(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】アセスメントシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230915BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2022153715
(22)【出願日】2022-09-27
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】恩田 信也
(72)【発明者】
【氏名】杉山 博信
(72)【発明者】
【氏名】小林 稔和
(72)【発明者】
【氏名】藤元 昭一
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 浩子
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-227226(JP,A)
【文献】特開2015-064666(JP,A)
【文献】特開2020-182069(JP,A)
【文献】特開2022-104463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の評価項目を評価するためのアンケートを生成するアンケート生成部と、
前記アンケート生成部が生成した前記アンケートを表示器に表示するアンケート表示制御部と、
前記アンケートの回答を入力するための入力装置と、
前記入力装置により入力された前記アンケートの回答を解析し、前記評価項目の点数を決定するアンケート結果解析部と、
前記アンケート結果解析部の解析結果を前記表示器に表示する解析結果表示制御部と、を備え、
前記解析結果表示制御部は、各評価項目を示すエリアが互いに重なり合うように表示されたベン図と、前記ベン図の中に表示された評価マークとを用いて、前記解析結果を表示するように構成されており、
前記解析結果表示制御部は、前記評価マークの表示位置を、最も点数が低い又は高い前記評価項目の前記エリア内であって、かつ、全ての前記評価項目中の最低点数が高いほど、前記ベン図中の全ての前記エリアが重なり合う重なり中心から離れた位置に設定する、
アセスメントシステム。
【請求項2】
前記解析結果表示制御部は、前記評価マークの表示位置を、最も点数が低い前記評価項目の前記エリア内とするように構成されており、
前記アンケート生成部は、前記評価項目のうち回答者の評価が最も低い低評価項目を回答する設問を含むように前記アンケートを生成するように構成されており、
前記解析結果表示制御部は、全ての前記評価項目の点数が同じであるとき、前記低評価項目のエリア内に前記評価マークを表示する、
請求項1に記載のアセスメントシステム。
【請求項3】
前記解析結果表示制御部は、前記評価マークの表示位置を、最も点数が高い前記評価項目の前記エリア内とするように構成されており、
前記アンケート生成部は、前記評価項目のうち回答者の評価が最も高い高評価項目を回答する設問を含むように前記アンケートを生成するように構成されており、
前記解析結果表示制御部は、全ての前記評価項目の点数が同じであるとき、前記高評価項目のエリア内に前記評価マークを表示する、
請求項1に記載のアセスメントシステム。
【請求項4】
少なくとも前記表示器と前記入力装置とが、携帯可能な端末装置から構成されている、
請求項1に記載のアセスメントシステム。
【請求項5】
1つの前記評価項目に対して複数の設問が設定されていると共に、前記各設問に複数のバリエーションが設定されているアンケートデータベースを備え、
前記アンケート生成部は、前記アンケートデータベースを基に、前記複数のバリエーションから無作為に抽出して前記各設問を決定して、前記アンケートを生成する、
請求項1に記載のアセスメントシステム。
【請求項6】
前記アンケート生成部は、前記設問の順番をランダムに決定する、
請求項5に記載のアセスメントシステム。
【請求項7】
前記アンケート生成部は、前記各評価項目について回答者の主観的な評価ランクを回答する設問を含むように前記アンケートを生成するように構成されており、
前記アンケート結果解析部は、前記各評価項目について、当該評価項目についての前記アンケートの回答と、当該評価項目の評価ランクとを基に、当該評価項目の点数を決定する、
請求項1に記載のアセスメントシステム。
【請求項8】
前記アンケートの回答結果をアンケート回答データとして記憶する記憶部を備え、
前記アンケート表示制御部は、前記アンケート回答データに基づき、回答済みの設問については既に回答が入力されている状態で前記アンケートの表示を行う、
請求項1に記載のアセスメントシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アセスメントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新型ウイルス(コロナウイルス等)感染対策として、店舗や公共施設等の感染対策を評価し、改善していくことが求められており、感染対策を評価・解析するアセスメントシステムが求められている。このようなアセスメントシステムとして、店舗等の管理者や従業員等に対してアンケートを行い、当該アンケートの回答を基に、例えば、密閉、密集、密接等の所定の評価項目の評価を行うシステムが考えられる。
【0003】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のアセスメントシステムでは、アンケートの回答者に対して、より分かりやすく評価結果を提示することはもちろん、何を改善すべきかを分かりやすく提示することが求められる。
【0006】
そこで、本発明は、評価結果や改善点をより分かりやすく提示可能なアセスメントシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施の形態に係るアセスメントシステムは、複数の評価項目を評価するためのアンケートを生成するアンケート生成部と、前記アンケート生成部が生成した前記アンケートを表示器に表示するアンケート表示制御部と、前記アンケートの回答を入力するための入力装置と、前記入力装置により入力された前記アンケートの回答を解析し、前記評価項目の点数を決定するアンケート結果解析部と、前記アンケート結果解析部の解析結果を前記表示器に表示する解析結果表示制御部と、を備え、前記解析結果表示制御部は、各評価項目を示すエリアが互いに重なり合うように表示されたベン図と、前記ベン図の中に表示された評価マークとを用いて、前記解析結果を表示するように構成されており、前記解析結果表示制御部は、前記評価マークの表示位置を、最も点数が低い又は高い前記評価項目の前記エリア内であって、かつ、全ての前記評価項目中の最低点数が高いほど、前記ベン図中の全ての前記エリアが重なり合う重なり中心から離れた位置に設定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、評価結果や改善点をより分かりやすく提示可能なアセスメントシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るアセスメントシステムの概略構成図である。
【
図2】アンケートデータベースの一例を示す図である。
【
図3】(a),(b)は、アンケート表示画面の一例を示す図である。
【
図6】ベン図における評価マークの表示位置の一例を説明する図である。
【
図7】アセスメントシステムの制御フローを示すフロー図である。
【
図9】ベン図における評価マークの表示位置の一変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0011】
(アセスメントシステム1の概略構成)
図1は、本実施の形態に係るアセスメントシステム1の概略構成図である。アセスメントシステム1は、例えば店舗や公共施設等における感染対策を評価するシステムであり、回答者によるアンケートへの回答結果を基に、所定の評価項目についての評価を行うシステムである。
【0012】
図1に示すように、アセスメントシステム1は、制御部2と、記憶部3と、表示器4と、入力装置5と、を備えている。アセスメントシステム1は、スマートフォンやタブレット、あるいはノートパソコン等の携帯可能な端末装置で構成されている。なお、制御部2の各部や記憶部3の機能は、サーバ等に搭載されていてもよく、当該サーバとスマートフォン等の端末装置との間で互いに通信可能に構成されていてもよい。つまり、少なくとも表示器4と入力装置5とが、携帯可能な端末装置から構成されていればよい。これにより、時間が空いた時等に回答者が気軽にアンケートへの回答を行うことが可能になり、アセスメントシステム1の利用を継続しやすくなる。なお、アセスメントシステム1は、携帯可能な端末装置でなくともよく、例えば、据え置き型のパーソナルコンピュータで構成されていてもよい。
【0013】
制御部2は、CPU等の演算素子、メモリ、インターフェイス、ソフトウェア、記憶装置等を適宜組み合わせて実現されている。本実施の形態では、制御部2は、アンケート生成部21、アンケート表示制御部22、アンケート結果解析部23、及び解析結果表示制御部24を有している。各部の詳細については後述する。
【0014】
記憶部3は、メモリや記憶装置の所定の記憶領域により実現されている。表示器4は、アンケートや評価結果を表示するためのものであり、例えば液晶ディスプレイ等のディスプレイ装置で構成されている。入力装置5は、アンケートの回答を入力するための装置である。アセスメントシステム1がスマートフォンやタブレットである場合、表示器4をタッチパネルディスプレイで構成し、表示器4が入力装置5を兼ねる構成としてもよい。またアセスメントシステム1がノートパソコンである場合、入力装置5は、例えばキーボードやマウス、トラックパッド等であってもよい。
【0015】
(評価項目について)
本実施の形態では、感染対策について評価を行う。そのため、ここでは、「密閉」、「密集」、「密接」の3つの評価項目(いわゆる三密)について評価を行うこととした。なお、評価対象は感染対策に限らず、評価項目についても適宜設定可能である。ただし、詳細は後述するが、本実施の形態では、ベン図により評価結果を表示するために、評価項目は複数とする必要があり、2つまたは3つとすることがより望ましい。
【0016】
(制御部2)
(アンケート生成部21)
アンケート生成部21は、所定の評価項目を評価するためのアンケートを生成するアンケート生成処理を行う。アンケート生成処理では、予め記憶部3に記憶されたアンケートデータベース31を基に、アンケートを生成する。本実施の形態では、アンケートデータベース31は、1つの評価項目に対して複数の設問が設定されていると共に、各設問に複数のバリエーションが設定されている。そして、アンケート生成部21は、アンケートデータベース31を基に、複数のバリエーションから無作為に抽出して各設問を決定して、アンケートを生成するように構成されている。
【0017】
図2は、アンケートデータベース31の一例を示す図である。
図2では、一例として、ホテル等の宿泊施設を対象としたアンケートデータベース31を示している。
図2に示すように、アンケートデータベース31は、評価対象となる場所ごとに、3つの評価項目(「密閉」、「密集」、及び「密接」)について、設問が設定されている。図示例では、大設問(見出し)とそれに対応した小設問(チェック項目)が設定されている。また、図示例では、大設問に3つのバリエーションが設定されており、小設問にそれぞれ2つずつのバリエーションが設定されている。なお、バリエーションの数は図示の例に限らず、適宜設定可能である。アンケート生成部21は、乱数表を用いる(乱数の生成機能を用いる)などして無作為に、各大設問及び各小設問について何れのバリエーションを用いるかを選択することを繰り返して、アンケートを生成する。これにより、回答者が、アンケートを行う度に全く同じ設問を繰り返し回答しなければならないといった状態を回避することができ、いわゆるマンネリ化を抑制することが可能になる。
【0018】
アンケート生成部21は、設問の順番をランダムに決定してもよい。例えば、上記の大設問は常に同じ順番とし、小設問の順番をランダムにするなどしてもよい。なお、当然ながら、大設問の順番もランダムにしてもよい。これにより、上記のようなマンネリ化をより抑制可能になる。
【0019】
詳細は後述するが、本実施の形態では、各評価項目を5段階(5点満点)で評価する。そのため、アンケート生成部21は、各評価項目について少なくとも5つ以上の設問(小設問)を設定するよう構成されるとよい。本実施の形態では、ホテル等の宿泊施設を評価対象としており、評価対象となる場所を複数含むために、それぞれの場所について、各評価項目(ここでは、「密閉」、「密集」、及び「密接」)の設問を5つ設定するようにアンケート生成部21を構成した。
【0020】
また、本実施の形態では、アンケート生成部21は、評価項目(ここでは、「密閉」、「密集」、及び「密接」)のうち回答者の評価(主観的な評価)が最も低い低評価項目を回答する設問を含むアンケートを生成するように構成されている。これは、この設問の回答である低評価項目を、後述するベン図を用いた評価結果の表示に用いるためである。この点の詳細については後述する。
【0021】
(アンケート表示制御部22)
アンケート表示制御部22は、アンケート生成部21が生成したアンケートを表示器4に表示するアンケート表示処理を行う。例えば、
図2において大設問と小設問に全て1番のバリエーションが選択された場合のアンケート表示画面6は
図3(a)のようになる。回答者は、このようなアンケート表示画面6を見ながら、入力装置5(図示例ではタッチパネルディスプレイ)によりアンケートの回答を入力することになる。入力されたアンケートの回答は、アンケート回答データ32として記憶部3に記憶される。
【0022】
アンケート表示制御部22は、アンケート回答データ32に基づき、回答済みの設問については既に回答が入力されている状態でアンケートの表示を行うよう構成されてもよい。例えば、
図3(b)に示すように、既に2番目の小設問が回答済みである場合には、当該設問への回答として、アンケート回答データ32に記憶されている回答が既に入力されている状態で、アンケート表示画面6を表示してもよい。なお、回答が変わる場合もあるため、回答を変更可能とする変更ボタン6aを表示するなどして、回答を変更可能とすることが望ましい。これにより、回答済みの設問に対しては入力の手間を省くことが可能になり、回答者の手間を省いてアンケートの入力時間(すなわち、アンケートを入力するための拘束時間)をより短時間とすることができる。
【0023】
なお、アンケート表示制御部22は、回答済みの設問については、そもそも設問を表示しないよう構成することも可能である。ただし、回答者が変わった場合や、前回のアンケートから時間がたった場合には、既に回答された設問であっても回答が変わる場合が考えられるため、例えば、アンケートの際に回答者を入力するようにし、回答者が前回と変わった場合には設問の省略をしないよう構成するなど、何らかの対策を行うことが望まれる。
【0024】
(アンケート結果解析部23)
アンケート結果解析部23は、入力装置5により入力されたアンケートの回答を解析し、各評価項目の点数を決定するアンケート結果解析処理を行う。本実施の形態では、各評価項目の点数を5段階で評価した。例えば、エントランスの「密閉」が4点、「密集」が4点、「密接」が4点といったように、各場所について各評価項目の点数が決定される。
【0025】
本実施の形態では、アンケート結果解析部23は、回答者の主観的な評価を考慮して、各評価項目の点数を決定するようにした。より具体的には、アンケート生成部21により、各評価項目について回答者の主観的な評価ランクを回答する設問を含むようにアンケートを生成しておき、アンケート結果解析部23にて、各評価項目について、当該評価項目についてのアンケートの回答と、当該評価項目の評価ランクとを基に、当該評価項目の点数を決定するように構成した。ここでは、アンケートにて回答者の主観的な評価ランクを5段階で入力するようにし、入力された評価ランクと、5問のアンケートの良回答数(評価項目について良いと判断される回答の数)とを基に、
図4に示すような評価用テーブル33を用いて各評価項目の点数を決定するようにした。例えば、エントランスの「密閉」について、回答者の主観的な評価ランクが3で、アンケートの良回答数が4である場合、
図4の評価用テーブル33より、当該評価項目の点数は4点となる。なお、評価用テーブル33については、予め設定し記憶部3に記憶しておくとよい。アンケート結果解析部23により求めた場所ごとの各評価項目の点数は、解析データ34として記憶部3に記憶される。
【0026】
(解析結果表示制御部24)
解析結果表示制御部24は、アンケート結果解析部23の解析結果を表示器4に表示する解析結果表示処理を行う。本実施の形態では、解析結果表示制御部24は、各場所の個別の評価(解析結果)については、レーダーチャートを用いて表示を行い、全体の評価(解析結果)については、ベン図を用いて表示を行う。
【0027】
図5は、解析結果表示画面7の一例を示す図である。なお、
図5の解析結果表示画面7はあくまで一例であり、そのレイアウトや表示項目等は図示の例に限定されない。
図5に示すように、解析結果表示画面7は、大きく分けて、全体調査結果エリア71、総評エリア72、結果と提案エリア73の3つのエリアに分かれている。全体調査結果エリア71は、各場所の評価を考慮した施設全体での解析結果(評価結果)を示すエリアである。ここでは、全ての場所での各評価項目の点数の平均値を、施設全体での各評価項目の点数として扱った。この全体調査結果エリア71の表示の詳細については後述する。
【0028】
総評エリア72は、施設全体での各評価項目の点数を基にした総評を表示するエリアである。総評の内容の表示方法については、特に限定するものではないが、例えば、施設全体での各評価項目の点数に対する総評のコメント内容をデータベース化して記憶部3に予め記憶しておき、当該データベースを基に、制御部2が、施設全体での各評価項目の点数に対応する総評のコメント内容を抽出し、総評エリア72に表示するよう構成することができる。
【0029】
結果と提案エリア73は、評価対象となる場所(例えば、エントランス、食事会場、客席、バックヤードなど)毎に、各評価項目の点数とコメントを示したエリアである。本実施の形態では、結果と提案エリア73では、レーダーチャートにより、場所毎の各評価項目の点数を表示している。結果と提案エリア73のコメントについては、例えば、上記の総評と同様の方法で表示することができる。
【0030】
(全体調査結果エリア71における表示の詳細)
図6は、全体調査結果エリア71に表示するベン
図8における評価マーク84の表示位置を説明する図である。
図6に示すように、本実施の形態では、施設全体の解析結果は、各評価項目を示すエリア81~83が互いに重なり合うように表示されたベン
図8と、ベン
図8の中に表示された評価マーク84とを用いて表示される。各評価項目を示すエリア81~83は、それぞれ同じ直径の円形状で表されており、重なり中心Oに対して120°回転対称となる位置にそれぞれ配置されている。重なり中心Oは、全てのエリア81~83が重なり合う位置であって、各エリア81~83が回転対称となる対称軸の位置である。ベン
図8では、評価項目を複数とする必要がある。ただし、ベン
図8では、評価項目が多くなり過ぎると全てのエリア同士を重なり合わせて表示することが困難となる。そのため、評価項目の数については、例えば4つ以上とすることも可能ではあるが、2つまたは3つを対象とすることがより望ましい。
図6では、「密閉」、「密集」、及び「密接」の3つの評価項目を対象とした場合を示している。以下、ベン
図8における密閉を示すエリアを密閉エリア81、密集を示すエリアを密集エリア82、密接を示すエリアを密接エリア83とそれぞれ呼称する。
【0031】
本実施の形態では、ベン
図8上に表示される評価マーク84の位置により、改善が望まれる評価項目が分かるようになっている。評価マーク84の位置は、各評価項目の点数によって決定される。なお、施設全体の評価項目の点数は、各場所の同じの評価項目の平均値を用いることができる。
【0032】
本実施の形態では、解析結果表示制御部24は、評価マーク84の表示位置を、最も点数が低い評価項目のエリア内であって、かつ、全ての評価項目中で最低の点数が高いほど、ベン
図8中の重なり中心Oから離れた位置に設定する。これにより、評価マーク84の位置が改善すべき評価項目を示すことになり、改善点が分かりやすくなる。さらに、評価マーク84の位置が重なり中心Oからどれだけ離れているかによって、評価項目の包括的な評価を一目で確認できるようになる。
【0033】
また、解析結果表示制御部24は、全ての評価項目の点数が同じであるとき、アンケートで入力された低評価項目(回答者が主観的に低く評価した項目)のエリア内に評価マーク84を表示する。回答者が主観的に低く評価した項目は、アンケートだけでは評価できない要素により、改善が望まれている場合が多いと考えられる。よって、回答者が主観的に低く評価した低評価項目に評価マーク84を表示して改善点を明確に表示することで、さらなる感染対策等を促すことが可能になる。
【0034】
より詳細には、
図6の上部に示されるように、重なり中心Oを中心とする仮想の円A~Cを設定しておく。円Aの直径が最も小さく、円Cの直径が最も大きくベン
図8の外接円となっており、円Bは円A,Cの中間の直径となっている。本実施の形態では、3つの評価項目の最低得点が3点以下である場合は円A上か重なり中心O上、最低得点が4点である場合は円B上、最低得点が5点である場合は円C上に評価マーク84が表示される。
【0035】
具体的には、
図6の下部に示されるように、3つの評価項目が全て3点以下である場合は、重なり中心Oと重なる位置に評価マーク84を表示する。3つの評価項目のうち2つが3点以下、1つが4点以上である場合は、図示の円A上でかつ点数が3点以下になっている2つのエリアが重なる位置に評価マーク84を表示する。例えば、密閉と密接が3点、密集が4点である場合、円A上の密閉エリア81と密接エリア83とが重なる位置に評価マーク84が表示される。そして、3つの評価項目のうち1つが3点以下、2つが4点以上である場合は、図示の円A上でかつ点数が3点以下になっているエリアの中央部に評価マーク84を表示する。例えば、密閉と密接が4点、密集が3点である場合、円A上の密集エリア82の中央部(円Aのうち密集エリア82と重なる円弧の中央部)に評価マーク84が表示される。
【0036】
3つの評価項目が全て4点である場合は、円B上で、かつ、アンケートで入力された低評価項目の中央部(円Bのうち低評価項目と重なる円弧の中央部)に評価マーク84を表示する。3つの評価項目のうち2つが4点、1つが5点である場合は、図示の円B上でかつ点数が4点になっている2つのエリアが重なる位置に評価マーク84を表示する。そして、3つの評価項目のうち1つが4点、2つが5点である場合は、図示の円B上でかつ点数が4点になっているエリアの中央部に評価マーク84を表示する。3つの評価項目が全て5点である場合は、円C上で、かつ、アンケートで入力された低評価項目の中央部(図示例では低評価項目のエリアと円Cとが交わる点)に評価マーク84を表示する。
【0037】
(制御フロー)
図7は、アセスメントシステム1の制御フローを示すフロー図である。
図7に示すように、アセスメントシステム1により感染対策等のアセスメントを行う際には、まず、ステップS1にて、アンケート生成処理を行う。アンケート生成処理では、予め記憶部3に記憶されたアンケートデータベース31を基に、アンケートを生成する。このとき、アンケート生成部21は、アンケートデータベース31に設定された設問のバリエーションから無作為に抽出し、さらに設問の順番をランダムに入れ替えてアンケートを生成することが望ましい。また、アンケート生成処理では、場所毎に低評価項目を訊ねる設問と、場所毎及び評価項目毎に回答者の主観的な評価ランクを回答する設問とを含むようにアンケートを生成する。
【0038】
その後、ステップS2にて、ステップS1で生成したアンケートを表示器4に表示するアンケート表示処理を行う。この際、アンケート表示制御部22は、回答済みの設問については既に回答が入力されている状態でアンケートの表示を行ってもよい。その後、ステップS3にて、制御部2が、アンケートが入力されたかを判定し、No(N)と判定された場合はステップS3を繰り返し、Yes(Y)と判定されて場合にはステップS4に進む。
【0039】
ステップS4では、制御部2が、入力されたアンケートの回答を、アンケート回答データ32として記憶部3に記憶する。その後、ステップS5にて、アンケート解析処理を行う。アンケート解析処理では、場所毎及び評価項目毎に、良回答数と評価ランクとを集計し、評価用テーブル33を用いて点数を決定する。決定された場所毎及び評価項目毎の点数は、解析データ34として記憶部3に記憶される。
【0040】
その後、ステップS6にて、解析結果表示処理が行われる。解析結果表示処理では、
図8に示すように、まず、ステップS61にて、ステップS5で得た解析データ34を基に、密閉、密集、密接の3つの評価項目について、それぞれ平均値を算出する。その後、ステップS62にて、得られた評価項目の平均値を基に、ベン
図8中に表示する評価マーク84の位置を決定する。評価マーク84の位置の決定方法については、
図6にて説明した通りである。
【0041】
その後、ステップS63にて、評価マーク84を含むベン
図8、及び場所毎のレーダーチャートを生成すると共に、ステップS64にて、総評や場所毎のコメント等の抽出を行った後に、ステップS65にて各項目を表示器4に表示する(
図5参照)。その後、リターンし(
図7に戻り)、処理を終了する。
【0042】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係るアセスメントシステム1では、解析結果表示制御部24が、ベン
図8の中に表示された評価マーク84を用いて解析結果を表示するように構成されており、評価マーク84の表示位置を、最も点数が低い評価項目のエリア内であって、かつ、全ての評価項目中の最低点数が高いほど重なり中心Oから離れた位置に設定している。これにより、一見して改善点と全般的な評価を判断することが可能になり、評価結果や改善点をより分かりやすく提示したアセスメントシステム1を実現できる。
【0043】
(変形例)
上記実施の形態では、改善すべき評価項目を明確にすべく、最も点数が低い評価項目のエリア内に評価マーク84を表示したが、これに限らず、逆に、最も点数が高い評価項目のエリア内に評価マーク84を表示するようにしてもよい。この場合、評価マーク84の表示位置は、最も対策がとれている評価項目を示す目安となる。この場合、評価項目のうち回答者の評価が最も高い高評価項目を回答する設問を含むようにアンケートを生成しておき、全ての前記評価項目の点数が同じであるときには、高評価項目のエリア内に評価マーク84を表示するよう構成すればよい。
【0044】
なお、このような最も対策がとれている評価項目を示す評価マーク84と、上記実施の形態で説明した改善すべき評価項目を示す評価マーク84とを、両方ともベン
図8上に表示するように構成してもよい。この場合、両評価マーク84の色や形などを変えることで、両評価マーク84が何を表しているかを識別できるようにするとよい。
【0045】
また、上記実施の形態では言及しなかったが、アセスメントシステム1の制御部2は、アンケートの入力を促す通知を出力する機能を有していてもよい。例えば、前回のアンケート回答日から、予め設定した日数が経過したときに、アンケートの入力を促す通知を出力するよう構成してもよい。また、例えば、感染症アラートレベルが上昇したとき、感染者数が所定日数連続して増加したとき、何らかの感染症が流行したとき等に、アンケートの入力を促す通知を出力するよう構成されてもよい。例えば、制御部2は、感染症アラートレベルや感染者数の情報をインターネット経由で取得するよう構成されてもよいし、例えばインターネットで所定のキーワード(例えば「感染症」など)でニュース検索した際のヒット数が所定の閾値以上であるときに、何らかの感染所が流行したと判断するよう構成されてもよい。また、アンケートの入力を促す通知は、スマートフォンやタブレットの通知機能を利用して実現してもよい。
【0046】
さらに、上記実施の形態では言及しなかったが、回答者が質問を読まずに回答することを抑制するために、回答速度が速すぎると次の質問に進めない(次の質問入力ができない)ように制御部2を構成してもよい。例えば、1設問の回答時間が1秒以下である場合(前の質問の入力から、次の質問の入力までの時間が1秒以下である場合)に、次の質問への回答の入力を無効とするように制御部2を構成することができる。また、回答が早すぎる場合に、アラート表示を表示器5に表示するように構成してもよい。
【0047】
さらに、
図5の解析結果表示画面において、今回の解析結果を表示する場合について説明したが、過去の解析結果のデータがある場合には、前回と今回の解析結果を比較できるように表示しても良い。
【0048】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0049】
[1]複数の評価項目を評価するためのアンケートを生成するアンケート生成部(21)と、前記アンケート生成部(21)が生成した前記アンケートを表示器(4)に表示するアンケート表示制御部(22)と、前記アンケートの回答を入力するための入力装置(5)と、前記入力装置(5)により入力された前記アンケートの回答を解析し、前記評価項目の点数を決定するアンケート結果解析部(23)と、前記アンケート結果解析部(23)の解析結果を前記表示器(4)に表示する解析結果表示制御部(24)と、を備え、前記解析結果表示制御部(24)は、各評価項目を示すエリアが互いに重なり合うように表示されたベン図(8)と、前記ベン図(8)の中に表示された評価マーク(84)とを用いて、前記解析結果を表示するように構成されており、前記解析結果表示制御部(24)は、前記評価マーク(84)の表示位置を、最も点数が低い又は高い前記評価項目の前記エリア内であって、かつ、全ての前記評価項目中の最低点数が高いほど、前記ベン図(8)中の全ての前記エリアが重なり合う重なり中心から離れた位置に設定する、アセスメントシステム(1)。
【0050】
[2]前記解析結果表示制御部(24)は、前記評価マーク(84)の表示位置を、最も点数が低い前記評価項目の前記エリア内とするように構成されており、前記アンケート生成部(21)は、前記評価項目のうち回答者の評価が最も低い低評価項目を回答する設問を含むように前記アンケートを生成するように構成されており、前記解析結果表示制御部(24)は、全ての前記評価項目の点数が同じであるとき、前記低評価項目のエリア内に前記評価マーク(84)を表示する、[1]に記載のアセスメントシステム(1)。
【0051】
[3]前記解析結果表示制御部(24)は、前記評価マーク(84)の表示位置を、最も点数が高い前記評価項目の前記エリア内とするように構成されており、前記アンケート生成部(21)は、前記評価項目のうち回答者の評価が最も高い高評価項目を回答する設問を含むように前記アンケートを生成するように構成されており、前記解析結果表示制御部(24)は、全ての前記評価項目の点数が同じであるとき、前記高評価項目のエリア内に前記評価マーク(84)を表示する、[1]に記載のアセスメントシステム(1)。
【0052】
[4]少なくとも前記表示器(4)と前記入力装置(5)とが、携帯可能な端末装置から構成されている、[1]に記載のアセスメントシステム(1)。
【0053】
[5]1つの前記評価項目に対して複数の設問が設定されていると共に、前記各設問に複数のバリエーションが設定されているアンケートデータベース(31)を備え、前記アンケート生成部(21)は、前記アンケートデータベース(31)を基に、前記複数のバリエーションから無作為に抽出して前記各設問を決定して、前記アンケートを生成する、[1]に記載のアセスメントシステム(1)。
【0054】
[6]前記アンケート生成部(21)は、前記設問の順番をランダムに決定する、[5]に記載のアセスメントシステム(1)。
【0055】
[7]前記アンケート生成部(21)は、前記各評価項目について回答者の主観的な評価ランクを回答する設問を含むように前記アンケートを生成するように構成されており、
前記アンケート結果解析部(23)は、前記各評価項目について、当該評価項目についての前記アンケートの回答と、当該評価項目の評価ランクとを基に、当該評価項目の点数を決定する、[1]に記載のアセスメントシステム(1)。
【0056】
[8]前記アンケートの回答結果をアンケート回答データ(32)として記憶する記憶部(3)を備え、前記アンケート表示制御部(22)は、前記アンケート回答データ(32)に基づき、回答済みの設問については既に回答が入力されている状態で前記アンケートの表示を行う、[1]に記載のアセスメントシステム(1)。
【0057】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0058】
1…アセスメントシステム
2…制御部
21…アンケート生成部
22…アンケート表示制御部
23…アンケート結果解析部
24…解析結果表示制御部
3…記憶部
31…アンケートデータベース
32…アンケート回答データ
33…評価用テーブル
34…解析データ
4…表示器
5…入力装置
8…ベン図
84…評価マーク
【要約】
【課題】評価結果や改善点をより分かりやすく提示可能なアセスメントシステムを提供する。
【解決手段】アセスメントシステム1は、複数の評価項目を評価するためのアンケートを生成するアンケート生成部21と、アンケートの回答を解析し評価項目の点数を決定するアンケート結果解析部23と、解析結果を表示器4に表示する解析結果表示制御部24と、を備え、解析結果表示制御部24は、各評価項目を示すエリアが互いに重なり合うように表示されたベン
図8と、ベン
図8の中に表示された評価マーク84とを用いて、解析結果を表示するように構成されており、解析結果表示制御部24は、評価マーク84の表示位置を、最も点数が低い又は高い評価項目のエリア内であって、かつ、全ての評価項目中の最低点数が高いほど、ベン
図8中の全てのエリアが重なり合う重なり中心Oから離れた位置に設定する。
【選択図】
図6