(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】通信装置及び通信方法
(51)【国際特許分類】
H04B 7/06 20060101AFI20230915BHJP
H04B 7/0426 20170101ALI20230915BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20230915BHJP
H04W 52/30 20090101ALI20230915BHJP
H04W 72/0446 20230101ALI20230915BHJP
H04W 72/0453 20230101ALI20230915BHJP
【FI】
H04B7/06 950
H04B7/0426
H04W16/28
H04W52/30
H04W72/0446
H04W72/0453
(21)【出願番号】P 2022014909
(22)【出願日】2022-02-02
(62)【分割の表示】P 2020080409の分割
【原出願日】2016-09-12
【審査請求日】2022-02-02
(31)【優先権主張番号】P 2015206449
(32)【優先日】2015-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 豊
【審査官】北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-053569(JP,A)
【文献】特表2015-523004(JP,A)
【文献】国際公開第2014/126773(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/06
H04B 7/0426
H04W 16/28
H04W 72/0446
H04W 72/0453
H04W 52/30
IEEE Xplore
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナ素子を有する
基地局側の通信装置であって、
同一時間帯かつ同一周波数帯域で送信するための複数の送信ストリームを生成し、前記複数の送信ストリームに重み付けを施す信号処理部と、
前記重み付けにより得られた複数の送信信号を
、複数のサブフレームのうちの一つを用いて前記複数のアンテナ素子から
1以上の端末へ送信し、前記複数の送信信号の送信電力の総和は、同時に送信される送信信号の数に関わらず、閾値以下である、送信部と、
を具備し、
同一時間帯及び同一周波数帯で同時送信可能な送信信号の数は
、前記
1以上の端末の各端末が所属する
、前記通信装置の通信可能範囲に応じて異なるように設定されている、
通信装置。
【請求項2】
前記送信部は、前記複数の送信信号を指向性送信によって送信する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記通信可能範囲が小さくなるにつれ、1つのフレーム内で前記通信装置が同時通信可能な最大送信信号数は大きくなる、
請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記通信可能範囲が小さくなるにつれ、1つのサブフレーム内で前記通信装置が同時通信可能な最大送信信号数は大きくなる、
請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項5】
前記通信可能範囲の外縁は、前記通信装置からの距離により定義される、
請求項1ないし4いずれか一項に記載の通信装置。
【請求項6】
第1の送信信号数は、第1の通信可能範囲において同一時間帯及び同一周波数帯で同時送信可能な最大の送信ビーム数であり、
第2の送信信号数は、第2の通信可能範囲のうち、前記第1の通信可能範囲を除く領域において同一時間帯及び同一周波数帯で同時送信可能な最大の送信ビーム数であり、
前記第1の送信信号数は、前記第2の送信信号数よりも大きい、
請求項1ないし5いずれか一項に記載の通信装置。
【請求項7】
第3の送信信号数は、第3の通信可能範囲のうち、前記第2の通信可能範囲を除く領域において同一時間帯及び同一周波数帯で同時送信可能な最大の送信ビーム数であり、
前記第2の送信信号数は、前記第3の送信信号数よりも大きい、
請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記通信可能範囲は、前記通信装置が所定の数の送信信号を送信した場合の通信可能な限界位置を示すものである、
請求項1ないし7いずれか一項に記載の通信装置。
【請求項9】
複数のアンテナ素子を有する
基地局側の通信装置のための通信方法であって、
同一時間帯かつ同一周波数帯域で送信するための複数の送信ストリームを生成し、前記複数の送信ストリームに重み付けを施し、
前記重み付けにより得られた複数の送信信号を
、複数のサブフレームのうちの一つを用いて前記複数のアンテナ素子から
1以上の端末へ送信し、前記複数の送信信号の送信電力の総和は、同時に送信される送信信号の数に関わらず、閾値以下であり、
同一時間帯及び同一周波数帯で同時送信可能な送信信号の数は
、前記
1以上の端末の各端末が所属する
、前記通信装置の通信可能範囲に応じて異なるように設定されている、
通信方法。
【請求項10】
前記複数の送信信号は指向性送信によって送信される、
請求項
9に記載の通信方法。
【請求項11】
前記通信可能範囲が小さくなるにつれ、1つのフレーム内で前記通信装置が同時通信可能な最大送信信号数は大きくなる、
請求項
9又は
10に記載の通信方法。
【請求項12】
前記通信可能範囲が小さくなるにつれ、1つのサブフレーム内で前記通信装置が同時通信可能な最大送信信号数は大きくなる、
請求項
9又は
10に記載の通信方法。
【請求項13】
前記通信可能範囲の外縁は、前記通信装置からの距離により定義される、
請求項
9ないし
12いずれか一項に記載の通信方法。
【請求項14】
第1の送信信号数は、第1の通信可能範囲において同一時間帯及び同一周波数帯で同時送信可能な最大の送信ビーム数であり、
第2の送信信号数は、第2の通信可能範囲のうち、前記第1の通信可能範囲を除く領域において同一時間帯及び同一周波数帯で同時送信可能な最大の送信ビーム数であり、
前記第1の送信信号数は、前記第2の送信信号数よりも大きい、
請求項
9ないし
13いずれか一項に記載の通信方法。
【請求項15】
第3の送信信号数は、第3の通信可能範囲のうち、前記第2の通信可能範囲を除く領域において同一時間帯及び同一周波数帯で同時送信可能な最大の送信ビーム数であり、
前記第2の送信信号数は、前記第3の送信信号数よりも大きい、
請求項
14に記載の通信方法。
【請求項16】
前記通信可能範囲は、前記通信装置が所定の数の送信信号を送信した場合の通信可能な限界位置を示すものである、
請求項9ないし15いずれか一項に記載の通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信装置及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信において、基地局、アクセスポイントなどのキャパシティを増大させるために、非常に多くのアンテナを用いる送信方法であるmassive MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)方式の検討が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1、非特許文献1では、基地局およびアクセスポイントが、複数のビームを生成し、複数の端末と同時にアクセスすることで、キャパシティを改善する方法が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】E. G. Larsson, O. Edfors, F. Tufvesson, and T. L. Marzetta, "Massive MIMO for next generation wireless systems", IEEE Communication Magazine, vol.52, no.2, pp.186-195, February 2014,
【発明の概要】
【0006】
ところで、例えば5GHz以上の周波数、より具体的には、5HGz帯、20GHz帯、60GHz帯の電波は、マイクロ波帯の電波に比べ、減衰が早いため、通信距離の範囲が狭くなる。通信システムにおけるシステム全体の消費電力の削減、システム全体にかかるコストの削減を実現するためには、「通信可能な領域を確保しながら、基地局やアクセスポイントの数を少なくしたい」という要望がある。これを実現するための一つの方法として、各基地局及び各アクセスポイントの通信距離範囲を広くするとよい。
【0007】
しかしながら、特許文献1、非特許文献1では、massive MIMO方式を適用した際に、基地局及びアクセスポイントの通信距離範囲を広げるための検討が行われていなかった。
【0008】
そこで、本開示の一態様は、複数のアンテナ素子を用いる通信装置であって、複数の端末の各々のための変調信号を生成し、フレームを時間分割、周波数分割、又は時間周波数分割することによって規定される複数のサブフレームのうちの一つに前記生成された変調信号を割り当てる信号処理部と、前記割り当て後の複数の変調信号に重み付けを行い、前記重み付けにより得られた複数の送信信号を前記複数のアンテナ素子から送信し、前記複数の送信信号の送信電力の総和は、同時に送信される変調信号の数に関わらず、閾値以下である、送信部と、を具備し、同一時間帯及び同一周波数帯で同時送信可能な変調信号数は各端末が所属する通信可能範囲に応じて異なるように設定されており、前記複数のサブフレームの各々には同時通信可能な最大変調信号数以下の変調信号が割り当てられる、通信装置を提供する。
【0009】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0010】
本開示の一態様によれば、massive MIMO方式を適用した際に、基地局及びアクセスポイントの通信距離範囲を広げることにより、通信可能な領域を確保しながら、基地局やアクセスポイントの数を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態における基地局の構成の一例を示す図
【
図3】実施の形態における
図1の基地局の構成とは異なる基地局の構成を示す図
【
図6】実施の形態における
図4の端末の構成とは異なる端末の構成を示す図
【
図7】基地局が4つの送信ビームを送信している場合の通信状態の一例を示す図
【
図8】基地局と端末が
図7の通信状態の場合の基地局が送信する変調信号の状態の一例を示す図
【
図9】基地局が2つの送信ビームを送信している場合の通信状態の一例を示す図
【
図10】基地局と端末が
図9の通信状態の場合の基地局が送信する変調信号の状態の一例を示す図
【
図11】基地局と各端末の通信のやりとりの例を示す図
【
図14】基地局が送信する変調信号の状態の一例を示す図
【
図15】本実施の形態の基地局と端末の通信状態の例を示す図
【
図17】基地局が送信する、「一つ以上の送信ビーム(または、変調信号)のフレーム構成」の第1の例を示す図
【
図18】基地局が送信する、「一つ以上の送信ビーム(または、変調信号)のフレーム構成」の第2の例を示す図
【
図19A】各フレームを構成する送信ビームの一例を示す図
【
図19B】各フレームを構成するストリームの一例を示す図
【
図20】第iフレームにおけるサブフレームの構成の第1の例を示す図
【
図21】本実施の形態の基地局と端末の通信状態の例を示す図
【
図22】第iフレームにおけるサブフレームの構成の第2の例を示す図
【
図23】第iフレームにおけるサブフレームの構成の第3の例を示す図
【
図24】第iフレームにおけるサブフレームの構成の第4の例を示す図
【
図25】第iフレームにおけるサブフレームの構成の第5の例を示す図
【
図26】基地局が送信する、「一つ以上のストリーム(または、変調信号)のフレーム構成」の例を示す図
【
図27】時間方向における分割の一例について示す図
【
図28】周波数方向における分割の一例について示す図
【
図29】実施の形態における通信装置の基本構成の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する各実施形態は一例であり、本開示はこれらの実施形態により限定されるものではない。
【0013】
(実施の形態)
図1は、本実施の形態における基地局の構成の一例を示す図である。なお、
図1に示す基地局は、アクセスポイントなどであってもよい。
【0014】
101_1は情報#1、101_2は情報#2、・・・、101_Mは情報#Mを示している。つまり、101_mは情報#mを示している(mは1以上M以下の整数とする。なお、Mは2以上の整数とする)。なお、情報#1から情報#Mすべてが存在する必要はない。
【0015】
そして、通信相手として、端末#1、端末#2、・・・、端末#U(UはM以下の整数)が存在していた場合、情報#iは、「存在していない」、または、「いずれかの端末に伝送するためのデータ」となる。
【0016】
信号処理部102は、情報#1(101_1)、情報#2(101_2)、・・・、情報#M(101_M)、および、制御信号159を入力とする。信号処理部102は、制御信号159に含まれる、「誤り訂正符号化の方法(例えば、符号化率または符号長(ブロック長))に関する情報」、「変調方式に関する情報」、「プリコーディングに関する情報」、「送信方法(例えば、多重化方法)」などの情報に基づき、信号処理を行い、信号処理後の信号103_1、信号処理後の信号103_2、・・・、信号処理後の信号103_Mを出力する。つまり、信号処理部102は、信号処理後の信号103_mを出力する。なお、信号処理後の信号103_1から信号処理後の信号103_Mすべてが存在する必要はない。
【0017】
このとき、情報#m(101_m)に対し、誤り訂正符号化を行い、その後、設定した変調方式によるマッピングを行う。これにより、ベースバンド信号が得られる。そして、各情報に対応するベースバンド信号を集め、プリコーディングを行う。あるいは、例えば、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)を適用してもよい。
【0018】
無線部104_1は、信号処理後の信号103_1、制御信号159を入力とし、制御信号159に基づいて、帯域制限、周波数変換、増幅などの処理を行い、変調信号105_1を出力する。そして、変調信号105_1は、アンテナ部106_1から電波として出力される。
【0019】
同様に、無線部104_2は、信号処理後の信号103_2、制御信号159を入力とし、制御信号159に基づいて、帯域制限、周波数変換、増幅などの処理を行い、変調信号105_2を出力する。そして、変調信号105_2は、アンテナ部106_2から電波として出力される。
【0020】
同様に、無線部104_Mは、信号処理後の信号103_M、制御信号159を入力とし、制御信号159に基づいて、帯域制限、周波数変換、増幅などの処理を行い、変調信号105_Mを出力する。そして、変調信号105_Mは、アンテナ部106_Mから電波として出力される。
【0021】
なお、信号処理後の信号が存在していない場合は、各無線部は上記処理を行わなくてもよい。
【0022】
無線部群153は、受信アンテナ群151によって受信された受信信号群152を入力とし、周波数変換等の処理を行い、ベースバンド信号群154を出力する。なお、受信信号群152は、1つまたは複数の受信信号を含み、受信アンテナ群151は、1つまたは複数のアンテナを含み、無線部群153は、1つまたは複数の無線部を含み、ベースバンド信号群154は、1つまたは複数の受信信号を含む。
【0023】
信号処理部155は、ベースバンド信号群154を入力とし、復調、誤り訂正復号を行う。また、信号処理部155は、時間同期、周波数同期、チャネル推定などの処理も行う。このとき、信号処理部155は、一つ以上の端末が送信した変調信号を受信し、処理を行っているため、各端末が送信したデータと共に各端末が送信した制御情報を得ることになる。したがって、信号処理部155は、一つ以上の端末に対応するデータ群156、および、一つ以上の端末に対応する制御情報群157を出力する。データ群156は、1つまたは複数のデータを含み、制御情報群157は、1つまたは複数の制御情報を含む。
【0024】
設定部158は、制御情報群157を入力とし、制御情報群157に基づき、「誤り訂正符号化の方法(例えば、符号化率または符号長(ブロック長))」、「変調方式」、「プリコーディング方法」、「送信方法」、「アンテナの設定」などを決定し、これらの決定した情報を含んだ制御信号159を出力する。
【0025】
アンテナ部106_1、106_2、・・・、106_Mは、制御信号159を入力としている。アンテナ部106_1、106_2、・・・、106_Mの構成について、アンテナ部106_mを例にとって
図2を用いて説明する。
【0026】
図2は、アンテナ部106_mの構成の一例を示す図である。アンテナ部106_mは、
図2のように複数のアンテナを具備しているものとする。なお、
図2では、アンテナを4つ示しているが、アンテナの本数は4に限ったものではない。各アンテナ部106_1、106_2、・・・、106_Mは、複数のアンテナを具備していればよい。また、各アンテナ部106_1、106_2、・・・、106_Mが具備するアンテナの本数は、同一でなくてもよい。
【0027】
分配部202は、送信信号201(
図1の変調信号105_mに相当)を入力とし、送信信号201を分配し、信号203_1、203_2、203_3、203_4を出力する。
【0028】
乗算部204_1は、信号203_1、および、制御信号200(
図1の制御信号159に相当)を入力とし、制御信号200に含まれる乗算係数の情報に基づき、信号203_1に対し、係数W1を乗算し、乗算後の信号205_1を出力する。なお、係数W1は複素数で定義されるものとする。したがって、W1は実数をとることもできる。信号203_1をv1(t)とすると、乗算後の信号205_1はW1×v1(t)とあらわすことができる(tは時間)。そして、乗算後の信号205_1は、アンテナ206_1から電波として出力される。
【0029】
同様に、乗算部204_2は、信号203_2、および、制御信号200を入力とし、制御信号200に含まれる乗算係数の情報に基づき、信号203_2に対し、係数W2を乗算し、乗算後の信号205_2を出力する。なお、係数W2は複素数で定義されるものとする。したがって、W2は実数をとることもできる。信号203_2をv2(t)とすると、乗算後の信号205_2はW2×v2(t)とあらわすことができる。そして、乗算後の信号205_2は、アンテナ206_2から電波として出力される。
【0030】
同様に、乗算部204_3は、信号203_3、および、制御信号200を入力とし、制御信号200に含まれる乗算係数の情報に基づき、信号203_3に対し、係数W3を乗算し、乗算後の信号205_3を出力する。なお、係数W3は複素数で定義されるものとする。したがって、W3は実数をとることもできる。信号203_3をv3(t)とすると、乗算後の信号205_3はW3×v3(t)とあらわすことができる。そして、乗算後の信号205_3は、アンテナ206_3から電波として出力される。
【0031】
同様に、乗算部204_4は、信号203_4、および、制御信号200を入力とし、制御信号200に含まれる乗算係数の情報に基づき、信号203_4に対し、係数W4を乗算し、乗算後の信号205_4を出力する。なお、係数W4は複素数で定義されるものとする。したがって、W4は実数をとることもできる。信号203_4をv4(t)とすると、乗算後の信号205_4はW4×v4(t)とあらわすことができる。そして、乗算後の信号205_4は、アンテナ206_4から電波として出力される。
【0032】
なお、W1の絶対値、W2の絶対値、W3の絶対値、W4の絶対値が等しくてもよい。
【0033】
アンテナ206_1~206_4から出力される電波は、所定の送信ビームとなる。
【0034】
図1、
図2を用いて説明した基地局の構成において、設定部158は、後述するフレームの構成を決定する。決定したフレーム構成の情報は、出力される制御信号159に含まれる。信号処理部102は、制御信号159に含まれるフレーム構成の情報に基づいて、信号処理後の信号をフレームに割り当てる。無線部104_1~104_M、およびアンテナ部106_1~106_Mは、制御信号159に含まれるフレーム構成の情報に基づいて、それぞれの処理を行い、フレーム構成に従って信号の送信処理を行う。
【0035】
なお、本実施の形態では、
図1、
図2を用いて説明した基地局の構成とは異なる基地局の構成を採ることもできる。
【0036】
図3は、本実施の形態における
図1の基地局の構成とは異なる基地局の構成を示す図である。
図3において、
図1と同様の構成については、同一の番号を付し、説明を省略する。
【0037】
重みづけ合成部301は、変調信号105_1、変調信号105_2、・・・、変調信号105_M、および、制御信号159を入力とする。そして、重みづけ合成部301は、制御信号159に含まれる重みづけ合成に関する情報にもとづき、変調信号105_1、変調信号105_2、・・・、変調信号105_Mに対し、重みづけ合成を行い、重みづけ合成後の信号302_1、302_2、・・・、302_Kを出力する(Kは1以上の整数とする)。そして、重みづけ合成後の信号302_1はアンテナ303_1から電波として出力される。同様に、重みづけ合成後の信号302_2はアンテナ303_2から電波として出力される。同様に、重みづけ合成後の信号302_Kはアンテナ303_Kから電波として出力される。
【0038】
変調信号105_mをxm(t)、重みづけ合成後の信号302_k(kは、1以上K以下の整数)をyk(t)、重みづけ係数をAkmとすると、yk(t)は、以下の式(1)のようにあらわされる(tは時間)。
【0039】
【0040】
なお、式(1)において、Akmは複素数で定義できる値である。したがって、Akmは実数をとることもできる。
【0041】
次に、本実施の形態における端末の構成について説明する。
【0042】
図4は、端末の構成の一例を示す図である。アンテナ部401_1、401_2、・・・、401_Nは、制御信号410を入力としている(Nは1以上の整数)。
【0043】
無線部403_1は、アンテナ部401_1で受信した受信信号402_1、および、制御信号410を入力とし、制御信号410に基づき、受信信号402_1に対し、周波数変換等の処理を施し、ベースバンド信号404_1を出力する。
【0044】
同様に、無線部403_2は、アンテナ部401_2で受信した受信信号402_2、および、制御信号410を入力とし、制御信号410に基づき、受信信号402_2に対し、周波数変換等の処理を施し、ベースバンド信号404_2を出力する。
【0045】
同様に、無線部403_Nは、アンテナ部401_Nで受信した受信信号402_N、および、制御信号410を入力とし、制御信号410に基づき、受信信号402_Nに対し、周波数変換等の処理を施し、ベースバンド信号404_Nを出力する。
【0046】
ただし、無線部403_1、403_2、・・・、403_Nはすべてが動作しなくてもよい。したがって、ベースバンド信号404_1、404_2、・・・、404_Nがすべて存在しているとは限らない。
【0047】
信号処理部405は、ベースバンド信号404_1、404_2、・・・、404_N、および、制御信号410を入力とし、制御信号410に基づいて、復調、誤り訂正復号の処理を行い、データ406、送信用制御情報407、制御情報408を出力する。なお、信号処理部405は、時間同期、周波数同期、チャネル推定などの処理も行う。
【0048】
設定部409は、制御情報408を入力とし、受信方法に関する設定を行い、制御信号410を出力する。
【0049】
信号処理部452は、情報451、送信用制御情報407を入力とし、誤り訂正符号化、設定した変調方式によるマッピングなどの処理を行い、ベースバンド信号群453を出力する。
【0050】
無線部群454は、ベースバンド信号群453を入力とし、帯域制限、周波数変換、増幅等の処理を行い、送信信号群455を出力する。送信信号群455は、送信アンテナ群456から、電波として出力される。なお、無線部群454は、1つまたは複数の無線部を含み、ベースバンド信号群453は、1つまたは複数のベースバンド信号を含み、送信信号群455は、1つまたは複数の送信信号を含み、送信アンテナ群456は、1つまたは複数のアンテナを含む。
【0051】
次に、アンテナ部401_1、401_2、・・・、401_Nの構成について、アンテナ部401_nを例にとって
図2を用いて説明する(nは1以上N以下の整数)。
【0052】
図5は、アンテナ部401_nの構成の一例を示す図である。アンテナ部401_iは、
図5のように複数のアンテナを具備しているものとする。なお、
図5では、アンテナを4つ示しているが、アンテナの本数は4に限ったものではない。各アンテナ部401_1、401_2、・・・、401_Nは、複数のアンテナを具備していればよい。また、各アンテナ部401_1、401_2、・・・、401_Nが具備するアンテナの本数は、同一でなくてもよい。
【0053】
乗算部503_1は、アンテナ501_1で受信した受信信号502_1、および、制御信号500(
図4の制御信号410に相当)を入力とし、制御信号500に含まれる乗算係数の情報に基づき、受信信号502_1に対し、係数D1を乗算し、乗算後の信号504_1を出力する。なお、係数D1は複素数で定義されるものとする。したがって、D1は実数をとることもできる。受信信号502_1をe1(t)とすると、乗算後の信号504_1はD1×e1(t)とあらわすことができる(tは時間)。
【0054】
同様に、乗算部503_2は、アンテナ501_2で受信した受信信号502_2、および、制御信号500を入力とし、制御信号500に含まれる乗算係数の情報に基づき、受信信号502_2に対し、係数D2を乗算し、乗算後の信号504_2を出力する。なお、係数D2は複素数で定義できるものとする。したがって、D2は実数をとることもできる。受信信号502_2をe2(t)とすると、乗算後の信号504_2はD2×e2(t)とあらわすことができる。
【0055】
同様に、乗算部503_3は、アンテナ501_3で受信した受信信号502_3、および、制御信号500を入力とし、制御信号500に含まれる乗算係数の情報に基づき、受信信号502_3に対し、係数D3を乗算し、乗算後の信号504_3を出力する。なお、係数D3は複素数で定義できるものとする。したがって、D3は実数をとることもできる。受信信号502_3をe3(t)とすると、乗算後の信号504_3はD3×e3(t)とあらわすことができる。
【0056】
同様に、乗算部503_4は、アンテナ501_4で受信した受信信号502_4、および、制御信号500を入力とし、制御信号500に含まれる乗算係数の情報に基づき、受信信号502_4に対し、係数D4を乗算し、乗算後の信号504_4を出力する。なお、係数D4は複素数で定義できるものとする。したがって、D4は実数をとろこともできる。受信信号502_4をe4(t)とすると、乗算後の信号504_4はD4×e4(t)とあらわすことができる。
【0057】
合成部505は、乗算後の信号504_1、504_2、504_3、504_4を入力とし、乗算後の信号504_1、504_2、504_3、504_4を加算し、合成後の信号506(
図4の受信信号402_iに相当する)を出力とする。合成後の信号506は、D1×e1(t)+D2×e2(t)+D3×e3(t)+D4×e4(t)とあらわされる。
【0058】
なお、本実施の形態では、
図4、
図5を用いて説明した端末構成とは異なる端末の構成を採ることもできる。
【0059】
図6は、本実施の形態における
図4の端末の構成とは異なる端末の構成を示す図である。
図6において、
図4と同様の構成については、同一の番号を付しており、以下では説明を省略する。
【0060】
乗算部603_1は、アンテナ601_1で受信した受信信号602_1、および、制御信号410を入力とし、制御信号410に含まれる乗算係数の情報に基づき、受信信号602_1に対し、係数G1を乗算し、乗算後の信号604_1を出力する。なお、係数G1は複素数で定義できるものとする。したがって、G1は実数をとることもできる。受信信号602_1をc1(t)とすると、乗算後の信号604_1はG1×c1(t)とあらわすことができる(tは時間)。
【0061】
同様に、乗算部603_2は、アンテナ601_2で受信した受信信号602_2、および、制御信号410を入力とし、制御信号410に含まれる乗算係数の情報に基づき、受信信号602_2に対し、係数G2を乗算し、乗算後の信号604_2を出力する。なお、係数G2は複素数で定義できるものとする。したがって、G2は実数をとることもできる。受信信号602_2をc2(t)とすると、乗算後の信号604_2はG2×c2(t)とあらわすことができる。
【0062】
同様に、乗算部603_Lは、アンテナ601_Lで受信した受信信号602_L、および、制御信号410を入力とし、制御信号410に含まれる乗算係数の情報に基づき、受信信号602_Lに対し、係数GLを乗算し、乗算後の信号604_Lを出力する。なお、係数GLは複素数で定義できるものとする。したがって、GLは実数をとることもできる。受信信号602_LをcL(t)とすると、乗算後の信号604_LはGL×cL(t)とあらわすことができる。
【0063】
同様に、乗算部603_l(lは、1以上L以下の整数であり、Lは2以上の整数)は、アンテナ601_lで受信した受信信号602_l、および、制御信号410を入力とし、制御信号410に含まれる乗算係数の情報に基づき、受信信号602_lに対し、係数Glを乗算し、乗算後の信号604_lを出力する。なお、係数Glは複素数で定義できるものとする。したがって、Glは実数をとることもできる。受信信号602_lをcl(t)とすると、乗算後の信号604_iはGl×cl(t)とあらわすことができる。
【0064】
処理部605は、乗算後の信号604_1、乗算後の信号604_2、・・・、乗算後の信号604_L、および、制御信号410を入力とし、制御信号410に基づき、信号処理を行い、処理後の信号606_1、606_2、・・・、606_Nを出力する(Nは2以上の整数)。
【0065】
このとき、乗算後の信号604_lをpl(t)とし、処理後の信号606_nをrn(t)とすると、rn(t)は以下の式(2)のようにあらわされる。(nは1以上N以下の整数)
【0066】
【0067】
なお、式(2)において、Bnlは複素数で定義できる値である。したがって、Bnlは実数をとることもできる。
【0068】
以上説明したように、本実施の形態における基地局および端末は、それぞれ、複数のアンテナ、または、複数のアンテナから構成されるアンテナ部を具備し、指向性を制御することができる。なお、端末の受信装置は、「指向性制御を行わない」としてもよい。この場合、端末は、アンテナを複数具備しなくてもよい。つまり、端末は、アンテナを1つ具備することになる。端末がアンテナを1つ具備する場合、指向性制御を行うのは、基地局となる。
【0069】
次に、本実施の形態において基地局および端末がそれぞれアンテナの指向性を制御している場合の通信状態について説明する。
【0070】
図7は、基地局700が4つの送信ビームを送信している場合の通信状態の一例を示す図である。
図7において、700は基地局であり、701は端末#1、702は端末#2、703は端末#3、704は端末#4を示している。そして、基地局700は、同一時間、同一周波数(帯)を用いて、端末#1(701)宛ての変調信号、端末#2(702)宛ての変調信号、端末#3(703)宛ての変調信号、端末#4(704)宛ての変調信号を送信する。
図7は、その時の様子を示している。
【0071】
基地局700は、端末#1(701)に対し、送信ビーム711のようなアンテナの指向性を向け、端末#2(702)に対し、送信ビーム712のようなアンテナの指向性を向け、端末#3(703)に対し、送信ビーム713のようなアンテナの指向性を向け、端末#4(704)に対し、送信ビーム714のようなアンテナの指向性を向けている。つまり、基地局700は、4つの端末それぞれに対して、4つの送信ビームをそれぞれ向けている。このようにすることで、端末#1(701)宛ての変調信号、端末#2(702)宛ての変調信号、端末#3(703)宛ての変調信号、端末#4(704)宛ての変調信号は、互いの干渉を少なくなり、各端末#1~#4は、高いデータの受信品質を確保することができる。これを実現するために、基地局700は、例えば、
図1、または、
図3のような構成をとっている。
【0072】
なお、
図7では、端末#1(701)は、基地局700に対し、ビーム721のようなアンテナの指向性を向け、端末#2(702)は、基地局700に対し、ビーム722のようなアンテナの指向性を向け、端末#3(703)は、基地局700に対し、ビーム723のようなアンテナの指向性を向け、端末#4は、基地局700に対し、ビーム724のようなアンテナの指向性を基地局に向けているが、これに限ったものではない。
【0073】
図7における楕円799は、基地局700が4つの送信ビーム(または、変調信号)を送信した場合の端末の通信可能な限界位置を示している。楕円799内に端末が存在していた場合、その端末は、基地局700と通信が可能となる。
【0074】
なお、
図7において、基地局700が4つの送信ビーム(または、変調信号)を送信するとして説明しているが、送信ビーム(または、変調信号)は、変調シンボル系列であってもよい。その場合、
図7では、基地局700が4つの変調シンボル系列を送信している。そして、楕円799は、同一時間帯及び同一周波数帯で同時送信可能な変調シンボル系列数が4の場合の通信可能な限界位置を示している。
【0075】
なお、本実施の形態では、通信可能な限界位置を楕円形状として説明するが、通信可能限界位置は楕円形状に限定されない。
【0076】
図8は、基地局700と端末が
図7の通信状態の場合の基地局700が送信する変調信号の状態の一例を示す図である。
図8において、横軸は時間を示している。そして、
図8(a)は端末#1宛ての変調信号のフレームの一例を示しており、
図8(b)は端末#2宛ての変調信号のフレームの一例を示しており、
図8(c)は端末#3宛ての変調信号のフレームの一例を示しており、
図8(d)は端末#4宛ての変調信号のフレームの一例を示している。
【0077】
図8に示すように、端末#1宛てのシンボル群801、端末#2宛てのシンボル群802、端末#3宛てのシンボル群803、端末#4宛てのシンボル群804は、少なくとも時間軸における区間T1に各シンボル群が存在していることになる。そして、既に説明したように、端末#1宛てのシンボル群801、端末#2宛てのシンボル群802、端末#3宛てのシンボル群803、端末#4宛てのシンボル群804は、同一周波数(帯)を用いて、基地局700から送信されることになる。このような送信方法を、マルチユーザーMIMO(MU-MIMO(Multi User Multiple-Input Multiple-Output)方法と呼ぶ。
【0078】
上述のように、
図7における楕円799は、基地局700が4つの送信ビーム(または、変調信号)を送信した場合の通信可能な限界位置である。なお、基地局700が送信する送信ビーム(または、変調信号)の数が異なる場合、通信可能な限界位置も異なる。これは、後に説明するように、基地局の平均送信電力に関する制限があるためである。次に、基地局700が2つの送信ビーム(または、変調信号)を送信した場合の通信可能な限界位置について説明する。
【0079】
図9は、基地局700が2つの送信ビームを送信している場合の通信状態の一例を示す図である。
図9において、基地局700は、同一時間、同一周波数(帯)を用いて、端末#11(901)宛ての変調信号、端末#12(902)宛ての変調信号を送信する。
図9は、その時の様子を示している。
【0080】
基地局700は、端末#11(901)に対し、送信ビーム911のようなアンテナの指向性を向け、端末#12(902)に対し、送信ビーム912のようなアンテナの指向性を向けている。このようにすることで、端末#11(901)宛ての変調信号、端末#12(902)宛ての変調信号は、互いの干渉が少なくなり、各端末#1、#2は、高いデータの受信品質を確保することができるようになる。これを実現するために、基地局700は、例えば、
図1、または、
図3のような構成をとっている。
【0081】
なお、
図9では、端末#11(901)は、基地局700に対し、ビーム921のようなアンテナの指向性を向け、端末#12(902)は、基地局700に対し、ビーム922のようなアンテナの指向性を向けているが、これに限ったものではない。
【0082】
図9における楕円999は、基地局700が2つの送信ビーム(または、変調信号)を送信した場合の端末の通信可能限界位置を示している。楕円999内に端末が存在していた場合、その端末は、基地局700と通信が可能となる。比較として、
図7で示した、「基地局が4つの送信ビーム(または、変調信号)を送信した場合の端末の通信可能限界位置を示す楕円799」を
図9に示している。
【0083】
基地局は、送信ビームの数(または、送信する変調信号の数)によらず、平均送信電力の総和の上限は、ある値に定められている。このため、基地局が送信する送信ビームの数が多くなるに従い、端末の通信可能限界位置は、基地局から近い位置となる。したがって、
図9に示すように、「基地局が4つの送信ビーム(または、変調信号)を送信したときの端末の通信可能限界位置」を示す楕円799は、「基地局が2つの送信ビーム(または、変調信号)を送信したときの端末の通信可能限界位置」を示す楕円999より、基地局700に近い位置となる。
【0084】
図10は、基地局と端末が
図9の通信状態のとき、
図9の基地局700が送信する変調信号の状態の一例を示す図である。
図10(a)は横軸時間における端末#11宛ての変調信号のフレームの一例を示しており、
図10(b)は横軸時間における端末#12宛ての変調信号のフレームの一例を示している。
【0085】
図10に示すように、端末#11宛てのシンボル群1001、端末#12宛てのシンボル群1002は、少なくとも時間軸における区間T2に各シンボル群が存在していることになる。そして、既に説明したように、端末#12宛てのシンボル群1001、端末#12宛てのシンボル群1002は、同一周波数(帯)を用いて、基地局から送信されることになる。
【0086】
図11は、基地局と各端末の通信のやりとりの例を示す図である。
図11(a)は、基地局が送信する送信信号の横軸時間における送信シンボルの例を示し、
図11(b)は、端末が送信する送信信号の横軸時間における送信シンボルの例を示している。
【0087】
例えば、
図11のように、まず、基地局は、基地局制御情報シンボル1101を送信する。このシンボルには、例えば、端末においてマッピングが既知であるPSK(Phase Shift Keying)のシンボルを含んでいるものとする。
【0088】
端末は、基地局が送信した基地局制御情報シンボル1101を受信し、伝搬環境の推定(チャネル状態の推定)を行う。そして、端末は、チャネル状態の情報(例えば、CSI:Channel State Information)を含む端末制御情報シンボル1151を送信する。あわせて、端末は、端末データシンボル1152を送信してもよい。
【0089】
基地局は、端末が送信した端末制御情報シンボル1151、および、端末データシンボル1152を受信する。そして、基地局は、端末制御情報シンボル1151に含まれるチャネル状態の情報を取得し、この端末宛てに送信する送信信号を生成するための、乗算係数(例えば、
図2の乗算部204_1から204_4で使用する乗算係数、または、
図3の重みづけ合成部301で使用する重みづけ合成の係数)を求める。そして、基地局は、基地局制御情報シンボル1102、および、基地局データシンボル1103を送信する。このとき、基地局は、求めた乗算係数を用いて、送信ビームを生成することになる。
【0090】
なお、基地局は、複数の端末と、
図11のようなシンボルのやりとりを行うことによって、各端末宛ての送信ビームを生成することになる。これにより、基地局は、例えば、
図7、
図9のような送信ビームを送信することになる。
【0091】
なお、以降においても、基地局は、各端末に送信ビームを送信する際には、
図11のような端末とのやりとりを、各端末と行うことになる。ただし、
図11はあくまでも例であり、基地局が端末に送信した変調信号の伝搬環境状態の共有方法は、
図11の方法に限ったものではない。
【0092】
図12は、基地局と端末の状態の一例を示す図である。なお、
図7、
図9と同様の構成については、同一番号を付している。
図7で説明したように、基地局700は、同一時間、同一周波数(帯)を用いて、端末#1(701)宛ての変調信号、端末#2(702)宛ての変調信号、端末#3(703)宛ての変調信号、端末#4(704)宛ての変調信号を送信している状態を考える。したがって、基地局700は、端末#1(701)に対し、送信ビーム711のようなアンテナの指向性を向け、端末#2(702)に対し、送信ビーム712のようなアンテナの指向性を向け、端末#3(703)に対し、送信ビーム713のようなアンテナの指向性を向け、端末#4(704)に対し、送信ビーム714のようなアンテナの指向性を向けているものとする。つまり、基地局700は、4つの端末それぞれに対して、4つの送信ビームをそれぞれ向けている。この場合、4つの端末は、「基地局が4つの送信ビーム(または、変調信号)を送信した場合の端末の通信可能な限界位置」を示す楕円799より内側に存在しているため、基地局700は、端末#1(701)、端末#2(702)、端末#3(703)、端末#4(704)と通信が可能となる。
【0093】
一方、端末#11(901)、端末#12(902)は、少なくとも「基地局が4つの送信ビーム(または、変調信号)を送信したときの端末の通信可能な限界位置」を示す楕円799より外側に存在しているため、基地局700は、端末#11(901)と端末#12(902)と通信を行っていないものとする。
【0094】
図13は、基地局と端末の状態の一例を示す図である。なお、
図7、
図9と同様の構成については、同一番号を付している。
図7で説明したように、基地局700は、同一時間、同一周波数(帯)を用いて、端末#1(701)宛ての変調信号、端末#2(702)宛ての変調信号、端末#3(703)宛ての変調信号、端末#4(704)宛ての変調信号を送信している状態を考える。したがって、基地局700は、端末#1(701)に対し、送信ビーム711のようなアンテナの指向性を向け、端末#2(702)に対し、送信ビーム712のようなアンテナの指向性を向け、端末#3(703)に対し、送信ビーム713のようなアンテナの指向性を向け、端末#4(704)に対し、送信ビーム714のようなアンテナの指向性を向けているものとする。つまり、基地局700は、4つの端末それぞれに対して、4つの送信ビームをそれぞれ向けている。この場合、基地局700は、端末#1(701)、端末#2(702)、端末#3(703)、端末#4(704)と通信を行っているものとする。これらの4つの端末は、「基地局が4つの送信ビーム(または、変調信号)を送信したときの端末の通信可能な限界位置」を示す楕円799より内側に存在しているため、基地局700は、端末#1(701)、端末#2(702)、端末#3(703)、端末#4(704)と通信が可能となる。
【0095】
このような状態から、基地局700が、同一時間、同一周波数(帯)を用いて、端末#1(701)宛ての変調信号、端末#2(702)宛ての変調信号、端末#3(703)宛ての変調信号、端末#4(704)宛ての変調信号、端末#11(901)宛ての変調信号、端末#12(902)宛ての変調信号を送信することを考える。
【0096】
図14は、基地局700が送信する変調信号の状態の一例を示す図である。
図14(a)は横軸時間における端末#1宛ての変調信号のフレーム構成の一例を示し、
図14(b)は横軸時間における端末#2宛ての変調信号のフレーム構成の一例を示し、
図14(c)は横軸時間における端末#3宛ての変調信号のフレーム構成の一例を示し、
図14(d)は横軸時間における端末#4宛ての変調信号のフレーム構成の一例を示し、
図14(e)は横軸時間における端末#11宛ての変調信号のフレーム構成の一例を示し、
図14(f)は横軸時間における端末#12宛ての変調信号のフレーム構成の一例を示している。
【0097】
図14において、端末#1宛てのシンボル群1401、端末#2宛てのシンボル群1402、端末#3宛てのシンボル群1403、端末#4宛てのシンボル群1404、端末#11宛てのシンボル群1405、端末#12宛てのシンボル群1406が少なくとも区間T3に存在しているものとする。そして、端末#1宛てのシンボル群1401、端末#2宛てのシンボル群1402、端末#3宛てのシンボル群1403、端末#4宛てのシンボル群1404、端末#11宛てのシンボル群1405、端末#12宛てのシンボル群1406は、同一周波数(帯)を用いて基地局から送信される場合を考える。
【0098】
図13において、基地局700が
図14に示す変調信号の送信を行った場合、基地局700は、6つの送信ビームを送信することになる。前にも説明したように、
図13の楕円799は、「基地局が4つの送信ビーム(または、変調信号)を送信した場合の端末の通信可能限界位置」を示している。基地局700が、
図14に示す変調信号の送信を行い、6つの送信ビームを送信した場合の端末の通信可能な限界位置は、楕円799に比べて、基地局700に近い位置となる。したがって、端末#1(701)、端末#2(702)、端末#3(703)、端末#4(704)、端末#11(901)、端末#12(902)のそれぞれ位置によっては、基地局700と通信が困難な端末があらわれる可能性がある。
【0099】
例えば、
図12のような状態を考えた場合、基地局700からの距離が、「基地局が4つの送信ビーム(または、変調信号)を送信したときの端末の通信可能な限界位置」を示す楕円799より遠い端末は、
図7のような通信形態をとっている場合、基地局700との通信が困難となる。
【0100】
したがって、
図7のような通信形態より、柔軟な通信を可能とする基地局の送信方法を適用し、通信距離範囲を広くすることが望まれる。
【0101】
また、例えば、
図13のような状態、つまり、「基地局がある数の送信ビーム(または、変調信号)を送信したときの端末の通信可能な限界位置」内に、端末の数が送信ビームの数より多くある状態を考える。この状態において、端末すべてに対し、同一時間、同一周波数を用いて、変調信号を送信するように設定した場合、基地局が送信可能な平均送信電力の上限が設定されているため、すべての端末に対し、同一時間、同一周波数を用いて、変調信号を送信するのが困難なケースが発生する可能性がある。
【0102】
このような課題に対し、効果のある送信方法について、以下では説明する。
【0103】
図15は、本実施の形態の基地局と端末の通信状態の例を示す図である。なお、
図15において、
図7、
図9と同様のものについては、同一番号を付し、その説明を省略する。
【0104】
基地局700は、端末#1(701)宛ての送信ビーム711、端末#2(702)宛ての送信ビーム712、端末#3(703)宛ての送信ビーム713、端末#4(704)宛ての送信ビーム714を、同一時間(時間tt1とする)、同一周波数(帯)を用いて送信する。その際、各端末は、基地局700に対して、それぞれのビーム(ビーム721~724)を向ける指向性制御を行っても良い。また、基地局700は、端末#11(901)宛ての送信ビーム1511、端末#12(902)宛ての送信ビーム1512を、同一時間(時間tt2とする)、同一周波数(帯)を用いて送信する。その際、端末#11(901)、端末#12(902)は、基地局700に対して、それぞれ、ビーム1521、ビーム1522を向ける指向性制御を行っても良い。なお、時間tt1と時間tt2は異なる時間であるものとする。
【0105】
上記とは、別の方法について説明する。
【0106】
基地局700は、端末#1(701)宛ての送信ビーム711、端末#2(702)宛ての送信ビーム712、端末#3(703)宛ての送信ビーム713、端末#4(704)宛ての送信ビーム714を、同一時間、同一周波数(帯)(周波数(帯)ff1)を用いて送信する。その際、各端末は、基地局700に対して、それぞれのビーム(ビーム721~724)を向ける指向性制御を行っても良い。また、基地局700は、端末#11(901)宛ての送信ビーム1511、端末#12(902)宛ての送信ビーム1512を、同一時間、同一周波数(帯)(周波数(帯)ff2)を用いて送信する。その際、端末#11(901)、端末#12(902)は、基地局700に対して、それぞれ、ビーム1521、ビーム1522を向ける指向性制御を行っても良い。なお、周波数(帯)ff1と周波数(帯)ff2は、異なる周波数(帯)であるものとする。
【0107】
このように、基地局700は、4つの送信ビームを送信する際に、端末#1(701)宛ての送信ビーム、端末#2(702)宛ての送信ビーム、端末#3(703)宛ての送信ビーム、端末#4(704)宛ての送信ビームを送信する。この場合、端末#1(701)、端末#2(702)、端末#3(703)、端末#4(704)は、「基地局が4つの送信ビーム(または、変調信号)を送信したときの端末の通信可能な限界位置」を示す楕円799より内側に存在しているため、基地局700は、端末#1(701)、端末#2(702)、端末#3(703)、端末#4(704)と通信が可能となる。そして、基地局700は、2つの送信ビームを送信する際に、端末#11(901)宛ての送信ビーム、端末#12(902)宛ての送信ビームを送信する。そして、端末#11(901)、端末#12(902)は、「基地局が2つの送信ビーム(または、変調信号)を送信したときの端末の通信可能な限界位置」を示す楕円999より内側に存在しているため、基地局700は、端末#11(901)、端末#12(902)と通信が可能となる。
【0108】
【0109】
図16は、基地局1600の「通信可能な限界位置」を示す図である。
図16には、基地局1600の配置に対し、複数の「通信可能な限界位置」を示す楕円が示されている。
【0110】
楕円1651は、「基地局が16個の送信ビーム(または、変調信号)を送信したときの端末の通信可能な限界位置」である。楕円1651の内側では、条件を満たせば通信が可能である。
【0111】
楕円1652は、「基地局が8つの送信ビーム(または、変調信号)を送信したときの端末の通信可能な限界位置」である。楕円1652の内側では、条件を満たせば通信が可能である。
【0112】
楕円1653は、「基地局が4つの送信ビーム(または、変調信号)を送信したときの端末の通信可能な限界位置」である。楕円1653の内側では、条件を満たせば通信が可能である。
【0113】
楕円1654は、「基地局が2つの送信ビーム(または、変調信号)を送信したときの端末の通信可能な限界位置」である。楕円1654の内側では、条件を満たせば通信が可能である。
【0114】
楕円1655は、「基地局が1つの送信ビーム(または、変調信号)を送信したときの端末の通信可能な限界位置」である。楕円1655の内側では、条件を満たせば通信が可能である。
【0115】
図17は、基地局が送信する、「一つ以上の送信ビーム(または、変調信号)のフレーム構成」の第1の例を示す図である。
図17に示す例は、
図16に示すような5つの通信可能な限界位置が設定されている場合の例である。
【0116】
図17において、横軸は時間である。1701_1は第1フレーム、1701_2は第2フレーム、1701_3は第3フレーム、1701_4は第4フレーム、1701_5は第5フレームである。第1フレーム(1701_1)、第2フレーム(1701_2)、第3フレーム(1701_3)、第4フレーム(1701_4)、および第5フレーム(1701_5)は、時間分割多重(TDM:Time Division Multiplexing)されているものとする。
【0117】
このとき、第1フレーム(1701_1)は、「基地局が最大16個の送信ビーム(または、変調信号)を送信するためのフレーム」である。このフレームを用いて、
図16の楕円1651の内側のエリアに対応する通信可能エリアを実現している。
【0118】
第2フレーム(1701_2)は、「基地局が最大8つの送信ビーム(または、変調信号)を送信するためのフレーム」である。このフレームを用いて、
図16の楕円1652の内側のエリアに対応する通信可能エリアを実現している。
【0119】
第3フレーム(1701_3)は、「基地局が最大4つの送信ビーム(または、変調信号)を送信するためのフレーム」である。このフレームを用いて、
図16の楕円1653の内側のエリアに対応する通信可能のエリアを実現している。
【0120】
第4フレーム(1701_4)は、「基地局が最大2つの送信ビーム(または、変調信号)を送信するためのフレーム」である。このフレームを用いて、
図16の楕円1654の内側のエリアに対応する通信可能エリアを実現している。
【0121】
第5フレーム(1701_5)は、「基地局が1つの送信ビーム(または、変調信号)を送信するためのフレーム」である。このフレームを用いて、
図16の楕円1655の内側のエリアに対応する通信可能エリアを実現している。
【0122】
そして、第1フレーム(1701_1)は時間区間t1に存在しており、第2フレーム(1701_2)は時間区間t2に存在しており、第3フレーム(1701_3)は時間区間t3に存在しており、第4フレーム(1701_4)は時間区間t4に存在しており、第5フレーム(1701_5)は時間区間t5に存在している。
【0123】
このとき、時間区間t1、時間区間t2、時間区間t3、時間区間t4、時間区間t5は、固定の時間区間であってもよいし、都度、時間区間を設定可能であってもよい。例えば、基地局が通信を行う端末の数、端末の位置などによって、各時間区間を設定してもよい。
【0124】
なお、
図17では、第1フレーム(1701_1)、第2フレーム(1701_2)、第3フレーム(1701_3)、第4フレーム(1701_4)、第5フレーム(1701_5)は連続的に配置している。なお、第1フレーム(1701_1)、第2フレーム(1701_2)、第3フレーム(1701_3)、第4フレーム(1701_4)、第5フレーム(1701_5)の送信する順番は、
図17に限ったものではなく、また、適宜、フレームの送信順番は変更してもよい。
【0125】
図17において、例えば、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)などのマルチキャリア伝送方式を用いてもよい。シングルキャリア伝送方式であってもよい。したがって、周波数軸に複数のシンボルが存在していてもよい。
【0126】
図18は、基地局が送信する、「一つ以上の送信ビーム(または、変調信号)のフレーム構成」の第2の例を示す図である。
図18に示す例は、
図16に示すような5つの通信可能な限界位置が設定されている場合の例である。
【0127】
図18において、横軸は時間であり、1701_1は第1フレーム、1701_2は第2フレーム、1701_3は第3フレーム、1701_4は第4フレーム、1701_5は第5フレームである。第1フレーム(1701_1)、第2フレーム(1701_2)、第3フレーム(1701_3)、第4フレーム(1701_4)、および第5フレーム(1701_5)は、時間分割多重(TDM)されているものとする。
【0128】
このとき、第1フレーム(1701_1)は、「基地局が最大16個の送信ビーム(または、変調信号)を送信するためのフレーム」である。このフレームを用いて、
図16の楕円1651の内側のエリアに対応する通信可能エリアを実現している。
【0129】
第2フレーム(1701_2)は、「基地局が最大8つの送信ビーム(または、変調信号)を送信するためのフレーム」である。このフレームを用いて、
図16の楕円1652の内側のエリアに対応する通信可能エリアを実現している。
【0130】
第3フレーム(1701_3)は、「基地局が最大4つの送信ビーム(または、変調信号)を送信するためのフレーム」である。このフレームを用いて、
図16の楕円1653の内側のエリアに対応する通信可能のエリアを実現している。
【0131】
第4フレーム(1701_4)は、「基地局が最大2つの送信ビーム(または、変調信号)を送信するためのフレーム」である。このフレームを用いて、
図16の楕円1654の内側のエリアに対応する通信可能エリアを実現している。
【0132】
第5フレーム(1701_5)は、「基地局が1つの送信ビーム(または、変調信号)を送信するためのフレーム」である。このフレームを用いて、
図16の楕円1655の内側のエリアに対応する通信可能エリアを実現している。
【0133】
そして、第1フレーム(1701_1)は時間区間t1に存在しており、第2フレーム(1701_2)は時間区間t2に存在しており、第3フレーム(1701_3)は時間区間t3に存在しており、第4フレーム(1701_4)は時間区間t4に存在しており、第5フレーム(1701_5)は時間区間t5に存在している。
【0134】
このとき、時間区間t1、時間区間t2、時間区間t3、時間区間t4、時間区間t5は、固定の時間区間であってもよいし、都度、時間区間を設定可能であってもよい。例えば、基地局が通信を行う端末の数、端末の位置などによって、各時間区間を設定してもよい。
【0135】
なお、
図18では、第1フレーム(1701_1)、第2フレーム(1701_2)、第3フレーム(1701_3)、第4フレーム(1701_4)、第5フレーム(1701_5)は離散的に配置している。なお、第1フレーム(1701_1)、第2フレーム(1701_2)、第3フレーム(1701_3)、第4フレーム(1701_4)、第5フレーム(1701_5)の送信する順番は、
図18に限ったものではなく、また、適宜、フレームの送信順番は変更してもよい。
【0136】
図18において、例えば、OFDMなどのマルチキャリア伝送方式を用いてもよい。シングルキャリア伝送方式であってもよい。したがって、周波数軸に複数のシンボルが存在していてもよい。
【0137】
なお、
図17、
図18において、「フレーム」以外に、「制御情報シンボル(データシンボルを復調・復号するのに必要となるシンボル)」、「伝搬路の変動を推定する・信号を検出する・周波数同期を行う・時間同期を行う・周波数オフセットを推定するパイロットシンボル・リファレンスシンボル・プリアンブル」などのシンボルが存在していてもよい。また、他のシンボルが含まれていてもよい。制御情報シンボルを用いて送信する情報としては、例えば、「データシンボルを生成するために用いた変調方式の情報、誤り訂正符号のブロック長(符号長)・符号化率の情報、データシンボルのビット長、端末が基地局とリンクするために必要な情報」などがあげられる。
【0138】
基地局が
図17、
図18のようなフレーム構成で送信ビームを送信することで、基地局が同一周波数、同一時間に複数の送信ビームを送信しているため、データの伝送効率が向上するという効果を得ることができる。また、「基地局は送信ビームの数(または、送信する変調信号の数)によらず、平均送信電力の総和の上限はある一定に定められている」という条件のもと、基地局の端末との通信限界の距離を広くすることができるという効果を得ることができる。
【0139】
なお、
図17、
図18に示した基地局のフレーム構成はあくまでも一例である。
【0140】
例えば、フレームがλ個(λは2以上の整数)以上存在し、iは1以上λ以下の整数とし、jは1以上λ以下の整数とする。そして第iフレームは、「基地局が最大hi個の送信ビーム(または、変調信号)を送信するフレーム」であり、第jフレームは、「基地局が最大hj個の送信ビーム(または、変調信号)を送信するフレーム」であるとする。この場合、フレーム構成において、i≠jおよびhi≠hjが成立するi、jが存在すればよい。
【0141】
または、フレームがλ個(λは2以上の整数)以上存在し、iは1以上λ以下の整数とし、jは1以上λ以下の整数とする。そして、第iフレームは、「基地局が最大hi個の送信ビーム(または、変調信号)を送信するフレーム」であり、第jフレームは、「基地局が最大hj個の送信ビーム(または、変調信号)を送信するフレーム」であるとする。この場合、フレーム構成は、i≠jを満たすすべてのi、すべてのjで「hi≠hj」が成立するとすればよい。
【0142】
図19Aは、各フレーム(第1フレーム1701_1から第5フレーム1701_5)を構成する送信ビームの一例を示す図である。
図19Bは、各フレーム(第1フレーム1701_1から第5フレーム1701_5)を構成するストリームの一例を示す図である。
【0143】
図19Aは、
図17、
図18における第iフレームの送信ビームの構成を示しており、
図19Aの(1)の横軸は時間であり、1901_1は第iフレームの送信ビーム#1のシンボル群を示している。
図19Aの(2)の横軸は時間であり、1901_2は第iフレームの送信ビーム#2のシンボル群を示している。同様に、
図19Aの(ui)の横軸は時間であり、1901_uiは第iフレームの送信ビーム#uiのシンボル群を示している。
【0144】
図17、
図18の第1フレーム1701の場合、u1は0以上16以下の整数であり、u1が1以上の場合、送信ビーム#1から送信ビーム#u1のシンボル群が存在することになる。なお、u1が0の場合、送信ビームは存在しない。同様に、
図17、
図18の第2フレーム1702の場合、u2は0以上8以下の整数であり、u2が1以上の場合、送信ビーム#1から送信ビーム#u2のシンボル群が存在することになる。なお、u2が0の場合、送信ビームは存在しない。
図17、
図18の第3フレーム1703の場合、u3は0以上4以下の整数であり、u3が1以上の場合、送信ビーム#1から送信ビーム#u3のシンボル群が存在することになる。なお、u3が0の場合、送信ビームは存在しない。
図17、
図18の第4フレーム1704の場合、u4は0以上2以下の整数であり、u4が1以上の場合、送信ビーム#1から送信ビーム#u4のシンボル群が存在することになる。なお、u4が0の場合、送信ビームは存在しない。
図17、
図18の第5フレーム1705の場合、u5は0以上1以下の整数であり、u5が1以上の場合、送信ビーム#1から送信ビーム#u5のシンボル群が存在することになる。u5が0の場合、送信ビームは存在しない。
【0145】
そして、
図19Aにおいて、第iフレームの送信ビーム#1のシンボル群1901_1、第iフレームの送信ビーム#2のシンボル群1901_2、・・・、第iフレームの送信ビーム#uiのシンボル群1901_uiは、時間区間T4に存在しており、同一周波数を用いて基地局が送信するシンボル群である。
【0146】
本実施の形態におけるフレームは、上記で説明した各送信ビーム(または変調信号)のシンボル群を割り当てるためのサブフレームを有していてもよい。また、フレームは、サブフレームを有していない場合もある。次に、フレームにおけるサブフレームの構成について説明する。
【0147】
図20は、第iフレームにおけるサブフレームの構成の第1の例を示す図。
図20に示す第iフレームは、
図17、
図18などを用いて説明した第iフレームである。
【0148】
図20において、横軸は時間である。また、第iフレームは、第iフレームのサブフレーム#1(2001_1)、第iフレームのサブフレーム#2(2001_2)、・・・、第iフレームのサブフレーム#vi(2001_vi)から構成されている。つまり、第iフレームは、vi個のサブフレームから構成されているものとする。なお、
図20は、サブフレームが時間分割多重(TDM)されている例である。また、viは1以上の整数とする。そして、viの値は、iの値ごとに個別に設定されるものとする。viの値は、時間により変更してもよい。
【0149】
この場合、既に説明したように、第iフレームは、「基地局が最大hi個の送信ビーム(または、変調信号)を送信するフレーム」であるものとする。
図20の、各第iフレームのサブフレームでは、送信ビーム(または、変調信号)の数は、個別に設定可能であるものとする。ただし、各サブフレームの送信ビーム(または、変調信号)の数は、最大hi個の条件を満たすものとする。したがって、第iフレームのサブフレーム#k(kは1以上vi以下の整数)の「送信ビーム(または、変調信号)の数」をbk(bkは0以上の整数)とすると、bkは0以上(または1以上)hi以下の整数となる。
【0150】
以上のように、第iフレームがサブフレームで構成することを述べたが、実施の方法の例とその効果について、
図21を用いて説明する。
【0151】
図21は、本実施の形態の基地局と端末の通信状態の例を示す図である。
図21において、
図7、
図9、
図15と同様の構成については、同一番号を付し、その説明を省略する。
図21において、
図15と異なる点は、「基地局が4つの送信ビーム(または、変調信号)を送信したときの端末の通信可能な限界位置」を示す楕円799より外側、かつ、「基地局が2つの送信ビーム(または、変調信号)を送信したときの端末の通信可能な限界位置」を示す楕円999より内側に端末#21(2101)、端末#22(2102)、端末#23(2103)、端末#24(2104)が存在している点である。
【0152】
図21の場合、送信ビーム(または、変調信号)の数と通信限界位置の関係から、例えば、基地局700が6つの送信ビーム(または、変調信号)を用いて、端末#11(901)、端末#12(902)端末#21(2101)、端末#22(2102)、端末#23(2103)、端末#24(2104)と通信を行うのは困難となる。
【0153】
つまり、第iフレームをサブフレームによる分割を行わない場合、端末#11(901)および端末#12(902)が基地局700との通信を完了しないと、端末#21(2101)、端末#22(2102)、端末#23(2103)、端末#24(2104)は基地局700と通信を行うことが困難となる。
【0154】
一方で、第iフレームをサブフレームによる分割を行う場合、例えば、第iフレームを3つのサブフレーム(「サブフレーム1」、「サブフレーム2」、「サブフレーム3」と呼ぶ)に分割する場合、基地局700は、「サブフレーム1」の第1の送信ビームにより端末#11(901)と通信を行い、「サブフレーム1」の第2の送信ビームにより端末#12(902)と通信を行い、「サブフレーム2」の第1の送信ビームにより端末#21(2101)と通信を行い、「サブフレーム2」の第2の送信ビームにより端末#22(2102)と通信を行い、「サブフレーム3」の第1の送信ビームにより端末#23(2103)と通信を行い、「サブフレーム3」の第2の送信ビームにより端末#24(2104)と通信を行う。これにより、基地局700は、端末#11(901)、端末#12(902)、端末#21(2101)、端末#22(2102)、端末#23(2103)、端末#24(2104)と通信を行うことが可能となる。
【0155】
なお、第iフレームの各サブフレームの送信ビームに対して端末を割り当てる際の割り当ての方法は、上述の説明に限ったものではない。
【0156】
図21のような状態において、例えば、「ある端末」に対して、以下で説明するように複数のサブフレーム、複数の送信ビームを割り当ててもよい。
【0157】
例えば、基地局700は、「サブフレーム1」の第1の送信ビームにより端末#11(901)と通信を行い、「サブフレーム1」の第2の送信ビームにより端末#12(902)と通信を行い、「サブフレーム2」の第1の送信ビームにより端末#11(901)と通信を行い、「サブフレーム2」の第2の送信ビームにより端末#22(2102)と通信を行い、「サブフレーム3」の第1の送信ビームにより端末#23(2103)と通信を行い、「サブフレーム3」の第2の送信ビームにより端末#24(2104)と通信を行い、「サブフレーム4」の第1の送信ビームにより端末#21(2101)と通信を行う。つまり、この場合、端末#11(901)に複数のサブフレームを割り当てている。
【0158】
また、例えば、基地局700は、「サブフレーム1」の第1の送信ビームにより端末#11(901)と通信を行い、「サブフレーム1」の第2の送信ビームにより端末#12(902)と通信を行い、「サブフレーム2」の第1の送信ビームにより端末#11(901)と通信を行い、「サブフレーム2」の第2の送信ビームにより端末#22(2102)と通信を行い、「サブフレーム3」の第1の送信ビームにより端末#23(2103)と通信を行い、「サブフレーム3」の第2の送信ビームにより端末#24(2104)と通信を行い、「サブフレーム4」の第1の送信ビームにより端末#21(2101)と通信を行い、「サブフレーム4」の第2の送信ビームについても端末21(2101)と通信を行う。つまり、この場合、端末#11(901)に複数のサブフレームを割り当てており、また、端末#21(2101)に複数の送信ビームを割り当てている。
【0159】
また、例えば、基地局700は、「サブフレーム1」の第1の送信ビームにより端末#11(901)と通信を行い、「サブフレーム1」の第2の送信ビームにより端末#12(902)と通信を行い、「サブフレーム2」の第1の送信ビームにより端末#11(901)と通信を行い、「サブフレーム2」の第2の送信ビームにより端末#22(2102)と通信を行い、「サブフレーム3」の第1の送信ビームにより端末#23(2103)と通信を行い、「サブフレーム3」の第2の送信ビームにより端末#24(2104)と通信を行い、「サブフレーム4」の第1の送信ビームにより端末#21(2101)と通信を行い、「サブフレーム4」の第2の送信ビームについても端末21(2101)と通信を行い、「サブフレーム5」の第1の送信ビームについても端末(2101)と通信を行う。つまり、この場合、端末#11(901)に複数のサブフレームを割り当てており、また、端末#21(2101)に複数のサブフレームおよび複数の送信ビームを割り当てている。
【0160】
図22は、第iフレームにおけるサブフレームの構成の第2の例を示す図である。
図22に示す第iフレームは、
図17、
図18などを用いて説明した第iフレームである。
【0161】
前提の説明として、
図19Bについて説明する。
図19Bは、
図17、
図18の各フレーム(第1フレーム1701_1から第5フレーム1701_5)を構成するストリームの一例を示す図である。
【0162】
図19Bは、
図17、
図18における第iフレームのストリームの構成を示しており、
図19Bの(1)の横軸は時間であり、1901B_1は第iフレームのストリーム#1のシンボル群を示している。
図19Bの(2)の横軸は時間であり、1901B_2は第iフレームのストリーム#2のシンボル群を示している。同様に、
図19Bの(i)の横軸は時間であり、1901B_uiは第iフレームのストリーム#uiのシンボル群を示している。
【0163】
図17、
図18の第1フレーム1701の場合、u1は0以上16以下の整数であり、u1が1以上の場合、ストリーム#1からストリーム#u1のシンボル群が存在することになる。なお、u1が0の場合、ストリームは存在しない。同様に、
図17、
図18の第2フレーム1702の場合、u2は0以上8以下の整数であり、u2が1以上の場合、ストリーム#1からストリーム#u2のシンボル群が存在することになる。なお、u2が0の場合、ストリームは存在しない。
図17、
図18の第3フレーム1703の場合、u3は0以上4以下の整数であり、u3が1以上の場合、ストリーム#1からストリーム#u3のシンボル群が存在することになる。なお、u3が0の場合、ストリームは存在しない。
図17、
図18の第4フレーム1704の場合、u4は0以上2以下の整数であり、u4が1以上の場合、ストリーム#1からストリーム#u4のシンボル群が存在することになる。なお、u4が0の場合、ストリームは存在しない。
図17、
図18の第5フレーム1705の場合、u5は0以上1以下の整数であり、u5が1以上の場合、ストリーム#1からストリーム#u5のシンボル群が存在することになる。なお、u5が0の場合、ストリームは存在しない。
【0164】
そして、
図19Bにおいて、第iフレームのストリーム#1のシンボル群1901B_1、第iフレームのストリーム#2のシンボル群1901B_2、・・・、第iフレームのストリーム#uiのシンボル群1901B_uiは、時間区間T4に存在しており、同一周波数を用いて基地局が送信するシンボル群である。
【0165】
図22において、横軸は時間、縦軸は周波数(キャリアまたはサブキャリア)である。
図22では、例えば、OFDMなどのマルチキャリア伝送を用いている場合を想定しており、周波数方向にシンボルが存在しているものとする。
【0166】
図22に示すように、第iフレームは、第iフレームのサブフレーム#1(2201_1)、第iフレームのサブフレーム#2(2201_2)、・・・、第iフレームのサブフレーム#vi(2201_vi)から構成されているものとする。つまり、第iフレームは、vi個のサブフレームから構成されているものとする。なお、
図22は、サブフレームが周波数分割多重(FDM:Frequency Division Multiplexing)されている例である。また、viは1以上の整数とする。そして、viの値は、iの値ごとに個別に設定されるものとする。viの値は、時間により変更してもよい。
【0167】
なお、サブフレームの使用方法については、
図20、
図21を用いて説明した場合と同様に考えることになる。つまり、サブフレームは、一つ以上のストリーム(または、変調信号)により構成され、サブフレーム、ストリームごとに端末を割り当てればよい。これにより、
図20、
図21を用いて説明したときと同様の効果を得ることができる。
【0168】
このとき、サブフレームごとに異なるビームフォーミングを行ってもよい。つまり、
図22のサブフレームごとに送信ビームを生成してもよい。また、ストリームごとに送信ビームを生成してもよい。
【0169】
図23は、第iフレームにおけるサブフレームの構成の第3の例を示す図である。
図23に示す第iフレームは、
図17、
図18などを用いて説明した第iフレームである。
【0170】
図23において、横軸は時間、縦軸は周波数(キャリアまたはサブキャリア)である。
図23では、例えば、OFDMなどのマルチキャリア伝送を用いている場合を想定しており、周波数方向にシンボルが存在しているものとする。
【0171】
図23に示すように、第iフレームは、第iフレームのサブフレーム#1(2301_1)、第iフレームのサブフレーム#2(2301_2)、第iフレームのサブフレーム#3(2301_3)、第iフレームのサブフレーム#4(2301_4)、第iフレームのサブフレーム#5(2301_5)、第iフレームのサブフレーム#6(2301_6)、・・・、第iフレームのサブフレーム#vi(2301_vi)から構成されている。つまり、第iフレームは、vi個のサブフレームから構成されているものとする。なお、
図23の例では、第iフレームのサブフレーム#1と第iフレームのサブフレーム#2は時間分割多重されており、さらに、他のサブフレームは周波数および時間で構成された領域により分割多重されている。また、viは1以上の整数とする。そして、viの値は、iの値ごとに個別に設定されるものとする。viの値は、時間により変更してもよい。
【0172】
なお、サブフレームの使用方法については、
図22を用いて説明したときと同様である。つまり、サブフレームは、一つ以上のストリーム(または、変調信号)により構成され、サブフレーム、ストリームごとに端末を割り当てればよい。これにより、
図20、
図21を用いて説明したときと同様の効果を得ることができる。
【0173】
このとき、サブフレームごとに異なるビームフォーミングを行ってもよい。つまり、
図23のサブフレームごとに送信ビームを生成してもよい。また、ストリームごとに送信ビームを生成してもよい。
【0174】
図24は、第iフレームにおけるサブフレームの構成の第4の例を示す図である。
図24に示す第iフレームは、
図17、
図18などを用いて説明した第iフレームである。
【0175】
図24において、横軸は時間、縦軸は周波数(キャリアまたはサブキャリア)である。
図24では、例えば、OFDMなどのマルチキャリア伝送を用いている場合を想定しており、周波数方向にシンボルが存在しているものとする。
【0176】
図24に示すように、第iフレームは、第iフレームのサブフレーム#1(2401_1)、第iフレームのサブフレーム#2(2401_2)、第iフレームのサブフレーム#3(2401_3)、第iフレームのサブフレーム#4(2401_4)、第iフレームのサブフレーム#5(2401_5)、・・・、第iフレームのサブフレーム#vi(2401_vi)から構成されている。つまり、第iフレームは、vi個のサブフレームから構成されているものとする。なお、
図24の例では、第iフレームのサブフレーム#2と第iフレームのサブフレーム#viは周波数分割多重されており、さらに、他のサブフレームは、周波数および時間で構成された領域により分割多重されている。また、viは1以上の整数とする。そして、viの値は、iの値ごとに個別に設定されるものとする。viの値は、時間により変更してもよい。
【0177】
なお、サブフレームの使用方法については、
図22を用いて説明したときと同様である。つまり、サブフレームは、一つ以上のストリーム(または、変調信号)により構成され、サブフレーム、ストリームごとに端末を割り当てればよい。これにより、
図20、
図21を用いて説明したときと同様の効果を得ることができる。
【0178】
このとき、サブフレームごとに異なるビームフォーミングを行ってもよい。つまり、
図22のサブフレームごとに送信ビームを生成してもよい。また、ストリームごとに送信ビームを生成してもよい。
【0179】
図25は、第iフレームにおけるサブフレームの構成の第5の例を示す図である。
図25に示す第iフレームは、
図17、
図18などを用いて説明した第iフレームである。
【0180】
図25において、横軸は時間、縦軸は周波数(キャリアまたはサブキャリア)である。
図25では、例えば、OFDMなどのマルチキャリア伝送を用いている場合を想定しており、周波数方向にシンボルが存在しているものとする。
【0181】
図25に示すように、第iフレームは、第iフレームのサブフレーム#1(2501_1)、第iフレームのサブフレーム#2(2501_2)、第iフレームのサブフレーム#3(2501_3)、第iフレームのサブフレーム#4(2501_4)、第iフレームのサブフレーム#5(2501_5)、・・・、第iフレームのサブフレーム#(vi-1)(2501_(vi-1))、第iフレームのサブフレーム#vi(2501_vi)から構成されている。つまり、第iフレームは、vi個のサブフレームから構成されているものとする。なお、
図25の例では、サブフレームは、周波数および時間で構成された領域により分割多重されている。また、viは1以上の整数とする。そして、viの値は、iの値ごとに個別に設定されるものとする。viの値は、時間により変更してもよい。
【0182】
なお、サブフレームの使用方法については、
図22を用いて説明したときと同様である。つまり、サブフレームは、一つ以上のストリーム(または、変調信号)により構成され、サブフレーム、ストリームごとに端末を割り当てればよい。これにより、
図20、
図21を用いて説明したときと同様の効果を得ることができる。
【0183】
このとき、サブフレームごとに異なるビームフォーミングを行ってもよい。つまり、
図25のサブフレームごとに送信ビームを生成してもよい。また、ストリームごとに送信ビームを生成してもよい。
【0184】
以上の説明では、
図17、
図18に示したような、時間分割されているフレームにおける、各フレームの構成について説明してきた。次に、周波数分割されているフレームについて説明する。
【0185】
図26は、基地局が送信する、「一つ以上のストリーム(または、変調信号)のフレーム構成」のの例を示す図である。
図26に示す例は、
図16に示すような5つの通信可能な限界位置が設定されている場合の例である。
【0186】
図26において、横軸は時間、縦軸は周波数(キャリア)である。そして、2601_1は第1フレーム、2601_2は第2フレーム、2601_3は第3フレーム、2601_4は第4フレーム、2601_5は第5フレームである。第1フレーム(2601_1)、第2フレーム(2601_2)、第3フレーム(2601_3)、第4フレーム(2601_4)、および第5フレーム(2601_5)は、周波数分割多重(FDM)されているものとする。したがって、OFDMなどのマルチキャリア伝送時に基づいている。
【0187】
このとき、第1フレーム(2601_1)は、「基地局が最大16個のストリーム(または、変調信号)を送信するためのフレーム」である。このフレームを用いて、
図16の楕円1651の内側のエリアに対応する通信可能エリアを実現している。
【0188】
第2フレーム(2601_2)は、「基地局が最大8つのストリーム(または、変調信号)を送信するためのフレーム」である。このフレームを用いて、
図16の楕円1652の内側のエリアに対応する通信可能エリアを実現している。
【0189】
第3フレーム(2601_3)は、「基地局が最大4つのストリーム(または、変調信号)を送信するためのフレーム」である。このフレームを用いて、
図16の楕円1653の内側のエリアに対応する通信可能のエリアを実現している。
【0190】
第4フレーム(2601_4)は、「基地局が最大2つのストリーム(または、変調信号)を送信するためのフレーム」である。このフレームを用いて、
図16の楕円1654の内側のエリアに対応する通信可能エリアを実現している。
【0191】
第5フレーム(2601_5)は、「基地局が1つのストリーム(または、変調信号)を送信するためのフレーム」である。このフレームを用いて、
図16の楕円1655の内側のエリアに対応する通信可能エリアを実現している。
【0192】
そして、第1フレーム(2601_1)は周波数区間F1に存在しており、第2フレーム(2601_2)は周波数区間F2に存在しており、第3フレーム(2601_3)は周波数区間F3に存在しており、第4フレーム(2601_4)は周波数区間F4に存在しており、第5フレーム(2601_5)は周波数区間F5に存在している。
【0193】
このとき、周波数区間F1、周波数区間F2、周波数区間F3、周波数区間F4、周波数区間F5は、固定の周波数区間であってもよいし、都度、周波数区間を設定可能であってもよい。例えば、基地局が通信を行う端末の数、端末の位置などによって、各周波数区間を設定してもよい。
【0194】
なお、第1フレーム(2601_1)、第2フレーム(2601_2)、第3フレーム(2601_3)、第4フレーム(2601_4)、第5フレーム(2601_5)の周波数軸における配置の順番は、
図26に限ったものではなく、また、適宜、フレームの配置位置は変更してもよい。
【0195】
基地局が
図26のようなフレーム構成でストリームを送信することで、基地局が同一周波数、同一時間に複数の送信ビームを送信しているため、データの伝送効率が向上するという効果を得ることができる。また、「基地局はストリームの数(または、送信する変調信号の数)によらず、平均送信電力の総和の上限はある一定に定められている」という条件のもと、基地局の端末との通信限界の距離を広くすることができるという効果を得ることができる。
【0196】
なお、
図26に示した基地局のフレーム構成はあくまでも一例である。
【0197】
例えば、フレームがλ個(λは2以上の整数)以上存在し、iは1以上λ以下の整数とし、jは1以上λ以下の整数とする。そして、i≠jとしたとき、第iフレームは、「基地局が最大hi個のストリーム(または、変調信号)を送信するフレーム」であり、第jフレームは、「基地局が最大hj個のストリーム(または、変調信号)」を送信するフレーム」であるとする。この場合、フレーム構成において、i≠jおよびhi≠hjが成立するi、jが存在すればよい。
【0198】
または、フレームがλ個(λは2以上の整数)以上存在し、iは1以上λ以下の整数とし、jは1以上λ以下の整数とする。そして、第iフレームは、「基地局が最大hi個のストリーム(または、変調信号)を送信するフレーム」であり、第jフレームは、「基地局が最大hj個のストリーム(または、変調信号)」を送信するフレーム」であるものとする。この場合、フレーム構成は、i≠jを満たすすべてのi、すべてのjで「hi≠hj」が成立するとすればよい。
【0199】
次に、
図26に示したフレームにおけるストリームの一例について、
図19Bを用いて説明する。
【0200】
図19Bは、
図2各フレーム(第1フレーム2601_1から第5フレーム2601_5)を構成するストリームの一例を示している。なお、ストリームごとにデータを伝送することが可能であるものとする。例えば、第1ストリームと第2ストリームがあった場合、第1ストリームで第1のデータを伝送し、第2ストリームで第2のデータを伝送することが可能であるものとする。
【0201】
図19Bは、
図26における第iフレームのストリームの構成を示しており、
図19Bの(1)の横軸は時間であり、1901B_1は第iフレームのストリーム#1のシンボル群を示している。
図19Bの(2)の横軸は時間であり、1901B_2は第iフレームのストリーム#2のシンボル群を示している。同様に、
図19Bの(i)の横軸は時間であり、1901B_uiは第iフレームのストリーム#uiのシンボル群を示している。
【0202】
図26の第1フレーム2601の場合、u1は0以上16以下の整数であり、u1が1以上の場合、ストリーム#1からストリーム#u1のシンボル群が存在することになる。なお、u1が0の場合、ストリームは存在しない。同様に、
図26の第2フレーム2602の場合、u2は0以上8以下の整数であり、u2が1以上の場合、ストリーム#1からストリーム#u2のシンボル群が存在することになる。なお、u2が0の場合、ストリームは存在しない。
図26の第3フレーム2603の場合、u3は0以上4以下の整数であり、u3が1以上の場合、ストリーム#1からストリーム#u3のシンボル群が存在することになる。なお、u3が0の場合、ストリームは存在しない。
図26の第4フレーム2604の場合、u4は0以上2以下の整数であり、u4が1以上の場合、ストリーム#1からストリーム#u4のシンボル群が存在することになる。なお、u4が0の場合、ストリームは存在しない。
図26の第5フレーム2605の場合、u5は0以上1以下の整数であり、u5が1以上の場合、ストリーム#1からストリーム#u5のシンボル群が存在することになる。なお、u5が0の場合、ストリームは存在しない。
【0203】
そして、
図19Bにおいて、第iフレームのストリーム#1のシンボル群1901B_1、第iフレームのストリーム#2のシンボル群1901B_2、・・・、第iフレームのストリーム#uiのシンボル群1901B_uiは、時間区間T4に存在しており、同一周波数を用いて基地局が送信するシンボル群である。
【0204】
次に、
図26に示したフレームにおけるサブフレームの構成について、
図20を用いて説明する。
図20は、
図26などを用いて説明した第iフレームにおけるサブフレームの構成の一例を示している。
【0205】
図20において、横軸は時間である。また、第iフレームは、第iフレームのサブフレーム#1(2001_1)、第iフレームのサブフレーム#2(2001_2)、・・・、第iフレームのサブフレーム#vi(2001_vi)から構成されている。つまり、第iフレームは、vi個のサブフレームから構成されているものとする。なお、
図20は、サブフレームが時間分割多重(TDM)されている例である。また、viは1以上の整数とする。そして、viの値は、iの値ごとに個別に設定されるものとする。また、viの値は時間により変更してもよい。
【0206】
この場合、既に説明したように、第iフレームは、「基地局が最大hi個のストリーム(または、変調信号)を送信するフレーム」であるものとする。
図20の、各第iフレームのサブフレームでは、ストリーム(または、変調信号)の数は、個別に設定可能であるものとする。ただし、各サブフレームのストリーム(または、変調信号)の数は、最大hi個の条件を満たすものとする。したがって、第iフレームのサブフレーム#k(kは1以上vi以下の整数)の「ストリーム(または、変調信号)の数」をbk(bkは0以上の整数)とすると、bkは0以上(または1以上)hi以下の整数となる。
【0207】
以上のように、第iフレームがサブフレームで構成することを述べたが、実施の方法の例とその効果について、
図21を用いて説明する。
【0208】
図21は、本実施の形態の基地局と端末の通信状態の例を示している。
図21において、
図7、
図9、
図15と同様の構成については、同一番号を付し、その説明を省略する。
図21において、
図15と異なる点は、「基地局が4つのストリーム(または、変調信号)を送信したときの端末の通信可能な限界位置」を示す楕円799より外側、かつ、「基地局が2つのストリーム(または、変調信号)を送信したときの端末の通信可能な限界位置」を示す楕円999より内側に端末#21(2101)、端末#22(2102)、端末#23(2103)、端末#24(2104)が存在している点である。
【0209】
図21の場合、ストリーム(または、変調信号)の数と通信限界位置の関係から、例えば、基地局700が6つのストリーム(または、変調信号)を用いて、端末#11(901)、端末#12(902)端末#21(2101)、端末#22(2102)、端末#23(2103)、端末#24(2104)と通信を行うのは困難となる。
【0210】
つまり、第iフレームをサブフレームによる分割を行わない場合、端末#11(901)および端末#12(902)が基地局700との通信を完了しないと、端末#21(2101)、端末#22(2102)、端末#23(2103)、端末#24(2104)は基地局700と通信を行うことが困難となる。
【0211】
一方で、第iフレームをサブフレームによる分割を行う場合、例えば、第iフレームを3つのサブフレーム(「サブフレーム1」、「サブフレーム2」、「サブフレーム3」と呼ぶ)に分割する場合、基地局700は、「サブフレーム1」の第1ストリームにより端末#11(901)と通信を行い、「サブフレーム1」の第2ストリームにより端末#12(902)と通信を行い、「サブフレーム2」の第1ストリームにより端末#21(2101)と通信を行い、「サブフレーム2」の第2ストリームにより端末#22(2102)と通信を行い、「サブフレーム3」の第1ストリームにより端末#23(2103)と通信を行い、「サブフレーム3」の第2ストリームにより端末#24(2104)と通信を行う。これにより、基地局700は、端末#11(901)、端末#12(902)、端末#21(2101)、端末#22(2102)、端末#23(2103)、端末#24(2104)と通信を行うことが可能となる。
【0212】
なお、第iフレームの各サブフレームのストリームに対して端末を割り当てる再の割り当ての方法は、上述の説明に限ったものではない。
【0213】
図21のような状態において、例えば、「ある端末」に対して、以下で説明するように複数のサブフレーム、複数のストリームを割り当ててもよい。
【0214】
例えば、基地局700は、「サブフレーム1」の第1ストリームにより端末#11(901)と通信を行い、「サブフレーム1」の第2ストリームにより端末#12(902)と通信を行い、「サブフレーム2」の第1ストリームにより端末#11(901)と通信を行い、「サブフレーム2」の第2ストリームにより端末#22(2102)と通信を行い、「サブフレーム3」の第1ストリームにより端末#23(2103)と通信を行い、「サブフレーム3」の第2ストリームにより端末#24(2104)と通信を行い、「サブフレーム4」の第1ストリームにより端末#21(2101)と通信を行う。つまり、この場合、端末#11(901)に複数のサブフレームを割り当てている。
【0215】
また、例えば、基地局700は、「サブフレーム1」の第1ストリームにより端末#11(901)と通信を行い、「サブフレーム1」の第2ストリームにより端末#12(902)と通信を行い、「サブフレーム2」の第1ストリームにより端末#11(901)と通信を行い、「サブフレーム2」の第2ストリームにより端末#22(2102)と通信を行い、「サブフレーム3」の第1ストリームにより端末#23(2103)と通信を行い、「サブフレーム3」の第2ストリームにより端末#24(2104)と通信を行い、「サブフレーム4」の第1ストリームにより端末#21(2101)と通信を行い、「サブフレーム4」の第2ストリームについても端末21(2101)と通信を行う。つまり、この場合、端末#11(901)に複数のサブフレームを割り当てており、また、端末#21(2101)に複数のストリームを割り当てている。
【0216】
また、例えば、基地局700は、「サブフレーム1」の第1ストリームにより端末#11(901)と通信を行い、「サブフレーム1」の第2ストリームにより端末#12(902)と通信を行い、「サブフレーム2」の第1ストリームにより端末#11(901)と通信を行い、「サブフレーム2」の第2ストリームにより端末#22(2102)と通信を行い、「サブフレーム3」の第1ストリームにより端末#23(2103)と通信を行い、「サブフレーム3」の第2ストリームにより端末#24(2104)と通信を行い、「サブフレーム4」の第1ストリームにより端末#21(2101)と通信を行い、「サブフレーム4」の第2ストリームについても端末21(2101)と通信を行い、「サブフレーム5」の第1ストリームについても端末(2101)と通信を行う。つまり、この場合、端末#11(901)に複数のサブフレームを割り当てており、また、端末#21(2101)に複数のサブフレームおよび複数のストリームを割り当てている。
【0217】
次に、
図26に示したフレームにおけるサブフレームの構成について、
図22~25を用いて説明する。
図22は、
図26などを用いて説明した第iフレームの構成の
図20とは異なる例である。
【0218】
図22において、横軸は時間、縦軸は周波数(キャリアまたはサブキャリア)である。
図22では、例えば、OFDMなどのマルチキャリア伝送を用いている場合を想定しており、周波数方向にシンボルが存在しているものとする。
【0219】
図22に示したように、第iフレームは、第iフレームのサブフレーム#1(2201_1)、第iフレームのサブフレーム#2(2201_2)、・・・、第iフレームのサブフレーム#vi(2201_vi)から構成されているものとする。つまり、第iフレームは、vi個のサブフレームから構成されているものとする。なお、
図22は、サブフレームが周波数分割多重(FDM:Frequency Division Multiplexing)されている例である。また、viは1以上の整数とする。そして、viの値は、iの値ごとに個別に設定されるものとする。viの値は、時間により変更してもよい。
【0220】
なお、サブフレームの使用方法については、
図20、
図21を用いて説明した場合と同様である。つまり、サブフレームは、一つ以上のストリーム(または、変調信号)により構成され、サブフレーム、ストリームごとに端末を割り当てればよい。これにより、
図20、
図21を用いて説明したときと同様の効果を得ることができる。
【0221】
このとき、サブフレームごとに異なるビームフォーミングを行ってもよい。つまり、
図22のサブフレームごとに送信ビームを生成してもよい。また、ストリームごとに送信ビームを生成してもよい。
【0222】
【0223】
図23において、横軸は時間、縦軸は周波数(キャリアまたはサブキャリア)である。
図23では、例えば、OFDMなどのマルチキャリア伝送を用いている場合を想定しており、周波数方向にシンボルが存在しているものとする。
【0224】
図23に示したように、第iフレームは、第iフレームのサブフレーム#1(2301_1)、第iフレームのサブフレーム#2(2301_2)、第iフレームのサブフレーム#3(2301_3)、第iフレームのサブフレーム#4(2301_4)、第iフレームのサブフレーム#5(2301_5)、第iフレームのサブフレーム#6(2301_6)、・・・、第iフレームのサブフレーム#vi(2301_vi)から構成されている。つまり、第iフレームは、vi個のサブフレームから構成されているものとする。なお、
図23の例では、第iフレームのサブフレーム#1と第iフレームのサブフレーム#2は時間分割多重されており、さらに、他のサブフレームは、周波数および時間で構成された領域により分割多重されている。また、viは1以上の整数とする。そして、viの値は、iの値ごとに個別に設定されるものとする。viの値は、時間により変更してもよい。
【0225】
なお、サブフレームの使用方法については、
図22を用いて説明したときと同様である。つまり、サブフレームは、一つ以上のストリーム(または、変調信号)により構成され、サブフレーム、ストリームごとに端末を割り当てればよい。これにより、
図20、
図21を用いて説明したときと同様の効果を得ることができる。
【0226】
このとき、サブフレームごとに異なるビームフォーミングを行ってもよい。つまり、
図23のサブフレームごとに送信ビームを生成してもよい。また、ストリームごとに送信ビームを生成してもよい。
【0227】
【0228】
図24において、横軸は時間、縦軸は周波数(キャリアまたはサブキャリア)である。
図24では、例えば、OFDMなどのマルチキャリア伝送を用いている場合を想定しており、周波数方向にシンボルが存在しているものとする。
【0229】
図24に示したように、第iフレームは、第iフレームのサブフレーム#1(2401_1)、第iフレームのサブフレーム#2(2401_2)、第iフレームのサブフレーム#3(2401_3)、第iフレームのサブフレーム#4(2401_4)、第iフレームのサブフレーム#5(2401_5)、・・・、第iフレームのサブフレーム#vi(2401_vi)から構成されている。つまり、第iフレームは、vi個のサブフレームから構成されているものとする。なお、
図24の例では、第iフレームのサブフレーム#2と第iフレームのサブフレーム#viは周波数分割多重されており、さらに、他のサブフレームは、周波数および時間で構成された領域により分割多重されている。また、viは1以上の整数とする。そして、viの値は、iの値ごとに個別に設定されるものとする。viの値は、時間により変更してもよい。
【0230】
なお、サブフレームの使用方法については、
図22を用いて説明したときと同様である。つまり、サブフレームは、一つ以上のストリーム(または、変調信号)により構成され、サブフレーム、ストリームごとに端末を割り当てればよい。これにより、
図20、
図21を用いて説明したときと同様の効果を得ることができる。
【0231】
このとき、サブフレームごとに異なるビームフォーミングを行ってもよい。つまり、
図22のサブフレームごとに送信ビームを生成してもよい。また、ストリームごとに送信ビームを生成してもよい。
【0232】
【0233】
図25において、横軸は時間、縦軸は周波数((サブ)キャリア)であり、例えば、OFDMなどのマルチキャリア伝送を用いている場合を想定しており、周波数方向にシンボルが存在しているものとする。
【0234】
図25に示したように、第iフレームは、第iフレームのサブフレーム#1(2501_1)、第iフレームのサブフレーム#2(2501_2)、第iフレームのサブフレーム#3(2501_3)、第iフレームのサブフレーム#4(2501_4)、第iフレームのサブフレーム#5(2501_5)、・・・、第iフレームのサブフレーム#(vi-1)(2501_(vi-1))、第iフレームのサブフレーム#vi(2501_vi)から構成されている。つまり、第iフレームは、vi個のサブフレームから構成されているものとする。なお、
図25の例では、サブフレームは、周波数および時間で構成された領域により分割多重されている。また、viは1以上の整数とする。そして、viの値は、iの値ごとに個別に設定されるものとする。viの値は、時間により変更してもよい。
【0235】
なお、サブフレームの使用方法については、
図22を用いて説明したときと同様である。つまり、サブフレームは、一つ以上のストリーム(または、変調信号)により構成され、サブフレーム、ストリームごとに端末を割り当てればよい。これにより、
図20、
図21を用いて説明したときと同様の効果を得ることができる。
【0236】
このとき、サブフレームごとに異なるビームフォーミングを行ってもよい。つまり、
図25のサブフレームごとに送信ビームを生成してもよい。また、ストリームごとに送信ビームを生成してもよい。
【0237】
以上のように、フレームごとに送信ビーム数(ストリーム数)を決定し、基地局が複数のフレームを送信することで、フレームごとに通信可能な範囲が異なるようになるため、基地局と端末の通信距離が拡大するという効果を得ることができる。
【0238】
なお、本実施の形態で説明したフレーム構成、送信ビームの構成、ストリームの構成、サブフレームの構成、シンボル群の構成などは、あくまでも一例であり、これらの構成は、本実施の形態で説明した構成に限ったものではない。例えば、本実施の形態で説明したフレーム構成、送信ビームの構成、ストリームの構成、サブフレームの構成、シンボル群の構成などでは、データシンボル、データシンボルを復調・復号するのに必要となる制御情報を含む制御情報シンボル、伝搬路の変動の推定、信号検出、周波数同期、時間同期、周波数オフセットの推定等に使用されるパイロットシンボル、リファレンスシンボル、プリアンブルなどのシンボルが含まれる。あるいは、他のシンボルが含まれていてもよい。制御情報シンボルを用いて送信する情報としては、例えば、データシンボルを生成するために用いた変調方式の情報、誤り訂正符号のブロック長(符号長)、符号化率の情報、データシンボルのビット長、端末が基地局とリンクするために必要な情報などがあげられる。
【0239】
ところで、
図17、
図26のフレーム、
図20、
図22、
図23、
図24、
図25、
図26のサブフレームにおいて、時間分割(または、時間分割多重)、周波数分割(または、周波数分割多重)、時間および周波数領域の分割(または、時間および周波数領域の分割多重)について説明した。次に、フレーム、または、サブフレームの時間的な境界、または、周波数的な境界の構成の別の例について説明する。
【0240】
例えば、時間方向に分割する際、
図27のような状態を考える。
図27は、時間方向における分割の一例について示す図である。
【0241】
図27において、横軸は時間、縦軸は周波数(キャリア)である。
図27は、第1領域、第2領域、第3領域、第4領域を時間方向で分割した場合の例を示している。
【0242】
図27に示すように、時刻t1では、第1領域と第2領域が存在する。また、時刻t2、時刻t3では、第2領域と第3領域が存在する。そして、第3領域と第4領域は、時間方向における重なりが存在しない。これらのケースを含めて、「時間方向での分割」と定義するものとする。例えば、フレームを
図27のように、ある時刻で複数のフレームが存在するように時間的に分割を行ってもよい。あるいは、サブフレームを
図27のように、ある時刻で複数のサブフレームが存在するように時間的に分割を行ってもよい。
【0243】
さらにいえば、
図27の第1領域から第3領域に示すように、1つの領域は、異なる周波数において異なる時間幅を有していても良い。つまり、1つの領域は、時間-周波数平面において矩形でなくてもよい。これらのケースを含めて、「時間方向での分割」と定義するものとする。
【0244】
例えば、周波数方向に分割する際、
図28のような状態を考える。
図28は、周波数方向における分割の一例について示す図である。
【0245】
図28において、横軸は周波数(キャリア)、縦軸は時間である。
図28は、第1領域、第2領域、第3領域、第4領域を周波数方向で分割した場合の例を示している。
【0246】
図28に示すように、キャリアc1では、第1領域と第2領域が存在する。また、キャリアc2、キャリアc3では、第2領域と第3領域が存在する。そして、第3領域と第4領域は、周波数方向における重なりが存在しない。これらのケースを含めて、「周波数方向での分割」と定義するものとする。例えば、フレームを
図28のように、ある周波数(キャリア)で複数のフレームが存在するように周波数的に分割を行ってもよい。あるいは、サブフレームを
図28のように、ある周波数(キャリア)で複数のサブフレームが存在するように周波数的に分割を行ってもよい。
【0247】
さらにいえば、
図28の第1領域から第3領域が示すように、1つの領域は、異なる時間において異なる周波数幅を有していても良い。つまり、1つの領域は、時間-周波数平面において、矩形でなくてもよい。これらのケースを含めて、「周波数方向での分割」と定義するものとする。
【0248】
また、フレーム、および/または、サブフレームを時間および周波数領域の分割(または、時間および周波数領域の分割多重)を行う際、時間方向での分割を
図27のように行い、周波数方向での分割を
図28のように行ってもよい。つまり、フレームまたはサブフレーム等の時間-周波数平面における1つの領域は、異なる時間において異なる周波数幅を有し、かつ、異なる周波数において異なる時間幅を有していてもよい。
【0249】
以上の説明において、例えば、
図19Aは、フレームの送信ビームについて示し、
図19Bは、フレームのストリームについて示した。送信ビーム、およびストリームは、いずれも、端末に対して送信する変調シンボル系列に対応するものである。
【0250】
以上詳細に説明した基地局、またはアクセスポイント等の通信装置の基本構成の一例について、
図29を用いて説明する。本実施の形態における通信装置2900は、各端末宛の変調シンボル系列が時間と周波数帯域によって規定される複数のフレームの内、各端末が所属する通信可能範囲に対応するフレームで送信されるように、変調シンボル系列の送信タイミング及び/又は周波数を調整する信号処理部2901(例えば、
図1、
図3の信号処理部102に相当)と、変調シンボル系列のそれぞれに重み付けを行って、各アンテナ素子から送信する重み付け合成部2902(例えば、
図2の乗算部204_1~204_4、または、
図3の重みづけ合成部301に相当)と、を具備する。そして、フレームは、同一時間帯及び同一周波数帯で同時送信可能な変調シンボル系列数が通信可能範囲に応じてそれぞれ異なるように設定されている。また、フレームは、フレームを時分割及び/又は周波数分割することにより規定される複数のサブフレームを含む。信号処理部2901は、フレーム内の複数のサブフレームの各々に、当該フレームに設定された同時通信可能な変調シンボル系列数以下の変調シンボル系列を割り当てる。
【0251】
以上の説明において、「送信ビームの数(または、送信する変調信号の数あるいは送信するストリーム数)によらず、平均送信電力の総和の上限は、ある値に定められている」と記載したが、以下ではこの点について補足説明をする。
【0252】
例えば、基地局または端末等の送信装置が、送信アンテナ#A、送信アンテナ#B、送信アンテナ#C、送信アンテナ#Dの計4本の送信アンテナを具備しているものとする。
【0253】
例えば、第1のケースとして、送信アンテナ#Aから変調信号Aを平均送信電力1ワットで送信し、送信アンテナ#Bから変調信号Bを平均送信電力1ワットで送信し、送信アンテナ#Cから変調信号Cを平均送信電力1ワットで送信し、送信アンテナ#Dから変調信号Dを平均送信電力1ワットで送信するものとする。この第1のケースの場合、平均送信電力の総和は4ワットになる。
【0254】
そして、第2のケースとして、送信アンテナ#Aから変調信号Aを平均送信電力aワットで送信し、送信アンテナ#Bから変調信号Bを平均送信電力bワットで送信し、送信アンテナ#Cから変調信号Cを平均送信電力cワットで送信し、送信アンテナ#Dから変調信号Dを平均送信電力dワットで送信するものとする。なお、a、b、c、dは0以上の実数であるものとする。
【0255】
この第2のケースと第1のケースが同じ平均送信電力の総和の上限である場合、つまり、第2のケースの平均送信電力の総和の上限が4ワットである場合、a+b+c+d=4ワットが成立することになる。ただし、a+b+c+d≦4であってもよい。なお、第1のケースおよび第2のケースでは、4つの変調信号が存在している場合について説明しているが、変調信号の数に限らず上述のような規則(平均送信電力の総和の上限がある値に定まるという規則)が成立することになる。
【0256】
また、第1のケースと第2のケースでは、変調信号を送信する場合について説明したが、変調信号ではなく、送信ビーム(または、ストリーム)を送信する場合についても同様の規則が成立する。
【0257】
具体的には、例えば、第3のケースとして、送信ビーム(または、ストリーム)Eの平均送信電力1ワットで送信し、送信ビーム(または、ストリーム)Fの平均送信電力1ワットで送信し、送信ビーム(または、ストリーム)Gの平均送信電力1ワットで送信し、送信ビーム(または、ストリーム)Hの平均送信電力1ワットで送信するものとする。この第3のケースの場合、平均送信電力の総和は4Wになる。
【0258】
そして、第4のケースとして、送信ビーム(または、ストリーム)Eの平均送信電力eワットで送信し、送信ビーム(または、ストリーム)Fの平均送信電力fワットで送信し、送信ビーム(または、ストリーム)Gの平均送信電力gワットで送信し、送信ビーム(または、ストリーム)Hの平均送信電力hワットで送信するものとする。なお、e、f、g、hは0以上の実数であるものとする。
【0259】
この第3のケースと第4のケースが同じ平均送信電力の総和の上限である場合、つまり、第4のケースの平均送信電力の総和の上限が4ワットである場合、e+f+g+h=4ワットが成立することになる。ただし、e+f+g+h≦4であってもよい。なお、第3のケースおよび第4のケースでは、4つの送信ビーム(またはストリーム)が存在している場合について説明しているが、送信ビームの数に限らず上述のような規則(平均送信電力の総和の上限がある値に定まる規則)が成立することになる。
【0260】
また、本明細書において、「フレーム」「サブフレーム」という語句を用いているが、この呼び方に限ったものではなく、例えば、「スロット」「サブスロット」「ストリーム」「サブストリーム」「セグメント」「サブセグメント」など他の呼び方を行っても、本開示の本質がかわるものではない。
【0261】
当然であるが、本明細書において説明した実施の形態、その他の内容を複数組み合わせて、実施してもよい。
【0262】
また、各実施の形態、その他の内容については、あくまでも例であり、例えば、「変調方式、誤り訂正符号化方式(使用する誤り訂正符号、符号長、符号化率等)、制御情報など」を例示していても、別の「変調方式、誤り訂正符号化方式(使用する誤り訂正符号、符号長、符号化率等)、制御情報など」を適用した場合でも同様の構成で実施することが可能である。
【0263】
変調方式については、本明細書で記載している変調方式以外の変調方式を使用しても、本明細書において説明した実施の形態、その他の内容を実施することが可能である。例えば、APSK(Amplitude Phase Shift Keying)(例えば、16APSK, 64APSK, 128APSK, 256APSK, 1024APSK, 4096APSKなど)、PAM(Pulse Amplitude Modulation)(例えば、4PAM, 8PAM, 16PAM, 64PAM, 128PAM, 256PAM, 1024PAM, 4096PAMなど)、PSK(Phase Shift Keying)(例えば、BPSK, QPSK, 8PSK, 16PSK, 64PSK, 128PSK, 256PSK, 1024PSK, 4096PSKなど)、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)(例えば、4QAM, 8QAM, 16QAM, 64QAM, 128QAM, 256QAM, 1024QAM, 4096QAMなど)などを適用してもよいし、各変調方式において、均一マッピング、非均一マッピングとしてもよい。また、I-Q平面における2個、4個、8個、16個、64個、128個、256個、1024個等の信号点の配置方法(2個、4個、8個、16個、64個、128個、256個、1024個等の信号点をもつ変調方式)は、本明細書で示した変調方式の信号点配置方法に限ったものではない。
【0264】
本明細書において、送信装置を具備しているのは、例えば、放送局、基地局、アクセスポイント、端末、携帯電話(mobile phone)等の通信・放送機器であることが考えられ、このとき、受信装置を具備しているのは、テレビ、ラジオ、端末、パーソナルコンピュータ、携帯電話、アクセスポイント、基地局等の通信機器であることが考えられる。また、本開示における通信装置は、通信機能を有している機器であって、その機器が、テレビ、ラジオ、パーソナルコンピュータ、携帯電話等のアプリケーションを実行するための装置に何らかのインターフェースを解して接続できるような形態であることも考えられる。また、本実施の形態では、データシンボル以外のシンボル、例えば、パイロットシンボル(プリアンブル、ユニークワード、ポストアンブル、リファレンスシンボル等)、制御情報用のシンボルなどが、フレームにどのように配置されていてもよい。そして、ここでは、パイロットシンボル、制御情報用のシンボルと名付けているが、どのような名付け方を行ってもよく、機能自身が重要となっている。
【0265】
パイロットシンボルは、例えば、送受信機において、PSK変調を用いて変調した既知のシンボル(または、受信機が同期をとることによって、受信機は、送信機が送信したシンボルを知ることができてもよい。)であればよく、受信機は、このシンボルを用いて、周波数同期、時間同期、(各変調信号の)チャネル推定(CSI(Channel State Information)の推定)、信号の検出等を行うことになる。
【0266】
また、制御情報用のシンボルは、(アプリケーション等の)データ以外の通信を実現するための、通信相手に伝送する必要がある情報(例えば、通信に用いている変調方式・誤り訂正符号化方式・誤り訂正符号化方式の符号化率、上位レイヤーでの設定情報等)を伝送するためのシンボルである。
【0267】
なお、本開示は各実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、各実施の形態では、通信装置として行う場合について説明しているが、これに限られるものではなく、この通信方法をソフトウェアとして行うことも可能である。
【0268】
なお、例えば、上記通信方法を実行するプログラムを予めROM(Read Only Memory)に格納しておき、そのプログラムをCPU(Central Processor Unit)によって動作させるようにしても良い。
【0269】
また、上記通信方法を実行するプログラムをコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納し、記憶媒体に格納されたプログラムをコンピュータのRAM(Random Access Memory)に記録して、コンピュータをそのプログラムにしたがって動作させるようにしても良い。
【0270】
そして、上記の各実施の形態などの各構成は、典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現されてもよい。これらは、個別に1チップ化されてもよいし、各実施の形態の全ての構成または一部の構成を含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限られるものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現しても良い。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用しても良い。さらに、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行っても良い。バイオ技術の適応等が可能性としてあり得る。
【産業上の利用可能性】
【0271】
本開示は、基地局、アクセスポイント、端末等の通信装置として用いるのに好適である。
【符号の説明】
【0272】
102、155、405、452、2901 信号処理部
104_1~104_M、403_1~403_N 無線部
106_1~106_M、401_1~401_N アンテナ部
151 受信アンテナ群
153、454 無線部群
158、409 設定部
202 分配部
204_1~204_4、503_1~503_4、603_1~603_L 乗算部
206_1~206_4、303_1~303_K、501_1~501_4、601_1~601_L、2903_1~2903_K アンテナ
301、2902 重みづけ合成部
456 送信アンテナ群
605 処理部
700、1600 基地局
701~704、901、902、2101~2104 端末
2900 通信装置