(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】診断ラボラトリ配送システム
(51)【国際特許分類】
B65G 49/00 20060101AFI20230915BHJP
【FI】
B65G49/00 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021196513
(22)【出願日】2021-12-02
【審査請求日】2021-12-02
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン-ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マウロ オスタルリック アルバレス
(72)【発明者】
【氏名】ジョルディ サンズ ペーニャ
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第01/051929(WO,A1)
【文献】特開平02-157017(JP,A)
【文献】特開2016-176902(JP,A)
【文献】特開平01-148966(JP,A)
【文献】特表2018-529062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の物品(230)を搬送するように適合されたいくつかのキャリア(240)と、
前記キャリア(240)を支持するように適合された輸送面(200)と、
前記輸送面(200)上で前記キャリア(240)を移動させるように適合された駆動手段(210)と、
前記駆動手段(210)を制御するための制御装置(215)と、
を備える診断ラボラトリ配送システム(100)であって、
前記配送システム(100)が、前記輸送面(200)用のカバー(220)を備え、
前記配送システム(100)が、前記制御装置(215)に接続された、前記輸送面(200)の上方の湿度を測定する湿度センサ(10)と、前記制御装置(215)に接続された空気流生成装置(40)と、を備え、
前記空気流生成装置(40)が、前記カバー(220)と前記輸送面(200)との間に空気流を生成するように前記配送システム(100)にわたって分散され、
前記制御装置(215)が、前記湿度センサ(10)が所定の閾値を上回る湿度を測定した場合に、前記空気流生成装置(40)を始動させるように構成され
、
前記カバー(220)が前記カバー(220)を加熱するための加熱要素(225)を備え、前記制御装置(215)が前記加熱要素(225)に接続され、前記制御装置(215)が前記湿度センサ(10)の信号の所定の第2の閾値に応じて前記加熱要素(225)を始動および停止させるように構成されている、
配送システム(100)。
【請求項2】
前記制御装置(215)が、前記湿度センサ(10)が前記所定の閾値を下回る湿度値を測定した場合に、前記空気流生成装置(40)を停止させるように構成されている、請求項1に記載の配送システム。
【請求項3】
前記空気流生成装置(40)が層流空気流を生成する、請求項1または2に記載の配送システム。
【請求項4】
前記配送システムの前記輸送面(200)が、レーンおよび交差部に配置され、前記配送システムの前記カバー(220)が負圧逃がし開孔(30)を備え、前記負圧逃がし開孔(30)が前記交差部に配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の配送システム。
【請求項5】
前記配送システム(100)が、前記輸送面(200)と前記カバー(220)との間に配置され、かつ前記制御装置(215)に接続された微生物学的センサ(20)を備え、前記制御装置(215)が、前記制御装置が前記微生物学的センサ(20)から所定の生物学的閾値を上回る信号を受信した場合に、前記空気流生成装置(40)を始動させるように構成されている、請求項1から
4のいずれか一項に記載の配送システム(100)。
【請求項6】
前記制御装置(215)が、前記微生物学的センサ(20)の前記信号が前記所定の生物学的閾値を下回った場合に、前記空気流生成装置(40)を停止するように構成されている、請求項
5に記載の配送システム(100)。
【請求項7】
前記配送システムがUV光生成装置(50)を備える、請求項
5または
6に記載の配送システム(100)。
【請求項8】
前記制御装置(215)が前記UV光生成装置(50)に接続され、前記微生物学的センサ(20)の前記信号が第2の生物学的閾値を上回った場合に前記UV光生成装置(50)を始動させる、請求項
7に記載の配送システム(100)。
【請求項9】
前記制御装置(215)が、前記微生物学的センサの前記信号が前記第2の生物学的閾値を下回った場合に前記UV光生成装置を停止させる、請求項
8に記載の配送システム(100)。
【請求項10】
1つまたは複数の物品(230)を搬送するように適合されたいくつかのキャリア(240)と、
前記キャリア(240)を支持するように適合された輸送面(200)と、
前記輸送面(200)上で前記キャリア(240)を移動させるように適合された駆動手段(210)と、
前記駆動手段(210)を制御するための制御装置(215)と、
を備える診断ラボラトリ配送システム(100)であって、
前記配送システム(100)が、前記輸送面(200)用のカバー(220)を備え、
前記配送システム(100)が、前記制御装置(215)に接続された、前記輸送面(200)の上方の湿度を測定する湿度センサ(10)と、前記制御装置(215)に接続された空気流生成装置(40)と、を備え、
前記空気流生成装置(40)が、前記カバー(220)と前記輸送面(200)との間に空気流を生成するように前記配送システム(100)にわたって分散され、
前記制御装置(215)が、前記湿度センサ(10)が所定の閾値を上回る湿度を測定した場合に、前記空気流生成装置(40)を始動させるように構成され、
前記配送システム(100)が、前記輸送面(200)と前記カバー(220)との間に配置され、かつ前記制御装置(215)に接続された微生物学的センサ(20)を備え、前記制御装置(215)が、前記制御装置が前記微生物学的センサ(20)から所定の生物学的閾値を上回る信号を受信した場合に、前記空気流生成装置(40)を始動させるように構成されている、
配送システム(100)。
【請求項11】
診断ラボラトリ配送システム(100)のための方法であって、前記配送システム(100)が、
1つまたは複数の物品(230)を搬送するように適合されたいくつかのキャリア(240)と、
前記キャリア(240)を支持するように適合された輸送面(200)と、
前記輸送面(200)上で前記キャリア(240)を移動させるように適合された駆動手段(210)と、
前記駆動手段(210)を制御するための制御装置(215)と、を備え、
前記配送システム(100)が、前記輸送面用のカバー(220)を備え、
前記配送システム(100)が、前記制御装置(215)に接続された湿度センサ(10)と、前記制御装置(215)に接続された空気流生成装置(40)と、を備え、
前記空気流生成装置(40)が、前記カバー(220)と前記輸送面(200)との間に空気流を生成するように前記配送システム(100)にわたって分散され、前記制御装置(215)が、前記湿度センサ(10)が所定の閾値を上回る湿度を測定した場合に前記空気流生成装置(40)を始動させ
、
前記配送システム(100)が微生物学的センサ(20)を備え、前記制御装置(215)が、前記制御装置(215)に接続された前記微生物学的センサ(20)が所定の微生物学的閾値を上回る信号を送信した場合に、前記空気流生成装置(40)を始動させ、前記信号が前記所定の微生物学的閾値を下回った場合に、前記空気流生成装置(40)を停止させる、方法。
【請求項12】
前記配送システムが前記制御装置(215)に接続されたUV光生成装置(50)を備え、前記制御装置(215)が、前記制御装置(215)に接続された前記微生物学的センサが第2の所定の微生物学的閾値を上回る信号を送信した場合に、前記UV光生成装置(50)を始動させ、前記信号が前記第2の所定の微生物学的閾値を下回った場合に、前記UV光生成装置(50)を停止させる、請求項
11に記載の配送システム(100)のための方法。
【請求項13】
前記UV光生成装置(50)がオンに切り替えられる前に、前記制御装置(215)が前記駆動手段(210)を作動させて、前記輸送面(200)のうち、前記微生物学的センサ(20)の前記信号が前記第2の所定の微生物学的閾値を上回る領域からすべてのキャリア(240)を移動させるようにする、請求項
12に記載の配送システム(100)のための方法。
【請求項14】
前記空気流生成装置(40)の始動信号がいかなる停止信号よりも常に高い優先度を有する、請求項
11から
13のいずれか一項に記載の配送システム(100)のための方法。
【請求項15】
診断ラボラトリ配送システム(100)のための方法であって、前記配送システム(100)が、
1つまたは複数の物品(230)を搬送するように適合されたいくつかのキャリア(240)と、
前記キャリア(240)を支持するように適合された輸送面(200)と、
前記輸送面(200)上で前記キャリア(240)を移動させるように適合された駆動手段(210)と、
前記駆動手段(210)を制御するための制御装置(215)と、を備え、
前記配送システム(100)が、前記輸送面用のカバー(220)を備え、
前記配送システム(100)が、前記制御装置(215)に接続された湿度センサ(10)と、前記制御装置(215)に接続された空気流生成装置(40)と、を備え、
前記空気流生成装置(40)が、前記カバー(220)と前記輸送面(200)との間に空気流を生成するように前記配送システム(100)にわたって分散され、前記制御装置(215)が、前記湿度センサ(10)が所定の閾値を上回る湿度を測定した場合に前記空気流生成装置(40)を始動させ、
前記カバー(220)が前記カバー(220)を加熱するための加熱要素(225)を備え、前記制御装置(215)が前記加熱要素(225)に接続され、前記制御装置(215)が前記湿度センサ(10)の信号の所定の第2の閾値に応じて前記加熱要素(225)を始動および停止させる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、診断ラボラトリ配送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
診断ラボラトリ配送システムは、例えば、欧州特許第3095739A1号または国際公開第2012/158541号に記載されている。これらの刊行物は、輸送面上に受動的キャリアまたは自己推進キャリアを有するラボラトリ試料配送システムを記載している。
【0003】
以下では、配送システムとは、任意の分析器、分析前システム、分析後システム、記憶装置などの内部でのおよびそれらの間での診断ラボラトリにおけるあらゆる種類のプローブ輸送である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、診断ラボラトリ配送システムをより信頼性の高い、安全なものにすることである。
【0005】
これは、請求項1に記載の装置および請求項10に記載の方法によって実現される。
【0006】
本発明の第1の態様は、診断ラボラトリ配送システムに関し、本配送システムは、いくつかのキャリアを含み、キャリアが1つまたは複数の物品を搬送するように適合されている。物品は、例えば、試料管、試薬容器、ピペットチップ、他の消耗材料、品質管理試料、任意の形態の廃棄物などの、診断ラボラトリにおいて配送されるいかなるものであってよい。
【0007】
配送システムの輸送面は、キャリアを支持するように適合されている。
【0008】
配送システムの駆動手段は、輸送面上でキャリアを移動させるように適合されている。駆動手段は、例えば、キャリアの磁気装置に関連する輸送面の下の磁気コイルとして、またはキャリアのホイールに接続されたキャリア自体内の電気モータとして実現することができる。
【0009】
配送システムの制御装置は、駆動手段を制御する。制御装置は、例えば、輸送面の下のコイルのドライバに接続された中央または分散型コンピューティング装置として、またはキャリアの電気モータを制御するためのキャリア内の分散型制御装置として実現される。
【0010】
配送システムは、輸送面用のカバーを備える。さらに、配送システムは、制御装置に接続された湿度センサおよび制御装置に接続された空気流生成装置を備える。湿度センサは、カバーと輸送面との間の空気の湿度を測定する。
【0011】
空気流生成装置は、カバーと輸送面との間に空気流を生成するために配送システムに分散され、
制御装置は、湿度センサが所定の閾値を上回る湿度を測定した場合に、空気流生成装置を始動させるように構成されている。
【0012】
空気流生成装置は、輸送面レイアウトの幾何学的形状に応じて、単一の装置または複数の装置とすることができる。例えば、単一の直進経路は、1つの空気流生成装置のみを必要とし、複数の交差部および分岐部を有する複雑な設計は、2つ以上の空気流生成装置を必要とする。
【0013】
さらなる実施形態では、所定の湿度閾値は、輸送される物品に依存する。
【0014】
別の実施形態では、相対湿度60%~90%、特に相対湿度70%~80%または75%の範囲の露点よりもかなり低い閾値が使用される。
【0015】
本発明の別の態様は、制御装置が、湿度センサが所定の閾値を下回る湿度値を測定した場合に、空気流生成装置を停止するように構成された配送システムである。
【0016】
本発明の配送システムのさらなる態様は、空気流生成装置が層流空気流を生成することである。
【0017】
層流とは、空気粒子が層状に滑らかな経路をたどることを意味する。
【0018】
さらなる実施形態では、湿度センサは、輸送面の上方の湿度を制御するために配送システムに分散されている。この分散は、すべての領域において空気の湿度が測定されるようなものである。
【0019】
さらに別の実施形態では、湿度センサは、連続的に動作する。さらなる実施形態では、湿度センサは、キャリアがそれぞれの湿度センサのセンサ範囲内にある場合に、湿度を測定するように適合されている。
【0020】
本発明の別の態様は、配送システムであって、配送システムの輸送面がレーンおよび交差部に配置され、配送システムのカバーが負圧逃がし開孔を備え、負圧逃がし開孔は、層流空気流が交差部で維持されるように、交差部の周囲または交差部に配置されている。
特別な実施形態では、負圧逃がし開孔は、交差部の両側に対で配置されている。
【0021】
本発明の配送システムのさらなる態様は、カバーが、カバーを加熱するための加熱要素を備え、制御装置が加熱要素に接続され、制御装置が、湿度センサの信号の所定の第2の閾値に応じて加熱要素を始動および停止させるように構成されていることである。
さらなる実施形態では、湿度センサの信号の所定の第2の閾値は、70%~99%の相対湿度、特に80%~90%または95%の相対湿度の範囲の露点未満で使用される。別の実施形態では、所定の第2の閾値は、相対湿度で測定された所定の閾値よりも高い。
【0022】
相対湿度を測定するセンサは、当技術分野において周知であり、例えば、米国特許第5844138号に記載されている。
【0023】
本発明の別の態様は、配送システムであり、本配送システムは、輸送面とカバーとの間に配置され、かつ制御装置に接続された微生物学的センサを備え、制御装置は、制御装置が微生物学的センサから所定の微生物学的閾値を上回る信号を受信した場合に空気流生成装置を始動させるように構成されている。
【0024】
本発明の配送システムのさらなる態様は、制御装置が、微生物学的センサの信号が所定の生物学的閾値を下回った場合に空気流生成装置を停止するように構成されていることである。
【0025】
閾値は、使用するセンサに依存する。微生物学的センサの例は、米国特許第20170209860号に記載されているようなリアルタイムバイオエアロゾルセンサである。
【0026】
本発明の別の態様は、配送システムであり、本配送システムは、UV光生成装置を含む。
【0027】
他の実施形態において、UV光生成装置は、ライトバルブ、LED、レーザ、LEDレーザなどのうちの1つまたは複数として実現することができる。UV光は、特に、100~400nmまたは200~300nmの波長である。
【0028】
本発明の配送システムのさらなる態様は、制御装置がUV光生成装置に接続され、微生物学的センサの信号が第2の所定の生物学的閾値を上回った場合にUV光生成装置を始動させ、特に、微生物学的センサの信号が第2の生物学的閾値を下回った場合にUV光生成装置を停止させることである。
【0029】
さらなる実施形態では、第2の所定の生物学的閾値は、所定の生物学的センサよりも高く、これは、汚染が増加するにつれて、最初に空気流生成装置が始動し、汚染が依然として増加する場合に、UV光生成装置がオンに切り替えられることを意味する。
【0030】
さらなる実施形態では、微生物学的センサは、栄養豊富な検出部位の不透明度を測定し、信号は、栄養豊富な検出部位がより不透明であるほど、および/または不透明度がより速く増加するほど、より高くなる。
【0031】
本発明の別の態様は、配送システムのための方法であって、配送システムが、1つまたは複数の物品を搬送するように適合されたいくつかのキャリアと、
キャリアを支持するように適合された輸送面と、
輸送面上でキャリアを移動させるように適合された駆動手段と、駆動手段を制御するための制御装置と、を備え、
配送システムが、輸送面用のカバーを備え、
配送システムが、制御装置に接続された湿度センサと、制御装置に接続された空気流生成装置とを備え、
空気流生成装置が、カバーと輸送面との間に空気流を生成するように配送システムに分散され、制御装置が、湿度センサが所定の閾値を上回る湿度を測定した場合に空気流生成装置を始動させる、方法である。
【0032】
特に、配送システムのための方法は、配送システム内の空気を分析し、配送システム内の空気を安全に保つ方法である。より具体的には、本方法は、配送システムによって輸送される物質間の相互汚染を低減することを可能にする。
【0033】
配送システムのための本発明の方法のさらなる態様は、配送システムが微生物学的センサを備え、制御装置に接続された微生物学的センサが微生物学的閾値を上回る信号を送信した場合に制御装置が空気流生成装置を始動させ、信号が微生物学的閾値を下回った場合に空気流生成装置を停止させることである。
【0034】
本発明の別の態様は、配送システムのための方法であり、配送システムは、制御装置に接続されたUV光生成装置を備え、制御装置は、制御装置に接続された微生物学的センサが第2の微生物学的閾値を上回る信号を送信した場合にUV光生成装置を始動させ、信号が第2の微生物学的閾値を下回った場合にUV光生成装置を停止させる。
【0035】
配送システムのための本発明の方法のさらなる態様は、UV光生成装置がオンに切り替えられる前に、制御装置が駆動手段を作動させて、輸送面のうち、微生物学的センサの信号が第2の微生物学的閾値を上回る領域からすべてのキャリアを移動させるようにすることである。
【0036】
本発明の別の態様は、空気流生成装置の始動信号がいかなる停止信号よりも常に高い優先度を有する、配送システムのための方法である。
【0037】
しかしながら、本明細書に開示される特徴の組合せに関連する他の実施形態が実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】診断ラボラトリ配送システムを備えた診断ラボラトリの概略図である。
【
図2】診断配送システムの輸送装置の概略断面図である。
【
図3】配送システムのための方法の一実施形態を示す。
【0039】
本発明のさらなる任意の特徴および実施形態は、好ましくは従属請求項と併せて、好ましい実施形態の後続の説明においてより詳細に開示される。その中で、それぞれの任意の特徴は、当業者が理解するように、独立した方法で、ならびに任意の実施可能な組合せで実現されてもよい。本発明の範囲は、好ましい実施形態によって制限されない。実施形態は、図に概略的に示されている。その中で、これらの図の同一の参照番号は、同一または機能的に匹敵する要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、診断ラボラトリ配送システム100の上面図の概略図を示す。
分析前システム110は、オペレータによって物品を受け取ることができる。診断ラボでは、これらは通常、患者の体液で満たされた管である。これらの管は、選別され、遠心分離され、体液の質がチェックされる。分析前システムは、物品230をキャリア240に引き渡す。
キャリア240は、輸送面200上で物品/管230を分析器120に輸送する。分析器120では、体液の一部が管から吸い出されて分析される。必要な測定が行われた後、管230は、輸送面200上でキャリア240によって分析後ステーション130に輸送される。
これらの分析後ステーション130は、管230をキャリアに入れるための選別装置を有し、キャリアは、次いで、冷蔵庫に輸送される。特別な管についてさらなる測定が必要な場合、分析後ステーション130は、管を回収して、再びキャリア240に入れることができ、管を、必要な測定を行う分析器120に再び輸送することができるようにする。
【0041】
輸送面200を備えた輸送システムは、分析前システム110、分析器120、および分析後ステーション130を接続し、キャリア240が輸送面200上を移動するように輸送され得るようにする。
湿度センサ10および微生物学的センサ20は、輸送システムに分散されている。これらのセンサを固定する1つの可能性が
図2に示されている。
【0042】
湿度センサ10および微生物学的センサ20は、輸送面200を覆うカバー220に固定されている。したがって、これらのセンサは、輸送面200およびカバー220によって境界付けられた管状の空間に配置される。
【0043】
微生物学的センサの例は、米国特許第20170209860号に記載されているようなリアルタイムバイオエアロゾルセンサである。相対湿度を測定するセンサは、当技術分野において周知であり、例えば、米国特許第5844138号に記載されている。また、微生物学的センサと相対湿度センサとの組合せが知られており、微生物学的センサ20と湿度センサ10を1つの装置で実現することができる。
【0044】
図1では、制御装置215は、空気流生成装置40に接続された状態でのみ示されている。輸送システム、センサ10、20、そしておそらくは、分析前システム110、分析器120、ならびに分析後装置130への他の接続も、概要を維持するために省略されている。これらの接続は、業界バス規格のケーブルベースまたは無線通信によって実現することができる。
図2に示されるすべての接続は、それぞれの装置ごとに
図1に示される実施形態にも存在する。
【0045】
図1に見られるように、4つの空気流生成装置40が層流を生成することができるように配置されている。分析前システム110または分析後装置130に接続された輸送システムの小さな分岐に対しては、特別な空気流生成装置40は、設置されていない。
【0046】
輸送面200の主接合部には、カバー220に負圧逃がし開孔30が設けられている。これにより、分析器が輸送面200に接続された領域において、1つの空気流生成装置40によって層流を生成することができる。
層流は、輸送面200上でキャリア240によって輸送される管230間の相互汚染の危険性を最小限に抑える。通常、開管230が、そのような診断ラボラトリ配送システム100において輸送されている。
【0047】
図1の左側の接合部には、2つの負圧逃がし開孔が互いに対向して配置され、空気流を層状に維持する。追加の空気流生成装置40は、それぞれの分析前システム110への分岐に必要である。この追加の空気流生成装置40は、無線通信を介して制御装置215に接続されている。
【0048】
図2には、さらにUV生成装置50が示されている。この装置は、カバー220の側面に配置されている。さらなる実施形態では、UV生成装置50は、常に微生物学的センサ20とともに配置されている。
【0049】
加えて、
図2は、カバー220を加熱するためにカバー220に接続された加熱要素225を示す。加熱要素225は、カバー220の別個の位置にある個別の加熱要素として、または分散型加熱要素として実現することができる。
【0050】
図示されていない実施形態では、分散型加熱要素は、カバー220の全長にわたってカバー材料に含まれる加熱ワイヤで実現することができる。
【0051】
加熱要素225は、カバー220においていかなる液体の凝縮も阻止することができるように、カバーを加熱する。これにより、輸送面200の上を輸送される管230の充填物を汚染する可能性のある液滴が回避される。
【0052】
図3は、配送システムのための方法の一実施形態を示す。ステップ310において、配送システム内の空気の湿度が制御される。
【0053】
特別な実施形態では、空気は、ある種の管を構築する、輸送面200とカバー220との間に閉じ込められる。
【0054】
湿度センサ10の信号は、制御装置215に送られる。
【0055】
制御装置215は、ステップ332において、管状空気体積内の空気中の相対湿度に対応する湿度センサの信号が所定の閾値を上回っているか下回っているかを判定する。
【0056】
値が所定の閾値を上回っている場合、制御装置215は、ステップ334において、空気流を生成するための信号を空気流生成装置40に送信し、信号が閾値を下回っている場合、制御装置215は、ステップ346において、停止信号を空気流生成装置に送信し、空気流を停止する。
【0057】
制御装置215はさらに、ステップ330において、ステップ310で測定された湿度センサ40の信号が第2の所定値を上回っているか否かを判定する。信号が第2の所定値を上回っている場合、制御装置215は、ステップ340において、カバー220の加熱要素225を始動させる。信号が第2の所定の値を下回っている場合、制御装置215は、ステップ342において、停止信号を加熱要素225に送信する。
【0058】
ステップ320において、微生物学的センサ20は、輸送面200とカバー220との間の管状空気体積内の空気の微生物学的汚染を測定する。ステップ334において、制御装置215は、微生物学的センサ20の値が所定の微生物学的閾値を上回っているか下回っているかを判定する。値が所定の微生物学的閾値を上回っている場合、制御装置は、ステップ344において、始動信号を空気流生成装置40に送信する。値が所定の微生物学的閾値を下回っている場合、制御装置215は、ステップ346において、停止信号を空気流生成装置40に送信する。
【0059】
空気流生成装置40は、いかなる停止信号よりも始動信号に高い優先度を与える。例えば、ステップ310における湿度センサ10およびステップ320における微生物学的センサの値の結果が異なっていることに起因して、空気流生成装置がステップ344の始動信号およびステップ346からの停止信号を同時に取得した場合、空気流生成装置40は、空気流の生成を開始する。
【0060】
ステップ336において、制御装置215は、ステップ320で測定された微生物学的センサ20の値が第2の所定の微生物学的閾値を上回っているか下回っているかを判定する。
【0061】
値が第2の所定の微生物学的閾値を下回っている場合、制御装置は、ステップ248において、停止信号をUV光生成装置50に送信する。値が所定の第2の微生物学的閾値を上回っている場合、制御装置215は、ステップ350において、すべての物品230を輸送面から除去するための信号を駆動手段210に送信する。すべての物品が除去された場合、制御装置215は、ステップ352において、UV光生成装置50に始動信号を送信する。制御装置215は、制御装置が輸送面上のすべての物品の位置を知るように、輸送面および駆動手段からフィードバックを得る。
【0062】
さらなる実施形態では、配送システム100は、別々の部分に分けられ、その結果、各部分において、管状空気体積内の空気は、制御装置215によって各部分について独立して制御される。特に、配送システム100の各部分の境界は、負圧逃がし開孔30によって画定されている。
【0063】
これにより、上述の方法を別々に使用して、配送システム100の各部分において空気汚染を抑制することが可能になる。