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特許7350109情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0207 20230101AFI20230915BHJP
【FI】
G06Q30/0207
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022015607
(22)【出願日】2022-02-03
(65)【公開番号】P2023113328
(43)【公開日】2023-08-16
【審査請求日】2022-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】519110124
【氏名又は名称】PayPay株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】千葉 由規
【審査官】石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-008727(JP,A)
【文献】特開2021-135768(JP,A)
【文献】特開2015-005065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客企業サーバおよび顧客端末装置と通信可能な情報処理装置であって、
クーポンの配布対象の範囲を規定する配布条件を含む前記クーポンの発行依頼を、前記顧客企業サーバから取得する発行依頼取得部と、
クーポン発行アドレスを前記顧客企業サーバに通知するアドレス通知部と、
前記顧客端末装置から前記クーポン発行アドレスへのアクセスがあった場合、前記配布条件に基づいて前記クーポンの発行を認めるか否かを判定する判定部と、を備え、
前記アドレス通知部は、前記判定部により前記クーポンの発行を認めると判定された場合、前記クーポンを取得するためのクーポン取得アドレスを前記顧客端末装置に通知し、
前記配布条件は、前記クーポン発行アドレスへのアクセス経路を特定するための条件を含む、
情報処理装置。
【請求項2】
前記配布条件は、前記アクセス経路を特定するための条件として、前記クーポン発行アドレスへのアクセスが許可された前記顧客端末装置のドメインおよび前記クーポン発行アドレスへの遷移元のURL(Uniform Resource Locator)のうちの少なくとも一方を含む、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記顧客端末装置が前記クーポン発行アドレスにアクセスする際に送信されるHTTP(Hypertext Transfer Protocol)リクエストおよび前記配布条件に基づいて、前記クーポンの発行を認めるか否かを判定する、
請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記アドレス通知部は、前記クーポン取得アドレスを、決済アプリがインストールされた利用者端末装置で読み取り可能なコード情報の形式で前記顧客端末装置に通知する、
請求項1から3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記利用者端末装置を所有する利用者に関する情報を示す利用者情報を記憶する記憶部と、
前記利用者端末装置から前記クーポン取得アドレスへのアクセスがあった場合、前記利用者を識別するための第1利用者識別情報を前記利用者端末装置から取得し、取得した前記第1利用者識別情報と、取得された前記クーポンを識別するためのクーポン識別情報とを紐づけて前記利用者情報に書き込む情報管理部と、
を更に備える、請求項4記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記記憶部は、前記クーポンの利用実績を示す利用実績情報を記憶しており、
前記情報管理部は、前記クーポンが使用された場合、前記クーポンを使用した利用者の前記第1利用者識別情報、使用された前記クーポンを識別するための前記クーポン識別情報、前記クーポンの使用日時、および前記クーポンの使用回数を紐づけて前記利用実績情報に書き込む、
請求項5記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記情報管理部は、
前記クーポン取得アドレスを、前記クーポンの取得が許可された利用者を識別するための第2利用者識別情報に紐づけて前記記憶部に記憶し、
前記利用者端末装置から前記クーポン取得アドレスへのアクセスがあった場合、アクセスがあった前記クーポン取得アドレスに紐づけられている前記第2利用者識別情報を、前記クーポンを取得した利用者の前記第1利用者識別情報に紐づけて前記利用者情報に書き込み、
アクセスがあった前記クーポン取得アドレスに紐づけられている前記第2利用者識別情報を、前記利用実績情報に書き込む、
請求項6記載の情報処理装置。
【請求項8】
顧客企業サーバおよび顧客端末装置と通信可能な情報処理装置であって、
クーポンの配布対象の範囲を規定する配布条件を含む前記クーポンの発行依頼を、前記顧客企業サーバから取得する発行依頼取得部と、
クーポン発行アドレスを前記顧客企業サーバに通知するアドレス通知部と、
前記顧客端末装置から前記クーポン発行アドレスへのアクセスがあった場合、前記配布条件に基づいて前記クーポンの発行を認めるか否かを判定する判定部と、を備え、
前記アドレス通知部は、前記判定部により前記クーポンの発行を認めると判定された場合、前記クーポンを取得するためのクーポン取得アドレスを前記顧客端末装置に通知し、
前記クーポンの発行依頼は、前記クーポンの取得が許可された利用者を識別するための第2利用者識別情報のリストを示す許可リストを更に含み、
前記判定部は、前記顧客端末装置から前記クーポン発行アドレスへのアクセスがあった場合、前記顧客端末装置から前記第2利用者識別情報を受信し、受信した前記第2利用者識別情報および前記許可リストに基づいて、前記クーポンの発行を認めるか否かを判定する、
情報処理装置。
【請求項9】
決済アプリがインストールされた利用者端末装置を所有する利用者に関する情報を示す利用者情報を記憶する記憶部と、
前記利用者端末装置から前記クーポン取得アドレスへのアクセスがあった場合、前記利用者を識別するための第1利用者識別情報を前記利用者端末装置から取得し、取得した前記第1利用者識別情報と、取得された前記クーポンを識別するためのクーポン識別情報とを紐づけて前記利用者情報に書き込む情報管理部を更に備え、
前記許可リストにおいて、前記第1利用者識別情報と前記第2利用者識別情報とは紐づけられていない、
請求項8記載の情報処理装置。
【請求項10】
顧客企業サーバおよび顧客端末装置と通信可能な情報処理装置が、
クーポンの配布対象の範囲を規定する配布条件を含むクーポンの発行依頼を、前記顧客企業サーバから取得し、
クーポン発行アドレスを前記顧客企業サーバに通知し、
前記顧客端末装置から前記クーポン発行アドレスへのアクセスがあった場合、前記配布条件に基づいて前記クーポンの発行を認めるか否かを判定し、
前記クーポンの発行を認めると判定された場合、前記クーポンを取得するためのクーポン取得アドレスを前記顧客端末装置に通知し、
前記配布条件は、前記クーポン発行アドレスへのアクセス経路を特定するための条件を含む、
情報処理方法。
【請求項11】
顧客企業サーバおよび顧客端末装置と通信可能な情報処理装置が、
クーポンの配布対象の範囲を規定する配布条件を含むクーポンの発行依頼を、前記顧客企業サーバから取得し、
クーポン発行アドレスを前記顧客企業サーバに通知し、
前記顧客端末装置から前記クーポン発行アドレスへのアクセスがあった場合、前記配布条件に基づいて前記クーポンの発行を認めるか否かを判定し、
前記クーポンの発行を認めると判定された場合、前記クーポンを取得するためのクーポン取得アドレスを前記顧客端末装置に通知し、
前記クーポンの発行依頼は、前記クーポンの取得が許可された利用者を識別するための第2利用者識別情報のリストを示す許可リストを更に含み、
前記顧客端末装置から前記クーポン発行アドレスへのアクセスがあった場合、前記顧客端末装置から前記第2利用者識別情報を受信し、受信した前記第2利用者識別情報および前記許可リストに基づいて、前記クーポンの発行を認めるか否かを判定する、
情報処理方法。
【請求項12】
顧客企業サーバおよび顧客端末装置と通信可能な情報処理装置に、
クーポンの配布対象の範囲を規定する配布条件を含むクーポンの発行依頼を、前記顧客企業サーバから取得させ、
クーポン発行アドレスを前記顧客企業サーバに通知させ、
前記顧客端末装置から前記クーポン発行アドレスへのアクセスがあった場合、前記配布条件に基づいて前記クーポンの発行を認めるか否かを判定させ、
前記クーポンの発行を認めると判定された場合、前記クーポンを取得するためのクーポン取得アドレスを前記顧客端末装置に通知させ
前記配布条件は、前記クーポン発行アドレスへのアクセス経路を特定するための条件を含む、
プログラム。
【請求項13】
顧客企業サーバおよび顧客端末装置と通信可能な情報処理装置に、
クーポンの配布対象の範囲を規定する配布条件を含むクーポンの発行依頼を、前記顧客企業サーバから取得させ、
クーポン発行アドレスを前記顧客企業サーバに通知させ、
前記顧客端末装置から前記クーポン発行アドレスへのアクセスがあった場合、前記配布条件に基づいて前記クーポンの発行を認めるか否かを判定させ、
前記クーポンの発行を認めると判定された場合、前記クーポンを取得するためのクーポン取得アドレスを前記顧客端末装置に通知させ、
前記クーポンの発行依頼は、前記クーポンの取得が許可された利用者を識別するための第2利用者識別情報のリストを示す許可リストを更に含み、
前記顧客端末装置から前記クーポン発行アドレスへのアクセスがあった場合、前記顧客端末装置から前記第2利用者識別情報を受信させ、受信した前記第2利用者識別情報および前記許可リストに基づいて、前記クーポンの発行を認めるか否かを判定させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ECサイトの運営事業者や決済サービスの事業者などは、クーポンを発行するためのプラットフォームを加盟店に提供している。例えば、特許文献1には、ECサイト会員のユーザランクに応じてクーポンを発行する仕組みが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/157423号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、クーポンの配布対象の利用者の範囲を自由に設定することができない場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、クーポンの配布対象の利用者の範囲を自由に設定することができる情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、顧客企業サーバおよび顧客端末装置と通信可能な情報処理装置であって、クーポンの配布対象の範囲を規定する配布条件を含むクーポンの発行依頼を、前記顧客企業サーバから取得する発行依頼取得部と、クーポン発行アドレスを前記顧客企業サーバに通知するアドレス通知部と、前記顧客端末装置から前記クーポン発行アドレスへのアクセスがあった場合、前記配布条件に基づいて前記クーポンの発行を認めるか否かを判定する判定部と、を備え、前記アドレス通知部は、前記判定部により前記クーポンの発行を認めると判定された場合、前記クーポンを取得するためのクーポン取得アドレスを前記顧客端末装置に通知する、情報処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、クーポンの配布対象の利用者の範囲を自由に設定することができる情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電子決済サービスが実現されるための構成の一例を示す図である。
図2】電子決済の大まかな流れを例示した図である。
図3】決済サーバ100の構成図である。
図4】利用者情報172の内容の一例を示す図である。
図5】クーポン情報176の内容の一例を示す図である。
図6】利用実績情報178の内容の一例を示す図である。
図7】非公開クーポンの発行・取得処理の一例を示すシーケンス図である。
図8】顧客企業の社員向けの福利厚生サイトの一例を示す図である。
図9】クーポン発行サイトの一例を示す図である。
図10】クーポン獲得画面の一例を示す図である。
図11図2のパターン1の場合における、クーポン使用時の決済処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図12図2のパターン2の場合における、クーポン使用時の決済処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムについて説明する。情報処理装置は、一以上のプロセッサにより実現される。以下の説明では、情報処理装置は、電子決済サービスを提供するものとし、「決済サーバ」と称して説明するが、情報処理装置は、ショッピング、オークション、チャット、ミニブログ、その他の、ログインを伴う任意のサービスを提供するものであってもよい。電子決済サービスは、店舗における商品やサービスの購買に係る決済をサポートするサービスである。店舗とは、例えば、現実空間に存在する物理的な店舗(実店舗)である。
【0010】
[電子決済サービス]
図1は、電子決済サービスが実現されるための構成の一例を示す図である。電子決済サービスは、決済サーバ100を中心として実現される。決済サーバ100は、例えば、一以上の利用者端末装置10、一以上の店舗端末装置50、顧客企業サーバ200、および一以上の顧客端末装置300のそれぞれとネットワークNWを介して通信する。ネットワークNWは、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、無線基地局、プロバイダ装置などを含む。
【0011】
利用者端末装置10は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等の可搬型端末装置である。利用者端末装置10は、少なくとも、光学読取機能、通信機能、表示機能、入力受付機能、プログラム実行機能を有するコンピュータ装置である。以下の説明では、これらの機能を実現するための構成をそれぞれカメラ、通信装置、タッチパネル、CPU(Central Processing Unit)等と称する。利用者端末装置10では、CPU等のプロセッサにより決済アプリ20が実行されることで、決済サーバ100と連携して電子決済サービスを利用者に提供するように動作する。決済アプリ20は、カメラ、通信装置、タッチパネルなどを制御する。
【0012】
店舗端末装置50は、例えば、店舗に設置される。店舗端末装置50は、少なくとも、商品価格取得機能、光学読取機能、プログラム実行機能、通信機能を有するコンピュータ装置である。店舗端末装置50は、いわゆるPOS(Point of Sale)装置を含み、POS装置によって商品価格取得機能や光学読取機能を実現してもよい。店舗コード画像60は、店舗に置かれ、QRコード(登録商標)等のコード画像が紙やプラスチックの媒体に印刷されたものである。なお、店舗コード画像60は、店舗に置かれたディスプレイによって表示されてもよい。
【0013】
決済サーバ100は、利用者端末装置10または店舗端末装置50から受信した決済情報に基づいて電子決済を実現する。決済サーバ100は、例えば、利用者IDに対応付けて管理しているチャージ残高を増減させる(換言すると、電子マネーを入出金する)ことで、電子決済を行う。電子決済は、リボ払いやクレジット払い等の方法によって、購買時点のチャージ残高よりも多額の購買を可能にするものが含まれてよい。
【0014】
顧客企業サーバ200は、商品の販売またはサービスの提供を行う顧客企業が所有するサーバである。顧客企業サーバ200は、店舗で利用可能なクーポンの発行を決済サーバ100に依頼する。クーポンは、電子決済において利用者に利益を提供するための電子クーポンである。利用者に提供する利益とは、例えば、電子決済時における割引や、チャージ残高へのキャッシュバックなどであってよい。以下の説明では、クーポンが電子決済時における割引に利用される場合の例について説明する。なお、詳細は後述するが、顧客企業サーバ200は、福利厚生サイトなどの顧客企業内のサイトの管理についても行う。
【0015】
顧客端末装置300は、顧客企業と関連のある利用者のPC(Personal Computer)である。例えば、顧客端末装置300は、顧客企業の社員が社内で用いるPCであってよい。
【0016】
図2は、電子決済の大まかな流れを例示した図である。電子決済には、パターン1とパターン2の二つが存在してよい。パターン1の場合、まず利用者端末装置10において決済アプリ20が起動し、QRコードやバーコード等のコード画像を表示する。利用者は利用者端末装置10の表示面を店舗端末装置50に翳す(提示する)。店舗端末装置50は、光学読取機能によってコード画像をデコードし、アカウントID(第1利用者識別情報の一例)等の情報を取得する。そして、店舗端末装置50は、アカウントID、決済金額、店舗ID等を含む決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する。決済金額の情報は、予めバーコード読み取りや手入力等によって取得されている。決済サーバ100は、受信した情報に基づいて、利用者の電子決済口座から店舗の電子決済口座に決済金額を移動させて決済処理を完了させる。
【0017】
パターン2の場合、決済アプリ20が起動した状態の利用者端末装置10が、光学読取機能によって店舗コード画像60をデコードする。店舗コード画像60には、店舗名等の情報が含まれている。利用者は、店舗名等が表示された画面において、決済金額を利用者端末装置10に入力する。そして、利用者端末装置10は、アカウントID、決済金額、店舗ID等を含む決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する。決済サーバ100は、受信した情報に基づいて決済処理を行う。なお、上記のいずれかのパターンでのみ電子決済が行われてもよい。また、図2で説明する「アカウントID」は、利用者の識別情報として用いられ得る他の情報(例えば電話番号)であってもよい。
【0018】
[決済サーバ]
図3は、決済サーバ100の構成図である。決済サーバ100は、例えば、通信部110と、決済コンテンツ提供部120と、決済処理部122と、発行依頼取得部124と、アドレス通知部126と、判定部128と、情報管理部130と、記憶部170とを備える。通信部110および記憶部170以外の構成要素は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0019】
記憶部170は、HDDやフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などである。記憶部170は、決済サーバ100がネットワークを介してアクセス可能なNAS(Network Attached Storage)装置であってもよい。記憶部170には、利用者情報172、決済コンテンツ情報174、クーポン情報176、および利用実績情報178などの情報が格納される。
【0020】
通信部110は、ネットワークNWに接続するための通信インターフェースである。通信部110は、例えばネットワークインターフェースカードである。
【0021】
決済コンテンツ提供部120は、例えば、Webサーバの機能を有し、前述した決済完了画面を含む、電子決済サービスの各種画面を表示するための情報(コンテンツ)を利用者端末装置10に提供する。決済コンテンツ提供部120は、決済コンテンツ情報174から適宜、必要なコンテンツを読み出して利用者端末装置10に提供する。利用者端末装置10は、決済アプリ20によってコンテンツが再生された状態で利用者による各種入力を受け付け、前述した決済情報などを決済サーバ100に送信する。
【0022】
決済処理部122は、利用者端末装置10または店舗端末装置50により送信された決済情報に基づいて、決済処理を行う。決済処理部122は、利用者情報172を参照しながら決済処理を行う。
【0023】
[利用者情報]
図4は、利用者情報172の内容の一例を示す図である。利用者情報172は、利用者の登録情報の一例である。利用者情報172は、例えば、アカウントIDに対して、メールアドレス、利用者ID、チャージ残高、銀行口座、クレジットカード番号、チャージ履歴情報、決済履歴情報、クーポンID、および社員番号(第2利用者識別情報の一例)などの情報が対応付けられたものである。利用者IDは、決済サーバ100が利用者を識別するための利用者識別情報の一例であり、利用者のニックネームなど、利用者が任意に設定できる情報である。チャージ残高、チャージ履歴情報、および決済履歴情報以外の情報は任意設定情報である。以下、これらの情報が対応付けられた利用者のインスタンス(電子決済口座)のことをアカウントと称する。
【0024】
チャージ残高は、利用者が予めアカウントに送金することで設定された電子マネーの残高を示す情報である。送金の手段としては、指定業者(銀行)のATM(Automatic Teller Machine)からの送金、登録された銀行口座からの送金などがある。銀行口座とクレジットカード番号のそれぞれは、電子決済サービスに入金可能な銀行口座またはクレジットカード番号の情報(口座番号、カード番号)である。チャージ履歴情報は、利用者が予め電子決済サービスに送金してチャージ残高を増加させた履歴である。決済履歴情報は、利用者が行った決済の内訳(日時、購買行動が行われた店舗の店舗ID、決済金額等)を、決済ごとに示す情報である。クーポンIDは、利用者が所有するクーポンを識別するための情報である。社員番号は、顧客企業が利用者を識別するための利用者識別情報の一例である。詳細については後述するが、社員番号は元々決済サーバ100が保有している情報ではなく、顧客端末装置300から提供される情報である。
【0025】
[クーポン情報]
図5は、クーポン情報176の内容の一例を示す図である。クーポン情報176は、例えば、クーポンIDに対して、店舗ID、割引額、有効期限、配布条件、クーポン発行URL(Uniform Resource Locator)、およびクーポン取得URLなどの情報が対応付けられたものである。なお、クーポン発行URLはクーポン発行アドレスの一例であり、クーポン取得URLはクーポン取得アドレスの一例である。
【0026】
店舗IDは、クーポンを使用可能な店舗を識別するための情報である。割引額は、1回のクーポンの使用によって割り引かれる金額である。なお、割引額は、1回のクーポンの使用によって割り引かれる割合(例えば、○○%引き等)に関する情報であってもよい。有効期限は、クーポンの使用可能期間の終了日時を示す情報である。配布条件は、クーポンの配布対象の範囲を規定する情報である。クーポン発行URLおよびクーポン取得URLは、利用者端末装置10がクーポンを取得するために必要なURLである。なお、配布条件、クーポン発行URL、およびクーポン取得URLの詳細については後述する。
【0027】
[利用実績情報]
図6は、利用実績情報178の内容の一例を示す図である。利用実績情報178は、例えば、アカウントIDに対して、クーポンID、使用日時、および使用回数などの情報が対応付けられたものである。
【0028】
アカウントIDは、利用者情報172に含まれるアカウントIDと同じであり、利用者のアカウントを識別するための情報である。クーポンIDは、クーポン情報176に含まれるクーポンIDと同じであり、クーポンを識別するための情報である。使用日時は、利用者がクーポンを使用した日時である。使用回数は、利用者がクーポンを使用した回数である。
【0029】
[非公開クーポンの発行・取得処理]
図7は、非公開クーポンの発行・取得処理の一例を示すシーケンス図である。非公開クーポンは、一般公開されていないクーポンであり、特定の利用者にのみ公開されたクーポンである。例えば、非公開クーポンは、公開されたクーポンをまとめたクーポンサイトなどには載っていないクーポンである。
【0030】
非公開クーポンの発行を行う際、顧客企業サーバ200は、非公開クーポンの発行依頼を決済サーバ100に送信する(S11)。非公開クーポンの発行依頼は、非公開クーポンを利用可能な店舗ID、割引額、有効期限、および配布条件などの情報を含む。配布条件は、非公開クーポンの配布対象の範囲を規定する情報である。例えば、配布条件は、クーポン発行URLへのアクセスが許可された顧客端末装置300のドメインおよびクーポン発行URLへの遷移元のURLのうちの少なくとも一方を含んでよい。すなわち、配布条件は、顧客端末装置300のドメインであってもよいし、クーポン発行URLへの遷移元のURLであってもよいし、これらの両方であってもよい。
【0031】
決済サーバ100の発行依頼取得部124は、顧客企業サーバ200から送信された非公開クーポンの発行依頼を取得する。情報管理部130は、発行依頼取得部124によって取得された発行依頼に応じて、クーポン情報176の更新処理を実行する(S12)。具体的に、情報管理部130は、非公開クーポンの発行依頼に応じて、クーポンID、およびクーポン発行URLを生成する。そして、情報管理部130は、生成したこれらの情報と、非公開クーポンの発行依頼に含まれる店舗ID、割引額、有効期限、および配布条件などの情報とを紐づけた新たなクーポン情報を、記憶部170に格納されたクーポン情報176に追加する。
【0032】
アドレス通知部126は、情報管理部130によって生成された、非公開クーポンに対応するクーポン発行URLを顧客企業サーバ200に通知する(S13)。具体的に、アドレス通知部126は、通信部110を制御してクーポン発行URLを顧客企業サーバ200に送信する。
【0033】
顧客企業サーバ200は、決済サーバ100からクーポン発行URLを受信する。そして、顧客企業サーバ200は、クーポン発行URLを特定のサイトに掲載する。例えば、顧客企業サーバ200は、顧客企業の社員向けの福利厚生サイトにクーポン発行URLを掲載する。一方、顧客端末装置300は、顧客企業の社員の操作に従って福利厚生サイトにアクセスし、ブラウザを用いて福利厚生サイトを表示する。
【0034】
図8は、顧客企業の社員向けの福利厚生サイトの一例を示す図である。福利厚生サイト400には、様々な福利厚生に関する情報に加え、顧客企業の社員限定の非公開クーポンに関する情報が表示される。図8に示される例において、福利厚生サイト400は、店舗Aの100円割引クーポンを選択するためのボタン401、および店舗Bの200円割引クーポンを選択するためのボタン402が表示されている。
【0035】
福利厚生サイト400においていずれかの非公開クーポンが選択されると、顧客端末装置300は、選択された非公開クーポンに対応するクーポン発行URLにアクセスする(S14)。この際、顧客端末装置300は、決済サーバ100にHTTP(Hypertext Transfer Protocol)リクエストを送信する。HTTPリクエストには、クーポン発行URLにアクセスする顧客端末装置300のドメイン、クーポン発行URLへの遷移元のURL(本実施形態では、福利厚生サイト400のURL)、および利用者の社員番号などの情報が含まれる。
【0036】
次に、決済サーバ100の判定部128は、顧客端末装置300からクーポン発行URLへのアクセスがあった場合、配布条件に基づいてクーポンの発行を認めるか否かを判定する(S15)。具体的に、判定部128は、アクセスのあったクーポン発行URLに対応する配布条件を、記憶部170に記憶されたクーポン情報176から取得する。また、判定部128は、顧客端末装置300から送信されたHTTPリクエストに含まれる、顧客端末装置300のドメイン、クーポン発行URLへの遷移元のURL、および利用者の社員番号などの情報を取得する。そして、判定部128は、クーポン情報176から取得した配布条件と、HTTPリクエストに含まれる顧客端末装置300のドメインまたはクーポン発行URLへの遷移元のURLとに基づいて、クーポンの発行を認めるか否かを判定する。
【0037】
例えば、図5に示されるクーポンIDがC001のクーポンの配布条件は、ドメインが“aaa.com”であり、遷移元URLが“https://aaa.com/coupon/***”である。この場合、判定部128は、HTTPリクエストに含まれる顧客端末装置300のドメインが“aaa.com”であれば非公開クーポンの発行を認める。また、判定部128は、HTTPリクエストに含まれるクーポン発行URLへの遷移元のURL(本実施形態では、福利厚生サイト400のURL)が“https://aaa.com/coupon/***”であれば非公開クーポンの発行を認める。一方、これらの条件を満たさない場合には、判定部128は非公開クーポンの発行を認めない。なお、判定部128は、ドメインおよび遷移元URLの両方の配布条件を満たさなければ、非公開クーポンの発行を認めないようにしてもよい。
【0038】
このように、判定部128は、配布条件(ドメイン、遷移元URL)に基づいてクーポンの発行を認めるか否かを判定する。これによって、例えば、非公開クーポンのクーポン発行URLが他人に知られたとしても、他人が非公開クーポンを取得することを防止することができる。
【0039】
非公開クーポンの発行を認めた場合、判定部128は、非公開クーポンを取得するためのクーポン取得URLを生成し、生成したクーポン取得URLをクーポン情報176に書き込む。クーポン取得URLは、利用者の社員番号ごとに一意に生成されるアドレスである。情報管理部130は、生成されたクーポン取得URLを、HTTPリクエストから取得した利用者の社員番号に紐づけて記憶部170に記憶する。
【0040】
次に、アドレス通知部126は、判定部128によって生成されたクーポン取得URLを顧客端末装置300に通知する(S16)。例えば、アドレス通知部126は、クーポン取得URLを、決済アプリ20がインストールされた利用者端末装置10で読み取り可能なコード情報の形式で顧客端末装置300に通知する。コード情報は、例えばQRコードなどの二次元コードであってもよく、バーコードなどの一次元コードであってもよい。なお、クーポン取得URLは、当該URLが生成されてから一定時間が経過すると無効となる時限的なURLであってよい。クーポン取得URLを時限的なURLとすることで、クーポン取得URLがSNS(Social Networking Service)などで拡散されたとしても、非公開クーポンが他人に不正に取得されるのを防止することができる。なお、以下の説明では、クーポン取得URLがQRコードの形式で通知される例について説明する。
【0041】
図9は、クーポン発行サイトの一例を示す図である。クーポン発行サイト500は、顧客端末装置300の表示部に表示される。クーポン発行サイト500には、「スマートフォンで、QRコードを撮影して下さい」というメッセージに加え、アドレス通知部126から通知されたQRコード501が表示される。図9に示される例において、QRコード501には、クーポン取得URLが埋め込まれている。
【0042】
例えば、図8におけるボタン401が選択された場合、クーポン発行サイト500には、店舗Aの100円割引クーポンを取得するためのQRコード501が表示される。また、図8におけるボタン402が選択された場合、クーポン発行サイト500には、店舗Bの200円割引クーポンを取得するためのQRコード501が表示される。
【0043】
次に、利用者は、決済アプリ20がインストールされた利用者端末装置10を用いてQRコード501を撮影する(S17)。利用者端末装置10は、撮影したQRコード501をデコードすることにより、クーポン取得URLを取得する。そして、利用者端末装置10は、取得したクーポン取得URLにアクセスする(S18)。このとき、利用者端末装置10は、利用者のアカウントIDについても送信する。
【0044】
利用者端末装置10からクーポン取得URLにアクセスがあった場合、決済サーバ100の情報管理部130は、アクセスのあったクーポン取得URLに対応するクーポンIDをクーポン情報176から取得するとともに、利用者のアカウントIDを利用者端末装置10から取得する。そして、情報管理部130は、利用者のアカウントIDと、取得したクーポンIDとを紐づけて利用者情報172に書き込む。その後、情報管理部130は、クーポン取得通知を利用者端末装置10に送信する(S19)。前述したように、クーポン取得URLは、クーポンの取得が許可された利用者の社員番号に紐づけて管理されている。このため、情報管理部130は、利用者端末装置10からアクセスがあったクーポン取得URLに紐づけられている社員番号を、非公開クーポンを取得した利用者のアカウントIDと紐づけて利用者情報172に書き込む。これによって、決済サーバ100は、非公開クーポンを取得した利用者の社員番号を、自動的に利用者情報172に追加することができる。このとき、利用者端末装置10からアクセスがあったクーポン取得URLに紐づけられている社員番号を、利用者のアカウントIDと紐づけて利用実績情報178に書き込んでもよい。これによって、決済サーバ100は、社員ごとのクーポンの利用実績を管理することができる。
【0045】
図10は、クーポン獲得画面の一例を示す図である。利用者端末装置10は、決済サーバ100からクーポン取得通知を受信すると、クーポン獲得画面12を表示部に表示する。クーポン獲得画面12には、「クーポンを獲得しました」というメッセージに加え、取得したクーポンに関する情報が表示される。これにより、利用者端末装置10は、非公開クーポンを取得することができる。
【0046】
[クーポン使用時の決済処理]
図11は、図2のパターン1の場合における、クーポン使用時の決済処理の流れの一例を示すシーケンス図である。まず、利用者が店舗にて電子決済を行う際、利用者は利用者端末装置10を用いて決済アプリ20を起動させ、QRコードやバーコード等のコード画像を表示させる。次に、利用者は利用者端末装置10の表示面を店舗端末装置50に翳すことにより、コード画像を提示する(S21)。
【0047】
店舗端末装置50は、光学読取機能によってコード画像をデコードし、利用者のアカウントID等の情報を取得する。そして、店舗端末装置50は、アカウントID、決済金額、店舗ID等を含む決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する(S22)。
【0048】
決済サーバ100は、店舗端末装置50から決済情報を受信すると、クーポン確認処理を実行する(S23)。クーポン確認処理は、電子決済を行おうとしている店舗で使用可能なクーポンを、利用者が所有しているか否かを確認する処理である。クーポン確認処理において、決済サーバ100は、記憶部170に格納された利用者情報172から、決済情報に含まれるアカウントIDに関連付けられたクーポンID(利用者が所有するクーポンのID)を取得する。また、決済サーバ100は、記憶部170に格納されたクーポン情報176から、決済情報に含まれる店舗IDに関連付けられたクーポンID(電子決済を行おうとしている店舗で使用可能なクーポンのID)を取得する。そして、決済サーバ100は、利用者情報172から取得したクーポンID(利用者が所有するクーポンのID)と、クーポン情報176から取得したクーポンID(電子決済を行おうとしている店舗で使用可能なクーポンのID)とを比較することにより、電子決済を行おうとしている店舗で使用可能なクーポンを、利用者が所有しているか否かを判定する。
【0049】
電子決済を行おうとしている店舗で使用可能なクーポンを、利用者が所有していると判定した場合、決済サーバ100は、有効性確認処理を実行する(S24)。有効性確認処理は、利用者が所有しているクーポンが有効か否かを確認する処理である。有効性確認処理において、決済サーバ100は、利用者が所有しているクーポンのクーポンIDに対応付けられた有効期限を、記憶部170に格納されたクーポン情報176から取得する。そして、決済サーバ100は、クーポン情報176から取得した有効期限が、現在の日時よりも前であるか否かを判定する。クーポン情報176から取得した有効期限が、現在の日時よりも前である場合、決済サーバ100は、クーポンは期限切れのため無効であると判定する。一方、クーポン情報176から取得した有効期限が、現在の日時よりも前でない場合、決済サーバ100は、クーポンは有効であると判定する。クーポンが有効であると判定された場合、決済サーバ100は、クーポンの割引額をクーポン情報176から取得し、決済情報に含まれる決済金額から割引額を差し引く。
【0050】
次に、決済サーバ100は、店舗端末装置50から受信した決済情報基づき、決済処理を実行する(S25)。具体的に、決済サーバ100は、利用者情報172における利用者のチャージ残高から決済金額を差し引くことにより、利用者のチャージ残高を更新する。また、決済サーバ100は、店舗の電子決済口座に決済金額を移動させて決済処理を完了させる。
【0051】
決済が完了すると、決済サーバ100は、店舗端末装置50に決済完了通知を送信し(S26)、利用者端末装置10にも決済完了通知を送信する(S27)。なお、利用者のチャージ残高が足りないなどの理由で決済を完了できなかった場合、決済サーバ100は、決済を完了できなかった旨の通知を店舗端末装置50および利用者端末装置10に送信する。
【0052】
その後、決済サーバ100は、利用実績情報178の更新処理を実行する(S28)。利用実績情報178の更新処理は、クーポンの使用に応じて利用実績情報178を更新する処理である。具体的に、決済サーバ100の情報管理部130は、利用者のアカウントID、使用されたクーポンのクーポンID、クーポンの使用日時、およびクーポンの使用回数を紐づけて利用実績情報178に書き込む。これによって、クーポン使用時の決済処理が完了する。
【0053】
図12は、図2のパターン2の場合における、クーポン使用時の決済処理の流れの一例を示すシーケンス図である。まず、利用者が店舗にて電子決済を行う際、利用者は利用者端末装置10を用いて決済アプリ20を起動させ、光学読取機能によって店舗コード画像60をデコードし、店舗ID等の情報を取得する(S31)。
【0054】
利用者は、店舗名等が表示された画面において、決済金額を利用者端末装置10に入力する。そして、利用者端末装置10は、アカウントID、決済金額、店舗ID等を含む決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する(S32)。
【0055】
決済サーバ100は、利用者端末装置10から決済情報を受信すると、クーポン確認処理(S33)、有効性確認処理(S34)、および決済処理(S35)を実行する。クーポン確認処理、有効性確認処理、および決済処理は、それぞれ図11のS23~S25の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0056】
決済が完了すると、決済サーバ100は、店舗端末装置50に決済完了通知を送信し(S36)、利用者端末装置10にも決済完了通知を送信する(S37)。なお、利用者のチャージ残高が足りないなどの理由で決済を完了できなかった場合、決済サーバ100は、決済を完了できなかった旨の通知を店舗端末装置50および利用者端末装置10に送信する。
【0057】
その後、決済サーバ100は、利用実績情報178の更新処理を実行する(S38)。利用実績情報178の更新処理は、図11のS28と同様の処理であるため、説明を省略する。利用実績情報178の更新処理が完了することにより、クーポン使用時の決済処理が完了する。
【0058】
以上説明したように、本実施形態の決済サーバ(情報処理装置)100は、クーポンの配布対象の範囲を規定する配布条件を含むクーポンの発行依頼を、顧客企業サーバ200から取得する発行依頼取得部124と、クーポン発行URLを顧客企業サーバ200に通知するアドレス通知部126と、顧客端末装置300からクーポン発行URLへのアクセスがあった場合、配布条件に基づいてクーポンの発行を認めるか否かを判定する判定部128と、を備える。アドレス通知部126は、判定部128によりクーポンの発行を認めると判定された場合、クーポンを取得するためのクーポン取得URLを顧客端末装置300に通知する。これによって、クーポンの配布対象の利用者の範囲を自由に設定することができる。
【0059】
また、福利厚生として顧客企業Aが非公開クーポンを配布する場合、非公開クーポンを取得したアカウントは顧客企業Aの関係者であることが分かる。このため、決済サーバ100の運営企業は、利用者のアカウントにおいて、今まで保有していなかった利用者の属性情報を取得することができる。
【0060】
また、決済サーバ100は、配布条件(ドメイン、遷移元URL)に基づいてクーポンの発行を認めるか否かを判定するため、非公開クーポンのクーポン発行URLがSNSなどで拡散されたとしても、不正取得を防止することができる。
【0061】
本実施形態では、クーポンが電子決済時の割引に使用される例について説明したが、これに限らない。例えば、クーポンは、利用者のチャージ残高へのキャッシュバックに使用されてもよい。クーポンの利用によってキャッシュバックされる金額は、利用者情報172におけるチャージ残高に加算されることとなる。また、クーポンは、自社他社問わず、商品を購入したりサービスを利用したりする際に割引やキャッシュバックを受けられるものであれば、どのようなクーポンであってもよい。例えば、顧客企業が提携しているホテルの割引クーポンを非公開クーポンとして発行するような場合に、本実施形態の技術を適用してもよい。
【0062】
本実施形態において、決済サーバ100は、非公開クーポンを取得した利用者の社員番号を自動的に取得し、利用者のアカウントIDと紐づけて記憶することとした。このため、決済サーバ100は、どの社員が何枚クーポンを取得したか、何回クーポンを使用したかなどの情報を取得することができる。また、決済サーバ100は、社員ごとの非公開クーポンの利用実績を顧客企業サーバ200に通知してもよい。これによって、顧客企業は、社員がどの程度クーポンを利用しているのかを確認することができる。
【0063】
また、本実施形態では、顧客企業サーバ200から送信されるクーポンの発行依頼に配布条件が含まれており、判定部128は配布条件に基づいてクーポンの発行を認めるか否かを判定することとしたが、これに限らない。例えば、顧客企業サーバ200から送信されるクーポンの発行依頼は、クーポンの取得が許可された利用者を識別するための社員情報(第2利用者識別情報の一例)のリストを示す許可リストを更に含んでいてもよい。また、判定部128は、顧客端末装置300からクーポン発行URLへのアクセスがあった場合、顧客端末装置300から送信されるHTTPリクエストから社員番号を取得し、取得した社員番号および許可リストに基づいて、クーポンの発行を認めるか否かを判定してもよい。これによって、クーポンの取得が許可された利用者を個別に指定することができる。なお、許可リストにおいて、アカウントID(第1利用者識別情報の一例)と社員番号(第2利用者識別情報の一例)とは紐づけられていなくてもよい。このため、許可リストを生成する際に、顧客企業で利用される社員番号を把握しておけば十分であり、決済サーバ100で利用されるアカウントIDを事前に把握しておく必要はない。
【0064】
なお、利用者の社員番号は、顧客端末装置300から自動的に取得するのではなく、利用者が手動で入力するようにしてもよい。例えば、決済サーバ100は、利用者端末装置10からクーポン取得URLにアクセスがあったとき、利用者に対して社員番号を利用者端末装置10から入力させ、入力された社員番号を利用者情報172に書き込んでもよい。これによって、HTTPリクエストから社員番号を取得できない場合であっても、利用者からの入力に応じて社員番号を取得することができる。
【0065】
また、決済サーバ100は、あらかじめ顧客企業サーバ200から、社員番号とそれぞれに許容された利用回数(または割引の総額)を取得してもよい。これによって、決済サーバ100は、非公開クーポンの利用判定を行うことができる。例えば、決済サーバ100は、許容された利用回数を超える場合、非公開クーポンの使用を認めないと判定することができる。
【0066】
また、本実施形態では、非公開クーポンは顧客企業が社員に配布するクーポンであることとしたが、これに限らない。例えば、非公開クーポンは、株主優待などの目的で、顧客企業が会員等に提供するクーポンであってもよい。すなわち、非公開クーポンは、一般公開されておらず、特定の利用者にのみ公開されたクーポンであれば如何なるクーポンであってもよい。
【0067】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0068】
10 利用者端末装置
20 決済アプリ
50 店舗端末装置
60 店舗コード画像
100 決済サーバ(情報処理装置)
124 発行依頼取得部
126 アドレス通知部
128 判定部
130 情報管理部
170 記憶部
172 利用者情報
174 決済コンテンツ情報
176 クーポン情報
178 利用実績情報
200 顧客企業サーバ
300 顧客端末装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12