(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】マルチモード・アンテナ・システム
(51)【国際特許分類】
H01Q 3/44 20060101AFI20230915BHJP
H01Q 21/24 20060101ALI20230915BHJP
H01Q 3/24 20060101ALI20230915BHJP
【FI】
H01Q3/44
H01Q21/24
H01Q3/24
(21)【出願番号】P 2021556775
(86)(22)【出願日】2020-03-17
(86)【国際出願番号】 US2020023120
(87)【国際公開番号】W WO2020190926
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-10-01
(32)【優先日】2019-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519006872
【氏名又は名称】エイブイエックス・アンテナ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】シン,アビシェーク
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-129599(JP,A)
【文献】特表2015-530054(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0062924(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0020838(US,A1)
【文献】中国実用新案第207852915(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 3/00-11/20
H01Q 21/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチモード・アンテナ・システムであって、
接地面を含む回路ボードと、
前記接地面上に配置された第1モーダル・アンテナであって、
前記第1モーダル・アンテナが複数のモードの内の1つに設定可能であり、前記複数のモードの各々が別個の放射パターンを有し、
前記第1モーダル・アンテナが、被駆動エレメントと
、前記接地面と前記第1モーダル・アンテナの被駆動エレメントのうち前記回路ボードに平行な一部との間
で前記回路ボードに対し垂直方向に沿って定められる第1空間の外側に位置づけられる第1寄生エレメントと、前記第1空間の内部に位置づけられる第2寄生エレメントと、を含み、
前記第1モーダル・アンテナが、更に、第1能動エレメントと第2能動エレメントとを含み、前記第1能動エレメントが、前記第1寄生エレメントのリアクタンスを調節して、前記被駆動エレメントに伴う放射パターンを変更するように構成され、前記第2能動エレメントが、前記第2寄生エレメントのリアクタンスを調節するように構成される、
第1モーダル・アンテナと、
前記接地面上に配置された第2モーダル・アンテナであって、
前記第2モーダル・アンテナが複数のモードの内の1つに設定可能であり、前記複数のモードの各々が別個の放射パターンを有し、
前記第2モーダル・アンテナが、被駆動エレメントと
、前記接地面と前記第2モーダル・アンテナの被駆動エレメントのうち前記回路ボードに平行な一部との間
で前記垂直方向に沿って定められる第2空間の外側に位置づけられる第1寄生エレメントと、前記第2空間の内部に位置づけられる第2寄生エレメントと、を含み、
前記第2モーダル・アンテナが、更に、第1能動エレメントと第2能動エレメントとを含み、前記第1能動エレメントが、前記第2モーダル・アンテナの第1寄生エレメントのリアクタンスを調節して、前記第2モーダル・アンテナの被駆動エレメントに伴う放射パターンを変更するように構成され、前記第2能動エレメントが、前記第2モーダル・アンテナの第2寄生エレメントのリアクタンスを調節するように構成される、
第2モーダル・アンテナと、
を備え、
前記第2モーダル・アンテナの第1寄生エレメントのリアクタンスを調節するために前記第2モーダル・アンテナの第1能動エレメントを制御することによって、前記第1モーダル・アンテナに伴う前記放射パターンに作用するように、前記第2モーダル・アンテナの第1の寄生エレメントが位置付けられ、
前記第2モーダル・アンテナの第1寄生エレメントが、前記第1モーダル・アンテナの第1寄生エレメントに対して90度回転し、
前記第1モーダル・アンテナおよび前記第2モーダル・アンテナの各々における前記第1寄生エレメントが、
前記接地面に結合された第1直線部分と、
前記第1直線部分から延出する第2直線部分であって、前記第1直線部分に対して垂直となり、前記接地面から離間する、第2直線部分と、
前記第2直線部分から延出する第3直線部分であって、前記第2直線部分に対して垂直となり、前記接地面から離間する、第3直線部分と、
を含む、マルチモード・アンテナ・システム。
【請求項2】
請求項1記載のマルチモード・アンテナ・システムにおいて、
前記第1モーダル・アンテナの被駆動エレメントが、前記接地面の第1エッジに隣接して位置付けられ、
前記第2モーダル・アンテナの被駆動エレメントが、前記接地面の第1エッジに対して垂直となる、前記接地面の第2エッジに隣接して位置付けられる、マルチモード・アンテナ・システム。
【請求項3】
請求項2記載のマルチモード・アンテナ・システムにおいて、前記第2モーダル・アンテナの被駆動エレメントが、前記第1モーダル・アンテナの被駆動エレメントに対して90度回転する、マルチモード・アンテナ・システム。
【請求項4】
請求項1記載のマルチモード・アンテナ・システムにおいて、前記第1モーダル・アンテナおよび前記第2モーダル・アンテナの各々における前記第2寄生エレメントが、
前記接地面に結合された第1直線部分と、
前記第2寄生エレメントの第1直線部分から延出する第2直線部分であって、前記接地面から離間し、前記第2寄生エレメントの第1直線部分に対して垂直となる、前記第2寄生エレメントの第2直線部分と、
を含む、マルチモード・アンテナ・システム。
【請求項5】
請求項1記載のマルチモード・アンテナ・システムであって、更に、
前記接地面上に配置された第3モーダル・アンテナであって、前記第3モーダル・アンテナが複数のモードの内の1つに設定可能であり、前記複数のモードの各々が別個の放射パターンを有し、
前記第3モーダル・アンテナが、被駆動エレメントと複数の寄生エレメントとを含み、
前記第3モーダル・アンテナが、更に、前記第3モーダル・アンテナの1つ以上の寄生エレメントのリアクタンスを調節して、前記第3モーダル・アンテナの被駆動エレメントに伴う放射パターンを変更するように構成された能動エレメントを含む、第3モーダル・アンテナと、
前記接地面上に配置された第4モーダル・アンテナであって、前記第4モーダル・アンテナが複数のモードの内の1つに設定可能であり、前記複数のモードの各々が別個の放射パターンを有し、
前記第4モーダル・アンテナが、被駆動エレメントと複数の寄生エレメントとを含み、
前記第4モーダル・アンテナが、更に、前記第4モーダル・アンテナの1つ以上の寄生エレメントのリアクタンスを調節して、前記第4モーダル・アンテナの被駆動エレメントに伴う放射パターンを変更するように構成された能動エレメントを含む、第4モーダル・アンテナと、
を備える、マルチモード・アンテナ・システム。
【請求項6】
請求項5記載のマルチモード・アンテナ・システムにおいて、
前記第2モーダル・アンテナの被駆動エレメントが、前記第1モーダル・アンテナの被駆動エレメントに対して90度回転し、
前記第3モーダル・アンテナの被駆動エレメントが、前記第2モーダル・アンテナの被駆動エレメントに対して90度回転し、
前記第4モーダル・アンテナの被駆動エレメントが、前記第3モーダル・アンテナの被駆動エレメントに対して90度回転する、マルチモード・アンテナ・システム。
【請求項7】
マルチモード・アンテナ・システムであって、
接地面を含む回路ボードと、
前記接地面上に配置された第1モーダル・アンテナであって、
前記第1モーダル・アンテナが複数のモードの内の1つに設定可能であり、前記複数のモードの各々が別個の放射パターンを有し、
前記第1モーダル・アンテナが、被駆動エレメントと
、前記接地面と前記第1モーダル・アンテナの被駆動エレメントのうち前記回路ボードに平行な一部との間
で前記回路ボードに対し垂直方向に沿って定められる第1空間の外側に位置づけられる第1寄生エレメントと、前記第1空間の内部に位置づけられる第2寄生エレメントと、を含み、
前記第1モーダル・アンテナが、更に、第1能動エレメントと第2能動エレメントとを含み、第1能動エレメントが、前記第1寄生エレメントのリアクタンスを調節して、前記被駆動エレメントに伴う放射パターンを変更するように構成され、前記第2能動エレメントが、前記第2寄生エレメントのリアクタンスを調節するように構成される、
第1モーダル・アンテナと、
前記接地面上に配置された第2モーダル・アンテナであって、
前記第2モーダル・アンテナが複数のモードの内の1つに設定可能であり、前記複数のモードの各々が別個の放射パターンを有し、
前記第2モーダル・アンテナが、被駆動エレメントと
、前記接地面と前記第2モーダル・アンテナの被駆動エレメントのうち前記回路ボードに平行な一部との間
で前記垂直方向に沿って定められる第2空間の外側に位置づけられる第1寄生エレメントと、前記第2空間の内部に位置づけられる第2寄生エレメントと、を含み、
前記第2モーダル・アンテナの被駆動エレメントが前記接地面の第2エッジに隣接して位置付けられ、
前記第2モーダル・アンテナが、更に、第1能動エレメントと第2能動エレメントとを含み、前記第1能動エレメントが、前記第2モーダル・アンテナの第1寄生エレメントのリアクタンスを調節して、前記第2モーダル・アンテナの被駆動エレメントに伴う放射パターンを変更するように構成され、前記第2能動エレメントが、前記第2モーダル・アンテナの第2寄生エレメントのリアクタンスを調節するように構成される、
第2モーダル・アンテナと、
前記接地面上に配置された第3モーダル・アンテナであって、前記第3モーダル・アンテナが複数のモードの内の1つに設定可能であり、前記複数のモードの各々が別個の放射パターンを有し、
前記第3モーダル・アンテナが、被駆動エレメントと
、前記接地面と前記第3モーダル・アンテナの被駆動エレメントのうち前記回路ボードに平行な一部との間
で前記垂直方向に沿って定められる第3空間の外側に位置づけられる第1寄生エレメントと、前記第3空間の内部に位置づけられる第2寄生エレメントと、を含み、
前記第3モーダル・アンテナの被駆動エレメントが前記接地面の第3エッジに隣接して位置付けられ、
前記第3モーダル・アンテナが、更に、第1能動エレメントと第2能動エレメントとを含み、前記第1能動エレメントが、前記第3モーダル・アンテナの第1寄生エレメントのリアクタンスを調節して、前記第3モーダル・アンテナの被駆動エレメントに伴う放射パターンを変更するように構成され、前記第2能動エレメントが、前記第3モーダル・アンテナの第2寄生エレメントのリアクタンスを調節するように構成される、第3モーダル・アンテナと、
前記接地面上に配置された第4モーダル・アンテナであって、前記第4モーダル・アンテナが複数のモードの内の1つに設定可能であり、前記複数のモードの各々が別個の放射パターンを有し、
前記第4モーダル・アンテナが、被駆動エレメントと複数の寄生エレメントとを含み、
前記第4モーダル・アンテナの被駆動エレメントが前記接地面の第4エッジに隣接して位置付けられ、
前記第4モーダル・アンテナが、更に、前記第4モーダル・アンテナの第1寄生エレメントのリアクタンスを調節して、前記第4モーダル・アンテナの被駆動エレメントに伴う放射パターンを変更するように構成された能動エレメントを含む、
第4モーダル・アンテナと、
を備え、
前記第2モーダル・アンテナの第1寄生エレメントのリアクタンスを調節するために前記第2モーダル・アンテナの第1能動エレメントを制御することによって、前記第1モーダル・アンテナ、前記第3モーダル・アンテナ、または前記第4モーダル・アンテナの内少なくとも1つに伴う放射パターンに作用するように、前記第2モーダル・アンテナの第1寄生エレメントが位置付けられ、
前記第2モーダル・アンテナの第1寄生エレメントが、前記第1モーダル・アンテナの第1寄生エレメントに対して90度回転し、
前記第1モーダル・アンテナ、前記第2モーダル・アンテナ、前記第3モーダル・アンテナ、および前記第4モーダル・アンテナの各々における前記第1寄生エレメントが、
前記接地面に結合された第1直線部分と、
前記第1直線部分から延出する第2直線部分であって、前記第1直線部分に対して垂直となり、前記接地面から離間する、第2直線部分と、
前記第2直線部分から延出する第3直線部分であって、前記第2直線部分に対して垂直となり、前記接地面から離間する、第3直線部分と、
を含む、マルチモード・アンテナ・システム。
【請求項8】
請求項7記載のマルチモード・アンテナ・システムにおいて、
前記第2モーダル・アンテナの被駆動エレメントが、前記第1モーダル・アンテナの被駆動エレメントに対して90度回転し、
前記第3モーダル・アンテナの被駆動エレメントが、前記第2モーダル・アンテナの被駆動エレメントに対して90度回転し、
前記第4モーダル・アンテナの被駆動エレメントが、前記第3モーダル・アンテナの被駆動エレメントに対して90度回転する、マルチモード・アンテナ・システム。
【請求項9】
請求項7記載のマルチモード・アンテナ・システムにおいて、
前記第2モーダル・アンテナの第1寄生エレメントが、前記第1モーダル・アンテナの第1寄生エレメントに対して90度回転し、
前記第3モーダル・アンテナの第1寄生エレメントが、前記第2モーダル・アンテナの第1寄生エレメントに対して90度回転し、
前記第4モーダル・アンテナの第1寄生エレメントが、前記第3モーダル・アンテナの第1寄生エレメントに対して90度回転する、マルチモード・アンテナ・システム。
【請求項10】
請求項7記載のマルチモード・アンテナ・システムにおいて、
前記第2モーダル・アンテナの第2寄生エレメントが、前記第1モーダル・アンテナの第2寄生エレメントに対して90度回転し、
前記第3モーダル・アンテナの第2寄生エレメントが、前記第2モーダル・アンテナの第2寄生エレメントに対して90度回転し、
前記第4モーダル・アンテナの第2寄生エレメントが、前記第3モーダル・アンテナの第2寄生エレメントに対して90度回転する、マルチモード・アンテナ・システム。
【請求項11】
請求項8記載のマルチモード・アンテナ・システムであって、更に、
前記第1モーダル・アンテナ、前記第2モーダル・アンテナ、前記第3モーダル・アンテナ、および第4モーダル・アンテナの内の1つを選択的にRFソースに結合するように構成されたスイッチング・デバイスを備える、マルチモード・アンテナ・システム。
【請求項12】
請求項8記載のマルチモード・アンテナ・システムにおいて、
前記第1モーダル・アンテナの被駆動エレメント、前記第2モーダル・アンテナの被駆動エレメント、前記第3モーダル・アンテナの被駆動エレメント、および前記第4モーダル・アンテナの被駆動エレメントが、アンテナ・アレイとして構成される、マルチモード・アンテナ・システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
[0001] 本願は、“Multi-Mode Antenna System”(マルチモード・アンテナ・システム)と題し、2019年3月21日の出願日を有する米国仮特許出願第62/821,740号の優先権を主張する。この特許出願をここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。
【0002】
分野
[0002] 本開示は、一般的に、マルチモード・アンテナ・システムに関する。
【従来技術】
【0003】
[0003] 多入力多出力(MIMO:multiple input multiple output)システムは、ワイヤレス通信、実例をあげると、WiFiアクセス・ポイントのようなアクセス・ポイントにおいて、増々使用されつつある。MIMOシステムは、2つ以上のアンテナを含み、2系統以上の経路を通じて信号を送信または受信することを可能にする。ある実例では、MIMOシステムにおけるアンテナは、高い効率を有することが好ましく、優れた分離および低い相関と共に、等しい効率を有することが好ましい。しかしながら、MIMOシステムが採用されるマルチパス環境は、常に変化しつつあるので、通信リンクの性能に影響を及ぼす可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004] 本開示の実施形態の態様および利点は、部分的に以下の説明において明記され、または以下の説明から学習することができ、または実施形態の実施を通じて学習することができる。
【0005】
[0005] 一態様において、マルチモード・アンテナ・システムを提供する。このマルチモード・アンテナ・システムは、導電性接地面を有する回路ボードを含むことができる。マルチモード・アンテナ・システムは、接地面上に配置された第1モーダル・アンテナを含むことができる。第1モーダル・アンテナは、複数のモードの内の1つに設定可能(configurable)にすることができる。更に、複数のモードの各々は別個の放射パターンを有することができる。第1モーダル・アンテナは、被駆動エレメントと、少なくとも1つの寄生エレメントと、能動エレメントとを含むことができる。能動エレメントは、少なくとも1つの寄生エレメントのリアクタンスを調節して、被駆動エレメントに伴う放射パターンを変更させるように構成される。マルチモード・アンテナ・システムは、更に、接地面上に配置された第2モーダル・アンテナも含むことができる。第2モーダル・アンテナは、複数のモードの内の1つに設定可能にすることができる。更に、複数のモードの各々は、別個の放射パターンを有することができる。第2モーダル・アンテナは、被駆動エレメントと、少なくとも1つの寄生エレメントと、能動エレメントとを含むことができる。能動エレメントは、第2モーダル・アンテナの少なくとも1つの寄生エレメントのリアクタンスを調節して、第2モーダル・アンテナの被駆動エレメントに伴う放射パターンを変更させるように構成される。更に、第2モーダル・アンテナの少なくとも1つの寄生エレメントのリアクタンスを調節するために第2モーダル・アンテナの能動エレメントを制御することによって、第1モーダル・アンテナに伴う放射パターンに作用するように、第2モーダル・アンテナの少なくとも1つの寄生エレメントが位置付けられる。
【0006】
[0006] 他の態様では、マルチモード・アンテナ・システムを提供する。このマルチモード・アンテナ・システムは、接地面を有する回路ボードを含む。このマルチモード・アンテナ・システムは、接地面上に配置された第1モーダル・アンテナを含む。第1モーダル・アンテナは、複数のモードの内の1つに設定可能である。複数のモードの各々は、別個の放射パターンを有する。第1モーダル・アンテナは、被駆動エレメントと少なくとも1つの寄生エレメントとを含む。第1被駆動エレメントは、接地面の第1エッジに隣接して位置付けられる。第1モーダル・アンテナは、更に、少なくとも1つの寄生エレメントのリアクタンスを調節して、被駆動エレメントに伴う放射パターンを変更するように構成された、能動エレメントを含む。
【0007】
[0007] このマルチモード・アンテナ・システムは、接地面上に配置された第2モーダル・アンテナを含む。第2モーダル・アンテナは、複数のノードの内の1つに設定可能である。複数のモードの各々は、別個の放射パターンを有する。第2モーダル・アンテナは、被駆動エレメントと少なくとも1つの寄生エレメントとを含む。第2モーダル・アンテナの被駆動エレメントは、接地面の第2エッジに隣接して位置付けられる。第2モーダル・アンテナは、第2モーダル・アンテナの少なくとも1つの寄生アンテナ・エレメントのリアクタンスを調節して、第2モーダル・アンテナの被駆動エレメントに伴う放射パターンを変更するように構成された能動エレメントを含む。
【0008】
[0008] このマルチモード・アンテナ・システムは、接地面上に配置された第3モーダル・アンテナを含む。第3モーダル・アンテナは、複数のモードの内の1つに設定可能である。複数のモードの各々は、別個の放射パターンを有する。第3モーダル・アンテナは、被駆動エレメントと少なくとも1つの寄生エレメントとを含む。第3モーダル・アンテナの被駆動エレメントは、接地面の第3エッジに隣接して位置付けられる。第3モーダル・アンテナは、第3モーダル・アンテナの少なくとも1つの寄生アンテナ・エレメントのリアクタンスを調節して、第3モーダル・アンテナの被駆動エレメントに伴う放射パターンを変更するように構成された能動エレメントを含む。
【0009】
[0009] このマルチモード・アンテナ・システムは、接地面上に配置された第4モーダル・アンテナを含む。第4モーダル・アンテナは、複数のモードの内の1つに設定可能である。複数のモードの各々は、別個の放射パターンを有する。第4モーダル・アンテナは、被駆動エレメントと少なくとも1つの寄生エレメントとを含む。第4モーダル・アンテナの被駆動エレメントは、接地面の第4エッジに隣接して位置付けられる。第4モーダル・アンテナは、更に、第4モーダル・アンテナの少なくとも1つの寄生アンテナ・エレメントのリアクタンスを調節して、第4モーダル・アンテナの被駆動エレメントに伴う放射パターンを変更するように構成された能動エレメントを含む。更に、第2モーダル・アンテナの少なくとも1つの寄生アンテナ・エレメントのリアクタンスを調節するために第2モーダル・アンテナの能動エレメントを制御することによって、第1モーダル・アンテナ、第3モーダル・アンテナ、または第4モーダル・アンテナの内少なくとも1つに伴う放射パターンに作用するように、第2モーダル・アンテナの少なくとも1つの寄生エレメントが位置付けられる。
【0010】
[0010] 種々の実施形態のこれらならびにその他の特徴、態様、および利点は、以下の説明および添付する特許請求の範囲を参照することにより、一層深く理解されよう。添付図面は、本明細書に組み込まれその一部を構成し、本開示の実施形態を例示し、説明と併せて、関連する原理を説明する役割を果たす。
【0011】
[0011] 明細書では、添付図面を参照しながら、当業者に向けた実施形態の詳細な説明について明記する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の実施形態例によるマルチモード・アンテナ・システムのコンポーネントのブロック図を示す。
【
図2】本開示の実施形態例によるマルチモード・アンテナ・システムを示す。
【
図3】本開示の実施形態例によるマルチモード・アンテナ・システムに伴う反射損失を表すグラフを示す。
【
図4】本開示の実施形態例によるマルチモード・アンテナ・システムに伴う反射損失を表す他のグラフを示す。
【
図5】本開示の実施形態例によるマルチモード・アンテナ・システムの効率を表すグラフを示す。
【
図6】本開示の実施形態例によるマルチモード・アンテナ・システムの効率を表す他のグラフを示す。
【
図7】本開示の実施形態例にしたがって、第1周波数に同調させたときにマルチモード・アンテナ・システムに伴う方位角放射パターンを表すグラフを示す。
【
図8】本開示の実施形態例にしたがって、第1周波数に同調させたときにマルチモード・アンテナ・システムに伴う仰角放射パターンを表すグラフを示す。
【
図9】本開示の実施形態例にしたがって、第1周波数に同調させたときにマルチモード・アンテナ・システムに伴う仰角放射パターンを表す他のグラフを示す。
【
図10】本開示の実施形態例にしたがって、第1周波数に同調させたときにマルチモード・アンテナ・システムに伴う方位角放射パターンを表すグラフを示す。
【
図11】本開示の実施形態例にしたがって、第1周波数に同調させたときにマルチモード・アンテナ・システムに伴う仰角放射パターンを表すグラフを示す。
【
図12】本開示の実施形態例にしたがって第1周波数に同調させたときにマルチモード・アンテナ・システムに伴う仰角放射パターンを表す他のグラフを示す。
【
図13】本開示の実施形態例によるマルチモード・アンテナ・システムの他の実施形態例を示す。
【
図14】本開示の実施形態例によるマルチモード・アンテナ・システムの更に他の実施形態例を示す。
【
図15】本開示の実施形態例によるコントローラのコンポーネントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0027] これより、実施形態について詳しく説明する。実施形態の1つ以上の例を図面に示す。各例は、実施形態の説明として示されるのであって、本開示の限定として示されるのではない。実際、本開示の範囲や主旨から逸脱することなく、実施形態に対して種々の変更および変形を行えることは、当業者には明白であろう。実例をあげると、一実施形態の一部として図示または説明する特徴を他の実施形態と共に使用して、更に他の実施形態を生み出すことができる。つまり、本開示の態様は、このような変更および変形にも及ぶことを意図している。
【0014】
[0028] 本開示の態様例は、マルチモード・アンテナ・システムを対象とする。ある実施態様では、マルチモード・アンテナ・システムは、2×2MIMOシステムまたは4×4MIMOシステムのような、多入力多出力(MIMO)アンテナ・システムにすることができる。
【0015】
[0029] 例示および論述の目的に限って、MIMOシステムを参照しながら本開示について論じるが、当業者は、本明細書において提供する開示を使用すれば、ダイバシティの用途、アレイの用途、および他の用途にも、本開示の範囲から逸脱することなく、マルチモード・アンテナ・システムを使用できることが理解されよう。
【0016】
[0030] ある実施形態では、マルチモード・アンテナ・システムは、回路ボード上(例えば、導電性接地面上)に配置された複数のモーダル・アンテナを含むことができる。例えば、このシステムは、複数のモードに設定可能な第1モーダル・アンテナを含むことができる。複数のモードの各々は、別個の放射パターンを有することができる。更に、このシステムは、複数のモードに設定可能な第2モーダル・アンテナも含むことができる。第2モーダル・アンテナの複数のモードの各々も、別個の放射パターンを有することができる。各モーダル・アンテナ(例えば、第1モーダル・アンテナ、第2モーダル・アンテナ等)は、MIMOシステムにおける異なるチャネルを通じて受信および送信するように構成することができる。
【0017】
[0031] 第1モーダル・アンテナおよび第2モーダル・アンテナは、各々、被駆動エレメントと少なくとも1つの寄生エレメントとを含むことができる。更に、第1モーダル・アンテナおよび第2モーダル・アンテナは、各々、能動エレメントを含むことができる。能動エレメントは、可変リアクタンスまたは接地への短絡によって、少なくとも1つの寄生エレメントのリアクタンスを変更するように構成される。また、能動エレメントは、調整可能なキャパシタ、MEMSデバイス、調整可能なインダクタ、スイッチ(例えば、単極四投)、調整可能な移相器、電界効果トランジスタ、ダイオード、または以上の組み合わせの内少なくとも1つを含んでもよいことは認められてしかるべきである。
【0018】
[0032] ある実施態様では、第1モーダル・アンテナの被駆動エレメントは、接地面の第1エッジに隣接して位置付けることができる。更に、第2モーダル・アンテナの被駆動エレメントは、接地面の第2エッジに隣接して位置付けることができる。接地面の第2エッジは、第1モーダル・アンテナおよび第2モーダル・アンテナが概略的に垂直となるように(例えば、モーダル・アンテナの長い寸法と関連付けられた線が、直交から15°以内の角度で交差することができる)、接地面の第1エッジに対して実質的に垂直となることができる。ある実施態様では、第2モーダル・アンテナの被駆動エレメントは、接地面に対して実質的に平行な平面において、第1モーダル・アンテナの被駆動エレメントに対して回転することができる。実例をあげると、第2モーダル・アンテナの被駆動エレメントは、第1モーダル・アンテナの被駆動エレメントに対して約90度、その平面において回転することができる。しかしながら、第2モーダル・アンテナの被駆動エレメントは、第1モーダル・アンテナの被駆動エレメントに対して、任意の適した量だけ、その平面において回転してもよいことは、認められてしかるべきである。
【0019】
[0033] ある実施態様では、第1モーダル・アンテナの少なくとも1つの寄生エレメントは、第1寄生エレメントと第2寄生エレメントとを含むことができる。第1寄生エレメントは、接地面と第1モーダル・アンテナの被駆動エレメントとの間に定められたアンテナ空間(volume)の外側に配置することができる。逆に、第2寄生エレメントはアンテナ空間の内部に配置することができる。
【0020】
[0034] ある実施態様では、第2モーダル・アンテナの少なくとも1つの寄生エレメントは、第1寄生エレメントと第2寄生エレメントとを含むことができる。第1寄生エレメントは、接地面と第2モーダル・アンテナの被駆動エレメントとの間に定められたアンテナ空間の外側に配置することができる。逆に、第2寄生エレメントはアンテナ空間の内部に配置することができる。
【0021】
[0035] ある実施態様では、第1モーダル・アンテナおよび第2モーダル・アンテナ双方の第1寄生エレメントは、接地面に結合された第1直線部分を含むことができる。第1寄生エレメントは、更に、第1直線部分から延出する第2直線部分を含むことができる。第2直線部分は、接地面から離間し、第1直線部分に対して実質的に垂直となることができる。更に、第1寄生エレメントは、第2直線部分から延出する第3直線部分を含むことができる。第3直線部分は、接地面から離間し、第2直線部分に対して実質的に垂直となることができる。
【0022】
[0036] ある実施態様では、第2モーダル・アンテナの第1寄生エレメントは、第1モーダル・エレメントの第1寄生エレメントに対して、接地面に対して実質的に平行な平面において、回転することができる。例えば、第2モーダル・アンテナの第1寄生エレメントは、その平面に沿って第1モーダル・エレメントの第1寄生エレメントに対して約90度だけ、その平面において回転することができる。しかしながら、第2モーダル・アンテナの第1寄生エレメントは、任意の適した量だけ、その平面において回転できることは認められてしかるべきである。
【0023】
[0037] ある実施形態では、第1および第2モーダル・アンテナは、一方のモーダル・アンテナに付随する寄生エレメントを、他方のモーダル・アンテナの放射パターンに作用するために使用できるように、回路ボードの接地面上に位置付けることができる。例えば、第2モーダル・アンテナの第1寄生エレメントのリアクタンスに対する調節によって、第1モーダル・アンテナの放射パターンに作用することができる。同様に、第1モーダル・アンテナの第1寄生エレメントのリアクタンスに対する調節によって、第2モーダル・アンテナの放射パターンに作用することができる。このように、第1モーダル・アンテナおよび第2モーダル・アンテナ双方に対して追加モード(例えば、放射パターン)を生成することができる。
【0024】
[0038] ある実施態様では、マルチモード・アンテナ・システムは、回路ボードの接地面上に配置された4つのモーダル・アンテナを含む、4×4MIMOシステムにすることができる。4つのモーダル・アンテナの各々は、被駆動エレメントと少なくとも1つの寄生エレメントとを含むことができる。更に、4つのモーダル・アンテナの各々は、能動同調エレメントを含むことができる。能動同調エレメントは、対応するモーダル・アンテナの少なくとも1つの寄生アンテナ・エレメントのリアクタンスを調節して、対応するモーダル・アンテナの被駆動エレメントに伴う放射パターンを変更するように構成することができる。
【0025】
[0039] ある実施態様では、第1モーダル・アンテナの少なくとも1つの寄生エレメントのリアクタンスを調節するために第1モーダル・アンテナの能動エレメントを制御することによって、4×4MIMOシステムの少なくとも1つの他のモーダル・アンテナに伴う放射パターンに作用するように、4×4MIMOシステムの第1モーダル・アンテナの少なくとも1つの寄生エレメントを位置付けることができる。更に具体的には、第1モーダル・アンテナの少なくとも1つの寄生エレメントは、少なくとも1つの他のモーダル・アンテナに対して追加モードを生成できるように、少なくとも1つの他のモーダル・アンテナに伴う放射に作用する(be affect)。
【0026】
[0040] 本開示のマルチモード・アンテナ・システムは、多数の技術的利点を提供することができる。実例をあげると、第1モーダル・アンテナおよび第2モーダル・アンテナに対して追加モードを生成する(provide)ために、第1モーダル・アンテナおよび第2モーダル・アンテナを互いに対して正しい方向に向ける(orient)ことができる。追加モードは、マルチモード・アンテナ・システムが、より広い周波数範囲にわたって等方性(例えば、無指向性)カバレッジを提供できるようにすることができる。実例をあげると、追加モードは、マルチモード・アンテナ・システムが、低周波数帯域(例えば、700MHzから800MHZ)および高周波数帯域(例えば、1800MHzから2200MHz)双方において、等方性カバレッジを提供できるようにすることができる。ダイバシティの用途では、マルチモード・アンテナ・システムのダイバシティ利得を増大させることができる。
【0027】
[0041] 本明細書および添付する特許請求の範囲において使用する場合、「第1」および「第2」という用語は、コンポーネント間で区別するために、相互交換可能に使用することができ、個々のコンポーネントの位置も重要性も意味することは意図していない。「約」(about)または「実質的に」(substantially)という用語を数値と共に使用する場合、述べられる数値の10パーセント(15%)以内を指すことを意図している。
【0028】
[0042] これより
図1を参照して、本開示の実施形態例によるマルチモード・アンテナ・システム100の実施形態例を示す。図示のように、マルチモード・アンテナ・システム100は、回路ボード110を含むことができる。ある実施態様では、マルチモード・アンテナ・システム100は、4つの別々のモーダル・アンテナ(例えば、第1モーダル・アンテナ120、第2モーダル・アンテナ122、第3モーダル・アンテナ124、および第4モーダル・アンテナ126)を含むことができる。代替実施態様では、マルチモード・アンテナ・システム100は、もっと多いまたはもっと少ないモーダル・アンテナを含むこともできる。例えば、ある実施態様では、マルチモード・アンテナ・システム100は2つのモーダル・アンテナ(例えば、第1モーダル・アンテナ122および第2モーダル・アンテナ124)を含むことができる。尚、複数のモーダル・アンテナの各々は複数のモードに設定可能であることは認められてしかるべきである。また、複数のモードの各々は別個の放射パターンおよび/または偏波(polarization)を有することができることも認められてしかるべきである。
【0029】
[0043] これより
図1および
図2を併せて参照すると、第1モーダル・アンテナ120は、回路ボード110の接地面111上に配置することができる。図示のように、第1モーダル・アンテナ120は、被駆動エレメント130と少なくとも1つの寄生エレメントとを含むことができる。ある実施態様では、少なくとも1つの寄生エレメントは、第1寄生エレメント140と第2寄生エレメント150とを含むことができる。図示のように、第1寄生エレメント140は、回路ボード110(例えば、接地面111)と被駆動エレメント130との間に定められたアンテナ空間の外側に位置付けることができる。第1寄生エレメント140は、接地面111に結合された第1直線部分142を含むことができる。第1寄生エレメント140は、更に、第1直線部分142から延出する第2直線部分144を含むことができる。第2直線部分は、接地面111から離間し、第1直線部分142に対して実質的に垂直となることができる。第1寄生エレメント140は、更に、第2直線部分144から延出する第3直線部分146を含むことができる。第3直線部分146は、接地面111から離間し、第2直線部分144に対して実質的に垂直となることができる。
【0030】
[0044] 第1モーダル・アンテナ120は、可変リアクタンスまたは接地への短絡によって、第1寄生エレメント140のリアクタンスを変更するように構成された第1能動エレメント160を含むことができる。また、第1能動エレメント160は、調整可能なキャパシタ、MEMSデバイス、調整可能なインダクタ、スイッチ(例えば、単極四投)、調整可能な移相器、電界効果トランジスタ、またはダイオードの内少なくとも1つを含んでもよいことは認められてしかるべきである。
【0031】
[0045] ある実施態様では、第1能動エレメント160は、複数の状態(例えば、4つの状態)に設定可能な単極四極(single pole quadruple pole)スイッチング・デバイスにすることができる。第1能動エレメント160を第1状態に設定すると、第1寄生エレメント140をキャパシタ(例えば、受動キャパシタ、調整可能なキャパシタ)に結合することができる。このように、第1寄生エレメント140を容量性負荷に結合することができる。逆に、第1能動エレメント160を第2状態に設定すると、第1寄生エレメント140をインダクタに結合することができる。このように、第1寄生エレメント140を誘導性負荷に結合することができる。第1能動エレメント160を第3状態に設定すると、第1寄生エレメント140を電気的接地に結合して、短絡回路を形成することができる。あるいは、第1能動エレメント160を第4状態に設定すると、第1寄生エレメント140を電気的接地から切断して、開放回路を形成することができる。このように、第1モーダル・アンテナ120は、少なくとも4つの異なるモードに設定することができる。更に、4つの異なる状態の各々は、別個の放射パターンを有することができる。しかしながら、第1能動エレメント160は、任意の適した数の状態間で切り替えるように構成できることは認められてしかるべきである。
【0032】
[0046] 第1モーダル・アンテナ120の第2寄生エレメント150は、回路ボード110(例えば、接地面111)と被駆動エレメント130との間に定められたアンテナ空間内に配置することができる。図示のように、第2寄生エレメント150は、接地面111に結合された第1直線部分152を含むことができる。第2寄生エレメント150は、更に、第1直線部分152から延出する第2直線部分154を含むことができる。第2直線部分154は、接地面111から離間し、第1直線部分152に対して実質的に垂直となることができる。
【0033】
[0047] 第1モーダル・アンテナ120は、第2寄生エレメント150に動作可能に結合された第2能動エレメント162を含むことができる。第2能動エレメント162は、可変リアクタンスまたは接地への短絡によって、第2寄生エレメント150のリアクタンスを変更するように構成することができる。尚、第2寄生エレメント150のリアクタンスを変更することにより、第1モーダル・アンテナ120の周波数偏移を生じさせることができることは認められてしかるべきである。また、第2能動エレメント162は、調整可能なキャパシタ、MEMSデバイス、調整可能なインダクタ、スイッチ、調整可能な移相器、電界効果トランジスタ、ダイオードの内少なくとも1つを含んでもよいことも認められてしかるべきである。
【0034】
[0048] 第2モーダル・アンテナ122は、被駆動エレメント170と少なくとも1つの寄生エレメントとを含むことができる。ある実施態様では、少なくとも1つの寄生エレメントは、第1寄生エレメント180と第2寄生エレメント190とを含むことができる。第2モーダル・アンテナ122の第1寄生エレメント180は、第1モーダル・アンテナ120の第1寄生エレメント140と実質的に同様にすることができる。同様に、第2モーダル・アンテナ122の第2寄生エレメント190は、第1モーダル・アンテナ120の第2寄生エレメント150と実質的に同様にすることができる。また、第2モーダル・アンテナ122は、第1モーダル・アンテナ120の第1能動エレメント160および第2能動エレメント162と同様の能動エレメントを含んでもよいことも認められてしかるべきである。
【0035】
[0049] 第3モーダル・アンテナ124は、被駆動エレメント200と少なくとも1つの寄生エレメントとを含むことができる。ある実施態様では、少なくとも1つの寄生エレメントは、第1寄生エレメント210と第2寄生エレメント220とを含むことができる。第3モーダル・アンテナ124の第1寄生エレメント210は、第1モーダル・アンテナ120の第1寄生エレメント140と実質的に同様にすることができる。同様に、第3モーダル・アンテナ124の第2寄生エレメント220は、第1モーダル・アンテナ120の第2寄生エレメント150と実質的に同様にすることができる。また、第3モーダル・アンテナ124は、第1モーダル・アンテナ120の第1能動エレメント160および第2能動エレメント162と同様の能動エレメントを含んでもよいことも認められてしかるべきである。
【0036】
[0050] 第4モーダル・アンテナ126は、被駆動エレメント230と少なくとも1つの寄生エレメントとを含むことができる。ある実施態様では、少なくとも1つの寄生エレメントは、第1寄生エレメント240と第2寄生エレメント250とを含むことができる。第4モーダル・アンテナ126の第1寄生エレメント240は、第1モーダル・アンテナ120の第1寄生エレメント240と実質的に同様にすることができる。同様に、第4モーダル・アンテナ126の第2寄生エレメント250は、第1モーダル・アンテナ120の第2寄生エレメント150と実質的に同様にすることができる。また、第4モーダル・アンテナ126は、第1モーダル・アンテナ120の第1能動エレメント160および第2能動エレメント162と同様の能動エレメントを含んでもよいことも認められてしかるべきである。
【0037】
[0051] ある実施態様では、第1モーダル・アンテナ120は、少なくとも1つの他のモーダル・アンテナ(例えば、第2モーダル・アンテナ122、第3モーダル・アンテナ124、第4モーダル・アンテナ125)の第1能動エレメント160によって、1つ以上の追加モードに設定することができる。実例をあげると、第2モーダル・アンテナ122の第1寄生エレメント180のリアクタンスを調節するために第2モーダル・アンテナ122の能動エレメント160を制御することによって、第1モーダル・アンテナ120の放射パターンに作用することができる。更に具体的には、第2モーダル・アンテナ122の第1寄生エレメント180のリアクタンスは、第1モーダル・アンテナの追加モードを生成するように、第1モーダル・アンテナ120の放射パターンに作用することができる。ある実施態様では、第1モーダル・アンテナ120に60の追加モードを生成することができる。尚、追加モードは、第2モーダル・アンテナ122、第3モーダル・アンテナ124、および第4モーダル・アンテナ126にも形成できることは認められてしかるべきである。このように、マルチモード・アンテナ・システム100のモーダル・アンテナの各々は、ある実施態様では、64通りの異なるモードに設定することができる。したがって、
図2のマルチモード・アンテナ・システム100は、ある実施態様では、256通りの異なるモードに設定可能にすることができる。
【0038】
[0052] ある実施態様では、各モーダル・アンテナの被駆動エレメントは、接地面111の対応するエッジに隣接して位置付けることができる。実例をあげると、第1モーダル・アンテナ120の被駆動エレメント130は、接地面111の第1エッジ112に隣接して位置付けることができる。加えて、第2モーダル・アンテナ122の被駆動エレメント170は、接地面111の第2エッジ114に隣接して位置付けることができる。更に、第3モーダル・アンテナ124の被駆動エレメント200は、接地面111の第3エッジ116に隣接して位置付けることができる。更にまた、第4モーダル・アンテナの被駆動エレメント230は、接地面111の第4エッジ118に隣接して位置付けることができる。ある実施態様では、回路ボード110の接地面111は正方形形状を有することができる。
【0039】
[0053] ある実施態様では、マルチモード・アンテナ・システム100の被駆動エレメントは、接地面111に対して実質的に平行な平面に沿って、互いに対して回転することができる。実例をあげると、第2モーダル・アンテナ122の被駆動エレメント170は、第1モーダル・アンテナ120の被駆動エレメント130に対して、約90度だけその平面において回転することができる。更に、第3モーダル・アンテナ124の被駆動エレメント200は、第2モーダル・アンテナ122の被駆動エレメント170に対して、約90度だけその平面において回転することができる。更にまた、第4モーダル・アンテナ126の被駆動エレメント230は、第3モーダル・アンテナ124の被駆動エレメント200に対して、約90度だけその平面において回転することができる。
【0040】
[0054] ある実施態様では、マルチモード・アンテナ・システム100に含まれる寄生アンテナ・エレメントは、接地面111に対して実質的に平行な平面において、互いに対して回転することができる。実例をあげると、第2モーダル・アンテナ122の第1寄生エレメント180は、第1モーダル・アンテナ120の第1寄生エレメント140に対して、約90度だけその平面において回転することができる。更にまた、第3モーダル・アンテナ124の第1寄生エレメント210は、第2モーダル・アンテナ122の第1寄生エレメント180に対して、約90度だけその平面において回転することができる。更にまた、第4モーダル・アンテナ126の第1寄生エレメント240は、第3モーダル・アンテナ124の第1寄生エレメント210に対して、約90度だけその平面において回転することができる。
【0041】
[0055] あるいはまたは加えて、各モーダル・アンテナに含まれる第2寄生エレメントは、接地面11に対して実質的に平行な平面において、互いに対して回転することができる。実例をあげると、第2モーダル・アンテナ122の第2寄生エレメント190は、第1モーダル・アンテナ120の第2寄生エレメント150に対して、約90度だけその平面において回転することができる。更に、第3モーダル・アンテナ124の第2寄生エレメント220は、第2モーダル・アンテナ122の第2寄生エレメント190に対して、約90度だけその平面において回転することができる。更にまた、第4モーダル・アンテナ126の第2寄生エレメント250は、第3モーダル・アンテナ124の第2寄生エレメント220に対して、約90度だけその平面において回転することができる。
【0042】
[0056] これより
図3を参照すると、本開示の実施形態例によるマルチモード・アンテナ・システム100(
図2)の反射損失を表すグラフが示されている。図示のように、このグラフは、アンテナ・システムの反射損失(デシベル単位で縦軸に沿って示す)を周波数(メガヘルツ単位で横軸に沿って示す)の関数として表す。更に具体的には、このグラフは、600メガヘルツ(MHz)から800MHzまでに及ぶ周波数範囲にわたるアンテナ・システムの損失を表す。図示のように、曲線410は、この周波数範囲にわたる、複数の動作モードの内第1動作モードに伴う反射損失を表す。曲線420は、この周波数範囲にわたる、複数の動作モードの内第2動作モードに伴う反射損失を表す。曲線430は、この周波数範囲にわたる、複数の動作モードの内第3動作モードに伴う反射損失を表す。曲線440は、この周波数範囲にわたる、複数の動作モードの内第4動作モードに伴う反射損失を表す。
【0043】
[0057] これより
図4を参照すると、本開示の実施形態例によるマルチモード・アンテナ・システム100(
図2)の反射損失を表すグラフが示されている。図示のように、このグラフは、アンテナ・システムの反射損失(デシベル単位で縦軸に沿って示す)を周波数(メガヘルツ単位で横軸に沿って示す)の関数として表す。更に具体的には、このグラフは、1800メガヘルツ(MHz)から2200MHzまでに及ぶ周波数範囲にわたるアンテナ・システムの損失を表す。図示のように、曲線510は、この周波数範囲にわたる、複数の動作モードの内第1動作モードに伴う反射損失を表す。曲線520は、この周波数範囲にわたる、複数の動作モードの内第2動作モードに伴う反射損失を表す。曲線530は、この周波数範囲にわたる、複数の動作モードの内第3動作モードに伴う反射損失を表す。曲線540は、この周波数範囲にわたる、複数の動作モードの内第4動作モードに伴う反射損失を表す。
【0044】
[0058] これより
図5を参照すると、本開示の実施形態例によるマルチモード・アンテナ・システム100(
図2)の効率表す他のグラフが示されている。図示のように、このグラフは、アンテナ・システムの効率(百分率で縦軸に沿って示す)を周波数(メガヘルツ単位で横軸に沿って示す)の関数として示す。更に具体的には、このグラフは、 700メガヘルツ(MHz)から800MHzまでに及ぶ周波数範囲にわたるアンテナ・システムの効率を表す。尚、マルチモード・アンテナの効率は、アンテナに配信される電力のアンテナによって放射されるパワーに対する比率を表すことは認められてしかるべきである。図示のように、曲線610は、この周波数範囲にわたる、複数の動作モードの内第1動作モードにおけるマルチモード・アンテナ・システムの効率を表す。曲線620は、この周波数範囲にわたる、複数の動作モードの内第2動作モードにおけるマルチモード・アンテナ・システムの効率を表す。曲線630は、この周波数範囲にわたる、複数の動作モードの内第3動作モードにおけるマルチモード・アンテナ・システムの効率を表す。曲線640は、この周波数範囲にわたる、複数の動作モードの内第4動作モードにおけるマルチモード・アンテナ・システムの効率を表す。
【0045】
[0059] これより
図6を参照すると、本開示の実施形態例によるマルチモード・アンテナ・システム100(
図2)の効率を表す他のグラフが示されている。図示のように、このグラフは、アンテナ・システムの効率(百分率で縦軸に沿って示す)を周波数(メガヘルツ単位で横軸に沿って示す)の関数として示す。更に具体的には、このグラフは、 1800メガヘルツ(MHz)から2200MHzまでに及ぶ周波数範囲にわたるアンテナ・システムの効率を表す。尚、マルチモード・アンテナの効率は、アンテナに配信される電力のアンテナによって放射されるパワーに対する比率を表すことは認められてしかるべきである。図示のように、曲線710は、この周波数範囲にわたる、複数の動作モードの内第1動作モードにおけるマルチモード・アンテナ・システムの効率を表す。曲線720は、この周波数範囲にわたる、複数の動作モードの内第2動作モードにおけるマルチモード・アンテナ・システムの効率を表す。曲線730は、この周波数範囲にわたる、複数の動作モードの内第3動作モードにおけるマルチモード・アンテナ・システムの効率を表す。曲線740は、この周波数範囲にわたる、複数の動作モードの内第4動作モードにおけるマルチモード・アンテナ・システムの効率を表す。
【0046】
[0060]
図7は、本開示の実施形態例によるマルチモード・アンテナ・システム100(
図2)に伴う方位角平面放射パターンを表すグラフを示す。更に具体的には、このグラフは、約720MHzに同調させたときに、マルチモード・アンテナ・システム100(
図1および
図2)に伴う方位角放射パターンを表す。図示のように、この放射パターンは、マルチモード・アンテナ・システム100を約720MHzに同調させたときに、方位角平面においてほぼ等方性となる。
【0047】
[0061]
図8および
図9は、本開示の実施形態例によるマルチモード・アンテナ・システム100に伴う仰角平面放射パターンを表すグラフを示す。更に具体的には、このグラフは、約720MHzに同調させたときに、マルチモード・アンテナ・システム100に伴う仰角平面放射パターンを表す。図示のように、この放射パターンは、マルチモード・アンテナ・システム100を約720MHzに同調させたときに、仰角平面においてほぼ等方性となる。
【0048】
[0062]
図10は、本開示の実施形態例によるマルチモード・アンテナ・システム100(
図1および
図2)に伴う方位角平面放射パターンを表すグラフを示す。更に具体的には、このグラフは、約2020MHzに同調させたときに、マルチモード・アンテナ・システム100に伴う方位角平面放射パターンを表す。図示のように、放射パターンは、マルチモード・アンテナ・システム100を約2020MHzに同調させたときに、方位角平面においてほぼ等方性となる。
【0049】
[0063]
図11および
図12は、本開示の実施形態例によるマルチモード・アンテナ・システム100に伴う仰角平面放射パターンを表すグラフを示す。更に具体的には、このグラフは、約2020MHzに同調させたときに、マルチモード・アンテナ・システム100に伴う仰角放射パターンを表す。図示のように、放射パターンは、マルチモード・アンテナ・システム100を約2020MHzに同調させたときに、仰角平面においてほぼ等方性となる。
【0050】
[0064] これより
図13を参照すると、本開示の実施形態例によるマルチモード・アンテナ・システム100の他の実施形態が示されている。このマルチモード・アンテナ・システム100は、
図1および
図2を参照して先に論じたマルチモード・アンテナ・システム100と同じまたは同様のコンポーネントを含むことができる。実例をあげると、
図13のマルチモード・アンテナ・システム100は、第1モーダル・アンテナ120と第2モーダル・アンテナ112とを含むことができる。しかしながら、
図13のマルチモード・アンテナ・システム100は、2つのモーダル・アンテナのみを含む。
【0051】
[0065] 図示のように、第1モーダル・アンテナ120の被駆動エレメント130は、接地面111の第1エッジ112に隣接して位置付けることができる。更に、第2モーダル・アンテナ122の被駆動エレメント170は、接地面111の第2エッジ114に隣接して位置付けることができる。図示のように、接地面111の第2エッジ114は、接地面111の第1エッジ112に対して実質的に垂直となることができる。加えて、第2モーダル・アンテナ122の被駆動エレメント170は、接地面111に対して実質的に平行な平面において、第1モーダル・アンテナの被駆動エレメント130に対して回転することができる。実例をあげると、第2モーダル・アンテナ122の被駆動エレメント170は、第1モーダル・アンテナの被駆動エレメント130に対して、約90度だけその平面において回転することができる。しかしながら、第2モーダル・アンテナ122の被駆動エレメント170は、任意の適した量だけ、その平面において回転できることは認められてしかるべきである。
【0052】
[0066] 図示のように、第2モーダル・アンテナ122の第1寄生エレメント180は、第1モーダル・アンテナ120の第1寄生エレメント140に対して、その平面において回転することができる。更に、第2モーダル・アンテナ122の第1寄生エレメント180のリアクタンスを調節して、第1モーダル・アンテナ120の放射パターンに作用することができる。同様に、第1モーダル・アンテナの第1寄生エレメント140のリアクタンスを調節して、第2モーダル・アンテナ122の放射パターンに作用することができる。このように、マルチモード・アンテナ・システム100のカバレッジを改良するために、先に論じた様に、第1モーダル・アンテナ120および第2モーダル・アンテナ122双方に対して、追加モードを生成することができる。更に具体的には、追加モードは、マルチモード・アンテナ・システム100が、より広い周波数範囲にわたってほぼ等方性(例えば、無指向性)カバレッジを提供できるようにすることができる。更に、マルチモード・アンテナ・システム100をダイバシティの用途に使用するとき、マルチモード・アンテナ・システム100のダイバシティ利得を増大させることができる。
【0053】
[0067] これより
図14を参照すると、本開示の実施形態例によるマルチモード・アンテナ・システム100は、単一入力単一出力(SISO)アンテナ・システムにすることができる。図示のように、マルチモード・アンテナ・システム100は、複数の状態に設定可能なスイッチング・デバイス310を含むことができる。例えば、ある実施態様では、スイッチング・デバイス310は、4つの状態(例えば、P1、P2、P3、およびP4)に設定可能な、単極四投スイッチにすることができる。しかしながら、スイッチング・デバイス310は任意の数の状態に設定できることは認められてしかるべきである。また、スイッチング・デバイス310は、複数の状態に設定可能なスイッチング・デバイスであればいずれの適した形式でも含むことができることも認められてしかるべきである。実例をあげると、ある実施態様では、スイッチング・デバイス310は、1つ以上のトランジスタ(例えば、MOSFET、IGBT等)を含むことができる。以下で更に詳しく論ずるが、スイッチング・デバイス310に通信可能に結合されたコントローラ400(
図15)は、スイッチング・デバイス310の動作を制御して、アンテナ・システム100の対応するモーダル・アンテナ120、122、124、126を、RF信号322を供給するように構成されたRFソース320に選択的に結合するように構成することができる。
【0054】
[0068] スイッチング・デバイス310が第1状態P1にあるとき、スイッチング・デバイス310は、1つ以上の導体314(例えば、ワイヤ)を通じて、第1モーダル・アンテナ120に結合される。このように、スイッチング・デバイス310を介して、RF信号322を第1モーダル・アンテナ120に供給することができる。更に具体的には、RF信号322を第1モーダル・アンテナ120の被駆動エレメント130に供給することができる。先に論じたように、第1モーダル・アンテナ120の第1能動エレメント160は、第1寄生エレメント140のリアクタンスを調節して、被駆動エレメント130を複数の異なるモードの内の1つに設定することができる。更に、これらのモードの各々は別個の放射パターンを有することができる。このように、第1能動エレメント160は、第1寄生エレメント140のリアクタンスを調節して、被駆動エレメント130の放射パターンを変更することができる。図示のように、ある実施形態では、第1能動エレメント160は、第1寄生エレメント140のリアクタンスを調節して、被駆動エレメント130を4つの異なるモード(例えば、M1、M2、M3、およびM4)の内の1つに設定することができる。しかしながら、第1モーダル・アンテナ120の被駆動エレメント130は、第1寄生エレメント140のリアクタンスに対する調整によって、任意の適した数の異なるモードに設定できることは認められてしかるべきである。
【0055】
[0069] スイッチング・デバイス310が第2状態P2にあるとき、スイッチング・デバイス310は、1つ以上の導体316(例えば、ワイヤ)を通じて第2モーダル・アンテナ122に結合される。このように、スイッチング・デバイス310を介して、RF信号322を第2モーダル・アンテナ122に供給することができる。更に具体的には、RF信号322を第2モーダル・アンテナ122の被駆動エレメント170に供給することができる。先に論じたように、第2モーダル・アンテナ122の第1能動エレメント160は、第1寄生エレメント180のリアクタンスを調節して、被駆動エレメント170を複数の異なるモードの内の1つに設定することができる。更に、これらのモードの各々は別個の放射パターンを有することができる。このように、第1能動エレメント160は、第1寄生エレメント180のリアクタンスを調節して、被駆動エレメント70の放射パターンを変更することができる。図示のように、ある実施態様では、第1能動エレメント160は、第1寄生エレメント180のリアクタンスを調節して、被駆動エレメント170を4つの異なるモード(例えば、M5、M6、M7、およびM8)の内1つに設定することができる。しかしながら、第2モーダル・アンテナ122の被駆動エレメント170は、第1寄生エレメント180のリアクタンスに対する調整によって、任意の適した数の異なるモードに設定できることは認められてしかるべきである。
【0056】
[0070] スイッチング・デバイス310が第3状態P3にあるとき、スイッチング・デバイス310は、1つ以上の導体318(例えば、ワイヤ)を通じて、第3モーダル・アンテナ124に結合される。このように、スイッチング・デバイス310を介して、RF信号322を第3モーダル・アンテナ124に供給することができる。更に具体的には、RF信号322を第3モーダル・アンテナ124の被駆動エレメント200に供給することができる。先に論じたように、第3モーダル・アンテナ124の第1能動エレメント160は、第1寄生エレメント210のリアクタンスを調節して、被駆動エレメント200を複数の異なるモードの内の1つに設定することができる。更に、これらのモードの各々は別個の放射パターンを有することができる。このように、第1能動エレメント160は、第1寄生エレメント210のリアクタンスを調節して、被駆動エレメント200の放射パターンを変更することができる。図示のように、ある実施態様では、第1能動エレメント160は、第1寄生エレメント210のリアクタンスを調節して、被駆動エレメント200を4つの異なるモード(例えば、M9、M10、M11、およびM12)の内の1つに設定することができる。しかしながら、第3モーダル・アンテナ124の被駆動エレメント200は、第1寄生エレメント210のリアクタンスに対する調整によって、任意の適した数の異なるモードに設定できることは認められてしかるべきである。
【0057】
[0071] スイッチング・デバイス310が第4状態P4にあるとき、スイッチング・デバイス310は、1つ以上の導体319(例えば、ワイヤ)を通じて、第4モーダル・アンテナ126に結合される。このように、スイッチング・デバイス310を介して、RF信号322を第4モーダル・アンテナ126に供給することができる。更に具体的には、RF信号322を第4モーダル・アンテナ126の被駆動エレメント230に供給することができる。先に論じたように、第4モーダル・アンテナ126の第1能動エレメント160は、第1寄生エレメント240のリアクタンスを調節して、被駆動エレメント230を複数の異なるモードの内の1つに設定することができる。更に、これらのモードの各々は別個の放射パターンを有することができる。このように、第1能動エレメント160は第1寄生エレメント240のリアクタンスを調節して、被駆動エレメント230の放射パターンを変更することができる。図示のように、ある実施態様では、第1能動エレメント160は、第1寄生エレメント240のリアクタンスを調節して、被駆動エレメント230を4つの異なるモード(例えば、M13、M14、M15、およびM16)の内の1つに設定することができる。しかしながら、第4モーダル・アンテナ126の被駆動エレメント230は、第1寄生エレメント240のリアクタンスに対する調節によって、任意の適した数の異なるモードに設定できることは認められてしかるべきである。
【0058】
[0072] 図示のように、
図14のアンテナ・システム100は、16通りの異なるモード(例えば、M1、M2、M3、...M16)に設定可能にすることができる。更に、16通りの異なるモードの各々は、別個の放射パターンを有することができる。しかしながら、アンテナ・システム100はそれよりも多いまたは少ないモードに設定できることは認められてしかるべきである。更に、アンテナ・システム100を送信(TX)回路として示したが、アンテナ・システム100を受信(RX)回路として実装することもでき、1つ以上のRF信号をモーダル・アンテナ120、122、124、126の内の1つを介して受信し、スイッチング・デバイス310を介して、アンテナ・システム100の1つ以上のコンポーネント(例えば、フィルタ、プロセッサ等)に供給することは認められてしかるべきである。
【0059】
[0073] ある実施態様では、アンテナ・システム100は、位相配列アンテナ・システム(phased array antenna system)として実装することができる。実例をあげると、モーダル・アンテナ120、122、124、126の被駆動エレメント130、170、200、230をアンテナ・アレイとして実装することができる。更に具体的には、RFソース320と対応する被駆動エレメント130、170、200、230との間に、移相器(図示せず)を結合することができる。このように、アンテナ・システム100の放射パターン(例えば、ビーム)を任意の所与の方向に誘導する(steer)ことができるように、被駆動エレメント130、170、200、230の各々によって放出されるRF信号の位相を制御することができる。更に、各モーダル・アンテナ120、122、124、126の第1寄生エレメント140、180、210、240は、先に論じたように、対応する被駆動エレメント130、170、200、230の放射パターンを調節して、アンテナ・システム100の放射パターンを更に調節することができる。このように、アレイの利得を高め、ビーム形成機能(capability)を向上させることができる。
【0060】
[0074] これより
図15を参照すると、本開示の実施形態例によるコントローラ400のコンポーネントのブロック図が示されている。図示のように、コントローラ400は、種々のコンピュータ実装機能を実行する(例えば、本明細書において開示した方法、ステップ、計算等を実行する)ように構成された1つ以上のプロセッサ402を含むことができる。本明細書において使用する場合、「プロセッサ」という用語は、当技術分野においてコンピュータに含まれるものとして呼ばれる集積回路だけでなく、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)、特定用途集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、およびその他のプログラマブル回路も指す。
【0061】
[0075] ある実施態様では、コントローラ400は1つ以上のメモリ・デバイス404を含むことができる。メモリ・デバイス404の例には、RAM、ROM、ハード・ドライブ、フラッシュ・ドライブ、またはその他の適したメモリ・デバイスのような、非一時的コンピュータ読み取り可能媒体を含むがこれらには限定されない、コンピュータ読み取り可能媒体を含むことができる。1つ以上のメモリ・デバイス404は、1つ以上のプロセッサ402によってアクセス可能な情報を格納することができ、1つ以上のプロセッサ402によって実行することができるコンピュータ読み取り可能命令を含む。コンピュータ読み取り可能命令は、1つ以上のプロセッサ402によって実行されると、スイッチング・デバイス310および対応するモーダル・アンテナの第1寄生エレメント160の動作を制御するというような動作を、1つ以上のプロセッサ402に実行させる、任意の1組の命令を含むことができる。コンピュータ読み取り可能命令は、任意の適したプログラミング言語で書かれたソフトウェアとすることができ、またはハードウェアで実装することができる。
【0062】
[0076] ある実施態様では、コントローラ400は、コントローラ400と、アンテナ・システム100(
図1、
図13、および
図14)の種々のコンポーネントとの間における通信を容易にする通信モジュール406を含むことができる。実例をあげると、コントローラ400は、制御信号をスイッチング・デバイス310の動作を制御するために送ることができる。あるいはまたは加えて、コントローラ400は、モーダル・アンテナ120、122、124、126(
図14)の各々の第1寄生エレメント160の動作を制御するために、制御信号を送ることができる。更にまた、ある実施態様では、コントローラ400は、モーダル・アンテナ120、122、124、126の各々の第2寄生エレメント162の動作を制御するために、制御信号を送ることができる。
【0063】
[0077] 以上、本発明の主題を、その具体的な実施形態例に関して詳細に説明したが、以上のことの理解が得られれば、当業者はこのような実施形態に対する変更、変形、および等価物を容易に生み出せることは認められよう。したがって、本開示の範囲は、限定ではなく一例であり、当業者には容易に認められるように、本開示は、本発明の主題に対するこのような変更、変形、および/または追加の包含を除外することはない。