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特許7350004機械的振動エネルギーを電気エネルギーに変換するための電気機械発電機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】機械的振動エネルギーを電気エネルギーに変換するための電気機械発電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 35/04 20060101AFI20230915BHJP
【FI】
H02K35/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020552030
(86)(22)【出願日】2019-03-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2019057221
(87)【国際公開番号】W WO2019185472
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-03-02
(31)【優先権主張番号】1804871.0
(32)【優先日】2018-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】522264319
【氏名又は名称】ヒタチ、レイル、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI RAIL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】アダム、ワゼンツク
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-525779(JP,A)
【文献】特開2000-333424(JP,A)
【文献】特開平11-341786(JP,A)
【文献】特表2011-517277(JP,A)
【文献】特表2003-522639(JP,A)
【文献】実開昭57-052787(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 35/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械的振動エネルギーを電気エネルギーに変換するための電気機械発電機において、
中央マストと、
前記マストに装着固定される導電性コイルアセンブリであって、前記マストを少なくとも部分的に取り囲むとともに、径方向内側及び外側の側面と第1及び第2の反対側の縁部とを有する導電性コイルアセンブリと、
前記径方向内側の側面の径方向内側で延びるとともに前記コイルアセンブリを前記マストに固定するコイルアセンブリのためのマウントと、
軸に沿って前記軸上の平衡位置を中心に直線振動動作できるように前記マストに移動可能に装着される磁気コアアセンブリであって、前記磁気コアアセンブリが前記コイルアセンブリと前記マストとを少なくとも部分的に取り囲み、前記磁気コアアセンブリが、
前記導電性コイルアセンブリを前記径方向外側の側面で取り囲む一体部品の管状体を備える外側コアと、
前記外側コアのそれぞれの第1及び第2の端部で前記外側コアに磁気的に結合される第1及び第2のエンドコアであって、径方向内側で延びるとともに前記コイルアセンブリの前記それぞれの第1及び第2の反対側の縁部を取り囲み、前記第1及び第2のエンドコアの両方が前記外側コアの前記それぞれの第1及び第2の端部で前記外側コアに嵌合されて接触前記管状体の第1及び第2の端部がそれぞれ前記管状体の内面に凹部を備え、前記第1及び第2のエンドコアが前記管状体の前記それぞれの第1及び第2の端部の前記凹部に嵌合され、前記凹部は、前記平衡位置から前記軸に沿って離れる方向を向く横装着面と、前記軸の方を向く縦装着面とを有し、前記それぞれの第1及び第2のエンドコアの径方向面及び周方向面が前記横装着面及び前記縦装着面にそれぞれ嵌合される、第1及び第2のエンドコアと、
前記軸に沿って離間される第1及び第2の磁石であって、前記それぞれの第1及び第2のエンドコアに接触して磁気的に結合されるとともに、前記マウントが貫通して延びる前記磁気コアアセンブリの隙間を磁石間に画定する第1及び第2の磁石と、
前記第1及び第2のエンドコアにそれぞれ嵌合される第1及び第2の位置決め要素であって、前記第1及び第2の位置決め要素がそれぞれ前記マウントに向かって延び、前記第1及び第2の位置決め要素は、前記それぞれの第1及び第2のエンドコアの嵌合面に嵌合され、前記嵌合面が前記軸の方を向き、前記第1及び第2の位置決め要素のそれぞれは、それぞれの第1及び第2の磁石の表面と係合する位置決め面を有し、前記第1及び第2の位置決め要素の前記位置決め面は、前記それぞれの第1及び第2の磁石の側面に嵌合され、前記側面が前記軸の方を向く、第1及び第2の位置決め要素と、
を備える、磁気コアアセンブリと、
を備える電気機械発電機。
【請求項2】
前記管状体が円筒状である、請求項に記載の電気機械発電機。
【請求項3】
前記第1及び第2のエンドコアが円形であり、前記各エンドコアは、前記外側コアの内側周方向面に嵌合される外側周方向面と、前記マストを取り囲む中央穴とを有する、請求項1または2に記載の電気機械発電機。
【請求項4】
前記第1及び第2のエンドコアがプレートを備える、請求項1からのいずれか一項に記載の電気機械発電機。
【請求項5】
前記磁気コアアセンブリが前記軸に沿って離間される2つの対向する磁気回路を備える、請求項1からのいずれか一項に記載の電気機械発電機。
【請求項6】
前記第1及び第2の磁石の極が互いに向かい合う第1の共通の極性を有し、互いから離れる方向を向く前記第1及び第2の磁石の極が第2の共通の極性を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の電気機械発電機。
【請求項7】
前記第1及び第2のエンドコア及び前記外側コアは、前記第1及び第2の磁石に磁気的に結合される強磁性体を備える、請求項1からのいずれか一項に記載の電気機械発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械的振動エネルギーを電気エネルギーに変換するための電気機械発電機、すなわち、振動エネルギーハーベスタに関する。特に、本発明は、周囲の振動エネルギーを例えばインテリジェントセンサシステムに給電する際に用いる電気エネルギーに変換できる小型発電機であるそのような振動エネルギーハーベスタに関する。そのような振動エネルギーハーベスタは、電源ケーブル又はバッテリを排除することで経済的又は運用上の利点がある多くの分野で使用され得る。
【背景技術】
【0002】
周囲の振動から例えば無線センサに給電するのに有用な電力を収穫するための電気機械発電機を備える振動エネルギーハーベスタを使用することが知られている。典型的なマグネットコイル発電機は、システムが振動するときにコイルが磁気コアにより形成される磁束を通り抜けるような態様でマグネット又はコイルに取り付けられるバネ-質量の組み合わせから成る。
【0003】
出願人の先行する米国特許第7586220号及び米国特許第8492937号は、それぞれが磁気コアのそれぞれの端部に位置される2つの磁石に接続される強磁性コアが設けられる電気機械発電機の形態を成す振動エネルギーハーベスタを開示する。強磁性コアと2つの磁石とのアセンブリは、略C字形の断面を有する。磁気コアアセンブリはコイルを取り囲んで収容する。磁気コアアセンブリは中央管状体又はマストにバネ装着され、また、磁気コアアセンブリは、コイルに対する磁気コアアセンブリの振動動作を引き起こしてコイルで電気エネルギーを生み出すべくマストの軸に沿う方向で直線的に振動され得る。
【0004】
米国特許第7586220号及び米国特許第8492937号のそれぞれは、コアが2つの部分で製造されて2つの部分が実質的に「カップ形状」であることを開示する。磁気コアアセンブリを組み立てるために、一方のカップ形状部分が反転されて他方のカップ形状部分上に配置され、一体型コアを形成するべくカップ形状部分の2つの「リム」が互いに結合される中央ジョイントが設けられる。これらの従来の特許明細書では、各「リム」が直立したフランジと隣接する凹部とを有し、結果として得られるアセンブリでは、各フランジが他方の部分の凹部内に受けられる。これにより、信頼できる中央ジョイントが磁気コアアセンブリにもたらされる。磁気コアアセンブリは、軸周りでほぼ対称である。そのような構造は、磁気コアアセンブリを形成するために必要なジョイントの数を最小限に抑えることができるとともに、コア構造内で可能な限り多くの対称性を維持することができる。更に、単一のジョイントが軸に沿って中央に位置される場合、磁場との干渉も最小限に抑えられる。
【0005】
しかしながら、事前に定められた入力周波数帯域で機械的振動エネルギーから高い電力出力を得るためには、装置を正確に構造化してエネルギーハーベスタ内で磁気コアアセンブリの動きを制御する必要があり、また、そのような正確な制御を実現するには、磁気コアアセンブリの軸方向長さが正確に規定されなければならないことが分かってきた。前述の既知の磁気コアアセンブリ構造は、2つの正確な機械加工作業を必要とする。また、前述の単一の中央ジョイントの製造は、フランジと凹部との正確な機械加工作業を必要とする。
【0006】
当該技術分野では、磁気コアアセンブリの非常に正確な軸方向長さをもたらすことができるが特に磁気コアの強磁性構成要素を製造するために必要な精密機械加工作業の数を最小限に抑える又は減らすことによって製造の複雑さ及びコストを低く抑えて容易に製造できる磁気コアアセンブリを提供する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第7586220号
【文献】米国特許第8492937号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、少なくとも部分的には、磁気コアアセンブリの非常に正確な軸方向長さを確実にもたらすことができるが特に磁気コアの強磁性構成要素を製造するために必要な精密機械加工作業の数を最小限に抑える又は減らすことによって製造の複雑さ及びコストを低く抑えて容易に製造できる磁気コアアセンブリを提供できる電気機械発電機の形態を成すエネルギーハーベスタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明は、機械的振動エネルギーを電気エネルギーに変換するための電気機械発電機を提供し、この電気機械発電機は、中央マストと、マストに装着固定される導電性コイルアセンブリであって、マストを少なくとも部分的に取り囲むとともに、径方向内側及び外側の側面と第1及び第2の反対側の縁部とを有する導電性コイルアセンブリと、径方向内側の側面の径方向内側で延びるとともにコイルアセンブリをマストに固定するコイルアセンブリのためのマウントと、軸に沿って該軸上の平衡位置を中心に直線振動動作できるようにマストに移動可能に装着される磁気コアアセンブリであって、磁気コアアセンブリがコイルアセンブリとマストとを少なくとも部分的に取り囲み、磁気コアアセンブリが、導電性コイルアセンブリを径方向外側の側面で取り囲む一体部品の管状体を備える外側コアと、外側コアのそれぞれの第1及び第2の端部で外側コアに磁気的に結合される第1及び第2のエンドコアであって、径方向内側で延びるとともにコイルアセンブリのそれぞれの第1及び第2の反対側の縁部を取り囲み、(i)第1及び第2のエンドコアの両方が外側コアのそれぞれの第1及び第2の端部で外側コアに嵌合されて接触する、又は、(ii)第1及び第2のエンドコアの一方が外側コアのそれぞれの第1又は第2の端部で外側コアに嵌合されて接触し且つ第1及び第2のエンドコアの他方が外側コアのそれぞれの第1又は第2の端部で外側コアと一体である、第1及び第2のエンドコアと、軸に沿って離間される第1及び第2の磁石であって、それぞれの第1及び第2のエンドコアに接触して磁気的に結合されるとともに、マウントが貫通して延びる磁気コアアセンブリの隙間を磁石間に画定する第1及び第2の磁石と、を備える、磁気コアアセンブリとを備える。
【0010】
好ましい特徴が従属請求項で規定される。
【0011】
本発明は、略管状の外側構成要素を1つ又は2つの略平坦な内側構成要素に接合することによって磁気コアを製造でき、各内側構成要素がコアのそれぞれの端部に位置されるという所見を前提としている。略管状の外側構成要素は、コアの単一の軸方向長さを規定することができ、その許容差は、精密研削作業によって容易に規定され得る。磁気コアは、製造の低い複雑さ及び低コストで製造され得る。
【0012】
ここで、添付図面を参照して、本発明の実施形態を単なる一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態に係る機械的振動エネルギーを電気エネルギーに変換するための電気機械発電機の概略側断面図である。
図2図1の電気機械発電機におけるバネの概略平面図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係る電気機械発電機のエンドコア部分の概略平面図である。
図4】本発明の第3の実施形態に係る機械的振動エネルギーを電気エネルギーに変換するための電気機械発電機の概略側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の電気機械発電機は、ハウジングに対する慣性質量の動きによって行われる仕事のほぼ全てがその動きの瞬間速度に比例する当該技術分野において「速度減衰」として知られている共振発電機である。必然的に、その仕事の一部は、望ましくない機械的又は電気的な損失を克服して吸収されるが、仕事の残りの部分は、後述する電気コイル/磁気アセンブリなどの適切な変換機構を介して電流を生成するために使用されてもよい。
【0015】
図1及び図2は、本発明の第1の実施形態に係る機械的振動エネルギーを電気エネルギーに変換するための電気機械発電機2を示す。動作時、電気機械発電機2はハウジング(図示せず)内に収容され、また、装置には、電気機械発電機2を支持体(図示せず)に強固に装着するための取付具(図示せず)が設けられ、前記支持体から、電気機械発電機2によって電気エネルギーに変換される機械的振動エネルギーが収穫される。
【0016】
電気機械発電機2は、縦軸A-Aに沿って延びる中央マスト4を備える。使用時、入力される機械的振動エネルギーの振幅は、一般に、縦軸A-Aに沿っている、又は、縦軸A-Aに沿って延びる成分を有する。マスト4の両端部6,8はハウジング(図示せず)に取り付けられ、また、マスト4の一方又は両方の端部6,8には、電気機械発電機2を支持体に又はハウジングに強固に装着するための取付具(図示せず)、例えばネジ穴が設けられてもよい。
【0017】
好ましくは、マスト4は、低透磁性、低導電性であるが、316ステンレス鋼などの高弾性係数材料から形成される。マスト4は、中央中空孔5を伴って、少なくとも部分的に中空であってもよい。
【0018】
導電性コイルアセンブリ10がマスト4に装着固定される。コイルアセンブリ10は、少なくとも部分的に、好ましくは全体的に、マスト4を取り囲む。アセンブリ10は、円形であるとともにマスト4と同軸である導電性コイル12を備える。アセンブリ10は径方向内側及び外側の側面14,16を有し、側面14,16は回転軸A-Aと平行に延在する。アセンブリ10は、第1及び第2(一般に上側及び下側)の反対側の縁部18,20を有する。コイル12は、第1及び第2の反対側の縁部18,20にそれぞれ隣接して位置される第1及び第2のコイル部13a,13bを有する。
【0019】
コイルアセンブリ10のためのマウント22は、コイルアセンブリ10の径方向内側で延在してコイルアセンブリ10をマスト4に固定する。マウント22は、径方向内側の側面14の径方向内側で延びる。コイル12は、マウント22の環状コイル支持体24内に装着される。この明細書中、「環状」という用語は、「リング状」を意味するが、任意の他の特定の幾何学的形状を意味するものではなく、また、任意の環状要素の平面図が丸められなければならないことを意味するものではなく、例えば、「環状」又は「リング状」要素の側面が直線であってもよい。図示の実施形態において、環状コイル支持体24は、好ましくは平面図で円形であるが、任意の他のリング状の幾何学的形状であってもよい。同様に、本明細書中に記載される他の環状要素も、平面図で円形であることが好ましいが、任意の他のリング状の幾何学的形状であってもよい。このアセンブリ10は、コイル12をハウジング内の所定位置に装着する。コイル支持体24は、軸A-Aから径方向外側に位置されるとともに、マスト4の端部6,8間の軸方向のほぼ中間に位置される。
【0020】
マウント22は、コイルアセンブリ10とマスト4との間で延びる円錐壁26を備える。円錐壁26は環状コイル支持体24と一体である。環状コイル支持体24は、円錐壁26に接続する径方向に向けられた内壁28を含む。円錐壁26は、熱可塑性材料から構成される好ましくは射出成形された成形体であり、該成形体は環状コイル支持体24及び円錐壁26を備える。好ましくは、熱可塑性材料は、ガラス入りプラスチックなどの非常に導電率の低い材料である。
【0021】
円錐壁26は、反対側の第1及び第2の端部30,32を有する。第1の端部30は、第2の端部32よりも小さい直径を有する。第1の端部30はマスト4に装着され、第2の端部32はコイルアセンブリ10に装着される。マウント22は、第1の端部30と一体の内壁34を更に備える。内壁34は、弓形であり又は湾曲しており、マスト4の中央部36の外周の少なくとも一部にわたって嵌合される。
【0022】
図示の実施形態において、円錐壁は、軸A-Aに対して40~50度の角度で、一般に軸A-Aに対して約45度の角度で傾斜される。好ましくは、円錐壁26の中央部分38は、マスト4に沿って軸方向のほぼ中間に位置される。
【0023】
コイルアセンブリ10のためのマウント22は好ましくは凹部(図示せず)を画定し、該凹部内に、例えば電圧調整によってコイル12の電気出力を電気的に調整するための回路(図示せず)が受けられる。回路は、好ましくは、湿度、液体などの望ましくない環境的影響から回路をシールして保護するプラスチック又はゴムのシール材料によって封入される。コイル12は配線(図示せず)によって回路に接続され、また、回路は、そこから外部回路(図示せず)に接続するために延びる第2の配線(図示せず)を有する。
【0024】
磁気コアアセンブリ40が軸A-A上の平衡位置を中心とする軸A-Aに沿う直線振動動作のためにマスト4に移動可能に装着され、平衡位置が図1に示されている。磁気コアアセンブリ40は、少なくとも部分的に、好ましくは全体的に、コイルアセンブリ10及びマスト4を取り囲む。
【0025】
磁気コアアセンブリ40は、軸A-Aに沿って離間される2つの対向する磁気回路を備える。図示の実施形態において、磁気コアアセンブリ40は、軸A-Aに沿って離間される一対の軸方向で位置合わせされる環状の第1及び第2の磁石42,44を備える。磁石42,44はそれぞれ、一般に、高い磁場強度を有する希土類永久磁石である。第1の共通の極性を有する磁石42,44の極は互いに対向しており、また、互いから離れる方向を向く磁石42,44の極は第2の共通の極性を有する。
【0026】
互いから離れる方向を向く磁石42,44の極には強磁性体46が接触して磁気的に結合される。一般に、強磁性体46は、軸に対して磁石42,44の径方向外側で延びる。強磁性体は、一般に管状であり、そのそれぞれの端部に径方向内側に延びるアームを有し、各アームはその上にそれぞれの磁石42,44を装着する。
【0027】
磁石42,44は、円錐壁26の両側、図1では円錐壁26の上側及び下側に装着されるとともに、コイル12の径方向内側に装着される。磁石42,44はそれぞれ円錐壁26から軸方向に離間されて隙間48を画定し、該隙間48を通じてマウント22、特に円錐壁26が延びる。磁石42,44は、それらの同一の極が円錐壁26の両側で互いに向き合うように位置合わせされる。
【0028】
磁気コアアセンブリ40は一体部品の管状体52を備える外側コア50を備え、管状体52は、導電性のコイルアセンブリ10を径方向外側の側面16で取り囲む。管状体52は円筒形である。
【0029】
磁気コアアセンブリ40は、外側コア50のそれぞれの反対側の第1及び第2の端部58,60で外側コア50に接触して磁気的に結合される第1及び第2のエンドコア54,56を更に備える。第1及び第2のエンドコア54,56は、径方向内側で延在するとともに、コイルアセンブリ10のそれぞれの第1及び第2の反対側の縁部18,20を取り囲む。磁気コアアセンブリ40は、軸A-Aに沿って離間される第1及び第2の磁石42,44を更に備える。第1及び第2の磁石42,44は、それぞれの第1及び第2のエンドコア54,56に接触して磁気的に結合される。第1及び第2のコイル部13a,13bはそれぞれ、共通の強磁性体の外側コア50と磁石42,44のうちの一方との間に少なくとも部分的に位置される。
【0030】
管状体52の第1及び第2の端部58,60はそれぞれ、管状体52の内面66に凹部62,64を備える。第1及び第2のエンドコア54,56は、管状体52のそれぞれの第1及び第2の端部58,60の凹部62,64に嵌合される。
【0031】
凹部62,64は、平衡位置から軸A-Aに沿って離れる方向を向く横装着面68と、軸A-Aの方を向く縦装着面70とを有する。それぞれの第1及び第2のエンドコア54,56の径方向及び周方向の面72,74がそれぞれ、横装着面及び縦装着面68,70に嵌合される。
【0032】
第1及び第2のエンドコア54,56はプレートを備える。第1及び第2のエンドコア54,56は、平面であってもよく、或いは、外面又は内面に何らかの三次元成形部を備えていてもよい。第1及び第2のエンドコア54、56は円形であり、各エンドコアは、外側コア50の縦装着面70である内側周方向面に嵌合される外側周方向面74と、マスト4を取り囲む中央穴76とを有する。図示の実施形態において、第1及び第2のエンドコア54,56は、管状体52の端部に嵌合される円形ディスクである。第1及び第2のエンドコア54,56の円形の外周は、管状体52の内面66上に横装着面及び縦装着面68,70によって形成される肩部に軸方向で嵌合されてもよい。嵌合は、圧力嵌め、応力緩和嵌合、又は、弾性嵌合であってもよい。第1及び第2のエンドコア54,56は、随意的に管状体52に結合されてもよい。結果として得られる構造は、ほぼ均一な強磁性特性と正確な軸方向長さとを伴う略C字形の磁気コアをもたらす。
【0033】
図3に示される変更された実施形態において、第1及び第2のエンドコア54,56は、円形であるとともに、第1及び第2のエンドコア54,56を管状体52のそれぞれの第1及び第2の端部58,60の凹部62,64内に圧入できるようにする小角度セグメント切り欠き又は開口55を有する。第1及び第2のエンドコア54,56は、柔軟な材料から構成されるとともに、凹部62,64の内部寸法に対して過大であり、また、凹部62,64内の第1及び第2のエンドコア54,56の弾性緩和は、磁気コアアセンブリが正確な軸方向長さを有するように第1及び第2のエンドコア54,56を管状体52内に軸方向で保持するようにする。第1及び第2のエンドコア54,56における磁場は径方向であるため、略径方向である切り欠き又は開口55は、磁気回路に最小限の影響しか及ぼさない。設置された第1及び第2のエンドコア54,56は、管状体52に外向きの圧力を及ぼし、これにより、必要な磁気回路が効率的に完成する。
【0034】
図4に示される更なる実施形態では、第1及び第2のエンドコアのうちの一方(図1に示されるように両方ではなく)、図示の実施形態では第2のエンドコア56が、管状体52と一体であり、また、第1のエンドコア54は、図1の実施形態に関連して前述した構造を有する。反対側の端部において、管状体52には一体のエンドコア部分57が設けられる。非一体型のエンドコア54は、前述したいずれかの構成、特に連続的な構成或いは略径方向の切り欠き又は開口55を伴う構成を有してもよい。
【0035】
第1及び第2の位置決め要素78,80がそれぞれ第1及び第2のエンドコア54,56に嵌合される。第1及び第2の位置決め要素78,80はそれぞれマウント22に向けて延びる。第1及び第2の位置決め要素78,80のそれぞれは、それぞれの第1及び第2の磁石42、44の側面と係合する位置決め面82を有する。第1及び第2の位置決め要素78,80は、それぞれの第1及び第2のエンドコア54,56の嵌合面84,86に嵌合され、嵌合面84,86は軸A-Aの方を向く。第1及び第2の位置決め要素78,80の位置決め面82は、それぞれの第1及び第2の磁石42,44の側面88,90に嵌合され、側面88,90は軸A-Aの方を向く。第1及び第2の位置決め要素78,80は、磁石を磁気コアアセンブリ40内に正しい位置で正確且つ強固に嵌合する。
【0036】
径方向外側コア50、第1及び第2のエンドコア54,56、及び、径方向内側磁石42,44を備える磁気コアアセンブリ40は、それらの間に、コイル12が受けられる環状の囲繞キャビティ92を画定する。磁石42,44及び外側コア50並びに第1及び第2のエンドコア54,56は、それらの間の相対的な並進移動を可能にするためにコイル12から僅かに離間される。磁気コアアセンブリ40は、略C字形の断面を有し、回転対称である。
【0037】
キャビティ92は、第1及び第2のコイル部13a,13bのそれぞれと中央マスト4との間で、マウント22の円錐壁26の上側又は下側にそれぞれ、それぞれのキャビティ部を有する。
【0038】
外側コア50並びに第1及び第2のエンドコア54,56は、軟鉄などの高い透磁率及び高質量を有する強磁性材料から構成される。したがって、外側コア50、第1及び第2のエンドコア54,56、及び、磁石42,44のアセンブリは、磁気コアアセンブリ40の2つの軸方向に離間した磁気回路を形成する。各磁気回路の磁束線の限界は、外側コア50とそれぞれの第1及び第2のエンドコア54,56とによって規定され、これにより、各磁石42,44からの磁束が外側コア50と第1及び第2のエンドコア54,56とから形成される共通の強磁性体から軸方向又は径方向外側に延びることが実質的に防止される。対向する磁石42,44は共通の極を伴って互いに向かい合うため、磁気コアアセンブリ40の中央領域では、対向する磁気回路の磁束が対向し、それにより、磁束が共通の強磁性体へ向けて径方向外側に方向付けられる。
【0039】
結果として生じる効果は、単一の磁気コアアセンブリ40が2つの別個の磁石42,44を備え、非常に高い割合の磁束がそれぞれのコイル部13a,13bを通過するように拘束されるそれぞれの磁気回路を各磁石が有することである。これにより、磁石42,44とコイル12との間に非常に高い度合の磁気結合がもたらされる。その結果、固定されたコイル12に対する磁気コアアセンブリ40の直線的な軸方向共振移動による特に後述するような磁石42,44とコイル12との間の任意の相対移動は、コイル12で非常に高い電力出力を生み出す。
【0040】
磁気コアアセンブリ40を平衡位置へ向けて軸A-Aに沿って両方向で付勢するために、付勢装置100がマスト4と磁気コアアセンブリ40との間に装着される。付勢装置100は、一対の第1及び第2の板バネ102,104を備える。第1及び第2の板バネ102,104のそれぞれは、マスト4の第1及び第2の反対側の端部6,8にそれぞれ取り付けられる内側縁部106,108と、磁気コアアセンブリ40に取り付けられる外側縁部114,116とを有する。第1の板バネ102の外側縁部114は磁気コアアセンブリ40の第1の端部分118に取り付けられ、第2の板バネ104の外側縁部116は磁気コアアセンブリ40の第2の端部分120に取り付けられる。
【0041】
第1及び第2の板バネ102,104のそれぞれは、軸A-Aと略直交するとともにそれぞれの内側縁部106,108を含む内側部126,128と、軸A-Aと略平行であるとともにそれぞれの外側縁部114,116を含む円筒状の外側部130,132とを備えるバネ部材122,124を備える。
【0042】
バネ部材122,124は折り曲げられたシートバネであり、内側部及び外側部126,128;130,132は折り曲げ部134,136によって接続される。
【0043】
各外側縁部114,116は、磁気コアアセンブリ40の外側周方向面138,140に取り付けられる。図示の実施形態において、各外側縁部114,116は、磁気コアアセンブリ40の外側周方向面138,140上に押し込み嵌合され、弾性嵌合によって外側周方向面138,140に取り付けられる。
【0044】
第1及び第2の板バネ102、104のそれぞれの内側縁部106,108は、内側縁部106,108とマスト4との間のリベット継手142,144によってマスト4に取り付けられる。
【0045】
第1及び第2の板バネ102、104はそれぞれ、磁気コアアセンブリ40が中央平衡位置から離れるように移動されるときに、磁気コアアセンブリ40に対して同じ機械的な付勢力を印加する。第1及び第2の板バネ102、104は同じバネ定数を有することが好ましい。
【0046】
移動可能な磁気コアアセンブリ40の反対側の軸方向端部に一対の第1及び第2の板バネ102,104を設けることにより、磁気コアアセンブリ40に十分なバネ付勢された復元力を与えて磁気コアアセンブリをコイル12に対して軸方向中央位置に向けて付勢できるだけでなくハウジング内で実質的に最小の容積も占める構造がもたらされる。特に、移動可能な磁気コアアセンブリ40の反対側の軸方向端部における第1及び第2の板バネ102,104の位置は、磁気結合を最大にするだけでなく重要なことに移動可能な磁気コアアセンブリの質量をそれに応じて最大化することもできる所定の装置体積に関して磁気コアアセンブリ40のサイズを最大にするのに役立ち得る。当該技術分野において知られているように、これが出力電力を増大するため、共振振動電磁エネルギーハーベスタにおいて移動可能な磁気コアアセンブリの質量を最大にすることが望まれている。
【0047】
一対の第1及び第2の板バネ102,104を設けることにより、移動可能な磁気コアアセンブリを取り囲む高価で扱い難い螺旋バネの必要性も回避される。これは、構成要素のコストを減らすことによって製造コストを低減する。
【0048】
ここで、第1及び第2の板バネ102,104の平面図を示す図2を参照すると、内側部126,128は略円形である。図示の実施形態において、各内側部126,128は、折り曲げ部134,136に隣接する外側周方向部分146、内側縁部106,108に隣接する内側周方向部分148、及び、外側及び内側周方向部分146,148を互いに接続する少なくとも3つのアーム150,152,154を有する。アーム150,152,154は軸A-Aの周囲で互いに離間され、また、隣り合うアーム150,152,154の各対は、それらの間のそれぞれの開口156,158,160によって分離される。アーム150,152,154は軸A-Aの周囲で互いに等間隔で離間される。3つのアーム150,152,154を用いると、隣り合うアーム150,152,154の同じ部分同士の間の角度間隔は120度である。
【0049】
各アーム150,152,154は、外側周方向部分146に接続される径方向外側部分162と、径方向外側部分162に接続される中央周方向部分164と、中央周方向部分164と内側周方向部分148との間に接続される径方向内側部分166とを備える。
【0050】
各開口156,158,160は、外側周方向部分146に隣接する外側周方向領域168と、外側周方向領域168に接続される中央径方向領域170と、中央径方向領域170に接続されて内側周方向部分148に隣接する内側周方向領域172とを備える。
【0051】
各開口156,158,160は、外側開口端部174と内側開口端部176との間で延在し、各開口端部174,176は、開口156,158,160の隣接部と比較して拡大された幅を有する。これはバネの応力集中を軽減する。
【0052】
図示の実施形態では、正確に3つのアーム150,152,154と正確に3つの開口156,158,160とがある。これにより、アーム間及び開口間に120度の角度間隔がもたらされる。他の実施形態では、3つを超えるアーム及びそれに対応して3つを超える開口が設けられる。例えば、4つ、5つ、又は、6つのアーム/開口が設けられてもよく、その場合、アーム間及び開口間がそれぞれ90度、72度、及び、60度の角度間隔となる。
【0053】
好ましくは、図示の実施形態のように、アーム150,152,154は同じ形状及び寸法を有し、それに対応して、開口156,158,160が同じ形状及び寸法を有する。
【0054】
電気機械発電機2は、一対の第1及び第2のスペーサ178,180を更に備える。第1のスペーサ178は、第1の板バネ102とマスト4の第1の表面182との間に取り付けられ、また、第2のスペーサ180は、第2の板バネ104とマスト4の第2の表面184との間に取り付けられる。第1及び第2の表面182,184は、マスト4のそれぞれの第1及び第2の反対側の端部6,8に位置される。
【0055】
弾性装置186が付勢装置100と磁気コアアセンブリ40との間に装着される。弾性装置186は、磁気コアアセンブリ40が直線振動動作によって平衡位置から所定の非ゼロ閾値振幅だけ離れるように移動したときに付勢装置100と磁気コア40との間で変形されるように構成される。
【0056】
弾性装置186は、一対の第1及び第2の平バネ要素188,190を備える。第1及び第2の平バネ要素188,190のそれぞれは、磁気コアアセンブリ40に取り付けられる外側縁部192,194と、マスト4から径方向外側に離間されてそれぞれの第1及び第2の板バネ102,104の軸方向内側に離間される自由内側縁部196,198とを有する。第1の平バネ要素188の外側縁部192は磁気コアアセンブリ40の第1の端部分118に取り付けられ、また、第2の平バネ要素190の外側縁部194は磁気コアアセンブリ40の第2の端部分120に取り付けられる。
【0057】
一般に、第1及び第2の平バネ要素188,190のそれぞれの外側縁部192,194は、磁気コアアセンブリ40に対して所定の位置に強固に保持されるようにバネにより付勢されることによって磁気コアアセンブリ40に取り付けられる。図1に概略的に示されるように、外側縁部192,194とそれぞれの第1又は第2の板バネ102,104との間にバネ付勢要素191が設けられ、このバネ付勢要素は、磁気コアアセンブリ40の第1又は第2の端部分118,120に対して外側縁部192,194をしっかりと付勢する。あまり好ましくないが別の実施形態において、第1及び第2の平バネ要素188,190のそれぞれの外側縁部192,194は、別の方法では、磁気コアアセンブリ40に対して取り付けられ、例えば直接に固定されてもよい。
【0058】
第1及び第2のスペーサ178,180は、マスト4の径方向外側に延在するとともに、それぞれの第1及び第2の面200,202を画定し、それぞれの面200,202は、それぞれの第1及び第2の平バネ要素188,190のそれぞれの自由内側縁部196,198に向けて内側に方向付けられるとともに、軸A-Aに沿う方向で自由内側縁部196,198から離間される。図示の実施形態において、第1及び第2の面200,202は、軸A-Aに沿う方向で、所定の長さを有するそれぞれの隙間204,206分だけそれぞれの第1及び第2の平バネ要素188,190のそれぞれの自由内側縁部196,198から離間される。
【0059】
好ましくは、第1及び第2の平バネ要素188,190のそれぞれの外側縁部192,194のみが電気機械発電機2の任意の他の部分と接触している。第1及び第2の平バネ要素188,190のそれぞれは、磁気コアアセンブリ40に面する内面208,210を有し、また、各内面の外周部212,214は磁気コアアセンブリ40と接触する。各内面208,210の外周部212,214は、磁気コアアセンブリ40の直立する外周縁部216,218と接触する。
【0060】
移動可能な磁気コアアセンブリ40とコイル12との間の高い度合の磁気結合、及び、移動可能な磁気コアアセンブリ40の高い質量は、共振周波数を所望の値に正確に容易に調整できるようにするとともに、移動可能な磁気コアアセンブリ40に対してその共振振動中に高い自己復元力を印加して振動の振幅を最小限に抑えることができるようにする。振幅が制限されるため、バネ102,104は、十分にそれらの線形バネ特性の範囲内にある非常に小さな程度でしか変形されない。一般に、通常の動作下で、最大振幅は約1mm未満である。
【0061】
バネ102,104は、印加される機械的な力、特に機械的振動に電気機械発電機2が晒されるときに軸A-Aに沿って軸方向に移動できるとともに軸A-Aに沿う少なくとも1つの構成要素を有する磁気コアアセンブリ40を中央平衡位置に向けて付勢する。バネ102,104は、磁気コアアセンブリ40の非軸方向移動を実質的に防止するべく横方向、すなわち、径方向で高い剛性を有する。
【0062】
発電機2は、付勢装置100と質量との間で変形、すなわち屈曲される第1及び第2の平バネ要素188,190を備える弾性装置186を伴うことなく磁気コアアセンブリ40の質量がマスト4に対して平衡点を中心に所定の閾値振幅以下の振動振幅で振動できるように構成される。したがって、そのような「通常動作」のシナリオでは、質量の振動振幅が特定の又は所定の閾値振幅以下であるときに弾性装置186が発電機2からの電力損失を何ら引き起こさない。
【0063】
しかしながら、発電機2は、振動振幅が所定の閾値振幅を超えるとき、例えば、発電機が激しい衝撃を受けるときに、弾性装置186がその後に付勢装置100と質量との間で変形され、すなわち屈曲されて、振動振幅を制限するリミッタとして作用するように構成される。したがって、本発明の好ましい実施形態に係る電気機械発電機2は、それが時折激しい衝撃を受ける場合がある環境で特定の有用性を有する。
【0064】
第1及び第2の平バネ要素188,190はそれぞれ、第1及び第2のスペーサ178,180に影響を与えて、振幅制限をもたらす。第1及び第2のスペーサ178,180は、スペーサ178,180と平バネ要素188,190との間の初期隙間204,206を正確に設定できるという利点を与える。したがって、第1のスペーサ178及び第2のスペーサ180は、それぞれの第1及び第2の板バネ102,104とマスト4との間のシムとして機能して、第1及び第2のスペース178,180と第1及び第2の平バネ要素188,190との間に所定の距離を規定することができる。また、第1及び第2のスペーサ178,180に対する第1及び第2の平バネ要素188,190の振幅制限動作は、摺動動作を回避し又は最小限に抑え、それにより摩耗を排除又は最小限に抑える。第1及び第2の平バネ要素188,190はリン青銅から形成されてもよく、また、第1及び第2のスペーサ178,180は鋼から形成されてもよい。これらの材料は、第1及び第2の板バネ102に関するバネ定数よりも高いことが好ましい所要の高いバネ定数を平バネ要素188,190に与えることができる。
【0065】
電気機械発電機2は、電気機械発電機2の機械部品及び電気部品を保護するために密閉シールされ得るハウジング内に配置されてもよい。ハウジングの内容積は不活性ガスを含んでもよい。
【0066】
電気機械発電機2は共振質量-バネ配置を使用する。電気機械発電機2が方向A-Aに沿って移動させられる外部振動源に晒される場合、磁気コアアセンブリ40は、マスト4に対しても同様に方向A-Aに沿って移動し得る慣性質量を備える。その際、バネ102,104が軸方向に変形され、また、静的な電気コイル12と内部に電気コイル12が配置される磁束領域を生成する移動可能な磁気コアアセンブリ40とを備えるダンパに対して仕事が行われる。磁束内での電気コイル12の移動により、電流が電気コイル12に誘導され、これが外部装置(図示せず)を駆動するための電力源として使用され得る。
【0067】
磁気結合の増大の結果として、電気出力を増大させることにより、装置の動作帯域幅を大幅に増大させることができる。これにより、多くの新たなエネルギー収穫用途において装置を使用できる能力が大幅に高まる。
【0068】
電気機械発電機2では単純な板バネ102,104を使用できる。これは、摩擦が少なく、複雑で込み入った及び/又は高価な製造技術を回避して、磁気コアアセンブリ40での横方向移動を防止するための信頼できる単純な構造をもたらす。結果として得られる構造は、ロバスト性が高くコンパクトである。板バネ102,104は非常に小さい振幅の変形を受けるため、それらのバネの機械的特性は特に重要ではなく、これは、それらのバネが、直線的な弾性移動のそれらの機械的限界付近の任意の場所で決して変形されず、したがって、比較的従来の品質を有することができ、その結果、低い構成要素コストを有することができるからである。
【0069】
本発明の好ましい実施形態の電気機械発電機では、装置のハウジングの内部空間のほぼ全てを金属製の磁気コアアセンブリで満たすことにより、高い移動質量を達成することができる。これは、少なくとも部分的には、磁気コアアセンブリの両端の平バネの体積効率が良いために達成できる。更に、高いQは、磁気コアアセンブリの「囲繞」構造で漏れる磁束が非常に少なく、そのため、固定ハウジングの周囲の材料における渦電流が非常に少ないという事実によってもたらされる。したがって、移動する磁気コアアセンブリとハウジングとの間にクリアランスを維持する必要が殆どなく、それにより、多くの移動質量が可能となる。高い磁気結合は、磁束の漏出が非常に少ない-殆ど全ての磁束がコイルを通過する磁気コアアセンブリの囲繞性によってももたらされる。
【0070】
添付の特許請求の範囲に規定される本発明の他の改変及び実施形態は、当業者に明らかとなる。
図1
図2
図3
図4