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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】排気浄化装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/28 20060101AFI20230915BHJP
   F01N 3/26 20060101ALI20230915BHJP
【FI】
F01N3/28 J ZAB
F01N3/26 F
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022527497
(86)(22)【出願日】2021-01-26
(86)【国際出願番号】 JP2021002560
(87)【国際公開番号】W WO2021240876
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-07-06
(31)【優先権主張番号】P 2020091591
(32)【優先日】2020-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390010227
【氏名又は名称】株式会社三五
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深川 達樹
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 英介
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】実開昭48-081207(JP,U)
【文献】特開2016-113927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/28
F01N 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関から排出される排気の流路である排気流路の一部としての1つの内部空間である第1空間を画定する容器であり且つ前記排気流路における上流側に形成された開口である第1開口及び前記排気流路における下流側に形成された開口である第2開口を備えるケーシングと、前記排気流路において上流側に配設された排気浄化ユニットである第1ユニットと、前記排気流路において前記第1ユニットよりも下流側に配設された排気浄化ユニットである第2ユニットと、を備える排気浄化装置であって、
前記第1ユニットは、筒状の形状を有する第1ハウジング及び前記第1ハウジングの内部に保持されて前記排気を浄化する1つ以上の部材である第1浄化部材を備え、
前記第2ユニットは、筒状の形状を有する第2ハウジング及び前記第2ハウジングの内部に保持されて前記排気を浄化する1つ以上の部材である第2浄化部材を備え、
前記第1開口が前記第1ハウジングの外側面に外嵌し、
前記第2開口が前記第2ハウジングの外側面に外嵌し、
前記第1空間において互いに対向する前記第1ハウジングの前記外側面と前記第2ハウジングの前記外側面とによって挟まれた領域である第1領域が存在し、
前記第1ハウジングの軸方向に延長された前記第1ハウジングの前記外側面によって囲まれる仮想的な柱体である第1柱体と前記第2ハウジングの軸方向に延長された前記第2ハウジングの前記外側面によって囲まれる仮想的な柱体である第2柱体とは前記第1空間において交差せず
互いに対向する前記第1ハウジングの前記外側面及び前記第2ハウジングの前記外側面並びに当該互いに対向する前記第1ハウジングの前記外側面と前記第2ハウジングの前記外側面との間にそれぞれ介在して互いに対向する前記ケーシングの内壁面同士によって画定される空間である独立流路が前記第1空間に形成されており、
前記第1空間における前記独立流路よりも上流側の空間と前記第1空間における前記独立流路よりも下流側の空間とは前記独立流路のみによって連通されている、
ことを特徴とする、排気浄化装置。
【請求項2】
請求項1に記載された排気浄化装置であって、
前記第1ハウジングの軸を通る直線と第2ハウジングの軸を通る直線とが空間幾何学的ねじれの位置にある、
ことを特徴とする、排気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気浄化装置に関する。より具体的には、本発明は、背圧の上昇を抑制しつつ小型化及び暖機性能の向上を達成することが可能な排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリンエンジン及びディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排気には、例えば煤等からなる粒子状物質(PM)、一酸化炭素(CO)、未燃焼炭化水素(HC:HydroCarbon)及び窒素酸化物(NOx)等の特定物質が含まれる。そこで、地球環境保護等の観点から、例えばPMを捕集するガソリンパティキュレートフィルタ(GPF:Gasoline Particulate Filter)及びディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF:Diesel Particulate Filter)等のフィルタ並びに酸化触媒(OC:Oxidation Catalyst)、三元触媒(TWC:Three-Way Catalyst)、選択触媒還元脱硝装置(SCR:Selective Catalytic Reduction)及びアンモニアスリップ触媒(ASC:Ammonia Slip Catalyst)等の排気浄化触媒等の排気浄化ユニットを含む排気浄化装置を内燃機関の排気流路に介装して、これらの特定物質を除去することが広く行われている。
【0003】
昨今の車輛においてはエンジンルーム内における内燃機関の側部近傍に排気浄化装置が搭載されることが一般的である。最近では、排気浄化装置の内部に複数の排気浄化ユニット(例えば、触媒コンバータ及びフィルタ等)が内蔵され且つ各々の排気浄化ユニットが大容量化(大型化)される傾向にあるため、エンジンルームにおける限られたスペースに排気浄化装置を収容することが益々困難になってきている。
【0004】
例えば、当該技術分野においては、エンジンルームにおける限られたスペースにおいて排気の偏流を抑制しつつ排気浄化触媒の昇温を速めることを目的として排気管から排気浄化触媒へと排気を導入する部分の構造に特徴を有する排気管構造が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。しかしながら、排気浄化装置の内部においては複数の排気浄化ユニットが直線状に配置されているため、排気浄化装置全体としては長大化しており、三次元的に傾斜して配置することによりエンジンルーム内に辛うじて収容されているのが実情である。
【0005】
また、所定の角度にて互いに傾斜したハニカムフィルタ及び触媒担持ハニカム構造体を缶体内に保持することにより暖機を早めると共に小型化を達成する排ガス処理装置も提案されている(例えば、特許文献2を参照。)。具体的には、当該排ガス処理装置においては、上流側の触媒担持ハニカム構造体が下流側のハニカムフィルタの流入側(上流側)の端面にオーバーラップするように配置されている。
【0006】
当該技術分野においては、上記と同様に暖機を早めると共に小型化を達成することを目的として上流側の排気浄化ユニットが下流側の排気浄化ユニットの流入側(上流側)の端面にオーバーラップするように配置された様々な排気ガス浄化装置及び触媒コンバータが提案されている(例えば、特許文献3及び特許文献4を参照。)。
【0007】
しかしながら、上記のように下流側の排気浄化ユニットの入口側の端面の軸方向における延長線上に上流側の排気浄化ユニットが存在する構成は下流側の排気浄化ユニット内への排気の流入の障害となり易く、背圧の上昇(圧力損失の増大)を招き、エンジン性能の低下に繋がる虞がある。また、排気の流れの淀みを生じ易く、淀みが生じた領域において煤の堆積等の問題が生ずる虞もある。このような問題は、上記とは逆に上流側の排気浄化ユニットの出口側の端面の軸方向における延長線上に下流側の排気浄化ユニットが存在する構成においても同様に生じ得る。
【0008】
更に、当該技術分野においては、平行に配設された2つの排気浄化ユニットがS字状の連通管によって繋がれたレイアウトも多用されている。例えば、それぞれが排気浄化ユニットを内蔵する第1コンバータと第2コンバータとが還元剤の噴射ノズルが設置されたS字状の連結管によって互いに平行に位置するように接続された排ガス浄化装置が提案されている(例えば、特許文献5を参照。)。しかしながら、当該排ガス浄化装置が備えるS字状の連通管は上流側において排気中に添加された還元剤の攪拌及び混合を目的として設けられるものであり、還元剤の添加が不要な場合においては、このような構成は必須ではない。それどころか、例えば背圧の上昇の抑制、小型化及び暖機性能の向上等の観点からは、上記のような連通管は出来る限り短くあるべきである。
【0009】
ところで、例えば二輪自動車等の鞍乗型車両においては、消音装置の設計自由度の低下を防ぎつつ排気の漏れを低減することを目的として、ケーシングの入口部及び出口部に2つの排気浄化ユニットをそれぞれ溶接された消音装置が提案されている(例えば、特許文献6を参照。)。当該消音装置においては2つの排気浄化ユニットがケーシングの内部において仕切られた2つの空間にそれぞれ配設されている。しかしながら、当該消音装置は四輪自動車に比べてスペース面での制約が小さい鞍乗型車両への搭載を前提としたものであり、例えば背圧の上昇の抑制、小型化及び暖機性能の向上等については何ら言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特許第6537606号公報
【文献】特開2011-117409号公報
【文献】特開2011-241705号公報
【文献】特開2020-045897号公報
【文献】特開2014-084850号公報
【文献】特許第6404701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前述したように、当該技術分野においては、背圧の上昇を抑制しつつ小型化及び暖機性能の向上を達成することが可能な排気浄化装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は鋭意研究の結果、ケーシングの内部において上流側の排気浄化ユニット及び下流側の排気浄化ユニットの外側面同士が互いに直接的に対向する領域が存在し且つこれらの排気浄化ユニットの一方の端面に他方がオーバーラップしないように配置することにより、上記課題を解決することができることを見出した。
【0013】
即ち、本発明に係る排気浄化装置(以降、「本発明装置」と称呼される場合がある。)は、ケーシングと、第1ユニットと、第2ユニットと、を備える排気浄化装置である。ケーシングは、内燃機関から排出される排気の流路である排気流路の一部としての1つの内部空間である第1空間を画定する容器であり且つ排気流路における上流側に形成された開口である第1開口及び排気流路における下流側に形成された開口である第2開口を備える。第1ユニットは、排気流路において上流側に配設された排気浄化ユニットである。第2ユニットは、排気流路において第1ユニットよりも下流側に配設された排気浄化ユニットである。
【0014】
第1ユニットは、筒状の形状を有する第1ハウジング及び第1ハウジングの内部に保持されて排気を浄化する1つ以上の部材である第1浄化部材を備える。第2ユニットは、筒状の形状を有する第2ハウジング及び第2ハウジングの内部に保持されて排気を浄化する1つ以上の部材である第2浄化部材を備える。ケーシングの第1開口は第1ハウジングの外側面に外嵌し、ケーシングの第2開口は第2ハウジングの外側面に外嵌している。
【0015】
更に、第1空間において互いに対向する第1ハウジングの外側面と第2ハウジングの外側面とによって挟まれた領域である第1領域が存在する。加えて、第1柱体と第2柱体とは第1空間において交差しない。第1柱体は、第1ハウジングの軸方向に延長された第1ハウジングの外側面によって囲まれる仮想的な柱体である。第2柱体とは、第2ハウジングの軸方向に延長された第2ハウジングの外側面によって囲まれる仮想的な柱体である。
【発明の効果】
【0016】
上記のように、本発明装置においては、第1空間において互いに対向する第1ハウジングの外側面と第2ハウジングの外側面とによって挟まれた領域である第1領域が存在し且つ第1柱体と第2柱体とが交差しないように第1ユニット及び第2ユニットが配置されている。即ち、第1ユニット及び第2ユニットは、少なからぬ部分がケーシングの内部に収容されており且つケーシングの内部において一方の端面に他方がオーバーラップしないように配置されている。
【0017】
上記の結果、例えば、前述した従来技術に係る排気浄化装置(以降、「従来装置」と称呼される場合がある。)のように複数の排気浄化ユニットを直線状に配置する場合に比べて、ケーシングをより小型化することができる。また、ケーシングの小型化により、外部への放熱が低減され、例えば昇温速度の上昇及び保温性の向上等、本発明装置の暖機性能を向上させることができる。
【0018】
更に、前述した別の従来装置のように一方の排気浄化ユニットの端面に他方の排気浄化ユニットがオーバーラップする場合に比べて、上流側の排気浄化ユニット(第1ユニット)から排出された排気が下流側の排気浄化ユニット(第2ユニット)へと円滑に流入することができる。その結果、当該従来装置に比べて、背圧の上昇を抑制することができる。
【0019】
加えて、第1ユニットから排出された排気が第1領域を通過して第2ユニットへと流れる際には、第1ハウジング及び第2ハウジングの外側面に沿って排気が流れるので、第1ユニット及び第2ユニットが排気によって加熱される。その結果、本発明装置の暖機性能を更に向上させることができる。
【0020】
以上のように、本発明によれば、背圧の上昇を抑制しつつ小型化及び暖機性能の向上を達成することが可能な排気浄化装置を提供することができる。
【0021】
本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の各実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施態様に係る排気浄化装置(第1装置)の外観の一例を示す模式的な斜視図である。
図2図1に例示した第1装置の内部構造の一例を示す模式的な断面図である。
図3】本発明の第2実施態様に係る排気浄化装置(第2装置)の外観の一例を示す模式的な斜視図である。
図4図3に例示した第2装置の内部構造の一例を示す模式的な断面図である。
図5】本発明の第3実施態様に係る排気浄化装置(第3装置)の外観の1つの例を示す模式的な斜視図である。
図6図5に例示した第3装置の内部構造の一例を示す模式的な断面図である。
図7】本発明の第3実施態様に係る排気浄化装置(第3装置)の外観のもう1つの例を示す模式的な斜視図である。
図8図7に例示した第3装置の模式的な斜視図及び六面図である。
図9図7及び図8に例示した第3装置の内部構造の一例を示す模式的な断面図である。
図10】本発明の第1実施例に係る排気浄化装置(第1実施例装置)の模式的な正面図である。
図11図10に示した直線L3を含む平面によって切断された第1実施例装置を示す模式図である。
図12図10に示した第1実施例装置の構成を示す模式的な左側面図である。
図13図10に示した第1実施例装置の構成を示す模式的な右側面図である。
図14】本発明の第2実施例に係る排気浄化装置(第2実施例装置)の模式的な斜視図である。
図15図14に示した第2実施例装置を構成するケーシングの上側の半体を取り除いてケーシングの内部における第1ユニット及び第2ユニットの配置を示す模式的な斜視図である。
図16図14に示した第2実施例装置を構成するケーシング並びに第1ユニット及び第2ユニットの一部を取り除いて第1ユニット及び第2ユニットの構成を示す模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
《第1実施形態》
以下、図面を参照しながら本発明の第1実施形態に係る排気浄化装置(以降、「第1装置」と称呼される場合がある。)について説明する。
【0024】
〈構成〉
第1装置は、ケーシングと、第1ユニットと、第2ユニットと、を備える排気浄化装置である。ケーシングは、内燃機関から排出される排気の流路である排気流路の一部としての1つの内部空間である第1空間を画定する容器であり且つ排気流路における上流側に形成された開口である第1開口及び排気流路における下流側に形成された開口である第2開口を備える。第1ユニットは、排気流路において上流側に配設された排気浄化ユニットである。第2ユニットは、排気流路において第1ユニットよりも下流側に配設された排気浄化ユニットである。
【0025】
第1ユニットは、筒状の形状を有する第1ハウジング及び第1ハウジングの内部に保持されて排気を浄化する1つ以上の部材である第1浄化部材を備える。第2ユニットは、筒状の形状を有する第2ハウジング及び第2ハウジングの内部に保持されて排気を浄化する1つ以上の部材である第2浄化部材を備える。ケーシングの第1開口は第1ハウジングの外側面に外嵌し、ケーシングの第2開口は第2ハウジングの外側面に外嵌している。
【0026】
更に、第1空間において互いに対向する第1ハウジングの外側面と第2ハウジングの外側面とによって挟まれた領域である第1領域が存在する。加えて、第1柱体と第2柱体とは第1空間において交差しない。第1柱体は、第1ハウジングの軸方向に延長された第1ハウジングの外側面によって囲まれる仮想的な柱体である。第2柱体とは、第2ハウジングの軸方向に延長された第2ハウジングの外側面によって囲まれる仮想的な柱体である。
【0027】
上記のように、ケーシングは、第1ユニット及び第2ユニットの外側面に第1開口及び第2開口がそれぞれ外嵌することにより、第1ユニット及び第2ユニットの一部を外部に露出しつつ、その他の部分を第1空間に内包する容器状の部材である。ケーシングの具体的な構成は、上述した要件を満たし且つ排気浄化装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。具体的には、ケーシングは、例えばステンレス鋼等の金属材料からなる筒状の部材によって構成されていてもよく、或いはプレス成型された複数の部材を重ね合わせる製法(所謂「モナカ製法」)によって構成されていてもよい。
【0028】
尚、第1装置は、内燃機関から排出される排気を第1ユニット及び第2ユニットに導いて当該排気に含まれる前述したような特定物質及び/又は物体を除去及び/又は無害化することによって当該排気を浄化する排気浄化装置である。従って、ケーシングの第1開口と第1ハウジングの外側面との間及びケーシングの第2開口と第2ハウジングの外側面との間は気密に接合される必要がある。上述したモナカ製法によってプレス成型された複数の部材を重ね合わせることによりケーシングを構成する場合は、これらの複数の部材の間もまた、気密に接合される必要がある。このような接合を達成するための手法の具体例としては、例えば溶接等の手法を挙げることができる。
【0029】
上述したように、第1ユニットは排気流路において上流側に配設された排気浄化ユニットであり、第2ユニットは排気流路において第1ユニットよりも下流側に配設された排気浄化ユニットである。従って、内燃機関から排出され第1装置に導かれた排気は先ず第1開口を介して第1ユニットに導入され、第1ユニットから排出された排気はケーシングの内部空間である第1空間を経由して第2ユニットに導入され、第2ユニットから排出された排気は第2開口を介してケーシングの外部へと排出される。
【0030】
また、第1ユニットは、筒状の形状を有する第1ハウジング及び第1ハウジングの内部に保持されて排気を浄化する1つ以上の部材である第1浄化部材を備える。第2ユニットもまた、筒状の形状を有する第2ハウジング及び第2ハウジングの内部に保持されて排気を浄化する1つ以上の部材である第2浄化部材を備える。第1ハウジング及び第2ハウジングは、それぞれ第1ユニット及び第2ユニットを内包する筒状の部材である。
【0031】
第1ハウジング及び第2ハウジングの具体的な構成は、それぞれ第1ユニット及び第2ユニットを内部に収容し且つ内燃機関から排出される排気を第1ユニット及び第2ユニットに導き且つ排気浄化装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。具体的には、第1ハウジング及び第2ハウジングは、例えばステンレス鋼等の金属材料からなる管状部材(パイプ)によって構成されていてもよく、或いは上述したモナカ製法によって構成されていてもよい。第1ハウジング及び第2ハウジングの大きさ及び形状等は、例えば、内部に保持される第1浄化部材及び第2浄化部材の大きさ及び形状等に応じて、適宜定めることができる。
【0032】
上記のように、第1浄化部材及び第2浄化部材は排気を浄化する部材である。具体的には、第1浄化部材及び第2浄化部材は、内燃機関から排出される排気に含まれる前述したような特定物質を除去及び/又は無害化することにより当該排気を浄化する機能を有する部材である。このような部材の具体例としては、例えば、PMを捕集するガソリンパティキュレートフィルタ(GPF)及びディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)等のフィルタ並びに酸化触媒(OC)、三元触媒(TWC)、選択触媒還元脱硝装置(SCR)及びアンモニアスリップ触媒(ASC)等の排気浄化触媒等を挙げることができる。特定物質を除去及び/又は無害化において例えば還元剤等の添加剤を必要とする第1浄化部材及び/又は第2浄化部材を第1装置が備える場合は、当該添加剤を必要とする当該部材よりも上流側の排気流路に当該添加剤を供給するための装置を第1装置が備えていてもよい。
【0033】
更に、第1浄化部材及び第2浄化部材は、例えば、一対の電極を介して通電することによって発熱して排気浄化触媒を加熱する発熱体を備える浄化部材である電気加熱式触媒(EHC:Electrically Heated Catalyst)及び/又は当該発熱体であってもよい。
【0034】
第1ハウジングの内部に保持される第1浄化部材の数は1つであっても或いは2つ以上であってもよい。後者の場合、複数の第1浄化部材の全てが同じ部材であっても或いは異なる部材が含まれていてもよい。また、これら複数の第1浄化部材は直列に配置されていても或いは並列に配置されていてもよい。第2ハウジングの内部に保持される第2浄化部材についても上記と同様である。更に、第1ハウジングの内部に保持される第1浄化部材と第2ハウジングの内部に保持される第2浄化部材とが同じ部材であっても或いは異なっていてもよい。
【0035】
また、第1浄化部材及び第2浄化部材の大きさ及び形状等は、例えば個々の部材に求められる排気浄化性能及び圧力損失並びに第1装置が搭載されるスペース等に応じて、適宜定めることができる。具体的には、第1浄化部材及び第2浄化部材は、例えば真円形及び楕円形、並びに三角形、四角形、台形及び菱形等の多角形等の断面形状を有していてもよい。即ち、第1浄化部材及び第2浄化部材は、例えば円柱及び楕円柱、並びに三角柱及び四角柱等の多角柱等の外形を有していてもよい。
【0036】
尚、第1浄化部材及び第2浄化部材を第1ハウジング及び第2ハウジングの内部にそれぞれ保持するための具体的な手法は、第1浄化部材及び第2浄化部材を第1ハウジング及び第2ハウジングの内部の所定の位置にそれぞれ固定し且つ排気浄化装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。例えば、第1装置においては、圧縮に対する反発としての復元力を作用することが可能であり且つ十分な耐熱性を有する材料からなる緩衝材である保持部材(マット)を第1浄化部材と第1ハウジングとの間及び第2浄化部材と第2ハウジングとの間に挟圧保持し、当該保持部材の復元力によって第1浄化部材及び第2浄化部材を第1ハウジング及び第2ハウジングの内部の所定の位置に保持することができる。
【0037】
上記のように第1浄化部材と第1ハウジングとの間及び第2浄化部材と第2ハウジングとの間に保持部材を挟圧保持し、当該保持部材の復元力によって第1浄化部材及び第2浄化部材を第1ハウジング及び第2ハウジングの内部の所定の位置に保持するための手法の具体例としては、例えば圧入工法及びサイジング工法等の用いる手法を挙げることができる。圧入工法及びサイジング工法の詳細については当業者に周知であるので、ここでの説明は省略する。
【0038】
尚、上記のような保持部材を構成する材料の具体例としては、例えばアルミナ系繊維及びアルミナ-シリカ系繊維等の無機繊維及びこのような無機繊維にバインダとしての樹脂を加えたものを挙げることができる。バインダとして使用される樹脂の具体例としては、例えば、アクリルゴム、ニトリルゴム、ポリビニルアルコール及びアクリル樹脂等を挙げることができる。
【0039】
更に、上述したように、第1空間において互いに対向する第1ハウジングの外側面と第2ハウジングの外側面とによって挟まれた領域である第1領域が存在する。換言すれば、第1領域においては第1ユニット及び第2ユニットのケーシングの内部に収容されている部分の(第1ハウジング及び第2ハウジングの)外側面同士が互いに対向している。
【0040】
加えて、上述したように、第1ハウジングの軸方向に延長された外側面によって囲まれる仮想的な柱体である第1柱体と第2ハウジングの軸方向に延長された外側面によって囲まれる仮想的な柱体である第2柱体とは第1空間において交差しない。換言すれば、第1空間において、第1ユニットは第2ユニットの流入側(上流側)の端面にオーバーラップせず且つ第2ユニットは第1ユニットの流出側(下流側)の端面にオーバーラップしない。即ち、第1ユニット及び第2ユニットは、第1ユニットからの排気の流出及び第2ユニットへの排気の流入の何れも妨げないように配置されている。但し、第1空間の外部においては、第1柱体と第2柱体とが交差していてもよい。
【0041】
従って、前述した従来装置のように複数の排気浄化ユニットを直線状に配置する場合に比べて、ケーシングをより小型化することができる。また、ケーシングの小型化により、外部への放熱が低減され、例えば昇温速度の上昇及び保温性の向上等、本発明装置の暖機性能を向上させることができる。更に、第1ユニットから排出された排気が第2ユニットへと円滑に流入することができるので、背圧の上昇を抑制することができる。加えて、第1ユニットから第1空間を経由して第2ユニットへと流れる排気は第1ハウジング及び第2ハウジングの外側面に沿って流れ、当該排気の一部は第1領域を通過するので、第1ユニット及び第2ユニットを排気によって加熱することができる。
【0042】
ところで、第1装置における背圧の上昇(圧力損失の増大)を低減する観点からは、第1領域において排気の流れを妨げる部材が存在しない又は出来るだけ少ないことが望ましい。また、上記のように第1ユニットから第2ユニットへと流れる排気により第1ユニット及び第2ユニットを加熱する観点からも、第1領域において排気の流れを妨げる部材が存在しない又は出来るだけ少なく、第1ユニットから排出された排気が第2ハウジングに容易に接触することができることが望ましい。更に、第1ユニットは上流側に存在するが故に相対的に高い温度となり、第2ユニットは下流側に存在するが故に相対的に低い温度となる。第1ユニットからの輻射熱によって第2ユニットを加熱する観点からは、第1領域において第1ユニットから第2ユニットへの輻射熱を遮る部材が存在しない又は出来るだけ少ないことが望ましい。
【0043】
そこで、1つの変形例に係る第1装置は、上述した第1装置であって、第1割合が第2割合よりも大きいことを特徴とする排気浄化装置である。第1割合とは、第1領域において第1ハウジングの外側面と第2ハウジングの外側面とが他の部材を介すること無く互いに直接的に対向している部分の占める割合である。第2割合とは、第1領域において第1ハウジングの外側面と第2ハウジングの外側面とが他の部材を介して互いに間接的に対向している部分の占める割合である。このように第1割合が第2割合よりも大きいことにより、第1領域において排気の流れが妨げられ難くなるので、第1装置における背圧の上昇(圧力損失の増大)を更に低減することができる。また、第1ユニットから第2ユニットへと流れる排気による第1ユニット及び第2ユニットの加熱並びに第1ユニットからの輻射熱による第2ユニットの加熱が促進されるので、第1装置の暖機性能を更に向上させることができる。
【0044】
より好ましくは、第1領域において第1ハウジングの外側面と第2ハウジングの外側面との間において、排気の流れを妨げたり輻射熱の伝達を妨げたりする部材が存在しない。そこで、もう1つの変形例に係る第1装置は、上述した第1装置であって、第1領域において第1ハウジングの外側面と第2ハウジングの外側面とが他の部材を介すること無く互いに直接的に対向していることを特徴とする排気浄化装置である。換言すれば、第1領域において、第1ハウジングの外側面と第2ハウジングの外側面との間には他の部材が存在しない。これにより、第1領域においては排気の流れ及び輻射熱の伝達が妨げられないので、第1装置における背圧の上昇(圧力損失の増大)をより一層低減すると共に第1装置の暖機性能をより一層向上させることができる。
【0045】
図1は、上述したような構成を有する第1装置の外観の一例を示す模式的な斜視図である。図1に例示する第1装置101は、ケーシング10と第1ユニット21と第2ユニット22とを備える排気浄化装置である。この例においては、ケーシング10は直方体状の外形を有する容器状の部材であり、上述したモナカ製法により、プレス成型された2つの部材を破線によって図中に示す箇所において貼り合わせることによって構成されている。
【0046】
ケーシング10の上流側(図面に向かって上側)に形成された開口である第1開口11及び下流側(図面に向かって下側)に形成された開口である第2開口12が第1ユニット21及び第2ユニット22の外側面にそれぞれ外嵌している。白抜きの矢印によって図中に示すように、図示しない内燃機関から排出される排気は、第1ユニット21の上流側の端部から第1装置101の内部へと導かれ、第2ユニット22の下流側の端部から第1装置101の外部へと導かれる。即ち、第2ユニット22は、排気流路において第1ユニット21よりも下流側に配設された排気浄化ユニットである。尚、第1装置101においては、第1ユニット21を構成する第1ハウジングの軸AX1と第2ユニット22を構成する第2ハウジングの軸AX2とが平行になるように第1ユニット21及び第2ユニット22が配置されている。
【0047】
図2は、図1に例示した第1装置の内部構造の一例を示す模式的な断面図である。図2の(a)は、図1に例示した第1ハウジングの軸AX1及び第2ハウジングの軸AX2の両方を含む平面による第1装置101の断面図である。一方、図2の(b)は、(a)に示した直線L1を含み軸AX1及びAX2に垂直な平面による第1装置101の断面図である。
【0048】
図2に示すように、第1空間10sにおいて互いに対向する第1ハウジング21hの外側面と第2ハウジング22hの外側面とによって挟まれた領域である第1領域10rが存在する(斜線部を参照)。また、上述したように、第1装置101においては、第1ハウジング21hの軸AX1と第2ハウジング22hの軸AX2とが平行になるように第1ユニット21及び第2ユニット22が配置されている。従って、第1ハウジング21hの軸AX1の方向に延長された外側面によって囲まれる仮想的な柱体(第1柱体21v)と第2ハウジング22hの軸AX2の方向に延長された外側面によって囲まれる仮想的な柱体(第2柱体22v)とは第1空間10sにおいて交差しない。換言すれば、第1空間10sにおいて、第1ユニット21は第2ユニット22の流入側(上流側)の端面にオーバーラップせず且つ第2ユニット22は第1ユニット21の流出側(下流側)の端面にオーバーラップしない。即ち、第1ユニット21及び第2ユニット22は、第1ユニット21からの排気の流出及び第2ユニット22への排気の流入の何れも妨げないように配置されている。
【0049】
尚、図1及び図2に例示した第1装置101においては、上述したように、第1ハウジング21hの軸AX1と第2ハウジング22hの軸AX2とが平行になるように第1ユニット21及び第2ユニット22が配置されている。しかしながら、第1装置において第1ハウジングの軸と第2ハウジングの軸とが平行であることは必須の要件ではではなく、上述したように第1柱体21vと第2柱体22vとが第1空間10sにおいて交差しなければよい。また、図1及び図2に例示した第1装置101においては、第1空間10sを挟んで互いに対向するケーシング10の外殻に第1開口11及び第2開口12がそれぞれ形成されている。しかしながら、第1空間を挟んで互いに対向するケーシングの外殻に第1開口11及び第2開口12がそれぞれ形成されていることは必須の要件ではではない。例えば、第1開口及び第2開口は、ケーシングの同じ側の外殻に形成されていてもよく、或いはケーシングの異なる側の外殻に形成されていてもよい。
【0050】
尚、図2に例示した第1領域10rにおいては、第1ハウジング21hの外側面と第2ハウジング22hの外側面とが他の部材を介すること無く互いに直接的に対向している。即ち、第1領域10rにおいては第1ハウジング21hの外側面と第2ハウジング22hの外側面との間に他の部材が存在せず、第1ユニット21から排出された排気が第2ユニット22へとより円滑に流入することができる。従って、第1装置101における背圧の上昇を更に低減することができる。更に、第1ユニット21から第2ユニット22へと流れる排気により第1ユニット21及び第2ユニット22をより有効に加熱することができる。加えて、上流側に存在するが故に相対的に高い温度となる第1ユニット21から下流側に存在するが故に相対的に低い温度となる第2ユニット22へと輻射熱が伝わり易い。これらにより、第1装置101の暖機性能をより一層向上させることができる。
【0051】
〈効果〉
以上のように、第1装置によれば、前述した従来装置のように複数の排気浄化ユニットを直線状に配置する場合に比べて、ケーシングをより小型化することができる。また、ケーシングの小型化により、外部への放熱が低減され、例えば昇温速度の上昇及び保温性の向上等、第1装置の暖機性能を向上させることができる。更に、第1ユニットから排出された排気が第2ユニットへと円滑に流入することができるので、背圧の上昇を抑制することができる。加えて、第1領域を通過する排気は第1ハウジング及び第2ハウジングの外側面に沿って流れるので、第1ユニット及び第2ユニットを排気によって加熱することができる。その結果、第1装置の暖機性能を更に向上させることができる。
【0052】
上記に加えて、第1空間において第1領域が存在し且つ第1柱体と第2柱体とが交差しないという要件さえ満たしていれば上記のような効果を達成することができるので、排気浄化装置としての設計自由度が高く、第1装置が搭載されるスペースに応じた構成を柔軟に設計することができる。また、例えば、前述したように別体としてのS字状の連通管によって第1ユニットと第2ユニットとを連通させる場合に比べて、例えば第1ユニットから第2ユニットへと排気を導く流路の内径及び/又は横断面形状の推移パターン並びに第2ユニットへの排気の流入部における内部空間の形状等を自由に設定することができる。従って、例えば第2ユニットの最も上流側に配設された第2浄化部材への排気の当たりの均一性(一様度)の向上等の効果を容易に達成することができる。
【0053】
《第2実施形態》
以下、図面を参照しながら本発明の第2実施形態に係る排気浄化装置(以降、「第2装置」と称呼される場合がある。)について説明する。
【0054】
上述した第1装置に関する説明において述べたように、第1装置において第1ユニットを構成する第1ハウジングの軸と第2ユニットを構成する第2ハウジングの軸とが平行であることは必須の要件ではではなく、上述したように第1柱体と第2柱体とが第1空間において交差しなければよい。また、第1装置において第1空間を挟んで互いに対向するケーシングの外殻に第1開口及び第2開口がそれぞれ形成されていることは必須の要件ではなく、第1開口及び第2開口は、ケーシングの同じ側の外殻に形成されていてもよく、或いはケーシングの異なる側の外殻に形成されていてもよい。
【0055】
〈構成〉
そこで、第2装置は、上述した第1装置であって、第1ハウジングの軸を通る直線と第2ハウジングの軸を通る直線とが空間幾何学的ねじれの位置にあることを特徴とする排気浄化装置である。
【0056】
「2つの直線が空間幾何学的ねじれの位置にある」とは、当業者に周知であるように、それら2つの直線が「互いに平行ではなく且つ交差もしない」という状態にあることを意味する。この場合、それら2つの直線は、同一平面上に存在しない。また、上述した第1装置を始めとする本発明装置においては、第1空間において互いに対向する第1ハウジングの外側面と第2ハウジングの外側面とによって挟まれた領域である第1領域が存在する。換言すれば、第1空間において第1ユニットと第2ユニットとは互いに接触も交差もせず離れており、互いの間に隙間が存在する。従って、第2装置においては、第1柱体と第2柱体とが第1空間において交差しない状態を確実に達成することができる。
【0057】
図3は、上述したような構成を有する第2装置の外観の一例を示す模式的な斜視図である。図3に例示する第2装置102もまた、図1に例示した第1装置101と同様に、ケーシング10と第1ユニット21と第2ユニット22とを備える排気浄化装置である。この例においても、ケーシング10は直方体状の外形を有する容器状の部材であり、上述したモナカ製法により、プレス成型された2つの部材を破線によって図中に示す箇所において貼り合わせることによって構成されている。
【0058】
但し、第2装置102においては、第1ハウジング21の軸AX1を通る直線と第2ハウジング22の軸AX2を通る直線とが空間幾何学的ねじれの位置にある。尚、この例においては、第1ハウジング21の軸AX1を通る直線に平行な方向と第2ハウジング22の軸AX2を通る直線に平行な方向とがなす角が直角となるように第1ユニット21及び第2ユニット22が配置されている。従って、第1開口11はケーシング10の上流側(図面に向かって上側)に形成されており、第2開口12はケーシング10の下流側(図面に向かって手前側)に形成されている。第2装置102においても、第1装置101と同様に、第1ユニット21及び第2ユニット22の外側面に第1開口11及び第2開口12それぞれ外嵌しており、排気流路において第1ユニット21よりも下流側に第2ユニット22が配設されている。その結果、白抜きの矢印によって図中に示すように、図示しない内燃機関から排出される排気は、第1ユニット21の上流側の端部から第2装置102の内部へと導かれ、第2ユニット22の下流側の端部から第2装置102の外部へと導かれる。
【0059】
図4は、図3に例示した第2装置の内部構造の一例を示す模式的な断面図である。図4の(a)は、図3に例示した第1ハウジングの軸AX1を含み且つ第2ハウジングの軸AX2に直交する平面による第2装置102の断面図である。一方、図4の(b)は、図3に例示した第2ハウジングの軸AX2を含み且つ第1ハウジングの軸AX1に直交する平面による第2装置102の断面図である。
【0060】
図4に示すように、第1空間10sにおいて互いに対向する第1ハウジング21hの外側面と第2ハウジング22hの外側面とによって挟まれた領域である第1領域10rが存在する(斜線部を参照)。また、上述したように、第2装置102においては、第1ハウジング21の軸AX1を通る直線と第2ハウジング22の軸AX2を通る直線とが空間幾何学的ねじれの位置にある。従って、第1ハウジング21hの軸AX1の方向に延長された外側面によって囲まれる仮想的な柱体(第1柱体21v)と第2ハウジング22hの軸AX2の方向に延長された外側面によって囲まれる仮想的な柱体(第2柱体22v)とは第1空間10sにおいて交差しない。換言すれば、第1空間10sにおいて、第1ユニット21は第2ユニット22の流入側(上流側)の端面にオーバーラップせず且つ第2ユニット22は第1ユニット21の流出側(下流側)の端面にオーバーラップしない。即ち、第2装置102においても、第1装置101と同様に、第1ユニット21及び第2ユニット22は、第1ユニット21からの排気の流出及び第2ユニット22への排気の流入の何れも妨げないように配置されている。
【0061】
尚、図3及び図4に例示した第2装置102においては、上述したように、第1ハウジング21の軸AX1を通る直線に平行な方向と第2ハウジング22の軸AX2を通る直線に平行な方向とがなす角が直角となるように第1ユニット21及び第2ユニット22が配置されている。しかしながら、第2装置において上記角が直角となることは必須の要件ではではなく、上述したように第1ハウジング21の軸AX1を通る直線と第2ハウジング22の軸AX2を通る直線とが空間幾何学的ねじれの位置にあることにより、第1柱体21vと第2柱体22vとが第1空間10sにおいて交差しない状態が確実に達成されていればよい。換言すれば、第2装置102においては、第1ハウジング21の軸AX1を通る直線に平行な方向と第2ハウジング22の軸AX2を通る直線に平行な方向とがなす角が直角以外の任意の角度となるように第1ユニット21及び第2ユニット22が配置されていてもよい。この場合、第1開口11及び第2開口12は、ケーシング10の外殻において、第1ユニット21及び第2ユニット22の配置に応じた位置に形成される。
【0062】
尚、図4に例示した第1領域10rにおいても、第1ハウジング21hの外側面と第2ハウジング22hの外側面とが他の部材を介すること無く互いに直接的に対向している。即ち、第1領域10rにおいては第1ハウジング21hの外側面と第2ハウジング22hの外側面との間に他の部材が存在せず、第1ユニット21から排出された排気が第2ユニット22へとより円滑に流入することができる。従って、第1装置101における背圧の上昇を更に低減することができる。更に、第1ユニット21から第2ユニット22へと流れる排気により第1ユニット21及び第2ユニット22をより有効に加熱することができる。加えて、上流側に存在するが故に相対的に高い温度となる第1ユニット21から下流側に存在するが故に相対的に低い温度となる第2ユニット22へと輻射熱が伝わり易い。これらにより、第2装置102の暖機性能をより一層向上させることができる。
【0063】
〈効果〉
以上のように、第2装置においては、第1ハウジング21の軸を通る直線と第2ハウジング22の軸を通る直線とが空間幾何学的ねじれの位置にあることにより、第1柱体と第2柱体とが第1空間において交差しない状態が確実に達成される。従って、第2装置によれば、背圧の上昇を抑制しつつ小型化及び暖機性能の向上を達成することができる。また、第2装置においては、第1ハウジングの軸を通る直線に平行な方向と第2ハウジングの軸を通る直線に平行な方向とがなす角が直角以外の任意の角度となるように第1ユニット及び第2ユニットが配置されていてもよい。従って、第2装置においては、排気浄化装置としての設計自由度が更に高く、第2装置が搭載されるスペースに応じた構成を更に柔軟に設計することができる。
【0064】
《第3実施形態》
以下、図面を参照しながら本発明の第3実施形態に係る排気浄化装置(以降、「第3装置」と称呼される場合がある。)について説明する。
【0065】
前述した第1装置に関する説明において述べたように、内燃機関から排出され第1装置に導かれた排気は先ず第1開口を介して第1ユニットに導入され、第1ユニットから排出された排気はケーシングの内部空間である第1空間を経由して第2ユニットに導入され、第2ユニットから排出された排気は第2開口を介してケーシングの外部へと排出される。このように第1装置を始めとする本発明装置においては、第1ユニットから第2ユニットへと排気を導くための別個の部材を必要としないので、排気浄化装置の構成を単純化すると共に排気浄化装置を小型化することができる。
【0066】
加えて、第1ユニットから排出された排気が第1領域を通過して第2ユニットへと流れる際には、第1ハウジング及び第2ハウジングの外側面に沿って排気が流れるので、第1ユニット及び第2ユニットが排気によって加熱される。その結果、本発明装置の暖機性能を更に向上させることができる。
【0067】
従って、本発明装置の暖機性能を維持しつつ本発明装置を更に小型化する観点からは、ケーシングの内部空間である第1空間のうち第1ハウジングの外側面と第2ハウジングの外側面とによって挟まれた領域である第1領域以外の領域を縮小又は排除することが望ましい。
【0068】
そこで、第3装置は、上述した第1装置又は第2装置であって、互いに対向する第1ハウジングの外側面及び第2ハウジングの外側面並びに当該互いに対向する第1ハウジングの外側面と第2ハウジングの外側面との間に介在して互いに対向するケーシングの内壁面同士によって画定される空間である独立流路が第1空間に形成されていることを特徴とする排気浄化装置である。
【0069】
換言すれば、第3装置には、互いに対向する第1ハウジングの外側面及び第2ハウジングの外側面と、これらの互いに対向する第1ハウジング及び第2ハウジングの外側面に接合されたケーシングの外殻と、によって構成された略筒状の部材によって取り囲まれた空間(独立流路)が第1空間に形成されている。この独立流路の横断面の形状及び面積は、例えば独立流路を取り囲む第1ハウジングの外側面及び第2ハウジングの外側面並びにケーシングの外殻の形状によって定まり、第3装置における背圧の上昇及び独立流路に流れる排気による暖機性能の向上の程度に影響を及ぼす。従って、独立流路を取り囲む第1ハウジングの外側面及び第2ハウジングの外側面並びにケーシングの外殻の形状は、例えば、第3装置における背圧の上昇を抑制しつつ独立流路に流れる排気による暖機性能を向上させるように定めることが望ましい。
【0070】
更に、第3装置においては、第1空間における独立流路よりも上流側の空間と第1空間における独立流路よりも下流側の空間とが独立流路のみによって連通されている。即ち、第3装置においては、第1ユニットから排出された排気が第2ユニットに到達するには、独立流路を排気が通過しなければならない。換言すれば、第3装置においては、第1ユニットから排出されて第2ユニットに導入される排気は独立流路を必ず経由する。従って、第3装置においては、第1空間における独立流路以外の領域を排除することができるので、本発明装置の暖機性能を維持しつつ本発明装置を更に小型化することができる。
【0071】
図5は、上述したような構成を有する第3装置の外観の1つの例を示す模式的な斜視図である。図6は、図5に例示した第3装置の内部構造の一例を示す模式的な断面図である。図6の(a)は、図5に例示した第1ハウジングの軸AX1及び第2ハウジングの軸AX2の両方を含む平面による第3装置103aの断面図である。一方、図6の(b)は、(a)に示した直線L2を含み軸AX1及びAX2に垂直な平面による第3装置103aの断面図である。
【0072】
図5及び図6に例示する第3装置103aは、図1及び図2を参照しながら説明した第1装置101に対応する排気浄化装置である。第3装置103aにおいては、互いに対向する第1ハウジング21hの外側面と第2ハウジング22hの外側面とによって挟まれた領域である第1領域10r(斜線部)、第1ユニット21から第1領域10rへと排気が流入するための領域であり上流側領域及び第1領域10rから第2ユニット22へと排気が流入するための領域である下流側領域のみによって第1空間10sが構成されており、これら以外の領域は排除されている。
【0073】
上記の結果、第3装置103aにおいては、互いに対向する第1ハウジング21の外側面及び第2ハウジング22の外側面並びに当該互いに対向する第1ハウジング21の外側面と第2ハウジング22の外側面との間にそれぞれ介在して互いに対向するケーシング10の内壁面同士によって第1領域10rが画定されている。即ち、第3装置103aにおいては、第1領域10rが独立流路として形成されている。また、第1空間における独立流路、上述した上流側領域及び下流側領域以外の領域は排除されている。即ち、第3装置103aにおいては、第1空間10sにおける独立流路よりも上流側の空間と第1空間における独立流路よりも下流側の空間とが独立流路のみによって連通されている。換言すれば、第3装置103aは、第1ユニット21から排出されて第2ユニット22に導入される排気が独立流路を必ず経由するように構成されている。
【0074】
一方、図7は、上述したような構成を有する第3装置の外観のもう1つの例を示す模式的な斜視図である。図8は、図7に例示した第3装置の模式的な斜視図及び六面図である。図8の(a)は斜視図であり、(b)は(a)に示す黒塗りの矢印の方向から観察した場合における正面図であり、(c)は平面図(頂面図)であり、(d)は底面図であり、(e)は左側面図であり、(f)は右側面図である。尚、背面図は(d)に示す底面図と同様であるので省略した。また、図8においては、第3装置の構成を見易く示すことを目的として、符号を省略した。次に、図9は、図7及び図8に例示した第3装置の内部構造の一例を示す模式的な断面図である。図9の(a)は、図7に例示した第1ハウジングの軸AX1を含み且つ第2ハウジングの軸AX2に直交する平面による第3装置103bの断面図である。一方、図9の(b)は、図7に例示した第2ハウジングの軸AX2を含み且つ第1ハウジングの軸AX1に直交する平面による第3装置103bの断面図である。
【0075】
図7乃至図9に例示する第3装置103bは、図3及び図4を参照しながら説明した第2装置102に対応する排気浄化装置である。第3装置103bにおいては、互いに対向する第1ハウジング21hの外側面と第2ハウジング22hの外側面とによって挟まれた領域である第1領域10r(斜線部)、第1ユニット21から第1領域10rへと排気が流入するための領域であり上流側領域及び第1領域10rから第2ユニット22へと排気が流入するための領域である下流側領域のみによって第1空間10sが構成されており、これら以外の領域は排除されている。また、図示しないが、上流側領域から第1領域10rを経由すること無く下流側領域へと排気が流れないように、第1空間の内部における所定の位置に仕切り板が設けられている。
【0076】
上記の結果、第3装置103bにおいても、第3装置103aと同様に、互いに対向する第1ハウジング21の外側面及び第2ハウジング22の外側面並びに当該互いに対向する第1ハウジング21の外側面と第2ハウジング22の外側面との間に介在して互いに対向するケーシング10の内壁面同士によって第1領域10rが画定されている。即ち、装置103bにおいても、第3装置103aと同様に、第1領域10rが独立流路として形成されている。また、第1空間における独立流路、上述した上流側領域及び下流側領域以外の領域は排除されている。即ち、第3装置103bにおいても、第3装置103aと同様に、第1空間10sにおける独立流路よりも上流側の空間と第1空間における独立流路よりも下流側の空間とが独立流路のみによって連通されている。換言すれば、第3装置103bもまた、第3装置103aと同様に、第1ユニット21から排出されて第2ユニット22に導入される排気が独立流路を必ず経由するように構成されている。
【0077】
〈効果〉
以上のように、第3装置においては、互いに対向する第1ハウジングの外側面及び第2ハウジングの外側面と、これらの互いに対向する第1ハウジング及び第2ハウジングの外側面に接合されたケーシングの外殻と、によって構成された略筒状の部材によって取り囲まれた空間である独立流路が第1空間に形成されている。更に、第3装置は、第1ユニットから排出されて第2ユニットに導入される排気が独立流路を必ず経由するように構成されている。その結果、第3装置によれば、排気浄化装置としての暖機性能を維持しつつ装置全体を更に小型化することができる。
【実施例1】
【0078】
本発明の第1実施例に係る排気浄化装置(以降、「第1実施例装置」と称呼される場合がある。)につき、図面を参照しながら、以下に詳しく説明する。
【0079】
図10は第1実施例装置の模式的な正面図であり、図11図10に示した直線L3を含む平面によって切断された第1実施例装置を示す模式図であり、図12及び図13はそれぞれ図10に示した第1実施例装置の構成を示す模式的な左側面図及び右側面図である。尚、図10乃至図13においては、第1実施例装置の構成についての理解を容易にすることを目的として、ケーシングの輪郭が太線によって描かれている。
【0080】
図10乃至図13に例示するように、第1実施例装置201は、エキゾーストマニホールド(以降、「エキマニ」と略称される場合がある。)部分31と一体的に構成されたエキマニ一体型排気浄化装置(排気処理ユニット)である。このような排気浄化装置は「マニバータ」とも称呼される。第1実施例装置201は、エキマニ部分31のヘッドフランジ31fを介して図示しない四気筒型内燃機関のエンジヘッドの側面に取り付けられる。また、第1実施例装置201においては、上流側の排気浄化ユニットである第1ユニット21と下流側の排気浄化ユニットである第2ユニット22とが互いに平行になるように配置されている。
【0081】
ケーシング10は、前述した「モナカ製法」によって集成されている。具体的には、ケーシング10は、図10における手前-奥方向(表裏方向)にケーシング10が二分割された形状となるようにステンレス鋼板からプレス成型された2つの半体を相互に溶接することによって集成されている。
【0082】
エキマニ部分31の下流側の端部は、第1ユニット21を構成する第1ハウジング21hの上流側の端部に外嵌されて溶接によって固定されている。ケーシング10の上流側の開口である第1開口11は、第1ハウジング21hの外側面の第2ハウジング22hに対向する領域の大部分及び第1ハウジング21hの下流側の端部を覆うように開口しており、第1ハウジング21hの下流側の端部及び外側面に外嵌されて溶接によって固定されている。一方、ケーシング10の下流側の開口である第2開口12は、第2ハウジング22hの外側面の第1ハウジング21hに対向する領域の大部分及び第2ハウジング22hの上流側の端部を覆うように開口しており、第2ハウジング22hの下流側の端部及び外側面に外嵌されて溶接によって固定されている。
【0083】
上記構成により、第1実施例装置201においては、図11に示すように、ケーシング10の1つの内部空間である第1空間において互いに対向する第1ハウジング21hの外側面と第2ハウジング22hの外側面とによって挟まれ且つケーシング10の内壁面同士によって挟まれた領域である第1領域が大きく形成されている。この第1領域においても、第1ハウジング21hの外側面と第2ハウジング22hの外側面とが他の部材を介すること無く互いに直接的に対向している。従って、第1ユニット21から排出された排気が第2ユニット22へとより円滑に流入することができる。その結果、第1実施例装置201における背圧の上昇を更に低減することができる。更に、第1ユニット21から第2ユニット22へと流れる排気により第1ユニット21及び第2ユニット22をより有効に加熱することができる。加えて、上流側に存在するが故に相対的に高い温度となる第1ユニット21から下流側に存在するが故に相対的に低い温度となる第2ユニット22へと輻射熱が伝わり易い。これらにより、第1実施例装置201の暖機性能をより一層向上させることができる。
【0084】
また、第1ユニット21から第2ユニット22へと排気を導く略S字状の流路が第1空間によって最短且つ最小に形成されている。更に、第1領域においては、互いに対向する第1ハウジング21hの外側面及び第2ハウジング22hの外側面並びに当該互いに対向する第1ハウジング21hの外側面と第2ハウジング22hの外側面との間に介在して互いに対向するケーシング10の内壁面同士によって画定される空間である独立流路が形成されている。第1ユニット21から排出されて第2ユニット22に導入される排気は独立流路を必ず経由する。即ち、第1実施例装置201は、前述した第3装置に該当する排気浄化装置である。
【0085】
尚、図10乃至図13に例示する第1実施例装置201が備えるケーシング10には、例えば上述した独立流路としての第1領域の内部を流れる排気の温度等を検知するセンサを挿入するためのセンサ挿入孔10hが形成されている。また、第1実施例装置201が適用される(図示しない)内燃機関は、排気再循環(EGR)システムを備えるため、EGR管23を接続するための更なる開口として第3開口13がケーシング10に設けられている。第3開口13は、円形状の開口であり、EGR管23と嵌合されて溶接によって固定されている。但し、本発明装置は必ずしも上記のようなセンサを備える必要は無く、本発明装置が適用される内燃機関は必ずしもEGRシステムを備える必要は無い。即ち、センサ挿入孔10h、第3開口13及びEGR管23は本発明の必須の構成要件ではない。
【0086】
ところで、上述したように、第1実施例装置201においては、上流側の第1ユニット21と下流側の第2ユニット22とが互いに平行になるように配置されており且つ第1ハウジング21hの外側面と第2ハウジング22hの外側面とによって挟まれた領域である第1領域が第1空間に形成されている。即ち、第1ハウジング21hの軸方向に延長された第1ハウジング21hの外側面によって囲まれる仮想的な柱体(第1柱体)と第2ハウジングの軸方向に延長された第2ハウジング22hの外側面によって囲まれる仮想的な柱体(第2柱体)とは第1空間において交差しない。即ち、第1ユニット21及び第2ユニット22は、ケーシング10の内部において一方の端面に他方がオーバーラップしないように配置されている。
【0087】
以上のような構成により、第1実施例装置201によれば、ケーシング10の小型化により、外部への放熱が低減され、例えば昇温速度の上昇及び保温性の向上等、第1実施例装置201の暖機性能を向上させることができる。特に、第1実施例装置201においては、上述したように、互いに対向する第1ハウジング及び第2ハウジングの外側面並びにケーシング10の内壁面によって画定される空間である独立流路が形成されており、第1ユニット21から第2ユニット22へと流れる排気が独立流路を必ず経由する。従って、第1ユニット21及び第2ユニット22を排気によって効果的に加熱することができる。その結果、第1実施例装置201の暖機性能を更に向上させることができる。更に、第1ユニット21から排出された排気が第2ユニット22へと円滑に流入することができるので、背圧の上昇を抑制することができる。しかも、第1領域において、第1ハウジング21hの外側面と第2ハウジング22hの外側面との間には他の部材が存在しない。これにより、第1領域においては排気の流れ及び輻射熱の伝達が妨げられないので、第1実施例装置201における背圧の上昇(圧力損失の増大)をより一層低減すると共に第1実施例装置201の暖機性能をより一層向上させることができる。
【0088】
また、例えば、前述したように別体としてのS字状の連通管によって第1ユニット21と第2ユニット22とを連通させる場合に比べて、例えば第1ユニット21から第2ユニット22へと排気を導く流路の内径及び/又は横断面形状の推移パターン並びに第2ユニット22への排気の流入部における内部空間の形状等を自由に設定することができる。従って、例えば第2ユニット22の最も上流側に配設された第2浄化部材(図示せず)への排気の当たりの均一性(一様度)の向上等の効果を容易に達成することができる。尚、第1装置に関する説明において述べたように、第1ハウジングの軸と第2ハウジングの軸とが平行であることは必須の要件ではではなく、第1柱体と第2柱体とが第1空間において交差しなければよい。例えば、後述する実施例2に係る排気浄化装置におけるように、第1ユニットと第2ユニットとが空間幾何学的ねじれの位置にあってもよい。
【実施例2】
【0089】
本発明の第2実施例に係る排気浄化装置(以降、「第2実施例装置」と称呼される場合がある。)につき、図面を参照しながら、以下に詳しく説明する。
【0090】
図14は、第2実施例装置の模式的な斜視図であり、図15図14に示した第2実施例装置を構成するケーシングの上側の半体を取り除いてケーシングの内部における第1ユニット及び第2ユニットの配置を示す模式的な斜視図である。また、図16は、図14に示した第2実施例装置を構成するケーシング並びに第1ユニット及び第2ユニットの一部を取り除いて第1ユニット及び第2ユニットの構成を示す模式的な斜視図である。
【0091】
第2実施例装置202を構成するケーシング10もまた、前述した「モナカ製法」によって集成されている。具体的には、ケーシング10は、図14乃至図16における上下方向にケーシング10が二分割された形状となるようにステンレス鋼板からプレス成型された2つの半体を相互に溶接することによって集成されている。
【0092】
図14乃至図16に例示するように、第1ユニット21及び第2ユニット22の互いに対向する部分を内包し且つ第1ユニット21の上流側の端部及び第2ユニット22の下流側の端部がそれぞれ第1開口11及び第2開口12から外部に突出するようにケーシング10が構成されている。このようなケーシング10の内部空間である第1空間は第1ユニット21から第2ユニット22へと排気を導く流路として機能する。
【0093】
図16に示すように、第2実施例装置202においては、第1浄化部材21mと第1ハウジング21hとの間及び第2浄化部材22mと第2ハウジング22hとの間に保持部材(マット)21b及び22bがそれぞれ挟圧保持されている。これらの保持部材21b及び22bの復元力により、第1浄化部材21m及び第2浄化部材22mが第1ハウジング21h及び第2ハウジング22hの内部の所定の位置にそれぞれ保持されている。
【0094】
また、図14乃至図16に例示するように、第2実施例装置202においては、第1ユニット21及び第2ユニット22が「互いに平行ではなく且つ交差もしない」状態にある。即ち、第1ユニット21及び第2ユニット22は空間幾何学的ねじれの位置にある。従って、第2実施例装置202においても、第1ユニット21及び第2ユニット22は、ケーシング10の内部において一方の端面に他方がオーバーラップしないように配置されている。更に、図15及び図16に示すように、ケーシング10の内部空間である第1空間10sにおいて互いに対向する第1ハウジング21hの外側面と第2ハウジング22hの外側面とによって挟まれた領域である第1領域10rが存在する(斜線部を参照)。このように、第2実施例装置202は、前述した第2装置に該当する排気浄化装置である。尚、第2実施例装置202においても、第1ハウジング21hの外側面と第2ハウジング22hの外側面とが第1領域において他の部材を介すること無く互いに直接的に対向している。
【0095】
以上のような構成により、第2実施例装置202によれば、ケーシング10の小型化により、外部への放熱が低減され、例えば昇温速度の上昇及び保温性の向上等、第2実施例装置202の暖機性能を向上させることができる。更に、第1ユニット21から排出された排気が第2ユニット22へと円滑に流入することができるので、背圧の上昇を抑制することができる。加えて、第1ユニット21から第1空間10sを経由して第2ユニット22へと流れる排気は第1ハウジング21h及び第2ハウジング22hの外側面に沿って流れ、当該排気の一部は第1領域10rを通過するので、第1ユニット21及び第2ユニット22を排気によって効率的に加熱することができる。その結果、第2実施例装置202の暖機性能を更に向上させることができる。
【0096】
しかも、第1領域10rにおいては第1ハウジング21hの外側面と第2ハウジング22hの外側面との間に他の部材が存在しないので、第1ユニット21から排出された排気が第2ユニット22へとより円滑に流入することができる。その結果、第2実施例装置202における背圧の上昇を更に低減することができる。更に、第1ユニット21から第2ユニット22へと流れる排気により第1ユニット21及び第2ユニット22をより有効に加熱することができる。加えて、上流側に存在するが故に相対的に高い温度となる第1ユニット21から下流側に存在するが故に相対的に低い温度となる第2ユニット22へと輻射熱が伝わり易い。これらにより、第2実施例装置202の暖機性能をより一層向上させることができる。
【0097】
上記に加えて、第2実施例装置202においては、第1ハウジング21hの軸を通る直線と第2ハウジング22hの軸を通る直線とが空間幾何学的ねじれの位置にあることにより、第1柱体と第2柱体とが第1空間において交差しない状態が確実に達成される。第2実施例装置202においては、第1ハウジング21hの軸を通る直線に平行な方向と第2ハウジング22hの軸を通る直線に平行な方向とがなす角を直角以外の任意の角度となるように第1ユニット21及び第2ユニット22が配置されていてもよい。従って、第2実施例装置202によれば、排気浄化装置としての設計自由度を更に高めて、第2実施例装置202が搭載されるスペースに応じた構成を更に柔軟に設計することができる。
【0098】
例えば、第2実施装置202を内燃機関の側方に配置し、鉛直方向における上向きに開口する第1開口11に対してエキマニ又はターボチャージャを介して上方から排気を流入させ且つ内燃機関から遠ざかる向きに開口する第2開口12に接続された後流排気管へと排気を流出させるようなレイアウトとすることにより、内燃機関の周辺の狭い空間を有効に活用することができる。
【0099】
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成を有する幾つかの実施形態及び実施例につき、時に添付図面を参照しながら説明してきたが、本発明の範囲は、これらの例示的な実施形態及び実施例に限定されると解釈されるべきではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることが可能であることは言うまでも無い。
【符号の説明】
【0100】
101、102、103a、103b、201、202…排気浄化装置、10…ケーシング、10s…第1空間、10r…第1領域、11…第1開口、12…第2開口、13…第3開口、10h…センサ挿入孔、21…第1ユニット、21h…第1ハウジング、21m…第1浄化部材、21v…第1柱体、22…第2ユニット、22h…第2ハウジング、22m…第2浄化部材、22v…第2柱体、22c…コーン部、22p…アウトレットパイプ、22f…アウトレットフランジ、23…EGR管、23f…EGRフランジ、31…エキマニ部分、31f…ヘッドフランジ、AX1…第1ハウジングの軸、AX2…第2ハウジングの軸。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図16