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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】フィルタチェンジャー
(51)【国際特許分類】
   G03B 11/00 20210101AFI20230915BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20230915BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20230915BHJP
   H02N 2/00 20060101ALI20230915BHJP
【FI】
G03B11/00
G03B30/00
H04N23/55
H02N2/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021531256
(86)(22)【出願日】2021-04-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-09
(86)【国際出願番号】 CN2021087303
(87)【国際公開番号】W WO2022217513
(87)【国際公開日】2022-10-20
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】516180667
【氏名又は名称】北京小米移動軟件有限公司
【氏名又は名称原語表記】Beijing Xiaomi Mobile Software Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.018, Floor 8, Building 6, Yard 33, Middle Xierqi Road, Haidian District, Beijing 100085, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】宇野 勝
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-067865(JP,A)
【文献】特開2004-312814(JP,A)
【文献】特開2004-266943(JP,A)
【文献】特開2005-328697(JP,A)
【文献】特開2016-019320(JP,A)
【文献】特開2008-099555(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 11/00
G03B 30/00
H02N 2/00
H04N 23/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部と、
前記ベース部から突出した支持軸部と、
前記支持軸部に軸心回りで回転可能に支持されたターンテーブルと、
前記ターンテーブルに円周方向に配置された複数の光学フィルタと、
前記ベース部に固定され、前記ターンテーブルを軸心回りで回転させるターンテーブル駆動部と、を備え、
前記ターンテーブル駆動部は、通電により伸長する第1圧電素子及び第2圧電素子が、前記伸長の方向に直交する方向に貼り合わされて構成された第1駆動源部と、前記ターンテーブルの一部に当接し、前記第1駆動源部の変形に応じて楕円軌道を描くように移動する第1当接部と、を備え
前記支持軸部は、前記ベース部からカメラレンズの光軸に軸線が沿うように突出した部分であり、前記ターンテーブル駆動部に電力を供給する電気配線が内部を通っており、
前記電気配線は、前記ターンテーブルが回転しても導通が確保されている、フィルタチェンジャー。
【請求項2】
前記複数の光学フィルタの一部である可動フィルタは、前記ターンテーブルに対して回転可能に設けられ、外周形状が円形とされており、
前記ターンテーブルには、前記可動フィルタを回転させるフィルタ駆動部を備え、
前記フィルタ駆動部は、通電により伸長する第1圧電素子及び第2圧電素子が、前記伸長の方向に直交する方向に貼り合わされて構成された第2駆動源部と、前記可動フィルタの外周縁に当接し、前記第2駆動源部の変形に応じて楕円軌道を描くように移動する第2当接部と、を備えた、請求項1に記載のフィルタチェンジャー。
【請求項3】
前記可動フィルタが偏光フィルタである、請求項2に記載のフィルタチェンジャー。
【請求項4】
前記ベース部と前記ターンテーブルのうち一方に設けられた永久磁石と他方に設けられたホール素子とにより、前記ターンテーブルの回転検出を行う、請求項1~3のいずれかに記載のフィルタチェンジャー。
【請求項5】
前記ターンテーブルは、平板状のフィルタ支持部と、前記フィルタ支持部の回転中心から直交して前記ベース部に向かって延びる回転軸部と、を備え、
前記回転軸部は前記支持軸部に、ベアリングを介して取り付けられた、請求項1~のいずれかに記載のフィルタチェンジャー。
【請求項6】
前記複数の光学フィルタは、前記ターンテーブルに周方向に一定の角度おきに配置されている、請求項1~のいずれかに記載のフィルタチェンジャー。
【請求項7】
前記第1当接部は、前記ターンテーブル駆動部の端部に位置し、前記第1駆動源部の長手方向に突出した突起状の部分であり、前記第1圧電素子と前記第2圧電素子の境界位置に設けられている、請求項2に記載のフィルタチェンジャー。
【請求項8】
請求項1~のいずれかに記載のフィルタチェンジャーを用いたカメラモジュール。
【請求項9】
請求項1~のいずれかに記載のフィルタチェンジャーを用いた電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばスマートフォン等の電子機器(情報機器)に搭載されたカメラモジュールに用いられ、複数の光学フィルタの各々をカメラレンズ光軸上に配置できるフィルタチェンジャーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、例えば、日本国特開2003-259167号公報に記載の撮像装置が挙げられる。この撮像装置が備えるフィルタチェンジャーは、ステッピングモータ、ターンテーブル、複数の歯車、ウォームホイールを含む。フィルタチェンジャーの駆動源であるステッピングモータはねじ軸を有しており、ウォームホイールを介して複数の歯車に駆動力を伝達し、最終的に、複数の光学フィルタを備えたターンテーブルを移動させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この従来技術では、複数の歯車、ねじ軸、ウォームホイールが必要であることから、フィルタチェンジャーの構造が複雑である。また、トルクが小さいことから、要求される減速比が大きくなる。従って、高コストになり、かつ、必要なスペースが大きい欠点がある。
【0004】
このことに鑑み、本発明は、低コストで小型のフィルタチェンジャーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ベース部と、前記ベース部から突出した支持軸部と、前記支持軸部に軸心回りで回転可能に支持されたターンテーブルと、前記ターンテーブルに円周方向に配置された複数の光学フィルタと、前記ベース部に固定され、前記ターンテーブルを軸心回りで回転させるターンテーブル駆動部と、を備え、前記ターンテーブル駆動部は、通電により伸長する第1圧電素子及び第2圧電素子が、前記伸長の方向に直交する方向に貼り合わされて構成された第1駆動源部と、前記ターンテーブルの一部に当接し、前記第1駆動源部の変形に応じて楕円軌道を描くように移動する第1当接部と、を備えたフィルタチェンジャーである。
【0006】
また、前記複数の光学フィルタの一部である可動フィルタは、前記ターンテーブルに対して回転可能に設けられ、外周形状が円形とされており、前記ターンテーブルには、前記可動フィルタを回転させるフィルタ駆動部を備え、前記フィルタ駆動部は、通電により伸長する第1圧電素子及び第2圧電素子が、前記伸長の方向に直交する方向に貼り合わされて構成された第2駆動源部と、前記可動フィルタの外周縁に当接し、前記第2駆動源部の変形に応じて楕円軌道を描くように移動する第2当接部と、を備えることができる。
【0007】
また、前記可動フィルタが偏光フィルタであることができる。
【0008】
また、前記ベース部と前記ターンテーブルのうち一方に設けられたホール素子と他方に設けられた永久磁石とより、前記ターンテーブルの回転検出を行うことができる。
【0009】
また、前記支持軸部は、前記ベース部からカメラレンズの光軸に軸線が沿うように突出した部分であり、前記ターンテーブル駆動部に電力を供給する電気配線が内部を通っており、前記電気配線は、前記ターンテーブルが回転しても導通が確保されていることができる。
【0010】
また、前記ターンテーブルは、平板状のフィルタ支持部と、前記フィルタ支持部の回転中心から直交して前記ベース部に向かって延びる回転軸部と、を備え、前記回転軸部は前記支持軸部に、ベアリングを介して取り付けられることができる。
【0011】
また、前記複数の光学フィルタは、前記ターンテーブルに周方向に一定の角度おきに配置されていることができる。
【0012】
また、前記第1当接部は、前記ターンテーブル駆動部の端部に位置し、前記第1駆動源部の長手方向に突出した突起状の部分であり、前記第1圧電素子と前記第2圧電素子の境界位置に設けられていることができる。
【0013】
また本発明は、前記フィルタチェンジャーを用いたカメラモジュールである。
【0014】
また本発明は、前記フィルタチェンジャーを用いた電子機器である。
【発明の効果】
【0015】
本発明のフィルタチェンジャーは、圧電素子の直接駆動による単純な構造とできる。従って、低コスト及び小型化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係るフィルタチェンジャーの構造を概略的に示す、正面視であって一部を透視表示した図である。
図2】前記フィルタチェンジャーの構造を概略的に示す縦断面図である。
図3】前記フィルタチェンジャーが備える駆動部の構成及び動作を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態に係るフィルタチェンジャー1を、図面を示しつつ説明する。なお、各図は概略図であって、各図の図示内容の関係は正確ではなく整合しないところがある。
【0018】
本実施形態のフィルタチェンジャー1は、例えばスマートフォン等の電子機器(情報機器)に搭載されたカメラモジュールに用いられる。本実施形態のフィルタチェンジャー1は、主に、図1及び図2に示すように、ベース部2、支持軸部3、ターンテーブル4、複数の光学フィルタ51~54、ターンテーブル駆動部6を備える。
【0019】
ベース部2は、フィルタチェンジャー1を構成する各部を支持する部分である。図には明確に現れていないが、ベース部2には、カメラレンズの光軸に一致する部分に空間が設けられている。この空間は、各光学フィルタ51~54を通過した光線をカメラレンズに通すためのものである。カメラレンズの光軸は、図1における紙面の表裏方向、及び、図2における上下方向に延びている。本実施形態では、電気配線9がベース部2の内部を通っていて、フィルタ駆動部44に電力が供給されている。
【0020】
支持軸部3は、ベース部2からカメラレンズの光軸に軸線が沿うように突出した部分である。本実施形態の支持軸部3は、図2における下端部がベース部2に埋め込まれて固定されている。また、本実施形態では、電気配線9が支持軸部3の内部を通っていて、ターンテーブル駆動部6及びフィルタ駆動部44に電力が供給されている。なお、フィルタ駆動部44はターンテーブル4と共に回転するため、電気配線9は回転を許容しつつ導通するように構成されている。
【0021】
ターンテーブル4は、支持軸部3に軸心回りで回転可能に支持されている。ターンテーブル4は、円板状かつ平板状のフィルタ支持部41と、フィルタ支持部41の回転中心から直交してベース部2に向かって延びる回転軸部42とを備える。回転軸部42の外周面形状は、軸線に対する横断面形状で円形とされている。回転軸部42は支持軸部3に取り付けられる。回転軸部42と支持軸部3との間にはボールベアリング7が設けられており、低摩擦で回転する。フィルタ支持部41と回転軸部42とは一体に回転する。なお、フィルタ支持部41は円板状に限定されず、多角形状等、種々の形状とすることができる。また、フィルタ支持部41と回転軸部42は一体に形成されていても、別体で形成され、組み立てにより一体とされていてもよい。
【0022】
複数の光学フィルタ51~54は、図1に示すように、ターンテーブル4に円周方向に配置されている。本実施形態では4種類のフィルタが交換可能とされている。具体的には、偏光フィルタ(CPLフィルタ)51、減光フィルタ(NDフィルタ)52、ボケフィルタ(ぼやけた画像を形成するフィルタ)53、穴部54(光学フィルタなし)である。なお本実施形態では、穴部54もフィルタの一種として説明する。4種類のフィルタ51~54は、周方向に一定の角度(具体的には90°)おきに配置されている。ターンテーブル4を回転させることで、回転角度90°ごとに各フィルタ51~54がカメラレンズの光軸上に位置させられる。具体的には、カメラレンズの光軸上に偏光フィルタ(CPLフィルタ)51が位置している状態を基準とする。図1に示す反時計回りにターンテーブル4を90°回転させると、カメラレンズの光軸上に減光フィルタ(NDフィルタ)52が位置する。更に反時計回りにターンテーブル4を90°回転させると、カメラレンズの光軸上にボケフィルタ53が位置する。更に反時計回りにターンテーブル4を90°回転させると、カメラレンズの光軸上に穴部54が位置する(光学フィルタの無い状態となる)。
【0023】
ベース部2に設けられたホール素子81(図2参照、ただし、図2には1個だけを示す)とターンテーブル4に設けられた永久磁石82(図1参照)との組み合わせにより、ターンテーブル4の回転検出を行う。これにより、カメラレンズに対する各フィルタ51~54の位置関係を検出できる。本実施形態では、ターンテーブル4の回転検出を、既存の手段であるホール素子81と永久磁石82の組み合わせで簡単に行うことができる。なお、本実施形態とは逆に、ベース部2に永久磁石82を設け、ターンテーブル4にホール素子81を設けることもできる。ホール素子81は、図示しないフレキシブル基板から電力供給される。ホール素子81、永久磁石82のそれぞれは、ターンテーブル4におけるフィルタ支持部41の回転中心を基準として90°離れた2個で1組を構成する(ホール素子81について図1参照)。表1に示すような、2個のうちいずれのホール素子81(A,B)が永久磁石に反応するかのパターンにより、どのフィルタがカメラレンズの光軸上に位置しているかを検出できる。表1においては、ホール素子81が反応した状態を「ON」とし、反応しない状態を「OFF」とする。なお、表1に示した内容は一例であって、これのみに限定されるものではない。
【0024】
【表1】
【0025】
ターンテーブル駆動部6は、ベース部2に固定され、ターンテーブル4(具体的には回転軸部42)を軸心回りで回転させる。本実施形態では、2個のターンテーブル駆動部6が、図1に示すように正面視で略V字形状になるように配置されている。なお、ターンテーブル駆動部6の数量は2個に限られず、1個や3個以上でもよい。ターンテーブル駆動部6の構成及び動作の概略を図3に示す。ターンテーブル駆動部6は、第1駆動源部61と第1当接部62とを備える。ターンテーブル駆動部6の図示上端縁に設けられた3個の突起は、圧電素子611,612に通電するための電極63である。圧電素子は、図示しないフレキシブル基板から電力供給される。ターンテーブル駆動部6のうち少なくとも1個は径外位置にバックアップスプリング64を備えていて、バックアップスプリング64により径内方向に付勢されている。
【0026】
第1駆動源部61は、通電により伸長する第1圧電素子611及び第2圧電素子612が、前記伸長の方向に直交する方向に貼り合わされて構成される。第1圧電素子611及び第2圧電素子612は対角方向にも配置され、2個の第1圧電素子611と2個の第2圧電素子612とにより第1駆動源部61が構成される。本実施形態において、第1圧電素子611及び第2圧電素子612への通電は、第1駆動源部61を湾曲変形させるため、いずれか一方にのみなされ、両方同時になされることはない。ただし、電圧の大小を設けて両方同時に通電することも可能である。
【0027】
第1当接部62は、図3に示した左端部に位置する、第1駆動源部61の長手方向に突出した突起状の部分である。第1当接部62は、図示左側の第1圧電素子611、第2圧電素子612の境界位置に設けられている。第1当接部62は、第1駆動源部61の変形を力として出力する部分である。このため、第1駆動源部61に対する第1当接部62の位置関係は本実施形態のものに限定されず、第1駆動源部61の側面に設けたり、第1圧電素子611、第2圧電素子612に対して偏って設けたりすることもできる。第1当接部62は、ターンテーブル4の一部である回転軸部42の外周面に当接し、第1駆動源部61の変形に応じて、図3に破線で示すような楕円軌道V1,V2を描くように移動する。
【0028】
図3においてハッチングを付した左上と右下の領域にある第1圧電素子611に電力を供給すると、その領域は水平方向に延びる。一方、図3において無色である左下と右上の領域にある第2圧電素子612に電力を供給しないと、その領域は図示長方形の形状を維持する。このため、第1圧電素子611は図上に矢印で記載した方向に変形し、第2圧電素子612もそれにつられて変形する。従って、第1駆動源部61における圧電素子の集合体(本実施形態では、2個の第1圧電素子611と2個の第2圧電素子612の集合体)のうち図示左側部分は逆U字状に、図示右側部分はU字状に湾曲変形することで、全体としては「~」状(または、裏返しかつ横倒しのS字形状)に変形する。このため、ターンテーブル4に当接した第1当接部62は図3における左下に移動する。この移動は、第1圧電素子611が伸びながら行われるため、図3の左下に破線で示した楕円軌道V1のうち左上半部を通る移動である。そして、この移動に係る力を受け、第1当接部62に押されたターンテーブル4は、図1における時計方向(右回り)に回転する。このように本実施形態では、ターンテーブル駆動部6を用いて、ターンテーブル4を直接駆動できる。
【0029】
次に、ハッチングを付した左上と右下の領域にある第1圧電素子611に電力を供給しなくなると、その領域は水平方向に縮む。第1駆動源部61における圧電素子の集合体は前記「~」状から元の図示長方形の形状に戻る。このとき、第1当接部62は図3における右上に移動する。この移動は、第1圧電素子611が縮みながら行われるため、図3に破線で示した楕円軌道V1のうち右下半部を通る移動である。以上、第1圧電素子611に対する電力供給のオンオフにより、第1当接部62は図3の左下に示した楕円軌道を描く。
【0030】
前記とは逆に、無色である左下と右上の領域にある第2圧電素子612に電力を供給すると、第1駆動源部61における圧電素子の集合体が前記とは逆の横倒しS字状に変形するので、第1当接部62は図3の左上に示した楕円軌道V2を描くことになる。この移動に係る力を受けたターンテーブル4は、図1における反時計方向(左回り)に回転する。このように、ターンテーブル駆動部6が備える各圧電素子611,612への通電状況により、ターンテーブル4を時計方向及び反時計方向に回転させることができる。なお、4個の圧電素子611,612の集合体の中心部613は、各圧電素子611,612への通電によっても不動である。このため、例えば第1駆動源部61を外部に固定する際には、この不動点である中心部613で固定することができる。
【0031】
前記複数の光学フィルタの一部である可動フィルタは、ターンテーブル4に対して回転可能に設けられ、外周形状が円形とされている。本実施形態では、可動フィルタが偏光フィルタ(CPLフィルタ)51とされている。偏光フィルタ(CPLフィルタ)51は、カメラレンズ光軸に対する周方向の位置により偏光作用を異なるようにできるため、カメラで撮影された画像を変化させることができる。偏光フィルタ(CPLフィルタ)51をターンテーブル4に対して回転させるため、ターンテーブル4における偏光フィルタ(CPLフィルタ)51が配置された部分には、回転支持部43とフィルタ駆動部44とが設けられている。偏光フィルタ(CPLフィルタ)51の外縁には、回転支持部43と接することでフィルタ本体部分(光を通過させる部分)をターンテーブル4に対して回転させるため、フィルタ本体部分を周回する円環状のホルダ511が設けられている。回転支持部43は本実施形態では複数の球状体であり、ホルダ511を回転可能に支持する。本実施形態の回転支持部43は2個の球状体から構成されている。フィルタ駆動部44は、偏光フィルタ(CPLフィルタ)51を回転させる。
【0032】
フィルタ駆動部44は、ターンテーブル駆動部6と構成及び動作原理が同じであって、通電により伸長する第1圧電素子及び第2圧電素子(図示しないが図3に示すものと同じ)が、前記伸長の方向に直交する方向に貼り合わされて構成された第2駆動源部441と、ホルダ511の外周縁に当接し、第2駆動源部441の変形に応じて楕円軌道を描くように移動する第2当接部442と、を備える。フィルタ駆動部44が備える圧電素子への通電状況により、偏光フィルタ(CPLフィルタ)51を時計方向及び反時計方向に回転させることができる。このように本実施形態では、フィルタ駆動部44を用いて、偏光フィルタ(CPLフィルタ)51を直接駆動できる。
【0033】
前記説明のように、本実施形態は、ベース部2と、前記ベース部2から突出した支持軸部3と、前記支持軸部3に軸心回りで回転可能に支持されたターンテーブル4と、前記ターンテーブル4に円周方向に配置された複数の光学フィルタ51~54と、前記ベース部2に固定され、前記ターンテーブル4を軸心回りで回転させるターンテーブル駆動部6と、を備え、前記ターンテーブル駆動部6は、通電により伸長する第1圧電素子611及び第2圧電素子612が、前記伸長の方向に直交する方向に貼り合わされて構成された第1駆動源部61と、前記ターンテーブル4の一部に当接し、前記第1駆動源部61の変形に応じて楕円軌道V1,V2を描くように移動する第1当接部62と、を備えたフィルタチェンジャー1である。
【0034】
この構成によると、圧電素子611,612により駆動力を発するターンテーブル駆動部6を用いて、ターンテーブル4を直接駆動できる。
【0035】
また、前記複数の光学フィルタ51~54の一部である可動フィルタ51は、前記ターンテーブル4に対して回転可能に設けられ、外周形状が円形とされており、前記ターンテーブル4には、前記可動フィルタ51を回転させるフィルタ駆動部44を備え、前記フィルタ駆動部44は、通電により伸長する第1圧電素子及び第2圧電素子が、前記伸長の方向に直交する方向に貼り合わされて構成された第2駆動源部441と、前記可動フィルタ51の外周縁に当接し、前記第2駆動源部441の変形に応じて楕円軌道を描くように移動する第2当接部442と、を備えることができる。
【0036】
この構成によると、圧電素子により駆動力を発するフィルタ駆動部44を用いて、可動フィルタ51を直接駆動できる。
【0037】
また、前記可動フィルタ51が偏光フィルタ(CPLフィルタ)51であることができる。
【0038】
この構成によると、カメラレンズ光軸に対する周方向の位置により偏光作用が異なる偏光フィルタ(CPLフィルタ)51を、フィルタ駆動部を用いて容易に回転させられる。
【0039】
また、前記ベース部2と前記ターンテーブル4のうち一方に設けられたホール素子81と他方に設けられた永久磁石82とより、前記ターンテーブル4の回転検出を行うことができる。
【0040】
この構成によると、ターンテーブル4の回転検出を、既存の手段で簡単に行うことができる。
【0041】
また、前記支持軸部3は、前記ベース部2からカメラレンズの光軸に軸線が沿うように突出した部分であり、前記ターンテーブル駆動部6に電力を供給する電気配線9が内部を通っており、前記電気配線9は、前記ターンテーブル4が回転しても導通が確保されていることができる。
【0042】
また、前記ターンテーブル4は、平板状のフィルタ支持部41と、前記フィルタ支持部41の回転中心から直交して前記ベース部2に向かって延びる回転軸部42と、を備え、前記回転軸部42は前記支持軸部3に、ベアリング7を介して取り付けられることができる。
【0043】
また、前記複数の光学フィルタ51~54は、前記ターンテーブル4に周方向に一定の角度おきに配置されることができる。
【0044】
また、前記第1当接部62は、前記ターンテーブル駆動部6の端部に位置し、前記第1駆動源部61の長手方向に突出した突起状の部分であり、前記第1圧電素子611と前記第2圧電素子612の境界位置に設けられることができる。
【0045】
また本実施形態は、前記フィルタチェンジャー1を用いたカメラモジュールである。
【0046】
また本実施形態は、前記フィルタチェンジャー1を用いた電子機器である。
【0047】
以上、本実施形態のフィルタチェンジャー1は、圧電素子611,612の直接駆動による単純な構造とできる。従って、低コスト及び小型化を実現できる。また、高出力圧電素子を用いることにより、歯車等の中間伝達手段や減速手段が必要なくなり、直接駆動による高速回転が可能である。従って、所望の光学フィルタ51~54をカメラレンズ光軸上に速やかに位置させることができるので、高性能なフィルタチェンジャー1を提供できる。
【符号の説明】
【0048】
1 フィルタチェンジャー
2 ベース部
3 支持軸部
4 ターンテーブル
41 フィルタ支持部
42 回転軸部
44 フィルタ駆動部
441 第2駆動源部(フィルタ駆動部)
442 第2当接部(フィルタ駆動部)
51 光学フィルタ、可動フィルタ、偏光フィルタ(CPLフィルタ)
52 光学フィルタ、減光フィルタ(NDフィルタ)
53 光学フィルタ、ボケフィルタ
54 光学フィルタ、穴部
6 ターンテーブル駆動部
61 第1駆動源部(ターンテーブル駆動部)
611 第1圧電素子
612 第2圧電素子
62 第1当接部(ターンテーブル駆動部)
7 ベアリング
81 ホール素子
82 永久磁石
9 電気配線
V1,V2 楕円軌道
図1
図2
図3