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▶ サムソン ディスプレイ カンパニー リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】ウィンドウの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03C 21/00 20060101AFI20230915BHJP
【FI】
C03C21/00 101
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021538986
(86)(22)【出願日】2019-04-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-04
(86)【国際出願番号】 KR2019004926
(87)【国際公開番号】W WO2020141656
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】10-2019-0000995
(32)【優先日】2019-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518008633
【氏名又は名称】サムソン ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヘカン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミンキ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ビョンボム
(72)【発明者】
【氏名】キム,スンホ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ユリ
(72)【発明者】
【氏名】ヨム,ゾンフン
【審査官】和瀬田 芳正
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-213576(JP,A)
【文献】国際公開第2018/143991(WO,A1)
【文献】特表2017-529305(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0133745(US,A1)
【文献】国際公開第2012/141310(WO,A1)
【文献】特開2008-108412(JP,A)
【文献】特開2013-067555(JP,A)
【文献】特公昭47-004191(JP,B2)
【文献】特開昭47-022418(JP,A)
【文献】国際公開第2015/008763(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0297892(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースガラスを提供するステップと、
前記ベースガラスに強化溶融塩及び添加剤を含む混合溶融液を提供して前記ベースガラスを強化する強化ステップと、を含み、
前記添加剤はAl(SO、Al(NO、KSiO、NaSiO、KCl、Ca(NO、及びMg(NOのうちの少なくとも一つを含み、
前記混合溶融液の全体重量を基準に、前記添加剤の含量は0wt%超過10wt%以下であることを特徴とするウィンドウの製造方法。
【請求項2】
前記添加剤はAl(SOまたはAl(NOであることを特徴とする請求項1に記載のウィンドウの製造方法。
【請求項3】
前記ベースガラスはSiO、Al、及びLiを含むことを特徴とする請求項1に記載のウィンドウの製造方法。
【請求項4】
前記ベースガラスはPを更に含むことを特徴とする請求項に記載のウィンドウの製造方法。
【請求項5】
前記ベースガラスはSiOを50wt%以上80wt%以下で含み、
Alを10wt%以上30wt%以下で含み、
Liを3wt%以上20wt%以下で含むことを特徴とする請求項に記載のウィンドウの製造方法。
【請求項6】
前記ベースガラスはSiO、Al、及びPを含み、Liを含まないことを特徴とする請求項1に記載のウィンドウの製造方法。
【請求項7】
前記強化溶融塩は、Li、Na、K、Rb、及びCsからなる群より選択される2種以上のイオンを含む混合塩、またはLi、Na、K、Rb、及びCsからなる群より選択されるいずれか一つのイオンを含む単一塩であることを特徴とする請求項1に記載のウィンドウの製造方法。
【請求項8】
前記強化ステップは、
第1強化溶融塩及び前記添加剤を提供して前記ベースガラスを強化処理する第1強化ステップと、
前記添加剤を除き、第2強化溶融塩を提供して前記ベースガラスを強化処理する第2強化ステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のウィンドウの製造方法。
【請求項9】
前記第1強化ステップは第1温度で行われ、
前記第2強化ステップは第1温度よりも低い第2温度で行われることを特徴とする請求項に記載のウィンドウの製造方法。
【請求項10】
前記第1強化ステップは380℃乃至440℃で行われ、
前記第2強化ステップは380℃乃至410℃で行われることを特徴とする請求項に記載のウィンドウの製造方法。
【請求項11】
前記第1強化溶融塩はKNO及びNaNOを含み、
前記第2強化溶融塩はKNOを含み、NaNOを含まないことを特徴とする請求項に記載のウィンドウの製造方法。
【請求項12】
前記強化ステップを経た前記ベースガラスの上部面及び下部面のうちの少なくとも一つの面に印刷層を形成するステップを更に含むことを特徴とする請求項1に記載のウィンドウの製造方法。
【請求項13】
SiO、Al、及びLiを含むベースガラスを提供するステップと、
強化溶融塩及び添加剤を含む混合溶融液で前記ベースガラスを強化処理する強化ステップと、を含み、
前記強化溶融塩はLi、Na、K、Rb、及びCsからなる群より選択される2種以上のイオンを含む混合塩、またはLi、Na、K、Rb、及びCsからなる群より選択されるいずれか一つのイオンを含む単一塩であり、
前記添加剤はAl(SO、Al(NO、KSiO、NaSiO、KCl、Ca(NO、及びMg(NOのうちの少なくとも一つを含み、前記添加剤は、前記混合溶融液の全体重量を基準に0wt%超過10wt%以下で含まれることを特徴とするウィンドウの製造方法。
【請求項14】
前記強化溶融塩はKNO及びNaNOのうちの少なくとも一つを含み、
前記添加剤はAl(SOまたはAl(NOを含むことを特徴とする請求項13に記載のウィンドウの製造方法。
【請求項15】
ベースガラスを提供するステップと、
前記ベースガラスに第1強化溶融塩及び添加剤を含む混合溶融液を提供して強化処理する第1強化ステップと、
前記第1強化ステップで強化された前記ベースガラスに、第2強化溶融塩を含み前記添加剤は含まない溶融液を提供して強化処理する第2強化ステップと、を含み、
前記添加剤はAl(SO、Al(NO、KSiO、NaSiO、KCl、Ca(NO、及びMg(NO)のうちの少なくとも一つを含み、前記添加剤は、前記混合溶融液の全体重量を基準に0wt%超過10wt%以下で含まれることを特徴とするウィンドウの製造方法。
【請求項16】
前記ベースガラスはSiO、Al、及びLiを含むことを特徴とする請求項1に記載のウィンドウの製造方法。
【請求項17】
前記混合溶融液はAl(SO及びAl(NOのうちの少なくとも一つとKNO及びNaNOを含み、
前記溶融液はKNOを含むことを特徴とする請求項15に記載のウィンドウの製造方法。
【請求項18】
前記第2強化ステップの後で強化処理された前記ベースガラスの上部面及び下部面のうち少なくとも一つ面に印刷層を形成するステップを更に含み、
前記第2強化ステップと前記印刷層を形成するステップとの間に、前記ベースガラスの少なくとも一面を研磨する研磨処理ステップを含まないことを特徴とする請求項15に記載のウィンドウの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウィンドウの製造方法に関し、より詳しくは、電子装置のカバーガラスとして使用されるウィンドウの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置は、ウィンドウ、筐体、及び電子素子を含む。電子装置は、表示素子、タッチ素子、または検出素子など、電気的信号によって活性化される多様な素子を含む。
【0003】
ウィンドウは電子素子を保護し、ユーザに活性領域を提供する。それによって、ユーザはウィンドウを介して電子素子に入力を提供するか、電子素子で生成された情報を受信する。また、電子素子はウィンドウを介して外部衝撃から安定的に保護される。
【0004】
最近、電子素子のスリム化傾向によって、ウィンドウに対する軽量化または薄型化が求められており、それによる構造的脆弱性を補完するために、優秀な強度及び表面耐久性を有するウィンドウの強化方法が研究されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、強度特性を維持しながらもウィンドウ表面の耐化学性を改善したウィンドウの製造方法を提供することにある。
【0006】
また、本発明は、強化されたウィンドウの表面特性を改善するための別途の後加工工程を省略し、工程の経済性が改善されたウィンドウの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様によるウィンドウの製造方法は、ベースガラスを提供するステップと、前記ベースガラスに強化溶融塩及び添加剤を含む混合溶融液を提供して前記ベースガラスを強化するステップと、を含み、前記添加剤はAl(SO、Al(NO 、KSiO、NaSiO、KCl、Ca(NO 、及びMg(NOのうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする。
【0008】
前記混合溶融液の全体重量を基準に、前記添加剤の含量は0wt%超過10wt%以下であることが好ましい。
【0009】
前記添加剤はAl(SOまたはAl(NO であることが好ましい。
【0010】
前記ベースガラスはSiO、Al、及びLiを含み得る。
【0011】
前記ベースガラスはPを更に含み得る。
【0012】
前記ベースガラスはSiOを50wt%以上80wt%以下で含み、Alを10wt%以上30wt%以下で含み、Liを3wt%以上20wt%以下で含むことが好ましい。
【0013】
前記ベースガラスはSiO、Al、及びPを含み、Liを含まなくてもよい。
【0014】
前記強化溶融塩はLi、Na、K、Rb、及びCsからなる群より選択される2種以上のイオンを含む混合塩、またはLi、Na、K、Rb、及びCsからなる群より選択されるいずれか一つのイオンを含む単一塩であり得る。
【0015】
前記強化ステップは、第1強化溶融塩及び前記添加剤を提供して前記ベースガラスを強化処理する第1強化ステップと、前記添加剤を除き、第2強化溶融塩を提供して前記ベースガラスを強化処理する第2強化ステップと、を含み得る。
【0016】
前記第1強化ステップは第1温度で行われ、前記第2強化ステップは第1温度よりも低い第2温度で行われることが好ましい。
【0017】
前記第1強化ステップは380℃乃至440℃で行われ、前記第2強化ステップは380℃乃至410℃で行われることが好ましい。
【0018】
前記第1強化溶融塩はKNO及びNaNOを含み、前記第2強化溶融塩はKNOを含み、NaNOを含まないことが好ましい。
【0019】
前記強化ステップを経た前記ベースガラスの上部面及び下部面のうちの少なくとも一つの面に印刷層を形成するステップを更に含み得る。
【0020】
上記目的を達成するためになされた本発明の他の態様によるウィンドウの製造方法は、SiO、Al、及びLiを含むベースガラスを提供するステップと、強化溶融塩及び添加剤を含む混合溶融液で前記ベースガラスを強化処理する強化ステップと、を含み、前記強化溶融塩はLi、Na、K、Rb、及びCsからなる群より選択される2種以上のイオンを含む混合塩、またはLi、Na、K、Rb、及びCsからなる群より選択されるいずれか一つのイオンを含む単一塩であり、前記添加剤はAl(SO、Al(NO 、KSiO、NaSiO、KCl、Ca(NO 、及びMg(NOのうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする。
【0021】
前記強化溶融塩はKNO及びNaNOのうちの少なくとも一つを含み、前記添加剤はAl(SOまたはAl(NO を含むことが好ましい。
【0022】
前記添加剤は、前記混合溶融液の全体重量を基準に0wt%超過10wt%以下で含まれ得る。
【0023】
上記目的を達成するためになされた本発明のさらに他の態様によるウィンドウの製造方法は、ベースガラスを提供するステップと、前記ベースガラスに第1強化溶融塩及び添加剤を含む混合溶融液を提供して強化処理する第1強化ステップと、前記第1強化ステップで強化された前記ベースガラスに、第2強化溶融塩を含み前記添加剤は含まない溶融液を提供して強化処理する第2強化ステップと、を含み、前記添加剤はAl(SO、Al(NO 、KSiO、NaSiO、KCl、Ca(NO 、及びMg(NO)のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする。
【0024】
前記ベースガラスはSiO、Al、及びLiを含むことが好ましい。
【0025】
前記混合溶融液はAl(SO及びAl(NO のうちの少なくとも一つとKNO及びNaNOを含み、前記溶融液はKNOを含むことが好ましい。
【0026】
前記第2強化ステップの後で強化処理された前記ベースガラスの上部面及び下部面のうちの少なくとも一つの面に印刷層を形成するステップを更に含み、前記第2強化ステップと前記印刷層を形成するステップとの間に、前記ベースガラスの少なくとも一面を研磨する研磨処理ステップを含まないことが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明のウィンドウの製造方法によれば、強化溶融塩と共に添加剤を含む混合溶融液でベースガラスを強化処理することで、良好な圧縮応力値を維持しながらも優れた表面耐久性を有するウィンドウを提供することができる。
【0028】
また、本発明のウィンドウの製造方法によれば、強化するステップで強化溶融塩以外に添加剤を更に含むことで、強化ステップで発生するウィンドウ表面の欠陥を最小化して優れた印刷性を有するウィンドウを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】一実施形態による電子装置の斜視図である。
図2図1に示す電子装置の分解斜視図である。
図3】一実施形態によるウィンドウの断面図である。
図4】一実施形態によるウィンドウの製造方法を示すフローチャートである。
図5】一実施形態によるウィンドウの製造方法における強化ステップを概略的に示す図である。
図6】一実施形態によるウィンドウの製造方法における強化ステップを示すフローチャートである。
図7】一実施形態によるウィンドウの製造方法を示すフローチャートである。
図8】一実施形態によるウィンドウの製造方法を概略的に示すブロック図である。
図9】一実施形態によるウィンドウの一部を示す断面図である。
図10】従来のウィンドウの製造方法を示すフルーチャートである。
図11】従来の強化ステップで強化処理されて製作されたウィンドウに対する耐化学性を評価したグラフである。
図12a】一実施形態によるウィンドウの製造方法で製造されたウィンドウに対する耐化学性を評価したグラフである。
図12b】一実施形態によるウィンドウの製造方法で製造されたウィンドウに対する耐化学性を評価したグラフである。
図12c】一実施形態によるウィンドウの製造方法で製造されたウィンドウに対する耐化学性を評価したグラフである。
図12d】一実施形態によるウィンドウの製造方法で製造されたウィンドウに対する耐化学性を評価したグラフである。
図12e】一実施形態によるウィンドウの製造方法で製造されたウィンドウに対する耐化学性を評価したグラフである。
図12f】一実施形態によるウィンドウの製造方法で製造されたウィンドウに対する耐化学性を評価したグラフである。
図13】一実施形態によるウィンドウを示す斜視図である。
図14a】一実施形態によるウィンドウを示す斜視図である。
図14b】一実施形態によるウィンドウを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、多様な変更を加えることができ、多様な形態を有することができるゆえ、特定の実施形態を図面に例示し、本明細書中で詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含む。
【0031】
本明細書において、ある構成要素(または領域、層、部分など)が他の構成要素の「上にある」、または「結合される」と記載される場合、それは他の構成要素の上に直接配置・連結・結合されるか、またはそれらの間に第3の構成要素が配置され得ることを意味する。
【0032】
同じ図面符号は同じ構成要素を指す。また、図面において、構成要素の厚さ、割合、及び寸法は技術的内容の効果的な説明のために誇張されている。
【0033】
「及び/または」は、関連する構成が定義する一つ以上の組み合わせを全て含む。
【0034】
第1、第2などの用語は多様な構成要素を説明するのに使用されるが、構成要素は上記用語で限定されない。上記用語は一つの構造要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使用される。例えば、本発明の技術範囲を逸脱しない範囲で第1構成要素は第2構成要素と命名され、同様に第2構成要素も第1構成要素と命名され得る。単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。
【0035】
また、「下に」、「下側に」、「上に」、「上側に」などの用語は、図面に示した構成の連関関係を説明するために使用される。上記用語は相対的な概念であって、図面に示した方向を基準に説明される。
【0036】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術的及び科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。また、一般的に使用される辞書に定義されている用語のような用語は、関連技術の脈絡での意味と一致する意味を有し、理想的な、または過度に形式的な意味に解釈されない限り、明示的にここで定義される。
【0037】
「含む」または「有する」などの用語は明細書に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部分品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しない。
【0038】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。図1は、電子装置を示す斜視図である。図1は、一実施形態によるウィンドウの製造方法によって製作されたウィンドウを含む電子装置の一例を示す図である。図2は、図1に示す電子装置の分解斜視図である。図3は、一実施形態によるウィンドウの製造方法によって製作されたウィンドウの断面図である。
【0039】
電子装置EAは、電気的信号によって活性化される装置である。電子装置EAは、多様な実施形態を含む。例えば、電子装置EAはタブレット、ノートブック、コンピュータ、スマートテレビなどを含む。本実施形態において、電子装置EAはスマートフォンとして例示的に示されている。
【0040】
電子装置EAは、第1方向軸DR1及び第2方向軸DR2で定義される平面に平行する表示面ISで、第3方向軸DR3の方向に映像IMを表示する。映像IMが表示される表示面ISは、電子装置EAの上部面(front surface)に対応し、ウィンドウCWの上部面FSに対応する。また、電子装置EAは、第1方向軸DR1及び第2方向DR2で定義される平面に垂直な方向である第3方向軸DR3の方向に所定の厚さを有する立体形状を有する。
【0041】
一方、図1に示す一実施形態による電子装置EAにおいて、表示面ISは、表示領域DA及び表示領域DAに隣接する非表示領域NDAを含む。非表示領域NDAは表示領域DAを囲んで配置されるが、実施形態はこれに限定されない。表示領域DAは映像IMが提供される部分であって、電子パネルDPのアクティブ領域AAに対応する部分である。一方、映像IMは動的な映像はもちろん、静止画像も含む。図1において、映像IMの一例としてインターネットの検索ウィンドウが示されている。
【0042】
本実施形態では映像IMが表示される方向を基準に各部材の上部面(または前面)と下部面(または背面)が定義される。上部面と下部面は第3方向軸DR3を基準に互いに反対に向き(opposing)、上部面と下部面それぞれの法線方向は第3方向軸DR3に平行する。一方、第1乃至第3方向軸(DR1、DR2、DR3)が指示する方向は相対的な概念であって、他の方向に変換されてもよい。以下、第1乃至第3方向は第1乃至第3方向軸(DR1、DR2、DR3)がそれぞれ指示する方向として同じ図面符号を参照する。
【0043】
電子装置EAは、ウィンドウCW、電子パネルDP、及び筐体HAUを含む。図1及び図2に示す一実施形態による電子装置EAにおいて、ウィンドウCWと筐体HAUは結合されて電子装置EAの外観を構成する。
【0044】
ウィンドウCWの上部面FSは、上述したように電子装置EAの上部面を定義する。ウィンドウCWの上部面FSは、透過領域TA及びベゼル領域BZAを含む。
【0045】
透過領域TAは、光学的に透明な領域である。例えば、透過領域TAは、約90%以上の可視光線透過率を有する領域である。
【0046】
ベゼル領域BZAは、透過領域TAに比べて相対的に光透過率が低い領域である。ベゼル領域BZAは、透過領域TAの形状を定義する。ベゼル領域BZAは、透過領域TAに隣接して透過領域TAを囲む。
【0047】
ベゼル領域BZAは、所定のカラーを有する。ベゼル領域BZAは電子パネルDPの周辺領域NAAをカバーし、周辺領域NAAが外部から視認されることを遮断する。一方、これは例示的な図示であって、本発明の一実施形態によるウィンドウCWにおいて、ベゼル領域BZAは省略されてもよい。
【0048】
ウィンドウCWは、ガラス基板を含む。例えば、ウィンドウCWは、強化処理された強化ガラス基板を含む。ウィンドウCWは、ガラスの光透過率を利用して透過領域TAを提供し、強化処理された表面を含んで外部の衝撃から電子パネルDPを安定的に保護する。
【0049】
ウィンドウCWは、本発明の一実施形態によるウィンドウの製造方法で製作される。一実施形態によるウィンドウの製造方法は、ベースガラスを強化処理する強化ステップを含み、強化ステップにおいて、強化溶融塩及び強化溶融塩とは異なる添加剤を含む混合溶融液がベースガラスに提供される。一実施形態のウィンドウの製造方法による詳細な説明は後述する。
【0050】
電子パネルDPは、電気的信号によって活性化される。本実施形態において、電子パネルDPは活性化されて電子装置EAの表示面ISに映像IMを表示する。映像IMは透過領域TAを介してユーザに提供され、ユーザは映像IMを介して情報を受信する。但し、これは例示的な図示であって、電子パネルDPは活性化されて上部面に印加される外部入力を感知してもよい。外部入力は、ユーザのタッチ、無体物の接触や隣接、圧力、光、または熱を含むが、いずれか一つの実施形態に限定されない。
【0051】
表示パネルDPは、アクティブ領域AAと周辺領域NAAとを含む。アクティブ領域AAは、映像IMを提供する領域である。透過領域TAはアクティブ領域AAの少なくとも一部と重畳する。
【0052】
周辺領域NAAは、ベゼル領域BZAによってカバーされる領域である。周辺領域NAAはアクティブ領域AAに隣接する。周辺領域NAAはアクティブ領域AAを囲む。周辺領域NAAにはアクティブ領域AAを駆動するための駆動回路や駆動配線などが配置される。
【0053】
電子パネルDPは、複数の画素PXを含む。画素PXは電気的信号に応答して光を表示する。画素PXが表示する光は映像IMを具現する。画素PXは表示素子を含む。例えば、表示素子は、有機発光素子、量子点発光素子、液晶キャパシタ、電気泳動素子、または電気湿潤素子などである。
【0054】
筐体HAUは、電子パネルDPの下側に配置される。筐体HAUは相対的に高い剛性を有する物質を含む。例えば、筐体HAUは、ガラス、プラスチック、またはメタルからなる複数個のフレーム及び/またはプレートを含んでもよい。筐体HAUは所定の収容空間を提供する。電子パネルDPは、収容空間内に収容されて外部の衝撃から保護される。
【0055】
図3は、一実施形態によるウィンドウの断面図である。図3を参照すると、ウィンドウCWは、強化ガラス基板BS及び印刷層BZを含む。強化ガラス基板BSは光学的に透明である。本実施形態において、強化ガラス基板BSはベースガラスBG(図5)を強化処理した後のものを称する。本実施形態において、強化ガラス基板BSと説明されるものは、ウィンドウの製造方法の強化ステップで強化されたベースガラスBG(図5)を称する。
【0056】
強化ガラス基板BSの上部面FSは電子装置EAの外部に露出され、ウィンドウCWの上部面FSと電子装置EAの上部面を定義する。強化ガラス基板BSの下部面RSは第3方向軸DR3の方向で上部面FSに対向する。
【0057】
印刷層BZは、強化ガラス基板BSの下部面RSに配置されてベゼル領域BZAを定義する。印刷層BZは、強化ガラス基板BSに比べて相対的に低い光透過率を有する。例えば、印刷層BZは所定のカラーを有してもよい。それによって、印刷層BZは特定カラーの光のみを選択的に透過・反射する。または、例えば、印刷層BZは入射される光を吸収する光遮断層であってもよい。印刷層BZの光透過率及びカラーは、電子装置EAの種類及び電子装置EAのデザインによって多様に提供される。
【0058】
印刷層BZは、強化ガラス基板BSの下部面RSにプリンティング(printing)や蒸着(deposition)によって形成される。この際、印刷層BZは、強化ガラス基板BSの下部面RSに直接形成される。または、印刷層BZは、別途の粘着部材などを介して強化ガラス基板BSの下部面RSに結合されてもよい。この際、強化ガラス基板BSの下部面RSに粘着部材が接触する。
【0059】
図4は、一実施形態によるウィンドウの製造方法を示すフローチャートである。一実施形態によるウィンドウの製造方法は、ベースガラスを提供するステップS100と、ベースガラスに混合溶融液を提供して強化処理するベースガラス強化ステップS300とを含む。
【0060】
一実施形態よるウィンドウの製造方法において、ベースガラスを提供するステップS100で提供されるベースガラスはフロート工法(float process)によって製造される。また、提供されるベースガラスは、ダウンドロー工法(down draw process)、またはフュージョン工法(fusion process)の方法によって製造される。しかし、実施形態はこれに限定されず、提供されるベースガラスは例示されていない多様な方法によって製造されてもよい。
【0061】
ベースガラスを提供するステップS100で提供されるベースガラスは、使用用途を考慮して強化ステップS300の前に切断されて提供される。しかし、実施形態はこれに限定されず、提供されるベースガラスは、最終的に適用される製品のサイズに一致しないサイズで提供され、後で、一実施形態よるウィンドウの製造工程の後に最終製品の適用サイズに切断されて加工されてもよい。
【0062】
ベースガラスは、フラット(flat)なものである。または、ベースガラスはベンディング(bending)されている。例えば、最終的に適用される製品のサイズを考慮して裁断されて提供されるベースガラスは、中央部分を基準に膨らむか窪んでベンディングされていてもよい。または、ベースガラスは、外郭部分にベンディングされた部分を含んでもよい。しかし、実施形態はこれに限定されず、ベースガラスは多様な形状で提供されてもよい。
【0063】
ベースガラスを提供するステップS100で提供されるベースガラスは、SiO及びAlを含む。また、一実施形態において、ベースガラスは、SiO、Al、及びLiを含む。例えば、ベースガラスは、SiOを50wt%以上80wt%以下で含み、Alを10wt%以上30wt%以下で含み、Liを3wt%以上20wt%以下で含んでもよい。
【0064】
一実施形態において、ベースガラスは、SiO、Al、Li、及びPを含む。また、一実施形態において、ベースガラスは、SiO、Al、及びPを含み、Liを含まない。一方、ベースガラスは、SiO、Al、Li、及びP以外に、更にNaO、KO、MgO、及びCaOのうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0065】
強化ステップS300は、ベースガラスに混合溶融塩を提供してベースガラスを化学強化処理するステップである。つまり、混合溶融液にベースガラスを浸漬し、イオン交換法でベースガラスの表面を強化するステップである。ベースガラスに提供される混合溶融液は強化溶融塩及び添加剤を含む。添加剤は強化溶融塩とは異なる。
【0066】
イオン交換法による強化ステップS300は、ベースガラスの表面の相対的にイオン半径が小さいアルカリ金属イオンを、イオン半径がより大きいアルカリ金属イオンに交換して行われる。例えば、ベースガラス表面のLiまたはNaなどのイオンをそれぞれ強化溶融塩から提供されるNaまたはKイオンなどに交換して表面強化が行われる。強化ステップS300を経て製造されたウィンドウは、表面に圧縮応力層CSL(図9)を含む。圧縮応力層CSL(図9)は、ウィンドウCWの上部面FS及び下部面RSのうちの少なくとも一つの面に形成される。
【0067】
強化ステップS300において、混合溶融液として提供される強化溶融塩は混合塩または単一塩である。混合塩は、Li、Na、K、Rb、及びCsからなる群より選択される2種以上のイオンを含む溶融塩である。また、単一塩は、Li、Na、K、Rb、及びCsからなる群より選択されるいずれか一つのイオンを含む溶融塩である。例えば、一実施形態によるウィンドウの製造方法の強化ステップは、混合塩としてKNO及びNaNOの溶融塩を含み、単一塩としてKNOの溶融塩を含んでもよい。
【0068】
混合溶融液に含まれる添加剤は、Al(SO、Al(NO 、KSiO、NaSiO、KCl、Ca(NO 、及びMg(NOのうちの少なくとも一つを含む。例えば、添加剤は、Al(SO、Al(NO 、KSiO、NaSiO、KCl、Ca(NO 、及びMg(NOのうちから選択されるいずれか一つであってもよい。詳しくは、一実施形態において、混合溶融液は添加剤としてAl(SOまたはAl(NO を含む。
【0069】
添加剤は、強化ステップS300で強化溶融塩と共に提供される。添加剤は、添加剤と強化溶融塩を含む混合溶融液の全体重量100wt%を基準に0wt%超過10wt%以下で含まれる。強化ステップS300において、混合溶融液に添加剤を0wt%超過で含むことでウィンドウの表面耐久性を改善することができる。つまり、強化ステップに添加剤を加えることで、強化溶融塩を利用した表面強化ステップで発生したウィンドウ表面の損傷を最小化することができる。一方、強化ステップS300において、混合溶融液に添加剤を10wt%超過で含む場合、強化溶融塩のイオンとベースガラス表面のイオンとの間のイオン交換が低下して強化特性が低下する恐れがある。
【0070】
強化ステップS300は、高温の温度条件でベースガラスに混合溶融液を提供して行われる。図5は、一実施形態によるウィンドウの製造方法において、混合溶融液を提供してベースガラスを強化処理する強化ステップS300を図式的に示している。
【0071】
図5では強化ステップS300が行われる強化処理ユニットHUを例示的に示している。図5の強化処理ユニットHUは強化ステップS300を説明するために概略的に示すものであって、強化処理ユニットHUの形態は図5に示す例に限定されない。
【0072】
図5を参照すると、強化ステップS300は、強化処理ユニットHUで混合溶融液MLにベースガラスBGを浸漬して行われる。この際、混合溶融液MLは、強化溶融塩と上述した添加剤のうちの少なくとも一つを含む。
【0073】
図5において、強化処理ユニットHUは、溶融された混合溶融液MLが入っているタンク部HTと、タンク部HTを囲んで配置されてタンク部HT内の混合溶融液MLに熱を加えるヒーティング部HPと、提供されたベースガラスBGを混合溶融液MLに浸漬するためにベースガラスBGを固定してベースガラスBGを上下方向に移動させる駆動部HDと、強化処理ユニットHUの動作を制御する制御部HCとを含む。制御部HCは、タンク部HT内に入っている混合溶融液MLの温度を制御する。例えば、制御部HCは、ヒーティング部HPを制御して混合溶融液MLを一定温度に加熱し、加熱された温度に混合溶融液MLの温度が維持されるようにする。例えば、ヒーティング部HPは、混合溶融液MLを加熱するために熱を提供するものであるか、または、ヒーティング部HPは加熱された混合溶融液MLの温度が維持されるようにする断熱部の機能を果たす。ベースガラスBGは混合溶融液MLに全体が浸るように配置される。
【0074】
一方、図5では駆動部HDに固定されて混合溶融液ML内で処理されるベースガラスBGを2枚のみ図示しているが、これは例示的なものであって、実施形態はこれに限定されない。混合溶融液ML内で処理されるベースガラスBGは一つであるかまたは複数個であってもよい。
【0075】
ベースガラスを強化するステップS300は一つの強化ステップで行われる。また、これとは異なって、強化ステップS300は複数のステップに区分されて行われてもよく、例えば、ベースガラスを化学強化する強化ステップS300は多段強化ステップで行われてもよい。
【0076】
一方、強化ステップS300が多段強化ステップで行われる場合、各強化ステップで使用される強化溶融塩の構成は互いに異なり得る。しかし、実施形態はこれに限定されず、各強化ステップで使用される強化溶融塩の構成は互いに同じであるか、一部の溶融塩の構成が互いに異なってもよい。
【0077】
図6は、ベースガラスを化学強化する強化ステップS300が多段強化ステップで行われる場合を概略的に示している。図6を参照すると、強化ステップS300は、順次に行われる第1強化ステップS310及び第2強化ステップS320を含む。
【0078】
強化ステップS300が多段強化ステップで行われる場合、第1強化ステップS310は、強化溶融塩と添加剤をベースガラスに提供してベースガラスを強化処理するステップである。また、第2強化ステップS320は、添加剤を除き強化溶融塩を提供してベースガラスを強化処理するステップである。
【0079】
第1強化ステップS310は、第1強化溶融塩と添加剤を含む混合溶融液をベースガラスに提供してベースガラスを強化処理するステップであり、例えば、第1強化溶融塩はKNO及びNaNOを含んでもよい。第2強化ステップS320は第1強化ステップS310の後で行われ、添加剤を除き第2強化溶融塩を含む溶融液を第1強化ステップで強化処理されたベースガラスに提供して、ベースガラスを更に強化処理するステップである。例えば、第2強化溶融塩はKNOを含み、NaNOを含まなくてもよい。第1強化溶融塩と第2強化溶融塩は互いに異なるか、第1強化溶融塩と第2強化溶融塩が複数の溶融塩を含む場合、溶融塩のうちの少なくとも一部が同じであってもよい。
【0080】
強化ステップS300が多段強化ステップからなる場合、第1強化ステップS310は第1温度で行われ、第2強化ステップS320は第2温度で行われる。つまり、強化ステップS300は、第1温度でイオン交換処理する第1強化ステップS310、及び第2温度でイオン交換処理する第2強化ステップS320を含む。第1温度は380℃乃至440℃であり、第2温度は380℃乃至410℃である。例えば、第1強化ステップS310は380℃乃至440℃の第1温度で、2時間乃至5時間行われ、第2強化ステップS320は380℃乃至410℃の第2温度で、30分乃至2時間行われる。
【0081】
一方、一実施形態によるウィンドウの製造方法において、第2強化ステップS320の第2温度は、第1強化ステップS310の第1温度以下である。詳しくは、一実施形態のウィンドウの製造方法において提供されたベースガラスがSiO、Al、及びLiを含む場合、第1強化ステップS310は420℃で2時間行われ、次に第2強化ステップS320は390℃で45分間行われる。
【0082】
図7は、一実施形態のウィンドウの製造方法を示すフローチャートである。一実施形態のウィンドウの製造方法は、ベースガラスを提供するステップS100と、ベースガラスを強化するステップS300と、強化されたベースガラスに印刷層を形成するステップS500とを含む。
【0083】
印刷層を形成するステップS500において形成された印刷層は、強化処理されたベースガラスの上部面及び下部面のうちの少なくとも一つの面に提供される。印刷層は、図3で説明したベゼル領域BZAを提供する印刷層BZである。印刷層を形成するステップS500において、印刷層BZは、例えば、強化処理されたベースガラスである強化ガラス基板BS(図3)の下部面RS(図3)に提供される。
【0084】
図8は、一実施形態のウィンドウの製造方法をブロック図で示している。図8では、図7のフローチャートにおける各ステップに対応する、ベースガラスBGを提供するステップS100と、提供されたベースガラスBGを強化処理する強化ステップS300と、強化処理された強化ガラス基板BSに印刷層を形成する印刷層形成ステップS500とを行う各ユニットをブロックで示している。ベースガラスBGは強化処理ユニットに提供され、強化処理ユニットで化学強化された後の強化ガラス基板BSは印刷ユニットに伝達される。印刷ユニットで印刷層を形成した後、最終的に強化ガラス基板BS及び印刷層BZを含むウィンドウCWが提供される。
【0085】
一方、図示していないが、強化ステップS300と印刷層形成ステップS500との間に、強化処理された強化ガラス基板BSを冷却させる冷却ステップと、強化ガラス基板BSを洗浄する洗浄ステップなどを更に含んでもよく、それによって強化処理ユニットと印刷ユニットとの間に冷却ユニット及び洗浄ユニットなどを更に含んでもよい。
【0086】
図9は、一実施形態のウィンドウの製造方法で製造されたウィンドウの一部を示す断面図である。図9は、図3ウィンドウの一部を示す断面図である。一実施形態のウィンドウの製造方法で製造されたウィンドウの表面には圧縮応力層CSLが形成される。圧縮応力層CSLは、ウィンドウの上部面FSまたは下部面RSから圧縮応力CS値が0になる地点までの層と定義される。
【0087】
一方、一実施形態のウィンドウの製造方法で製造されたウィンドウは、上部面FS及び下部面RSに隣接して形成される圧縮応力層CSLを含み、上部面FS及び下部面RSを定義するウィンドウの表面は、強化ステップS300の後にも損傷がない状態で提供される。
【0088】
つまり、一実施形態のウィンドウの製造方法は、強化ステップで強化溶融塩と共に添加剤を含んでベースガラスを強化処理することで、ウィンドウ表面の圧縮応力層の圧縮応力値の低下を最小化しながらも表面の耐久性が改善されたウィンドを提供する。例えば、一実施形態のウィンドウの製造方法で特性が改善されたウィンドウは、強化ステップで添加剤を含んでベースガラスを強化処理することにより、製造されたウィンドウ表面の欠陥や強化ステップの途中でベースガラスの内部から抜けるイオンの空き空間で形成されるボイド(void)などを最小化することで、改善された表面強度を有しながらも優れた耐化学性を示す。
【0089】
また、一実施形態のウィンドウの製造方法は、強化ステップで添加剤を含んでベースガラスを強化処理することによりウィンドウ表面の欠陥を最小化し、ウィンドウ表面の物性を改善するための別途の後加工工程を省略した場合であっても均一なウィンドウ表面を提供する。さらに、それによってウィンドウ表面に印刷層を形成する際の印刷層の印刷品質が良好に維持される。
【0090】
図10は、従来のウィンドウの製造方法を示すフローチャートである。従来のウィンドウの製造方法は、ベースガラス提供ステップS100’と、ベースガラス強化ステップS300’と、研磨処理ステップS400’と、印刷層形成ステップS500’とを含む。つまり、従来のウィンドウの製造方法は、強化ステップS300’の後に研磨処理ステップS400’を更に含むことで本発明の一実施形態のウィンドウの製造方法のステップと差がある。
【0091】
一方、従来のウィンドウの製造方法において、ベースガラス強化ステップS300’は、ベースガラスに強化溶融塩を提供してベースガラスを化学強化処理するステップである。つまり、従来のウィンドウの製造方法のベースガラス強化ステップS300’では強化溶融塩でベースガラスを化学強化する際、本発明の一実施形態のウィンドウの製造方法で提示された添加剤を含まないことに差がある。
【0092】
以下、図11及び図12a乃至図12fは、製作されたウィンドウの耐化学性を評価した結果を示すグラフである。図11は、従来のウィンドウの製造方法で製作されたウィンドウに対する耐化学性を評価したグラフであり、図12a乃至図12fは、本発明の一実施形態によるウィンドウの製造方法で製作されたウィンドウの実施例に対する耐化学性を評価した結果を示している。図12aは添加剤としてA1(SOを含んで強化処理されたものであり、図12bはAl(NO 図12cはKSiO図12dはCa(NO 図12eはKCl、そして図12fはMg(NOをそれぞれ添加剤として含んで強化処理されたウィンドウに対する耐化学性を評価した結果を示している。図12a乃至図12fに示した耐化学性の評価結果のために製作されたウィンドウにおいて、ベースガラスに提供された混合溶融液のうちの添加剤の含量は6wt%にしている。
【0093】
図11及び図12a乃至図12fにおいて、「REF」は、製造後酸処理前のウィンドウに対する波長別透過度の値を示すグラフである。また、図11及び図12a乃至図12fにおいて、「EXP1」は、製造されたウィンドウを50℃、pH1以下の硝酸(HNO)溶液に2分間浸漬して酸処理した後の波長別透過度の値を示し、「EXP2」は、製造されたウィンドウを60℃、pH1以下の硝酸(HNO)溶液に2分間浸漬して酸処理した後の波長別透過度の値を示す。一方、一部のグラフにおいて、「REF」、「EXP1」、及び「EXP2」で表される透過度グラフが互いに重畳して示されているが、これは重畳するグラフで表示される条件に対して透過度の差が微細であるか類似している場合に当たる。
【0094】
一方、図11及び図12a乃至図12fで提示された評価のために製作されたウィンドウの場合、強化ステップは多段強化ステップで行われている。第1強化ステップはKNO及びNaNOを強化溶融塩として含み420℃で2時間行われており、第2強化ステップはKNOを強化溶融塩として含み390℃で45分間行われている。図11に示した評価結果を示すウィンドウの場合、強化ステップにおいて添加剤を含んでおらず、図12a乃至図12fに示した評価結果を示すウィンドウの場合、第1強化ステップにおいてそれぞれの添加剤を含んでいる。
【0095】
図11を参照すると、従来のウィンドウの製造方法で製作されたウィンドウの場合、酸処理後のウィンドウの透過度が酸処理前のウィンドウの透過度よりも増加していることが分かる。これは酸処理という耐化学性の評価を行っている途中、ウィンドウの表面から一部の化学成分が溶出してウィンドウの透過度が増加したためであると判断されるが、これにより酸処理後のウィンドウ表面の物性が変化していることが分かる。
【0096】
図12a乃至図12fを参照すると、一実施形態のウィンドウの製造方法で製作されたウィンドウの場合、酸処理後も透過度に変化が殆どないか、または従来のウィンドウの製造方法で製作されたウィンドウに比べて透過度の変化程度が少なく示されている。これは、強化ステップにおいて強化溶融塩と共に添加剤を含んで強化処理される場合、ウィンドウ表面の化学的耐久性が増加したためであると判断される。
【0097】
一方、図12a乃至図12fの場合、酸処理前後の透過度変化がほとんどないことから、強化処理されたウィンドウが優れた耐化学性を有することが分かる。つまり、一実施形態によるウィンドウの製造方法において、強化ステップを行う際に強化溶融塩と共に添加剤としてそれぞれAl(SO、Al(NO 、またはKSiOを含んでベースガラスを強化処理する場合、良好な表面圧縮応力値と共に優れた表面耐化学性を示すことが分かる。
【0098】
図13は、本発明の一実施形態によるウィンドウの製造方法で製作されたウィンドウCW-aを示す斜視図である。図14a及び図14bは、本発明の一実施形態によるウィンドウの製造方法で製作されたウィンドウCW-b1、CW-b2を示す斜視図である。以下、図13図14a乃び図14bを参照して説明するウィンドウに関する説明においては、図1乃至図10で説明した内容と重複する内容は省略し、差を中心に説明する。
【0099】
図13に示すように、ウィンドウCW-aはベンディング軸BXを中心にベンディングされるベンディング部BAを含む。一実施形態において、ウィンドウCW-aは平坦部FA及びベンディング部BAを含む。
【0100】
一実施形態において、ベンディング軸BXは第2方向軸DR2に沿って延長され、ウィンドウCW-aの背面に提供される。平坦部FAは、第1方向軸DR1及び第2方向軸DR2が定義する平面に平行する部分である。ベンディング部BAは、平坦部FAに隣り合って曲がった形状を有する曲面部分である。例えば、図13を参照すると、ベンディング部BAは平坦部FAの両側に隣接した部分であって、平坦部FAから下側に折曲された部分である。但し、実施形態はこれに限定されず、ベンディング部BAは平坦部FAの一側にのみ提供されるか、または平面上において、平坦部FAの4つの側面共に隣接して配置されてもよい。
【0101】
一実施形態によるウィンドウCW-aは、強化溶融塩と共に添加剤を含む混合溶融液で強化処理されたベースガラスを含むことで良好な表面圧縮応力値を示し、強化ステップの後に別途の後加工ステップがなくても優れた表面耐化学性を有する。
【0102】
また、一実施形態によるウィンドウの製造方法で製作されたウィンドウCW-b1、CW-b2は、図14a及び図14bに示すように、折畳軸FXを中心に折り畳まれるか、広げられる。説明の便宜上、図14aには広げられた状態のウィンドウCW-b1を示し、図14bには折り畳まれた状態のウィンドウCW-b2を示している。
【0103】
折畳軸FXは、第1方向軸DR1に沿って延長され、ウィンドウCW-b1の上部面FSの上に定義される。つまり、図14a乃び図14bでは、折り畳まれる際にウィンドウCW-b2の下部面RSが外部に露出されるインフォールディングウィンドウを示しているが、実施形態はこれに限定されない。例えば、一実施形態によるウィンドウは、図14a乃び図14bの図示とは異なって、折畳軸FXがウィンドウCW-b1の下部面RSの下側に定義されて外側に折り畳まれるウィンドウであってもよい。一方、使用過程で形状が変形可能なウィンドウCW-b1、CW-b2も一実施形態によるウィンドウの製造方法で製作されるが、強化ステップで強化溶融塩と共に添加剤が提供されて強化ステップS300を経ることで、良好な表面圧縮応力値を示し、強化ステップの後に別途の後加工ステップがなくても優れた表面耐化学性を有する。
【0104】
一実施形態によるウィンドウの製造方法で製作されたベンディング部BAを有するウィンドウCW-aや形状が変形されたウィンドウCW-b1、CW-b2は、強化ステップの後に研磨処理ステップを省略した場合でも良好な表面圧縮応力値を示し、優れた耐久性を示すことで、多様な電子装置に適用される。
【0105】
一実施形態によるウィンドウの製造方法は、強化ステップで強化溶融塩と共に添加剤を含む混合溶融液でベースガラスを強化処理することで、良好な表面圧縮応力特性を示しながらも優れた表面耐化学性を有する。また、一実施形態によるウィンドウの製造方法は、強化処理された強化ガラス基板の表面欠陥を除去するために強化ステップの後に提供される研磨処理ステップを省略した場合であっても、良好な表面圧縮応力特性と優れた表面耐久性を示すことで、改善された工程性を示す。更に、一実施形態によるウィンドウの製造方法は、強化ステップで強化溶融塩と共に添加剤を含む混合溶融液でベースガラスを強化処理することで良好な表面特性を示し、強化処理されたベースガラスの表面に提供される印刷層の印刷品質及び強化されたベースガラスの表面に対する印刷層の耐久性も改善される。
【0106】
以上、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、該当技術分野における熟練した当業者または該当技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の思想及び技術範囲から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更し得ることが理解される。
【0107】
よって、本発明の技術的範囲は本明細書の詳細な説明に記載されている内容に限定されず、特許請求の範囲によって定められるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、電子装置のカバーガラスとして使用され、優れた表面耐久性を有するウィンドウを提供するウィンドウの製造方法に関し、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0109】
AA アクティブ領域
BA ベンディング部
BG ベースガラス
BS 強化ガラス基板
BX ベンディング軸
BZ 印刷層
BZA ベゼル領域
CSL 圧縮応力層
CW、CW-a、CW-b1、CW-b2 ウィンドウ
DA 表示領域
DP 電子パネル
EA 電子装置
FA 平坦部
FS 上部面
FX 折畳軸
HAU 筐体
HC 制御部
HD 駆動部
HP ヒーティング部
HT タンク部
HU 強化処理ユニット
IM 映像
IS 表示面
ML 混合溶融液
NAA 周辺領域
NDA 非表示領域
PX 画素
RS 下部面
TA 透過領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12a
図12b
図12c
図12d
図12e
図12f
図13
図14a
図14b