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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】衣料用液体洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/08 20060101AFI20230915BHJP
   C11D 1/29 20060101ALI20230915BHJP
   C11D 3/04 20060101ALI20230915BHJP
   D06F 35/00 20060101ALI20230915BHJP
   D06L 1/12 20060101ALI20230915BHJP
【FI】
C11D17/08
C11D1/29
C11D3/04
D06F35/00 Z
D06L1/12
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021204128
(22)【出願日】2021-12-16
(65)【公開番号】P2022099292
(43)【公開日】2022-07-04
【審査請求日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】P 2020212608
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】開 麻衣
(72)【発明者】
【氏名】美野輪 優
(72)【発明者】
【氏名】石塚 仁
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-073698(JP,A)
【文献】特開2014-037503(JP,A)
【文献】特表2016-503833(JP,A)
【文献】特表平10-503235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)界面活性剤〔以下、(a)成分という〕を5質量%以上30質量%以下、(b)無機塩〔以下、(b)成分という〕を5質量%以上30質量%以下、及び水を50質量%以上含有する衣料用液体洗浄剤組成物であって、
(a)成分が、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、及び陽イオン界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤であり
(a)成分として、陰イオン界面活性剤を含有し、(a)成分中、陰イオン界面活性剤の割合が80質量%以上であり、
(a)成分として、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩を含有し、
(a)成分中、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩の割合が80質量%以上であり、
(a)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比である、(a)/(b)が0.5以上2以下であり、
当該組成物を体積基準で0.4倍の水で希釈した希釈物の30℃での粘度が1000mPa・sを超え、
前記希釈物の粘度(30℃)が、希釈前の組成物の粘度(30℃)の2倍以上である、衣料用液体洗浄剤組成物。
【請求項2】
(b)成分として、無機硫酸塩、及び無機塩化物から選ばれる1種以上の無機塩を含有する、請求項1に記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
(b)成分として、硫酸ナトリウム及び硫酸マグネシウムから選ばれる無機塩を含有する、請求項1又は2に記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
30℃のpHが8以上11以下である、請求項1~の何れか1項に記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
手洗い用である、請求項1~の何れか1項に記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【請求項6】
塗布型である、請求項1~の何れか1項に記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【請求項7】
請求項1~の何れか1項に記載の衣料用液体洗浄剤組成物で衣料を洗浄する、衣料の洗浄方法。
【請求項8】
前記衣料用液体洗浄剤組成物を衣料に塗布した後、当該衣料を洗浄する、請求項に記載の衣料の洗浄方法。
【請求項9】
前記衣料用液体洗浄剤組成物を衣料に塗布し、塗布された箇所を手洗いする、請求項又はに記載の衣料の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣料用液体洗浄剤組成物、及び衣料の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衣料等の繊維製品の洗濯方法には、大きく分けて手洗い洗濯と洗濯機洗濯の2種類がある。近年では、アジア地域の洗濯機の普及が増加する傾向にあるが、洗浄力、経済性、文化的背景、洗濯意識などから、手洗い洗濯が広く行われている。手洗い洗濯は、作業者が汚れの落ち具合を確認しながら洗浄できるため、繊維に付着した全体的な汚れだけでなく、部分的な食べこぼし等の汚れを落とす洗浄にも適している。手洗い洗濯では、多くの作業者が、洗浄剤、例えば粉末状や液体状の洗浄剤を水に溶かして得た洗浄液を用いて衣料を洗濯している。
【0003】
液体状の洗浄剤は、洗浄液の調製に用いる他に、繊維製品に直接塗布して用いることもできる。例えば、手洗い洗濯では、作業中に、繊維製品の汚れが目立つ箇所に液体洗浄剤を塗布してもみ洗い等することができる。
【0004】
特許文献1には、液体洗剤であって、その約5重量%~約20重量%の界面活性剤系を含み、前記界面活性剤系が0.20~1.75のアルコキシル化度を有するアルコキシル化アニオン性界面活性剤を含み、前記洗剤は20℃で約2500mPa・s~約6000mPa・sの注入粘度を有し、中剪断粘度の高剪断粘度に対する比が約2~約1である、液体洗剤が開示されている。当該液体洗剤は、塩化ナトリウム等の電解質を含有できるとされている。
【0005】
特許文献2には、エチレンオキシ基を含む所定のエーテル硫酸エステル塩と炭素数3又は4のアルキレンオキシ基を含む所定のエーテル硫酸エステル塩とを混合して得られる界面活性剤組成物が開示されている。当該界面活性剤組成物は、更に、塩化ナトリウム等の無機塩を含有できるとされている。
【0006】
特許文献3には、(A)特定のα-スルホ脂肪酸アルキルエステル塩と、(B)(A)以外のアニオン界面活性剤と、(C)ベタイン型両性界面活性剤とを含有する液体洗浄剤が開示されている。当該液体洗浄剤は、更に、硫酸マグネシウム等の水溶性無機塩を含有できるとされている。
【0007】
特許文献4には、界面活性剤を20~60質量%含有し、20℃の粘度が10~1000mPa・sの衣料用塗布用洗浄剤組成物であって、該組成物100質量部に対して水10質量部を加えた時に、20℃の粘度が5%以上増加する衣料用塗布用洗浄剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特表2016-503833号公報
【文献】特開2009-120664号公報
【文献】国際公開第2017/069017号
【文献】特開2003-73698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の通り、液体状の洗浄剤は、手洗い洗濯の作業中に、繊維製品の汚れが目立つ箇所に液体洗浄剤を塗布してもみ洗い等することができる。一般に、液体洗浄剤組成物の粘度を高くすることは、塗布洗浄には望ましいと考えられるが、一方で製造工程などでの取り扱い性を低下させることが懸念される。
【0010】
本発明は、取り扱い性に優れた粘度を有し、且つより優れた洗浄力、とりわけ食品由来の油汚れに対してより優れた洗浄力を示す衣料用液体洗浄剤組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、(a)界面活性剤〔以下、(a)成分という〕を5質量%以上30質量%以下、(b)無機塩〔以下、(b)成分という〕、及び水を含有する衣料用液体洗浄剤組成物であって、
当該組成物を体積基準で0.4倍の水で希釈した希釈物の30℃での粘度が1000mPa・sを超え、
前記希釈物の粘度(30℃)が、希釈前の組成物の粘度(30℃)の2倍以上である、衣料用液体洗浄剤組成物に関する。
【0012】
また、本発明は、前記本発明の衣料用液体洗浄剤組成物で衣料を洗浄する、衣料の洗浄方法に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、取り扱い性に優れた粘度を有し、且つより優れた洗浄力、とりわけ食品由来の油汚れに対してより優れた洗浄力を示す衣料用液体洗浄剤組成物が提供される。以下、洗浄力という場合は、特記しない限り、食品由来の油汚れに対する洗浄力も含む意味である。
一般に、液体洗浄剤を容器から取り出す時や洗濯機に投入する時は、低粘度の方が扱いやすい。液体洗浄剤を汚れに塗布後、洗濯場面では液体洗浄剤は通常は水に希釈されることで粘度が低下し、水に分散され、汚れ表面に存在する液体洗浄剤の濃度が低下するが、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、希釈により高粘度化することにより、汚れに高密着し、水への分散を遅らせ、長時間汚れに高濃度で接触することが可能となり、高洗浄力を発現するものと推察される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(a)成分は界面活性剤である。
(a)成分としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤が挙げられる。
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(a)成分として、陰イオン界面活性剤を含有することが好ましい。この場合、陰イオン界面活性剤以外の界面活性剤を含有することもでき、陰イオン界面活性剤以外の界面活性剤は、非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる界面活性剤が好ましい。
【0015】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、洗浄力及び溶解性の観点から、(a)成分を、5質量%以上、好ましくは7質量%以上、より好ましくは10質量%以上、そして、30質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下含有する。なお、本発明では、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物を調製する際の(a)成分等の各成分の配合量をそれぞれの含有量と見なすことができる。
【0016】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、洗浄力の観点から、(a)成分として、陰イオン界面活性剤を含有し、(a)成分中、陰イオン界面活性剤の割合が80質量%以上、更に85質量%以上、更に90質量%以上、そして、100質量%以下であることが好ましく、この割合は100質量%であってもよい。
【0017】
本発明の衣料用液体洗剤組成物は、陰イオン界面活性剤を、洗浄力の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、そして、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量以下含有する。
【0018】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(a)成分として、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩(以下、AESという)を含有することが好ましい。AESのオキシアルキレン基は、オキシエチレン基、オキシプロピレン基などが挙げられる。AESのオキシアルキレン基の平均付加モル数は、好ましくは1以上4以下である。AESのアルキル基は、好ましくは炭素数8以上、より好ましくは10以上であり、更に、好ましくは炭素数18以下、より好ましくは炭素数16以下である。AESが塩である場合、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
【0019】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、洗浄力の観点から、(a)成分として、AESを含有し、(a)成分中、AESの割合が80質量%以上、更に85質量%以上、更に90質量%以上、そして、100質量%以下であることが好ましく、この割合は100質量%であってもよい。
【0020】
本発明の衣料用液体洗剤組成物は、AESを、洗浄力及び粘度の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、そして、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量以下含有する。
【0021】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(b)成分として、無機塩を含有する。
(b)成分としては、無機硫酸塩、及び無機塩化物から選ばれる1種以上の無機塩が挙げられる。
無機硫酸塩としては、硫酸アルカリ金属塩、硫酸アルカリ土類金属塩などが挙げられる。硫酸アルカリ金属塩は、硫酸ナトリウムが挙げられる。硫酸アルカリ土類金属塩は、硫酸マグネシウムが挙げられる。
無機塩化物としては、アルカリ金属塩化物などが挙げられる。アルカリ金属塩化物は、塩化リチウム、塩化ナトリウムが挙げられる。
【0022】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(b)成分として、硫酸ナトリウム及び硫酸マグネシウムから選ばれる1種以上の無機塩を含有することが好ましい。
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(b)成分として、硫酸ナトリウムを含有することがより好ましい。
【0023】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(b)成分として、硫酸ナトリウムを含有し、且つ、硫酸ナトリウム以外の無機塩を含有することができる。その場合、硫酸ナトリウム以外の無機塩は、硫酸マグネシウム、塩化リチウム、及び塩化ナトリウムから選ばれる1種以上の無機塩であることが好ましい。
【0024】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、粘度制御の観点から、(b)成分を、好ましくは5質量%以上、より好ましくは7質量%以上、更に好ましくは8質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして溶解性の観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下含有する。
【0025】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、洗浄力の観点から、組成物中の(a)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比である、(a)/(b)が、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.7以上、そして、好ましくは5以下、より好ましくは2以下である。
【0026】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、水を含有する。組成物中の水の含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下である。
【0027】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(a)成分、(b)成分、及び水を含む成分を配合してなる衣料用液体洗浄剤組成物であって、
(a)成分の配合量が、全配合成分中、5質量%以上30質量%以下であり、
当該組成物を体積基準で0.4倍の水で希釈した希釈物の30℃での粘度が1000mPa・sを超え、
前記希釈物の粘度(30℃)が、希釈前の組成物の粘度(30℃)の2倍以上である、衣料用液体洗浄剤組成物であってよい。
【0028】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、任意成分として、増泡剤、酵素、pH調整剤、安定化剤、蛍光染料、香料、色素、防腐剤、溶剤などの成分を含有することができる。
pH調整剤としては、アルカリ剤、酸剤が挙げられる。アルカリ剤としては、例えば、モノエタノールアミンなどのアルカノールアミン、更に炭素数1以上5以下のアルカノールアミンが挙げられる。酸剤としては、例えば、クエン酸などの有機酸が挙げられる。pH調整剤は、本発明の組成物のpHが後述する範囲となるように用いることが好ましい。pH調整剤のうちアルカリ剤としては、洗浄力と安定性の観点から、モノエタノールアミンなどのアルカノールアミンが好ましい。本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、アルカノールアミン、更にモノエタノールアミンを、例えば、0.2質量%以上、更に0.4質量%以上、そして、2質量%以下、更に1質量%以下含有することができる。pH調整剤のうち酸剤としては、洗浄力と安定性の観点から、クエン酸などの有機酸が好ましい。本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、有機酸、更にクエン酸を、例えば、0.05質量%以上、更に0.1質量%以上、そして、2質量%以下、更に1質量%以下含有することができる。
【0029】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、30℃での粘度(以下、原液粘度ともいう)が、好ましくは500mPa・s以上、より好ましくは800mPa・s以上、そして、好ましくは100000mPa・s以下、より好ましくは50000mPa・s以下である。原液粘度は、B型粘度計(VISCOMETER TVB-10、東機産業(株)製)(30℃、M3、1
2rpm)で測定されたものである。
【0030】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、洗浄力と溶解性の観点から、当該組成物を体積基準で0.4倍の水で希釈した希釈物の30℃での粘度(以下、希釈粘度ともいう)が1000mPa・sを超える。希釈粘度は、好ましくは5000mPa・s以上、より好ましくは10000mPa・s以上、そして、好ましくは100000mPa・s以下、より好ましくは80000mPa・s以下である。希釈粘度は、原液粘度と同様の方法で測定されたものである。希釈物の調製に用いる水はイオン交換水を用いる。
【0031】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、洗浄力と溶解性の観点から、希釈粘度(30℃)が、希釈前の組成物の粘度(30℃)、すなわち原液粘度の2倍以上、好ましくは2.5倍以上、より好ましくは3倍以上、より好ましくは5倍以上、より好ましくは10倍以上、より好ましくは15倍以上、そして、好ましくは30倍以下、より好ましくは25倍以下である。
【0032】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物では、原液粘度は、配合する成分のうち、例えば、界面活性剤や無機塩などの成分を増量することにより、値が大きくなる傾向がある。これを踏まえて、界面活性剤や無機塩などの成分の種類や量を調整することで、原液粘度を調整することができる。
また、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物では、希釈粘度は、配合する成分のうち、例えば、界面活性剤や無機塩などの成分を増量することにより、値が大きくなる傾向がある。これを踏まえて、界面活性剤や無機塩などの成分の種類や量を調整することで、希釈粘度を調整することができる。
【0033】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、洗浄力の観点から、30℃でのpHが、好ましくは8以上、より好ましくは9以上、そして、好ましくは11以下、より好ましくは10.5以下である。このpHは、例えば、pHメーター(株式会社堀場製作所、型番:D-71)を用いて測定されたものであってよい。
【0034】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、手洗い用、すなわち衣料の手洗い用として好適である。
【0035】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、塗布型の組成物として好適である。塗布型とは、衣料に直接塗布して洗浄に供する洗浄方法に使用されることを意味するものであってよい。
【0036】
本発明により、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物で衣料を洗浄する、衣料の洗浄方法が提供される。
本発明の洗浄方法では、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物を衣料に塗布した後、当該衣料を洗浄することができる。
本発明の洗浄方法では、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物を衣料に塗布し、塗布された箇所を手洗いすることができる。
【0037】
本発明の衣料の洗浄方法では、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物が、衣料に塗布された箇所で、水で希釈されることが好ましい。希釈は、例えば、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物を衣料に塗布した後、水を接触させる、水を含んだ衣料に本発明の衣料用液体洗浄剤組成物を塗布する、などの方法により行うことができる。希釈の倍率は、好ましくは2倍以上、そして、好ましくは100倍以下である。
【0038】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物を用いた洗浄方法の一例として、(1)本発明の衣料用液体洗浄剤組成物と水とを用いて洗浄液を調製すること、(2)前記洗浄液に衣料を浸漬し、浸漬した衣料に本発明の衣料用液体洗浄剤組成物を塗布すること、(3)前記衣料の塗布された箇所を手洗いすること、を行う衣料の洗浄方法が挙げられる。
【0039】
更に、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物を用いた洗浄方法の他の例として、(1)本発明の衣料用液体洗浄剤組成物と水とを用いて洗浄液を調製すること、(2)前記洗浄液に衣料を浸漬し、浸漬した衣料に本発明の衣料用液体洗浄剤組成物を塗布すること、(3)前記衣料の塗布された箇所を手洗いすること、(4)手洗い後の前記衣料を前記洗浄液と接触させ、当該衣料を手洗い洗浄すること、を行う衣料の洗浄方法が挙げられる。
【0040】
手洗いの方法としては、衣料を手でもみ洗いする方法、衣料同士を手で擦り合わせる方法、衣料を繊維束を植毛したブラシなどの道具を用いて擦り洗いする方法などが挙げられる。
【実施例
【0041】
表1に示す配合成分を用いて衣料用液体洗浄剤組成物を調製し、以下の評価を行った。結果を表1に示す。表中の衣料用液体洗浄剤組成物は、いずれも30℃のpHが9であった。なお、表で用いた成分は以下のものである。
・ES(1):ポリオキシエチレン(エチレンオキサイド平均付加モル数1)ラウリルエーテル硫酸エステルナトリウム、エマール170J(花王(株)製)
【0042】
<モデル汚染布の作製>
モデル油として、トリオレインにスダンIIを0.1%溶解させ、着色したものを使用した。
6cm×6cmの木綿/ポリエステルブロード混紡染着布(木綿/ポリエステル比=35/65 谷頭商店より購入)に、モデル油を100μl塗布し、一晩静置してモデル汚染布を複数作製した。
【0043】
<塗布洗浄条件>
モデル汚染布を4枚用い、1枚につき衣料用液体洗浄剤組成物0.2gを直接塗布し、10分放置した。炭酸カルシウム換算で179mg/Lの硬水(本硬水はドイツ硬度で10°DHに相当する)1Lに、衣料用液体洗浄剤組成物を塗布した汚染布4枚を入れて、ターゴトメーターにて以下の条件で洗浄した。
洗浄時間5分、回転速度100rpm
水温30℃
洗浄力は、汚染前の原布、及び洗浄前後の460nmにおける反射率を測色色差計(日本電色株式会社製 Z-300A)にて測定し、次式によって洗浄率(%)を求めた。汚染布4枚の洗浄率をそれぞれ求め、その平均値を表に示した。この評価では、洗浄率が75%以上であることが望ましい。
洗浄率(%)=100×[(洗浄後の反射率-洗浄前の反射率)/(原布の反射率-洗浄前の反射率)]
【0044】
【表1】
【0045】
表中、希釈粘度は、組成物の原液35mlをイオン交換水14mlで希釈した希釈物の30℃の粘度である。また、表中、希釈増粘値は、希釈粘度/原液粘度の値である。