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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】仮設住宅団地設計システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/13 20200101AFI20230915BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20230915BHJP
   E04H 6/10 20060101ALI20230915BHJP
   E04H 1/02 20060101ALI20230915BHJP
【FI】
G06F30/13
G06F30/20
E04H6/10 A
E04H1/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022033991
(22)【出願日】2022-03-05
(65)【公開番号】P2023129739
(43)【公開日】2023-09-15
【審査請求日】2022-10-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 日本建築学会研究報告九州支部 第60号 日本建築学会九州支部 建築デザイン発表梗概集 第2号 にて、青戸優二、大西康伸により公開された。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 一般社団法人日本建築学会九州支部 2020年度 第60回 日本建築学会九州支部研究発表会にて青戸優二により公開された。
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591241718
【氏名又は名称】大和リース株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504159235
【氏名又は名称】国立大学法人 熊本大学
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】岸 啓明
(72)【発明者】
【氏名】山下 裕充
(72)【発明者】
【氏名】大西 康伸
【審査官】堀井 啓明
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3225737(JP,U)
【文献】米国特許第05761857(US,A)
【文献】米国特許第07347642(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0047272(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00-30/28
E04H 6/10
E04H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想モデルを用いて仮設住宅団地の設計を行う仮設住宅団地設計システムであって、
前記仮設住宅団地の施設には、少なくとも住戸及び駐車場が含まれ、
前記仮設住宅団地設計システムは、
前記住戸の数と前記駐車場の数の比率を示す駐住比率を含む初期条件を格納する初期条件格納部と、
前記初期条件を満たすように、前記施設を配置可能な配置可能エリアを前記住戸が配置される住戸エリアと前記駐車場が配置される駐車場エリアとに区分けするエリア区分部と、
を具備し、
前記エリア区分部は、
前記配置可能エリアに、前記住戸エリアを指定するための住戸エリア指定用アイコン、及び前記駐車場エリアを指定するための駐車場エリア指定用アイコンを含むエリア指定用アイコンを配置可能であり、
配置された前記住戸エリア指定用アイコン及び前記駐車場エリア指定用アイコンに基づいて、前記配置可能エリアを前記住戸エリアと前記駐車場エリアとに区分けする区分処理を実行可能である、
仮設住宅団地設計システム。
【請求項2】
前記エリア区分部は、
前記住戸エリア指定用アイコンと前記駐車場エリア指定用アイコンとを結ぶ直線に垂直であって、かつ、前記駐住比率を満たす直線を、前記住戸エリアと前記駐車場エリアとの境界線とする、
請求項1に記載の仮設住宅団地設計システム。
【請求項3】
前記エリア区分部によって区分けされた配置可能エリア内の前記住戸及び前記駐車場の配置を最適化する配置最適化を実行可能な施設配置部を具備する、
請求項1又は請求項2に記載の仮設住宅団地設計システム。
【請求項4】
前記施設配置部は、
前記エリア区分部によって区分けされた配置可能エリア内の前記住戸及び前記駐車場の数を最大化するように、前記住戸及び前記駐車場を配置する、
請求項3に記載の仮設住宅団地設計システム。
【請求項5】
前記配置可能エリアに前記住戸エリア指定用アイコン又は前記駐車場エリア指定用アイコンのいずれか一つが配置されている場合には、前記施設配置部によって前記配置最適化が実行され、
前記配置可能エリアに前記住戸エリア指定用アイコン及び前記駐車場エリア指定用アイコンの両方が配置されている場合には、前記エリア区分部によって前記区分処理が実行される、
請求項3又は請求項4に記載の仮設住宅団地設計システム。
【請求項6】
操作者の操作を受け付ける操作受付部を具備し、
前記住戸エリア指定用アイコン及び前記駐車場エリア指定用アイコンは、前記操作受付部が受け付けた操作者の操作によって移動可能であり、
前記エリア区分部は、
前記住戸エリア指定用アイコン及び前記駐車場エリア指定用アイコンの移動に応じて、前記駐住比率を満たすように、前記住戸エリアと前記駐車場エリアとの境界線を再設定する、
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の仮設住宅団地設計システム。
【請求項7】
前記エリア区分部によって区分けされた配置可能エリア内の前記住戸及び前記駐車場の配置を最適化する配置最適化を実行可能な施設配置部を具備し、
前記施設配置部は、
前記境界線の再設定に応じて、前記配置可能エリア内の前記住戸及び前記駐車場を再配置する、
請求項6に記載の仮設住宅団地設計システム。
【請求項8】
前記施設配置部は、
幹線道路を配置することによって、前記住戸エリアと前記駐車場エリアとを区分けする、
請求項3から請求項5までのいずれか一項、又は、請求項7に記載の仮設住宅団地設計システム。
【請求項9】
前記施設配置部は、
前記住戸及び前記駐車場以外のその他施設を配置可能であり、
前記その他施設に干渉する前記住戸及び前記駐車場がある場合、干渉する前記住戸及び前記駐車場を削除する、
請求項3から請求項5までのいずれか一項、請求項7、又は、請求項8に記載の仮設住宅団地設計システム。
【請求項10】
前記施設配置部は、
前記駐住比率に対して過剰又は不足する施設を、操作者が認識可能な状態で提示する、
請求項3から請求項5、又は、請求項7から請求項9までのいずれか一項に記載の仮設住宅団地設計システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想モデルを用いて仮設住宅団地の設計を行う仮設住宅団地設計システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
日本は「災害大国」と呼ばれる程、自然災害が多い国として知られている。その中には地震や台風等、広範囲に被害が及ぶ事例も少なくない。大規模災害の発生時には在住住居が全半壊した者に対して、特許文献1に記載されるような応急仮設住宅の供給が要求される。
【0003】
災害発生後の応急仮設住宅を含む仮設住宅団地の計画において、現地調査、配置計画、住戸の設計、部材の調達、現場施工、の工程に沿って、迅速な仮設住宅の供給を行うことが要求される。これら工程のうち、配置計画においては、プログラムを用いて住戸や駐車場などの配置図が作成される場合がある。
【0004】
しかしながら、従来の技術においては、配置エリアのレイアウトが思い通りにならないことや、思い通りにできても操作が煩わしい等によって、仮設住宅団地の施設の配置計画に多くの時間を要するという課題があった。このため、仮設住宅団地の施設の配置計画に要する時間の短縮が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3177005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、仮設住宅団地の施設の配置計画に要する時間の短縮を図ることができる仮設住宅団地設計システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、仮想モデルを用いて仮設住宅団地の設計を行う仮設住宅団地設計システムであって、前記仮設住宅団地の施設には、少なくとも住戸及び駐車場が含まれ、前記仮設住宅団地設計システムは、前記住戸の数と前記駐車場の数の比率を示す駐住比率を含む初期条件を格納する初期条件格納部と、前記初期条件を満たすように、前記施設を配置可能な配置可能エリアを前記住戸が配置される住戸エリアと前記駐車場が配置される駐車場エリアとに区分けするエリア区分部と、を具備し、前記エリア区分部は、前記配置可能エリアに、前記住戸エリアを指定するための住戸エリア指定用アイコン、及び前記駐車場エリアを指定するための駐車場エリア指定用アイコンを含むエリア指定用アイコンを配置可能であり、配置された前記住戸エリア指定用アイコン及び前記駐車場エリア指定用アイコンに基づいて、前記配置可能エリアを前記住戸エリアと前記駐車場エリアとに区分けする区分処理を実行可能であるものである。
【0009】
請求項2においては、前記エリア区分部は、前記住戸エリア指定用アイコンと前記駐車場エリア指定用アイコンとを結ぶ直線に垂直であって、かつ、前記駐住比率を満たす直線を、前記住戸エリアと前記駐車場エリアとの境界線とするものである。
【0010】
請求項3においては、前記エリア区分部によって区分けされた配置可能エリア内の前記住戸及び前記駐車場の配置を最適化する配置最適化を実行可能な施設配置部を具備するものである。
【0011】
請求項4においては、前記施設配置部は、前記エリア区分部によって区分けされた配置可能エリア内の前記住戸及び前記駐車場の数を最大化するように、前記住戸及び前記駐車場を配置するものである。
【0012】
請求項5においては、前記配置可能エリアに前記住戸エリア指定用アイコン又は前記駐車場エリア指定用アイコンのいずれか一つが配置されている場合には、前記施設配置部によって前記配置最適化が実行され、前記配置可能エリアに前記住戸エリア指定用アイコン及び前記駐車場エリア指定用アイコンの両方が配置されている場合には、前記エリア区分部によって前記区分処理が実行されるものである。
【0013】
請求項6においては、操作者の操作を受け付ける操作受付部を具備し、前記住戸エリア指定用アイコン及び前記駐車場エリア指定用アイコンは、前記操作受付部が受け付けた操作者の操作によって移動可能であり、前記エリア区分部は、前記住戸エリア指定用アイコン及び前記駐車場エリア指定用アイコンの移動に応じて、前記駐住比率を満たすように、前記住戸エリアと前記駐車場エリアとの境界線を再設定するものである。
【0014】
請求項7においては、前記エリア区分部によって区分けされた配置可能エリア内の前記住戸及び前記駐車場の配置を最適化する配置最適化を実行可能な施設配置部を具備し、前記施設配置部は、前記境界線の再設定に応じて、前記配置可能エリア内の前記住戸及び前記駐車場を再配置するものである。
【0015】
請求項8においては、前記施設配置部は、幹線道路を配置することによって、前記住戸エリアと前記駐車場エリアとを区分けするものである。
【0016】
請求項9においては、前記施設配置部は、前記住戸及び前記駐車場以外のその他施設を配置可能であり、前記その他施設に干渉する前記住戸及び前記駐車場がある場合、干渉する前記住戸及び前記駐車場を削除するものである。
【0017】
請求項10においては、前記施設配置部は、前記駐住比率に対して過剰又は不足する施設を、操作者が認識可能な状態で提示するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0019】
請求項1においては、仮設住宅団地の施設の配置計画に要する時間の短縮を図ることができる。
【0020】
請求項2においては、配置可能エリアを住戸が配置されるエリアと駐車場が配置されるエリアとに容易に区分けすることができる。
【0021】
請求項3においては、区分けされた配置可能エリア内の住戸及び駐車場の配置を自動で決定することができるので、仮設住宅団地の施設の配置計画に要する時間の短縮をさらに図ることができる。
【0022】
請求項4においては、住戸及び駐車場をより多く配置することができる。
【0023】
請求項5においては、区分処理及び配置最適化を適宜実行することにより、住戸及び駐車場のより詳細な配置を容易に決定することができる。
【0024】
請求項6においては、操作者の意図を境界線の位置に容易に反映させることができる。
【0025】
請求項7においては、操作者の意図を住戸及び駐車場の配置に容易に反映させることができる。
【0026】
請求項8においては、住戸が配置されるエリアと駐車場が配置されるエリアとを容易に区分けすることができる。
【0027】
請求項9においては、干渉する住戸及び駐車場を手動で削除する作業を低減することができる。
【0028】
請求項10においては、駐住比率に対して施設が過剰又は不足したままになるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態に係る仮設住宅団地設計システムの構成を示したブロック図。
図2】ユーザ端末の構成を示したブロック図。
図3】敷地の大まかなゾーニングを伴う配置計画のイメージ図。
図4】幹線道路の位置を考慮した詳細なゾーニングを伴う配置計画のイメージ図。
図5】配置エリアの確定のイメージ図。
図6】仮設住宅の配置計画用プログラムの処理の流れを示したフローチャート。
図7図6の続きを示したフローチャート。
図8】配置最適化における配置角度の決定方法を示したイメージ図。
図9】遺伝的アルゴリズム(GA)による配置最適化の方法を示したイメージ図。
図10】境界線の設定方法を示したイメージ図。
図11】その他施設の配置角度の決定方法を示したイメージ図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、図1を用いて、本発明の一実施形態に係る仮設住宅団地設計システム1について説明する。
【0031】
仮設住宅団地設計システム1は、仮想モデルを用いて、仮設住宅を含む仮設住宅団地の設計を行うものである。より詳細には、仮設住宅団地設計システム1は、仮設住宅団地の施設の配置計画(以下、「仮設住宅の配置計画」ということもある)を行う。本実施形態においては、仮設住宅団地設計システム1は、BIMモデルを用いて仮設住宅の配置計画を行う。仮設住宅とは、地震や台風などの自然災害によって住宅が全壊や全焼などの被害を受け、生活が困難になった被災者に対して提供される住宅のことである。被災者は、被災直後は避難所での生活になるが、自力で住居が確保できない場合、避難所よりも安全でプライバシーの確保がしやすい仮設住宅に順次移住する。
【0032】
仮設住宅には、応急仮設住宅と自力仮設住宅の2種類があるが、本実施形態においては、仮設住宅団地設計システム1は、主として応急仮設住宅の配置計画を行う。応急仮設住宅には、単身用の6型(6坪相当の1DKタイプ)、小家族用の9型(9坪相当の2DKタイプ)、大家族用の12型(12坪相当の3DKタイプ)がある。仮設住宅の配置計画においては、1DKタイプ住戸、2DKタイプ住戸、及び3DKタイプ住戸の割合を予め定められる。
【0033】
仮設住宅団地設計システム1は、仮設住宅の配置計画において、仮設住宅団地の施設の配置を決定する。前記施設には、住戸、駐車場、幹線道路及びその他施設が含まれる。その他施設には、集会場、受水槽、浄化槽及びごみ置き場などが含まれる。仮設住宅の配置計画においては、住戸の数(住戸数)と駐車場の数(駐車場台数)の比率(以下、「駐住比率」という)が予め定められる。原則として、駐住比率は、住戸数:駐車場台数=1:1に設定されるが、任意の比率に設定することもできる。
【0034】
仮設住宅団地設計システム1は、主としてユーザ端末10及び共有サーバ20を具備する。
【0035】
ユーザ端末10は、ユーザ(設計者)が仮設住宅の配置計画を設計する際に用いる端末である。ユーザ端末10としては、パーソナルコンピュータ等を用いることができる。ユーザ端末10は、仮設住宅の配置計画における各施設のBIMモデルを、敷地を示すBIMモデル内に配置することによって、仮設住宅の配置図を設計することができる。ユーザ端末10は、複数設けられる。図1においては、3台のユーザ端末10が示されている。ユーザ端末10の詳細については後述する。
【0036】
共有サーバ20は、各ユーザ端末10とネットワークNを介して接続されるものである。ネットワークNには、インターネット等の公衆ネットワーク、携帯電話網等の無線ネットワーク、LAN(Local Area Network)等が含まれる。共有サーバ20には、BIMモデル及び各種情報が格納される。
【0037】
共有サーバ20へのアクセスにはアクセス権限を要し、アクセス権限が付与されているユーザ端末10のみが共有サーバ20にアクセスでき、共有サーバ20に格納されている各種データを共有することができる。例えば、各設計段階の都度、BIMモデルが共有サーバ20に格納され、アクセス権限が付与されているユーザ端末10は共有サーバ20にアクセスして、共有サーバ20に格納されているBIMモデルを自身のユーザ端末10に取り込んだり、自身のユーザ端末10にて作成されたBIMモデルを共有サーバ20にアップしたりすることができる。
【0038】
以下、図2を用いて、ユーザ端末10の構成について説明する。ユーザ端末10は、通信部11、操作入力部12、演算部13及び表示部14を具備する。
【0039】
通信部11は、共有サーバ20との通信を行う部分である。通信部11は、ユーザ端末10にて作成されたBIMモデルを共有サーバ20に送信したり、共有サーバ20にて格納されているBIMモデルを受信したりすることができる。
【0040】
操作入力部12は、ユーザの操作によって各種情報を入力する部分である。操作入力部12としては、キーボードやマウス等が用いられる。ユーザは、操作入力部12を介して、BIMモデルを用いた仮設住宅の配置図を設計することができる。具体的には、ユーザは、操作入力部12を介して、各施設のBIMモデルの配置及び移動や、データの入力等を行うことができる。
【0041】
演算部13は、各種演算を行う部分である。演算部13は、BIMモデル設計用のアプリケーションソフトウェアを起動することで、ユーザ端末10を、BIMモデルを作成可能な状態とすることができる。
【0042】
演算部13は、各種データを格納する格納部を有する。前記格納部には、通信部11を介して共有サーバ20から読み出されたBIMモデルや各種情報が格納される。前記格納部には、ユーザ端末10で作成されたBIMモデルが格納される。前記格納部には、仮設住宅の配置計画用プログラムが格納される。演算部13は、仮設住宅の配置計画用プログラムを読み出して後述する各種処理を実行する。
【0043】
表示部14は、画像を表示するものである。表示部14は、BIMモデルを表示することができる。表示部14としては、液晶ディスプレイ等の表示デバイスが用いられる。
【0044】
以下では、図3から図5を用いて、仮設住宅の配置計画の手順について説明する。なお、以下で使用される図面においては、住戸数及び駐車場台数は必ずしも正確に図示されているわけではない。
【0045】
詳細は後述するが、仮設住宅の配置計画においては、駐住比率を満たすエリア境界線の位置の最適化(以下、「境界線最適化」という)と、施設を配置可能なエリア(以下、「配置可能エリア」という)内における住戸及び駐車場の位置の最適化(以下、「配置最適化」という)の2種類の最適化を行う。具体的には、図3から図5に示す手順1から3が行われる。なお、「境界線最適化」は、本発明の「区分処理」に相当する。
【0046】
図3に示す手順1では、敷地の大まかなゾーニングを伴う配置計画が行われる。まず、ユーザは、敷地内に、エリア指定用BIMパーツaを2つ配置する。ここで、「エリア指定用BIMパーツ」とは、施設を配置するエリアを指定するためのBIMパーツ(アイコン)である。エリア指定用BIMパーツaには、住戸が配置されるエリア(以下、「住戸エリア」という)を指定するための住戸エリア指定用BIMパーツa1、及び駐車場が配置されるエリア(以下、「駐車場エリア」という)を指定するための駐車場エリア指定用BIMパーツa2が含まれる。
【0047】
エリア指定用BIMパーツaは、ユーザが操作入力部12を操作することによって、敷地内に配置される。ユーザは、住戸を配置したいおおよその位置に住戸エリア指定用BIMパーツa1を配置し、駐車場を配置したいおおよその位置に駐車場エリア指定用BIMパーツa2を配置する。或いは、エリア指定用BIMパーツaは、自動的に配置されてもよい。この場合、ユーザは、自動的に配置された住戸エリア指定用BIMパーツa1を、住戸を配置したいおおよその位置に移動させ、自動的に配置された駐車場エリア指定用BIMパーツa2を、駐車場を配置したいおおよその位置に移動させることができる。
【0048】
住戸エリア指定用BIMパーツa1及び駐車場エリア指定用BIMパーツa2が配置された状態でプログラムが実行されると、「境界線最適化」が行われることによって、住戸エリア及び駐車場エリアの大まかなゾーニング(エリア指定)がなされた配置案が提示される。配置案においては、エリア境界線e(より詳細には後述する幹線道路d)によって住戸エリアと駐車場エリアとが区分けされ、住戸エリアに住戸のBIMモデル(以下、「住戸b」という)が配置され、駐車場エリアに駐車場のBIMモデル(以下、「駐車場c」という)が配置される。なお、図3及び図4等において示されるエリア境界線eは、配置図上に実際に表示されるわけではなく、プログラム上で設定されるものである。
【0049】
そして、所定の位置に、幹線道路のBIMモデル(以下、「幹線道路d」という)が配置される。より詳細には、住戸エリアと駐車場エリアとの間に(エリア境界線e上に)幹線道路d1が配置される。住戸エリアと駐車場エリアとの面積比は、駐住比率を満たす面積比に設定される。また、住戸エリア内においては、住戸エリアの幅(住棟の長手方向の幅)が50mを超えないように、幹線道路d2が配置される。また、住戸エリア内においては、住戸bは、1DKタイプ住戸、2DKタイプ住戸、及び3DKタイプ住戸が予め指定された割合で配置される。
【0050】
このようにして、手順1が行われることによって、配置図には配置計画に必要な情報がまとめて反映される。
【0051】
図4に示す手順2では、幹線道路の位置を考慮した詳細なゾーニングを伴う配置計画が行われる。具体的には、まずユーザは、手順1で配置した幹線道路d(d1,d2)をロック幹線道路に設定する。ここで、配置計画に用いる幹線道路には、プログラム実行の度に自動配置される幹線道路と、ユーザが手動で配置するロック幹線道路の2種類がある。ロック幹線道路は、プログラムにより自動で変更されることがなく(ロックされ)、エリア配置可能領域の形状を指定することができる幹線道路である。なお、幹線道路dは、プログラム実行によって自動配置されたか、ユーザによって手動で配置されたかにかかわらず、全ての幹線道路dが、配置された時点でロックされるものとしてもよい。また、ユーザは、不要な幹線道路dを削除することができる。また、ユーザは、幹線道路dを、配置可能エリアを区分けする境界線のBIMモデル(以下、「境界線h」という)に置き換えることもできる。
【0052】
ユーザは、手順1で作成された配置図において、所望の位置に幹線道路d(例えば幹線道路d3)を追加することができる。次にユーザは、幹線道路d1,d2,d3等によって区分けされた各配置可能エリア内に、住戸エリア指定用BIMパーツa1、及び/又は、駐車場エリア指定用BIMパーツa2を配置する。或いは、区分けされた各配置可能エリア内に、住戸エリア指定用BIMパーツa1、及び/又は、駐車場エリア指定用BIMパーツa2が自動的に配置されてもよく、この場合、ユーザは、各配置可能エリア内に、住戸エリア指定用BIMパーツa1、及び/又は、駐車場エリア指定用BIMパーツa2を適宜、移動、削除、追加等することができる。また、ユーザは、配置可能エリア(図4では、右側の住戸エリア)に、境界線hを配置することもできる。
【0053】
住戸エリア指定用BIMパーツa1、及び/又は、駐車場エリア指定用BIMパーツa2が配置された状態でプログラムが実行されると、各配置可能エリアにおいて、「境界線最適化」又は「配置最適化」が行われる。より詳細には、配置可能エリアに、住戸エリア指定用BIMパーツa1及び駐車場エリア指定用BIMパーツa2の両方が配置されている場合には、「境界線最適化」が行われる。これに対して、配置可能エリアに、住戸エリア指定用BIMパーツa1又は駐車場エリア指定用BIMパーツa2のいずれか一つが配置されている場合には、「配置最適化」が行われる。また、配置可能エリアに、住戸エリア指定用BIMパーツa1又は駐車場エリア指定用BIMパーツa2のいずれも配置されていない場合、当該配置可能エリアは空地となる。なお、「境界線最適化」は、1つの配置可能エリアのみに有効であり、実行毎に1つのエリア境界線eの位置を最適化する。
【0054】
住戸エリア指定用BIMパーツa1又は駐車場エリア指定用BIMパーツa2のいずれか一つが配置されている配置可能エリアにおいて「配置最適化」が行われると、配置可能エリアにおいて、より多くの住戸b又は駐車場cが配置されるように、住戸b又は駐車場cの位置が最適化される。一方、住戸エリア指定用BIMパーツa1及び駐車場エリア指定用BIMパーツa2の両方が配置されている配置可能エリアにおいて「境界線最適化」が行われると、エリア境界線e上に配置される幹線道路dによって、配置可能エリアがさらに住戸エリアと駐車場エリアとに区分けされる。
【0055】
このようにして、手順2が行われることによって、各配置可能エリアのエリア指定用BIMパーツaの種類の数に応じて最適化された配置案(配置図)が提示される。
【0056】
図5に示す手順3では、配置案が確定される。具体的には、ユーザは、手順2で作成された配置図において、全ての幹線道路をロック幹線道路に変更し、全ての配置可能エリアにエリア指定用BIMパーツaを1つずつ配置する。この状態でプログラムが実行されることによって、全ての配置可能エリア内において住戸b及び駐車場cの配置位置が最適化された状態になる。
【0057】
以上の3つの手順を必要に応じて組み合わせることで、配置図を完成させることができる。より詳細には、まず2つのエリア指定用BIMパーツaを配置し、敷地が2分割される。分割された配置可能エリアに再度エリア指定用BIMパーツaを配置し、配置可能エリアを段階的に分割していく。そして、分割された配置可能エリア内の住戸b及び駐車場cの配置を最適化することによって、配置図を完成させることができる。また、各手順1から3においては、ユーザの操作を初期条件としてプログラムを実行することによって、ユーザと仮設住宅団地設計システム1とで対話的に配置図の作成を進めることができる。
【0058】
以下では、図6及び図7を用いて、仮設住宅の配置計画用プログラムの処理のフローについて説明する。図6及び図7に示されるフローは、プログラムによって作成された全自動案の配置図が読み込まれた状態で開始される。また、図6及び図7に示されるフローは、ユーザによって停止されるまで繰り返し実行される。
【0059】
全自動案の配置図には、敷地形状を示すBIMモデルや、敷地に面する道路等のBIMモデルが含まれる。出入口の位置は、敷地に面する道路の幅員などに基づいて決定される。
【0060】
まず、ステップS5において、演算部13は、配置可能エリアに配置されている施設を削除する。これにより、後述する処理によって新たに配置される施設が、以前に配置された施設と重複するのを抑制できる。演算部13は、当該ステップS5の処理を行った後、ステップS6に移行する。
【0061】
ステップS6において、演算部13は、パラメータ情報を取得する。ここで、「パラメータ情報」とは、仮設住宅の配置についての種々の情報である。演算部13は、共有サーバ20に記憶されたデータを読み込むことによって、パラメータ情報を取得する。
【0062】
パラメータ情報には、配置計画に関する初期条件が含まれる。初期条件には、駐住比率などの予め定められた配置計画ルールが含まれる。配置計画ルールにおいては、住戸、幹線道路、駐車場、ごみ置き場、集会場及びその他の各カテゴリごとに、様々なルールが定められている。例えば、住戸タイプの戸数の割合の目標値(例えば6型:9型:12型=1:2:1)が定められている。なお、住戸タイプの戸数の割合は、配置計画に応じて、ユーザが任意の比率に変更することもできる。また、幹線道路から各住戸の玄関までの距離は50m以内とすることが定められている。また、駐車場は住戸数と同数確保することが定められている。その他、様々なルールが定められている。
【0063】
ユーザは、配置可能エリアに、エリア指定用BIMパーツaを配置することができるようになる。配置可能エリアは、幹線道路d及び敷地境界線(敷地の外形を表す線)等によって囲まれた領域となる。ユーザは、住戸の配置を希望するおおよその位置に住戸エリア指定用BIMパーツa1を1つ配置し、駐車場の配置を希望するおおよその位置に駐車場エリア指定用BIMパーツa2を1つ配置することができる。或いは、エリア指定用BIMパーツaは、全自動案の配置図において自動的に配置されていてもよい。この場合、ユーザは、自動的に配置された住戸エリア指定用BIMパーツa1を、住戸を配置したいおおよその位置に移動させ、自動的に配置された駐車場エリア指定用BIMパーツa2を、駐車場を配置したいおおよその位置に移動させることができる。
【0064】
このようにして、配置図においては、配置可能エリアに住戸エリア指定用BIMパーツa1及び駐車場エリア指定用BIMパーツa2が配置された状態になる。演算部13は、当該ステップS6の処理を行った後、ステップS7に移行する。
【0065】
ステップS7において、演算部13は、空地作成エリアがあるか否かを判定する。配置図において、エリア指定用BIMパーツaが配置されていない配置可能エリアは空地となる。また、住戸や駐車場を配置できないエリア(緑地帯など)は空地となる。なお、住戸や駐車場を配置できないエリアの位置の情報は、全自動案の配置図における敷地形状を示すBIMモデルに含まれている。或いは、ユーザが、境界線hを配置することによって、住戸や駐車場を配置できないエリア(空地としたいエリア)を設定することもできる。演算部13は、エリア指定用BIMパーツaが配置されていない配置可能エリア、及び住戸や駐車場を配置できない場所があるか否かに基づいて、当該判定を行う。或いは、エリア指定用BIMパーツaには、空地を配置するエリアを指定するための空地エリア指定用BIMパーツが含まれていてもよく、空地エリア指定用BIMパーツが配置された配置可能エリアがある場合に、空地作成エリアがあると判定するようにしてもよい。
【0066】
演算部13は、空地作成エリアがあると判定した場合(ステップS7で「YES」)、ステップS8に移行する。一方、演算部13は、空地作成エリアがないと判定した場合(ステップS7で「NO」)、ステップS9に移行する。
【0067】
ステップS8において、演算部13は、空地エリアを作成する。演算部13は、エリア指定用BIMパーツaが配置されていない配置可能エリアを空地エリアとする。また、住戸や駐車場を配置できないエリアを空地エリアとする。或いは、演算部13は、空地エリア指定用BIMパーツが配置された配置可能エリアを空地エリアとする。演算部13は、当該ステップS8の処理を行った後、ステップS9に移行する。
【0068】
ステップS9において、演算部13は、配置最適化エリアがあるか否かを判定する。ここで、「配置最適化エリア」とは、各配置可能エリアのうち、配置最適化を行うべき領域のことをいう。演算部13は、住戸エリア指定用BIMパーツa1又は駐車場エリア指定用BIMパーツa2のいずれか一つが配置されている(1種類のエリア指定用BIMパーツaが配置されている)配置可能エリアがある場合には、配置最適化エリアがあると判断する。一方、演算部13は、住戸エリア指定用BIMパーツa1又は駐車場エリア指定用BIMパーツa2のいずれか一つが配置されている(1種類のエリア指定用BIMパーツaが配置されている)配置可能エリアがない場合には、配置最適化エリアがないと判断する。
【0069】
演算部13は、配置最適化エリアがあると判定した場合(ステップS9で「YES」)、ステップS10に移行する。一方、演算部13は、配置最適化エリアがないと判定した場合(ステップS9で「NO」)、図7に示すステップS13に移行する。
【0070】
ステップS10において、演算部13は、配置最適化における配置角度を決定する。具体的には、図8に示すように、演算部13は、最適化エリアのロック幹線道路d4と接する辺L1(又はL3)の長さと、エリア境界線e上の幹線道路d5と接する辺L2(又はL4)の長さと、それぞれを比較する。そして、演算部13は、両者のうち長い方の辺に沿って並ぶように、住戸b及び駐車場cを配置する。図8に示す例では、住戸エリアにおいては、L1>L2であるので、住戸bがL1の方向に沿って並ぶように配置される。駐車場エリアにおいては、L4>L3であるので、駐車場cがL4の方向に沿って並ぶように配置される。最適化エリアがロック幹線道路d4と接していない場合には、住戸b及び駐車場cは、エリア境界線e上の幹線道路d5と接する辺が延びる方向に沿って並ぶように配置する。最適化エリアがエリア境界線e上の幹線道路d5と接していない場合には、住戸b及び駐車場cは、ロック幹線道路d4と接する辺が延びる方向に沿って並ぶように配置する。或いは、住戸b及び駐車場cは、エリア境界線e上の幹線道路d5が延びる方向に対して垂直方向に並ぶように配置されてもよい。
【0071】
演算部13は、当該ステップS10の処理を行った後、ステップS11に移行する。
【0072】
ステップS11において、演算部13は、遺伝的アルゴリズム(GA)による配置最適化を行う。具体的には、図9に示すように、演算部13は、住戸エリアの基点(中心)を通る住棟配置基準線に対しての住棟の垂直方向のずれvrを設計変数、住戸配置数を評価関数と設定し、評価値の最大化を図る。また、演算部13は、駐車場エリアの基点を通る駐車場配置基準線に対しての駐車場の垂直方向のずれxp,ypを設計変数、駐車場配置台数を評価関数と設定し、評価値の最大化を図る。
【0073】
演算部13は、当該ステップS11の処理を行った後、ステップS12に移行する。
【0074】
ステップS12において、演算部13は、住戸b及び駐車場cの配置座標を計算する。演算部13は、当該ステップS12の処理を行った後、図7に示すステップS13に移行する。
【0075】
ステップS13において、演算部13は、境界線最適化エリアがあるか否かを判定する。ここで、「境界線最適化エリア」とは、各配置可能エリアのうち、境界線最適化を行うべき領域のことをいう。演算部13は、住戸エリア指定用BIMパーツa1及び駐車場エリア指定用BIMパーツa2の両方が配置されている配置可能エリアがある場合には、境界線最適化エリアがあると判断する。一方、演算部13は、住戸エリア指定用BIMパーツa1及び駐車場エリア指定用BIMパーツa2の両方が配置されている配置可能エリアがない場合には、境界線最適化エリアがないと判断する。
【0076】
演算部13は、境界線最適化エリアがあると判定した場合(ステップS13で「YES」)、ステップS14に移行する。一方、演算部13は、境界線最適化エリアがないと判定した場合(ステップS13で「NO」)、ステップS18に移行する。
【0077】
ステップS14において、演算部13は、境界線最適化におけるエリア境界線eの配置角度を決定する。具体的には、図10に示すように、演算部13は、住戸エリア指定用BIMパーツa1と駐車場エリア指定用BIMパーツa2とを結ぶ線(探索軸X)に対して垂直な方向を、エリア境界線eの配置角度(エリア境界線eが延びる方向)とする。演算部13は、当該ステップS14の処理を行った後、ステップS15に移行する。
【0078】
ステップS15において、演算部13は、遺伝的アルゴリズム(GA)による境界線最適化を行う。以下、図10を用いて、境界線最適化の方法について説明する。
【0079】
まず、住戸エリア指定用BIMパーツa1と駐車場エリア指定用BIMパーツa2とを結ぶ探索軸X、及び境界線最適化エリアの形状に基づいて、探索可動域を決定する。そして、駐住比率を満たし、かつ、探索軸Xに対して垂直な直線を、エリア境界線eとする。
【0080】
より詳細には、境界線最適化エリアの各頂点を探索軸Xに投影した点の中で、探索軸X方向に対して最大の点をPmax、最小の点をPmin、設計変数をk(0≦k≦1)とする。エリア境界線eの位置となる探索軸X上の点Pは、以下の式1に基づき決定される。
P=kPmax+(1-k)Pmin・・・式1
【0081】
演算部13は、当該ステップS15の処理を行った後、ステップS16に移行する。
【0082】
ステップS16において、演算部13は、住戸b及び駐車場cの配置座標を計算する。なお、ユーザは、操作入力部12を操作することによって、敷地外に表示された集会場などのその他施設のBIMモデル(以下、「その他施設f」という)を、配置可能エリア内の所望の位置に配置することができる。演算部13は、その他施設fに干渉する住戸b及び駐車場cがある場合、干渉する住戸b及び駐車場c(の配置座標)を削除する。これにより、住戸b及び駐車場cの配置位置の候補から、その他施設fに干渉する配置位置が除外される。演算部13は、当該ステップS16の処理を行った後、ステップS17に移行する。
【0083】
ステップS17において、演算部13は、その他施設fの配置角度を決定する。図11に示すように、演算部13は、配置可能エリア内に住戸b及び/又は駐車場cが配置されていない場合、その他施設fが配置された配置可能エリアの境界線を示す線分のうち、最も近接している線分gに対して、その他施設fの長手方向が垂直となるように角度調整する。また、演算部13は、配置可能エリア内に住戸b又は駐車場cが配置されている場合、その他施設fが並ぶ方向が住戸b又は駐車場cが並ぶ方向と平行となるように、角度調整する。なお、配置可能エリア内に住戸b及び/又は駐車場cが配置されているか否かにかかわらず、同一の角度調整の方法を採用してもよい。また、その他施設fの長辺又は短辺のいずれの辺を角度調整の基準とするかは、ユーザが設定することができる。演算部13は、当該ステップS17の処理を行った後、ステップS18に移行する。
【0084】
ステップS18において、演算部13は、幹線道路を配置する。演算部13は、ステップS15で設定したエリア境界線e上に幹線道路dを配置する。演算部13は、当該ステップS18の処理を行った後、ステップS19に移行する。
【0085】
ステップS19において、演算部13は、その他施設の必要数を計算するとともに、その他施設を配置する。具体的には、演算部13は、ステップS6で取得した配置ルール(例えば住戸数)に基づいて、集会場や浄化槽などのその他施設の必要数を計算する。そして、演算部13は、ステップS17において決定された配置角度に従って、住宅エリア及び/又は駐車エリアに、その他施設fを配置する。演算部13は、当該ステップS19の処理を行った後、ステップS20に移行する。
【0086】
ステップS20において、演算部13は、住戸b、アクセス道路及び駐車場cを配置する。ここで、「アクセス道路」とは、幹線道路から各住戸へのアクセスを考慮して配置される道路のことをいう。演算部13は、当該ステップS20の処理を行った後、ステップS21に移行する。
【0087】
ステップS21において、演算部13は、住戸、駐車場及びその他施設の不足分を敷地外に表示する。このようにすることで、住戸、駐車場及びその他施設の不足分が、ユーザが認識可能な状態で提示される。演算部13は、当該ステップS21の処理を行った後、ステップS22に移行する。
【0088】
ステップS22において、演算部13は、駐車場及びその他施設の余剰分をハイライトする。住戸、駐車場及びその他施設の余剰分は、例えば赤色でハイライトされる。住戸、駐車場及びその他施設の余剰分が、ユーザが認識可能な状態で提示される。演算部13は、当該ステップS22の処理を行った後、ステップS23に移行する。
【0089】
ステップS23において、演算部13は、配置図を作成する。演算部13は、当該ステップS22の処理を行った後、仮設住宅の配置計画のフローを終了する。
【0090】
以上のように、本実施形態に係る仮設住宅団地設計システム1においては、敷地のどのあたりに住戸や駐車場を配置するかというゾーニングを積極的に支援する機能を実装している。これにより、駐住比率を満たしつつ、設計者の意図通りの配置エリアのレイアウトを可能とする。これにより、人が手動で行う作業の負担を軽減することができる。
【0091】
より詳細には、エリア指定用BIMパーツaを配置するだけで、配置可能エリアを住戸bが配置されるエリアと駐車場cが配置されるエリアとに区分けすることができるので、配置エリアを作図する作業を削減することができる。すなわち、従来の「面の描画」による配置エリアの作図をなくし、「点の配置」をするだけで、住戸bが配置されるエリアと駐車場cが配置されるエリアとを区分けすることができる。
【0092】
また、配置エリアのゾーニング、住戸、駐車場及びその他施設の配置位置決定の際の手動操作を「点の配置」に統一したことによって、角度調節を必要とせず、エリア指定用BIMパーツaをスタンプのように使用するといった単純な操作のみで配置検討できる。
【0093】
以上の如く、本実施形態に係る仮設住宅団地設計システム1は、
仮想モデルを用いて仮設住宅団地の設計を行う仮設住宅団地設計システム1であって、
前記仮設住宅団地の施設には、少なくとも住戸及び駐車場が含まれ、
前記仮設住宅団地設計システム1は、
前記住戸の数と前記駐車場の数の比率を示す駐住比率を含む初期条件を格納する初期条件格納部(共有サーバ20、演算部13)と、
前記初期条件を満たすように、前記施設を配置可能な配置可能エリアを住戸bが配置される住戸エリアと駐車場cが配置される駐車場エリアとに区分けするエリア区分部(演算部13)と、
を具備し、
前記エリア区分部は、
前記配置可能エリアに、前記住戸エリアを指定するための住戸エリア指定用BIMパーツa1(住戸エリア指定用アイコン)、及び前記駐車場エリアを指定するための駐車場エリア指定用BIMパーツa2(駐車場エリア指定用アイコン)を含むエリア指定用BIMパーツa(エリア指定用アイコン)を配置可能であり、
配置された前記住戸エリア指定用BIMパーツa1及び前記駐車場エリア指定用BIMパーツa2に基づいて、前記配置可能エリアを前記住戸エリアと前記駐車場エリアとに区分けする区分処理を実行可能である(図7のステップS15)ものである。
【0094】
このような構成により、配置計画に要する時間の短縮を図ることができる。
具体的には、エリア指定用BIMパーツaを配置するだけで、配置可能エリアを住戸bが配置されるエリアと駐車場cが配置されるエリアとに区分けすることができるので、配置エリアを作図する作業を削減することができる。
【0095】
また、前記エリア区分部は、
前記住戸エリア指定用BIMパーツa1と前記駐車場エリア指定用BIMパーツa2とを結ぶ直線に垂直であって、かつ、前記駐住比率を満たす直線を、エリア境界線e(前記住戸エリアと前記駐車場エリアとの境界線)とするものである。
【0096】
このような構成により、配置可能エリアを住戸bが配置されるエリアと駐車場cが配置されるエリアとに容易に区分けすることができる。
【0097】
また、本実施形態に係る仮設住宅団地設計システム1は、
前記エリア区分部によって区分けされた配置可能エリア内の前記住戸b及び前記駐車場cの配置を最適化する配置最適化(図7のステップS10、S11)を実行可能な施設配置部(演算部13)を具備する。
【0098】
このような構成により、区分けされた配置可能エリア内の住戸b及び駐車場cの配置を自動で決定することができるので、配置計画に要する時間の短縮をさらに図ることができる。
【0099】
また、前記施設配置部は、
前記エリア区分部によって区分けされた配置可能エリア内の前記住戸b及び前記駐車場cの数を最大化するように、前記住戸b及び前記駐車場cを配置するものである。
【0100】
このような構成により、住戸b及び駐車場cをより多く配置することができる。
【0101】
また、前記配置可能エリアに前記住戸エリア指定用BIMパーツa1又は前記駐車場エリア指定用BIMパーツa2のいずれか一つが配置されている場合には、前記施設配置部によって前記配置最適化が実行され(図7のステップS14、S15)、
前記配置可能エリアに前記住戸エリア指定用BIMパーツa1及び前記駐車場エリア指定用BIMパーツa2の両方が配置されている場合には、前記エリア区分部によって前記区分処理が実行される(図7のステップS10、S11)ものである。
【0102】
このような構成により、区分処理及び配置最適化を適宜実行することにより、住戸b及び駐車場cのより詳細な配置を容易に決定することができる。
【0103】
また、本実施形態に係る仮設住宅団地設計システム1は、
操作者の操作を受け付ける操作受付部(操作入力部12)を具備し、
前記住戸エリア指定用BIMパーツa1及び前記駐車場エリア指定用BIMパーツa2は、前記操作受付部が受け付けた操作者の操作によって移動可能であり、
前記エリア区分部は、
前記住戸エリア指定用BIMパーツa1及び前記駐車場エリア指定用BIMパーツa2の移動に応じて、前記駐住比率を満たすように、前記住戸エリアと前記駐車場エリアとの境界線を再設定するものである。
【0104】
このような構成により、操作者の意図をエリア境界線eの位置に容易に反映させることができる。
【0105】
また、本実施形態に係る仮設住宅団地設計システム1は、
前記エリア区分部によって区分けされた配置可能エリア内の前記住戸b及び前記駐車場cの配置を最適化する配置最適化(図7のステップS10、S11)を実行可能な施設配置部(演算部13)を具備し、
前記施設配置部は、
前記エリア境界線eの再設定に応じて、前記配置可能エリア内の前記住戸b及び前記駐車場cの配置を再配置するものである。
【0106】
このような構成により、操作者の意図を配置可能エリア内の住戸b及び駐車場cの配置に容易に反映させることができる。
【0107】
また、前記施設配置部は、幹線道路を配置することによって、前記住戸エリアと前記駐車場エリアとを区分けするものである。
【0108】
このような構成により、住戸エリアと駐車場エリアとを容易に区分けすることができる。
【0109】
また、前記施設配置部は、
前記住戸b及び前記駐車場c以外のその他施設を配置可能であり、
前記その他施設に干渉する前記住戸b及び前記駐車場cがある場合、干渉する前記住戸b及び前記駐車場cを削除するものである。
【0110】
このような構成により、干渉する住戸b及び駐車場cを手動で削除する作業を低減することができる。
【0111】
また、前記施設配置部は、
前記駐住比率に対して過剰又は不足する施設を、操作者が認識可能な状態で提示するものである。
【0112】
このような構成により、駐住比率に対して施設が過剰又は不足したままになるのを抑制することができる。
【0113】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0114】
例えば、本実施形態においては、仮想モデルとして、BIMモデルを用いて仮設住宅の配置計画を行うものとしたが、3次元CADを用いるものであってもよく、或いは2次元の仮想モデルを用いるものであってもよい。
【0115】
また、本実施形態においては、エリア境界線eは、直線状に配置されるものとしたが、これに限定されず、例えば曲線状に配置されてもよい。
【0116】
また、本実施形態においては、仮設住宅団地設計システム1は、ユーザ端末10及び共有サーバ20によって構成されるものとしたが、ユーザ端末10のみによって構成されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0117】
1 仮設住宅団地設計システム
12 操作入力部
13 演算部
14 表示部
20 共有サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11