(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】監視装置、電子機器、単一ケーブル衛星システム、および監視方法
(51)【国際特許分類】
H04L 12/407 20060101AFI20230915BHJP
H04H 40/90 20080101ALI20230915BHJP
H04N 21/647 20110101ALI20230915BHJP
【FI】
H04L12/407
H04H40/90
H04N21/647
(21)【出願番号】P 2021505723
(86)(22)【出願日】2018-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2018070982
(87)【国際公開番号】W WO2020025136
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】513121384
【氏名又は名称】ベステル エレクトロニク サナイー ベ ティカレト エー.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ウナル,オルグン
【審査官】野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0256246(US,A1)
【文献】米国特許第06175556(US,B1)
【文献】特開平09-069845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/40
H04H 40/90
H04N 21/647
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸ケーブル(150、250、350)の制御信号の衝突を監視するための監視装置(100、340)であって、
前記同軸ケーブル(150、250、350)に送信される
DiSEqC制御信号(102、202、302、332)を検出するために、前記監視装置(100、340)を前記同軸ケーブル(150、250、350)に結合するように構成された入力ポート(101、341)と、
前記監視装置(100、340)をデータネットワーク(152、252、352)に結合するように構成され
、検出された
DiSEqC制御信号(104、204、304)を出力するように構成されたデータインターフェース(103、342)と、
前記DiSEqC制御信号(102、202、302、332)の存在について前記同軸ケーブル(150、250、350)で検出された信号を分析するように構成された制御ユニット(343)と、を含み、
前記制御ユニット(343)は、さらに、前記データインターフェース(103、342)を介して前記検出されたDiSEqC制御信号(
104、204、304)と、を含み、
前記制御ユニット(343)が前記同軸ケーブル(150、250、350)の少なくとも2つのDiSEqC制御信号(102、202、302、332)の衝突を検出する場合、前記制御ユニット(343)は、前記衝突が発生するまで前記データインターフェース(103、342)を介して前記制御ユニット(343)によって受信される部分的なDiSEqC制御信号(323)を出力するように構成される、監視装置(100、340)。
【請求項2】
前記制御ユニット(343)は、前記同軸ケーブル(150、250、350)で検出された前記信号をデコードし、前記同軸ケーブル(150、250、350)の少なくとも2つのDiSEqC制御信号(102、202、302、332)の衝突を検出し、前記データインターフェース(103、342)を介してそれぞれの情報を出力する、請求項1に記載の監視装置(100、340)。
【請求項3】
同軸ケーブル(150、250、350)を介して衛星信号を受信するための電子機器(200、320、328)であって、
前記電子機器(200、320、328)を前記同軸ケーブル(150、250、350)に結合するように構成された信号インターフェース(205、325、329)と、
請求項1または請求項2に記載の監視装置(100、340)に
前記電子機器(200、320、328)を結合するように構成されたデータインターフェース(206、326、330)と、
前記信号インターフェース(205、325、329)を介して前記同軸ケーブル(150、250、350)にDi
SEqC制御信号(102、202、302、332)を送信し、前記同軸ケーブル(150、250、350)の前記
DiSEqC制御信号(102、202、302、332)の存在について、前記データインターフェース(206、326、330)を介して前記監視装置(100、340)に照会するように構成された機器制御ユニット(207、327、331)と、を含み
、
前記機器制御ユニット(207、327、331)は、前記監視装置(100、340)から部分的なDiSEqC制御信号(323)を受信し、前記部分的なDiSEqC制御信号(323)が最後に送信された
DiSEqC制御信号(102、202、302、332)に対応する場合、前記最後に送信された
DiSEqC制御信号(102、202、302、332)を直ち
に送信するように構成され、
前記部分的なDiSEqC制御信号(323)が前記最後に送信された
DiSEqC制御信号(102、202、302、332)に対応しない場合、前記機器制御ユニット(207、327、331)は、所定の時間の後に前記最後に送信された
DiSEqC制御信号(102、202、302、332)
を送信するように構成される、電子機器(200、320、328)。
【請求項4】
衛星信号受信機(321)と、
前記衛星信号受信機(321)に結合される単一の同軸ケーブル(150、250、350)と、
前記単一の同軸ケーブル(150、250、350)に結合される請求項1
または請求項
2に記載の監視装置(100、340)と、
前記単一の同軸ケーブル(150、250、350)に結合される請求項3に記載
の電子機器(200、320、328)と、を含む単一ケーブル衛星システム(300)。
【請求項5】
同軸ケーブル(150、250、350)の制御信号の衝突を監視するための監視方法であって、
電子機器(200、320、328)の信号インターフェースを介して、前記同軸ケーブル(150、250、350)に
DiSEqC制御信号(102、202、302、332
)を送信し(S1)、
監視装置(100、340)において、前記同軸ケーブル(150、250、350)に送信される前記
DiSEqC制御信号(102、202、302、332)を検出し(S2)、
データネットワーク(152、252、352)を介して、前記電子機器(200、320、328)を用いて前記同軸ケーブル(150、250、350)の前記
DiSEqC制御信号(102、202、302、332)の存在を照会し(S3)、
前記電子機器(200、320、328)からの照会に基づき、前記監視装置(100、340)を用いて、前記データネットワーク(152、252、352)を介し
て検出された
DiSEqC制御信号(104、204、304)を出力し(S4)、
前記監視装置(100、340)において、
前記DiSEqC制御信号
(102、202、302、332)の存在について前記同軸ケーブル(150、250、350)で検出された信号を分析し、前記データネットワーク(152、252、352)を介して前記検出されたDiSEqC制御信号(
104、204、304)を出力する、ことを含み、
前記監視装置(100、340)において、前記同軸ケーブル(150、250、350)の少なくとも2つのDiSEqC制御信号
(102、202、302、332)の衝突が検出される場合、前記衝突が発生するまで、前記データネットワーク(152、252、352)を介して前記同軸ケーブル(150、250、350)に存在する部分的なDiSEqC制御信号(323)が出力される、監視方法。
【請求項6】
前記監視装置(100、340)において、前記同軸ケーブル(150、250、350)で検出された前記信号をデコードし、前記同軸ケーブル(150、250、350)の少なくとも2つのDiSEqC制御信号
(102、202、302、332)の衝突を検出し、前記データネットワーク(152、252、352)を介してそれぞれの情報を出力する、請求項5に記載の監視方法。
【請求項7】
前記電子機器(200、320、328)において、前記同軸ケーブル(150、250、350)を介して送信され、前記同軸ケーブル(150、250、350)に存在するとして報告されない
DiSEqC制御信号(102、202、302、332)
を送信する、請求項5または請求項6に記載の監視方法。
【請求項8】
前記電子機器(200、320、328)において、
前記部分的なDiSEqC制御信号(323)を受信し、前記部分的なDiSEqC制御信号(323)が電子機器(200、320、328)によって送信された最後に送信された
DiSEqC制御信号(102、202、302、332)に対応する場合、前記最後
に送信されたDiSEqC制御信号(102、202、302、332)を直ち
に送信し、または前記部分的なDiSEqC制御信号(323)が前記最後に送信された
DiSEqC制御信号(102、202、302、332)に対応しない場合、所定の時間の後に前記
最後に送信されたDiSEqC制御信号(102、202、302、332)
を送信する、請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載の監視方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
あらゆる単一ケーブル信号伝送システムに適用可能であるが、本発明は、主に単一ケーブル衛星システムと併せて説明される。
【0002】
今日、テレビおよびラジオ番組は、複数の異なる流通チャネルを介して受信される場合がある。特に遠隔地では、衛星ベースのテレビおよびラジオの受信が広く使用されている。このような衛星ベースのテレビおよびラジオの受信の利点は、地上インフラストラクチャを提供する必要がなく、遠隔地でも衛星信号で簡単に到達できることである。
【0003】
建物へのそのような衛星設備は、例えば、衛星放送受信アンテナおよび衛星放送受信アンテナに接続されているテレビセットのみである。より大きな建物では、複数のテレビセットまたはセットトップボックス(set-top boxes)が、単一のLNBを備えた単一の衛星放送受信アンテナによって提供される場合がある。そのようなシステムでは、クアトロLNB(quattro LNB)からの信号をテレビおよびセットトップボックスのような複数の機器に分配するマルチスイッチを使用することができる。
【0004】
しかしながら、マルチスイッチを使用すると、設備を実行するために必要なケーブル敷設の労力が大幅に増加する。したがって、マルチスイッチの代わりに、いわゆる単一ケーブルまたユニケーブル(unicable)設備が導入された。
【0005】
ユニケーブル設備により、単一の同軸ケーブルを介して複数のユーザに衛星信号を配信でき、家庭用電化製品をサポートするために必要な多数のケーブルが不要になる。
【0006】
ユニケーブル設備では、各衛星受信機に専用のユーザ帯域が割り当てられる。このようなユーザ帯域は、トランスポンダとほぼ同じ帯域幅を持っている。受信機は、いわゆるDiSEqCコマンドまたはDiSEqC制御信号を介して特定のトランスポンダ周波数を要求する場合がある。LNBまたは分配ユニットでは、ミキサーが受信した衛星信号をそれぞれの受信機の正しいユーザ帯域に変換する。次に、さまざまなユーザの変換された信号が結合され、単一の同軸ケーブルを介して受信機に送信される。結合された信号は、例えば、すべてのユーザに到達するためにタップまたは分割される。
【0007】
しかしながら、このような設備では、DiSEqCコマンドの衝突(collisions)が発生する場合がある。これにより、受信機がユーザ帯域で間違った衛星信号を受信する場合がある。
【0008】
したがって、ユニケーブル衛星設備における制御信号処理を改善する必要がある。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、請求項1の特徴を有する監視装置、請求項5の特徴を有する電子機器、請求項8の特徴を有する単一ケーブル衛星システム、および請求項9の特徴を有する監視方法を提供する。
【0010】
したがって、同軸ケーブルの制御信号の衝突を監視するための監視装置が提供され、監視装置は、同軸ケーブルで送信される制御信号を検出するために、監視装置を同軸ケーブルに結合するように構成された入力ポートと、監視装置をデータネットワークに結合するように構成され、検出された制御を出力するように構成されたデータインターフェースと、を含む。
【0011】
また、同軸ケーブルを介して衛星信号を受信するための電子機器が提供され、機器は、電子機器を同軸ケーブルに結合するように構成された信号インターフェースと、電子機器を前述の請求項のいずれか一項に記載された監視装置に結合するように構成されたデータインターフェースと、信号インターフェースを介して同軸ケーブルに制御信号、特にDiSEqC制御信号を送信し、同軸ケーブルのそれぞれの制御信号の存在について、データインターフェースを介して監視装置に照会するように構成された機器制御ユニットと、を含む。
【0012】
さらに、単一ケーブル衛星システムが提供され、単一ケーブル衛星システムは、ユニケーブル対応LNBなどの衛星信号受信機と、衛星信号受信器に結合される単一の同軸ケーブルと、単一の同軸ケーブルに結合される本発明に係る監視装置と、単一の同一ケーブルに結合される本発明に係る少なくとも1つの電子機器と、を含む。
【0013】
また、同軸ケーブルの制御信号の衝突を監視するための方法が提供され、監視方法は、電子機器の信号インターフェースを介して、同軸ケーブルに制御信号、特にDiSEqC制御信号を送信し、監視装置において、同軸ケーブルに送信される制御信号を検出し、データネットワークを介して、電子機器を用いて同軸ケーブルのそれぞれの制御信号の存在を照会し、監視装置を用いてデータネットワークを介して検出された制御信号を出力する。
【0014】
本発明は、例えば単一ケーブル衛星設備、ユニケーブル衛星設備とも呼ばれるテレビセットまたはセットトップボックスなどの電子機器において、DiSEqCコマンドまたはDiSEqC制御信号の衝突を検出することが困難であるという発見に基づいている。
【0015】
したがって、本発明は、単一の電子機器が、衛星システムのLNBなどの衛星信号受信機へのDiSEqC制御信号が同軸ケーブルを介して衛星受信機に正しく送信されたかどうかを検証することを可能にする第2の通信チャネルを含むシステムを提供する。本文脈において、電子機器という用語は、同軸ケーブルを介して衛星信号を受信することができ、単一の同軸ケーブルを介して、DiSEqC制御信号などの制御信号を送信することができるあらゆる機器をいう。
【0016】
この第2のチャネルは、第2のチャネルを介して同軸ケーブルに送信されるDiSEqC制御信号に関する情報を提供することができる監視装置によって提供される。第2のチャネルは、例えば、有線または無線などのデータネットワークなど、あらゆるタイプのデータチャネルなどであってもよい。そのような有線または無線のデータネットワークは、例えば、イーサネットワーク、光ネットワーク、WIFIネットワークなどのワイヤレスネットワーク、またはその他のタイプのネットワークを含むことが理解される。そのようなネットワークは、例えば、単一ケーブル衛星システムの監視装置と電子機器とを相互接続するようなルータ、スイッチなどの複数の異なる要素を含む場合があることがさらに理解される。
【0017】
本発明に係る単一ケーブル衛星システムは、電子機器が監視装置に照会し、DiSEqC制御信号が単一の同軸ケーブルを介して衛星信号受信機に正しく送信されるかどうかを検証することを可能にする。この目的のため、電子機器は、例えば、WIFIネットワークなどのデータインターフェースを介して、監視装置を用いてデータ通信を確立し、監視装置が同軸ケーブルで識別したDiSEqC制御信号を照会
【0018】
電子機器の1つのみがDiSEqC制御信号を送信する場合、監視装置はこの信号を検出し、データインターフェースを介して電子機器にそれぞれの情報を提供する。しかしながら、複数のDiSEqC制御信号が同時に送信され、互いに衝突する場合、監視装置は正しいDiSEqC制御信号を検出しない。したがって、この場合、監視装置は、検出されたDiSEqC制御信号に関する情報を電子装置に提供しない。したがって、電子装置は、制御信号の衝突が発生したことを認識し、それに応じて応答してもよい。
【0019】
要約すると、本発明は、電子機器が、DiSEqC制御信号が衛星信号受信機に正しく送信されるかどうかを判定するための信頼できる方法を提供する。これにより、DiSEqC制御信号が正しく送信されなかった場合に、電子機器がそれぞれのアクションを実行できるようになる。
【0020】
監視装置は、例えば、同軸ケーブルインターフェースおよびネットワークインターフェースを備えた組み込みシステムなどの専用の装置であってもよいことが理解される。あるいは、監視装置は、例えば、衛星信号受信機と統合されていてもよいことが理解される。例えば、少なくとも1つの同軸ケーブルポートおよびネットワークポートまたはWIFIインターフェースを含む拡張LNBが提供されてもよい。そのような拡張LNBは、例えば、衛星信号を受信し、および転送すると同時に、監視装置の機能を提供してもよい。そのようなLNBは、例えば、同軸ケーブルを介して、またはネットワークポートが存在する場合はパワーオーバーイーサーネットなどのイーサーネットケーブルを介して、電気エネルギーが供給されてもよい。
【0021】
本発明のさらなる実施形態は、図面を参照して、さらなる従属項および以下の説明の対象となる。
【0022】
一実施形態において、監視装置は、DisEqC制御信号の存在について同軸ケーブルで検出された信号を分析するように構成された制御ユニットを含み、制御ユニットは、さらに、例えば、データインターフェースに結合された機器による要求に応じて、データインターフェースを介して検出されるDisEqC制御信号を出力するように構成される。
【0023】
監視装置は、例えば、同軸ケーブルを介して送信される制御信号を受信できるマイクロコントローラまたは別の種類のプロセッサを含んでいてもよい。
【0024】
別の実施形態では、制御ユニットは、同軸ケーブルで検出された信号をデコードし、同軸ケーブルの少なくとも2つのDiSEqC制御信号の衝突を検出し、データインターフェースを介してそれぞれの情報を出力するように構成されてもよい。
【0025】
上述したDiSEqC制御信号デコーダの代わりに、DiSEqC制御信号デコーダのロジックは、例えば、ファームウェアとしてマイクロコントローラまたはプロセッサに、またはASIC、FPGAなどの専用の要素で実装されていてもよい。この場合、制御ユニットは、DiSEqC制御信号のデコードを実行するだけでなくてもよい。代わりに、制御ユニットは、別の衝突するDiSEqC制御信号によってカバーされる部分的なDiSEqC制御信号を検出してもよい。
【0026】
この場合、制御ユニットは、例えば、データインターフェースを介して検出された衝突に関する情報を出力してもよい。そのような情報は、例えば、ブロードキャストメッセージで、または専用メッセージで、データインターフェースを介して制御ユニットによってアクティブに送信されてもよい。あるいは、DiSEqC制御信号デコーダは、衝突を検出し、制御ユニットにそれぞれの情報を提供する機能を含んでいてもよい。
【0027】
監視装置と電子機器との間のデータの送信は、例えば、独自の高レベルプロトコル、またはTCP/IPもしくはUDP通信上のMQTTなどの他のプロトコルに基づいて実行されてもよいことが理解される。
【0028】
さらなる実施形態では、制御ユニットが同軸ケーブルの少なくとも2つのDiSEqC制御信号の衝突を検出する場合、制御ユニットは、衝突が発生するまでデータインターフェースを介して制御ユニットによって受信される部分的なDiSEqC制御信号を出力するように構成されてもよい。
【0029】
2つの制御信号間の衝突は、第1のDiSEqC制御信号の送信中の任意の時点で発生する場合がある。これは、それぞれのDiSEqC制御信号の少なくとも一部が正しく送信される場合があることを意味する。したがって、制御ユニットは、少なくとも、第1のDiSEqC制御信号のセクションを正しくデコードすることができる。
【0030】
次に、制御ユニットは、電子機器にデコードすることができる情報を提供してもよい。上記は、監視装置と電子機器との間のデータの送信についても適用される。
【0031】
これにより、DiSEqC制御信号を発し、衝突を引き起こした電子機器が、どの機器が最初にDiSEqC制御信号の送信を開始したかを判定することができる。電子機器は、例えば、機器が発したDiSEqC制御信号を、監視装置の制御ユニットによって提供される受信されたDiSEqC制御信号のセクションと比較することを開始する。監視装置の制御ユニットによって提供される受信されたDiSEqC制御信号のセクションと一致するDiSEqC制御信号を送信した電子装置は、それがDiSEqC制御信号を送信した最初の電子装置であると判定してもよい。
【0032】
次に、この電子機器は、例えば、DiSEqC制御信号を再送信することを直ちに開始することができる。これに対し、他の電子機器は、例えば、それぞれのDiSEqC制御信号を再送信するまで、所定の時間待機してもよい。
【0033】
他の電子機器は、また、少なくともDiSEqC制御信号と同じ長さ、およびDiSEqC制御信号の長さの倍数である任意の時間またはランダムな時間待機してもよい。特に、複数の電子機器を備えた設備では、2つより多い電子機器が最初の衝突を引き起こした場合でも、これによりDisEqC制御信号の順次送信が提供される。
【0034】
一実施形態では、機器制御ユニットは、同軸ケーブルを介して機器制御ユニットによって送信され、監視装置によって同軸ケーブルに存在するとして報告されない制御信号を再送信するように構成されてもよい。
【0035】
機器制御ユニットは、例えば、専用ユニットを含んでいてもよく、電子機器のプロセッサに実装されてもよい。
【0036】
さらなる実施形態では、機器制御ユニットは、監視装置からDiSEqC制御信号を受信し、部分的なDiSEqC制御信号が最後に送信された制御信号に対応する場合に、最後に送信された制御信号を直ちに再送信するように構成されてもよく、機器制御ユニットは、部分的なDiSEqC制御信号が最後に送信された信号に対応しない場合に、所定の時間の後に最後に送信された制御信号を再送信するように構成されてもよい。
【0037】
部分的なDiSEqC制御信号は、同軸ケーブルで衝突が発生したことを暗黙的に示す。しかしながら、完全なDiSEqC制御信号または部分的なDiSEq制御信号のみが検出された場合に、監視装置から電子機器への信号送信をすることができるプロトコルが実装されることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明およびその利点をより完全に理解するために、添付の図面と併せて以下の説明を参照する。本発明は、図面の概略図に具体化された例示的な実施形態を用いて、以下でより詳細に説明される。
【0039】
【
図1】本発明に係る監視装置の一実施形態のブロック図を示す。
【
図2】本発明に係る電機器の一実施形態のブロック図を示している。
【
図3】本発明に係る単一ケーブル衛星システムの一実施形態のブロック図を示す。
【
図4】本発明に係る監視方法の一実施形態のフロー図を示す。
【0040】
図中の参照記号は、特に明記しない限り、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、監視装置100のブロック図を示す。監視装置100は、入力ポート101およびデータインターフェース103を含む。入力ポート101は、同軸ケーブル150に送信される制御信号を読み取るために、監視装置100を同軸ケーブル150に接続するように機能する。データインターフェース103は、例えば、イーサネットまたはWIFIに基づくローカルエリアネットワークなどのデータネットワーク152に監視装置100を結合する。
【0042】
監視装置100は、制御信号102が同軸ケーブル150で検出される場合、データインターフェース103を介して検出された制御信号104を出力する。「検出された制御信号104を出力する」という用語は、検出された制御信号104に関する情報を出力するという場合があることが理解される。
【0043】
次に、検出された制御信号104は、単一の電子機器または複数の電子機器に提供されてもよい。検出された制御信号104は、データネットワーク152を介して、例えば、ディレクティッドTCP/IPまたはUDPベースの通信などの専用通信を介して、単一の電子機器に提供されてもよい。あるいは、ブロードキャストメッセージが、データネットワーク152を介して複数の電子機器に提供される監視装置100によって発せられてもよい。例えば、MQTTなどの高レベルプロトコルが、検出された制御信号104を分配するために使用されてもよい。
【0044】
図2は、電子機器200のブロック図を示す。電子機器200は、信号インターフェース205、データインターフェース206、ならびに信号インターフェース205およびデータインターフェース206に結合された機器制御ユニット207を含む。信号インターフェース205は、同軸ケーブル250に電子機器200を結合し、データインターフェース206は、データネットワーク252に電子機器200を結合する。
【0045】
機器制御ユニット207は、信号インターフェース205を介して、同軸ケーブル250にDiSEqC制御信号などの制御信号202を送信してもよい。これは、ユーザが、同軸ケーブル250に現在提供されていないトランスポンダを介して送信されるテレビチャネルに切り替える場合に適用される場合がある。
【0046】
同軸ケーブル250にそのような信号を送信した後、機器制御ユニット207は、次に、同軸ケーブル250のそれぞれの制御信号202の存在について、データインターフェース206およびデータネットワーク252を介して監視装置に照会してもよい。電子機器200は、例えば、データネットワーク252なしで直接監視装置に結合されてもよい。この場合、監視装置は、例えば、WIFIアクセスポイントを提供する。
【0047】
送信された制御信号202が同軸ケーブル250で検出されず、監視装置によって報告されない場合、2つの制御信号202の衝突が発生している可能性があり、機器制御ユニット207は、それぞれのアクションを実行してもよい。例えば、機器制御ユニット207は、それぞれの制御信号202を再送信してもよい。そのような再送信は、直ちに、またはランダムな時間の後で起こしてもよい。
【0048】
また、機器制御ユニット207は、例えば、監視装置から部分的なDiSEqC制御信号を受信し、部分的なDiSEqC制御信号が最後に送信された制御信号202に対応する場合、最後に送信された制御信号を直ちに再送信してもよい。しかしながら、機器制御ユニット207は、部分的なDisEqC制御信号が最後に送信された制御信号202に対応しない場合、所定の時間の後に最後に送信された制御信号202を再送信することができる。これに関し、最後に送信された制御信号202に対応する部分的なDiSEqC制御信号は、互いに対応する、または等しい2つの信号のうち、最初のビットから始まる少なくともいくつかのビットまたは情報ユニットを参照してもよい。
【0049】
図3は、単一ケーブル衛星システム300のブロック図を示す。単一ケーブル衛星システム300は、衛星信号受信機321に結合される同軸ケーブル350を含み、衛星信号および制御信号302、332を転送してもよい。単一ケーブル衛星システム300では、2つの例示的な電子機器320、328が同軸ケーブル350に結合されている。
【0050】
電子機器320、328のそれぞれは、信号インターフェース325、329、データインターフェース326、330、ならびに信号インターフェース325、329およびデータインターフェース326、330に結合される機器制御ユニット327、331を含む。電子機器200に関する説明は、必要な変更を加えて、電子機器320、328に適用される。
【0051】
単一ケーブル衛星システム300では、電子機器320、328の両方が、同軸ケーブルを介して電子機器320、328に制御信号302、332を送信することができる。電子機器320、328の両方が制御信号302、332を同時に送信する場合、制御信号302、332は衝突する可能性があり、制御信号は衛星信号受信機321に正しく到達しない。
【0052】
そのような信号衝突を検出するために、単一ケーブル衛星システム300は、電子機器320、328が、制御信号302、332が衛星信号受信機321に正しく提供されているかどうかを照会することを可能にする監視装置340を提供する。
図1の監視装置100に関する説明は、監視装置340にも適用される。また、監視装置340は、入力ポート341およびデータインターフェース342に結合される制御ユニット343を含む。
【0053】
制御ユニット343は、例えば、DiSEqC制御信号のような制御信号302、332の存在について、同軸ケーブル350で検出された信号を分析してもよい。また、制御ユニット343は、データインターフェース342およびデータネットワーク352を介して、電子機器320、329に検出されたDiSEqC制御信号322を出力することができる。
【0054】
制御ユニット343は、例えば、同軸ケーブル350で検出された信号をデコードし、同軸ケーブル350の少なくとも2つのDiSEqC制御信号302、332の衝突を検出してもよい。衝突は、例えば、制御ユニット343が制御信号302、332の1つを正しくデコードを開始し、それぞれの制御信号302、332の任意の点で、ぞれぞれの制御信号302、332を正しくデコードすることができない場合に検出される。この場合、制御ユニット343は、例えば、データインターフェース342を介して、それぞれの情報を出力してもよい。
【0055】
制御ユニット343が、同軸ケーブル350の少なくとも2つの制御信号302、332の衝突を検出する場合、制御ユニット343は、衝突がデータインターフェース342を介して発生するまで、制御ユニット343によって受信される部分的なDiSEqC制御信号323を出力してもよい。
【0056】
図4に基づく方法の以下の説明を明確にするために、
図1~3に基づく装置の説明において使用された参照符号を維持する。
【0057】
図4は、制御信号の衝突について同軸ケーブル150、250、350を監視するための監視方法のフロー図を示す。
【0058】
監視方法は、電子機器200、320、328の信号インターフェース205、325、329を介して、同軸ケーブル150、250、350に制御信号102、202、302、332、特にDiSEqC制御信号を送信し(S1)、監視装置100、340において、同軸ケーブル150、250、350で送信される制御信号102、202、302、332を検出し(S2)、データネットワーク152、252、352を介して、電子機器200、320、328を用いて同軸ケーブル150、250、350のそれぞれの制御信号102、202、302、332の存在について照会し(S3)、監視装置100、340を用いて、データネットワーク152、252、352を介して検出された制御信号104、204、304を出力する(S4)、ことを含む。
【0059】
監視方法は、また、監視装置100、340において、DiSEqC制御信号の存在について同軸ケーブル150、250、350で検出された信号を分析し、データネットワーク152、252、352を介して、検出されたDiSEqC制御信号322を出力することを含んでいてもよい。
【0060】
さらに、または代わりに、監視方法は、また、監視装置100、340において、同軸ケーブル150、250、350で検出された信号をデコードし、同軸ケーブル150、250、350の少なくとも2つのDiSEqC制御信号の衝突を検出し、データネットワーク152、252、352を介して、それぞれの情報を出力することを含んでいてもよい。
【0061】
監視装置100、340において、同軸ケーブル150、250、350の少なくとも2つのDiSEqC制御信号の衝突が検出される場合、衝突が発生するまで同軸ケーブル150、250、350に存在する部分的なDiSEqC制御信号323が、データネットワーク152、252、352を介して電子機器200、320、328に対して出力されてもよい。
【0062】
また、監視方法は、電子機器200、320、328において、同軸ケーブル150、250、350を介して送信され、同軸ケーブル150、250、350に存在するとして報告されない制御信号102、202、302、332を再送信することを含んでいてもよい。
【0063】
さらに、または代えて、監視方法は、電子機器200、320、328において、部分的なDiSEqC制御信号323受信し、部分的なDiSEqC制御信号323が、電子機器200、320、328によって送信された最後の制御信号102、202、302、332に対応する場合に、最後に送信された制御信号102、202、302、332を直ちに再送信し、または、部分的なDiSEqC制御信号323が、最後に送信された制御信号102、202、302、332に対応しない場合に、所定の時間の後に制御信号102、202、302、332を再送信することを含んでいてもよい。
【0064】
特定の実施形態が例示され、本明細書において説明されているが、様々な代替および/または同等の実施が存在することは当業者であれば理解される。例示的な実施形態は単なる例であり、いかなる方法でも範囲、適用可能性、または構成を制限することを意図するものではないことが理解される。むしろ、前述の要約および詳細な説明は、当業者に、少なくとも1つの例示的な実施形態を実施するための便利なロードマップを提供し、添付の請求項およびそれらの法的な均等物に記載されている範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態に記載された要素の機能および配置に様々な変更を加えることができることが理解される。一般に、本願は、本明細書で議論されている特定の実施形態のあらゆる適用または変形をカバーすることを意図している。
【0065】
本発明は、同軸ケーブル150、250、350の制御信号の衝突を監視するための監視装置100、240を提供し、監視装置100、340は、同軸ケーブル150、250、350に送信される制御信号を検出するために、監視装置100、340を同軸ケーブル150、250、350に結合するように構成された入力ポート101、340と、監視装置100、340をデータネットワーク152、252、352に結合するように構成され、検出された制御信号104、204、304を出力するように構成されたデータインターフェース103、342と、を含む。また、本発明は、同軸ケーブル150、250、350を介して衛星信号を受信するための電子機器200、320、328を提供し、機器は、電子機器200、320、328を同軸ケーブル150、250、350に結合するように構成された信号インターフェース205、325、329と、電子機器200、320、328を前述の請求項のいずれか一項に記載された監視装置100、340に結合するように構成されたデータインターフェース206、326、330と、信号インターフェース205を介して同軸ケーブル150、250、350に制御信号102、202、302、332、特にDiSEqC制御信号を送信し、同軸ケーブル150、250、350のそれぞれの制御信号102、202、302、332の存在について、データインターフェース206、326、330を介して監視装置100、340に照会するように構成された機器制御ユニット207、327、331と、を含む。さらに、本発明は、それぞれの単一ケーブル衛星システムおよびそれぞれの監視方法を提供する。
【符号の説明】
【0066】
100、340 監視装置
101、341 入力ポート
102、202、302、332 制御信号
103、342 データインターフェース
104、204、304 検出された制御信号
343 制御ユニット
200、320、328 電子機器
205、325、329 信号インターフェース
206、326、330 データインターフェース
207、327、331 機器制御ユニット
300 単一ケーブル衛星システム
321 衛星信号受信機
322 検出されたDiSEqC制御信号
323 部分的なDiSEqC制御信号
150、250、350 同軸ケーブル
152、252、352 データネットワーク
S1、S2、S3、S4 方法ステップ