(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】形状記憶日焼け止め組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/37 20060101AFI20230915BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20230915BHJP
A61K 8/45 20060101ALI20230915BHJP
A61K 8/87 20060101ALI20230915BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230915BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20230915BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20230915BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/86
A61K8/45
A61K8/87
A61Q19/00
A61Q17/04
A61K8/06
(21)【出願番号】P 2020558898
(86)(22)【出願日】2019-04-04
(86)【国際出願番号】 US2019025794
(87)【国際公開番号】W WO2019209483
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-03-28
(32)【優先日】2018-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】フェイグ,ジョナサン ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】チャン,デイビッド
【審査官】阪▲崎▼ 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-523630(JP,A)
【文献】特開2017-081868(JP,A)
【文献】国際公開第2016/002751(WO,A1)
【文献】特開2012-067024(JP,A)
【文献】特開2018-016584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状記憶スキンケア組成物であって、前記形状記憶スキンケア組成物の全重量に対して、以下の重量パーセントで存在する、
a)1~30重量%のUVフィルター系であって、少なくとも1つのUV-A活性物質および少なくとも1つのUV-B活性物質、またはUV-AおよびUV-Bの両方の日焼け防止係数を提供する少なくとも1つのUVフィルター、またはそれらの組み合わせを含む、UVフィルター系と、
b)0.2重量%~2.5重量%未満の増粘乳化剤であって、グリセロールの非分岐ポリオールアルキルエステルまたは非分岐ソルビタンエステルを含む増粘乳化剤と、
c)0.5重量%~2.5重量%未満の非増粘共乳化剤であって、グリセロールの分岐ポリオールアルキルエステルまたは分岐ソルビタンエステルを含む非増粘共乳化剤と、
d)0.5~7重量%の形状記憶材料であって、ポリエチレングリコール/ヘキサメチレンジイソシアネートのコポリマーを含む、形状記憶材料
を包含し、
前記形状記憶スキンケア組成物は、損失弾性率が貯蔵弾性率よりも大きいことを特徴とし、これは摂氏45度で2週間保存後、前記組成物が相分離することなく維持される、水中油型エマルジョンの形態である、
形状記憶スキンケア組成物。
【請求項2】
前記増粘乳化剤は、グリセロールモノステアレート、グリセリルステアレート/PEGエステル、セテアリルグルコシド、グリセリルステアレート、ステアレス-100、グリセリルステアレートシトレート、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の形状記憶スキンケア組成物。
【請求項3】
前記非増粘
共乳化剤は、ポリグリセリル-4イソステアレート、ポリグリセリル-3ジイソステアレート、ソルビタンイソステアレート、ソルビタングリセリルイソステアレート、エマリウムメリフェラ、ポリグリセリル-4ジイソステアレート/ポリヒドロキシルステアレート/セバケート、ポリグリセリル-10イソステアレート、ポリソルベート-20、ポリソルベート-40、ポリソルベート-60、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の形状記憶スキンケア組成物。
【請求項4】
前記非増粘
共乳化剤は、ポリグリセリルステアレートコポリマーである、請求項3に記載の形状記憶スキンケア組成物。
【請求項5】
ポリエチレングリコール/ヘキサメチレンジイソシアネートコポリマーである前記形状記憶材料が、前記組成物に3~5重量%で存在する、PEG-240/HDIコポリマービス-デシルテトラデセス-20 エーテルである、請求項1に記載の形状記憶スキンケア組成物。
【請求項6】
前記UV-A活性物質が、アボベンゾンであり、かつ前記UV-B活性物質が、オクトクリレン、ホモサレート、またはオクトクリレンとホモサレートである、請求項1に記載の形状記憶スキンケア組成物。
【請求項7】
0.03重量%~0.1重量%未満の、少なくとも1つの追加の、非乳化増粘剤である増粘剤を
さらに含む、請求項1に記載の形状記憶スキンケア組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1つの非乳化増粘剤が、架橋ビニルピロリドン含有ポリマーである、請求項7に記載の形状記憶スキンケア組成物。
【請求項9】
形状記憶スキンケア組成物であって、前記形状記憶スキンケア組成物の全重量に対して、以下の重量パーセントで存在する、
a)2~25重量%のUVフィルター系であって、少なくとも1つのUV-A活性物質および少なくとも1つのUV-B活性物質、またはUV-AおよびUV-Bの両方の日焼け防止係数を提供する少なくとも1つのUVフィルター、またはそれらの組み合わせを含み、前記UV-A活性物質がアボベンゾンであり、前記UV-B活性物質がオクトクリレン、ホモサレート、またはオクトクリレンとホモサレートである、UVフィルター系と、
b)0.2~1.0重量%の増粘乳化剤であって、グリセリルステアレート/ポリエチレングリコールエステルであるコポリマーを含む、増粘乳化剤と、
c)1~2重量%の非増粘乳化剤であって、ポリグリセリルステアレートコポリマーである非増粘乳化剤と、
d)3~5重量%の形状記憶材料であって、ポリエチレングリコール/ヘキサメチレンジイソシアネートコポリマーである、形状記憶材料と、
e)0.03重量%~0.1重量%未満の、少なくとも1つの追加の、非乳化増粘剤である増粘剤
を包含し、
前記形状記憶スキンケア組成物は、損失弾性率が貯蔵弾性率よりも大きいことを特徴とし、これは摂氏45度で2週間保存後、組成物が相分離することなく維持される、水中油型エマルジョンの形態である、
形状記憶スキンケア組成物。
【請求項10】
非乳化増粘剤である前記追加の増粘剤が、架橋ビニルピロリドン含有ポリマーである、請求項9に記載の形状記憶スキンケア組成物。
【請求項11】
前記組成物が、オクチサレート、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルフェノール、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、メトキシケイヒ酸イソアミル、サリチル酸エチルヘキシル、ポリシリコン-15、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、アントラニル酸メンチル、エチルヘキシルジメチルPABA、およびそれらの組合せから成る群から選択される少なくとも1つのUVフィルター系をさらに含む、請求項9に記載の形状記憶スキンケア組成物。
【請求項12】
前記ポリグリセリルステアレートコポリマーが、ポリグリセリル-6ジステアレートである、請求項9に記載の形状記憶スキンケア組成物。
【請求項13】
前記ポリエチレングリコール/ヘキサメチレンジイソシアネートコポリマーが、PEG-240/HDIコポリマービス-デシルテトラデセス-20エーテルである、請求項9に記載の形状記憶スキンケア組成物。
【請求項14】
前記架橋ビニルピロリドン含有ポリマーが、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドンコポリマーである、請求項10に記載の形状記憶スキンケア組成物。
【請求項15】
前記増粘乳化剤は、グリセロールモノステアレート、グリセリルステアレート/PEGエステル、(2R,3R,4R,5S)-ヘキサン-1,2,3,4,5,6-ヘキソール;(Z)-オクタデカ-9-エン酸、ソルビタンステアレート/ソルビチルラウレート、セテアリルグルコシド、グリセリルステアレート、ステアレス-100、グリセリルステアレートシトレート、およびそれらの組合せから成る群から選択される、請求項1に記載の形状記憶スキンケア組成物。
【請求項16】
前記増粘乳化剤は、グリセリルステアレート/PEGエステルである、請求項1に記載の形状記憶スキンケア組成物。
【請求項17】
前記非増粘
共乳化剤は、ポリグリセリル-4イソステアレート、ポリグリセリル-3ジイソステアレート、ソルビタンイソステアレート、またはソルビタングリセリルイソステアレートである、請求項1に記載の形状記憶スキンケア組成物。
【請求項18】
前記非増粘
共乳化剤は、エマリウムメリフェラ、ポリグリセリル-4イソステアレート、ポリグリセリル-4ジイソステアレート/ポリヒドロキシルステアレート/セバケート、ポリグリセリル-10イソステアレート、ポリソルベート-20、ポリソルベート-40、またはポリソルベート-60である、請求項1に記載の形状記憶スキンケア組成物。
【請求項19】
オクトクリレン対アボベンゾンの比は1.6:1.0~2.4:1.0であり;
ホモサレート対アボベンゾンの比は、2.3:1.0~3.6:1.0である、請求項6に記載の形状記憶スキンケア組成物。
【請求項20】
形状記憶スキンケア組成物であって、前記形状記憶スキンケア組成物の全重量に対して、以下の重量パーセントで存在する、
a)2~25重量%のUVフィルター系であって、少なくとも1つのUV-A活性物質および少なくとも1つのUV-B活性物質、またはUV-AおよびUV-Bの両方の日焼け防止係数を提供する少なくとも1つのUVフィルター、またはそれらの組み合わせを含み、前記UV-A活性物質がアボベンゾンであり、前記UV-B活性物質がオクトクリレンとホモサレートである、UVフィルター系と、
b)0.2~1重量%の増粘乳化剤であって、グリセリルステアレート/PEGエステルである、増粘乳化剤と、
c)1~2重量%の非増粘乳化剤であって、ポリグリセリルステアレートコポリマーである、非増粘乳化剤と、
d)3~5重量%の形状記憶材料であって、ポリエチレングリコール/ヘキサメチレンジイソシアネー
トコポリマーである、形状記憶材料と、
e)0.03重量%~0.1重量%未満の少なくとも1種の追加の増粘剤であって、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドンコポリマーである、非乳化増粘剤である、少なくとも1種の追加の増粘剤
を含み、
前記形状記憶スキンケア組成物は、損失弾性率が貯蔵弾性率よりも大きいことを特徴とし、これは摂氏45度で2週間保存後、組成物が相分離することなく維持される、水中油型エマルジョンの形態である、
形状記憶スキンケア組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2018年4月23日に出願の米国特許出願番号第15/959,938号の優先権を主張するPCT出願であり、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、すべての目的において本特許出願の一部となった。
技術分野
【0002】
本発明は、スキンケア組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
皮膚および髪の両方を含む、角質基質の光防護は、日光による損傷、日焼け、光老化からの保護を促進するため、ならびに紫外線(「UV」)放射への曝露によって引き起こされる皮膚癌の発症の機会を減少させるために必要であると、多くの人が考えている。光防護を得るために使用されるUV-A/UV-B日焼け止め組成物は典型的には、無機UVフィルターおよび有機UVフィルターの2種類ある。
【0004】
二酸化チタンおよび酸化亜鉛などの無機UVフィルターは通常、それらが適用される表面を適切にカバーする/最大限に保護するために大量に使用される。その結果、無機UVフィルターは、それが適用された皮膚に乾燥感を引き起こし、さらに、処理された表面に望ましくない色を付与する傾向を有する(自然には白であるが、審美的な目的で着色され、審美的奏功の度合いが異なる場合がある)。
【0005】
さらに、UVフィルターは、UV-A放射(長波)、UV-B放射(短波)、またはその両方から保護できる。これまで、UV-B放射に対する保護が、日焼け止めの主要なまたは唯一の考慮事項であると一般的には考えられていた。しかし、近年の研究は、UV-A放射線への曝露も危険であり得、望ましくない影響をもたらし得ることを明らかにした。そのため、日焼け止めの試みにおける現在の傾向は通常、単一の組成物中でUV-AおよびUV-Bの両方から保護し、組成物のSPFおよびUV-Aの両方の定格を向上させることである。
【0006】
日焼け止めは、アメリカ合衆国(「U.S.」)を含む多くの法域で、処方箋なく購入できる(「OTC」)製品として扱われている。日焼け止めをOTC製品として分類した結果、米国では、日焼け止めは、米国食品医薬品局(「FDA」)によって規制されており、これらは、規制の問題および安全性の懸念から、UVフィルターなどの、日焼け止め組成物の有効成分が実質的に制限されている。したがって、SPFおよびUV-A保護の両方に関して高い効果を達成するために利用できるUVフィルターは限られている。最も一般的には、これらのUVフィルターは、アボベンゾン、オキシベンゾン、オクチサレート、オクトクリレン、およびホモサレートを含むと見なされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例示的な実施形態では、水中油エマルジョンの形態の記憶形状型スキンケア組成物は、UV-A活物質およびUV-B活物質などのUVフィルター系を約1重量パーセント~約30重量パーセント含む。組成物はさらに、0.2~3重量パーセントの増粘乳化剤、0.5~7重量パーセントの非増粘乳化剤、および0.5~7重量パーセントの記憶形状材料を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、水中油型エマルジョンの形態の記憶形状スキンケア組成物は、UV-A活物質およびUV-B活物質などのUVフィルター系を約1重量パーセント~約30重量パーセント含む。組成物はさらに、約0.7重量パーセント~約1.0重量パーセントの増粘乳化剤、約1.5~約2.5重量パーセントの非増粘乳化剤、および約0.9重量パーセント~約1.2重量パーセントの記憶形状材料を含む。いくつかのこうした実施形態では、組成物はまた、約0.5重量パーセント~約0.1重量パーセントの増粘剤を含む。いくつかの特定の実施形態では、増粘乳化剤はグリセロールモノステアレートであり、非増粘乳化剤は、エマリウムメリフェラであり、記憶形状材料は、PEG-240/HDIコポリマービス-デシルテトラデセス-20であり、存在する場合、増粘剤は、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドンコポリマーである。
【0009】
別の例示的な実施形態では、水中油型エマルジョンの形態の記憶形状スキンケア組成物は、2~25重量パーセントのUVフィルター系を含み、それはいくつかの例では、アボベンゾン、オクトクリレン、およびホモサレートを含む。組成物はさらに、0.2~2.5重量パーセントの増粘乳化剤、1~5重量パーセントの非増粘乳化剤、および0.5~1.5重量パーセントの記憶形状材料を含む。
【0010】
別の例示的な実施形態では、水中油型エマルジョンの形態の記憶形状スキンケア組成物は、2~25重量パーセントのUVフィルター系(アボベンゾン、オクトクリレン、およびホモサレートを含む)を含む。組成物はさらに、ステアリン酸誘導体およびポリエチレングリコール誘導体などのコポリマーを0.2~2.5重量パーセント含む増粘乳化剤、ポリグリセリルステアレートコポリマーを1~5重量パーセント含む非増粘乳化剤、およびポリエチレングリコール/ヘキサメチレンジイソシアネートコポリマーを3~5重量パーセント含む形状記憶材料を含む。
【0011】
本発明の他の特徴および利点は、例として本発明の原理を例解する好ましい実施形態の以下のより詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
成分の量および/または反応条件を表す数値はすべて、特に明記しない限り、すべての場合において「約」という用語によって修飾されると理解される。
【0013】
すべてのSPFおよびUV-A定格は、特に明記されない限り、in-vivo値を基準にして提示される。
【0014】
本出願において、本明細書で使用される「ケラチン基質」という用語は、皮膚、毛髪、および爪を含むが、これらに限定されない。
【0015】
本出願において、「周囲温度」という用語は、約25℃の温度を意味する。
【0016】
本出願において、「安定な」という用語は、安定性モニタリング期間中に、エマルジョンが、相分離、色および/または臭気の変化がなく無傷のままであり、水溶性活性成分が、エマルジョンからの結晶化または沈殿なしに、水相に可溶化されたままであることを意味する。
【0017】
本出願において、「SPFブースター」という用語は、2つの材料がUV放射を屈折させることにより組成物中で混合されるときに他方の材料のUV吸収を増加させ、それによって組成物を通るUV放射の有効経路長を増長させる材料を指す。
【0018】
本出願において、「本質的に含まない」という用語は、ある材料が他の成分中の不純物として最小限の量でのみ存在し、その材料が組成物の特性に実質的に影響を及ぼさないことを示す。
【0019】
本出願において、「含まない」という用語は、確実に測定できる量の材料が組成物中に存在しないことを示す。
【0020】
本発明の光安定性UV-A/UV-B日焼け止め組成物は、本明細書に記載の本発明の必須の要素および制限、ならびに本明細書に記載されるまたは他の方法で角質基質への局所適用を目的とした組成物において有用な任意の追加のもしくは任意の成分、構成成分、もしくは制限を含むか、これらからなるか、もしくはこれらから本質的になってよい。一実施形態では、光安定性UV-A/UV-B日焼け止め組成物は、水中油型または油中水型エマルジョンを含むが、これらに限定されない。
形状記憶材料(レオロジー改質剤)
【0021】
組成物は、記憶形状材料を含む。形状記憶材料は、貯蔵弾性率および損失弾性率が従来の水中油型エマルジョンと比較して反転される、すなわち損失弾性率が貯蔵弾性率よりも大きい、独特のレオロジーを呈する。貯蔵弾性率および損失弾性率の両方を呈する組成物では、貯蔵弾性率は固体様の挙動に関連し、損失弾性率は流体様の挙動に関連する。損失弾性率が貯蔵弾性率よりも大きい系は、流体様の挙動を呈する。一実施形態では、組成物は逆の貯蔵弾性率および損失弾性率を呈し、それらは貯蔵または使用中に交差せず、これにより、組成物が本質的に常に流体様の挙動を呈することを可能にする。
【0022】
記憶形状材料は、典型的には、水性ゲルの形態である。水性ゲルは、水中油型エマルジョンの連続相として作用する。ゲルは外観では固体であるが、損失弾性率が高いことは、ゲルが流体のような挙動を呈しかつ機械的応力から回復することを可能にする。
【0023】
一実施形態では、記憶形状材料は、ポリエーテルウレタンから形成される。いくつかの実施形態では、記憶形状材料は、ポリエチレングリコール/ヘキサメチレンジイソシアネートコポリマーを含む。一実施形態では、記憶形状材料は、商品名ADEKA NOL GT-730(商標)で販売されている製品などの、PEG-240/HDIコポリマービス-デシルテトラデセス-20である。いくつかの実施形態では、記憶形状材料は、組成物の総重量を基準にして、少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、15重量%未満、12重量%未満、10重量%未満、7重量%未満、6重量%未満、および/または5重量%未満の量で存在し得る。したがって、様々な実施形態では、記憶形状材料は、組成物の重量を基準にして、約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14および15重量パーセント以下の量で組成物中に存在する。
【0024】
乳化剤(増粘乳化剤)
一実施形態では、油相としては、例えば、グリセロールモノステアレートなどの、グリセロールの非分岐ポリオールアルキルエステルおよびソルビタンエステル(商品名Arlacel(商標)165で販売されている製品(Croda))、グリセリルステアレート/PEGエステル(商品名Arlacel(商標)170で販売されている製品(Croda))、(2R,3R,4R,5S)-ヘキサン-1,2,3,4,5,6-ヘキソール;(Z)-オクタデカ-9-エン酸(商品名Arlacel Cで販売されている製品(Croda))、ソルビタンステアレート/ソルビチルラウレート(商品名Arlacel LCで販売されている製品(Croda))、およびセテアリルグルコシド(商品名Tego Care CG90(商標)で販売されている製品)、グリセリルステアレート、ステアレス-100、グリセリルステアレートシトレート、およびこれらの組み合わせなどの増粘乳化剤が挙げられる。いくつかの実施形態において、乳化剤は、組成物の重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.3重量%、少なくとも0.5重量%、6重量%未満、4重量%未満、3重量%未満および/または2.5重量%未満の量で存在し得る。したがって、様々な実施形態では、増粘乳化剤は、組成物の重量に基づいて、約0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、および6重量%以下の量で組成物中に存在する。
共乳化剤(非増粘乳化剤)
【0025】
一実施形態では、油相は、グリセロールおよびソルビタンエステルの分岐鎖ポリオールアルキルエステルなどの共乳化剤をさらに含む。例えば、ポリグリセリル-4イソステアレート、例えば、商品名Isolan(登録商標)Gl34にて販売されている製品(Evonik)、ポリグリセリル-3ジイソステアレート(商品名Lameform(登録商標)TGIにて販売(BASF))、ソルビタンイソステアレート、例えば、商品名Arlacel(商標)987にて販売されている製品(Croda)、ソルビタングリセリルイソステアレート、例えば、商品名Arlacel(登録商標)986にて販売されている製品(Croda)がさらに挙げられる。他の好適な共乳化剤としては、エマリウムメリフェラ、ポリグリセリル-4イソステアレート、ポリグリセリル-4ジイソステアレート/ポリヒドロキシルステアレート/セバケート、ポリグリセリル-10イソステアレート、ポリソルベート-20、ポリソルベート-40、および/またはポリソルベート-60が挙げられる。共乳化剤は、組成物のさらなる安定性を促進する。いくつかの実施形態では、共乳化剤は、組成物の重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.3重量%、少なくとも0.5重量%、6重量%未満、4重量%未満、3重量%未満および/または2.5重量%未満の量で存在し得る。したがって、様々な実施形態では、非増粘乳化剤は、組成物の重量に基づいて、約0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、および6重量%以下の量で組成物中に存在する。
増粘剤(非乳化剤)
【0026】
組成物は、追加の増粘剤をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、増粘剤はまた、乳化剤として作用し得ない。一実施形態では、増粘剤としては、架橋ビニルピロリドン含有ポリマーが挙げられる。一実施形態では、増粘剤としては、アンモニアの存在下で反応させたアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸とビニルピロリドンとの架橋コポリマー、例えば、商品名Aristoflex AVCにて販売されている(Aako)アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドンコポリマーなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、非乳化増粘剤は、組成物の重量に基づいて、少なくとも0.01重量%、少なくとも0.03重量%、少なくとも0.05重量%、0.5重量%未満、0.3重量%未満、0.1重量%未満、0.09重量%未満および/または0.08重量%未満の量で存在し得る。したがって、様々な実施形態では、非乳化増粘剤は、組成物の重量に基づいて、約0.01重量%、0.02重量%、0.03重量%、0.04重量%、0.05重量%、0.06重量%、0.07重量%、0.08重量%、0.09重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%および0.5重量%以下の量で組成物中に存在する。
UVフィルター系
【0027】
本発明に使用されるUV-Aおよび/またはUV-B領域で活性なUVフィルターは、一般的に使用される化粧品溶媒中で水溶性、脂溶性、または不溶性であり得る。UV-Aフィルターは、波長400nm~320nmの範囲で主に光を吸収する化合物の群を含み(UV-A)、UV-Bフィルターは、波長400nm~320nm、320nm~280nmの範囲で主に光を吸収する化合物の群(UV-B)を含む。本発明の一実施形態によれば、UV-AおよびUV-Bは、2つの別個のUVフィルターであり得るか、または、UV-AおよびUV-Bの両方の日焼け防止係数を有する1つのUVフィルターであってもよい。
【0028】
UVフィルターとしては、これらに限定されないが、固体有機脂溶性UVフィルター、これらに限定されないが、例えば、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、およびエチルヘキシルトラゾン、脂溶性有機UVフィルター、これらに限定されないが、例えば、ケイヒ酸化合物、アントラニル酸、サリチル酸化合物、ジベンゾイルメタン化合物、例えば、アボベンゾン、カンファー化合物、β,β-ジフェニルアクリレート化合物、トリアジン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、ベンザルマロン酸化合物(特に米国特許第5,624,663号に引用されているもの)、イミダゾリン化合物、p-アミノ安息香酸化合物(PABA)、ベンゾオキサゾール化合物(欧州特許第0832642号、同1027883号、同1300137号、および独国特許第10162844号に記載)、UVフィルターポリマーおよびUVフィルターシリコーン(国際公開第93/04665号に記載)、α-アルキルスチレンダイマー(独国特許第19855649号に記載)、4,4-ジアリールブタジエン(欧州特許第0967200号、独国特許第19746654号、独国特許第19755649号、欧州特許第1008586A号、欧州特許第1133980号、および欧州特許第1133981号)、メロシアニン(米国特許第4,195,999号、国際公開第2004/006878号、国際公開第2008/090066号、国際公開第2011113718号、国際公開第2009027258号、およびIP COM JOURNAL N 000179675D(2009年2月23日に発行)、IP COM JOURNAL N 000182396D(2009年4月29日に発行)、IP COM JOURNAL N 000189542D(2009年11月12日に発行)、IP COM Journal N IP COM000011179D(2004年3月4日に発行)、およびこれらの混合物など、任意の好適なUVフィルターまたはUVフィルター系を挙げることができる。上記の文書は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0029】
非限定的実施例として、少なくとも1つのUVフィルターまたはUVフィルター系としては、(INCI名により列挙):ジベンゾイルメタン化合物、例えば、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(例えば、商品名Parsol 1789(登録商標)にて販売(DSM Nutritional Products, Inc.))およびイソプロピルジベンゾイルメタン;エチルPABAなどのパラアミノ安息香酸化合物、エチルジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシルジメチルPABA(商品名ESCALOL507(登録商標)にて販売(ISP))、およびグリセリルPABA;サリチル酸誘導体、例えば、ホモサレート(商品名Eusolex HMS(Rona/EM Industries)にて販売)およびサリチル酸エチルヘキシル(商品名NEO HELIOPAN OSにて販売(SYMRISE));ケイ皮誘導体、例えば、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(商品名PARSOL MCXにて販売(DSM NUTRITIONAL PRODUCTS))、メトキシケイヒ酸イソプロピル、メトキシケイヒ酸イソアミル(商品名NEO HELIOPAN E 1000にて販売(SYMRISE))、およびシノキサート、メチルケイヒ酸ジイソプロピル;β,β-ジフェニルアクリレート誘導体、例えば、オクトクリレン(商品名UVINUL N539にて販売(BASF))およびエトクリレン(商品名UVINUL N35にて販売(BASF));およびヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート(商品名UVINUL A Plus、またはメトキシケイヒ酸オクチルとの混合物の形で商品名UVINUL A+Bにて販売(BASF));3-ベンジリデンカンファーなどのベンジリデンカンファー誘導体(商品名MEXORYL SDにて製造(CHIMEX))、、4-メチルベンジリデンカンファー(EUSOLEX 6300の商品名にて販売(MERC))、およびポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー(MEXORYL SWの商品名にて製造(CHIMEX));フェニルベンゾトリアゾール誘導体、例えば、ドロメトリゾールトリシロキサン(商品名Silatrizoleにて販売(RHODIA CHIMIE);トリアジン誘導体、例えば、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(商品名TINOSORB Sにて販売(BASF))、エチルヘキシルトリアゾン(商品名UVINUL T150にて販売(BASF))、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(商品名UVASORB HEBにて販売(SIGMA 3V))、2,4,6-トリス(4’-アミノベンザルマロネートジネオペンチル)-s-トリアジン、2,4,6-トリス-(ジイソブチル-4’-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、および2,4-ビス(ジネオペンチル-4’-アミノベンザルマロネート)-6-(4’-アミノベンゾエートn-ブチル)-s-トリアジン;2つのアミノベンゾエート基で置換されたトリアジンシリコーン、例えば、2,4-ビス-(n-ブチル4’-アミノベンザルマロネート)-6-[(3-{1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリルオキシ]ジシロキサニル}プロピル)アミノ]-s-トリアジン(及びEP欧州特許第0841341号に記載の他のもの);アントラニル酸誘導体、例えば、アントラニル酸メンチル(商品名NEO HELIOPAN MAにて販売(SYMRISE))、イミダゾリン誘導体、例えば、エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオネート;ベンザルマロネート誘導体、例えば、ジ-ネオペンチル4’-メトキシベンザルマロネート、およびベンザルマロネート官能基を有するポリオルガノシロキサン、例えば、ポリシリコーン-15(商品名PARSOL SLX(DSM NUTRITIONAL PRODUCTS)にて販売);4,4-ジアリールブタジエン誘導体、例えば、1,1-ジカルボキシ(2,2’-ジメチル-プロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン;ベンゾオキサゾール誘導体、例えば2,4-ビス-[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル-(4-フェニル)-イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)-イミノ-1,3,5-トリアジン(商品名Uvasorb K2Aにて販売(Sigma 3V));親油性メロシアニン誘導体、例えば、オクチル-5-N,N-ジエチルアミノ-2-フェニルスルホニル-2,4-ペンタジエノエート;テレフタリリデンジカンファースルホン酸(商品名Mexoryl SXにて販売(CHIMEX));ならびにドロメトリゾールトリシロキサン(商品名Mexoryl XLにて販売(RHODIA))が挙げられる。
【0030】
一実施形態では、少なくとも1つのUV-Aフィルターは、アボベンゾンであり、少なくとも1つのUV-Bフィルターは、オクチサレート、オクトクリレン、および/またはホモサレートを含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。別の実施形態では、UV-Aフィルターは、アボベンゾンであり、UV-Bフィルターは、オクチサレート、オクトクリレン、およびホモサレートのうちの少なくとも2つを含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。さらに別の実施形態では、UV-AおよびUV-Bフィルターを含むUVフィルター系は、アボベンゾン、オクチサレート、オクトクリレン、およびホモサレートのそれぞれを含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。
【0031】
組成物は、任意の好適な量の少なくとも1つのUVフィルターを含み得る。一実施形態では、組成物は、少なくとも約1重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約7重量%、少なくとも約10重量%、約35重量%未満、約30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、約15重量%未満、および/または約12重量%の少なくとも1つのUVフィルターを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、UVフィルター系は、UVフィルターの以下の組み合わせ:オクトクリレン、アボベンゾン、オクチサレート、およびホモサレート、および任意によりオキシベンゾンから構成され:アボベンゾンに対する各フィルターの比は、以下のとおりである:
オクトクリレン対アボベンゾンの比は1.6:1.0~2.4:1.0であり;
オキシベンゾン対アボベンゾンの比は0.0:1.0~0.016:1.0であり;
オクチサレート対アボベンゾンの比は、1.3:1.0~2.0:1.0であり;
ホモサレート対アボベンゾンの比は、2.3:1.0~3.6:1.0である。
【0033】
特に、アボベンゾンに対する各フィルターの比は、約2.0:1.0:0.0:1.7:3.0(オクトクリレン:アボベンゾン:オキシベンゾン:オクチサレート:ホモサレート)である。
【0034】
一実施形態では、UVフィルターは、日焼け止め組成物の全重量に対して、以下の重量パーセントで存在する:
少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも4重量%、少なくとも5重量%、12重量%未満、11重量%未満、10重量%未満、9重量%未満、8重量%未満、7重量%未満、および/または6重量%未満のオクトクリレン;
少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、5重量%未満、4重量%未満、および/または3重量%未満のアボベンゾン;
少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも4重量%、8重量%未満、7重量%未満、および/または5重量%未満のオクチサレート;ならびに
少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも4重量%、少なくとも5重量%、15重量%未満、12重量%未満、10重量%未満、9重量%未満、8重量%未満、および/または7重量%未満のホモサレート。
【0035】
別の実施形態では、UVフィルターは、日焼け止め組成物の全重量に対して、以下の重量パーセントで存在する:オクトクリレン約5.9重量%、アボベンゾン約3.0重量%;オクチサレート約4.9重量%;およびホモサレート8.8重量%。典型的には、日焼け止め組成物は、本質的にオキシベンゾンを含まないか、または1.0重量%、0.5重量%、0.25重量%、または0.05重量%未満のオキシベンゾンを有する。
SPFブースター
【0036】
少なくとも1つのSPFブースターは、これらに限定されないが、複数の光屈折体を含む、任意の好適な材料を含み得る。複数の光屈折体は、任意の組成および立体配座を有し得る。一実施形態では、光屈折体の立体配座は、中空球である。さらなる実施形態では、中空球は、中空球自体が作られる材料とは異なる屈折率を有する物質で充填され、UV放射を屈折させる構造をもたらす。別の実施形態では、光屈折体の組成物、具体的には、中空球自体が作られる材料は、スチレン-アクリレートコポリマー組成物を含む。さらなる実施形態では、光屈折体の組成物はラテックスである。一実施形態では、少なくとも1つのSPFブースターは、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.3重量%、少なくとも0.5重量%、少なくとも0.7重量%、2重量%未満、1.5重量%未満、1.2重量%未満、および/または1重量%未満の量で組成物中に存在し得る。
【0037】
本発明の特定の一実施形態によれば、光屈折体は、スチレンと(メタ)アクリル酸とのコポリマー、またはINCI名のスチレン/アクリレートコポリマーであるそのアルキルエステルのうちの1つで構成され、例えば、商品名SUNSPHERES(登録商標)粉末にて販売されている製品(Dow chemical)であり、これは、約11重量%のPEG-8ラウレートと約2.5重量%の水と、約0.5重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムとの混合物中に約86重量%のスチレン/アクリレートコポリマーを含む水性分散液である。
【0038】
一実施形態では、本発明での使用に好適であるSPFブースターは、一般に約100~約380nm、あるいは、約150~約375nm、あるいは、約190~約350nm、あるいは、約251~約325nmの範囲の粒子サイズを有する。これらの粒子サイズは、BrookhavenBI-90光子相関分光光度計などの光子相関分光計によって測定された体積平均粒子サイズである。
【0039】
光屈折体は、これらに限定されないが、0.1%~50%、あるいは5%~50%の空隙率を含む、任意の好適な空隙率を有し得る。場合によっては、空隙率は、遠心分離機で希釈された分散液から圧縮された後に光屈折体が占める体積を、同じ組成の非空隙粒子の体積と比較することによって決定され得る。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、中空ラテックス粒子である光屈折体は、コア用の少なくとも1つのポリマーおよびシェル用の少なくとも1つのポリマーを含む粒子から得られる。コアポリマーおよびシェルポリマーは、単一の重合ステップから、または一連の重合ステップから得ることができる。こうした中空ラテックス粒子は、少なくとも1つの乳化剤により安定化される水性分散液の一部として提供され得る。
【0041】
中空ラテックス粒子は、これに限定されないが、従来の乳化重合技術を含む、任意の好適な方法によって調製できる。そのようなプロセスは、特に米国特許第4,427,836号、米国特許第4,469,825号、米国特許第4,594,363号、米国特許第4,677,003号、米国特許第4,920,160号、および米国特許第4,970,241号に記載されているか、または以下の特許および特許出願:欧州特許第267726号、欧州特許第331421号、米国特許第4,970,229号、および米国特許第5,157,084号に記載されている従来の重合技術による。上記の特許文書は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0042】
ラテックス粒子のシェルに使用されるモノマーは、1つ以上の不飽和非イオン性エチレン単位を含んでよい。任意により、少なくとも1つのカルボン酸基を含む1つ以上のモノエチレン性不飽和モノマーを、シェル中で重合させてもよい。一実施形態では、シェルを構成するモノマーは、中空ラテックス粒子の空隙に耐えるのに十分に高いガラス転移温度(Tg)を呈するように選択される。ガラス転移温度は、50℃を超えてよく、60℃を超えてよく、または70℃を超えてもよい。ガラス温度(Tg)は、示差走査熱量測定によって決定され得る。
【0043】
本発明の中空ラテックス粒子のコアポリマーの乳化重合に使用されるモノマーは、少なくとも1つのカルボン酸基を含む1つ以上のモノエチレン性不飽和モノマーを含み得る。コアは、コアモノマーの総重量に対して、少なくとも1つのカルボン酸基を含む少なくとも5重量%のモノエチレン性不飽和モノマーを含み得る。コアポリマーは、例えば、少なくとも1つの酸基を含むモノエチレン性不飽和モノマーの単独乳化重合によって、または少なくとも1つの酸基を含む2つまたは3つのモノエチレン性不飽和モノマーの共重合によって得られる。一実施形態では、少なくとも1つの酸基を含むモノエチレン性不飽和モノマーは、1つ以上のエチレン性不飽和非イオン性モノマーと共重合される。
【0044】
コアポリマーまたはシェルポリマーは、コアモノマーの総重量に対して、0.1重量%~20重量%、およびいくつかの実施形態では、0.1重量%~3重量%の、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、またはジビニルベンゼンを含み得る。あるいは、コアポリマーまたはシェルポリマーは任意により、コアモノマーの総重量に対して、0.1重量%~60重量%のブタジエンを含み得る。
【0045】
少なくとも1つのカルボン酸基を含むモノエチレン性不飽和モノマーとしては、一例として、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロイルオキシプロピオン酸、(メタ)アクリロイルオキシプロピオン酸、イタコン酸、アコニチン酸、マレイン酸または無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、マレイン酸モノメチル、フマル酸モノメチル、およびイタコン酸モノメチルが挙げられ得る。
【0046】
一実施形態では、モノマーは、アクリル酸およびメタクリル酸から選択される。モノエチレン性不飽和非イオン性モノマーとしては、一例として、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸のC1~C20アルキルエステル、および(C3~C20)(メタ)アクリル酸のアルケニルエステル、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、およびステアリル(メタ)アクリレートを挙げることができる。本明細書で使用されるとき、「(メタ)アクリル」は、メタクリルまたはアクリルの両方を含む一般的な表現を示し、「(メタ)アクリレート」は、メタクリレートまたはアクリレートの両方を含む一般的な表現を示す。
【0047】
ラテックス粒子のコアの空隙は、1つ以上の揮発性化合物を含む膨潤剤でコアを膨潤させることによって生成され得る。剤は、コアを膨潤させるためにシェルに浸透する。膨潤剤の揮発性成分はその後、ラテックス粒子を乾燥させることによって除去されてよく、これにより粒子内に空隙を作る。剤は、いくつかの実施形態では、水性塩基である。例えば、アンモニア、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物、およびトリメチルアミンまたはトリエチルアミンなどの揮発性アミンについて言及され得る。
【0048】
中空ラテックス粒子は、膨潤剤とともに組成物に導入されてよい。そのような実施形態では、揮発性化合物は、組成物が乾燥されるときに除去される。膨潤剤の揮発性化合物が除去された後、中空ラテックス粒子を組成物に添加することもできる。
【0049】
一実施形態では、中空ラテックス粒子は、米国特許第5,663,213号および欧州特許出願公開第1092421号に記載されているものであり、これらは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0050】
別の実施形態では、SPFブースターの光屈折体の中空球は、ガラス微小球を含む。組成物中で使用されるガラス微小球は、本質的に均質であり、球形度が本質的に均一であり得る。ガラス微小球は、これらに限定されないが約5μm~70μm、または約10μm~20μmの平均粒子サイズを含む、任意の好適な平均粒子サイズを有し得る。ガラス微小球としては、ホウケイ酸カルシウムアルミニウムの中空微小球(商品名LUXSIL(登録商標)にて入手可能(Presperse Inc.))、ホウケイ酸ナトリウム粒子(商品名Q-CEL570にて入手可能(PQ Corporation)、およびホウケイ酸カルシウム/ナトリウム中空微小球(商品名ES22および1Kにて入手可能(3M))、ホウケイ酸カルシウム/ナトリウム微小球(商品名Scotchlite(商標)K20製品にて入手可能(3M))を挙げることができる。
【0051】
さらに別の実施形態では、SPFブースターの光屈折体は、微粒子、特に球状微粒子の形態の多孔質シリカを含む。多孔質シリカの球状微粒子は、0.5μm~20μm、または3μm~15μmの範囲の平均粒子サイズを含むがこれらに限定されない、任意の適切な平均粒子サイズを有し得る。さらに、微粒子は、50m2/g~1,000m2/g、あるいは150m2/g~800m2/gの範囲の比表面積を含むがこれらに限定されない、任意の適切な比表面積を有し得る。また、微粒子は、0.5ml/g~5ml/g、または1ml/g~2ml/gの範囲の特定の細孔容積を含むがこれらに限定されない、、任意の適切な特定の細孔容積を有し得る。一例として、多孔質シリカ球状微粒子としては、シリカビーズSB150(Myoshi)、Sunsphere H-51(Asahi Glass)、サンシル130(Sunjin)、Spherica P-1500(Ikeda Corporation)、およびSylosphere(Fuji Silysia)などの市販製品を挙げることができる。
【0052】
一実施形態では、SPFブースターは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート、および/またはスチレン、ガラス、およびシリカの(コ)ポリマーからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む。別の実施形態では、SPFブースターは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート、および/またはスチレン、ガラス、およびシリカの(コ)ポリマーからなる群から選択される少なくとも2つの材料を含む。さらに別の実施形態では、SPFブースターは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート、および/またはスチレン、ガラス、およびシリカの(コ)ポリマーを含む。(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート、および/またはスチレンの(コ)ポリマーは、PMMAなどのポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリレートとのコポリマー、および(メタ)アクリル酸と、(メタ)アクリレートと、スチレンとのコポリマーから作製され得る。
【0053】
油/皮膚軟化剤
【0054】
日焼け止め組成物に含まれ得る油/皮膚軟化剤の例としては、以下が挙げられる:植物由来の炭化水素ベースのオイル、例えば、4~10個の炭素原子を含む脂肪酸の液体トリグリセリド、例えば、ヘプタン酸またはオクタン酸トリグリセリド、あるいは、例えば、ひまわり油、コーン油、ダイズ油、マローオイル、グレープシードオイル、セサミシードオイル、ヘーゼルナッツオイル、アプリコットオイル、マカダミアオイル、アララオイル(arara oil)、コリアンダー油、ヒマシ油、アボガド油、カプリル酸/カプリン酸トリグリセライド、例えば、Stearineries Duboisから販売されているもの、または商品名Miglyol(登録商標)810、812及び818(Dynamit Nobel)、ホホバオイル、シアバターオイル、およびカプリリルグリコール;合成エステルおよびエーテル、特に脂肪酸の、例えば、パーセリンオイル、2-オクチルドデシルステアレート、2-オクチルドデシルエルケート、イソステアリルイソステアレート;ヒドロキシル化エステル、例えば、イソステアリルラクテート、オクチルヒドロキシステアレート、オクチルドデシルヒドロキシステアレート、リンゴ酸ジイソステアリルまたはクエン酸トリイソセチル;脂肪アルコールヘプタノエート、オクタノエートまたはデカノエート;ポリオールエステル、例えば、プロピレングリコールジオクタノエート、ネオペンチルグリコールジヘプタノエートおよびジエチレングリコールイソノナノエート;およびペンタエリスリトールエステル、例えば、ペンタエリスリチルテトライソステアレート、またはイソプロピルラウロイルサルコシネート、商品名Eldew(登録商標)SL 205(Ajinomotoにて販売);鉱物または合成起源の直鎖または分岐鎖炭化水素、例えば、揮発性または不揮発性液体パラフィン、およびその誘導体、ワセリン、ポリデセン、イソヘキサデカン、イソドデカン、Parleam(登録商標)オイルなどの水素化ポリイソブテン、またはn-ウンデカン(C11)とn-トリデカン(C13)との混合物、Cetiol(登録商標)UTにて販売(Cognis);部分的に炭化水素系および/またはシリコーン系のフッ素オイル、例えば、JP-A-2 295912に記載されているもの;シリコーンオイル、例えば、線状または環状シリコーン鎖を有する揮発性または不揮発性ポリメチルシロキサン(PDMS)、室温で液体またはペースト状であるもの、特に揮発性シリコーンオイル、特にシクロポリジメチルシロキサン(シクロメチコーン)、例えば、シクロヘキサジメチルシロキサンおよびシクロペンタジメチルシロキサン;ペンダント鎖またはシリコン鎖の末端にある、2~24個の炭素原子を含むアルキル基、アルコキシ基またはフェニル基を含むポリジメチルシロキサン;フェニルシリコーン、例えば、フェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサンまたは2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、およびポリメチルフェニルシロキサン;それらの混合物。
【0055】
追加の例としては、C9~C15アルコールの安息香酸エステル、イソノニルイソノナノエート、C12~C15アルキルベンゾエート、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0056】
油/皮膚軟化剤の具体例としては、ココグリセリド、シクロメチコン、ジメチコン、マレイン酸ジカプリル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸オクチル、リノール酸イソステアリル、ラノリンオイル、ココナッツオイル、ココアバター、オリーブオイル、アボカドオイル、アロエエキス、ホホバオイル、ひまし油、脂肪酸、オレイン酸、ステアリン酸、脂肪アルコール、セチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、アジピン酸ジイソプロピル、ヒドロキシ安息香酸エステル、C9~C15アルコールの安息香酸エステル、イソノニルイソノナノエート、アルカン、鉱油、シリコーン、ジメチルポリシロキサン、エーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル、C12~C15アルキルベンゾエート、アリールアルキルベンゾエート、イソプロピルラウロイルサルコシネート、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0057】
いくつかの実施形態では、油/皮膚軟化剤は、組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも4重量%、少なくとも5重量%、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、12重量%未満、および/または10重量%未満の量で存在し得る。
溶媒
【0058】
日焼け止め組成物に含まれ得る親水性有機溶媒の例としては、
一価のC1~C8アルコール、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール;
6~80個のエチレンオキシド由来のエチレングリコール、例えば、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ブチレングリコール、グリセロール、ソルビトール;
モノまたはジアルキルイソソルビド、例えば、ジメチルイソソルビドが挙げられる。
【0059】
日焼け止め組成物に含まれ得る両親媒性有機溶媒の例としては、プロピレングリコールアルキルエステルのようなポリプロピレングリコール(PPG)またはPPG-23オレイルエーテルおよびPPG-36オレエートのようなPPGのアルキルエーテルが挙げられる。
さらなる成分
【0060】
組成物は、エマルジョンを形成するため、ならびに審美的(香り、視覚的外観および感触など)および組成物の他の特性を改変するための他の成分をさらに含み得る。こうした他の成分としては、これらに限定されないが、水、EDTA、防腐剤、乳化剤、増粘剤、保湿剤、皮膚軟化剤、審美的修飾剤、膜形成剤、酸化防止剤、TEA、変性アルコール、香料、顔料、および組成物または最終生成物の所望の形態に有益であるかまたは特定であり得る任意の添加物を挙げることができる。
任意の粉末
【0061】
組成物は、本組成物は、任意により、粉末を含み得る。任意の粉末は、皮膚に滑らかで柔らかい調合物をもたらす。代表的な粉末としては、これらに限定されないが、タルク、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、シリカ、二酸化チタン、酸化亜鉛、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、ポリエチレン粉末、メタクリレート粉末、ポリスチレン粉末、シルクパウダー、結晶セルロース、スターチ、チタン化雲母、酸化鉄チタン化雲母、オキシ塩化ビスマスなどが挙げられる。追加の粉末としては、これらに限定されないが、無機粉末、例えば、ガム、チョーク、フラー土、カオリン、絹雲母、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、リチアマイカ、バーミキュライト、ケイ酸アルミニウム、スターチ、スメクタイト粘土、アルキルおよび/またはトリアルキルアリールアンモニウムスメクタイト、化学的修飾マグネシウムアルミニウムシリケート、有機的修飾モンモリロナイト粘土、水和ケイ酸アルミニウム、ヒュームドオクテニルコハク酸、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、金属タングステン酸塩、マグネシウム、シリカアルミナ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼成石膏)、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミック粉末、金属石鹸(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、およびステアリン酸アルミニウム)、コロイド状二酸化ケイ素、および窒化ホウ素;有機粉末、例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロンパウダー)、シクロデキストリン、スチレンとアクリル酸とのコポリマー粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ(エチレンテトラフルオリド)粉末、およびカルボキシビニルポリマー、セルロース粉末、例えば、ヒドロキシエチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチレングリコールモノステアレート;酸化マグネシウムなどの無機白色顔料が挙げられる。代表的な粉末としては、例えば、ポリメチルシルセスキオキサンが挙げられる。粉末は、組成物の総重量に基づいて、一般に約0.1重量%~約5重量%または約0.1重量%~約10重量%の範囲の量で組成物中に存在し得る。
組成物
【0062】
組成物は、これらに限定されないが、スキンケア組成物、ヘアケア組成物、日焼け止め組成物、皮膚の日焼け組成物、化粧品組成物、メイクアップ組成物、リップクリーム、顔の皮膚のピーリング組成物、保湿組成物、アンチエイジングスキンケア組成物、またはそれらの組み合わせを含む、任意の好適な組成物であり得る。
【0063】
上記のリストは単なる例であり、限定するものではない。
実施例
【0064】
表1に示す実施例の各々の作製方法は、一般的に同じである。表1の実施例では、A相の内容物をミキサー中で混合し、撹拌し均質化しながら約15分間、摂氏約50度に加熱した。サイドケトルで、B相の内容物を、透明な油が形成されるまで加熱した(65~75℃)。次に、B相を撹拌し、均質化しながらA相と組み合わせる。約15分後、加熱を中止し、組成物を室温に冷却させながら撹拌を続けた。
【0065】
以下の表に示される材料のすべての比率は、特に明記されない限り、重量%で表される。
【表1】
【0066】
表2の比較例では、水相成分であるADEKA NOL GT-700、1,3-ブチレングリコール、およびメチルパラベンを組み合わせ、摂氏約80度に加熱した。油相成分、UVAおよびUVB活性物質、およびエステルオイルを別々に組み合わせ、摂氏約80℃に加熱した。次に、水相および油相をミキサーで組み合わせた。温度を摂氏約80℃で維持し、組成物を約5分間撹拌した。約5分後、加熱を中止し、組成物を室温に冷却させながら撹拌を続けた。
【0067】
【0068】
上記の例において、摂氏約50度の温度で調製された本発明の組成物は、貯蔵弾性率(反転)よりも大きい損失弾性率を有する実質的に均質なゲルを形成した。本発明の組成物は、相分離を受けることなく、2週間、摂氏45度の安定性試験に供された。
【0069】
摂氏約80度の温度で調製した比較組成物は、不可逆的な相分離を呈した。比較実施例1では、PEG-240/HDIコポリマーとして形成されたエマルジョンは、より高い温度で沈殿せず、結果的に大きい油相凝集体を形成した。比較組成物を均質化し、摂氏45度の安定性試験に供した結果、1日以内に相分離が生じた。特定の理論に拘束されるものではないが、記憶形状材料であるPEG-240/HDIコポリマービス-デシルテトラデセス-20は、摂氏約60度の温度を超えると不可逆的な相分離を起こしたと考えられる。
【0070】
本発明は、好ましい実施形態を参照して記載しているが、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができ、その要素の代わりに同等物を使用できることが理解されよう。さらに、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために、その本質的な範囲から逸脱することなく、多くの改変を行ってもよい。したがって、本発明は、本発明を実施するために企図される最良の様式として開示されている特定の実施形態に限定されるものではないが、本発明は、添付の特許請求の範囲に含まれるすべての実施形態を含むことが意図される。