(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】部品供給ユニットの段取りシステム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20230915BHJP
【FI】
H05K13/02 Z
(21)【出願番号】P 2021571095
(86)(22)【出願日】2020-01-14
(86)【国際出願番号】 JP2020000931
(87)【国際公開番号】W WO2021144864
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 正隆
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/142336(WO,A1)
【文献】特開2019-091771(JP,A)
【文献】国際公開第2018/173204(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/010083(WO,A1)
【文献】特開2018-125383(JP,A)
【文献】特開2011-003801(JP,A)
【文献】特開2014-197594(JP,A)
【文献】国際公開第2018/127956(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品を収容する部品収容器を複数保管する収容器倉庫と、
部品装着機が実施する装着作業において、前記部品収容器に収容された前記部品を供給するときに使用される部品供給ユニットを複数収納するユニット収納庫と、
前記収容器倉庫と前記ユニット収納庫の間に配置され、前記部品供給ユニットに前記部品収容器を装填する装填作業に用いられる作業台と、
前記ユニット収納庫から前記作業台に渡って設けられた移動ガイドと、
前記移動ガイドを用いずに前記収容器倉庫と前記作業台の間で前記部品収容器を搬送する収容器搬送ロボットと、
前記移動ガイドに沿って移動し、前記ユニット収納庫と前記作業台の間で前記部品供給ユニットを搬送するユニット搬送ロボットと、
を備えた部品供給ユニットの段取りシステム。
【請求項2】
前記収容器搬送ロボットは、接近して配置された前記収容器倉庫と前記作業台の間の移動が不要な非移動ロボットである、請求項1に記載の部品供給ユニットの段取りシステム。
【請求項3】
前記移動ガイドは、前記ユニット収納庫および前記作業台にそれぞれ設けられた区間ガイドが前記ユニット搬送ロボットの移動方向に並んで構成される、請求項
1または2に記載の部品供給ユニットの段取りシステム。
【請求項4】
前記ユニット収納庫は、増設が可能である、請求項
3に記載の部品供給ユニットの段取りシステム。
【請求項5】
前記作業台は、前記装填作業を自動で実施する収容器ローダを有する、請求項1~
4のいずれか一項に記載の部品供給ユニットの段取りシステム。
【請求項6】
前記部品が装着された基板製品の生産計画および生産進捗状況の少なくとも一方を管理する生産管理装置からの指令に基づいて、あるいは、前記生産計画および前記生産進捗状況の少なくとも一方を参照して、前記収容器倉庫から前記作業台に搬送する前記部品収容器を選択制御するとともに、選択されて搬送された前記部品収容器の前記作業台における前記装填作業の実施時期を決定する段取り制御部をさらに備えた、請求項1~
5のいずれか一項に記載の部品供給ユニットの段取りシステム。
【請求項7】
前記部品収容器の個体と、前記部品収容器が装填された前記部品供給ユニットの個体とを対応付けた装填情報を記憶する装填情報記憶部をさらに備える、請求項
6に記載の部品供給ユニットの段取りシステム。
【請求項8】
前記部品収容器は、複数の前記部品を収容するキャリアテープが巻回されたテープリールであり、
前記部品供給ユニットは、前記テープリールが装填されるフィーダ装置、または、前記キャリアテープの送り機構を有するフィーダ本体部と別体に形成されて前記テープリールが装填されるリールカセットである、
請求項1~
7のいずれか一項に記載の部品供給ユニットの段取りシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、部品供給ユニットに部品収容器を装填する装填作業およびその前後の関連作業に対応する段取りシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線が施された基板に対基板作業を実施して、基板製品を量産する技術が普及している。さらに、対基板作業を実施する複数種類の対基板作業機を並べて設け、対基板作業ラインを構成することが一般的になっている。対基板作業機のうち部品装着機は、複数の部品を収容する部品収容器が装填された部品供給ユニットを使用する。部品供給ユニットに部品収容器を装填する装填作業、換言すると、部品供給ユニットの使用準備を整える段取り作業は、多くの場合に、稼働中の部品装着機から離れた段取りエリアで実施される(外段取り)。
【0003】
この装填作業は、従来、人手に頼って実施されており、多くの手間が必要であった。さらに、生産計画を確実に達成するために装填作業が前倒しで実施されることで、他の用途に転用できない仕掛りの部品供給ユニットが増加する。このため、管理が煩雑となり、さらに一層の手間が掛かっていた。近年では、省力化を目的として、装填作業の少なくとも一部を自動化した収容器ローダが実用化されている。装填作業の自動化に関連する一技術例が、特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1の第二実施形態には、リール(部品収容器の一例)を保管する保管庫、フィーダ(部品供給ユニットの一例)を保管する保管庫、リールセット装置(収容器ローダの一例)、搬送装置、および管理部を備える構成が記載されている。リールセット装置は、フィーダにリールをセットする装填作業を行う。搬送装置は、段取りされたフィーダを部品装着機まで搬送する。管理部は、リールおよびフィーダの出庫や装填作業、搬送動作等を制御して、部品装着機の生産を管理する。これによれば、リールおよびフィーダの組み合わせおよび所在を容易に把握することができ、これらの管理が容易である、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1のリールセット装置において、装填作業そのものが自動化されて省力化が達成される点は好ましい。しかしながら、リールおよびフィーダを保管庫からリールセット装置まで搬送する作業や、段取りされたフィーダを搬送装置に積載する作業は、人手により実施される。換言すると、装填作業の前後の関連作業では、依然として人手が必要とされている。
【0007】
本明細書では、部品供給ユニットに部品収容器を装填する装填作業の前後に行われる関連作業の省力化を達成した部品供給ユニットの段取りシステムを提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書は、複数の部品を収容する部品収容器を複数保管する収容器倉庫と、部品装着機が実施する装着作業において、前記部品収容器に収容された前記部品を供給するときに使用される部品供給ユニットを複数収納するユニット収納庫と、前記収容器倉庫と前記ユニット収納庫の間に配置され、前記部品供給ユニットに前記部品収容器を装填する装填作業に用いられる作業台と、前記収容器倉庫と前記作業台の間で前記部品収容器を搬送する収容器搬送ロボットと、前記ユニット収納庫と前記作業台の間で前記部品供給ユニットを搬送するユニット搬送ロボットと、を備えた部品供給ユニットの段取りシステムを開示する。
【発明の効果】
【0009】
本明細書で開示する部品供給ユニットの段取りシステムにおいて、部品収容器は、収容器搬送ロボットによって収容器倉庫から作業台に搬送され、部品供給ユニットは、ユニット搬送ロボットによってユニット収納庫から作業台に搬送される。また、作業台における装填作業で部品収容器が装填された部品供給ユニットは、ユニット搬送ロボットによってユニット収納庫に戻される。したがって、装填作業が自動化されているか否かに関係なく、その前後に行われる搬送等の関連作業の省力化が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態の部品供給ユニットの段取りシステムの構成を模式的に示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態の部品供給ユニットの段取りシステムの構成を模式的に示す正面図である。
【
図3】第1実施形態における制御の構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】第1実施形態における段取り制御部の制御動作を説明する動作フローの図である。
【
図5】第2実施形態の部品供給ユニットの段取りシステムを模式的に示す斜視図である。
【
図6】第3実施形態の部品供給ユニットの段取りシステムの一部を模式的に示す斜視図である。
【
図7】第3実施形態の部品供給ユニットの段取りシステムを模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.第1実施形態の部品供給ユニットの段取りシステム1の構成
第1実施形態の部品供給ユニットの段取りシステム1の構成について、
図1および
図2の構成図、ならびに
図3の機能ブロック図を参考にして説明する。段取りシステム1は、部品供給ユニット92に部品収容器91を装填する装填作業およびその前後の関連作業に対応する。段取りシステム1は、収容器倉庫2、ユニット収納庫3、作業台4、収容器搬送ロボット5、ユニット搬送ロボット6、および段取り制御部8などで構成される。
【0012】
部品収容器91は、複数の部品を収容する。部品供給ユニット92は、部品装着機98が実施する装着作業において、部品収容器91に収容された部品を供給するときに使用される。部品収容器91および部品供給ユニット92には、それぞれの種別や個体を表す識別コードが貼り付けられている。部品収容器91の識別コードには、部品収容器91に収容されている部品の種類を表す情報が含まれる。識別コードには、バーコードや二次元コードなどが用いられる。
【0013】
部品収容器91としてテープリールを例示でき、部品供給ユニット92としてテープリールが直接装填される一体型のフィーダ装置を例示できる。テープリールには、多数の部品が所定ピッチで封入されたキャリアテープが巻回保持される。フィーダ装置は、テープリールが装填された形態で部品装着機98に装備される。フィーダ装置は、テープリールからキャリアテープを引き出して部品取り出し位置に送ることにより、部品装着機98の部品装着具に部品を供給する。部品の装着作業が進んで、テープリールの部品が消費され尽くすと、フィーダ装置の全体が交換される。
【0014】
フィーダ装置は、一体型に限定されず、分離型もある。分離型フィーダ装置は、キャリアテープの送り機構を有するフィーダ本体部、およびテープリールが装填されるリールカセットで構成される。フィーダ本体部は、部品装着機98に常設され、別体のリールカセットは、フィーダ本体部の近くに配置される。部品の装着作業が進んで、テープリールの部品が消費され尽くすと、リールカセットが交換される。リールカセットは、部品収容器91を装填する部品供給ユニット92に該当する。
【0015】
以降では、部品供給ユニット92が一体型のフィーダ装置であり、部品収容器91がテープリールである場合について説明する。なお、部品収容器91としてトレイ、部品供給ユニット92としてトレイ装填ユニットを用いることもできる。
【0016】
収容器倉庫2は、部品収容器91を複数保管する。
図1および
図2に示されるように、収容器倉庫2は、大型で縦型の概ね八角柱形状に形成されている。収容器倉庫2は、後側に入庫口を有し、左側面の概ね中間高さに出庫口21を有する。
図3に示されるように、収容器倉庫2の内部に、複数の保管位置、アクチュエータ22、およびコードリーダ23が設けられる。アクチュエータ22は、入庫口に入庫された部品収容器91を保管位置まで移送し、また、保管位置の部品収容器91を出庫口21まで移送する。アクチュエータ22は、倉庫制御部29によって制御される。
【0017】
コードリーダ23は、入庫された部品収容器91に貼り付けられている識別コードを読み取り、読み取った結果を倉庫制御部29に受け渡す。したがって、倉庫制御部29は、保管している全部の部品収容器91の個体を保管位置と対応付けて認識することができる。
図1および
図2に示されるように、収容器倉庫2の上部の左前側に警告灯24が設けられている。倉庫制御部29は、異常発生時や故障時に警告灯24を点灯制御して、作業者に報知する。
【0018】
ユニット収納庫3は、部品供給ユニット92を複数収納する。ユニット収納庫3は、基台31および収納ラック35からなる。基台31は、直方体の枠形状に形成されている。基台31の前面の上部に、左右方向に延びる上側区間ガイド32が設けられる。基台31の前面の下部に、左右方向に延びる下側区間ガイド33が設けられる。上側区間ガイド32および下側区間ガイド33は、例えば、前方に突出する凸形状や、上方に開口する溝形状に形成される。
【0019】
収納ラック35は、前側に開口する箱形状に形成され、基台31の上部に固定されている。収納ラック35の内側の底面に、左右方向に並ぶ複数の収納スロットが形成される。収納スロットは、例えば前後方向に延びる溝により形成され、部品供給ユニット92が前側から差し込まれて収納される。ユニット収納庫3が収納する部品供給ユニット92は、部品収容器91が装填されているか否かを問わない。
図1および
図2において、1個の部品供給ユニット92が例示されており、実際には、多数の部品供給ユニット92が左右に並んで収納される。
【0020】
収納ラック35の内側の後面に、収納スロットに対応して左右方向に並ぶ複数の収納側コネクタ36が設けられる。部品供給ユニット92が収納スロットに収納されたとき、部品供給ユニット92の後側に設けられたユニット側コネクタは、収納側コネクタ36に自動的に嵌合する。この嵌合により、部品供給ユニット92は、電源供給されるとともに、収納庫制御部39(
図3参照)と通信接続される。ここで、部品供給ユニット92は、自身の識別コードの情報を内蔵メモリに記憶している。したがって、収納庫制御部39は、収納した全部の部品供給ユニット92の識別コードを通信により取得し、収納スロットの位置と対応付けて認識することができる。
【0021】
なお、ユニット収納庫3は、増設が可能である。増設を行う場合、複数のユニット収納庫3は、左右方向に隣接して配置される。これにより、複数の上側区間ガイド32は、左右方向に並んでつながり、長い移動ガイドを形成する。同様に、複数の下側区間ガイド33は、左右方向に並んでつながり、長い移動ガイドを形成する。
【0022】
作業台4は、収容器倉庫2とユニット収納庫3の間に配置される。作業台4は、部品供給ユニット92に部品収容器91を装填する装填作業に用いられる。作業台4は、基台41および作業治具44からなる。基台41は、ユニット収納庫3の基台31と同程度の高さの直方体の枠形状に形成されている。基台41の前面の上部に、左右方向に延びる上側区間ガイド42が設けられる。基台41の前面の下部に、左右方向に延びる下側区間ガイド43が設けられる。
【0023】
上側区間ガイド42および下側区間ガイド43は、ユニット収納庫3の上側区間ガイド32および下側区間ガイド33と同じ高さに配置され、同じ形状に形成される。上側区間ガイド42および上側区間ガイド32は、左右方向に並んでつながり、長い移動ガイドを形成する。同様に、下側区間ガイド43および下側区間ガイド33は、左右方向に並んでつながり、長い移動ガイドを形成する。
【0024】
作業治具44は、基台41の上部に着脱可能に取り付けられる。作業治具44は、部品供給ユニット92を保持する機能を有しており、作業者による部品収容器91の装填作業(段取り作業)を容易化する。装填作業としては、部品供給ユニット92に相当するフィーダ装置に対して部品収容器91に相当するテープリールを組み付ける作業、テープリールからキャリアテープを引き出して先端の不要部分を切り取る作業、および、キャリアテープの切り取り後の先端をフィーダ装置内の所定位置まで進める作業等が例示される。
【0025】
さらに、作業治具44には、コードリーダ45が付属されている(
図3参照)。コードリーダ45は、部品収容器91や部品供給ユニット92に貼り付けられている識別コードを読み取る。これにより、部品収容器91の個体と、部品収容器91が装填された部品供給ユニット92の個体とを対応付ける装填情報V(
図3参照)が作成される。装填情報Vの作成は、装填作業の一部と見做すことができる。なお、作業治具44は、部品供給ユニット92から部品収容器91を取り外す取り外し作業にも使用可能である。
【0026】
収容器搬送ロボット5は、収容器倉庫2と作業台4の間で部品収容器91を搬送する。収容器搬送ロボット5は、移動が不要な非移動ロボットの一実施形態であるアームロボットとされている。収容器搬送ロボット5は、レッグ部51、本体部52、およびアーム部53からなる。レッグ部51は、接近して配置された収容器倉庫2と作業台4の間に設けられる。レッグ部51は、上面が長方形のテーブル形状に形成される。
【0027】
本体部52は、レッグ部51の上面の中央に固定される。アーム部53は、本体部52の上部に設けられる。アーム部53は、多関節形に構成されており、自在の動作が可能となっている。アーム部53の先端には、部品収容器91に適するエンドエフェクタ54が設けられる。エンドエフェクタ54として、負圧により部品収容器91を吸着する吸盤や、部品収容器91を挟持するフィンガなどを例示できる。収容器搬送ロボット5は、収容器倉庫2の出庫口21で部品収容器91を受け取り、作業治具44の近傍まで搬送して作業者に受け渡す。収容器搬送ロボット5は、段取り制御部8によって制御される。
【0028】
なお、収容器搬送ロボット5は、逆方向の搬送機能を有してもよい。また、収容器搬送ロボット5は、非移動ロボットの別形態であるコンベアロボットであってもよい。コンベアロボットは、環状の搬送コンベアを輪転して、搬送コンベアに載置された部品収容器91を出庫口21から作業治具44の近傍まで搬送する。
【0029】
ユニット搬送ロボット6は、ユニット収納庫3と作業台4の間で部品供給ユニット92を搬送する。ユニット搬送ロボット6は、縦長に形成されている。ユニット搬送ロボット6は、後側にガイド部材および移動駆動部を備える。ガイド部材は、複数の区間ガイド(32、33、42、43)からなる移動ガイドに係合する。これにより、ユニット搬送ロボット6は、全重量が移動ガイドによって支えられるとともに、移動方向が規定される。移移動駆動部は、例えば、図略の非接触給電装置またはバッテリを電源として動作する。移動駆動部は、例えば、走行車輪と駆動モータの組み合わせや、リニアモータを応用した移動機構により構成される。これにより、ユニット搬送ロボット6は、移動ガイドに沿ってユニット収納庫3および作業台4の前側を移動する。
【0030】
ユニット搬送ロボット6は、さらに、ユニット保持空間およびユニット操作機構を備える。ユニット保持空間は、ユニット搬送ロボット6の内部に区画された空間である。ユニット保持空間は、搬送する部品供給ユニット92を一時的に保持する。ユニット操作機構は、ユニット保持空間と収納ラック35の間、およびユニット保持空間と作業治具44の間で、部品供給ユニット92を受け渡す。このとき、ガイド部材と移動ガイドの係合によってユニット搬送ロボット6の高さが適正に保たれるので、受け渡し動作が安定化する。ユニット搬送ロボット6は、段取り制御部8によって制御される。
【0031】
2.段取りシステム1の制御に関する構成
次に、段取りシステム1の制御に関する構成について説明する。
図3に示されるように、段取り制御部8は、生産管理装置95に通信接続される。生産管理装置95は、ライン制御部96に通信接続される。さらに、ライン制御部96は、対基板作業ライン97を構成する複数種類の対基板作業機にそれぞれ通信接続される。対基板作業ライン97は、基板に部品を装着して基板製品を量産する生産ラインである。対基板作業ライン97を構成する部品装着機98は、段取り済みの部品供給ユニット92が装備されて部品の供給が可能となる。
【0032】
生産管理装置95は、基板製品の生産計画および生産進捗状況を管理する。ライン制御部96は、生産管理装置95から受け取った生産計画に基づいて、対基板作業ライン97の動作を制御する。かつ、ライン制御部96は、対基板作業ライン97における生産進捗状況を、逐次生産管理装置95に送信する。
【0033】
一方、段取り制御部8は、収容器倉庫2の倉庫制御部29およびユニット収納庫3の収納庫制御部39と通信接続される。また、段取り制御部8は、コードリーダ45に接続されており、その読み取り結果から装填情報Vを作成する。さらに、段取り制御部8は、収容器搬送ロボット5およびユニット搬送ロボット6を制御する。また、段取り制御部8に付属された装填情報記憶部81は、装填情報Vを記憶する。段取り制御部8は、作業者との情報交換を行うためのマンマシンインターフェース(入力部、表示部、無線通信部等)を備える。
【0034】
上記した各制御要素の間では、装填情報Vを始めとする各種情報が適宜送受信される。また、上記した各制御要素は、全てが独立したハードウェアである必要はない。例えば、段取り制御部8、倉庫制御部29、および収納庫制御部39が、1台のコンピュータ装置の相違するソフトウェアで実現されてもよい。また例えば、段取り制御部8は、生産管理装置95の部分機能として実現されてもよい。さらに、上記した通信接続や情報伝送は、無線通信装置を用いて行われてもよい。段取り制御部8等の制御機能については、次の動作の説明の中で詳述する。
【0035】
3.段取りシステム1の動作
次に、段取りシステム1の動作について、
図4を参考にして説明する。
図4のステップS1で、段取り制御部8は、生産管理装置95が管理している基板製品の生産進捗状況を参照して、部品切れによる部品補給時期が近いか否かを判定する。例えば、部品装着機98に装備された部品供給ユニット92の部品収容器91の部品残数が、規定個数以下に減少したか否か判定される。部品補給時期が近い場合、段取り制御部8は、今が装填作業の実施時期であると決定し、ステップS2~ステップS5を実行する。部品補給時期が近くない場合、段取り制御部8は、直ちに制御をステップS11に進める。当然ながら、装填作業の実施時期は、部品切れ予想時刻に対して、装填作業の所要時間を超える余裕をもって決定される。
【0036】
ステップS2で、段取り制御部8は、装填作業が必要になったことを作業者に通知する。次のステップS3で、段取り制御部8は、補給が必要となる部品種の部品収容器91を選択する。さらに、段取り制御部8は、当該の部品収容器91の識別コードを指定して倉庫制御部29に出庫を指令し、収容器搬送ロボット5に搬送を指令する。倉庫制御部29は、指令にしたがってアクチュエータ22を制御し、当該の部品収容器91を出庫口21まで移送する。収容器搬送ロボット5は、指令にしたがって出庫口21の部品収容器91を作業治具44の近傍まで搬送する。
【0037】
次のステップS4で、段取り制御部8は、当該の部品収容器91を装填できる部品供給ユニット92を選択する。さらに、段取り制御部8は、当該の部品供給ユニット92の識別コードを指定して、ユニット搬送ロボット6に搬送を指令する。ユニット搬送ロボット6は、指令にしたがい、当該の部品供給ユニット92をユニット収納庫3から取り出して搬送し、作業治具44に保持させる。なお、ステップS2、ステップS3、およびステップS4は、並行して実施されてもよく、あるいは実行順序が入れ替えられてもよい。
【0038】
次のステップS5で、通知を受け取った作業者は、作業台4に移動して装填作業を実施する。詳述すると、作業者は、まず、収容器搬送ロボット5から部品収容器91を受け取る。作業者は、二番目に、コードリーダ45を用いて部品収容器91および部品供給ユニット92の識別コードを読み取らせる。これにより、段取り制御部8は、装填情報Vを作成する。作成された装填情報Vは、通信等によりユニット収納庫3および部品装着機98で共有される。
【0039】
作業者は、三番目に、部品供給ユニット92に部品収容器91を装填する。作業者は、部品収容器91が装填された段取り済みの部品供給ユニット92を部品装着機98まで運搬し、または、段取り制御部8に一時保管を指示する。指示を受けた段取り制御部8は、ユニット搬送ロボット6を制御して、段取り済みの部品供給ユニット92を作業治具44からユニット収納庫3まで搬送させ、収納させる。ステップS5の終了後、段取り制御部8は、制御をステップS11に進める。
【0040】
ステップS11で、段取り制御部8は、基板製品の生産計画および生産進捗状況を参照して、基板製品の種類を変更する段取り替えの時期が近いか否かを判定する。例えば、現在生産している種類の基板製品の生産残数が、規定枚数以下に減少したか否か判定される。段取り替えの時期が近い場合、段取り制御部8は、今が装填作業の実施時期であると決定し、ステップS12~ステップS15を実行する。段取り替えの時期が近くない場合、段取り制御部8は、直ちに制御をステップS1に戻す。当然ながら、装填作業の実施時期は、現基板製品の生産完了予想時刻に対して、必要となる複数回の装填作業の所要時間を越える余裕をもって決定される。
【0041】
ステップS12~ステップS15の動作は、ステップS2~ステップS5の動作と同様であるので、説明は省略する。段取り替えにおいて、一般的に、複数回の装填作業を実施して複数の部品供給ユニット92を揃える必要がある。このため、ステップS16で、段取り制御部8は、段取り替えに必要な全ての部品供給ユニット92が揃ったか否かを判定する。そして、否である間、段取り制御部8および作業者は、ステップS13~ステップS15を繰り返して実行する。繰り返しによって全ての部品供給ユニット92が揃うと、段取り制御部8は、制御をステップS1に戻す。
【0042】
第1実施形態の部品供給ユニットの段取りシステム1において、部品収容器91は、収容器搬送ロボット5によって収容器倉庫2から作業台4に搬送され、部品供給ユニット92は、ユニット搬送ロボット6によってユニット収納庫3から作業台4に搬送される。また、作業台4において部品収容器91が装填された部品供給ユニット92は、ユニット搬送ロボット6によってユニット収納庫3に戻される。したがって、装填作業が自動化されているか否かに関係なく、その前後に行われる搬送等の関連作業の省力化が達成される。
【0043】
また、段取り制御部8は、基板製品の生産計画および生産進捗状況に基づいて、装填作業の実施時期をタイムリーに決定することができる。これによれば、装填作業が終了した段取り済みの部品供給ユニット92がいたずらに増加しないので、管理の手間が軽減される。かつ、部品供給ユニット92は、他の用途に転用できない仕掛り品とならず、効率的な運用が可能となる。さらに、装填作業の遅延による部品装着機98の装着作業の停滞が抑制される。加えて、装填作業に関係する装置類が隣接して配置されることにより、省スペースなシステム構成が実現される。
【0044】
4.第2実施形態の部品供給ユニットの段取りシステム1A
次に、第2実施形態の段取りシステム1Aについて、
図5を参考にして、第1実施形態と異なる点を主に説明する。
図5に示されるように、第2実施形態の作業台4Aは、収容器ローダ46を有する。収容器ローダ46は、第1実施形態で作業者が行っていた装填作業を自動で実施する。第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0045】
収容器ローダ46は、基台41の上部に、作業治具44に代えて取り付けられる。収容器ローダ46は、作業治具44よりも大型の箱形状に形成されている。収容器ローダ46の上面に、部品収容器91を挿入する収容器挿入口47が設けられる。収容器ローダ46の前面に、部品供給ユニット92を挿入するユニット挿入口48が設けられる。収容器ローダ46の内部に、部品収容器91の識別コードを読み取る第1コードリーダ491、および、部品供給ユニット92の識別コードを読み取る第2コードリーダ492が設けられる。
【0046】
収容器搬送ロボット5は、収容器倉庫2から搬送した部品収容器91を収容器挿入口47に挿入する。また、ユニット搬送ロボット6は、ユニット収納庫3から搬送した部品供給ユニット92をユニット挿入口48に挿入する。部品収容器91および部品供給ユニット92が挿入されるときに、第1コードリーダ491および第2コードリーダ492がそれぞれ動作する。これにより、収容器ローダ46の中で装填情報Vが作成される。
【0047】
その後に、収容器ローダ46は、装填作業を自動で実施する。装填作業が正常に終了すると、装填情報Vが段取り制御部8に送信される。部品収容器91が装填された部品供給ユニット92は、ユニット搬送ロボット6によってユニット収納庫3まで搬送される。第2実施形態によれば、装填作業およびその前後に行われる搬送等の関連作業の自動化が達成される。
【0048】
5.第3実施形態の部品供給ユニットの段取りシステム1B
次に、第3実施形態の段取りシステム1Bについて、
図6および
図7を参考にして、第1および第2実施形態と異なる点を主に説明する。第3実施形態では、第1実施形態の構成に発着ステーション61、ユニット収納器64、走行路65、および搬送車66が追加される。
【0049】
図6に示されるように、発着ステーション61は、ユニット収納庫3の左側に並んで配置される。発着ステーション61は、部品収容器91が装填された部品供給ユニット92を部品装着機98に向けて搬出するための搬出ステーション、および、部品装着機98で使用済みになった部品供給ユニット92を搬入するための搬入ステーションを兼ねる。発着ステーション61では、発着する搬送車66への積み下ろしが行われ、さらに、ユニット収納器64の段取りが行われる。発着ステーション61は、直方体の枠形状に形成される。
【0050】
発着ステーション61の前面の上部に、左右方向に延びる上側区間ガイド62が設けられる。発着ステーション61の前面の下部に、左右方向に延びる下側区間ガイド63が設けられる。上側区間ガイド62および下側区間ガイド63は、ユニット収納庫3の上側区間ガイド32および下側区間ガイド33に並んでつながり、長い移動ガイドを形成する。したがって、ユニット搬送ロボット6は、発着ステーション61の前側まで移動することができる。
【0051】
発着ステーション61の上面に、2個のユニット収納器64が載置されている。ユニット収納器64は、部品供給ユニット92を複数収納するものである。ユニット収納器64は、複数の部品供給ユニット92を収納した状態で部品装着機98に装備され、部品の供給を可能にする。なお、ユニット収納器64は、部品装着機98に装備されず、複数の部品供給ユニット92の段取り作業や運搬等を効率化するものであってもよい。
【0052】
図7に示されるように、発着ステーション61の後側から対基板作業ライン97に渡って、走行路65が敷設される。搬送車66は、段取り制御部8からの無線指令にしたがって走行路65を走行するとともに、ユニット収納器64を積み下ろしする。搬送車66は、搬送動作の進行状況を段取り制御部8に適宜報告する。搬送車66の待機位置は、発着ステーション61の後側に設定されている。なお、走行路65が複数の対基板作業ライン97に渡って敷設され、複数台の搬送車66が衝突を回避しつつ走行してもよい。また、搬送車66は、物理的な走行路65が不要で、マップデータ上の走行路の情報を参照して走行する方式のAGVでもよい。
【0053】
上記の構成において、作業者は、第1実施形態で説明したように作業台4で装填作業を行う。次に、ユニット搬送ロボット6は、部品収容器91が装填された部品供給ユニット92を、作業台4から発着ステーション61まで搬送してユニット収納器64に収納する。上記した作業者の作業およびユニット搬送ロボット6の動作が繰り返されて、ユニット収納器64の使用準備が整う。
【0054】
すると、搬送車66は、使用準備が整ったユニット収納器64を発着ステーション61から取り外して積載する。搬送車66は、次に、部品装着機98まで走行して、ユニット収納器64を搬送し、部品装着機98に装備する。または、搬送車66は、ユニット収納器64を部品装着機98の傍らの作業者に受け渡す。第3実施形態によれば、装填作業の前後の関連作業に加えて、複数の部品供給ユニット92をユニット収納器64に収納する作業、およびユニット収納器64を部品装着機98まで運搬する作業の自動化が達成される。
【0055】
6.実施形態の応用および変形
なお、
図4の動作フローで説明した部品補給時期および段取り替えの時期の決定は、生産管理装置95が行ってもよい。この場合、段取り制御部8は、生産管理装置95からの装填作業の実施指令にしたがって制御を進める。また、ユニット収納庫3を複数設け、部品収容器91が装填された部品供給ユニット92と、未装填の部品供給ユニット92とを分けて収納するようにしてもよい。また、部品装着機98が段取りシステム(1、1A)に接近して配置された構成において、ユニット搬送ロボット6は、部品収容器91が装填された部品供給ユニット92を部品装着機98まで搬送してもよい。
【0056】
さらに、第3実施形態において、作業治具44に代えて第2実施形態の収容器ローダ46を適用してもよい。また、第3実施形態において、搬送車66は、部品装着機98で使用済みになったユニット収納器64を発着ステーション61まで戻すようにしてもよい。この後、作業台4において部品供給ユニット92から部品収容器91が取り外される。そして、部品供給ユニット92はユニット収納庫3に収納され、部品収容器91は収容器倉庫2に戻されて保管される。その他にも、第1~第3実施形態は、様々な応用や変形が可能である。
【符号の説明】
【0057】
1、1A、1B:部品供給ユニットの段取りシステム 2:収容器倉庫 21:出庫口 22:アクチュエータ 23:コードリーダ 29:倉庫制御部 3:ユニット収納庫 32:上側区間ガイド 33:下側区間ガイド 35:収納ラック 39:収納庫制御部 4、4A:作業台 42:上側区間ガイド 43:下側区間ガイド 44:作業治具 45:コードリーダ 46:収容器ローダ 5:収容器搬送ロボット 53:アーム部 6:ユニット搬送ロボット 61:発着ステーション 62:上側区間ガイド 63:下側区間ガイド 64:ユニット収納器 66:搬送車 8:段取り制御部 81:装填情報記憶部 91:部品収容器 92:部品供給ユニット 95:生産管理装置 98:部品装着機 V:装填情報