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特許7350064電磁放射を検出するための方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】電磁放射を検出するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20230915BHJP
   G01N 21/45 20060101ALI20230915BHJP
【FI】
G01N21/17 A
G01N21/45 A
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021523298
(86)(22)【出願日】2018-10-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-03
(86)【国際出願番号】 EP2018079582
(87)【国際公開番号】W WO2020088737
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】521172871
【氏名又は名称】リセオニクス、ベスローテン、フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】LYSEONICS BV
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100213654
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 晃樹
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ、アルチュール、ジャン、ジスラン、シュバリエ
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-234321(JP,A)
【文献】特開2009-042164(JP,A)
【文献】特表2014-503822(JP,A)
【文献】特開2016-018215(JP,A)
【文献】特開2016-105113(JP,A)
【文献】米国特許第07491922(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00-1/60
G01J 5/00-5/90
G01N 21/00-21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体(101)からの電磁放射を撮像するための電磁イメージャ(100)であって、
前記電磁放射が前記電磁イメージャ(100)に入るのを可能にする入射光学系であって、1ミクロンから100ミクロンの範囲内で互いに小さな距離で隔たれた、熱制御された電磁放射入力窓およびレーザ・ダイオード透明出力窓の間で前記物体(101)の像が結像される像面(107)を含む、入射光学系と、
一波長位相シフト・レーザ・ダイオード干渉計であって、注入電流によるレーザ・ダイオードの出力波長の直接変調を含み、測定アーム(108)および基準アーム(110)を有する干渉計(106)であって、前記像面(107)を間に含む前記熱制御された電磁放射入力窓およびレーザ・ダイオード透明出力窓が前記測定アーム(108)内にあり、少なくとも前記干渉計(106)が真空チャンバ(195)内に配置される、干渉計と、
変換層(120)であって、前記熱制御された電磁放射入力窓およびレーザ・ダイオード透明出力窓の間に含まれ、前記像面(107)にある変換層であって、前記物体(101)の前記像を表す前記位相シフト干渉計の前記測定アーム(108)内の時空間的な光位相差を生じさせるために、前記電磁放射を前記変換層(120)の屈折率の時空間的変動に変換し、前記変換層が、固体、液体、気体、またはそれらの任意の組み合わせの、ミクロン単位の厚さを有する薄い層である、変換層と、
を備える、電磁イメージャ。
【請求項2】
前記変換層(120)が前記電磁放射から遮蔽された部分を含んでおり、補償信号が前記部分から生成される、請求項1に記載の電磁イメージャ。
【請求項3】
前記遮蔽された部分が前記像面(107)に位置する、請求項2に記載の電磁イメージャ。
【請求項4】
記干渉計が位相シフト・マッハ-ツェンダー干渉計である、請求項1~3のいずれか一項に記載の電磁イメージャ。
【請求項5】
記位相シフト干渉計(106)のレーザ・ダイオード(112)が、注入電流変調による出力波長の直接変調を通じて位相シフトを作り出すように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の電磁イメージャ。
【請求項6】
記位相シフト干渉計(106)によって生成された干渉像を撮像するために構成された2次元デジタル・カメラ・センサ(124)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の電磁イメージャ。
【請求項7】
前記レーザ・ダイオード(112)が前記2次元デジタル・カメラ・センサ(124、224)と同期される、請求項6に記載の電磁イメージャ。
【請求項8】
前記2次元デジタル・カメラ・センサ(124、224)のカメラ信号を、表示デバイス(126)上に表示するなどのために処理するために構成された処理ユニット(132)を含む、請求項6に記載の電磁イメージャ。
【請求項9】
前記変換層(120)がポリマーを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の電磁イメージャ。
【請求項10】
前記ポリマーがドープ・ポリマーである、請求項9に記載の電磁イメージャ。
【請求項11】
前記変換層(120)が、水とグリコール(glycol)などの流体混合物を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の電磁イメージャ。
【請求項12】
前記変換層(120)がコロイド懸濁液を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の電磁イメージャ。
【請求項13】
前記変換層(120)が、1~100ミクロンの範囲内の距離で隔たれた2つの熱制御された光学窓の間に収容される、請求項1~12のいずれか一項に記載の電磁イメージャ。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の電磁イメージャを含む、サーマルカメラ。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか一項に記載の電磁イメージャを含む、暗視カメラ。
【請求項16】
請求項1~5または7~13のいずれか一項に記載の電磁イメージャを含む、スマートフォンまたはタブレットなどのモバイル・デバイスのためのアドオン・デバイスであって、前記干渉計によって生成された干渉像を前記モバイル・デバイスのデジタル・カメラが撮像するように前記モバイル・デバイスと協働するために構成された、アドオン・デバイス。
【請求項17】
物体(101)からの電磁放射を撮像する方法であって、
前記物体(101)の電磁放射像を像面(107)上に結像するステップであって、前記像面(107)が測定アーム(108)および基準アーム(110)を有する位相シフト干渉計(106)の前記測定アーム内にある、ステップと、
1ミクロンから100ミクロンの範囲内で互いに小さな距離で隔たれた、熱制御された電磁放射入力窓およびレーザ・ダイオード透明出力窓の間に含まれ、前記像面(107)にある変換層(120)によって、前記物体(101)の前記像を表す前記干渉計(106)の前記測定アーム(108)内の時空間的な光位相差を生じさせるために、前記電磁放射を前記変換層(120)の屈折率の時空間的変動に変換するステップであって、前記変換層が、固体、液体、気体、またはそれらの任意の組み合わせの、ミクロン単位の厚さを有する薄い層である、ステップと、
前記光位相差に基づいて前記物体の前記像を表す可視像を生成するステップと、
を含む、方法。
【請求項18】
前記変換層の一部分を前記電磁放射から遮蔽することにより、前記位相シフト干渉計内で補償信号を生成するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
複数の可視像を生成するステップであって、前記複数の可視像の個々の像間で前記干渉計の照明光の位相が異なる、ステップと、
前記複数の可視像に基づいて単一の可視像を生成するステップと、
を含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記変換層が、ドープ・ポリマーなどのポリマーを含む、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記変換層がコロイド懸濁液を含む、請求項17~20のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、電磁放射を検出するための方法およびデバイスに関する。より詳細には、本発明は、熱放射を検出するための方法およびデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電磁放射のスペクトルは、プランクの放射法則として知られる、次の式によって与えられる黒体放射曲線によって表されることが可能であり、
【数1】
ここで、u(T,ν)は、温度Tにおける単位体積および単位周波数間隔当たりの放射エネルギーである。実用的な目的には、以下によって与えられる温度Tにおける黒体表面の放射パワーを使用する。
【数2】
【0003】
放射度の式を積分すると、単位面積の黒体によって放射される総パワーは、
W=σT (3)
であることが分かり、ここでσはステファンの定数である。
【0004】
特定帯域の電磁スペクトルを検出するために電磁放射検出器が開発されている。そのような検出器の重要な部類の一つは、熱型赤外線検出器である。熱型赤外線検出器は、冷却型検出器と非冷却型検出器に区分され得る。冷却型検出器は、高価であり、標準的なCCD、CMOSおよびInGaAsイメージャ・センサなどの可視スペクトル用のイメージ・センサよりも空間分解能が劣ることが知られている。非冷却型検出器は、熱電冷却器(TEC)によって制御される検出器、または熱電冷却器を有さない(TEC無し)検出器に区分され得る。非冷却型検出器の多くは、微小機械センサ(MEMS)技術を使用する微小ボロメータに基づく。最近、12ミクロンの画素ピッチを有する1920x1200の非冷却型VOx微小ボロメータに基づいて、Sierra-Olympicによって非冷却型高解像度(1080p)サーマルカメラ(VAYU HD)が導入された。FLIR Systemsの熱撮像(熱画像化)カメラがBMWのNight Visionシステムに導入されており、それにより、人々および動物が夜間に約300mの範囲で検出されることが可能であり、これはヘッドライトを用いるよりもはるかに遠い。世界的な赤外線撮像市場は、2023年までに73億米国ドルに達すると予想されている。世界各国の多くの企業が、高性能の熱型検出器のための低コストの製造技術を見つけることに多大な金銭を投資している。
【0005】
米国特許第4,275,302号は、熱像を、2次像、例えば可視像、に変換するための方法およびデバイスについて記載している。米国特許第4,275,302号における好ましいメカニズムは、液体-液体界面の物理的変形に基づく。
【0006】
米国特許第5,072,120号は、電磁イメージャの系列について記載する。それは、流体、特に気体、好ましくは六フッ化硫黄(sulfur hexafluoride)(SF6)ガス、に埋め込まれた熱像の光学的読み取りに基づく。温度によって誘起される屈折率の空間的変動が、典型的な干渉計測機構(装置)を使用して測定される。赤外線信号に応答して媒体の屈折率を変更するための米国特許第5,072,120号における好ましいメカニズムは、振動エネルギーから並進エネルギーへの交換である。
【0007】
米国特許第5,365,065号は、試料の情報を抽出するのに適切な方式で用意された試料を特徴付けるために使用される高感度干渉計測平行温度波イメージャについて記載する。同発明は、試料の温度を上げるためなどのために優先的にはレーザである励起ビームを使用し、非受動的イメージャに分類され得る。Allen FlusbergおよびShrenik Deliwalaの論文(「Highly sensitive infrared imager with direct optical readout」、Infrared Technology and Applications XXXII、Proc.of SPIE Vol.6206(62061E-1~62061E-18頁)(2006)、doi:10.1117/12.669353)は、IR放射の可視光への転換で使用されるファブリーペロー干渉計について記載する。Allen Flusbergらの論文(「Thermal-to-Visible Transducer(TVT) for Thermal-IR imaging」、Infrared Technology and Applications XXXIV、Proc.of SPIE Vol.6940、694015、(2008)、doi:10.1117/12.783013)は、製造された必須の画素アレイの特性について記載する。米国特許第7,491,922(B1)号、米国特許第7,767,951号、米国特許第8,153,948(B1)号、および米国特許第8,309,899(B1)号は、上述の論文の知見の結果を応用する。好ましい吸収体材料は、低い細かさ(low-finesse)の被膜(ペリクル(pellicle))を有するニトロセルロース(nitrocellulose)膜である。ニトロセルロースは、危険性および安全性の問題を有することが知られている。米国特許第7,491,922(B1)号、米国特許第7,767,951号、米国特許第8,153,948(B1)号、および米国特許第8,309,899(B1)号における好ましいメカニズムは、吸収されたIR放射に起因する加熱によるトランスデューサの光学的厚みの変化であり、それが、プローブ・レーザ・ビームによって見られるトランスデューサの反射率の変調を生じさせる。また、フル製造となれば製造時間がおよそ1~2週間になることも上述の論文に述べられている。
【0008】
米国特許出願公開第2005/0082480(A1)号は、赤外線カメラ・システムについて記載する。好ましいメカニズムは、画素の温度が変化するのに伴って、屈折率の変化に起因して波長がシフトする通過帯域を有する画素を使用する。熱的に調整可能な光学フィルタは、撮像されるシーンによって放射されるIRエネルギーに反応する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、従来技術に伴う問題を解決する電磁放射検出器を提供することである。
【0010】
代替または追加として、本発明の目的は、赤外線、ミリメートル波およびマイクロ波などの各種波長における電磁像を、カメラなどの撮像デバイスによって利用可能な有用な波長に転換することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
簡単に述べると、本発明は、例えば赤外線、ミリメートルおよび/またはマイクロ波波長で物体を撮像し、それら物体の像を、CCD、ならびにCMOSおよびInGaAsセンサなどの可視光撮像デバイスが記録することができる、および/または裸眼で見られることができる、有用な波長に転換するための電磁イメージャ・デバイスに関する。本明細書において、用語「可視」は、人間の裸眼にとって可視を意味することが意図される。用語「不可視」は、人間の裸眼にとって不可視を意味することが意図される。CCD、CMOSおよびInGaAsカメラなどの、可視光を撮像するために設計された一部のデバイスは、裸眼には不可視である近赤外光の撮像にも適することが認識されよう。本発明は、そのようなCCD、CMOSおよびInGaAsカメラが感度を有さない赤外線波長を撮像することも目的とする。
【0012】
第1の態様によれば、物体からの例えば不可視である電磁放射を撮像するためのデバイスが提供される。電磁放射は、赤外線(例えば遠赤外線)、ミリメートル波およびマイクロ波放射を含み得る。デバイスは、電磁放射がデバイスに入るのを可能にする入射光学系を含む。デバイスは、物体の像が結像される像面を含む。デバイスは、測定アームを有する干渉計を含む。像面は、測定アーム内にある。デバイスは、像面にある変換層であって、物体の像を表す干渉計の測定アーム内の時空間的な光位相差を生じさせるために、電磁放射を変換層の屈折率の時空間的変動に変換する、変換層を含む。よって、吸収するまたは励起される検出器材料、すなわち変換層、の所与のボリュームの内部に、温度に依存する光位相差が作り出され、それがその後、光学的読み取りによって検出される。温度に依存する光位相差は干渉計測機構で測定される。したがって、干渉計測定アーム内のプローブ・ビームが、変換層における光位相の変化を判定するために使用され得る。そのような光位相の変化は、物体の像を表す可視像を生成するために使用され得る。
【0013】
通例、干渉計内では、コヒーレント光の単一の入射ビームが2つの同一のビームに分けられる。それらビームは各々、光路を進み、検出器に到達する前に再び組み合わせられる。屈折率とそれぞれのビームが進んだ物理的距離との積である光路は、互いと等しくなく、それらの間に光位相差を作り出す。当初は同一である波の間に干渉パターンを作り出すのは、この導入される光位相差である。光路差は、何であれ光路に沿って光位相を変化させるものの診断になる。それは、光路長自体の寸法的変化または物理的経路に沿った屈折率の実数部の変化であり得る。干渉計は、測定アームおよび基準アームを含むことができる。像面は、測定アームによって形成される第1の経路内にあり、プローブ・ビームを含む。基準アームは、電磁放射から遮蔽された第2の経路を含む。干渉計は、測定アームと基準アームとの間の(時空間的)光位相差を判定することができる。
【0014】
干渉計の測定アームは、測定ビームを含むことができ、測定ビームはコヒーレント光ビームであり得る。測定ビームは、像面上の物体の像全体が断面エリア内にあるような断面寸法を有することができる。したがって、測定ビームは、像面上の物体の像内の各位置における、例えば像面上の物体の像の各画素における、光位相の変化を判定するために使用され得る。
【0015】
干渉計測技術の基本原理は、ここでは変換層によって形成される、屈折率nおよび厚みLの透明材料からなる板の温度Tの変化が、以下によって与えられる温度に依存する位相変化を生じさせるというものであり、
【数3】
ここで、
【数4】
は、材料の線膨張の熱係数であり、
【数5】
は、温度に依存する光位相差である(Sergio De Nicola、Andrea Finizio、Pietro Ferraro、Giovanni Pierattini、「Interferometric measurement of thermo-optic coefficients of transparent materials」、Proc.SPIE 4016、Photonics,Devices,and Systems、(1999年12月29日);doi:10.1117/12.373648を参照されたい)。
【0016】
任意選択で、電磁放射は、変換層を1回のみ通過する。これは、デバイスの分解能を向上するのを助けることができる。
【0017】
第2の態様によれば、変換層は電磁放射から遮蔽された部分を含んでおり、補償信号が部分から生成される。遮蔽された部分は、像面の箇所に位置してよい。遮蔽された部分は、例えば、像面に、物体の像の外側、例えば像の隣に、または像を取り囲んで位置し得る。測定ビームの断面寸法は、1)像面上の物体の像全体またはその一部が断面エリア内にあり、2)遮蔽された部分が断面エリア内にある、ようなものであり得る。遮蔽された部分は、電磁放射から遮蔽される。したがって、遮蔽された部分では、当たっている電磁放射に起因する変換層の屈折率の変動が予想されないことになり、よって当たっている電磁放射に起因する光位相の変化は予想されない。遮蔽された部分は、測定アーム内で補償ビームによってサンプリングされ得る。遮蔽された部分の中で検出される光位相の変化は、当たっている電磁放射に帰さない環境的変化に起因する可能性が高い。したがって、遮蔽された部分の中で判定される光位相は、像面の物体の像において判定された光位相の変化を補正するための補償として使用され得る。
【0018】
これにより、例えば位相シフト干渉計の測定アーム内のプローブ・ビームにより、例えば、2つの熱的に接続された試料ボリュームを含む安価な検出器材料の中で、温度に依存する光位相差を測定することが可能になり、測定ボリュームは、電磁放射の物体ビームに曝露されてその屈折率を変化させ、補償ボリュームは、電磁放射の物体ビームから光学的に隔離されている。
【0019】
温度に伴う試料長Lの幾何学的変化が位相シフト干渉計のプローブ・ビーム内と補償ビーム内とで同じになるように、干渉計の幾何学的機構によって自動補償がなされ得る。
【0020】
プローブ・ビームおよび基準ビーム、ならびに任意選択で補償ビームを生成する放射源は、干渉計測機構のタイプに応じてコヒーレント放射源であっても低コヒーレンス放射源であってもよい。
【0021】
変換層の一部、または同一の第2の変換層が、補償を提供するために干渉計の基準アーム内に置かれることも可能であることが認識されよう。
【0022】
第3の態様によれば、変換層は、固体、液体、気体、またはそれらの任意の組み合わせを含む。好ましくは、変換層は、干渉計のプローブ・ビームに対して光学的に透明である。好ましくは、固体、液体、気体、またはそれらの任意の組み合わせは、大きい熱光学係数
【数6】
を有するように選択される。熱光学係数
【数7】
は、温度の変化に対する変換層材料の屈折率の変化を決定する。
【0023】
変換層の選択される検出器材料は、検出器材料内での3D空間的な放射照度分布の関数として大きい光路差変調を提供することにより、干渉計における信号対雑音比を最適化する。電磁気エネルギーの吸収は、自動補償位相シフト干渉計の光路差に局所的変化を生じさせる。局所的な光路差は、連続的な2D位相関数での位相アンラップの後に転換される(「Two-dimensional phase unwrapping,Theory,algorithms,and software」、Dennis C.Ghiglia、Mark D.Pritt、ISBN0-471-24935-1)。このアンラップされた位相関数が使用されて、観察される物体の温度分布を再構築する。
【0024】
任意選択で、変換層はポリマーを含む。変換層は、例えばポリマーからなり得る。ポリマーは、例えばドープ・ポリマー(doped polymer)であり得る。ポリマーは、高い
【数8】
を有することができる。
【0025】
任意選択で、変換層は、液体混合物、例えば水とグリコール(glycol)の混合物、カルボキシル酸(carboxylic acid)(RCOOH)を含有する溶液、アルコール(alcohol)(ROH)、エステル(ester)(RCOOR)、および水(H2O)または液晶、例えば合成液晶、を含む。
【0026】
任意選択で、変換層は、懸濁したナノ粒子または磁気流体などのコロイド懸濁液を含む。コロイド懸濁液は、液体が高い
【数9】
を提供することができ、懸濁した粒子が、電磁放射による照射の影響下で液体の迅速な加熱を提供できるという利点を提供し得る。
【0027】
一例として、以下の固体、液体、およびポリマーは、高い熱光学係数
【数10】
をもつことが特定されている。
【0028】
ホウケイ酸ガラス(borosilicate glass) 4.1×10-6/K、
亜鉛ケイ酸塩ガラス(zinc silicate glass) 5.5×10-6/K、
石英ガラス(silica glass) 10.8×10-6/K、
水 -0.91×10-4/K、
ポリ(メチル-メタクリレート)(poly(methyl-methacrylate)) -1.20×10-4/K、
DR1/PMMAのアゾポリマー -1.215×10-4/K
ポリスチレン(polystyrene) -1.23×10-4/K、
DR1ポリイミド(DR1 polyimide) -1.331×10-4/K、
グリセロール(glycerol) -2.3×10-4/K、
ポリメタクリレート(polymethacrylate) -3.33×10-4/K、
1-プロパノール(1-propanol) -3.9×10-4/K、
メタノール(methanol) -3.94×10-4/K、
エタノール(ethanol) -4×10-4/K、
アセトニトリル(acetonitrile) -4.5×10-4/K、
アセトン(acetone) -5.42×10-4/K、
テトラクロロメタン(tetrachloromethane) -6.12×10-4/K、
二硫化炭素(carbon disulfide) -8.09×10-4/K、および
アゾポリウレタン(azo polyurethane) -9.12×10-4/K。
【0029】
上記の材料またはそれらの組み合わせを変換層に使用することは、本発明の好ましい実施形態をなす。
【0030】
アゾポリウレタン(Azo BPU1)は、1550nmの波長において-1.4×10-3/Kの熱光学係数を有し(Yan Jiangら、Optical Materials 75(2018)858-868)、1550nmレーザ・ダイオード源およびInGaAs検出器に基づく、例えば位相シフトによる、干渉計機構で使用され得る。アゾポリウレタンのような高い熱光学係数および適正なプローブ・ビーム波長を選択することにより、高感度のデバイスおよび方法が提供され得る。
【0031】
第4の態様によれば、変換層は2つの窓の間に収容される。変換層は、例えば、2つの窓の間の、例えば1μm~100μm幅の狭い空間に収容され得る。2つの窓は、周囲で接続されて、窓の間に空洞を形成することができる。空洞は、変換層が固体、液体、気体、またはそれらの混合物である場合に変換層を容易に収容することができる。純水の場合の典型的な空洞空間は、緩和時間
【数11】
に基づくx=12μmの厚みを有し、ここで、τ=1msであり、純水の熱拡散率はχ=1.48×10-7/sである。センサの高速な応答を得るために小さい緩和時間が有利である。小さい緩和時間は、記録された像に対して処理ユニットが相関技術を使用することも可能にし、その結果、最終的に表示される像内で信号対雑音比が増大する。
【0032】
任意選択で、電磁放射源を向いて方向付けられた外側窓は、電磁放射に対して透明である。任意選択で、外側窓は、干渉計内で使用される光に対して透明でない。外側窓は、例えば、ゲルマニウム、セレン化亜鉛(Zinc Selenide)、硫化亜鉛(Zinc Sulfide)、シリコン、フッ化カルシウム(Calcium Fluoride)および/または典型的な熱赤外線窓材料であるカルコゲナイド(chalcogenide)ガラスを含む。任意選択で、外側窓は、電磁放射に対して透明な第1のエリアと、電磁放射に対して透明でない第2のエリアとを含む。第2のエリアは、遮蔽された部分を形成することができる。
【0033】
任意選択で、外側窓は、その表面のうち少なくとも1つが被覆されている。外側窓の外部表面は、通例、高性能の反射防止被覆で被覆される。外側窓の内部表面は、外部からの電磁放射を透過させ、干渉計内で使用される光の波長において反射するために最適化された被覆を有することができる。
【0034】
任意選択で、電磁放射源から離れる方に方向付けられた内側窓は、干渉計内で使用される光に対して透明である。任意選択で、内側窓は、電磁放射に対して透明でない。任意選択で、内側窓は、その表面が被覆されている。内側窓の外部表面は、通例、高性能の反射防止被覆で被覆される。内側窓の内部表面は、干渉計の光を透過させ、外部からの電磁放射の波長において反射するために最適化された被覆を有することができる。内側窓は、例えば溶融石英またはBK7ガラスを含むことができる。
【0035】
任意選択で、外側窓と内側窓とは、変換層によって吸収される熱波を主として干渉計の光軸に沿って強制的に伝搬させる温度勾配を作り出すために、異なる温度に保たれる。温度差は、変換層と内側窓の内側表面との間に透明なコールド・フィンガーを置くことによって作り出され得る。そのような透明なコールド・フィンガーは、高い熱伝導率を有する被覆(例えば、通例900~2320Wm-1-1を有するダイヤモンド様の材料)であり得る。このコールド・フィンガーは、外部の熱電冷却器(TEC)に接続され得る。外側窓および内側窓は、温度勾配の制御を可能にするために温度プローブを備え得る。
【0036】
第5の態様によれば、干渉計は、位相シフト干渉計である(Optical Shop Testing、3rd Edition、Wiley-Interscience、Chapter 14)。位相シフト干渉計は、時空間的な位相差の正確な測定が可能であるという利点を提供する。
【0037】
任意選択で、干渉計の放射源は、電流変調レーザ・ダイオードである(Hisao Kikuta、Koichi Iwata、Ryo Nagata、Distance measurement by the wavelength shift laser diode light、Applied Optics Vol.25、No.17、1986年9月1日)。任意選択で、例えば電流変調式である、レーザ・ダイオードは、デジタル・カメラと同期される。
【0038】
第6の態様によれば、デバイスは、干渉計によって生成された干渉像を撮像するために構成されたデジタル・カメラを含む。
【0039】
任意選択で、デバイスは、デジタル・カメラのカメラ信号を、表示デバイス上に表示するなどのために処理するために構成された処理ユニットを含む。
【0040】
第7の態様によれば、上記に記載されたデバイスを含むサーマルカメラが提供される。
【0041】
第8の態様によれば、上記に記載されたデバイスを含むマルチスペクトル・カメラが提供される。
【0042】
第9の態様によれば、上記に記載されたデバイスを含む暗視カメラが提供される。
【0043】
第10の態様によれば、上記に記載されたデバイスを含む、スマートフォンまたはタブレットなどのモバイル・デバイスのためのアドオン・デバイスであって、干渉計によって生成された干渉像をモバイル・デバイスのデジタル・カメラが撮像するようにモバイル・デバイスと協働するために構成された、アドオン・デバイスが提供される。アドオン・デバイスは、例えばクリップ式デバイスであり得る。アドオン・デバイスは、例えば、モバイル・デバイス用のカバーの中に組み込まれるなどして含まれ得る。
【0044】
第11の態様によれば、物体からの、例えば不可視の電磁放射を撮像する方法が提供される。方法は、例えば入射光学系により、入射光学系の像面上に物体の電磁放射像を結像するステップを含み、像面は干渉計の検出アーム内にある。方法は、像面にある変換層によって、物体の像を表す干渉計の測定アーム内の時空間的な光位相差を生じさせるために、電磁放射を変換層の屈折率の時空間的変動に変換するステップを含む。方法は、位相アンラップ光位相差に基づいて物体の像を表す可視像を生成するステップを含む。
【0045】
任意選択で、方法は、変換層の一部分を電磁放射から遮蔽することにより、例えば像面の箇所にある干渉計内で、補償信号を生成するステップを含む。
【0046】
任意選択で、方法は、複数の可視像を生成するステップであって、複数の可視像の個々の像間で干渉計の照明光の位相が異なる、ステップと、複数の可視像に基づいて単一の可視像を生成するステップと、を含む。
【0047】
第12の態様によれば、プログラム可能装置上で実行されたときに、上記に記載されたデバイス、上記に記載されたカメラ、または上記に記載されたアドオン・デバイスの干渉計によって生成された干渉像に基づいて可視像を生成するために構成されたソフトウェア・コード部分を含む、コンピュータ・プログラム製品が提供される。コンピュータ・プログラム製品は、例えば、モバイル・デバイス上にインストール可能および実行可能な、アプリとも呼ばれるアプリケーションであり得る。したがって、汎用モバイル・デバイスが、熱撮像デバイスまたは赤外線撮像デバイスなどの、例えば不可視の電磁放射用の撮像デバイスに容易に転換され得る。
【0048】
本デバイス、カメラおよび方法の応用例は、0.7ミクロン(430THz)から1000ミクロン(300GHz)の波長領域における赤外線放射の検出である。そのスペクトルの中には、近赤外線放射(NIR)、短波赤外線放射(SWIR)、中波赤外線放射(MWIR)、長波赤外線放射(LWIR)および超長波赤外線放射(VLWIR)のスペクトル帯がある。非冷却の動作は、30ミクロンの波長までと考えられ得る。マルチスペクトル検出器は、高い
【数12】
を有する吸収材料の適切な混合物によって作り出され得る。
【0049】
本発明は、低コストで高分解能のマルチスペクトル大型熱型赤外線検出器が、短い製造生産サイクル時間で製造されることを可能にし得る。本発明の光学機械的複雑性は、低コストで大量生産されているCDROM光学ヘッドの光学機械系と概ね同等である。この検出器の主要な市場は、防衛、安全保障、および自動車産業、ならびに消費者アプリケーションの新しい市場およびエネルギー維持管理市場である。
【0050】
上記の態様、特徴、およびオプションの任意の1つまたは複数が組み合わせられてよいことが認識されよう。態様の1つに関して説明されたオプションのいずれか1つが、その他の態様のいずれにも等しく適用され得ることが認識されよう。また、デバイスに関して説明されたすべての態様、特徴、およびオプションが、カメラおよび方法にも等しく適用されること、およびその逆も同様であることが認識されよう。
【0051】
本発明について、図面に表される例示的実施形態に基づいてさらに解説する。例示的実施形態は、非制限的な例示として与えられる。図は、非制限的な例として与えられる本発明の実施形態の模式的表現に過ぎないことが留意される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】デバイスの模式的な例を示す図である。
図2】マッハ-ツェンダー干渉計測機構を使用したデバイスの模式的な例を示す図である。
図3】ラテラル・シアリング(lateral shearing)干渉計測機構を使用したデバイスの模式的な例を示す図である。
図4】フィゾー干渉計測機構を使用したデバイスの模式的な例を示す図である。
図5】トワイマン-グリーン干渉計測機構を使用したデバイスの模式的な例を示す図である。
図6】偏光トワイマン-グリーン干渉計測機構を使用したデバイスの模式的な例を示す図である。
図7】方法の模式的表現を示す図である。
図8】モバイル・デバイスのためのアドオン・デバイスの模式的表現を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1は、デバイス100の一例の模式的表現を示す。デバイスは、物体101からの電磁放射を撮像するために構成される。電磁放射は、好ましくは、不可視の放射、例えば、近赤外線放射(NIR)、短波赤外線放射(SWIR)、中波赤外線放射(MWIR)、長波赤外線放射(LWIR)、超長波赤外線放射(VLWIR)、ミリメートル波長放射、および/またはマイクロ波波長放射である。
【0054】
デバイス100は、入射光学系を含む。この例では、入射光学系は、対物レンズ102を含む。この例では、入射光学系は、入射窓104を含む。入射窓104は、電磁放射がデバイス100に入ることを可能にする。対物レンズ102は、従来の光学素子および/または回折光学素子を含むことができる。入射光学系は、像面、または焦点平面、107を含み、この上に物体が結像される。対物レンズ102は、物体101を像面107に合焦させるための屈折、反射、反射屈折および/または回折光学素子を含むことができる。デバイス100は、干渉計106を含む。ここでは、干渉計106は、スプリッタ159および基準ミラー158を有する。干渉計106は、測定アーム108を有する。この例における干渉計106は、基準アーム110も有する。干渉計106は、光源112を含む。光源112は、光のコヒーレント・ビーム114を生成する。光源は、例えばレーザ・ダイオードであり得る。光源は、ビームの断面寸法を拡大するためにコリメータ/ビーム・エキスパンダ115を含むことができる。この例では、光のビーム114は、測定アーム108に沿って進む第1のビーム116と、基準アーム110に沿って進む第2のビーム118とに分けられる。像面107は測定アーム108内にあることが認識されよう。
【0055】
デバイス100は、像面107にある変換層120をさらに含む。変換層は、高い
【数13】
を有する材料を含む。ここでは、像面107は、窓104の裏平面に、すなわち変換層120の前平面に配置されるか、または像面は変換層120内で窓104に隣接して配置される。
【0056】
物体101の像が像面107の変換層120上に合焦されたとき、変換層は、像内の放射の強度の関数として局所的な加熱を受ける。変換層120の高い
【数14】
は、像内の電磁放射の局所的強度を、変換層120の屈折率の局所的変動に変換させる。第1のビーム116は、屈折率の局所的変化によって影響される。第2のビーム118は、電磁放射から遮蔽されており、よって影響されないままである。再び組み合わせられると、第1のビーム116および第2のビーム118は、干渉計の検出平面122に干渉パターンを生じさせる。干渉パターンは、組み合わせられたビームの断面エリアにわたって局所的干渉を含むことが認識されよう。局所的干渉は、像面107における電磁放射の像を表す。変換層120と窓105との間の界面にコールド・フィンガー196が置かれる。コールド・フィンガー196は、窓104と窓105との間に温度差を作り出す。コールド・フィンガー196は、外部の熱電冷却器198に接続されている。この例では、デバイス100は、検出平面122の干渉パターンの像を撮像するために、検出器124、例えばCMOSカメラなどのデジタルビデオカメラ、を含む。その結果、デバイス100は、像面107における不可視の電磁放射内の像を、検出平面122における、または検出器124に結合された表示デバイス126における可視像に転換することができる。
【0057】
この例では、変換層120は、物体が結像される第1のエリア128と、例えばカバー131を使用して電磁放射から遮蔽される第2のエリア130とを含む。カバー131は、固定されても可動であってもよい。可動である場合は、外部からの電磁放射が遮断されるように第1のエリア128および第2のエリア130を覆うことができる。カバー131は、位相敏感検出を可能にする機械的チョッパとして使用され得る。第1のビーム116は、2つの部分を含む。プローブ・ビーム部分116Aは、第1のエリアをサンプリングする。補償ビーム部分116Bは、第2のエリア130をサンプリングする。これにより、検出平面122の像内に2つの部分を生成する。第1のエリア122Aはプローブ・ビーム116Aに対応し、第2のエリア122Bは補償ビーム116Bに対応する。補償ビームは、電磁放射から遮蔽された第2のエリアをサンプリングするため、補償ビームは電磁放射によって影響されないことが認識されよう。それでも、補償ビームは、温度、湿度等の環境要因に影響され得る。したがって、補償ビーム116Bは、プローブ信号をそのような環境要因に関して補償するのに使用される補償信号を生成するために使用されてよい。この例では、デバイス100はプロセッサ132を含み、プロセッサ132は、検出器によって記録された検出平面122上の像の第1のエリア122Aの像を、検出平面122上の第2のエリア122B内での干渉計信号の平均強度などの信号を使用して自動的に補償するために構成される。
【0058】
この例では、光源112は、光源の光位相を変調するための変調器112Aを含む。これにより、光源112の互いに異なる光位相において、検出器で像などの連続した読み取り値を取り出すことが可能になる。これは、位相シフト干渉計測としても知られている。この機構の枢要な部分は、真空チャンバ195内に置かれ得る。真空チャンバ195は、熱電冷却器198を通じて温度を制御され得る。
【0059】
変換層は、固体、液体、気体、またはその組み合わせ、例えばポリマーまたはコロイド懸濁液、であり得る。変換層は、2つの窓の間に収容され得る。変換層は、例えば、2つの窓の間の、例えば1μm~100μm幅の狭い空間に収容され得る。2つの窓は、周囲で接続されて、窓の間に空洞を形成することができる。空洞は、変換層が液体、気体、またはそれらの混合物である場合に変換層を容易に収容することができる。2つの窓のうち外側の窓は、例えば、デバイスの入射窓を形成することができる。
【0060】
平衡機構が使用され、そこでは、変換層内の1つのボリュームが物体からの放射で照明され、別のボリュームは物体からの放射によって照明されない。両方のボリュームが、第1のビームによって同時に照明される。両方のボリュームからの干渉計測データを使用して、屈折率の差を検出し、またそれにより、以下の式に基づいて物体の温度分布を推測する。
【数15】
【0061】
物体の像内の温度分布の再構築は、物体の温度分布の視覚化を可能にする。干渉計測データは、例えば、マイケルソン干渉計、フィゾー干渉計、トワイマン-グリーン干渉計、マッハ-ツェンダー干渉計、ファブリーペロー干渉計、ラテラル・シアリング干渉計、ジャマン干渉計内での位相検出、ドップラーに基づく感知または共振器に基づく感知における位相検出を使用して収集され得る。非網羅的なリストであるこれらの干渉計測機構の例すべてで、干渉計測データの変化は、検出ボリューム内の局所的温度変化によって誘発されている。これらのインターフェログラム(干渉図)では、干渉次数Δm(x,y)は、以下の式に従って、プローブ・ビームの波長λ、試料内での光の光路長L、および屈折率の変化Δn(x,y)に関係する。
【数16】
【0062】
変換層が均質である場合、変換層を通る測定アームの光路は、すべての位置(x,y)について等しい。そのような場合、インターフェログラムの縞はまっすぐであり、数および任意の軸に対するそれらの角度は、例えば、もう一方の基準となる干渉計アーム内の傾斜ミラー内での傾斜によって決定される。よって、縞は等距離であり、任意のyについて、干渉次数k(x,y)は周期関数である。屈折率n(x,y,z)について上記式を解くと、次の式が与えられる。
【数17】
【0063】
光路長OPLは、フェルマーの原理に基づき、AからBまでの経路に沿った線積分によって定義される。
【数18】
ここで、sは、光路に沿ったパラメータである。
【0064】
次の式を得ることができ、
【数19】
ここで、Ψ(x,y;t)は、時間tにおけるインターフェログラム内の可変位相であり、zは、干渉計の光軸に沿った座標であり、一方、(x,y)は、干渉計の光軸に対して横断方向における座標である。インターフェログラムは、通例、式
【数20】
によって与えられる放射照度I(x,y;t)を有し、ここで、Iは、基準アーム内の放射照度であり、Iは、測定アーム内の放射照度である。一例では、位相測定の精度を向上させるために位相シフト干渉計測(PSI)が使用される。この目的のために、多くのアルゴリズムが記述されている(Optical Shop Testing,Daniel Malacara,3rd Editionを参照)。伝統的なアルゴリズムの一つは、4ステップPSIである。このアルゴリズムでは、それぞれの位相シフトが0、π/2、π、および3π/2である、4つのインターフェログラムI(x,y)、I(x,y)、I(x,y)、およびI(x,y)が撮像され、(x,y)は、プローブ・ビームの伝搬に対して横断する平面内で測定される。ラップされた位相の空間的分布Ψ(x,y)が次の式を通じて取得される。
【数21】
【0065】
Hariharanアルゴリズムの場合、次の式中のラップされた位相Ψ(x,y)について生じる5つのインターフェログラムがある。
【数22】
【0066】
Hariharanアルゴリズムは4ステップアルゴリズムよりもロバストであることが知られている。
【0067】
プロセッサ132は、位相シフト干渉計測に必要とされる計算を行うために構成され得る。電流変調レーザ・ダイオード112である光源は、位相シフト干渉計測のためのデジタル・カメラ124である検出器と同期され得る。
【0068】
位相シフタは、種々の種類であってよく、例えば、プローブ・ビームのレーザ・ダイオードの電流が変調され得る。プローブ・ビームの放射の偏光に基づく他の位相シフタが使用されてよく、例えば、直線偏光光を使用する場合、偏光は、得られる位相シフトが90度になるように波長板によって回転される。有効屈折率neff(x,y)と測定される位相の空間的分布φ(x,y)との関係は、式
φ(x,y)=neff(x,y)kL (9)
によって与えられ、ここで、
【数23】
は、プローブ・ビームの波ベクトルの大きさであり、λは、プローブ・ビームの真空波長であり、Lは、変換層120のz方向の厚みである。干渉波の周期的な特性のために、ある点φ(x,y)におけるラップされた位相は、(-π,π]の主値範囲内にのみ一意に定められる。したがって位相アンラップアルゴリズムが使用されて連続位相φ(x,y)を生成することができ、ラップされた位相との関係は、
【数24】
であり、ここで記号[x]は、xの最も近い整数関数を意味する。
【0069】
図7に示されるように、図1を参照して説明されたデバイスは、以下のようにして物体からの例えば不可視の電磁放射を撮像するための方法200で使用され得る。ステップ201で、物体の電磁放射像が像面上に結像され、像面は、干渉計の検出アーム内にある。ステップ202で、物体の像を表す干渉計の測定アーム内の時空間的な光位相差を生じさせるために、電磁放射が、像面における変換層の屈折率の時空間的変動に変換される。ステップ203で、光位相差に基づいて物体の像を表す可視像が生成される。
【0070】
任意選択で、ステップ204で、像面の箇所にある干渉計測定アーム内で、測定アームの一部分を電磁放射から遮蔽することによって補償信号が生成される。任意選択で、ステップ205で、複数の可視像が生成され、干渉計の照明光の位相は、複数の可視像の個々の像間で異なり、任意選択のステップ206で、それら複数の可視像に基づいて単一の可視像が生成される。
【0071】
図2の構成は、デバイスの例示的構成を示す。プローブ・ビームは、変換層を1回だけ通過している。図2は、電磁放射を発している物体101を示し、この電磁放射が対物レンズ102によって集光され、対物レンズ102は像面107内に像を作り出す。その際、電磁放射は、ビーム・スプリッタ菱面体190と入射プリズム窓104との間の界面において鏡面反射される。像面107は、変換層120に埋め込まれている。変換層120と出力プリズム窓105との間の界面にコールド・フィンガー196が置かれる。像は、変換層120の測定ボリューム内に形成される。変換層120は、入射プリズム窓104と出力プリズム窓105との間に置かれる。ここではレーザ・ダイオードである光源112の放射はプローブ・ビームとして動作し、コリメータ115は、少なくとも疑似的に平行な放射で変換層を照明するようにレーザ・ダイオード112の放射を集光する。レーザ・ダイオード112の平行化された放射は、第1のビーム・スプリッタ菱面体170およびプリズム・ビーム・スプリッタ103によって2つのビームに分けられる。一方のビームは、第2のビーム・スプリッタ菱面体180を通って入射プリズム104に向かって伝搬し、変換層120Aまで続き、他方のビームは、第2のビーム・スプリッタ菱面体に沿ってマッハ-ツェンダー干渉計106の補償アームを通って、補償ボリューム120Bに向かって伝搬し、第3のビーム・スプリッタ菱面体175の表面で鏡面反射されるように続く。測定アームおよび基準アームのビームは、出力プリズム窓105と第3のビーム・スプリッタ菱面体175との間の界面で組み合わせられる。寄生光を抑制するために、光吸収材料199が出力プリズム105に糊で付けられ得る。組み合わさったビームは、対物レンズ140を通過し、対物レンズ140は、入射プリズム窓104と変換層120との間の界面の像を、ここでは例えばCMOSイメージャ124である検出器上に作り出す。イメージャ124の信号は、処理ユニット132によって処理され、その後ディスプレイ126上に視覚化される。処理ユニット132とレーザ・ダイオード・ドライバ112Aは、内部クロックによって同期される。この機構の枢要な部分は、真空チャンバ195内に置かれ得る。真空チャンバ195は、熱電冷却器198を通じて温度を制御され得る。熱電冷却器198の信号は、処理ユニット132によって制御される。
【0072】
図3の構成は、デバイスの例示的構成を示す。プローブ・ビームは、変換層120を1回だけ通過している。図3は、電磁放射を発している物体101を示し、この電磁放射が対物レンズ102によって集光され、対物レンズ102は像面107内に像を作り出す。その際、電磁放射は、ビーム・スプリッタ菱面体190と入射プリズム窓104との間の界面において鏡面反射される。像面107は、変換層120に埋め込まれている。変換層120と出力窓105との間の界面にコールド・フィンガー196が置かれる。像は、変換層120の測定ボリューム内に形成される。変換層120は、入射プリズム窓104と出力窓105との間に置かれる。ここではレーザ・ダイオードである光源112の放射はプローブ・ビームとして動作し、コリメータ115は、少なくとも疑似的に平行な放射で変換層120を照明するようにレーザ・ダイオード112の放射を集光する。この例における変換層120は、1つの測定ボリューム120Aおよび1つの補償ボリューム120Bの2つのボリュームを含んでいる。両方のボリュームは、当初同じ温度である。レーザ・ダイオード112の平行化された放射は、平行板192で2つのビームに鏡面反射される。1つのビームは、平行板192の前部表面における反射によって形成され、別のビームは、平行板192の後部表面で形成される。鏡面反射されたビームは、互いに対して横方向にずり動かされ(横ずらしされ)、その結果、ラテラル・シアリング干渉計106をもたらす。両ビームは、対物レンズ140を通過し、対物レンズ140は、例えばCMOSであるイメージャ124上に、入射プリズム窓104と変換層120との間の界面の2つのずり動かされた像を作り出す。2つのビームの重なり領域に、干渉パターンが観察される。この干渉パターンは、イメージャ124において感知され、その後、処理ユニット132によって処理される。処理ユニット132は、視覚化されるべきデータをディスプレイ126に転送する。処理ユニット132とレーザ・ダイオード・ドライバ112Aは、内部クロックによって同期される。この機構の枢要な部分は、真空チャンバ195内に置かれ得る。真空チャンバ195は、熱電冷却器198を通じて温度を制御され得る。熱電冷却器198の信号は、処理ユニット132によって制御される。
【0073】
図4の構成は、デバイスの例示的構成を示す。プローブ・ビームは、変換層120を2回通過している。図4は、電磁放射を発している物体101を示し、この電磁放射が対物レンズ102によって集光され、対物レンズ102は像面107内に像を作り出す。像面107は、変換層120に埋め込まれている。変換層120と窓105との間の界面にコールド・フィンガー196が置かれる。像は、変換層120の測定ボリューム内に形成される。変換層120は、入射窓104と出力窓105との間に置かれる。電磁放射が変換層120の補償ボリュームに達するのを防ぐために、カバー131が入射窓104の前に置かれる。カバー131は、固定されても可動であってもよい。可動である場合は、外部からの電磁放射が遮断されるように第1のエリア128および第2のエリア130を覆う。カバー131は、位相敏感検出を可能にする機械的チョッパとして使用され得る。レーザ・ダイオード112の放射は、プローブ・ビームとして動作し、コリメータ115は、少なくとも疑似的に平行な放射で変換層120を照明するようにレーザ・ダイオード112の放射を集光する。レーザ・ダイオード112の平行化された放射は、変換層120と入射窓104との間の界面で鏡面反射される。鏡面反射された放射は、ビーム・スプリッタ155によって対物レンズ140の方へ向けられ、対物レンズ140は、入射窓104と変換層120との間の界面の像を、例えばCMOSである、イメージャ124上に作り出す。この機構は、フィゾー干渉計106として認知される。イメージャ124の信号は、処理ユニット132によって処理され、その後、ディスプレイ126上に視覚化される。処理ユニット132とレーザ・ダイオード・ドライバ112Aは、内部クロックによって同期される。この機構の枢要な部分は、真空チャンバ195内に置かれ得る。真空チャンバ195は、熱電冷却器198を通じて温度を制御され得る。熱電冷却器198の信号は、処理ユニット132によって制御される。
【0074】
図5の構成は、デバイスの例示的構成を示す。プローブ・ビームは、変換層を2回通過している。図5は、電磁放射を発している物体101を示し、この電磁放射が対物レンズ102によって集光され、対物レンズ102は像面107内に像を作り出す。像面107は、変換層120に埋め込まれている。変換層120と出力窓105との間の界面にコールド・フィンガー196が置かれる。像は、変換層120の測定ボリューム内に形成される。変換層120は、入射窓104と出力窓105との間に置かれる。電磁放射が変換層120の補償ボリュームに達するのを防ぐために、カバー131が入射窓104の前に置かれる。カバー131は、固定されても可動であってもよい。可動である場合は、外部からの電磁放射が遮断されるように第1のエリア128および第2のエリア130を覆う。カバー131は、位相敏感検出を可能にする機械的チョッパとして使用され得る。ここではレーザ・ダイオードである光源112の放射はプローブ・ビームとして動作し、コリメータ115は、少なくとも疑似的に平行な放射で変換層120を照明するようにレーザ・ダイオード112の放射を集光する。レーザ・ダイオード112の平行化された放射は、ビーム・スプリッタ・キューブ160によって2つのビームに分けられる。1つのビームは、変換層120まで伝搬し、1つのビームは、ビーム・スプリッタ・キューブ160のミラー面150まで伝搬する。非偏光干渉計の基準アーム内に、出力窓の光学的同等物152、変換層の光学的同等物151がある。これら光学的同等物は、名目不等光路干渉計に代えて等光路干渉計を作り出すことができ、不等光路干渉計では、光学的同等物152および151が存在せず、ミラー150がビーム・スプリッタ・キューブ160の面の1つから除去される。変換層120と入射窓104との間の界面で鏡面反射されたビームは、ビーム・スプリッタ・キューブ160によって再度分割され、一方のビームは対物レンズ140の方へ向けられ、対物レンズ140は、入射窓104と変換層120との間の界面の像を、例えばCMOSである、イメージャ124上に作り出す。イメージャ124の信号は、処理ユニット132によって処理され、その後、ディスプレイ126上に視覚化される。処理ユニット132とレーザ・ダイオード・ドライバ122Aは、内部クロックによって同期される。この機構の枢要な部分は、真空チャンバ195内に置かれ得る。真空チャンバ195は、熱電冷却器198を通じて温度を制御され得る。熱電冷却器198の信号は、処理ユニット132によって制御される。
【0075】
図6の構成は、デバイスの例示的構成を示す。プローブ・ビームは、変換層120を2回通過している。図6は、電磁放射を発している物体101を示し、この電磁放射が対物レンズ102によって集光され、対物レンズ102は107内に像を作り出す。像面107は、変換層120に埋め込まれている。変換層120と出力窓105との間の界面にコールド・フィンガー196が置かれる。像は、変換層120の測定ボリューム内に形成される。変換層120は、入射窓104と出力窓105との間に置かれる。電磁放射が変換層120の補償ボリュームに達するのを防ぐために、カバー131が入射窓104の前に置かれる。カバー131は、固定されても可動であってもよい。可動である場合は、外部からの電磁放射が遮断されるように第1のエリア128および第2のエリア130を覆う。カバー131は、位相敏感検出を可能にする機械的チョッパとして使用され得る。ここではレーザ・ダイオードである光源112の放射はプローブ・ビームとして動作し、コリメータ115は、少なくとも疑似的に平行な放射で変換層120を照明するようにレーザ・ダイオード112の放射を集光する。レーザ・ダイオード112の平行化された放射は、偏光ビーム・スプリッタ・キューブ161によって2つのビームに分けられる。1つは、4分の1波長板127を通って変換層120に向かって伝搬し、1つは、偏光ビーム・スプリッタ・キューブ161のミラー面150まで伝搬する。偏光干渉計の基準アーム内に、4分の1波長板の光学的同等物153、出力窓の光学的同等物152、変換層の光学的同等物151がある。これら光学的同等物は、名目不等光路干渉計に代えて等光路干渉計を作り出すことができ、不等光路干渉計では、光学的同等物153、152、および151が存在せず、ミラー150が偏光ビーム・スプリッタ・キューブ161の面の1つから除去される。変換層120と入射窓104との間の界面における鏡面反射されたビームは、4分の1波長板127を二度目に通過し、偏光ビーム・スプリッタ・キューブ161によって再度分割され、一方のビームはCMOS対物レンズ140の方へ向けられ、CMOS対物レンズ140は、入射プリズム窓104と変換層120との間の界面の像を、例えばCMOSである、イメージャ124上に作り出す。イメージャ124の信号は、処理ユニット132によって処理され、その後、ディスプレイ126上に視覚化される。処理ユニット132とレーザ・ダイオード・ドライバ122Aは、内部クロックによって同期される。この機構は、トワイマン-グリーン干渉計106として認知される。この機構の枢要な部分は、真空チャンバ195内に置かれ得る。真空チャンバ195は、熱電冷却器198を通じて温度を制御され得る。熱電冷却器198の信号は、処理ユニット132によって制御される。
【0076】
図8は、この例ではスマートフォンであるモバイル・デバイス200のためのアドオン・デバイスとして構成されたデバイス100の一例を示す。この例では、アドオン・デバイスはクリップ式デバイスである。また、アドオン・デバイスが、その他の方法で、例えば接着接続を通じて、モバイル・デバイスに装着されることも可能である。アドオン・デバイスがモバイル・デバイス200用のカバーの一部である、またはカバーによって含まれることも可能であることが認識されよう。この例では、イメージャは、モバイル・デバイス200のデジタル・カメラ224によって形成される。よって、デジタル・カメラ224は、干渉計によって作り出された干渉像を撮像することができる。デジタル・カメラ224は、モバイル・デバイスの処理ユニット232によって処理され、その後、モバイル・デバイスのディスプレイ226上に視覚化される。望まれる場合には、モバイル・デバイス200のカメラ224との、デバイス100の光源112の同期が、例えば有線または無線の通信リンクを介して可能である。
【0077】
本明細書で、本発明は、本発明の実施形態の具体的な例を参照して説明される。しかし、本発明の本質から逸脱することなく様々な改変および変更が行われてよいことが明らかであろう。
【0078】
例では、変換層の補償ボリュームまたは第2のエリアは、干渉計の測定アーム内に置かれる。変換層の補償ボリュームまたは第2のエリアが干渉計の基準アーム内に置かれることも可能である。好ましくは、変換層の補償ボリュームまたは第2のエリアは、それでもなお変換層の測定ボリュームまたは第1のエリアと熱的に接触している。
【0079】
明瞭性および簡潔な説明のために、特徴は、本明細書において同じまたは別々の実施形態の一部として記載されるが、それら別々の実施形態に記載される特徴のすべてまたは一部の組み合わせを有する代替の実施形態も構想され、特許請求の範囲によって概説される本発明の枠組み内にあることが理解される。したがって、詳細な説明、図、および例は、制限的な意味ではなく、例示的な意味でみなされるべきである。本発明は、添付の特許請求の範囲の主旨および範囲内に該当するすべての代替形態、変更形態、および変形例を包含することが意図される。さらに、記載される要素の多くは、離散したもしくは分散された構成要素として、または他の構成要素と併せて任意の適切な組み合わせおよび場所で実装され得る機能的実体である。
【0080】
特許請求の範囲において、括弧内に置かれた参照符号は、請求項を制限するものと解釈すべきではない。用語「~を含む」は、請求項に列挙されるもの以外の特徴またはステップの存在を排除しない。さらに、単語「a」および「an」は、「1つのみ」に限定されると解釈すべきでなく、「少なくとも1つ」を意味するために使用され、複数を排除しない。ある手段が相互に異なる請求項に述べられているという単なる事実は、それら手段の組み合わせを有利に使用できないことを意味するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8