(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】低減されたパッケージサイズを有するエアバッグアセンブリ及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
B60R 21/213 20110101AFI20230915BHJP
【FI】
B60R21/213
(21)【出願番号】P 2022521350
(86)(22)【出願日】2020-10-06
(86)【国際出願番号】 US2020054329
(87)【国際公開番号】W WO2021091642
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-04-07
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598122843
【氏名又は名称】オートリブ エー・エス・ピー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】テルブ、ジョン エリック
(72)【発明者】
【氏名】チャンバース、アレン マリー
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0327564(US,A1)
【文献】国際公開第2016/167087(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0042923(US,A1)
【文献】米国特許第07980585(US,B2)
【文献】国際公開第2018/083959(WO,A1)
【文献】特表2003-509285(JP,A)
【文献】特開2000-296750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/213
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(14)のためのエアバッグアセンブリ(10)であって、
格納状態から展開可能である膨張可能なエアバッグ(24)であって、長手方向に延びる軸を有し、前記格納状態において前記長手方向軸を中心として
巻かれている膨張可能なエアバッグ(24)と、
前記膨張可能なエアバッグ(24)の少なくとも第1の部分を、圧縮下で、低減されたパッケージサイズで保持する補強ラッパー(22)とを含むエアバッグアセンブリ(10)において、
少なくとも第1の取り付けタブ(38)が、前記膨張可能なエアバッグ(24)に固定されており、
前記補強ラッパー(22)が、前記第1の取り付けタブ(38)に固定されており、前記膨張可能なエアバッグ(24)の前記少なくとも第1の部分の周囲全体に巻き付けられ
、
前記膨張可能なエアバッグ(24)及び前記補強ラッパー(22)が、前記エアバッグアセンブリ(10)の保持領域を形成することを特徴とするエアバッグアセンブリ(10)。
【請求項2】
前記第1の取り付けタブ(38)が、前記膨張可能なエアバッグ(24)の長手方向に延びる第1の側(24A)近接の前記膨張可能なエアバッグ(24)に固定されていることを特徴とする、請求項
1に記載のエアバッグアセンブリ(10)。
【請求項3】
前記補強ラッパー(22)が、前記第1の取り付けタブ(38)が通過する開口部(37)を含むことを特徴とする、請求項1
又は2に記載のエアバッグアセンブリ(10)。
【請求項4】
前記膨張可能なエアバッグ(24)が、前記長手方向に延びる第1の側(24A)の反対側の長手方向に延びる第2の側(24B)であって、前記エアバッグアセンブリ(10)の前記
保持領域の中心における長手方向に延びる第2の側(24B)を含むことを特徴とする、請求項
3に記載のエアバッグアセンブリ(10)。
【請求項5】
前記エアバッグアセンブリ(10)の前記
保持領域が、最内側部分と、最外側部分と、前記最内側部分と前記最外側部分との間の中間部分とを含み、前記最内側部分が、前記膨張可能なエアバッグ(24)によって画定されており、前記最外側部分が、前記補強ラッパー(22)によって画定されており、前記中間部分が、前記膨張可能なエアバッグ(24)と前記補強ラッパー(22)との重なり合う領域によって画定されていることを特徴とする、請求項
3又は4に記載のエアバッグアセンブリ(10)。
【請求項6】
前記補強ラッパー(22)が、長手方向に延びる断裂シーム(40)を含み、前記第1の
取り付けタブ(38)がそれを通って延びる前記開口部(37)が、前記膨張可能なエアバッグ(24)がそれを中心として巻かれている軸に対して所定の角度で、前記断裂シーム(40)からオフセットされており、前記所定の角度が、45~180
°であることを特徴とする、請求項
3に記載のエアバッグアセンブリ(10)。
【請求項7】
前記膨張可能なエアバッグ(24)が、膨張可能なカーテンエアバッグであり、前記膨張可能なエアバッグ(24)の
前記第1の部分が、前記膨張可能なエアバッグ(24)の最前方部分であることを特徴とする、請求項
1乃至6のいずれか一項に記載のエアバッグアセンブリ(10)。
【請求項8】
請求項
1乃至7のいずれか一項に記載のエアバッグアセンブリ(10)を製造する方法であって、
前記補強ラッパー(22)を前記膨張可能なエアバッグ(24)に結合することと、
前記膨張可能なエアバッグ(24)を
巻くことによって、並びに前記補強ラッパー(22)を前記膨張可能なエアバッグ(24)の前記少なくとも第1の部分の周囲全体に巻き付けることによって、中間パッケージを調製することと、
前記中間パッケージがプレスツールのネスト内にある間に、前記中間パッケージを赤外炉で所定の温度に加熱することと、
前記中間パッケージを加圧して、前記エアバッグアセンブリ(10)の前記少なくとも第1の
部分のパッケージサイズを低減すること
、を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年11月8日に出願された米国特許出願公開第16/677,978号に対する優先権を主張する。上記出願の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、自動車安全システムのための膨張可能な拘束具に関する。特に、本開示は、自動車のためのエアバッグアセンブリであって、低減されたパッケージサイズを有するエアバッグアセンブリに関する。本開示はまた、低減されたパッケージサイズを有するようにエアバッグアセンブリを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
この項は、本開示に関連する背景技術情報を提供し、背景技術情報は、必ずしも先行技術ではない。
【0004】
膨張可能な安全拘束装置又はエアバッグは、一般に、自動車に含まれている。事故の事象において、車両内のセンサは、異常な減速を測定し、インフレータ内に収納されている装薬の点火をトリガする。装薬からの膨張ガスは、導管を通って移動し、エアバッグを充填し、エアバッグは、瞬時に膨張して、車両内の乗客を車両の内部との有害な衝撃から保護する。典型的には、エアバッグは、通常の車両動作中に不可視であるように車両トリム内に隠されている。
【0005】
正面衝撃のために設計されたエアバッグシステムに加えて、従来のエアバッグシステムは、側方衝撃、傾斜衝撃、及び車両転覆から車両乗員を保護するためのエアバッグシステムを含む。このようなシステムの膨張可能なエアバッグは、典型的には、車両ルーフがサイドウィンドウ及びピラーと交わる車両の角に沿って格納されており、車両のピラー内にも格納されている。このようなエアバッグシステムを収納するために使用可能な領域のサイズは制限されており、車両によって変化する。
【0006】
エアバッグのパッケージサイズは、展開前に、エアバッグの少なくとも一部分の周りに延びるカバーで低減及び維持され得ることが一般的に知られている。例えば、同一出願人による米国特許第9,205,797号には、圧縮下でカバーによって保持されたエアバッグが開示されている。ポリマー繊維を含む延性布材料から形成されたカバーは、安定した形状を付与するように、エアバッグパッケージの周りに及びエアバッグパッケージの上に単に折り畳まれており一緒に融合されている。米国特許第9,205,797号は、本明細書に完全に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれている。
【0007】
既知のエアバッグアセンブリは、これらのエアバッグアセンブリの意図された使用のために好適であることが証明されているが、関連技術における改善の必要性が継続してある。
【発明の概要】
【0008】
この項は、本開示の概要を提供し、本開示の全範囲又は本開示の全ての機能の包括的な開示ではない。
【0009】
本教示の全般的な目的は、Aピラー収納のために及び空間が制限された他の領域内の収納のために好適である低減されたパッケージサイズを有するエアバッグアセンブリを提供することである。
【0010】
本教示の別の目的は、膨張可能なエアバッグ及び補強ラッパー(wrapper)が共通の軸を中心として単調に巻かれている、エアバッグアセンブリ及び関連する方法を提供することである。
【0011】
1つの特定の態様によれば、本教示は、膨張可能なエアバッグと、補強ラッパーとを含む、自動車のためのエアバッグアセンブリを提供する。膨張可能なエアバッグは、長手方向に延びる軸を有し、格納状態において回転軸を中心として巻かれている。補強ラッパーは、膨張可能なエアバッグの長手方向に延びる第1の側近接の膨張可能なエアバッグに結合されており、回転軸を中心として巻かれており、膨張可能なエアバッグの少なくとも第1の部分の周り全体に巻き付けられている。膨張可能なエアバッグ及び補強ラッパーは、エアバッグアセンブリの単調に巻かれた部分を画定するように協働する。
【0012】
別の特定の態様によれば、本教示は、格納状態から展開可能である膨張可能なエアバッグと、少なくとも第1の取り付けタブと、補強ラッパーとを含む、自動車のためのエアバッグアセンブリを提供する。膨張可能なエアバッグは、長手方向に延びる軸を有し、格納状態において長手方向軸を中心として巻かれている又は折り畳まれている。第1の取り付けタブは、膨張可能なエアバッグに固定されている。補強ラッパーは、第1の取り付けタブに固定されており、膨張可能なエアバッグの少なくとも第1の部分の周囲全体に巻き付けられている。補強ラッパーは、膨張可能なエアバッグの少なくとも第1の部分を、圧縮下で、低減されたパッケージサイズで保持する。
【0013】
更に別の特定の態様によれば、本教示は、低減されたパッケージサイズを有する部分を有するエアバッグアセンブリを製造する方法であって、補強ラッパーを膨張可能なエアバッグに結合することと、膨張可能なエアバッグを巻く及び/又は折り畳むことによって、並びに補強ラッパーを膨張可能なエアバッグのの周囲全体に巻き付けることによって中間パッケージを調製することとを含む方法を提供する。加えて、方法は、中間パッケージがプレスツールのネスト内にある間に、中間パッケージを赤外炉で所定の温度に加熱することを含む。方法は、中間パッケージを加圧して、エアバッグアセンブリの部分のパッケージサイズを低減することを更に含む。
【0014】
更に別の特定の態様によれば、本教示は、膨張可能なエアバッグと、補強ラッパーとを有するエアバッグアセンブリを製造する方法を提供する。方法は、膨張可能なエアバッグの長手方向に延びる第1の縁部近接の補強ラッパーを膨張可能なエアバッグに結合することを含む。加えて、方法は、膨張可能なエアバッグを、膨張可能なエアバッグの長手方向に延びる第2の縁部から始めて、回転軸を中心として巻くことを含む。方法は、膨張可能なエアバッグ及び補強ラッパーがエアバッグアセンブリの単調に巻かれた部分を画定するように協働するように、補強ラッパーを膨張可能なエアバッグの少なくとも第1の部分の周囲全体に巻くことを更に含む。
【0015】
利用可能性の更なる領域は、本明細書に提供されている説明から明らかになる。この概要における説明及び具体的な例は、例示のみのためであることが意図されており、本開示の範囲を限定することは意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本明細書に記載の図面は、全ての可能な実装形態ではなく、選択された実施形態の例示のみのためであり、本開示の範囲を限定することは意図されていない。
【0017】
【
図1】エアバッグアセンブリが、例示的な自動車内で格納構成において示されている、本教示によるエアバッグアセンブリの側面図である。
【0018】
【
図2】エアバッグアセンブリの膨張可能なエアバッグが、膨張前に、格納構成から広げられずに示されている、
図1のエアバッグアセンブリの側面図である。
【0019】
【
図2A】
図1のエアバッグアセンブリのラッパーの側面図である。
【0020】
【0021】
【
図3】エアバッグアセンブリが、出荷又は車両内への設置の準備ができて示されている、本教示のエアバッグアセンブリを示す別の側面図である。
【0022】
【
図4】膨張可能なエアバッグが、堅固に圧縮されずに示されている、
図3の線4-4に沿う例示のための簡略断面図である。
【0023】
【
図5】膨張可能なエアバッグが、堅固に圧縮されずに示されている、
図3の線5-5に沿う例示のための簡略断面図である。
【0024】
【
図6】膨張可能なエアバッグが巻かれる中間製造ステップ後のエアバッグアセンブリを示す、
図2に類似する別の側面図である。
【0025】
【
図7】具体的な用途のための例示的な外形を有する低減されたパッケージサイズを有するように圧縮された本教示のエアバッグアセンブリを示し、Aピラーに関連する例示的なトリム構成要素を更に示す、
図1の線7-7に沿う簡略断面図である。
【0026】
【
図8】低減されたパッケージサイズを有するエアバッグアセンブリを製造するための、本教示によるプレスツールの斜視図である。
【0027】
【
図9】
図8のプレスツールの例示的な上部ネスト部材の形状が本教示の範囲内で代替のパッケージ外形に容易に適合され得ることが理解される、上部ネスト部材の斜視図である。
【
図10】
図8のプレスツールの例示的な下部ネスト部材の形状が本教示の範囲内で代替のパッケージ外形に容易に適合され得ることが理解される、下部ネスト部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
ここで、例示的な実施形態について、添付の図面を参照してより完全に説明する。
【0029】
例示的な実施形態は、本開示が充分であり本開示の範囲を当業者に完全に伝達するように提供されている。本開示の実施形態の充分な理解をもたらすために、具体的な構成要素、装置、及び方法の例などの多くの具体的な詳細が記載されている。具体的な詳細は、採用される必要がないこと、及び例示的な実施形態は、本開示の範囲を限定すると解釈されるべきではないことが当業者には明らかである。周知のプロセス、周知の装置構造、及び周知の技術は、本明細書に詳細に説明されていない。
【0030】
「に接続された」、「に結合された」、及び「に固定された」という語句は、機械的な、電気的な、磁気的な、電磁気的な、流体的な、及び熱的な相互作用を含む、2つ以上のエンティティ間の相互作用のいずれかの形態を指す。2つの構成要素は、2つの構成要素が互いに直接接触していなくても、互いに結合され得る。例えば、2つの構成要素は、1つ以上の中間要素を介して、互いに「接続」、「結合」、又は「固定」され得る。「近接の」という用語は、互いと直接物理的に接触してもよく又は接触しなくてもよい物品間の相対配置を指す。本明細書で使用される「例示的な」とは、典型的又は代表的な例又は事例として役立つことを意味し、特別又は好ましいことを必ずしも意味しない。
【0031】
図面を全般的に参照すると、本教示によるエアバッグアセンブリが図示されており、参照符号10で全般的に識別される。エアバッグアセンブリ10は、自動車14の乗員拘束システム12の一部分である。図面全体に示す実施形態では、エアバッグアセンブリは、カーテンエアバッグアセンブリ10である。しかしながら、本教示のある態様は、他のエアバッグと関連して使用され得る。
【0032】
図面に示す自動車14は、本質的に例示であることが理解されよう。自動車14は、自動車14の長さに沿って向けられた長手方向16と、自動車14の1つの側から反対側に向けられた横方向18と、垂直に上下に向けられた垂直方向20とを有する。「インボード」及び「アウトボード」という用語は、本明細書では、横方向18の相対的な向きを指すために使用され得る。例えば、「アウトボード」とは、自動車の長手方向中心面よりも車両の側面に近い又は車両の側面に面する相対的な場所を指す。逆に、「インボード」とは、車両の側面よりも車両の長手方向中心面に近い又は車両の長手方向中心面に面する相対的な場所を指す。「インボード」及び「アウトボード」は、横方向18の2つの物体の整列を必要とせず、むしろ、これらの用語は単に、上記のような側面又は中間面への近接に関連する。
【0033】
他の態様の中でも、本教示は、エアバッグアセンブリ10の膨張可能なエアバッグ24の少なくとも一部分を、安定した状態において、圧縮下で、低減されたパッケージサイズで保持するための補強ラッパー22に特に関する。このような安定した状態において、エアバッグアセンブリ10は、より容易に出荷され得、空間が制限された領域内により容易に格納され得る。補強ラッパー22の詳細及び膨張可能なエアバッグ24との補強ラッパー22の協働的相互作用を検討する前に、エアバッグアセンブリの他の特徴の説明がなされる。
【0034】
エアバッグアセンブリ10は、従来のように、インフレータ26と、管28と、膨張可能なエアバッグ24とを含み得る。膨張可能なエアバッグ24は、インフレータ26から管28を通ってガスを受容する。エアバッグアセンブリ10はまた、センサ(図示せず)と、衝突/転覆又は差し迫った衝突/転覆を検出し作動信号をインフレータ26に送信する制御システム(図示せず)とを含む。インフレータ26は、火工式(pyrotechnic)インフレータ、ガス貯蔵式(stored gas)インフレータ、又は組み合わせのインフレータなどのいくつかのタイプのうちの1つであってもよく、一段階又は多段階インフレータであってもよい。インフレータ26は、膨張可能なエアバッグ24に対して任意の好適な場所において収納され得る。インフレータ26が火工式インフレータである場合、インフレータ26は、作動信号の受信に応答して膨張ガスを急速に生成するように点火する噴射剤を含有し得る。
【0035】
膨張可能なエアバッグ24は、アウトボードパネルとインボードパネルとの間に1つ以上の膨張可能なチャンバを画定してもよく、格納状態(
図1に示す)と展開状態(特に図示せず)との両方において車両14内で長手方向16に沿って延びてもよい。膨張可能なエアバッグは、長手方向16の長さLと、垂直方向20の高さHと、横方向18の深さとを有する。図示の実施形態では、膨張可能なエアバッグ24は、高さHよりも大きい長さLを有する。他の用途では、高さHは、長さLよりも大きくてもよい。膨張可能なエアバッグ24は、自動車14のルーフレールに結合されてもよく、又はルーフレールの隣にあってもよい。図示の実施形態では、膨張可能なエアバッグ24の前方部分が、車両14のAピラー30内に格納されている。
【0036】
膨張可能なエアバッグ24は、膨張可能なエアバッグ24の長さに沿って分配された複数の取り付けアセンブリ36で自動車14に固定され得る。取り付けアセンブリ36のそれぞれは、従来のように、膨張可能なエアバッグ24の長手方向に上側24A近接の膨張可能なエアバッグ24に縫合された又はそうでなければ好適に固定されたタブ38を含み得る。タブ38は、従来のように、ファスナでルーフレールとに固定され得る。
【0037】
膨張可能なエアバッグ24は通常、格納構成において存在し得、格納構成において、膨張可能なエアバッグ24は、車両14の内部トリムの後ろに隠されている。例えば、膨張可能なエアバッグ24は、横方向ヘッドライナトリム及びAピラートリムの後ろに格納され得る。自動車14内への設置前に、膨張可能なエアバッグ24は、格納向き又は格納構成に巻かれてもよく又は折り畳まれてもよく、これにより、膨張可能なエアバッグ24は、膨張可能なエアバッグ24の断面形状の高さ又は幅よりもはるかに大きい長さを有する経路に沿って延びる細長い形状をとる。図示の実施形態では、膨張可能なエアバッグ24は、回転軸Aを中心として巻かれている。より具体的には、膨張可能なエアバッグ24は、回転軸Aを中心として単調に巻かれている。
【0038】
補強ラッパー22は、膨張可能なエアバッグが格納構成にある間に、膨張可能なエアバッグ24の少なくとも一部分を、圧縮下で、低減したパッケージサイズで維持するように機能する。図示の実施形態では、補強ラッパー22の形状は、概して長方形であり得る。特定の用途では、補強ラッパー22は、約300mm~350mmの長さ、及び約100mm~150mmの高さを有する。1つの具体的な用途では、補強ラッパー22は、約330mmの長さ及び約132mmの高さを有する。したがって、補強ラッパー22は、膨張可能なエアバッグ24の限定された部分と協働するように適合されている。他の用途では、補強ラッパー22は、膨張可能なエアバッグ24の全体を実質的に含む、膨張可能なエアバッグ24のより大きな部分を覆うようにより長くてもよい。本明細書に提供されている代表的なラッパーの寸法は、本教示の範囲内で他の具体的な使用のために容易に適合され得ることが理解されよう。
【0039】
補強ラッパー22は、長手方向に延びる断裂シーム40を含む。断裂シーム40の穿孔は、展開の際に膨張可能なエアバッグ24の軌道のタイミング及び方向を制御するように調整され得る。
【0040】
図示するように、補強ラッパー22は、長手方向に延びる接着ストリップ42を更に含み、接着ストリップ42は、取り外し可能な裏紙44によって覆われ得る。以下で考察するように、接着ストリップ42は、補強ラッパー22が、巻かれた又は折り畳まれたエアバッグ24の周りに配置された後に、補強ラッパー22の自由縁部を固定する。接着ストリップ及び裏紙44の寸法は、本教示の範囲内で変化してもよい。代替の用途では、接着ストリップ42及び裏紙44は、面ファスナタイプの装置(すなわち、Velcro(登録商標))又は他のファスナタイプの装置で置き換えられ得る。
【0041】
補強ラッパー22は、膨張可能なエアバッグ24に結合され得る。本教示によれば、補強ラッパーは、膨張可能なエアバッグ24の長手方向に延びる第1の側24A近接の膨張可能なエアバッグ24に結合されている。
図4の断面図に特に示すように、補強ラッパー22は、取り付けアセンブリ36のタブ38のうちの少なくとも1つに縫合されてもよく又はそうでなければ好適に固定されてもよい。他の用途では、補強ラッパー22は、膨張可能なエアバッグ24に直接縫合されてもよく又はそうでなければ好適に直接固定されてもよい。図示のように、取り付けアセンブリ36のうちの1つのタブ38は、補強ラッパー22内の第1の開口部又はスロット37を通過してもよい。
【0042】
補強ラッパー22は、複数のポリマー繊維を含む不織布から構築され得る。不織布は、フェルトの形態で提供されている。本教示での使用のために特に好適であると考えられる例示的な材料は、既知の針技法によって生成されたポリエステルフェルトであり、針技法において、ニードリングプロセスが、材料の構成要素ポリエステル繊維を一緒に絡み合わせ組み合わせるために使用される。ある用途では、ポリエステル繊維は、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、コポリエチレンテレフタレート(co-PET)繊維、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0043】
本教示の方法によれば、エアバッグアセンブリ10は、出荷及び/又は車両14内への設置のために調製される。これに関して、エアバッグアセンブリ10の一部分には、低減されたパッケージサイズを有する安定した形状が付与される。第1の全般的なステップでは、補強ラッパー22は、例えば、膨張可能なエアバッグ24の長手方向に延びる第1の縁部近接の膨張可能なエアバッグ24に結合される。
【0044】
本教示の第2の全般的なステップでは、中間パッケージが調製され、中間パッケージにおいて、補強ラッパー22は、膨張可能なエアバッグ24の少なくとも第1の部分の周囲全体を取り囲む。膨張可能なエアバッグ24は、巻かれてもよく及び/又は折り畳まれてもよい。図示の実施形態では、中間パッケージは、膨張可能なエアバッグ24を、膨張可能なエアバッグ24の長手方向に延びる第2の側又は下側24Bから始めて、膨張可能なエアバッグ24の長手方向軸に平行である巻き軸Aを中心として巻くことによって作製される。膨張可能なエアバッグ24は、自動巻き機械で、軸Aを中心として巻かれ得る。マンドレルが使用される用途では、マンドレルは、その後、得られたパッケージから引き抜かれ得る。しかしながら、他の実施形態では、中間パッケージは、膨張可能なエアバッグ24を折り畳むことによって、又は膨張可能なエアバッグ24内の2つ以上の巻きを作製することによって、又は更には、膨張可能なエアバッグ24の巻き及び折り畳みの組み合わせによって形成され得る。
【0045】
本教示によれば、膨張可能なエアバッグ24の巻きプロセスが開始され、巻きプロセスにおいて、裏紙44によって覆われた接着剤42が使用され、巻きプロセスは、膨張可能なエアバッグ24が軸Aを中心としてほぼ完全に巻かれるまで継続される。膨張可能なエアバッグ24が最後の約360度の巻きに到達したときに、例えば、補強ラッパー22の取り外し可能な裏紙44は、接着剤42を露出させるために取り外されてもよい。膨張可能なエアバッグ24の巻きを継続することによって、補強ラッパー22は、巻かれたエアバッグ24の少なくとも一部分の周囲に完全に巻き付けられる。タブ38は、補強ラッパー22内の第2の開口部又はスロット39を通過する。接着剤42(又はVelcro(登録商標)、又は他の様式のファスナ)は、補強ラッパー22を、巻かれたエアバッグ24の一部分の周りに維持し、巻かれたエアバッグ24は、巻き機械から取り外され得る。
【0046】
膨張可能なエアバッグ24及び補強ラッパー22は、エアバッグアセンブリ10の単調に巻かれた部分を画定するように協働する。更に説明すると、膨張可能なエアバッグ24及び補強ラッパー22は、膨張可能なエアバッグ24の長手方向に延びる第2の側24Bから補強ラッパー22の自由側22Aまで延びる連続的ならせん状巻きを画定する。膨張可能なエアバッグ24の長手方向に延びる第2の側24Aは、エアバッグアセンブリ10の単調に巻かれた部分の中心にある。結果として、エアバッグアセンブリ10の連続的にらせん状に巻かれており単調に巻かれた部分は、膨張可能なエアバッグ24によって画定された最内側部分と、補強ラッパー22によって画定された最外側部分と、補強ラッパーによって画定された中間部分とを含み、膨張可能なエアバッグと補強ラッパーとの重なり合う領域によって画定された当該中間部分。
【0047】
本教示の第3の全般的なステップでは、膨張可能なエアバッグ24及び補強ラッパー22を巻くことによって形成された中間パッケージは、補強ラッパー22の材料を溶融又は軟化させるために加熱される。これに関して、補強ラッパー22は、補強ラッパー22の繊維のうちのある繊維の融点の一部を超え繊維のうちの他の繊維の融点未満である温度に加熱され得る。1つの用途では、中間パッケージは、少なくとも約150℃の所定の温度に加熱されたプレスツール46のネスト又は金型キャビティ内に配置される。プレスツール46のネストは、ロボットなどによって赤外(IR)炉に移送され得る。この特定の用途では、中間パッケージは、約30秒の滞留時間中に加熱され得る。
【0048】
ネストは、第2のネスト部材又は上部ネスト部材50と協働する第1のネスト部材又は下部ネスト部材48によって画定され得る。ネスト部材48及びネスト部材50は、車両パッケージ要件を満たすように、所望の外形を生成するための任意の所望の形状で構成され得る。図示の実施形態では、第1のネスト部材48は、中間パッケージを受容するためのチャネル52を画定する。第2のネスト部材50は、第1のネスト部材48内に滑り嵌められるようにサイズを有する及び構成されており、これにより、プレスツール46の作動は、第2のネスト部材50を第1のネスト部材48の金型キャビティ内へ駆動して、これによって中間パッケージを圧縮するように実施される。第2のネスト部材50は、完成したエアバッグアセンブリ10(
図7を参照されたい)の外形の所望の形状に適合する3次元外形を有する下面54を含むように構成され得る。また、完成したエアバッグアセンブリ10の外形は、単なる例示であることが理解されよう。
【0049】
加熱された中間パッケージを伴うプレスツール46のネストは、ロボットなどによってプレスツール46に移送され得る。本教示の第4の全般的なステップでは、中間パッケージがIR炉による加熱からの余熱で加熱されている間に、プレスツール46が作動される。他の用途では、中間パッケージは、同時に加熱及び加圧(すなわち、プレスツール46内にある間に加熱)され得る。いずれにせよ、補強ラッパーの材料は、プレスツール46が、第1のネスト部材48の金型キャビティの形状と第2のネスト部材48の下面54の外形とによって画定された3次元形状に中間パッケージを適合させることを可能にするように十分に加熱される。
【0050】
第5の全般的なステップでは、プレスツール46は、膨張可能なエアバッグ24が圧縮下にあり、低減されたパッケージサイズを有するように、中間パッケージを圧縮する。加熱された中間パッケージへの圧力の適用は、補強ラッパー22を塑性変形させ、低減されたパッケージサイズを有する所望の形状に中間パッケージを変態させる。中間パッケージは、低減されたパッケージサイズを維持するように、金型から取り外される前に十分に冷却される。ここで、補強ラッパー22の繊維のうちの少なくともいくつかの繊維は、補強ラッパー22によって取り囲まれたエアバッグアセンブリ10の一部分に安定した形状を付与するように、互いに融合される。これに関して、最終的なパッケージは、金型キャビティの形状と上側ネスト部材50の下面54とによって画定された3次元形状を有する。この最終形状は、冷却後に持続する明確に画定された折り目を有する安定した形状である。
【0051】
タブ38は、補強ラッパー22内の開口部39を通過し、タブ38は、エアバッグアセンブリ10を車両14で取り付けるために、巻かれた膨張可能なエアバッグ24に対して半径方向に向けられ得る。断裂シーム40は、膨張可能なエアバッグ24がそれを中心として巻かれている軸Aに対して所定の角度で、タブ38がそれを通って延びる開口部39に対して向けられている。ある用途では、所定の角度は45度~180度である。より好ましい用途では、所定の角度は60度~90度である。断裂シーム40に対する開口部39の場所は、膨張可能なエアバッグ24がタブ38によって車両14内に取り付けられたときの断裂シーム40の最適な配置を可能にする。
【0052】
実際の衝突又は差し迫った衝突の事象において、膨張可能なエアバッグ24は展開され得る。インフレータ26は、膨張ガスを管28内に生成及び/又は放出する。管28から、膨張ガスは膨張可能なエアバッグ24に急速に入ることができ、これによって、膨張可能なエアバッグ24は拡張を開始する。エアバッグ24は、車両14の1人以上の乗員と、車両14のサイドウィンドウ及びピラーなどの車両14の1つ以上の側面との間で、車両14の側に沿って、垂直方向20に下向きに拡張する。Aピラー30に加えて、ピラーは、Bピラー32、及びCピラー34を含み得、例えば、これらの全ては、これらのそれぞれの上端においてルーフレールに接合し得る。図示の実施形態では、膨張可能なエアバッグ24は、自動車14のAピラー30からCピラー34まで延びる。
【0053】
本開示の具体的な実施形態及び用途が図示及び説明されているが、本発明は、本明細書に開示の正確な構成及び構成要素に限定されないことが理解されよう。当業者には明らかである様々な修正形態、変更形態、及び変形形態は、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、本開示の方法及びシステムの配置、動作、及び詳細においてなされてもよい。また、エアバッグアセンブリ10の構成は、単なる例示であることが理解されよう。他のカーテンエアバッグを含むがこれらに限定されない、膨張可能なエアバッグの様々なタイプ及び構成が、本開示の範囲内で使用されてもよい。例えば、代替の実施形態では、膨張可能なカーテンエアバッグの様々なサイズ、形状、及び割合が使用されてもよい。自動車製造業者は、車両内の所望の場所、予想される衝突タイプ及び重大度、車両の乗員のありうる習慣、並びに自動車安全技術分野の当業者によって認識される任意の他の基準に基づいて、このような代替の実施形態から選択することができる。