、ポリアミド66セグメントなど)を含み得る。異なる化学構造を有するポリアミドセグメントは、ランダムに配置することができ、または繰り返しブロックとして配置することができる。
【0161】
ポリアミドは、コポリアミド(すなわち、ポリアミドセグメントおよび非ポリアミドセグメントを含むコポリマー)であり得る。コポリアミドのポリアミドセグメントは、ポリアミド6セグメント、ポリアミド11セグメント、ポリアミド12セグメント、ポリアミド66セグメントまたはそれらの任意の組み合わせを含み得るか、またはそれらからなり得る。コポリアミドのポリアミドセグメントは、ランダムに配置されてもよく、または反復セグメントとして配置されてもよい。ポリアミドセグメントは、ポリアミド6セグメントまたはポリアミド12セグメントまたはポリアミド6セグメントおよびポリアミド12セグメントの両方を含み得るか、またはそれらからなり得る。コポリアミドのポリアミドセグメントがポリアミド6セグメントおよびポリアミド12セグメントを含む例では、セグメントはランダムに配置することができる。コポリアミドの非ポリアミドセグメントは、ポリエーテル・セグメント、ポリエステル・セグメントまたはポリエーテル・セグメントおよびポリエステル・セグメントの両方から構成されるか、または構成されることができる。コポリアミドは、ブロックコポリアミドであってもよく、またはランダムコポリアミドであってもよい。コポリアミドは、ポリアミドオリゴマーまたはプレポリマーと第2のオリゴマープレポリマーとの重縮合から形成されて、コポリアミド(すなわち、ポリアミドセグメントを含むコポリマー)を形成することができる。任意に、第2のプレポリマーは親水性プレポリマーであってもよい。
【0162】
ポリアミドは、ポリアミド含有ブロックコポリマーであり得る。例えば、ブロックコポリマーは、繰り返しのハードセグメントおよび繰り返しのソフトセグメントを有することができる。ハードセグメントはポリアミドセグメントを含むことができ、ソフトセグメントは非ポリアミドセグメントを含むことができる。ポリアミド含有ブロックコポリマーは、反復ハードセグメントおよび反復ソフトセグメントを有するポリアミド含有ブロックコポリマーを含むかまたはそれからなるエラストマーコポリアミドであり得る。反復ハードセグメントおよびソフトセグメントを有するブロックコポリマーを含むブロックコポリマーにおいて、物理的架橋は、セグメント内またはセグメント間またはセグメント内およびセグメント間の両方に存在し得る。
【0163】
ポリアミド自体またはポリアミド含有ブロックコポリマーのポリアミドセグメントは、ラクタム、アミノ酸および/またはジアミノ化合物などのポリアミドプレポリマーと、ジカルボン酸またはそれらの活性化形態との縮合から誘導することができる。得られるポリアミドセグメントは、アミド結合(‐(CO)NH‐)を含む。用語「アミノ酸」は、少なくとも1つのアミノ基および少なくとも1つのカルボキシル基を有する分子を指す。ポリアミドの各ポリアミドセグメントは、同じであっても異なっていてもよい。
【0164】
ポリアミドまたはポリアミド含有ブロックコポリマーのポリアミドセグメントは、ラクタムおよび/またはアミノ酸の重縮合から誘導され得、そして以下の式13に示される構造を有するアミドセグメントを含み得、ここで、R6基は、ラクタムまたはアミノ酸から誘導されるポリアミドの部分を表す。
【0165】
【化13】
【0166】
R6基は、ラクタムに由来し得る。R6基は、3~20個の炭素原子を有するラクタム基または4~15個の炭素原子を有するラクタム基または6~12個の炭素原子を有するラクタム基から誘導することができる。R6基は、カプロラクタムまたはラウロラクタムから誘導することができる。R6基は、1つ以上のアミノ酸に由来し得る。R6基は、4~25個の炭素原子を有する酸性基個の炭素原子を有するアミノ酸基または8~15個の炭素原子を有するアミノ酸基に由来し得る。R6基は、12‐アミノラウリン酸または11‐アミノウンデカン酸から誘導することができる。
【0167】
任意に、ポリアミド含有ブロックコポリマーの相対親水性度を増加させるために、式13は、以下に示すように、ポリアミド‐ポリエーテルブロックコポリマーセグメントを含むことができる。
【0168】
【化14】
【0169】
式中、mは3~20であり、nは1~8である。任意に、mは4~15または6~12(例えば、6、7、8、9、10、11または12)とすることができ、nは1、2または3とすることができる。例えば、mは11または12であり得、nは1または3であり得る。ポリアミド含有ブロックコポリマーのポリアミドまたはポリアミドセグメントは、ジアミノ化合物とジカルボン酸またはその活性化形態との縮合から誘導することができ、下記の式15に示す構造を有するアミドセグメントを含むことができ、式中、R7基は、ジアミノ化合物に由来するポリアミドの部分を表し、R8基は、ジカルボン酸化合物に由来する部分を表す。
【0170】
【化15】
【0171】
R7基は、4~15個の炭素原子または5~10個の炭素原子または6~9個の炭素原子を有する脂肪族基を含むジアミノ化合物から誘導することができる。ジアミノ化合物は、フェニル、ナフチル、キシリルおよびトリルなどの芳香族基を含むことができる。R7基が誘導され得る適切なジアミノ化合物としては、ヘキサメチレンジアミン(HMD)、テトラメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン(TMD)、m‐キシリレンジアミン(MXD)および1,5‐ペンタミンジアミンが挙げられるが、これらに限定されない。R8基は、4~15個の炭素原子または5~12個の炭素原子または6~10個の炭素原子を有する脂肪族基を含む、ジカルボン酸またはその活性化形態から誘導することができる。R8を誘導することができるジカルボン酸またはその活性化形態には、フェニル、ナフチル、キシリルおよびトリル基などの芳香族基が含まれる。R8が誘導され得る適切なカルボン酸またはその活性化形態としては、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸およびイソフタル酸が挙げられる。ポリアミド鎖は、芳香族基を実質的に含まなくてもよい。
【0172】
ポリアミドの各ポリアミドセグメント(ポリアミド含有ブロックコポリマーを含む)は、12‐アミノラウリン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミンおよびアジピン酸からなる群から選択されるポリアミドプレポリマーから独立して誘導することができる。
【0173】
ポリアミドは、ポリ(エーテル‐ブロック‐アミド)を含むか、またはそれから実質的になることができる。ポリ(エーテル‐ブロック‐アミド)は、式16に示すように、カルボン酸末端ポリアミドプレポリマーとヒドロキシル末端ポリエーテルプレポリマーとの重縮合から形成されて、ポリ(エーテル‐ブロック‐アミド)を形成することができる:
【0174】
【化16】
【0175】
ポリ(エーテルブロックアミド)ポリマーは、反応性末端を含有するポリアミドブロックと反応性末端を含有するポリエーテルブロックとの重縮合によって調製することができる。例としては、1)カルボン酸鎖末端を含有するポリオキシアルキレンブロックを有するジアミン鎖末端を含有するポリアミドブロック;2)ポリエーテルジオールとして知られる脂肪族ジヒドロキシル化アルファ‐オメガポリオキシアルキレンのシアノエチル化および水素化によって得られるジアミン鎖末端を含有するポリオキシアルキレンブロックを有するジカルボン酸鎖末端を含有するポリアミドブロック;3)ポリエーテルジオールを有するジカルボン酸鎖末端を含有するポリアミドブロック(この特定の場合に得られる生成物はポリエーテルエステルアミドである)が挙げられる。ポリ(エーテル‐ブロック‐アミド)のポリアミドブロックは、前述のように、ラクタム、アミノ酸および/またはジカルボン酸を有するジアミノ化合物から誘導することができる。ポリエーテルブロックは、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリテトラヒドロフラン(PTHF)、ポリテトラメチレンオキシド(PTMO)およびそれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上のポリエーテルから誘導され得る。
【0176】
ポリ(エーテルブロックアミド)ポリマーは、α、ω‐アミノカルボキシル酸、ラクタムまたはジカルボキシル酸と鎖限定ジカルボキシル酸の存在下のジアミンの縮合に由来するジカルボキシル鎖末端を含むポリアミドブロックを含むことができる。このタイプのポリ(エーテルブロックアミド)ポリマーにおいて、α、ω‐アミノカルボン酸(例えば、アミノウンデカン酸)が使用され得る;ラクタム(例えば、カプロラクタムまたはラウリルラクタム)が使用され得る;ジカルボン酸(例えば、アジピン酸、デカンジオン酸またはドデカンジオン酸)が使用され得る;そしてジアミン(例えば、ヘキサメチレンジアミン)が使用され得る;または上記のいずれかの種々の組み合わせが使用され得る。コポリマーは、ポリアミド12またはポリアミド6を含むポリアミドブロックを含むことができる。
【0177】
ポリ(エーテルブロックアミド)ポリマーは、4~12個の炭素原子を含有するジカルボン酸の存在下で、1つ以上のα、ω‐アミノカルボン酸および/または6~12個の炭素原子を含有する1つ以上のラクタムの縮合から誘導されるポリアミドブロックを含むものを含むことができ、低質量であり、すなわち、400~1000の数平均分子量を有する。この種のポリ(エーテルブロックアミド)ポリマーでは、α、ω‐アミノカルボン酸、例えばアミノウンデカン酸またはアミノドデカン酸を使用することができ;ジカルボン酸、例えばアジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸、ブタンジオン酸、1,4‐シクロヘキシルジカルボン酸、テレフタル酸、スルホイソフタル酸のナトリウム塩またはリチウム塩、二量体化脂肪酸(これらの二量体化脂肪酸は少なくとも98質量%の二量体含有量を有し、好ましくは水素化されている)およびドデカンジオン酸HOOC‐(CH2)10‐COOHを使用することができ;ならびにラクタム、例えばカプロラクタムおよびラウリルラクタムを使用することができ;または上記のいずれかの様々な組合せを使用することができる。コポリマーは、アジピン酸またはドデカンジオン酸の存在下でラウリラクタムの縮合によって得られるポリアミドブロックを含むことができ、少なくとも750の数平均分子量を有し、約127~約130℃の溶融温度を有し、ポリアミドブロックの様々な成分およびそれらの割合は、150℃未満または約90℃~約135℃の融点を得るために選択することができる。
【0178】
ポリ(エーテルブロックアミド)ポリマーは、少なくとも1つのα、ω‐アミノカルボン酸(またはラクタム)、少なくとも1つのジアミンおよび少なくとも1つのジカルボン酸の縮合から誘導されるポリアミドブロックを含むポリマーを含むことができる。このタイプのコポリマーでは、α、ω‐アミノカルボン酸、ラクタムおよびジカルボン酸は、上記のものから選択することができ、6~12個の原子を含有する脂肪族ジアミンなどのジアミンは、非環状および/または飽和環式であることができ、例えば、ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、1‐アミノエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン、テトラメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、1,5‐ジアミノヘキサン、2,2,4‐トリメチル‐1,6‐ジアミノヘキサン、ジアミンポリオール、イソホロンジアミン(IPD)、メチルペンタメチレンジアミン(MPDM)、ビス(アミノシクロヘキシル)メタン(BACM)およびビス(3‐メチル‐4‐アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM)を使用することができるが、これらに限定されない。
【0179】
ポリアミドは、熱可塑性ポリアミドであってもよく、ポリアミドブロックの成分は、約90℃~約135℃の融点など、150℃未満の融点を得るために選択されてもよく、熱可塑性ポリアミドブロックの様々な成分およびそれらの割合は、約150℃未満、例えば、約90℃~約135℃の融点を得るために選択されてもよい。
【0180】
ポリアミドブロックの数平均モル質量は、約300グラム/モル~約15,000グラム/モル、約500グラム/モル~約10,000グラム/モル、約500グラム/モル~約6,000グラム/モル、約500グラム/モル~約5,000グラム/モルまたは約600グラム/モル~約5,000グラム/モルであり得る。ポリエーテルブロックの数平均分子量は、約100~約6,000、約400~約3000または約200~約3,000の範囲であり得る。ポリ(エーテルブロックアミド)ポリマーのポリエーテル(PE)含有量(x)は、約0.05~約0.8(すなわち、約5モルパーセント~約80モルパーセント)であり得る。ポリエーテルブロックは、約10重量パーセント~約50重量パーセント、約20重量パーセント~約40重量パーセントまたは約30重量パーセント~約40重量パーセントの量でポリアミド中に存在することができる。ポリアミドブロックは、約50重量パーセント~約90重量パーセント、約60重量パーセント~約80重量パーセントまたは約70重量パーセント~約90重量パーセントの量でポリアミド中に存在することができる。
【0181】
ポリエーテルブロックは、エチレンオキシド単位以外の単位、例えば、プロピレンオキシドまたはポリテトラヒドロフラン(ポリテトラメチレングリコール配列をもたらす)を含有することができる。PEGブロック、すなわち、エチレンオキシド単位からなるもの、ポリプロピレングリコール(PPG)ブロック、すなわち、プロピレンオキシド単位からなるものおよびポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMG)ブロック、すなわち、ポリテトラヒドロフランとしても知られるテトラメチレングリコール単位からなるものを同時に使用することも可能である。PPGまたはPTMGブロックが有利に使用される。ポリアミドおよびポリエーテルブロックを含有するこれらのコポリマー中のポリエーテルブロックの量は、コポリマーの約10重量パーセント~約50重量パーセントまたは約35重量パーセント~約50重量パーセントであり得る。
【0182】
ポリアミドブロックおよびポリエーテルブロックを含有するコポリマーは、ポリアミドブロックおよびポリエーテルブロックを付着させるための任意の手段によって調製することができる。実際には、2つのプロセスが実質的に使用され、一方は2ステッププロセス(2‐step process)であり、他方は1ステッププロセス(one‐step process)である。
【0183】
2ステッププロセスでは、ジカルボン酸鎖末端を有するポリアミドブロックが最初に調製され、次いで、第2ステップで、これらのポリアミドブロックがポリエーテルブロックに連結される。ジカルボン酸鎖末端を有するポリアミドブロックは、連鎖停止剤(chain‐stopper)ジカルボン酸の存在下でのポリアミド前駆体の縮合から誘導される。ポリアミド前駆体がラクタムまたはα、ω‐アミノカルボン酸のみである場合、ジカルボン酸を添加する。前駆体が既にジカルボン酸を含む場合、これはジアミンの化学量論に対して過剰に使用される。反応は、通常、約180~約300℃、例えば約200~約290℃で起こり、反応器内の圧力は、約5~約30バールに設定し、約2~3時間維持することができる。反応器内の圧力をゆっくりと大気圧まで下げ、次いで過剰の水を、例えば1または2時間留去する。
【0184】
カルボン酸末端基を有するポリアミドが調製されると、次に、ポリエーテル、ポリオールおよび触媒が添加される。ポリエーテルの総量は、触媒と同様に、分割して1つ以上の部分に添加することができる。最初にポリエーテルを添加し、ポリエーテルのOH末端基およびポリオールとポリアミドのCOOH末端基との反応を開始し、エステル結合の形成および水の脱離を伴う。水は、蒸留によって反応混合物からできるだけ多く除去され、次いで、ポリアミドブロックのポリエーテルブロックへの連結を完了するために触媒が導入される。この第2のステップは、撹拌しながら、好ましくは少なくとも50ミリバール(5000パスカル)の真空下で、得られる反応物およびコポリマーが溶融状態にあるような温度で行われる。例として、この温度は、約100~約400℃、例えば約200~約250℃とすることができ、反応は、ポリマー溶融物によって撹拌機に及ぼされるトルクを測定することによって、または撹拌機によって消費される電力を測定することによって監視される。反応の終了は、トルクまたは目標出力の値によって決定される。触媒は、エステル化によってポリアミドブロックのポリエーテルブロックへの連結を促進する任意の製品であると定義される。触媒は、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムによって形成される群から選択される金属(M)の誘導体であり得る。誘導体は、一般式M(OR)4と一致するテトラアルコキシドから調製することができ、式中、Mはチタン、ジルコニウムまたはハフニウムを表し、Rは同一であっても異なっていてもよく、1~24個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基を表す。
【0185】
触媒は、金属(M)の塩、特に(M)および有機酸の塩、ならびに(M)および/または(M)の酸化物および/または(M)の水酸化物の錯塩および有機酸を含むことができる。有機酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、シクロヘキサンカルボン酸、フェニル酢酸、安息香酸、サリチル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸またはクロトン酸であり得る。有機酸は、酢酸またはプロピオン酸であり得る。Mはジルコニウムとすることができ、このような塩はジルコニル塩と呼ばれ、例えば、酢酸ジルコニルの名称で市販されている製品である。
【0186】
触媒の重量割合は、ジカルボン酸ポリアミドとポリエーテルジオールおよびポリオールとの混合物の重量の約0.01~約5パーセントで変化し得る。触媒の重量割合は、ジカルボン酸ポリアミドとポリエーテルジオールおよびポリオールとの混合物の重量の約0.05~約2パーセントで変化し得る。
【0187】
1ステッププロセス(one‐step process)では、ポリアミド前駆体、連鎖停止剤(chain stopper)およびポリエーテルを一緒にブレンドし、次いで得られるものは、実質的に可変長のポリエーテルブロックおよびポリアミドブロックを有するポリマーであるが、ランダムに反応した種々の反応物もポリマー鎖に沿ってランダムに分布している。これらは、上記の2ステッププロセスと同じ反応物および同じ触媒である。ポリアミド前駆体がラクタムのみである場合、少量の水を添加することが有利である。このコポリマーは、実質的に同じポリエーテルブロックおよび同じポリアミドブロックを有するが、ランダムに反応した種々の反応物の一部分も有し、これらはポリマー鎖に沿ってランダムに分布している。上述の2ステッププロセスの第1のステップと同様に、反応器を閉じ、撹拌しながら加熱する。設定される圧力は、約5~約30バールである。圧力がもはや変化しなくなったとき、反応器を減圧下に置きながら、溶融反応物の激しい撹拌を維持し続ける。反応は、2ステッププロセスの場合に前述したように監視される。
【0188】
ポリアミド対ポリエーテルブロックの適切な比は、単一のポリ(エーテルブロックアミド)中に見出すことができ、または2つ以上の異なる組成のポリ(エーテルブロックアミド)のブレンドを、適切な平均組成と共に使用することができる。高いレベルのポリアミド基を有するブロックコポリマーを、高いレベルのポリエーテルブロックを有するブロックコポリマーとブレンドして、ポリ(アミド‐ブロック‐エーテル)コポリマーの全ブレンドの約20~約40重量パーセントまたは約30~約35重量パーセントの平均レベルのポリエーテルブロックを有するブレンドを生成することが有用であり得る。コポリマーは、35重量パーセント未満のポリエーテルブロックのレベルを有する少なくとも1つのブロックコポリマーと、少なくとも45重量パーセントのポリエーテルブロックを有する第2のポリ(エーテルブロックアミド)とを含む2つの異なるポリ(エーテルブロックアミド)のブレンドを含むことができる。
【0189】
例示的な市販のコポリマーには、「VESTAMID」(Evonik Industries、Essen、Germany)、「PLATAMID」(Arkema、Colombes、France)、例えば、成形品コードH2694、「PEBAX」(Arkema)、例えば、成形品コード「PEBAX MH1657」および「PEBAX MV1074」、「PEBAX RNAW」(Arkema)、「GRILAMID」(EMS‐Chemie AG、Domat‐Ems、Switzerland)の商標で入手可能なものまたは種々他の供給業者によって製造される他の同様の材料も含まれるが、これらに限定されない。
【0190】
ポリアミドは、例えば、ポリマーのポリアミド基間の非極性または極性相互作用によって物理的に架橋することができる。ポリアミドがコポリアミドである例では、コポリアミドは、ポリアミド基間の相互作用および任意にコポリマー基間の相互作用によって物理的に架橋することができる。コポリアミドがポリアミド基間の相互作用によって物理的に架橋される場合、ポリアミドセグメントは、ハードセグメントと呼ばれるポリマーの部分を形成することができ、コポリマーセグメントは、ソフトセグメントと呼ばれるポリマーの部分を形成することができる。例えば、コポリアミドがポリ(エーテル‐ブロック‐アミド)である場合、ポリアミドセグメントはポリマーのハードセグメントを形成し、ポリエーテルセグメントはポリマーのソフトセグメントを形成する。したがって、いくつかの例では、ポリマーは、アミド結合を有する1つまたは複数のポリマー鎖を有する物理的に架橋されたポリマーネットワークを含むことができる。
【0191】
コポリアミドのポリアミドセグメントは、ポリアミド‐11またはポリアミド‐12を含むことができ、ポリエーテルセグメントは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドおよびポリテトラメチレンオキシドセグメント、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択されるセグメントであり得る。
【0192】
ポリアミドは、本明細書中に先に記載されるように、部分的にまたは完全に共有結合的に架橋され得る。場合によっては、ポリアミド中に存在する架橋の程度は、例えば、本発明の物品を形成するためにヤーン(yarn)または繊維の形態で熱処理される場合、部分的に共有結合的に架橋された熱可塑性ポリアミドが、部分的に共有結合的に架橋された熱可塑性ポリアミドが処理中に溶融され、再固化するのに十分な熱可塑性を保持するようなものである。他の場合には、架橋ポリアミドは熱硬化性ポリマーである。
【0193】
ポリエステルポリマーは、ポリエステルを含むことができる。ポリエステルは、熱可塑性ポリエステルまたは熱硬化性ポリエステルを含むことができる。さらに、ポリエステルは、熱可塑性ポリエステルまたは熱硬化性エラストマーポリエステルを含むエラストマーポリエステルであってもよい。ポリエステルは、1種以上のカルボン酸またはそのエステル形成誘導体と、1種以上の二価もしくは多価脂肪族、脂環式、芳香族もしくは芳香族アルコールまたはビスフェノールとの反応によって形成することができる。ポリエステルは、同じ化学構造の繰り返しポリエステルセグメントを有するポリエステルホモポリマーであり得る。あるいは、ポリエステルは、異なるポリエステル化学構造を有する多数のポリエステルセグメント(例えば、ポリグリコール酸セグメント、ポリ乳酸セグメント、ポリカプロラクトンセグメント、ポリヒドロキシアルカノエートセグメント、ポリヒドロキシブチレートセグメントなど)を含むことができる。異なる化学構造を有するポリエステルセグメントは、ランダムに配置することができ、または繰り返しブロックとして配置することができる。
【0194】
ポリエステルを調製するために使用することができる例示的なカルボン酸には、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、アルキル置換またはハロゲン化テレフタル酸、アルキル置換またはハロゲン化イソフタル酸、ニトロテレフタル酸、4,4´‐ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4´‐ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、4,4´‐ジフェニルスルホン‐ジカルボン酸、4,4´‐ジフェニルアルキレンジカルボン酸、ナフタレン‐2,6‐ジカルボン酸、シクロヘキサン‐1,4‐ジカルボン酸およびシクロヘキサン‐1,3‐ジカルボン酸が含まれるが、これらに限定されない。ポリエステルの調製に適した例示的なジオールまたはフェノールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3‐プロパンジオール、1,4‐ブタンジオール、1,6‐ヘキサンジオール、1,8‐オクタンジオール、1,10‐デカンジオール、1,2‐プロパンジオール、2,2‐ジメチル‐1,3‐プロパンジオール、2,2,4‐トリメチルヘキサンジオール、p‐キシレンジオール、1,4‐シクロヘキサンジオール、1,4‐シクロヘキサンジメタノールおよびビス‐フェノールAが挙げられるが、これらに限定されない。
【0195】
ポリエステルは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリヘキサメチルテレフタレート、ポリヘキサレンテレフタレート、ポリ‐1、4‐ジメチルシクロヘキサンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポリアリレートリール酸(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステルまたは前述の2つ以上の混合物であってもよい。
【0196】
ポリエステルは、コポリエステル(すなわち、ポリエステルセグメントおよび非ポリエステルセグメントを含むコポリマー)であり得る。共ポリエステルは、脂肪族共ポリエステル(すなわち、ポリエステルセグメントと非ポリエステルセグメントの両方が脂肪族である共ポリエステル)とすることができる。代わりに、コポリエステルは芳香族セグメントを含むことができる。コポリエステルのポリエステルセグメントは、ポリグリコール酸セグメント、ポリ乳酸セグメント、ポリカプロラクトンセグメント、ポリヒドロキシアルカノエートセグメント、ポリヒドロキシブチレートセグメントまたはそれらの任意の組み合わせを含むか、またはそれらから実質的になることができる。コポリエステルのポリエステルセグメントは、ランダムに配置することができ、または繰り返しブロックとして配置することができる。
【0197】
例えば、ポリエステルは、比較的硬い同じ化学構造のポリマー単位の繰り返しブロック(ハードセグメント)と、比較的軟らかい同じ化学構造の繰り返しブロック(ソフトセグメント)とを有するブロックコポリエステルであってもよい。繰り返しハードセグメントおよびソフトセグメントを有するブロックコポリエステルを含むブロックコポリエステルにおいて、物理的架橋は、ブロック内またはブロック間またはブロック内およびブロック間の両方に存在し得る。ポリマーは、ハードセグメントの反復ブロックおよびソフトセグメントの反復ブロックを有するエラストマーコポリエステルを含むか、または実質的にそれからなることができる。
【0198】
共ポリエステルの非ポリエステルセグメントは、ポリエーテルセグメント、ポリアミドセグメントまたはポリエーテルセグメントおよびポリアミドセグメントの両方を含むか、または実質的に含むことができる。コポリエステルは、ブロックコポリエステルであってもよく、またはランダムコポリエステルであってもよい。コポリエステルは、ブロックコポリエステルを形成するために、ポリエステルオリゴマーまたはプレポリマーと第2のオリゴマープレポリマーとの重縮合から形成することができる。任意に、第2のプレポリマーは親水性プレポリマーであってもよい。例えば、コポリエステルは、テレフタル酸またはナフタレンジカルボン酸とエチレングリコール、1,4‐ブタンジオールまたは1,3‐プロパンジオールとの重縮合から形成することができる。コポリエステルの例としては、ポリエチレンアジパテ、ポリブチレンスクシネート、ポリ(3‐ヒドロキシブチレート‐co‐3‐ヒドロキシバレート)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナプタレートおよびこれらの組合せが挙げられる。コ‐ポリアミドは、ポリエチレンテレフタレートを含むことができるか、またはポリエチレンテレフタレートからなることができる。
【0199】
ポリエステルは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリヘキサメチルテレフタレート、ポリ‐1、4‐ジメチルシクロヘキサンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポリアリレートリール酸(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)および液晶ポリエステルのうちの1つ以上のセグメントを含むブロックコポリマーとすることができる。例えば、ブロックコポリマーである適切なポリエステルは、PET/PEIコポリマー、ポリブチレンテレフタレート/テトラエチレングリコールコポリマー、ポリオキシアルキレンジイミド二酸/ポリブチレンテレフタレートコポリマーまたは上記のいずれかのブレンドもしくは混合物であり得る。
【0200】
ポリエステルは、生分解性樹脂、例えば、ポリグリコール酸やポリ乳酸などのポリ(α‐ヒドロキシ酸)を主繰り返し単位として含む共重合ポリエステルであってもよい。
【0201】
開示されたポリエステルは、溶媒重合または溶融重合プロセスなどの当業者に知られている様々な重縮合方法によって調製することができる。
【0202】
ポリオレフィンポリマーは、ポリオレフィンを含むか、または実質的にポリオレフィンからなることができる。ポリオレフィンは、熱可塑性ポリオレフィンまたは熱硬化性ポリオレフィンであり得る。さらに、ポリオレフィンは、熱可塑性エラストマーポリオレフィンまたは熱硬化性エラストマーポリオレフィンを含むエラストマーポリオレフィンであってもよい。例示的なポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびオレフィンエラストマー(例えば、4~約8個の炭素原子を有するエチレンおよびα‐オレフィンのメタロセン触媒ブロックコポリマー)が挙げられ得る。ポリオレフィンは、ポリエチレン、エチレン‐α‐オレフィンコポリマー、エチレン‐プロピレンゴム(EPDM)、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリ‐4‐メチルペント‐1‐エン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、エチレン‐メタクリル酸コポリマーおよびポリプロピレン(PP)およびエチレン‐プロピレンゴム(EPDM)から得られる動的架橋ポリマーなどのオレフィンエラストマーを含むポリマー、ならびにこれらのブレンドまたは混合物とすることができる。さらなる例示的なポリオレフィンには、シクロペンテンまたはノルボルネンなどのシクロオレフィンのポリマーが含まれる。
【0203】
任意に架橋することができるポリエチレンは、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、(VLDPE)および(ULDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度およびポリマー量ポリエチレン(HDPE‐HMW)、高密度および超ポリマー量ポリエチレン(HDPE‐UHMW)、ならびに前記のポリエチレンのいずれかのブレンドまたは混合物を含む、様々なポリエチレンを含むことを理解されたい。ポリエチレンはまた、ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エチル、ビニルアルコールおよび/または酢酸ビニルと共重合したモノオレフィンおよびジオレフィンのモノマーから誘導されるポリエチレンコポリマーであり得る。酢酸ビニル誘導単位を含むポリオレフィンコポリマーは、高酢酸ビニル含量コポリマー、例えば、約50重量パーセントを超える酢酸ビニル誘導組成物であり得る。
【0204】
ポリオレフィンは、当業者に周知の方法(例えば、過酸化物開始剤、加熱および/または光を使用する)によって、フリーラジカル重合、カチオン重合および/またはアニオン重合によって形成することができる。開示されたポリオレフィンは、高圧および高温下でのラジカル重合によって調製することができる。あるいは、ポリオレフィンは、IVb、Vb、VIbまたはVIII族金属からの1種以上の金属を通常含有する触媒を用いた触媒重合によって調製することができる。触媒は、通常、IVb、Vb、VIbまたはVIII族金属とp‐またはs‐配位錯体を形成することができる1つ以上の配位子、典型的には酸化物、ハロゲン化物、アルコラート、エステル、エーテル、アミン、アルキル、アルケニルおよび/またはアリールを有する。金属錯体は、遊離形態であってもよく、または基材、典型的には活性化塩化マグネシウム、塩化チタン(III)、アルミナまたは酸化ケイ素上に固定されていてもよい。金属触媒は、重合媒体中に可溶性であっても不溶分であってもよい。触媒は、それ自体で重合に使用することができ、またはさらなる活性剤、典型的にはIa、IIaおよび/またはIIIa族金属アルキル、金属水素化物、金属アルキルハライド、金属アルキルオキシドまたは金属アルキルオキサンを使用することができる。活性化剤は、さらなるエステル、エーテル、アミンまたはシリルエーテル基で都合よく修飾することができる。
【0205】
適切なポリオレフィンは、本明細書中に記載されるように、モノオレフィンおよびジオレフィンのモノマーの重合によって調製され得る。ポリオレフィンを調製するために使用することができる例示的な一量体には、エチレン、プロピレン、1‐ブテン、1‐ペンテン、1‐ヘキセン、2‐メチル‐1‐プロペン、3‐メチル‐1‐ペンテン、4‐メチル‐1‐ペンテン、5‐メチル‐1‐ヘキセンおよびそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0206】
適切なエチレン‐α‐オレフィンコポリマーは、3~12の炭素数を有するプロピレン、ブテン‐1、ヘキセン‐1、オクテン‐1,4‐メチル‐1‐ペンテンなどのα‐オレフィンとのエチレンの共重合によって得ることができる。
【0207】
適切な動的架橋されたポリマーは、ソフトセグメントとしてゴム成分を架橋すると同時に、バンバリーミキサーのような混練機および二軸押出機を使用することによって、PPのようなハードセグメントおよびEPDMのようなソフトセグメントを物理的に分散させることによって得ることができる。
【0208】
ポリオレフィンは、ポリオレフィンの混合物(例えば、本明細書中上記に開示される2つ以上のポリオレフィンの混合物)であり得る。例えば、ポリオレフィンの適切な混合物は、ポリプロピレンとポリイソブチレンとの混合物、ポリプロピレンとポリエチレンとの混合物(例えば、PP/HDPE、PP/LDPE)または異なるタイプのポリエチレンの混合物(例えば、LDPE/HDPE)であり得る。
【0209】
ポリオレフィンは、適切なモノオレフィンモノマーのコポリマーまたは適切なモノオレフィンモノマーとビニルモノマーとのコポリマーであり得る。例示的なポリオレフィンコポリマーには、エチレン/プロピレンコポリマー、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、プロピレン/but‐1エンコポリマー、エチレン/but‐1エンコポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/ヘプテンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、プロピレン/ブタジエンコポリマー、エチレン/イソプレンコポリマー、エチレン/アルキルメタクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマーおよびそれらの一酸化炭素またはエチレン/アクリル酸コポリマーおよびそれらの塩とのコポリマー(イオノマー)、ならびにエチレンとヘキサジエン、ジシクロペンタジエンまたはエチリデン‐ノルボルネンなどのジエンとのターポリマー、ならびにこれらのコポリマーと上記1)で言及したポリマー、例えばポリプロピレン/エチレン‐プロピレンコポリマーとの混合物が含まれる。LDPE/エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、LDPE/エチレンアクリル酸コポリマー(EAA)、LLDPE/EVA、LLDPE/EAAおよび交互またはランダムポリアルキレン/一酸化炭素コポリマーまた、他のポリマー、例えばポリアミドとの混合物であってもよい。
【0210】
ポリオレフィンは、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンコポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレンブロックコポリマー、ポリエチレンホモポリマー、ポリエチレンランダムコポリマー、ポリエチレンブロックコポリマー、ポリエチレンブロックコポリマー、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)または前述のポリマーの1つ以上のブレンドもしくは混合物であり得る。
【0211】
ポリオレフィンは、ポリプロピレンであってもよい。本明細書で使用される「ポリプロピレン」という用語は、プロピレンモノマーを、単独でまたは他のランダムに選択され、配向されたポリオレフィン、ジエン、もしくは他のモノマー(エチレン、ブチレンなど)との混合物もしくはコポリマーのいずれかで含む任意のポリマー組成物を包含することが意図される。このような用語はまた、構成モノマー(アタクチック、シンジオタクチック、アイソタクティックポリプロピレンなど)の任意の異なる成分の配置構成を包含する。したがって、繊維に適用される用語は、延伸ポリマーの実際の長いストランド、テープ、糸(threads)などを包含することが意図される。ポリプロピレンは、任意の標準的なメルトフロー(試験による)であり得るが、標準的な繊維グレードのポリプロピレン樹脂は、約1~1000のメルトフローインデックスの範囲を有する。
【0212】
ポリオレフィンはポリエチレンであってもよい。本明細書で使用される用語「ポリエチレン」は、単独でまたは他のランダムに選択され、配向されたポリオレフィン、ジエンまたは他のモノマー(プロピレン、ブチレンなど)との混合物またはコポリマーのいずれかで、エチレンモノマーを含む任意のポリマー組成物を包含することが意図される。このような用語はまた、構成モノマーの任意の異なる成分の配置構成(アタクチック、シンジオタクチック、アイソタクティックなど)を包含する。したがって、繊維に適用される用語は、延伸ポリマーの実際の長いストランド、テープ、糸などを包含することが意図される。ポリエチレンは、任意の標準的なメルトフロー(試験による)であり得るが、標準的な繊維グレードのポリエチレン樹脂は、約1~1000のメルトフローインデックスの範囲を有する。
【0213】
熱可塑性および/または熱硬化性材料は、1つ以上の加工助剤をさらに含むことができる。加工助剤は、非ポリマー材料であってもよい。これらの加工助剤は、硬化剤、開始剤、可塑剤、離型剤、潤滑剤、酸化防止剤、難燃剤、染料、顔料、強化および非強化充填剤、繊維補強および光安定剤を含む群から独立して選択することができるが、これらに限定されない。
【0214】
構成部分は1つまたは複数のブラダを含むことができ、ブラダは構造色構造を含むことができる。ブラダは、構造設計(例えば、光学素子)がブラダ上に貼り付けられたとき、充填されないか、部分的に膨張されるか、または完全に膨張され得る。ブラダは、ある体積の流体を含むことができるブラダである。充填されていないブラダは、流体充填可能なブラダと、大気圧以上の圧力の流体で少なくとも部分的に膨張された充填済みブラダである。物品上に配置されるか、またはその中に組み込まれる場合、ブラダは、一般に、その時点で、流体で満たされたブラダである。流体は、気体または液体である。ガスは、空気、窒素ガス(N2)、または他の適切なガスを含むことができる。
【0215】
ブラダは、例えば、所定の厚さのブラダ壁が、本明細書に記載されるブラダの厚さと実質的に同じ厚さのブチルゴム層の窒素についてのガス透過率よりも少なくとも約10倍低い窒素についてのガス透過率を有する、窒素ガスについてのガス透過率を有することができる。ブラダは、第1のブラダ壁厚(例えば、約0.1~40ミル)を有する第1のブラダ壁を有することができる。ブラダは、20ミルの平均壁厚に対して、約15cm 3 /m 2 ・atm・day未満、約10m 3 /m 2 ・atm・day未満、約5cm 3 /m 2 ・atm・day未満、約1cm 3 /m 2 ・atm・day未満(例えば、約0.001cm 3 /m 2 ・atm・day~約1cm 3 /m 2 ・atm・day、約0.01cm 3 /m 2 ・atm・day~約1cm 3 /m 2 ・atm・dayまたは約0.1cm 3 /m 2 ・atm・day~約1cm 3 /m 2 ・atm・day)の窒素ガスに対するガス透過率(GTR)を有することができる第1のブラダ壁を有することができる。ブラダは、第1のブラダ壁厚を有する第1のブラダ壁を有することができ、第1のブラダ壁は、20ミルの平均壁厚に対して15cm 3 /m 2 ・atm・day以下の気体透過率を有する。
【0216】
一態様では、ブラダは、内部に面する側と外部に面する側とを有するブラダ壁を有し、内部(または内部)に面する側は、ブラダの内部領域の少なくとも一部を画定する。第1の面および第2の反対側を有する多層光学フィルム(または光学素子)は、ブラダの外側に面する面、ブラダの内側に面する面、またはその両方に配置することができる。ブラダの外側に面する側、ブラダの内側に面する側、またはその両方は、ブラダ壁の外側に面する側、ブラダの内側に面する側、またはその両方から延在する複数のトポグラフィー構造(またはプロファイルフィーチャ)を含むことができ、多層光学フィルムの第1の側または第2の側は、ブラダ壁の外側に面する側に配置され、複数のトポグラフィー構造を覆い、ブラダ壁の内側に面する側および複数のトポグラフィー構造を覆い、またはその両方であり、多層光学フィルムは、ブラダ壁に構造色を与える。プライマー層は、ブラダの外側に面する側、ブラダの内側に面する側、またはその両方に、ブラダ壁と多層光学フィルムとの間に配置することができる。
【0217】
特定の態様では、ブラダは、フットウェア用品のアッパー部分に実施可能に固定された上壁と、上壁と反対側の底壁と、膨張したブラダの上壁と底壁との間に延在する1つまたは複数の側壁とを含むことができる。上壁、底壁、および1つ以上の側壁は、集合的に、膨張したブラダの内部領域を画定し、1つ以上の側壁は、それぞれ、外部に面する面を備える。第1の面および第2の反対側を有する多層光学フィルムは、ブラダの外側に面する面、ブラダの内側に面する面、またはその両方に配置することができる。ブラダの外側に面する側、ブラダの内側に面する側、またはその両方は、ブラダ壁の外側に面する側、ブラダの内側に面する側、またはその両方から延在する複数のトポグラフィー構造を含むことができ、多層光学フィルムの第1の側または第2の側は、ブラダ壁の外側に面する側に配置され、複数のトポグラフィー構造を覆い、ブラダ壁の内側に面する側および複数のトポグラフィー構造を覆い、またはその両方であり、多層光学フィルムは、ブラダ壁に構造色を与える。プライマー層は、ブラダの外側に面する側、ブラダの内側に面する側、またはその両方に、ブラダ壁と多層光学フィルムとの間に配置することができる。
【0218】
膨張したブラダの相対透過度、透過率、および拡散を測定するための認可された方法は、ASTM D‐1434‐82‐Vである。例えば、米国特許第6,127,026号を参照のこと(これは、本明細書中に完全に記載されるかのように、参考として援用される)。ASTM D‐1434‐82‐Vによれば、透過度、透過率および拡散は、以下の式によって測定される。
透過度(Permeance)
(気体量)/[(面積)×(時間)×(圧力差)]=透過度(GTR)/(圧力差)=cm 3 /m 2 ・atm・day(すなわち24時間)
透過率(Permeability)
[(気体量)×(膜厚)][(面積)×(時間)×(圧力差)]=透磁率[(GTR)×(膜厚)]/(圧力差)=[(cm 3 )(mil)]/m 2 ・atm・day(すなわち24時間)

1気圧の拡散(Diffusion at one atmosphere)
(気体量)/[(面積)x(時間)]=GTR=cm 3 /m 2 ・day(すなわち24時間)
【0219】
ブラダは、少なくとも1つのポリマー層または少なくとも2つ以上のポリマー層を含むフィルムを含むブラダ壁を含むことができる。ポリマー層の各々は、約0.1~40ミル(mil)の厚さであり得る。
【0220】
ポリマー層は、熱可塑性材料などのポリマー材料から形成することができる。熱可塑性材料は、熱可塑性エラストマー材料などのエラストマー材料を含むことができる。熱可塑性材料は、上記および本明細書に記載されるような熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含むことができる。熱可塑性材料は、ポリエステルベースのTPU、ポリエーテルベースのTPU、ポリカプロラクトンベースのTPU、ポリカーボネートベースのTPU、ポリシロキサンベースのTPU、またはそれらの組み合わせを含むことができる。使用することができる熱可塑性材料の非限定的な例には、「PELLETHANE」2355‐85ATPおよび2355‐95AE(Dow Chemical Company of Midland、MI、USA)、「ELASTOLLAN」(BASF Corporation、Wyandotte、MI、USA)および「ESTANE」(Lubrizol、Brecksville、OH、USA)が含まれ、これらはすべて酸エステルまたはエーテル系である。追加の熱可塑性材料としては、米国特許第5,713,141号、第5,952,065号、第6,082,025号、第6,127,026号、第6,013,340号、第6,203,868号、第6,321,465号に記載されているものを挙げることができ、これらの特許の開示内容は、参照することによって本願に組み込まれるものとする
【0221】
ポリマー層は、エチレンビニルアルコールコポリマー(EVOH)、ポリ(塩化ビニル)、ポリビニリデンポリマーおよびコポリマー(例えば、ポリ塩化ビニリデン)、ポリアミド(例えば、非晶質ポリアミド)、アクリロニトリルポリマー(例えば、アクリロニトリル‐メチルアクリレートコポリマー)、ポリウレタンエンジニアリングプラスティック、ポリメチルペンテン樹脂、エチレン‐一酸化炭素コポリマー、液晶ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリアクリルイミド、および比較的低いガス透過率を有することが知られている他のポリマー材料のうちの1つ以上から形成され得る。これらの材料のブレンドおよび合金、ならびに本明細書に記載されるTPU、ならびに任意選択でポリイミドおよび結晶性ポリマーの組合せを含むTPUも適切である。例えば、ポリイミドと液晶ポリマーとのブレンド、ポリアミドとポリエチレンテレフタレートとのブレンド、およびポリアミドとスチレンとのブレンドが好適である。
【0222】
ポリマー層のポリマー材料の具体例としては、Ineos(Rolle、Switzerland)から入手可能な「BAREX」樹脂などのアクリルニトリルコポリマー、ポリウレタンエンジニアリングプラスチックとしては、Lubrizol(Brecksville、OH、USA)から入手可能な「ISPLAST」ETPU、「EVAL」の商品名でエチレン‐ビニルアルコールコポリマーとしては、Kuraray(Houston、TX、USA)から、Nippon Gohsei(Hull、England)から入手可能な「SOARNOL」およびDuPont(Wilmington、DE、USA)から入手可能な「SELAR OH」などがある。Johnson(Racine、WI、USA)は「SARAN」という商品名で、液晶ポリマーは、Solvay(Brussels、Belgium)は「IXAN」という商品名で、Celanese(Irving、TX、USA)および「XYDAR」という商品名でSolvayから、ナイロンとアモルファスナイロンは、「NOVAMID」X21という商品名で、Koninklijke DSM N.V(Heerlen、Netherlands)から、「SELAR PA」という商品名でDuPontから、ポリエーテルイミドは「ULTEM」という商品名SABIC(Riyadh、Saudi Arabia)で販売されている。ポリ(ビニルアルコール)、およびポリメチルペンテン樹脂は商標名「TPX」で三井化学(東京、日本)から入手可能である。
【0223】
フィルムの各ポリマー層は、熱可塑性ポリマーの組み合わせを含むことができる熱可塑性材料で形成することができる。1つ以上の熱可塑性ポリマーに加えて、熱可塑性材料は、任意に、着色剤、充填剤、加工助剤、フリーラジカルスカベンジャー、紫外線吸収剤などを含むことができる。フィルムの各ポリマー層は、異なるタイプの熱可塑性ポリマーを含む異なる熱可塑性材料で作ることができる。
【0224】
ブラダは、フィルムに加熱、圧力および/または真空を加えることによって作ることができる。ブラダ(例えば、1つ以上のポリマー層)は、1つ以上のポリマー材料を使用して形成され得、そして例えば、押出成形、ブロー成形、射出成形、真空成形、回転成形、トランスファー成形、圧空成形、ヒートシール、鋳造、低圧鋳造、スピン鋳造、反応射出成形、無線周波数(RF)溶接などを含む1つ以上の加工技術を使用してブラダを形成する。ブラダは、同時押出成形に続いて、ブラダが流体(例えば、気体)で満たされることを可能にする1つ以上の弁(例えば、一方向弁)を任意に含み得る、膨張可能なブラダを与えるために、ヒートシールまたは溶接によって作製され得る。
【0225】
ブラダが構造色構造を含む例において、光学素子はブラダの内面(面)上または外面(面)上に配置することができる。テクスチャ層は、ブラダの内面(面)または外面であり得る。関連のある構造としては、光学素子/ブラダの内面//ブラダの外面またはブラダの内面///ブラダの外面/光学素子を含むことができる。光学素子は光学層と任意にプライマー層とテクスチャ構造とを含むことができる。テクスチャ層は、ブラダの内面(面)または外面(面)(例えば、内面または外面が熱可塑性材料から作られる場合)、その上に配置されたプライマー層およびプライマー層上に配置された光学素子であり得る。
【0226】
布を含むフットウェア用品では、光学素子は布上に配置することができる。布または少なくとも布の外層は熱可塑性材料を含むことができ、光学素子をその上に配置することができる。布は、不織布、合成皮革、ニット布または織布であってもよい。布は、第1の繊維または第1のヤーンを含むことができ、第1の繊維または第1のヤーンは、第1の熱可塑性材料で形成された少なくとも外層を含むことができる。光学素子を配置することができる構造の第1または第2の面の領域は、第1の繊維または第1のヤーンを非フィラメント構造で含むことができる。光学素子は、光学素子、任意のテクスチャ層および任意のプライマー層が布上に配置され得るように、布上に配置され得るか、または布が処理され得る。テクスチャ表面は、布表面から作られるか、または布表面から形成されることができる。プライマー層は、布表面上に配置することができ、次いで、光学素子は、プライマー層上に配置することができる。布表面は、布表面を形成するために使用することができ、これの前または後のいずれかに、光学素子を布に配置する前に、プライマー層を布表面に任意に適用することができる。
【0227】
「布」は、柔軟性、繊度および長さ対厚さの高い比率によって特徴付けられる、繊維、フィラメントまたはヤーンから製造される任意の材料として定義され得る。布は、一般に2つのカテゴリーに分類される。第1のカテゴリーは、不織ファブリック(non-woven fabrics)およびフェルトを構築するためにランダムにインターロックすることによって、フィラメントまたは繊維のウェブから直接製造される布を含む。第2のカテゴリーは、ヤーンの機械的操作によって形成され、それによって、織ファブリック(woven fabric)、ニットファブリック(knitted fabric)、編組ファブリック(braided fabric)、クロッシェファブリック(croched fabric)などを生成するファブリックを含む。
【0228】
本明細書で使用される「フィラメント」、「繊維(原文においてfiberまたはfibers)」という用語は、幅よりもかなり長い別個の細長い片の形態である材料を指す。繊維は、天然繊維、人工繊維または合成繊維を含むことができる。繊維は、押出、エレクトロスピニング、界面重合、引っ張りなどの従来の技術によって製造することができる。繊維は、炭素繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、チタニア繊維、アルミナ繊維、石英繊維、E、A、C、ECR、R、S、DおよびNEガラスおよび石英などのガラス繊維などを含むことができる。繊維は、ポリ(エーテルケトン)、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリ(フェニレンスルフィド)、ポリエステル、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、芳香族ポリアミド(例えば、パラ‐アラミド繊維およびメタ‐アラミド繊維などのアラミドポリマー)、芳香族ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルイミダゾール、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル酸、モアクリル酸、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアミド、ポリウレタンおよびポリエーテル‐ポリ尿素コポリマー、ポリエステル‐ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミドコポリマーなどのコポリマーなどの繊維を形成することができる合成ポリマーから形成することができる。繊維は、天然繊維(例えば、絹、羊毛、カシミア、ビクナ、綿、亜麻、麻、ジュート、サイザル)であり得る。レーヨン、リオセル、酢酸、トリアセテート、ゴム、ポリ(乳酸)などの再生天然ポリマーから人工繊維を作ることができる。
【0229】
繊維は、不定の長さを有することができる。例えば、人工繊維および合成繊維は、一般に、実質的に連続したストランドとして押し出される。あるいは、繊維は、ステープルファイバー(例えば、綿繊維または押出合成ポリマー繊維)であり得、比較的均一な長さのステープルファイバーを形成するために切断され得る。ステープルファイバは、約1ミリメートル~100センチメートル以上の長さ、ならびにその中の任意の増分(例えば、1ミリメートル増分)を有し得る。
【0230】
繊維は、様々な断面形状のいずれかを有することができる。天然繊維は、自然の断面を有することができ、または修正された断面形状を有することができる(例えば、シルケット加工などの処理を用いて)。人造または合成繊維を押し出して、所定の断面形状を有するストランドを提供することができる。繊維の断面形状は、その柔らかさ、光沢およびウィッキング能力などのその特性に影響を及ぼすことができる。繊維は、円形または実質的に円形の断面を有することができる。あるいは、繊維は、平坦、楕円形、八角形、長方形、くさび形、三角形、ドッグボーン、マルチローバル、マルチチャネル、中空、コア‐シェルまたは他の形状などの非丸形断面を有することができる。
【0231】
繊維は加工することができる。例えば、繊維の特性は、少なくとも部分的に、繊維の延伸(伸張)、繊維のアニーリング(硬化)および/または繊維のクリンプ加工またはテクスチャ加工などの処理によって影響を受けることがある。
【0232】
場合によっては、繊維は、2つ以上の共押出ポリマー材料を含むものなどの多成分繊維であってもよい。2つ以上の共同押出ポリマー材料は、コア‐シャース、島内‐海、分断パイ、ストリップまたはサイド・バイ・サイドの構成で押出することができる。多成分繊維は、例えば、犠牲材料を除去することによって、単一の繊維から複数のより小さい繊維(例えば、マイクロ繊維)を形成するために加工することができる。
【0233】
繊維は、台湾、高雄市のFormosa Plastics Corp.によって製造されたTARIFYLなどの炭素繊維(たとえば、12,000、24,000および48,000の繊維トウ、特に繊維タイプTC‐35およびTC‐35R)、ドイツ、ウィスバーデンのSGLグループ(例:50,000ファイバートウ)、韓国のソウルのHyosungによって製造された炭素繊維、日本の東京のToho Tenaxによって製造された炭素繊維、中国の浙江省のJushi Group Co.、LTDによって製造されたガラス繊維(たとえば、E6、318、シランベースのサイジング、フィラメント直径14、15、17、21および24マイクロメートル)およびドイツのボニングハイムのAmann Groupによって製造されたポリエステル繊維(たとえば、SERAFILE 200/2非潤滑ポリエステルフィラメントおよびSERAFILE COMPHIL 200/2潤滑ポリエステルフィラメント)であってもよい。
【0234】
複数の繊維は、2~100または1000以上の繊維を含む。複数の繊維は、トウ(tows)と呼ばれる繊維のストランドの束の形態またはスライバおよびロービングと呼ばれる比較的整列したステープル繊維の形態とすることができる。単一タイプの繊維は、2つ以上のタイプの繊維を混ぜ合わせることによって、単独で、または1つ以上の異なるタイプの繊維と組合せて使用することができる。共混合繊維の例としては、綿繊維を有するポリエステル繊維、炭素繊維を有するガラス繊維、芳香族ポリイミド(アラミド)繊維を有する炭素繊維およびガラス繊維を有する芳香族ポリイミド繊維が挙げられる。
【0235】
本明細書で使用される「ヤーン(yarn)」という用語は、1つまたは複数の繊維から形成されたアセンブリを指し、ストランドは、実質的な長さおよび比較的小さい断面を有し、織り、編み、クロッシング、編組、縫製、刺繍またはロープ製造技術を使用して作製された布を含む、手または機械による布の製造に使用するのに適している。糸(Thread)は、縫製に一般的に使用されるヤーンの一種である。
【0236】
ヤーンは、天然、人工および合成材料から形成された繊維を使用して製造することができる。合成繊維は、ステープルファイバーおよびフィラメントヤーンからスパンヤーン(spun yarn)を製造するために最も一般的に使用される。スパンヤーンは、ステープルファイバーを一緒に配置し、撚り合わせて、凝集性ストランドを作製することによって作製される。ステープルファイバーからヤーンを形成するプロセスは、典型的には、繊維をカーディングおよび延伸してスライバを形成するステップと、スライバを延伸および撚ってロービングを形成するステップとおよびロービングを紡糸してストランドを形成するステップを含む。より太いヤーンを作るために、複数のストランドをプライ(撚り合わせ)することができる。ステープルファイバーおよびプライの撚り方向は、ヤーンの最終特性に影響を及ぼし得る。フィラメントヤーンは、従来「モノフィラメントヤーン」と呼ばれている単一の長く実質的に連続したフィラメントまたは一緒にグループ化された複数の個々のフィラメントから形成することができる。フィラメントヤーンはまた、2つ以上の長く実質的に連続したフィラメントから形成され得、これらのフィラメントは、それらを撚るか、またはそれらを絡み合わせるか、またはその両方によって、フィラメントを一緒にグループ化することによって、一緒にグループ化される。ステープルヤーンと同様に、複数のストランドを組み合わせることで、より厚いヤーンを形成することができる。
【0237】
一旦形成されると、ヤーンは、テクスチャ加工、熱処理もしくは機械的処理または合成ポリマーなどの材料でのコーティングなどのさらなる処理を受けることができる。開示された物品に使用される繊維、ヤーン、もしくは布またはそれらの任意の組み合わせは、サイジングできる。サイジングされた繊維、ヤーンおよび/または布は、吸収または摩耗特性を変化させるために、または他の材料との相溶性のために選択されたサイジング組成物で、それらの表面の少なくとも一部がコーティングされる。サイジング組成物は、表面上のコーティングまたは樹脂のウェットアウトおよびウェットスルーを容易にし、最終物品において所望の物理的特性を達成するのを助ける。例示的なサイジング組成物は、例えば、エポキシポリマー、ウレタン変性エポキシポリマー、ポリエステルポリマー、フェノールポリマー、ポリアミドポリマー、ポリウレタンポリマー、ポリカーボネートポリマー、ポリエーテルイミドポリマー、ポリアミドイミドポリマー、ポリスチリルピリジンポリマー、ポリイミドポリマー、ビスマレイミドポリマー、ポリスルホンポリマー、ポリエーテルスルホンポリマー、エポキシ変性ウレタンポリマー、ポリビニルアルコールポリマー、ポリビニルピロリドンポリマーおよびそれらの混合物を含むことができる。
【0238】
2つ以上のヤーンを組合せて、例えば、単一または二重被覆ヤーンおよび二重構造ヤーン(corespun yarn)などの複合ヤーンを形成することができる。したがって、ヤーンは、本明細書で提供される説明に概して一致する様々な構成を有してもよい。
【0239】
ヤーンは、少なくとも1つの熱可塑性材料を含むことができる(例えば、1つ以上の繊維は、熱可塑性材料で作ることができる)。ヤーンは、熱可塑性材料で作ることができる。ヤーンは、熱可塑性材料などの材料の層でコーティングすることができる。
【0240】
ヤーンの単位長さ当たりの線形質量密度または重量は、デニール(D)およびテックスを含む様々な単位を使用して表すことができる。デニールは、9000メートルのヤーンのグラム単位の質量である。繊維の単一フィラメントの線質量密度は、フィラメント当たりのデニール(DPF)を用いて表すこともできる。テックス(Tex)は、1000メートルのヤーンのグラム単位の質量である。デシテックス(Decitex)は、鎖状質量の別の尺度であり、10,000メートルのヤーンに対するグラム単位の質量である。
【0241】
本明細書で使用されるように、靭性は、ヤーンを破断するのに必要な力(例えば、ポンド、グラム、センチニュートンまたは他の単位で表される)の量(すなわち、ヤーンの破断力または破断点)を、例えば、(歪みのない)デニール、デシテックスまたは単位長さ当たりの重量の何らかの他の尺度で表されるヤーンの線質量密度で割ったものを指すと理解される。ヤーンの破断力は、ヤーンのサンプルを、例えば、INSTRON製品試験システム(Norwood、MA、USA)のような歪みゲージロードセルを使用して、既知の量の力にかけることによって決定される。ヤーンの強力およびヤーンの破断力は、表面が破裂する前にどのくらいの圧力を布の表面に加えることができるかの尺度である、布の破裂強度または破裂強度とは異なる。
【0242】
一般に、ヤーンが工業用編機に加えられる力に耐えるために必要とされる最小強力は、デニール当たり約1.5グラムである。商品ポリマー材料から形成されるほとんどのヤーンは、一般に、約1.5グラム/デニール~約4グラム/デニールの範囲の強力を有する。例えば、フットウェア用のニットアップパーの製造に一般に使用されるポリエステルヤーンは、デニール当たり約2.5~約4グラムの範囲の強力を有する。高い靭性を有すると考えられる商品ポリマー材料から形成されたヤーンは、一般に、約5グラム/デニール~約10グラム/デニールの範囲の靭性を有する。例えば、National Spinning(Washington、NC、USA)から市販されているパッケージ染色ポリエチレンテレフタレートヤーンは、Denier当たり約6グラムの強力を有し、Far Eastern New Century(Taipei、Taiwan)から市販されている溶液染色ポリエチレンテレフタレートヤーンは、Denier当たり約7グラムの強力を有する。高性能ポリマー材料から形成されたヤーンは、一般に、約11グラム/デニール以上の強力を有する。例えば、アラミド繊維から形成されたヤーンは、典型的には、約20グラム/デニールの靭性を有し、30グラム/デニールを超える靭性を有する超ポリマー量ポリエチレン(UHMWPE)から形成されたヤーンは、Dyneema(Stanley、NC、USA)およびスペクトル(Honeywell‐Spectra、Colonial Heights、VA、USA)から入手可能である。
【0243】
布を形成するためにヤーンを機械的に操作するための様々な技術が存在する。そのような技術には、例えば、織り込み(interweaving)、絡み合い(intertwining)およびねじれ(twisting)、並びに織り合わせ(interlooping)が含まれる。織り込みは、互いに直角に交差し織り交ぜられる2本のヤーンの交点である。織り込みに利用されるヤーンは、従来、「縦糸(warp)」および「横糸(welt)」と呼ばれており、織布には、縦ヤーンおよび横ヤーンが含まれる。縦ヤーンは第1の方向に延在し、横糸ストランドは第1の方向に実質的に垂直な第2の方向に延在する。絡み合いおよびねじれは、布を形成するためにヤーンが互いに絡み合う、編組および結び目などの様々な手順を包含する。織り合わせは、織り合わせの最も一般的な方法である編成を伴う、かみ合ったループの複数の列の形成を伴う。布は、主として、上述のように、例えば、織り込み、織り合わせ、絡み合いとねじれおよび/または織り合わせプロセスによって機械的に操作される1つ以上のヤーンから形成されてもよい。
【0244】
布は、不織布(nonwoven textile)であってもよい。一般に、不織布または不織ファブリックは、互いに結合された繊維および/またはヤーンから作製されたシートまたはウェブ構造である。結合は、化学的および/または機械的結合とすることができ、加熱、溶媒、接着剤またはそれらの組み合わせを使用して形成することができる。例示的な不織ファブリックは、別個の繊維、溶融プラスチックおよび/またはプラスチックフィルムから直接製造される平坦なまたは房状の多孔質シートである。それらは、織りまたは編みによって製造されず、繊維の供給源としてヤーンを使用することができるが、必ずしも繊維をヤーンに変換することを必要としない。不織布は、典型的には、(抄紙機上の紙と同様の)シートまたはウェブの形態の小さな繊維を一緒にし、次いでそれらを機械的に(フェルトの場合のように、鋸歯状または棘付きの針でそれらをインターロックすることによって、または繊維間摩擦がより強いファブリックとなるように水流交絡することによって)、接着剤で、または熱的に(粉末、ペーストまたはポリマー溶融物の形態の)バインダーを適用し、温度を上昇させることによってウェブ上にバインダーを溶融することによって)結合することによって製造される。不織布は、主繊維(例えば、湿式繊維、エアレイド、カーディング/交差ラピングステップからの)または押出繊維(例えば、メルトブローンまたはスパンボンド法からの、またはその組合せからの)から作ることができるか、または、その組合せから作ることができる。不織布中の繊維の結合は、熱結合(カレンダー加工を伴うかまたは伴わない)、水流交絡、超音波結合、ニードルパンチング(ニードルフェルト)、化学結合(例えば、ラテックスエマルジョンまたは溶液ポリマーまたはバインダー繊維または粉末などのバインダーを使用する)、メルトブローン結合(例えば、繊維とウェブの同時形成中に空気減衰繊維が交絡するように繊維が結合される)を用いて達成することができる。
【0245】
ここで、本発明の実施形態を説明してきたが、本明細書に記載される様々な性質(property)および特徴(characteristics)の評価は、本明細書において以下に記載されるような様々な試験手順によるものである。
【0246】
溶融温度およびガラス転移温度の測定方法。
溶融温度およびガラス転移温度は、ASTM D3418-97に従って、市販の示差走査熱量計(「DSC」)を使用して決定される。簡潔に言えば、10~15グラムのサンプルをアルミニウムDSCパンに入れ、次いで鉛をクリンパープレスで密封した。DSCは、20℃/分の昇温速度で-100℃から225℃まで走査し、225℃で2分間保持し、次いで-10℃/分の速度で25℃まで冷却するように構成される。次いで、この走査から作成されたDSC曲線を標準的な技術を用いて分析して、ガラス転移温度および溶融温度を決定する。
【0247】
メルトフローインデックスを決定する方法。
メルトフローインデックスは、ASTM D1238‐13 Standard Test Method for Melt Flow Rates of Thermoplastics by Extrusion Plastometerで詳述されている試験方法に従って、その中に記載されている手順Aを用いて決定される。簡潔に言えば、メルトフローインデックスは、所定の温度および荷重でオリフィスを通る熱可塑性樹脂の押出速度を測定する。試験方法では、約7グラムの材料を、材料に指定された温度に加熱されたメルトフロー装置のバレルに装填する。材料に指定された重量がプランジャーに適用され、溶融した材料が金型を通過するように強制される。押出し時間を測定された押出物を集め、秤量する。溶融流量値はg/10分で計算される。
【0248】
本発明の様々な実施形態は、以下の各節セットにおいて説明される。各節セットにおいて、「配置」は「実施可能に配置」と置き換えることができる。
節セットA
第1節
物品のソールの少なくとも一部を形成し、第1の表面を有する構成部分と、
第1の面、および、第1の面と反対の第2の面を有する光学素子とを含み、
光学素子の第1の面、光学素子の第2の面またはその両方が、構成部分に構造色を付与し、
光学素子の第1の面または光学素子の第2の面は、構成部分の表面上に配置される、物品。
第2節
光学素子の第1の面または光学素子の第2の面が配置される構造の第1の面の少なくとも一部が、第1のポリマー材料を含む、
1節に記載の物品。
第3節
構造の第1の面が外面である、1節または2節に記載の物品。
第4節
フットウェア用品がさらにテクスチャ表面を含み、テクスチャ表面と光学素子の組合せが構造色を付与する、1~3節のいずれか1節に記載の物品。
第5節
テクスチャ表面がテクスチャ構造の一部である、1~4節のいずれか1節に記載の物品。
第6節
光学素子がテクスチャ表面を含む、1~5節のいずれか1節に記載の物品。
第7節
テクスチャ表面が光学素子の第1の面上にある、1~6節のいずれか1節に記載の物品。
第8節
テクスチャ表面が、複数のプロファイルフィーチャと、複数の平面領域を有する、1~7節のいずれか1節に記載の物品。
第9節
テクスチャ表面は、複数のプロファイルフィーチャと平坦領域を含み、プロファイルフィーチャはテクスチャ表面の平面領域上に延在する、1~8節のいずれか1節に記載の物品。
第10節
光学層と組み合わせた、プロファイルフィーチャの寸法、プロファイルフィーチャの形状、複数のプロファイルフィーチャの間隔が構造色を生成する、1~9節のいずれか1節に記載の物品。
第11節
プロファイルフィーチャが、少なくとも5平方ミリメートルの表面領域を有するテクスチャ表面の領域上で、相互にランダムな位置にある、1~10節のいずれか1節に記載の物品。
第12節
構造色を付与するときに、プロファイルフィーチャ間の距離が、互いに干渉することから生じるプロファイルフィーチャの歪曲効果を減少するように設定される、1~11節のいずれか1節に記載の物品。
第13節
プロファイルフィーチャおよび平面領域は、起伏のあるトポグラフィを有する、少なくとも1つの光学素子の光学層をもたらし、テクスチャ表面の平面領域と平面である、隣接する凹部および/または凸部の間の平面領域を有し、平面領域は、構造色を付与するためのプロファイルフィーチャに対する寸法を有する、
1~12節のいずれか1節に記載の物品。
第14節
光学素子が光学層を含む、1~13節のいずれか1節に記載の物品。
第15節
光学素子が多層反射材または多層フィルタを含む、1~14節のいずれか1節に記載の物品。
第16節
多層反射材が、屈折率が異なる少なくとも2つの隣接した層を含む、少なくとも2つの層を有する、1~15節のいずれか1節に記載の物品。
第17節
多層反射材の層の少なくとも1つが、光学素子に反射されて構造色を生成する可視光の波長の約1/4の厚みを有する、1~16節のいずれか1節に記載の物品。
第18節
多層反射材の層の少なくとも1つが、二酸化ケイ素、二酸化チタン、硫化亜鉛、フッ化マグネシウム、五酸化タンタル、およびこれらの組合せから成る群から選択される材料を含む、1~17節のいずれか1節に記載の物品。
第19節
物品上に配置される光学素子が、‐15°~+60°の間の3つの測定角で所定の照明条件下でCIE1976色空間に従って測定された場合、第1の観察角度における第1の測色の座標がL 、a およびb であり、第2の観察角度における第2の測色の座標がL 、a およびb であり、第3の観察角度における第3の測色の座標がL 、a およびb であり、ここで、L 、L およびL の値は同じであっても異なっていてもよく、a 、a およびa の座標値は、同じであっても異なっていてもよく、b 1 、b およびb の座標値は、同じであっても異なっていてもよく、組合されたa 、a およびa の値の範囲は、a が取り得る値の全スケールの約40%未満である、1~18節のいずれか1節に記載の物品。
第20節
組合されたa 、a およびa の値の範囲は、a が取り得る値の全スケールの約30%未満である、1~19節のいずれか1節に記載の物品。
第21節
組合されたa 、a およびa の値の範囲は、a が取り得る値の全スケールの約20%未満である、1~20節のいずれか1節に記載の物品。
第22節
組合されたa 、a およびa の値の範囲は、a が取り得る値の全スケールの約10%未満である、1~21節のいずれか1節に記載の物品。
第23節
光学素子を有する得られる物品が、‐15°~+60°の間の3つの測定角で所定の照明条件下でCIE1976色空間に従って測定された場合、第1の観察角度における第1の測色の座標がL 、a およびb であり、第2の観察角度における第2の測色の座標がL 、a およびb であり、第3の観察角度における第3の測色の座標がL 、a およびb であり、ここで、L 、L およびL の値は同じであっても異なっていてもよく、a 、a およびa の座標値は、同じであっても異なっていてもよく、b 1 、b およびb の座標値は、同じであっても異なっていてもよく、組み合わされたb 、b およびb の値の範囲は、b が取り得る値の全スケールの約40%未満である、1~22節のいずれか1節に記載の物品。
第24節
組み合わされたb 、b およびb の値の範囲は、b が取り得る値の全スケールの約30%未満である、1~23節のいずれか1節に記載の物品。
第25節
組み合わされたb 、b およびb の値の範囲は、b が取り得る値の全スケールの約20%未満である、1~24節のいずれか1節に記載の物品。
第26節
組み合わされたb 、b およびb の値の範囲は、b が取り得る値の全スケールの約10%未満である、1~25節のいずれか1節に記載の物品。
第27節
光学素子を有する得られる物品が、‐15°~+60°の間の2つの測定角で所定の照明条件下でCIE1976色空間に従って測定された場合、第1の観察角度における第1の測色の座標がL 、a およびb であり、第2の観察角度における第2の測色の座標がL 、a およびb であり、ここで、L およびL の値は同じであっても異なっていてもよく、a およびa の座標値は、同じであっても異なっていてもよく、b 1 およびb の座標値は、同じであっても異なっていてもよく、第1の測色と第2の測色の間のΔE abは、100以下であり、ここで、ΔE ab=[(L 1 ‐L 2 2 +(a 1 ‐a 2 2 +(b 1 * ‐b 2 2 1/2 である、1~26節のいずれか1節に記載の物品。
第28節
第1の測色と第2の測色の間のΔE abは、80以下である、1~27節のいずれか1節に記載の物品。
第29節
第1の測色と第2の測色の間のΔE abは、60以下である、1~28節のいずれか1節に記載の物品。
第30節
光学素子を有する得られた物品が、‐15°~+60°の間の3つの測定角で所定の照明条件下でCIELCH色空間に従って測定された場合、第1の観察角度における第1の測色の座標がL 、C およびh °であり、第2の観察角度における第2の測色の座標がL 2 、C 2 およびh 2 °であり、第3の観察角度における第3の測色の座標がL 3 、C 3 およびh 3 °であり、ここで、L 、L およびL の値は同じであっても異なっていてもよく、C 、C およびC の座標値は、同じであっても異なっていてもよく、h 1 °、h 2 °およびh 3 °の座標値は、同じであっても異なっていてもよく、組み合わされたh 1 °、h 2 °およびh 3 °の値の範囲は、約60°未満である、1~29節のいずれか1節に記載の物品。
第31節
組み合わされたh 1 °、h 2 °およびh 3 °の値の範囲は、約50°未満である、1~30節のいずれか1節に記載の物品。
第32節
組み合わされたh 1 °、h 2 °およびh 3 °の値の範囲は、約40°未満である、1~31節のいずれか1節に記載の物品。
第33節
組み合わされたh 1 °、h 2 °およびh 3 °の値の範囲は、約30°未満である、1~32節のいずれか1節に記載の物品。
第34節
組み合わされたh 1 °、h 2 °およびh 3 °の値の範囲は、約35°未満である、1~33節のいずれか1節に記載の物品。
第35節
組み合わされたh 1 °、h 2 °およびh 3 °の値の範囲は、約20°未満である、1~34節のいずれか1節に記載の物品。
第36節
プライマー層が、テクスチャ表面上に配置される、1~35節のいずれか1節に記載の物品。
第37節
光学素子が、プライマー層に隣接する構造体上に配置される、1~36節のいずれか1節に記載の物品。
第38節
プライマー層、テクスチャ表面またはその両方が、光学素子と第1のポリマー材料の間に配置した状態で光学素子が物品の面の第1のポリマー材料上に配置される、1~37節のいずれか1節に記載の物品。
第39節
プライマー層はテクスチャ表面を含み、プライマー層のテクスチャ表面、プライマー層および光学層が構造色を付与する、1~38節のいずれか1節に記載の物品。
第40節
プライマー層が、デジタル印刷、オフセット印刷、パッド印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、熱転写印刷から形成される、1~39節のいずれか1節に記載の物品。
第41節
プライマー層が、塗料を含む、1~40節のいずれか1節に記載の物品。
第42節
プライマー層が、インクを含む、1~41節のいずれか1節に記載の物品。
第43節
プライマー層が、再粉砕(reground:再生リグラインド材料)および少なくとも部分的に分解されたポリマー層を含む、1~42節のいずれか1節に記載の物品。
第44節
プライマー層が、酸化物層である、1~43節のいずれか1節に記載の物品。
第45節
酸化物層が、金属酸化物または酸窒化物である、1~44節のいずれか1節に記載の物品。
第46節
金属酸化物または金属酸窒化物がドープされた、1~45節のいずれか1節に記載の物品。
第47節
プライマー層はコーティングであり、コーティングは架橋ポリマーのマトリックスを含む架橋コーティングである、1~46節のいずれか1節に記載の物品。
第48節
コーティングが、架橋ポリマーのマトリックス中に捕捉された複数の固体顔料粒子を含む、1~47節のいずれか1節に記載の物品。
第49節
架橋ポリマーのマトリックスが、架橋エラストマーポリマーを含む、1~48節のいずれか1節に記載の物品。
第50節
架橋エラストマーポリマーは、架橋ポリウレタンホモポリマーまたはコポリマーまたはその両方を含む、1~49節のいずれか1節に記載の物品。
第51節
架橋ポリウレタンコポリマーは、架橋ポリエステルポリウレタンを含む、1~50節のいずれか1節に記載の物品。
第52節
固体顔料粒子が存在するとき、固体顔料粒子は、金属および金属酸化物、炭素顔料、粘土土類顔料、ウルトラマリン顔料およびその組合せからなる群から選ばれる、1~51節のいずれか1節に記載の物品。
第53節
コーティングが、さらに染料を含む、1~52節のいずれか1節に記載の物品。
第54節
染料が存在するとき、染料が酸性染料である、1~53節のいずれか1節に記載の物品。
第55節
コーティングがさらに第四級アンモニウム化合物を含む、1~54節のいずれか1節に記載の物品。
第56節
第四級アンモニウム化合物がテトラブチルアンモニウム化合物である、1~55節のいずれか1節に記載の物品。
第57節
テトラブチルアンモニウム化合物がハロゲン化テトラブチルアンモニウムである、1~56節のいずれか1節に記載の物品。
第58節
ポリマーコーティング組成物が存在するとき、1~15重量パーセントの第四級アンモニウム化合物を含む、1~57節のいずれか1節に記載の物品。
第59節
第四級アンモニウム化合物に対する酸性染料のモル比が、約3:1~1:3である、1~58節のいずれか1節に記載の物品。
第60節
第四級アンモニウム化合物に対する酸性染料のモル比が、約1.5:1~1:1.5である、1~59節のいずれか1節に記載の物品。
第61節
コーティングの架橋ポリマーのマトリックスが、ポリウレタンポリマーを含む、1~60節のいずれか1節に記載の物品。
第62節
ポリウレタンポリマーが、熱可塑性ポリウレタンポリマーを含む、1~61節のいずれか1節に記載の物品。
第63節
ポリウレタンポリマーが、エラストマーポリウレタンポリマーを含む、1~62節のいずれか1節に記載の物品。
第64節
ポリウレタンポリマーが、ポリエステルポリウレタンコポリマーを含む、1~63節のいずれか1節に記載の物品。
第65節
ポリウレタンポリマーが、ポリエステルポリウレタンコポリマーから実質的になる、1~64節のいずれか1節に記載の物品。
第66節
プライマー層が、3~200ナノメートルの厚さを有する、1~65節のいずれか1節に記載の物品。
第67節
プライマー層が、黒、暗い褐色、暗い赤、暗い橙、暗い黄、暗い緑、暗いシアン、暗い青、暗いバイオレット、グレー、暗いマゼンタ、暗いインディゴ、それらのトーン(tones)、それらのティント(tints)、それらのシェイド(shade)およびそれらの組合せからなる群から選ばれる色を有する、1~66節のいずれか1節に記載の物品。
第68節
プライマー層の色が、19~22節の基準の構造色の色とは異なる、1~67節のいずれか1節に記載の物品。
第69節
第1のポリマー材料が、熱可塑性材料である、1~68節のいずれか1節に記載の物品。
第70節
熱可塑性材料が、エラストマー熱可塑性材料を含む、1~69節のいずれか1節に記載の物品。
第71節
熱可塑性材料が、1つまたは複数の熱可塑性ポリウレタンを含む、1~70節のいずれか1節に記載の物品。
第72節
エラストマー熱可塑性材料が、1つまたは複数の、熱可塑性ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンまたはその組合せを含む、1~71節のいずれか1節に記載の物品。
第73節
エラストマー熱可塑性材料が、1つまたは複数の熱可塑性ポリウレタンを含む、1~72節のいずれか1節に記載の物品。
第74節
エラストマー熱可塑性材料が、ポリエステルポリウレタンコポリマーを含む、1~73節のいずれか1節に記載の物品。
第75節
第1のポリマー材料が、熱硬化性材料である、1~74節のいずれか1節に記載の物品。
第76節
構造が布を含み、布の少なくとも外層は第1のポリマー材料を含む、1~75節のいずれか1節に記載の物品。
第77節
布は不織布である、1~76節のいずれか1節に記載の物品。
第78節
布は不織合成皮革である、1~77節のいずれか1節に記載の物品。
第79節
布は織布である、1~78節のいずれか1節に記載の物品。
第80節
布はニット布である、1~79節のいずれか1節に記載の物品。
第81節
布は第1の繊維または第1のヤーンを含む、1~80節のいずれか1節に記載の物品。
第82節
第1の繊維または第1のヤーンは、第1の熱可塑性材料で形成された外層を少なくとも含む、1~81節のいずれか1節に記載の物品。
第83節
光学素子が配置される、構造の第1または第2の面の領域は、非フィラメント構造の第1の繊維または第1のヤーンを含む、1~82節のいずれか1節に記載の物品。
第84節
構造はフィルムを含み、フィルムの少なくとも外層は第1のポリマー材料を含む、1~83節に記載の物品。
第85節
フィルムは多層フィルムである、1~84節のいずれか1節に記載の物品。
第86節
20ミルの平均フィルム厚に対して、15cm 3 /m 2 ・atm・day以下の窒素ガスに対するガス透過率を有する、1~85節のいずれか1節に記載の物品。
第87節
構造は発泡体を含み、発泡体の少なくとも外層は第1のポリマー材料を含む、1~86節のいずれか1節に記載の物品。
第88節
構造は固体樹脂により形成された構成部分を含み、構成部分の少なくとも外層は、第1のポリマー材料を含む、1~87節のいずれか1節に記載の物品。
第89節
固体樹脂により形成された構成部分は、成型構成部分である、1~88節のいずれか1節に記載の物品。
第90節
構造は付加製造(additive manufactured)構成部分を含み、構成部分の少なくとも外層は第1のポリマー材料を含む、1~89節のいずれか1節に記載の物品。
第91節
構造はブラダを含み、ブラダの少なくとも外層は第1のポリマー材料を含む、1~90節のいずれか1節に記載の物品。
第92節
ブラダはテクスチャ表面を含み、テクスチャ表面はブラダの外面上または内面上に配置される、1~91節のいずれか1節に記載の物品。
第93節
光学素子の第2の面は、ブラダの内面上に配置される、1~92節のいずれか1節に記載の物品。
第94節
テクスチャ表面は、ブラダの外面上に配置される、1~93節のいずれか1節に記載の物品。
第95節
プライマー層は光学素子の第2の面上に配置され、光学素子の第1の面はブラダの内面上に配置される、1~94節のいずれか1節に記載の物品。
第96節
プライマー層、テクスチャ表面またはその両方が、光学素子とブラダの外面との間に配置した状態で、プライマー層はブラダの外面上に配置され、光学素子はブラダの外面上に配置され、第1の面はブラダの内面上に配置される、1~95節のいずれか1節に記載の物品。
第97節
構造は、アッパーである、1~96節のいずれか1節に記載の物品。
第98節
構造は、ソールである、1~97節のいずれか1節に記載の物品。
第99節
構造は、ソールの緩衝素子である、1~98節のいずれか1節に記載の物品。
第100節
構造は、ソールのブラダである、1~99節のいずれか1節に記載の物品。
第101節
構造色が、物品から約1メートルの距離から、20/20の正常視力および正常な色覚を有する観察者に視認できる、1~100節に記載の物品。
第102節
構造色が単一色相を有する、1~101節に記載の物品。
第103節
構造色が、2以上の色相を有する、1~102節に記載の物品。
第104節
構造色が、玉虫調である、1~103節に記載の物品。
第105節
構造色が、限られた玉虫調(limited iridescence)を有する、1~104節に記載の物品。
第106節
構造色が、各観察可能な角度から視認できる各色を、赤黄青(RYB)カラーホイール上の原色、二次色および三次色からなる群から選択される単一色相に割り当てた場合、割り当てられた色相の全てが、単一色相群に属し、単一色相群はa)緑‐黄、黄および黄‐橙、b)黄、黄‐橙および橙、c)黄‐橙、橙および橙‐赤、d)橙‐赤および赤‐紫、e)赤、赤‐紫および紫、f)赤‐紫、紫および紫‐青、g)紫、紫‐青および青、h)紫‐青、青および青‐緑、i)青、青‐緑、緑、j)青‐緑、緑および緑‐黄、のうちの1つであるような限定された玉虫調を有する、1~105節に記載の物品。
第107節
限られた玉虫調を有する構造色が、緑-黄、黄、黄-橙の色相または、紫-青、青、青-緑の色相または、橙-赤、赤、赤-紫の色相または、青-緑、緑、緑-黄の色相または、黄-橙、橙、橙-赤の色相または、赤-紫、紫、紫-青の色相の2つまたは3つに限定される、1~106節に記載の物品。
第108節
プライマー層が、実質的に金属酸化物、任意で二酸化チタンまたは二酸化ケイ素からなり、任意で実質的に二酸化チタンからなる、1~107節のいずれか1節に記載の物品。
第109節
プライマー層が、実質的に、ドープ金属酸化物またはドープ金属酸窒化物またはその両方からなる、1~108節のいずれか1節に記載の物品。
第110節
プライマー層が、約1~約200マイクロメートルまたは任意で約10~約100マイクロメートルまたは任意で約10~約80マイクロメートルの厚さを有する、1~109節のいずれか1節に記載の物品。

節セットB
第1節
フットウェア用品のアッパーまたはソールの少なくとも一部を形成し、第1の面を有する構成部分と、
第1の面、および、第1の面と反対の第2の面を有する光学素子とを含み、
光学素子の第1の面、光学素子の第2の面またはその両方が構造色を付与し、
光学素子の第1の面または光学素子の第2の面は、構造体の第1の面上に配置される、フットウェア用品。
第2節
光学素子の第1の面または光学素子の第2の面が配置される構造の第1の面の少なくとも一部は第1のポリマー材料を含み、
任意にプライマー層、任意にテクスチャ表面または任意にその両方を、光学素子と第1のポリマー材料の表面との間に配置した状態で、
光学素子は第1のポリマー材料に配置される、
節セットAの1~110節または節セットBの1節のいずれか1節に記載の物品。
第3節
テクスチャ表面は複数のプロファイルフィーチャと平坦領域を含み、プロファイルフィーチャは、テクスチャ表面の平面領域上に延在し、プロファイルフィーチャと平面領域は、起伏のあるトポグラフィを有する、少なくとも1つの光学素子の層をもたらし、テクスチャ表面の平面領域と平面である、隣接する凸領域または凹領域との間の平面領域があり、プロファイルフィーチャの寸法、プロファイルフィーチャの形状および複数のプロファイルフィーチャ間の間隔は、光学素子と組み合わせて構造色を付与する、節セットAの1~110節または節セットBの1または2節のいずれか1節に記載の物品。
第4節
光学素子は少なくとも1つの光学層を含み、光学素子の少なくとも1つの層が、光学素子に反射されて構造色を生成する可視光の波長の約1/4の厚みを有する、節セットAの1~110節または節セットBの1~3節のいずれか1節に記載の物品。
第5節
構造上に配置される光学素子が、‐15°~+60°の間の3つの測定角で所定の照明条件下でCIE1976色空間に従って測定された場合、第1の観察角度における第1の測色の座標がL 1 * 、a 1 * およびb 1 * であり、第2の観察角度における第2の測色の座標がL 2 * 、a 2 * およびb 2 * であり、第3の観察角度における第3の測色の座標がL 3 * 、a 3 * およびb 3 * であり、ここで、L 1 * 、L 2 * およびL 3 * の値は同じであっても異なっていてもよく、a 1 * 、a 2 * およびa 3 * の座標値は、同じであっても異なっていてもよく、b 1 * 、b 2 * およびb 3 * の座標値は、同じであっても異なっていてもよく、組合されたa 1 * 、a 2 * およびa 3 * の値の範囲は、a * が取り得る値の全スケールの約40%未満である、節セットAの1~110節または節セットBの1~4節のいずれか1節に記載の物品。
第6節
構造が、不織布、織布、ニット布または合成皮革から選ばれる布を含み、布の少なくとも外層は第1のポリマー材料を含む、節セットAの1~110節または節セットBの1~5節のいずれか1節に記載の物品。
第7節
構造がフィルムを含み、フィルムの少なくとも外層は第1のポリマー材料を含み、フィルムは20ミルの平均フィルム厚に対して、15cm 3 /m 2 ・atm・day以下の窒素ガスに対するガス透過率を有し、任意にフィルムは多層フィルムである、節セットAの1~110節または節セットBの1~6節のいずれか1節に記載の物品。
第8節
構造がブラダを含み、ブラダの少なくとも外層は第1のポリマー材料を含み、任意にブラダはテクスチャ表面を含み、その場合、任意のテクスチャ表面はブラダの外面または内面上に配置される、節セットAの1~110節または節セットBの1~7節のいずれか1節に記載の物品。
第9節
任意にプライマー層、テクスチャ表面またはその両方が光学素子の第2の面上に配置した状態で、光学素子の第1の面がブラダの内面上に配置され、または任意にプライマー層、任意のテクスチャ表面またはその両方が光学素子とブラダの外面との間に配置した状態で、光学素子がブラダの外面上に配置される、節セットAの1~110節または節セットBの1~8節のいずれか1節に記載の物品。
第10節
構造がアッパーまたはソールまたは、アッパーとソールの両方の組合せであり、構造が任意にソールであるとき、構造は任意に緩衝素子であり、任意の緩衝素子は任意に発泡ミッドソールまたはブラダまたは発泡ミッドソールとブラダの両方である、節セットAの1~110節または節セットBの1~9節のいずれか1節に記載の物品。

節セットC
第1節
フットウェア用品のアッパーまたはソールの少なくとも一部を形成し、第1の面を有する構造体と、第1の面と、第1の面と反対の第2の面を有すし、光学素子の第1の面、光学素子の第2の面またはその両方が構造色を付与する光学素子と、を含むフットウェア用品を提供するステップと、
光学素子の第1の面または光学素子の第2の面を構造体の第1の面上に配置するステップとを含む、
フットウェア用品の製造方法。
第2節
光学素子の第1の面が配置されまたは光学素子の第2の面が配置される構造の少なくとも一部が、第1のポリマー材料を含む、
1節に記載の方法。
第3節
構造の第1の面が、外面である、1節または2節に記載の方法。
第4節
構造または光学素子の第1の面、またはその両方が、さらにテクスチャ表面を含み、テクスチャ表面と光学素子の組合せが構造色を付与する、1~3節のいずれか1節に記載の方法。
第5節
テクスチャ表面がテクスチャ表面の一部である、1~4節のいずれか1節に記載の方法。
第6節
光学素子がテクスチャ表面を含む、1~5節のいずれか1節に記載の方法。
第7節
テクスチャ表面が光学素子の第1の面上にある、1~6節のいずれか1節に記載の方法。
第8節
テクスチャ表面が、複数のプロファイルフィーチャと、複数の平面領域を有する、1~7節のいずれか1節に記載の方法。
第9節
テクスチャ表面は、複数のプロファイルフィーチャと平坦領域を含み、プロファイルフィーチャはテクスチャ表面の平面領域上に延在する、1~8節のいずれか1節に記載の方法。
第10節
光学素子と組み合わせた、プロファイルフィーチャの寸法、プロファイルフィーチャの形状および複数のプロファイルフィーチャの間隔が構造色を生成する、1~9節のいずれか1節に記載の方法。
第11節
少なくとも5平方ミリメートルの表面領域を有するテクスチャ表面の領域上で、プロファイルフィーチャが相互にランダムな位置にある、1~10節のいずれか1節に記載の方法。
第12節
構造色を付与するときに、プロファイルフィーチャ間の距離が、互いに干渉することから生じるプロファイルフィーチャの歪曲効果を減少する、1~11節のいずれか1節に記載の方法。
第13節
プロファイルフィーチャおよび平面領域は、テクスチャ表面に渡って起伏のあるトポグラフィを有する、少なくとも1つの光学層の層をもたらし、テクスチャ表面の平面領域と平面である、隣接するプロファイルフィーチャの間の平面領域を有し、平面領域は、構造色を付与するためのプロファイルフィーチャに対する寸法を有する、
1~12節のいずれか1節に記載の方法。
第14節
光学素子が光学層を含む、1~13節のいずれか1節に記載の方法。
第15節
光学素子が光学層を含み、光学素子が多層反射材または多層フィルタを含む、1~14節のいずれか1節に記載の方法。
第16節
多層反射材が、屈折率が異なる少なくとも2つの隣接した層を含む、少なくとも2つの層を有する、1~15節のいずれか1節に記載の方法。
第17節
多層反射材の層の少なくとも1つが、光学素子に反射されて構造色を生成する可視光の波長の約1/4の厚みを有する、1~16節のいずれか1節に記載の方法。
第18節
多層反射材の層の少なくとも1つが、二酸化ケイ素、二酸化チタン、硫化亜鉛、フッ化マグネシウム、五酸化タンタル、およびこれらの組合せから成る群から選択される材料を含む、1~17節のいずれか1節に記載の方法。
第19節
物品上に配置される光学素子が、‐15°~+60°の間の3つの測定角で所定の照明条件下でCIE1976色空間に従って測定された場合、第1の観察角度における第1の測色の座標がL 、a およびb であり、第2の観察角度における第2の測色の座標がL 、a およびb であり、第3の観察角度における第3の測色の座標がL 、a およびb であり、ここで、L 、L およびL の値は同じであっても異なっていてもよく、a 、a およびa の座標値は、同じであっても異なっていてもよく、b 1 、b およびb の座標値は、同じであっても異なっていてもよく、組合されたa 、a およびa の値の範囲は、a が取り得る値の全スケールの約40%未満である、1~18節のいずれか1節に記載の方法。
第20節
組合されたa 、a およびa の値の範囲は、a が取り得る値の全スケールの約30%未満である、1~19節のいずれか1節に記載の方法。
第21節
組合されたa 、a およびa の値の範囲は、a が取り得る値の全スケールの約20%未満である、1~20節のいずれか1節に記載の方法。
第22節
組合されたa 、a およびa の値の範囲は、a が取り得る値の全スケールの約25%未満である、1~21節のいずれか1節に記載の方法。
第23節
組合されたa 、a およびa の値の範囲は、a が取り得る値の全スケールの約10%未満である、1~22節のいずれか1節に記載の方法。
第24節
光学素子を有する得られる物品が、‐15°~+60°の間の3つの測定角で所定の照明条件下でCIE1976色空間に従って測定された場合、第1の観察角度における第1の測色の座標がL 、a およびb であり、第2の観察角度における第2の測色の座標がL 、a およびb であり、第3の観察角度における第3の測色の座標がL 、a およびb であり、ここで、L 、L およびL の値は同じであっても異なっていてもよく、a 、a およびa の座標値は、同じであっても異なっていてもよく、b 1 、b およびb の座標値は、同じであっても異なっていてもよく、組み合わされたb 、b およびb の値の範囲は、b が取り得る値の全スケールの約40%未満である、1~23節のいずれか1節に記載の方法。
第25節
組み合わされたb 、b およびb の値の範囲は、b が取り得る値の全スケールの約30%未満である、1~24節のいずれか1節に記載の方法。
第26節
組み合わされたb 、b およびb の値の範囲は、b が取り得る値の全スケールの約20%未満である、1~25節のいずれか1節に記載の方法。
第27節
組み合わされたb 、b およびb の値の範囲は、b が取り得る値の全スケールの約10%未満である、1~26節のいずれか1節に記載の方法。
第28節
光学素子を有する得られる物品が、‐15°~+60°の間の2つの測定角で所定の照明条件下でCIE1976色空間に従って測定された場合、第1の観察角度における第1の測色の座標がL 、a およびb であり、第2の観察角度における第2の測色の座標がL 、a およびb であり、ここで、L およびL の値は同じであっても異なっていてもよく、a およびa の座標値は、同じであっても異なっていてもよく、b 1 およびb の座標値は、同じであっても異なっていてもよく、第1の測色と第2の測色の間のΔE abは、100以下であり、ここで、ΔE ab=[(L 1 ‐L 2 2 +(a 1 ‐a 2 2 +(b 1 * ‐b 2 2 1/2 である、1~27節のいずれか1節に記載の方法。
第29節
第1の測色と第2の測色の間のΔE abは、80以下である、1~28節のいずれか1節に記載の方法。
第30節
第1の測色と第2の測色の間のΔE abは、60以下である、1~29節のいずれか1節に記載の方法。
第31節
光学素子を有する得られた物品が、‐15°~+60°の間の3つの測定角で所定の照明条件下でCIELCH色空間に従って測定された場合、第1の観察角度における第1の測色の座標がL 、C およびh °であり、第2の観察角度における第2の測色の座標がL 2 、C 2 およびh 2 °であり、第3の観察角度における第3の測色の座標がL 3 、C 3 およびh 3 °であり、ここで、L 、L およびL の値は同じであっても異なっていてもよく、C 、C およびC の座標値は、同じであっても異なっていてもよく、h 1 °、h 2 °およびh 3 °の座標値は、同じであっても異なっていてもよく、組み合わされたh 1 °、h 2 °およびh 3 °の値の範囲は、約60°未満である、1~30節のいずれか1節に記載の方法。
第32節
組み合わされたh 1 °、h 2 °およびh 3 °の値の範囲は、約50°未満である、1~31節のいずれか1節に記載の方法。
第33節
組み合わされたh 1 °、h 2 °およびh 3 °の値の範囲は、約40°未満である、1~32節のいずれか1節に記載の方法。
第34節
組み合わされたh 1 °、h 2 °およびh 3 °の値の範囲は、約30°未満である、1~33節のいずれか1節に記載の方法。
第35節
組み合わされたh 1 °、h 2 °およびh 3 °の値の範囲は、約20°未満である、1~34節のいずれか1節に記載の方法。
第36節
プライマー層が、テクスチャ表面上に配置される、1~35節のいずれか1節に記載の方法。
第37節
テクスチャ表面が存在し、プライマー層がテクスチャ表面と光学素子との間に配置される、1~36節のいずれか1節に記載の方法。
第38節
プライマー層、テクスチャ表面またはその両方が、光学素子と第1のポリマー材料との間に配置した状態で、光学素子が構造の第1の面の第1のポリマー材料上に配置される、1~37節のいずれか1節に記載の方法。
第39節
プライマー層はテクスチャ表面を含み、プライマー層のテクスチャ表面、プライマー層および光学素子の組合せが構造色を付与する、1~38節のいずれか1節に記載の方法。
第40節
プライマー層が、デジタル印刷プライマー層、オフセット印刷プライマー層、パッド印刷プライマー層、スクリーン印刷プライマー層、フレキソ印刷プライマー層、熱転写印刷プライマー層である、1~39節のいずれか1節に記載の方法。
第41節
プライマー層が、塗料を含む、1~40節のいずれか1節に記載の方法。
第42節
プライマー層が、インクを含む、1~41節のいずれか1節に記載の方法。
第43節
プライマー層が、再粉砕(reground:再生リグラインド材料)および少なくとも部分的に分解されたポリマー層を含む、1~42節のいずれか1節に記載の方法。
第44節
プライマー層が、酸化物層である、1~43節のいずれか1節に記載の方法。
第45節
酸化物層が、金属酸化物または酸窒化物である、1~44節のいずれか1節に記載の方法。
第46節
金属酸化物または金属酸窒化物がドープされた、1~45節のいずれか1節に記載の方法。
第47節
プライマー層はコーティングであり、そしてコーティングは架橋ポリマーのマトリックスを含む架橋コーティングである、1~46節のいずれか1節に記載の方法。
第48節
コーティングが、架橋ポリマーのマトリックス中に捕捉された複数の固体顔料粒子を含む、1~47節のいずれか1節に記載の方法。
第49節
架橋ポリマーのマトリックスが、架橋エラストマーポリマーを含む、1~48節のいずれか1節に記載の方法。
第50節
架橋エラストマーポリマーは、架橋ポリウレタンホモポリマーまたはコポリマーまたはその両方を含む、1~49節のいずれか1節に記載の方法。
第51節
架橋ポリウレタンコポリマーは、架橋ポリエステルポリウレタンを含む、1~50節のいずれか1節に記載の方法。
第52節
プライマー層はコーティングであり、コーティングはポリマーコーティング組成物の架橋体であり、ポリマーコーティング組成物はポリマー分散体を含む、1~51節のいずれか1節に記載の方法。
第53節
ポリマー分散体は、水性ポリマー分散体である、1~52節のいずれか1節に記載の方法。
第54節
ポリマーコーティング組成物は、さらに架橋剤を含む、1~53節のいずれか1節に記載の方法。
第55節
架橋剤が、水性架橋剤である、1~54節のいずれか1節に記載の方法。
第56節
ポリマーコーティング組成物が、さらにポリマー分散体と混合された複数の固体顔料粒子を含む、1~55節のいずれか1節に記載の方法。
第57節
ポリマーコーティング組成物が、さらに可溶化染料を含む、1~56節のいずれか1節に記載の方法。
第58節
ポリマーコーティング組成物が、さらに有機溶媒を含む、1~57節のいずれか1節に記載の方法。
第59節
有機溶媒が、水混和性有機溶媒である、1~58節のいずれか1節に記載の方法。
第60節
固体顔料粒子が存在するとき、固体顔料粒子は、金属および金属酸化物、炭素顔料、粘土土類顔料、ウルトラマリン顔料およびその組合せからなる群から選ばれる、1~59節のいずれか1節に記載の方法。
第61節
コーティングが、さらに染料を含む、1~60節のいずれか1節に記載の方法。
第62節
染料が存在するとき、染料が酸性染料である、1~61節のいずれか1節に記載の方法。
第63節
コーティングがさらに第四級アンモニウム化合物を含む、1~62節のいずれか1節に記載の方法。
第64節
第四級アンモニウム化合物がテトラブチルアンモニウム化合物である、1~63節のいずれか1節に記載の方法。
第65節
テトラブチルアンモニウム化合物がハロゲン化テトラブチルアンモニウムである、1~64節のいずれか1節に記載の方法。
第66節
ポリマーコーティング組成物が存在するとき、1~15重量パーセントの第四級アンモニウム化合物を含む、1~65節のいずれか1節に記載の方法。
第67節
第四級アンモニウム化合物に対する酸性染料のモル比が、約3:1~1:3である、1~66節のいずれか1節に記載の方法。
第68節
第四級アンモニウム化合物に対する酸性染料のモル比が、約1.5:1~1:1.5である、1~67節のいずれか1節に記載の方法。
第69節
コーティングの架橋ポリマーのマトリックスが、ポリウレタンポリマーを含む、1~68節のいずれか1節に記載の方法。
第70節
ポリウレタンポリマーが、熱可塑性ポリウレタンポリマーを含む、1~69節のいずれか1節に記載の方法。
第71節
ポリウレタンポリマーが、エラストマーポリウレタンポリマーを含む、1~62節のいずれか1節に記載の方法。
第72節
ポリウレタンポリマーが、ポリエステルポリウレタンコポリマーを含む、1~70節のいずれか1節に記載の方法。
第73節
ポリウレタンポリマーが、ポリエステルポリウレタンコポリマーから実質的になる、1~72節のいずれか1節に記載の方法。
第74節
プライマー層が、3~200ナノメートルの厚さを有する、1~73節のいずれか1節に記載の方法。
第75節
プライマー層が、黒、暗い褐色、暗い赤、暗い橙、暗い黄、暗い緑、暗いシアン、暗い青、暗いバイオレット、グレー、暗いマゼンタ、暗いインディゴ、それらのトーン(tones)、それらのティント(tints)、それらのシェイド(shade)およびそれらの組合せからなる群から選ばれる色を有する、1~74節のいずれか1節に記載の方法。
第76節
プライマー層の色が、構造色の色と異なる、1~75節のいずれか1節に記載の方法。
第77節
プライマー層の色が、19~22節の基準の構造色の色とは異なる、1~76節のいずれか1節に記載の方法。
第78節
第1のポリマー材料が、少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含む、熱可塑性材料である、1~77節のいずれか1節に記載の方法。
第79節
熱可塑性材料が、エラストマー熱可塑性材料である、1~69節のいずれか1節に記載の方法。
第80節
熱可塑性材料が、1つまたは複数の熱可塑性ポリウレタンを含む、1~79節のいずれか1節に記載の方法。
第81節
熱可塑性材料が、1つまたは複数の熱可塑性ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンまたはその組合せを含む、1~80節のいずれか1節に記載の方法。
第82節
熱可塑性材料が、ポリエステルポリウレタンコポリマーを含む、1~81節に記載の方法。
第83節
第1のポリマー材料が、少なくとも1つの熱硬化性ポリマーを含む熱硬化性材料を含む、1~82節に記載の方法。
第84節
構造の第1の面が布を含み、布の少なくとも外層は第1のポリマー材料を含む、1~83節に記載の方法。
第85節
布は不織布である、1~84節に記載の方法。
第86節
不織布は不織合成皮革である、1~85節に記載の方法。
第87節
布は織布である、1~86節に記載の方法。
第88節
布はニット布である、1~87節に記載の方法。
第89節
布は第1の繊維または第1のヤーンを含む、1~88節に記載の方法。
第90節
第1の繊維または第1のヤーンは、第1の熱可塑性材料で形成された外層を少なくとも含む、1~89節に記載の方法。
第91節
光学素子が配置される、構造の第1の面の領域は、非フィラメント構造の第1の繊維または第1のヤーンを含む、1~90節に記載の方法。
第92節
構造の第1の面はフィルムを含み、フィルムの少なくとも外層は第1のポリマー材料を含む、1~91節に記載の方法。
第93節
フィルムは多層フィルムである、1~92節に記載の方法。
第94節
20ミルの平均フィルム厚に対して、15cm 3 /m 2 ・atm・day以下の窒素ガスに対するガス透過率を有する、1~93節に記載の方法。
第95節
構造の第1の面は発泡体を含み、発泡体の少なくとも外層は第1のポリマー材料を含む、1~94節に記載の方法。
第96節
構造の第1の面は固体樹脂により形成された構成部分を含み、構成部分の少なくとも外層は、第1のポリマー材料を含む、1~95節に記載の方法。
第97節
固体樹脂により形成された構成部分は、成型構成部分である、1~96節に記載の方法。
第98節
構造の第1の面は付加製造(additive manufactured)構成部分を含み、構成部分の少なくとも外層は第1のポリマー材料を含む、1~97節に記載の方法。
第99節
構造の第1の面はブラダの外面またはブラダの内面を含み、外面上または内面上のブラダの少なくとも外層は第1のポリマー材料を含む、1~98節に記載の方法。
第100節
ブラダは外面上または内面上のテクスチャ表面を含み、光学素子の第1の面または光学素子の第2の面はテクスチャ表面上に配置される、1~99節に記載の方法。
第101節
光学素子の第2の面は、ブラダの内面上に配置される、1~100節に記載の方法。
第102節
テクスチャ表面は、ブラダの外面上に配置される、1~101節に記載の方法。
第103節
プライマー層、テクスチャ表面またはその両方が、光学素子の第2の面上に配置した状態で、光学素子の第1の面はブラダの内面上に配置される、1~102節に記載の方法。
第104節
プライマー層、テクスチャ表面またはその両方が、光学素子の第1とブラダの外面との間に配置した状態で、光学素子の第1の面はブラダの外面上に配置される、1~103節に記載の方法。
第105節
構造は、アッパーである、1~104節に記載の方法。
第106節
構造は、ソールである、1~105節に記載の方法。
第107節
構造は、ソールの緩衝素子である、1~106節に記載の方法。
第108節
構造は、ソールのブラダである、1~107節に記載の方法。
比率、濃度、量および他の数値データは、本明細書では範囲形式で表され得ることに留意されたい。そのような範囲フォーマットは、利便性および簡潔さのために使用され、したがって、範囲の限界として明示的に列挙された数値だけでなく、各数値およびサブ範囲が明示的に列挙されているかのように、その範囲内に包含されるすべての個々の数値またはサブ範囲も含むように、柔軟な方法で解釈されるべきであることを理解されたい。例えば、「約0.1パーセント~約5パーセント」の濃度範囲は、約0.1重量パーセント~約5重量パーセントの明示的に列挙された濃度だけでなく、個々の濃度(例えば、1パーセント、2パーセント、3パーセント、4パーセント)およびサブレンジ(例えば、0.5パーセント、1.1パーセント、2.2パーセント、3.3パーセント、4.4パーセント)をも含むと解釈されるべきであり、「約」という用語は、数値の有効数字による従来の丸めを含むことができ、さらに、「約“x”~“y”」という語句は、「約“x”~約“y”」を含む。
上述の実施形態に対して多くの変形および修正を行うことができる。これらの変更および変形は本発明の範囲に含まれると考えられ、以下の請求項によって保護される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図1K
図1L
図1M
図2A
図2B